暴力と奇声、おむつに手を入れるーー精神状態が悪化した母は、リハビリ病院で拘束された

“「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける” ――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社)  

 そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。

 春木直美さん(仮名・53)の介護を5回にわたり綴ってきた。両親を次々と襲う病気やケガ。そのたびに奔走する直美さんも、いつ倒れてもおかしくないギリギリの状態だった。心不全を患っていた父の謙作さん(仮名)は、地域包括ケア病棟から老人保健施設入所を経て3カ月後、心臓病の悪化と誤嚥性肺炎によって、娘・孫・ひ孫が見守る中静かに息を引き取った。

(前回:認知症の父が土下座で「至らない人間で申し訳ない。許してほしい」――介護する娘に、頭を下げた

精神状態が悪化し 、拘束された母

 この間、母の八重子さん(仮名)はどうしていたのだろうか。

 脳梗塞の再発でリハビリ病院に入院していた八重子さんは、またもや精神状態が悪化していた。入浴やリハビリを拒否する、看護師を叩く、夜中に奇声を上げる、おむつの中に手を入れる……。とうとう拘束されてしまった。それまでも、脳腫瘍の後遺症でてんかん発作を起こし、十二指腸潰瘍で吐血して転院、再びリハビリ病院に戻ってくる、という状態だった。

 病院から施設に移った方がよいのではないかと促され、紹介された老人保健施設に移ることになった。謙作さんが亡くなった後のことだ。

「このころの母はまだ、いくらか調子がよく、入所する時も老人保健施設のソーシャルワーカーに『よろしく』と挨拶できましたし、笑顔も見られたくらいでした。施設に入居してからは、リハビリをしてくれる理学療法士に『2メートル歩けました』と報告されて、すっかり安心していました」

 それが12月上旬のこと。ところがクリスマスに、八重子さんとケーキでも食べようと、娘のひとみさん(仮名・27)と施設を訪れたところ、八重子さんは直美さんのことがわからなくなっていた。

「ソーシャルワーカーが、『目があまり見えていないんです』と言うんです。はあ? ですよ。12月頭には孫のことをかわいがっていたのに、急に目が見えなくなっているって、おかしくないですか。カンファレンスでは、1カ月前に理学療法士から聞いたのとまったく同じことを報告されて、それからここまで状態が悪くなっている母に何があったのか、施設側はまったく把握できていなかったんです」

 不信感を抱いたまま、翌月に八重子さんのところへ行くと、状態はさらに悪化していた。

「食堂で車いすに座らされているけど、体は『くの字』に曲がって、ただテーブルの一点を見つめている。『お母さん』と呼んでも反応がない。医師に聞くと『顔にむくみが出ているので利尿作用のある薬を出している』ということでしたが、12月頭からの母の変貌が激しすぎる。脳梗塞をまた起こしているんじゃないかと思いましたが、それなら医師がわからないはずはないですよね」

 父の納骨が終わったばかりで頭が回らず、おかしいと思いながら、それ以上医師に問い詰めることもできないまま、後ろ髪をひかれながら帰宅した。その直後、八重子さんが大量に下血。施設の担当者から、十二指腸潰瘍の再発で救急搬送されたという連絡が入った。

「病院を7カ所もたらい回しにされたあげく、貧血で瀕死の状態になってやっと大学病院の集中治療室に入れたというんです。担当者は『いい加減にしてください』と怒っていましたが、私は預かっていた孫が熱を出していたので、病院には娘に行ってもらっていました」

 翌日、八重子さんがいた施設からかかって来た電話に、直美さんは絶句した。

「『もう施設を退居していただきたいので、荷物を取りに来てください』と。その事務的な口調に耳を疑いました」

ーー次回は5月17日(日)更新

 

ママ友LINEで「旦那さんの給与事情」を聞いて愕然……裕福な専業主婦ママの会話は「相づちすら疲れる」

 今や日常生活において、かかせないツールとなっているコミュニケーションアプリ「LINE」。かつては子どもの送迎時に、ママたちが立ち話をしているような光景が見かけられたが、時間に追われ忙しく過ごす共働き世帯が増えた今、ママたちのコミュニケーションの場は、LINEのグループチャットになっているという。そんな、ママたちの「グループチャット」から浮き彫りになった、彼女たちの悩みや、苦悩、気になる話題を覗いてみる。

 新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛期間の延長が決定し、現在外部とのコミュニケーションは、LINEなどを使ったオンラインが主流となっている。子どもを持つママたちの間では、Zoomを使ったオンライン井戸端会議の利用も広がる中、これまで表沙汰にならなかった「夫」や「経済事情」などが垣間見える状況になっているようだ。今回はまず、ママ友に知られたくない家庭の事情がバレてしまったという悩めるママの声を紹介する。

保育園の散歩ルートが家の前! 家バレから夫の職業まで詮索される

 真央さん(仮名・32歳)は、都内にある認証保育園に4歳になる女児を通わせている。保育園にはビルのワンフロアに0〜5歳児が預けられているため園庭がなく、天気の良い日は外散歩が定番となっているそうだ。

「狭い園内より、公園などに連れて行ってもらえるのはありがたいのですが、外散歩のルートが、どうも家の前を通るらしいのです。4歳になると、もう自分の家がどこにあるかわかるので、家の前を通るたびに、娘が『ここは私の家だよ』と言っていたようで、ママ友たちの間で、“家バレ”してしまいました」

 真央さんの夫は、法人向けの会計士。一般的に高給取りと言われる職業だ。

「今住んでいる一軒家には、ちょうど1年前に引っ越してきて、今の保育園に転園しました。この地域は、いわゆる高級住宅地ではなく、周りはマンションや団地のような集合住宅が多いので一軒家は珍しかったのか、ママ友たちがずっと売りに出されていたのを見ていたようなんです。娘と親しい子のママから、『ママ友とのグループチャットで『新しく入ってきた子、あの一軒家に引っ越してきた家族の娘さんだよ』とうわさになっていた』と教えてもらいました」

 家がわかると、おのずと生活レベルまで知られてしまうというもの。生活レベルの差は、ママ友との間に壁を生む可能性もあるため、住処を知られたくないというママは少なくないようだ。

「保育園のほうも、散歩ルートを変えてくれればいいのにと思いました。さらに、敷地内に車も停めているので、車種もばれてしまって。去年、忘年会をした時に、『旦那さんは何をしているの?』と聞いてくるママがいて戸惑いましたよ……」

 保育園で出会ったママとは、夫の職業だけでなく、自分の年齢やそれまでの職歴などの話はしたくないと、真央さんは言う。

「この前、Zoomを使ったオンライン井戸端会議をしたのですが、リモートワーク中の夫が一瞬画面に映りこんだのです。すると一番年上のママ友が『旦那さん、見せてよ』って言ってきて断り切れず……。この時は、職業だけでなく、どうやって出会ったかまで聞かれました。あとで、特に仲の良いママ友から『〇〇さんは詮索好きだから、大変だったね』と心配のメッセージも来ましたね。夫の職業を隠しているつもりはなかったのですが、自分から言うのも自慢と思われたら嫌だし。難しいですね」

 真央さんいわく、ママ友グループ内では、プライベートの話題には触れないという暗黙のルールがあると思っていたとのこと。しかし、中にはそうは思っていないママもいることを知ったと語る。今は、在宅時間が長いため、夫のことも話題に上がりやすいといい、ママの中には、「自分から夫の職業を言うか、聞かれたら言うか、それとも頑に明かさないか」が、新たな悩みだという人もいるのかもしれない。

 都下にある幼稚園に、5歳になる息子を通わせている由香里さん(仮名)。彼女は、昨年秋に女児を出産し、週2程度働いていたパートも育児休暇中だ。由香里さんの夫はフリーランスで、書籍や雑誌の特集などの編集やライティングを行っているそうだ。しかし、新型コロナウイルスの影響により、仕事が激減したという。

「3月くらいから、取材や、イベントへのゲスト出演などの仕事でキャンセルが相次ぎました。その時はまだ『そのうちなんとかなる』と楽観視していたのですが、緊急事態宣言で予定が白紙になってしまったんです」

 由香里さんの息子が通う幼稚園は、英会話やリトミックなど、情操教育に力を入れている。周りのママたちは裕福な家庭の専業主婦が多く、新型コロナウイルス感染拡大で、経済的に影響を受けていないようだという。

「ママ友とのグループチャットでは、休園している幼稚園がいつから再開されるかという話題や、子どもにどんなDVDを見せているといった内容で盛り上がっています。正直、そんな話題、どうでもよいのですが……。ただずっと家にいると息子も退屈しているので、たまにLINEのテレビ電話で、親しい子とだけ話しています」

 自粛期間中は、グループチャットの話題も身の回りのことになりがちだという。

「これまでは、夏まつりや運動会などの準備についてや『夏服をいつから着させるか』というような情報交換をする場所だったんです。でも今は、自粛期間中に、どう過ごしているかという話題が主流。Nintendo Switchのゲーム『あつまれ どうぶつの森』をみんなで一緒にやろうという話とか、ネットで名産品をお取り寄せした話とか。うちはゲーム機もないし、お取り寄せはおろかお店でのテイクアウトも控えてるので、チャットもほぼ相づちだけです」

 由香里さんは、困惑した表情を見せながら続ける。

「夫の仕事は先行きが不安で、貸付か給付金を申し込もうと思っています。そんな中、あるママがグループチャットで『四六時中、夫が家にいて息が詰まる』と言い出して。出社禁止、かつリモートワークでは行えない仕事なので、家で旦那さんがずっとダラダラしているそうなんです。親しいママだったので、思わず直接『給与は支払われるの?』と聞いてしまったのですが、会社員のため給与は当然支払われるらしく……。他人を羨ましがっても仕方ないですが、今まで通りの生活を送れているママたちと話すのが苦しくって、最近ではグループチャットで相づちすることさえ疲れてきました」

 このように、コロナ禍では、思いがけず、各家庭の生活が露呈してしまうケースもあるようだ。緊急事態宣言が続く限り、ママたちの苦悩もまた続いてしまうのかもしれない。

半裸のオンナが過激なポーズで客引き!? コスプレイベント「コスホリック」で見た“欲望”のカオス

 突然ですが、「コスホリック」というコスプレイベントをご存じでしょうか? ネットで検索をかけると、肌色面積の広いお姉さんたちの画像がた〜くさんヒットするかと思います。ネットという空間に、こんなエロい写真が残り続けるという意味を、お姉さんたちはわかっているのだろうか……と心配してしまうのですが、そもそも「『コスホリック』って何?」って感じですよね。今回は、この“超カオスイベント”についてご紹介します。

会場内で垣間見る、オンナの哀愁とオトコの欲望

 「コスホリック」(以下、コスホリ)は、2010年から始まった、コスプレ写真集等を販売する即売会のことです。コスホリが生まれるまで、コスプレ写真集を販売できるイベントといえば、主に「コミックマーケット」(以下、コミケ)でした。しかしコミケでは、“過激なエロコスプレ写真集”は販売ができません。コミケに参加するサークルは、当日に運営スタッフから販売する写真集のチェックを受けるのですが、性器などのボカシが不十分だと判断されると、たとえ販売の準備が万端であっても、“発売NG”になることがあります。こうした悔しい思いをしたサークルを救済するべく誕生したのが、コスホリなのです。

 コスホリは、セクシー女優やグラビアアイドル、有名コスプレイヤーの撮影を行っているカメラマンを中心に発足。コミケに比べて規制がゆるいですが、入場時に年齢確認をするので、発売NGになった写真集も、コスホリなら販売OKになることが多いです。むしろ、コスホリに参加するコスプレイヤーにとって、「コミケで発禁になっちゃった!」というのは、完全に“ウリ”なんですよね。

 会場内でできるコスプレの規制もユルユルなため、肌色面積の広いお姉さんたちが大量発生します。「コスプレ写真集を買ってくれたら、エロい写真を撮影をしていいよ(ハート)」という内容のチケット配布、お客さん向けの撮影会を開催するチケット販売まで行われているので、必然的に、エロい衣装を着て撮影意欲を煽るコスプレイヤーが続出することになります。こうした仕組みにより、コスホリ会場は“半裸のお姉さん”であふれ返っているわけです。

 私もコスホリに参加したことがありますが、お客さんやカメラマンさんの気を引こうとして、ほぼ全裸で紐みたいな服(と言えるのか?)を着ているお姉さんや、過激なポーズをとっているお姉さんなどがいて、見ていてちょっと切なくなることも。

 コスプレイヤーはもちろん、本物のセクシー女優さんが気合の入った写真集を販売していたり、無名の女優さんが“自己表現”としてアートっぽいエロ写真を、駆け出しのモデルさんがフェチ系の写真集を売っていたりして、参加者のジャンルは多岐にわたります。お金が欲しいのか、売名行為なのか、承認欲求なのかわかりませんが、女性たちのさまざまな思いと、そんな気持ちはお構いなしに「エロいお姉さんでシコりに来ました!」といわんばかりの、イキイキとした男性参加者のギャップがなんともいえないイベントです。

 コミケの方が来場者数は多いので、たまたま私の写真集を見つけてくれた人や、「このキャラクターが好きだから写真集も欲しい!」という人、「とにかくコスプレ写真集が好き!」という人も、ちらほら購入してくれます。なので、ある程度の売り上げは最初から担保されていると言っていいでしょう。

 一方でコスホリは、来場者数は比較的少ないものの、コミケと同日開催になることがあるので、地方から出てきた“コミケ帰り”の人が遊びに来たりします。もちろん、「コスホリ一択」で朝から18禁写真集を買い漁っている人もいますし、買い物はそこそこに、撮影チケットを買ってコスプレイヤーさんの撮影をメインにしている人もいます。私の場合、そこまで過激な写真集は販売していませんでしたが、コミケの売り上げが「10」だとすると、コスホリも「8」くらいは売れていましたね。

 4月25日に開催予定だったコスホリは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になってしまいました。ですが、同日には「コスホリックオンライン」が開催され、特設ページで写真集のダウンロード販売や通販ができたようです。SNS上では「#エアコスホリ」というハッシュタグをつけて、エッチな自撮り写真を投稿している人もたくさんいました。

 ちなみに、コロナ騒ぎになる前、私は「ちょっと変わったイベントに行ってみたい」という恋人の願いを叶えてあげるべく、コスホリに連れ立って一般参加しました。そこで何を血迷ったのか「このイベント、昔私も参加してたことあるんだよね」と言ってしまったところ、案の定ドン引きされました。そしてその後、 (何が理由かさっぱりわかりませんが)その恋人とは別れることに。……お前がねだったんだろ、バカヤロー!

 新型コロナが終息したあと、「コスホリに参加してみたい」と思っている人へ。くれぐれも、同行者は慎重に選んでくださいね!

「自分がホントの天皇」稀代のニセ皇族“熊沢天皇”現る! 56歳、雑貨屋店主の一生と“禁断の野望”

 皇室が特別な存在であることを日本中が改めて再認識する機会となった、平成から令和への改元。「皇族はスーパースター」と語る歴史エッセイストの堀江宏樹さんに、歴史に眠る破天荒な天皇家のエピソードを教えてもらいます!

堀江宏樹(以下、堀江) 第二次世界大戦後、日本各地で約20人の自称・天皇が出現していたってご存じですか?

――ええっ!? 初耳です。どういうことですか?

堀江 「偽天皇」たちですね。それぞれの家に受け継がれた系図や文物をもとに、自分の正統性を主張するわけですが、専門家が調べれば、すぐにカタがつくケースが圧倒的多数でした。

 そもそも天皇家の歴史は「万世一系」(ばんせいいっけい)、古代から現代までの約2000年間、男系相続によって受け継がれてきました。つまり、同一の家系の中で、「正統後継者」によって、皇位は継承されてきたのです。しかし、皇位継承でモメたことは史上何度もありました。一番大変なことになったのは、「南北朝時代」といわれる14世紀半ばの一時期です。

――歴史の教科書で習ったことはありますね……。あまりよく覚えていないですが(苦笑)。

堀江 14世紀半ばの約57年間、日本には2つの皇室がありました。それが南北朝時代です。後嵯峨天皇(第88代)という方が、2人いた有力な皇子のどちらを自分の後継者にすると決められぬまま亡くなったのが災いしました。2人いた皇子は、母親も同じだし、それぞれが後深草天皇(第89代)、亀山天皇(第90代)というカタチで天皇も経験しています。実力同等の2人は真正面から争うことになります。兄弟が亡くなったあとはその子孫たちが、軍事勢力をも巻き込んで日本中で内乱を生んでしまったのでした。おまけに乱世ということで、天皇の皇子であろうが、伝記が詳しくわかっていない方々もこの頃はたくさんおられます。しかも人間関係が複雑。

 ですから、このあたりの皇族は、偽系図を作る素材としてはもってこいだったと思われます。今回からお話する通称「熊沢天皇」は、南朝時代のある皇子を先祖に持つと主張する偽天皇でした。ちなみに一気に20人ほども出たので、「雨後のタケノコ天皇」とすらいわれた偽天皇たちですが、熊沢天皇はその中でもっとも人気があったとされます。

――戦後のドサクサに紛れて……ということでしょうが、背景が気になります。

堀江 敗戦の翌年である昭和21年(1946年)のお正月には、昭和天皇による「人間宣言」が行われています。そしてその直後の1月18日、熊沢天皇のマスコミデビューが、英字新聞「Pacific STARS&STRIPES」で行われました。「星条旗」という意味を持ったこの日刊新聞は全編英語で、日本と韓国で無料配布されていたアメリカ軍の機関紙です。つまり、熊沢天皇の「デビュー」時期は周到に計算されていたのかもしれません。ただ、熊沢天皇の記事の見出しは「Says He’s Emperor」……「自分がホントの天皇だという男あらわる」という、嘲笑めいたニュアンスが込められていました。

 熊沢天皇こと、熊沢寛道(くまざわ・ひろみち)は当時56歳。すでに頭は禿げ上がり、現代の感覚では70代にも見えますね。本業は、名古屋市千種区内での洋品雑貨屋「日の出や」の経営です。雑貨屋の店主としての平凡な人生に疲れ、天皇に「ジョブチェンジ」したくなったのかもしれませんね。

――天皇に転職ってなかなか斬新ですね。

堀江 熊沢家はもともと愛知が本拠地の資産家一族のようです。基本は広大な土地持ちの農業経営者で、ときどき商業というイメージ。熊沢家は、総本家、本家、分家に細分されていました。しかも同じ熊沢一族なのに、各家によって家紋がまるで違うという、かなり不思議な特徴があります。『天皇の暗号』という本によると、愛知県・一宮市の時之島という地域の熊沢家は2つあり、「上(かみ)の熊沢」の紋はなんと「葵」。尾張徳川家のお膝元で、堂々と葵の御紋を使っているのでした。そして「下(しも)の熊沢」の紋は、さらに驚いたことに、「十六弁の菊」!!

――天皇家の菊の御紋と同じということですか?

堀江 いや、正確には天皇家の御紋は八重の十六弁の菊なので違います。また、明治になって一般人の使用が禁止されるまでは、この手の菊の御紋が皇族以外の人に使われるケースもありました。しかし、葵の御紋は……江戸時代には、徳川家の一族でも使用が制限されるほど厳密に管理されていたのです。熊沢家がいつからこれらの御紋を使っているのかも含め、正確な由来は僕が調査した限りでは不明でした。まったくの謎です。

 それにしても総本家から分家に至るまで、家の数が多い。また地域ごとに本家が存在しており、本当の庶民であれば、こんなことはあり得ません。土地と財産があるから、できることです。後の熊沢天皇こと熊沢寛道は、熊沢の分家の出身。そして、複数存在した本家のひとつの当主だった熊沢大然(くまざわ・ひろしか)に子どもがいなかったので、彼の養子となります。そして、熊沢大然の野望を引き継いでしまうことになるんですね。

――その野望って、もしかして……?

堀江 そう。「民間から皇族へ!」という、禁断の夢の実現への野望でした。

――どえらいことになってきましたが、次回につづきます!

通販サイト「バイマ」の「24回払い対応」で火がつき、“カード破産者”的思考へ……買い物狂いの悲しい性

――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 前々回、私はバイマから8,000円のクーポンを出され、「ぐはあああ!」と血を吐いて倒れました。しかし……私は本当に学習能力のないバカなので、あれからなんにも学んでいなかったのです。

 それは3月31日のこと。27日のカードの支払い(65万2,427円)をなんとか錬金術(フリマアプリでジュエリーを売りまくった)によって工面し、「はあ……これでなんとかカードの利用枠が80万くらいになったわい。この調子で早くカードローンを完済しなくちゃ」と思っていた矢先のことでした。

「カートに残っている商品があります。売り切れてしまう前にぜひご確認ください」

 とバイマからメールが……。そこには「4月2日まで8,000円オフ」の文字も。ま、またこの手を使って来やがったな!? それは私がジミーチュウのバッグを見たときと同じ時期に銀座三越で見つけ、「かわいいなあ」と思っていたトッズのDスタイリングバッグ。カートに入れた覚えはなかったのですが、入れていたらしいのです……。「いつかクーポンが出るかもしれないし、そのとき買うかもしれないし~」なんて思っていたのかもしれません。

 ……ああ、数週間前の私よ。確かにクーポンは出た。出た以上、猛烈に買いたくなる。それがわかっているのになぜカートに入れたあああ! 謀ったな!!

 私は夜の街灯に吸い寄せられる夏の虫のごとく、ふらふらとバイマのサイトを開きました。なになに、定価25万円のバッグが15万5,000円で売られている……。しかもここからクーポンで8,000円オフ……。根が貧乏性の私は、悲しいことに「値引き」「お得」という言葉に無条件に反応してしまうのです。それもこれもフリマアプリで培われてしまった価値観……。「値引き率がめちゃくちゃいいなら絶対買うべし!!」と頭の中のもう一人の私が叫んでいます。そんなこと言ったってなあ……。あたしゃ、逆立ちしたって金なんてないよ……。そのときでした。バイマの支払いの仕方を見ていた私は、あるコメントにギューンと目が吸い寄せられていきました。

「24回払いにも対応しました」

 に、にじゅうよんかいばらい!! 15万5,000円の24回払いなら毎月7,000円くらいだぞ!? もう完全にカード破産者の思考です。買えるかもしれない、と思った瞬間に俄然元気になり、私はトッズのDスタイリングについて調べまくりました。

 「一生もののバッグ」「定番だから流行遅れということがない」「茶色いバッグは一個は持っていたいマストアイテム」なんてコメントを何度も何度も読み、「そうだ! そうなんだ!」と購買意欲をめらめらと高め、購入ボタンをついにポチりました! よし、24回払いで買うぞ~~~!!!!!!

 しかし、次の瞬間。「楽天カードは12回払いまでしか対応していません」という信じられないコメントが小さく書かれているのを発見しました。

 ええええええええええーーーー!?!?!?!? 12回払いしかできないだと~~~!? 12回払いといったら……月1万4,000円くらい……? 払えなくもないけど……なんかやだなあ。私はむっつりしながら、12回払いに数値を戻し、「ええい、やっぱりこれは神様が買うなと言ってるのではないか」と悩み……結局、イチかバチかで「24回払い」で送ってみることにしました。これでもし通ったらそのときは、後からの処理で12回払いにされたとしても、あたしゃ払うよ。そう賭けに出たのです。

「…………」

 注目の結果は……。24回払いのまま通りました! なぜかはまったく不明です。楽天カードと言えど、クレジットカードの場合「マスター」とか「ビザ」とみなしてくれるのでしょうか。そのへんはよくわからないのですが、無事に24回払いで通すことができました。はあ、通った……。

 しかし、この買い物が、私の買い物欲に火をつけることになったのです……。買い物を終え、バイヤーさんと「〇日までに発送します」「ありがとうございます!」なんてやりとりをしているうちに私は蜜の味を思い出してしまいました……。

 そう、私は販売員さんとこのようにお話しすることにものすごいうれしさを感じる体質。「洋服は店員さんで買う」なんて言葉がありますが、私もそうなのです……。良い接客をされるとつい買ってしまう。買った時に販売員さんが本当にうれしそうに「ありがとうございます!」と言ってくれるのがたまらなくてやめられない……。

 それはオンラインショップであっても、なのです。今回のバイヤーさんはとても良い方で、購入してからバッグの色味について一生懸命説明してくださり、「もしご希望の色と違ったらキャンセルも可能です」なんて言ってくださいました。そんな親切にされたら……私、買うしかないよ! そんなわけで、大満足な買い物を終えたとき、私の中でむくむくと「まだなんか買いたい」欲が膨らんできました。だってさ……24回払いできるやん? へへ。24回払いなら多少高いものでも買えるよ……へへへ。

 そんなわけで泥酔した人間のような思考で私はバイマをさまよい始めたのです。予算は残り枠80万じゃい! ということで次回に続く!

Amazon「プライム・ワードローブ」で“奇跡”到来! 買い物狂い、17万5,000円のペリーコで「オシャレ番長」目指す

――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 前回、私は「本物のオシャレさんは靴とバッグにお金をかけるもの」と言いましたわよね? 本の受け売りだけど、あたしは思いっきり信じたの。そこでブランドバッグを購入した結果は……わかるわね?

 オシャレのためには多少の犠牲はいとわない! たとえカード破産が日に日に近づいていようとも、私は最後の日まで戦うのだ!!

 というわけで、今回は靴です、靴。靴はほんっとーに苦手なんです、私。というのも、私は足のサイズが25~25.5cmなので、「あらちょっと靴見ようかしら」なんて感覚で靴屋を覗いても、可愛い靴はみんな24.5cmまでしか作っていないので、サイズがないんです。しかも、ヒールの高い靴って足が痛くなりそうだし……。

 そのため、今までの私はもっぱらスニーカーばかり履いていました。無難、というだけの理由でナイキの灰色のスニーカーを……。そんな私に意識改革が訪れたのは去年の夏のこと……。

 とあるサイトの取材記事を作るために上京した私はそこで編集長に会ったのですが、その編集長は私の恰好を見た瞬間、「え? え?」と言ったのです。

「その靴なに? そのずたぼろのバッグも何?」

 何って、ナイキのスニーカーですけど。バッグは……いつだったかの雑誌の付録ですけど……。

 それから、オシャレな都会人の編集長は、私をいじり倒しました。そこで私は知りましたね。「無難」というだけで、選ぶアイテムなどこの世に存在してはいけないのだ、と。無難とか実用性が高い、なんてものはいらんのよ、ファッションには!! オシャレは我慢!! 血がにじんでもヒールを履くべし!! スニーカーは地底の底に封印してやるうううう!!

 そんなわけで、私は大足でも履けるようなヒール靴を探して、オシャレな雑誌を読みまくりました。そこで目についたのが「ペリーコ」というブランド。ペリーコとは、イタリアのヴェニス郊外フォッソに本社・ファクトリーを持つシューズブランド。日本公式サイトによると、「シンプルでありながらも洗練されたエレガントなデザインと美しい色使い、そして良質な素材と卓越した職人技術により生み出される最上級の履き心地の靴を提案します」だそうです。うん、ほんとシンプルなのに佇まいが素敵なのよねえ。

 雑誌で「お、この靴かわいい!」と思うと、大体ペリーコ。ペリーコの靴を履いたら私のイイ女度がめちゃんこ上がる気がするのです。欲しい。履いてみたい。またもや、私の物欲センサーがウィンウィンと黄色く点滅し始めました。

 んん……!? この「ショートブーツ」、めちゃくちゃかわいいやんけ!!!

 それは、バックにチャックが付いた細いブーツでした。金の金具がとっても可愛いのです。こ、これ欲し~~~!!!!!!

 とはいえ、ペリーコはブランド靴としてはリーズナブルと言えど、ブーツは約8万円。おまけにサイズ感がわかりません……。フリマアプリを覗いてみると、「38.5サイズ」が7万円くらいで売っていましたが……どうしよう、ええい、買ってしまおうか。

 そのとき、私は胸に手を当てて今までの出来事を考えました。「安い!」と飛びついて、フリマアプリで購入した数々の靴たち……。期待に胸を膨らませて履いてみたものの、小さかったり大きかったり、甲がきつかったりして捨ててきた数々の靴たち……。

 そう、靴というものは「なにこれ、ぴったりじゃない!」などというシンデレラストーリーなどめったに起こらないものなのです。危険だ……危険すぎる……。7,000円で売ってるならともかく、7万て!

 そこで私は次なる策を思いつきました。Amazonの「プライム・ワードローブ」を使おうではないか! と。プライム・ワードローブとは、服や靴を試着することができるプライム会員向けのサービスのこと。クレジット決済をしなくても大丈夫ですし、送られてくる箱の中にヤマトの伝票が入っているので、そのまま貼り付けて返送することが可能なのです。これだ!!!!!!

 私はすぐさまプライム・ローブの中からペリーコの靴を探しました。おお、あるある。ちゃんと25cmのもあるぞ。しかも、定価5万のパンプスが3万に値下げされてる!! これもこれも値下げされてる!! こ、これは……「狩人、罠にかかる」ってヤツだろうか……。私はこれからしようとしている行為に一抹の不安を覚えました。サイズを見るだけのつもりで注文しようとしているけど、これはAmazonの罠……? もし届いた靴が気に入ったら……そのときは……、3足の靴をカートに入れたところで総額を見ると……10万5,000円でした。

「…………」

 さすがの私(買い物狂い)も震えましたね……。返品する気満々でしたが、ちゃんと返品できなければ8日後にこの価格を請求されちゃうのです。いやそれより、注文した靴全部気に入っても、この価格よ……? 気に入ったら、絶対欲しくなる私。今月もカード利用料40万コースか!?

 戦々恐々としながら注文ボタンをポチッ!! なんと翌日にはAmazonさんから靴が届きました。ほんと、相変わらず仕事がはやいわあ……。

 初めて対面するペリーコの靴は、箱からしてそんじょそこらのピンク色の箱じゃありませんでした。「ペリーコ」の文字がしっかり入っています。開けると、ペリーコの布袋が入っており、丁寧に丁寧に片方ずつ靴が薄紙で包まれていていました。……おお、靴も美しい

 どうしよう、私マジで欲しくなってきちゃった。今月も支払いのために一生懸命働いている私だけど、また12回払いで靴を買ってしまう……? でも、オシャレはバッグと靴なのよ、N子! このペリーコの靴を履けば誰しもが私を「オシャレ番長」(?)だと認めてくれるわ! 勇気を出すのよ、N子!

「フンッ!!!!!!」

 勢いよく靴を足に入れた私は、次の瞬間、あまりの窮屈さに「ぐえええ」と唸りました。ち、ちいせえええええ!!!!

 なんだよ、これ!? ほんとに25cmなの!? 幅も長さもぎっちぎちなんですけど!! ほんと、シンデレラに出てくる姉の気分でしたよ……。なんとか靴に足をねじ込んでみるものの、痛くて歩けやしないよ……。

 そんなわけで今回は17万5,000円(Amazonの靴3足とフリマアプリのブーツ)の借金を奇跡的にまぬがれた私です……。ああ、靴が買えなくてよかったというべきなのか……。私に合う靴は一体どこにあるの……? 25cm~25.5cmの靴でオシャレで可愛くて安い靴の情報求む……。

認知症の父が土下座で「至らない人間で申し訳ない。許してほしい」――介護する娘に、頭を下げた

“「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける”
――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社)

 そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。シングルマザーの春木直美さん(仮名・53)の話を続けよう。脳梗塞を二度起こした母・八重子さん(仮名)、心疾患と進行した胆管がんを抱える父・謙作さん(仮名)の二人を介護をしていた直美さんは、退院して自宅に戻った謙作さんのひどいせん妄で疲れ果て、自宅介護は限界に達していた。孫を置いて仕事に行こうとする娘、ひとみさん(仮名・27)にキレてしまうほどだった。

(前回:「父のせん妄で、もうめちゃくちゃ」育児と仕事、両親の病――追い詰められた自宅介護の果てに……

「非常識だ」医師からの激怒

 病院は受け入れてくれず、ケアマネは相談にも乗ってくれない。直美さんが最後に助けを求めたのは、謙作さんが心不全を起こしたときに診てもらったクリニックの医師だった。

「このままじゃ、私は死んでしまう。もう3日も寝ていないんです。父の下血は鮮血なんです」と窮状を訴えた。

 直美さんは以前、病状が安定した患者が在宅復帰に向けた医療を行う「地域包括ケア病棟」というものがあることを前にケアマネから聞いていたので、「地域包括ケア病棟に紹介状を書いてほしい」と頼み込んだ。

 だが、医師に書いてもらった紹介状を手に、地域包括ケア病棟のある病院に駆け込んだ直美さんは、そこの医師に激怒されたという。「急に来て、入院させてくださいなんて非常識だ」と。

 直美さんは、紹介状を書いてくれた医師にお詫びの電話を入れた。そして数日預かってくれる施設すら紹介してくれないケアマネを電話先で怒鳴った。

 途方に暮れていた直美さんに、救いの手が伸びた。紹介状を書いてくれたクリニックの医師が地域包括ケア病棟の担当医に直接電話をしてくれたのだ。激怒した医師も謙作さんの状態が良くないことがわかり、病院のベッドを空けてくれた。

 よかった、というべきなのだろうか。いや、こうまでしないと誰も動いてはくれないということなのだ。すべての扉を閉められて、追い詰められている親や家族がいったいどれくらいいるのだろう。それを考えると、暗澹たる気持ちになる。

 謙作さんのせん妄がひどく眠れない日が続いていたにもかかわらずき、子どもを押し付けて仕事に行こうとするひとみさんに、直美さんがキレてしまったときの謙作さんの姿が、今も忘れられないという。

「椅子を布団に投げつけて、家を飛び出し、ファミレスでビールを飲んで頭を冷やして家に戻りました。すると父が私に『至らない人間で申し訳ない。俺が悪いんです。許してください』と土下座したんです。母が倒れてからは優しくなりましたが、昔気質で怖かった父が頭を下げている。父にそんな思いをさせてしまったことが悔しくて、悲しくて、『お父さんは悪くないよ。ここまで育ててくれたじゃない』と父を抱きしめました」

 地域包括ケア病棟に入院した謙作さんを診察した医師に、「もう在宅でみるレベルじゃない」と言われ、驚いたという。

「この病院のスタッフには感謝してもしきれません。薬を整理して全身を丁寧にケアしてくれただけでなく、父が夜中にせん妄を起こして私の名前を呼んで探し回っても、怒ることもなく、父に『私が直美よ』と言って落ち着かせてくれていました」

 これがプロというものだろう。もちろんこれまでに直美さんにかかわってきた人たちも、皆プロだったはずなのだが――。

 謙作さんはこの病院で2カ月過ごし、病院の系列の老人保健施設に移った。認知症も進み、要介護4となっていたので、「自宅に戻せる状態ではない」と判断されたのだ。老人保健施設に入って1カ月後、謙作さんは誤嚥性肺炎を起こし、病院に運ばれた。

「入院手続きをしていると急変しました。医師や看護師が集まっていて父に近づけなかったので、せめて足だけでもと思ってマッサージをしていたところ、30分ほどであっけなく亡くなってしまいました」

 謙作さんの葬送、寺や葬儀社の手配をし、施設に荷物を引き取りに行く……と、直美さんは謙作さんの死を悲しんでいる間もなかったし、八重子さんのところに行く余裕もなかった。

『M 愛すべき人がいて』浜崎あゆみ役・安斉かれんの“奇跡のような演技力”をホメゴロス!

テレビ・芸能ウォッチャー界のはみ出し者、佃野デボラが「下から目線」であらゆる「人」「もの」「こと」をホメゴロシます。

【今回のホメゴロシ!】話題のドラマ『M 愛すべき人がいて』ヒロイン・安斉かれんの奇跡的な野面(のづら)ポテンシャル

 とんでもない女神が降臨したものだ。一体どこでこの逸材を見つけてきたのか。話題のドラマ『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日・Abema共同制作)でヒロインを演じる安斉かれん。彼女の唯一無二の存在感に、いま多くの視聴者が目を奪われている。

 浜崎あゆみの半生を描いた小松成美氏の小説『M 愛すべき人がいて』(幻冬舎)を原作とし、オリジナル要素を加えて実写化した本作品は、往年の大映ドラマ的ドラスティックさと頓狂さを前面に押し出し、視聴者がSNS実況で盛り上がるための仕掛けを随所に仕込んだ、いわゆる「ツッコミ待ちドラマ」だ。放送開始前は、いかにも辣腕テレビマンと広告マンが「周到にマーケティングして作りました」という作為が匂って、やや鼻白んだものだが、第1話冒頭、港にて「平成の歌姫・アユ」に扮した安斉が「あの日も海を見ていたな……」というキメ台詞とともに、面白サングラスをスチャッと外した瞬間、こちらの色眼鏡もふっ飛んだ。「このオリジナリティあふれる“抑揚”……ただ者じゃない……」。そこには作為も目論見も軽く飛び越えた「奇跡」があった。

 物語は、生まれ育った福岡の海を前に、アユが「私、東京に行って夢を叶える!」と、ふわっとした野望を語り、上京するところから始まる。初めて降り立った渋谷の街を歩き「(ベタ凪ぎの抑揚で)東京っておっきいんだな〜」とビルを見上げるアユ、「(驚天動地の演技力で)ここがベルファイン? すごい階段」と六本木の巨大ディスコに入店するアユ。もう目が釘付けである。

 上京後も三流タレントとして鳴かず飛ばずだったアユは、のちに三浦翔平演じるレコード会社「A VICTORY」の専務マックス・マサ(エイベックス会長CEO・松浦勝人がモデル)にその原石としての価値を見いだされ、スーパースターの階段を駆け上っていくのだが、その前段で「ブレーク前の垢抜けない田舎娘」の雰囲気をいかに自然に出せるかが肝であり、このドラマの勝敗はそこに賭かっていると言ってもいいだろう。その点において安斉ほどの適役はおらず、これこそが演技経験ゼロ、何色にも染まっていない彼女がアユ役に抜擢された理由ではないだろうか。

 とにかく安斉の佇まい・表情・しゃべり方・発声・動き方・姿勢・全体を包むオーラが、このドラマのなかで求められるアユのキャラクターとドンピシャに合致しているのだ。もちろん狙い澄ました企画・脚本・演出の妙は前提としてあるのだが、安斉の“原石”感が、このドラマの面白さを大いに牽引していると言ってもいい。いや、原石どころの話ではない。もはや切り出したままの石の肌、野面(のづら)である。

 第1話で売れない三流タレント時代、アユがドラマで端役をもらったシーンが白眉だった。あまりの大根演技に監督から激しいダメ出しを食らうのだが、こんなにもナチュラルに、あたかも演技していないかのように「芝居がヘタという芝居」をこなせるヒロインはそういない。

 第1話クライマックスの噴水前のシーンもたまらない。「A VICTORY」からの引き抜きを阻止しようとする所属事務所・中谷社長(高橋克典)の迫害を恐れ、「マサさんごめんなさい。アユ、アユ……」と泣きながらたどたどしく語り出すシーンなど、やしろ優がカリカチュアライズする「浜崎あゆみのしゃべり方」をも凌駕して、むしろ「あろれ、芦田愛菜だよ?」に近づいており、もう爆笑で失神寸前。「神様、安斉かれんをありがとうございます」とテレビの前で跪き、祈りを捧げずにはいられなかった。

 さらに第2話では物語の真髄、そしてこのドラマにおける安斉の存在意義にも抵触するシーンが展開される。マックス・マサが「い〜いダイヤの原石だ(アユの頬に触れながら)」「自分はダイヤの原石なんだと思えば、その時点でそうだ」と切り出すと、アユは野面感たっぷりに「アユは……アユはダイヤ……アユはダイヤになる。ダイヤになる!」と応じる。もし千鳥ノブが副音声を担当していたら「大野面(おおのづら)じゃ!」と間髪入れずに叫んでいたことだろう。

 安斉の野面の魅力を存分に引き出す、よく練られた脚本にも唸る。「アユ……負けない!」「アユ……できるようになるのかな……」「♪おーあいらびゅ〜 ♪おーあいらびゅ〜」(レッスンでの歌唱シーン)など、リモートワークで鈍りっぱなしの腹筋を存分に鍛えてくれる台詞群はサービス満点だ。それにしても、「はい」「うん」などたった2文字の台詞でさえ、彼女の台詞回しのユニークさが屹立しているのだから、返す返す稀有な材器である。

 第2話ラストシーンでは、数年後にミリオンヒットを飛ばし一世を風靡したアユが巨大スタジアムで「Boys & Girls」を歌う姿がある。「これまでの野面っぷりは、成功して垢抜けていく未来の姿の前フリだったんですよね! そのプロセスを見られる。なんという至福!」と前のめりに見入るも、あれ……? 「みんなー! 空に虹がかかったなー」ってMCが野面だぞ? さらに、浜崎本人の音源に乗せたリップシンクもかなり野面だ。どういうことだろう? いや、そういうことなんだろう。

 第3話(5月2日土曜日放送予定)では、さまざまな試練と苦難を乗り越え、マックス・マサがアユを“アーティスト”として売り出すまでが描かれるそうで、アユの立ち姿や発声がどう変わっていくのかに注目だ。ところが予告映像を何度見返しても、相変わらず野面のままだ。つまりこれは、本作品の放送終了後、安斉をほかのドラマや映画で見られる可能性は、彼女のアメイジングなポテンシャルのために「ないに等しい」ことを意味するのだろう。賭けてもいい。そう、これは、今この刹那にしか見ることのできない、儚くも貴重な野面なのだ。その輝きを一瞬たりとも見逃さず、最終話まで刮目して見届けよう。

店長に枕営業、ストーカーする常連客と女同士の“ドロドロ”……メイド喫茶の闇、“元メイド長”がぶっちゃけます!

カネと欲望が渦巻くコスプレ業界――40代“現役”コスプレイヤー・椎名蜜が、業界の闇をぶっちゃけます!

 私は若かりし頃、メイド喫茶で働いていたことがありました。今でこそ秋葉原には多数のメイド喫茶がありますが、当時はそんなブームが来る前です。衣装がかわいい、漫画やゲームといった“二次元”が好き、気の合う友だちもできそう……そんな理由で働きはじめました。「友だちなんてとんでもない」という、ドロドロとした世界だとは知らずに、です。

大学生の同僚が、私の胸ぐらを掴んで号泣!?

 私が働いていたお店では、メイドさんのチェキを販売していました。その売り上げがいいメイドさんは、時給が上がるシステムだったんです。もちろん、私も時給を上げたかったので、身なりに気を使ったり、ご主人様(お客様)には明るい対応を心掛けていました。その結果、まあまあ売り上げがよく、トントン拍子でメイド長(バイトリーダーみたいなもの)まで登りつめます。ご主人様に話しかけられることも増え、オタクな話題で盛り上がれるし、「最高の職場だわ……!」と思っていましたが、やはりうまい話ばかりではなく、そういう私を見て、嫌な顔をする同僚が出てくるわけです。

 ぶっちゃけた話、そのとき私は結婚していたので、生活に困窮していたわけでもなく、モテたいわけでもなく、「ヒマだから、誰かかまってくれるとうれしいな〜」くらいの感覚で働いていました。そんな中、実家で暮らす普通の大学生で同僚のAちゃんは、私に嫉妬心を燃やしていたよう。

 ある日、休憩室で突然「なんで、なんであんたばっかり!!」と、胸ぐらを掴まれて号泣されたときは驚きました。今思うと、彼女はただのかまってちゃん&メンヘラだった気がしますが、とりあえずメイド長という肩書を与えられているので、「泣かないで、いつもニコニコしてるほうがかわいいし、ご主人様からも認められると思うよ?」ってな感じで、当たり障りのない言葉でなだめるのがお決まりのパターンでした。

 しかし、Aちゃんは日に日に“病み”を増していきます。手首に包帯を巻いて出勤したり、ご主人様に「メイド長にいじめられている」と吹聴したりもしていました。Aちゃんの件で私まで病みそうになったことと、常連のご主人様にストーカーされたことで嫌になり、「メイド喫茶辞めようかな〜」と思っていた頃、店長が変わります。今までの店長は、スタッフみんなのパパ的な存在の人でしたが、新店長は社会経験が少なそうな若造……悪い予感は的中してしまいます。

店長との“枕営業”でリーダーの座を奪ったオンナ

 新店長は、勤務中にもかかわらず、Aちゃんからの悩みを延々と聞いてあげていました(多分、私の悪口かな?)。2人の空気感が変わっていくのに、そこまで時間はかかりませんでしたね。新店長が着ていたTシャツをAちゃんが着て出勤し、わかりやすい感じで“新店長のオンナ”になったAちゃんに、私はメイド長の座を奪われます。新店長は私に「評価制度を変えたから」と、よくわからない理由を説明しましたが、まあ、Aちゃんの枕営業だと思います。これで「人間関係めんどくさいなあ……」と絶望し、メイド喫茶をすぐに辞めました。

 そんな2人の関係を、ほかのスタッフやご主人様たちが気づかないわけありませんよね。新店長とAちゃんが付き合っているウワサが広まると、Aちゃんのチェキの売り上げは激減。さらにお店自体の売り上げも減っていったようで、このメイド喫茶は閉店してしまったそうです。

 もう30年くらい、こういった業界を見つめてきた私ですが、女という「性」をお金に変える業界って、どこも一緒なんだなあと思います。女同士のドロドロとした嫉妬があったり、ちょっとおかしなお客様がいたり、それを牛耳るトップが一番うまい汁を吸っていたり。ちなみに、つい3年ほど前、熟女でも働けるコスプレBarで少しだけ働いていたのですが、オーナーは思いっきりヤ○ザでした。見るからにそっち系の人でしたが、話してみると漫画オタクで、『幽☆遊☆白書』(集英社)の話で盛り上がったのはいい思い出ですけども。

 「好きなことを仕事にしたい」という純粋な気持ちは何よりですが、こうした面倒ごとに巻き込まれ、のちのちトラウマになるかもしれませんから、職場選びはどうか慎重に!

ファッション通販サイト「バイマ」に思わぬ“盲点”!?  ジミーチュウのバッグを買おうとしたら2万8,000円も損したワケ


――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

「本物のオシャレさんは靴とバッグにお金をかけるもの」――オシャレの本を読んでいると、10冊中8冊はこう書いています。服は消耗品だけど、本革の靴とバッグなら手入れ次第でかなり持ちます。だから、服をいっぱい買うより、購入すべきは靴とバッグです、とね。

 マイオシャレブームが到来してからというもの、オシャレ本の言うとおりにシンプルなTシャツやら黒のスキニーや白パンツを集めた私でしたが、なーんかこう、コーデにパンチが生まれないなーと思っていました。今まで、オシャレはパンチ&誰も真似しない独創性だと思い込み、Tシャツにヒョウがでかでかと書いてあるものや、紫のペイズリー柄のTシャツなどを着ていました。でも、おしゃれの本を読むと、誰一人として派手な柄物Tシャツは着ていないんですよね……。

 その代わり、バッグにスカーフを巻いたり、「ほお!」と思うような、かっちょいい靴を履いています。服と靴とベルトを隠したら、無地のTシャツに無地のズボンで、ほぼ、平日のイオンで見かけるような凡人ファッション。でも、逆にそれくらい服は無個性でイイ……。シンプルでベーシックなものを小物で味付ける……。そうか、そうだったのか! 我、おしゃれの神髄、見切ったり!!

 というわけで、オシャレなバッグを購入したい熱が爆上がりした私は、ここらでいっちょブランドもののバッグを買ってやろうじゃないの、と思ったのです。

 早速フリマアプリを開き、高いもの順からバッグを見ていく私。エルメス、シャネル、グッチ、ふむふむ……。限りなく高いものが出てくるので、買い物バカの私もさすがに30万円を上限にリサーチしなおしました。それでも、余裕で100個以上出てくる30万のバッグたち。あな、おそろしや。

 うーん、シャネルのツイードバッグ、可愛いけどどうかなあ……。

 そのとき、ふいに「あんた、そういえば欲しいバッグあったじゃないの!」という声が聞こえました。頭の中でもう一人の私が叫んでいます。

「ほら! 去年の夏に銀座に行ったときにふらっと入ったあの店よ! たしか名前は……チュウよ!」

 あっ!! その瞬間、私もすぐに思い出しました。買う気もなく、ふらっと寄った路面店でなんとなく目にしたジミーチュウのバッグ。「これは小さすぎですよね~」とか言いながら長財布を入れたらぴったりだったのです。確か価格は25万円くらい。目ん玉が飛び出る価格で、そっと棚に戻したけど、たしかにあの子は可愛かった!

 記憶を掘り出していくうちに妄想がむくむくと膨らみ、ついに私は「あの子がなんとしても欲しい! 全力ギュパー!!」な状態になりました。こうなった私は、もう誰にも止められません。

 「2019夏のコレクション」で検索をかけ、バッグの名前が「ジミーチュウ スタッズドローストリングバッグ」だということを血眼になって突き止めると、次は購入できるウェブサイトをチェック。とんでもなく安く出品しているサイトが、「サイト名+詐欺」で検索をかけたらヒットした、なんて冷や汗ものの体験を経験した末に、「バイマ」というサイトにたどり着きました。

 バイマは世界中のバイヤーと購入者を繋ぐファッション通販サイトとのこと。どうやらちゃんとしたサイトらしいです。カード払いもOKだし、あんしん保証に加入すれば、初期不良の返品もできるとのことでした。

 私のお目当てのバッグも、最終バーゲン中なのか、11万6,400円と53%オフになっていました。バイマではいろんなバイヤーさんが各々で売値を決めているので、同じ商品なのに価格はバラバラです。安値の同商品を探しているうちに、私は約10万円のものと約12万円のものの2つに絞りました。高いほうはちゃんと「ジミーチュウ スタッズドローストリングバッグ ジュノS」と明記がしてあり、安い方は「ジミーチュウ バッグ」としか書かれていませんでした。写真を見る限り、同じ商品に見えるけど……怪しい。

 とりあえずどっちもカートに入れて、安いほうのお店の方にメッセージで「スタッズドローストリングバッグ ジュノSかどうか」を聞くことに。しかし、土日のせいか、はたまた時差のせいか、なかなか連絡が返ってきません。

 この記事を読んだことのある読者の方ならもうお気づきでしょう……。私は「買う」と決めたら1秒たりとも待てない女。たった1日前まで1秒も思い出すことなく暮らしていたくせに、もう喉はカラカラ。目はギラギラ。イタリアとの時差を調べまくって、「まだ連絡が来ない」とへとへとになっていくうちに、もう待てない! と開き直りました。

 どうせ、そっちはジュノSよりちっちゃいモデルなんでしょ! じゃなきゃ2万円も変わったりしないはず! ワタクシ、こっちの高い方を買いますわ!!!! ポチッ!!!!

 その翌日のことでした。安いほうのバイヤーさんからコメントが届きました。

「はい! こちらスタッズドローストリングバッグ ジュノSでございます」

 ぬ、ぬ、ぬあんだってええええええ!!!! あたしゃ、たった1日を待てずに、2万円も失ったんかい!!!!!!

 そして商品が無事に家に届き、傷も癒えた頃……。バイマから、さらに私の傷口をえぐるメールが届きました。

「カートに残っている商品があります。売り切れてしまう前にぜひご確認ください。8,000円クーポン」

 ぬ、ぬ、ぬあんだ、このクーポンはあああああああ!!!!!!!!

 そう、私はバイマ初心者だったので、このサイトがクーポンを連発しまくるサイトだということを一切知らなかったのです。カートに商品を追加してしばらく待っていると、バイマのほうがしびれを切らしてこうした高額クーポンをほいほいくれるというわけ……。みんな……私の代わりにこの方法で安くブランドバッグを買ってください……。ゴフッ(遺言)。