歴史エッセイストが朝ドラ『らんまん』主人公の“伝説的なクズ性”を暴く!

国民的ドラマといわれるNHKの連続テレビ小説、通称「朝ドラ」。今期は天才植物学者・牧野富太郎をモデルにした『らんまん』が放送中だが、どうやらドラマでは描かれないヤバいエピソードを持つ人物のようで……。『本当は怖い世界史』(三笠書房)『あたらしい「源氏物語」の教科書』(イースト・プレス)などの著者、歴史エッセイストの堀江宏樹氏が朝ドラ『らんまん』主人公の実像をひもとく!

 <性(せい)の力の尽きたる人は/呼吸(いき)をしている/死んだ人>――これは、NHK朝の連続テレビ小説『らんまん』主人公のモデルの天才植物学者・牧野富太郎が、晩年に詠んだ川柳です。性の方面が枯れても平気な高齢者、もしくはそれを良しとする風潮に対し、真正面から「NO!」を突きつけているのですが、牧野の人生を象徴する言葉のように思えてなりません。

 その出自については、土佐(現在の高知県)の地に生まれ、「幼い頃に両親を亡くし、小学校の勉強に飽きて2年で自主退学した富太郎にはほとんど友人らしい友人もおらず、植物に囲まれ暮らしていました」とされ、本人も「私はよい暮らしにも、よい女にも興味がない、植物だけが愛人」という趣旨の発言もしています。ところが、彼の人生を大きく突き動かす原動力は「性」でした。

 「性」という漢字は、「せい」だけでなく「さが」とも読みますね。牧野の「性」は、「さが」が6割、「せい」が4割といったところでしょうか……。

『らんまん』主人公、快楽に溺れる“恐るべき性”

 「ケチは植物学者にはなれない」と語った牧野は、湯水のように金を費やして研究に没頭したといわれます。しかし、彼が後に数億円もの借金を作った理由は、研究費のためだけではなく、質のよい衣服、音楽、高級旅館での生活など、彼好みのライフスタイルを送るためでもあったようです。

 そういった貴族的な快楽の誘惑を前にすると、牧野の中からあらゆる倫理感と義務が蒸発してしまい、実家の造り酒屋「岸屋」の資産を使い込んで破産に追い込むことや、借金取りに怯える妻子と瀕死の我が子を放置するといった、世間的な悪行のすべてがどうでもよくなってしまうようなのです。これが彼の恐るべき「性(さが)」のひとつでした。

 もう一つの「性(せい)」については、寿衛(すえ)夫人との間に13人もの子どもを作り(成人したのは7人)、晩年、寝たきりになっても壁に貼られた彼女の写真を眺めていた牧野が「浮気をした形跡はゼロ」と語る書物もあります。

 しかし、大正初期の段階で10万点もあったという、牧野お手製の「植物標本」だけを担保に、3万円もの借金を肩代わりしてくれた、年下のパトロン・池長孟(いけなが・はじめ)と断絶したきっかけは、セックス絡みの悶着でした。

 大正当時の3万円は、日本銀行で確認できる企業物価指数をもとにすると、現在の3000万円程度ですが、「現在の金額に換算すると、六、七千万円とも、一億円ともいわれる(鷹橋忍『牧野富太郎・植物を友として生きる』)」という説も。利子すら支払えなくて、研究道具はおろか、家財一式すべて債権者に取り押さえられている状態でした。

 つまり、牧野が公言する「私はよい暮らしにも、よい女にも興味がない、植物だけが愛人」という言葉は彼の理想にすぎず、まったく事実を反映していないのです。

色街で使い込み、メイドにセクハラ

 池長が肩代わりしてくれたため、借金の重圧から解放された牧野は、神戸の色街として有名だった福原地区の安女郎屋・長谷川楼に入り浸り、「数百円(=現在で数百万円とも)」も使い込んでしまいました。

 さらに牧野が神戸に滞在する際、使用を許されていた池長家の別荘において、メイドに「よからぬ行為(=セクハラ)」に及んでいたことまで判明し、牧野は窮地に追い込まれます。

 この時、牧野は50代後半で、当時では高齢者の域でしたが、その「性」の力の凄まじさには驚くばかり。ある証言によると、90歳の時に60歳くらいに見えたし、彼女もいたといわれる牧野ですから、本当に50~60代だった頃は、完全現役で「性」のニオイが漂う男であったのだと思われます。

 牧野の「性」の逸話は、その性欲のすごさのわりには女性スキャンダルが珍しいという不思議な印象があるのですが、数少ないスキャンダルについては「たまたま女性絡みの事件がいくつかあった」というのではなく、ほかにもその手の事件は起きていたのですが、牧野の周辺が巧みに揉み消せていただけではないか……などと筆者には疑われるのです。

 若い頃は、デビュー当時の氷川きよしさんにもう少し野性味を加えたような美少年・牧野がモテたことは想像に難くありません。しかし、おなかが出て、髪も薄くなった中年以降は、ビジュアル的には美中年、美老人とはとてもいえず、それでもなお第一線の色男として振る舞い続けられたのは、写真には残せない要素――たとえば生まれつきのフェロモンが甘い蜜の香りとなって、なおも匂い立っていたからかもしれません。たしかに牧野はいくつになっても笑顔が可愛らしく、女たちから磨かれてきた色男としての片鱗は写真の中からもうかがえるようですが……。

 茶目っ気とサービス心にあふれ、周囲を喜ばせるようとする言動が多かったという牧野。

 そんな牧野による女性の籠絡は、幼年時代、祖母・浪子を相手にはじまったようです。

 亡くなった両親の代わりに、牧野を育てた浪子から溺愛された後は、いとこで、形だけの妻となった猶(なお)、次には14歳の若さで彼から見初められ、「妻」となった寿衛(すえ)……人生の多くの段階で、女たちから溺愛される宿命の牧野は、彼にすべてを捧げる女たちから守られつづけました。

 それゆえ、彼は「金もないのに豪華な生活をしてはいけない」とか「自分を好いてくれる女たちをボロ雑巾のように扱ってはいけない」とかいった世間一般の良識がまったく理解できなかったのかもしれません。いや、そういうことが理解できない天衣無縫な彼だからこそ、ある種の女たちは牧野富太郎という「悪の華」の蜜に毒され、離れられなくなってしまったのかもしれませんが……。

 周囲をまきこむほどの抗いがたい「性」の力に突き動かされた植物学者・牧野富太郎は、のちに「日本の植物学の父」と呼ばれることになり、「ムジナモ」のほかにも数々の新種植物の発見、そして50万点にも及ぶ植物標本、さらには膨大な観察記録を反映した『牧野日本植物図鑑』などの著作を残した巨人として、歴史に名を残しました。

 牧野富太郎に振り回された女たちの血と汗と涙は、彼の仕事を見る限り、大輪の花として開き、結実したともいえますが、その私生活を覗き見ると、牧野が伝説的なクズであったことはあきらかです。

 あまりに無茶苦茶であるがゆえ、ある意味、あっぱれともいわざるを得ませんが、そんな牧野のパワフルすぎる素顔を、次回から振り返っていきたいと思います。

ぱーてぃーちゃん・信子と金子きょんちぃの“無礼芸”に考える、ギャルタレントの条件

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

<今回の有名人>
「お前ら、もっとやったらいいのになって」ぱーてぃーちゃん・金子きょんちぃ
『さんまのお笑い向上委員会』(7月15日、フジテレビ系)

 昨今、テレビの世界で、ギャルタレントは重宝されると思う。若者のはやりをつかむことに長けているし、大御所を前にしても、ひるまずズバズバ物を言うのが、痛快だと思う視聴者もいるだろう。

 しかし、一方で安易にギャルを前面に打ち出すと、芸能人としての寿命が短くなりかねない。特にぱーてぃーちゃんの信子と金子きょんちぃを見ているとそう思う。

 信子、金子きょんちぃ、すがちゃん最高NO.1のトリオであるぱーてぃーちゃん。信子ときょんちぃはギャル、すがちゃんはチャラ男キャラで、ここ最近、バラエテイ番組への露出が増加中だ。

 そんなぱーてぃーちゃんのエピソードトークは、ある程度パターン化されている。まず、すがちゃんが「怒ってもらいたいことがある」とMCに振る。内容は、大御所芸能人に対する信子の無礼だ。

 例えば、6月24日放送の『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)では、信子かテレビ局の喫煙室でばったり出会った初対面のモト冬樹に、タメ口で「あたしって人見知りなんだよね」と話しかけたというエピソードを披露。

 また7月4日放送の『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)では、信子が大ファンである女優・吉瀬美智子と共演することになり、楽屋へあいさつに出向いたところ、テンションが上がってしまった信子は、あーっと雄たけびを上げ、「んーチュッチュッチュッってやったの」と唇をとがらせたことを明かしていた。

 ちなみに、後者の番組では、MC・明石家さんまが「お前、ほんまにあかんで」と、先輩に対してそのような態度を取ることはいけないと信子をたしなめたが、当の本人は悪びれた様子もなく、「なるほどね」と言ってトークを締めていた。

 そんな無礼ぶりをネタにされる信子だが、『上田と女が吠える夜』(同)では、きょんちぃから、実は本番前に台本をものすごく読み込んでいる――つまりとても真面目なタイプであることを暴露されていた。先輩に対してタメ口をきき、失礼な態度を取ることで笑いを生むというのが、彼女たちの“持ち味”だけに、もしかしたら信子はそのキャラを維持するため、“大真面目”に無礼を働いているのかもしれない。

 信子の芸風が成り立っているのは、ハラスメントへの意識が高まる中、先輩が後輩に怒った顔を見せると、「パワハラ」と批判されかねないという世相もあるのだろう。彼女がいくら失礼な態度を取ろうが、たいていの先輩は笑って流してくれていると思う。

 しかし、信子のネタは、ギャルというより、「ただの失礼な奴」ではないだろうか。ワンパターンすぎて、見ている側もだいたい展開が読めてしまうし、このネタを振られた司会者も「お前、ほんまにあかんで」以外言いようがないので、話が広がらない。やはり、いろいろな意味で、早く飽きられてしまう気がする。

ぱーてぃーちゃん・金子きょんちぃの無礼発言に堀内健らが“沈黙”するワケ

 もう一つマイナス面があるとしたら、同業の先輩からのウケが悪くなることだろう。

 7月15日放送『さんまのお笑い向上委員会』には、トリオではなく、きょんちぃが一人で出演していた。彼女は、この日のゲストであるアインシュタイン・河井ゆずるのファンで、「最近の推しがゆずるさんで、それをスタッフさんに言ったら、『あ、じゃあ、おいでおいで』(と言われた)」そうだ。

 前回の放送で、ゆずるは、エルフ・荒川ら後輩から「お笑いでなく美容に熱心すぎる」と指摘されていたが、ゆずる推しのきょんちぃは「何がいけないの?」と感じるそうだ。「40超えてきったないおじさんとかいるじゃないですか」と出演者を手で示し、「出る側の人だから、気を使っているのをすごい叩かれていて……お前ら、もっとやったらいいのになって、すごい思った」と結んだ。

 マヂカルラブリー・村上が「お前らって誰に言ってるんだ」と声を上げていた一方、陣内智則やFUJIWARA・藤本敏史、ネプチューン・堀内健など、芸歴の長い芸人ほど、ツッコまずに、ただ半笑いでいたのが印象的だった。

 本来なら、後輩芸人の発言にどんどんツッコんだほうが盛り上がるはずだが、何か言うと「礼儀にうるさい先輩」と思われかねないため、厄介ごとを避けようとして、沈黙に徹したのではないだろうか。信子然りきょんちぃ然り、この無礼芸は別分野の先輩タレントには許されるかもしれないが、ことお笑い界の先輩には、“やりづらさ”を感じさせてしまうように思う。

 そもそも、見た目以外のギャルの条件とは、一体何なのだろうか。「ギャル=タメ口、無礼」のイメージは確かに強いものの、みちょぱやゆうちゃみ、藤田ニコルなど、ブレークしたギャルタレントは、むしろ「礼儀正しい」と言われていることが多い。

 ニコルは6月22日放送の『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)に出演した際、かつてギャル雑誌の撮影時、ロケバスの座席に上座下座があることを知らず、つい先輩の席に座ってしまって怒られたというエピソードを披露していた。

 ニコルといえば、大衆演劇のスター・梅沢富美男に「いい子だ」とベタ褒めされていたが、若いうちに、しっかり上下関係を叩き込まれたことは、芸能界に進出した後、プラスに作用したように思う。こうやって考えていくと、タメ口や無礼はギャルの証しとは言えない気がするのだ。

 ギャルとは、ギャルらしい見た目に加え、“頭の良さ”を視聴者に感じさせる人ではないかと思う。ギャルタレントはいわゆる高学歴でないことがほとんど。漢字が読めなかったり、ことわざを知らないなど、おバカキャラ的な一面もある一方、何かについて教えると、一番大切な部分を一瞬で理解できる力を持っているように感じる。彼女たちが「礼儀正しい」と評されるのは、「この場では礼儀正しさが求められる」ということを敏感に察し、すぐさま実行に移せるからではないか。ギャルタレントはそういった“感性”で勝負するものだと思う。

 信子ときょんちぃは、共に30歳前後と、年齢的にもギャルを標榜していくのはキツくなっていくだろう。人気があるうちに、次の手を見つけたほういい。おせっかいながら、そんなことを思ったりした。

メルカリ「メルカード」の還元率3.5%に衝撃! 約1万円のポイントをゲットできたワケ

――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 乗せられた……ああ乗せられた……っ!! 事の発端は、ステディがおしゃれに目覚めたことでした。彼は「万SAI堂」というリサイクルショップが好きで、よくそこでお買い物をするようになったんですよ。ブーツからはじまり、そのブーツに似合うジーンズを買い、そして別の洋服も……。気が付けば、全身万SAI堂で買ったアイテムでコーディネートできるようになっていました。

 いつも「わあい、3万円も安く買えた!」などと喜ぶステディを横目で見ながら、いいなあと思っていたんですよ。私もダメージジーンズが欲しいと物欲がむくむく湧き上がり、私もお店で良さげなジーンズを試着してみることに……!!

 しかし、ああ、しかしだよ、諸君。私の体重はいまや76キロ。メンズのXLサイズをもってしても入らなかったのだあ~~~~~(涙)!!

 そんなわけで、店を後にした私は、フリマアプリ・メルカリを開きました。メルカリといえば、以前、「メルペイ後払い」を選んで支払いし、1カ月しないうちに全額返そうと思っていたら、手数料が3,500円くらい取られることが判明。「もう二度とメルペイなんかで買い物しない!」と思っていたんです。

メルカリ「メルカード」でポイント約1万円分ゲット! ジーンズを購入することに

 でも、その後メルカードに申し込んだら、なななんと、前に24万円で買ったリングの支払いが、3.5%還元されたんです。なんかよくわかんないけど約1万円分もポイントがもらえたの! これ、すごくない!?!?!?!?!?

 メルカードは、年会費無料。メルカリでの出品・購入、メルペイでの支払い等の利用実績によって還元率が変化し、メルカリでの利用で最大4%、日常のカード利用で常時1%ポイントが貯まります。さらに、毎月8日はカード利用分の還元率が8%(上限300ポイント)加算され、貯まったポイントは、1ポイント1円として使用可能なの。ちなみに、還元率は年2回、4月1日と10月1日に再設定されるそうです。

 すっかり気をよくした私は、メルカリでジーンズを購入しようと思ったわけ。XLサイズ以上のダメージジーンズを検索していくと、「お!?」という一着に出会いました。それは「DSQUARED2(ディースクエアード)」というブランドのデニムジーンズ。なんといっても、ウエストサイズ92、股上28cmというところがいい! これなら、胸の下まですっぽり覆えて、なおかつ、サイズ感ぴったりよ!

 ただねえ、購入してから気づいたんだけど、裾幅が18cmもあるのよ。ちょっと太すぎるんじゃないのかね……。とりあえず、ドキドキしながら到着を待ちたいと思います。

【後日談】
 結局、そわそわして待っていたら、出品者さんから「新品だと思っていたら、裏側に汚れがありました」との連絡が。キャンセルするかどうか聞かれたので、2万7,000円を払うにはちょっと勇気が必要な買い物だと思い、今回は購入を見送ることに。

 そして、返品無料の通販サイト「ファーフェッチ」にて、2本ジーンズをお買い上げ。サイズ感がわからないからって、11万円分の買い物とは……やっぱり私って買い物狂いだなと実感したのでした。

■今回の出費
「ジーンズ」 約11万円

電子書籍『“買い物狂い”の散財日記2~借金300万でも尽きない物欲~』発売中!

 昨年9月に販売した電子書籍『“買い物狂い”の散財日記~千葉N子のリアルな家計簿大公開~』の続編となる『“買い物狂い”の散財日記2~借金300万でも尽きない物欲~』がこのたび発売いたしました。

 日々の散財っぷりはもちろん、Amazonで買えるおすすめ商品、さらに数あるコレクションの中から、“一軍ジュエリー”も写真つきで公開! 

 また、夫や家族、友人との面白おかしいやりとりなど、買い物時の出来事がユーモアたっぷりにつづられており、気持ちのいい買い物っぷりは、読む人に爽快感を与えてくれるはずです。Amazon Kindleストアでの独占販売となりますので、千葉N子ファンの皆様は、ぜひご一読ください。

発売元:サイゾー
発売日:2023年6月30日
価格:950円(税込み)

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Amazon Kindleストア https://www.amazon.co.jp/dp/B0C9QRTMYM

インター校からの中学受験は簡単ではない――英語コンプレックスを息子で解消しようとした母の告白

 “親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

 親は子どもの幸せを願い、そのためにあらゆる努力をするものだ。さまざまな進路を比較検討した結果、「この道をたどらせれば、きっと子どもの人生にプラスになるはず」と決断し、我が子を後押ししているという人は多いことだろう。

 これ自体は何の問題もない。強いて問題点を挙げるならば、子どもの特性を無視し、親が我が子に自らの“人生のリベンジ”を強要してしまうケース。その上に、“行き当たりバッタリ”感の強い教育が重なると、子への思いは届かなくなることが多い印象だ。

 現在大学2年生の息子を持つ渚さん(仮名)は、遠くを見てこうつぶやいた。

「何が悪かったんですかね。私はただ、息子の岳(仮名)の未来に良かれと思って選んだだけなのに……」

 岳君はプリスクール(未就学児を対象に、英語教育を行う施設)育ち。その流れでインターナショナルスクールに入学したそうだ。当時、「今後は世の中がますますグローバル社会になる」と言われており、それならば、息子には小さい頃から、英語力と国際感覚を身につけさせてあげたいという親心から、この進路を決めたそうだ。

「私は若い頃、海外に憧れてはいたんですが、金銭的に留学なんてできませんでした。じゃあ、独学で語学を学ぼうとなれば良かったものの、そういう覚悟もなく……一応、女子大の英文科を卒業しましたが、ほとんど英語は話せずじまいで、正直、コンプレックスがあります。夫も英語はからっきしなので、『岳だけは英語を!』って思ったんです」

 両親が日本人の場合、インターに通わせると、セミリンガル(ダブルリミテッド)になりやすいという話をよく聞く。これは、日本語と英語を使用する環境の中、どちらの言語ともに年相応のレベルに達していない状態ことを指す。将来的に論理的に物事を考えられなくなる可能性もあるだけに、重大な問題といえるだろう。

「もちろん、そのリスクは承知していたんですが、インターにいる日本人の先輩ママたちに聞くと『大丈夫』という答えばかりだったので、信用していました。でも、それが甘かったんです。やっぱり、家庭での支えが必要らしく、ふたを開けてみたら、家庭教師や塾を利用して、英語や日本語を含めた我が子の不得意分野を補習している人ばかりで……。思えば、ウチは何にもやっていなかったんですよね」

 プリスクールは、英語教育を行うと謳われていたものの、先生は日本人のほうが多い環境だったため、岳君は日本語を駆使。しかし、それなりに楽しく通っていたそうだ。岳君の学校生活に暗雲が垂れ込め始めたのはインター入学後、日本の一般的な小学校でいうところの4年生の頃だった。

「岳が『学校に行きたくない』って言い出したんです。それで原因を探ったら、帰国子女の子にずっといじめられていたことがわかりました。インターってやっぱり、自己主張が強い子の意見が通りやすい面があるんですが、岳はその子の言いなりになっていたらしく……。ほかの子や先生に助けを求めたくても、周りはほぼネイティブですから、岳の語学力ではうまく表現できなかったようで、黙ることでしか対応できなかったんだと思います」

 さらに、渚さんに追い打ちをかける事態が発生した。それは、中学受験塾の入塾テストに落ちたことで判明したそうだ。

 渚さんによると、インター校にいる日本人生徒の多くは、中学に進学する際、地元の公立中ではなく、中学受験をして私立中に行くか、そのままインター校に通うかの選択をすることが多いらしい。そこで渚さんは、小4時での中学受験塾デビューを見越し、試しに入塾テストを受けさせたのだという。しかし――。

「テスト結果を見て仰天しました。岳が完全にセミリンガルになっているということがわかったんです。インターは、算数や理科のレベルが低いとは言われていたので、それはある程度は覚悟していたのですが、国語も壊滅的な成績で頭を抱えました。日本語も英語もどっちも中途半端にしか理解できていないという事実に打ちのめされましたね」

 日本のインター校の多くは、学校教育法上の「一条校」には入らないので、扱いとしては各種学校か無認可校となる。中学受験を経て入学する中高一貫校は「一条校の卒業」を条件にしていることが多く、帰国生は話が別だが、インター校の生徒は、そもそも志望中学に受験資格があるのか否かを丁寧に見ていかねばならない。

 現在は、インター校でも受験資格ありを謳っている中学も複数出てきてはいるが、岳君が中学受験を受けた頃は、ほとんどない時代だったと記憶する。

 結局、渚さん親子は「一条校の卒業」という条件を満たすため、インター校を辞めて、日本の公立小学校に転校。岳君が小5の頃だったそうだ。

「本人もインター校にはもう通いたくないと言っていたので、それじゃあ、日本の学校に転校して、中学受験をしようという話になったんです。入塾テスト前後は家庭教師をつけて、必死に頑張らせました」

 ところが、日本の公立小にも、岳君はうまくなじめなかったそうだ。

「うまく説明できないんですが、インターと日本の学校教育は大きく違うんです。インターで良しとされることが、日本の小学校ではダメみたいな……。それが、明文化されておらず、先生から、いわゆる“空気読め”的な対応を取られたようで、公立小にはほとんど通えず。岳は中学受験塾にだけ通う状態になっていました」

 岳君はその後、進学校とされる中高一貫の男子校に入学する。

「その頃の岳の夢は『医者』だったので、医学部に強いとされる一貫校に入れたんですが、そこがまた結構、厳しい学校でして、岳には合わなかったんだと思います」

 一口に私立中高一貫校といっても校風はさまざま。「公立よりも自由」というイメージを持つ人もいるだろうが、実際には、提出物や遅刻に厳しく、生徒からすると「窮屈だ」と感じる学校も少なくないのだ。

「それでも、中学では生徒会に立候補して、『俺が校則を変える!』と大きなことをブチ上げていたんですが、先生の逆鱗に触れ、目を付けられるように。また部活の先輩・後輩の序列がまったく理解できなかったみたいで、そのこともあり、部活も辞めました。学校には行っていましたが、当然、成績も悪かったです。まあ、英語だけはプライドがあるのでしょうかね……そこそこマシな点数でしたが、だからと言って、高偏差値大学のレベルには到底及びませんでした」

 結局、岳君はその中高一貫校を卒業。渚さんいわく、「日本の三流よりも下の大学」(大学名を教えてもらえなかった)に入り、現在、2留中だそうだ。

「同級生たちは就活の準備で忙しいようなんですが、岳はどこ吹く風で……。家にいても、私や夫とはまったく口をきかないので、何を考えているかもわかりません。岳のために、良かれと思って選択してきたつもりですが、親の思う通りにはいかないものですね」

 両親がネイティブではない場合、インター校で英語のコミュニケーション能力を磨き、グローバルな活躍を目指すという道は相当ハードだが、筆者は、インター校を選択するのであれば、基本的には海外の大学への進学を念頭に置くことをおすすめしている。

 やはり、日本の難関大学に進むべく、インター校から高偏差値中高一貫校へ進学する道は簡単ではないし(英語入試にかけるならば別)、今は中学受験も少しずつ多様性が出てきたものの、いまだに多くの学校では、受験生に処理能力を問う選抜方法を取り入れているからだ。

 結局、子育てには「親の良かれ」が大きく影響する。親も人間なので、自分が得られなかったものを、子どもに得てほしいと願うのも無理からぬことだが、そこには長期的展望が必要だと思う。「定番」と呼ばれるルート(ここでいえば、公立小から公立中に進学すること)から外れる道を選んだ場合、親には相当な覚悟が必要なことは言うまでもない。子どもの進路に迷う親御さんに、このことだけはお伝えしておきたい。

『あざとくて何が悪いの?』終了報道、富豪の妻になった弘中綾香アナが気をつけるべきこと

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

<今回の有名人>
「社会的評判を落とす」テレビ朝日・弘中綾香アナウンサー
『あざとくて何が悪いの?』(7月16日、テレビ朝日系)

 『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日系)は、南海キャンディーズ・山里亮太と女優でフリーアナウンサーの田中みな実、テレビ朝日の弘中綾香アナウンサーの3人が、ゲストとともに、世の男女の“あざとさ”について語り合うという番組だ。

 7月10日付の「スポニチアネックス」の記事によると、同番組は秋の番組改編の時期にレギュラー放送を終了することが決まったという。その理由の一つは、弘中アナが産休に入ること。同記事には、「弘中さんのキャラクターは番組に不可欠な存在。唯一無二の役割を担っていたため産休と同時に番組もいったん休むことになる」という関係者の証言も寄せられている。

 視聴率が振るわなくて番組が終了になるという話はよく聞くが、「出演中の社員が産休に入るから、番組もいったん終わり」とは聞いたことがない。弘中アナといえばオリコン調査の「好きな女性アナウンサーランキング」で4年連続1位を獲得するなど、テレビ朝日のエースアナウンサーなだけに、局が彼女をいかに大事にしているかが伝わってくる。

 まぁでも、弘中アナの産休とは関係なく、番組の続行は難しかったのではないだろうか。

 この番組で扱う“あざとさ”は、独身女性が男性に対して発動するものが多い。明石家さんまがMCを務めた『恋のから騒ぎ』(日本テレビ系)に代表されるように、女性が同性のあざとさや計算高さをあげつらう番組は昔からあるが(ちなみに『から騒ぎ』の場合は、さんまが「ええやないか、それで。かわいいやないか」というふうに、ズルい女性を肯定し、女性陣と対立する構図までショーとして見せていた)、ここでポイントの一つになるのは、同性のズルさをあげつらう女性の属性ではないだろうか。

 というのも、「あの子はズルい!」と言う人が、自分もズルをしていたり、もしくは極端に恵まれた立場にいる場合、視聴者の共感を呼べないだろう。真面目に生きて、ちょっと損をしているくらいの人が“告発”するからこそ、視聴者を「本当にその通りだ」と納得させられるわけだ。

 弘中アナは、2022年に資産30億ともいわれるベンチャー企業の社長と結婚している。結婚は弘中アナのプライベートに関することであり、本来、配偶者のプロフィールが彼女の仕事に何らかの影響を及ぼすことはあってはならないが、そうはいっても、彼女が“富豪の妻”であることを知っている視聴者は多い。

 となると、たとえ仕事とはいえ、弘中アナが「ズルい、あざとい!」と独身女性を斬っていくと、「富豪の妻の上から目線」と、彼女に反感を抱く人も出てくるだろう。人の視点は環境とともに変わるものだから、独身である田中は“現役”として、独身女性のあざとさを語れても、弘中アナのコメントはインパクトがなくなり、番組自体が盛り上がりに欠けてしまう可能性もある。そういう意味で、『あざとくて何が悪いの?』は“潮時”だったのかもしれない。

 そんな弘中アナは、自身の立場をあまり客観視できていないと感じる言動が目立つ。

 7月16日放送の同番組では、「先輩を踏み台に本命を嫉妬させる恐怖の後輩」のあざとエピソードを紹介していた。女性Aが合コンで「いいな」と思った男性Cと連絡先を交換した。すると、その合コンに連れて行っていってほしいとせがんできた後輩Bから、「Cさんのことをいいと思っていないのなら、応援してほしい」と職場の皆がいるところで頼まれてしまう。女性Aは圧に負けて、後輩Bに男性Cを譲ることにした。

 そんな中、女性Aの同期である男性Dは、後輩Bのガツガツした様子に対し、「意外だわ」と驚いていたが、のちに彼が後輩Bと交際しだしたことを知る。実はこの後輩B、男性Dにもアプローチしていたのだ。男性Dは、後輩Bが合コンに行ったり、ほかの男性と親しくしていることから、焦って交際を決めたそうで、つまり女性Aは、後輩Bに裏切られたというか、うまく使われたわけだ。

 このエピソードを受け、山里から「裏切られた時、どうする?」と聞かれた弘中アナは、「私は(裏切られた話を)言います、いろんな人に」「社会的評判を落とす」「向こうの会社とかにメールする」と復讐するタイプであると明かしていた。

 昨年、元参議院議員のガーシーこと東谷義和氏のYouTubeチャンネル「東谷義和のガーシーch【芸能界の裏側】」が大人気となり、「やられたらやり返す」とばかりに、SNSやテレビでもいろんな有名人の暴露話がよく見られるようになった。しかし弘中アナよ、あなたはどちらかというと「暴露される側」であることに自覚的になるべきではないだろうか。

 「あの人にこんな仕打ちを受けた」という暴露は、最近の芸能界のトレンドといっていいだろう。暴露というはやりのネタを含む話はネットニュースになりやすいし、ネットユーザーからのコメントもつきやすい。だから、ネットニュースを書く人は、ますます芸能人の暴露ネタを探すし、テレビに出る人もどんどん暴露ネタを投下するという流れになっているように思う。

 もちろん、何でも暴露すればいいというわけではなく、最も盛り上がるのは、「世間に名前の知れている人」が「自分より有名な、誰もが知っているレジェンド級の人」の暴露をすることではないだろうか。

 例えば、『あのちゃんの電電電波』(テレビ東京系)において、あのちゃんは「山里亮太は本当にデフォで嫌い、というか。5~6年くらい一緒に番組やってて、その時からめっちゃ怖くて」「ボクがVTR中に寝たりするとめっちゃ怒る」「ほかの番組で会った時も、ボクがミスったことをみんながいるのに『あのちゃん、あれダメだったよ』って言ってきて。ホント嫌い」と暴露していた。

 あのちゃんのように、最近よく見る新進気鋭のタレントが、山里という認知度の高い芸人をターゲットにしたからこそネットニュースになるのであって、彼女が名前の知られていない駆け出しの芸人について暴露しても、世間は注目しない。あのちゃんはそのあたりをよく理解し、テレビでこの話をしたように思うのだ。

 そんな世間から耳目を集める暴露の条件を考えた時、テレビ朝日のエースアナウンサーであり、富豪の妻である弘中アナは、まさに暴露される側の人間だろう。

 あのちゃんの暴露の場合、山里が自身の配信曲「ちゅ、多様性。」のMVに参加してくれたので、これまでの行いを「許した」といういいオチが用意されていた。結果的に、あのちゃん、山里双方のイメージダウンにはつながらなかったが、やはり暴露された側の印象は基本的に悪くなるもの。弘中アナはそういった危機感を持っているのか、甚だ疑問だ。

弘中綾香アナは「強い者いじめ」のターゲットになる

 この「知名度のある人のひどい仕打ち」という暴露が、コンテンツ化されつつある現在の流れに、私は強い危惧を覚えている。なぜなら、証拠を伴っていない暴露でも、世間が盛り上がってしまうからだ。

 ガーシー氏の暴露について、「週刊誌と同じことをやっている」という書き込みを見たことがあるが、週刊誌は記事にする場合、必ずウラを取るはず。誰もがSNSをやっていると言っても過言ではない現代、適当な記事を書けば、タレント本人にそのあたりのいい加減さを直接指摘され、ネット民にも攻撃される可能性がある。雑誌自体の信ぴょう性にも関わるだけに、ウラ取りは必須といえるだろう。

 しかし、暴露というものは「先に言ったもの勝ち」であり、暴露される人が大物であればあるほど、真偽はともかく盛り上がってしまう。こうやって考えていくと、証拠を伴わない暴露は「逆恨み」もしくは「強い者いじめ」でしかないといえるのではないか。

 話を弘中アナに戻そう。上述した通り、彼女はテレビ朝日のエースアナウンサーで局からも厚遇されており、本人も高給取りだろうが、夫も資産家である。キラキラ界のトップにいる彼女は、確実に「強い者いじめ」のターゲットになると思う。テレビでの振る舞いと実際の弘中アナは別だろうが、とにかく今は産休前の大事な時期。お体には気をつけていただきたいのと、余計な逆恨みを回避するためにも、自身を客観視してみるのもよいかもしれない。

専業主婦のママ友からマウント? 育児とフルタイム勤務に疲れたワーママに届いた驚きのDM

「子ども同士の付き合い」が前提のママ友という関係は、価値観や環境の違いからさまざまなすれ違いが起きやすい――。ママたちの実体験を元に、ママ友ウォッチャーのライター・池守りぜねが、ママ友トラブルの解決策を考える。

 忙しい育児中のママたちにとって、SNSで悩みをつづったり、LINEのグループチャットで、ママ友と愚痴をこぼし合うことが、ストレス発散になっているように思う。今回は、ママ友とSNS上でやりとりをする中で、「モヤモヤを感じた」というお母さんの話を取り上げる。

自宅に仕事を持ち帰り……子どもを0歳から保育園に預けたワーママの日常

 都内にあるPR会社で営業をしている琴美さん(仮名・32歳)は、1歳になる男児のママ。日中は子どもを保育園に預けてフルタイムで働いているが、業務時間内に終わらない仕事は自宅に持ち帰り、子どもを寝かしつけた後に片づけている。「土日はゆっくり休みたい」と思うが、「そもそも育児に休みはないし、平日にできない通院などの用事で、あっという間にスケジュールが埋まってしまう」そうだ。

「自分の時間がまったくないというわけではないですが、1人でゆっくり過ごすことは全然できていません。職場はフレックスタイム制で、私としては午前9時に出社して、午後5時には帰るというのが理想。でも手掛けているプロモーション案件は午後5時以降に先方から連絡が来ることも多いんです。毎日、きっちりとした“仕事の終わり”が見えず、帰宅してからも簡単なメール返信などはしています」

 琴美さんの職場は女性社員が多く、産休や育休は問題なく取れるが、「すぐに復職する社員がほとんど」だそうだ。

「うちの会社は都内在住の社員が多い。みんな、子どもが保育園の待機児童になるのを恐れて、比較的入りやすい0歳児のうちに入園させ、すぐに仕事復帰しています」

マミートラックに陥るのが不安、「時短勤務にしたら、前線に戻れない」

 仕事と育児の両立で疲弊しているという琴美さんだが、もう一つ大きな悩みを抱えている。

「どうしても育児に時間を取られ、思ったように仕事ができないことです。うちの会社には、プロジェクトリーダーを務める育児中の女性がいるのですが、実家やリモートワークをしている旦那さんに子どもの迎えを頼んで、残業もしている。一方の私は、緊急時以外は残業をせず、退社していて……家でも仕事をしているとはいえ、出産前のようには働けません。このままでは、やりたい業務のメンバーから外されてしまうのでは……と不安になってしまいます」

 琴美さんも夫も地方出身のため、保育園以外に子どもを預けることは難しいという。

「残業した時は、延長保育をお願いしているのですが、追加料金を考えるとそう頻繁にはお願いできない。夫は建築関係の仕事をしており、仕事の終わる時間が遅く、どうしても私が定時で仕事を切り上げ、迎えに行くしかないんです」

 琴美さんは、いまの自分は「マミートラック」に陥りかけていると話す。

「仕事に復帰してから『マミートラック』という言葉を知って落ち込みました。子どもを産んだため、仕事が思うようにできず、出世コースから外れてしまうことを言うそうです。仕事と育児の両立に疲れ、もっと休みたいという気持ちがある半面、責任ある仕事を任せられないと思われるのは嫌という気持ちもあって。周りにそういう悩みを伝えられるママ友がいないので、SNSで『フルタイムで働くのはつらい』『でも時短勤務にしたら、前線に戻れない』と愚痴を吐いてしまいました。そうしたら、普段は私の投稿にあまり反応してこない地元の友人から、DM(ダイレクトメッセージ)が送られてきたんです」

ワーママの悩みに、専業主婦のママ友が「わかる」

 SNSには、夫に対する不満や育児のつらさなど、ママたちの本音があふれている。しかし琴美さんの“悩み”は、思いもよらない事態に発展してしまった。

「彼女は高校時代の同級生で、地元に帰った時に友人同士の集まりで会う仲。いまはお互い子持ちなので、育児の話をするママ友みたいな感じですが、個人的には、そこまで親しくはないと思っていました。そんな彼女から、『仕事が大変なんでしょ~。わかる。今日ママ友とランチしてた時、この話題で3時間盛り上がった』ってDMが来たんです。思わず、『え? どういう意味?』とメッセージを読み返しました」

 琴美さんは、この友人に向けて書いたつもりではないSNS投稿に反応があり、返信に困惑したという。

「彼女が私と同じワーママという立場だったら『共感してくれたんだ』と納得できるのですが、地元で幼稚園児の子を育てる専業主婦なんですよ。妊娠前まで働いていたとはいえ、私とは立場が違うのに『わかる』ってどういうこと? とモヤモヤしましたね。もしかしたら『自分のほうが優雅だ』っていうマウンティングをされたのかもしれないですが……こういったメッセージにはどう返信したらよいのでしょうか」

 ママ友といっても千差万別。子どもが生まれてから知り合ったケースだけではなく、もともとの友人がお互いに子どもを持ち、ママ友として交流を始めることもあるだろう。

 進学や就職のために上京したママたちにとって、子どもを介して知り合ったママ友との付き合いはまだ日が浅い。それに対し、地元の友人は気心が知れているだけに、ママ友付き合いもしやすそうなイメージだが、実際のところ、そちらとのほうが面倒くさいことが起こりがちだ。

 なぜなら、そういったママ友は、一緒に過ごした頃の関係性を引きずっており、お互いの距離感が近すぎるから。現在は立場が違うのに、育児や仕事に対し、「これぐらい言っても大丈夫」と、ずけずけ口を出してくるケースが少なくない。時にはマウントのような発言をしてくることもあるだろう。その結果、ギスギスした関係に陥ってしまうのだ(逆に子どもが生まれてから知り合ったママ友は、遠慮がある分、そのあたりの配慮もあるはず)。

 今回の琴美さんの一件も、まさにそういった背景から発生した出来事だったのではないだろうか。

 地元の友人からすると、その「わかる」は「共感」ではなく、「読んだよ」くらいの意味合いだったのかもしれない。ワーママの大変さについてランチで3時間話したというのも、マウントのつもりはなく、「あなたのことを気に掛けていますよ」くらいのニュアンスだった可能性もある。

 モヤモヤするDMをもらうのは嫌なものだが、自分と立場がまるで違う相手に、この状況が理解されなくても仕方ないと割り切るしかないだろう。もしくは、こうした悩みを吐露する投稿は、自分の状況を理解しているごく親しい人にしか見られないよう、SNSアカウントに鍵をかけたり、公開範囲を絞ることも対策の一つといえる。

 では、こういったDMに角の立たない返信をしたい場合、どういった内容がいいのだろう。友人本人にはおそらく悪意はなく、「あなたのことを気に掛けています」というアピールがしたかっただけではないかと推測されるので、「気にかけてくれてありがとう」とお礼の言葉だけ送ればいいと思う。一方、たとえ相手に悪意はなくても、マウントのように感じるDMを送ってほしくない場合は、「仕事は大変だけれど充実している」と伝えれば、もう返す言葉はないだろう。

 そもそも専業主婦である友人が、ママ友と人の仕事について3時間も語り合うなんて、彼女はもしかしたら、実は働きたいけれど、事情があって専業主婦をしているかもしれない。どちらの立場にせよ、相手側の事情というのはなかなか理解できないものだ。

メルカリで売れる気配ナシ! 定価8万円のジュエリーが「出品し直し」で即売却できたワケ

――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 私はフリマアプリ・メルカリのアプリを開きながら悩んでいました。う、売れない、ジュエリーが……。それもそうなんですよね、私が売っているジュエリーは20万円前後。メルカリで比較的売れやすいのって、だいたい3万円前後なんです。

 私調べによると、売れ筋のブランド「クアラントット」のアイテムは、定価4万4,000円が3,000円で出品されて売れている一方、私はトータルで34万円の2つの商品を20万円まで下げたものの、売れる気配はなし。

 ちなみに、私が出品したのは、クアラントットのユリシスというチャームと、プラチナのネックレスのセット。ネックレスは5年ほど前、約8万円で購入後、先端をクアラントットのチャームが通せるように改造したもので、その分プラスでお金がかかっています。

 対して、ユリシスのチャームは、約24万円で売られているもの。サイズはいくつか展開されている中で、一番大きなタイプです。ああ、もう底値だと思っているのに、なんで売れないのお~~~~~!!!!!!!!!!!

メルカリでは、「売れにくい商品は価格で勝負する」のがセオリー

 メルカリで商品を見ている人って、「欲しいアイテムを探している人」と、私がよくやるように「ビビッとくるアイテムがないかパトロールてしてる人」の2パターンあると思うんですよね。中でも前者は、ずっと探していたものがようやく出品されているのを見つけたという場合、たとえプレミア価格でもたいていすぐに購入してくれます。

 だから、一番いいのは「前から探していた人」に売ること。そのためには、出品の際に商品の正式名称をしっかり書き、説明文も充実させなければなりません。

 もちろん、私もしっかりと情報を記載して売りに出したのですが、ユリシスのチャームの定価は約24万円。私はネックレスチェーンとセットで20万円で出品したものの、チャームだけ欲しい人には刺さらなかったようです。それに、「チェーンは要らないから、もっと金額を下げろ」と思われたのかも……。

 とはいえ、それぞれ単体で売ることに抵抗があったんですよ。特に、ネックレスチェーンは当時8万円で購入したといえど、同じような商品はほかにも多数出品されていますし、2~3万円程度でも在庫が残っている状況。だから、チェーンは絶対に売れないと思ったんです。

 しかし、チャームとのセットで出品しても、売れる気配はないので、「チェーンだけ先に売れたら、チャーム単体でも売れるかな……」と思い直し、出品し直すことに。3万9,980円という価格でチェーンを売りに出し、説明欄に「ギリギリの価格なので、これ以上値下げできません。即購入歓迎です」との一文を添えました。

 すると、なんとものの15分でソールドアウト! 「定価の半額」という値ごろ感が、買い手の琴線をくすぐったようです。

 そう、メルカリでは、売れにくい商品は、価格で勝負するというのがセオリー。「こんなに安いなら、今が買い時かしら」って思わせることが重要ってワケ。今回は作戦がうまくいったので、ほっと胸をなでおろしました。これで、チャームも売れてくれれば、ステディとの旅行費用の足しになるぜ~~~~~!!!!!!!!!!

電子書籍『“買い物狂い”の散財日記2~借金300万でも尽きない物欲~』発売中!

 昨年9月に販売した電子書籍『“買い物狂い”の散財日記~千葉N子のリアルな家計簿大公開~』の続編となる『“買い物狂い”の散財日記2~借金300万でも尽きない物欲~』がこのたび発売いたしました。

 日々の散財っぷりはもちろん、Amazonで買えるおすすめ商品、さらに数あるコレクションの中から、“一軍ジュエリー”も写真つきで公開! 

 また、夫や家族、友人との面白おかしいやりとりなど、買い物時の出来事がユーモアたっぷりにつづられており、気持ちのいい買い物っぷりは、読む人に爽快感を与えてくれるはずです。Amazon Kindleストアでの独占販売となりますので、千葉N子ファンの皆様は、ぜひご一読ください。

発売元:サイゾー
発売日:2023年6月30日
価格:950円(税込み)

<ご購入はこちらから!>
Amazon Kindleストア https://www.amazon.co.jp/dp/B0C9QRTMYM

父が急死した春、台所に置かれた“目を疑うもの”――亡父との不思議なエピソード2選

“「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける”
――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社)

 そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。

父は自分の死期がわかっていたのかも

90歳直前で亡くなった父……大往生でも、喪失感に襲われたワケ」で紹介した宮坂志満さん(仮名・60)。父親を突然失った悲しみから、少しずつ立ち直ろうとしている。そのきっかけとなったのは、いくつかの不思議な出来事だ。

 父親はふるさとを遠く離れ、宮坂さん家族のもとに来てから、知り合いもいない場所で、毎日の手持ち無沙汰を慰めるように自分史を書いていた。

「幼いころからのできごとから今に至るまで、それは詳しく書いてありました。日記もつけていなかったのに昔のことをよくこれほど鮮明に覚えていたものだと、子どもたちと感嘆しました」

 印刷屋で製本していたというその自分史を、宮坂さんはこれまでちゃんと読んだことはなかった。そこで四十九日の法要のときに、父親や家族の歩みをたどろうと子どもたちと読んでいったのだ。

「巻末に年表まで付けていたんです。世の中の出来事、自分や家族の出来事の欄があって、左には西暦と元号も表示されていました。平成のときに作っていたので、令和の表記はなかったんですが、その平成が35年、つまり2023年、父が亡くなる年で終わっていたんです。父は天皇陛下と同じ年なので、2023年で90歳。そのあたりで平成も終わるだろうと思ったのかはわかりませんが、奇しくも自分の亡くなる年で年表が終わっていたことに驚きました」

 父は自分の死期がわかっていたのかもしれない……とまでは思わないが、単なる偶然だとも思えない気がした。

 こんなこともあった。

父が急死した春、台所に見つけたもの

「父は庭に、わざわざ田舎からザボンの木を運んでもらって今の家の庭に植えていました。田舎にいたときに、思い入れがあった木だというわけではなかったと思いますが、こっちで植えてからは、毎冬大きな実がなるのを楽しみにしていました。父や私が毎日食べても食べきれなくて、離れて暮らす孫たちに『取りにおいで』と連絡したり、近くの友人たちに分けてあげたりしていました。毎年の行事のようになっていて、いろんな人に全部の実を配り終えたら冬が終わる、という感じでした」

 今年も何とかすべての実を食べたり配ったりして、ザボンの季節を終えていたのだが、父が急死した春。台所にそのザボンが置いてあった。まるで、父が「食べろ」と言わんばかりに。

「驚くと同時に、自分の目を疑いました。なんで? この冬に全部食べてしまっていたよね?」と宮坂さんが夫に聞くと、庭にザボンが落ちているのに気付いた夫が、台所に持ってきたのだということがわかった。

「それにしても、まだ実が残っていたなんて。こんなこと、ザボンの木を植えてから初めてです」

 父が、「採り忘れていたぞ」と笑う顔が見えるようで、仏壇に供えた。

 季節外れのザボンに、父の気配を感じたことで、宮坂さんの心は少し前を向いた。

「そばにいてくれてるのかな、と思えるようになりました。もし私のことが気になって天国に行けていないとしたらかわいそうなので、いつまでもメソメソしていてはいけないなと思っています

知らないおじさんからもらったカニ

 宮坂さんと似たような経験を話してくれた人がいる。

 井波千明さん(仮名・56)だ。井波さんも、父親が「具合が悪い」と言ったときに、すぐに病院に連れていかなかったことを後悔していた。翌日病院に連れて行こうと思っていたから、急変を見逃して死なせてしまったと自分を責めていたのだ。

 父親の四十九日もまだ済んでいないころ、井波さんが最寄りのバス停でバスを待っていると、見知らぬおじさんが自転車で通りかかった。そして「近くの浜で採れた」と、ワタリガニを見せてくれたのだ。井波さんや弟に、おいしいものを食べさせるのが好きだった父が、季節ごとに食べさせてくれたのがワタリガニだったので、父親がふいに現れたように思えたという。

「そのおじさんに『父が好きなカニです』と言うと、おじさんは『じゃあこれ、あなたにあげるから、お父さんに食べさせてあげて』とカニをくれたんです」

 井波さんはあっけにとられながらも、ありがたく受け取り、茹でたカニを仏前に供えた。

「父は亡くなってからも、私たちにカニを食べさせてくれようとしたのかもしれません

 それなのに、食事制限のある父に必死に対応していた。好きなものを思う存分食べさせてあげればよかったと、また反省してしまうのが井波さんらしい。親が亡くなると、後悔は尽きないのだ。

 

大女優の息子がグラビアアイドルを借金のカタに! 闇金事務員が見た地獄の“入り口”

 こんにちは、元闇金事務員、自称「元闇金おばさん」のるり子です。

 貸金業者を利用するお客さんのほとんどは、法人個人の関係なく、公庫や銀行から融資を受けられない人ばかりです。また、金融業者をはじめ、不動産業、風俗業、飲食業、芸能事務所など、公的な金融機関では信用取引が難しいとされる業種もあって、そうした方々も私たちのような街金融を利用されていました。

 融資依頼の申込書を基に、代表者の信用情報を問い合わせれば、サラ金や大手商工ローン会社を複数利用する多重債務者ばかり。いくら審査が甘い街金融であっても、信用取引などできる状況にありません。特に、私の勤めていた会社は、都知事登録業者ながらも法定金利以上の金利を徴収していたので、まっさらな客が来ることは滅多にありませんでした。

 その一方、連帯保証人として名前が挙がってしまう方の信用情報は真逆で、直近に複数回の信用照会があっても、利用履歴や貸付残高がない方が多かったと記憶しています。短期間に複数回の信用照会を受けている事実は、この連帯保証人での借り入れを複数社同時に申し込んでいる事実を示します。

「この保証人をつけたら、いくら借りられるのか」

 資金繰りに窮した多重債務者が、連帯保証人候補の名前と生年月日が書かれたメモを片手に、複数の会社に打診しているわけです。そのような人の信用情報に接するたび、人生崩壊の入口を見た気になりましたが、取引を断るわけにもいきません。いずれ、私たちに大きな利益をもたらしてくれるのは、こうした連帯保証人の有する資産なのです。今回は、有名女優の長男を名乗る芸能プロダクションの社長が、複数の連帯保証人を残して行方をくらました時のことについて、お話ししたいと思います。

「母は大女優」芸能プロダクション経営者が「300万円」を借りに来た

「この田中社長、とある大女優の息子さんなんだ。ほら、あの夫婦で温泉につかるCMに出ていた昭和を代表する有名な女優さん。社長も、わかるでしょ? いまは、ゴルフ場開発と芸能プロダクションを経営されていてね。運転資金として300万ほど用立ててもらいたいんですよ」

 入社から1年ほど経過した頃、金田社長お抱えのブローカー(顧客の資金繰りを手伝って手数料を取る人たちのこと、紹介屋)である佐々木さんが、50歳くらいに見えるスタイルの良いお客さんを連れてきました。もう70歳近いだろう佐々木さんは、体が大きく脂気の強いガマガエルのようなタイプの人で、社長と長年の付き合いがあることを楯に偉そうに振る舞うことから、私はもちろん従業員のみんなからも嫌われています。

 特に、伊東部長の持つ佐々木さんに対する拒絶反応は強く、あいさつも返さない間柄になっていました。それを知っている社長は、イケメン営業マンである佐藤さんを脇侍において対応されます。

「田中と申します。こちらが、ご指示された申込書と決算書、それに自宅の不動産謄本です」

 資料を受け取り、早速に信用情報を照会された佐藤さんが、排出されたレシートを手に言いました。

「やっぱり目一杯つまんでいるよ。ブロ―カー使って、自分から資料持ってくるヤツに、信用で貸せるわけがないよな」

 ブツブツ言いながらも、さわやかな笑顔で応接室に戻った佐藤さんが、田中社長の信用情報が記載されたレシートを手に商談を進めます。佐藤さんが席を外している間、少し前に亡くなられた大女優の実子だと社長に告白した田中社長は、とある女性タレントと交際している時、写真週刊誌に撮られたことがあるのだと自慢気に話していました。

「融資希望額を満たすには、ある程度強い連帯保証人さんをご用意いただかないといけません。不動産持ちが条件になりますけど、お心当たりはありますでしょうか?」
「ウチのタレントで、いいとこのお嬢ちゃんがいるから、ちょっと頼んでみますよ」

 翌日、グラビアアイドルとして売り出し中の女性が、保証人候補に上がりました。その方の名前と生年月日を打ち込んで信用情報を取得すると、すでに数件の信用照会が入っています。所有しているとされた自宅不動産は都内の一等地にある商業ビル一棟ですが、家族との共有名義で、本人の持ち分は4分の1しかありません。揃った書類をまとめて佐藤さんに渡すと、その結果を稟議書にまとめて社長の決裁を仰ぎます。

「乙区(不動産謄本の所有権以外の権利を示すページ)がサラ(不動産担保による借り入れなどがないこと)でも、この女だけでは出せないな。名義人全員の書類が入ったら、満額出してやるって伝えとけ」

 社長室から出てきた佐藤さんは、すぐ佐々木さんに電話をかけて、その結果を早速に伝えました。

「100万でもいいから、この女で出してくれないかと、佐々木が言ってきています。いかがしましょう?」
「こいつ、すぐ飛ぶぞ。佐々木も(連帯保証人に)入れて100万。それでいいなら、やってやれ」

ギャル文字で書かれた連帯保証契約

 契約当日の朝一番、待ちきれないといった様子の佐々木さんが、田中社長と露出度の高いブルーのワンピースを着たスタイルの良い女性を連れて来社されました。どことなく小池栄子さんに似ている気の強そうな女性です。事務所に入ってこられた途端、甘く淫靡な香水の香りが事務所内に充満すると、男性社員の視線が小さな顔の下にある大きな乳房に集まりました。

 人目を気にすることなく、いちゃいちゃと腕を組んで来社されたところを見れば、田中社長の恋人なのでしょうか。何を言うにも、甘え口調で話す女性の振る舞いに軽薄さを感じます。

「失礼いたします。いらっしゃいませ……」

 応接室にコーヒーをお持ちすると、あろうことか憧れの佐藤さんまでデレデレと上気した顔で接客されており、この女性のことがますます嫌いになりました。でも、さすがは芸能人。その美しさは目を見張るほどで、周囲の男が骨抜きになってしまうのも無理のないことと思い直します。

(あの人、子どもみたいな字を書くのね……)

 契約終了後、債権書類をファイルに閉じていると、連帯保証人欄にある彼女の署名が目に入りました。住所氏名共に、いまでいうギャル文字で書かれており、きちんと契約内容を理解されていないであろうことが伝わってきます。2カ月後、その予感は、図らずも的中することとなりました。

「社長。佐々木の紹介で出した田中社長、電話が止まっていて連絡が取れません。債権は100万です」
「佐々木も連絡取れないか?」
「はい。全然電話に出ないので、保証人の女に連絡したところ、2日前から社長と連絡が取れず心配していると。佐々木とは連絡を取る間柄になく、なにもわからないそうです」
「飛んだな。佐藤と藤原は、女のところに行ってこい。小田は、債務者(田中社長のこと)の事務所と自宅の確認だ。伊東は事務所に残って、不動産登記を進めるように。俺は、佐々木に連絡を入れてみる」

 社長の指示をホワイトボードに書き出し、保管庫から書類一式を取り出した伊東部長は、全員が出払ったところで言いました。

「佐々木みたいな質の悪いブローカーを使うと、ろくなことにならないんだよな。言わんこっちゃないよ」

 しばらくすると、連帯保証人のところに向かった藤原さんから連絡が入り、進捗状況が報告されます。

「本人と会えて話ができました。まだ接触はないみたいですけど、ウチのほかに3社ほど名前を書いちゃっている(他社でも連帯保証人になっているという意味)ようなので、とりあえず車を預かる方向で話しています」
「一番でよかったじゃない。車は何? 評価、足りそう?」
「はい、とかし(ローン中などで名義変更ができない車のこと。金融車ともいう)ですけどポルシェなので、大丈夫かと」

 それからまもなく、ポルシェの車検証と、車両の詳細(車種、色、走行距離、装備、傷の有無など)が、コンビニのファックスから送られてきました。その資料を、とかし屋(名義変更できない車を闇で売買する業者のこと)の井上さんにファックスして、早速に買取評価額を出してもらいます。

「ちょっと状態が悪くても250万円、問題なければ300万円で取りますよ」

 佐藤さんの席に座って一連のことを把握しながら、何度も執拗に佐々木さんの携帯電話を鳴らし続けていた社長が、電話を切って言いました。

「女で取れるなら、それでいいな。もう田中と佐々木は放っておこう。小田も引き上げさせろ」

 会社に戻るよう小田さんに連絡を入れると、ちょうど田中社長の自宅に到着したところのようで、夜逃げしているのが明らかな状況だそうです。

 それからまもなく、連帯保証人の女性が、佐藤さんたちに連れられて来社されました。いきなりのことで、出かける準備ができなかったのでしょう。ノーメイクのスウェット姿でこられましたが、相当な美形であることは変わりません。今回は、車両を担保に金を貸し付け、田中社長の債務を弁済させる形なので、女性との間で新規契約同様の手続きが行われます。スウェットを着ているため、魅力が半減しているのか、この日の男性陣は鼻の下を伸ばすことなく、事務的に処理を進めていました。

男性社員とグラドルが乗った担保のポルシェはホテルへと消えていった―――

「その状態で電車に乗るの、嫌ですよね? これで仕事も終わりだし、僕も同じ方向だから、よかったら自宅まで送りますよ」
「本当ですか? 助かります!」

 佐藤さんからの提案に、揉み手をして、うれしそうに応じる女の様子を目の当たりにして、言い知れぬ憎悪を抱いたことは言うまでもないでしょう。

「明日、全額決済しますから、預けているクルマを用意しておいてください」

 数日後、ポルシェを担保に取られた連帯保証人の女性から、全額決済する旨の連絡が入りました。車担保のお客さんは上客とされるため、決済時には機械洗車をしてからお返しすることになっています。ところが担当の佐藤さんは、高級車だからと手洗い洗車を選択し、ガソリンまで満タンにして返却するサービスぶりを見せました。どこかうれしそうに決済の段取りをする佐藤さんの様子が、いちいち怪しく、気に入らなかったことを覚えています。

「こんにちは」

 大きく胸元を開いた白のタンクトップに、淡いグリーンのシャツを羽織って来社された女性は、佐藤さんの姿を認めると友達に会ったような感じで小さく手を振りました。初回契約時と比べれば、2人の雰囲気から随分と関係が深まっているのは明らかで、ゲスな話ではありますが男女の関係さえ疑ってしまうほどです。

「ほかの保証先には弁護士を入れました。ここのことは内緒にしています」
「なんで内緒に?」
「いろいろ教えてくれて、良くしてくれたからですよ」

 その数日後、出社するべく事務所前の道を歩いていると、前方からきた真っ赤なポルシェが対面にあるホテルの駐車場に入っていくところを見ました。女が運転する車の助手席には、あろうことか佐藤さんの姿があって、しばらく呆然とした次第です。

※本記事は事実をもとに再構成しています

(著=るり子、監修=伊東ゆう)

渡辺謙、杏と共演した『マツコ会議』に感じた“自分が傷つける側”である意識の欠如

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

<今回の有名人>
「外国に行っていると、自分で情報を選べる」渡辺謙
『マツコ会議』(7月8日、日本テレビ系)

 2016年、「週刊文春」(文藝春秋)が報じたベッキーとゲスの極み乙女。・川谷絵音の不倫スキャンダル以降、不倫は「問答無用の絶対悪」とされ、番組を降板したり、人によっては休業を余儀なくされることも出てきた。テレビ局がコンプライアンス遵守を強化しており、不倫をしている人は一律テレビに出さないというのなら納得がいく。しかし、実際は「Aさんの不倫は許すが、Bさんはダメ」というように、人によってペナルティが異なっているように思えてならない。

 なぜか許されてしまう芸能人の筆頭が、俳優・渡辺謙ではないだろうか。

 17年に元ホステスの女性との不倫を「文春」に報じられた渡辺。元妻である女優・南果歩の乳がん闘病中の不倫だったそうだ。不倫にいいイメージを持つ人はかなりの少数派だろうが、ましてや妻の闘病中とあれば世間から大ブーイングが起こり、芸能レポーターたちの追及も厳しいはず……と思ったが、そこまで世間はこの話題に反応を示さず、会見でも特に厳しい質問をする記者はいなかったと記憶している。

 不倫報道後の18年、渡辺はNHK大河ドラマ『西郷どん』に出演しているが、17年に同じく不倫報道のあった女優・斉藤由貴は出演を辞退。大河ドラマだけでなく、斉藤はゲストとして出演したBSプレミアム『ザ・プロファイラー』でも内容を差し替えられるなど、NHKから少しの間“締め出し”を食らった状態になっていた。どうして斉藤がここまでの仕打ちを受けたのかはわからないが、前年の不倫報道の影響と考えるのが自然ではないだろうか。

 しかし、同じ不倫でも、渡辺に関してはおとがめなしなのである。渡辺は『西郷どん』に出演しているし、降板や活動自粛もしていない。男性、かつ知名度の高い国際派俳優だと、不倫をしても許されるのだろうか?

渡辺謙に手ぬるい週刊誌――若い女性と結婚した希望の星?

 日頃、芸能人の不倫に厳しい週刊誌も、渡辺には何だか手ぬるい気がする。主婦と生活社が運営するニュースサイト「週刊女性PRIME」は7月3日、「渡辺謙がひた隠した21歳下元ホステスとの再々婚『幸せになって』エール送られた南果歩への“負い目”」という記事を配信している。

 内容を要約すると、渡辺は今年の春に不倫相手とされた女性と3度目の結婚をしているが、スポーツ紙に報じられるまで、結婚したことを隠していた。元妻の南は渡辺の結婚について「おめでとうございます。幸せになってください」とコメントしていたが、彼女を裏切った負い目があったため、発表できなかったのではないかという芸能プロ関係者の見立てを紹介している。

 ……が、別れた妻に負い目を感じて再々婚の発表をためらうような繊細な神経の持ち主なら、そもそも不倫なんてしないのではないだろうか。同記事によると、渡辺の不倫グセは今回に限ったことではなく、初婚時の妻と離婚裁判をした際には、女性関係を暴露されたそうだし、離婚成立後、すぐに南と再婚するなど、常に女性がいないとダメなタイプのようにも見える。

 ますます渡辺はなぜ週刊誌に批判されないのかと不思議に思うが、ニュースサイト「日刊ゲンダイ」に至っては、「俳優・渡辺謙は21歳年下女性と3度目…バツあり男性の再婚戦略は『離婚を箔にする』」(7月9日配信)と、渡辺をまるで、若い女性と結婚した希望の星のような書き方をしているのだ。

 加えて、渡辺は“タイミング”にも恵まれているところがある。渡辺が再々婚を発表したのは6月30日で、この件が記事化される場合、当然、過去の不倫や離婚も蒸し返されると思っていた。「人の噂も七十五日」というが、再々婚記事が出ることで「そう言えば、あの人……」と思い出す人もいるので、渡辺への批判が高まるだろうと見ていたのだ。

 しかし、7月1日に、広末涼子の不倫相手である有名シェフ・鳥羽周作氏が、「東京スポーツ」の記者に、広末の夫のキャンドル・ジュン氏を「抹殺された方がいい」と打ち明けたことが、同紙ウェブサイトで記事になった。鳥羽氏にとってキャンドル氏は“ライバル”なわけだから、そもそもいい感情を持つはずはないのだが、それにしても大のオトナがマスコミに向けて「抹殺」と発言するとは穏やかではない。マスコミや世間の関心は鳥羽氏に移り、渡辺の過去が蒸し返されることはなかった。

 そんな渡辺、7月8日放送の『マツコ会議』(日本テレビ系)に出演し、娘である女優・杏と中継で共演していた。

 杏はお子さんやペットの犬と共にフランス・パリに移住しているが、渡辺は自身のアメリカ暮らしを振り返りながら、海外生活のいい点として「例えば、日本で目に入る情報を100とするじゃないですか。外国に行っていると、自分でその情報を選べるんですよね」「半分くらいいらない情報で、もっと自分のこうやりたいことにシンプルに生きられるっていう感じ」と語っていた。

 杏といえば、20年に俳優である元夫・東出昌大の不倫が「文春」に報じられ、後に離婚している。不倫という事実だけでもイメージが悪いのに、東出は“帰宅後すぐに食事ができていないと不機嫌になり、外に食事に行ってしまう”“家事や子育てをしない”などのモラハラ的な態度を取っていたという。また、杏の妊娠中に不倫をしていたこと、不倫相手である女優・唐田えりかがSNSで“匂わせ”行為をしていたことも明らかとなった。このように、東出の不倫騒動は女性の嫌がる要素がてんこもりだったため、報道は過熱を極めた。

 杏のお子さんたちが成長し、ネットを見る年齢になれば、お父さんに関する記事を見てしまう可能性は高いだけに、いらない情報から逃れるためにも海外に行くという渡辺の考え方は「名案」といえるだろう。が、その一方で、渡辺のヒトゴトのような言い方が気になる。東出だけでなく、渡辺も女性関係で世間を騒がせた記事がネットにわんさか残っていて、杏のお子さんたちが日本にいた場合、それらを見てしまう可能性がないとはいえないだろう。

 しかし、渡辺は自分自身が娘の杏を、そしてお孫さんたちを傷つける側の人である意識に欠けているように思えてならないのだ。不倫をしたのなら、何を書かれても我慢すべきということではないが、不倫をしなければ記事にもならない、愛する家族を傷つけることもないというシンプルな図式が、どうもこの人は理解できないのではないかと感じてしまう。

 前回、この連載で取り上げた石田純一も、その言動から「俺は悪くない」という信念のようなものを感じるが、渡辺も同じタイプのように思えてならない。それが、マスコミや世間になぜか叩かれないこと、妙にタイミングに恵まれていることが重なって、さらに渡辺を調子づかせてしまっている気がする。

 若いうちはそれでもよかったかもしれないが、石田も渡辺も還暦を超えている。若い妻に愛想を尽かされないように、そろそろ本当に落ち着いていただきたいものだ。