「老人ホームに入れるしかない」82歳の“意地悪ばあさん”、ボケるどころか……娘・息子の暗澹たる思い

“「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける”
――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社)

 そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。今回は老いた母親と娘の関係を考える後編をお送りする(前編はこちら)

 稲村幸助さん(仮名・52)の妹・真知子さん(仮名・50)は、30代で夫を亡くし、同居していた舅姑を見送ったあと、遺産ももらえず家も失った。稲村さんは真知子さんに母親(82)が住むマンションで同居することを提案した。母親も老いてきたので、真知子さんが同居してくれるなら一挙両得だと考えたのだ。

 だが、稲村さんはすっかり忘れていた。大学入学とともに実家を離れ、母親と密に付き合うことのなかった稲村さんは気がつかなかったが、「あなたのためだから」「あなたはできないんだから」という母親の呪縛は今も消えてはいなかったのだ。

ドアチェーンをかけて娘を締め出す

 母親と真知子さんが同居を開始するとまもなく、二人の不和は明らかになった。50歳になろうとする娘を縛ろうとする母親との同居が、うまくいくわけがない。

 真知子さんは、引っ越しが済むと何十年かぶりにフルタイムの仕事をはじめた。稲村さんが「自分の生活費くらい自分で稼げ」と言ったのだ。地元の小さな会社にパート社員として入ったのだが、皮肉なことに母親仕込みの辛抱強い性格が社長の目に留まり、しばらくすると正社員に採用された。

「会社での人間関係も良好で、私もすっかり安心していたのですが……」

 母親はまるで高校生の娘にするように真知子さんの生活にいちいち口を出した。帰りが遅い、女が飲みに出かけるなんてとんでもない……。そして、とうとう真知子さんを家から閉め出したのだ。

「妹が職場の友人と旅行に行ったらしいのですが、自宅に帰るとドアチェーンがかけられていて、家に入ることができないというんです」

 真知子さんが何回チャイムを鳴らしても、電話を掛けても、母親は知らん顔。ドアを開けようとしない。困り切った真知子さんが稲村さんに助けを求めたことで、この締め出し事件が発覚した。

「母は、妹が楽しそうにしているのが面白くないんです。亭主がボンクラだったせいで苦労が絶えなかった妹の結婚生活でしたが、そんな状況にも母は満足していたのかもしれません。それが、今は仕事も順調で、母を置いて旅行に行って楽しんでいる。自分のいないところで妹が楽しい思いをしているのが許せないんでしょう。家から閉め出すなんて、50の娘に対して82の親がすることですか。まったく、情けないですよ」

 稲村さんが母親をきつく叱ったことで何とか落ち着いたものの、稲村さんと真知子さんは、母親が年を取って弱くなるどころか、昔よりも偏狭になっていることを認識し、暗澹たる気持ちになった。

「意地悪ばあさんだから、ボケるどころか長生きしますよ。数か月前にマンションのエントランスの段差につまずいて転び、大腿骨を折ったときは、これはもう歩けなくなって介護が必要になるだろうと覚悟しましたが、また歩けるようになったんですから見上げたものです」

 喜んでいいのか、悲しんでいいのか、真知子さんと苦笑したという。母親は最近とみに耳が遠くなったが、これでさらに「ひがむ」という新しい武器を身につけた。

「私と妹が話していると、自分の悪口を言っているとか、いつも自分にわからないことを言っているとか、ひがむようになった。骨折のあと、要支援になった母をデイサービスに行かせても、周りと話が合わないと言って行かなくなりました。そりゃ、あの性格なら友達もできるわけがありません」

 さすがにこのままでは真知子さんも精神的に参るし、これ以上母親との同居を続けるのはむずかしいのではないかと考えている。となると、母親を老人ホームに入れるしかない。だが、気性の激しい母親が気に入りそうなホームがなかなか見つからないとため息をつく。

「母と妹のバトルを見ていると、幸せとか価値観は人それぞれだなとあらためて思います。母のために、妹も子どものころからずっとつらい思いをしてきたので、この辺でいい人を見つけて幸せになってほしいとも思います。それでも、前の亭主がいたころよりはまだ幸せなんじゃないかと思いたいんですがねぇ」

 女、三界に家なし――稲村さんの話を聞きながら、そんなことわざを思い出した。稲村さんの母親は、幸せなのだろうか?

坂口鈴香(さかぐち・すずか)
終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終末ライター”。訪問した施設は100か所以上。 20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、 人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。 

【老いゆく親と向き合う】シリーズ

明るく聡明な母で尊敬していたが――「せん妄」で知った母の本心
介護施設は虐待が心配――生活が破綻寸前でも母を手放せない娘
父は被害者なのに――老人ホーム、認知症の入居者とのトラブル
・父の遺産は1円ももらっていないのに――仲睦まじい姉妹の本音
認知症の母は壊れてなんかいない。本質があらわになっただけ

【介護をめぐる親子・家族模様】シリーズ

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 だが、稲村さんはすっかり忘れていた。大学入学とともに実家を離れ、母親と密に付き合うことのなかった稲村さんは気がつかなかったが、「あなたのためだから」「あなたはできないんだから」という母親の呪縛は今も消えてはいなかったのだ。

ドアチェーンをかけて娘を締め出す

 母親と真知子さんが同居を開始するとまもなく、二人の不和は明らかになった。50歳になろうとする娘を縛ろうとする母親との同居が、うまくいくわけがない。

 真知子さんは、引っ越しが済むと何十年かぶりにフルタイムの仕事をはじめた。稲村さんが「自分の生活費くらい自分で稼げ」と言ったのだ。地元の小さな会社にパート社員として入ったのだが、皮肉なことに母親仕込みの辛抱強い性格が社長の目に留まり、しばらくすると正社員に採用された。

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 真知子さんが何回チャイムを鳴らしても、電話を掛けても、母親は知らん顔。ドアを開けようとしない。困り切った真知子さんが稲村さんに助けを求めたことで、この締め出し事件が発覚した。

「母は、妹が楽しそうにしているのが面白くないんです。亭主がボンクラだったせいで苦労が絶えなかった妹の結婚生活でしたが、そんな状況にも母は満足していたのかもしれません。それが、今は仕事も順調で、母を置いて旅行に行って楽しんでいる。自分のいないところで妹が楽しい思いをしているのが許せないんでしょう。家から閉め出すなんて、50の娘に対して82の親がすることですか。まったく、情けないですよ」

 稲村さんが母親をきつく叱ったことで何とか落ち着いたものの、稲村さんと真知子さんは、母親が年を取って弱くなるどころか、昔よりも偏狭になっていることを認識し、暗澹たる気持ちになった。

「意地悪ばあさんだから、ボケるどころか長生きしますよ。数か月前にマンションのエントランスの段差につまずいて転び、大腿骨を折ったときは、これはもう歩けなくなって介護が必要になるだろうと覚悟しましたが、また歩けるようになったんですから見上げたものです」

 喜んでいいのか、悲しんでいいのか、真知子さんと苦笑したという。母親は最近とみに耳が遠くなったが、これでさらに「ひがむ」という新しい武器を身につけた。

「私と妹が話していると、自分の悪口を言っているとか、いつも自分にわからないことを言っているとか、ひがむようになった。骨折のあと、要支援になった母をデイサービスに行かせても、周りと話が合わないと言って行かなくなりました。そりゃ、あの性格なら友達もできるわけがありません」

 さすがにこのままでは真知子さんも精神的に参るし、これ以上母親との同居を続けるのはむずかしいのではないかと考えている。となると、母親を老人ホームに入れるしかない。だが、気性の激しい母親が気に入りそうなホームがなかなか見つからないとため息をつく。

「母と妹のバトルを見ていると、幸せとか価値観は人それぞれだなとあらためて思います。母のために、妹も子どものころからずっとつらい思いをしてきたので、この辺でいい人を見つけて幸せになってほしいとも思います。それでも、前の亭主がいたころよりはまだ幸せなんじゃないかと思いたいんですがねぇ」

 女、三界に家なし――稲村さんの話を聞きながら、そんなことわざを思い出した。稲村さんの母親は、幸せなのだろうか?

坂口鈴香(さかぐち・すずか)
終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終末ライター”。訪問した施設は100か所以上。 20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、 人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。 

【老いゆく親と向き合う】シリーズ

明るく聡明な母で尊敬していたが――「せん妄」で知った母の本心
介護施設は虐待が心配――生活が破綻寸前でも母を手放せない娘
父は被害者なのに――老人ホーム、認知症の入居者とのトラブル
・父の遺産は1円ももらっていないのに――仲睦まじい姉妹の本音
認知症の母は壊れてなんかいない。本質があらわになっただけ

【介護をめぐる親子・家族模様】シリーズ

「ママ友付き合い苦手」「LINEやりたくない」娘の友達の“頑なすぎる母親”にイライラ爆発!

 今や日常生活において、かかせないツールとなっているコミュニケーションアプリ「LINE」。かつては子どもの送迎時に、ママたちが立ち話をしているような光景が見かけられたが、時間に追われ忙しく過ごす共働き世帯が増えた今、ママたちのコミュニケーションの場は、LINEのグループチャットになっているという。そんな、ママたちの「グループチャット」から浮き彫りになった、彼女たちの悩みや、苦悩、気になる話題を覗いてみる。

 3連休が多い2019年。子どもがいる家庭では、「ずっと家にこもっているわけにはいかない」と、例年より出かける機会が増えたという人もいるのではないか。ママ友付き合いの延長線上で、平日には出かけられないようなレジャースポットや子ども向けイベントに、ママ友と子どもたちで出かけるケースも多いようだ。

LINEを頑なにやらないママにイライラ!?

 紀子さん(仮名)は、都下で夫と8歳の男児、5歳の女児と暮らしている。5歳になる女児は、地元の幼稚園に通っており、そこでのママ友付き合いに困っているという。

「娘と仲が良い女の子のママ3~4人と、ランチに行ったり、ハロウィンイベントに一緒に仮装して参加したりと、交流しています。日程調整や相談をするのは、LINEのグループチャット。長男が幼稚園に通っていた時は、まだLINEをやっているママたちが少なかったので、個別にメールで連絡を取っていましたが、今はもうクラスのほとんどのママさんがLINEをやっているため、みんな仲が良いママだけのグループチャットを作って、そこでやりとりをしていますね。本当に便利な時代になりましたよ。ただ、私のいるママ友グループの中に1人、『どうしてもLINEをやりたくない』というママさんがいて困っているんです……」

 面倒見の良い紀子さんは、子ども向けイベントを見つけると、仲が良いママたちに声をかけて誘っているという。

「その『どうしてもLINEをやりたくない』というママさんの娘とうちの娘は、とても仲が良いんです。娘から『〇〇ちゃんも誘って』と言われるため、声をかけないわけにもいかず、毎回、どこかに遊びに行く計画がママ友達の間で持ち上がるたびに、そのママにだけショートメッセージで連絡するんですけど、すごく面倒に感じています」

 幼稚園に関するやりとりではなく、あくまでプライベートな連絡のため、ママ友にLINEを始めることを強要することはできない。しかし、紀子さんいわく「そのママ友がいると、子ども連れでみんなと一緒に買い物をしていて、途中で別行動した際に『〇時に〇〇で待ち合わせでね』という連絡を、個別でショートメッセージに送る手間が必要なんです。LINEをやっててくれてれば、グループチャットに一通メッセージを送るだけなのに。あと、LINEのアルバム機能で写真を共有しているのに、わざわざメールで送らなきゃいけないのも、非常に面倒ですね」とのこと。

「実は『うちらと過ごす時だけ、LINEを使うようにしたらどうかな?』とお願いしたこともありました。でも『人付き合いが面倒なのでやりたくない』の一点張り。それなら、ママ友付き合いもたまににしてほしいと思ってしまうのですが、子ども同士の会話で遊ぶ計画を知ったのか、幼稚園で会った時に『うちも行きたい』って言ってくるので困ってしまいます。この前、彼女のSNSのアカウントを見つけて覗いてみたら、『ママ友付き合いが苦手』と書いてあって、『こっちの方が気を使ってるのに!』ってモヤモヤしましたね」

 都内にある保育園に4歳になる男児を通わせている友恵さん(仮名)は、保育園で親しいママ友の子どもに落ち着きがないため、一緒に外出するのが億劫だと語る。

「息子は、電車や車が大好き。今は、消防車やパトカーなど働く車に興味津々で、おもちゃの車があれば、ずっと遊んでいられるタイプ。ある日、ママ友からグループチャットに、『安くチケットを手に入れたので、おもちゃのイベントに行こう』というお誘いがあったときは、私も息子も大喜び。ほかのママ友もみんな乗り気だったのですが……」

 それは、男児に絶大な人気を誇るおもちゃイベントで、ネットで調べると連日混雑している様子だったという。

「働いているママが多いため、混雑は承知で休日に行くことになりました。グループチャットで相談して、開場時間の1時間前に並ぼうということになったのですが、当日、一緒に電車で向かおうと、待ち合わせ場所の駅で待っていると、誘ってくれたママ友から『息子がぐずって遅れそう』という連絡が来たんです。実はその子は、お友達のおもちゃを取り上げたり、“たたかいごっこ”をしたがったりと、落ち着きがない子で……。電車内でも、『これ見てみて』などと、大きな声を出したり、靴のまま座席に上ってはしゃいでいたので、年配の男性から注意されました。それでみんなちょっと、チケットをもらったことを後悔しだす雰囲気になってしまったんです」

 楽しみにしていたイベントだが、混雑のためどのアトラクションも数十分から1時間近く待つことに。列に並んでいる間、そのママ友の子どもが飽きてしまったのか、また騒ぎ出したという。

「そのママ友が、『空いているアトラクションにしよう』と言ってきたのですが、息子を含め、何人かのお友達も楽しみにしているアトラクションだったので、『別行動にしない?』と提案したんです。そうしたら、そのママ友の子どもが泣き出してしまって……。結局、ずっと振り回されましたね。彼女自身が一番大変なのはわかりつつも、その後、ほかのママ友とLINEで『今日は大変だったね』と言い合いました」

 首都圏にある幼稚園に4歳になる娘を通わせている有希さん(仮名)は、あるママ友が原因で、SNSにママ友同士で外出した投稿をしづらいという。

「子どもが幼稚園で同じクラスというママ友同士でグループチャットをやっています。その中の1人が、都内にある有名大学を出て、大手企業で働いていたらしくて、よくグループチャットで、過去の自慢話をするんです。それだけならまぁ、『すごいねぇ』と適当に返して、スルーしてればいいのですが、やたらと、『うちに食べにおいでよ』って誘ってくるんです」

 ママ友同士の外出の場合、どうしてもネックになるのが食事場所。子連れだと「ファミレスやフードコートくらいしか選択肢がない。もしくはテイクアウトしたものを外で食べたりですね」という。

「彼女は、旦那さんがとあるIT企業の役員をしていて、タワマンに住んでいるんです。そこに、私たちママ友を、やたら呼びたがる。自慢したいんでしょうね。私は今、妊娠中なのですが、ほかのママ友と近所の大型ショッピングモールのフードコートに行ったというのが、SNSの投稿でばれてしまったことがあって。『えー、〇〇さんは妊婦なのに、あんな混んでいるところに行ったの? 空気が悪いよ。うち来ればよかったのに』と、わざわざグループチャットで言ってきたときは、あぜんとしましたよ。一気に険悪なムードになってしまい、うっかりネットに書いたりできないって思いましたね」

 LINEの普及により、ママ同士のコミュニケーションも取りやすくなったが、その半面、ママ友付き合いの煩わしさが増えたとも言える。円滑なコミュニケーションをするには、LINEだけに頼らず、相手と日ごろからどれくらい交流が持てているかがカギなのかもしれない。
(池守りぜね)

ユニクロ「ヒートテック」以上に優秀な保温インナーはある? 専門家がおすすめする「無印」「イオン」の肌着とは

――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!

 冬の保温肌着として一般的となったユニクロのヒートテック。2017年段階で、売上総数が10憶枚を突破した大ヒットアイテムですが、今回は、ヒートテックよりも安価で、かつ機能性が高い保温肌着はあるのか? について考えてみたいと思います。

 本題に入る前に、私は暑がりで汗っかきなので、大阪や東京の寒さはそれほど苦にならないため、真冬でも保温肌着を着用しません。とはいうものの、試しにユニクロのヒートテック、グンゼのホットマジックを買って、着用してみたことがあります。その体感でいうなら、「うーん。普通の綿100%の肌着と変わらん。何が違うのかわからん」というのが正直なところです。そのため、今回は、「着用感」に基づいてではなく、あくまで素材の観点から、論評をしてみたいと思います。

ユニクロのヒートテック以外にも「保温肌着(インナー)」は数多く販売されている

 ここ最近、春夏は吸水速乾肌着、秋冬は保温肌着を着用するというのが、すっかり一般生活に浸透しました。保温肌着といえば、ユニクロのヒートテックが最も有名ですが、各肌着メーカーや大手スーパー、各種量販店もオリジナルで保温肌着を発売しています。これらの肌着は、基本的に素材の機能性によるところが大きいアイテムなので、ブランドによって、デザインやパターンでの差別化は一部を除いてはほとんどありません。実際にはあるのでしょうが、消費者には区別できないほどの微細な差にしかなっていないのです。つまりどのような機能性素材が使用されているかで、肌着の優劣はほぼ決定されると言っても過言ではありません。

 機能性素材の開発というのは、合繊メーカーと紡績がほとんど一手に担っているのが現状です。合繊メーカーというのは、ポリエステルやナイロン、レーヨンなどの「合成繊維」を製造するメーカーのことで、東レ、帝人、旭化成、クラレなどが代表的な企業になります。一方の紡績はもともと、「天然繊維」をつむぎ、綿糸にする工場の出自で、東洋紡、日清紡、クラボウ、シキボウ、ダイワボウなどが代表的な企業になります(実質の倒産により、化粧品と食品だけが何とか残ったカネボウも元は紡績です)。

 現在、アパレルブランドは、保温肌着も吸水速乾肌着も合繊メーカーや紡績とのタイアップが不可欠となっています。ユニクロが東レと中長期提携していることはよく知られていますが、ほかの機能性肌着も同様に、合繊メーカーや紡績の協力を得ているというわけです。

 さて、今回の趣旨は、「ユニクロのヒートテックより安価で、かつ機能性が高い保温肌着はあるのか?」ということなのですが、今秋冬のヒートテックは、レディースの半袖・8分袖・長袖シャツが990円(税別)、「ヒートテックの1.5倍暖かい」とされる「極暖ヒートテック」は、8分袖・長袖シャツが1,500円(税別)となっています。これらは、平均的な価格なのではないでしょうか。そして、ヒートテックの素材組成は、ポリエステル38%、アクリル32%、レーヨン21%、ポリウレタン9%で、合繊の塊とも言えます。21%混じっているレーヨンが、汗や体表の水分を吸収して発熱するというのがヒートテックの仕組みで、汗をかけばかくほど暖かくなるというシステムです。

 そのため、乾燥しやすい肌の人や、合繊の服だと肌が荒れやすい人は、ヒートテックは「合わない」とも考えられます。そういう人におすすめで、かつ今、密かに売れていると言われているのが、無印良品の「綿であったかインナー」シリーズです。素材の組成は半袖シャツで綿93%、ポリウレタン7%となっていて、オーガニックコットン使用と謳われています。水分を吸収して発熱するという特性は、レーヨンだけのものではなく、実は綿にもあるのです。無印のインナーは、特殊な加工を施すことで、その性質をさらに高めたとされており、合繊だと肌荒れしやすいという人にとっては、ユニクロのヒートテックより優れた商品だと言えます。

 また価格についてですが、レディースではタンクトップ、8分袖シャツ、はらまきショーツ、レギンスの4種類があり、価格はどれも990円。ユニクロのヒートテックと同じ価格と思いきや、ユニクロは税抜き価格である一方、無印良品は税込み価格のため、単純に価格だけで言うなら、無印良品の方が消費税分の99円お得ということになります(ちなみに昨年秋時点の「綿であったかインナー」は、価格が1,290円だったものの、今秋から990円に値下げされました)。

 ただ、オーガニックコットンをこれほど安く仕入れて売ることは至難の業なので、繊維・アパレル業界からは、実は「本当にオーガニックコットンなのか? オーガニックじゃない普通の綿じゃないのか?」と、不信の目で見られているという裏話もあるのですが、とはいえ、ほぼ綿というのは間違いないでしょうから、合繊が苦手な人は一度試してみてもいいかもしれません。なお、某素材メーカーからの情報によると、9月と10月、「綿であったかインナー」は昨年の倍近い売れ行きだったそうです。

 また、知名度の低さの割に、素材メーカーからの評価が高いのが、イオンのプライベートブランド「TOPVALU」が展開するウェア「セリアント」。商品名の「セリアント」というのが、まさに素材名なのですが、これは、アメリカのホロジェニックス社が開発した、チタン・アルミ・ケイ素など13種類もの微細な鉱石を練りこんだ特殊な繊維です。その効能は「血行が良くなること」だとされており、通常の衣類ではなく、一般医療機器に分類されています。そのため、価格は少し高めで、レディースの8分袖インナーが1,880円(税別)。

 同商品はその効能から、秋冬にも適していると言えますが、消費者はもとより業界でも、まだあまり認知されていません。価格で言うと、ユニクロのヒートテックの倍になりますから、なかなか手を出しにくいだろうなと思う半面、この手の健康商材の多くは科学的根拠に乏しいことが多いのに対して、セリアントには根拠があるので、効能としては非常に優れていると考えられます。

 「良い物は必ず売れる」と多くの人は思いがちですが、実際はそうではありません。イオンのセリアントがまったくと言っていいほど消費者はもとより業界からも知られていないのは、その一例だと言えます。

 1,000円前後の保温肌着ではユニクロのヒートテックがほぼ一強と言える中、世に知られていない「自分にとって良い物」がないか、積極的に探してみてもいいかもしれません。
(南充浩)

ユニクロ「ヒートテック」以上に優秀な保温インナーはある? 専門家がおすすめする「無印」「イオン」の肌着とは

――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!

 冬の保温肌着として一般的となったユニクロのヒートテック。2017年段階で、売上総数が10憶枚を突破した大ヒットアイテムですが、今回は、ヒートテックよりも安価で、かつ機能性が高い保温肌着はあるのか? について考えてみたいと思います。

 本題に入る前に、私は暑がりで汗っかきなので、大阪や東京の寒さはそれほど苦にならないため、真冬でも保温肌着を着用しません。とはいうものの、試しにユニクロのヒートテック、グンゼのホットマジックを買って、着用してみたことがあります。その体感でいうなら、「うーん。普通の綿100%の肌着と変わらん。何が違うのかわからん」というのが正直なところです。そのため、今回は、「着用感」に基づいてではなく、あくまで素材の観点から、論評をしてみたいと思います。

ユニクロのヒートテック以外にも「保温肌着(インナー)」は数多く販売されている

 ここ最近、春夏は吸水速乾肌着、秋冬は保温肌着を着用するというのが、すっかり一般生活に浸透しました。保温肌着といえば、ユニクロのヒートテックが最も有名ですが、各肌着メーカーや大手スーパー、各種量販店もオリジナルで保温肌着を発売しています。これらの肌着は、基本的に素材の機能性によるところが大きいアイテムなので、ブランドによって、デザインやパターンでの差別化は一部を除いてはほとんどありません。実際にはあるのでしょうが、消費者には区別できないほどの微細な差にしかなっていないのです。つまりどのような機能性素材が使用されているかで、肌着の優劣はほぼ決定されると言っても過言ではありません。

 機能性素材の開発というのは、合繊メーカーと紡績がほとんど一手に担っているのが現状です。合繊メーカーというのは、ポリエステルやナイロン、レーヨンなどの「合成繊維」を製造するメーカーのことで、東レ、帝人、旭化成、クラレなどが代表的な企業になります。一方の紡績はもともと、「天然繊維」をつむぎ、綿糸にする工場の出自で、東洋紡、日清紡、クラボウ、シキボウ、ダイワボウなどが代表的な企業になります(実質の倒産により、化粧品と食品だけが何とか残ったカネボウも元は紡績です)。

 現在、アパレルブランドは、保温肌着も吸水速乾肌着も合繊メーカーや紡績とのタイアップが不可欠となっています。ユニクロが東レと中長期提携していることはよく知られていますが、ほかの機能性肌着も同様に、合繊メーカーや紡績の協力を得ているというわけです。

 さて、今回の趣旨は、「ユニクロのヒートテックより安価で、かつ機能性が高い保温肌着はあるのか?」ということなのですが、今秋冬のヒートテックは、レディースの半袖・8分袖・長袖シャツが990円(税別)、「ヒートテックの1.5倍暖かい」とされる「極暖ヒートテック」は、8分袖・長袖シャツが1,500円(税別)となっています。これらは、平均的な価格なのではないでしょうか。そして、ヒートテックの素材組成は、ポリエステル38%、アクリル32%、レーヨン21%、ポリウレタン9%で、合繊の塊とも言えます。21%混じっているレーヨンが、汗や体表の水分を吸収して発熱するというのがヒートテックの仕組みで、汗をかけばかくほど暖かくなるというシステムです。

 そのため、乾燥しやすい肌の人や、合繊の服だと肌が荒れやすい人は、ヒートテックは「合わない」とも考えられます。そういう人におすすめで、かつ今、密かに売れていると言われているのが、無印良品の「綿であったかインナー」シリーズです。素材の組成は半袖シャツで綿93%、ポリウレタン7%となっていて、オーガニックコットン使用と謳われています。水分を吸収して発熱するという特性は、レーヨンだけのものではなく、実は綿にもあるのです。無印のインナーは、特殊な加工を施すことで、その性質をさらに高めたとされており、合繊だと肌荒れしやすいという人にとっては、ユニクロのヒートテックより優れた商品だと言えます。

 また価格についてですが、レディースではタンクトップ、8分袖シャツ、はらまきショーツ、レギンスの4種類があり、価格はどれも990円。ユニクロのヒートテックと同じ価格と思いきや、ユニクロは税抜き価格である一方、無印良品は税込み価格のため、単純に価格だけで言うなら、無印良品の方が消費税分の99円お得ということになります(ちなみに昨年秋時点の「綿であったかインナー」は、価格が1,290円だったものの、今秋から990円に値下げされました)。

 ただ、オーガニックコットンをこれほど安く仕入れて売ることは至難の業なので、繊維・アパレル業界からは、実は「本当にオーガニックコットンなのか? オーガニックじゃない普通の綿じゃないのか?」と、不信の目で見られているという裏話もあるのですが、とはいえ、ほぼ綿というのは間違いないでしょうから、合繊が苦手な人は一度試してみてもいいかもしれません。なお、某素材メーカーからの情報によると、9月と10月、「綿であったかインナー」は昨年の倍近い売れ行きだったそうです。

 また、知名度の低さの割に、素材メーカーからの評価が高いのが、イオンのプライベートブランド「TOPVALU」が展開するウェア「セリアント」。商品名の「セリアント」というのが、まさに素材名なのですが、これは、アメリカのホロジェニックス社が開発した、チタン・アルミ・ケイ素など13種類もの微細な鉱石を練りこんだ特殊な繊維です。その効能は「血行が良くなること」だとされており、通常の衣類ではなく、一般医療機器に分類されています。そのため、価格は少し高めで、レディースの8分袖インナーが1,880円(税別)。

 同商品はその効能から、秋冬にも適していると言えますが、消費者はもとより業界でも、まだあまり認知されていません。価格で言うと、ユニクロのヒートテックの倍になりますから、なかなか手を出しにくいだろうなと思う半面、この手の健康商材の多くは科学的根拠に乏しいことが多いのに対して、セリアントには根拠があるので、効能としては非常に優れていると考えられます。

 「良い物は必ず売れる」と多くの人は思いがちですが、実際はそうではありません。イオンのセリアントがまったくと言っていいほど消費者はもとより業界からも知られていないのは、その一例だと言えます。

 1,000円前後の保温肌着ではユニクロのヒートテックがほぼ一強と言える中、世に知られていない「自分にとって良い物」がないか、積極的に探してみてもいいかもしれません。
(南充浩)

【最も怖いホラー映画・10選】『IT』だけじゃない、米カルチャーメディアで高評価作品!(後編)

 欧米では一昔前まで、夜が長くなってくるハロウィンから冬にかけてホラー映画を見るのが定番だったが、現在では季節に関係なくホラー映画が公開されるようになり、ここ数年は空前のホラー映画ブームが到来。今年はホラー映画の当たり年ともいわれている。

【最も怖いホラー映画・10選】前編はこちら

 しかしホラーといっても、サイコスリラー系、幽霊系、殺人鬼系、モンスター系、ゾンビ系、ドール(人形)ホラーなど、ジャンルが細かく分かれている。画で恐怖を植え付けるスプラッタものや、反対に精神的に怖がらせるものもあり、実に奥が深いジャンルなのだ。

 今回はアメリカのカルチャーサイトのランキングを参考に、「最も怖いホラー映画」10作を選出した。なお、誰もが知る往年の名作ホラーがランキング上位を占めることもあり、今回は2015年以降に公開されたものを対象とした。

最も怖いホラー映画6:『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(17)

 ホラー小説の巨匠スティーブン・キングの代表作で、90年にテレビドラマ化された『IT』を、ホラー映画『MAMA』で知られるアンディ・ムスキエティ監督が映画化。

 平和かつ静かな街で、児童失踪事件が相次いで発生。内気な少年の弟もある日、おびただしい血痕を残して消息を絶ってしまう。自分を責める少年の前に、何の前触れもなく“それ”は現れる。恐怖を感じるたびに“それ”は姿を現す。“それ”が見える少年たちと共に“それ”に立ち向かおうとするのだが、彼らをさらなる恐怖が待ち構えていた……。

 欧米ではピエロ恐怖症というものがあり、本作のポスターを見ただけで恐怖心を感じる人が続出。北米の興行収入は、大ヒット映画『シックス・センス』を超える3億2,748万ドル(約360億円)で、ホラー映画史上ナンバーワンの大ヒットを記録した。

 少年たちが最も恐れているものと対峙し、そして、彼らが団結して“それ”に向かう描写は見ごたえ十分で、ホラー版『スタンド・バイ・ミー』と高く評価されている。現在、27年後を描いた続編『IT/THE END “それ”が見えたら、終わり』が公開中。

最も怖いホラー映画7:『ワイルドリング 覚醒する少女』(18)

 『ワイルドイング 覚醒する少女』の主人公は、「部屋の外に出ると、人間を食べる野獣ワイルドリングに襲われる」と脅され、森の山小屋の一室に閉じ込められて育った少女。しかし彼女を育ててくれた“パパ”は彼女が初潮を迎えた頃からおかしくなり、拳銃自殺を図る。山小屋から救出された少女は女性保安官に引き取られたのだが、本格的に思春期を迎え、本来の姿へと覚醒してしまう。

 少女が狼女のようなワイルドリングへと変貌した姿は恐怖。プレミア上映したカルチャーイベント「サウス・バイ・サウスウエスト」では、好評を得た。米紙「ニューヨーク・ポスト」は、「巧みに描かれた作品」「(少女役を演じた)ベル・パウリーの表情豊かな顔が印象的だった」と高く評価した。

最も怖いホラー映画8:『ヘレディタリー/継承』(18)

 家長である祖母の死後、ありとあらゆる恐怖に見舞われる一家を描いたファミリーホラー。カルト系にも属する、とにかく不気味なホラー映画だ。

 母を亡くし、喪失感を拭えずにいる中年女性アニー。夫や子どもたちと日常を取り戻そうとするが、娘は徘徊や動物虐待などの異常行動を見せ始め、家の中でも聞き慣れない音や、不可解な光などが襲ってくる。そして、息子が取り返しのつかない事件を起こしてしまい……。

 とにかく役者の演技力が素晴らしく、最初から最後まで恐怖心をあおる。ラストに登場するカルト集団も不気味だが、子役たちの恐怖演技、そして異常現象などの描写が見事だ。悪霊、心霊現象とトラウマになる恐怖シーンが満載で、ホラー映画ファンの欲求を十分に満たしてくれる。

 本作は、サンダンス映画祭でプレミア上映された直後から大絶賛され、「ロッテン・トマト」の批評家支持率も89%と高評価を獲得。米紙「USA Today」では、「現代ホラーの頂点」と称された。また、ホラー映画専門誌が主催する映画賞「ファンゴリア・チェーンソー・アワード2018」では最優秀賞、監督賞、女優賞などの6部門で受賞している。

 表情豊かなオスカー俳優ニコラス・ケイジが主演した、“愛する妻を惨殺したカルト集団への復讐”を描いたリベンジホラー。

 妻を殺され怒り狂った男は、オリジナルの最強武器を作り、復讐に向かう。そこにはカルトが雇った謎のバイク軍団が待ち構えていた。軍団は人間とはいえないようなモンスターばかりだが、男は狂気をむき出しにして立ち向かっていく……。

 ホラーというジャンルだが、バイオレンスアクション満載の本作。監督は、『ランボー/怒りの脱出』などを手がけた、故ジョルジ・パン・コスマトス監督の息子パノス。父親譲りのキレのあるバイオレンス描写は圧巻だ。感情豊かなニコラスの演技には文句のつけようがなく、彼の主演作『バンパイア・キッス』(89)、『ウィッカーマン』(06)、『ゴーストライダー』(07)と似たようなものだろうと油断していると、強烈なパンチを食らうことになるだろう。ちなみに、ニコラスはこの作品で『ファンゴリア・チェーンソー・アワード2019』の最優秀男優賞を受賞している。

 「ロッテン・トマト」で批評家支持率91%を獲得している本作は、カンヌ映画祭、サンダンス映画祭などでも高く評価されている。

最も怖いホラー映画10:『ラ・ヨローナ~泣く女~』(19)

 中南米に古くから伝わる怪談を題材にしたホラー映画。

 夫に浮気され、夫が一番愛している我が子を溺死させ、自分も入水自殺したヨローナ。彼女は悪霊となり、水のあるところに出没しては、自分の泣き声を聞いた子どもたちを溺死させてきた。我が子を連れ去られまいと必死になる母親に対し、ヨローナは執拗なまでにつきまとい、子どもたちを殺そうとする。そのヨローナと神父が対峙するのだが……。

 神父は『アナベル 死霊館の人形』(14)に登場したペレズ神父で、同じくトニー・アメンドーラが演じている。そのため『死霊館』シリーズの1作品という位置付けがなされている。なお本作の監督は『死霊館 エンフィールド事件』を手がけたジェームズ・ワン。母親役のリンダ・カーデリーニは、今年の「MTVムービー& TVアワード」恐怖演技賞にノミネートされるなど、迫真の演技が評価されている。

 緊張感が続く、いわゆる正統派ホラー。悪魔払いのシーンも迫力と臨場感があると話題になっており、恐怖でドキドキしたい人へおすすめしたい作品だ。

【最も怖いホラー映画・10選】『IT』だけじゃない、米カルチャーメディアで高評価作品!(後編)

 欧米では一昔前まで、夜が長くなってくるハロウィンから冬にかけてホラー映画を見るのが定番だったが、現在では季節に関係なくホラー映画が公開されるようになり、ここ数年は空前のホラー映画ブームが到来。今年はホラー映画の当たり年ともいわれている。

【最も怖いホラー映画・10選】前編はこちら

 しかしホラーといっても、サイコスリラー系、幽霊系、殺人鬼系、モンスター系、ゾンビ系、ドール(人形)ホラーなど、ジャンルが細かく分かれている。画で恐怖を植え付けるスプラッタものや、反対に精神的に怖がらせるものもあり、実に奥が深いジャンルなのだ。

 今回はアメリカのカルチャーサイトのランキングを参考に、「最も怖いホラー映画」10作を選出した。なお、誰もが知る往年の名作ホラーがランキング上位を占めることもあり、今回は2015年以降に公開されたものを対象とした。

最も怖いホラー映画6:『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(17)

 ホラー小説の巨匠スティーブン・キングの代表作で、90年にテレビドラマ化された『IT』を、ホラー映画『MAMA』で知られるアンディ・ムスキエティ監督が映画化。

 平和かつ静かな街で、児童失踪事件が相次いで発生。内気な少年の弟もある日、おびただしい血痕を残して消息を絶ってしまう。自分を責める少年の前に、何の前触れもなく“それ”は現れる。恐怖を感じるたびに“それ”は姿を現す。“それ”が見える少年たちと共に“それ”に立ち向かおうとするのだが、彼らをさらなる恐怖が待ち構えていた……。

 欧米ではピエロ恐怖症というものがあり、本作のポスターを見ただけで恐怖心を感じる人が続出。北米の興行収入は、大ヒット映画『シックス・センス』を超える3億2,748万ドル(約360億円)で、ホラー映画史上ナンバーワンの大ヒットを記録した。

 少年たちが最も恐れているものと対峙し、そして、彼らが団結して“それ”に向かう描写は見ごたえ十分で、ホラー版『スタンド・バイ・ミー』と高く評価されている。現在、27年後を描いた続編『IT/THE END “それ”が見えたら、終わり』が公開中。

最も怖いホラー映画7:『ワイルドリング 覚醒する少女』(18)

 『ワイルドイング 覚醒する少女』の主人公は、「部屋の外に出ると、人間を食べる野獣ワイルドリングに襲われる」と脅され、森の山小屋の一室に閉じ込められて育った少女。しかし彼女を育ててくれた“パパ”は彼女が初潮を迎えた頃からおかしくなり、拳銃自殺を図る。山小屋から救出された少女は女性保安官に引き取られたのだが、本格的に思春期を迎え、本来の姿へと覚醒してしまう。

 少女が狼女のようなワイルドリングへと変貌した姿は恐怖。プレミア上映したカルチャーイベント「サウス・バイ・サウスウエスト」では、好評を得た。米紙「ニューヨーク・ポスト」は、「巧みに描かれた作品」「(少女役を演じた)ベル・パウリーの表情豊かな顔が印象的だった」と高く評価した。

最も怖いホラー映画8:『ヘレディタリー/継承』(18)

 家長である祖母の死後、ありとあらゆる恐怖に見舞われる一家を描いたファミリーホラー。カルト系にも属する、とにかく不気味なホラー映画だ。

 母を亡くし、喪失感を拭えずにいる中年女性アニー。夫や子どもたちと日常を取り戻そうとするが、娘は徘徊や動物虐待などの異常行動を見せ始め、家の中でも聞き慣れない音や、不可解な光などが襲ってくる。そして、息子が取り返しのつかない事件を起こしてしまい……。

 とにかく役者の演技力が素晴らしく、最初から最後まで恐怖心をあおる。ラストに登場するカルト集団も不気味だが、子役たちの恐怖演技、そして異常現象などの描写が見事だ。悪霊、心霊現象とトラウマになる恐怖シーンが満載で、ホラー映画ファンの欲求を十分に満たしてくれる。

 本作は、サンダンス映画祭でプレミア上映された直後から大絶賛され、「ロッテン・トマト」の批評家支持率も89%と高評価を獲得。米紙「USA Today」では、「現代ホラーの頂点」と称された。また、ホラー映画専門誌が主催する映画賞「ファンゴリア・チェーンソー・アワード2018」では最優秀賞、監督賞、女優賞などの6部門で受賞している。

 表情豊かなオスカー俳優ニコラス・ケイジが主演した、“愛する妻を惨殺したカルト集団への復讐”を描いたリベンジホラー。

 妻を殺され怒り狂った男は、オリジナルの最強武器を作り、復讐に向かう。そこにはカルトが雇った謎のバイク軍団が待ち構えていた。軍団は人間とはいえないようなモンスターばかりだが、男は狂気をむき出しにして立ち向かっていく……。

 ホラーというジャンルだが、バイオレンスアクション満載の本作。監督は、『ランボー/怒りの脱出』などを手がけた、故ジョルジ・パン・コスマトス監督の息子パノス。父親譲りのキレのあるバイオレンス描写は圧巻だ。感情豊かなニコラスの演技には文句のつけようがなく、彼の主演作『バンパイア・キッス』(89)、『ウィッカーマン』(06)、『ゴーストライダー』(07)と似たようなものだろうと油断していると、強烈なパンチを食らうことになるだろう。ちなみに、ニコラスはこの作品で『ファンゴリア・チェーンソー・アワード2019』の最優秀男優賞を受賞している。

 「ロッテン・トマト」で批評家支持率91%を獲得している本作は、カンヌ映画祭、サンダンス映画祭などでも高く評価されている。

最も怖いホラー映画10:『ラ・ヨローナ~泣く女~』(19)

 中南米に古くから伝わる怪談を題材にしたホラー映画。

 夫に浮気され、夫が一番愛している我が子を溺死させ、自分も入水自殺したヨローナ。彼女は悪霊となり、水のあるところに出没しては、自分の泣き声を聞いた子どもたちを溺死させてきた。我が子を連れ去られまいと必死になる母親に対し、ヨローナは執拗なまでにつきまとい、子どもたちを殺そうとする。そのヨローナと神父が対峙するのだが……。

 神父は『アナベル 死霊館の人形』(14)に登場したペレズ神父で、同じくトニー・アメンドーラが演じている。そのため『死霊館』シリーズの1作品という位置付けがなされている。なお本作の監督は『死霊館 エンフィールド事件』を手がけたジェームズ・ワン。母親役のリンダ・カーデリーニは、今年の「MTVムービー& TVアワード」恐怖演技賞にノミネートされるなど、迫真の演技が評価されている。

 緊張感が続く、いわゆる正統派ホラー。悪魔払いのシーンも迫力と臨場感があると話題になっており、恐怖でドキドキしたい人へおすすめしたい作品だ。

嵐・二宮和也は、なぜ今「結婚」したのか? プロ筆跡鑑定人が“真意”を読み解く!

 来年いっぱいでの活動休止を発表している嵐だが、この度結婚を発表した二宮和也。休止まであと約1年のこの時期に発表したことについて、さまざまな臆測が飛び交っている。二宮はどんな思いで結婚を発表したのか。果たしてこの結婚はうまくいくのか。ファンクラブ会員宛てに送られた直筆のメッセージを元に、二宮の筆跡を、筆跡鑑定人で筆跡心理学に基づいた書籍『自分のイヤなところは直る! 〜名前を書くだけ〜』(東邦出版)の著者・牧野秀美氏に、読み解いてもらった。

内向性の中に潜む大物のオーラ

――二宮は「インドア派」を公言していて、人とのコミュニケーションを面倒くさがるイメージがあるので、嵐の中で一番に結婚を発表したのは意外です。

牧野秀美氏(以下、牧野) 二宮君は、確かに内向的な性格でしょう。一般的に、外向的といえば元気で明るく、内向的だとおとなしく暗い、のようなイメージを持つ方も多いと思います。しかし、心理学的には、自分の内面に興味を持つタイプを内向的といいます。

 考え方は(1)接筆部が閉じ、(2)角が角張ることから、真面目で、日常生活では目立つ行動を嫌う常識人タイプです。ただ、真面目だけれど、(4)少しだけ隙間が空いているので、上手にこっそりストレス発散できる器用さも持っているようです。

(3)刃物運がありますので、人やものの本質を鋭く見抜き、好き嫌いがはっきりしていますが、(6)上部への突出は少なめですので、自ら進んで敵をつくらないタイプでしょう。だからといって、周囲に合わせることもありません。争いは避けますが、それは面倒なことにはあまり関わりたくないといった気持ちの表れでしょう。しかし、自分の興味・関心のある分野に関しては譲れない、てこでも動かない頑固な一面を見せることも。ドライであまり他人に関心がなく、人との関わりさえ面倒くさいと思う、その時間を自分のために使いたい、このような心理が見え隠れしているようです。元ジャニーズの香取慎吾さんより精神的にはタフで、ストレスはたまりにくいと思います。

 そんな二宮君の文字には(7)女優運があります。女優運とは、左右両方の払いが長い人の特徴で、プレッシャーに強く、注目されればされるほど実力を発揮する、自分の感情に入れ込む、のめり込み型の筆跡です。まさに女優、俳優にぴったりの文字です。二宮君の卓越した演技力は、内面からにじみ出る強い自己表現欲求の表れなのでしょう。サインの最後は(9)大弧型(たいこがた)という大きなハネでしめています。この形も、普通では収まり切れない大物エネルギーの表れですので、一見普通そうに見えても、その内面には大物のオーラを潜ませているのでしょう。

――ファンクラブ会員宛ての直筆メッセージは、真面目にしっかり書いている、本人の気持ちが伝わってきそうな文字ですね。

牧野 今回の公式文書をよく見ると、意外とハネがしっかり書かれていることがわかります。ハネは、物事の最後のしめ方や最後まで手を抜かない行動傾向を表していますので、ハネが弱い人やハネを書かない人は、意識しないとまず出てきません。そのような意味で、二宮君本人としては、この発表を非常に厳粛な気持ちで受け止め、強い責任感を感じているのが伝わってくるようです。レイアウトもきちんと考えて書かれているので、ファンの皆さんにきちんと受け止めてもらえるように、時間をかけて、じっくり書かれたものだと思います。

自分の世界にずかずかと入ってくることは許さない

――突然の発表に戸惑いを隠せないファンに代わって、単刀直入にお聞きします。この結婚は果たしてうまくいくのでしょうか?

牧野 二宮君は、自分の世界を大切にする方ですので、プライベートを一緒に過ごす相手は十分に吟味したと思います。つまり、結婚することで自分の行動が制限されるような相手とは、一緒にならないのではないでしょうか。つまらない争いを好まないため、日常生活はあまり波風を立てたくないようです。しかし、細かな不満が積み重なった場合は、話し合う余地がないくらい、あっさりと結論を出すかもしれません。

 ポーカーフェイスですので、油断は禁物です。しっかり相手の動向を見ているタイプでしょう。二宮君は、表立って主導権を握りたいとか、亭主関白を振りかざすようなタイプではありませんが、自分の世界にずかずかと入ってくることはパートナーであっても許さないでしょう。二宮君の他人に対する適度な無関心が、お互いのプライベートを尊重することにつながりそうです。

――夫婦円満の秘訣はなんでしょうか?

牧野 お互いにある程度の距離感を意識して、あまり依存し合わないドライな間柄を築くことができたなら、うまくいくのではないかと思います。(8)は、行がうねっています。いくらインドア派で普通っぽく見えても、才能あふれる俳優でもある二宮君は、時に自分の感情を表現したい欲求にかられることもあるでしょう。二宮君は、自分を変えるという発想があまりないと思いますので、妻のほうに、良いところも悪いところも、時たま羽目を外すところも、そのまま全て受け入れる広い心があれば大丈夫でしょう。

牧野秀美(まきの・ひでみ)
筆跡鑑定人。筆跡アドバイザー・マスター。筆跡心理学をもとにした鑑定と診断を行う。著書に『自分のイヤなところは直る~名前を書くだけ~』(東邦出版)
ほっかいどう筆跡鑑定研究所

嵐・二宮和也は、なぜ今「結婚」したのか? プロ筆跡鑑定人が“真意”を読み解く!

 来年いっぱいでの活動休止を発表している嵐だが、この度結婚を発表した二宮和也。休止まであと約1年のこの時期に発表したことについて、さまざまな臆測が飛び交っている。二宮はどんな思いで結婚を発表したのか。果たしてこの結婚はうまくいくのか。ファンクラブ会員宛てに送られた直筆のメッセージを元に、二宮の筆跡を、筆跡鑑定人で筆跡心理学に基づいた書籍『自分のイヤなところは直る! 〜名前を書くだけ〜』(東邦出版)の著者・牧野秀美氏に、読み解いてもらった。

内向性の中に潜む大物のオーラ

――二宮は「インドア派」を公言していて、人とのコミュニケーションを面倒くさがるイメージがあるので、嵐の中で一番に結婚を発表したのは意外です。

牧野秀美氏(以下、牧野) 二宮君は、確かに内向的な性格でしょう。一般的に、外向的といえば元気で明るく、内向的だとおとなしく暗い、のようなイメージを持つ方も多いと思います。しかし、心理学的には、自分の内面に興味を持つタイプを内向的といいます。

 考え方は(1)接筆部が閉じ、(2)角が角張ることから、真面目で、日常生活では目立つ行動を嫌う常識人タイプです。ただ、真面目だけれど、(4)少しだけ隙間が空いているので、上手にこっそりストレス発散できる器用さも持っているようです。

(3)刃物運がありますので、人やものの本質を鋭く見抜き、好き嫌いがはっきりしていますが、(6)上部への突出は少なめですので、自ら進んで敵をつくらないタイプでしょう。だからといって、周囲に合わせることもありません。争いは避けますが、それは面倒なことにはあまり関わりたくないといった気持ちの表れでしょう。しかし、自分の興味・関心のある分野に関しては譲れない、てこでも動かない頑固な一面を見せることも。ドライであまり他人に関心がなく、人との関わりさえ面倒くさいと思う、その時間を自分のために使いたい、このような心理が見え隠れしているようです。元ジャニーズの香取慎吾さんより精神的にはタフで、ストレスはたまりにくいと思います。

 そんな二宮君の文字には(7)女優運があります。女優運とは、左右両方の払いが長い人の特徴で、プレッシャーに強く、注目されればされるほど実力を発揮する、自分の感情に入れ込む、のめり込み型の筆跡です。まさに女優、俳優にぴったりの文字です。二宮君の卓越した演技力は、内面からにじみ出る強い自己表現欲求の表れなのでしょう。サインの最後は(9)大弧型(たいこがた)という大きなハネでしめています。この形も、普通では収まり切れない大物エネルギーの表れですので、一見普通そうに見えても、その内面には大物のオーラを潜ませているのでしょう。

――ファンクラブ会員宛ての直筆メッセージは、真面目にしっかり書いている、本人の気持ちが伝わってきそうな文字ですね。

牧野 今回の公式文書をよく見ると、意外とハネがしっかり書かれていることがわかります。ハネは、物事の最後のしめ方や最後まで手を抜かない行動傾向を表していますので、ハネが弱い人やハネを書かない人は、意識しないとまず出てきません。そのような意味で、二宮君本人としては、この発表を非常に厳粛な気持ちで受け止め、強い責任感を感じているのが伝わってくるようです。レイアウトもきちんと考えて書かれているので、ファンの皆さんにきちんと受け止めてもらえるように、時間をかけて、じっくり書かれたものだと思います。

自分の世界にずかずかと入ってくることは許さない

――突然の発表に戸惑いを隠せないファンに代わって、単刀直入にお聞きします。この結婚は果たしてうまくいくのでしょうか?

牧野 二宮君は、自分の世界を大切にする方ですので、プライベートを一緒に過ごす相手は十分に吟味したと思います。つまり、結婚することで自分の行動が制限されるような相手とは、一緒にならないのではないでしょうか。つまらない争いを好まないため、日常生活はあまり波風を立てたくないようです。しかし、細かな不満が積み重なった場合は、話し合う余地がないくらい、あっさりと結論を出すかもしれません。

 ポーカーフェイスですので、油断は禁物です。しっかり相手の動向を見ているタイプでしょう。二宮君は、表立って主導権を握りたいとか、亭主関白を振りかざすようなタイプではありませんが、自分の世界にずかずかと入ってくることはパートナーであっても許さないでしょう。二宮君の他人に対する適度な無関心が、お互いのプライベートを尊重することにつながりそうです。

――夫婦円満の秘訣はなんでしょうか?

牧野 お互いにある程度の距離感を意識して、あまり依存し合わないドライな間柄を築くことができたなら、うまくいくのではないかと思います。(8)は、行がうねっています。いくらインドア派で普通っぽく見えても、才能あふれる俳優でもある二宮君は、時に自分の感情を表現したい欲求にかられることもあるでしょう。二宮君は、自分を変えるという発想があまりないと思いますので、妻のほうに、良いところも悪いところも、時たま羽目を外すところも、そのまま全て受け入れる広い心があれば大丈夫でしょう。

牧野秀美(まきの・ひでみ)
筆跡鑑定人。筆跡アドバイザー・マスター。筆跡心理学をもとにした鑑定と診断を行う。著書に『自分のイヤなところは直る~名前を書くだけ~』(東邦出版)
ほっかいどう筆跡鑑定研究所

【最も怖いホラー映画・10選】米メディア絶賛! 『ゴースト・ストーリーズ』ほか(前編)

 日本ではお盆のある暑い夏に背筋が凍るようなホラー映画を見るのが定番となっているが、欧米では一昔前まで、夜が長くなってくるハロウィンから冬にかけて見るのが定番だった。現在では季節に関係なくホラー映画が公開されるようになり、ここ数年は空前のホラー映画ブームが到来。今年はホラー映画の当たり年ともいわれている。

 今年最も話題になった作品は、8月に全米公開された『IT/THE END “それ”が見えたら、終わり。』。日本でも今月1日から全国公開され、8日には前作の『IT/イット“それ”が見えたら、終わり。』(17)が、日本テレビ系『金曜ロードSHOW!』にて地上波初放送となった。R-15に該当するシーンは編集されたものの、「日本でもとうとうR指定ホラーが地上波で放送される時代が来たのか!」とホラー映画ファンを喜ばせた。

 一口にホラーといっても、サイコスリラー系、幽霊系、殺人鬼系、モンスター系、ゾンビ系、ドール(人形)ホラーなど、ジャンルが細かく分かれている。画で恐怖を植え付けるスプラッタものや、反対に精神的に怖がらせるものもあり、実に奥が深いジャンルなのだ。

 今回はアメリカのカルチャーサイトのランキングを参考に、「最も怖いホラー映画」10作を選出した。なお、誰もが知る往年の名作ホラーがランキング上位を占めることもあり、今回は2015年以降に公開されたものを対象とした。

最も怖いホラー映画1:『ブレア・ウィッチ』(16)

 20年前に6万ドル(約650万円)という低予算で制作された、ホラーの名作『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(99)。「ブレアの魔女(ブレア・ウィッチ)伝説を検証するために森に入った学生3人。彼らが消息を絶ってから1年後に森の中で発見された、恐怖の映像の数々を編集した」という設定で撮影されたモキュメンタリー(疑似ドキュメンタリー)ホラーの先駆けであり、撮影者と鑑賞者が同じ視点を持つPOV(Point of view)という手法も相まって世界的な大ヒットとなった。翌年『ブレアウィッチ2』(00)が公開されたが、正統な続編は16年公開の『ブレア・ウィッチ』である。

 『ブレア・ウィッチ』は、「前作で消息を絶った学生の弟が、姉を捜すために森に入る」ところから始まり、ドローンやGPSなどの最新機器を使いながら、森に挑む姿を追う。本作も臨場感あふれるPOVモキュメンタリーだが、はてしなく続く暗闇が舞台であることから恐怖度はアップ。POVならではの手ブレは前回以上に激しく、突然驚かせるお化け屋敷的な描写も多い。

 ホラー映画の多くがそうであるように“評価は賛否両論”だが、米カルチャーサイト「Vanity Fair」などが、「ノンフィクションかフィクションかわからない状態だった『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』よりも確実に怖さは増している」と評価。アメリカのホラージャンル専門サイトの「Bloody Disgusting」は「本作品はホラー界に革命を起こした」と絶賛し、「2016年度ベスト・ホラー映画」に選出した。

最も怖いホラー映画2:『死霊館 エンフィールド事件』(16)

 実在するアメリカの心霊研究家ウォーレン夫妻が、実際に扱った事件を描く大ヒットシリーズ『死霊館』(13)の2作目。手がけるのはサイコスリラー/ホラーのヒットメーカー、ジェームズ・ワン監督。ウォーレン夫妻も、前作同様、感情豊かな演技が売りのヴェラ・ファーミガとパトリック・ウィルソンが演じている。役者は演技派ぞろいで、老人の霊に憑依された子役の演技力は抜群。

 『死霊館 エンフィールド事件』の舞台は、1977年のロンドン近郊の街。「史上最長期間続いたポルターガイスト現象」として有名なエンフィールド事件の、身の毛もよだつような怪奇現象の数々を描いている。シリーズとしては、前回よりも人間ドラマがしっかりと描かれているため、絶望感や恐怖感が一層味わえる。

 大手映画批評サイト「ロッテン・トマト」では、批評家支持率80%、観客支持率81%と、高く評価されている。米業界紙「Hollywood Reporter」は、「前作も素晴らしかったが、本作はさらにレベルを上げてきた」と監督を大絶賛。多数のスピンオフ作品を持つが、シリーズの中でも最高傑作だという声が多い。

 苦手な人が多い、ドール(人形)ホラー。『チャイルド・プレイ』シリーズや『死霊館』シリーズのアナベルなどが有名だが、『ザ・ボーイ』は、「人形に魂が宿る」タイプではない、新感覚のドールホラーなのだ。

 主人公は、新天地での生活を始めるため田舎に越してきた若い女性。大きな洋館で老夫婦と暮らす、8歳の少年の世話するシッターの職を得たのだが、その少年は人形。老父婦から「世話をするにあたり絶対に破ってはならない10のルール」を言い渡されたが、彼女は洋館に一人きりになると人形を人間のように扱うのがバカらしくなり、ルールを次々と破ってしまう……。

 不気味なカットや怪奇現象を多用しながら物語は進み、最後には予想外の展開が。誰も考えもつかなかった結末なため、あぜんとする観客が続出した。ホラー作品なのにいろいろな問題を考えさせられる、という声まで上がった。

 あまりにも結末が衝撃的なため賛否両論となっているが、米にカルチャーサイト「The Wrap」は、「この恐怖のドールホラーは、ぞっとするのに、クレバーな造りを持つ」と絶賛。新しい人形ホラーの形を作った点では高く評価されている。

最も怖いホラー映画4:『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』(17)

 『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』は、イギリス各地でニセ超能力者やニセ霊能者のウソを暴いていたオカルト否定派心理学者フィリップ・グッドマン教授が主人公。尊敬する学者から調査依頼された3つの超常現象のタネを暴こうと現地に向かう。しかし、否定できないさまざまな現象に見舞われ、教授は戸惑う。その現象はつながりを見せ、ラストには思いもよらぬ「事実」が明らかになる。

 本作は、もともと舞台演劇作品であるため、ほかのホラー映画とは一味違う。突然に驚かせるような演出も多いが、やみくもに怖がらせるのではなく、ゾッとする感覚が味わえるのだ。

 イギリスのメディアは本作を高く評価しており、大手タブロイド紙「The Guardian」は「イングランド伝統の中で、身の毛がよだつ超常現象を語るアンソロジー」だと大絶賛している。

最も怖いホラー映画5:『ハッピー・デス・デイ』(17)

 『ハッピー・デス・デイ』は、目を覚ますたびに、殺される運命にある誕生日を繰り返す、新感覚のタイムループ・ホラー。

 主人公の女子大生は誕生日の朝、見知らぬ男子学生のベッドの上で、携帯電話の着信音により目覚める。ワガママ放題をして1日を過ごした彼女は、既婚者である教授との不倫を楽しみ、誕生日パーティに繰り出すのだが、その道中にお面をつけた人物に殺されてしまう。殺された瞬間、彼女は携帯電話の着信音で目覚める。すると、なんと殺された日の朝に戻っており、彼女は殺される運命にある1日をまた過ごす。殺されては誕生日の朝に戻る状態が続く彼女は、精神的に追い詰められていく。誕生日の朝を共に迎える男子学生に、事情を打ち明ける。半信半疑だった彼は「繰り返しループしているのには意味があるのでは?」と言い、彼女を殺す犯人を探し出して運命を変える手伝いをする。

 本作の監督は、『パラノーマル・アクティビティ 呪いの印』を手がけたクリストファー・ランドン。もともとはミーガン・フォックスが演じる予定だった主人公をジェシカ・ローテが演じ、「表情豊かなジェシカのほうがホラー向き」と言われるほどの当たり役となった。

 チャラい女子大生が主人公というのはB級ホラーに多いのだが、内容はしっかりしており、最初から最後まで飽きがこない。ストーリー展開も速く、サスペンス要素も満載だ。好評につき続編『ハッピー・デス・デイ 2U』が製作され、今年公開されている。

――残り5作、後編は11月17日公開!