中学受験生の親を悩ませる“学校選び”――「大学付属校」で恥ずかしがり屋の娘が伸びたワケ

 “親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

 現在は「史上空前の中学受験ブーム」と言われ、首都圏での中学受験熱はますます高まっている状況だ。この熱を受け、親子で受験しようと一歩を踏み出したご家庭も多いことだろう。

 ここで親が悩むのが学校選びである。東京だけでも中高一貫校は200校近くある。この中から、我が子に合った学校を選択していくのだが、選択肢がありすぎると「一体どうやって受験候補校を決めればいいのだろう?」と不安を抱く保護者もいるかもしれない。

 学校を選ぶ基準は、例えば「女子校・男子校/共学校」「進学校/大学付属校」「伝統校/ニューウェーブ校」が挙げられるだろう。中学受験シーズンになると、「伝統女子校が人気」「大学付属校ブーム」といった記事をよく目にするようになるが、その善しあしは、「我が子に合うかどうか」ということに尽きる。逆にいえば、我が子に合った学校を選ぶ自由があるという点こそ、中学受験の最大の魅力なのかもしれない。

「もちろん、学校選びは迷いました。娘にとっては一生の選択になるわけですから、受験候補校は念入りに見学して決めたんです」と語るのは、大学2年生になった由芽さん(仮名)の母、めぐみさん(仮名)である。

 小学生時代の由芽さんは、恥ずかしがり屋さんで、積極的に人前で発言することは皆無。しかしながら、誰にでも優しい穏やかな子だったそうだ。

「学区の公立中学は私の目から見ると厳格でして、由芽がこの中学で伸び伸びと過ごせるとは思えなかったんですよね」

 そう考えるに至った理由は、当時の校長先生の方針によるものだったらしい。その中学では公的検定試験や各種大会に積極的。合格者や入賞者を称賛する空気に満ちあふれていたという。それは良いとしても、めぐみさんが最も不安に思ったのは、球技大会などの行事にも校内検定なるものが存在するという話を聞いたからだ。

「由芽はどちらかといえば、人と争うのが苦手な子だったので、常に何かで優劣を競っているような学校には向かないなぁと思ったんです。それで中学受験を選択し、結果、大学付属校に進学しました」

 大学付属校に入学すると、エスカレーター式に系列の大学に進学することになるとイメージする人も多いだろうが、形態はさまざま。ほぼ全員が内部推薦を使い、系列大学に進学する学校、系列大学にはほとんど進学せず、大半の生徒が他大学受験をする実質“進学校”となっている学校、あるいは、系列大学への推薦の権利はキープした上で、他大学を受験することを後押ししている学校などもある。大学付属校といえども、それぞれの内部進学率は学校によって、あるいは学年によっても異なるのだ。

「由芽の学校は約半数が系列大学に進学します。外部受験も推奨されていますが、中学入学時は多分、由芽自身も、もちろん私たち親も、このまま系列大学に進むんだろうなと思っていました」

 ところが、由芽さんは現在、その学校の系列大学には通っていない。アメリカの大学で学んでいるそうだ。めぐみさんはこう証言した。

「大学付属校のメリットの一つに高大連携授業というものがあるんです。系列大学の教授が出張授業をしに来たり、逆に系列大学の講義に参加することもできました。早い段階から、大学生とも話ができるので、中高と学年が上がるごとに、世界がドンドンと開けていったのかな? って想像しています」

 大学付属校に通うメリットとしては、大学受験を気にしなくてもいいので、受験を意識する授業というより、探求を深めるような講義を受けられる点が挙げられる。さらに、校風が自由な学校が多いので、部活や趣味でも、自分の好きなことを究められるなどは、よく聞くところだ。

 由芽さんも軽音楽部に所属しながら、アニメ同好会にも顔を出し、茶道部も兼部。さらには、系列大学にも顔を出すようになり、めぐみさんいわく「いつの間にか積極性を身に着けていた」とのこと。

「この学校に入って、一番うれしかったのは、由芽が徐々に積極的な明るい子になっていったことなんです。それまでは、どちらかといえば、友達の意見に自分を合わせるような面があったんですが、相手の意見も聞きながら、自分の意見も堂々と述べられるようになっていて……。そばで見ていても、学校に行くのが楽しくて仕方ないって感じだったので、この学校にして本当に良かったと思いました」

 由芽さんは高校時代に大学の講義で経営学を学ぶ機会に恵まれ、将来の夢が決まったという。

「進路選択をしなければならない時に、由芽が言ったんです。『20代で起業を考えている。そのために大学では経営学を学びたい』って。そこまでは良かったんですが、なんと進路希望はアメリカの大学だったので、驚きました」

 実は、由芽さんが通った中高一貫校は、海外ターム留学制度も充実。由芽さんもその制度を使って、高校時代に3カ月間のアメリカ留学をしている。

「学校生活を謳歌していたので、受験勉強はせずにこのまますんなり系列大学へ行くんだろうなと思っていただけに、由芽の発言にびっくりしました。でも同時に頼もしくもありましたね。私の時代には考えられないことでしたから」

 由芽さんの学校は大学付属校ではあるものの、実績は少ないながら、海外大学進学を積極的に後押ししている学校だ。先生方も由芽さんの合格を応援するために、大学に提出するエッセイの添削に始まり、推薦状の作成など、実に細やかに面倒を見てくださったという。

 結果として、由芽さんは見事、志望校に合格。異国での大学生活を謳歌している最中だそうだ。

「これから由芽がどういう道に進むのかはわかりません。けれども、自分で自分の道を拓いていける子になったという実感はあります。この性格の変化は、やはり置かれた環境の影響が強かったのだと思います。伸び伸びとした大学付属校ならではの校風、穏やかな学友、生徒を決して否定しない先生方など、由芽にとって、本当に合っていた学校だったんだなと、この出会いに感謝しかないです」

 人は環境に左右される生き物。「置かれた場所で咲きなさい」というのは、ノートルダム清心学園理事長だった故・シスター渡辺和子氏の有名な言葉だが、筆者は中学受験を目指すご家庭に対し、「置かれた場所で咲くのは本人。しかし、我が子を花が咲きやすい場所に置くのは親」と思っている。

 由芽さんがどんな起業家になるのか、今から楽しみだ。

上沼恵美子はなぜ、広末涼子を「純愛」と表現した? 既婚女性の不倫がステイタスだった時代

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

<今回の有名人>
「40過ぎても純愛やねんなって思ってしまう私って、おかしいのかしら?」上沼恵美子
『上沼・高田のクギズケ!』(6月18日、読売テレビ)

 女優・広末涼子とフレンチレストランオーナーシェフ・鳥羽周作氏のダブル不倫騒動。6月18日放送の『上沼・高田のクギズケ!』(読売テレビ)に出演したMC・上沼恵美子(以下、えみちゃん)は、「40過ぎても純愛やねんなって思ってしまう私って、おかしいのかしら?」と発言していた。

 「おかしいのかしら?」という疑問表現から、えみちゃんが、自分の意見は世間で支持されない可能性があることに気付いていることがわかる。実際、ネットでは「不倫を美談にしている」とえみちゃんの意見に納得していない人も見られたが、私は彼女が広末の不倫を肯定するような発言をした気持ちがわからなくもない。

 なぜなら、不倫が露見すると芸能人(特に女性)が活動休止に追い込まれるようになったのはここ数年で、ある時期までは、特に既婚女性の不倫は、ある種の“ステイタス”とされていたから。その時の感覚が、えみちゃんには残っていたのではないだろうか。

 既婚女性の不倫が、一部から好意的に捉えられた例といえば、90年代の松田聖子が思い浮かぶ。俳優・神田正輝と結婚し、出産した聖子は、全米デビューに備えて、お子さんを実母に預けて渡米。現代でも、女性が同じことをしたら周りからうるさく言われるだろうが、90年代のバッシングは現代の比ではなかった。

 そんな彼女を応援したのが、文化人と呼ばれる女性たちだった。「オトコが一旗あげるために、女房子どもを置いて渡米したら、それでこそオトコだと褒めるくせに、同じことをオンナがやると叩くのは女性差別だ」と聖子を擁護したのだ。

 聖子はその後、アメリカ人男性と不倫関係に陥り、またしてもバッシングされるが、ここでも女性文化人が「オトコがやることを、オンナがして何が悪い」と聖子の味方をし、聖子が男性とうわさになるたびに人気が上がるという、今では考えられない現象が起きていた。

 2000年代に入ると、民主党の姫井由美子議員(当時)が、「週刊文春」(文藝春秋)に不倫を報じられた。姫井氏は当時、「姫の虎退治」というキャッチフレーズを掲げ、自民党の大物議員・片山虎之助を破って初当選を果たした期待の新人だった。

 姫井氏には夫と子どもがいたが、年下の男性と不倫関係にあった。2人の間には金銭トラブルがあり、男性は不倫の証拠となる温泉旅行の写真を「文春」に持ち込む。この時、男性から「彼女はかなりのMで『ぶって、ぶって』とよくせがまれた」と性事情まで暴露された姫井氏は、「ぶって姫」というあだ名をつけられ、世間の笑いの対象にこそなったものの、「カネのためにオンナを売るオトコ」と男性が非難され、彼女自身はあまりバッシングされなかった印象がある。

 それでは、90~00年代は、不倫全般に寛容だったかというと、そうでもない。同じ頃、独身の佐藤ゆかり議員が、選挙に出る前、既婚男性と不倫関係にあったと「文春」にスクープされた。その証拠として、彼に送った熱烈なメールも掲載され、大きな話題になった。選挙中の記事ということで、よくあるネガティブキャンペーンとして受け止められた可能性も否めないが、佐藤議員を積極的に擁護する人はいなかったと記憶している。

 なぜ当時、独身女性の不倫は冷ややかに見られるばかりなのに、既婚女性の場合は擁護されたり、バッシングが少なかったりしたのか。それは日本独特の「男性に選ばれてこそ、一人前」という男尊女卑思考と無縁ではないだろう。

 「男性に選ばれてこそ、一人前」という視点で女性を見た場合、独身女性はたとえ本人に結婚願望がなかったとしても、勝手に「選ばれないオンナ」のカテゴリに入れられてしまう。一方、既婚女性は男性に結婚相手として選ばれ、不倫という形ではあるが恋愛対象としても選ばれた――ある種の甲斐性を持った女性と見なされたからこそ、一部でおかしな“尊敬”を集め、それほどバッシングされなかったわけだ。

 不倫という倫理にもとる行いを“純愛”と表現したえみちゃんの言わんとすることが、私にはわかるような気がする。

 えみちゃんはそもそも、既婚者でしかも不倫できるのは、それだけ魅力的な人と、広末を好意的に見ているのだろう。その上で、広末の不倫相手が大物映画監督やプロデューサーというような、彼女の仕事に直接的なメリットをもたらす存在ではなく、それどころかバレたら大変なことになる人物だと知り、彼女にピュアさを感じたのではないか。しかも広末は、ラブレターという不倫の証拠になるものまで残してしまうほど、相手に夢中になっていた。そこも含め、えみちゃんは、この不倫を“純愛”という肯定的な言葉で表現したと感じた。

 こうやって考えてみると、女性の不倫に対する世間の反応は、「その時々の社会が女性をどう捉えているのか」を反映しているといえる。広末涼子という、時代を代表するスターが不倫をして猛バッシングされるのは、「男性に選ばれてこそ、一人前」という価値観は薄れる一方、「妻とは、母とはこうあるべき」という別の抑圧も感じてしまう。今はボコボコに叩かれている広末だが、きっと復活を遂げると信じて、その日を待ちたいものだ。

ラクマ購入品、5%オフクーポンで買い直しはできる? 決済エラーになったまさかの理由

――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 前回のコラムに書いた通り、ラクマで「モナカジュエリー」のパライバトルマリンのリングを30万円で購入し、意気揚々と眠りについた私。翌日、「ふぁああ~よく寝た~」と言いながら何の気なしにラクマを開いた私は仰天しました。なななんと、5%オフクーポンが発行されていたんです。5%といえど、30万円の決済ということは1万5,000円も値段が変わってくるんですよ!  くっそおおお~~~~~!!(涙)

 諦めきれなかった私は、以前、18万超えのピアスを購入したときのように、出品者側に現在の取引をキャンセルしてもらい、新たに商品ページを作ってもらおうと考えました。

 念のため、ラクマ事務局に「クーポンを使って購入しなおしたいのですが、可能ですか」と問い合わせてみましたが、その返答は簡潔にまとめると「当人同士でやってください」という内容だったので、早速、出品者に「こちらをキャンセルし、新たに買いなおすことはできないでしょうか?」と掛け合ってみることに。

 すると、しばらくたってから、「あいにくできません」との回答が。なんでえ~~~~~!?!?!?!?!? 出品者いわく、その昔、同じような感じでキャンセルに応じたところ、新たに購入してもらえなかったそう。「クーポンは購入時のみの選択とお考えください」とも言われました。

 ふむふむ。ってことは、すぐに購入すればいいってことなのか? 諦めの悪い私は(なんていったって1万5,000円がかかっているんだもの)、「何も書いていないページでいいので、作っていただけるととてもありがたいです」と再度お願いしてみます。

 すると、「仕事の休憩時間が終わり、もう行かなくてはいけないので、すみません」と返事が返ってきました。それでもしつこく、「明日になっても構わないので、商品ページを作っていただけると本当に助かります……」とコメントを送った私。

 すると……出品者さんが専用ページを作ってくれました! わーいわーい!! しかし、ここからが大変でした。いざ、クレジットカード決済しようと思ったのですが、どうやっても弾かれてしまい、まさかの「決済エラー」となってしまうのです。もしかして、30万円という高額商品を何度も購入しているから、不正利用を疑われてロックされてしまったのか?

 慌てて「カードエラーが出て決済できないので、明日まで待っていただけますでしょうか」と出品者さんに連絡すると、「商品は明日の昼すぎに送る予定なので、午前中いっぱいまでとさせていただきます」という返事が来ました。Ohnooooooo!!!!!!!!!! せっかく1万5,000円引きで購入できるチャンスがあああああ(涙)!!!!!!!!!!

 というわけで、今私は血眼になって、決済エラーの手っ取り早い解決方法を調べているのですが、カード会社に問い合わせるしかなさそう。現在は受付時間外のため、明日の朝一番にコンタクトセンターに電話かけるしかないかなあ……あ~~~~~! 楽天カードめえええええ(涙)!!!!!!!!!!

電子書籍『“買い物狂い”の散財日記~千葉N子のリアルな家計簿大公開~』発売中!

 2020年3月から連載中の人気コラム『“買い物狂い”の散財日記』が、ここでしか読めない書き下ろしエピソードを大量に収録して初の書籍化! 

 “買い物狂い”の千葉N子氏が、日々の散財ぶりはもちろん、フリマアプリの活用法や通販サイト利用時の注意点など、知っておけば必ず得をする買い物術から失敗話までを赤裸々に綴ります。さらに、“買い物狂い”のひと月の散財リストや1年の散財額も大公開! 物欲が刺激されること間違いなしの一冊です。

発売元:サイゾー
発売日:2022年9月1日
価格:950円(税込み)

<ご購入はこちらから!>
Amazon Kindleストア https://www.amazon.co.jp/dp/B0BCVH3VSZ

親に虐待された女性が見つけた「癒やしの旅」の羅針盤――「自分が本当に安心できる居場所」

“「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける”
――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社)

 そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。

 幼い頃から、両親に壮絶な虐待を受けてきた黒沢美紀さん(仮名・45)が受けた傷は、まだ癒えたわけではない。脳梗塞の後に自宅で転倒し骨折した父・昇二さん(仮名・75)とは、どうしても会わざるを得ないこともあり、会うと暴言を吐かれ、フラッシュバックを起こしそうになる。

 先日、美紀さんと夫がコロナに感染し、症状がひどくなった夫を病院に連れていくために、運転免許を持っている母・良江さん(仮名・70)に車を出してくれるよう頼んだ。昇二さんが絶対についてくることがわかっていたが、背に腹は代えられなかった。

心の中にいる「小さいことを気にしぃ虫」と「人の顔色をうかがう虫」

「母は本当に心配してくれて、すぐに車で駆けつけてくれました。医療センターに受け入れてもらい、1時間検査結果を待つことになりました。母は優しい言葉をかけてくれたのですが、父は『1時間も待つんか。けっ!』と」

 そして夫が陽性と診断された帰り道。

「母は車の運転はできますが、ものすごい方向音痴で、車にナビもついていないので、父に道案内をしてもらわないといけないんです。その間、父から母への暴言はすさまじく、またフラッシュバックが起こりそうなのを必死で耐えました」

 さらに、間違った道を教える昇二さん。見かねた夫が高熱でもうろうとしながらも、スマホで道を教えると、「ワシはいつもこの道を行っとる!」と怒鳴る。「お父さん、主人の言うことを聞いて」と言った美紀さんに、とうとう昇二さんがキレた。

「ワシの言うことが聞かれへんのやったら、どこへでも行けや!!」

 具合の悪い夫のことを思い、なんとか耐えてその場を乗り切った美紀さんは、その後良江さんに「お父さんにもお礼を言っといて」と伝言した。すると昇二さんは美紀さんに電話してきて、「コロナについてワシはこれだけ知っとる」と調子よくホラを吹いていたという。

 そんなことがあっても、美紀さんは昇二さんを思いやる。

「心配していましたが、幸い両親がコロナに感染することはなくホッとしました。あのとき、父も『娘の頼みだから』と母についてきてくれたんだろうと思います。そして本当は私と仲良くしたいのに、なぜ私が仲良くしようとしないのかわからないのかなとも思います。父がしたことが、どれだけ私を傷つけたのかまったく自覚していないのでしょう。性暴力も、父にとっては単なるいたずらだったのかもしれません」

 美紀さんは昇二さんに心を殺されながらも、ずっと気を使っていたのではないか。そう美紀さんに伝えると、「その通りです」という返事がきた。

「ずっと、親にも周囲の人にもすごく気を使って生きてきました。私は自分の中に『小さいことを気にしぃ虫』と『人の顔色をうかがう虫』を飼っているんです。昨年から『オープンダイアローグ』という心理療法の当事者スタッフとして活動させてもらっているのですが、自分が本当に安心できる居場所ができつつあって、その中にいることで、この虫さんたちが泣き止んでくれるのを待っているところです」

「癒やしの旅」の羅針盤「オープンダイアローグ」

 美紀さんは、表現力が豊かな人だとあらためて感心するが、それらもこれまでの過酷な人生の中で身に付けてきたものなのかもしれない。同時に、美紀さんが見出した居場所、「オープンダイアローグ」という心理療法とは何なのか、興味を持った。

 美紀さんに「オープンダイアローグ」とはどういうものか聞いてみると、長い返事が返ってきた。大変わかりやすかったので、美紀さんの言葉をそのまま引用してみたい。

「オープンダイアローグは急性期の統合失調症患者の新たな治療法として、今世界で注目を集めています。どうしてこの治療法がこれほどまでに統合失調症患者や、またさまざまな精神疾患の患者に有効なのかはわからないのですが、その方法はいたってシンプルで、ただただ対話をする。これだけです。

一番重要な点は『本人のいないところで本人の話をしない』。支援者チームは、本人がそれを眺めているところで、支援者複数人で集まり、その患者さんの言葉を受け止めて、患者さんの気持ちを掘り下げていき、もっと患者さんが自分のことを話せる橋渡しをするんです。そのために『リフレクティング』という方法を用います。支援者は1人ではなく、複数人がケアにあたる形をとります。患者さんと関わりのある、家族や近所の人なども対話の場に参加してもらいます。

直接患者さん本人にアドバイスをする等ではなく、参加者みんなで輪になり、患者さんたちのお話を聞き、一通り終わったら、複数人の支援者が支援者だけで輪になり、患者さんの今のお話を聞いて感じたことを、あたかも患者さんのうわさ話を患者さん本人が横で聞いていると言う形を作って、患者さんの話を深めたり広げたりするリフレクティングを行います。

1対1ではなく、なぜ支援者が複数人いるというスタイルなのかというと、1人の支援者が患者さんと向き合うと、そこに患者さんの主体性や意思が十分には大切にされない状況が生まれます。よく『言葉をお盆に乗せる』と表現されるのですが、複数人の支援者が患者さんの目の前でうわさ話をしているような場を作ると、支援者一人ひとりが『私はお話を伺っていてこう感じた』というアイメッセージを用いて、それぞれの言葉をその場に置き、患者さんはお盆に置かれたいろんな言葉の何を選び取っても良いという状況が生まれます。これは『ポリフォニー(多声生)』と呼ばれています」

 美紀さんは、以前のインタビューで「長い癒やしの旅の途中」だと言っていたが、その「癒やしの旅」の羅針盤となっているのがこの「オープンダイアローグ」だったのだ。

続きは7月2日公開

闇金の本当にあったコワい話――社員を青ざめさせた、債務者の“呪詛”とは?

 こんにちは、元闇金おばさんことるり子です。以前、全10回の短期連載を行いましたが、今回、あらためて新連載としてスタートすることになりました。

 金融屋の事務員として生活していた当時、通勤先の本社事務所は、都内有名繁華街の最寄り駅から徒歩3分くらいのところにありました。事務所の対面には、有名ホテルがそびえ立っており、心と財布に余裕があるときには早起きして、豪華な朝食ブュッフェを満喫してから出勤したものです。

 男性営業社員のみなさんも、商談の際には案件を抱えるブローカーとラウンジで耳を寄せ合い、クルマを担保に預かるときにはホテルの地下駐車場で引き渡しを行うなど、頻繁に出入りを繰り返していました。少し潔癖なところがあって、日々のトイレをホテルで済ませていた伊東部長は、それをカムフラージュするためなのか、ランチや接待でもよく使っていたと記憶しています。

 とある冬の日のこと。始業前の朝礼中に、伊東部長の担当するお客さんから電話がかかってきました。ここ2年ほど取引のあるデイリー広告社の中尾社長(仮名)です。

「お世話になります。ただいま朝礼中ですので、すぐに折り返しいたします」
「いや、ちょっと急ぎなので、今すぐにつないでください。お願いします」

 おそらくは、今日の当座が足りていないのでしょう。切羽詰まった様子なので、朝礼中の部長にメモを渡すと、すぐに社長が言いました。

「出てやれ」
「はい、失礼します」

 朝礼が中断され、社員の皆が注目する中、電話のスピーカー機能をオンにした部長が、みんなの前で会話を始めます。

取引先の倒産で切羽詰まった債務者のSOS

「もしもし! 社長、いま朝礼中なんだよね。急ぎって、どうしたの?」
「忙しいところ、すみません。今日、不渡を出しちゃいそうなんです。ここで潰れたら、伊東さんのところにも返せなくなっちゃうし、どうにか助けてもらえないかと思いまして」
「はあ? まだ時間あるのに、なにを言っているんですか。いくら足りないのよ?」
「今日入金予定があった取引先が、急に弁護士を入れてきて、倒産しちゃったんですよ。いま手元に300万ほどあるんですけど、今日の当座、あと200万ほど足りないんです」

 その瞬間、デスクの袖から1冊の顧客ファイルを取り出した伊東部長は、それを佐藤さんに手渡しました。同時に、中尾社長を呼び出すよう社長から耳打ちされた部長は、目を合わせてうなずくと事務所に来るよう誘導を始めます。

「なんだ、社長。水臭いな。早く言ってくださいよ。ウチが用意してあげるから、いますぐおいで」
「本当に貸していただけるんですか? 家族も車も、みんな伊東さんのところに入れちゃっているから、これ以上は何も用意できないですけど……」
「大丈夫。手持ちのお金と印鑑、それに通帳と手形帳を持って、ウチの事務所まで来てください」
「ありがとうございます。やっぱり伊東さんに相談してよかった。1時間もかからないと思いますので、よろしくお願いいたします」

 デイリー広告社に対する貸付残高は、350万円。その内訳は、奥さんと義父母を連帯保証人にした信用融資の貸付残高が200万円と、自動車担保による貸付残高が150万円で、金利や車庫代の支払いに遅れはありません。手慣れた様子でファイルを開いた佐藤さんが、関係先一覧をホワイトボードに書き始めると、デイリー広告社の保全状況が明らかになりました。

 都内にある40坪ほどの自宅不動産は、社長夫婦と義父母の共有名義で、どうやら奥さん方の両親と2世帯住宅で暮らしているようです。担保に預かっている車は、トヨタのクラウン。ほとんど新車ながらも、いわゆるとかしの車(自動車販売店やローン会社の所有権が留保されて名義変更できない車、名変不可車、金融車ともいう)で、とかし屋(名変できない車を買い取って転売する闇稼業)による買取評価は180万円とされていました。

「ウチを頼って一番に相談してくるとは、ありがたい話だな。いままで、いい付き合いをしてきたかもしれんが、飛ぶ(倒産するということ)のは時間の問題だろう。こいつの自宅、家族と4分の1ずつの共有名義だから、占有はしんどいぞ。いまあるカネは全額入金させて、信用分は決済させろ。最近は、トヨタもうるさいから、クラウンの残高も減らしておけ」
「はい。とかし屋の井上は、上物のクラウンだから、もう少し(値段を)つけられるかもと言ってくれています。デイリー広告社にも、できるだけ多く入金させますので」

追い込まれた社長を待つ闇金の罠

 おそらくは全額回収できる自信があるのでしょう。冷酷すぎる社長の指示に、まるで動じることなく応じた部長は、300万円を内入れさせる内容の計算書を用意するよう私に指示しました。どうやら再貸付に応じることなく、所持金すべてを取り上げると決めたようで、これから来社される中尾社長のことを思うと胸が痛みます。どのように説得するのかわかりませんが、まもなく展開されるだろう修羅場を目前にして、この場から立ち去りたい気持ちに駆られました。

 その一方、もうすぐ来るからとホワイトボードを裏返しにした伊東部長は、感情を失くした顔で中尾社長の来社を待ち受けています。

「ごめんください。伊東部長とお約束しているデイリー広告の中尾と申します」
「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」

 53歳だという中尾社長は、白いポロシャツに赤いダウンジャケットという軽装で、テレビマンのような雰囲気を持つ方でした。服装の影響なのか、年齢よりはお若く見えますが、資金繰りに奔走し、憔悴した顔に生気はありません。応接室に案内してから、熱いコーヒーを入れて差しあげると、テーブル上に会社のゴム版や実印、手形帳を出し終えていた中尾社長は、腕を組んで黙想したまま動じませんでした。

「社長、お疲れのようですね。大丈夫?」
「はい、大丈夫です。ここは暖かいし、ちょっと安心したら眠くなってしまいました」
「形だけでも一度決済しないと再貸付はできないので、用意できた300万円、とりあえずお預かりしてよろしいですか」
「はい、お願いします」

「話が違うじゃないですか! ウチの会社、倒産しちゃいますよ!」

 私の席は、間仕切りに囲まれた応接室の隣にあるため、意識せずとも2人の会話が耳に入ってきます。いつにも増して堅苦しい雰囲気を醸し出している伊東部長が、300万円の領収証を持って応接室に戻りました。それからまもなく、再貸付ができない旨を伝えると、中尾社長が大きな声を出されて状況が一変します。

「伊東さん、話が違うじゃないですか! いま貸してもらえないんじゃ、ウチの会社、倒産しちゃいますよ!」
「社長、申し訳ない。うまくやるつもりでいたけど、御社の信用状況が急激に悪化していてさ。もう隠しきれない状況なんだよね」
「そんな、ひどい! じゃあ、せめていまの300万だけでも戻してくださいよ。それが私の全財産なんです。お願いします」
「本当は、急に信用状況が悪化したから、今すぐ全額決済してもらえって言われているところでさ。本音を言えば、残りの50万円も片付けてもらって、とかしの車もお返ししたいところなの。社長、申し訳ないけど、私の立場もわかってよ」

 ひどい、なんとかしてくれと繰り返す中尾社長に、ごめん、できないと返し続ける伊東部長の押し問答は、それから1時間ほど続きました。その間、ほかの営業社員たちは聞き耳を立てるでもなく、新規顧客を獲得するべくテレアポに集中しています。

「こんなのひどい。伊東さん、恨みますよ」
「恨むのはいいけどさ。クラウンも、なるべく早く決済してくださいね。もし不渡を出したら、期限の利益が喪失されて、すぐに売らなきゃいけなくなっちゃうから」
「400万で買ったばかりの車を、たった50万で取り上げるんですか? 伊東さん、あんた本当にひどい人だな」

 眉間にしわを寄せ、目を三角にした中尾社長は、怒りに体を震わせながら事務所をあとにしました。きっと、内心はつらかったのでしょう。エレベーターに乗り込む中尾社長を見送り、一連のことを社長に報告した伊東部長は、私にコーヒーを入れるよう頼むと、どこか不機嫌な様子でタバコに火をつけました。目を閉じたまま、煙を深く吸い込む姿を見て、少し心配になったことを覚えています。

「デイリー広告だけど、伊東さん出して」

 午後3時を少し回った頃、中尾社長から電話がかかってきました。すでに銀行の営業時間は終わっており、その口調から、最悪の事態を迎えただろうことが容易に想像できます。少し面倒くさそうな顔をした伊東部長が、スピーカー機能をオンにして電話を受けると、中尾社長が嫌味たっぷりな口調で言いました。

「伊東さん、長いことお世話になりましたね。今日は助けてほしかったけど、結局、不渡を出しちゃったから、おれの人生も終わりです」
「社長、不渡出しちゃったの? 参ったなあ。クラウンは、どうするのよ? あと50万で出せるよ」
「伊東さん。私は、あんたのことを一生恨みますよ。今日のことは、絶対に忘れないし、許さないから」
「そんなこと言わないで。とりあえず車だけ出しにきなよ。それでまた、カネ作ればいいじゃない」

 おそらくは中尾社長にかける言葉が見つからなかったのでしょう。憎まれ口を叩いてはいますが、本心ではないようで、少し悲しげな顔で話されていたことを思い出します。

ドゴォン!

 いつもより重く長い1日が終わり、退社前に事務所内のごみを集めていると、目の前にあるホテルのほうから交通事故と思しき大きな衝突音が聞こえました。何事かと、音に反応した佐藤さんがベランダに飛び出して、早速に状況を確認します。すると、少し青ざめた顔をした佐藤さんが、振り返ると同時に声を震わせて言いました。

「部長、飛び降りです。赤いダウンジャケットを着た人が倒れていますけど、まさか違いますよね?」
「おい、ウソだろ」

「死にたい奴は、死なせてやればいいんだ」社長の慰めの言葉

 入れ替わるようにベランダに飛び出して、階下の状況を確認した伊東部長は、すぐエレベーターに乗り込みました。ほかの社員たちと一緒にベランダから首を伸ばせば、取り囲む人たちをかき分けて、倒れている人の傍らに跪いて声をかける伊東部長の姿が見えます。倒れている人の肩に手を置き、祈るようにアゴを引いた伊東部長は、救急車が到着するまで寄り添っていました。しばらくのあいだ警察と話して、まさに苦虫を噛み潰したような顔で事務所に戻ってきた伊東部長が、自嘲気味に吐き捨てます。

「中尾社長だったよ。あれじゃあ、即死だな」
「恨むって、こういう意味で言っていたんですかね?」
「そうだろうな。まさか目の前で飛ばれるとは思わなかったよ。本当に参ったな。もうホテルにも行きたくないよ」

 平静を装いつつも、明らかに動揺している様子の伊東部長を見かねた社長が、慰めの言葉をかけます。

「回収しておいて正解だったな。あまり気にすることないぞ。死にたい奴は、死なせてやればいいんだ」

 社長の言葉を無視して、再度ベランダに出た伊東部長は、しばらくのあいだ中尾社長が倒れていた路上を見つめていました。

 後日、告別式に参加して、心の中で許しを請うたそうです。それから変わることなくホテルを利用し続けた私も、あの現場を通過する度に心の中で手を合わせて、中尾社長のご冥福をお祈りしています。

(著=るり子、監修=伊東ゆう)

広末涼子、10代から“清純派”を押し付けられた彼女は気の毒な人かもしれない

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

<今回の有名人>
「大人ならば誰でも知っている。ウソは嘘を呼ぶことを」広末涼子
「STORY」2022年6月号(光文社)連載「毎日が3兄弟ママで、女優。」より

 都内の1つ星レストラン「sio」のオーナーシェフ・鳥羽周作氏との不倫報道を認め、所属事務所から無期限の謹慎処分を受けた女優・広末涼子。

 報道後、キリン、日本和装、EDWIN、リーガルオンなどのCM契約が終了に。以前、『ぽかぽか』(フジテレビ系)にゲスト出演したベッキーが、CMをやるとプライベートで問題を起こさないことはもちろん、日頃の発言にも制約がかかると話していた。そういう条件だとわかった上で契約を結んでいるのだから、この結果は仕方のないことなのかもしれない。

 しかし、19年からMCを務めるテレビ東京の大型音楽特番『テレ東音楽祭』も出演を見合わせ、今月中旬に予定されていた映画もクランクイン延期と、芸能界は「臭いものにふた」とばかりに、広末を排除しているように見えてしまう。ついには、女性誌「STORY」(光文社)での連載「毎日が3兄弟ママで、女優。」も休止となった。

 主婦と生活社のニュースサイト「週刊女性PRIME」が、同連載の中の一節を取り上げていた。22年6月に公開されたエッセイで、広末は読者から寄せられた「子どもがつくウソ。親はどこまで許容すればいい?」という質問について、下記のように書いている。

「大人ならば誰でも知っている。ウソは嘘を呼ぶことを。どんなに小さいウソでも、ひとつウソをついてしまうと、そのウソを隠すためにまた嘘を重ねてしまうことを。そしてウソをつくことに慣れてしまい、普通に嘘がつける人間になってしまうことを」

 ウソをつくと一度で終わらず、どんどん嘘の上塗りをしなければならなくなるし、そのウソを守るため本当の嘘つきになってしまうと言いたかったのだろう。子どもの教育のために書いた“名文”が、今の広末本人を的確に表しているとは、なんと皮肉なことだろうか。

「子ども3人いるんです」広末涼子はなぜ急転直下で不倫を認めたのか?

 「週刊文春」(文藝春秋)に直撃された広末は、鳥羽氏との不倫関係について「絶対にありません! 子ども3人いるんです」と強く否定した。ちょっと芝居がかった物言いで、個人的には嘘くさく感じだが、ともかく「不倫関係と思われたくない」という気持ちは伝わってきた。

 しかし、広末の所属事務所は「プライベートなことに関しては、本人に任せていますが、今回の報道を受けて本人に対して責任を持って行動するように厳重注意をしております」とコメント。自社タレントを守るのが仕事であるはずの事務所が、不倫を否定しないとは、これいかに。

 一方、不倫相手とされる鳥羽氏も予想外の反応を見せる。「文春」記者に「広末と再婚するつもりはあるのか?」と尋ねられて、「どうっすかねぇ、仲は良いですけど、そういう感じでは、今はないですね」と将来に含みを持たせた発言までしている。事務所と鳥羽氏がきっぱり否定しなかったことから、不倫しているという印象を持った人も多かったのではないだろうか。

 しかし、広末と鳥羽氏は急転直下、不倫関係を認めるコメントを出し、広末の無期限謹慎が発表された。おそらく、これは「文春」対策だろう。言い訳のできない証拠を「文春」に握られてしまったので、これ以上のイメージダウンを防ぐために認めてしまったほうがよいと判断したのではないかと感じた。

 さて、今回考えてみたいのは、広末が書いた「ウソは嘘を呼ぶ」発言である。「文春」記者に直撃されて、“不倫をしてない”と主張した広末は、確かにウソをついたと言えるだろう。しかし、冷静に考えてみると、あの場面で「はい、不倫をしていますよ」と答える芸能人はいないだろうから、ウソではなく、答えが「YES」か「NO」しかない“誘導尋問”に引っかかったと見たほうがいいのではないか。

 それでは、広末最大のウソとは何か。それは、広末が自身のキャリアを“清純派”としてスタートさせた点だ。とはいえ、これは事務所が、彼女をそのように売り出してしまったからなのだが。

 広末だけでなく、10代でデビューする女性芸能人は、この“清純派”カテゴリに半強制的に入れられてしまう。芸能界における“清純”とは何かを定義すると、多くの人に求められる優れた容姿を持ち、誰に対しても明るくさわやか、一方で貞操観念が高いため、男性に対して免疫がなく、セックスの経験がほとんどない女性のことを指すと思う。

 そのカテゴリに属することに疑問を持たないタレントもいるだろうが、中には「私はいっぱい恋愛したい」「付き合うとか結婚はどうでもよい、いいと思った人とはとりあえずセックスしたい」というタレントだっているはず。

 が、若い女性タレントは問答無用で“清純派”の箱に入れられてしまうので、何かのきっかけで“清純”でない行動が明らかになると、世間に「ウソをついた」「ウラがある」とバッシングされてしまう。

 広末は10代だった頃、夜遊びや、ちょっとワルそうな異性との交際がたびたび報じられたが、そんなとき「どうして、自分で自分のイメージを下げるようなことをするのか」と私は不思議に思っていた。しかし、広末本人からすれば「自分から“清純派”と名乗ったわけではないのだから、プライベートでまで“清純”な行動を取る必要はない」と思っていたのかもしれない。

 そう考えると、遊び対盛りの10代の頃から、“清純派”という役割を押し付けられた広末は、気の毒な人なのではないだろうか。

広末涼子に「子どもがいるから母に徹しろ」なんて言うつもりはないけれど

 3児の母となっても、恋をすると周りが見えなくなってしまうのは、10代の頃と同じで、“非清純派”の特徴なのかもしれない。冷静に考えてみて、今さらこの性質を変えることはできないだろう。

 今は鳥羽氏に夢中な広末だが、時がたてば、違う男性と激しい恋をするようにも思う。母親になったんだからオトコを断てとか、子どもがいるから母に徹しろなんて言うつもりはない。ただ、守らなくてはならない大切な人たちの存在を忘れないでほしいと願わずにいられない。

ラクマで値下げ交渉後、アプリを放置するのはNG! ライバルが多いアイテムをゲットする方法

――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 買い物狂い――それは買い物をせずにはいられない私のこと。そして、物欲を刺激するのがフリマアプリという存在。懲りもせず、今日もまた私はフリマアプリをウォッチしていたのですよ。まずはメルカリを見て「ふむふむ……」と眺め、今度はラクマを見て「ふむふむ……」。私ほどの手練れになると、商品検索をする際、ブランド名や商品名で探すのではなく、例えば指輪を見たいときは、「リング 7号」と大まかに検索をかけ、高いもの順にチェックしていくんです。

 以前は、「プラチナ」とか「K18」とか、もっと細かく細分化して検索していたのですが、ノンノン。そうすると、掘り出し物に出会えるチャンスが狭まってしまうのよ。掘り出し物っていうのは、大体がろくに説明文が書かれていないんです。

 例えば、「数年前に買ったリングです」とか、そんなシンプルな説明だけのものが多いのよ。だから、「K18」とか「プラチナ」で検索をかけると、そのたぐいのものは対象から外れてしまって、検索結果に出てこないってわけ!

 というわけで、いつものように“ローラー作戦”でいろんなアイテムを見ていたのですが、ラクマにハッと目に留まるものがありました。それは、「モナカジュエリー」というブランドの「パライバトルマリン」のリングで、定価46万2,000円の商品が30万円で売られています。くおおお~~~~~~~~~~、ほちいい~~~~~~~~~~!!

 とはいえ、30万円……。一度冷静におなりよ、私。ってことで、とりあえず「いいね」を付け、値下げ交渉のコメントを入れて、今度はメルカリを開きました。そして「モナカジュエリー」と検索すると、可愛いチェーンリングをまたもや発見。お値段は5万3,000円。こっちなら、全然買える……けど、やっぱり欲しいのはパライバのあの子。

 というわけで、一応こっちのリングにも値下げ交渉のメッセージを送り、私は眠りにつきました。時刻は深夜3時半。ほほほ……リングを見ていると時間を忘れちゃうのよねえ……。

 そして数時間後、寝ぼけまなこでラクマを開くと、なななななんと、チェーンリングのほうが売れてしまっているではありませんか~~~~~~~~~! ラクマでは、商品にコメントをすると、過去にコメントを行ったユーザー全員に通知が届く仕組みになっているため、私が値引きをリクエストしたことで、「このままではこの人に買われてしまうかもしれない」と焦り、急いで購入した人がいるのでしょう。

 そのため、値下げ交渉後はアプリを放置するのはNG。売り手から反応があったときにすぐに対応できるように目を離さず、また、ライバルが多い人気アイテムやどうしても欲しい商品の場合は、売り手の提示価格に従って購入することが大事なのかもしれません。

 この事態に戦々恐々とした私は、速攻でパライバのリングを購入。だって、こっちも買えなかったらすごく後悔すると思うもの……。ただ、30万円という大金をこれからどうやって払って行こう……。リボ払いでコツコツ払っていくしかないか。チェーンリングのほうも気になるし、いっそのことこっちも定価で買ってやろうかしら。散財の虫は、収まるところを知りません……(汗)。

■今回の出費
モナカジュエリーの「パライバトルマリン」のリング 30万円

 

電子書籍『“買い物狂い”の散財日記~千葉N子のリアルな家計簿大公開~』発売中!

 2020年3月から連載中の人気コラム『“買い物狂い”の散財日記』が、ここでしか読めない書き下ろしエピソードを大量に収録して初の書籍化! 

 “買い物狂い”の千葉N子氏が、日々の散財ぶりはもちろん、フリマアプリの活用法や通販サイト利用時の注意点など、知っておけば必ず得をする買い物術から失敗話までを赤裸々に綴ります。さらに、“買い物狂い”のひと月の散財リストや1年の散財額も大公開! 物欲が刺激されること間違いなしの一冊です。

発売元:サイゾー
発売日:2022年9月1日
価格:950円(税込み)

<ご購入はこちらから!>
Amazon Kindleストア https://www.amazon.co.jp/dp/B0BCVH3VSZ

ママ友のLINE未読スルーは何日まで許せる? 5日間無視されたママに運動会で遭遇した話

「子ども同士の付き合い」が前提のママ友という関係には、さまざまな暗黙のルールがあるらしい――。ママたちの実体験を元に、ママ友ウォッチャーのライター・池守りぜねが、暗黙ルールを考察する。

 かつては至る所で見られたママたちの井戸端会議。しかし近年は共働き家庭の増加により、ママ友との交流に時間を割くのが難しいという人も多くなっている。そんな中、簡単に交流できるツールがLINEではないだろうか。PTAや子どもの習い事など、ママたちはさまざまなLINEグループに入り、毎日メッセージを送り合っている。

 

今回は、そんなママ友とのLINE交流をめぐり、相手からの返信が来ないことにモヤモヤを感じるお母さんの話を取り上げる。

 

◎ママ友とPTA委員になったら……LINEの未読スルーにモヤモヤ

 

弁当屋のパートタイマーとして働いている真奈美さん(仮名・38歳)は、8歳になる女児のママ。子どもが小学校に入学してからずっとコロナ禍で、行事が相次いで中止・縮小になり、保護者が学校を訪れる機会がほとんどなかったという真奈美さん。「もっと学校の様子を知りたい」という思いから、自らPTAの学級委員に立候補し、委員活動に精を出している。

 

「委員会の集まりで月に1回は学校へ行っています。担任はもちろん、ほかの先生にも会えるし、娘がどんな環境で勉強をしているかがよくわかるんです。委員をやってよかったって思います。運動会や公開授業の日なども、積極的に協力係などをやっています」

 

 真奈美さんは、学級委員に立候補する際に、別のクラスにいるママ友の愛子さん(仮名・36歳)を誘った。

 

「うちの小学校は、1学年3クラスなので学級委員の人数も3人。知っているママ友が委員にいたらやりやすいって思ったので、子どもが同じ保育園に通っていた愛子さんを誘いました。彼女はフルタイムで働いている会社員だったので、『何かあったら私がフォローする』とも伝えていたんです」

 

 ほかに立候補者がいなかったため、委員決めはスムーズに決まったそうだ。しかし、真奈美さんは、愛子さんの行動に気を揉むようになったという

 

「小学校入学後、愛子さんとは休みの日に子連れでファミレスに行く機会が年に1~2回くらいの間柄でしたが、保育園では5年ほど一緒だったので、仲が良いママ友だと思っていました。一緒に委員になったので、愛子さんともっと交流を図りたいと思い、個人宛にLINEでメッセージを送ったんですが、未読スルーが続いたんです。ひどい時には、2日後に既読がつくことも……。彼女は忙しいから仕方ないと思っていたものの、PTAのグループのほうにはすぐ返事をするんです」

 

 真奈美さんは、運動会の振替休日の日に愛子さん親子と一緒にランチに行きたいと考えていた。しかし、お誘いメッセージをしても、未読スルーが続いた。

 

「しばらくたって『予定が決まったら連絡をするね』という返信があったんですが、それから3日くらいたっても何も言ってこなかったので、また『今度の月曜日のランチはどうする?』と送ってみました。でも未読スルーのままだったんですよね」

 

◎未読スルーのママ友に運動会で遭遇! 向こうは悪びれた様子もなく

 

 しかし、愛子さんは、学級委員会やPTA役員とのグループはきちんと既読をつけていたという。

 

「愛子さんは返信こそしていないものの、既読の数はグループの人数と一致していました。これってつまり愛子さんは、LINE自体は見ているけど、私のメッセージの返信は後回しにしているってことですよね。自分は優先順位が低いのかな……と気になりました」

 

 結局、5日間未読スルーの状態のまま、運動会で愛子さんと顔を合わせたという真奈美さん。

 

「向こうは悪びれた様子もなく、『こんにちは』と話しかけてきました。未読スルーしてることにも気づいてないのかなと思ったのですが、『月曜のランチはどうする?』と聞いてみると、まずいなあという表情で『あ、ごめん。予定があるんだ』と言われたんです」

 

 真奈美さんは、この時の愛子さんの態度を振り返り、こう感じたという。

 

「ママ友同士のやりとりで、未読スルーは何日まで許せるのかと考えたんですが、翌日くらいまでじゃないかなって思うんです。いくら忙しくてもスタンプだってあるし、なにか返信するのが暗黙のルールではないんでしょうか。それができなくても、せめて既読くらいつけてくれればいいのに」

 

◎ママ友ウォッチャーが解説!
PTAのLINEでもスタンプ返信は普通

 現代のママたちは、日々マルチタスクをこなすようにLINEをチェックしている印象がある。いろんなママ友グループからの通知がひっきりなしに届き、返信が追いつかず、「ドラマの感想や出かけた報告などを送り合うようなグループの通知は切っている」という話もよく聞く。しかし、子どもの学校や習い事にまつわる連絡が交わされるグループのやりとりは、やはり一通りざっと目を通さなければいけないだろう。

 

 ママ友とのLINEをめぐる行き違いは、人によってレスの速さや頻度が異なるというのが原因の一つだろう。家事や仕事の合間にLINEを見ているママもいれば、就労中はいっさいスマホに障れないママもいる中、お互いの状況を把握していないと、「全然既読がつかない」「やたらLINEしてくる」などと不満が溜まりやすい。

 

一方、今回の真奈美さんの件はどうだろう。真奈美さんは、愛子さんがフルタイムで働いているという事情を知っているため、未読についてもある程度理解はしていた。ただお互いの「未読/既読に関するルール」が違っていたように思う。

 

 愛子さんは、真奈美さんからのLINEは未読スルーなのに、学校関係のグループだけは既読をつけていた。もしかしたら、返信をしていない状況は、未読でも既読でも同じと思っていたかもしれない。一方、真奈美さんは未読と既読は異なると考えていた。そこですれ違いが生じたように思う。

 

LINEのメッセージを未読のまま放置しておくのは、何かしらのトラブルの発端になる。相手に「もしかして嫌われたのではないか」「なにか返せない事情があるのではないか」と心配を掛けてしまうこともあるだろう。返信できないからと未読にするより、いったんは既読をつける必要はあるといえ、真奈美さんの言う暗黙のルールは正しいように感じた。

 

 ちなみに「既読をつけたら、すぐにちゃんとした返事をしなければいけない」と思い、なんだかんだ未読にしてしまうというケースもあるが、ママ友は仕事の関係者ではないだけに、そこまで徹底しないでもよいと思う。最近はPTAのLINEグループでも、スタンプで返信をするママは普通にいる。何かと忙しい現代のママは、返信用スタンプを常備しておくのも手かもしれない。

 

 ママ友は生活圏が近いので、未読スルーしていた相手に近所でばったり遭遇なんてケースは珍しくない。ママ友とぎくしゃくしないためにもLINEの未読スルーには気をつけたほうがいいだろう。

中学受験、大手塾を辞めたのは間違い? 家庭学習で合格した私立の「大学進学実績」に不安

 “親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

 中学受験の弊害に、「小学校生活が勉強一色になってしまう」ということがある。確かに、大手塾に通い中学受験を目指す場合、小学6年生は週に4日は通塾、週末は模試や振り返りテストなどに追われることになる。長期休み中ともなると、それこそ朝から晩まで勉強漬けという暮らしをしている子も少なくないのが現状だ。

 加えて、子どもたちは常に偏差値という数字で、今現在の自分の立ち位置を突き付けられる。毎週のように出てくる数字のアップダウンに一喜一憂しているご家庭は多いものだ。

 かつて中学受験生の母だった啓子さん(仮名)は、もともと「中学受験賛成派」ではあったものの、このシステムには「反対派」。現在、高校1年生の一人息子・大樹くん(仮名)には、もっと伸び伸びと小学校生活を楽しんでほしいと望んでいた。

「はっきりいって、今の公立教育には期待できません。それゆえ、早い段階から私立中高一貫校に行かせたいと思っていました。でも、塾に長時間拘束されて、一度しかない子ども時代を過ごすのは違うという思いもあったんです」

 大樹くんは、5年生の年末までは中学受験専門塾に通っていたそうだ。その後、その大手塾を退塾し、家庭学習だけで中学受験に臨んだという。

「退塾の理由は、親子ともども塾の方針についていけなくなってしまったからです。塾からは当然のように、通常クラスのオプションとして、さまざまな講座を勧められ、5年生の年末年始にも冬期講習の案内が届きました。私も息子も『そこまでする必要ない』という考えだったので断ったところ、室長に『このままだと成績は伸びませんよ』って言われてしまい……。でも、子どもが楽しみにしている行事が満載の年末年始まで、塾に缶詰にならないと合格できないなんて、そんな中学受験を受けるべきなのだろうかと、疑問を抱くようになったんです」

 そこで啓子さんは、大樹くんを「新タイプ入試」という方法で受験させることにしたそうだ。

 「新タイプ入試」とは、今はやりの受験で、「思考力・判断力・表現力」のポテンシャルを合否基準にする選抜方法を指す。自分なりの考え方を発表することに重きを置いており、小学校で学んできた基礎的な教科試験や作文、面接などを組み合わせて行われることが多い。学校によって、さまざまな入試形態があるが、従来型の知識の深さを問う入試ほどには塾漬けにならずに済むというメリットがある。

「『新タイプ入試』の存在を聞いた時、『これだ!』って思いましたね。この選抜方法であれば、塾に長時間拘束されずとも、上質な教育をしている私立中学に行かせられるので、迷わず退塾させました」

 そして、大樹君はプレゼン型入試を実施している学校を受験し、合格。現在、その学校の高1である。ところが、啓子さんはここに来て、その選択に自信がなくなってきたと打ち明ける。

「大樹の学校は、いい学校だとは思います。ただ、偏差値はお世辞にも良いとはいえません。当然ながら、大学合格実績も芳しくはないです。学校側は入学前の説明会で『プレゼン型入試の子たちは伸びる力があるので、うちに任せてくれたらMARCH以上の大学に合格させます』と大見栄を切っていたんですけどね。学校の思惑とは裏腹に、今年の実績も良いとはいえませんでした……」

 啓子さんによると、成績上位の子たちは中学受験で一般入試を突破して入学した子たち。しかも、高偏差値校を不合格になった子が多いのだそうだ。

「特進組は、中学受験で基礎学力をしっかり付けてきた子たちで占められていて、『大学受験はリベンジしたい』という強い思いを持っているんです。実際、良い大学に行くのは特進組の子だけ。考えてみれば、大樹は勉強らしい勉強もせず、今の学校に入ったも同然で、高校受験もない。大学受験も“何とかなる”くらいな感じで、勉強する素振りはなく、当然、普通クラスに在籍しています」

 さらに最近、啓子さんは中学受験塾時代のママ友たちから他校の様子を聞き、落ち込んだという。

「大手塾で入試まで頑張り、4科受験をした子たちは、それぞれが高偏差値の学校に入学。もちろん、どこも目を見張るくらいの大学合格実績のある学校です。先生方が大学入試に熱心なのはさることながら、生徒も受験勉強に慣れているからなのでしょう。それに、親子ともに、中学受験の延長線上に大学受験を見据えている感じをヒシヒシと感じて、急に自分の選択に自信がなくなっちゃったんです。やっぱり、大学受験は、今も詰め込み型教育を受けてきた子たちが優位なんですね」

 啓子さんはそう感じているようだが、大学受験が、従来型の学力試験を経て中高一貫校に入学した子に有利ということはない。当然ながら、中学受験の選抜方法よりも、その後の各人の努力の差によるところが大きい。

 しかし、啓子さんの言いたいこともわからなくはない。今現在の日本の大学受験は「塾歴社会」とも呼ばれている。高学歴を手に入れようとするならば、中学受験塾に通って高偏差値の中高一貫校に入り、そのまま大学受験専門塾に通うというのが、ある意味、スタンダードな方法だからだ。難関大学進学は、この小学生からの「塾漬け生活」に耐えられた(あるいは楽しめた)者だけが手にできる栄冠という見方も、できなくはないのが現実だ。

「私たち親子は中学受験のつらさから逃げただけなのかもしれません。“たられば”ですけど、あの時、塾を辞めずに受験にまい進していたら、また違った結果になったのかなぁと思って、最近、よく眠れないんです」

 大樹くんの大学受験がどうなるのかは現時点では何ともいえない。啓子さんの選択が本当の意味で良かったのか悪かったのか、その判定を下すにはまだ早すぎるだろう。

 しかし、啓子さんの話を聞きながら、子育てとは、つくづく難しいものだとため息をついてしまったのも事実である。

 良かれと思いながら子育てに励んでも、親も人間。時として“過去の選択”に悩み、自信をなくしてしまうこともある。個人的には、その気持ちも子育ての一環。その時、一生懸命に子どものためを考えて下した決断ならば、それが一番良かったのではないかと思う。しかし、進学後に、“たられば”にとらわれてしまう親がいるのも、中学受験の一側面であることは頭に入れておくべきなのかもしれない。

中田敦彦は、なぜ粗品を味方と勘違いしたのか? 彼が「愛される悪役」になるために足りないもの

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

<今回の有名人>
「一応、社交辞令で『見てます』って言ったよ」霜降り明星・粗品
『霜降り明星のオールナイトニッポン』(6月2日、ニッポン放送)

 オリエンタルラジオ・中田敦彦が自身のYouTubeチャンネルで、ダウンタウン・松本人志に対して、『M-1グランプリ』など、大きなお笑い賞レースの「審査員ちょっと何個かやめてくれないですかね?」と“提言”してから十日あまり。予想通り、中田は多くの芸人から叩かれた。中田がなぜ急に松本批判を始めたかはわからないが、芸能人としては、自分のしたことが世間サマにスルーされるより、騒がれるほうがいいだろう。中田砲第1弾は、成功したといえるのではないか。

 今回の件で、すっかり「悪役」が確定した感のある中田。しかし、悪役というのは独特の魅力があるものだし、かつて悪役レスラーだった北斗晶は『5時に夢中!』(TOKYO MX)において、「悪役がちょっといいことをすると、本当はすごくいい人なんだと思われるからトク」と、そのメリット を明かしていたことがある。悪い部分を強調するほど、いい人の部分が光るという意味でも、やはり悪役はおいしいのだろう。

粗品、中田敦彦への「YouTube見てます」発言は「社交辞令」と断言

 しかし中田は、悪役になるには、ちょっと足りないものがある気がする。

 松本批判の動画の後半、中田は「これ見てる粗品くん、どう思う?」と霜降り明星・粗品を名指しし、「最近ね、俺のトークチャンネルをすごく見てくれてるらしいんですよ。粗品くんが。すごくうれしくて。粗品くんなんて全部獲ってるでしょ。『M-1』も獲ってさ、で、『R-1』も獲ってます? でねぇ大喜利だって強いんだし」「まぁ、言えないよね。吉本から数千万借りてるから言えないでしょ」「だから、粗品くん、俺代わりに言うわ。松本さん、審査員やりすぎですよって」「ごめん、俺の意見だわ(笑)。粗品くんは関係ない。とばっちりでした」とオチをつけた。

 中田はおそらく、粗品は吉本興業系列の金融会社・よしもとファイナンスから借金をしている事情から、同社トップタレントの松本への批判を公言できないが、本当は自分の味方なんだぞと訴えたかったのだろう。

 が、6月2日放送の『霜降り明星のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)によると、真相はちょっと違うようだ。粗品は「それは言ったで、中田さんに。初めて会った時に『YouTube見てます』って。一応、社交辞令で『見てます」って言ったよ」と、よくある初対面のあいさつとして「見てます」と言ったまでで、中田を芸人として面白いと思いつつも、ほかの芸人を敵に回しても応援するほどの思い入れがある先輩ではないことを明かしていた。

 人はオトナになると、社交辞令を言うようになる。初対面で何を話したらいいのかわからない時、雰囲気を和らげるため、また相手を喜ばせるために、それほどその人の仕事について知らなくても「いつも見ています」くらいのことを言うし、言われたほうも「いつもじゃないだろ」と思いながらも、「うれしい、ありがとう」と返す――これは日常的にあることだ。 真実でないことを言うのは、ウソだと言われてしまえばそれまでだが、人を陥れようとか騙そうという意図はないわけだから、これは罪のないウソだろう。

 中田は、こういう社交辞令もしくは罪のないウソと、本気の発言を見分ける能力が足りないような気がする 。愛される悪役というのは、少ないながらも忠誠を誓っている味方がいて、本人が自分自身を犠牲にしてもその味方を守るというセオリーがあるが、社交辞令を真に受けてしまうようでは、本当の味方を見つけることができないだろう。

 それでは、どうして中田は社交辞令や罪のないウソと、本気の発言の見分けがつかないのだろうか。それは、中田自身が“条件”で人を判断しているからではないか。

 中田は粗品について語るとき、『M-1グランプリ』『R-1ぐらんぷり』の覇者であることを挙げている。中田自身がこういう業績にこだわり、そのブランド保持者に “片思い”をしているからこそ、粗品に「YouTube見てます」と言われ、望外の喜びを感じてしまい、「俺も好きだと思っていたが、向こうも好きでいてくれたんだ」とやや自分に都合よく解釈してしまったように思うのだ。

 お笑いコンビ・マヂカルラブリー・野田クリスタルは、中田の松本に対する一連の発言について、「(中田は)誰よりも(松本を)神格化してるのかなって思っちゃったんだけど」と語っていた。誰も傷つけない、いい答えだと思うが、私は、中田はお笑いに興味があるわけでもなく、松本本人に憧れているわけでもなく、ただ、人がひれ伏すブランドが欲しいだけなのではないかと感じる。

 一般人の間では、それは学歴とか年収だったりすることが多いが、お笑いの世界に身を置く中田の場合、賞レースのチャンピオンの座がそれに該当し、なぜ自分はそれが手に入らないのか、そうだ、審査員が同じ人だからいけないんだ、審査員が変われば俺だって認められるのに……というふうに、“逆走”したのではないだろうか。

 誇大妄想が止まらない、ブランドの有無によって人の上下を判断してしまう 、社交辞令などの暗黙の了解がわからないなどで、本気で悩んでいる人は、専門家に相談してみたらどうかと思う。ただ、中田の場合、その性質は芸能人として、メシのタネになり得るから、どんどん前に押し出せばいいのではないか。しかし、どんな人にも、味方は必要だ。家族を大事にして“帰る場所”を確保した上で、大暴れしていただきたいものだ。