「春夏物が壊滅的に売れない」……新型コロナで大打撃のアパレル業界、「大量在庫」をどうする?

――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、4月7日に政府から7都府県に非常事態宣言が出されました。これによって東京、大阪、神戸などの主要商業施設が一斉に休業。さらに16日には、非常事態宣言の対象地域が全都道府県に広がり、18日から地方の商業施設の多くも休業に入りました。

 現在、多くの物販は大打撃を受けています。アパレルでは、3月から新型コロナ対策として、店舗の営業時間短縮や休業が増えていましたから、3月は売上に急ブレーキがかかり、4月に至っては実質的にほぼゼロ、つまり春物の実店舗売上高はほとんど見込めないと考えられます。また今のところ5月6日に非常事態宣言が解除されるということですが、これでゴールデンウィーク商戦も消えてしまいました。

 アパレルの売れ行きというのは、3〜4月は比較的好調な月で、ゴールデンウィークに入ると、帰省や行楽地への観光が多くなるため、あまり伸びず、夏のセール開始までその状態が続きます。

 つまり、今の状況だと、春物だけでなく夏物も壊滅的に売れないということになるのです。夏のセールで、どれだけ在庫が消化できるかという点が肝となりますが、毎年夏のセールは、冬のセールに比べてインパクトに欠けるものなので、高い消化率は望めそうにありません。

 一斉休業が本格化した4月の業績はまだ出ていないものの、店舗の営業時間短縮が始まった3月の業績では、早くも苦戦が鮮明となっているようです。

 帝国データバンクによると、集計対象23社のうち、2020年3月の月次売上高において、既存店ベース(出店から1年以上経過した店舗のみ)で前年同月を下回ったのは21社(構成比91.3%)、上回ったのは2社(同8.7%)。また、全店ベース(出店から1年未満の店舗も含む)で、前年同月を下回ったのは21社(同91.3%)、上回ったのは2社(同8.7%)で、既存店と同様の結果となったそうです。

 3月でこの調子とあっては、4月はこれ以下の水準になることは間違いありません。アパレルはこの新型コロナ禍で、窮地に立たされている業界の一つと言えるでしょう。

 今回の新型コロナ流行による物販の売上低下は、全国的に満遍なく店舗営業が止まっていること、日本も海外も同様ということで、逃げ道はありません。これまでの不況やアクシデント、災害なら、どこかの地域や国に限定されていたので、場所を移せば物販は可能でしたが、今回はそうもいかないのです。

 そこであらためて注目されるのがネット通販。実店舗があまり稼働できない分、ネット通販の受注は増えています。日用生活品や食料品を中心に、またゲーム機器なども好調で、宅配業者の求人募集が急増しています。

 アパレルに関して言えば、企業によって優勝劣敗がありますが、例えば、ユナイテッドアローズの3月度実績では、自社オンラインストアとゾゾタウン(ZOZOTOWN)での売上は23.8%増に伸長しています。4月度の実績はまだ出ていないものの、ネット通販の売上高が減ることは考えにくく、不調としても前年並みは維持するでしょう。やはり実店舗のほとんどが閉鎖されている今、そのブランドの商品が欲しければネット通販で買うしかないからです。

 さて、アパレル各社は莫大な春夏物在庫を抱えることになりますが、今後どうなるのかを考えていきたいと思います。最初に言うと、現状、在庫を消化する手立ては二つしかありません。

・ネット通販で在庫処分販売をする
・「バッタ屋」と呼ばれる在庫処分業者に払い下げる

 各社はすでにネット通販で割引を強化しており、在庫処分を進めているように見えます。例えば、アダストリアの自社通販サイト「ドットエスティ」ではタイムセール期間が延長されたり、それが終わると、レジにてさらに対象商品全品10%オフという割引施策が連続で行われている状況。またZOZOでは割引クーポンが連日発行されているばかりでなく、参加ブランドも増えています。これは取りも直さず、ZOZOで在庫処分を進めたいブランドが増えているということでしょう。

 また、在庫処分業者にも在庫引き取り要請が急増しています。メディアへの露出が多い、在庫処分業者のショーイチは、2月の仕入れ(在庫引き取り)は通常の約3倍、3月も高水準だったとのこと。恐らく休業が本格化する4月はもっと増えることになると考えられます。

 京阪神で10店以上の直営店を運営している在庫処分業者のラックドゥも、2月、3月と在庫引き取り要請が急増しているといい、「全部の要請には対応できない」状況にあるそうです。

 しかし、現実的には在庫を消化するための施策としては、ネット通販も処分業者への払い下げも決め手に欠けます。

 まずネット通販についてですが、いくら売上高が好調といっても、大手の実店舗販売金額の落ち込みを補填できるほどの規模ではありません。例えば、先ほど例に挙げたユナイテッドアローズだと、EC売上高が23.8%増にもかかわらず、実店舗との合計売上高は前年同月比74.7%と減少しています。これはすなわち実店舗の落ち込み分を、ネット通販の増加率程度ではカバーできないということを示しているのです。

 確かに、小規模業者なら、ネットで何千万円か増収できれば業績は好転しますが、ユナイテッドアローズやそれ以上の大手になると、難しいというのが実情です。

 一方、在庫処分業者への払い下げにも難点があります。主な在庫処分方法は、

・他社に卸売りする
・直営店舗で販売する
・ネット通販で販売する
・海外に売る

という4つですが、このうち、ネット通販以外、新型コロナの影響を受けて不振であることは正規アパレルと同じだからです。他社に売ると言っても、他社も同じく不調ですし、また直営店販売も同様で、街には人通り自体が減っている状況。私が個人的に手伝っている在庫処分業者の直営店は、4月の売上高がピーク時の半減以下で推移しています。さらに海外販売と言っても、海外も日本同様新型コロナで経済活動が止まっているわけです。

 ネット販売だけが活路ですが、残念ながら各在庫処分業者のネット通販は、そこまで強力ではありません。売上高はせいぜい大きく見積もっても数億円という程度で、とてもではないですが何十万枚の在庫をさばける規模ではない。つまり、正規アパレル企業にとって、「在庫処分業者に払い下げればとりあえず安心」という状況ではないと言えるでしょう。

 そうなると、アパレルの在庫処分は、もはや“事態の終息後”、自社店舗ないし正規ネット通販でどれだけ投げ売りすることができるかが決め手となります。しかし、投げ売り処分は、想定していた売上高を大幅に下回るのは必至。それをカバーすべく、秋冬の商品は大幅に生産数量を減らすことになると思われます。アパレルは、新型コロナの影響によって、初めて業界を挙げての生産調整に突入することになりそうです。
(南充浩)

人気コスプレイヤー、「セックスが超うまい」大御所ゲームクリエイターと“不倫”した過去ぶっちゃけます!

カネと欲望が渦巻くコスプレ業界――40代“現役”コスプレイヤー・椎名蜜が、業界の闇をぶっちゃけます!

 前回、前々回とちょっとマジメな話が続いたので、今回は私のアホみたいな体験談をお届けしたいと思います。以前、現役漫画家・Xさんとのセックス話を告白しましたが、今回は大御所(になった)ゲームクリエイター・Vさんとの、コスプレセックスについてぶっちゃけます。

尊敬する彼と“濃厚接触”を試みた結果

 Vさんのゲームは独特の世界観があり、とにかく面白くて大ファンでした。今ではシリーズ化作品も手掛ける大御所で、誰もが知ってる超有名RPGに関わったこともあります。しかし、私と知り合った当時はまだ知名度が低く、しかも作風が王道からはやや外れているので、Vさんのゲームをテーマにしてコスプレ写真集を売っても、正直売り上げは見込めませんでした。それでも私は、彼の作品が好きすぎて、ゲームの世界観を忠実に再現した写真集を、コミックマーケットの会場にて、赤字覚悟で発売したんです。

 すると、「Vさんからおつかいを頼まれた」という人が、私の写真集を買いに来てくれました。これをきっかけに、勇気を出してVさんのTwitterへお礼をしたところ、どんどん親密な関係になっていきました。のちのち、Vさんに奥様がいらっしゃることを知ったため、リスペクトする人物として純粋に憧れていました。一線を越えてしまうと、悲しい結果しかありませんからね……。しかし私は当時、引きこもりだったため、人との接触に飢えていたこともあり、彼と“濃厚接触”したい欲求が高まって、私から「家で飲みましょうよ」と誘ってしまったのです。密集、密室、密接。まさに3密、さらに不倫。いけないことのオンパレードで、いまだったら小池百合子都知事に怒られてしまいそうです。

 Vさんは、とても紳士でした。デートでは女性をエスコートをしてくれ、何よりセックスが超うまい。男性経験はぶっちゃけ30人くらいの筆者ですが、その中でもちゃんとイカせてくれて、気持ちいいセックスをしてくれたのは3人くらいでした。彼は、その3人の中に入っています。紳士でセックスがうまいなんて、奥様がとてもうらやましかったです。

 要するに私は「Vさんのセフレ」だったわけですが、ほかにもファンを“つまみ食い”している気配がありました。結婚から何十年もたっていて、奥様とは非常に仲がよさそうでしたが……。ちなみに、奥様のSNSをこっそりのぞいたことがあるのですが、「旦那さんのことが好きすぎてたまらない!」みたいな投稿が多く、ゲームクリエイターとしても尊敬しているようでした。そんな投稿を見て、「昨日私に入ってたち○こが、今日はこの人に入ってるのかな……」などと思いながら、そっと見守っていました。

 漫画家のXさんもぶっ飛んでいましたが、Vさんもそこそこおかしい人でした。何がおかしいかというと、「自分が作り上げたキャラクター(のコスプレをする私)とセックスするのが好き」だったことです。なんでも、彼は私の写真集を使い、無我夢中でオナニーしていたとのこと。「わざわざ報告すんのかい!」と思いましたが、“ヌケる写真集”を作ることに情熱を注いでいた私にとっては、最高の褒め言葉でした。

 自分が作ったキャラでヌクという行為は、オタクの世界で「オリキャラ(オリジナルキャラクター)でヌク」と言われ、そこそこヤバい行為として見られる場合が多いです。とはいえ、Vさんの場合は、そのオリキャラが商品になって、世界中で“オカズ”になっているのですから、ちょっと次元が違いますよね。

 Vさんは常に、私とセックスをしているというより、自分が作ったキャラクターとセックスをしていたのだと思います。コスプレをしてない私とのセックスより、コスプレセックスのほうが「めっちゃ興奮する」とキッパリ言われましたし……。悲しいような気もしますが、別に嫌な気分ではありませんでした。いや、そう思わないと、この関係を続けていられなかったのかもしれません。

“お花畑”だった私が、不倫して学んだコト

 奥様に対する罪悪感が大きくなったのか、Vさんとはだんだん疎遠になってしまいました。それでも、メールをすれば普通に返事が返ってきますし、仕事の相談にも乗ってくれました。でもやっぱり、当時の私は頭が“お花畑”だったと思います。後悔しても遅いですが、不倫は絶対にやめたほうがいいです。「奥さんと別れて私と一緒になってくれるかも(ハート)」なんて幻想を抱くかもしれませんが、万が一そうなったとしても、今度は自分が捨てられる番になるかもしれないのです。そんな不安と戦い続ける覚悟があるか? と言われると、冷静になれるのではないでしょうか。

 もちろん、奥様に恨まれますし、自分の親族や友人、その他大勢の人からも、「こいつはとんでもない女」として見られるでしょうね。不倫というのは、束の間の刺激を味わえる一方で、誰かが必ず不幸になります。そんな恋愛は、経験上「避けたほうがいい」と断言します。

 それと、コスプレセックスもやりすぎはよくないです。「この人は私のことが好きなのか、それともキャラクターが好きなのか?」と、疑心暗鬼になっていきますよ。新型コロナウイルスの流行が落ち着いたあと、パートナーとの濃厚接触を心待ちにしている方は、ぜひ心に留めておいてくださいね。

天皇が女官の顔を“ペチョペチョ”舐める!? 皇后さまの嫉妬爆発、「女の園」の日常風景【日本のアウト皇室史】

 皇室が特別な存在であることを日本中が改めて再認識する機会となった、平成から令和への改元。「皇族はスーパースター」と語る歴史エッセイストの堀江宏樹さんに、歴史に眠る破天荒な天皇家のエピソードを教えてもらいます!

――前回から引き続き今回も、女官が経験した御内儀での出来事をまとめた“問題の書” 『椿の局の記』を読んでいくわけですが、この本の主人公ともいえる坂東登女子は、明治天皇から直々にスカウトを受け女官となったんですよね。さらに大正天皇からも寵愛を受けたそうですが、そうなると坂東登女子はほかの女官たちからは嫉妬されたりはしなかったのですか?

堀江宏樹(以下、堀江) 皇后さまはともかく、ほかの女官たちから嫉妬されたとかいう記述は出てきませんねぇ。興味深いのは、父親から受けた厳しい「しつけ」の甲斐あって、「女の園」宮中に上がっても先輩女官から嫌われたり、いじめられたりすることがなく、無事だったそうです。

 そのしつけ内容というのが凄まじいんですよ。小学校に上がる前の幼い女の子の手が、真冬にしもやけで、原文によると「ぶくぶくにはれて」もなお、玄関をぬれ雑巾で拭く日々の掃除はやめてはいけないし、誰かに代わってもらうこともできない。そもそも掃除ができなければ、学校にも行かせてもらえなかったのだそうです。

「どんなことで女は不幸せになるかもわからんから、それに耐えられるように、精神を養わなければいかん」と父親には言われたそうです……。父母に逆らうことは絶対厳禁で、叱られたときに言ってよいのは「恐れ入ります」の一言だけ。宮中で女官の先輩から注意されたときも、「はいっ。恐れ入ります。気をつけます」と言うだけで何事もこらえつづけたところ、「本当にすなおなお子さんやな」と好評だったとか。

――皇室とも関係の深いお家柄のお姫様なのに……。

堀江 そういう女性ほど世間的には「お姫様」でも、実際は「家の奴隷」として生きざるを得ないわけです。少なくとも当時は。常に高い身分にふさわしい品位が必要とされる世界なのですね。坂東登女子が実際に経験したことですが、肺炎で入院していても、身じろぎひとつせず、高熱が出ても唸らないように静かにしているとか。それを上流の女性の証しである「行儀の良さ」だと考え、死ぬ気で実行しているのです。

――今の私たちと比べるのは間違いだとわかってはいても、そこまで徹底していると怖くなってしまいます。

堀江 それこそが「女の道」であるというふうに彼女は実家で教えられ、立派な女官となるべくしつけていかれたのでしょう。実際、彼女の実家である梨木家は、女官を輩出しつづけたお家柄ですしね。

――逆に庶民のほうが、生き方という点では自由だったということでしょうか。

堀江 まさに。彼女の場合は宮中ともゆかりの深い旧家に生まれ、さらには明治天皇のスカウトがあったことから、自分も女官になる人生しかあり得ませんでした。そして、同じようなことは、多かれ少なかれ、大正天皇の皇后となるべく思春期以降を過ごしてきた貞明皇后にもいえます。

 貞明皇后の坂東登女子への嫉妬はなかなか激しいものだったようですが、それはある意味で仕方ないことのように僕には思えます。皇后として、皇子を合計で四人も生んで育てるという大仕事を成し遂げたというのに、大正天皇の気持ちがフラフラっと別の女性に向かおうとしているのを感じてしまうと、別に具体的な浮気をしたとかいうのでなくても、とにかくおつらいのでしょう。

――自分の人生すべてを否定されたような気持ちになってしまう感じでしょうか。

堀江 そうなんです。ただ、貞明皇后の夫は「天皇」ですから、やりきれない不満や怒りはどうしても女官に向かってしまうわけですね。ちなみに坂東登女子いわく、大正天皇と貞明皇后は「けんかなんかしたことないですね」、だそうです。お互いに「ご忍耐があらしゃる」……夫婦ともにお互いのことを気遣い、我慢強かったというんですが、やはり天皇とて生身の人間ですから、貞明皇后のことをいくら大事にしていても、お気に入りの女官ができてしまったりもしました。

 また、坂東登女子は「大正天皇は病弱である一方、抜群にご聡明で、とくに何事もたちどころに覚えてしまう記憶力はすごいものだった」とも言っています。その一方で、天皇は「お茶目さん」だった、と。ユーモアがあるということですが、「お茶目さん」なところが強く出すぎてしまうこともありました。

 たとえば食事の給仕を「お気に入り」の坂東登女子にやらせているとき、彼女の腕を(冗談で)ぎゅっと握って離さない、とかね。それを貞明皇后は近視気味ということもあったにせよ、ものすごい形相で凝視しているのだそうです……(笑)。

――夫である天皇と女官のたわむれを見せつけられるなんて、貞明皇后にとっては食事どころではないくらいにイヤな気分ですよね?

堀江 イヤな空気があまりに漂ったときは、天皇から身を引いたようです。玉突き場(ビリヤード場)に、「ささっ」と避難しちゃうのが常だったそうで。しかし、そこにも坂東登女子をお召し出しになり、「追っかけっこ」を運動代わりになさることもあったとか。

 テーブルの周りで2人で鬼ごっこするわけですが、その時天皇に捕まってしまうと、原文によると「ペチョペチョペチョッとこういうとこ(頬)おなめんなる」……大正天皇がふざけて、坂東登女子のほっぺをペロペロしちゃうという(笑)。彼女いわく、ものすごくイヤで「気持ち悪うて気持ち悪うて」だったそうですが……。

――それって完全にアウトですよね!

堀江 そう。「お茶目さん」では片付かない、完全にアウトな行為ですね(笑)。でもこの時、坂東登女子のトークが実にキラキラしているような気がするんですよ。やけになめらかに危ない逸話もぽんぽん出てきて、話が進んでいるように見受けられます。まぁ、ワタシにそれだけ魅力があったから……的なマウンティングを感じずにはいられない箇所ですね。

 たとえば闘病中の大正天皇がソファにお座りになるというとき、クッションを用意してさしあげなくてはいけないのですが、貞明皇后じきじきにクッションをあてがうと、それを天皇は「節子(=さだこ、貞明皇后のこと)ええよ」、と。この時代、皇室や宮家、そして多くの公家たちは東京ですでに暮らしているのですが、いまだにプライベートでは完全に京都弁というか、御所言葉だったりしたようですよね。そして、御所言葉にありがちな裏表のある感じでコミュニケーションが取られていました。

 「節子、あなたがしなくていいよ」という言葉は表面的にはやさしいけど、「あなたじゃないほうがいいから、坂東登女子を呼んで」と大正天皇は本音では嫌がっている。それが貞明皇后を不機嫌にさせるというようなことがあったそうな。皇后の不機嫌さについては、坂東登女子いわく「更年期障害があらしゃる」とのことでしたが、ほかにはヒステリー気味だったと言いたかったのでしょうか。原文表現によると「ちょっとおきちがいさんみたいにおなりになった」こともあったそうで。

――「おきちがいさん」ですか……。

堀江 はっきり言いますよね(笑)。それでも、坂東登女子は貞明皇后とは身分が違うけれど、自分たちが同じ女性で、大正天皇のお側にいる者として、気持ちの底にはシンパシーがあるわけです。貞明皇后が、焼け火箸(!)で、女官をいじめたというウワサまで広がると、それを坂東登女子は、率先して否定してまわっています。要約すれば「嫉妬しているときのあの方のお言葉はたしかにひどいけど、手を出すような方ではありません!」と。まぁ、そういう言い方ですが(笑)、貞明皇后のことは本質的にすごい方だと尊敬していますから。

 貞明皇后も坂東登女子には本能的に激しく嫉妬してしまうけれど、本心では彼女のことは信頼できると思っているから、嫉妬して怒った直後でも、皇后の御用を勤めるときの坂東登女子には「まぁ本当に、なめるようにやさしいおことば下さる」とか。まぁ……、「なめるように」という表現に、毒を感じなくもないですが。

 とはいえ「今恐ろしいことをおっしゃってならしゃった(貞明皇后の)おみ口で、又こんなにかばって頂いてもったいないと思って」しまう坂東登女子でした。

――皇后と女官もなかなか濃い関係なんですね。

堀江 いかにも「女の園」って感じがしますよね。大正天皇のご病気が重くなられ、言語障害も進み、最終的には「あっ」という、溜息のような声ひとつでも病床の天皇が何を望んでおられるかを坂東登女子だけが察知できたとか。貞明皇后にとっては、まさに嫉妬してしまう場面でしょうが、それでも坂東登女子の手助けなしに、自分だけでは絶対に大正天皇のご意思はわからないので、彼女に恩義も感じておられたようです。

 大正天皇が48歳の若さで崩御なさり、昭和天皇が即位してしばらくした後、坂東登女子は女官の職を辞したそうですが、昭和26年に貞明皇后が崩御なさるという時、夢で知らせのようなものを受け取ったそうです。やはり二人に特別な絆はあったのでしょうね……。

「ラスト1点」に釣られて買った、11万円の高級ダウンに思わぬ“宿命”――庶民をバカにするのもいい加減にせえ!


――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 毎月散財している私ですが、一昨年まではジュエリー一点豪華主義だったため、給料のほとんどをジュエリーにつぎ込み、バッグも服もイオンかフリマアプリで見つけた中古というありさまだったんですよ。彼氏には「ちょっと……なにその腕。封印されてるの?」と心配されるくらい、じゃらじゃらとバングルやブレスレット、指輪をはめまくる一方、服は毛玉だらけだったのです。

 そんなある日のこと。

「見て! 0.7カラットのダイヤよ! ホーッホッホ」と彼氏に見せびらかしていると、彼氏がこんなことを言いやがりました。

「N子がつけてるとすごく安く見えるね……」

 ちょっ……おま、あたいを舐めたらあきまへんでッッ!!!!!!(このときはまだ預金があった)

 そんなわけで、私は服を買うと決意したのです。季節は10月後半。私が狙いを定めたのはダウンコート。だってこれからの季節、どこへ行くにもアウターを着ていくわけじゃないですか。中の洋服なんてほとんど関係なくなるのです。おしゃれなダウンさえあれば、あたしはもう舐められやしないッ!!

 10月にダウンを買おうとするなんて、どう考えても早すぎるだろうと思いましたが、もういてもたってもいられず仙台へ出かけ、おしゃれな女の聖地・PARCOに入っているブランドに片っ端から入り、ダウンコートを探しました。

 お、あったあった。イイ感じのダウン発見!

店員さん「ぜひ試着してみてください!」
私「あ、お願いします……!」

 しかし、大きく見えたそのダウンコートは着てみるとピッチピチでした。トレーナー1枚しか着ていないというのに、肩がもうパンパン。こんなほっそいダウンコートあるのかよ!! そのダウンコートはウエストがシェイプされており、確かにダウンなのにすっきりして見えました。藍色に金のファスナーもかっこよい。でも、まったく中に服が着こめないのがなあ……。

店員さん「お客様、タトラスのダウンコートは冬でもTシャツ1枚で過ごせるほど暖かいんです。中に着こむ必要はないと思いますよ!」

 そうかあ……。そういうもんなのか……? でも、ここは東北。冬場はマジで冷え込むのです。このコートを着ている間はよいとしても、お店に入ったら脱ぐ必要があるじゃないですか? そのときにTシャツ1枚っていうのはちょっと……。

私「すごく気に入ったんですけど、サイズが……。もっと大きいサイズはありますか?」
店員さん「そうですねえ……。もうダウンコートは終わりの時期なので、在庫があるかどうか……。お調べしますね」

 この一言に私は衝撃を受けました。なんとダウンコートというのは、8月の終わりくらいから出始めて、おしゃれさんは9月には買いにくるというのです。なんてこったい!!

 私が「まだまだだ」と思っていた10月後半には、サイズによっては欠品しているのだそうです。試着したダウンコートもサイズ「3」はSOLD OUT。一店舗だけ残っているものの、それは取り置きの商品だと言われました。うーむ、『商品がどこにもない』と言われると、めちゃくちゃ欲しくなってきたぞ……。

店員さん「お客様の体型なら『2』でもすっきり着られると思いますよ!」
私「そうですかねえ……」

 結局、決められず、うんうん唸っていると、ほかの店員さんが慌てた感じで駆け寄ってきました。

店員さんB「ありました、在庫! 店舗に問い合わせたら取り置きキャンセルになっていました!」

 この一言に私は店員さんと手を取り合って喜び、「店舗に届いたらすぐに配送しますね!」「はい!」なんてやりとりをしながらレジに向かいました。ああ、おしゃれの風はやっぱり私に吹いている! 神様がこのダウンコートを着てオシャレになれと言っているんだわ! すでに在庫1点のダウンコートに目をとめるなんて、私ったらお・め・が・た・か・い!

店員さん「11万5,500円でございます」

 ん……? 次の瞬間、私はレジに表示された金額を前に目がテンになりました。じゅういちまんごせんごひゃくえん、だと……?

私「…………」

 イオンなら5,000円くらいだが……? いや、デパートのダウンコートは、まさか5,000円ではないとは思っていましたよ。でも、5万円もあれば余裕で買えると思っていました。まさか10万越えだなんて……ウソやろ? でも、これだけ「『3』があれば欲しいんですけどね~」とごねにごねて問い合わせてもらって、散々喜んだ後に「やっぱいいです」なんて言うわけにいかず、心の中で嘔吐しながらカードを切りました……。タトラス……。おのれ、タトラス。あんた、高過ぎよぉ!! もう10年は着てやるんだから!!

 しかし、私とタトラスとの戦いはそこからが始まりだったのです。1カ月後、ルンルン気分でコートを着て、友だちと遊んでいた時のことでした。

友達「なんかすっごい白いの出てるけど……?」

 見ると、なんと私のコートが白い毛まみれになっている……!! 飼っている犬の毛かと思い、むしっていたら、どんどん出てくるのです……な、なんじゃこりゃあ!! なんとダウンコートの縫い目からダウンが出てきていました……!!

 慌てて、購入した先のトゥモローランドに電話をかけ、クレームを言うと、季節が終わった頃に持ってきてくれれば修理が可能か見る……とのこと。はああ?? どう考えても不良品だろ!! ちゃっちゃと交換せんかい~!!

 頭にきて、私は『ダウンコート 羽根が出る』で検索しまくりました。すると……

「ダウンジャケットは毛が出るもの」

 と書かれていました……。今まで、高級なダウンコートを着たことのないあたくし。安物のダウンコートと違い、高級なダウンコートは、羽毛が飛び出さないように特殊な縫製が施されているものの、糸より針穴の方が大きいため、その微妙な隙間から羽毛が飛び出すのだそうです。また、フェザーの先端が硬くとがっているため、服をつきやぶって出てきてしまうのだとか……。

 つまり、“お高いダウンコートは、多少の羽根が出るのは宿命”とのことでした。そんなの買うまで知らんかったわい!!

 そして月日は流れ――3月。日差しがぽかぽかと暖かくなり、因縁のダウンコートを着る機会も減ってきた私は、「誕生月50%オフ」というクリーニング店のハガキに釣られ、いそいそとダウンコートを持っていきました。

「アウターのクリーニング代は少々高いとは聞いているけれど、半額なら2,000円くらいのもんだろ~」とレジの計算を待っていると……。

「5,421円です!」

 だから、なんでだよおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!(藤原竜也風に)

 半額で5,000円ですよ、皆さん。てことはまともに払っていたら……1万円!? 庶民をバカにするのもいい加減にせえよ、タトラス!!!!!! 10年は使ってやろうと思いましたが、毎度クリーニング代で1万円持っていかれるのかと思うと、暗澹たる思いです……。高級な服はある意味、ジュエリーよりずっと高いよ、メンテナンス費用……。

100万円のネックレス欲しさに、年収を自供! 買い物狂い、担当からの連絡を待つ“ホス狂い”の気持ちを体感

 

――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 前回、私はショッピングローンで、大好きなジュエリーショップ・アベリから100万円のネックレスを購入しようとしましたが、クレジットローン審査に落ちました。そこですべてが終わるかと思いきや……まだ話は終わらなかったのです……!!

 クレジットローンに落ちた私は、アベリの担当さんに無念の連絡をしました。

「すみません、せっかくご助言をいっぱいしていただきましたが、審査が連帯保証人を入れないと通せないとのことでした……。悲しいですが、来年のバースデー優待までお金を貯めたいと思います。またよろしくお願いいたします!」

 ポチポチとキーボードを指で弾き、送信。しかし、頭の中に湧き上がった「GINZA SIXを闊歩する私」のイメージはすぐには消えてくれませんでした。

 みなさんもこんな経験はない? 「今日は焼肉だ!」と決めた日には、昼間からもう口の中が焼肉を受け入れる態勢に入っちゃって、あとから「やっぱり寿司にしよう」と言われても、受け入れられない気持ち……。気がつくと、私はこんな文章を打っていました。

「ちなみに、今回24回払いでローンを申し込んだのですが、12回払いにした場合、連帯保証人がいなくても借りられる……ということはないでしょうか?」

 わーん、バカバカ、私のバカ!! 91万円(バースデー優待価格)を12回払いで返すってあんた、月々7万5,000円よ? 都心のマンションに住むOLかよ!! ほぼ家賃並みの価格じゃねーか!! しかも、お前、ほかにもローンがあるやろがい!

 すると、すぐにメッセージが返ってきました。

「ご連絡ありがとうございました。お問い合わせの件は一度オリコに確認してみます。いずれにせよ、オリコへ問い合わせるとともに手数料の見直しを相談いたします。そちらの結果が出ましたら一度ご相談いたしますので、今しばらくお待ちくださいませ」

 なんと、24回払いの手数料の見直しをオリコさんに提案してくれるのだそう……。なんて優しいの……もう好きになっちゃうしかないじゃない……。

 このとき、私の中では新たな感情が芽生えていました。

 私、一度もホストクラブに行ったことがないのですが、ホストクラブにはまった女の人の本は大好きで、よく買っています。そこには、「お金を使っている以上、彼は私から離れられない。絶対に連絡をよこす。だから、私は彼とつながっていたいからお金を払うのだ」と書いてあって、その気持ちにめちゃくちゃ共感できるのです……。

 そう、私は大のアベリファン。「【AbHeri Online Shop】」というメールのタイトルを見ただけで、「ハアン!!」と心躍るのです。向こうからしたら、なんてことのない連絡――例えば、「こちらのネックレスの在庫はあります」みたいなメールも全部お気に入り保存してしまうほど……。

 ここで私がネックレスを買うのを諦めたら、もう彼(アベリさん)からの連絡はなくなってしまう……。それどころか、「こいつ、いろいろ聞いてきたくせに結局買わねーのかよ」と思われちゃうかもしれない……そんなのイヤよ!!

 もはやネックレスが欲しいのか、プライドを保ちたいのかよくわからん感情で、私はさらにメールを送りました。

「夜分遅くまでお仕事させてしまい、すみません! ありがとうございます。ちなみに私は年収ピー万と記載致しましたが、そちらは手取りの額で、また、ほかにピー万の預金があります。こちらは定期預金のため、崩せないので、頭金は用意できないのです……。その点と、12回払い変更の場合、どうかとお伝えしていただけますとありがたいです。家族には買い物は知られたくないので、連帯保証人はどうしても組めないので、だめでしたら、来年を待ちます。また結果が出ましたら、よろしくお願いいたします! どうぞ宜しくお願いいたします」

 ジュエリーショップに年収を事細かに暴露する女・千葉N子。しかも、定期預金は母からの生前贈与だから、これは逆立ちしても出せない額……。このお金に手を付けたらわたしゃ本当に終わりなんだよ……。もはや、どこからが恥ずかしいのかわからない展開になってきましたが、私の熱意が通じたのか、翌日、アベリさんからこんなメールが届きました。

「オリコより連絡がありまして、保証人なしで大丈夫との事です。なお、頂いた情報で審査が完了し、承認が取れたとの事でした。ショッピングローンのお申し込みを頂いたK18YGネックレス(811GU)は本日発送で手配させて頂きます」

 勝利―――――――ッ!!!!(91万800円のローン決定)

 ゼイゼイ……ハアハア……。口から血が出てるし、腹も痛いし、頭痛もするけど……なんとか勝ったわ……(一体、何に……?)。

 こうして私は、自分の恥部をさらした末に100万円のネックレスを購入しました……。え? そんな金、お前のどこにあるんだって?

 ふふふ……。私は2年で〇〇〇万円ジュエリーにぶっこんだ女だということをお忘れになって? あのときは、チキンだったからそのほとんどを中古で買っているのです。中古のジュエリーはもともと安値になっているから、それほど価格を下げずに売りさばけるというメリットがあるというわけ!! ハーッハッハッハッ!! というわけで、私は秘蔵の3カラットのパライバトルマリンを売り飛ばし、シャンデリアのように輝く、レーザーホールダイヤモンドネックレスの購入費用に充てたのでした。ハアハア……。

「母を見ると、もう別人だった」ギャーっと叫んで暴れる姿に、娘は……介護の修羅場

“「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける”
――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社)

 そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。シングルマザーの春木直美さん(仮名・53)の話を続けよう。

(前回はこちら:「おじいちゃんが救急搬送された」心不全の父と脳梗塞の母ーーひとり娘が背負った介護の現実

 両親が続けざまに倒れ、介護が必要になったある日、母の八重子さん(仮名)が室内で転倒。大ケガをしたのをきっかけに、デイサービスを嫌がるようになった。そんな中、今度は父の謙作さん(仮名)がベランダで転倒し、頭に大ケガをしてしまう。全治1カ月の傷を負った。

がんばらない母に優しくできない

「父のときは娘が仕事だったので、私が仕事先に頭を下げて通院に付き添いました。その後のケアをするのにヘルパーさんをお願いしたかったのですが、ケアマネは相談にも乗ってくれなかったし、父は他人を家に入れるのを好まないので、体が不自由な母に父の傷の手当をしてもらうような状態でした。それでも母がいてくれてよかったと思います。私なら、父の大きな傷を見て気を失ったに違いないでしょう」

 ところが、謙作さんのケガが落ち着くにしたがって、再び八重子さんの精神状態が悪化した。

「母が退院したときには、自分のことは自分でできるまで回復していたはずだったのに、デイサービスに行く以外は動こうとしない。食べることばかりに貪欲で、マヒは進んでいく。1日中寝てばかりいる姿を見て、私は母に文句を言ってしまったんです。『なんでリハビリもしないで、1日寝てばかりいるの?』と。がんばらない母に優しくできませんでした」

 八重子さんは脳梗塞やケガが原因でウツになっていたのではないかと、直美さんは振り返る。

 八重子さんに厳しく当たる一方で、仕事に行こうとする直美さんに、八重子さんは「悔しい」「なんで私だけがこうなるの!?」と泣き叫んでモノを投げつけた。修羅場だった。

 直美さんは、もう一度八重子さんに生きる喜びを与えたいと思った。脳梗塞で入院した病院の理学療法士にリハビリをしてもらえば、再びリハビリへの意欲が湧くのではないかと考え、手続きを進めていた直美さんだったが、八重子さんの様子がおかしいことに気づいた。

「リハビリしてもらえるよと言っても、あまり喜ばないんです。さらに頭がぐちゃぐちゃしていると言い出しました。ある日私が仕事から戻ると、父が『母の様子がおかしい』というんです。母を見ると、もう別人でした。呂律は回らないし、ギャーっと叫んで暴れるばかりで、立つこともできませんでした」

 救急車を呼ぼうとしたが、幼い孫を謙作さんに任せることに不安があり、娘のひとみさん(仮名・27)が仕事から戻るのを待つしかなかった。

「ようやく病院に連れていったところ、また脳梗塞を起こしていたことがわかりました。そのうえ十二指腸潰瘍にもなっていて、出血していることもわかり、その治療を終えてからでないと脳梗塞の治療はできないとのことでした。これらの治療を終えて再びリハビリ病院に転院したところ、今度はてんかんの発作を起こしたんです。20年くらい前に良性の脳腫瘍で手術していたんですが、その後遺症ということでした」

 直美さんは、目まぐるしいこれらの経緯を鮮明に覚えているらしく、メモを見ることもなく話し続ける。聞いているこちらが混乱するほどだから、立て続けに両親を襲う病気やケガが自分の身に起こったとしたら、どれほど大変なことだっただろう。仕事だけではない。孫の面倒まで見つつ、よく乗り切ったものだと驚くが、これはまだ序章でしかなかった。

 

巨大掲示板に悪口の羅列、SNSでアンチが反論コメント……人気コスプレイヤーが「さすがに病んだ」瞬間

カネと欲望が渦巻くコスプレ業界――40代“現役”コスプレイヤー・椎名蜜が、業界の闇をぶっちゃけます!

 前回、この春から新社会人になる方に向けて、コスプレ業界で学んだ“成り上がり術”を伝授させていただきました。今回は、その術を実践したがために、私に降りかかった災難についてお話したいと思います。

仲良しのAちゃんから受けたひどい仕打ち

 コスプレ界で有名になったり、仕事をもらえるようになるには、まず「売れているコスプレイヤーやカメラマンと仲良くして、彼らを“利用”しよう」とお伝えしたわけですが、逆に自分が売れてくると、当然、そんな私を利用して成り上がろうとする人が寄ってきます。「蜜さんに憧れているので、仲良くなりたいです!」と言いつつすり寄ってくる人は全員、腹の底では「こいつを利用して自分が上に行くんだ」と思っている……そう断言していいでしょう。

 まあ、「こいつを利用してやろう!」と思われない程度の、無能判定されている人になるよりは、多少利用されるぐらいのほうがいいのかもしれません。なので、私を利用してやろうという魂胆で近寄ってくる人も、そこまで気にならなかったのですが、コスプレイヤー・Aちゃんにひどい仕打ちを受けたことは、今でも忘れられません。

 Aちゃんとは仲が良く、日々の些細な出来事や家族のこと、今悩んでいること、好きな人のことなど、気を許してある程度自分のことを話していました。そんなある日のこと、Aちゃんにだけ話した内容が、某巨大掲示板にすべて書かれるのを見つけたんです。実は、先輩コスプレイヤーの方から「そういうのはよくあること」だと言われていたので、書き込みを見つけたときは、「コスプレ界で知り合った人をあんまり信用しちゃダメ」というその先輩からのアドバイスを生かせなかった自分の責任だと反省していました。

 ちなみに、「友達によって話す内容を少しずつ変えると、書き込まれたときに犯人がすぐわかる」という先輩の護身術を実践していたため、Aちゃんには最寄駅を「中野」、Bちゃんには「阿佐ヶ谷」、Cちゃんには「高円寺」だと話していました。掲示板には「椎名蜜は中野に住んでて〜(以降、悪口のオンパレード)」と書かれていたので、一発でAちゃんだとわかったというわけ。Aちゃんには仕事もカメラマンも紹介してあげたし、「コミックマーケット」に落選したときは委託販売もさせてあげたというのに……。本当にガッカリしたものです。

 Aちゃんはホワホワとした優しい雰囲気で、守ってあげたくなるようなキャラクターでした。そんな彼女に「椎名蜜はとんでもない女だ!」と叫ばれたら、サバサバ系の私は圧倒的に不利。掲示板への書き込みだけでなく、関係者にも悪評を流していたようで、カメラマンやAちゃんのファンが“親衛隊”のようになり、案の定私をボロクソに叩き始めました。新社会人のみなさん、女性を敵に回すと、いつの間にかまったく関係のない男性に叩かれ始めますよ。なので、女性を敵に回すのは避けましょう。どんな立場の人であれ、です。

 Aちゃんの一件があったおかげで、フォロワーが万を超えているSNSで発言するのが怖くなってしまいました。自分が在籍していた学校に通う人(の生徒数)よりも、多くの人に注目されていると冷静に考えると、非常に怖いものです。ここまでフォロワーが増えてくると、アンチも紛れています。私が何かつぶやけば、アンチからすぐに反論のコメントが返ってくる状況は、さすがに病みましたね〜……。

 仲良くしているはずだった友人は、私を利用するだけ利用してポイ捨てし、その友人の言うことを100%信じて嫌がらせしてくる親衛隊に囲まれる、自由に発言ができないSNS……こんなコスプレ界にしがみついて、いったい何が楽しいのか? ふと、我に返ってしまいました。これを機に、私はいったんコスプレ界から一旦離れます。

 しかし、私がSNSで炎上しようと、むちゃくちゃに叩かれようと、支えてくれるコスプレイヤーさんやカメラマンさんがいたのも事実。それと何より、大好きなゲームや漫画の作者さんと一緒に仕事ができた喜びが忘れられず、やっぱりコスプレ界に復帰し、今でも細々と続けています。結局最後は、「自分自身の熱意」と「損得関係なく付き合ってくれる仲間」が大切なんだと思います。コスプレ界で痛い目にあって、社会人として、人として本質的に重要なことを身をもって感じられました。

いいこと・悪いこと、すべては自分に返ってくる!

 仕事でも、自分の利益は二の次で、取引先やお客様、一緒に仕事をする仲間のことを考えて行動していると、それが結果的に自分に返ってくるものです。また、熱意を持って仕事をしていれば、自然と同じ志の人が集まります。逆に、人にやった悪いことは自分に返ってきますし、邪心を持って人と接していると、同じような人が寄ってきてしまいます。

 最後はなんだか説教くさい感じになってしまいましたが、新社会人のみなさんは、私の経験を頭の片隅に置きながら、どんどん成り上がってくれるとうれしいです。

昭恵夫人と旅行の「ドクタードルフィン」松久正氏は何者か――心屋仁之助氏ら“スピリチュアルイベント”参加の過去

 4月16日発売の 「週刊文春」(文藝春秋)にて、安倍晋三首相の妻である昭恵夫人が、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、約50人の団体とともに大分県へ旅行していたと報じられ、波紋が広がっている。

 記事によると、昭恵夫人は3月15日に大分県宇佐市の宇佐神宮を訪れたそうで、これは医師の松久正氏が主催する「神ドクター降臨 in Oita」というツアーの一環だったとのこと。“ドクタードルフィン”を自称する松久氏は、自身の公式サイトで「薬や手術というものを一切使わず、自分自身で人生や身体の問題を修復する力を最大限に発揮させる『超次元・超時空間松果体覚醒医学』を提唱」と、治療方針を示している。

 この報道を受け、ネット上では「コロナ流行の中で旅行にいくのもヤバいけど、ドクタードルフィンがさらに謎」「ドクタードルフィンって本当に医者? スピリチュアル系の人かな?」「ドクタードルフィン、怪しすぎるだろ! こんな人と旅行って、昭恵夫人は大丈夫?」など、松久氏の存在に衝撃を受ける声が続出中だ。

 “謎の存在”として注目を集めている松久氏だが、サイゾーウーマンでは昨年11月、都内で開催された『龍の日』なるイベントにて、松久氏の姿を捉えている。心理カウンセラー・心屋仁之助氏、「龍使い」を名乗るSHINGO氏といった、“スピリチュアル界隈”で名を馳せる人物が出演したこのイベントについてつづった、スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコ氏のコラムを、いま一度掲載する。松久氏は一体どのような人物と関わりがあるのか、ぜひ確かめていただきたい。

(編集部)


(初出:2019年11月8日)

心屋仁之助氏・デューク更家氏も出演――スピリチュアルイベント『龍の日』で目撃した一部始終

 先月、台風や豪雨が全国各地で猛威を振るいました。被害に遭われた方々に、心からお見舞い申し上げます。私が観察している“怪しいスピリチュアル”界隈には、台風が来ると「白龍が来た」などと騒ぐ連中がいます。どうやらここ最近、彼らのトレンドは「龍」のようなのです。

 昔から界隈で人気のあるモチーフではありますが、最近は特によく目につきます。その発端とまでは言い切れませんが、ブームを過熱させたのはおそらく、“ウォーキング健康法”で一世を風靡した、デューク更家氏でしょう。

 昨年11月には、『お金持ちになれたのは龍のおかげ』(宝島社)という著書を出版。“スピ好きカミングアウト”ともいえるこの一冊には、良くも悪くも注目が集まりました。アマゾンの内容紹介によると、デューク氏は「幼いころから『龍』と交信をしていました」とのこと。この本を読めば、「龍を自分の中に呼び込んで、人生が激変」する方法がわかるようです。神秘的な(胡散臭い)魅力と、天災が多かったことの畏れが相まって、この1年でじわじわと「龍」を持ち出す人が増えたと思われます。

 そんなデューク氏は、今月11月3日に東京・銀座の時事通信ホールで行われた『龍の日』なるイベントに出演。フライヤ―を見ると、「龍に興味がある人 龍の運気にあやかりたい人 名前に龍が付く人 龍の地名に住んでいる人 とにかく龍好き!! THE・ハッピーエンターテイメント 2020年に向けてパワーアップ1Day!」と書かれていますが、一体何の目的で開かれたイベントなのかは不明。その他、スピ界隈から絶大な支持を受ける、心理カウンセラー・心屋仁之助氏や、お笑い芸人・楽しんご氏、アニメソング歌手の高橋洋樹氏ら、多種多様なゲストが登場するとの告知も。私としても無視するわけにはいかず(?)、少しだけ会場に潜入してきました。

 このイベントは、ゲストのトークショーが行われるステージと、物販ブース等がある展示会場に分かれており、展示会場は無料で出入り可能。トークショーは登壇者ごとにチケットを購入する必要があり、全ステージを前方の席(プレミアムシート)で見る場合、ちょうど5万円になる計算です。

物販ブースの様子。一見“普通の”イベントでした。 私は午前中のメインステージへ潜入し、デューク氏と心屋氏の“初対談”を見てきました。そこで語られた話によると、デューク氏の奥様が心屋氏の大ファンらしく、お互いに存在を認識していたようです。心屋氏に龍は見えないとのことでしたが、一方で「8歳の頃から見える」と話すデューク氏。さらに、ふくよかなおなかを指さして「ここにも龍がいる。触った人は運気が上がる」と、軽快なトークを展開します。小鳥のような龍の鳴き声、得意な歌謡曲の一節などを披露し、デューク氏は200人以上集まった聴衆を喜ばせていました。

 本当にデューク氏に龍が見えているのか……私には否定も肯定もできませんが、過度にビジネスへ絡めることなく、イベントでの“話術”として使えば、スピ好きな人を大いに楽しませてくれるでしょう。降壇後、彼をロビーで見かけましたが、ファンから握手や撮影を求められても気さくに応じ、残りのステージを見るため椅子を勧めるスタッフに「お客さんの邪魔になるから、後ろのほうで立って見るよ」と優しく告げるなど、いい意味で、そのへんの“教祖様”と風格の違いを感じました。

“ドクタードルフィン”松久正氏、心屋氏らとステージに登場!

 さて、ここからが本題です。今回のイベントで私が最も注目したのは、SHINGO氏という男性。なんと肩書は「龍使い」です。SHINGO氏は、14年間勤めた上場企業を過労とストレスにより退社し、高野山奥で「龍神」と出会い、それをきっかけに「龍が視える」ようになったそう。『龍の日』公式サイトのプロフィールを見ると、「最近は自身が『龍』であったことに目覚め、ますます高次元のエネルギー体との共同創造に拍車がかかる」と書かれており、「現在はセミナーや個人セッションを中心に龍のエネルギーを活かして、本来の自分を生きる『真の龍遣い(ドラゴンマスター)』の育成に力を入れている」(すべて原文ママ)と、彼の“活動”も紹介されています。

 いやはや、「龍が視える」という設定まではまだ、スピ好きが食いつくフレーズとしてグッと笑いをこらえられますが、「最近は自身が『龍』であったことに目覚め」「エネルギー体との共同創造に拍車がかかる」というあたりは、さすがにツッコミを禁じ得ません。「最近、運動不足だからジム通い始めてさ~」的なノリで大真面目にこれを言えるのですから、感動すら覚えます。

 ちなみにこの人も、怪しいスピリチュアル界隈御用達の“Ameba公式ブロガー”。ブログ更新を知らせてくれるLINEに登録したところ、「龍と仲良くなれる」方法として、「龍の置物を飾る」「龍に感謝する」といった、誰でも言えそうなメッセージが届いて笑いました。

 SHINGO氏は「龍の魔法学校」なるセミナーを開催しており、彼のブログを見ると、「魔法学校の生徒」と輪になって手をつないだり、魔法使いのような衣装を着て生徒の頭に手をかざしたりと、非常に“それっぽい”ことをやっています。なお、今年1月に名古屋で開催された「龍の魔法学校2019」は、午前10時~午後5時の受講で、参加費10万円(税込)。SHINGOさんのブログによると、「さまざまなスピリチュアル能力を1日にして得ることができます」とのことなので、安いと感じる人も、もしかしたらいるかもしれません。

 実はSHINGOさん、「前世が卑弥呼」だという天宮玲桜(あまみやれいか)と、長崎県壱岐市の観光大使を1年足らずで解任されたスピリチュアリスト・happyの“付き人”だった過去があります。この手の人たちって、広~く浅~く繋がるんですよね。2017年1月13日、SHINGO氏は「つきびと終了しました」というタイトルのブログを更新していました。そこには、「3か月弱という短い間で 僕のお金・時間・人間関係すべての価値観が まったく変わってしまった。こんな変化、自分でも想像していませんでした。人生はこんなにも突然変わるということ そして、『世界は自分で創る』って ホントだった、ということを 間近で見せてもらいました」などとつづられており、2人に強く“感化”された様子が伝わります。

 付き人を辞めて約半年後の17年7月、SHINGO氏は「スピリチュアル好きのための龍神サロン」なるコミュニティを立ち上げ、本格的に“教祖様”への道へと進みます。一般的な認知度はほぼゼロ、たった2年の“教祖歴”で『龍の日』のメイン扱いされるとは、さぞ素晴らしい力をお持ちか、世渡り上手のどちらかでしょう。

キャッチーなことが言えれば“教祖様”になれる

 改めて言うのもなんですが、「龍」は空想上の生き物です。夢のある言い方をすれば、似たような生き物なら、どこかにいるのかもしれません(SHINGO氏は視たって言ってるし)。こうした“空想上の存在”というのは、「大きなエネルギー」といった曖昧なニュアンスに変換され、都合よく利用されがち。子宮委員長はる(現・八木さや)が「“子宮の声”に従って生きる」などと唱え、局地的に大流行した「子宮系スピリチュアル」と「龍のエネルギー」は、似たようなものだと言えるでしょう。

 別にこれは、「子宮」や「龍」ではなくても、「宇宙人」「ペガサス」「人魚」などなんでもよくて、まだ見ぬ不思議なもの、だけどイメージしやすいものから「力を与えられた」とでも言えば、なんでも“スピっぽく”なってしまいます。こういったモチーフを持ち出せば、特別な力を持っていなくても、誰だって人を導く“ふり”ができる。ネット上での自己発信が達者で、キャッチーなイメージを作り上げた“だけ”の人たちが、実にならないセミナーを開き、高額な商材を購入させているのかもしれません。

 たとえすべてがウソだとしても、“教祖様”にお金を出す人が集まってしまうスピ界隈。人からお金を巻き上げるなら、最初から「龍とか子宮とか宇宙とか不思議で面白いことを言うので、お金を恵んでください!」と素直に言う教祖様のほうが、まだマシだと思いますけどね。

カードローンの審査で命拾い!?「バースデー優待」に釣られ、24回払いで100万円のネックレスを買おうと……

――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 前回、私はアベリさんのネックレスを中古で購入したことにより、腹を切る思いでお揃いのブレスレットを注文した。しかし、散財の戦いはこれが序章だったのだ……!!

 これを書いている今、私はクレジットカード会社・オリコの担当さんからの連絡を待っているところです。はっきり言って、体調は最悪。心臓はバクバクと鳴り、指先は震えています。あんた……正気の沙汰じゃないよ。借金●00万円ある女が、さらに100万のショッピングローンを組もうとしているんだからさ……。

 事の発端は、フリマアプリで35万円のネックレスを20万円で購入したことでした。完璧主義の私はアベリさんでブレスレットも注文することに。そのとき、私は「バースデー優待」というものを知ったのです……。

担当さん「千葉さまは今月、お誕生月なのでバースデー優待が適用されます」
私「ほお? すると、おいくら割引されるのでしょうか?」
担当さん「10%です。さらにオンライン決済をしていただきますと、5%のポイント還元が受けられます」

 ぬあんだって~~~~!?!? てことは、あたくし、実質15%オフで商品が買えちゃうってこと!? それギャンブルで言ったら、勝ち確ってヤツじゃん! 買えば買うほどお得ってことでしょ!?

 この話にすっかり舞い上がってしまった私は、その日からアベリさんのオンラインページをストーカーのごとく見に行くヤバいヤツになりました。

「40万円くらいのヤツならローンでギリギリ買えるかな……」

 電卓をパチパチたたきながら考える私。しかし、そのとき、ふいに悪魔的な思考が舞い降りたのです。

「……待てよ。私のこういう買い方が、買い物中毒を引き起こしている原因なのではないだろうか……」

 映画『カイジ』で言っていた班長の言葉が蘇りました。

「フフ……、へただなあ、カイジくん。へたっぴさ! 欲望の解放のさせ方がへた。カイジくんが本当に欲しいのは……焼き鳥。だけど、それはあまりに値が張るから……こっちの、しょぼい柿ピーでごまかそうって言うんだ」

 そうよ……。私だって本当に欲しいのは……40万円のネックレスじゃないわ……。こっちの……101万2,000円のネックレスよ……。

 それはまるでシャンデリアのように輝く、レーザーホールダイヤモンドネックレスでした。すんげえ豪華。こんなシャンデリア、首からぶらさげてたら、たぶんみんな「すごいですねえ」と言ってくれると思う。私の行きつけの(田舎から上京したらとりあえず行く)銀座のGINZA SIXの売り場のお姉さんたちも、「この客は買う!」と踏んでくれそうだわ……。

 一度考えればそのことしか考えられなくなる私は、じっと手を見つめました。12回払いだと月々7.5万円くらい……。もうすでに4件、12カ月の分割払いを支払っている最中だから、7.5も加算するなんて正気の沙汰じゃない。……でも待てよ、年2回ボーナス払いで15万加算して、24回払いならどう……? それなら月々の支払いが2万くらいで済む……!! 見えた!! 勝ち筋が!!

私「クレジットカードローンに申し込みます!!」

 冷静に考えれば、91万円の借金(10%オフ価格)。しかし、私の頭の中には「10万円もお得に買えて、なおかつもう二度とネックレスを買う気が失せるほどのゴージャスなネックレスを買う」という気持ちしかありませんでした。だって、ねえよく考えてみて? このネックレスを買えば、もうジュエリーを買おうなんて気は起きないと思うの。だって、これ以上のネックレスなんてないもの!!

 しかし、鼻息荒く24回払いを選択した瞬間でした。「総お支払額」に私は目がテンになりました。

「ん……? 987,307円……?」

 そう、アベリさんのクレジットローンは、12カ月以上は金利がかかることをすっかり忘れていたのです。

「な、7万円も金利を支払わなきゃなんねえのかよお! バースデー優待分、ほぼ消えちゃうじゃんかよぉ!!」

 とはいえ、もう頭の中はネックレス一色。豪華なネックレスをつけてGINZA SIXを闊歩している私がはっきりと見えていました。GINZA SIX内のアベリさんのお店で、「これ買いましたの~!」「まあ、千葉さま! すごくお似合いですわ!」「おほほ。あら、今年もオパールのチェーンリングが出たのね」「そうなんです! 昨年もその前の年も、一点物のオパールを千葉さまが購入されたんですよね!」と、得意げに店員さんとのトークを楽しんでいます。そのときのオパールのリングのローンは、まだ終わっちゃいねーけどな!!

 私は意を決して24回払いを選択し、「審査中」の文字を祈るような目で見つめました。通ってしまったら、これからローン返済が始まる……。喉がカラカラになり、苦い唾が口の中にまとわりついてきます。ついに20分後。オリコから連絡が――

担当さん「連帯保証人様をご用意いただき、再審査とさせていただきます」
私「……………」

 その瞬間、私は真っ白に燃え尽きました。ああ、燃え尽きたよ。家族に100万のネックレスの連帯保証人を頼めるわけないよ……。もし娘がこんな強欲女だと63歳の禁欲主義の母に知れた日には、私はありとあらゆる身元を保証するものを取り上げられ、一生カードで買い物できない体にされてしまうでしょう。

 そんなわけで、私は一命を取り留める(?)ことになりました。てか私、シャンデリアみたいなネックレスを買って、どんな服に合わせる気だったんだ……?

「おじいちゃんが救急搬送された」心不全の父と脳梗塞の母ーーひとり娘が背負った介護の現実

“「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける”
――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社)

 そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。シングルマザーの春木直美さん(仮名・53)は、娘のひとみさん(仮名・27)が幼いころから両親に預け、仕事を続けてきた。ひとみさんは結婚して家を出ていたが、離婚し、幼い娘と再び実家で暮らしていたのだが、母の八重子さん(仮名)が脳梗塞の発作を起こす。幸い、後遺症の残らなかったものの、退院当日に八重子さんは病院のベッドから転倒してしまう。

(前回はこちら:パーフェクトだった母が脳梗塞にーーシングルマザーが直面した、両親の壮絶な介護)

退院する母を迎えるには最悪の環境

「すぐに検査してもらい、脳には異常ありませんでした。しかし、それ以来母は歩くことへの恐怖心を持ってしまったんです」

 そのうえ、八重子さんが戻る自宅の環境は大きく変わっていた。それまでの住まいは段差が多く、脳梗塞を患った八重子さんには生活しづらいだろうと考え、直美さん家族はバリアフリーのマンションに引っ越していたのだ。

「しかも、引っ越したばかりでまだ荷物が山積みの室内を見に来たケアマネジャーと福祉用具レンタルの業者が、『これでは介護ベッドを入れられない』と、荷物の入った段ボールを次々とタンスの上に積み上げ、クローゼットに和ダンスを無理やり入れてしまったんです。『早く家に帰って、ひ孫と遊びたい』と退院を楽しみにしていた母を迎えるには最悪の環境になっていたんです。病室よりも悪かった。そもそもこのケアマネも、母が入院していた病院の紹介。退院してくれないかと打診されるやいなや、『すぐ自宅を見に行きたいから、それまでに引っ越してください』と言ったんです。そのころ私は仕事が忙しかったうえ、東京に借りていた部屋も引き上げて実家に戻ることにしていたので、孫の面倒もみながら二つの家の引っ越しもしないといけないという状況だったのに、そんな事情などお構いなし。病院とつながっているケアマネとレンタル業者なので、病院の都合を優先したんでしょう」と、直美さんは憤る。

 そのころ、父親の謙作さん(仮名)にも異変があらわれていた。

「母の入院中、父の歩行がすり足になり、夜中によく転ぶようになりました。足が象のようにむくんでいたこともありました。それで病院に行ったところ、不整脈がわかったんです」

 日中は謙作さんも元気だったので引っ越しはできたものの、八重子さんが退院して半月ほどたった朝、謙作さんは心不全の発作を起こす。

「呼吸が明らかにおかしいんです。その日私にはどうしても休めない仕事があったので、娘に病院に連れて行ってもらいました」

 まもなく、直美さんの仕事先にひとみさんから「おじいちゃんが大変な状況で、大病院に救急搬送された」というメールが入った。途中発熱があり、軽い肺炎を起こしかけていて危ない状態になったが、2週間の入院で無事退院することができた。

 自宅に戻ると、せん妄による暴力や暴言がひどく、直美さんは大変な思いをしたという。心不全には軽い運動も必要だった。八重子さんも脳梗塞のリハビリをする必要があったので、両親はデイサービスに通うようになったが、八重子さんの精神状態は波が激しかった。

「これは私が悪いんですが、そのころ手がけていた仕事がうまくいって、両親にも喜んでほしいと思って京都のおいしい卵焼きを買って来たんです。母も気分がよくなり、ほんの少しお酒をいただいたあと、片付けようとしていたら、ひっくり返ってしまいました。その拍子にガラスで手を切ってしまい、また血だらけで救急搬送。病院のベッドで転倒したときの恐怖もよみがえったのでしょう。歩くと転ぶと思うようになり、それからふさぎ込むようになってしまいました。デイサービスにも行きたくない、デイサービスのお風呂もイヤだという。すると父までデイサービスに行かないと言い出しました。それからはデイサービスへの送り出しをするために、仕事を調整しなければならなくなりました」

 そんなとき、今度は父の謙作さん(仮名)がベランダで転倒し、頭に大ケガをしてしまう。タバコを吸おうとガラスの灰皿を持っていたため大出血し、全治1カ月の傷を負った。

――続きは18日公開