カルト宗教の元信者は、なぜアンチに転じるのか? 元2世信者が「信仰を失う4つのプロセス」を図解!

「『カルト』と呼ばれる新興宗教の信者である両親の元に生まれた私は、子どもの頃からずっと(うさんくせぇ……)と思ってきた」――「脱会くん」ことライター・DJ2世がつづる、みんなに知ってもらいたい、2世信者だった私の日常と本音。

 皆さんの周りに、「洗脳を解いてあげたい」と思う人はいるだろうか? 久しぶりに会った旧友が、おかしな宗教に入信していたら、きっとそう思うはず。宗教以外にも、ア◯ウェイ的な怪しいビジネスや、昨今話題になっているいかがわしいオンラインサロンなどにハマッた家族、友人の目を覚まさせたいというケースもあると思う。

 今回書くのは、元2世信者の考える、信仰を失うまでの4つのプロセスである。第1回でも書いた通り、自分はカルトと呼ばれる宗教の2世信者だったのだが、子どもの頃からやけに信仰心が薄い、少し変わったタイプだった。なので、“例外”ではあるのだが、周りの脱会者も参考にしながら、洗脳が解かれる経緯について、気づいたことをまとめてみた。

◎図解! 信仰を失うプロセス

 これは、2世信者だった私が、自分なりに信仰度別に信者の状態を分類した図である。これをマズローの欲求段階説よろしく、「DJ2世 a.k.a 脱会くんの不信仰段階説(仮)」と唱えたい。テストに出ます。

 下にいくほど信仰心が高く、面積が大きいところは人口が多いイメージ。この図では、家庭の事情で、とりあえず名前だけ書いて入会したような人(例えば、まったく信仰心はないが、奥さんが信者なので便宜上入会だけしている など)は例外とする。

◎「一応、教祖が神に見えてはいる」ニュートラル期について
 最初に「ニュートラル期」の状態を説明する。先ほどの完全版の図からわかる通り、ここから信仰を失うか、より信じるかに分かれていく。

 まず信仰が始まった人間はここに立つ。一応、教祖が神に見えていながらも、違和感はゼロではないという状態だが、「まあいいや」とあまり突き詰めて考えていない。

 この時期に信者が悩んでいるのは、この宗教が道徳的に優れているか? 破綻していないか? ということだ。教えの“毛色”が自分に合っているのかをひたすら気にしている。

◎「騙されていたと気づく」ダークサイド期

 そして信仰心を失う側の人が到達するのが、「ダークサイド期」である。なぜダークサイドに堕ちてしまうのか? その理由はカルトと呼ばれる宗教にこそ、黒い側面があるからだ。

 「ニュートラル期」では、先ほどもお伝えした通り、信者は「この教えが道徳として正しいか?」ということについてずっと悩んでいるのだが、その宗教を知れば知るほど、いろいろ気づいてしまうのである。

 カルト宗教は、たいてい深く調べていくと、昔と今の教えが矛盾していたりする。ということは、昔と今の教え、いずれかは「嘘」になる。しかし、神や仏という完全無欠な存在が嘘をつくわけがない。はい、信者の脳がバグります。

 それどころか、ネットでちょっと調べたら、自分たちが知らされてこなかった教団の黒いスキャンダルやウワサが、あれよあれよと出てくる。その時、信仰心が揺らいでいるような信者は思うのだ、「自分が騙されていた!」と。

 その日、信者は月に向かって雄叫びを上げ、血の涙を流しながら、教祖を抹殺することを誓うだろう。ネットでたまに見かける元信者のアンチたちが、教えの矛盾を列挙し、常に「あの宗教を一刻も早く潰さなくては!」というテンションで話しているのは、こういった悲しいストーリーがあるからだ。

 1世信者で子どもを宗教に巻き込んでしまった人、一般の人を勧誘して信者にしてしまった人、宗教の学校に通った人、教団の職員になった人などなど。他人をカルト宗教に巻き込んでしまったり、人生の膨大な時間をカルト宗教に捧げた人ほど、ここに到達した時のダメージは大きい。天国に行こうとしていたはずが、気づけば地獄に足を突っ込んでいるという悲劇である。

◎「宗教とかどうでもいいじゃん」達観期
 そうして、ダークサイドに堕ちた者が次に到達するのが「達観期」である。

 ダークサイドの深淵に到達した人間がある日、窓の外で陽光の中さえずる小鳥を眺めながら気づく。宗教とかあの世とかどうでもいいじゃん、とりあえず頑張ればいいんじゃね? と。

 要は「立ち直る」ということなのだが、これまで宗教の教えや、関連本の中に救いを求めていた人が、特に何を教わるわけでもなく、自分の力で立ち直るのは、ものすごい成長なのである。

 またこの段階は、スピリチュアルとの決別を意味する。実はダークサイド期の人たちは、「あの宗教は間違ってたけど、神様っていると思うの。だってそう感じるんだもん」などと、口走ることは珍しくない。それほどに、一度取り込んでしまったスピリチュアルの毒素を抜くというのは難しいのだ。スピリチュアル的なことを考えず、ただ前を向くというのが、この段階に到達する条件だろう。

 そんなこともあり、いざ宗教が間違っていると感じても、この「達観期」に到達できる者は、まあ少ない。ダークサイド期の渦中で、ずっと憎しみを抱えて生きていく元信者は、本当に多いと思う。

◎「もはや信者の頃の記憶がなくなる」あれ、そんなことあったっけ期

 さまざまな関門を抜け、信仰を完全に失った先にあるのが、この「あれ、そんなことあったっけ期」である。ここは日常生活が充実していて、もはや信者の頃の記憶がなくなるというゾーン。昔の出来事が別の人の人生みたい、フィクションみたいと感じるようになる。ここまで来てようやく毒素が抜けきったといっていいだろう。

 この段階に到達するには、ダークサイド期を脱した後、さらにその宗教に距離を置いて忘れるまで、かなりの時間を要する。個人的には4〜5年くらい必要なのかなと思う。

 「そんなにその宗教が嫌いなら、離れたらいいやんけ」と思うだろうが、実はそれがまた意外と難しい。気づけばスマホに入っている連絡先の大半が信者だったり、家族はおろか親族みんな信者だったりすることも少なくないのだ。

 こういった人たち全てに距離を取って、日常生活を別のベクトルで充実させることは、かなりの難易度。絶対に周りの信者たちと軋轢が生まれてしまうので、あえて「あれ、そんなことあったっけ期」に踏み込もうとしない人、つまり達観期にあえてとどまる人も、多数いる印象である。

◎意外と難易度が高い、信仰を失うプロセス

 以上が、自分の思う信仰を失うプロセスである。カルト宗教の信者は、こんなこと考えているんだなぁというのが伝わっていれば幸いだ。

 そもそも論として、信者は「宗教はビジネスである」という側面への思慮が欠けているなど、ツッコミどころは結構ある。その抜けている感じが、まさしく信者の風情なのかもしれないが。

【バックナンバー】
「カルト」と呼ばれる新興宗教のサラブレッド――2世信者だった私が「洗脳解ける機会増えた」と感じるワケ
http://www.cyzowoman.com/2021/06/post_331206.html
「ランドセルから宗教のアイテムを暴かれる」カルト宗教2世信者あるある言いたい!
http://www.cyzowoman.com/2021/07/post_331263.html
カルト宗教の2世信者は、説教されがち!? 「うるせーーー!」と叫びたくなった、“親への感謝忘れるな”おじさん
http://www.cyzowoman.com/2021/08/post_331275.html

「もう私、死んでいい!?」子宮系女子のスピリチュアルにハマった妹が豹変! 本当にあった“スピ被害”体験談3選

 10月3日(日)、サイゾーウーマンで「スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコの“教祖様”注意報」を連載中の黒猫ドラネコ氏と、WEZZYで「スピリチュアル百鬼夜行」を連載中の山田ノジル氏が、合同でトークショーを開催します!

 テーマは「マルチ商法のオモテとウラ」。マルチ商法にハマった女性を描く話題のサスペンス小説『マルチの子』(徳間書店)の著者・西尾潤さんをゲストに迎え、マルチにハマる女の欲望や、マルチの手口に迫ります。西尾さん自身、マルチ商法で月収150万円を稼ぐ一方で700万円もの借金を背負った経験があり、そこに「スピリチュアルビジネス」や「トンデモ健康法」に詳しい黒猫氏&ノジル氏が加わると……? 

 スピリチュアルビジネスやマルチ商法に興味がある人も、あまり知識のない人もイベントを楽しんでいただけるよう、今回は「黒猫ドラネコの“教祖様”注意報」の中から、元信者やその周辺にいた人からの、“スピ被害経験談”をあらためて紹介。実はあなたのすぐそばにも、“教祖様”がいるかもしれません……。

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妹が知らぬ間に“スピ系お茶会”に参加!? 夫からSOSが届き……

 これは黒猫氏自身の体験談。当時、30代前半だった妹が、「抑圧感情が溜まると子宮筋腫になる」「旦那さんの出世や昇給は子宮(女性器)の力」という“子宮メソッド”に影響を受け、不倫を推奨する“教祖様”の「子宮委員長はる」にハマってしまったというのです。

 きっかけは、SNSでたまたま「子宮系女子の“キラキラ”な投稿が目に留まり」、彼女たちと交流するようになったことだとか。ハマっていくうちに家事を一切やめ、会社を退職してしまった妹。貯金まで使い込んでいたことが発覚し、ついに妹の夫から「もう限界」と連絡が届いた時には、後悔すでに遅く……。

「もう私、死んでいい!?」と言い残し、消息を絶った妹

 気づいた時には「参加費5,000円」で“スピ系お茶会”を開き、“教祖様”になろうとしていたという妹。黒猫氏は金遣いの荒さや育児放棄について妹を追及したものの、「何が悪いの?」と悪びれる様子はないばかりか、「幸せになった人もたくさんいる! 宗教なんかじゃないのに!」と怒鳴りつけたそう。

 さらに激昂し、「もう私、死んでいい!?」と自宅のベランダから飛び降りようとしたところを、必死で止めたといいます。その後、「死なないから1人にして!」と叫んで家を飛び出した彼女が、再び黒猫氏の前に現れて放った一言とは――?

「完全に目が覚めた」スピリチュアルから“足を洗った”体験談

 スピリチュアル・ブロガーを名乗るhappyという人物の“元信者”が、「目を覚ました」経験を明かしてくれました。happyは「子宮委員長はる」とも交流がある人物で、スピリチュアル好きな人にはちょっと有名です。

 happyは以前、長崎県壱岐市の観光大使を務めていましたが、同市で行ったスピリチュアルイベント「縄文祭」で炎上騒動を起こしたことをきっかけに、「信者をやめた」という人が何人もいたとか。“教祖様”に失望する理由とは、一体どんなものなのでしょうか?

 トークイベントでは、マルチ商法で借金700万円を背負った西尾さんにも、「ハマったきかっけ・やめた理由」を聞いちゃいます。ここでしか明かされない(かもしれない)リアルな体験談、ぜひお聞き逃しなく!

お笑い第7世代、“顔”で見る運勢ランキング! EXITは「ますます活躍」、霜降り明星は「運気が停滞」!?

 いい運勢も悪い運勢も、すべては「顔」に表れている!? 顔立ちや表情から性格、気質、才能を見抜く「観相学」を用いた占いを行う岡井浄幸氏に、今ノリにノッている芸能人の運勢を徹底鑑定してもらいました!

勢い落ちた“お笑い第7世代”、もう一度ブレークできる?

 2019年ごろから人気を集めた「お笑い第7世代」。若手お笑い芸人たちを総称する言葉としてメディアで使われ、19〜20年頃は冠番組まで放送されていたものの、最近は見かける機会が減った人も……。

 そこで今回は、「お笑い第7世代」の中でも特に人気を集めていた、霜降り明星、四千頭身、宮下草薙、EXIT、かが屋の5組について、岡井先生に顔からわかる「再ブレークの可能性が高いコンビ・トリオランキング」を発表してもらいました!

第1位:EXIT

 人の相性というのは、違うお顔同志のほうが良いのですが、EXITはそういう面から見ても関係性が良く、第1位としました。2人とも額が広いので仕事力や運気が強く、肌のハリとツヤからも、今後もまたブレークするものと思います。

 活躍を表す眉も太さと長さがあり、さらには鼻の形からも、健康運や金財運に恵まれる相が見える2人。唇の大きさや口角のラインなどからは、個性を魅力的に演出できる頭の良さと、多くのファンを大切にすることがうかがえるので、引き続き安定的に支持されるでしょう。

 感性派のりんたろー。さんと、知性派の兼近大樹さんの絶妙なバランスだけでなく、底抜けに明るい芸風などからも、運の良さが見えます。力強さがあふれ出ており、今後ますます活躍を飛躍させるはずです。

第2位:四千頭身

 四千頭身の3人は、今後の仕事力や運気が額の形に表れています。今現在だけでなく、将来に向けても輝きが見えるので、さらに幅広く活躍するでしょう。

 3人とも眉の形に違いはありますが、それぞれの持つ個性が生かされ、しっかりと役割分担できていることがわかります。また、それぞれが明るくポジティブなので、個性を高め合うことができて、うまくバランスを保っているのでは。

 四千頭身のみなさんは情報通なので、人が気づかないことを見つけるのが得意だと思います。また、3人とも優しい愛情をお持ちなので、今後もたくさんのファンを楽しませてくれるでしょう。

第3位:宮下草薙

 宮下草薙の2人に共通して見える素晴らしい特徴は、何といっても“人の良さ”。どちらのお顔からも、明るさや対応力が見えてきます。自然な形でリアクションができるので、好感を持たれる運の強さもお持ちのようです。

 ものの見方や感じ方も、草薙航基さんは知性派、宮下兼史鷹さんは感性派でバランスが良い。お互いを高め合い、さらにいいものを創造することへとつながります。また、2人ともあまり現実派ではなくロマンテイストで、どちらかというと大らかなところがあるので、息の長い活躍ができそう。

 一方で、2人の眉の形や濃さなどを拝見しますと、良い時と悪い時の波があるようです。眉を指圧したり、もう少し濃く長めに描くことで、安定的に活躍できるでしょう。

第4位:霜降り明星

 霜降り明星は相性がとても良いと思いますし、それぞれの額の形などからも、頭脳明晰で頭のキレの良い方々だとお見受けいたました。

 粗品さんのエネルギッシュで突っ走るタイプと、せいやさんの安定的に人を引きつけていく魅力が、うまく合わさっているのですが、今現在は運気が停滞し、苦悩のあとが見えます。

 また、2人の眉の形や毛の色ムラ、額の輝きなどからは、調子の良い時と悪い時が常にスイッチングするような波があり、行動にもムラがあるよう。もっともっと活躍できる方々なのに、ご自身の本気が発揮できないと感じているかもしれません。

第5位:かが屋

 かが屋の2人は、お顔の輪郭から見て賀屋壮也さんがリーダータイプなのに対して、加賀翔さんが参謀タイプ。お互いに同志でありながらも、それぞれの特性をうまく生かされているところに、相性の良さが見て取れました。お顔のパーツを見ても、足りないところを補い合っているようです。

 ところが、今の2人は額のツヤが失せていることが気になります。眉に関しては太くて長いので、本来ならば実力を持続できるはずですが、加賀さんは眉が薄すぎることや、鼻筋の凹凸、ホクロなどから、健康に注意が必要。

 賀屋さんも、無理をしすぎると体力や免疫力が下がるので、鼻のマッサージをして肉付きをよくできれば、健康運も上がるでしょう。2人とも健康に気をつければ、活躍の機運は高まっていくものと思われます。

岡井浄幸(おかい・じょうこう)
共立女子大学家政学部食物学科卒業後、明治乳業中央研究所、財団法人国際科学振興財団などを経て、2006年より「嘉祥流観相学会」導主である藤木相元氏に師事し、修行開始。07年には、高野山真言宗にて得度。現在、一般社団法人「嘉祥流観相学会」代表理事・大導師として、観相学、姓名学、開運脳メイクのアドバイス、およびアドバイザーを養成中。企業などでの講演、テレビ、ラジオ等にゲスト出演等を行う。

マルチ商法にハマる女の“欲望”とは? 700万円もの借金を背負った著者が見た、マルチの闇と気味悪さ

WEZZY「スピリチュアル百鬼夜行」より

 これまでの人間関係を焼き払っていくマルチ商法に、正直線引きのよくわからない疑似科学的なもの。育児周りのアレコレや、美容に健康、環境問題……。さまざまなジャンルに怪しいものが限りなく混ざり合い、渡る世間は沼ばかり。秋の夜長に本を読もう! という呼びかけに便乗し、当連載ではぜひ「沼をめぐる物語」を推していきたいと思います。今回セレクトした3冊で紡がれる物語は、誰もが無関係の異次元ではありません。もしかしたら、明日の自分の姿かも……。

女がマルチにハマる理由。承認欲求肥大化時代に読みたい一冊

 マルチ商法とスピリチュアル商法は、双子のようによく似てる。小説『マルチの子』(西尾潤/徳間書店)を読み、これまでも耳にしていたマルチ商法の闇をじっくり追体験させられると同時に、それをしみじみ感じました。

 劣等感や孤独や不安。なかなか得られない自己肯定感。そして今の時代、大いに刺激される承認欲求。多くの人の抱えるそうした闇を絶妙に料理して、魂を奪いにやってくる。

 本作の主人公・真瑠子は地味で目立たない、独身女性。それぞれの才覚で上手に生きる姉妹に囲まれ、家庭内でも安らげず孤独や苛まれていたところ、たまたま出会ったマルチの世界で持ち上げられ、何者かになりたい気持ちが煽られていきます。

 大規模なイベントのステージでスポットがあたったり、マルチ雑誌でインタビューさせたり、会員からは「今注目の!」と羨望の眼差しを向けられたり。そしてドル箱イケメンプレイヤー(あくまでマルチ界隈というのがミソ)から目をかけられる、優越感。日本全国に同士はいるものの、閉ざされた世界で繰り広げられている特殊な感じは、これまで聞いたスピリチュアル教祖様に振り回される信者たちのそれと、そっくりじゃあないですか。傍からみると滑稽で悲しくても、当人たちは一生懸命なところも、シンクロしまくり。そして華やかに見える水面下で、悲しいかな夢ごごちになりきれない、懐事情も……。

 社会から転落していく物語は宮部みゆきの代表作でもある『火車』など数あれど、マルチ商法という舞台の気味悪さは格別でした。嘘の多さと比例して、ポジティブ&クリーンなイメージを前面に押し出してくる点が、実に薄気味悪い!

 タイトルコールは、物語ラストに現れます。マルチの子とは何なのか。冴えないハズだった主人公の本当の武器とは。作者のデビュー作『愚か者の身分』は社会からつまはじきにされてしまった人たちが、短絡的な思考から落ちていくミステリーでしたが、本作は純粋な気持ちが沼の養分となってしまうという切なさが漂っています。

 本作は、著者が実際にマルチにハマり、700万円もの借金を背負ってしまった体験から描かれているのだとか。さらに詳しい話は、トークイベントで聴くことができますので、マルチ沼にご興味のある方は乞うご期待!

トークイベント「呪われ注意報:『マルチの子』作者がアノ世界の“表と裏”、明かします」

開催日:10月3日(日)
時間:15時開演(14時半開場)/17時終演予定
場所:LIVE STUDIO LODGE(ライブスタジオ・ロッジ) 東京都渋谷区代々木1-30-1 代々木パークビルB1
料金:アーカイブ配信付き/1,800円、アーカイブ配信なし/1,300円(どちらもワンドリンク制)

★チケット購入はこちら★

 私は基本、今の時代の科学を信じ、都市伝説レベルの迷信(特に育児周辺)や古い価値観とは距離を置きたいと思って暮らしています。ことにデジタルの進化はすごいですよね。アレクサは呼びかけるだけで電気は消すわ消耗品を注文するわ、義実家とのビデオ通話もつないでくれる。スマホはメッセージの着信や天気予報を教えてくれ、遠方の友人とのコミュニケーションにも欠かせない。使ったことはないけれど、女性の体の悩みをテクノロジーで解決しようというフェムテック分野では、オーガズムのデータを可視化できるバイブまであるというではないですか。いやあ、俺たち未来に生きてるな! スマホに育児をさせないで? そんなの程度の問題でしょ~よ。昨今の知育アプリとか、大人がやってもほんっと面白いですよ。

 でももし、このデジタルライフがさらなる速度で普及したら? 使い分けだのバランスだのと言っている隙もないほど生活のすべてが埋め尽くされ、国策となり、教育も何もかもデジタル一色に。近い未来に実現してもおかしくないそんな世界を、ディストピアとして描いた小説が『あなたにオススメの』(本谷有希子/講談社)です。

 近代社会に生きる人はほぼ全員、この作品で絶望の淵を見る羽目になるんじゃないでしょうか。近代社会から隔離されて生きるアーミッシュやその他の宗教コミュニティの人たちなら、私たちは安全・安心! と心安らかに読めるのかな。

 新生児のうちから極力デジタル漬けにして、個性や多様性は一斉排除。すべてを均一化するのが望ましいとされている世界で、デジタルには一切触れさせず、自然を重んじて学ばせる教育機関が出てくるのも見どころです。そして、急激に進んだデジタル社会を受け入れない異分子として登場するママ友はそれに賛同し、入学説明会に行くものの「ここで育った子供は将来デジタル社会で生きていかれるのか?」という疑問にぶち当たる。ああ、現実世界でも、特殊な育児をしている家庭をみると100%これ思うわあ……。今の時代に順応するのが正しいのか。信念を貫くのが正しいのか。

 社会が変容していくこれからの時代をデフォルメする本作は、科学信者と自然信者、それぞれの歪みを考えさせる傑作です。

 科学至上主義である主人公が家電を扱う大手メーカーに転職し、マイナスイオンドライヤーの担当になってしまった!? そんなあらすじがすでにタイトルで説明されている『科学オタがマイナスイオンの部署に異動しました』(朱野帰子/文藝春秋)は、重い話は読みたくない! という心境の人にもオススメできる一冊。

 現実世界でも私たちの生活のなかで、いろいろな製品に搭載されている「マイナスイオン」。これはひと昔前「健康にいい化学物質」として謳われてブームになったものの、その後「そのような効果はない」と指摘され、疑似科学(科学っぽく装った偽物)リストの定番である存在です。ちなみに現在大手メーカーはマイナスイオンという名称を変更し、手を変え品を変え、似たようなものを出しつづけているのですが(そして私もその後登場した「ナノイー」という機能が搭載されたドライヤーを使っております)。

 疑似科学を正面から「馬鹿か」と否定する主人公には、科学絶対主義者としての姿だけでなく、仕事をするうえで遭遇する矛盾や葛藤、正義感なども垣間見ることができ、働くすべての人に深く刺さりそう。そして科学の子である主人公をとりまくのは、助産師のアドバイスなど非科学的な世界を鵜呑みにする姉。優秀な科学者である親友。主人公と同類であるハズなのに、姉が与えるパワーストーンを受け入れる末期がんの父。消費者たちの反応。それらのあいだで走り回る主人公と一緒に、「人の心に寄り添うすべ」のヒントを教えられます。深く刺さってちょっと泣ける、エンタメ小説です。

山田ノジル
自然派、エコ、オーガニック、ホリスティック、○○セラピー、お話会。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のないトンデモ健康法をウォッチング中。長年女性向けの美容健康情報を取材し、そこへ潜む「トンデモ」の存在を実感。愛とツッコミ精神を交え、斬り込んでいる。2018年、当連載をベースにした著書『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)を発売。
Twitter:@YamadaNojiru
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※当記事は9月21日WEZZY初出の記事を、一部再構成して掲載しています。

『オモウマい店』、グルメ番組の先にある人間ドラマ! 元芸人が見たグルメ番組の裏側とは

 前々回、雨上がり決死隊の解散について書いたところ「いつまでも、テレビなんてカビの生えたメディアにしがみついているのが可笑しいとおもうがなぁ…もう、テレビが主役の時代はとっくに終わってんだよ…」というコメントをした読者がいた。

 宮迫さんの『いつかテレビに戻りたい』という目標の、どこか古臭くて、サブスク時代に合わないという違和感を感じてしまったのだろう。

 すでに…

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婚約者には「これが最後」と約束も……14万円超えのピアスを“ボーナス払い”で購入した買い物狂いに待ち受ける未来とは?

――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 どひゃ~~~~~!!!!!!!! またやっちゃった~~~~~~!!!!!!!! 白状するわね?

 あたくし、またもやクレジットカードの「ボーナス払い」でピアスキャッチを購入してしまいました~~~!!!! そのお値段、両耳で14万3,264円……!! ぴええ、メンバー割引で2万円近く割り引いてもらったけど、たけ~~~!!!! おお、神よ……。私は罪深い女です……。

 なんていったって、この買い物をする前日、私はステディと約束したばかりなのです。もうカードでモノを買わない、と……。仕事のクライアントでもあるステディに10万円の原稿料を前借をしたのがついこの間。そのときに「これが最後です」と念を押し、「もう絶対に買い物しません!!」と私は神に誓ったのです。

 ああ、なのになのになのに!!!! 舌の根も乾かぬうちにあたしゃまたやっちゃったよ~~~~!!!! この大バカたれ~~~!!!! くそう、これもそれも「ボーナス払い」などという便利な機能があるからよお!! 今すぐ金を払わなくていいといわれると、ついうっかり「じゃあ、買い物しちゃおうかしらん。支払いは半年後のあたくしがなんとかしてくれるでしょー」とか思っちゃうのよ!! ぴえ~~ん!!!

 嗚呼、このコラムを読んだ時のステディの顔が怖いわ……。これは不幸のタイムカプセル。きっと私は、このコラムが白日の下にさらされるまで、しれーっとステディの前でこのピアスキャッチをつけるでしょう。そして、ステディに「それ持ってたっけ?」と言われれば「ええ、前から持っていたざんす」と答えるでしょう。ほほほ……。まさか14万円も借金して買ったとはステディも思わないであろうよ……。

 このコラムを書いている今は7月。来月、私はステディと結婚する予定です。この欲深い散財ババアと結婚するステディがかわいそうでならない……。この買い物のことがバレたら、最悪の場合、婚約破棄ということにもなりかねませんからね。そうよ。普通に考えたら、このブログが散財の証拠として裁判所に提出されてもおかしくないのよ。「私はこの女の散財を見るに見かねました! 再三注意したのに散財をやめないこの女と、結婚なんて考えられません!!」という言葉とともに、コラム記事と借金のお願いをしたLINEのスクリーンショット画像を提出されたら、あたしゃ慰謝料を請求されるレベルよ、とほほ……。

 だからね、絶対に、ぜーーーったいにこの買い物のことをバラすわけにはいかないのっっ!!!! はあはあ……。まったく。買い物の報告じゃなくて、婚約破棄の報告だけは絶対に絶対にしたくないわ。

 さて、気を取り直して、今回購入したピアスキャッチの話をしましょう。

 皆さんは、「ピアスキャッチ1つ8万円!? たけ~~~!!!! どんなキャッチだよ!!」とびっくりされるかもしれません。しかし、あたしゃ別に騙されているわけではないのです。ちゃんと実物を見てきましたからね、銀座にある「クアラントット」のお店で。

 今回、私が購入したピアスキャッチは以下のもの。

 まず、普通にピアスをするでしょ? その後ろにこのキャッチをはめれば、ぷら~~んとダイヤのチェーンをぶら下げることができるってわけなんです! ね!? かわいいでしょ!?

 このピアスキャッチ、銀座店で見かけたときにはもっとチェーンの短いものを見せてもらったのですが、チェーンの長さには大、中、小とあるみたいです。ちなみに、オンラインショップにあったものは大サイズ。8cmとチェーンが長いタイプのものになります。あたくしはぷら~んと長くつけたかったので、この一番長いタイプを選択しました。

 写真で見るよりも実物を見たほうが数倍可愛いので、ぜひ東京近辺の方は銀座店に見に行ってみてください。もしくは私のブログのほうでも、もうちょっと詳しく紹介するのでご覧あれ!

 さ~て。あとは野となれ山となれ、よお! たぶん、このコラムをステディが見るときにはあたいはめでたく結婚しているはず……。担当編集さん!! 絶対に先出しするんじゃないわよお!?!?!?!?

■今回の出費 クアラントットのピアスキャッチ 14万3,264円

仲良し姉妹の「3世帯同居」、母の介護も「妹と協力していけば大丈夫」と思っていたが……

“「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける”
――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社)

そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。

これまで老親の「ヨロヨロ・ドタリ」期に変わっていった親夫婦、親子の関係を見てきた。今回は姉妹の関係をご紹介したい。

父は敵。母と姉妹の結束が固くなった理由

 川原路子さん(仮名・53)と妹の由美さん(仮名・50)の仲の良さは、周囲からもうらやましがられるほどだった。これは、複雑な家庭環境も影響していた。

 路子さんの父親は、路子さん姉妹が学生時代から浮気相手のところに行ったっきりで、家庭を顧みることはなかった。そういうわけで、路子さん姉妹と母親はずっと女3人で助け合いながら暮らしてきた。

「父という“敵”がいたから、私たちの結束が固くなるのも当然だったと思います」

 その後、路子さん姉妹が結婚して家を出たあと、ようやく両親は離婚。父親は浮気相手と再婚した。

「母は私たちが結婚するまでは、形だけでも父と夫婦でいて、結婚式で私たちに肩身の狭い思いをしないで済むようにしてくれました。私たちが家庭を持って、もう戸籍上だけの父親はいなくても大丈夫ということで離婚したんです

 母親は離婚の際、それまで住んでいた家と土地をもらった。しばらくそこで母親は一人暮らしをしていたが、由美さんが離婚して実家に戻ってきた。路子さん家族は賃貸マンション暮らしだったため、母親の土地に3階建ての家を建てて3世帯一緒に暮らすことにした。

「妹はシングルマザーで仕事と子育てが一人では大変です。だからみんなで住めば昔のように互いに助け合いながらやっていけると思ったんです。ありがたいことに私の夫も賛成してくれました

 1階に母親が、2階に路子さん家族、そして3階に由美さんと子どもが住むということにはなっていたものの、夕食は全員でとり、そのまま団らんということも多かった。路子さんにとっては居心地の良い、そして理想的な3世帯同居だった。由美さんにとってもそうだったはずだ。少なくともそのころまでは。

 そんな関係が壊れたのは、2年ほど前に由美さんが再婚したころからだ。由美さんの再婚相手は由美さん宅で暮らすことを受け入れはしたが、路子さんや母親とは一定の距離を取った。路子さんや母親、由美さんのそれまでの生活を考えれば、そこに入り込むのは確かに難しいことだっただろう。

 だが、みんなで食事をする機会が減るにつれて、路子さんにとっては由美さんまで自分たちから距離を取り始めたのではないかと思うようになった。

「はっきり言えば、母に介護が必要になっても、妹と2人で協力していけば大丈夫だと思っていました。そんな将来設計が、妹が再婚したことで微妙に崩れてしまったように感じたんです」

 というのも、由美さんの再婚前後から母親の物忘れがひどくなっていたのだ。路子さんが、母親の介護が現実的になったと覚悟していたときに、由美さんは再婚によって母親の老いに無関心になり、新しい家族のことしか考えていないのではないかという不満が生まれた。

 路子さんの性格も不安に拍車をかけた。

「私は先々のことまで考えて、計画的にものごとを進めていきたいタイプ。ずっと父が不在だったので、長女としての責任も大きかったのでそうならざるを得なかったというのもあります。それに対して妹は末っ子らしくのんびり屋。それでも妹が再婚するまでは、私たちの性格が正反対でもうまく役割分担しながら回っていってたんです」

――続きは10月10日公開

四千頭身・後藤、口数少ない=余計なこと言わない!?『モニタリング』で見せたブーム芸人から抜け出す進化の兆しとは

「お笑い第7世代」

 一時のブームに比べたら、この単語をテレビで聞くことも少なくなったように感じる。しかし勘違いしないで欲しいのは、聞かなくなった=飽きられた、というわけではない。第7世代の看板を背負っていた芸人が認知され、日常に溶け込み、看板無くとも様々な場面で活躍している。

 当時同等に並べられていた若手芸人たちだが、ある程度時間が経つと当然その活躍に差が現れ…

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スピリチュアルな教祖様たちも、「反ワクチン」に傾倒? 陰謀論を“利用”する人々の実態

 ネット上には、無責任な理論で集客しては人を食い物にするような、スピリチュアリスト、霊能者、民間資格カウンセラーなどがあふれています。彼らを信じ込んでしまえば、価値観や金銭感覚をゆがめられるのはあっという間。友人や家族を失ってからでは、もう遅い! 「スピリチュアルウォッチャー」黒猫ドラネコが、現代社会にのさばる怪しい“教祖様”を眼光鋭く分析します。

 新型コロナウイルスとの戦いが長引く中、ネット上では不確かな情報がまき散らされてしまっていますね。この1年半で多くのデマや荒唐無稽な話がネットに広がった感がありますが、大手新聞社やメディアでは、特に「陰謀論」が蔓延していることを社会問題として報じています。

 「陰謀論」とは簡単に言えば、「世の中のあらゆる出来事は、利権団体や闇組織の策略や謀略が関与している」とするウワサ話が広がったもの。古くからいくつも“ネタ”があり、一種の“エンターテインメント”としても知られてきたのですが、昨今SNS上で傾倒する人が散見され、まるで「教祖のいないカルト宗教」の様相を呈してきました。

 私も最近はそちらの観察にばかり興味を持っていかれ、胡散臭いスピリチュアル・ビジネスへの監視が疎かになっていたのですが、実は「陰謀論」と「怪しいスピリチュアル」は親和性が高いようなのです。近年、陰謀論を指す「コンスピラシー」に「スピリチュアリティ」を融合させた「コンスピリチュアリティ」という用語もできたほど。それだけ両者は近い距離にあるといえるでしょう。

 まさに私がウォッチしているスピリチュアル教祖様たちの周辺も、FacebookやAmebaブログなどでよく「反ワクチン」に関する陰謀論をシェアしています。このところ、私のもとにも多くの相談や悲痛な声が届いていて、もともと自然派志向でスピリチュアル好きだった母親が、YouTube動画などを見漁った末に「危険だからコロナワクチンは打たないで。ほかの人にも伝えて!」などとFacebookに投稿してしまった……というものもありました。ご家族が同じような状況にあり、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

 陰謀論をうまく使って世間を煽るような人間は、ネット上で熱心に情報を広めています。「新型コロナウイルスワクチンは人口削減のため!?」「注射されたマイクロチップが5Gに反応!?」「ワクチンを打ったら人間じゃなくなる!?」といった衝撃的なタイトルの動画を配信すれば、情報を求める人たちの目に留まって再生数は跳ね上がり、「お金」になるからでしょう。こういった荒唐無稽な話をさも真実かのようにまき散らすことと、それで利益を得ることは、もっと問題視されるべきだと思います。

 陰謀論とお金に関連する話題だと、「読売新聞オンライン」(4月7日配信)に興味深い記事がありました。昨秋のアメリカ大統領選挙の際、「大規模な不正があった」「闇の政府が関与」など語っていた男性YouTuberに取材すると、「最初は、英文法を解説するチャンネルだった」と明かしたそう。

 しかし、再生回数が伸び悩み、「試しに大統領選を取り上げてみた」ところ、再生回数はなんと100倍に跳ね上がり、「毎月、新卒社員の初任給ほどは入る」と話していたといいます。同記事は、陰謀論に“鞍替え”したチャンネルが「30以上あった」とも伝えており、これだけでも、稼げるジャンルだとわかります。

 では、具体的にどんな動画配信者がいるのか、私が注視している人を挙げていきます。まずは、特に新型コロナウイルス関連の陰謀論を煽っている「ポジティブ・エボリューション」こと、ドイツ在住のめいこ氏。YouTubeのチャンネル登録者数は5.5万人で、動画の再生回数は多い時で10万回を超えていました。しかし、どうやらメインチャンネルは“アカウント停止”(BAN)となったようで、現在はセカンドチャンネルで活動しています。

 メインチャンネルで5月に投稿されていた動画内では、「EUワクチン報告済み死亡者数」として、ワクチンを提供している4社と死亡者数を一覧表で紹介。また、ワクチンによって起こった「女性の生殖器と胸部への副作用」の件数も発信し、“反ワクチン”を訴えていました。

 しかし、「情報ソース」として掲載されていたサイトに飛んでみると、カナダの極右ニュースサイト「ライフサイトニュース」だと判明。同メディアはコロナ禍の前から頻繁に陰謀論を取り上げていたようで、今年2月には新型コロナの誤情報を動画で公開したとして、運営していたYouTubeチャンネルが停止になっています。こうした媒体を参考にしている時点で、彼女の発信も疑わざるを得ませんが、オンラインで講演会などにも出演し、“反ワクチン派の女神”的な扱いになっているようです。

 次に、芸能プロデュース業のようなこともやっている、古参の配信者・JOSTAR氏。YouTubeのメインチャンネル「JOSTAR CHANNELジョウ☆スターチャンネル」は登録者数8.7万人で、動画の再生回数は多いもので9万回ほど。派手な帽子を被って、ライブ配信を中心に更新していることもわかります。

 その内容は、JOSTAR氏がマイクを片手に延々と話しているだけですが、どの動画もほぼ1万回以上は再生されているので、ほどほど良い稼ぎになっていそう。なお、「米トラQ 救世主は未来人」「世界怪物大作戦Q」などタイトルに頻出する「Q」とは、米国ではポピュラーになった陰謀論の権化である謎の存在「Qアノン」のこと。日本でも話題になりましたから、耳にしたことがあるかもしれません。彼は日本在住ながら「Q」の“事情通”だと匂わせているのです。

 自身のTwitterでは、日常的に起こる事件や事故、さらに芸能ニュースを紹介しながら、「Qかな」「なんか不思議」「やはり来た予想通り」などとコメント。さも“仕組まれた出来事”であるかのように、意味深な投稿を続けています。最近では、俳優・岡崎二朗の息子である岡本一兵衛氏と行動を共にし、有名人や政治家の写真を取り上げては「ゴム(を被った偽者)」とよく語っていますが、失礼極まりなく、何が面白いのか私にはさっぱりわかりません。

 最後は、以前“スピチューバー”として当コラムで取り上げた、ワンネスyurie氏。なんと、彼女もいつの間にか“陰謀論者”になっていたことがわかりました。「コンスピリチュアリティ」の典型的な例ですね……。

 昨年1月、yurie氏は「あなたがインフルにかかる本当の理由とは?予防法をお伝えします!」というタイトルの動画を公開し、「(インフルエンザは)なりやすい傾向であったり、なっちゃう意味っていうのがあります」「(インフルエンザになりやすいタイプには)共通点がある」などと語っていました。

 それから約1年後の今年2月、今度は「コロナ後の未来を発表&霊視大会」という動画を公開し、「タイガー元大統領(トランプ元大統領のこと。yurie氏は「名前を出すと、垢BANされちゃう」と心配していました……いや、なんで!?)を応援していた方々なら、調べてわかると思うんですけど。政治家には、よくないことをしてた人とかがいて、それもだんだんと(コロナ禍で)表に出てきてるんですよね」「それは市民が目覚め始めて、裏で利権を根絶やしにしようとしている人たちが頑張っていて」などと述べていました。なぜそんなに世界の裏事情に詳しいのか、謎は深まるばかりです。

 そんな彼女でも、運営中のオンラインサロンは好調な様子ですから、どこかに支持者がいるのでしょう。同じ動画の中でyurie氏は、「コロナの患者さんが増えていくことによって、経済がストップしてしまうので、旅館業とか飲食業とか、中小企業とか観光業とか航空会社が打撃を受けてつぶれ始める」「経済的に困窮する人がどんどん増える」などと語っていましたが、そんなこと、テレビでもネットでもニュースを見れば、誰でもわかる話です。しかし、チャット欄には「なるほど~」「納得しました」といったコメントがチラホラ……。YouTube上で小気味よく発信するyurie氏に惹かれ、サロンへ誘導された人もいると思います。

 ちなみに、最近は話題の芸能人をテーマにして「オーラでわかる素顔」「霊視してわかった性質」といった動画を投稿しており、スピリチュアル好きでなくても興味をそそられ、思わず再生したくなる内容にシフトしている様子。今後も彼女はその時々に合わせて、“スピチューバー”として活動を続けていくのでしょう。

 スピリチュアルや都市伝説などは、楽しむ程度で済めばいいと思います。ですが、今回紹介した方々のように、不確かなことを口八丁で断定的に語り、人の不安を煽ったり、踊らせたりするような行為は、「教祖様と信者」の関係につながるのではないかと危惧しています。動画の再生数による稼ぎだけでなく、セミナーでの収入、オンラインサロン運営などにつなげたい狙いは明らか。人を集めて先鋭的な思想で信者をコントロールできるように、陰謀論などの話題を“利用”していると言われても仕方がありません。

 新型コロナと別の話題だと、「有名人の不慮の死」も陰謀論と結び付けられやすいものです。俳優・三浦春馬さんが昨年7月に亡くなってからしばらく、その「真相」があると騙るようなSNS投稿や、動画を多く見かけました。

 所属事務所のアミューズは、悪質な投稿は「すでに警察への相談をさせていただきました」と表明し、該当するブログや動画のURLを公式サイトに掲載。「閲覧されることによる収益を目的としたものもありますので、くれぐれもお気を付けください」と注意喚起を行いました。しかし、現在もネット上にさまざまな“説”が飛び交っているのを見ると、一度信じてしまったことを「違う」と認めるまでには、相当な時間を要するのだと感じます。

 何か不安を感じる情報を見かけた時、「怪しい」と思ってネットで調べてみたら、「真実」を見つけた――「誰も知らない真実を、私は知っている」という、“選ばれた意識”はとても気持ちのいいものでしょう。しかし、周囲の人は心配し、悩み、時には傷付くこともあるのです。スピリチュアルにハマった人やその周囲の苦悩を見続けてきましたが、またネット上に陰謀論という「深い沼」が増えてしまって、とても残念な思いです。

【10月3日午後15時〜】山田ノジル氏とのトークイベント決定!

 同連載の随筆者・黒猫ドラネコ氏と、wezzyで「スピリチュアル百鬼夜行」を連載中の山田ノジル氏が、このたび合同でトークイベントを開催することとなりました! ゲストは、マルチ商法にハマった女性を描く話題のサスペンス小説『マルチの子』(徳間書店)の著者・西尾潤さん。イベントの詳細やチケット情報については、下記をご確認ください。

アニメ映画『カラミティ』が描く「女らしさ」「男らしさ」からの解放

 2021年9月23日より、フランス・デンマーク合作のアニメ映画『カラミティ』が公開されている。

 本作は実在の女性ガンマンであるカラミティ・ジェーンの子ども時代を描いた作品だ。その波乱万丈の生涯は過去にも映画化されており、最近ではゲーム『Fate/Grand Order』のキャラクターとしても登場するなど、時代を超えて語り継がれる存在となっている。

 今回のアニ…

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