宗教2世問題がクローズアップされた1年、脱会した私が感じたワイドショーへの違和感

「『カルト』と呼ばれる新興宗教の信者である両親の元に生まれた私は、子どもの頃からずっと(うさんくせぇ……)と思ってきた」――サイゾーウーマンで昨年、短期連載された「となりの脱会くん」。その筆者である「脱会くん」ことライター・DJ2世は、安倍晋三元総理銃撃事件により、この1年、いまだかつてないほど「宗教2世」問題がクローズアップされた状況をどう見ていたのか。今回、寄稿いただいた。

旧統一教会問題で宗教2世界隈に緊張が走る!

 平穏というのは長く続かないものである。宗教を離れてはや数年、悩んでいた過去は今となっては他人の記憶のよう。どうかこのままで……と毎回願うのだが、ふとした瞬間に自分が2世だったことを思い出す出来事が、定期的にやって来る。それは身の回りで起こる出来事であったり、SNSや報道で目にするものだったりする。

 そんな中、世間を騒がせる大きな事件が起こる。昨年7月の安倍元総理銃撃事件である。この事件は、元首相が亡くなるというショッキングな内容であったことに加えて、全容が明らかになるにつれて、政治と宗教、とりわけ宗教2世の問題が取り沙汰されていくことになった。この約1年間は、この宗教2世問題が、今まで類を見ないほどクローズアップされた。今回はこれらの報道に対して、宗教2世である自分がどんなことを感じたのかをつづってみようと思う。

「なんか、2世ですいません」報道を見ていて湧いてきた思い

 不謹慎に感じられたらすみません。「あぶね〜〜〜!!!」第一印象はこれに尽きる。自分がまさに2世として悩んでいる最中だったり、敬虔に信じている人だったりしたら、とても耐えられなかっただろう。自分はもう2世としての悩みをある程度乗り越えられていたから良かった。

 ただ、最初は他人事のように報道を見ていてたのに、ふとつらかった記憶を思い出し胸が痛んだ。なんか、2世ですいません。そんな思いが湧いてきた。

 とはいえ2世問題がようやく取り沙汰されるようになったのはとても良いことだと思うので、これは自分にとって、ムダな痛みではないのかもしれないと気持ちを切り替えた。日本社会が発展する成長痛、もっとやっちゃってください。

 ずっと報道を見ていると、「教義」や「信者の献金事情」を紹介するくだりがあるということがわかった。「メシアの再臨が……」「教団には、絵や呉服などを購入することで、喜んで“献金する”という文化がある」などなど。ときに、実際に信じている人をスタジオに呼んで、教義はどんなものか質問したりする。視聴者は「洗脳って怖いな」なんて思ったりしているのだろうか。

 私は正直、「この時間いる?」と思った。

 というのも、カルトと呼ばれる宗教は、たいてい教義のロジックよくわからないからね? どこもお金を集めるための仕組みというのは必ずあるよ? そもそもすごく歪なもので、弱者を助けるという側面だけではないのがカルト宗教なのに。

 なので、なぜそれを今さら熱心に報じているのか不思議に思ってしまったのだが、意外と知らない人がいるのだな……だからこういった報道のされ方をするのだな……と自分と、世間の感覚のギャップを感じてしまった。元2世としては、そういった内容より、これからどうすべきかを話し合ってくれ〜という思いが先に立ちました。

宗教2世の苦しみを乗り越えた人は取り上げないワイドショー

 そしてついに報道では、現役の2世信者が登場しだした。彼らは今まで自分がどんな仕打ちを受けてきて、それがいかにつらかったかを口にする。わかる、わかるぜそのつらさ……! 最初の頃は共感していたのだが、そのうち、別のことが気になるようになった。

 つらい経験を話す人は何度も登場するのだが、ワイドショーやニュース番組には、それを乗り越えた人が全然出てこないのだ。親と和解した人や、社会人になって宗教からフェードアウトしていった者、本当は信じていないけれど親の手前だけ信じるふりをして何とか乗り切っている者……。

 2世の悩みの解決方法はまさに千差万別なので、そういったトピックこそ今悩んでいる人が必要としている気がする。確かに「社会人になってフェードアウトしていくうちに悩まなくなりました」では、一般の人は面白くないかもしれないが……。どの報道もそういった視点が抜け落ちていたのは少し残念だった。

せっかくなので、自分がどう乗り越えたかを語りたい

 というわけで、前置きが長くなってしまったが、自分がいかにして2世の悩みを解決したかを書いていきたいと思う。自分の2世としての人生の中で、1番のターニングポイントはなんだったのかというと、それは“親と初めてきちんと向き合う”ことだった。これは以前、「となりの脱会くん」で書いた内容の後日譚である。恐ろしく個人的な内容になってしまうのだが、もし誰かの参考になればうれしい。

 大学生の頃、私は大学に通うため実家を離れて、すぐ無断で宗教を脱会するというパンクな行動を取ってしまい、親との関係が険悪になってしまった。連絡は必要最低限になり、養われている身分のくせに、気づけば約3年、親の顔も見ないようになっていた。

 いざ宗教から離れ、晴れて自由の身だ〜! と意気込んだのだが、いざ大学生活が始まると、周囲の人たちは、それまで接していたコミュニティの人たちとは“層”が違ったせいか、なかなかなじめなかった。むしろ親との関係で悩むこともなく、学業にバイト、恋愛に勤しんでいる周りのキラキラ大学生の姿を見て、「自分は何かが違うのだ」と強く感じるようになった。

 しかも脱会したせいで、教団内の友達とのつながりも必然的に切れてしまい、親にも相談できない。ザ・孤独! 自分の人生は、皮肉にも宗教の上で成り立っていたのだということを実感した。この頃はよく夜に下宿先で泣いていた記憶がある。

 大学生なのでムダに時間があるわけだが、私はそれまで宗教から逃れることばかりを考えていたので、自分のやりたいことなんて見当もつかなかった。「自分が疑問さえ持たなければ」と思うこともあった。親の言うことに素直に納得して、敬虔な2世信者でいられたら幸せだったのかな〜とパラレルワールドの自分に思いを馳せるのは、2世あるあるではなかろうか。

脱会した2世、恋人に「そんな親がいる人と結婚なんてできないから!」と振られ……

 そんな自分も時間をかけてようやく理解してもらえる友人を数人見つけ、メンタルも安定し始めた頃、とんでもなく“ありきたり”な事件が起こる。こんなこと、人様に読んでいただくような内容ではないのかもしれないのだが……恋人に振られたのである。

 なんせ初めてできた恋人だったので、ひどく落ち込んだのだが、別れ際「そんな親がいる人と結婚なんてできないから!」と家庭環境をイジられたのである。今思えば、単なる痴話げんかに過ぎないのだが、それもそうだな……と思い、やけに落ち込んでしまった。

 もういろいろと限界だった私はふと思い立ち、親にメールを送ることにした。全てあんたらのせいだ……! という気持ちを込めた呪詛のようなメールである。そうすると父親から「一度話し合おう」という内容のメールが返ってきた。2週間後、父親と久しぶりに会うことになった。思えば私は2世であることへの不満を親に打ち明けたことは、それまで一度もなかった。そして……まさかの次回に続く!

(後編へつづく)

黒沢かずこ、アローン会参加! 「結婚できない」キャラに垣間見える思い込みの激しさ

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

<今回の有名人>
「えっ」森三中・黒沢かずこ
『上田と女が吠える夜』(8月23日、日本テレビ系)

 テレビは時々、「だから、私は結婚できない」特集を組む。例えば、2019年に放送された『さよなら!アローン会』(NHK)。番組に出演したメンバーは今田耕司、チュートリアル・徳井義実、ナインティナイン・岡村隆史、ピース・又吉直樹。人気芸人たちが、自身の結婚できない理由を自己分析していく内容だった。岡村はその後、結婚してアローン会を脱退したが、残る3人を中心に同会は存続している。

 アローン会はテレビ限定のユニットではなく、今田のYouTubeチャンネルでも活動を続け、メンバーとのキャンプ動画を定期的に配信。男性ばかりのキャンプでは味気ない、さみしいなどと漏らし、「結婚できない」ことを嘆いている風の今田だが、六大学の女子大生と一緒にキャンプしたいと発言するなど、あっけらかんとしている(そこはかとない面倒くささも漂わせるが)。

 8月5日配信の動画では、そのアローン会に、女性アローンである森三中・黒沢かずこが参加。黒沢サンは「一度も、私は合コンに行ったことがないですし、異性とデートもしたことございませんし、ずっとアローンです」と明言していた。恋人と知り合うきっかけは合コンとは限らないが、合コンに行ったことがないということは、出会いを積極的に求めるタイプではないといえるだろう。

 ひと昔前のノリなら、「デートもしたことがないなんて、ヤバい」と自虐しそうなものだが、このご時世、恋愛経験のない視聴者を貶める可能性に配慮してか、黒沢サンはただ事実を述べるのみ。一方、恋愛経験がないことをイジるとセクハラになってしまうので、今田らのリアクションも非常にあっさりしたものだった。

森三中・黒沢かずこ、「自分は一人」という強い思い込み

 それなりに恋愛もしてきたけれど、なぜか結婚してない、もしくは、なぜか異性に縁がないまま、アローンを更新中。これくらいのゆるいノリのほうが、幅広い層に見てもらうには、効果的だろう。その点で、このアローン会が人気なのも頷けるが、黒沢サンって実は、恋愛や結婚について意識しすぎているのではないだろうか。

 8月23日放送の『上田と女が吠える夜』(日本テレビ系)は、「心配性な女VS能天気な女 生態カミングアウトSP」。タイトル通り、綿密にシミュレーションして物事に臨むタイプと、あまり何も考えずに、その時の流れに任せるタイプの女性タレントたちが、それぞれのエピソードを披露する。

 この番組に、心配性な女として登場した黒沢サンは、「自分が死んだら、処分できない」という理由で、ベッドなどの家具を持たず、「30年以上、敷布団(を使っていた)」と告白。また、コロナ禍で初めて、一人用のダイニングテーブルを買って「めっちゃ便利ですね」と話し、笑いを誘っていた。

 テレビでの発言がすべて真実、本音とは限らないことは百も承知で言うが、黒沢サンってちょっと思い込みが激しくないか。

 確かに一人で暮らしている人が亡くなったら、死後の後始末をどうするかという問題はあるだろう。けれど、だからといって、30年もベッドを使わないままでいる必要があるのかというと疑問である。今、パートナーがいないからといって、ずっとパートナーができないとは限らない。そう考えると、黒沢サンは「自分は一人だ」という思い込みが強すぎるように思うのだ。

 黒沢サンの思い込みの強さは、番組内でも垣間見える。同番組には、能天気な女として、芸人・餅田コシヒカリも出演していた。餅田は寝る時間がもったいないと思ってしまい、賞レースの前でも1日1時間しか寝なかったところ、39度の熱が出たことを明かしていた。その影響で練習が不十分だったために、賞レースも予選落ちしてしまう。また、寝ない生活はプライベートにも悪影響があったようで、睡眠不足から情緒不安定となり、彼氏に夜中、LINEを送りまくって困らせてしまったそうだ。

 ここで注目したいのは、餅田が「私、彼氏がいるんですけど」と切り出したところ、黒沢サンが「えっ」と声を出した点だ。どんな意味の「えっ」かは推測になってしまうが、黒沢サンは餅田に彼氏がいないと思っていたから驚いたのではないか。もしそうなら、黒沢サンの中には「彼氏がいる人は、こういう人」という思い込みがあり、それに餅田が当てはまっていないから驚いたのだろう。

 そんな黒沢サンを、親友の椿鬼奴は気にかけているようだ。黒沢サンはかつて『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)で、鬼奴の交際相手(当時)である後輩芸人・グランジの佐藤大に経済力がないことから、「本当に鬼奴と結婚するつもりがあるなら、この世界を辞めて普通の仕事をすればいい」と泣きながら心配していたことがある。これにもまた、「夫が妻を養わなければいけない」という強い思い込みを感じてしまうが、一方の鬼奴は「私たちがいいんじゃない? という人とでも、絶対に食事に行かない」と黒沢サンを心配していた。

 ここで思い出されるのが黒沢サンの過去の発言だ。黒沢サンは過去の『上田と女が吠える夜』で「一人が苦手だけど、結局一人になっちゃう。一人っ子だし、パートナーもできたことがない。だから、みなさんは究極の一人を知らない」と発言していた。この発言だけで判断するなら、黒沢サンはパートナーを欲しくて頑張っているのに、なぜかそれが叶えられない人のような印象を受ける。しかし、鬼奴発言から考えると、黒沢サンはチャンスがあっても、それを受け入れない頑なな面があるようだ。

 自分が「できない」と思い込んでいることが、他人から見ると「その気があるように思えない、自分からチャンスを棒に振っているように見える」ことはよくあることだろう。

 黒沢サンは芸人なので、思い込みの激しさも芸の内だ(例えば、黒沢サンの持ちネタ「千手観音かずこ」は、架空の人物になりきるという芸だが、彼女の思い込みの強さが生きていると言える)。しかし思い込みが強すぎると、不必要に自分を責めたり、対人トラブルを起こしてしまったりする可能性がある。

 自分の信頼する人、話の合う人に勧められたら、一度くらいは軽い気持ちで、その提案を受け入れてみる。黒沢サンに限らず、40歳以上の人は、自分で作り上げた思い込みに縛られていないか振り返ってみることも必要かもしれない。

定価2.4万のダイエット運動器具、新品より「メーカー保証なし」のメルカリ中古品を選んだワケ

――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 最近、体重がジワジワと増え続けている千葉N子です。デッブー!(注:『こんにちは』的なあいさつ)

 そんな私がこの溜まりに溜まった脂肪をどうにかしなければいけないと考えていると、友人から「一緒にダイエットしようよ!」とLINEが来ました。ほう、ダイエット……?

友人「私、室内で跳ねられるトランポリンクッションを買ったのよ。そして、iPadでL'Arc〜en〜Cielのコンサート映像を流しながら、ライブに行ったつもりでポンポン跳ねてるの! 1曲でも足がガックガクよお!」

 その友人は「こーゆうやつ」と、実物画像を見せてくれたので、同じようなアイテムを探そうと、早速、楽天で「トランポリンクッション」と検索。すると、まあ、いろんな商品が出てきました。こういうとき、私という女は、まず「高いもの順」にチェック。そうすれば、一番強い(高性能な)商品がわかるってもんよ。

 そうして気になったのが、「ジムテリア」というブランドの「シェイプエイト」という商品で、お値段2万4,200円。1万円以下で買える商品がいっぱいある中で2万円越えとは、くう~、しびれるわねえ! 見た目もかわいくてインテリアの邪魔もしないし、さすがグッドデザイン賞を受賞しているだけあるわ。

 購入者レビューも見てみたんですが、どうやら、安いトランポリンは「コイル式」らしく、ベッドのスプリングのように、ボインボイン跳ねるタイプなんだとか。買った人の中には「1カ月でバネが飛び出してきた」という人も。一方、この商品は特殊なクッションを使用しているため、その心配はないみたい。

 しかし、私はウーンと頭を抱えました。そもそも、トランポリンが長続きするかどうかと聞かれると微妙だし、とりあえず安いものを買って、お茶を濁す……という手もある。さて、どうしたもんかねえと悩んだ末、ステディに尋ねてみました。

「ねえねえ、トランポリンを買うか迷ってるんだけど……半額出す気ある?」

 すると、ステディは「いいよ!」とまさかの即答。そ、そうだった、ステディは最近、シェイプアップにハマっていて、家の中で飛んだり跳ねたりしているんだった……!

ステディ「いくらなの?」

「定価だと2万4,200円」

ステディ「1万2,000円ね! じゃあ口座に振り込むね!」

「ちょ、ちょっと待てい!」

 こ、これはすでに買う流れになっている……本当にいいのか……。物怖じした私はとりあえずメルカリをチェック。こうしたダイエット運動器具は、「買ったけど結局使わなかった」という人がいっぱいフリマアプリに出品しているのではと踏んだのです。

メルカリにはたくさんの狙い目商品が、でも……!

 その読み通り、実際、メルカリにはたくさんジムテリアの商品が出品されており、1万7,000円と定価から7,000円値引きされたものもあって、やはり狙い目でした。しかし、問題もあります。このトランポリンはカバーが破れやすいらしいのですが、中古で買った場合、メーカー保証が受けられません。

 そのため、1万5,000円まで値下げ可能か問い合わせ、NGだったら新品を買うことにしました。早速出品者さんに尋ねてみると……「いいですよ!」とのこと。ひゃっほ~~~~~い!!!!!!!!!!

 そんなわけで、家にトランポリンがやって来ました。実際に乗ってみたところ、意外によく飛べて楽しかったです! マゾで変態のステディ(自分でそう自己紹介していた)も、トランポリンの上でハンドクラップダンスをして踊り狂い「最高だ……最高だ……!」と叫んでいます。

 果たしてどれだけダイエット効果があるものなのか、追ってご報告いたしますね。「シェイプエイト」、もし気になる方がいらっしゃれば、ぜひお試しあれ! 

■今回の出費
ジムテリア「シェイプエイト」 1万5,000円

 

電子書籍『“買い物狂い”の散財日記2~借金300万でも尽きない物欲~』発売中!

 昨年9月に販売した電子書籍『“買い物狂い”の散財日記~千葉N子のリアルな家計簿大公開~』の続編となる『“買い物狂い”の散財日記2~借金300万でも尽きない物欲~』がこのたび発売いたしました。

 日々の散財っぷりはもちろん、Amazonで買えるおすすめ商品、さらに数あるコレクションの中から、“一軍ジュエリー”も写真つきで公開! 

 また、夫や家族、友人との面白おかしいやりとりなど、買い物時の出来事がユーモアたっぷりにつづられており、気持ちのいい買い物っぷりは、読む人に爽快感を与えてくれるはずです。Amazon Kindleストアでの独占販売となりますので、千葉N子ファンの皆様は、ぜひご一読ください。

発売元:サイゾー
発売日:2023年6月30日
価格:950円(税込み)

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Amazon Kindleストア https://www.amazon.co.jp/dp/B0C9QRTMYM

闇金社長が暴露! 悲惨な末路を辿った名優、テレビから消えたワイドショー司会者とは?

 こんにちは、元闇金事務員、自称「元闇金おばさん」のるり子です。

 平成初期。この会社に就職してから、さまざまな社会の闇を目の当たりにしました。一番初めに驚かされたのは、信用情報端末の存在です。名前と生年月日を入れるだけで、他社からの借入状況や取引情報が瞬時に開示されるもので、延滞はもちろん貸倒れや法的処置などのブラック情報も併せて入手することができました。いわゆるブラックリストの正体を知った時には、誰に対してかはわかりませんが、得体の知れない優越感を覚えたことを思い出します。

 また、暴力団系闇金業者からの要請に応じて、彼らのところに申し込みのあった客の信用情報も照会していました。もちろん禁止行為ではありますが、占有現場の留守番をお願いするなど、関わりが深い親分さんの頼みを断われるわけもなく、要請に応じることで歓心を得ていたのでしょう。

 いまであれば大問題になるような話ですが、まだ個人情報保護法が成立していなかった時期の話なので、情報機関から注意されることすらありませんでした。振り返れば、いかにも平成初期らしい話だと、その意識の低さに苦笑するばかりです。

 今回は、当時の忘年会で偶然耳にした親分さんと社長たちの会話の一部を、ここに再現したいと思います。

闇金に右翼の名前をちらつかせ再融資させようとした“名優”

 毎年の仕事納めは、銀行の営業日に合わせて12月30日と決まっており、この日は朝から事務所の大掃除をして、不渡速報の配信を待ちます。貸付金の返済は、あらかじめ28日に設定しており、直撃の不渡を食らう心配はありません。

 不渡速報の配信業者も仕事納めのため、この日に限っては情報の配信が早く、午前中には異常のないことが確認され、気の抜けた状態になりました。事務所内の緊張感は一気に緩和し、一通りの掃除を済ませたところで、夕方からは向かいにあるホテルの宴会場で「金田グループ大忘年会」が開催されます。

 グループを形成するのは、貸金業者の仲間やその社員をはじめ、ケツ持ちである組関係の方々と取引のある事件屋さんたちで、みなさんを招待して仲間意識を高めていました。どうしても女性の割合が少ないため、私と愛子さんは、ほかの会社の女子社員ともども、各テーブルにお酌して回るホステスのような役割を担います(これも時代ですね……)。

 そのうちに、金田社長と大学時代の後輩で貸金業者でもある安田社長、それに某組の親分さんがおられるテーブルに落ち着くと、皆さんの口から次々と過去の強烈エピソードが披露されました。

「なあ、安田。年末になるとT(自殺した俳優)のことを思い出すよな」
「ええ。好きな役者でしたし、亡くなる何日か前に事務所で見かけていたこともあって、あれは衝撃でしたよ。先輩の担当でしたよね? あの人、たくさんテレビにも出ていたのに、なんでカネに詰まっちゃったんですか?」

 人気俳優であったTさんの自殺は、日本では特殊といえる方法でされたことから非常に衝撃的な事件となり、ワイドショーでも連日大きく取り上げられました。当時、まだ小学生だった私ですら、自殺の原因や女性関係、金銭トラブルなど、さまざまな臆測が過熱気味に報じられていたことを鮮明に記憶しているほどです。

「不動産、いいところにたくさん持っていたんだけど、全部(抵当権などが)目一杯ついていてな。M資金の話を力説されたこともあったし、結果として、いろんなヤツの食い物にされたんじゃないか」
「いい役者だったのに、もったいなかったですよね」
「ああ、でも中身は最悪だったぞ。亡くなる1週間くらい前のことだったかな。あいつ、再貸付を断ると、右翼の名前を出して脅してきてさ。それを社長(金田社長が下積みしていた頃の会社の社長)に報告したら、会長(有名暴力団組織の方)が抑えてくれて、慌てて謝りにきたのが最後だったんだよ。この話、親分も、ご存じでしょう?」

 ギラギラと輝いてみえるほどに、切れ味の鋭い目つきを持つ50代前半の親分さんが、タバコを片手に低いダミ声で答えます。

「ええ、自分は会ったことないですけど、オヤジから聞いています。見た目と違って、癖の悪いヤツだったみたいですね。そういえば話は変わりますけど、いま安田社長のところ、ワイドショーの司会をやっている男にカネを出していませんか?」
「え? なぜ、それをご存じで……」
「ウチの若いのがやっているトイチ屋(10日で1割の金利で融資する闇金業者のこと)で、いま出していましてね。申し込みの時に本人の口から聞いたんですよ。あいつ、毎日テレビに出てしゃべっているけど、相当に摘んでいる(多くの業者から金を借りているということ)ようで……」

 話を聞いた途端に顔色を変えた安田社長は、宴会に参加している男性司会者の担当者を呼びつけて、早めに回収するよう指示していました。親分さんのところと取り合うわけにはいかないからと、頭を搔きながら恐縮していた姿を思い出します。

 その数カ月後、件の司会者が借金まみれであることがスポーツ新聞で報じられると、彼の姿はブラウン管から消失することになりました。後に自己破産されたと聞きましたが、親分さんのところは完済されたそうで、その力を見せつけられた次第です。

※本記事は事実をもとに再構成しています

(著=るり子、監修=伊東ゆう)

ばいきんまんに不憫萌え! アンパンマン沼にハマった、ジャニオタ母の気づき

 サイゾーウーマン編集部員が週替わりで近況をつづっていく「編集部コラム」。半径1メートルの身近な話からジャニーズや芸能ニュースのネタまで縦横無尽に話題が飛び出します! 

 どーもどーも! 編集部のJ子です。皆さん、お盆はどのように過ごされましたか? 私は暦通りに働いていたのですが、保育園は休園していたため、「家で仕事をしながらイヤイヤ期真っ只中の2歳児の世話をする」というミッションインポッシブルを遂行しておりました(まぁわかってはいたことですが)。

 そんな中、あらためて「アンパンマン」の偉大さをかみ締めていた私。とりあえず『それいけ!アンパンマン』(日本テレビ系)をテレビで流しておけば、2歳児も食い入るように見るので、なんとかなるんですよね……。ママ友の中には、「アンパンマングッズに家を侵食されるのは嫌」と、アンパンマンをシロアリ扱いし、頑なに『アンパンマン』を見せない人もいるんですが、私はもはやアンパンマンに五体投地、もう彼ナシでは育児は回らないと確信しております。

 こうなると、36歳にして、これまで一切興味のなかったアンパンマンにも「推し」ができました。そう、ばいきんまんです。アニメを見ていると、彼が実は、さまざまなマシンを開発する科学者であることが発覚。映画『アンパンマンが生まれた日』(2012年)では、幼少の頃より溶接作業をしているシーンもあり、彼が研究者だけでなく技術者としての顔を持つこともわかったのです。

 ただの菌だと思っていたのに、その有能ぶりにギャップを感じ、一躍私の“気になる存在”に。しかも、そんなシゴデキのばいきんまんですが、毎度、居候のドキンちゃんのわがままに振り回され、痛い目を見ており、でも彼女を追い出すこともできず……という一面も併せ持っていたんです。「ばいきんまん、まさかの不憫萌えもある……」と、がっちりハートをつかまれてしまいました。

 こうして、すっかりばいきんまん推しになったわけですが、自分の中に、嫌なオタクの萌芽を感じてしまって。というのも、フルスタックエンジニアであるばいきんまんに対し、ジャムおじさんとバタコさんに顔を焼いてもらわないと何もできないアンパンマンって一体何なんだろう? ばいきんまんのほうがずっとシゴデキでは? と思い始めちゃったんですよ。ジャニオタにもこういう厄介なオンリー担っていますけど、私もばいきんまんオンリーになりかけていました。

 しかし、家族にアンパンマンディスを展開したところ、「そんな、誰かの助けがないと生きられない弱い者が、正義のヒーローとして在れる世界」と諭されまして、ハッと目が覚めましたよ。「これがやなせたかし先生の哲学か、ユリイカ……」ってね!!

 そんなわけで、さらにアンパンマン沼にずぶずぶハマってしまいまして、今は全国にあるアンパンマンミュージアムを制覇するため、スケジュールを調整しているところ。高知、横浜、名古屋はすでに来訪済みなので、残すは神戸、仙台、福岡です。子どもが成長し、担降りする前にコンプリートするつもりですよ!

なぜ占いは廃れないのか? 『突然ですが占ってもいいですか?』を見ていてわかったこと

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

<今回の有名人>
「自分で頑張ればどうにかなるって、たいていのことは思っちゃう」長谷川理恵
『突然ですが占ってもいいですか?』(フジテレビ系、8月14日)

 お金を払って鑑定してもらうとしたら、当たる占い師と当たらない占い師、どちらを選ぶだろうか。おそらく、すべての人が「当たる占い師」と答えるだろう。しかし、「当たる!」という触れ込みでテレビに出るような有名占い師でさえも、性格診断は別にして、“予言”の部分では、案外外していることがわかる。それなのに、占いというジャンルが廃れることはないし、占い師に鑑定してもらう番組もなくなることはない。

 これはどうしてなのか。そんなことを考えながら、8月14日放送の『突然ですが占ってもいいですか?』(フジテレビ系)を見た。

 今回の番組前半ゲストは、モデルの梨花と長谷川理恵。2人とも一世を風靡した人気モデルだが、長谷川は特にラッキーな人だと思う。そんな彼女は20代の頃、俳優・石田純一と不倫関係になり、長期間交際していたものの、結婚には至らなった。

 石田と破局後は一般人男性、俳優・神田正輝との交際が話題となったが、結局、実業家男性と結婚。この男性は、離婚直後に長谷川と結婚したために、不倫からの略奪婚ではないかと疑う声もあった。昨今このようなことをしたら、世間にボッコボコに叩かれ、仕事にも支障が出たはずだが、そうならないのは、彼女が“持っている人”だからだろう。そんな長谷川が、占い師にどんなことを言われるのかという点にも興味を抱いた。

 この番組を見ていていつも思うのは、占いの結果と一般論をきっちり分けるのは難しいということだ。長谷川は「好きな人には構ってほしいという気持ちがあるけど、それを見せない構ってちゃん」と占い師に指摘され、「あ~、そうそう」と納得していた。番組的には「この占い師は当たる」と視聴者に印象づける場面だったかもしれないが、これ、みんな、だいたいそうじゃない? と言いたくなる。好きな人に構ってもらわなくていいという人はほとんどいないだろうし、けれど、相手が仕事などで忙しいとわかれば、「構って構って」とは言えないものだ。

 このほかにも、占い師に「小さいおじさんが中にいる」と指摘された長谷川は「いるんですよ~」と答えていたが、10年くらい前、30を過ぎた女優やモデルがこぞって「中身はおじさん」と言っていた時期があったことを考えると、これも占いの結果なのか、多くの人に当てはまる一般論なのか、ちょっと判別がしにくい。

「芸能人パワーを使ってでも」長谷川理恵のシュークリーム事件

 また、占い師の指摘の中には、「それは外れているのでは?」と疑わしいものもあったが、長谷川本人は肯定していたので驚いた。

 占い師から見ると、長谷川は、外見は美しいけれども、中身はおじさんで、ちょっと素直になれないキャラなのかもしれない。「人にお願いごと、頼みごとをするのが苦手なタイプと出ています」と指摘し、長谷川も「自分で頑張ろうと思っちゃう。頑張れちゃうし、自分で頑張ればどうにかなるって、たいていのことは思っちゃう。だから、わざわざお願いごとするのが、申し訳ない。その人のエネルギーを取っちゃう」と説明していた。

 しかし、ここで思い出されるのが、石田がバラエティ番組で語っていたシュークリーム事件だ。

 長谷川と交際中の石田は、有名店のシュークリームを買ってくるように言われ、行列に並んだが売り切れてしまい買えなかった。その後も3日連続で並んだのに買えなかった石田に対し、長谷川は「芸能人パワーを使ってでも、手に入れてこい」と言ったそうだ。

 バラエティ番組での発言だから、多少“盛っている”かもしれない。それに石田は、長谷川と結婚するつもりで土地まで購入したのにフラれてしまったため、多少彼女に恨みを込めて悪く言っている可能性も否めない。しかし、このエピソードから考えると、長谷川は「頼みごとが苦手」ではないように思う。

 また、長谷川といえば、夫からもらった婚約指輪のダイヤを「小さい」と口にしたため、夫がショックで吐血したことを自著『願力 愛を叶える心』(マガジンハウス)で明かし、話題になった。ダイヤが小さいと思うことと、それを口にすることはまったくの別問題である。彼女が人に遠慮して、言いたいことが言えないタイプにはどうしても思えないのだ。

 しかし、長谷川はもしかしたら、「恋人には強めに物を言えるけれど、それ以外の人には言うべきことすら言えないタイプ」かもしれないし、若い頃は思ったことを何でも言っていたけれど、結婚して妻となり、母となったことで性格が変わって、今は相手にあれこれ言わ(え)なくなったというのもよくある話。そもそも大人になると「私の要求は100%聞き入れられている」と思っている人のほうが少数派で、多くの人は「自分は我慢している、自分の要求は聞き入れられていない」と思っている気もする。

 このように考えていくと、他人からどう見えているかは別にして、占い師が「あなたは我慢している」系の指摘をすれば、本人は「当たった!」と感じるのだろう。

 なお、長谷川本人の弁によると、彼女は実際、我慢していたらしい。長谷川は、梨花の“物怖じせず、何でも言える明るい性格”がうらやましかったという。撮影の際、暑かったりカット数が多かったりで疲れてしまい、早く帰りたいと思っても、長谷川はそれを口に出してしまうと「わがままと思われるんじゃないか、怒られるんじゃないか」と思って我慢していたとのこと。しかし、梨花は「まぁだ?」と平気で言ってしまうそうだ。

 このエピソードを明かすことで、梨花のイメージが下がるかもしれないことに配慮しないのが、長谷川の“らしさ”のような気がするが、恵まれている人もそうでもない人も、誰もがそれなりに我慢はしているものなので、やはり「あなたは我慢している」系の指摘は、万人に当てはまるといえるだろう。

 ただし、誰にでも当てはまる指摘とは言っても、「あなたはわがままですね」のように相手の非をあげつらうような指摘はよろしくない。生きていれば誰でも味わうであろう、苦しみや悲しみを拡大して寄り添うこと――それが占いのポイントであり、そこを求める人が後を絶たないからこそ、占いは廃れないのではないか。

 ちなみに占い師は、長谷川を「離婚する運命」としながらも、「努力して我慢するタイプ」とフォローしていた。彼女の恋愛遍歴を知る人は、たとえ離婚したとしても驚かないだろう。もし彼女が離婚すれば「離婚する運命」という占いは当たったことになるし、しなければ「努力して我慢した」となり、これまた占いは当たったことになる。やはり、テレビに出ている売れっ子占い師は「うまい」と思う。

 そして同時に、長谷川には今のテレビに欠けているわがままキャラのイスに座ってほしいと感じた。離婚しようとしまいと構わない、長谷川が夫(もしくは元夫)の悪口を言ったり、過去の恋愛について語ったら、ネットニュースになることは確実で、身も蓋もなさすぎて逆に面白いと思う。テレビ局の皆さま、この逸材をどうぞお見逃しなく。

メルカリで定価11万円超のリングを3.8万円でゲット! しかし商品到着後、まさかの展開へ

――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 はかどる、はかどるわ、散財がっ……! 事の発端は、「Boucheron(ブシュロン)」のはりねずみモチーフの「エリソン リング」を62万円で購入したこと。

 存在感抜群のこのはりねずみ君に合うリングはないか、ジュエリーボックスの中を漁っていたんだけど、うちにはプラチナ(ホワイトゴールド)素材のものがほとんどなかったのよ。「ぎゃ~~~ん、プラチナ素材のものがほち~~~~!!!!!!」と思っていた、そのとき……。

 メルカリを眺めていたら、「AbHeri(アベリ)」の「ダイヤモンドチェーンリング」が出品されていました。お値段は4万円……。プラチナの星のモチーフが2つ重なっていて、中央にダイヤがあしらわれており、チェーン部分はイエローゴールドでできているみたい。これはアリか? なんといっても、アベリのアイテムにしてはお手頃。4万円ならポーンと買っちゃえるお値段……。

ジュエリー友達から「それ売っちゃった」と言われて……!?

 私は少し迷っただけで、すぐに値下げ交渉をし、3万8,000円で譲ってもらったのでした。うれしくなった私は、速攻でジュエリー友達に報告! 「これ持ってたよね!? 私も買っちゃった~」と連絡してみると、友人からは意外な答えが返ってきたのです。

 友人「ああ、それね! イエローゴールドの金種がどうにも慣れなくて売っちゃったんだよね。私は総プラチナバージョンを愛用してるよ~~~」

 な、ななななんだと? 総プラチナバージョン……!?!?!?!?!? 驚いた私は、すぐさまアベリの公式サイトを開き、商品を検索。すると、確かに「お好きな地金からお選びいただけます」と書いてある~~~~~!

 な、なんてこった、ちきしょう……。私は優待割引がきくから、定価の15%オフで購入できるというのに。金種を変更しても値段が変わらなければ、定価11万5,500円のところ、9万3,500円で買えるのよ。ぎゃ~~~判断ミスったああ~~~~~!!!!!!!!!!

 まさかの展開に私は落ち込みつつ、アベリさんに「金種の変更はできますか?」と直接問い合わせてみることに。その結果、見積もりを出してもらえることになりました。ふう、一体いくらになるのかしら……? 私がメルカリで買ったリングは3万8,000円だったため、5万5,500円以下で買えたら、リング1つの値段で2つゲットできることになるんだけど、金種変更の運命やいかに……!?!?!?!?!?

【後日談】
 アベリさんに見積もりを出してもらった結果、定価と同じ11万円で、優待割引で9万3,500円になることがわかりました。

 一方、メルカリでゲットしたリングが届いたのですが、チェーン部分はイエローゴールドではなく、まさかのまさか、プラチナシャンパンゴールドだったというオチが。これ、私が苦手な金種なんですよね……。そこで、ブログで購入希望者を募ったところ、買い手が無事に見つかりまして、その方にお譲りすることに。

 そして、私はアベリで総プラチナバージョンのリングを注文! 紆余曲折ありましたが、こうしてはりねずみのリングによく合う、最高の一点を手にしたのでした。めでたし、めでたし。

■今回の出費
アベリ「ダイヤモンドチェーンリング」 9万3,500円

 

電子書籍『“買い物狂い”の散財日記2~借金300万でも尽きない物欲~』発売中!

 昨年9月に販売した電子書籍『“買い物狂い”の散財日記~千葉N子のリアルな家計簿大公開~』の続編となる『“買い物狂い”の散財日記2~借金300万でも尽きない物欲~』がこのたび発売いたしました。

 日々の散財っぷりはもちろん、Amazonで買えるおすすめ商品、さらに数あるコレクションの中から、“一軍ジュエリー”も写真つきで公開! 

 また、夫や家族、友人との面白おかしいやりとりなど、買い物時の出来事がユーモアたっぷりにつづられており、気持ちのいい買い物っぷりは、読む人に爽快感を与えてくれるはずです。Amazon Kindleストアでの独占販売となりますので、千葉N子ファンの皆様は、ぜひご一読ください。

発売元:サイゾー
発売日:2023年6月30日
価格:950円(税込み)

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Amazon Kindleストア https://www.amazon.co.jp/dp/B0C9QRTMYM

亡くなった父の夢の意味は? 娘が10年後に受け取ったメッセージとは

“「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける”
――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社)

 そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。

 亡くなった人からのメッセージを受け取ったという人は少なくない。前回から引き続き、そんな体験をした人たちの話をご紹介したい。

出産後、夢に現れた父は微笑むだけ

 平野紅梓さん(仮名・58)は、中国人だ。20代で日本に留学し、そこで知り合った日本人の夫と結婚してからは、中国へは数年に一度しか帰っていなかった。まだ60代だった父親が末期がんで余命半年だと宣告されたときも、平野さんが妊娠中だったこともあって、帰国することができなかった。

「父の病状はずっと気になっていたんですが……。あるとき、夢に出てきて、私に赤い靴を渡してくれたんです。私の故郷では、赤い靴は亡くなったときに履く靴なんです。目が覚めて、ああ父は亡くなったんだと思いました」

 死期の迫った父に顔を見せることもできず、申し訳なく思っていた平野さんだったが、その後再び父親が夢に出てきた。

「『お父さんが好きだった服をずっと探していたんだけど、やっと見つかったよ』とうれしそうに言うんです。翌日、母に電話して父の言葉を伝えたら、お葬式のときに父が気に入っていつも着ていた服をお棺に入れるのを忘れていたので、四十九日の納骨時にその服を燃やしたということでした。父の元にその服が届いたんだなと思いました」

 母親も驚いていたという。そして、「なぜ私には知らせてくれなくて、紅梓のところに行ったのかしら」とやきもち半分で笑った。

 その後、平野さんは無事男の子を出産した。するとまた父が夢に現れた。

「部屋の外からこちらを見ているんです。孫を見に来てくれたんだと思って、『お父さん、赤ちゃんが生まれたんだよ。入って来て抱っこしてあげて』と言ったのですが、微笑むだけで入ろうとしないんです」

 平野さんは、父が部屋に入ってこなかった理由を考えていて、あるとき思い当たった。

「この世は“陽”、亡くなった人は”陰“の世界にいるから、入ってこれなかったのかもしれません。父はもう向こうの世界にいるということだから、安心していいのかなと思うようになりました。それ以降、父は長く夢に出て来ませんが、きっと向こうで幸せにしているんだろうと思っています」

亡くなって10年、夢に出てきた父

 沢井久美子さん(仮名・61)も、50代だった父親を亡くした。30年以上たった今でも、父親を思い出しては泣いてしまうくらい大好きだったという。

「亡くなって10年ほどたったころでしょうか。父が夢に出てきたんです。父は、まばゆいばかりの白い光があふれる場所にいました。そして『お父さんはここにいるから、いつでも遊びに来ていいよ』と言ってくれたんです。そのときの幸福感といったら……うまく表現できないんですが、あふれる愛に包み込まれるような感覚、と言ったらいいのでしょうか」

 その夢を見てから、沢井さんはいつか父に会えると思えるようになった。だから、生きている今を大切にしなければならないとも思っている。

「父はいなくなった今も、私を励まし、勇気づけてくれる存在なんだと思います」

 親は亡くなっても、子どもを気にかけてくれているし、子どもが前を向いて生きる力になっている。そうして、死を受け入れていくのかもしれない。親だけでなく、いずれ訪れるであろう自分の死をも。

夏休みの早朝ラジオ体操に現れず! サボり癖のある校外委員のママ友にイライラ爆発

「子ども同士の付き合い」が前提のママ友という関係は、価値観や環境の違いからさまざまなすれ違いが起きやすい――。ママたちの実体験を元に、ママ友ウォッチャーのライター・池守りぜねが、ママ友トラブルの解決策を考える。

 コロナ禍が明けた今年、これまで中止されていた盆踊りやラジオ体操といった夏ならではの行事が各地域で復活。ママたちはその手伝いに駆り出されるため、「毎日忙しいのに、さらに負担が増えた」という声も聞こえてくる。今回は、当番をサボるママ友との付き合い方に頭を悩ませているお母さんの声を取り上げる。

PTA委員と校外委員のダブル任務で大忙し!

 都内にある小学校に5年生の娘を通わせている薫さん(仮名・38歳)。彼女は、玩具メーカーの広報として勤務しながら、今年はPTAの広報委員と校外委員の委員長を務めている。

「うちの小学校は在学中に一度はPTAの委員か役員をやらなければならないルール。それとは別に、校外委員と呼ばれる委員活動もあるんです。校外委員は、主に学校外の活動がメイン。交通安全のための旗振り役や登校班のグループ作成、祭りなどの地域活動の手伝いなど、活動は多岐にわたり、必ず担当が回ってくるにもかかわらず、PTAの委員のほうは免除にならないので大変なんです」

 校外委員は、住んでいる地区などにもよってルールが異なるが、「高学年で担当することになるとPTA委員・役員と兼任になってしまうこともある」と薫さんは言う。

「私はフルタイムで働いているので、これまでPTA委員・役員は避けてきました。でも来年は、娘が中学受験をする年なので、5年生のうちに済ませてしまいたいと思ったんです。学級委員のような定期的な集まりがある委員よりも、必要な時だけ集まればいい広報なら……と思って選びました。ところが、住んでいる地区の校外委員も選任されていまい、夏休み中は子ども向けイベントの手伝いにも呼ばれるように。校外委員がこんなにも忙しいとは思いませんでした」

校外委員に選ばれたのに……理由をつけてサボるママ

 薫さんと一緒に校外委員を務めているのが、息子が同学年という晴香さん(仮名・40歳)。

「晴香さんは、家が近所なので、なんとなく顔見知りだったのですが、小3の時に引っ越してきたみたいで、あまり付き合いがないんです。うちの地区の校外委員はみんなで3人。旗振り当番なども分担していたのに、晴香さんは下の子の送迎を理由に当番をサボるようになりました」

 旗振り当番など、期日が決まっているものは、家庭内でスケジュールを調整し、両親のどちらかが担当するのが通例だ。しかし当日、晴香さんもその夫も旗振りに姿を現さなかったため、それに気づいた別の保護者から、校外委員の委員長である薫さんに連絡が入ったという。

「くじ引きで委員長になったのですが、まさか旗振りをサボった人の代わりをすることになるとは思いませんでした。晴香さんに連絡したところ、『下の子を保育園に送ってからやるつもりだった』と言っていて、悪びれる様子もないんです。理由があるから当番はできないっていうのが通るなら、みんなそうしたいですよ……」

 夏休みとなり、PTAの広報委員の活動は休止中だという薫さん。しかし、校外委員の活動は、むしろ活発だ。

「コロナ禍が明けた今年は、夏祭りの受付当番や、ラジオ体操の手伝いなどがあります。ラジオ体操は朝7時からなのですが、校外委員は準備のために6時半には会場の公園に行かなければなりません。先日、眠い目をこすりながら会場に行ったら、なんとまた晴香さんが来なかったんです。あとで『体調不良なので行けません』とLINEが来ました。それなら仕方ないけど、私だって多忙の中、頑張って早起きして手伝っているのに……」

 薫さんがママ友に聞いた話によると、晴香さんはPTA委員の活動は「ちゃんとやっていた」という。

「PTAの委員活動は、先生の協力が必要となるので、手を抜いて学校側の心証を悪くしたくないと、みんな真面目にやるんですよね。でも校外委員は地域のイベントの運営や交通整理など学校外の活動なので、手を抜いてしまうんだと思うんです」

 薫さんは、平日にPTA委員や校外委員の仕事が発生する場合、半休を取って対応している。

「晴香さんはパートタイムで働いているようなんです。これはママ友の意見ですが、『校外活動で働く時間が減ると手取りも減るから、サボってるんじゃない?』と……。実際、PTAも、フルタイムで働いているママさんが仕事を休んで業務をしている一方、パートや時間給で働くママは『シフトをずらせない』という理由で休むケースが多いんですよ」

 共働き家庭が増えた昨今でも、PTAや校外委員の活動はなくならない。薫さんは、まだ残り半年間の任期がある中、晴香さんに「担当業務はきちんと行ってほしい」と伝えるか迷っているという。

「PTAにしても校外委員にしても、『自分がやらなくてもほかの誰かがやる』という雰囲気があるせいか、必ず業務をやらない人が出てくる。でも、旗振り当番にせよ、夏祭りにせよ、ラジオ体操にせよ、前もって日程が決まっているのだから、調整して対応すべきだと思うんです。晴香さんにも、ちゃんと業務をやってほしいのですが、関係が気まずくなるのは嫌だし、どう伝えればいいのか……」

 なにかとトラブルが多いPTA活動だが、今回、話題に上った校外委員と呼ばれる活動もまた、忙しいママたちの悩みの種になっているようだ。

 ちなみにこの校外委員、ほかにもバザーや市民ホールでの映画の上映会といった行事の手伝いも含まれているという。ただでさえ負担となっているPTAの活動以外に、校外活動の手伝いも発生するとなると、ママたちから不満が噴出するのも仕方ない。

 校外委員の活動は、地域の人との付き合いが薄いママの場合、子どもが参加しないことを理由に手伝わない人も出てくる。今回の晴香さんもよそから転居してきただけに、まさにこのケースに当てはまるだろう。その尻拭いを、昔からこの地域に住んでいる人=薫さんがするはめになったという構図のように見えた。          

 では、薫さんは晴香さんに対し、どうやって「校外委員の業務をきちんとやってほしい」と伝えたらよいのだろう。

 そもそも校外委員は、子どもの学年がバラバラということも多く、それまで交流が乏しかったママ友と一緒に活動しなければいけないケースが目立つ。そんな関係性の相手に対し、いきなりストレートに「きちんとやってほしい」と伝えるのは確かに角が立ちやすいだろう。

 できれば、委員をやっているもう一人のママも含めて、「その業務がいかに重要か」「委員が一人でも欠けると、大変であるという事実」を、会議の体で伝えるのがよいと思う。ママ友は、子どもを介した付き合いのため、価値観や立場も違うと思って間違いない。なるべくママ同士、関わり合いになりたくないと考えている人もいるだけに、「あくまでこれは仕事」というスタンスで話をしてみてはどうか。

 サボるようなママは、ママ同士の付き合い自体が希薄で、ほかのママがどのようにして活動を行っているのかを知らない可能性もある。薫さんが正社員で、有休を使って活動をしているという事情を話せば、晴香さんにもその大変さがわかってもらえるような気もする。

 一番よくないのが、何も言わずに、晴香さんの代わりに業務をしてしまうこと。「自分がいなくても事が進む」とわかると、晴香さんはますます活動に参加しなくなってしまうだろう。

 任期が決まっていると、サボりがちな人のしわ寄せがきても、我慢してしまうというママもいる。しかし、周りと協力し、お互いの状況を理解し合い、一人ひとりの負担が減るようになるのが、やはり望ましいと思う。

『らんまん』神木隆之介演じる「槙野万太郎」の史実がクズすぎ! 女たちとの奇妙な関係とは

国民的ドラマといわれるNHKの連続テレビ小説、通称「朝ドラ」。今期は天才植物学者・牧野富太郎をモデルにした『らんまん』が放送中だが、どうやらドラマでは描かれないヤバいエピソードを持つ人物のようで……。『本当は怖い世界史』(三笠書房)などの著作を持つ歴史エッセイストの堀江宏樹氏が、朝ドラ『らんまん』主人公の実像をひもとく!

 野口英世、中原中也、太宰治……ジャンルを問わず、近代日本史の偉人の私生活には、素顔の彼らがいかにクズだったかを証明する史料が数多く残されています。

 しかし、NHK朝の連続テレビ小説『らんまん』主人公のモデルにして、「日本植物学の父」として有名な牧野富太郎の私生活はクズの中のクズ。横綱級のクズだったといえるでしょう。牧野がクズになってしまったのは、若き日の彼の「重婚」を許してしまっていた、周囲の女たちの“過ち”であり、すべてそこからスタートしていたのかもしれません……。

 『らんまん』には決して描かれないであろう不都合な真実と、破天荒すぎる牧野の魅力を取り上げます。

『らんまん』で描かれない、最初の妻の存在

 その94年にも及ぶ長い生涯において、牧野は何度か自伝の類を残しています。しかし、それらの中で、一貫して無視されているのが、最初の妻・猶(なお)という女性の存在でした。

 牧野猶こと旧姓・山本猶は、牧野の従姉妹にあたります。

 彼の実家は、土佐(現在の高知県)・佐川町の由緒正しい造り酒屋「岸屋」でしたが、牧野にとっては祖母である浪子がすべて切り盛りしていました。牧野の両親が早くに亡くなっていたからです。

 牧野より2歳年下の猶を許嫁に決めたのも浪子で、両者の祝言が行われたのが明治17年(1884年)、牧野が東京から戻ってきた時だったといいます。この時、牧野22歳、猶は20歳という若さでした。

 最初の結婚については、牧野がだんまりを決め込んでいるため、すべては推測するしかありませんが、猶は美人ではなく、実務的な性格だったため、牧野のタイプではなかった一方、不幸にして猶は牧野に心底惚れていたようです。

 猶を妻に迎えたのは、牧野にとってスポンサーである祖母・浪子の意向にすぎませんでした。彼にとっては本当は気が進まない結婚でしたが、「別居していればいいか」程度に軽く考えていたのは明白です。しかも、猶の好意をいいことに、牧野は彼女を「金づる」として利用しつくしています。

 猶を土佐に残し、病気がちになってきた祖母の世話を含め、岸屋がらみの一切も任せ、牧野は明治17年(1884年)中に東京に再び舞戻りました。

妻からの送金で東京大学へ

 天才には奇妙なこだわりが多いもので、牧野は東京大学(時代によって頻繁に名称変更しているのですが、今回の原稿では東京大学、もしくは東大に統一します)の植物学の研究室に顔を出しながらも、師匠を持たない「独学主義」を貫き、正規の学生には一度もならずじまいでした。

 その理由を推測すると、大学には進級するための必修科目というものが絶対にあるのですが、植物関係にしか興味がない牧野は、それ以外の科目の勉強を拒否したのでしょう。それゆえ、牧野の最終学歴は小学校中退になってしまいましたが……。

 こういう奇妙な経歴に加え、裕福な牧野が醸し出す、ほんわかした雰囲気は、エリート同士がしのぎをけずる東大の研究室では異質中の異質。彼の土佐弁まるだしの植物愛に満ちたトークは、東大の研究者たちを和ませていたといいます。

 しかし、本来なら部外者でしかない彼が、東大の研究室に本当に溶け込めた理由は、実家の経済力を背景に資金提供をしていたからでしょう。

 岸屋の祖母の体調不良が深刻になった後は、すべてが牧野の妻――つまり、牧野に惚れ込んでいる猶の裁量となり、岸屋からの送金額は増加する一方でした。東大の研究室から、植物学研究の専門誌を創刊したい牧野は、高額な各種参考文献を買い占めただけでなく、印刷機まで自費購入してしまっています。

 関西でいう「ええカッコしい(=カッコつけたがり)」の牧野は異様な気前のよさを見せる一方で、金を積むだけでは入手しづらい研究室備品の専門書は一度借りると、私物化してなかなか返そうとせず、教授たちを困らせていたようですね。

妻と結婚したまま、ひとめぼれした14歳と同棲・妊娠

 さて、話を明治20年(1887年)にまで戻しましょう。当時、25歳だった牧野は、飯田橋で駄菓子屋をいとなむ没落士族出身の寿衛(すえ、14歳)と出会い、ひとめぼれ。猛烈なアタックの末、知人を介して結婚にこぎつけたといいます。

 しかし、牧野が自伝の中で寿衛との結婚について語ったこれらのエピソードの大半は「捏造」で、事実ではないそうです。

 牧野の発言をまとめると、寿衛とは知り合いの印刷屋主人・太田義二を仲人として“正式に”結婚したそうですが、すでに彼には猶という妻がいる以上、正式な結婚はできませんよね。

 真実は、牧野に口説かれるうちに本格的に惚れてきた寿衛が親元を飛び出し、上野の裏町にあたる下谷区・根岸の御隠殿(江戸時代には輪王寺宮の別邸があった地域)で彼との同棲をはじめたことを、後年の牧野が「結婚した」といっているだけ。

 現実はそうではありません。いちおう同棲は認めていたものの、わずか1年ほどの間に彼女が妊娠、出産までしてしまったことに寿衛の両親は驚愕しました。この時点でも籍など入っておらず、将来については口約束すら取れていない状態だったからです。しかも、東京の牧野家は借金まみれでした。

 妊娠・出産をきっかけに、寿衛は離別を望んでいる両親との関係を、悪化させました。牧野が土佐の有名な造り酒屋の息子だと聞いていたので、大目に見ていた寿衛の家族たちも、窮乏生活を娘夫婦(というか、主に寿衛)が送っていることに気づき、寿衛の母親は牧野との関係継続に強い反対姿勢を見せはじめたそうです。

 すると、健気にも寿衛は牧野をかばって、実家とは義絶してしまったのでした。その後も、寿衛と家族の関係は回復せぬままだったようです。

 寿衛と、かつて牧野の妻だった女・猶との関係も奇妙でした。寿衛は、その後も猶からの送金を受け取る窓口であっただけでなく、猶とは個人的なやりとりもしたり、猶の親戚筋にあたり、都会生活に憧れる男の子を家に置かされ、彼の面倒をみさせられたり……。

 しかし、こうした家庭上の問題に牧野は無関心でした。

 この頃の牧野といえば、先述のとおり、東大の植物学研究室で自分の理想とする研究誌を出そうという活動に没頭し、実家には多額の送金をせびるだけの日々でしたから、明治21年(1888年)、早くも岸屋は財政破綻してしまいました。

 そして、牧野は猶から懇願され、土佐に1年ほど、赴くことになります。当主である牧野のハンコがなければ、財産整理もおぼつかなかったからですが、そうした名目で、彼は妊娠中の寿衛と病気がちな長女を東京に置き去りにして、全くかえりみなかったのです。

 金欠と体調不良に苦しめられている寿衛からの手紙は次々と届いていたのですが、長女が死ぬまでなんと一通の返事すら書かず、ただ、おのれの欲望に突き動かされるまま、仰天の行動を連発していたのでした。

 しかも彼が没頭していたのは植物学ですらなく、音楽でした。妻子の窮乏をよそに、自身は土佐随一の高級旅館に宿泊し、なぜかクラシック音楽を故郷に根付かせようと奮闘していたのです。

――次回に続きます。