ミニマリストに大人気の“極狭物件”、「風水的には問題外」!?【アラサー女、理想の賃貸物件を探す】

 「引っ越しシーズン」といえば、新生活がスタートする春先を連想しがちだが、実はこれから“狙い目”な時期がやってくる。8~9月は転勤シーズンのため物件に空きが生まれ、10~12月中旬までは引っ越し業者が「閑散期」のため、費用が安く済むのだ。最適なタイミングで引っ越しをするには、まさに今から部屋を探すべき! とはいえ、不動産サイトをのぞいても、素人目では“いい物件”の判断がつかない……。そこで、住居・防犯・風水のプロが「アラサー女性ひとり暮らし」に最適な部屋をジャッジ。“物件三銃士”が認める理想の住みかは見つかるのか――!?

■今回のポイント:話題の「極狭物件」って、本当に住みやすいの? 風水的に“問題外”なヤバい間取り

<物件の場所>

・ターミナル駅から2駅、最寄り駅から物件までは徒歩15分
・駅付近は夜も騒がしいが、物件周辺は薄暗く人けがない
・アパートや一軒家が立ち並ぶ、十字路の角
・近くに小さな公園あり(深夜、たまに人の声が聞こえる……)

<詳細情報>

敷金・家賃1カ月分/礼金なし、木造、3階建/3階(6戸)、角部屋、管理人巡回、防犯カメラあり、ペット不可、オートロック、インターホンあり(モニターなし)、宅配ボックスなし、ゴミ出し24時間OK、都市ガス、階段あり、エレベーターなし

 今、都心に住む若者を中心に人気なのが、6畳以下の狭い空間でミニマルに暮らす“極狭物件”。家賃を安く抑えながら、アクセスの良い都心に住めるということで、人気を集めているようです。また、必要最低限の持ち物だけで生活する“ミニマリスト”の流行によって、「部屋に広さは必要ない」と考える人も増えているとか。とはいえ、来客の時に困ったり、好立地ゆえに防犯が心配だったりと、暮らしてみると不便に感じる点が多そう。この物件の場合、むき出しの状態になっているトイレも気になるし…… 。“極狭物件”って、本当に魅力的なんでしょうか?

「住居のプロ」福岡由美氏の評価 ★★★☆☆

 5.13帖ながらロフトスペースも付いていますし、実際の生活面積としては、都心のビジネスホテルの1室ぐらいはありそうですね。学生さんや社会人になりたてのシングルの方なら、十分快適に暮らせそうです。トイレもロールスクリーンなどで間仕切りをすれば、おしゃれに演出できるのでは? 大きなネックは「駅徒歩15分」の距離ですが、駅から離れることでその分家賃を抑えられるなら、「良し」と判断しましょう。

 ところで、住まいには「広さの目安」があることをご存じでしょうか? 国土交通省の住生活基本計画(全国計画)による「最低居住面積水準」は、単身者の場合で25平米、2人以上の世帯なら10平米×世帯人数+10平米となっています。この物件は「最低居住面積水準」を満たさない広さではありますが、近年は断捨離やミニマリストのブームによって“モノを持たない暮らし”をする人が増えていますから、そういうライフスタイルを無理なく実践できる方には、ピッタリなのではないでしょうか。限られた生活スペースの中でシンプルな暮らしを心がければ、余計なモノが溢れることもなく、節約型の家計管理につながりますから、これぐらい割り切ってしまったほうが合理的なのかもしれません。

 今は全国的に都市圏の不動産価格が高騰しており、大家さんとしてはより高い利回りが見込める“極狭物件”を増やす傾向にあります。「家賃の安さ」と「生活利便」を優先する代わりに「住まいの広さ」を犠牲にするのは、仕方のないことでもあります。需要と供給が一致したことで、こうした物件に人気が集まるようになったのでしょう。ただし、極狭物件はあくまでも「自分1人のための空間」です。友だちだけでなく、恋人を呼ぶのも難しいと思うので、その点はよく考えたほうがよいでしょう。

 極狭物件はそもそも「室内を歩き回るスペース」が少ないため、上下階の生活音は気になりにくいはずですが、この物件のように木造の建物だと、隣の住戸から壁越しに話し声などの騒音が響いてくる可能性はあります(建物の防音性能にもよりますが、これは極狭物件に限らずどんな賃貸住宅でも同じです)。また、この住戸は最上階に位置しているので、ロフトの上り下りをするときに下の階へ「ドン!」という重量床衝撃音が響かないように配慮したほうが良いでしょう。日常生活の中でのちょっとした気遣いが、騒音トラブルを防ぎます。

 万一トラブルが起こってしまったときは、クレームを相手に告げる・告げられた際に「自分だけで解決しよう」と考えないこと。直接対決しようとすると、どうしてもお互いが感情的になってしまうからです。管理会社、または大家さんに相談して、必ず第三者を挟んで解決することをおすすめします。

■福岡由美(ふくおか・ゆみ)
ライターエージェント、ヒューズ・エンタープライズ代表取締役。住宅ライター・住宅ローンアドバイザー・FP技能士・ ラジオ構成作家。大手生命保険会社で事務職に従事した後、 ラジオレポーターに転身し名古屋・ 東京の放送局で中継レポーターとして活躍。その後、 間取り好きが高じて住宅ライターとしての活動をスタート。 現在は東京・ 名古屋を拠点に全国で取材を行いながら住宅情報ウェブサイト等で コラム・レポートを執筆中。20年超の取材経験を生かし『女性のためのマンション購入セミナー』や『失敗しない家づくりセミナー』などの講師も務めている。
中日新聞「オピ・リーナ」ブログ『なごやのねたや福岡由美の名古屋ネタ帖

 都心部から2駅と利便性は高いですが、駅から徒歩15分という距離が気になるところです。歩けない距離ではありませんが、決して近くはなく、途中で横断歩道や踏切などがあれば、20分以上かかる可能性もあります。夜遅く帰宅することが多い場合、その距離と時間は負担になるだけでなく、防犯面でも不安が残ります。

 さらに気になるのが、近くに公園があることです。ファミリーであれば、公園が近くにあるのも住みやすさにつながると思いますが、一人暮らしの女性にとっては、誰もが自由に入ることができる上に、木々や遊具など不審者が身を潜めやすい場所があるという点で、あまりメリットになりません。また、深夜に人の声が聞こえるという状況を考えると、“たまり場”になっている可能性も。物件周辺が薄暗く、人けがないということから、立地的にはおすすめできない物件と言えるでしょう。

 「管理人巡回」「防犯カメラあり」「オートロック」というのは防犯面でプラスの要因ですが、都心に近い、かつ極狭物件となると、長く住むよりも、利便性を求めて短期間住む人が多く、入居者の入れ替わりが頻繁にある可能性が高いです。住人かどうか判断がつきづらい人が建物内に多くいる可能性を考えると、玄関を開けずとも室外の様子が見られる「モニター付インターホン」は設置しておいてほしいところです。

 部屋の間取りを見ると、狭いために玄関から居室までが一続きになっていて、入口を開けると、外からでも部屋の一番奥が見通せる状況が生まれます。ハンガーパイプがあるのも玄関の真正面なので、部屋干ししている洗濯物も丸見えに……。防犯上、玄関の手前にドアがあって、奥が見えない造りの部屋が安心ですが、ワンルームタイプだと、極狭物件でなくとも、同じような間取りが多いです。こういった部屋は玄関と部屋の間にカーテンや間仕切りを入れて、部屋の奥まで見通せないように対策すると防犯的によいでしょう。

■河野真希(かわの・まき)
一人暮らしアドバイザー。自らの一人暮らし体験を元に取材や研究を重ね、2001年からWebを中心に各種メディアで暮らしに関する情報を発信。料理や家事、インテリアなど、気持ちのいい暮らしを作る、はじめるためのライフスタイル提案を行う。流行や思い込みにとらわれずに、無理なく持続可能で快適な、自分らしい暮らしづくりを応援している。また、2016年4月より『料理教室つづくらす食堂』を主宰している。

 部屋が狭いゆえ、物理的に「物を増やせない」「物を置けない」という部分だけ見ると、風水的には「良い」と言えます。部屋に置くものは少なければ少ないほど、自分の気が散らない(物が多いと、それぞれに自分の気が分散するため)ので、心地良いのです。極狭物件に住む方が「意外と住みやすい」とおっしゃるのは、これも理由の一つかと思われます。

 しかし、場所が狭いと“気の循環”ができないので、運気は回りません。「いつまでも現状維持」という状態が続いてしまうのです。風水的に良い物件とは、広めの部屋で、物が少なく、自分の気がしっかりと循環するスペースがあることが条件となります。

 またこの物件は、部屋の形としてベストな“長方形”ではありますが、極端に細長いので、良くはありません。このような部屋は「うなぎの寝床」と呼ばれ、縦と横のバランスが悪く、風水的にはあまりおすすめできないです。物事はすべてバランスが大事であり、偏りがあるとさまざまな問題が起きます。極端に狭い、極端に長い……その状態が、この物件では作られていることになります。

 また、トイレに壁や目隠しがなく、むき出しの状態になっていますが、これははっきり言って“問題外”です。ただでさえ狭い空間なので、トイレからの“陰の気”が家全体に回ってしまうだけでなく、体調面でも不安を抱えそうですね。

■生田目浩美。(なまため・ひろみ)
1998年より風水師に師事し、風水・九星・祐気採り(吉方位判断)・吉日の選定・手相・姓名判断・家相学などを学ぶ。独立後、恋愛・仕事など、女子たちが持つ多くの悩みに寄り添い、楽しく前向きに生きるコツを伝授する。

物件三銃士の総合評価 6点/15点

次回は……「築年数」古さの限界って、いったい何年? 畳のある物件が意外と高評価なワケ

ミニマリストに大人気の“極狭物件”、「風水的には問題外」!?【アラサー女、理想の賃貸物件を探す】

 「引っ越しシーズン」といえば、新生活がスタートする春先を連想しがちだが、実はこれから“狙い目”な時期がやってくる。8~9月は転勤シーズンのため物件に空きが生まれ、10~12月中旬までは引っ越し業者が「閑散期」のため、費用が安く済むのだ。最適なタイミングで引っ越しをするには、まさに今から部屋を探すべき! とはいえ、不動産サイトをのぞいても、素人目では“いい物件”の判断がつかない……。そこで、住居・防犯・風水のプロが「アラサー女性ひとり暮らし」に最適な部屋をジャッジ。“物件三銃士”が認める理想の住みかは見つかるのか――!?

■今回のポイント:話題の「極狭物件」って、本当に住みやすいの? 風水的に“問題外”なヤバい間取り

<物件の場所>

・ターミナル駅から2駅、最寄り駅から物件までは徒歩15分
・駅付近は夜も騒がしいが、物件周辺は薄暗く人けがない
・アパートや一軒家が立ち並ぶ、十字路の角
・近くに小さな公園あり(深夜、たまに人の声が聞こえる……)

<詳細情報>

敷金・家賃1カ月分/礼金なし、木造、3階建/3階(6戸)、角部屋、管理人巡回、防犯カメラあり、ペット不可、オートロック、インターホンあり(モニターなし)、宅配ボックスなし、ゴミ出し24時間OK、都市ガス、階段あり、エレベーターなし

 今、都心に住む若者を中心に人気なのが、6畳以下の狭い空間でミニマルに暮らす“極狭物件”。家賃を安く抑えながら、アクセスの良い都心に住めるということで、人気を集めているようです。また、必要最低限の持ち物だけで生活する“ミニマリスト”の流行によって、「部屋に広さは必要ない」と考える人も増えているとか。とはいえ、来客の時に困ったり、好立地ゆえに防犯が心配だったりと、暮らしてみると不便に感じる点が多そう。この物件の場合、むき出しの状態になっているトイレも気になるし…… 。“極狭物件”って、本当に魅力的なんでしょうか?

「住居のプロ」福岡由美氏の評価 ★★★☆☆

 5.13帖ながらロフトスペースも付いていますし、実際の生活面積としては、都心のビジネスホテルの1室ぐらいはありそうですね。学生さんや社会人になりたてのシングルの方なら、十分快適に暮らせそうです。トイレもロールスクリーンなどで間仕切りをすれば、おしゃれに演出できるのでは? 大きなネックは「駅徒歩15分」の距離ですが、駅から離れることでその分家賃を抑えられるなら、「良し」と判断しましょう。

 ところで、住まいには「広さの目安」があることをご存じでしょうか? 国土交通省の住生活基本計画(全国計画)による「最低居住面積水準」は、単身者の場合で25平米、2人以上の世帯なら10平米×世帯人数+10平米となっています。この物件は「最低居住面積水準」を満たさない広さではありますが、近年は断捨離やミニマリストのブームによって“モノを持たない暮らし”をする人が増えていますから、そういうライフスタイルを無理なく実践できる方には、ピッタリなのではないでしょうか。限られた生活スペースの中でシンプルな暮らしを心がければ、余計なモノが溢れることもなく、節約型の家計管理につながりますから、これぐらい割り切ってしまったほうが合理的なのかもしれません。

 今は全国的に都市圏の不動産価格が高騰しており、大家さんとしてはより高い利回りが見込める“極狭物件”を増やす傾向にあります。「家賃の安さ」と「生活利便」を優先する代わりに「住まいの広さ」を犠牲にするのは、仕方のないことでもあります。需要と供給が一致したことで、こうした物件に人気が集まるようになったのでしょう。ただし、極狭物件はあくまでも「自分1人のための空間」です。友だちだけでなく、恋人を呼ぶのも難しいと思うので、その点はよく考えたほうがよいでしょう。

 極狭物件はそもそも「室内を歩き回るスペース」が少ないため、上下階の生活音は気になりにくいはずですが、この物件のように木造の建物だと、隣の住戸から壁越しに話し声などの騒音が響いてくる可能性はあります(建物の防音性能にもよりますが、これは極狭物件に限らずどんな賃貸住宅でも同じです)。また、この住戸は最上階に位置しているので、ロフトの上り下りをするときに下の階へ「ドン!」という重量床衝撃音が響かないように配慮したほうが良いでしょう。日常生活の中でのちょっとした気遣いが、騒音トラブルを防ぎます。

 万一トラブルが起こってしまったときは、クレームを相手に告げる・告げられた際に「自分だけで解決しよう」と考えないこと。直接対決しようとすると、どうしてもお互いが感情的になってしまうからです。管理会社、または大家さんに相談して、必ず第三者を挟んで解決することをおすすめします。

■福岡由美(ふくおか・ゆみ)
ライターエージェント、ヒューズ・エンタープライズ代表取締役。住宅ライター・住宅ローンアドバイザー・FP技能士・ ラジオ構成作家。大手生命保険会社で事務職に従事した後、 ラジオレポーターに転身し名古屋・ 東京の放送局で中継レポーターとして活躍。その後、 間取り好きが高じて住宅ライターとしての活動をスタート。 現在は東京・ 名古屋を拠点に全国で取材を行いながら住宅情報ウェブサイト等で コラム・レポートを執筆中。20年超の取材経験を生かし『女性のためのマンション購入セミナー』や『失敗しない家づくりセミナー』などの講師も務めている。
中日新聞「オピ・リーナ」ブログ『なごやのねたや福岡由美の名古屋ネタ帖

 都心部から2駅と利便性は高いですが、駅から徒歩15分という距離が気になるところです。歩けない距離ではありませんが、決して近くはなく、途中で横断歩道や踏切などがあれば、20分以上かかる可能性もあります。夜遅く帰宅することが多い場合、その距離と時間は負担になるだけでなく、防犯面でも不安が残ります。

 さらに気になるのが、近くに公園があることです。ファミリーであれば、公園が近くにあるのも住みやすさにつながると思いますが、一人暮らしの女性にとっては、誰もが自由に入ることができる上に、木々や遊具など不審者が身を潜めやすい場所があるという点で、あまりメリットになりません。また、深夜に人の声が聞こえるという状況を考えると、“たまり場”になっている可能性も。物件周辺が薄暗く、人けがないということから、立地的にはおすすめできない物件と言えるでしょう。

 「管理人巡回」「防犯カメラあり」「オートロック」というのは防犯面でプラスの要因ですが、都心に近い、かつ極狭物件となると、長く住むよりも、利便性を求めて短期間住む人が多く、入居者の入れ替わりが頻繁にある可能性が高いです。住人かどうか判断がつきづらい人が建物内に多くいる可能性を考えると、玄関を開けずとも室外の様子が見られる「モニター付インターホン」は設置しておいてほしいところです。

 部屋の間取りを見ると、狭いために玄関から居室までが一続きになっていて、入口を開けると、外からでも部屋の一番奥が見通せる状況が生まれます。ハンガーパイプがあるのも玄関の真正面なので、部屋干ししている洗濯物も丸見えに……。防犯上、玄関の手前にドアがあって、奥が見えない造りの部屋が安心ですが、ワンルームタイプだと、極狭物件でなくとも、同じような間取りが多いです。こういった部屋は玄関と部屋の間にカーテンや間仕切りを入れて、部屋の奥まで見通せないように対策すると防犯的によいでしょう。

■河野真希(かわの・まき)
一人暮らしアドバイザー。自らの一人暮らし体験を元に取材や研究を重ね、2001年からWebを中心に各種メディアで暮らしに関する情報を発信。料理や家事、インテリアなど、気持ちのいい暮らしを作る、はじめるためのライフスタイル提案を行う。流行や思い込みにとらわれずに、無理なく持続可能で快適な、自分らしい暮らしづくりを応援している。また、2016年4月より『料理教室つづくらす食堂』を主宰している。

 部屋が狭いゆえ、物理的に「物を増やせない」「物を置けない」という部分だけ見ると、風水的には「良い」と言えます。部屋に置くものは少なければ少ないほど、自分の気が散らない(物が多いと、それぞれに自分の気が分散するため)ので、心地良いのです。極狭物件に住む方が「意外と住みやすい」とおっしゃるのは、これも理由の一つかと思われます。

 しかし、場所が狭いと“気の循環”ができないので、運気は回りません。「いつまでも現状維持」という状態が続いてしまうのです。風水的に良い物件とは、広めの部屋で、物が少なく、自分の気がしっかりと循環するスペースがあることが条件となります。

 またこの物件は、部屋の形としてベストな“長方形”ではありますが、極端に細長いので、良くはありません。このような部屋は「うなぎの寝床」と呼ばれ、縦と横のバランスが悪く、風水的にはあまりおすすめできないです。物事はすべてバランスが大事であり、偏りがあるとさまざまな問題が起きます。極端に狭い、極端に長い……その状態が、この物件では作られていることになります。

 また、トイレに壁や目隠しがなく、むき出しの状態になっていますが、これははっきり言って“問題外”です。ただでさえ狭い空間なので、トイレからの“陰の気”が家全体に回ってしまうだけでなく、体調面でも不安を抱えそうですね。

■生田目浩美。(なまため・ひろみ)
1998年より風水師に師事し、風水・九星・祐気採り(吉方位判断)・吉日の選定・手相・姓名判断・家相学などを学ぶ。独立後、恋愛・仕事など、女子たちが持つ多くの悩みに寄り添い、楽しく前向きに生きるコツを伝授する。

物件三銃士の総合評価 6点/15点

次回は……「築年数」古さの限界って、いったい何年? 畳のある物件が意外と高評価なワケ

「ママ友ランチ会」でドン引き!? 子どもの年齢偽りドリンクバー代をケチるママに困惑……

今や日常生活において、かかせないツールとなっているコミュニケーションアプリ「LINE」。かつては子どもの送迎時に、ママたちが立ち話をしているような光景が見かけられたが、時間に追われ忙しく過ごす共働き世帯が増えた今、ママたちのコミュニケーションの場は、LINEのグループチャットになっているという。そんな、ママたちの「グループチャット」から浮き彫りになった、彼女たちの悩みや、苦悩、気になる話題を覗いてみる。

 ママ友間では、「ランチ会」なるものがよく開催されているという。昼食を食べながら、育児の悩みや夫への愚痴などを語らう場となっているというが、その際LINEは、複数のママ友たちと予定を合わせるための最適なツールなのだそうだ。

 都内で生後7カ月になる女児を自宅育児中の慶子さん(仮名)は、現在、専業主婦。そのため、ママ友ランチ会が唯一の社交場だと語る。子どもを同じ保育園や幼稚園に通わせているママ同士が友達になるケースが一般的だが、最近では月齢が低い頃から外出をするママも増えたため、出会い方も多様だ。

「ずっと派遣社員として働いていたのですが、35歳になったとき、妊活のために仕事を辞めました。結果的に、すぐ自然妊娠でき、都内の有名な産院で出産。地方にいる母と仲が良くないのもあって、里帰り出産は視野にありませんでしたね。その産院では、同じ週に出産したママさんたちと“お祝い膳”と呼ばれる豪勢な料理を最後に食べるんですが、その時に、LINEを交換したママや、産院主催のベビーマッサージで知り合った月齢が近いママと友達になり、ランチをしています」

 慶子さんは、ママ友と1カ月に1度くらいのペースで、ランチ会をしたり、赤ちゃん向けのイベントに出掛けたりしているという。

「ママ友ランチでは、離乳食の進み具合や、予防接種のスケジュールなどを共有し合っています。育児雑誌だけでは得られない情報が入ってくるので、例えば成長具合について『うちの子だけではないんだ』とほっとできることも。あと、ママ友ランチでは、キッズカフェを利用しているのですが、暑すぎて外遊びができない子どもを思いっきりボールプールで遊ばせられ、かつ私もママ友と話せるので、だいぶ気分転換できますね」

 しかし、ママ友付き合いの中で、新たなる悩みが生まれたそうだ。「うちの産院は出産費用が高額なため、比較的高齢出産のママが多かったんです。仲良くなったママさんは、みんな正社員で、それなりの役職に就いて働いているワーママで、今は保活の話題で盛り上がっています」と、慶子さんはやや落ち込んだ口調で語る。

「キッズカフェで撮った写真をLINEで交換したり、今は交流が続いているのですが、グループのママさんが『もうすぐ保活で忙しくなるから、暫くランチは無理かな』って連絡がきて、さみしくなりました。私は専業主婦なので、子どもが幼稚園に入園するまで自宅育児予定なんです。LINEのグループで、1人だけ話についていけなくなる日も近いのかもって。このままみんなが保育園に入園すると、ママ友が減ってしまうのではないのかと、心配になっています……」

 関東近県で3歳になる男児を育児中の由紀子さん(仮名)は、幼稚園のママたちとのランチ会に気を使うと語った。彼女の息子が通っている幼稚園は、制服もスモックと帽子だけで、近隣でも費用が安い方の庶民的な幼稚園だという。

「近隣に高層マンションが建ったため、『都内は無理でも郊外なら』という理由で、こちらに引っ越してきたファミリーが増えています。保護者会の後は、決まってファミレスで子連れのランチ会が開かれるのですが、その際、引っ越してきた組のママとの間に、壁を感じることがあるんです」。

 由紀子さんの属するママ友グループは、ランチ会をする際、事前に「〇〇に食べに行きませんか?」といった提案をLINEのグループチャットで行うという。

「最近引っ越してきたあるママ友がグループチャットに、『あの店はサービスが良くない』『ここら辺のママたちを味方につけないと、生き残っていけない』というような上から目線の書き込みをしていて驚きました。地元のことをよく知らないのに……」

 それ以来、そのママ友から不満が出ないように、サービスが一律なファミレスでランチ会を行うようになったそう。

「そのママ友の子どもは、私の息子のクラスメイトで、現在3歳なんですが、この前一緒にファミレスに行った際、店員さんに『3歳からはドリンクバーが有料』と伝えられると『うちの子は2歳です』と言おうとしていて、引いてしまいました。結局、子どもの方がそれを遮って『3歳です』と店員さんに伝えたものの、後からママに怒られていたんです。その姿を見ていたら、付き合いを考え直したいなと思いましたよ。『そんな節約の仕方をするなら、無理してタワマンを買わなくてもいいのに』とも……」

 しかし、子ども同士の付き合いがある限り、園ママとの関係は切れないという。「そのママを抜きにした新しいグループチャットを作るのも気が引けますし、バレたら面倒ですしね」と由紀子さんはため息をついていた。

 平日の昼間でも、高級住宅街と呼ばれる地域にあるカフェや、ホテルのビュッフェ、都内にある人気パンケーキの店などには、入口にずらっと海外製のベビーカーが並び、賑わいを見せている。2歳になる男児と、1歳になる女児を育児中の美穂さん(仮名)は、「休職中で暇を持て余しているので、昔の職場のママたちとランチをしている」と語った。

 美穂さんが以前勤めていた企業は、大手IT企業。夫が取締役などになっている同僚もいるため、ランチ価格が数千円するのが悩みという。

「前職は忙しくて辞めたのですが、社員寮に入っていたこともあり、同僚とはとても仲が良く、付き合いが続いているんです。今の会社の人には会いづらくって……というのも、うちの子たちは年子なので、育児休暇を延長している手前、気が引けるというか……。それで、前の会社のママたちと会っているんですが、昼から子連れでオーシャンビューのホテルビュッフェを食べに行ったりしているので、夫から『ママ会なのに贅沢しすぎ』とあきれられています」

 彼女は「LINEで『次のランチ会はここにしよう』と店を提案されると、『高いな……』と思いつつも、『もう少し安いところはどう?』なんて言えなくて。でも、たまに都心の方にオシャレして出かけないと、育児だけだと取り残された感じがするので不安になるんです。だから彼女たちとの付き合いは辞めるつもりはないですね」という。

 傍から見るとわからないが、参加するママ一人ひとりの心情はそれぞれのようだ。ストレスを溜めずに参加できる会になるよう、グループとの距離感の持ち方を見つめ直すことも大切なのかもしれない。
(池守りぜね)

認知症・義母の特養入所に「情けない」ーーダブル介護を背負った嫁【老いてゆく親と向き合う】

 

“「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける”
――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社)

そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。藤本千恵子さん(仮名・58)のダブル介護生活の話の3回目をお届けする。脳出血で倒れた夫の公男さん(65)が退院してから、藤本さんの負担はさらに重くなった。

自宅でのリハビリがはじまる

 公男さんを自宅で介護するようになると、日中危なくて目が離せない状態になった。そこで、ヨシエさんを初めてショートステイにお願いする決断をした。

「はじめは1泊から。いろんなショートステイをケアマネジャーさんが探してくれて、義母も慣れてくると、4~5日は泊まれるようになりました。自分の息子が車いす生活になったことは、なんとなく理解しているようで、『千恵ちゃん、悪いね』と言ってくれていました。『公男さんのリハビリが大変だから』と言うと、『わかった』と気持ちよく行ってくれました」

 公男さんがデイケア(リハビリの通所介護)に行く週3回、午前10時~午後4時までは、藤本さんの休息時間となった。しばらくすると訪問リハビリを利用し、理学療法士(PT)が外に出て歩行訓練をしてくれるようになる。

「外の世界は傾斜があったり段差があったりして、室内でのリハビリとは環境がまったく違います。今日はここまで行けた、次は信号を渡れるようにしよう、と少しずつ目標が高くなっていきました」

思いのほか早い入所に「まだ頑張れるのに、どうしよう」

 そんな生活が1年ほど続いた。ヨシエさんの介護はショートステイを利用することでやり繰りしていたが、公男さんの介護も長期戦になることが予想され、藤本さん夫婦はヨシエさんの施設探しをはじめた。

「特別養護老人ホーム(特養)を何カ所か見学して、『夫の介護もあるので』と言って申し込みをしました。『400人待ち』と言われて、しばらくは順番が回ってこないと覚悟していたところ、申し込みから3カ月くらいで『入れます』と。喜ぶというより、『え? こんなに早く、どうしよう?』と戸惑いました。『まだ頑張れるのに』と思ってしまうんです。でもこうした反応は、どうも特養に申し込んだ家族に共通のものらしくて、いつも利用しているショートステイのスタッフから『今断ると、もうチャンスはなくなりますよ』と言われて、入所をお願いすることにしました」

 2人を介護しているということが考慮されて、優先順位が上がったのだろう。ヨシエさんが特養入所を受け入れてくれるのかが次の問題だった。

「夫から、義母に伝えました。『リハビリが大変だから、入ってくれないか』と。義母は納得してくれました。私からも、『ごめんね。公男さんもがんばるから、お義母さんもがんばって』と……」

 そのときの藤本さんの気持ちを聞いてみると、「なんだか情けなかった」と微妙な感情を明かしてくれた。

「あるとき、90歳で一人暮らしをしていた父のところで、『なんで私ばかり』と泣いてしまいました。父は、『千恵子はごちゃごちゃ考えすぎるからだ』と言っていました。慰めるつもりだったのかな(笑)」

 公男さんからは、謝られた。「申し訳ない。自分と結婚しなかったら、こんなことにはならなかったのに」と――。

(11回に続く)

坂口鈴香(さかぐち・すずか)
終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終末ライター”。訪問した施設は100か所以上。 20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、 人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。 

【介護をめぐる親子・家族模様】シリーズ

寵愛した“巨根”男性を天皇に!? 公私混同で国民総スカンの「嫌われ女帝」とは【日本のアウト皇室史】

 皇室が特別な存在であることを日本中が改めて再認識する機会となった、平成から令和への改元。最近では、女性・女系天皇論争の皇位継承者問題や秋篠宮家の長女・眞子さまの婚約者・小室圭を巡る一連の騒動などが注目されているものの、実は、こんなのは大した騒動ではなかった……? 「皇族はスーパースター」と語る歴史エッセイストの堀江宏樹さんに、歴史に眠る破天荒な天皇家のエピソードを教えてもらいます!

男に突き動かされた!? アグレッシブな女帝・孝謙天皇

――前回は、ほかにも男性皇族がいるのにもかかわらず、“オトナ”の事情で女性天皇なった、女帝・孝謙天皇についてうかがいましたが、どのようなことを行ったのか詳しく教えてください!

堀江宏樹(以下、堀江) 孝謙天皇は重祚(一度退位した天皇が再び即位すること)して称徳天皇とも呼ばれていますが、前回と同様にわかりやすさを重視して、「孝謙さま」と統一しますね。まずは、皇室のお約束からおさらいしましょう。天皇が代々受け継ぐ“血統”は男子しか継承できません。また、女子は天皇に即位できても結婚が許されないので、次の世代にバトンを渡せないのです。

――この制度を現代に当てはめると、疑問点しか見つからないですが……。

堀江 昔と今では、人権の前提がまったく違うのは事実なんです。ちょっと脱線するとね、男系相続にこだわる国は、男子なら側室の子でもぜんぜんOKというのが大前提。大正時代までの日本の皇室もそういう感じ。一方、一部ヨーロッパの王室みたいに、女系相続でもOKという伝統の国もあります。でもこれは裏返せば、正室の子でないと「絶対にダメ」という意味。正室の子なら、女子でもOKということは、「王様でも浮気はダメ絶対!」というキリスト教的な道徳に縛られた結果なのです。そこから考えると、現在の日本の皇室は「側室ダメ」、しかも「男子でなきゃダメ」と、かなり“高い”ハードルを押し付けられてしまっている状態になりますね。これらの継承問題はまた後々、お話するとして、歴史の話に戻りましょう。女性天皇が即位するというのは、皇位の男子継承の流れが一時的に途絶えそうな時や、ほかに適切な男子が即位できる状態になるまでの「中継ぎ」です。

 孝謙さまが天皇に即位した背景には、母親・光明皇后の実家である藤原氏がほかの男性皇族を抑えこむという「猛プッシュ」がありました。しかし、即位はしたものの、実権は長い間、母親・光明皇后とその愛人といわれる藤原仲麻呂という男に握られ、その二人に“言われた通り”に政治を行うだけ。758 (天平宝字2) 年8月には皇位を親族の男性に譲り、淳仁天皇として即位させ、「孝謙天皇」としてはここで退位です。ちなみに譲位理由は母・光明皇后に娘として孝行したいから、というものでした。

――前回、「女性天皇は退位後でも結婚や再婚をしない」と聞きましたが、孝謙さまも結婚をしなかったんですか?

堀江 そう。ただ、上皇になった孝謙さまが、天皇であることの重責から解き放たれ、大人しく表舞台から去っていったかというと、ぜんぜん違います。ちょうどこの頃、彼女を長年押さえつけてきた、“毒親”・光明皇后が亡くなります。すると孝謙さまは、母親の愛人であった藤原仲麻呂とドロドロの関係になり……。

――母と娘で一人の男性を共有って、なんだか一昔前の昼ドラみたいな世界観ですね。

堀江 まぁ、藤原仲麻呂との関係がどうだったかは、立証はできないんですけどね。その後、次第に孝謙さまと藤原仲麻呂との関係はうまくいかなくなり、さらには母親とその愛人の言いなりで即位させた淳仁天皇にも不満が膨らんでいきます。この頃、上皇として悩み、心身の調子を崩しがちだった孝謙さまは、僧侶・道鏡からケアを受けることに。この時代は医療が発達していなかったため、医師ではなく宗教者が医療的なケアも担当していたんです。道鏡は介護僧と言われていましたが、実際は体調を崩し弱気になっていた時に世話をしていた“だけ”の関係のようです。ただ、孝謙さまは道鏡に“特別な縁”をビビビと感じてしまったようですけどね。

――ネットで道鏡と検索すると、“巨根”など下半身ネタが出てくるのですが……。

堀江 その手の下ネタは有名ですが、実は全て後世の創作。「独身女性は欲求不満だから、大きいのがお好きなんでしょ」という、セクハラとモラハラから生まれた作り話です(苦笑)。ちなみに、中国唯一の女帝・則天武后(武則天)も、その手の巨根男子寵愛説がありますが、不自然なまでにアンチエイジングに勤しんでいた則天武后の場合は、もしかしたら本当かもしれません……。ただ、「巨根が好きな女」という創作は、中国や日本では“最低の侮蔑表現”だったことは確かです。儒教の道徳では、性に積極的な女は許されざる存在だからですねぇ。

――「皇族バッシング」ともとれる、「侮辱表現」はこの頃からあるんですね。

堀江 そうそう。皇族は“生き様”で自分が存在している価値を世間に問わねばならないんです。孝謙さまの女帝としての振る舞いの数々は、客観的に見てもあまりに強引すぎたので、嫌われたのでしょう。この後、詳しく説明しますが男性皇族に天皇の候補がいるのにもかかわらず、道鏡をなんとかしてでも天皇に即位させようとして、世間からの総スカンを食らったことも。また、道鏡への“寵愛”が原因で、藤原仲麻呂たちとの仲がこじれた際には、「私が最高権力者として政治を執る! 一番大事なことは私がやるから、淳仁天皇と藤原仲麻呂は雑務でもしておけばよい!」などと言い出したそうですよ。結局、藤原仲麻呂たちとはガチの戦争になりました……。

――腕力で解決しちゃうとは、良く言えばアクティブな女帝なんでしょうけどね。

堀江  いや、それはどうだろ。戦いを選んだ時点でえらいことになります。そのガチの戦争というのが、764(天平宝字8)年に勃発した「藤原仲麻呂の乱」と呼ばれる戦。ここで藤原仲麻呂と孝謙さまは戦い、孝謙さまが見事、勝者となりました。敗者である藤原仲麻呂の一族は、(ほぼ)皆殺しされます。名実ともに最高権力者となった孝謙さまは、周囲を見渡し、「私のおメガネにかなう男性皇族なんかいない! 古代中国の易姓革命を真似て、現在の天皇家とは違う一族に天皇位を任せることにしよう!」的なコトを言い出し、彼女が慕う道鏡を天皇にしようと画策しはじめます。

――さすがにこれは公私混同も甚だしいですね!

堀江 すでにこの時代から、天皇“個人”というよりも天皇“家”という“血筋”を重視する傾向があったので、周囲の人々もさすがにダメだろ~と困り果てていたとか。天皇家の血筋が道鏡の生まれた一族である弓削(ゆげ)氏に世襲されることになると、それはつまり、「史上初の民間天皇」が誕生してしまうことになるんですから。

 そこに和気清麻呂 (わけのきよまろ)という役人が、宇佐八幡宮から「神様が、そんなテキトーな譲位はダメだとおっしゃっている!」という神託を持ち帰りました。向かうところ敵なしの孝謙さまに、果敢にもそう報告するのですが、激怒した孝謙さまは彼のことを「別部穢麻呂(わけべのきたなまろ)」という、いかにも“汚そう”な名前に改名させ、職を解任・流刑してしまいます。それにしても、すごいアレなセンス。

――穢麻呂(笑)! 有吉弘行に並ぶ悪口のセンスですね。しかし、そういう事情があって、孝謙天皇の人気は歴代天皇の中でもかなり低いんですね。

堀江 そうですね……。少なくとも孝謙さまは、「女帝はその場しのぎでしかない」という、皇室の伝統にガチで抵抗した存在だといえます。古代人の孝謙さまですら、そう感じるわけで、なんで女帝は結婚しないの? できないの? という現代人が持つような疑問は、古くからあったはず。特に当事者として、「未婚でいなさい。それが伝統だからです」と言われても納得できないことは多かったと思います。古くからの伝統であればあるほど、理性や常識に照らすと、多くの疑問が出てきますが、そういう伝統を疑わずに信じ、受け入れて、真っ直ぐに生きて行ける人こそが、男女問わず望ましい帝位の後継者だと言えるんでしょうね。

 次回以降も、歴史の中の破天荒な天皇家の方々の姿を追いかけていきたいと思います!

堀江宏樹(ほりえ・ひろき)
1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。2019年7月1日、新刊『愛と欲望の世界史』が発売。好評既刊に『本当は怖い世界史 戦慄篇』『本当は怖い日本史』(いずれも三笠書房・王様文庫)など。
Twitter/公式ブログ「橙通信

寵愛した“巨根”男性を天皇に!? 公私混同で国民総スカンの「嫌われ女帝」とは【日本のアウト皇室史】

 皇室が特別な存在であることを日本中が改めて再認識する機会となった、平成から令和への改元。最近では、女性・女系天皇論争の皇位継承者問題や秋篠宮家の長女・眞子さまの婚約者・小室圭を巡る一連の騒動などが注目されているものの、実は、こんなのは大した騒動ではなかった……? 「皇族はスーパースター」と語る歴史エッセイストの堀江宏樹さんに、歴史に眠る破天荒な天皇家のエピソードを教えてもらいます!

男に突き動かされた!? アグレッシブな女帝・孝謙天皇

――前回は、ほかにも男性皇族がいるのにもかかわらず、“オトナ”の事情で女性天皇なった、女帝・孝謙天皇についてうかがいましたが、どのようなことを行ったのか詳しく教えてください!

堀江宏樹(以下、堀江) 孝謙天皇は重祚(一度退位した天皇が再び即位すること)して称徳天皇とも呼ばれていますが、前回と同様にわかりやすさを重視して、「孝謙さま」と統一しますね。まずは、皇室のお約束からおさらいしましょう。天皇が代々受け継ぐ“血統”は男子しか継承できません。また、女子は天皇に即位できても結婚が許されないので、次の世代にバトンを渡せないのです。

――この制度を現代に当てはめると、疑問点しか見つからないですが……。

堀江 昔と今では、人権の前提がまったく違うのは事実なんです。ちょっと脱線するとね、男系相続にこだわる国は、男子なら側室の子でもぜんぜんOKというのが大前提。大正時代までの日本の皇室もそういう感じ。一方、一部ヨーロッパの王室みたいに、女系相続でもOKという伝統の国もあります。でもこれは裏返せば、正室の子でないと「絶対にダメ」という意味。正室の子なら、女子でもOKということは、「王様でも浮気はダメ絶対!」というキリスト教的な道徳に縛られた結果なのです。そこから考えると、現在の日本の皇室は「側室ダメ」、しかも「男子でなきゃダメ」と、かなり“高い”ハードルを押し付けられてしまっている状態になりますね。これらの継承問題はまた後々、お話するとして、歴史の話に戻りましょう。女性天皇が即位するというのは、皇位の男子継承の流れが一時的に途絶えそうな時や、ほかに適切な男子が即位できる状態になるまでの「中継ぎ」です。

 孝謙さまが天皇に即位した背景には、母親・光明皇后の実家である藤原氏がほかの男性皇族を抑えこむという「猛プッシュ」がありました。しかし、即位はしたものの、実権は長い間、母親・光明皇后とその愛人といわれる藤原仲麻呂という男に握られ、その二人に“言われた通り”に政治を行うだけ。758 (天平宝字2) 年8月には皇位を親族の男性に譲り、淳仁天皇として即位させ、「孝謙天皇」としてはここで退位です。ちなみに譲位理由は母・光明皇后に娘として孝行したいから、というものでした。

――前回、「女性天皇は退位後でも結婚や再婚をしない」と聞きましたが、孝謙さまも結婚をしなかったんですか?

堀江 そう。ただ、上皇になった孝謙さまが、天皇であることの重責から解き放たれ、大人しく表舞台から去っていったかというと、ぜんぜん違います。ちょうどこの頃、彼女を長年押さえつけてきた、“毒親”・光明皇后が亡くなります。すると孝謙さまは、母親の愛人であった藤原仲麻呂とドロドロの関係になり……。

――母と娘で一人の男性を共有って、なんだか一昔前の昼ドラみたいな世界観ですね。

堀江 まぁ、藤原仲麻呂との関係がどうだったかは、立証はできないんですけどね。その後、次第に孝謙さまと藤原仲麻呂との関係はうまくいかなくなり、さらには母親とその愛人の言いなりで即位させた淳仁天皇にも不満が膨らんでいきます。この頃、上皇として悩み、心身の調子を崩しがちだった孝謙さまは、僧侶・道鏡からケアを受けることに。この時代は医療が発達していなかったため、医師ではなく宗教者が医療的なケアも担当していたんです。道鏡は介護僧と言われていましたが、実際は体調を崩し弱気になっていた時に世話をしていた“だけ”の関係のようです。ただ、孝謙さまは道鏡に“特別な縁”をビビビと感じてしまったようですけどね。

――ネットで道鏡と検索すると、“巨根”など下半身ネタが出てくるのですが……。

堀江 その手の下ネタは有名ですが、実は全て後世の創作。「独身女性は欲求不満だから、大きいのがお好きなんでしょ」という、セクハラとモラハラから生まれた作り話です(苦笑)。ちなみに、中国唯一の女帝・則天武后(武則天)も、その手の巨根男子寵愛説がありますが、不自然なまでにアンチエイジングに勤しんでいた則天武后の場合は、もしかしたら本当かもしれません……。ただ、「巨根が好きな女」という創作は、中国や日本では“最低の侮蔑表現”だったことは確かです。儒教の道徳では、性に積極的な女は許されざる存在だからですねぇ。

――「皇族バッシング」ともとれる、「侮辱表現」はこの頃からあるんですね。

堀江 そうそう。皇族は“生き様”で自分が存在している価値を世間に問わねばならないんです。孝謙さまの女帝としての振る舞いの数々は、客観的に見てもあまりに強引すぎたので、嫌われたのでしょう。この後、詳しく説明しますが男性皇族に天皇の候補がいるのにもかかわらず、道鏡をなんとかしてでも天皇に即位させようとして、世間からの総スカンを食らったことも。また、道鏡への“寵愛”が原因で、藤原仲麻呂たちとの仲がこじれた際には、「私が最高権力者として政治を執る! 一番大事なことは私がやるから、淳仁天皇と藤原仲麻呂は雑務でもしておけばよい!」などと言い出したそうですよ。結局、藤原仲麻呂たちとはガチの戦争になりました……。

――腕力で解決しちゃうとは、良く言えばアクティブな女帝なんでしょうけどね。

堀江  いや、それはどうだろ。戦いを選んだ時点でえらいことになります。そのガチの戦争というのが、764(天平宝字8)年に勃発した「藤原仲麻呂の乱」と呼ばれる戦。ここで藤原仲麻呂と孝謙さまは戦い、孝謙さまが見事、勝者となりました。敗者である藤原仲麻呂の一族は、(ほぼ)皆殺しされます。名実ともに最高権力者となった孝謙さまは、周囲を見渡し、「私のおメガネにかなう男性皇族なんかいない! 古代中国の易姓革命を真似て、現在の天皇家とは違う一族に天皇位を任せることにしよう!」的なコトを言い出し、彼女が慕う道鏡を天皇にしようと画策しはじめます。

――さすがにこれは公私混同も甚だしいですね!

堀江 すでにこの時代から、天皇“個人”というよりも天皇“家”という“血筋”を重視する傾向があったので、周囲の人々もさすがにダメだろ~と困り果てていたとか。天皇家の血筋が道鏡の生まれた一族である弓削(ゆげ)氏に世襲されることになると、それはつまり、「史上初の民間天皇」が誕生してしまうことになるんですから。

 そこに和気清麻呂 (わけのきよまろ)という役人が、宇佐八幡宮から「神様が、そんなテキトーな譲位はダメだとおっしゃっている!」という神託を持ち帰りました。向かうところ敵なしの孝謙さまに、果敢にもそう報告するのですが、激怒した孝謙さまは彼のことを「別部穢麻呂(わけべのきたなまろ)」という、いかにも“汚そう”な名前に改名させ、職を解任・流刑してしまいます。それにしても、すごいアレなセンス。

――穢麻呂(笑)! 有吉弘行に並ぶ悪口のセンスですね。しかし、そういう事情があって、孝謙天皇の人気は歴代天皇の中でもかなり低いんですね。

堀江 そうですね……。少なくとも孝謙さまは、「女帝はその場しのぎでしかない」という、皇室の伝統にガチで抵抗した存在だといえます。古代人の孝謙さまですら、そう感じるわけで、なんで女帝は結婚しないの? できないの? という現代人が持つような疑問は、古くからあったはず。特に当事者として、「未婚でいなさい。それが伝統だからです」と言われても納得できないことは多かったと思います。古くからの伝統であればあるほど、理性や常識に照らすと、多くの疑問が出てきますが、そういう伝統を疑わずに信じ、受け入れて、真っ直ぐに生きて行ける人こそが、男女問わず望ましい帝位の後継者だと言えるんでしょうね。

 次回以降も、歴史の中の破天荒な天皇家の方々の姿を追いかけていきたいと思います!

堀江宏樹(ほりえ・ひろき)
1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。2019年7月1日、新刊『愛と欲望の世界史』が発売。好評既刊に『本当は怖い世界史 戦慄篇』『本当は怖い日本史』(いずれも三笠書房・王様文庫)など。
Twitter/公式ブログ「橙通信

板野友美似の美少女万引き犯に、店長デレデレで「警察呼ばなくていい」――保安員が見た顛末

 こんにちは、保安員の澄江です。

 ようやくに梅雨明けしたかと思えば、凄まじく暑い日々が続いていますね。丈夫な体だけが自慢の私ですが、つい先日、生まれて初めて熱中症にかかってしまいました。最寄り駅から現場に向かう道中、緩やかに続く長い坂道と路面の照り返しに体力を奪われて意識が朦朧とし、事務所に到着すると同時に手足が痙攣して動けなくなってしまったのです。油断することなく日傘を差し、水分補給もしっかりしていたのに、この結果。エアコンの効いた涼しい休憩室で、しばらく横にならせてもらうことで回復できましたが、人通りの少ない路上で倒れていたらと思うと、ぞっとします。私が子どもの頃は、気温が30度に達することさえ珍しかったものですが、いまや40度を超える勢いとなりました。命がけで通勤する時代を迎え、地球環境の大きな変化をあらためて痛感した次第です。

 環境の変化といえば、最近の日本国内は、どこにいっても外国人の方が多いですよね。私たちの現場も同様、ここ数年、まったく喜ばしくない形で国際交流してきました。これまでの経験からすれば、ベトナム、中国を筆頭に、韓国、北朝鮮、フィリピン、タイ、インド、ブラジル、アメリカ、モンゴル、ロシア、ウクライナなどの国籍を持つ万引き犯を扱った経験があります。語学留学生による換金目的の大量盗難や、万引きで商材を仕入れる自営業者の犯行が目立ちますが、観光目的で来日した外国人による犯行も珍しくありません。今回は、とある高級スーパーで捕らえた異国の万引き犯について、お話していきたいと思います。

 当日の現場は、K市にある高級スーパーS。治安が悪いことで有名な街の中心部にある店舗は、国際空港に近いため外国人観光客の姿も多く、私からすれば、行けば何かが起こるお店の一つです。この日も、勤務開始からまもなく、いくつかの惣菜パンをポケットに隠して外に出たホームレスのおじさんを捕捉しました。いわゆる食うに困っての犯行とは言え、失うものがない人特有の全てに投げやりな態度が、志願兵(自ら進んで刑務所に入ろうとする人)の雰囲気を漂わせています。逮捕されれば、寝食の確保はできる。そんな発想で万引きしているようですが、たとえ逮捕要件(カネなし、ヤサなし、ガラウケなし)が揃っているとしても、本人が刑務所入りを希望するほど逮捕してもらえないものなのです。

「今日は別件もあって忙しいし、こいつらは娑婆にいた方がつらいから、タレ(被害届のこと)は勘弁ね」

 結局、今回も被害届の代わりに、被害申告の意思がない旨が記された上申書に店長が署名することで、全ての処理は終了しました。買取不能の被害品は、もれなく廃棄されます。どうせ捨てるなら、食べさせてあげたい。毎回、そんな気持ちに駆られますが、そういうわけにもいきません。食べる予定だった被害品が、次々と捨てられていく光景を見つめるおじさんの目が、食べ物の恨みの恐ろしさを物語っているように思いました。

「お前、この店、永遠に出禁だから。二度と来るなよ」

 罪を許されたおじさんは、自分より若い警察官に激しく罵倒された後、店の外に出たところで解放されました。こうした光景を目にするたび、まともに扱われず開放された被疑者が、より大きな罪を犯さないか心配になります。

(なによ、少しも座れないじゃない……)

 警察が扱うことなく、商品の買取すらかなわない結末は、重い徒労感だけを残します。仕方なく現場に戻って巡回を再開するも、どうにもやる気が湧かずに、大過なく時間は過ぎていきました。

(あれ? あの子、どこかで見たことあるような……。もしかして、芸能人かしら?)

 疲労もピークに達した業務終了間際。ディズニーランドの大きな袋を肩にかけて店内に入ってきた髪の長い女の子が、私の目に止まりました。どこか輝いているように見えたからです。そのあまりの可愛さに、少しの間見惚れていると、彼女は桃やいちご、シャインマスカットなど、いくつかの高級果実を手にし、お菓子売場の方に向かって歩いていきます。すれ違うお客さんも振り返るほどの可愛さで、大学生くらいの男の子二人組などは、元AKB48の板野友美さんではないかとうわさし、何度も振り返って確認してしまう始末です。

(確かに似ているけど、本物は、もっと小さくて細いはずよね)

 そんなことを思いつつ、何気なく彼女の姿を目で追いながら業務終了の時を待っていると、彼女が手にしていたはずの高級果実が、いつの間にか消えていることに気づきました。商品の行方が気になって、チョコレートを物色する彼女に近づいてみれば、先ほどまで手にしていたはずのいちごやシャインマスカットが、ビニール袋に描かれたミニーちゃん越しに透けて見えます。

(チョコレートも、きっとやる)

 そう確信してまもなく、比較的高価な箱入りチョコレートを次々と袋の中に隠した彼女は、なに一つ買うことなく店の外に出ていきました。ただ盗みに来たという状況だけに鑑みれば、先に捕らえたホームレスのおじさんと、彼女のやっていることに違いはありません。時計を見れば、業務終了2分前。ここで声をかけてしまえば残業必至の状況ですが、プロとして見送るわけにもいかないので、邪念を捨てて声をかけます。

「あの、お客さ………」
「キャー! ナニ、アナタ、ヤメテ! STOP!」

 声をかけると同時に振り返って悲鳴をあげた彼女は、外国人のイントネーションによる日本語で叫ぶと、私の前に両手を広げて突き出しました。

「あら、あなた。外国の人なの? フルーツとチョコレートのマネー、ちゃんと払わないと。わかる?」
「ゴメンナサーイ、オカネナカッタ」

 商品を隠した袋を指差しながら、知っている英単語を並べて問いかけると、アヒル口を尖らせて犯行を認めた彼女は、素直に事務所までついてきてくれました。ある程度の日本語はしゃべれるようで、21歳の大学生だと話した彼女は、東京ディズニーランドで遊ぶことを目的にマレーシアから来たと話しています。被害は、計9点で、合計4,500円ほど。盗んだ理由を聞けば、ディズニーランドでお金を使いすぎてしまい、チョコレートはお土産にするつもりだったそうです。

「このフルーツは、どうするつもりで?」
「コレハ、タベタカッタ。ゴメンナサイ、ヘヤデ、カレシマッテル。ハヤクオネガイシマス」

 ホテルの部屋で待つ彼氏も、お金を持っていないというので、もはや商品を買い取る術はありません。どことなく千鳥のノブさんに似た比較的若い店長を呼んで事情を説明すると、被疑者の顔を見た途端に鼻の下を伸ばして、妙に親しげな様子で彼女と会話を始めました。その乱心ぶりに気づいた彼女も、この場を収めるべく誘うように体をくねらせて、最後の夜に馬鹿なことをしたと、目に涙を溜めながら許しを請うています。

「明日、国に帰るって言うしさ、警察は、呼ばなくてもいいんじゃない?」

 同情したのか、良い格好をしたいのかわかりませんが、店長がなかったことにするというなら仕方ありません。念のため、警察から全件通報の指示を受けていることと、被疑者が外国人の場合は必ず通報するよう本部から強く指導されていることを伝えると、一転して表情を曇らせた店長が言いました。

「面倒はごめんだから、やっぱり呼ぼう」

 店長を籠絡しきれず、警察に引き渡された彼女は、外国人だからなのか、その場で逮捕となりました。彼女を逮捕するくらいなら、午前中に捕まえたホームレスのおじさんこそ逮捕するべきだったのではないかと、逮捕者として腑に落ちない思いがしましたが、ただの保安員である私に言えることはありません。

「こんなに可愛い子が逮捕されちゃうなんて、なんかショックだなあ」

 手錠をはめられ泣きわめく彼女を見つめる店長の表情が、いつもより興奮気味に見えて、美女の持つ力を思い知った次第です。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)

「ロフト付き・メゾネット・管理人常駐」この中で“不要”な条件は?【アラサー女、理想の賃貸物件を探す】

 「引っ越しシーズン」といえば、新生活がスタートする春先を連想しがちだが、実はこれから“狙い目”な時期がやってくる。8~9月は転勤シーズンのため物件に空きが生まれ、10~12月中旬までは引っ越し業者が「閑散期」のため、費用が安く済むのだ。最適なタイミングで引っ越しをするには、まさに今から部屋を探すべき! とはいえ、不動産サイトをのぞいても、素人目では“いい物件”の判断がつかない……。そこで、住居・防犯・風水のプロが「アラサー女性ひとり暮らし」に最適な部屋をジャッジ。“物件三銃士”が認める理想の住みかは見つかるのか――!?

■今回のポイント:「ロフト」って本当に必要? 「メゾネット物件」「敷金・礼金」のマメ知識

<物件の場所>

・都心から電車で30分離れた駅にあり、物件は最寄り駅から徒歩10分
・周辺は一軒家・アパートが立ち並ぶ住宅街
・坂の途中、道沿い
・徒歩5分程度の場所に小学校あり

<詳細情報>

敷金/礼金どちらも1カ月分、木造、2階建/2階(8戸)、横並び4戸の真ん中、管理人常駐(1階に住んでいる)、防犯カメラなし、ペット可、オートロックなし、インターフォンあり(モニターなし)、宅配ボックスなし、ゴミ出し曜日指定、都市ガス、階段あり、エレベーターなし

 部屋を探していると、どんな地域・条件でも出てくるのが「ロフト付き物件」。収納スペースとしても、寝室としても使えて、すごく便利に見えます。でも、実際には物を上げ下げするのが大変そうだし、淀んだ空気も溜まりそう……。この物件は、クローゼットに十分な大きさがあるし、約6帖とそこまで狭くない。ロフトって、本当に必要でしょうか? また、メゾネットタイプの物件なので、防犯・騒音が気になります。都心部から離れていることもあって、家賃が安く魅力的だったのですが、この部屋ってぶっちゃけどうですか?

「住居のプロ」福岡由美氏の評価 ★☆☆☆☆

 管理人さんが常駐してくれている点はとても心強いのですが、オートロック無し、防犯カメラなし、宅配ボックスなしというのは減点要素。女性は家賃よりも防犯を優先した方がよいでしょう。

 ロフト付き物件というのは、賃貸住宅業界でも一定の人気がありますが、実際に暮らしはじめてみると「最初は喜んでロフトを使っていたのに、しばらくしたら昇り降りが面倒で物置きになった」というのはよくある話。また、ロフトがあると天井高が高くなる分、冷暖房の効きが悪くなり、仮に毎月の家賃が相場より安かったとしても、月々の光熱費が高くなるケースがあるため、注意した方がよいでしょう。

 お金の話でいうと、この物件は敷金・礼金をそれぞれ1カ月分支払う必要がありますね。この「敷金・礼金」というのは、賃貸住宅業界の古い慣習で、江戸時代の婚姻システムが由来している説が有力とか。その内容や相場は地域によって異なり、関東地方では「敷金=修繕費(預け金)」「礼金=大家さんへの謝礼金」を意味します。一方、西日本の一部地域では「保証金・敷引き」と呼ばれる制度があり、「保証金」の中から原状回復費用として「敷引き」が差し引かれ、「敷金」と違って差額返金されません。

 しかし、最近はこうした古い慣習を見直す大家さんが増え、「敷金・礼金ゼロ」を謳う物件も増加しつつあります。一見するとお得なように感じますが、安心してはダメ。室内をキレイに使わないと、退去時に数万円から数十万円の原状回復費用を請求されることがあります。タバコを吸う人、アロマを焚く人、ペットを飼う人などは特に気をつけてください。また「敷金・礼金ゼロ」の物件は、「人気がないから初期費用をサービスしている」という場合も多々あります。「なぜ敷金・礼金がゼロなのか?」を冷静に見極めた上で契約を検討しましょう。

 また、「木造」という点に不安を感じる方も多いかもしれませんが、築年数や工法によって建物強度は異なりますから、一概に「鉄筋のほうがおすすめ」とは言いにくいです。とはいえ、耐震・耐火などの防災性や遮音性能を考える上では、やはり鉄筋の建物に軍配が上がります。ちなみに、火災保険料も木造より鉄筋の方が安く抑えられる傾向があります。

■福岡由美(ふくおか・ゆみ)
ライターエージェント、ヒューズ・エンタープライズ代表取締役。住宅ライター・住宅ローンアドバイザー・FP技能士・ ラジオ構成作家。大手生命保険会社で事務職に従事した後、 ラジオレポーターに転身し名古屋・ 東京の放送局で中継レポーターとして活躍。その後、 間取り好きが高じて住宅ライターとしての活動をスタート。 現在は東京・ 名古屋を拠点に全国で取材を行いながら住宅情報ウェブサイト等で コラム・レポートを執筆中。20年超の取材経験を生かし『女性のためのマンション購入セミナー』や『失敗しない家づくりセミナー』などの講師も務めている。
中日新聞「オピ・リーナ」ブログ『なごやのねたや福岡由美の名古屋ネタ帳

 外から廊下や玄関が見えないマンションやアパートも多いですが、メゾネットは構造上、玄関が通りに面したところに並ぶ場合が多いです。玄関周りが人目につきやすく、不審者が身を潜められなかったり、死角ができにくい点は防犯上のメリットですね。また、この物件は生活スペースが2階になっています。玄関は1階にあっても、覗かれたり侵入されたりする危険は減り、安心感があります。

 ただ、坂の途中に位置しているため、住居は2階でも、外から見ると道路と近い高さになっている場合があります。外から侵入しやすかったり、バルコニーに干した洗濯物に手が届いてしまうといった可能性があり、心配です。バルコニーの周辺がどのようになっているか、よく確認しておく必要があります。

 インターフォンにモニターがついていないのは、女性の一人暮らしの防犯としてはマイナスです。特にメゾネットだと、2階から1階まで降りて、玄関まで出てからでないと相手を確認できませんよね。階段を降りてしまうと気配も伝わるため、居留守も使いにくく、不安があります。ただし、管理人常駐というのは高ポイント。不審者の侵入を未然に防いだり、住人同士のトラブルも避けやすくなります。しかも、その物件に住んでいるのであれば、万が一夜間や休日にトラブルがあったときにも連絡が取りやすいというメリットがあります。

 また、小学校が近くにある住宅街に位置しているため、ファミリー層も多く住んでいる地域と考えられます。シングル世帯と比べて、ファミリー層は地域や学校のつながりも多く、近所づきあいも増えるでしょう。顔見知りが多い地域は不審者が入り込みにくく、自然と防犯意識が高まる傾向にあります。一人暮らしの場合は地域とのつながりを無理に持とうとする必要はありませんが、よく顔を合わせる近隣の人には笑顔であいさつをするなど、気持ちのいいつきあいを心がけましょう。

■河野真希(かわの・まき)
一人暮らしアドバイザー。自らの一人暮らし体験を元に取材や研究を重ね、2001年からWebを中心に各種メディアで暮らしに関する情報を発信。料理や家事、インテリアなど、気持ちのいい暮らしを作る、はじめるためのライフスタイル提案を行う。流行や思い込みにとらわれずに、無理なく持続可能で快適な、自分らしい暮らしづくりを応援している。また、2016年4月より『料理教室つづくらす食堂』を主宰している。

 ロフト自体、もともと人が“寝室”として使う場所ではなく、あくまで“荷物をしまう場所”だと考えてください。人間は、寝ている間にコップ1杯ほどの汗をかくと言われていますが、風水的に「良い家」というのは、第一に「湿気が少ない家」です。邪気は湿気を好むことから、いかにうまく除湿できるかがポイントになってきます。また、寝ている間は「天からの気」を受ける時間と言われていますが、そんな大事な時間に、天井が低い場所で圧迫を感じながら眠るというのも、あまりおすすめできません。この2点を考えてみても、ロフトを寝室にするのはNGと言えます。

 では“収納スペース”として使えばよいかと言うと、そうでもありません。ロフトには「使わないもの」を置く可能性が高いと思われますが、気を循環させるためには、こまめな掃除が必要です。これは単に「きれいな場所で生活をすると気持ちがいいから」ということだけでなく、掃除中に家具や家電に触れることで、自分の気が物に入り、循環していくのです。きちんとロフトの掃除ができて、毎日使うものばかり置いてあるというのであれば、収納として利用しても良いですが……。ロフトがある部屋は、風水の視点からは特別おすすめしません。

 また、この物件はメゾネットタイプになっており、玄関を入ってすぐの場所に階段が設置されています。玄関は“運気の入り口”と言われていて、ここから気が入って、家の中を循環していきます。そんな場所にいきなり階段があると、良い気が乱れてしまいます。 坂の途中にある家も、風水的にはNGです。平坦な土地に比べて偏りがあり、バランスが取れていないですから、「安定感がない=不安を招きやすい」場所となります。上り坂・下り坂というように、運気の浮き沈みも激しい場所です。

 この物件の良いところは、トイレに窓があるところ。トイレは、家の中でも最も“陰の気”が強いところです。窓があることで換気がスムーズにでき、気が循環しやすくなりますし、明るさも取れます。トイレに窓がある物件自体が少ないので、これは高ポイントとなります。

■生田目浩美。(なまため・ひろみ)
1998年より風水師に師事し、風水・九星・祐気採り(吉方位判断)・吉日の選定・手相・姓名判断・家相学などを学ぶ。独立後、恋愛・仕事など、女子たちが持つ多くの悩みに寄り添い、楽しく前向きに生きるコツを伝授する。

■物件三銃士の総合評価 6点/15点

次回は……話題の「極狭物件」って、本当に住みやすいの? 風水的に“問題外”なヤバい間取りが登場!

子宮委員長はる、引退後の今――「八木さや」改名後も“信者ビジネス”を続けている実態

 誰にでも、心が弱ってしまう時はあります。救いを求める先が、信頼できる家族や友人ではないこともあるでしょう。「こうすれば幸せになる」と語りかける心理カウンセラー、スピリチュアリスト、霊能力者。彼らを見ていると、「私を救ってくれそう」「この人たちのようになれるかも」と、次第にそんな気持ちが膨らみ……ちょっと待って! それ、本当に信じて大丈夫? スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコが、無責任なことばかり言っている“教祖様”を、鋭い爪でひっかきます。

 最近、熱くなってきましたね。いやいや、気温のことではありません。近年登場した“怪しいスピリチュアル”の代表格ともいえる「子宮委員長」のことです。現在は名前を「八木さや」に変えて新しい試みを行っており、列島を襲う猛暑に負けまいと、日々奮闘しているようです。

「抑圧感情が溜まると子宮筋腫になる」「旦那さんの出世や昇給は子宮(女性器)の力」という“子宮メソッド”を唱えていた子宮委員長は、昨年末で活動を停止。タレントの小林麻耶さんや、お笑い芸人のなだぎ武さんらが参加し、昨年4月に行われた『シンデレラ・プロジェクト』というイベントにて、盛大な“引退式”を決行しました。その後、彼女は長崎県壱岐市(壱岐島)に移住。名前を「八木さや」に変えて、家庭菜園やガーデニングについてつづるブログを始めた……ハズでした。

■子宮委員長、その“商魂”は健在なり

 最初は庭いじりや、(合法な)ハーブ栽培の様子などをアップしていましたが、徐々に雲行きが怪しくなります。今年2月、唐突に「美神レーベル」を立ち上げて化粧品のプロデュースを開始。「誰でも美肌になれる」美容クリームや、自身の心臓の音を収録したCD(ジブリ作品の音楽プロデューサーとのコラボとか。ホントかよ!?)まで販売を始めます。現在は、バッグや財布なども売り始め、子宮委員長時代の商魂がまったく隠しきれていない状態になっています。

 我々ウォッチャーから「どこが引退だ!」と総ツッコミが入る中、満を持して登場したのが、「自分ビジネス・オンライン講座」。「体に優しい働き方で、面白いお金の使い方で、老後まで使える働き方」が学べるというDVDと、YouTubeでオンライン配信されている動画のお値段は、なんと3万8,000円。かつて子宮委員長が唱えていた「子宮メソッド」の自己啓発DVDを出していた、「東京映像制作」という会社から販売されました。この「自分ビジネス」とは一体何なのか。販売元の説明をご紹介します。

「終身雇用が都市伝説になりかけているこの頃、『自分に永久就職』『自分に終身雇用』という概念を学び、自分の居場所を作ってみませんか? 自分ビジネスは自分を整えるセラピーです。特に、スピリチュアルな趣味をお持ちの方はお金と出会ってみませんか?」

「前半は、どこから開業届をもらえばいいのか、どこに提出すればいいのかから、確定申告の詳細や、経費の使い方まで、超初心者レベルから学べつつ、八木さやイズムを投入したので、とっても面白い内容となっています。後半はマーケティングノウハウを持ち、企業コンサルの経験もあり、また、自身も実績のあるビジネスのプロフェショナルを講師にお招きし、今まで言われてきたビジネスノウハウと八木さやビジネスの違いについて仰天対談します」

 簡単に言えば、八木さやが子宮委員長だった時代のスピリチュアル・ビジネスや、自己ブランディングについて正当化して、自慢げに語る動画です。彼女のSNSにアップされた販促用の情報を眺めると、「自分ビジネス」と神社との類似点を挙げたり、「自分自神(じぶんじしん)」といったスピリチュアルなワードが散見されます。「やっぱりな!」という印象しかありません。

■「それっぽい」情報を売っているだけという事実

 スピリチュアルな気持ちにさせるだけでなく、「開業届の書き方」「マーケティング」などの知識も学べるらしく、それらを解説するのは、八木さやのお友だち。ただ、信用していいのか不安にしかならないメンバーが揃っています。

 まず「開業届や経費」などの講話には、有竹志帆さんという方が登場。税理士事務所で働きつつ、個人でも会計講座などを開いており、「チャネリングセラピスト」を名乗っています(見事なオチ!)。今年1月に更新されたブログには、「わが家は小さい税理士事務所なので、税理士登録は、旦那さんだけで、申告書のサインは旦那さんがしております」とつづられているので、有竹さん本人は税理士の国家資格を持っていないようです。

 さらに、「特別講師」として出てくるのが、元コンサルタントのロンズー(瀧澤勉)さんという方。起業家養成セミナーの講師をしていた過去があり、かなり弁が立つ人のようですが、ブログの内容はほぼ意味不明。「自分ビジネス」について、ロンズーさんは8月1日の更新で「『自分ビジネス』の『ブログセラピー』によって、自分自“神”にアクセスすることで、完璧なメソッドとして、形となり、さらなる進化を続けている」と熱弁されておりますが、何を言っているのか、私にはさっぱりわかりません。

 信ぴょう性はともかく、一見プロっぽい有竹さんの専門知識、ロンズーさんのコンサルっぽい説得力に加え、子宮委員長が駆使してきた独自理論を大いに語るのが、「自分ビジネス講座」なのでしょう。このように、物事のノウハウやハウツーを売るものは、一般的に「情報商材」と呼ばれます。グーグルで調べてみると、「詐欺」「逮捕」とサジェストされるのですが、これがすべてを物語っていると言えるでしょう。

 今月1日付の「日本経済新聞(ネット版)」によれば、東京都がまとめた2018年度の消費生活相談概要で、「簡単に稼げるノウハウ」などと称して販売される「情報商材」に関する相談件数は、1,304件に上ったそう。14年度には260件だったため、4年間で5倍に急増していることになります。「3割近くがSNSをきっかけに消費者が購入してしまったケースで、この比率も年々上昇している」「相談者は40~50代と20代が多い」とも書かれていました。

■子宮委員長の“信者ビジネス”は続く

 八木さやのブログでは、8月1日の時点で「自分ビジネス講座」の参加者が7,800人を突破したと公表されていました。この数字が本当かどうかは知りようがありませんが、「自分ビジネスは自分を整えるセラピー」と、たとえ“儲け”という成果が出なくても逃げられるような曖昧な定義の付いた情報商材に、これだけの人数が集まっているとしたら驚きです。子宮委員長のマインドを学びたがる人たち、つまり、スピ界隈の一大勢力「子宮系女子」は、いまだ健在なのでしょう。

 確かに、パワーストーン販売、リーディング、ヒーラー等の“スピ稼業”で子宮委員長のように成功したい人たちにとって、本人から聞くビジネス論は、さぞありがたく心に響くはず。「自分ビジネス」の実態は、子宮委員長が名前を変えて新たに仕掛けた、「信者ビジネス」にほかならないのです。

 何から情報を得るのも、何を信じるのも自由。でも、 購入者に知識を授けるのは、 経営コンサルタントなどではなく、名前以外は何も変わらない“ 教祖様”です。「ビジネス」 と言われるとちょっぴり興味が湧くかもしれませんが、 私と一緒に生暖かい目で見守るぐらいにしておいた方が賢明ですよ。

■黒猫ドラネコ
 1983年5月生まれ。性別、職業は非公表。大分県出身、学生時代から大阪で過ごし結婚を機に上京。穏やかで細かい性格。自分勝手な人が嫌い。趣味はスポーツ観戦、カフェ巡り、漫画・アニメ鑑賞など。甘党でお酒よりジュースを好む。ショートスリーパーにつき夜行性。

Twitter/ブログ「黒猫ドラネコのブログ(仮)」

子宮委員長はる、引退後の今――「八木さや」改名後も“信者ビジネス”を続けている実態

 誰にでも、心が弱ってしまう時はあります。救いを求める先が、信頼できる家族や友人ではないこともあるでしょう。「こうすれば幸せになる」と語りかける心理カウンセラー、スピリチュアリスト、霊能力者。彼らを見ていると、「私を救ってくれそう」「この人たちのようになれるかも」と、次第にそんな気持ちが膨らみ……ちょっと待って! それ、本当に信じて大丈夫? スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコが、無責任なことばかり言っている“教祖様”を、鋭い爪でひっかきます。

 最近、熱くなってきましたね。いやいや、気温のことではありません。近年登場した“怪しいスピリチュアル”の代表格ともいえる「子宮委員長」のことです。現在は名前を「八木さや」に変えて新しい試みを行っており、列島を襲う猛暑に負けまいと、日々奮闘しているようです。

「抑圧感情が溜まると子宮筋腫になる」「旦那さんの出世や昇給は子宮(女性器)の力」という“子宮メソッド”を唱えていた子宮委員長は、昨年末で活動を停止。タレントの小林麻耶さんや、お笑い芸人のなだぎ武さんらが参加し、昨年4月に行われた『シンデレラ・プロジェクト』というイベントにて、盛大な“引退式”を決行しました。その後、彼女は長崎県壱岐市(壱岐島)に移住。名前を「八木さや」に変えて、家庭菜園やガーデニングについてつづるブログを始めた……ハズでした。

■子宮委員長、その“商魂”は健在なり

 最初は庭いじりや、(合法な)ハーブ栽培の様子などをアップしていましたが、徐々に雲行きが怪しくなります。今年2月、唐突に「美神レーベル」を立ち上げて化粧品のプロデュースを開始。「誰でも美肌になれる」美容クリームや、自身の心臓の音を収録したCD(ジブリ作品の音楽プロデューサーとのコラボとか。ホントかよ!?)まで販売を始めます。現在は、バッグや財布なども売り始め、子宮委員長時代の商魂がまったく隠しきれていない状態になっています。

 我々ウォッチャーから「どこが引退だ!」と総ツッコミが入る中、満を持して登場したのが、「自分ビジネス・オンライン講座」。「体に優しい働き方で、面白いお金の使い方で、老後まで使える働き方」が学べるというDVDと、YouTubeでオンライン配信されている動画のお値段は、なんと3万8,000円。かつて子宮委員長が唱えていた「子宮メソッド」の自己啓発DVDを出していた、「東京映像制作」という会社から販売されました。この「自分ビジネス」とは一体何なのか。販売元の説明をご紹介します。

「終身雇用が都市伝説になりかけているこの頃、『自分に永久就職』『自分に終身雇用』という概念を学び、自分の居場所を作ってみませんか? 自分ビジネスは自分を整えるセラピーです。特に、スピリチュアルな趣味をお持ちの方はお金と出会ってみませんか?」

「前半は、どこから開業届をもらえばいいのか、どこに提出すればいいのかから、確定申告の詳細や、経費の使い方まで、超初心者レベルから学べつつ、八木さやイズムを投入したので、とっても面白い内容となっています。後半はマーケティングノウハウを持ち、企業コンサルの経験もあり、また、自身も実績のあるビジネスのプロフェショナルを講師にお招きし、今まで言われてきたビジネスノウハウと八木さやビジネスの違いについて仰天対談します」

 簡単に言えば、八木さやが子宮委員長だった時代のスピリチュアル・ビジネスや、自己ブランディングについて正当化して、自慢げに語る動画です。彼女のSNSにアップされた販促用の情報を眺めると、「自分ビジネス」と神社との類似点を挙げたり、「自分自神(じぶんじしん)」といったスピリチュアルなワードが散見されます。「やっぱりな!」という印象しかありません。

■「それっぽい」情報を売っているだけという事実

 スピリチュアルな気持ちにさせるだけでなく、「開業届の書き方」「マーケティング」などの知識も学べるらしく、それらを解説するのは、八木さやのお友だち。ただ、信用していいのか不安にしかならないメンバーが揃っています。

 まず「開業届や経費」などの講話には、有竹志帆さんという方が登場。税理士事務所で働きつつ、個人でも会計講座などを開いており、「チャネリングセラピスト」を名乗っています(見事なオチ!)。今年1月に更新されたブログには、「わが家は小さい税理士事務所なので、税理士登録は、旦那さんだけで、申告書のサインは旦那さんがしております」とつづられているので、有竹さん本人は税理士の国家資格を持っていないようです。

 さらに、「特別講師」として出てくるのが、元コンサルタントのロンズー(瀧澤勉)さんという方。起業家養成セミナーの講師をしていた過去があり、かなり弁が立つ人のようですが、ブログの内容はほぼ意味不明。「自分ビジネス」について、ロンズーさんは8月1日の更新で「『自分ビジネス』の『ブログセラピー』によって、自分自“神”にアクセスすることで、完璧なメソッドとして、形となり、さらなる進化を続けている」と熱弁されておりますが、何を言っているのか、私にはさっぱりわかりません。

 信ぴょう性はともかく、一見プロっぽい有竹さんの専門知識、ロンズーさんのコンサルっぽい説得力に加え、子宮委員長が駆使してきた独自理論を大いに語るのが、「自分ビジネス講座」なのでしょう。このように、物事のノウハウやハウツーを売るものは、一般的に「情報商材」と呼ばれます。グーグルで調べてみると、「詐欺」「逮捕」とサジェストされるのですが、これがすべてを物語っていると言えるでしょう。

 今月1日付の「日本経済新聞(ネット版)」によれば、東京都がまとめた2018年度の消費生活相談概要で、「簡単に稼げるノウハウ」などと称して販売される「情報商材」に関する相談件数は、1,304件に上ったそう。14年度には260件だったため、4年間で5倍に急増していることになります。「3割近くがSNSをきっかけに消費者が購入してしまったケースで、この比率も年々上昇している」「相談者は40~50代と20代が多い」とも書かれていました。

■子宮委員長の“信者ビジネス”は続く

 八木さやのブログでは、8月1日の時点で「自分ビジネス講座」の参加者が7,800人を突破したと公表されていました。この数字が本当かどうかは知りようがありませんが、「自分ビジネスは自分を整えるセラピー」と、たとえ“儲け”という成果が出なくても逃げられるような曖昧な定義の付いた情報商材に、これだけの人数が集まっているとしたら驚きです。子宮委員長のマインドを学びたがる人たち、つまり、スピ界隈の一大勢力「子宮系女子」は、いまだ健在なのでしょう。

 確かに、パワーストーン販売、リーディング、ヒーラー等の“スピ稼業”で子宮委員長のように成功したい人たちにとって、本人から聞くビジネス論は、さぞありがたく心に響くはず。「自分ビジネス」の実態は、子宮委員長が名前を変えて新たに仕掛けた、「信者ビジネス」にほかならないのです。

 何から情報を得るのも、何を信じるのも自由。でも、 購入者に知識を授けるのは、 経営コンサルタントなどではなく、名前以外は何も変わらない“ 教祖様”です。「ビジネス」 と言われるとちょっぴり興味が湧くかもしれませんが、 私と一緒に生暖かい目で見守るぐらいにしておいた方が賢明ですよ。

■黒猫ドラネコ
 1983年5月生まれ。性別、職業は非公表。大分県出身、学生時代から大阪で過ごし結婚を機に上京。穏やかで細かい性格。自分勝手な人が嫌い。趣味はスポーツ観戦、カフェ巡り、漫画・アニメ鑑賞など。甘党でお酒よりジュースを好む。ショートスリーパーにつき夜行性。

Twitter/ブログ「黒猫ドラネコのブログ(仮)」