No.1は『石子と羽男』! 一番ガッカリした作品は…夏ドラマ総括

 全13回となった『六本木クラス』が最終回を迎え、ようやく民放ゴールデン・プライム帯の夏ドラマがすべて終了した。「ドラマ序盤ランキング」で取り上げた作品はどうだったか、今期ドラマを総括…

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『ハケンアニメ!』さらに「胸に刺さる」人が増えてほしい、歴史的傑作映画になった理由

 辻村深月の小説を原作とした映画『ハケンアニメ!』のBlu-ray&DVDが発売中、そして各種配信サービスでレンタル配信中だ。

 本作は劇場公開当初、ライバル作品が多いこともあって興行的に苦戦したものの、絶賛に次ぐ絶賛の口コミが相次ぎ、公開から1カ月以上経ってからは首都圏の劇場では満席が続出、上映期間の延長や拡大公開もされるという、異例のロングランを記録した。

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闇金社員、初の現場は「ゴミ屋敷」! コバエが弁当にたかる臭い部屋……仏壇の位牌が消えていた

 こんにちは、元闇金事務員、自称「元闇金おばさん」のるり子です。

 いまから30年近く前の話になりますが、私の勤めていた金融会社は20年以上の業歴を誇る老舗で、“金融問屋”の立場にもありました。業歴浅く、資金力のない金融業者などを相手に、その債権を担保に資金を貸し付けていたのです。その利率は、年36.5%。通常のお客さんより安く設定されているのは同業者だからで、有事の際は取り立てを代行して、自分たちで回収する目論見も透けて見えます。

 その貸し付けていた金融業者の一つが「〇×インターナショナル」。名前からして、そこそこ大きな会社だと思っていたのですが、その実態は社長と社員1人の極小企業と聞いて驚いたことを覚えています。

 ある日、「〇×インターナショナル」の客から担保に預かっていた小切手が不渡となり、それに合わせて「〇×インターナショナル」とも連絡が取れなくなったことがありました。その残高は、200万円。社長からは、担保として預かっている小切手は、すべて現金化して強制回収しろと指示されました。

 「〇×インターナショナル」の客の立場になれば、見知らぬ金融業者から、突然小切手分の金額を回収されることになり、急な資金繰りを余儀なくされます。当座決済のリミットは、翌日の午後3時。不渡を避けるには、小切手を所持する当社が、金融機関に「決済をしなくてよい」と連絡するか、「〇×インターナショナル」の客がお金を作って決済するほかありません。

「振出人(手形を発行した人=「〇×インターナショナル」の客)の会社と自宅がどうなっているか、確認してこい」

 ホワイトボードに書かれた代表者の自宅住所は、私の家から徒歩3分くらいのところでした。それを社長に話すと、いい機会だから現場を見てこいと進言されます。業務終了まで、あと1時間ほどありますが直帰を許され、イケメン営業マンの佐藤さんと元プロボクサーである藤原さんのコンビと一緒に、社用車で債務者の自宅に向かうことになりました。

 このコンビは、社内で取り立て最強タッグといわれており、いつも先陣を切って現場に飛んでいきます。なんでも武闘派の藤原さんが暴れ、優男の佐藤さんがなだめて客に取り入るやり方が、うまく型にハマるという評判でした。

 社用車は、ランドクルーザー。手荷物を入れるべくトランクを開くと、バールやドライバーといった工具のほか、レトルト食品やカップ麺、2つの布団袋が積まれています。それらの使途が気になって、すぐ隣でバッグを積み込む佐藤さんに尋ねると、さわやかに答えてくれました。

「バールなんて、何に使うんですか?」
「現場が遠かったりして、鍵屋が用意できないときは、壊して入ることもあるからさ。いつでも占有できるように、きれいな布団と食料も常備してあるの」
「知らない人の家で寝るって、どんな気分なんですか? 怖くないです?」
「怖くはないけど、気持ち悪いよね。俺は、トイレとかお風呂とか、水回りを使うのが嫌だな。食器とかも使いたくない」

 車に乗り込みドアを閉めると、傍らで話を聞いていた藤原さんが、車を発進させながら口を開きました。

「俺は現場に入ると、緊張しちゃってダメっすね。他業者や警察が、いつ来るかわからないし、全然油断できないっす」
「何か怖い思いをしたこともあるんですか?」
「夜中に、債権回収に来た同業のKグループの奴らに物件の周りを取り囲まれて、一斉にノックされたときが一番焦ったっすね。少なくとも50人くらいは来ていたんじゃないかなあ。すごい人数で来ているのがわかったし、逃げ場がないから、あの時は参ったすよ」

 結局、その時は人が集まりすぎて現場で揉めてしまい、警察沙汰になったとのこと。パトカーはもちろん、護送車が3台もきたそうで、関係者全員がそれに乗せられて、いくつかの警察署に振り分けられたと話しています。

「あの時は、パクられるのを覚悟したけど、誰も手を出していないから厳重注意ですんだっすよ。殴られたら有利になるからって、社長にいわれて仕向けてみたけど、手の内を知る向こうも、さすがに手は出してこなかったっす。結局、口げんかで終わって、拍子抜けしたっすね」
「殴られろと指示されるなんて……。そんな会社、聞いたことないです」
「そうっすよね? ウチは普通の会社じゃないっすから……。まあ、でも、そういうところが楽しくて、お世話になってるっす」

 細いながらもがっちりとした体格を有する藤原さんは、パンチパーマをかけていることもあって、一見すれば暴力団員にしか見えません。その風貌が影響しているのかはわかりませんが、営業成績は常に振るわず、事務所で話す機会もほとんどありませんでした。本人も自覚されているようで、自分が活躍するのは回収の現場なのだと、自嘲するように話しています。

「自分なんかは、スーパー営業マンの佐藤先輩がいるから、クビにならずに済んでいるようなもんですよ。本当に助かっているっす」

 これほど饒舌な方とは思わず、そのイメージは大きく変わりましたが、見かけによらず良い人で好感が持てました。

「ここだ」

 見覚えのある住宅街に入り、航空地図を頼りに車を走らせると、その物件はすぐに見つかりました。弁護士の介入通知などは、玄関扉に貼られておらず、呼び鈴を鳴らしても反応はありません。郵便ポストや電気メーターを確認した後、迷うことなく敷地内に入った2人は、小さな庭から家の中を覗き込んでいます。

「メーターは少し回っているけど、中(屋内)の感じからすると、間違いなく飛んで(夜逃げして)いるよ。会社に報告入れたら、鍵屋を呼んで中に入ろう」

 玄関前に車を横付けして、周囲を警戒しながら鍵屋の到着を待っていると、しばらくして60歳くらいにみえるホームレス風の男性が小さなトランクを引いて現れました。あまり目立つのはよくないということで、私と藤原さんは車から降りることなく、車内から状況を見守ります。

「お疲れさま。今日も頼むね」
「目立っちゃうから、大きな声出さないでよ。悪いことしにきているんだからさ」
「ごめん、ごめん。ここを開けてもらいたいんだけど、大丈夫?」
「このタイプなら、すぐ開くと思うよ。周り、注意して」

 玄関前にトランクを広げ、ライト付きの独眼鏡を左目につけた鍵屋は、糸鋸の刃に似た道具で鍵穴をほじり始めます。

「開いた」

 作業開始から、およそ2分。いとも簡単に扉は開かれました。一刻を争うように道具を片付けた鍵屋は、領収証と引き換えに3万円の現金を受け取ると、そそくさと帰っていきます。

 車から降りて、玄関扉に看板(A3のコピー用紙に社名と電話番号が書かれたもの)を貼り出し、急いで家屋の中に入ります。すぐに戸締りをしてリビングに入ると、部屋中に下着や洋服などが散乱しており、素人目で見ても夜逃げした感じが伝わってきました。

 ダイニングテーブルの上には、使用済みの食器やグラスが放置されたままで、食べ残したコンビニ弁当にコバエがたかっている有様です。雨戸(仏壇の扉のこと)が開いたままの仏壇が目に入り、ごあいさつするべく中を覗くと、位牌や仏像の姿は見当たりませんでした。

「仏様がいらっしゃらないですね」
「夜逃げ確定ですね。仏壇なんて、どうして覗くんですか?」
「知らない方のお宅だし、お邪魔するから、ごあいさつしようと思って。実家が葬儀屋なもので、お宅にあがるときは、必ずご焼香させていただくものですから、つい……」

 キッチン周りを見れば、パンパンに膨らんだゴミ袋が多数積まれていて、足の踏み場もないまさにゴミ屋敷。室内の臭気は強く、すぐにも立ち去りたい気持ちになりました。

 次回は、この債権回収の現場について、引き続きつづっていきたいと思います。

※本記事は、事実を元に再構成しています
(著=るり子、監修=伊東ゆう)

友人に3万円の“立て替え”を頼まれた買い物狂い、手持ちの現金がなく大焦り

――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 自他ともに認めるジュエリーマニアの私ですが、ネックレスやリングは一通り購入して満足しているんですよ。あとは、この手持ちのジュエリーを死ぬまで愛でていけばいいかと、そう思っていたのです。ところが……。

 親友のS子が最近、“ジュエリー沼”に足を踏み入れているらしく、ある日、「この指輪が欲しいんだよね!」と、URLを送ってきました。それは、アクセサリーブランド「NOJESS(ノジェス)」の公式サイトで、2万8,600円の「ラブラドライド」のリングが掲載されています。

 うん、確かにかわゆい! S子はこのリングに夢中らしく、発売日早々に「今週末仙台行かない!?」と誘ってきたので快諾し、私たちは今週末に件のリングを見に行くことにしました。

 しかし、待ち合わせ当日、10時半のバスに乗った私にS子から連絡が入りました。

「電車が遅延してるらしくて行けない……!」

 彼女は北海道に旅行に行っており、帰りがけにそのまま仙台に向かうという話だったのです。でも、線路内にシカが入り込み、どこに行ったかわからないため、新幹線を動かせないのだとか。ぴえ~~~!!!! 結局、私だけが仙台に上陸し、ノジェスのお店に行くことになりました。

 S子からの情報で、「リングはほぼソールドアウト」と聞いていたので、これはゲットするのは無理かなぁ……と半ば諦めつつお店に向かったのですが、店員さんは笑顔でこうおっしゃいました。

「まだございますよ!」

 え~~~!!!!!!!!!! S子が欲しいのは、確か11号。サイズを確認すると、バッチリ在庫がありました。とりあえず電話でS子に報告したところ、「今日は行けそうにないから、N子ちゃん、現金があれば、立て替えほしい」とお願いが。ぐむむ……現金ね、現金……。

 財布の中にあるのは、「2万6,000円」。これじゃあ、指輪代にも届かないわ……。焦りながら、正直にそのことを伝えたところ、S子は取り置きできる期間を聞いてきました。そのまま店員さんに伝えると、「1週間なら可能です!」とのこと。S子は「水曜日ならなんとか予定が空けられそう」というので、とりあえず、取り置きしてもらう方向で話を進めることに。

 でも、「せっかく仙台にいて、今すぐアクセサリーを買える状態だというのに……」とモヤモヤする私。S子は「1人で仙台に行ってもらって悪いから、往復の交通費払うね。あと、ランチもおごる!」と言ってくれました。

 それなのに、わたしゃあ、仙台に来て何もしていない……。買い物狂いとして、なんか落ち着かない!!!!!!!!!!

 私は決心し、S子に電話をかけました。「現金を明日振り込んでくれるなら、カード使って決済するよ!」と。友よ、これが私のできる精いっぱいなのじゃ……。するとS子はとても喜んでくれ、「よろしくお願いします!」と言ってくれました。よし、任せろ~!!

 そんなわけで、ノジェスで約3万円の決済をし、おつかいを済ませた今、意気揚々と帰宅している私であります。リングは限定品らしいし、ちょっとでも役に立つならいいよね……。とはいえ、本当にお金を振り込んでもらえるのかちょっぴり不安で、ステディに「こわい」と連絡してしまったのは秘密よ。

電子書籍『“買い物狂い”の散財日記~千葉N子のリアルな家計簿大公開~』発売中!

 2020年3月から連載中の人気コラム『“買い物狂い”の散財日記』が、ここでしか読めない書き下ろしエピソードを大量に収録して初の書籍化! 

 “買い物狂い”の千葉N子氏が、日々の散財ぶりはもちろん、フリマアプリの活用法や通販サイト利用時の注意点など、知っておけば必ず得をする買い物術から失敗話までを赤裸々に綴ります。さらに、“買い物狂い”のひと月の散財リストや1年の散財額も大公開! 物欲が刺激されること間違いなしの一冊です。

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『水ダウ』で物議を醸したおいでやす小田「閉所恐怖症」事件と芸人へのリスペクト

 9月21日に放送された『水曜日のダウンタウン』(TBS)がまたまた、ネット上で物議を醸している。これまでも何度か、波紋を呼んできた番組だが、今回も予期せぬ部分でかなりの波紋を呼んでしまった。

 一体何が問題だったのか。今回はその辺りを元芸人目線で軽掘りしたいと思う。

 番組の前半コーナーで「お化け屋敷のルート中にお化けメイクされて捕えられてたら、めちゃ助けてもら…

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下着メーカー「ワコール」と「トリンプ」の商品の違いに驚き! ブラ選びにまさかのオチ

――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 前回(連載254回参照)、イオンで下着メーカー「ワコール」の「F80」のブラを試着し、「もしや私はGカップなのではないだろうか……」との疑念を抱いた千葉N子。Gカップということになれば、あたしゃ巨乳の仲間入り~! やふ~~~い!!!!!!

 そんなわけで、Gカップへ憧れを抱きながら、仙台のワコールのお店に突撃。店員さんに聞いた通り、FカップとGカップのブラが置いてあるエリアに行くと、そこに下着界のボス・サルートが身構えていました。それは、ワコールの中でもお高い下着ブランド。ブラ1枚で9,000円くらいするんです……!

 うひょ~! あたくし、サルートの下着買っちゃうの!? でもでも、「F80」があるのなら、サルートでも構いませんわ。いざ、勝負~!! 「F80」と「G80」のブラを手に、私は意気揚々と試着室にこもりました。

 まずは大本命のGカップから……って、あれ!? ぴったりかと思いきや、ゆるっゆる! 「G80」はカップがパカパカする感じだったのです。あいや~! 「Gカップかもしれない」と思っていた自分が恥ずかしい。かくなるうえはFカップよ!

 そんなわけで「F80」のブラも試着しましたが、なんかこれじゃない感。たしかにカップ数はよさげなのですが、ちょーっとパカパカするというか……。ひょっとすると、あたしってEカップだったのかしら。下着の種類でこんなにサイズが変わるもの? 頭の中でいろいろ考えながら、私は何も買わずに店を出ました。

 それにしても、ウーン、おかしいなあ。「F80」だと思ったんだけど。こうなると、思い返すのは地元のイオン。同じサイズのブラを試着したときは、ちょうどよかったんだよな……。

 私は恥を忍んで、地元のイオンに電話をかけました。前に私が行った時は確か、20%オフのセール中だったのよね……。

私「もしもし……あのう、この間行ったときには20%オフになっていたんですけど、今でも20%オフですか?」

 すると、店員さんから「そうですね……。多分その日は“感謝デー”だったんだと思います。いまは10%オフです」と回答が。感謝デー!? あれか! イオンが定期的に開催してるやつね!! そこで、次の感謝デーがいつなのか聞いてみると、

店員さん「次は20日です」

 と教えてくれました。ブラッボー! じゃあその日に行けば、安く買えるってわけね。仙台からバスで帰宅していた私は、途中下車してイオンへ。そして、店員さんに「20日までお取り置きしてもらえませんか!?」と聞いてみると、快諾してくれたのです!!

 というわけで、いい感じのブラ2着とショーツを、イオンの感謝デー20%オフ+アプリのクーポン10%オフを使用して、合計1万3,000円ほどでゲット! めっちゃいい買い物ができた~~~!!

 商品の受け取りの際に必要な個人情報などを紙を書いていると、店員さんから「よければメンバーズ登録しませんか?」と言われ、私は言われるがままに登録をすることに。しかし、そこにはなんと、ワコールではなく「トリンプ」の文字が……! まさか、ワコールの商品だと思って試着したブラは、トリンプの商品だったってこと~~~~~!?!?!?!?!? こんなオチってある!?!?!?!?!? 

 私、生まれてこの方、ワコールの下着にこだわり、「ワコールの商品以外受け付けない!」と思っていたのに……トリンプ!? 自分で自分に驚いたわ!?!?!?!?!?

 とは言いつつ、試着した結果、納得して購入しているので、まったく問題はないんです。でも、あんなにワコール信者だった私がトリンプに寝返るなんて……。ががーん。でもでも、ブラのホックは3つあって、安定感があったし、ブラの安定感もあった。これはワコールを離れる時期なのかしら。

 結局、その後、ワコールのオンラインショップで5,000円くらいのブラを2着×ショーツ2着を購入してみました。実際にそれぞれ長時間着用してみて、明らかな違いがあった場合は、レポートしたいと思います!

■今回の出費 
トリンプのブラ2着とショーツ 1万3,000円
ワコールのブラ2着とショーツ2着 2万円
合計 3万3,000円

 

電子書籍『“買い物狂い”の散財日記~千葉N子のリアルな家計簿大公開~』発売中!

 2020年3月から連載中の人気コラム『“買い物狂い”の散財日記』が、ここでしか読めない書き下ろしエピソードを大量に収録して初の書籍化! 

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閉じられた家の中で苦しんでいる母親に手を差し伸べたい――浮気と暴力を振るう夫に悩む家族【前編】

「できない」が言えなかった

 産前産後の家族を救う場でありたい――

 「産後TOMOサポ」を主宰する多田祐実さんは、孤独な育児に奮闘している母親たちをサポートし、支援する人や場所につなげている。多田さん自身、産後ウツとワンオペ育児に悩んだ経験があるからだ。

「産前に抱いていた育児のイメージと実際に子どもを産んだ後とではまったく違っていました。確かに赤ちゃんはかわいいけれど、泣きやまないし眠れない。誰かに助けを求めたいけれど、誰につながればいいのかも、そのつながり方もわからない。探す時間さえないんです」

 完璧主義だったという多田さんは「できない」が言えなかった。こんなに頑張っているのに、認めてもらえない。社会からも孤立していると感じた。完全に産後ウツだったと振り返る。

 多田さんは、理系研究者として仕事をしていた。育休から復帰した後は、子どもと仕事を天秤にかけながら仕事に向かう自分に罪悪感を抱くようになった。子どもも仕事も大切にしたいのに、どちらも中途半端なことに苦しんだ。ところが、多田さんが一日中走り回っているのに、夫は子どもが生まれてもそれまでと変わらない生活をしている。イライラが募り、夫とは気持ちがすれ違うようになっていた。

 そんな経験から多田さんは、友達同士で産後を助け合う「産褥ヘルプ」の仕組みをつくった。

「産後のお母さんのいる家でごはんをつくったり、上の子の送迎をしたりする中で見えてきたものがあります。それは支援者が家庭に入って家事を助けても、子育てはお母さん一人が背負い込んでいることに変わりはないということ。お父さんに自分ごととしての意識がないんです」

 根底にあるのは、家事育児をするのは女の役目という意識だ。その大変さがわかっていない夫に、多田さんは夫婦講座を開くようになった。そこで夫婦が互いの思いを伝えあったり、家事育児のタスク表を作成して、やるべき仕事を見える化したりすることで、夫婦でともに育児に取り組む意識が育っていく。「産後TOMOサポ」という第三者が入ることで、夫は自分も子育ての当事者であることに気づくのだと多田さんはいう。

 こうして産前産後の母親が困難に直面する前につながる場所をつくり、地域の子育て支援窓口や専門家につなぐなど、現在の産後TOMOサポへと発展させていった。

度重なる夫の浮気とDV

 多田さんとともに活動している古川美紀さん(仮名)も子育て中に夫との関係に苦しんだ経験がある。古川さんの夫は、こともあろうに妊娠中に浮気をしていたという。

「仕事が忙しいと言いながら、香水のにおいをぷんぷんさせながら遊び歩いていました。そのうえ、上の子に暴力を振るったり暴言を吐いたりしていたんです」

 夫は反省するどころか、自分は被害者だと言い放ったという。幸い、古川さんが産後TOMOサポの「産褥ヘルプ」に支援を依頼したことで、家族の危機はいったん収束した。

「第三者が家庭に入ると、夫の暴力には歯止めがかかりました。産褥ヘルプの支援者が私に『よく頑張っているね』と声をかけてくれると、夫も『妻も頑張っているんだ』と気づくことができたのでしょう」

 こうして、おさまったかのように見えた夫の浮気とDVだったが、数年たつと再び浮気の兆候が見られるようになった。

「あるとき、私の留守中に夫が子どもに暴力を振るっていたようで、戻ったら子どもたちが布団に隠れて震えていました。当然子どもたちから『パパは叩くから嫌だ』と言われるようになり、ますます浮気相手のもとに入り浸るようになりました。さらには『お前の食事がまずい。こんなもの食えるか』などと難癖もつけるようになったんです」

 離婚を考えるうえで決定的だったのが、夫が古川さんに無断で家を購入しようとしていたのが判明したことだった。浮気相手のところに入り浸り、妻子にはDVをする夫が、なぜ家を買おうと思うのか、まったく不可解だ。

 ともかくそれを知った古川さんは、すぐに弁護士に相談した。そのころには古川さんも夫との離婚を考えるようになっていたのだ。夫が家を購入すると財産分与に支障をきたすとアドバイスされたため、古川さんは意を決した。子どもを連れて家を出たのだ。行く先のあてはなかった。

(取材協力:産後TOMOサポ

ーー後編は10月9日

ママ垢ルールに触れてしまった? 保活の話で「上から目線やめて」、気づいたらブロックされた!

「子ども同士の付き合い」が前提のママ友という関係には、さまざまな暗黙のルールがあるらしい――。ママたちの実体験を元に、ママ友ウォッチャーのライター・池守りぜねが、暗黙ルールを考察する。

 年齢も住んでいる地域も超えて、同じ趣味や趣向を持った者同士が交流できるSNS。特にここ数年のコロナ禍において、SNSでの人とのふれあいは、以前より身近で濃いものになってきたのかもしれない。

 自由に出歩くことができない妊娠中のプレママや、育児中のママにとって、SNSはちょっとした息抜きになる。「マタ垢」や「ママ垢」と呼ばれるアカウントを作り、SNS上で交流する文化も定着してきた。しかし、ママ友と会話を楽しんだり、妊娠中や育児のストレスを発散する場としてSNSを利用していたつもりが、いつしか人間関係に悩み、メンタルが病んだというケースもあるようだ。今回は、SNS上のママ垢をめぐる “暗黙のルール”に触れてしまったという、あるお母さんの話を取り上げる。

マタ垢のわかりづらい“独特のルール”

 首都圏のデパート売場に勤務している聖子さん(仮名・34歳)は、昨年3月に出産したばかりの新米ママだ。

「妊娠をきっかけに、都内から夫の実家がある関東の県に引っ越したんです。夫の実家が近いのは心強かったのですが、コロナ禍の影響でママさん同士が交流できる児童館のイベントなどが軒並み中止になっていて、まだ近所にママ友がいないんですよ」

 聖子さんは妊娠を機に、それまではあまり熱心ではなかったSNSを始めたという。

「同じ時期に出産するママたちと情報交換したいなあと思って、ほんの軽い気持ちで、Twitterにアカウントを作ったんです。いわゆる『マタ垢』ってやつですね」

 Twitterやインスタグラムでは、妊娠週数の近いプレママ同士がつながることを目的とした「マタ垢」が存在している。プロフィール欄やアカウント名には、初めての妊娠の場合「初マタ」というワードを、妊娠週数を「〇w」と表記するケースが多い。

 また、アカウント名ににっこりマークの顔文字をつけているマタ垢が多数みられるが、これは「タメ口で話しかけてもらってOK、でも私は緊張するから敬語で話すけど気にしないでね」という意味だそう。ほかにも、おなかの子が男の子の場合はゾウの絵文字、女の子の場合はリボンの絵文字をつけるなど、わかりづらい“独特のルール”が存在している。

「マタ垢を始めた理由には、『コロナ禍の妊娠で、不安を吐き出せる場所がほしかった』というのもあります。実際に、体調が悪くなり、マタニティブルーのような状態に陥った時、同じマタ垢のプレママさんから励ましの言葉をもらえて、うれしかったですね」

 聖子さんは、マタ垢を通して、同い年で、同じ地方出身という共通点がある加奈子さん(仮名・34歳)と親しくなったそうだ。

「加奈子さんは、ハッシュタグで、同じ頃に出産予定のプレママさんを探していたそうです。彼女は2歳上の女の子がいたので、育児では先輩。たまにDM(ダイレクトメッセージ)で悩みを送ったりしていました」

 聖子さんと加奈子さんは、お互いに子どもが産まれると、マタ垢をママ垢にして、そこでも交流を続けたという。しかしある時、加奈子さんの態度が豹変したとのこと。

「うちの娘は早生まれなので、これから保活を始める予定。保活情報を集めようと、ママ垢でいろいろとつぶやいていたら、加奈子さんから『保育園に預けるんだ』ってDMが来たんです。私は『仕事を休職中で、来年4月には子どもを保育園に入れ、復職する予定』ということ、それから『復職前に良かったら一度、会いたい』とも伝えました。すると加奈子さんは、妊娠前に仕事を辞めていて専業主婦のため、3歳までは自宅で子どもを見るつもりだというんです」

 リアルで交流のあるママ友や、もともと友人だったママ友とは違い、SNS上だけの付き合いだと相手の事情がわかりづらい面がある。

「私も、娘を1歳で保育園に預けることに少し抵抗があったので、『子どもとゆっくりいられる加奈子さんがうらやましい』と送りました。そうしたら、『上から目線はやめてほしい』みたいな返信が来て、気づいたらブロックされていたんです」

 気に入らないことがあれば即ブロック。加奈子さんの行動は、SNSでは当たり前なのかもしれないが、聖子さんはとにかく驚いたという。

「私、ブロックされるほどひどいことを言ったかな……と悩みました。どうしても気になったので、一度アカウントからログアウトして、加奈子さんのツイートを見てみることにしたんです」

 そこには、信じられないことが書いてあったという。

「ざっくり言うと『ママ友から保活の話で嫌なことを言われた』『私は働きたくても、家にいなくてはならないのに』と書いてあったんです。私のことだなと思って、読んだ後に動悸がしましたね……以前テレビで、ママ垢には『子育てに必死で余裕のないほかのママを傷付ける投稿はしない』という暗黙のルールがあると知りました。ネットではバカバカしいと一蹴されていましたが、私の『保活』ツイートも、加奈子さんをはじめ一部のママに嫌な思いをさせていたのか。それなのに、『加奈子さんがうらやましい』と言ったことで、彼女を決定的に傷つけてしまったのかもしれませんね」

 少し前、産後すぐに筋トレを行った様子をアップしたママ垢が、あらゆる事情で運動することができない産後ママから批判を受け、「この度は、たくさんの方に不快な思いをさせてしまい大変申し訳ありませんでした」などと謝罪したことが話題になった。この一件を機に、「子育てに必死で余裕のないほかのママを傷付ける投稿はしない」という暗黙のママ垢ルールが世間で注目を浴びることになり、この事態はツイートの投稿主も予想外だったことだろう。

 ネット上では、筋トレツイートを批判した側が「おかしい」と言われていた印象だった。しかし、批判した側をフォローするならば、出産前、産後数カ月間は、慣れない育児やホルモンバランスのせいで情緒不安定になりやすいため、“思わず”カッとなってしまった可能性は否めないと思う。

 さて、今回のケースは、保活をしていることをSNSで口外したことがトラブルの発端となった。

 居住地域によるものの、首都圏では思い通りの園に入園ができるママは少数。また、妊娠や出産のため、不本意ながら仕事を辞めた人にとっては、すぐ就職活動したくても、子どもが小さすぎて面接すらも受けられず、保活自体が暗礁に乗り上げてしまうこともある。保活は思っている以上に、デリケートな話題であるのは間違いない。

 しかし、SNSで保活情報を集めたり、つぶやくのはもちろん何の問題もないだろう。聖子さんの保活ツイートにモヤモヤする人もいるかもしれないが、そう感じたほうがミュート機能を用いて、自衛する方法だってあるはずだ。むしろ今回のケースでは、顔も家庭の事情も知らない相手と1対1で話す中、自身の復職予定や相手の立場に踏み込んだ発言をしてしまったのが問題だったと思う。

 誰だって、SNSで相手からブロックされたり、非難されれば、ひどく落ち込んでしまうもの。そのような結果にならないためにも、DMで会話をする際には、相手がどういう立場にいる人なのかよく考えたうえで、話すようにしなければいけない。

 特に、SNSで密にやりとりを続けている同じ時期に妊娠・出産を経験したママ友とは、リアルでの交流がなくても、同志のような感覚になり、距離感を見誤ってしまう可能性がある。その点は十分気をつけたほうがよいだろう。

ニューヨークのYouTubeでまたまた神企画!「シン・りょう」シリーズが見せた革新性

「おもしろいものを作る」を目標に日々切磋琢磨している若手芸人。当然彼らが同業者のお笑いを見るとき、その目線は必然厳しくなる。そんな芸人間で流行る番組は、掛け値なしにおもしろいと言っていい。この企画は現役の芸人をゲストに呼び、「最近芸人が一番笑った番組」を紹介してもらう対談企画である。

 今回のプレゼンターは、芸歴4年目の続きを読む

宮崎駿らから影響を受けた『秘密の森の、その向こう』の「仏実写版ジブリ」的魅力

 9月23日よりフランス映画『秘密の森の、その向こう』が公開されている。本作は『燃ゆる女の肖像』(2019)が絶賛を浴びたセリーヌ・シアマ監督の最新作だ。

 本作の上映時間は73分という短く、メインの舞台も森の中とそこにある家とごく狭く、主要登場人物はたったの5人と、とにかくミニマムな作…

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