『コンフィデンスマンJP』コメディだけど社会風刺が魅力的! 視聴率ダウンも神回連発するワケ

(これまでのレビューはこちらから) 

 5月28日放送の第8話「美容編」。

 リチャード(小日向文世)が贔屓にしていたメンズエステのエステティシャン福田ほのか(堀川杏美)。ほのかは、美容関連の総合商社『ミカブランド』に採用される。しかし1年後、社長・美濃部ミカ(りょう)の「デブ」「豚」などの暴言やパワハラに耐えかね、ほのかは退社。ダー子(長澤まさみ)たちは、ミカに偽物の化粧水を売りつけ、代理復讐を果たそうとする。以上が導入部のあらすじである。

 第8話の面白さは、物語が思わぬ方向に転ぶ展開にあった。その魅力を語る上で欠かせない中盤から終盤のあらすじにも触れながら、第8話「美容編」を振り返りたい。

■第8話の“影のMVP”は、プロデューサーor編成の判断?

 中盤以降のあらすじは以下のようになっている。

 ダー子はフランスの老舗高級ブランドの人間としてミカに商談を持ち掛ける計画を立てるもアッサリ引き下がる。理由はミカの“美のアスリート”ともいえる、女性を美しくする執念を垣間見たから。儲け話ではミカを揺さぶることはできないと判断する。

 そこでダー子は40歳のド田舎の女に扮して、架空の村に伝わる化粧水・弁天水に興味を持たせることにした。ダー子の実年齢を知らぬミカは、40歳とは思えぬダー子の肌の美しさと弁天水に魅了される。ミカがついに弁天水の権利を3億で買うかと思いきや、ダー子を自分の主催する美人コンテストに出場を提案。ミカは田舎で暮らすダー子に美しさを賞賛される喜びを味合わせようとした。

「一緒に世界中の人を綺麗にしましょう。それまで(弁天水は)待ってるわ」とミカ。

 あとは「弁天水を売る」と宣言するだけ。しかし、ほのかが週刊誌にパワハラをリークしてミカは社長を退任。弁天水を売る計画は失敗に終わる。

 脚本家・古沢良太のブログには、「美容編」は序盤に書き上げ撮影も初期に行われたとあった。「美容編」の置き処を8話という終盤に遅らせた判断は正しかったと言える。「大幅な計画変更」「ターゲットの心理の読み違え」「計画の失敗」は、今までに無い要素だからこそ意外性が高まった。そして、最終話に手強いターゲットを置くならば、この辺りで計画を失敗させた方が、ハラハラしながら今後の話を楽しむことができる。

 プロデューサーか編成サイドの判断かはわからないが、「美容編」が第8話であることは得策だったと言える。

■『コンフィデンスマンJP』に潜む社会風刺

 第8話の魅力は、展開の意外性に留まらない。社会風刺的な一面もスパイスとして潜んでいた。

 パワハラのリークで手に入った50万円で、元気を取り戻す福田ほのか。もともと彼女はミカブランドの入社を喜び、傷つけばミカへのバッシングで癒さやれてしまう。彼女は他者への憧れか批判でしか、自分の価値を保つことができない。美容の仕事も自分をカッコよく見せるためのアクセサリーにすぎなかったのだろう。

 対照的に、ミカにとって美容は人生そのものだった。顔に火傷を負ったせいで、亭主に捨てられ、仕事すら見つからない母の苦労を見て育った。だから女性を美しくすることにストイックであるし、美容の仕事に就きながら痩せようとしないミカを叱責したのも頷ける。ミカは全てを失い団地暮らしとなった後も近所の奥様を綺麗にすることに喜びを感じていた。

「カリスマに勝って、凡人に負けた」

 ミカを騙せたが、ほのかのリークで計画が失敗したダー子の一言にはハッとさせられる。

 近年、パワハラやセクハラで多くの権力者が失脚している。ハラスメントそのものへの批判は仕方ないが、辞職にまで追い込む風潮は有益なのだろうか。批判するからにはその対象の過去の功績や失脚後の損失にも目を向けねばと、記事を書く人間として反省させられた。

■演出家の違いで出る、各話のテイストの違いとは?

 第8話の意外な展開も社会風刺も、“女性の願望”が起点となっている。りょう扮する美濃部ミカの美への執着心が、ダー子に大きく影響していた。計画変更を余儀なくされるし、詐欺師なので目立ってはいけないのに表舞台に出てしまうし、ミカへの共感から騙すことへの罪悪感まで持つ。

 第8話で演出を手掛けたのは、田中亮氏。第5話の「スーパードクター編」でも、かたせ梨乃演じる野々宮ナンシーの魅力が物語の肝になっていた。『ラストシンデレラ』『ディアシスター』(共にフジテレビ)など、女性の心理描写を得意とする田中氏にマッチした脚本だったと言える。

 通常、脚本家は“本打ち”と呼ばれる打ち合わせを重ね、脚本を執筆する。演出家やプロデューサーからのアイデアを脚本に反映することも多い。

 田中氏であれば女性の心境が深堀りされる回になり、「映画マニア編」や「遺跡発掘編」なの演出を手掛けた金井絋氏の回は小ネタやコスプレが多い。近年メガホンを撮り始めた三橋利行氏の場合は古沢良太の書く台詞を尊重し、一言一句が聞き取りやすいように丁寧な演出を心がけている印象だ。

 最終話の前に、今までの回を見直し、誰が演出する回が好きかを確かめてみるのも面白い。個人的には、三橋氏が手掛けた「美術商編」と「家族編」がお薦めである。

 残り2話、誰がメガホンを取るのかも楽しみにしつつ、第9話「スポーツ編」を心待ちにしたい。

(文=許婚亭ちん宝)

『コンフィデンスマンJP』コメディだけど社会風刺が魅力的! 視聴率ダウンも神回連発するワケ

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 5月28日放送の第8話「美容編」。

 リチャード(小日向文世)が贔屓にしていたメンズエステのエステティシャン福田ほのか(堀川杏美)。ほのかは、美容関連の総合商社『ミカブランド』に採用される。しかし1年後、社長・美濃部ミカ(りょう)の「デブ」「豚」などの暴言やパワハラに耐えかね、ほのかは退社。ダー子(長澤まさみ)たちは、ミカに偽物の化粧水を売りつけ、代理復讐を果たそうとする。以上が導入部のあらすじである。

 第8話の面白さは、物語が思わぬ方向に転ぶ展開にあった。その魅力を語る上で欠かせない中盤から終盤のあらすじにも触れながら、第8話「美容編」を振り返りたい。

■第8話の“影のMVP”は、プロデューサーor編成の判断?

 中盤以降のあらすじは以下のようになっている。

 ダー子はフランスの老舗高級ブランドの人間としてミカに商談を持ち掛ける計画を立てるもアッサリ引き下がる。理由はミカの“美のアスリート”ともいえる、女性を美しくする執念を垣間見たから。儲け話ではミカを揺さぶることはできないと判断する。

 そこでダー子は40歳のド田舎の女に扮して、架空の村に伝わる化粧水・弁天水に興味を持たせることにした。ダー子の実年齢を知らぬミカは、40歳とは思えぬダー子の肌の美しさと弁天水に魅了される。ミカがついに弁天水の権利を3億で買うかと思いきや、ダー子を自分の主催する美人コンテストに出場を提案。ミカは田舎で暮らすダー子に美しさを賞賛される喜びを味合わせようとした。

「一緒に世界中の人を綺麗にしましょう。それまで(弁天水は)待ってるわ」とミカ。

 あとは「弁天水を売る」と宣言するだけ。しかし、ほのかが週刊誌にパワハラをリークしてミカは社長を退任。弁天水を売る計画は失敗に終わる。

 脚本家・古沢良太のブログには、「美容編」は序盤に書き上げ撮影も初期に行われたとあった。「美容編」の置き処を8話という終盤に遅らせた判断は正しかったと言える。「大幅な計画変更」「ターゲットの心理の読み違え」「計画の失敗」は、今までに無い要素だからこそ意外性が高まった。そして、最終話に手強いターゲットを置くならば、この辺りで計画を失敗させた方が、ハラハラしながら今後の話を楽しむことができる。

 プロデューサーか編成サイドの判断かはわからないが、「美容編」が第8話であることは得策だったと言える。

■『コンフィデンスマンJP』に潜む社会風刺

 第8話の魅力は、展開の意外性に留まらない。社会風刺的な一面もスパイスとして潜んでいた。

 パワハラのリークで手に入った50万円で、元気を取り戻す福田ほのか。もともと彼女はミカブランドの入社を喜び、傷つけばミカへのバッシングで癒さやれてしまう。彼女は他者への憧れか批判でしか、自分の価値を保つことができない。美容の仕事も自分をカッコよく見せるためのアクセサリーにすぎなかったのだろう。

 対照的に、ミカにとって美容は人生そのものだった。顔に火傷を負ったせいで、亭主に捨てられ、仕事すら見つからない母の苦労を見て育った。だから女性を美しくすることにストイックであるし、美容の仕事に就きながら痩せようとしないミカを叱責したのも頷ける。ミカは全てを失い団地暮らしとなった後も近所の奥様を綺麗にすることに喜びを感じていた。

「カリスマに勝って、凡人に負けた」

 ミカを騙せたが、ほのかのリークで計画が失敗したダー子の一言にはハッとさせられる。

 近年、パワハラやセクハラで多くの権力者が失脚している。ハラスメントそのものへの批判は仕方ないが、辞職にまで追い込む風潮は有益なのだろうか。批判するからにはその対象の過去の功績や失脚後の損失にも目を向けねばと、記事を書く人間として反省させられた。

■演出家の違いで出る、各話のテイストの違いとは?

 第8話の意外な展開も社会風刺も、“女性の願望”が起点となっている。りょう扮する美濃部ミカの美への執着心が、ダー子に大きく影響していた。計画変更を余儀なくされるし、詐欺師なので目立ってはいけないのに表舞台に出てしまうし、ミカへの共感から騙すことへの罪悪感まで持つ。

 第8話で演出を手掛けたのは、田中亮氏。第5話の「スーパードクター編」でも、かたせ梨乃演じる野々宮ナンシーの魅力が物語の肝になっていた。『ラストシンデレラ』『ディアシスター』(共にフジテレビ)など、女性の心理描写を得意とする田中氏にマッチした脚本だったと言える。

 通常、脚本家は“本打ち”と呼ばれる打ち合わせを重ね、脚本を執筆する。演出家やプロデューサーからのアイデアを脚本に反映することも多い。

 田中氏であれば女性の心境が深堀りされる回になり、「映画マニア編」や「遺跡発掘編」なの演出を手掛けた金井絋氏の回は小ネタやコスプレが多い。近年メガホンを撮り始めた三橋利行氏の場合は古沢良太の書く台詞を尊重し、一言一句が聞き取りやすいように丁寧な演出を心がけている印象だ。

 最終話の前に、今までの回を見直し、誰が演出する回が好きかを確かめてみるのも面白い。個人的には、三橋氏が手掛けた「美術商編」と「家族編」がお薦めである。

 残り2話、誰がメガホンを取るのかも楽しみにしつつ、第9話「スポーツ編」を心待ちにしたい。

(文=許婚亭ちん宝)

『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)三谷幸喜・クドカンにも劣らぬ古沢良太の手腕! 7話目にして“最高傑作”が誕生!

『コンフィデンスマンJP』の第7話「家族編」が5月21日に放送され、平均視聴率は8.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。

 リチャード(小日向文世)はバーで矢島理花(佐津川愛美)と出会う。現在、理花はスリ師をしているが、10億円の遺産を持つ与論要造(竜雷太)の末娘なのであった。ダー子(長澤まさみ)は、刑務所に服役中の理花に成りすまし、余命半年の要造から遺産をもらい受けようとする。しかし、18年ぶりに帰って来た理花がニセモノではないかと、兄・祐弥(岡田義徳)と姉・弥栄(桜井ユキ)は疑う。兄姉からの妨害を受けながら、ダー子は婚約者設定のボクちゃん(東出昌大)と共に、与論要造の信頼を勝ち取る日々が始まる。

 以上が「家族編」のあらすじ。視聴率は前回から0.6ポイント増。感想としては、「『コンフィデンスマンJP』に求めていた面白さはコレなのだ!」と断言できるほど、面白かった。今回は脚本の技術の高さに着眼点を置き、第7話の内容と魅力を振り返りたい。

(これまでのレビューはこちらから)

■『コンフィデンスマンJP』には“疑い”が欠けていた?

「面白いけれど、なぜか腑に落ちない」と、本作には何かが欠けていると感じてモヤッとしていた。しかし、第7話を見てモヤが晴れた。この物語には、ダー子たちに疑いの目を向ける存在が欠けていたのだ。疑り深かったのは第1話「ゴッドファーザー編」の江口洋介くらい。他の回のターゲットや周辺人物はスンナリとダー子たちに騙されてしまう。嘘が交錯するコンゲームというジャンルなのに、疑う存在がいなければ緊迫感は出ない。ノリや小ネタに誤魔化され、ハラハラドキドキという、コンゲームにおける楽しみの本質を忘れさせられていた。ある意味、このドラマに騙されていたのだ。

 第7話では、冒頭からダー子を偽物の理花だと気づき、疑う兄と姉の存在がある。屋敷のどこに理花の部屋があるかわかるだろう、と問われたり、DNA鑑定を持ちかけられたり、ピンチの場面が度々訪れる。また、家族というステージが緊張感を高めてくれた。家族には独自の文化と思い出がある、竜雷太演じる与論要造が「今年もアレが楽しみだな」と言えば、要造の言う“アレ”が何なのかわからないダー子たちは右往左往する。

「邪魔者の出現」と「難易度の高いステージの用意」。これらは基本要素であるが、第7話の面白さはそれに留まらない。古沢良太の特異性が存分に発揮されていた。

■脚本家・古沢良太の持つ、“ゲーム的展開”と“演歌の精神”

 まるでRPGゲームの世界を体験したような1時間だった。

 要造に実の娘だと思わせ10億円の遺産を騙し取るまでの“ゴール”。遺産を奪い合う兄姉という“敵”。獄中の理子から得た家族のエピソードという“アイテム”。アイテムの中に、「理子が家族からイジメを受けていた」というカードがある。このカードをどのタイミングで切るのかが、作中の楽しみでもあった。

 屋敷の中で展開する物語であるが、“ステージ”もめくるめく展開を見せる。以下、ネタばれ注意ではあるが……

1、 実の娘だと信じさせるため、兄姉の妨害を乗り越える。

2、兄姉がダー子たちと同じ遺産目当ての偽物の息子&娘だと気づく。

同時にダー子たちも偽物とバレ、牽制し合いながらの要造への媚売り合戦が展開。

3、要造の望みが建前の媚売りでなく本音でぶつかり合える家族の存在だとわかる。

敵対した兄姉と協力し合い、ケンカも罵倒もある普通の家族を目指す。

 遺産10億円ゲットという大目的のため、中間目標が変わりダー子たちの行動ラインまで変化していく。この後も予想を裏切る展開が続くが、オンデマンドで最後まで見てほしい。前述した「本物の理子がイジメを受けていた」というカードを切るタイミングが抜群だったからこそ、ハラハラドキドキ展開のコンゲームは、感動のヒューマンドラマへと変貌する。今まで媚売りに始終していたダー子たちが、要造の望みを知った後での食卓のシーンは、涙がこぼれる。現代日本で家族の食卓がノスタルジーと化してしまったのだと気づかされ、切ない気持ちにさせられた。

 古沢良太の脚本の良さは、視聴者を飽きさせないゲーム的な展開と胸に染みる演歌な部分にある。その両方を併せ持つ脚本家は国内に古沢良太、ただ一人だと思う。

■コメディ作家BIG3古沢良太・宮藤官九郎・三谷幸喜の違いとは?

 古沢良太はビッグネーム故に、三谷幸喜や宮藤官九郎と比較されたり、並べられることがある。同じコメディのジャンルを得意とする3人であるが、笑いのトリガーは明確に違う。しかし、第7話「家族編」は古沢良太の独自の良さに加え、三谷幸喜と宮藤官九郎の得意とする技まで駆使されていた。そのため、コメディ作家大御所3人の違いについて触れてみたい。

 まずは三谷幸喜。彼の笑いは、“状況”で引き起こされる。映画『ラヂオの時間』『THE 有頂天ホテル』やドラマ『王様のレストラン』(フジテレビ系)、どの作品も限定された空間で起きてほしくないトラブルに登場人物たちが見舞われる。そして登場人物は誰もが真剣だからこそ、ミスをする際には笑えてしまう。焦って下手を打つ者、考えすぎて見当違いをする者、欲に駆られて事態が見えなくなる者。トラブルの中でそれぞれの個性が浮き彫りとなり、人間ドラマが生じていく。だからこそ、“ドタバタ”ではなく“喜劇”と呼ばれ、作風には気品すら感じられる。

 次に宮藤官九郎。彼の作品の笑いの肝は“緩急”にある。例えば『あまちゃん』(NHK総合)では、天野春子(小泉今日子)の傍若無人な振る舞いで笑いが起き、娘を想う繊細な親心に泣かされる。上京とアイドルになる不安を感じる娘・アキ(能年玲奈)に 「私変わった(成長した)?」と問われた際の返答は圧巻だ。

「変わってないよ、アキは。昔も今も、地味で暗くて向上心も協調性も存在感も個性も華もないパッとしない子だけど……だけど、みんなに好かれたね。こっち(岩手)に来て、みんなに好かれた。あんたじゃなくてみんなが変わったんだよ。自信持ちなさい、それはね案外すごいことなんだからね」

 おバカさと真面目さのギャップに魅せられて、登場人物たちは視聴者の心に寄り添う友達となる。だからクドカンドラマの最終回はいつも寂しくなってしまう。

 そして、古沢良太の笑いのトリガーはどこにあるのか? それは登場人物同士の“対立”の中にある。文学ニートとリケジョの恋を描いた『デート』(フジテレビ系)、悪徳弁護士と清廉潔白な弁護士の活躍を描いた『リーガルハイ』(同)。意見の違う者同士のチグハグ感に笑い、相反する主張から物事の本質まで見えそうになる。

 本作第7話「家族編」に話を戻すと、ピンチが次々に起きる“状況”設定には三谷幸喜を、コメディとヒューマンの“緩急”は宮藤官九郎を彷彿とさせた。そして古沢良太自身が得意とする“対立”構図の果てに、家族の本質は血の繋がりには無いというメッセージ性まで感させる。

 無駄な小ネタや自分の見せたい画に執着しなかった三橋利行氏の演出も相まって、古沢良太の脚本の良さが見えたのかもしれない。残り3話。古沢脚本×三橋監督のコンビをまた見られることを期待しつつ、第8話「美のカリスマ編」も楽しみにしたい。

(文=許婚亭ちん宝)

『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)三谷幸喜・クドカンにも劣らぬ古沢良太の手腕! 7話目にして“最高傑作”が誕生!

『コンフィデンスマンJP』の第7話「家族編」が5月21日に放送され、平均視聴率は8.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。

 リチャード(小日向文世)はバーで矢島理花(佐津川愛美)と出会う。現在、理花はスリ師をしているが、10億円の遺産を持つ与論要造(竜雷太)の末娘なのであった。ダー子(長澤まさみ)は、刑務所に服役中の理花に成りすまし、余命半年の要造から遺産をもらい受けようとする。しかし、18年ぶりに帰って来た理花がニセモノではないかと、兄・祐弥(岡田義徳)と姉・弥栄(桜井ユキ)は疑う。兄姉からの妨害を受けながら、ダー子は婚約者設定のボクちゃん(東出昌大)と共に、与論要造の信頼を勝ち取る日々が始まる。

 以上が「家族編」のあらすじ。視聴率は前回から0.6ポイント増。感想としては、「『コンフィデンスマンJP』に求めていた面白さはコレなのだ!」と断言できるほど、面白かった。今回は脚本の技術の高さに着眼点を置き、第7話の内容と魅力を振り返りたい。

(これまでのレビューはこちらから)

■『コンフィデンスマンJP』には“疑い”が欠けていた?

「面白いけれど、なぜか腑に落ちない」と、本作には何かが欠けていると感じてモヤッとしていた。しかし、第7話を見てモヤが晴れた。この物語には、ダー子たちに疑いの目を向ける存在が欠けていたのだ。疑り深かったのは第1話「ゴッドファーザー編」の江口洋介くらい。他の回のターゲットや周辺人物はスンナリとダー子たちに騙されてしまう。嘘が交錯するコンゲームというジャンルなのに、疑う存在がいなければ緊迫感は出ない。ノリや小ネタに誤魔化され、ハラハラドキドキという、コンゲームにおける楽しみの本質を忘れさせられていた。ある意味、このドラマに騙されていたのだ。

 第7話では、冒頭からダー子を偽物の理花だと気づき、疑う兄と姉の存在がある。屋敷のどこに理花の部屋があるかわかるだろう、と問われたり、DNA鑑定を持ちかけられたり、ピンチの場面が度々訪れる。また、家族というステージが緊張感を高めてくれた。家族には独自の文化と思い出がある、竜雷太演じる与論要造が「今年もアレが楽しみだな」と言えば、要造の言う“アレ”が何なのかわからないダー子たちは右往左往する。

「邪魔者の出現」と「難易度の高いステージの用意」。これらは基本要素であるが、第7話の面白さはそれに留まらない。古沢良太の特異性が存分に発揮されていた。

■脚本家・古沢良太の持つ、“ゲーム的展開”と“演歌の精神”

 まるでRPGゲームの世界を体験したような1時間だった。

 要造に実の娘だと思わせ10億円の遺産を騙し取るまでの“ゴール”。遺産を奪い合う兄姉という“敵”。獄中の理子から得た家族のエピソードという“アイテム”。アイテムの中に、「理子が家族からイジメを受けていた」というカードがある。このカードをどのタイミングで切るのかが、作中の楽しみでもあった。

 屋敷の中で展開する物語であるが、“ステージ”もめくるめく展開を見せる。以下、ネタばれ注意ではあるが……

1、 実の娘だと信じさせるため、兄姉の妨害を乗り越える。

2、兄姉がダー子たちと同じ遺産目当ての偽物の息子&娘だと気づく。

同時にダー子たちも偽物とバレ、牽制し合いながらの要造への媚売り合戦が展開。

3、要造の望みが建前の媚売りでなく本音でぶつかり合える家族の存在だとわかる。

敵対した兄姉と協力し合い、ケンカも罵倒もある普通の家族を目指す。

 遺産10億円ゲットという大目的のため、中間目標が変わりダー子たちの行動ラインまで変化していく。この後も予想を裏切る展開が続くが、オンデマンドで最後まで見てほしい。前述した「本物の理子がイジメを受けていた」というカードを切るタイミングが抜群だったからこそ、ハラハラドキドキ展開のコンゲームは、感動のヒューマンドラマへと変貌する。今まで媚売りに始終していたダー子たちが、要造の望みを知った後での食卓のシーンは、涙がこぼれる。現代日本で家族の食卓がノスタルジーと化してしまったのだと気づかされ、切ない気持ちにさせられた。

 古沢良太の脚本の良さは、視聴者を飽きさせないゲーム的な展開と胸に染みる演歌な部分にある。その両方を併せ持つ脚本家は国内に古沢良太、ただ一人だと思う。

■コメディ作家BIG3古沢良太・宮藤官九郎・三谷幸喜の違いとは?

 古沢良太はビッグネーム故に、三谷幸喜や宮藤官九郎と比較されたり、並べられることがある。同じコメディのジャンルを得意とする3人であるが、笑いのトリガーは明確に違う。しかし、第7話「家族編」は古沢良太の独自の良さに加え、三谷幸喜と宮藤官九郎の得意とする技まで駆使されていた。そのため、コメディ作家大御所3人の違いについて触れてみたい。

 まずは三谷幸喜。彼の笑いは、“状況”で引き起こされる。映画『ラヂオの時間』『THE 有頂天ホテル』やドラマ『王様のレストラン』(フジテレビ系)、どの作品も限定された空間で起きてほしくないトラブルに登場人物たちが見舞われる。そして登場人物は誰もが真剣だからこそ、ミスをする際には笑えてしまう。焦って下手を打つ者、考えすぎて見当違いをする者、欲に駆られて事態が見えなくなる者。トラブルの中でそれぞれの個性が浮き彫りとなり、人間ドラマが生じていく。だからこそ、“ドタバタ”ではなく“喜劇”と呼ばれ、作風には気品すら感じられる。

 次に宮藤官九郎。彼の作品の笑いの肝は“緩急”にある。例えば『あまちゃん』(NHK総合)では、天野春子(小泉今日子)の傍若無人な振る舞いで笑いが起き、娘を想う繊細な親心に泣かされる。上京とアイドルになる不安を感じる娘・アキ(能年玲奈)に 「私変わった(成長した)?」と問われた際の返答は圧巻だ。

「変わってないよ、アキは。昔も今も、地味で暗くて向上心も協調性も存在感も個性も華もないパッとしない子だけど……だけど、みんなに好かれたね。こっち(岩手)に来て、みんなに好かれた。あんたじゃなくてみんなが変わったんだよ。自信持ちなさい、それはね案外すごいことなんだからね」

 おバカさと真面目さのギャップに魅せられて、登場人物たちは視聴者の心に寄り添う友達となる。だからクドカンドラマの最終回はいつも寂しくなってしまう。

 そして、古沢良太の笑いのトリガーはどこにあるのか? それは登場人物同士の“対立”の中にある。文学ニートとリケジョの恋を描いた『デート』(フジテレビ系)、悪徳弁護士と清廉潔白な弁護士の活躍を描いた『リーガルハイ』(同)。意見の違う者同士のチグハグ感に笑い、相反する主張から物事の本質まで見えそうになる。

 本作第7話「家族編」に話を戻すと、ピンチが次々に起きる“状況”設定には三谷幸喜を、コメディとヒューマンの“緩急”は宮藤官九郎を彷彿とさせた。そして古沢良太自身が得意とする“対立”構図の果てに、家族の本質は血の繋がりには無いというメッセージ性まで感させる。

 無駄な小ネタや自分の見せたい画に執着しなかった三橋利行氏の演出も相まって、古沢良太の脚本の良さが見えたのかもしれない。残り3話。古沢脚本×三橋監督のコンビをまた見られることを期待しつつ、第8話「美のカリスマ編」も楽しみにしたい。

(文=許婚亭ちん宝)

『コンフィデンスマンJP』ついに視聴率微増がストップ! 低視聴率の要因は“ストーリーの使い回し”!?

 5月14日放送の『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)第6話「古代遺跡編」。

 ボクちゃん(東出昌大)が訪れた寂れたラーメン屋の夫婦は、地方再生のために計画されたふれあいモールの完成を心待ちにする。しかし2年後、店を再訪すると、計画は産業廃棄物処理場の建設に変更されていた。コンサルタントの斑井満(内村光良)が地方再生を謳い低価格で村の土地を買い、産業処理会社に転売したのだった。

 ダー子(長澤まさみ)たちは、ニセモノの遺跡を発掘させることで処理場の建設をストップさせようと目論む。しかし、元考古学研究者の父親のせいで苦労を強いられた息子の斑井は遺跡発掘そのものを憎んでいた。ダー子はそれを逆手に取り、斑井の父親が唱えた諸説が正しかったと歴史の捏造まで試みる。斑井は、処理場で得る利益と遺跡発掘の情熱との間で心が揺れ動くようになっていく。

 以上が6話のあらすじ。突飛な切り口はいつも通りであるが、今回は過去の回ほどワクワクした気持ちで見ることができなかった。SNS上の書き込みも、「回によって当たり外れがある」「自分には合わなかった」など厳しい意見も目立つ。今回は、その要因を探りながら、第6話を振り返りたい。

(これまでのレビューはこちらから)

■1話完結型の弱みだけに留まらぬ、本作のマンネリ化

 勿論、批判的な書き込みばかりではなく、好意的な書き込みも多々あった。内村光良が真面目に悪役を演じたことへの賞賛。レキシの楽曲「狩りから稲作へ」がBGMで流れ、アフロヘアのダー子たちがニセモノの土器を作る演出に笑った人も多かったようだ。

 脚本も高い水準を保っていた。産業廃棄物処理場を絶対悪として描かず、建設現場の人間がラーメン屋に集まり店の経営が潤うオチ。遺跡マニア達の情熱に触れた後、斑井が金に群がる女とイチャつく自分を、映し窓に見て我に返る場面。善悪というものを明言せずに視聴者に感じ取らせる、古沢良太の脚本はいい味を出していた。

 しかし、父親のようになりたくない息子が利益至上主義者となり、ダー子たちとの出会いで純粋さを取り戻す構図は第3話「美術商編」と似通っている。しかも石黒賢演じる美術商の方が『リーガルハイ』(同)の主人公・古美門(堺雅人)のように、弁もキャラも立っていて、強敵に見えた。

 全10話もあるのに展開の被りを指摘するのは酷ではあるが、毎話悪人を騙すという骨子が変えられぬ物語ゆえ、肉付けを変えなければ新鮮さが損なわれてしまう。同じ肉付けだとしても、第3話を上回るハラハラする展開と感動を第6話では見せてほしかった。

■平均視聴率2ケタは望み薄。その前に視聴率って必要な指標?

 良し悪しの感想以上に、シビアなのが視聴率。2話で7.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区平均。以下同)と落ち込んだが、3話9.1%、4話9.2%、5話9.3%と微増していただけに、6話の8.2%は手痛い数字であった。

 現在1話から6話までの平均視聴率が8.8%。全10話の平均視聴率を10.0%にするためには、7話から最終話までの各話、約11.8%ずつ出さなければならない。

 ところで、そもそも視聴率という指標になんの意味があるのか?

 テレビマンにとっては査定のようなモノであるが、我々一般視聴者にとってなんら影響を及ぼさない。それにもかかわらず、「面白いのに視聴率がともなわない」「もっとたくさんの人に見てほしい」と言う作品のファンがいる。テレビと視聴率の不思議である。

 これは推察にすぎないが、テレビは同じ時間に同じモノを見ている人がいる安心感を与えてくれるメディアだからなのだと思う。テレビはある意味お祭りと似ていて、大勢の人ごみの中を歩くだけでワクワクするもの。逆に閑散とした出店の通りを歩くと、余計に孤独を感じてしまう。そんな心境から出る言葉が、たくさんの人に見てほしいという期待なのかもしれない。

 今は小説も映画もネット番組も、自分の好きな時間に自由に見られる。テレビもネット配信でそうなりつつあるが、各家庭にブラウン管や液晶画面の箱が置かれている限り、テレビには寂しさを紛らわせる賑やかさが求められる。また、多種多様な楽しみがあるゆえに、自分の趣味趣向に自信を保つことは難しい。だからこそ、自分の好きな作品に対する「面白い」というネット上の評判や高視聴率には、視聴者の寂しさを打ち消し、自信を与える力がある。

 作り手には視聴率を気にせず面白い作品を作ってほしい。同時に視聴率もとってほしい。

 見る側のワガママな意見で、恐縮であるが……。

■第7話「家族編」の期待できる点と、不安なポイント

 家族がテーマで、古沢良太脚本であれば期待が持てる。彼の出世作といえば、山崎貴監督の映画『ALWAYS 三丁目の夕日』。昭和の家族を描いたこの作品は、30億円を超える興行収入を記録し、古沢良太自身は山崎監督とともに日本アカデミー賞最優秀脚本賞をつかみ取った。

 しかし、金持ち家族の遺産相続が絡むという方向性には不安を覚える。騙す標的が経済ヤクザというのも、第1話「ゴッドファーザー編」と被らないか心配だ。輪をかけて、近年のフジテレビは『モンテ・クリスト伯~華麗なる復讐~』『貴族探偵』『カインとアベル』など、富豪の家族が登場する物語で大コケを連発中なのも心配の一因だ。古沢良太というド真ん中ストレートを投げても結果を出せる本格派をマウンドに立たせながら、過去で失敗したリードを要求し続けるフジテレビの勇気には拍手を送りたい。キャスト・脚本・演出・美術やロケーションに至るまで高水準な作品だけに、各話の方向性の舵取りだけが悩ましい。

 第7話「家族編」を楽しみにしつつ、密かに古沢良太の朝ドラ登板にも期待をしたい。

(文=許婚亭ちん宝)

長澤まさみ『コンフィデンスマンJP』演技が好評!「仕事モード全開」の裏で“チラつく”2人の男!

 現在放送中の長澤まさみ主演ドラマ『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)の評判がいい。

「セクシーなコスプレや変顔も辞さない、弾けた演技をみせる長澤のイキイキとした姿が絶賛されています。視聴率は、初回の9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区平均)が最高で、2ケタに届きそうで届かない状況が続いていますが、タイムシフト視聴率(録画視聴率)と合わせると、15%以上を記録しており、動画配信サービス「FOD」や「TVer」での見逃し配信でのランキングも常に上位。好評を受け、すでに映画化も決まったという話も伝わってきます。低迷するフジは、いずれヒットシリーズにと大きな期待を寄せているそうです」(テレビ雑誌記者)

 長澤といえば、長年コンビを組んできた、業界で“敏腕”と評判だったマネジャーが、3月に退社したことで、今後の去就が注目されていた。

「同マネジャーが、長澤を引き抜いて新事務所を設立するのではというウワサもありました。しかし、長澤をスターに育てたことで社内での発言力を増し、社内外での高圧的な仕事ぶりが目に余るようになったマネジャーに“もう一緒にできない”と引導を渡したのは、ほかならぬ長澤だったといいますから、今後、彼と行動をともにする可能性は少ないでしょう。逆に、有力マネジャーを辞めさせたことで、事務所の稼ぎ頭としての責任感が生まれ、これまでになく仕事に貪欲になっているんです。それが、今回のドラマの演技によく出ていますよ」(芸能プロ関係者)

 というから、魅力的な長澤が見られるようになったのは、ある意味、このマネジャーのおかげともいえそうだ。長澤を成長させるために、“悪役を引き受けた――”わけではないだろうが、結果的に好アシストとなったのだから、やっぱり有能なマネジャーだったのかも。

 また、元カレの伊勢谷友介の存在も、長澤を奮起させた一因ではという見方もある。

「一時は結婚間近とも囁かれながら、15年に破局。16年に、伊勢谷はモデルの森星との熱愛が報じられ、現在は、同棲生活を送っていることが明らかになっています。2人ともラブラブぶりを隠そうという様子もなく、目撃情報は増えるばかり。いやでも長澤の目や耳にも、そんな情報は入ってくる。“空き家”が続く長澤としては、仕事で見返すしかありませんからね」(ワイドショー関係者)

 女優として、また人としての長澤の大きな成長の裏には、2人の男の存在があったようだ。

『コンフィデンスマンJP』もう”パクリばかり”と言わせない! 脱“嫌われフジ”の鍵を握るパロディ演出

 5月7日放送の『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)、第5話「スーパードクター編」。

 リチャード(小日向文世)は盲腸のオペを有名外科医・野々宮新琉(永井大)に頼もうとするも、執刀したのはパッとしない田淵安晴(正名僕蔵)だった。実は田淵は腕利きの外科医であり手術は無事成功。新琉が有名になれたのも、田淵が影武者として代理執刀していたおかげだった。それにもかかわらず、野々宮総合病院理事長の野々宮ナンシー(かたせ梨乃)は田淵を解雇。ダー子(長澤まさみ)とボクちゃん(東出昌大)は、田淵の後釜の影武者として病院に潜り込む。そして、ナンシー自身を大動脈瘤と嘘の診断をし、手術代として約3億円を騙し取ろうとしていた。

 以上が第5話のおさらい。ただのぶっ飛んだコメディ回にも見えるが、フジテレビのドラマ作りのターニングポイントとも言える要素が含まれた。何が転換点なのかを、第5話の魅力を交えて、この記事では紹介していく。

(これまでのレビューはこちらから)

■かたせ梨乃の生脚が5話の魅力の象徴?

 第5話の見どころと言えば、ゲストの魅力を引き出した脚本と演出だ。

 Twitterなどでは山田孝之の登場に歓喜の声が上がった。わずか1分程度のカメオ出演であったが、「あんたは仕事を選んだ方がいい!」というボクちゃんのツッコミが、山田孝之自身にも向けられたセリフでクスッと笑えた。

 気は優しいがプレッシャーに弱い新琉役の永井も、実はゲスな田淵役の正名もハマり役だったと言える。新琉の成長や田淵が病院に戻るのを期待しつつ見るストーリーの構造だったが、新琉はオペから逃げ出すし、田淵は恨む患者に捨てセリフを吐いて執刀を拒む始末。葛藤と成長を見せるのがドラマの基本構造であるが、葛藤を抱えたまま煮え切らないのが人生のリアル。役者の演技も相まって納得することができた。

 特に野々宮ナンシー役のかたせが素晴らしい。ダー子たちに騙されたとわかっても一笑に付し、その失敗で病院を手放すキッカケに変えてしまう強さがあった。試合に負けて勝負に勝つタイプの悪役は今回が初めてかもしれない。

 また、ミニスカのゴルフウェア姿のかたせの生脚は、鼻血が出るほど美しかった。普通の感覚なら、60すぎの女優の生足を晒す発想は出てこない。それだけ、役者の長所を演出家が理解していたのだろう。役者の強みを前に出し弱点を薄める匙加減に優れた田中亮氏の演出だったからこそ、5話のゲストたちは輝いたと言える。

■フジ、格好つけたパクリから体当たりのパロディへの路線変更?

 2017年度のフジテレビのドラマの手法は、ヒット作品の手法と似通ることが多かった。例えば『コード・ブルー』。第3シーズンから取り入れた、冒頭と終盤で登場人物が心情を吐露するナレーション。これは、海外の医療ドラマ『グレイズ・アナトミー』でも丸っきり同じ手法が使われていた。また、地方政治を描いた『民衆の敵』でも、政治の世界を描いた『ハウス・オブ・カード』と同じ、カメラ目線で視聴者に語り掛ける手法が使われていた。

 たまたま似通っただけなのか、パクリなのかは断言できない。しかし、後者だとすれば、同ジャンルのドラマの手法を流用してしまう図々しさに絶句してしまう。

 しかし、ギャグとしてのパロディなら好感が持てる。本作の第5話では、新琉が名ドクターであることを『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK総合)のパロディで紹介。医者が並び歩く場面を『ドクターX』(テレビ朝日系)と同じカメラワークとBGMで演出した。堂々とパクってしまえば、笑えてしまう。

『コード・ブルー』と『民衆の敵』が、ホリエモンなどの起業家の言葉をさも自分の発言のように語る意識高い系のイタい就活生だとすれば、『コンフィデンスマンJP』は忘年会でサンシャイン池崎などに扮して職場を明るくする企業戦士。

 どちらが好きかは人それぞれだが、昨年のフジテレビより今年のフジテレビの方が、プライドを捨てた体当たりなドラマ作りをしていて、好感が持てる。

■『コンフィデンスマンJP』は、“フジテレビ好感度上昇”の鍵となるか?

 前述した、パクリとパロディの違いは、サービス精神の有無にあると思う。

 前者は、「どうせ多くの視聴者は海外ドラマなど見ていない」という開き直りから起きる。

 たとえ、海外ドラマをリスペクトしたオマージュであっても、我が物顔でオリジナルかのように流用すれば、本家のファンは良い気分はしない。結局、視聴者への誠意が足りない。

 一方、他局のヒット作品のパロディは、本家のファンからも愛されるように作られていた。

『モテキ』(テレビ東京系)であれば、岩井俊二監督の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』のロケ地をデートする回で、同映画の名シーンを再現。『打ち上げ花火~』のアニメ映画でのリメイクの際は、モテキの監督・大根仁が脚本家として起用されたほどだ。

『逃げるは恥だが役に立つ』も、『情熱大陸』や『ザ・ベストテン』(いずれもTBS系)など誰もが知る番組を、一目でパロディだとわかるように堂々と演出されていた。

『モテキ』も『逃げ恥』もネタ元への敬意と視聴者を楽しませる誠意を感じる。そのサービス精神があるから、放送枠と局のブランド価値まで高める作品となったのだろう。

『コンフィデンスマンJP』もまた、視聴者を楽しませようとする姿勢が感じ取れる。それは、若者の流行や憧れを物語に投影させて人気を博した90年代前半のトレンディドラマに通じるものだ。恰好をつけず、楽しませることに全力投球な制作姿勢。古き良きフジテレビの精神が受け継がれている。

 5話の平均視聴率は9.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、前回から0.1ポイント増だった。3週連続で上昇しているのは、本作がフジテレビに求められる役割を全うしているからなのかもしれない。

『コンフィデンスマンJP』を皮切りに、フジテレビは愛されるテレビ局に生まれ変われるのか? 第6話「古代遺跡編」も、楽しみにしたい。

(文=許婚亭ちん宝)

『コンフィデンスマンJP』低視聴率でついに超高額制作費を投入? フジテレビ“破産”へまっしぐら!?

 4月30日に放送された『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)第4話「映画マニア編」。

 今回のターゲットは、産地偽装に手を染める食品会社2代目社長・俵屋勤(佐野史郎)。俵屋は社員へのセクハラや恫喝は当たり前、意に沿わない社員は左遷してしまう横暴ぶり。産地偽装に反発した宮下(近藤公園)も例に漏れず、左遷されてしまう。自暴自棄になり酔いつぶれた宮下と歓楽街で出会ったダー子(長澤まさみ)は、俵屋を詐欺の標的に定める。俵屋が生粋の映画マニアであることに目を付け、ニセモノの映画を作り、多額の制作費を巻き上げようとする。

 今回の見どころと言えば、俵屋を騙すために制作したアクション時代劇。大人数が炎の中で戦う合戦のシーンは迫力があった。ただ、豪勢なシーンは、視聴者にとっては喜ばしいが、制作側にとっては悩みの種となることも……。今回は、第4話の作品としての素晴らしさと、本作のビジネスとしての不安要素を綴りたいと思う。

■大味なのに繊細!? 実は哲学的な第4話

 ダイナミックなシーンの多い回であったが、素晴らしかったのは小道具や小ネタなど、ディテールの部分。映画雑誌の表紙写真が船越英一郎だったり、バーにある壁の穴を「勇作と力也さんがやった(殴った)」と嘘ついたり、伊吹吾郎が本人役で出てきたりと、俵屋を騙すためのギミックが小ネタ万歳で楽しめた。個人的には、映画『モテキ』(2011年、監督:大根仁)のときに長澤まさみが使った「ドロンします」という台詞があったことに好感を覚えた。

 とはいえ、ただの小ネタばかりのドタバタ喜劇の回ではない。「あるある」な共感と人間の本質に触れた見応えのある1時間だった。

 まず、映画に詳しくない者を見下す俵屋のよう人間を「シネマハラスメント」という造語で称したのは見事。日本代表を応援してないだけで「非国民だ」と罵るサッカーハラスメント、『ワンピース』を読んでいないだけで「人生を損してる」と言うワンピースハラスメント。ハラスメント野郎が現代社会に跋扈しているためか、映画マニアの俵屋が不幸になる様は痛快だった。

 また、ダー子がマリリン・モンローを色仕掛けの参考にしようとする場面も、ギャグのように見えて本質を突いている。頭脳明晰ゆえに色恋すら学習しようとするダー子演じる長澤まさみほどの美女が“ハニートラップは苦手”という設定に合点がいった。映画の知識が豊富なのに、その道のプロになれなかった俵屋と相まって、崇拝や憧れが願いの成就から遠ざけると教えてくれる。漫画家を志していたが、脚本家となった古沢良太の人生哲学が滲み出たのかもしれない。

 大味なコメディでありながら、キャラクターの整合性や小ネタにまで気を回す繊細さを併せ持つ。第4話はハイブローでありながらハイレベルだったと言える。

■『コンフィデンスマンJP』から見る、フジ崩壊のシナリオ

 ショービジネスである限り、切り離せないのが出資者や経営陣の満足度。内容が面白ければ良いと考えるのは、クリエイターとしては立派だがビジネスマンとしては失格。数字を見るのもプロの仕事。今回は視聴率ではなく、制作費にスポットを当ててみたい。

 Twitterの番組公式アカウントでは、「4話はロケがえらいことになってる」とつぶやかれていた。前述の通り、合戦のシーンは大迫力。甲冑をまとった兵士たちが、炎の中で戦闘を繰り広げていた。

 刀・槍・甲冑などの衣装代、地方ロケでの車両・燃料の費用、大勢のエキストラの出演料に弁当代。合戦シーンだけでウン百万が飛んだはずだ。古沢良太が「そこまでやれとは言っていない」と突っ込みリプライを公式アカウントにするほど、肝を冷やす費用が第4話に使われたと推測される。

 民放テレビドラマで制作費が一番高いのは、1話につき4~5,000万円かけられているTBSの日曜劇場と言われているが、各話大規模なロケが行われている『コンフィデンスマンJP』の制作費がそれ以上なのは明らか。本作は韓国版や中国版の制作が決まっており、費用の回収は国外でもできるにせよ、DVDやBlu-rayの売り上げが芳しくなかったり、人気が出ずにシリーズ化に失敗した場合は、大損失となる。その場合、シワ寄せを受けるのは局内の他の番組だ。ドラマ・バラエティ問わず制作費が削減されれば、士気もクオリティも下がる。

「企画力で勝負!」とフジが言ったところで、テレビ東京のような低予算で面白い番組を作るノウハウは皆無。制作会社や芸能プロは良質な企画や人材を、他局に売り込むだろう(すでにその動きは始まっているとウワサされるが……)。視聴率が落ちれば、広告収入は減る。放送事業のブランド力が落ちれば不動産事業やイベント事業も痛手を受ける。

『コンフィデンスマンJP』のような多額の予算が投入されたコンテンツを打ち出の小槌にできるか否かに、フジテレビの命運が懸っているとも言える。

■『コンフィデンスマンJP』は、『コード・ブルー』になれるのか?

 近年のフジテレビのヒットコンテンツと言えば、昨年の7月にも放映された『コード・ブルー』シリーズ。平均視聴率は15%(ビデオリサーチ調べ、関東地区。以下同)を超え、映画の公開も控えている。横綱相撲を得意としてきたフジテレビだけあって多額の制作費がかけられた番組は今でも面白い。『コンフィデンスマンJP』も4話で視聴率が9.2%と、前回の9.1%から微増。2ケタ視聴率の可能性もシリーズ化の可能性も残されている。

 だが、セカンドシーズンや映画化が実現しても、『コンフィデンスマンJP』は『コード・ブルー』ほどの収益は出せない恐れがある。

 その判断の基準にしたのは、番組公式ホームページのメッセージの投稿数だ。『コード・ブルー』は300ページ超のメッセージが寄せられるのに対し、『コンフィデンスマンJP』 は10ページ前後。30倍近く開きがある。1年前の作品が現在放映中の作品よりメッセージが多いのは当たり前だが、今のペースだと本作は50ページ前後いけば御の字。

 なぜ公式サイトのメッセージに着目したかと言えば、純粋な番組の応援である点だ。SNS上の応援メッセージの発信には、「自分はこの作品のファン」「作品の良さをわかっている」などのフォロワーに対する自己顕示が潜んでいる。対して番組のメッセージは制作者や役者に向けられる。多ければ多いほど、作品の熱狂的なファンが多いことの指標となる。

 山下智久や新垣結衣のファンが多いせいだと言われればそれまでだが、その分『コード・ブルー』はソフトや劇場公開の収益を見込めるとも言える。

「『コンフィデンスマンJP』は熱狂的ファンを増やしシリーズ化できるのか?」「そうなったとき収益を出せるのか?」。そんな能書きをたれながらも、第5話『スーパードクター編』は、純粋な気持ちで楽しみたいと思う。

(文=許婚亭ちん宝)

東出昌大の“好青年印象”は太田光と山里亮太のお墨付き! 芸能界内の高評価上昇で“月9視聴率V回復”を狙う!?

 現在、話題となっている長澤まさみ主演の月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)。同ドラマは“コンゲーム”(信用詐欺)をテーマにしており、主人公・ダー子(長澤)とボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)が奇想天外な作戦で悪人たちから大金をせしめるという内容だ。

 平均視聴率が初回9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、2話が7.7%と2ケタにいかないため“大爆死状態”と言われていたものの、古沢良太脚本の面白さと俳優陣のハマりっぷりが評判をよび、3話は9.1%と回復。業界ではこのまま尻上がりに上昇していくのではと推測されており、その視聴率上昇のカギを握るのが東出だと言われているのだ。

「3話が終わると、ツイッターでは“#コンフィデンスマンJP”の他に“ボクちゃん”もトレンド入りしました。ボクちゃんは真面目な性格でダー子に振り回されたり、女性に甘く惚れっぽかったりというダメダメ詐欺師。世間から好青年のイメージが強い東出さんにピッタリのハマり役で、人気急上昇中なんです」(テレビ局勤務)

 素顔の東出といえば、2歳年上の女優・杏と結婚し、現在は3児の父。芸能界屈指の性格の良さと言われており、その人柄は毒舌芸人をも唸らすほど。南海キャンディーズ・山里亮太は東出と遊んだ際、家に招かれ杏の手料理を振る舞われ、さらに誕生日が近かったためサプライズプレゼントまでもらったとラジオでトーク。「養子に入りたいと思った」というなど東出にメロメロになっている。

 また、爆笑問題の太田光も自身のラジオにて東出の人柄を絶賛。まだ杏との交際がウワサレベルの頃だった時に東出と会った際、東出にあいさつされた時に太田が冗談で「おお! お前、杏とヤったのか?」と質問。すると「はい」と答えたといい、太田はシャレの通じる正直な男だと感心したと明かしている。

「太田さんや山里さんといった一癖も二癖もある芸人があれだけ絶賛するというのは、実直な人柄だからこそ為せる技。優しいうえに天然なところもあるらしく、ドラマで共演した菅田将暉さんからは変わってると言われ、奥さんの杏さんがそれを認めたなんてこともありました」(週刊誌記者)

 そんな東出だが、バラエティ番組のトークでもそのいい人ぶりが露呈。4月18日の『TOKIOカケル』(フジテレビ系)では、自身は「歌が下手」だと暴露。それゆえカラオケに行くと「歌いたくないからタンバリンをまず取って(太ももが)内出血するぐらいやる」とトーク。気配を消す方向ではなく、自らが盛り上げにいくという、さすがの行動を語っている。

「東出さんはイベントでの振る舞いが素晴らしく、最近では映画『OVER DRIVE』の完成披露試写会に入場する際、ギャラリーほぼ全員にハイタッチしようとして、全然前に進むことができない姿がSNSで拡散され、また“東出いい人伝説”を実証していました。あの映像を見ると嫌いになれないですよね(笑)」(女性誌編集者)

 今まで積み上げた“いい人”エピソードの数々で、“ボクちゃん”キャラに説得力を持たせる東出。東出パワーで視聴率のV字回復を実現させることができるか見守りたい。

『コンフィデンスマンJP』視聴率回復の秘訣は古沢良太の“ドM”体質か!? 制約があるほど光る手腕がイイ!

 4月23日放送の『コンフィデンスマンJP』第3話の視聴率は、9.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区。以下同)だった。

 手放しで喜べるほどの数字ではないが、1話9.4%→2話7.7%→3話9.1%と、3話目にして下げ止まり。1話と同じ9%台に戻せた事は大きい。

 本記事では、第3話の視聴率が上がった理由を分析。そして、近年のヒット作と比較しながら、コンフィデンスマンJPの今後の展開と全話の視聴率を占う。

前回までのレビューはこちらから

 その前に、第3話「美術商編」の内容の振り返りから。

 ボクちゃん(東出昌大)は、美大生の須藤ユキ(馬場ふみか)が自殺未遂した事を知る。その理由は、美術評論家の城ケ崎善三(石黒賢) にヤリ逃げされたこと。「画家として将来性がある」と、城ケ崎は自分の権力をチラつかせて近づいたのに、「才能がない」とユキを切り捨てた。

 ダー子(長澤まさみ)とリチャード(小日向文世)の協力を得て、ボクちゃんは城ケ崎にニセモノの絵画を高額で売りつけようとする。

■制約があるほど光る、古沢良太の手腕

 美大生・ユキのリストカットから始まる第3話。金や権力で女を釣るオッサンと傷つけられた若い女性。ベタとも言えるが、我々の身近にも起こり得る加害者と被害者の構図は共感を呼ぶ。ボクちゃんのユキを助けたいという気持ちに納得できるし、城ケ崎が失墜するのも痛快。そしてすべてを失った城ケ崎が子どもの下手な絵に励まされる姿に感動できる。善と悪を最初から明確にする型にハマった構成だからこそ、善悪で割り切れない人間の機微が強く打ち出されていた。(余談だが、助けたユキにも裏があった)

 これは私見ではあるが、古沢脚本のドラマは型にハマった展開である時ほど、キャラクターや台詞の個性が際立って面白い。

 古沢良太自身、テレビや雑誌のインタビューで、規制の多い方が書けると語っている。クリエイターとして“ドM”とも受け取られそうな発言は、規制ばかりのテレビ業界においては救世主ともいえる一言だ。こと連続テレビドラマは、コンプライアンス的な制約が多く、視聴率・製作費・撮影日数などの数字との闘いを強いられる。お金と時間をかけず、大勢の人が見易い物を作らなければならない。

 3話は、1話と2話で大規模なロケが敢行されたせいか、オークション会場や美術商の事務所など、少ないステージで物語が展開されていた。その分1シーンにかけられる時間が長く、古沢良太得意の会話劇が楽しむことができた。

 特に目を引いたのは、ダー子たちが贋作を手掛ける画師・判友則(でんでん)にピカソの偽物の制作を頼みに行くシーン。判友則がどれだけ凄いかを1シーンで煽るだけ煽り、「ピカソよりうまくならねえように気を付けねえと」と、痺れる一言で締めくくられる。だが次のシーン、一瞬で城ケ崎に贋作だと見抜かれ、判友則は逮捕される。

 呆気ないオチで笑えるのは、壮大なフリの賜物。絵画が数点置かれただけの寂れた部屋での判友則への依頼の盛り上がりは、古沢良太の会話劇の手腕なくして成立しない。

 また、三橋利行氏の演出も、映像以上に会話劇を引き立たせた印象だ。予算や時間の制約があっても面白い本を作る控えめな天才と、彼の会話劇を目立たせた演出家。自己犠牲の精神が、視聴率の回復を呼び込んだのかもしれない。

■コンフィデンスマンJPは視聴率2ケタを達成できるのか?

 冒頭でも触れた視聴率の下げ止まり。これは早ければ早い方がいい。

 ここ半年間で、全話の視聴率が初回を上回ったゴールデン帯ドラマは3タイトルのみ(テレビ朝日水曜21時、木曜20時枠は除く)。『99.9-刑事専門弁護士- SEASONⅡ』『陸王』(ともにTBS系)『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ)。各作品、下げ止まりが早かった。

『99.9』(1話15.1%、2話18.0、全話17.4%)

『陸王』(1話14.7%、2話14.0%、3話15.0%、全話16.0%)

『奥様は、取り扱い注意』(1話11.4%、2話11.3%、3話12.4%、全話12.7%)

『陸王』『奥様は~』は3話目で下げ止まり。『99.9』に至っては2話目で3%近くも上昇させた。『コンフィデンスマンJP』は3話で1話を超える視聴率を出していないが、『陸王』『奥様は~』と近いV字での推移をしている。『99.9』のように初回よりも2%以上も高い全話の視聴率を叩き出せる見込みは低いが、1%増は見込める。そうなれば、全話平均視聴率は二桁となる。

 ただし、『コンフィデンスマンJP』には、最終話までを気にならせる“引っぱり”がない。『奥様は~』であれば、綾瀬はるか演じる主人公が何者であるかの謎があった。『陸王』には最新シューズを完成させるというゴールがあった。引っ張り無しでも楽しめるのが『コンフィデンスマンJP』のすごさではあるが、視聴率だけを見れば不利な状況下にある。

■ストーリー&視聴率UPの鍵を握るのは小日向文世?

 いまだ謎の多い人物が一人いる。「ダー子とボクちゃんの育ての親」という提示しかない、小日向文世演じるリチャードだ。

 濃いキャラクター同士で展開するのが古沢脚本のドラマの特徴であるのに、いまだ大きな活躍もせず目立つことのないリチャードの存在は逆に浮いている。彼が何かを抱えている可能性は大いにあり得る。

 早い段階で、リチャードの怪しさを提示させたり、「3人の中に裏切者がいるかもしれない」などの展開があれば、視聴率の観点でウィークポイントだった最終話までの引っ張りが完成する。例え呆気ないオチであっても、古沢脚本の作品であれば許せてしまう。『リーガルハイ』のときだって、主人公と宿敵の因縁がペットのハムスターの死というオチだった。それでも続編を期待され、セカンドシーズンが放送された。『コンフィデンスマンJP』は続編を期待される名作となるのか? 中盤と終盤の展開にかかっている。4月30日放送予定の第4話「映画マニア編」も楽しみにしたい。

(文=許嫁亭ちん宝)