【米エンタメ2019年】ヒップホップ界における「男らしさ」、ディズニー進歩路線を阻む中国……ショービズ界の社会正義はどうなる?【渡辺志保×辰巳JUNK対談(下)】

 渡辺志保さんと辰巳JUNKさんによる、2019年米ショービズ界を振り返る対談は、これが最終回。ヒップホップ界における「男性らしさ」の変化、アーティストの融和路線、そして多様な人種をキャスティングして挑戦的な作品を作ってきたといわれるディズニーの進歩路線と中国資本の影響など、ショービズ界における「社会正義」について語ってもらいました。

【米エンタメ2019年総決算】カニエ「宗教に傾倒」、カーダシアン家「コントロール不能」、ビヨンセは「優等生すぎ」!?【渡辺志保×辰巳JUNK(上)】

【米エンタメ2019年総決算】2019年はボディポジティブで稼いだセレブ、来年は環境系ビジネスに注目!?【渡辺志保×辰巳JUNK対談(中)】

――近年は「#MeToo」ムーブメントからさらに進んで、アメリカでは「有害な男らしさ(トキシック・マスキュリニティ)」という概念が広がってきたように思います。カミソリメーカー「ジレット」が1月に啓蒙的なCMを作って大きな話題となりましたし、ブラッド・ピット主演の『アド・アストラ』(2019)も作品の根底には男らしさへの懐疑といったテーマがあったように見受けられます。お二人は、それを象徴するようなニュース、出来事で印象に残っているものはありますか?

渡辺志保さん(以下、渡辺) 私はヒップホップ界隈を中心に見がちなんですが、ここ1~2年、どんどん「マスキュリニティ」自体をどう表現していくか、その意味合いも含めて変化してきていると感じました。

――長年ヒップホップ界隈は男性社会で、成功の証しとして「家・車・オンナ」を歌ってきたし、ミソジニー(女性蔑視・女性嫌悪)やホモフォビア(同性愛嫌悪)が強い業界といわれてきましたが……。

辰巳JUNKさん(以下、辰巳) ヒップホップ界隈だと、ジェイ・Zの動きは早かったと思います。2017年に発売したアルバム『4:44』に収録された「Smile」という曲では母親が同性愛者だと告白しているし、ライブでは客席にいる女の子に向かって「いまのアメリカは人種差別主義より、性差別のほうがキツい。でもきみは何にでもなれるんだよ。きみが信じれば大統領にだってなれる」と語りかけたニュースもインパクトが大きかった。彼はヒップホップ界のスーパースターじゃないですか。そういう人が性差別を認めたのは大きい。ケンドリック・ラマーも賛否はあれど「フォトショップ修正していない、ストレッチ・マークがついたリアルな体のほうがいい」とラップして話題になったり、その次はドレイクが女性スターを集めて称賛した……。

渡辺 「Nice for What」のMVですね。

辰巳 ドレイクゆえに商業的というか、なんかあざとい(笑)。でも「あざとい」と言われようと、スーパースターがそういう動きを見せたのは、やっぱり大きな変化ですし。今年は何より女性ラッパーの活躍が目に見えて大きいから、確実に時代は変わってきてますよ。

渡辺 辰巳さんのおっしゃる通りだと思います。そして、ここに至るまではカニエ・ウェストの動きも大きかったのでは、と。彼はファッションデザイナーとして活動していることもあって、ルイ・ヴィトンやバルマン、クリスチャン・ディオールの人たちと付き合い始めたんですよ。メゾン界は同性愛者の男性も少なくないと思うのですが、そういう人たちと仕事することを全く厭わない。ヒップホップはマッチョなイメージ強いから、男性は常にダボダボのファッション、でかい服を着て体をでかく見せることがひとつのスタンダードだったんです。その中でカニエがタイトなファッションに身を包んで、同性愛者のデザイナーと行動を共にするのは、大きなブレイクポイントだったと思うんです。

 その後にオッド・フューチャーというクルーが台頭してきて。オッド・フューチャーには、レズビアンのシドがいたり、「初恋の相手は男性だった」とカミングアウトしたフランク・オーシャンがいたりと、ジェンダーやセクシャリティの観点から見ても非常に多様性に富んだクルーなんです。それが世界規模で人気を得た。同じ頃に人気を得たエイサップ・モブというクルーのエイサップ・ロッキーも、アレキサンダー・ワンやリック・オウエンスなどのファッションブランドとも仲良く付き合っていて、彼自身もフェミニスト。そういう下地がヒップホップのシーンにはあったんです。

 今年は、ミーガン・ジー・スタリオンやリゾ、去年大ブレイクしたカーディ・Bら、言いたいことをはっきり言って、自分がいいと思う姿のままで作品を作り続けるような女性アーティストが台頭してきた。なので、ヒップホップにおけるミソジニー、マスキュリニティはここ5年ぐらい、すごいスピードで変わってきていると感じます。

辰巳 タイラー・ザ・クリエイターが今年新作アルバム『IGOR』を出したんですが、その中に「A BOY IS A GUN」という曲があって。もともとフェミニストのスローガンの「A GIRL IS A GUN(女性を弱い存在と決めつけるな)」というフレーズを逆転させて「A BOY~」とすることで、「どんなジェンダーや性別でも、恋愛関係は銃のように危険だよな」という曲になっているらしくて。もともとタイラーは過激な歌詞を書いたことで、オーストラリアから入国拒否されたこともあって……。

渡辺 そうそう。彼はかつて蔑視用語である「Faggot」(男性同性愛者を侮辱する言葉)を多用して、人権団体から抗議されたこともあったんですよ。でも彼の周りにはフランク・オーシャンやシドがいて、もともとそういうコミュニティの中にいたからこその発言だったのかなとも思うんだけど。

辰巳 しかも本人も、男性に対するセクシャリティをほのめかしている。そういう経緯もあって、なおかつそんな彼がセクシャリティについて考えさせるような曲を作り、売れているという現象を含めて、多様になっているのがおもしろいですよね。

渡辺 アメリカで今年一番売れたのはリル・ナズ・Xの「Old Town Road」ですが、彼も自分がゲイだとカミングアウトしてます。あれは飛び道具的なヒット曲ではあるけど、「Billboard Hot 100」で19週連続1位という大記録を更新するほどのヒット曲を歌っているラップアーティストが同性愛者だというのは、興味深いトピックとして挙げられると思います。

――去年に続いてカーディ・Bの躍進がすさまじく、一方でラップ界の女王ニッキー・ミナージュは「アデルとコラボした」と軽はずみなリップサービスし、それを真に受けたファンからバッシングされたり、結婚・引退宣言をしたり(その後すぐ撤回)、なにか空回りしているような空気がありました。

渡辺 カーディはセールス的な面もすごいのですが、彼女は10代の頃からストリッパーとして働いていて、それを隠すことなく、SNSでのぶっちゃけキャラとしても人気を博した。ニッキーは、その反対なんですよ。彼女もメジャーデビュー前は露出度高い格好で売っていたんですが、メジャー契約した途端に「バービー」になった。ピンクのウイッグをつけて、ジャケ写でもありえないくらい脚を長くして、自分をお人形さんに仕立て上げて、ラッパーとしてのキャリアを築いていった。彼女はリル・ウェインやドレイクがいるヤングマネーというクルーに所属してるんですけど、その中の紅一点という形でデビューしたんですよ。カーディにそういうクルーはおらず、自分ひとりでのし上がった。今はもう「自分」をどんどん出していって、セルフメイドなアーティストじゃないと成功しないことを、カーディが証明したのかなと私は思っていて。今年リゾとかミーガン・ジー・スタリオン、キャッシュ・ドールといった女性ラッパーがブレイクして、いろんな女性ラッパーがいていいんだよという扉を開いたのが、カーディだったんじゃないかなと思います。

辰巳 今まで「ヒップホップのクイーンは1人しかいない」と神話的な感じでいわれてたらしいんですけど、カーディが2週連続1位を獲った後にリゾが1位を獲ったり、いろんな女性アーティストが出てきたということは、その神話が崩れて、もっとバラエティー豊かになるんじゃないのかな。あとポップシンガー含む、女性アーティストの融和路線が目立ってきているといわれていて、リゾやビリー・アイリッシュもそうですが、ほかのアーティストとケンカしない。これまでケイティ・ペリーとレディー・ガガがレーベルに楽曲のリリース日をぶつけられたことがあったけど、最近はそういうのもないですね。

渡辺 ティナーシェという黒人女性アーティストが、「男性ラッパーは何百といるのに、黒人女性アーティストといったら、ビヨンセかリアーナしか聞こえてこない」みたいなことをインタビューで言っていて。多分それはヒップホップ界の女性ラッパーにとっても同じで、ここ10年ぐらい席がひとつだけっていう時代だったんでしょうが、今年はラプソディやイギリスのリトル・シムズといった女性ラッパーたちも素晴らしいアルバムを出している。しかもそれがちゃんと評価されている。当たり前ですけど、ヒップホップだけを見ても、男性アーティストは誰かひとりだけに絞るなんてない。ジェイ・Zもカニエもケンドリックも同時代に売れてるし、ほかにもいろんな席がある。女性ラッパーもそういった状況になり始めてきているのかなと、去年~今年、非常に感じるところですね。

――融和路線でいえば、長年いがみ合っていたケイティ・ペリーとテイラー・スウィフトが今年電撃和解をしましたが、辰巳さんはどう見ていましたか?

辰巳 あれも融和路線ですよね。融和路線は多分、アリアナ・グランデの「thank u, next」という曲ぐらいからブームになってきていて。アリアナが曲で元カレたちをディスるのかと思ったら、彼らとの付き合いを肯定して前に進むような、ポジティブな感じのムードが生まれましたね。最近は明るいポップなムードの曲のはやりが戻ってきて。テイラーも、その流れについてきていますね。明るく友好的な愛を説いている。

渡辺 辰巳さんは、2020年はどういうムードになると思いますか?

辰巳 どうなんですかね。2019年は、キャンセルカルチャー(炎上や批判などによって商品やサービスを停止に追い込むだけではなく、特定個人のキャリアに終止符を打とうとする動き)や、行きすぎたウォークカルチャー(awake<目覚める>から派生したスラングで、不当な差別などに目覚めてアクションを起こすというもの)への批判が活発になったと聞きました。アリアナ・グランデ、チャーリー・XCXらも間接的にですが、「フェイクウォーカー」を批判したこともあったんです。この場合、「フェイク」とつくので、社会正義運動のように見せかけて精査せずにバッシングするユーザーやメディア媒体を批判するニュアンスで、キャンセルカルチャーと距離が近い。

渡辺 あらを探そうと思えば、絶対誰もが持っているじゃないですか。

辰巳 そうなんですよ。でも批判に対して、企業側も自粛しすぎたことがキャンセルカルチャーを勢いづけた部分もあると思う。バーバリーのショーに参加したモデルが、マリン・テーマのフーディーについて「ひもが、首つり自殺のひもに見える」との批判をインスタグラムに投稿したら、メディアがすぐに「バーバリーが自殺フーディーを発売」と報じて、バーバリー側もすぐ謝る。個人的に、このケースは、議論を深めていってもよかったと思うんですが……企業側はメディア対応も大変でしょうし、すぐに火消ししたほうが商売的には楽なんでしょうね。そういったキャンセルカルチャー的な動きは、反省や再構築が進みそうです。でもアメリカのポップカルチャーがすごいのは、カニエとか、映画『ジョーカー』(2019)のトッド・フィリップス監督ら、ウォークカルチャーなどの今までネガティブ意見を言いにくかった潮流を批判したクリエイターの作品が、興行的・数字的にもトップを取っていて。

渡辺 そこがすごいところですよね。みなさんが作品として享受するし、金になるし、作品は消えない。

辰巳 いろんな議論があって、その賛否両方が作品にすぐさま取り込まれるし、それを表現した作品も受け入れられる。議論としてどっちが良い悪いという話ではなくて、ダイナミズム自体、吸収力自体がすごいところだなと思います。

渡辺 確かに日本だとキャンセルカルチャーって、炎上してなくなって終わりになることのほうが多い。

辰巳 あと「社会正義」系列でいうと、近年はディズニー映画の進歩主義路線が賛否を呼んでいるわけですが、実はハリウッドの劇場大作は世界各地で売り上げを立てなきゃいけない。業界として一番重視しているのが中国市場なわけです。セクシャルマイノリティを感じさせるシーンを入れると、中国などで規制されるリスクがある。実写版『美女と野獣』(2017)やフォックスの『ボヘミアン・ラプソディ』(18)が複数の国で規制対象や騒動になってからは(※1)、ハリウッド・スタジオ全体が抑えめになってきていると報道されています。それはキャンセルカルチャーとかじゃなく、国家介入、表現規制の問題ですよね。

渡辺 しかも今ハリウッドって、中国資本が至る所に入ってるわけですから。

辰巳 ドルチェ&ガッバーナの事件(※2)のように、本当に市場から締め出される恐怖もある。NBA騒動(※3)もありましたし、2020年以降は他国市場のコンテンツ検閲リスクに関する議論が大きくなるのではと思っています。今は自由でクリエイティブといわれている「ネットフリックス」も、競争の中で国際展開重視になってきてるし、新しい実験的な作品を出すというスタイルは続けられないかもしれない。なので、2010年代はいろんな議論や反発があり、ウォークカルチャーのストレスもたまっているんですが、将来2010年代を振り返ったときに、「1970年代みたいに自由とか開放とか革命とかがあったよね」「中国とかインドの興行をあまり気にせずに作品を作れた時代だった」と言われる可能性もあると思います。国際情勢を考えたら、グローバル展開コンテンツがアメリカ的自由を世界中で貫くというのは難しいかもしれない。

――今まではアメリカの自由を流布できたけど、今後は中国とかインドで受け入れられるものに、どうしても近づかざるを得ない?

渡辺 インドは今、エンタメ的にボリウッド時代とは違う注目のされ方だと感じます。「Spotify」でも「デシラップ」という公式プレイリスト(現在はインドの国番号を用いた「+91」というタイトルに改名)が人気を集めています。「デシ」ってインド系、またはインドに近いバングラデシュなどの南アジア系の人々や文化を指す言葉とのことで、場合によっては差別的な意味合いを持つので、Spotifyのプレイリストも改名されたのではと思うのですが。今年、アカデミー賞の短編ドキュメンタリー賞を撮ったのが『ピリオド ―羽ばたく女性たち―』という作品なんです。これはインドの女の子たちの生理事情、ナプキンなどの生理用品が手に入らず、でもそれをどうにかしようという内容の、30分のショートドキュメンタリー。それがアカデミー賞を受賞して、かつネットフリックスで公開されている。インドは今、経済的にもすごい勢いで発展しているし、人材的にも優秀な人がそろっている国。今後アジアは、韓国・日本・中国ではなく、インドや東南アジアが注目されていく時代なのかもしれません。

辰巳 そうですね。ビジネス的にも、インドの時代といわれてます。

渡辺 だから、どうアジアが発展するかで、アメリカにおけるアジアの立ち位置や、カルチャーの流れも変わっていくと思います。

※1 『美女と野獣』はマレーシアで、『ボヘミアン・ラプソディ』は中国で、キャラクターが同性愛者だと感じさせるシーン、カミングアウトするシーンが削除・修正された

※2 もともとドルチェ&ガッバーナの中国向け広告動画において、「不自由そうに箸でピザを食べる」といった描写があり、人種差別的だと批判が相次いだ。その後、とあるインスタグラムユーザーが、同ブランドのデザイナー、ステファノ・ガッバーナとのやりとりの中で、彼が中国を侮辱するようなコメントをしたとスクリーンショット付きで拡散(ステファノはアカウントが乗っ取られたと主張)。予定したファッションショーが中止になったほか、中国最大のネットショッピングサイト「アリババ」や百貨店、免税店などが同ブランドの商品の取り扱いを中止するなど、事実上、中国市場から締め出された形となった

※3 米プロバスケットボール(NBA)のヒューストン・ロケッツのジェネラルマネジャー、ダリル・モーリー氏が、香港でのデモを支持する旨をTwitterに投稿。これに対し、NBAをスポンサードしていた中国企業が出資の取りやめ・一時停止を次々と発表し、中国におけるNBAの放映権を持つテンセントも一時放映を停止した。その後、ダリル氏は該当ツイートを削除したが、米メディアやファンは「NBAから表現の自由が失われる」と批判。後日、スポンサードの一時停止が解消され、試合の放映も再開されたが、米中共に禍根を残す形となった

 

全国の駅で働く猫ちゃん・モフモフご紹介! 駅長・施設長・観光大使、お仕事ぶりを特別公開♪

全国各地の駅で働くモフモフの動物たちを紹介する連載がスタート! 山形県から鹿児島県まで、モフモフのかわいい駅長や観光大使のお仕事ぶりを月2回紹介しちゃいます♪ 初めてとなる今回は、各地のクリスマスイベントの様子や駅長就任式の模様をサイゾーウーマン限定で公開です♪

にゃん太郎観光大使

今週の出来事:12月22日に恒例のクリスマスイベントをしました。嘉例川駅のクリスマスケーキとして、お客さまに焼き芋をプレゼント。にゃん太郎は、人間でいうと後期高齢者の年齢ですので健康第一です。

お名前:にゃん太郎観光大使
勤務先JR九州 肥薩線嘉例川駅
勤務時間:日曜 10:30~不定(帰宅時間はにゃん太郎都合)

観光大使就任エピソード:迷い猫出身。2015年11月ごろから駅舎に住み始めると、地元民から愛されるアイドル猫に。16年5月には霧島市役所観光課から嘉例川観光大使に就任。

ラビたま駅長

今週の出来事:こないだラビたま駅長は健康チェックを病院で受けてきました。 獣医さんもお墨付きの健康状態です! 

お名前:ラビたま駅長
勤務先埼玉高速鉄道 浦和美園駅
勤務時間:9:30~11:30 14:30~16:30(水・木はお休み)

駅長就任エピソード:埼玉こども動物公園のふれあいコーナー出身のイエウサギ。2015年6月に駅長就任! 浦和には“うさぎ神社”として知られる調神社(つきじんじゃ)もある。
大みそかから元日にかけて終夜運転を実施します!
お出かけには「ゆく年くる年冬休みスーパーバリューパチュー」 も便利です♪

しょこら駅長

今週の出来事:12月19日にJR東日本公認の駅長として「戴帽式」が行われました♪ これまで“JR非公認”の駅長だったのですが、とうとう、JR東日本にも認めていただけたのかな!? 山形県の4つのテレビでニュースが流れました。

お名前:ショコ・ラ・ダリヤ
年齢:2~3歳
勤務先JR東日本 米坂線羽前小松駅
勤務時間:平日 8:00~19:00/土日祝 8:45~16:30(12月28日から土日祝日勤務)
Twitter@chocolat_komatu

駅長就任エピソード:羽前小松駅にいた迷い猫出身。駅舎で面倒を見ているうちに、地元民から愛される存在となり、10月に駅長ポストへ就任。このたび、晴れてJR公認の駅長に!

らぶ駅長&ぴーち施設長

今週の出来事:12月21~23日に行われたクリスマスイベント「サンタ鉄道」で、らぶ駅長もお手伝い。24日には駅長就任4年目を迎えました!

お名前:らぶ駅長、ピーチ施設長
勤務先会津鉄道 芦ノ牧温泉駅
勤務時間:9:00~16:00(らぶ駅長 水・木お休み/ぴーち施設長 月・火・金お休み)
Twitter@ashinomakionsenインスタグラムashinomakionseneki
レギュラー番組『にゃん旅鉄道』(福島中央テレビ、TVer)放送中

就任エピソード:2015年、初代名誉駅長・ばすの跡を継いだらぶが二代目名誉駅長に就任。17年10月には、らぶ駅長の弟・ぴーちが名誉施設長のポストに就いた。

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にゃん太郎観光大使

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勤務先JR九州 肥薩線嘉例川駅
勤務時間:日曜 10:30~不定(帰宅時間はにゃん太郎都合)

観光大使就任エピソード:迷い猫出身。2015年11月ごろから駅舎に住み始めると、地元民から愛されるアイドル猫に。16年5月には霧島市役所観光課から嘉例川観光大使に就任。

ラビたま駅長

今週の出来事:こないだラビたま駅長は健康チェックを病院で受けてきました。 獣医さんもお墨付きの健康状態です! 

お名前:ラビたま駅長
勤務先埼玉高速鉄道 浦和美園駅
勤務時間:9:30~11:30 14:30~16:30(水・木はお休み)

駅長就任エピソード:埼玉こども動物公園のふれあいコーナー出身のイエウサギ。2015年6月に駅長就任! 浦和には“うさぎ神社”として知られる調神社(つきじんじゃ)もある。
大みそかから元日にかけて終夜運転を実施します!
お出かけには「ゆく年くる年冬休みスーパーバリューパチュー」 も便利です♪

しょこら駅長

今週の出来事:12月19日にJR東日本公認の駅長として「戴帽式」が行われました♪ これまで“JR非公認”の駅長だったのですが、とうとう、JR東日本にも認めていただけたのかな!? 山形県の4つのテレビでニュースが流れました。

お名前:ショコ・ラ・ダリヤ
年齢:2~3歳
勤務先JR東日本 米坂線羽前小松駅
勤務時間:平日 8:00~19:00/土日祝 8:45~16:30(12月28日から土日祝日勤務)
Twitter@chocolat_komatu

駅長就任エピソード:羽前小松駅にいた迷い猫出身。駅舎で面倒を見ているうちに、地元民から愛される存在となり、10月に駅長ポストへ就任。このたび、晴れてJR公認の駅長に!

らぶ駅長&ぴーち施設長

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勤務先会津鉄道 芦ノ牧温泉駅
勤務時間:9:00~16:00(らぶ駅長 水・木お休み/ぴーち施設長 月・火・金お休み)
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レギュラー番組『にゃん旅鉄道』(福島中央テレビ、TVer)放送中

就任エピソード:2015年、初代名誉駅長・ばすの跡を継いだらぶが二代目名誉駅長に就任。17年10月には、らぶ駅長の弟・ぴーちが名誉施設長のポストに就いた。

老人ホームを拒否した娘、認知症の母の“最期”を迎えて――「ホッとした」と職場上司が語る理由

“「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける”
――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社)

 そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。

「介護施設は虐待が心配――生活が破綻寸前でも母を手放せない娘」で紹介した斎藤雅代さん(仮名・45)の上司、正木俊宏さん(仮名・56)の話を続けよう。正木さんは要介護4の母親を自宅で介護する斎藤さんが、介護離職寸前であることに危機感を抱き、なんとか介護離職を食い止めることができないかと奔走してきた。ところが、「施設に預けるのは、お母さんがかわいそう」という斎藤さんの言葉ですべてがストップし、もはや打つ手はないかと思われたのだが――。
前編はこちら

介護離職寸前でテレワーク導入に

「私の部のトップ、それから人事にも相談していたんですが、彼女の休みがもうこれ以上取れないというギリギリのところで、テレワークを実験的に導入することが決まったんです」

 もちろん、斎藤さん一人のためというわけではなく、働き方改革の一環として会社がテレワークを検討していたところに、介護離職寸前となった斎藤さんの処遇問題が起こり、実験的に斎藤さんにやってもらえばいいのではないかということで話がまとまったというのだ。

「本当のところ、彼女の業務内容はテレワークになじむものではなかったんですが、逆にテレワークでできる業務を彼女に担当してもらうという、コペルニクス的転回を図ったということなんです。これには私もうなりました。ここまでやるかと、自社を見直しました。我々も若いころは、時間外労働月200時間とかいう無茶苦茶なことをしたものですが、これも時代なんですかねぇ」

 なんともうらやましい話ではないか。正木さんの言葉どおり、ここまでやるかというほどの厚遇ぶりに、「寄らば大樹の陰」ということわざを実感した。これだから、大企業信仰はなくならないのだ。

 ともかく、こうして斎藤さんは週の半分はテレワークを利用することになり、会社と首の皮一枚でつながっていた状況を脱した。

「母が亡くなりました」――正直、ホッとした

 それでも、テレワークだから仕事をしなくて済むというわけではない。通勤時間がかからなくなったということに過ぎない。あとは斎藤さんが会社の厚意にこたえられるか、ということだけが問題だった。

 正木さんは、同じように介護をしている社員や育児中の社員など後に続く社員のためにも、斎藤さんがテレワークを成功させることができるように監督しながらフォローもしていこうと考えていた。その矢先、斎藤さんから連絡が来た。

 「母が亡くなりました」と――。

 「これまで本当にご心配をおかけしました。正木さんはじめ、皆さんには感謝しています」と、電話口で斎藤さんは続けた。前編冒頭の「正直、ホッとした」というのは、正木さんの偽らざる気持ちだ。斎藤さんは、もちろん力を落としてはいたようだが、思ったより元気そうな声だったという。

 これまで、何年も正木さんの提案やアドバイスに、グズグズとはっきりしない態度を取り続けた斎藤さんとは別人のように、モヤが晴れてすっきりしたように思えた、と正木さんはいう。

「もちろんお母さんが亡くなったのは残念なことです。それでも、最期まで自宅でお母さんを看取ることができたという満足感があるのだろうと思いました。もし、これが彼女が望んでいなかった『施設での死』ということだったら、こんなにすっきりはしていなかったんじゃないかとも思いました」

 斎藤さんによかれと思って、施設に入れることを強く勧めてきたけれど、それは間違いだったのではないか――正木さんは、そうも感じている。

 介護施設を運営するある医師は、たくさんの看取りをしてきて、「人は、その最期のときを自分で選ぶ」と確信したという。

 筆者は、はじめその言葉を聞いたとき「そんなわけないだろう」と思ったが、いくつかの親しい人たちとの別れを経て、その医師の言葉を実感するようになった。

 最期の瞬間に立ち会えなくて、今も後悔している別れも、この世を去る人がそれを選んだ――そう思うと、心が軽くなる。

 斎藤さんの母親も、「これまでありがとう。この辺で、行くわね」と斎藤さんに言うように旅立った。そんな気がしてならない。長いトンネルでも、介護には必ず終わりが来る。

 「これで、彼女もようやく“普通の生活”ができる」。正木さんは肩の荷を下ろした。

 だが、斎藤さんには別世帯で暮らす父親とウツで働けない弟が残されている。これから、斎藤さんはどんな生活を選ぶのだろう。

【老いゆく親と向き合う】シリーズ

父は被害者なのに――老人ホーム、認知症の入居者とのトラブル
・父の遺産は1円ももらっていないのに――仲睦まじい姉妹の本音
明るく聡明な母で尊敬していたが――「せん妄」で知った母の本心
認知症の母は壊れてなんかいない。本質があらわになっただけ

【介護をめぐる親子・家族模様】シリーズ

ワークマン、作業着チェーン店が躍進したワケーー「イージス」「靴」「パーカー」専門家を唸らせる3商品とは?

――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!

 大量閉店や大量リストラ、老舗企業の経営破綻など暗いニュースが多い現在の衣料品業界において、「ワークマン」の躍進は数少ない明るい話題の1つです。ワーキングユニフォーム専門のチェーン店だったワークマンが一躍注目を浴びたきっかけは、数年前に透湿防水ジャケット「イージス」がSNS上で話題となったことにありました。

 低価格である上に、しっかりとした防水透湿機能が備わっていて、さらにデザインもワーキングユニフォームっぽくないことからデイリーカジュアルとしても使えるため、急速に支持者が増えました。

 この「イージス」を始まりとして、ワークマンの商品は全てが「低価格高機能」であることが世間に浸透し、一躍人気店になったのです。

 ワークマンは、どうして低価格高機能商品を揃え続けられているのでしょうか。それはずばり「ワーキングユニフォーム販売店」だから。作業着やワーキングユニフォームを着用する肉体労働者は、夏は暑く、冬は寒い中で作業をしなくてはなりません。また風の強い日や雨の降る日にも外で働かなければいけないのです。こうした過酷な自然環境下でも、肉体を傷めず、疲労を蓄積させないために、作業着やワーキングユニフォームには高機能性が求められます。また、オシャレ着ではなく仕事着なので、最初に“一式揃える”ことが必須となり、また作業によって必ず傷むため買い替えの必要もある……そうなると、“安さ”も重要視されるのです。

 この“安さ”について、消費者目線でもう少し言及すると、例えば、自分の趣味で購入を決めるオシャレ着であれば、「3万円のジーンズ」でも「30万円のコート」でも、気に入れば高額品であっても手に取ると思います。しかし、作業着や制服、仕事着に、そこまで出しても構わないと考える人はほとんどいません。ましてや必ず買い替えが生じますから、「安くなくては困る」と言っても過言ではないでしょう。そのため、何もワークマンに限らず、ワーキングユニフォーム業界全体が、何十年も前から「低価格高機能商品」を企画生産し続けてきたわけです。しかし、長らく一般的に話題とならなかったのは、デザインが作業着然としていたから。いくら安くて機能性が高くても、デイリーカジュアルとして着用するには無理がありました。

 それが近年、ワーキング各社の商品のデザイン性がマシになってきたのです。完全にとは言いませんが、デイリーカジュアルブランドと遜色のない商品が増えました。その中で、ワークマンが最も注目されたのは、全国800店舗以上の店舗数(大部分はフランチャイズ店ですが)があり、各地方で認知度が高かったこと、以前から歌手の吉幾三さんを起用したり、近年では有名ダンサーが作業着でブレイクダンスを披露するといったテレビCMを積極的に流し、販促に力を入れていたことが大きな理由だと考えられます。

 なお、一般的にはワークマンが話題ですが、ワーキング業界では、バートルというメーカーが急速に売上高を伸ばしており、来期は売上高100億円を突破する見込みとなっています。社名をクロカメ被服からバートルへと変更し、ファン付き作業服が大当たりしましたが、商品デザインも今風に改めた結果、ワーキング店からの引き合いが増えて売上高を伸ばしているのです。

 また、一方では、カジュアル業界やスポーツ業界が、ワーキング分野へ進出する動きも活発化しています。例えば、アシックスやプーマ、ディアドラなどのスポーツブランドが安全靴を相次いで発売。また、新興ジーンズカジュアルメーカーのブリッツワークスは、オリジナルブランド「ブルーモンスタークロージング(BMC)」をカジュアル店とワーキング店両方に卸していて、取り扱い店舗数は合計で400店に達しています。

 このように、ワーキング業界・分野では、ワークマン躍進以外にも、注目すべき動向が目白押しなのです。

 さて、そんなワークマンの中で個人的に注目しているレディース商品をいくつか取り上げてみます。デイリーカジュアルと遜色ないデザインの商品が増えたとは言え、全てがそうではありませんし、また、メンズ商品の構成比率が高く、レディース比率がまだまだ低いこともあるので、提示する商品は自ずと偏ってしまうことはご承知おきください。

1.レディース撥水マウンテンパーカー

 レディース専用品が少ない中で、デザイン的にデイリーカジュアルに使いやすいことに注目しました。黙って着ていれば、ワークマンの商品だとは誰も気が付かないでしょう。2,900円という安値ですが、ポリエステルの裏地も付けられています。ただ一点気をつけてほしいのは、機能性の部分。この商品には、撥水加工が施されていますが、あくまでも水を弾く加工であって、完全に水の侵入を防ぐ防水機能はありません。そのため、激しい雨の中だと、水が浸入してしまうので、そのあたりはお間違えのないように。

2.Wクッション キャンバスシューズ

  機能性で特筆すべきところは「クッション性」くらいしかありませんが、コンバースオールスターやジャックパーセルのようなテイストのベーシックなキャンバス地スニーカーで、使い勝手が抜群、加えて980円という安さにより、大人気商品となっています。ユニセックス商品ではあるものの、特にベージュがレディースに大好評で、25センチまでの小さいサイズに売り切れが多く出ています。無印良品のキャンバススニーカーよりも2,000円近く安いというコスパの良さが特徴です。

3.防寒レインジャケットPERFECT

 ワークマンが注目されるきっかけとなった防水透湿の「イージス」シリーズの中でも、特に、3,900円というコスパに優れている点に注目しました。防寒対応のため、裏にフリースが貼られていて、この値段。ほかのイージスシリーズよりも1,000~3,000円も安く価格設定されています。それでいて、耐水圧10000mm、透湿度8000g/m2/24hという優れた防水透湿機能が備わっているのです。全部で6色展開、黒かネイビーを選べば、どこのブランドなのかまったくわからないベーシックなデザインも、またグッドでしょう。

 今挙げた3点以外にも「これはカジュアルに使える」という商品はありますが、逆にやっぱり作業着然とした商品も数多くあります。ワークマンをカジュアル使いするなら、デザインやサイズもよく吟味する必要があると言えるでしょう。一歩間違えてしまうと、休憩中の作業現場の人みたいに見えてしまいますよ。
(南充浩)

【米エンタメ2019年総決算】カニエ「宗教に傾倒」、カーダシアン家「コントロール不能」、ビヨンセは「優等生すぎ」!?【渡辺志保×辰巳JUNK(上)】

 1月3日に米ケーブル局「Lifetime」がR&B歌手R・ケリーの性的虐待告発ドキュメンタリー『Surviving R.Kelly(R・ケリーからの生還)』を放送するという衝撃的な出来事から始まった、2019年の米ショービス界。#Me Too以降は性暴力根絶、有害な男らしさへの警鐘といった機運が高まっており、さらには多様性ある社会を目指すためのポリティカル・コレクトネスが作品はもちろんアーティスト自身にも求められるなど、業界そのものの価値観が大きく変わろうとしている。

 そこで、ブラックミュージックやヒップホップに詳しいライターの渡辺志保さんと、ゴシップとカルチャーの両視点からショービズ界に斬り込むライター辰巳JUNKさんに、19年に起こったトピックを振り返りつつ、来年以降の動向を占ってもらった。

――今年も本当にいろんなことが起こりましたが、気になる出来事はありましたか?

渡辺志保さん(以下、渡辺) 例年に続き、個人的には今年もカニエ・ウェスト、キム・カーダシアン夫妻が気になっていました。1月にはカニエがサンデーサービス(※1)をスタートしたんですよ。最初はキムのインスタグラム・ストーリーでちょっと見られるぐらいだったのですが、徐々に参加していたミュージシャンもインスタに上げ始めて、「なんだこれ?」と広まっていったんです。4月に行われたアメリカ最大の音楽フェス「コーチェラフェスティバル」でも、出張版サンデーサービスを催して。もともとカニエは、今年のコーチェラにヘッドライナーとして出演する予定だったんですけど、ステージじゃなくてドームを作りたいと言いだしたんです。主催者側が「立地的に無理」と言ったら、「じゃあもう出ません」ということで、いったんは出演がキャンセルになった。結局メイン会場から離れた原っぱみたいなところを使い、かなりイレギュラーな形でサンデーサービスを持っていった。その際に、サンデーサービスが初めて世界中に生中継されて、その全容が明らかになったんです。そのぐらい、今年は宗教色の濃い活動が盛んでしたね。

 10月25日にアルバム『JESUS IS KING』を発売したんですが、制作期間中はスタッフに婚前交渉を禁止するとか、自分のアルバムでは下品な言葉は絶対使わないとか、そこまで徹底していたみたいで、もともと作っていた別のアルバムはお蔵入りになった。個人的に、いちファンとしてはカニエと周波数を合わせるのがちょっと大変な1年でした。

辰巳JUNKさん(以下、辰巳) だって1年ぐらい前は「妻の姉妹全員とヤリたい」みたいな下品な曲(「XTCY」)を作ってましたよね。

渡辺 そう。去年9月には米最大級のポルノサイト「Pornhub」の「Pornhub Awards」に、カニエのクロージングライン「イージー」からポルノ女優用の衣装を提供していたんですよ。しかも、ちゃんと特別に誂えた素敵な衣装で、おっぱいバーンって出てるみたいな。それ用に「I Love It」という曲を作ったり、そのリリックも「おまえは本当になんてヤリマンなんだ」といった歌詞で身もふたもない感じだったんですけど……。

――そこまで方向転換して、ファンはついていけてるんですか?

辰巳 あんまりついてきてない。

渡辺 でも『JESUS IS KING』はビルボードで1位になっていて、同時にクリスチャン・ミュージック部門でも1位を獲っているんです。賛否両論ある感じで、アルバムに対するレヴューも真っ二つに分かれているという印象です。

辰巳 サンデーサービスは、ブラッド・ピットらハリウッドセレブも参加してますよね。その流れのもとにありそうな存在が、ジャスティン・ビーバーやセレーナ・ゴメスらが通っていた「ヒルソング教会」。サンデーサービスと同じように音楽をメインとした礼拝なんですけれど。ニック・ジョナスも通っているし、キムエ夫妻(キム・カーダシアンとカニエ)の結婚式もヒルソングと近しい牧師に来てもらってました。カーダシアン姉妹の中では、コートニーが一番熱心に通っていました。一時期、ジャスティンがコートニーとウワサされたのは、同じ教会に通う信者だからかも。当時のジャスティンはセレーナ、いま妻となったヘイリー、コートニーら、信者仲間とばっかりウワサが出ている。Twitterを見ていておもしろいなと思ったのは、「『JESUS IS KING』を聞いて、ヒルソングからカニエ教会に移るセレブは多そう」という内容のツイートです。

※1 一般的な日曜礼拝とは異なり、牧師による説法ではなく、ゴスペルなどのパフォーマンスがメイン。もともとは一部の人しか参加できないクローズドな形だったが、回を重ねるごとに規模が大きくなり、最近では多くのセレブも参加している

――今年、こんなにもカニエの活動に宗教色が強くなった原因というのは?

渡辺 カニエは16年の8月から『ザ・セイント・パブロ・ツアー』と題したツアーで全米を回ってたんですが、12月に途中で切り上げて、精神疾患が原因で入院した。それも本人の意思にそぐわない形で入院し、治療の際にオピオイド(※2)が使われたそうで。それでカニエは「病院側にオピオイド中毒にされちまった」と歌の中でも言うようになった。加えて、昨年リリースされたアルバム『ye』ではかねてから患っていた双極性障害のことや自殺願望があったとくみ取れるようなことも歌うように。さらに10年以上前になりますが、07年には最愛の母親であるドンダを亡くし、かつ彼女の死に目にも会えなかった。なので、常に喪失感や虚無感、焦燥感といったものに襲われてたのかなと。そこで自分が信頼できる牧師に出会い、大きく宗教的なほうに傾いていったのではないかというのが、私の個人的な推察です。でも今、アメリカの若いアーティストはメンタルヘルスについてラップしたり、自殺問題を扱うドラマ作品が増えたりという状況下ですから、もしかすると宗教は次のトレンドになるんですかね?

辰巳 「ニューヨーク・タイムズ」によると、北米の若者は信仰心が薄くなってるらしいです。それなのに、一般的に保守的とされる福音派寄りのヒルソング教会がリベラル都市の若者に受けたから驚かれている。実際に教会に行った人に聞くと、すごく楽しいらしいんですよ。サンデーサービスと一緒で、厳粛な雰囲気というより、コンサート、フェスみたいな。だからカニエが新しい形のヤング受け教会っぽいものを始めたというのは確かにそうなんですけど、その前にはヒルソング・ブームがある。もともとあそこの牧師はロックスターみたいな感じで、サンローランの30万円のジャケットとか着てる。諸説ありますが、「金を稼いでもいい」的なビジネスマンを祝福する教えのようなので、セレブと相性がいいですよ。

渡辺 カニエって、お金を稼ぐことに対してはやっぱり貪欲なんですよね。ちゃんと金も稼ぎつつ、自分の教えや自分の愛をみんなに広めたいという姿勢がカニエなので、ヒルソングと共鳴することがあるのかも。

――今年の前半、ジャスティンも宗教的な言動が多かったですが、カニエほどの影響力はなかったように思います。その差はなんだと思いますか?

辰巳  いや、でも影響力ありますよ。だってヒルソングで飛び込みライブとかするんですもん。本気で追いかけるようなファンじゃなくても、Twitterを見ていて歩いて5分ぐらいの教会にジャスティンが来てると知ったら、とりあえず行く人は絶対いるじゃないですか。

渡辺 カニエはやり方が派手だし、賛否の「否」も多いから目立ってしまうんじゃないですかね。あと、もともと最近のカニエは「黒人性が薄い」というふうに皮肉っぽく言われることもあって、サンデーサービスも最初、ロサンゼルスのカラバサスだけで開催していたんです。カラバサスって、日本でいうと田園調布の奥の奥みたいな、一般市民が入れないくらいの高級住宅地なんですよ。だから、貧困や自分たちの置かれた環境の苦しさから、心の拠り所として宗教を信仰しているような、本来カニエが自分のコミュニティとしていてもおかしくないような一般的なアフリカン・アメリカンの人々が育ったコミュニティと全く真逆のところで、自分の宗教的イベントをスタートさせてるのはすごく皮肉だと思ったし、今のカニエっぽいなと同時に思いましたね。たぶん、ジャスティンは逆で、元の彼のイメージと信仰のイメージが乖離していないのかなとも思う。何不自由ない家庭で育てられた、みたいな。

辰巳 でもジャスティンのお母さんは、もともと福音派の信者なんですよ。シングルマザーで、そんなに裕福でもない。ジャスティンを妊娠したときはドラッグ中毒にも苦しんでいて、中絶も考えたけど、やっぱり産もうと。それで今は中絶禁止運動をしています。

渡辺 そうなんですね。今年は中絶禁止法がジョージア州やアラバマ州などで次々可決されたじゃないですか(※3)。福音派は、基本的には中絶禁止ですよね。アラバマで中絶禁止法が可決されたときに、若い男性ラッパーたちがSNSで反対の姿勢を示したんです。ジョージア州のときも、ミーゴスのオフセットが「これは現代の奴隷法と一緒」とツイートしていました。今後どんどんカニエが福音派に寄っていくことがあれば、そこでまた思想の対立が浮き彫りになってくるのかなと。と言いつつ、カニエは本当に言うことがコロコロ変わるので。そこが前提としてあるので、彼の今後を占うのは、非常に難しいんですが。

※2 麻薬性鎮痛薬。アメリカでは多くの依存症患者を生み出したことで社会問題になっており、2018年は1日に100人を超える人がオピオイドの過剰摂取で亡くなったとも報じられている
※3 今年に入って、アラバマ州やミズーリ州など9つの州で、中絶を禁止したり、制限をかけたりするような法案が次々と成立。性暴力による妊娠も例外としないなど厳しい規定を掲げる州もあり、多くの市民から反発が相次いだ。背景には、福音派を中心とする宗教保守の存在と、彼らの票を取り込みたいトランプ大統領の思惑の一致があるともいわれている

――一方、カニエの妻であるキム・カーダシアンは実業家としてはもちろん、近年、罪状に対して量刑の重い囚人の減刑を訴える活動家としても動いています。また今年は、司法試験受験資格の取得を公言しました。この動きはどう見ていますか?

渡辺 いつまでたってもお騒がせセレブ路線は厳しいというのはあるんじゃないですか。

辰巳 話題になった補正下着ブランド「SKIMS」は今までの商品と違って、多様性路線の広告を出しています。やっぱり世論的にも、ヴィクトリアズ・シークレット(※4)は「時代遅れなんじゃ?」といった感じなので、彼女は既存路線が社会的にシビアになってきたという時流を読んでいると思います。

渡辺 カーダシアン家のリアリティショー『カーダシアン家のお騒がせセレブライフ』を見ていても、台本通りにいかない現実がどんどん浮き彫りになっているように感じます。例えば、長女コートニーは、スコット・ディシックという恋人と、彼との間に生まれた子ども3人を抱えているのが番組の“テンプレ”だったんですが、この2人が別れちゃって。その後、スコットが義妹ケンダル・ジェンナーと仲の良いモデルと付き合いだしたり。今年でいえば、妹カイリーの親友ジョーディン・ウッズと、クロエの内縁の夫で娘のパパであるトリスタン・トンプソンの浮気疑惑というすごいゴシップもありました。しかもクロエが妊娠9カ月のときもトリスタンは浮気をしていて、子どもを産めば夫婦関係が落ち着くと思いきや、すぐジョーディンとの浮気が浮上。

 こうして、番組を仕切っている母クリスの想像を超える、ネガティブなリアルの部分が明るみになってきた。これまでテレビ的においしいと思ったら妊娠中の娘たちを常にカメラに追わせてきたんですが、昨年、カイリーが妊娠・出産したときは例外で、産むまで全く公表しなかった。この3~4年、みんなが面白がるようなお騒がせセレブリティ一家という枠には収まりきらなくなってしまっていると思います。姉妹5人がそれぞれにアイデンティティや、本当にやりたいことを考え始めているのかも。

辰巳 もともと剛腕なクリスお母さんの指揮のもと始まったリアリティショーで、娘たちは若かったこともあって、結構やらされてた仕事もあったんじゃないかと思います。特にジェンナー姉妹は、幼いころから自宅でカメラが回っているわけじゃないですか。クリスは常に生き生きしてるけど、カーダシアン姉妹はパリス・ヒルトンほど「カメラのフラッシュが大好き」ではなさそうだし。あと、キムはパリの強盗事件(※5)の影響が結構大きかったと思います。犯人は、キムのSNSの投稿を見て、居場所を特定したと言ってるので。それ以降は、きらびやかでゴージャスな私生活というのは前面に出していないし。

渡辺 私はキムの弁護士を目指すという動きは、非常にすばらしいなと思っています。40手前で、子どもを4人抱えて。キムが弁護士になったら、カニエがかねてから公言している2024年の大統領選出馬にも大きな支えになるのかな。

※4 アメリカ最大手のランジェリーブランド。世界的スーパーモデルがランウェイを練り歩く毎年恒例のファッションショーは、女性たちの羨望を集めていた。しかし、昨年同社の幹部がプラスサイズモデルやトランスジェンダーモデルは起用しないと明言。時代に逆行するような発言と同社の世界観は、性差別・多様性の欠如と非難されるようになり、徐々に売り上げにも影響が表れた。今年はショーを中止することが発表されている
※5 2016年10月、ファッションウィークのためにパリの高級プレジデンスに滞在していたキム・カーダシアンのもとに、警察官を装った5人組が押し入り、総額10億円ともいわれる宝石が盗まれた。キムは被害に遭う前に、SNSで巨大ダイヤがあしらわれた指輪やパリでの様子を投稿しており、犯人たちはこれを見て犯行を計画したという

――キムエ夫妻とは、夫同士は師弟関係にありながら、妻たちは性格も価値観もまったく合わなそうなジェイ・Z&ビヨンセ夫妻の今年はいかがでしょうか?

渡辺 昨年は2人でアルバムもリリースしていたけど、今年はあんまり夫妻としての印象がないかも。ビヨンセは映画『ライオン・キング』の声優を務め、同作に絡めたアルバムを作ってそこにジェイが1曲参加していましたけど。

――ビヨンセが双子を生んでから体形をコントロールできずに、なかなか表に出てこないという見方もあります。

辰巳 基本、あんまり出てこないじゃないですか。インタビューも媒体を絞っているし、例えば米「VOGUE」に出ても、自分で編集している。だけど『ライオン・キング』関連ではめちゃくちゃインタビューを受けていて、ディズニーパワーは半端ねぇなって思いました。

渡辺 本当、ディズニーパワー半端ないですよね。ビヨンセが声優を務めて、なおかつ彼女は、レーベル面ではソニー所属なのですが、ディズニーとソニーが組んでビヨンセのアルバム『ライオン・キング:ザ・ギフト』を発表した。一方で、『ライオン・キング』本編のサウンドトラックをまとめているのが、ファレル・ウィリアムズなんですね。なので、ビヨンセ、ジェイ・Z、そしてファレルのヒップホップ優等生三つ巴感が半端ないなと思って。こういう人たちが業界を牛耳っていくんだなと思いました。

 大企業と組んで自分の作品をすごくまっとうな形で出すというのもカニエとは正反対だし、ビヨンセには絶対ジェイが関わっているから、ジェイの抜け目なさもすごく感じた。『ザ・ギフト』は、本当にバランスがいいんですよね。今のアフリカで活躍しているアーティストたちを多くフィーチャーして、アルバムをまとめ上げた。そこに加えてジェイもいるし、ケンドリック・ラマーもいるし、同じく声優を務めたチャイルディッシュ・ガンビーノもいるし、百点満点! 今年もすごい優等生チックな動きだったかなと。

辰巳 今の時代に優等生といわれるのは、安心感というかレア感もありますよね。

渡辺 そうそう。今、一世代後の若いアーティストって――例えばリゾやビリー・アイリッシュもそうですが――既存のスタンダードじゃなくて、「どこかいびつでも、私はこうよ」って常識を打ち破っていくことが求められていると思うんですよ。ビヨンセは圧倒的な牽引力があるんだけど、優等生的な完璧主義者でもある。なので、どのようにして彼女が次世代にバトンを渡す時が来るのか、ちょっと気になります。 

 今年ネットフリックスで配信されて大きな話題となった『HOMECOMING: ビヨンセ・ライブ作品』(※6)も本当に素晴らしい作品で、ここでひとつ、彼女は自分のルーツのことも描いて、アーティストとして表現しきったっていうのはあると思う。だから次のビヨンセがどういう手を打ってくるのか、めちゃめちゃ気になっています。そうこうしている間に、例えばリアーナはビューティーやメゾンブランドを始めて大成功している。ビヨンセも10年くらい前にファッションブランドを立ち上げたけど、すぐ畳んだんですよ。だから、彼女たちが今の後輩たちをどう見ているのかも、すごく気になる。ただアイコンとしては不動の地位を築いているアーティストなので、ここから人気がガタ落ちするとか、変なアルバムを作って叩かれるとか、そういったことは絶対ない。どういう動きをするのか、そこに興味が集まっています。

(第2回に続く)

※6 2018年のコーチェラのヘッドライナーを務めるまでの彼女と、実際のステージを映し出したドキュメンタリー映画。前年の双子の妊娠・出産、産後の体形変化、黒人であることについて話す貴重な映像となっている

【米エンタメ2019年総決算】カニエ「宗教に傾倒」、カーダシアン家「コントロール不能」、ビヨンセは「優等生すぎ」!?【渡辺志保×辰巳JUNK(上)】

 1月3日に米ケーブル局「Lifetime」がR&B歌手R・ケリーの性的虐待告発ドキュメンタリー『Surviving R.Kelly(R・ケリーからの生還)』を放送するという衝撃的な出来事から始まった、2019年の米ショービス界。#Me Too以降は性暴力根絶、有害な男らしさへの警鐘といった機運が高まっており、さらには多様性ある社会を目指すためのポリティカル・コレクトネスが作品はもちろんアーティスト自身にも求められるなど、業界そのものの価値観が大きく変わろうとしている。

 そこで、ブラックミュージックやヒップホップに詳しいライターの渡辺志保さんと、ゴシップとカルチャーの両視点からショービズ界に斬り込むライター辰巳JUNKさんに、19年に起こったトピックを振り返りつつ、来年以降の動向を占ってもらった。

――今年も本当にいろんなことが起こりましたが、気になる出来事はありましたか?

渡辺志保さん(以下、渡辺) 例年に続き、個人的には今年もカニエ・ウェスト、キム・カーダシアン夫妻が気になっていました。1月にはカニエがサンデーサービス(※1)をスタートしたんですよ。最初はキムのインスタグラム・ストーリーでちょっと見られるぐらいだったのですが、徐々に参加していたミュージシャンもインスタに上げ始めて、「なんだこれ?」と広まっていったんです。4月に行われたアメリカ最大の音楽フェス「コーチェラフェスティバル」でも、出張版サンデーサービスを催して。もともとカニエは、今年のコーチェラにヘッドライナーとして出演する予定だったんですけど、ステージじゃなくてドームを作りたいと言いだしたんです。主催者側が「立地的に無理」と言ったら、「じゃあもう出ません」ということで、いったんは出演がキャンセルになった。結局メイン会場から離れた原っぱみたいなところを使い、かなりイレギュラーな形でサンデーサービスを持っていった。その際に、サンデーサービスが初めて世界中に生中継されて、その全容が明らかになったんです。そのぐらい、今年は宗教色の濃い活動が盛んでしたね。

 10月25日にアルバム『JESUS IS KING』を発売したんですが、制作期間中はスタッフに婚前交渉を禁止するとか、自分のアルバムでは下品な言葉は絶対使わないとか、そこまで徹底していたみたいで、もともと作っていた別のアルバムはお蔵入りになった。個人的に、いちファンとしてはカニエと周波数を合わせるのがちょっと大変な1年でした。

辰巳JUNKさん(以下、辰巳) だって1年ぐらい前は「妻の姉妹全員とヤリたい」みたいな下品な曲(「XTCY」)を作ってましたよね。

渡辺 そう。去年9月には米最大級のポルノサイト「Pornhub」の「Pornhub Awards」に、カニエのクロージングライン「イージー」からポルノ女優用の衣装を提供していたんですよ。しかも、ちゃんと特別に誂えた素敵な衣装で、おっぱいバーンって出てるみたいな。それ用に「I Love It」という曲を作ったり、そのリリックも「おまえは本当になんてヤリマンなんだ」といった歌詞で身もふたもない感じだったんですけど……。

――そこまで方向転換して、ファンはついていけてるんですか?

辰巳 あんまりついてきてない。

渡辺 でも『JESUS IS KING』はビルボードで1位になっていて、同時にクリスチャン・ミュージック部門でも1位を獲っているんです。賛否両論ある感じで、アルバムに対するレヴューも真っ二つに分かれているという印象です。

辰巳 サンデーサービスは、ブラッド・ピットらハリウッドセレブも参加してますよね。その流れのもとにありそうな存在が、ジャスティン・ビーバーやセレーナ・ゴメスらが通っていた「ヒルソング教会」。サンデーサービスと同じように音楽をメインとした礼拝なんですけれど。ニック・ジョナスも通っているし、キムエ夫妻(キム・カーダシアンとカニエ)の結婚式もヒルソングと近しい牧師に来てもらってました。カーダシアン姉妹の中では、コートニーが一番熱心に通っていました。一時期、ジャスティンがコートニーとウワサされたのは、同じ教会に通う信者だからかも。当時のジャスティンはセレーナ、いま妻となったヘイリー、コートニーら、信者仲間とばっかりウワサが出ている。Twitterを見ていておもしろいなと思ったのは、「『JESUS IS KING』を聞いて、ヒルソングからカニエ教会に移るセレブは多そう」という内容のツイートです。

※1 一般的な日曜礼拝とは異なり、牧師による説法ではなく、ゴスペルなどのパフォーマンスがメイン。もともとは一部の人しか参加できないクローズドな形だったが、回を重ねるごとに規模が大きくなり、最近では多くのセレブも参加している

――今年、こんなにもカニエの活動に宗教色が強くなった原因というのは?

渡辺 カニエは16年の8月から『ザ・セイント・パブロ・ツアー』と題したツアーで全米を回ってたんですが、12月に途中で切り上げて、精神疾患が原因で入院した。それも本人の意思にそぐわない形で入院し、治療の際にオピオイド(※2)が使われたそうで。それでカニエは「病院側にオピオイド中毒にされちまった」と歌の中でも言うようになった。加えて、昨年リリースされたアルバム『ye』ではかねてから患っていた双極性障害のことや自殺願望があったとくみ取れるようなことも歌うように。さらに10年以上前になりますが、07年には最愛の母親であるドンダを亡くし、かつ彼女の死に目にも会えなかった。なので、常に喪失感や虚無感、焦燥感といったものに襲われてたのかなと。そこで自分が信頼できる牧師に出会い、大きく宗教的なほうに傾いていったのではないかというのが、私の個人的な推察です。でも今、アメリカの若いアーティストはメンタルヘルスについてラップしたり、自殺問題を扱うドラマ作品が増えたりという状況下ですから、もしかすると宗教は次のトレンドになるんですかね?

辰巳 「ニューヨーク・タイムズ」によると、北米の若者は信仰心が薄くなってるらしいです。それなのに、一般的に保守的とされる福音派寄りのヒルソング教会がリベラル都市の若者に受けたから驚かれている。実際に教会に行った人に聞くと、すごく楽しいらしいんですよ。サンデーサービスと一緒で、厳粛な雰囲気というより、コンサート、フェスみたいな。だからカニエが新しい形のヤング受け教会っぽいものを始めたというのは確かにそうなんですけど、その前にはヒルソング・ブームがある。もともとあそこの牧師はロックスターみたいな感じで、サンローランの30万円のジャケットとか着てる。諸説ありますが、「金を稼いでもいい」的なビジネスマンを祝福する教えのようなので、セレブと相性がいいですよ。

渡辺 カニエって、お金を稼ぐことに対してはやっぱり貪欲なんですよね。ちゃんと金も稼ぎつつ、自分の教えや自分の愛をみんなに広めたいという姿勢がカニエなので、ヒルソングと共鳴することがあるのかも。

――今年の前半、ジャスティンも宗教的な言動が多かったですが、カニエほどの影響力はなかったように思います。その差はなんだと思いますか?

辰巳  いや、でも影響力ありますよ。だってヒルソングで飛び込みライブとかするんですもん。本気で追いかけるようなファンじゃなくても、Twitterを見ていて歩いて5分ぐらいの教会にジャスティンが来てると知ったら、とりあえず行く人は絶対いるじゃないですか。

渡辺 カニエはやり方が派手だし、賛否の「否」も多いから目立ってしまうんじゃないですかね。あと、もともと最近のカニエは「黒人性が薄い」というふうに皮肉っぽく言われることもあって、サンデーサービスも最初、ロサンゼルスのカラバサスだけで開催していたんです。カラバサスって、日本でいうと田園調布の奥の奥みたいな、一般市民が入れないくらいの高級住宅地なんですよ。だから、貧困や自分たちの置かれた環境の苦しさから、心の拠り所として宗教を信仰しているような、本来カニエが自分のコミュニティとしていてもおかしくないような一般的なアフリカン・アメリカンの人々が育ったコミュニティと全く真逆のところで、自分の宗教的イベントをスタートさせてるのはすごく皮肉だと思ったし、今のカニエっぽいなと同時に思いましたね。たぶん、ジャスティンは逆で、元の彼のイメージと信仰のイメージが乖離していないのかなとも思う。何不自由ない家庭で育てられた、みたいな。

辰巳 でもジャスティンのお母さんは、もともと福音派の信者なんですよ。シングルマザーで、そんなに裕福でもない。ジャスティンを妊娠したときはドラッグ中毒にも苦しんでいて、中絶も考えたけど、やっぱり産もうと。それで今は中絶禁止運動をしています。

渡辺 そうなんですね。今年は中絶禁止法がジョージア州やアラバマ州などで次々可決されたじゃないですか(※3)。福音派は、基本的には中絶禁止ですよね。アラバマで中絶禁止法が可決されたときに、若い男性ラッパーたちがSNSで反対の姿勢を示したんです。ジョージア州のときも、ミーゴスのオフセットが「これは現代の奴隷法と一緒」とツイートしていました。今後どんどんカニエが福音派に寄っていくことがあれば、そこでまた思想の対立が浮き彫りになってくるのかなと。と言いつつ、カニエは本当に言うことがコロコロ変わるので。そこが前提としてあるので、彼の今後を占うのは、非常に難しいんですが。

※2 麻薬性鎮痛薬。アメリカでは多くの依存症患者を生み出したことで社会問題になっており、2018年は1日に100人を超える人がオピオイドの過剰摂取で亡くなったとも報じられている
※3 今年に入って、アラバマ州やミズーリ州など9つの州で、中絶を禁止したり、制限をかけたりするような法案が次々と成立。性暴力による妊娠も例外としないなど厳しい規定を掲げる州もあり、多くの市民から反発が相次いだ。背景には、福音派を中心とする宗教保守の存在と、彼らの票を取り込みたいトランプ大統領の思惑の一致があるともいわれている

――一方、カニエの妻であるキム・カーダシアンは実業家としてはもちろん、近年、罪状に対して量刑の重い囚人の減刑を訴える活動家としても動いています。また今年は、司法試験受験資格の取得を公言しました。この動きはどう見ていますか?

渡辺 いつまでたってもお騒がせセレブ路線は厳しいというのはあるんじゃないですか。

辰巳 話題になった補正下着ブランド「SKIMS」は今までの商品と違って、多様性路線の広告を出しています。やっぱり世論的にも、ヴィクトリアズ・シークレット(※4)は「時代遅れなんじゃ?」といった感じなので、彼女は既存路線が社会的にシビアになってきたという時流を読んでいると思います。

渡辺 カーダシアン家のリアリティショー『カーダシアン家のお騒がせセレブライフ』を見ていても、台本通りにいかない現実がどんどん浮き彫りになっているように感じます。例えば、長女コートニーは、スコット・ディシックという恋人と、彼との間に生まれた子ども3人を抱えているのが番組の“テンプレ”だったんですが、この2人が別れちゃって。その後、スコットが義妹ケンダル・ジェンナーと仲の良いモデルと付き合いだしたり。今年でいえば、妹カイリーの親友ジョーディン・ウッズと、クロエの内縁の夫で娘のパパであるトリスタン・トンプソンの浮気疑惑というすごいゴシップもありました。しかもクロエが妊娠9カ月のときもトリスタンは浮気をしていて、子どもを産めば夫婦関係が落ち着くと思いきや、すぐジョーディンとの浮気が浮上。

 こうして、番組を仕切っている母クリスの想像を超える、ネガティブなリアルの部分が明るみになってきた。これまでテレビ的においしいと思ったら妊娠中の娘たちを常にカメラに追わせてきたんですが、昨年、カイリーが妊娠・出産したときは例外で、産むまで全く公表しなかった。この3~4年、みんなが面白がるようなお騒がせセレブリティ一家という枠には収まりきらなくなってしまっていると思います。姉妹5人がそれぞれにアイデンティティや、本当にやりたいことを考え始めているのかも。

辰巳 もともと剛腕なクリスお母さんの指揮のもと始まったリアリティショーで、娘たちは若かったこともあって、結構やらされてた仕事もあったんじゃないかと思います。特にジェンナー姉妹は、幼いころから自宅でカメラが回っているわけじゃないですか。クリスは常に生き生きしてるけど、カーダシアン姉妹はパリス・ヒルトンほど「カメラのフラッシュが大好き」ではなさそうだし。あと、キムはパリの強盗事件(※5)の影響が結構大きかったと思います。犯人は、キムのSNSの投稿を見て、居場所を特定したと言ってるので。それ以降は、きらびやかでゴージャスな私生活というのは前面に出していないし。

渡辺 私はキムの弁護士を目指すという動きは、非常にすばらしいなと思っています。40手前で、子どもを4人抱えて。キムが弁護士になったら、カニエがかねてから公言している2024年の大統領選出馬にも大きな支えになるのかな。

※4 アメリカ最大手のランジェリーブランド。世界的スーパーモデルがランウェイを練り歩く毎年恒例のファッションショーは、女性たちの羨望を集めていた。しかし、昨年同社の幹部がプラスサイズモデルやトランスジェンダーモデルは起用しないと明言。時代に逆行するような発言と同社の世界観は、性差別・多様性の欠如と非難されるようになり、徐々に売り上げにも影響が表れた。今年はショーを中止することが発表されている
※5 2016年10月、ファッションウィークのためにパリの高級プレジデンスに滞在していたキム・カーダシアンのもとに、警察官を装った5人組が押し入り、総額10億円ともいわれる宝石が盗まれた。キムは被害に遭う前に、SNSで巨大ダイヤがあしらわれた指輪やパリでの様子を投稿しており、犯人たちはこれを見て犯行を計画したという

――キムエ夫妻とは、夫同士は師弟関係にありながら、妻たちは性格も価値観もまったく合わなそうなジェイ・Z&ビヨンセ夫妻の今年はいかがでしょうか?

渡辺 昨年は2人でアルバムもリリースしていたけど、今年はあんまり夫妻としての印象がないかも。ビヨンセは映画『ライオン・キング』の声優を務め、同作に絡めたアルバムを作ってそこにジェイが1曲参加していましたけど。

――ビヨンセが双子を生んでから体形をコントロールできずに、なかなか表に出てこないという見方もあります。

辰巳 基本、あんまり出てこないじゃないですか。インタビューも媒体を絞っているし、例えば米「VOGUE」に出ても、自分で編集している。だけど『ライオン・キング』関連ではめちゃくちゃインタビューを受けていて、ディズニーパワーは半端ねぇなって思いました。

渡辺 本当、ディズニーパワー半端ないですよね。ビヨンセが声優を務めて、なおかつ彼女は、レーベル面ではソニー所属なのですが、ディズニーとソニーが組んでビヨンセのアルバム『ライオン・キング:ザ・ギフト』を発表した。一方で、『ライオン・キング』本編のサウンドトラックをまとめているのが、ファレル・ウィリアムズなんですね。なので、ビヨンセ、ジェイ・Z、そしてファレルのヒップホップ優等生三つ巴感が半端ないなと思って。こういう人たちが業界を牛耳っていくんだなと思いました。

 大企業と組んで自分の作品をすごくまっとうな形で出すというのもカニエとは正反対だし、ビヨンセには絶対ジェイが関わっているから、ジェイの抜け目なさもすごく感じた。『ザ・ギフト』は、本当にバランスがいいんですよね。今のアフリカで活躍しているアーティストたちを多くフィーチャーして、アルバムをまとめ上げた。そこに加えてジェイもいるし、ケンドリック・ラマーもいるし、同じく声優を務めたチャイルディッシュ・ガンビーノもいるし、百点満点! 今年もすごい優等生チックな動きだったかなと。

辰巳 今の時代に優等生といわれるのは、安心感というかレア感もありますよね。

渡辺 そうそう。今、一世代後の若いアーティストって――例えばリゾやビリー・アイリッシュもそうですが――既存のスタンダードじゃなくて、「どこかいびつでも、私はこうよ」って常識を打ち破っていくことが求められていると思うんですよ。ビヨンセは圧倒的な牽引力があるんだけど、優等生的な完璧主義者でもある。なので、どのようにして彼女が次世代にバトンを渡す時が来るのか、ちょっと気になります。 

 今年ネットフリックスで配信されて大きな話題となった『HOMECOMING: ビヨンセ・ライブ作品』(※6)も本当に素晴らしい作品で、ここでひとつ、彼女は自分のルーツのことも描いて、アーティストとして表現しきったっていうのはあると思う。だから次のビヨンセがどういう手を打ってくるのか、めちゃめちゃ気になっています。そうこうしている間に、例えばリアーナはビューティーやメゾンブランドを始めて大成功している。ビヨンセも10年くらい前にファッションブランドを立ち上げたけど、すぐ畳んだんですよ。だから、彼女たちが今の後輩たちをどう見ているのかも、すごく気になる。ただアイコンとしては不動の地位を築いているアーティストなので、ここから人気がガタ落ちするとか、変なアルバムを作って叩かれるとか、そういったことは絶対ない。どういう動きをするのか、そこに興味が集まっています。

(第2回に続く)

※6 2018年のコーチェラのヘッドライナーを務めるまでの彼女と、実際のステージを映し出したドキュメンタリー映画。前年の双子の妊娠・出産、産後の体形変化、黒人であることについて話す貴重な映像となっている

アラサー独女、5つの罪で逮捕――裁判で明らかになった「移住した離島の特殊な環境」とは

 殺人、暴行、わいせつ、薬物、窃盗……毎日毎日、事件がセンセーショナルに報じられる中、大きな話題になるわけでもなく、犯した罪をひっそりと裁かれていく人たちがいます。彼らは一体、どうして罪を犯してしまったのか。これからの生活で、どうやって罪を償っていくのか。傍聴席に座り、静かに(時に荒々しく)語られる被告の言葉に耳を傾けると、“人生”という名のドラマが見えてきます――。

【#005号法廷】

罪状:道路交通法違反、有印私文書偽造、同行使、私印偽造、同使用
被告人:S子(27歳)

 東京都下の離島で生活する被告人・S子は、2018年10月、居酒屋から原動機付自転車を運転して自宅に向かっていたところ、検問で止められてしまいます。S子は無免許&酒気帯びだったため、警察官が事情聴取。その際、「酒酔い・酒気帯び鑑識カード」と供述調書に、偽名(姉の名前)を署名してしまったことが判明し、後に逮捕となりました。いつになく罪状が多いですが、すべて一度に犯した罪でした。

 海に魅せられ、海のそばで働くため、17年春に東京23区から離島に単身で移り住んだS子。調べてみたら、その島は住民が4ケタしかいませんでした。裁判長に「なぜやってしまったか」と尋ねられたS子が、「離島という特殊な環境に甘えてしまった」と話していたのが印象に残っています。

 離島で原付を運転するようになったのは、18年1月頃からだったそうで、それまでは徒歩か自転車で移動していたとのこと。一応、公共のバスも動いているようですが、平日も休日も1時間に1本、午後7時前には運行が終わってしまうため、島内を自由に行き来するのは難しそうです。

 島の最大幅は約6kmで、S子が酒を飲んだ居酒屋と家の間の距離も、これと同じぐらい離れていたそう。つまりS子はこの日、島を横断してまで居酒屋に行っていたということです。実際S子は、「移動が6kmあって、徒歩や自転車で(移動するの)は厳しかった」と証言しています。普通に歩いても1時間以上かかると思われるので、酔っ払っていたら、きちんと家にたどり着けるか怪しいでしょう。

 S子は全面的に罪を認めており、争う姿勢もない様子。単なる“うっかり”が大ごとになってしまった感じもしますが、「離島という特殊な環境」という言葉が、どうも引っかかりました。

被告が語る、離島の隠れた不便さ

 17年春に移り住み、現在まで免許を持っていないS子。“離島”と聞いて、電車やタクシーが都内並みに走っていると考える人は少ないでしょうし、島に住み始めてからでも、「免許がないと不便」と気付くきっかけは山ほどあったはずです。それなのになぜ、S子は免許を取得しなかったのでしょうか?

 警視庁に直接聞いてみたところ、離島では年3回(2、6、10月)だけ、島内で原付講習をしているそう。つまり、筆記・適性試験を受けるには、内地に出向く必要があるわけです(なんだその“逆・合宿免許”!?)。この情報は、島民以外は知らない“特殊な事情”だと思われます。原付講習は島内で年3回あるとはいえ、1回機会を逃すとまた数カ月待つ……と考えると、億劫になるのもわからなくはないです。

 そもそも、S子がなぜ6kmも離れた居酒屋にいたのかも気になります。確かに、地図で見ると飲食店があるエリアは島の一部ですが、それに加えて逮捕当日の夜、S子は居酒屋近くの友人宅に泊まる予定だったそう。ではなぜ、自宅に向かっていたのかというと、居酒屋で持病の軽い発作が出てしまい、急きょ薬を取りに戻らざるを得なかったといいます。

 だったら、飲食店があって、便利なエリアに家を借りればよいのでは? とも思いましたが、住民がなかなか引っ越さず流動性が低いため、繁華街のそばに住みたくても、借りられる物件が非常に少ないのだそう。S子の言う「離島という特殊な環境」の意味が、おぼろげながらに見えてきます。

 法に抵触する行為はいけませんが、S子は決して悪いことをしようと思っていたのではなく、離島のおおらかな空気に「甘えていた」だけだったのだと感じました。裁判中、裁判長の言葉を聞き逃すまいと、まっすぐに視線を向けていたS子。このあと、懲役1年4月・執行猶予3年という判決が下りました。この期間でしっかりと反省し、きちんと免許を取得してから、島で元の暮らしに戻ってほしいと願います。

 さて、裁判傍聴の楽しみのひとつに、“法廷戦術ウォッチング”があります。

 敏腕弁護士が絶妙なタイミングで証拠や証人を出し、被告が涙を流す中で裁判長が減刑……といった場面を、ドラマや映画で見たことがあるかもしれません。これは「公判前整理手続」といって、裁判の“見どころ”のひとつでもあったのですが、現在は非公開の「事前調整制度」というものができてしまった関係で、こうした熱いシーンはほとんど見られなくなってしまいました。

 一方、今回のように、被害者がいなくて、被告が罪を全面的に認めている事案では、検察がどこをネチネチと突っ込んでくるのかが、個人的なお楽しみポイントです。彼らは“アラ探し”をするのが仕事ですから、相手に少しでもダメージを与えられると判断すれば、臆面もなく突っ込んできます。

 S子の裁判では、若い女性検察官が1人いるだけでした。キャリアが浅くてもなんとかなる事案、ということで任されたのでしょうか。しかしこの検察官、事件に全く関係がない、S子の婚姻歴や恋人の有無まで陳述書に書いていて、非常にネチネチしておりました。“ふしだらな女”という印象でもつけて、「異性関係が派手だと交通違反しがちなんです!」とでも言いたかったのでしょうか……? それならそれで、明確なエビデンスを示してほしいものです。

 さらに気になったのは、S子が発作を起こした時、「なぜ救急車を呼ばなかったのですか?」という質問。さすがの私も「うわ、愚問!」と驚き。そうです、S子が答えていたように、「島には救急車がないから」です。この検察官、被告が暮らしている環境すら、何も調べてないんだなあ~、あんたの印象の方が悪くなるよ~と、あきれてしまいました。

 ……とか偉そうに言いましたが、検察というのは非常に大変なお仕事です。彼女にこそ、離島でのんびりとした時間を過ごしてもらいたいですね。
(オカヂマカオリ)

ママ友LINEグループに招待されてあぜん! 「うちの夫の素性」を詮索されていたことが発覚

今や日常生活において、かかせないツールとなっているコミュニケーションアプリ「LINE」。かつては子どもの送迎時に、ママたちが立ち話をしているような光景が見かけられたが、時間に追われ忙しく過ごす共働き世帯が増えた今、ママたちのコミュニケーションの場は、LINEのグループチャットになっているという。そんな、ママたちの「グループチャット」から浮き彫りになった、彼女たちの悩みや、苦悩、気になる話題を覗いてみる。

 ママ友同士のLINEグループチャットでは、雑談の一環として「夫」について話題に上ることもあるという。しかし、ママ友の「夫」という存在については、どこまで踏み込んでよいのか難しいものだけに、「モヤモヤしている」 というママたちは少なくないようだ。今回、そんな悩めるママの声を集めた。

「旦那さんが育児に協力的でいいなぁ」ママ友の自虐にうんざり

 今日子さん(仮名)は、都内にある幼稚園に4歳になる男児を通わせている。その園では、幼少期の親子関係がのちの人格形成に影響するという考えから、未就学期のうちは、母親は就労せずに、子どものそばにいることを推奨しているそうだ。

「普段から保育参観や家庭訪問があるなど、普通の幼稚園より園と保護者の関係が濃いかもしれません。もちろん、ママ友付き合いも濃密で、お迎え時の立ち話から始まり、グループチャットでのやりとりも盛んなんです」

 しかし、よその家庭の夫婦関係に首を突っ込んでくるママ友がいて困っているという。

「彼女は20代後半くらいの若めのママで、旦那さんが忙しいらしく、ずっとワンオペ育児みたいなんです。一方うちは、夫がフレックス制の企業に勤めているため、平日の保育参観などに参加することもよくあるのですが、そのたびに彼女が『今日子さんはいいなあ。今日も旦那さんが保育参観に来ていたよね』とメッセージを送ってきて……この前も、夫に保護者会へ出てもらったら、『旦那さんがそういうのに出てくれるのうらやましい。うちの夫はダメ、そういうの絶対無理』と。正直、何と返したらいいか悩んでしまいます」

 対面であれば、別の話題などにすりかえて、やり過ごすことができるが、「LINEの場合は、終わりがないのが苦痛」だという。

「そのママさんは、グループチャットでも『うちは今日もママだけだよ(笑)』とか、夫が行事に来られないアピールをしてくるんです。最初はみんな気を使って『うちも次は来られないかも』と返信していたのですが、卒園までのあと1年ちょっと、このやりとりが続くと思うと、付き合いが面倒に感じています」

 このように、ママ友グループ内では、送迎や行事参加といった育児を、夫がどの程度担当しているのか、話題に上がることが多いようだ。

「このママさんは、若いのにほぼ1人で育児や家事をしていて大変だろうなって、最初は同情していたんです。でもあまりに『うちの夫は非協力』という自虐がすごすぎて、最近ママ友たちの間では、逆マウンティングしているんじゃないのって、話題になるようになりました。よその家の夫を『育児や家事に協力的だよね』と褒めているようで、その実、『私は1人で頑張っている』ことを主張したかったのではないか、と。まぁみんなに『すごいね』と認めてほしかったのかもしれませんが……そう考えると、ちょっとかわいそうにもなりますね」

 都内にある認証保育園に、1歳になる息子を通わせている真奈美さん(仮名)。彼女は、出版社勤務だった経歴を生かし、出産後はフリーで書籍の編集や、ライターとして取材などを行っている。一方、彼女の夫は、フリーランスで映像制作などを手掛ける仕事をしているそうだ。

「夫婦ともにフリーランスだったので、保育園に入れるかは不安だったんです。入園前から、ベビーシッターさんを頼んだり、短期で無認可保育園に預けたり、点数につながる保活を頑張ったせいか、なんとか0歳から認証保育園に入所できました。最初、0歳児は3人しかいなかったので、ママ友付き合いのしがらみに巻き込まれることもなくてほっとしていたのですが、自分の知らないところで、夫のことがうわさになっていたみたいです」

 真奈美さんの夫は、取材の予定が入ることがある真奈美さんに代わって、子どもの送り迎えなどを積極的に行っていたそうだ。

「夫は、天然パーマに、黒ぶち眼鏡。ちょっと小太りなのですが、派手目な柄の服が好きで、映画をモチーフにしたTシャツや、迷彩柄のパーカーなどを好んで着ていたんです。撮影以外は、編集など自宅作業が多いため、夏はサンダルで迎えに行ってました」

 そんな中、彼女が知らない間に、ママ友のグループチャットで、夫の仕事を詮索するやりとりが行われていたという。

「うちの園では、1歳から園児数が増え、そのタイミングで運動会など行事への参加が始まります。それをきっかけに、あるママさんから声をかけられて親しくなり、その流れでママ友のグループチャットにも招待されました。ただ、途中参加だと過去のやりとりが見られないので、ママさんにお願いして、今までのトーク履歴を送ってもらったんです。そうしたら、なんとうちの夫について『あの人、なんの仕事をしているんだろうね』『この前、夕方に駅前で見かけたよ』というやりとりをしているのを見つけてしまって……! グループチャットでコソコソ詮索するくらいなら、直接聞いてくれればいいのに。特に私からは何も言わず、知らんぷりをしていますが、ママ友グループって何だかなと思ってしまいましたよ」

 美波さん(仮名)は、関東近県にあるベッドタウンで3歳の女児と暮らしている。離婚を機に、都内にある園から地元の大型保育園に転園したそうだ。

「子どもが1歳の時に離婚して、それ以来シングルマザーです。今は実家で暮らしながら、ECショッピングサイトの仕事をしています。娘のクラスで、シンママは私だけなのですが、ママ友とのグループチャットで、ちょっと気になることが。運動会の親子競技や遠足に夫婦で参加するかどうかなどの話題が、急に途切れたりすることがあって、どうやら私に気を使っているみたいなんですよね。逆にモヤモヤしてしまいますよ……」

 子どもを迎えに行った際、仲の良いママ同士が、「親子競技は夫に参加してもらおう」と話していたのを見かけたという美波さん。しかし、グループチャットでは夫の話題があまり出ないのは「私のせいだな」と感じたそうだ。

「グループチャットには、閲覧だけで何も発言しないママもいるんです。気を使われない方が、こちらもいいのですが……」

 各家庭、さまざまな事情がある中、夫のことに立ち入りすぎるのも、はたまた気を使いすぎるのも、ママを困惑させる可能性があるようだ。適度な距離感を保った付き合いができるといいものだが……。

「宮内庁御用達」は怪しい制度!?  “皇室ブランド”にあやかるアウトな商売とは【日本のアウト皇室史】

 
 皇室が特別な存在であることを日本中が改めて再認識する機会となった、平成から令和への改元。「皇族はスーパースター」と語る歴史エッセイストの堀江宏樹さんに、歴史に眠る破天荒な天皇家のエピソードを教えてもらいます!

「宮内庁御用達」は廃止された制度!?

――最近、ネットで話題になったのですが、「宮内庁御用達」ってもう廃止された制度なんですよね? いまだに、その言葉を全面に押し出している商品もあるような気がしますが……。

堀江宏樹(以下、堀江) そうですね。そういう公的な制度は、1954(昭和29)年にすでに廃止されているのです。

 驚くかもしれませんが、「宮内庁御用達」という日本語自体、“怪しい”んですね。「皇室への納入品」と、“役所”である「宮内庁への納入品」は異なる単語で呼ばれています。皇室への納入品だけが「御用達」。役所である宮内庁への納入品は「御用」。だから、「宮内庁御用達」と言ってしまっている時点で日本語的にもおかしいし、要するにそういうふうに宣伝すればするほど、「怪しい」のです(笑)。

――そんな明確な違いがあったなんて驚きです。皇室ブランドが商品の付加価値になると思うから、「宮内庁御用達」と名乗るのでしょうか?

堀江 そうですねぇ。現代の日本で、「宮内庁御用達」を自称する商品は、「皇族の方が“一度”、買ってくれた」だけの物とか、へたすれば「プレゼントすると申し出をして、結果的に皇族の方に受け取ってもらえたことがある」程度のものも多いそう。コマーシャルには絶対に出演してくれない“セレブリティーの中のセレブリティー”ですから「ご愛用の品になりたい!」という、店側の思いがすごいのでしょう。

 江戸時代の参勤交代中、大名が滞在している旅館に商人たちが押しかけ、われ先に献上品を押し付けようとしたという話と似ているな、と思ってしまいます。

――献上品ですか。もらえるのであれば、もらっておけば良いのでは?

堀江 それが“タダ”では済まないのです。「わざわざ自分に品物を献上しに来た庶民の好意に応える」という形で、チップという名の支払いをしなくてはいけないのですよ。そして、チップのせいで相場以上に高めになるのです。さらに、「○○様に献上した」という事実ができてしまうので、それを相手側の商業活動に利用されてしまうことも。だから、江戸時代の大名に押しかけ献上された品物の大半は、そのまま返品されたようです。

 ちなみに江戸時代の天皇家の権威は近畿地方に「ほぼ」限定されており、この手の押し売りのような献上品攻めに遭うことはなかったようです。誰に人気が集まるかは時代によって変わりますからね。

 なお、現在の御用達業者の中には、「いくらで、こういう品を皇室に納入している」と情報を明かす店もありますが、トップシークレットにしている場合も多々あります。

――明治維新の後は、武士よりも天皇家がカリスマ性を持ったから、「皇室御用達」の看板を求める業者が増えたというわけですね。御用達になるには、どういう条件が必要だったのでしょうか?

堀江 日本で御用達という、ある種の“ブランド制度”の開始は1891(明治24)年。御用達になることは皇室が認めたという意味になり、産業奨励政策の1つだったようです。開始当時はまだ数少なく、日本橋の「魚屋荒木平八」、それからびっくりしちゃうんですが、イギリス・ロンドンのビスケット会社「トントリーパーマ」なる業者の2つが、皇室の御用達に認定されています。残念ながら、この2つの業者は現存しないようですが。

 制度が始まった当初は、宮内庁のお役人から「『御用達』の店になりなさい」という命令が下れば、「御用達店」になれたようです。が、時がたつにつれ、厳しい条件が課されるようになりました。お店の経営者一家に対して、親子三代にわたる家庭環境と思想歴、病歴などのチェックをするんですよ。製造担当者や職人にも、身体検査、検便、それから外出制限、禁酒、禁欲(!)なども課されるようになりました。それでも御用達制度の最盛期は1951(昭和26)年。この時は85軒にまで拡大していたそうです。そして54年、御用達制度は突然の廃止を迎えたという。

――最盛期が51年(昭和26年)。制度廃止が54年(昭和29年)だから、そのわずか3年間ですよね。何があったのでしょうか?

堀江 具体的な理由は公表されていませんが、日本中の業者から「ウチも御用達業者にしてください」という売り込みが激しくなってしまい、皇室ひいては宮内庁が困ったからではないか、と。この頃は、皇室の人気が大衆レベルで大いに盛り返しつつあった時代です。51年といえば、現・上皇后の美智子さまと現・上皇さまとの結婚が内々に決定した頃でもあります。また、上皇さまの妹君・清宮貴子内親王(当時)は、いわゆるファッションリーダーとして日本中から人気がありましたね。

――皇室の人気や権威にあやかりたい業者は、現在でもたくさんいるのですね。

堀江 そうですねぇ。御用達制度廃止前から取引が続いている業者“のみ”が、いわゆる宮内庁御用達を現在でも名乗っても良いと言われます。しかし、そういう業者ほどホームページの片隅に控えめに「皇室にも納品しております」的な情報を載せているだけなんですよね~。

 例えば江戸時代になる前から、御所にお菓子を納め、天皇家に付き従うような形で東京にやってきた「とらや」は、ホームページに「後陽成天皇の御在位中(1586〜1611)より、御所の御用を勤めています」とさらっと書いているだけ。

 しかし、庶民たちが雲の上の人々である皇室の方々ご使用の品に興味津々だったのは今も昔も同じで、雑誌やテレビなどでもたびたび取り上げられました。例えば、今は廃刊になった「angle」(主婦と生活社)というタウン情報誌。1980年10月号の「天皇家の衣食住を支える人、店、品 宮内庁御用達型録(カタログ)」という記事が面白いので、見てみましょうかね。

――この前即位なさった、新天皇陛下が成人の時に着用した燕尾服も作った「金洋服店(きん ようふくてん)」が掲載されていますね。現在も高級テーラードのお店として渋谷の広尾で営業しているみたいです。

堀江 もともと華族や皇族たちの口コミが皇室に流れ込んだ形で、段階的に御用達ブランドとなったそうですね。73年8月1日号の「女性セブン」(小学館)によると、現・上皇さまのスーツは「金洋服店」ですが、ワイシャツは本駒込にある「加古シャツ店」で「全て」あつらえておられるそうで、シャツには「P.A」のイニシャルが刺繍されたとか。プリンス・アキヒトということですね。「加古シャツ店」は現在も営業なさっているようですが、あくまで地元密着のお店ということでしょうか。ホームページなどは設けておらず、詳しいことはわかりませんでした。

――次回は、12月28日更新予定。女性皇族のご用達ブランドについては、また次回お話したいと思います。