エルメスのスカーフがきっかけで、総額61万円の大散財! 「スカーフ額」の注文でコストカットをもくろむも、意外な落とし穴が……


――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 90cm四方のエルメスのスカーフを額縁に入れるという壮大な計画を思いついて早1カ月(連載第41回参照)。額縁屋さんから「45万円」という請求書が送られてきたわけですが、いまだに私はカードを切れずにいました。

 その理由は、やはり額縁のお値段。2~3万円の額縁なら、「これも人生経験。失敗してもいいよね」と思えるのですが、これから購入しようとしているのはなんてったって45万円の額縁……!! 45万円ですよ……!? スカーフの柄に飽きてしまったり、絵が部屋のインテリアとマッチしなくなったら……と考えると、背中がヒューっと寒くなるではありませんか。絶対メルカリに半額なんかで出品したくないですし、スカーフ代込みで50万円ですから、半額でも25万円。出品したところできっと売れないでしょう。しかも、スカーフはボードに貼り付けてしまうため、本来のスカーフとしては使えなくなる……。つまり、一度スカーフを額装してもらったら、そのスカーフ&額をずーっと愛でなければいけないってことなのです! まさに一生の買い物!!

 うーん……。やっぱり、もっと悩むべきな気がするよねえ……。1m四方の額縁……。そんな簡単に、ポンっと買っていいものじゃない気がする……。

 結局、「本当にあの柄でいいのか?」という考えに至った私は、エルメスの公式サイトを開きました。今まで、まるで「メルカリでしかスカーフは購入してはいけない」という法律でもあるかのように、メルカリでばかりスカーフを購入していた私ですが、一生ものの額に飾るなら新品でも全然いいんじゃないの、と思ったのです。むしろ、なんで今まで中古で選んでたんだよって話!!

 エルメスのページを見ると、さまざまなスカーフが載っていました。お値段も90㎝で5万5,000円くらい。……あれ? 私、「中古だから安いだろう」と思ってメルカリでスカーフ買っていたけど、定価とほぼ同じ値段で買ってる……という衝撃の事実にも気づいたところで、ふいに気になる商品を発見しました。

 それは、「カレ壁掛け用マグネット」。「エルメスの90cmサイズのカレを壁面にディスプレイするキットです。マグネットでカレの四隅を挟んで固定します。お手持ちのカレを傷つけることなく、気分に合わせて変更しながらお楽しみいただけます」と商品説明が書かれています。ほおお~~~~!?!?!?!? それ、めちゃくちゃ私の理想の飾り方なんですけど!?

 「カレ壁掛け用マグネット」は、壁に穴を開けてスカーフを吊るす商品とのことでしたが、さらにネット検索をすると、壁に穴を開けずにそのまま額装している人も見つけました。メルカリでも結構な数が出品されていて、その理由は「部屋のどこに穴を開けるか考えているうちに時間がたってしまった」というものがほとんど。

 これだ!! スカーフを挟み込んで吊るすタイプなら、万が一飽きても取り替えられるし、スカーフとしても使えるじゃん!! それに額装してもらえば、壁にいくつも穴を開けなくてもすむんじゃないの……?

 そんなわけで、すぐさま額縁屋さんに連絡。「このマグネットを使った額装をお願いしたいです!」と問い合わせてみました。すると……。

「お送りいただいたマグネットを使用しての額装も対応可能です! こちらだと、スカーフを板に貼り付ける方法ほどはピシッと張った仕上がりにならない可能性はございますが、鑑賞に耐えられないほどということはないと思いますので、将来的な取り替えも考慮すると、良い方法ですね。フレームのサイズが大きくなるため価格が変わります。マグネットを使用した場合でのお見積もりをお送りいたします」

 そうでしょう、そうでしょう。貼り付け代金は確か7万円弱だったからその分、かなり安くなるわ~、うくく!!!!

 そうして送られてきた見積書がコチラ。

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額縁 サイズ2200 36万1,548円
マットボード サイズ2200 2万7,588円
立体加工代金  サイズ2200 6万0,528円
送料 / 梱包料 / 補償料 1万9,400円
合計金額 46万9,064円

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 約47万円也~~~~~~!!!!!!!!!! エルメスのハンギングセットが8.6万円なので、しめて50万円超え……。ここまで相談しておいて、「やっぱいいです」と言うわけにはいかなかったので、その日にカードで決済を済ませましたが、一瞬でカードの利用枠が残り18万円となりました……。手数料をケチって2回払いにしたけど大丈夫かな……。5万5,000円で購入したエルメスのカレも含めると、「スカーフ額」にかかった費用の総額は、61万1,000円。これから2カ月、あたしゃ藻を食って生きていくよ……ふはは……。

「お前、友達いないだろ!?」人気コスプレイヤーが遭遇した、「ファッションメンヘラ」の実体験被害エピソード

カネと欲望が渦巻くコスプレ業界――40代“現役”コスプレイヤー・椎名蜜が、業界の闇をぶっちゃけます!

 こんにちは、椎名蜜です。突然ですが、この連載も次回で最後となります……! ということで、私がコスプレ界で学んだことをお伝えして、締めくくりたいと思います。それは、「メンヘラと付き合うな」ということです。コスプレとなんの関係があるのかと思うでしょうが、実際、私は多くの“メンヘラコスプレイヤー”と出会いました。

 ここで言う「メンヘラ」とは、基本的に“ファッションメンヘラ”のこと。体調が悪いことをSNSでアピールしてくる(黙って寝てろ!)、夜中に大量の「今から死ぬ」LINEが届く(もちろん翌朝も元気)など、個人的には、そうした行為をとる人が“ファッションメンヘラ”だと認識しています。「かまってちゃん」ともいえるでしょう。

 優しい人は「私がなんとかしてあげないと」と思うかもしれませんが、それが終わりの始まり! 「メンヘラと一緒にいると、こっちまでメンタルがやられる」というのが、私の経験です。ということで、身近にいたメンヘラのことを思い出しながら、その特徴をまとめてみました。「こんな感じの人が近くにいたら、ちょっと気をつけよう」くらいの気持ちで見てください。

やたら“自撮り”をする

 今や自撮りは当たり前な時代ですが、度を超えた自撮りをする人は「かまってちゃん」度が高く、メンヘラの可能性も高いように思います。とにかく自分の話しかせず、こちらの話は聞こうとしなかったり……。SNSに自撮りを投稿しまくるタイプの人も、メンヘラが多かった印象です。ちなみに、このタイプは一般人であっても“ファン”を抱えていることがあり、味方をつけるのもうまいので、敵に回すと一番厄介なので気をつけましょう。

 私は、まさにこのタイプのコスプレイヤーと仲良くしていた時期があります。彼女は私と一緒に食事に来ているにもかかわらず、自撮りを撮りまくってTwitterやインスタグラムに投稿していました。すぐにファンから反応があり、チヤホヤされるのがうれしかったようで、ご飯も食べず、レスを返すのに夢中……。もちろん私は放置状態なので、「お前、友達いないだろ!?」と思いつつ、そのまま疎遠になりました。ちなみにこの子、帰り際にいつも「寂しい~」とか言って泣くんです。必要としてくれるのはうれしいけど、重かったなあ……。

SNSを更新しすぎる&「大丈夫?」待ち投稿

 四六時中Twitterでつぶやいていたり、夜中から朝方までSNSの更新が止まらない人、たまにいますよね。もちろん、お仕事の関係でそういう時間帯に活動している人もいますから、一概には言えませんが、ここで見分けるポイントが一つ。それは、「ああ、具合悪い……」といった感じで、誰かから「大丈夫?」と“言われ待ち”みたいな投稿する人。経験上、これはメンヘラ度90%です。こういう人はなぜか、予定をドタキャンしたり、遅刻する確率が異常に高い。私が今まで出会った人は、ほぼ全員そうでした。

 こうしてまとめてみると、ネットやSNSに依存している人、特にコスプレイヤーは、メンヘラ率が高いのかもしれません。ネットがメンヘラを作るのか、コスプレイヤーにメンヘラが多いのかはわかりませんが、どちらにしても、リアルな人との交流は大切ですね。

 後編では、メンヘラコスプレイヤーが好みがちなキャラクターをご紹介します。なお、すべて椎名の独断と偏見ですので、いろいろとご了承ください!

「お前、友達いないだろ!?」人気コスプレイヤーが遭遇した、「ファッションメンヘラ」の実体験被害エピソード

カネと欲望が渦巻くコスプレ業界――40代“現役”コスプレイヤー・椎名蜜が、業界の闇をぶっちゃけます!

 こんにちは、椎名蜜です。突然ですが、この連載も次回で最後となります……! ということで、私がコスプレ界で学んだことをお伝えして、締めくくりたいと思います。それは、「メンヘラと付き合うな」ということです。コスプレとなんの関係があるのかと思うでしょうが、実際、私は多くの“メンヘラコスプレイヤー”と出会いました。

 ここで言う「メンヘラ」とは、基本的に“ファッションメンヘラ”のこと。体調が悪いことをSNSでアピールしてくる(黙って寝てろ!)、夜中に大量の「今から死ぬ」LINEが届く(もちろん翌朝も元気)など、個人的には、そうした行為をとる人が“ファッションメンヘラ”だと認識しています。「かまってちゃん」ともいえるでしょう。

 優しい人は「私がなんとかしてあげないと」と思うかもしれませんが、それが終わりの始まり! 「メンヘラと一緒にいると、こっちまでメンタルがやられる」というのが、私の経験です。ということで、身近にいたメンヘラのことを思い出しながら、その特徴をまとめてみました。「こんな感じの人が近くにいたら、ちょっと気をつけよう」くらいの気持ちで見てください。

やたら“自撮り”をする

 今や自撮りは当たり前な時代ですが、度を超えた自撮りをする人は「かまってちゃん」度が高く、メンヘラの可能性も高いように思います。とにかく自分の話しかせず、こちらの話は聞こうとしなかったり……。SNSに自撮りを投稿しまくるタイプの人も、メンヘラが多かった印象です。ちなみに、このタイプは一般人であっても“ファン”を抱えていることがあり、味方をつけるのもうまいので、敵に回すと一番厄介なので気をつけましょう。

 私は、まさにこのタイプのコスプレイヤーと仲良くしていた時期があります。彼女は私と一緒に食事に来ているにもかかわらず、自撮りを撮りまくってTwitterやインスタグラムに投稿していました。すぐにファンから反応があり、チヤホヤされるのがうれしかったようで、ご飯も食べず、レスを返すのに夢中……。もちろん私は放置状態なので、「お前、友達いないだろ!?」と思いつつ、そのまま疎遠になりました。ちなみにこの子、帰り際にいつも「寂しい~」とか言って泣くんです。必要としてくれるのはうれしいけど、重かったなあ……。

SNSを更新しすぎる&「大丈夫?」待ち投稿

 四六時中Twitterでつぶやいていたり、夜中から朝方までSNSの更新が止まらない人、たまにいますよね。もちろん、お仕事の関係でそういう時間帯に活動している人もいますから、一概には言えませんが、ここで見分けるポイントが一つ。それは、「ああ、具合悪い……」といった感じで、誰かから「大丈夫?」と“言われ待ち”みたいな投稿する人。経験上、これはメンヘラ度90%です。こういう人はなぜか、予定をドタキャンしたり、遅刻する確率が異常に高い。私が今まで出会った人は、ほぼ全員そうでした。

 こうしてまとめてみると、ネットやSNSに依存している人、特にコスプレイヤーは、メンヘラ率が高いのかもしれません。ネットがメンヘラを作るのか、コスプレイヤーにメンヘラが多いのかはわかりませんが、どちらにしても、リアルな人との交流は大切ですね。

 後編では、メンヘラコスプレイヤーが好みがちなキャラクターをご紹介します。なお、すべて椎名の独断と偏見ですので、いろいろとご了承ください!

TikTok「ビルボードチャートの歴史を塗り替え」BLM運動「白人セレブや企業のスタンダード刷新」エンタメから米国の“変化”を見る! 【辰巳JUNK×渡辺志保:後編】

 NBAのスーパースター選手だったコービー・ブライアントが、13歳の次女と搭乗していたヘリコプターが墜落し、即死。その夜、開催されたグラミー賞授賞式はコービー追悼式のようになるという悲劇的なスタートを切った2020年。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大やBLMのうねりで、価値観も大きく変わった。

 そこで、昨年末に引き続き、ブラックミュージックやヒップホップに詳しいライターの渡辺志保さんと、ゴシップとカルチャーの両視点からショービズ界に斬り込むライター辰巳JUNKさんに、20年前半(1月~6月末)に起こったトピックを振り返りつつ、アメリカの“変化”について語ってもらった。

(前編はこちら:アメリカ「価値観の変化」を読む! オスカー「多様性」スーパーボウル「ジェイ・Zで人種問題回避」

TikTok発の楽曲が、ビルボードの歴史を塗り替えた!?

――今年前半は、なんといってもコロナ禍でエンタメの在り方、意味が問われました。世界中で自粛生活を求められる中、米ネットフリックスが新規有料会員を1,000万人も増やすなど、“巣ごもり系エンタメ”の強さが見られましたが、音楽業界に目を向けてみると「TikTok」人気が目を見張りますね。

渡辺志保氏 (以下、渡辺) アメリカでは今、TikTokでの楽曲の人気が、そのまま音楽チャートに直結しています。その象徴が、昨年のリル・ナズ・Xの「Old Town Road」(※3)で、歴史を変えるほどの大ヒットとなったんです。音楽ストリーミングサービス「Spotify」ではバイラル・チャートという、SNSの人気を反映したチャートがあるんですが、上位楽曲はほぼ必ずTikTokの流れでチャートインしてくる。驚くほど多種多様で、グローバルのチャートにも、日本語の曲や、インドやドイツのアーティストなども入ってる。もはや、言葉や国境の壁がないんです。

 アーティストもプロモーションの場をインスタグラムとTikTokや、よりヒップホップ色の強い「Triller」というアプリに移しているように思います。そこで「#~challenge」といったタグを使って、いかに自分の曲を使ったブームを仕掛けられるかが勝負になっている。ドレイクも自粛生活期間中に、「Toosie Slide」という曲をリリースしたのですが、「右足を上げて、左足をスライドさせる」など歌詞が振り付けの説明になっていて、MVも自宅でマスクと手袋を着用して踊っているというもの。TikTokではやらせようという意図が明確でした。トランプ大統領が、中国発のアプリで安全性に問題があるとしてTikTokの使用を禁止しようとしていますが、本当に禁止されたら音楽チャートやマーケティングなども大きく変わってくるはず。

※3 TikTokで同曲に合わせてジュースを飲む「♯YeeYeeJuice」チャレンジや、カウボーイの格好やポーズを真似る「#Yeehawchallange」が大流行。その後、マイリー・サイラスの父で、カントリーミュージシャンのビリー・レイ・サイラスが参加したリミックス版がリリースされ、幅広い世代に支持されるように。米国ビルボード・ホット100で19週連続ナンバー1という、同チャート史上最長のヒット曲となった。

――TikTokで人気となる曲の特徴は?

渡辺 インパクトのあるイントロが重要なのかなと思います。最初の4~5小節のインパクトですね。そして、ポーズのとりやすい音があること。かつ曲の長さは短めで、ダンスや動作をはめやすい構造の曲が求められていると思います。「Old Town Road」も1分53秒とめちゃくちゃ短い曲で、その短さにも驚いてしまいました。

辰巳JUNK氏 (以下、辰巳) ポップジャンルでいうと、よく言われるのはハッピーな曲ですかね。ポップ系チャートヒットもそれに合わせるように、明るくアップテンポになっています。シーン全体のはやりでもあるのでしょうけど、ドレイクの「Toosie Slide」やレディー・ガガ、デュア・リパの新アルバムなど、スターの新作がどんどん明るくなっているとBBCが報告している。アップビートの曲も増えていて、あくまでUKチャートですが、トップ20楽曲のアップテンポ具合は、ここ10年で最高を記録しました。

渡辺 アメリカでのTikTokヒット曲は踊ってナンボですから、そうなると自然にアップリフティングなビートが支持されるんでしょうね。

――明るい曲調といえば、5月29日にリリースされたレディー・ガガの新作アルバム『クロマティカ』も、ポップになったという評判が聞こえていますが、このアルバムの意図・意味をどう見ていますか?

辰巳 全体的にハッピーなアップビート。サウンドはポップだけど、歌詞の内容は非常にパーソナルなもので、性暴力の被害やメンタルの問題について書かれています。ポップな曲を展開していたキャリア初期に暴行やハラスメントを受けた彼女は、ここ数年、ダンスサウンドから離れて内面を掘り下げるようなオーセンシティな世界観になっていた。だけど、「暗い記憶とないまぜとなったポップミュージックを自分の手に取り戻す」というのが、今作の裏テーマのようです。

 「ポップを取り戻す」という意志を強く感じさせられる曲が「フリー・ウーマン」。ロックバンド「クイーン」の曲を芸名の由来にするガガは、フレディ・マーキュリーのように雄大なロックオペラみたいな歌い方をする。それを生かして、サビ(コーラス)で盛り上がりを見せる曲なんですよ。最初は歌詞も暗いのに、徐々に盛り上がっていく。そのあたりはシンガーソングライターとしてのうまさを感じます。歌詞を見ても、“例え自信がなくても、私は価値ある存在”といった自己肯定を得る内容で、ガガによると「性暴力の犠牲者」といったラベルからの解放を示す歌だそうです。最後は“ここは私のダンスフロア”だと宣言する、自分のポップサウンドを肯定するような詞になっています。

 奇抜で派手な衣装に関しても、スタイリストによると、キャリア初期は自分を守るために顔や体を隠していたけど、今回は顔も肌も見せ、ちゃんと前を見ている。前のアルバム『ジョアン』や主演映画『アリー/スター誕生』のような内省的オーガニック路線を経由したからこその境地だと思います。

――もうひとつ、コロナ禍の音楽業界で大きな話題となったのが、マルチプレイゲーム「フォートナイト」内で開催された、人気ラッパー、トラヴィス・スコットのバーチャルコンサート『Astronomical』(※4)ですね。

※4 ゲーム内に用意されたコンサートステージが、空から現れたゴジラのような巨大トラヴィスにより踏み潰され、楽曲ごとにフィールドが変化。アバターとして参加した1,200万人以上のユーザーは、火の雨、水中世界、宇宙空間を飛ぶというバーチャル体験を味わうことができた。このビッグイベントはすべてリモートワークにより作成された。

渡辺 今回のパンデミックで、バーチャルと音楽の融合が盛んに行われ、「まだこんな世界が残されていたんだ」というポジティブな発見もありました。その極め付きが、トラヴィスの「フォートナイト」ライブです。これまでのライブ配信、例えばアメリカの最大野外フェス「コーチェラ」などは、ユーザーが生配信中の映像を見てアーティストのパフォーマンスを楽しむだけでしたが、トラヴィスの「フォートナイト」ライブはプレイヤーがゲームの中に入って一緒になって楽しめるという点で、新しい価値観を与えました。

辰巳 「フォートナイト」でもこれまで“野外フェスを模した”有名アーティストによるバーチャルコンサートはありましたが、今回のトラヴィスは、初めから非現実なものを目指してました。最終的に観客はアバターで宇宙に連れて行かれ、光速で飛ぶという演出です。現実のまねではなく、バーチャルでしかできないことをやった。アバター参加ゆえにユーザー側も「参加した」感を味わえるので、まさに斬新なことを楽しめるイベントだったと思います。

渡辺 ネットフリックスもパンデミック後の早いタイミングで、「ネットフリックスパーティ」というGoogle Chromeの拡張機能をリリースしました。ブラウザ上でみんなが一緒の作品を見て、チャットができるという機能なのですけど。4月前半に世界規模で、みんなでビヨンセのドキュメンタリー作品『Homecoming』を見よう、という仮想パーティが行われた。このように、仮想の世界で一緒に何かをするのが、今年からはやり始めましたよね。トラヴィスのライブのように、さらに素晴らしい技術が重なって、今まで見たことない/感じたことない世界がエンタメ界にやってくるのかなと。

辰巳 『フォートナイト』の運営も、ゲーム以上の新境地プラットフォームを目指しているようです。まず人気がすさまじくて、昨年、世界的人気を誇るDJ、マシュメロが仮想ライブを開催したんですが、同時期に行われた「スーパーボウル」のハーフタイムショーでパフーマンスを行ったマルーン5より、ビルボードチャートへの影響があったともいわれている。『フォートナイト』内ではディズニーやDC、ナイキといった有名ブランドとのコラボが豊富だったり、人気映画の予告編上映イベントも行われるなど、いまやエンタメ界のパワーハウスになっています。

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――全米では新型コロナウイルスによって都市がロックダウンされ、雇用や経済などの格差がこれまで以上に可視化されました。さらには5月末に、黒人男性ジョージ・フロイドさんが警察官による過剰暴力で亡くなり、BLM運動がさらに高まりました。恵まれた環境にいるセレブが、一般市民にどれだけ寄り添えるかが問われていますね。

辰巳 コロナ禍において、世界中の人々を勇気づけるために、ガル・ガドット(映画『ワンダーウーマン』の主演女優)が、セレブ24人を集めてジョン・レノンの「イマジン」を合唱する動画をインスタグラムに投稿しました。昔だったら褒められていたかもしれませんが、「リッチなセレブたちに『パンデミックでも一緒』と言われても」という感じで大炎上しました。

渡辺 「そんな広い家に住んでいる人に、“家の中で自粛して”と言われても」と叩かれていましたね。逆にジェイ・Zやビヨンセ、リアーナはすぐに医療従事者やエッセンシャルワーカーの人たちに巨額の寄付をした。そういうアクションのほうが高く評価されましたよね。

辰巳 BLM関連では、白人セレブたちが「白人に責任がある」と声を上げた、人種差別撲滅運動「#ITakeResponsibility」キャンペーン動画にも、ソーシャルメディアは「そんなことしなくていいから」としらけムードだった。

渡辺 今回のBLMは、これまで以上に白人至上主義や白人特権を問題視しているわけで、そこを逆なでするような行為は、これまでのように「いいこと」とは受け止められなくなっている、という現実があるのかもしれません。

――それは黒人差別への意識が変わってきたことに加え、格差が簡単には解消されない社会になったことが関係しているのでしょうか?

渡辺 “アメリカの社会構造の中に、常に人種問題が組み込まれている”ことがより問題視されているのではないでしょうか。BLMというスローガン自体は、2012年に起きたトレイボン・マーティンの事件(※5)がきっかけで生まれた言葉ですが、白人に対する黒人たちの抗議や暴動はずっと前から、それこそ奴隷制の時代からありました。今回のBLM運動の高まりは、たまりにたまったフラストレーション、黒人たちの「オレたち、私たちはこんなに(抗議活動を)やってきたのに、まだここから議論せねばならないのか」といった、ある種の絶望感のようなものを感じます。マジョリティ側である白人たちも、自分たちの立場、自分たちの行為を見つめ直すフェーズに入っている。だからこそ、白人セレブリティが「どういう発言をするか」「どういうアクションをとるか」が、良くも悪くも注目されているのだと思います。

※5 フロリダ州のサンフォードで、17歳の高校生だったトレイボンさんが、地元の自警ボランティアでヒスパニック系のジョージ・ジマーマンに射殺された事件。ジョージが一方的にトレイボンさんを“不審者”と見なしてつきまとい、口論となった末に銃殺。裁判では、同州の「正当防衛法」に基づき、無罪となった。

辰巳 上層部が白人ばかりの大企業は、黒人の従業員に出世のチャンスを与えずに劣悪な環境で働かせていること、BLM支持を表明しても具体的には何もしてなかったことなど、いろいろな批判を浴びています。BLMの活動家たちが影響力のある人たちに問題を取り上げてほしいと呼びかけていた10年代前半と異なり、今は大企業や有名人のBLM支持が「普通のこと」になりました。だからこそ今回、白人セレブや大企業は、ただ賛同を示すだけでは評価されない状況に置かれたのかもしれない。

渡辺 より具体的な変化を求めるというか、寄付金の額や、企業従業員の人種的比率など、変化やサポートにおける意志をきちんと数値で表明する流れにはなっているのかもしれません。

――同時に、白人セレブの過去の黒人差別言動を問題視し、彼らのキャリアを潰すまで炎上させる「キャンセル・カルチャー」も指摘されていますが、それについてはどう思いますか?

辰巳 そうした炎上やバックラッシュ事象は一つ一つ異なるため、現段階では一概に言えず難しいです。たとえば、6月には大御所白人コメディアンのジミー・キンメルの過去のブラックフェイス(黒人のマネをするために、顔を黒く塗る行為)が騒動になりましたが、このケースの場合、一時的な仕事のキャンセルはあったとしても、問題視される言動が新たに浮上しない限り、キャリアや看板番組がダメになるような長期的打撃にはならないと思います。

渡辺 過去を遡って、何をどこまで批判するのか線引きするのは、本当に難しいですよね。ただ、昔はOKだったものが今ではNGとされていることを踏まえて、自分から真摯に謝罪する姿勢が求められている。前述した「アーバン」の問題もそうですが、企業もひっくるめて、今の時代に合ったスタンダードへとどんどん刷新していく姿勢になっていくのかなと感じます。

辰巳 『風と共に去りぬ』など(※6)、BLMプロテスター側から問題視されたコンテンツを削除や謝罪、修正するといった企業群の素早い対応については、ビジネスとしても、今の時点で軌道修正したほうがよいという判断があるのだと思います。アメリカの多くの主要エンターテインメント企業がターゲットにしたい「都市部の若年層」はマイノリティ人種の比率が増えているし、今回のBLM運動の参加者には若い白人や富裕層も多いとされるので。

※6 白人が黒人奴隷を所有していた南北戦争前、そして戦争後が舞台となっている作品で、登場する黒人奴隷たちが「白人の主人に尽くすことに幸せと喜びを感じているように描かれている」として、上映当時も黒人層から批判を浴びていた。今回のBLM運動や黒人脚本家からの指摘を受け、米動画ストリーミングサービス「HBO MAX」は同作の配信を一時停止。2週間後、映画の冒頭に同作に対する批判と歴史的背景を説明する2つの動画を追加し、配信を再開した。

渡辺 ビジネス的といえば、BLM下において、ヒット曲がラップ一色になったことも興味深かったです。先ほど辰巳さんが解説されたように、レディー・ガガが力強いアルバムを出す一方で、BLMをテーマにした楽曲を発表した若手ラッパーたちも存在感を示しました。

 リル・ベイビーやダ・ベイビーといった、普段は社会的・政治的な内容のラップから距離を置いていた気鋭のアーティストらもコンシャスなラップを発表していたし、かねてから人種における不平等さを糾弾していたミーク・ミルら中堅ラッパーも、力強い楽曲をリリースしています。ヒップホップやラップの強さは、社会問題が噴出した時に、すぐにそれを作品にするところ。すぐにアクションをとって自分の意見を表明する、そういったジャンル/カルチャーの強さを見せられたような気がします。

 個人的に、20年の音楽シーンは、昨年からの流れを受けて、もっと明るいポップなヒット曲が主流になるのかと思っていました。でも、新型コロナのパンデミックやBLMで、そうではなくなった。ヒットする音楽は時流を映すものなのだと、つくづく感じました。

辰巳 バーチャルで今年6月に開催された、「BETアワード」(黒人や他のマイノリティ人種に贈られる文化賞の授賞式)も素晴らしかったですね。パフォーマンスするアーティスト全員に出したい声明があったそうで、だからこそ緊急事態下のバーチャル開催なのに、これだけ充実したアワードになったのだと思います。

渡辺 「BET」は「Black Entertainment Television」の頭文字で、黒人のためのエンターテインメント・ケーブルTV 局が主催するアワードなんです。今年は、オープニングからプロテストソングとして歴史に残るパブリック・エナミーの「Fight the Power」のリメイク版映像が流れ、その後に、人権活動家である大ベテラン、ハリー・ベラフォンテのスピーチ映像やジェームス・ブラウンの「Say It Loud, I’m Black & I’m Proud」を流し、プリンスが20年に同アワードで披露したスピーチの映像も流れた。ブラックミュージックのヒーローたちがどんどん現れてくる演出で、非常に力強さを感じました。最後はアリシア・キーズが警察による暴行などで命を落とした犠牲者をたたえる新曲「Perfect Way to Die」のMVで幕を閉じた。

 今年のBETアワードは、今回のBLMのムーブメントにおける意思表明として、BETの底力を見せつけられたような気がします。今後、アカデミー賞やグラミー賞、MTVのVMA(ビデオ・ミュージック・アワード)において、この社会問題をどのようにアワードに組み込んでいくのか、そういった部分にも注目したいなと思いますね。

オスカー「『パラサイト』快挙」スーパーボウル「ジェイ・Zで人種問題回避」エンタメで見る米国の変化【辰巳JUNK×渡辺志保対談】

 NBAのスーパースター選手だったコービー・ブライアントが、13歳の次女と搭乗していたヘリコプターが墜落し、即死。その夜、開催されたグラミー賞授賞式はコービー追悼式のようになるという悲劇的なスタートを切った2020年。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大やBLMのうねりで、価値観も大きく変わった。

 そこで、昨年末に引き続き、ブラックミュージックやヒップホップに詳しいライターの渡辺志保さんと、ゴシップとカルチャーの両視点からショービズ界に斬り込むライター辰巳JUNKさんに、20年前半(1月~6月末)に起こったトピックを振り返りつつ、アメリカの“変化”について語ってもらった。

オスカー『パラサイト』快挙の意味

――毎年、年が明けてすぐに開催されるアワードシーズンを迎えるハリウッド。今年のアカデミー賞(オスカー)は、韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が作品賞・監督賞・脚本賞などを勝ち取り、「歴史的快挙」とまで言われました。お2人は、これをどうご覧になりましたか? 

辰巳JUNKさん (以下、辰巳)オスカー会員が事前にメディアのインタビューで、『パラサイト』について「普通におもしろい」「多くの会員から愛されている」と評価していたし、順当という感じがしますね。外国語映画では、去年、メキシコを舞台に中流家庭のハウスキーパーを描いた『ROMA/ローマ』(アルフォンソ・キュアロン監督、アメリカ・メキシコ合作)が作品賞の有力候補として注目を集めていましたが、アーティスティックな作風だったこともあり、オスカー会員から「秀でているのはわかるが(内容理解が)難しかった」的なことを言われていて。その点、『パラサイト』は、経済格差というグローバルな社会問題を扱いつつ、ストレートにおもしろいと思えるわかりやすさが強みになったのでは。

渡辺志保さん (以下、渡辺)『パラサイト』は監督賞・作品賞など多部門にわたって受賞し、大快挙でしたね。これは私にとっては驚きでした。オスカーは有色人種や外国語の作品に対して、積極的に複数のトロフィーを授ける印象はあまりありませんでした。辰巳さんがおっしゃる通り、昨年は『ROMA/ローマ』が作品賞を逃してしまったし。オスカー側が、多様性というか、マイノリティへの視点を持っていたんだと感じました。

辰巳 あと、アメリカではポン・ジュノ監督の人気がすごかった。

渡辺 「VOGUE」「ヴァニティ・フェア」など米エンタメメディアの取材を前もって受けていましたが、そこでのすさまじいキャラ立ちを感じました。

辰巳 セレブたちにも人気でしたよね。「アカデミー賞はローカルな賞」とさらっと発言して、それが喜ばれたり。それと『パラサイト』は、“インターネット発のアカデミー賞作品”といわれているんですよ。もともと作品自体、細かな伏線に加えて韓国のローカルネタが多い。仕掛けが多いミステリーとしてネット上で考察合戦が盛り上がるバイラルコンテンツになっていました。

渡辺 SNSで種明かしをするという流れですね。

辰巳 同作のアメリカでの配給会社が、ネットマーケティングに力を入れていたらしいです。これまでだと、アカデミー狙いの映画は街中に看板を出して宣伝することにお金をかけていたけど、『パラサイト』はネットの力でオスカーにたどり着くことができた新しいパターン。

渡辺 今年のオスカーって、『ワンス・アポンア・タイム・イン・ハリウッド』『ジョーカー』など、「いかにもオスカー」な作品が並びましたよね。並み居る競合を抑えて、ポン・ジュノにここまでスポットライトを当てたのが、繰り返しますけど、米エンタメシーンでこれまであったかなといった驚きがあります。それを受けて、今後の動きが気になるところ。今年は外国語映画にスポットライトを当てたから、来年からは通常のオスカーに戻るのか。それとも、あくまでアメリカ中心主義的なオスカーではなく、もっと世界に開かれたオスカーとして発展していくのか。

辰巳 実は今年のオスカーは、マイノリティ人種や女性のノミネートが少ないことで反発が強かった。グレタ・ガーウィグ(『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の女性監督)や『ハスラーズ』の主演女優ジェニファー・ロペス(J.Lo)も絶対にノミネートされると言われていたのに、落とされました。まぁ、J.Loは2月に開催された「スーパーボウル」のハーフタイムショーを大成功させて評判を上げましたが。

――ポン・ジュノ監督が受賞後のインタビューで、非英語圏映画における「字幕の壁」が崩れてきたといった旨を話していましたが、動画・音楽ストリーミングサービスの普及により外国コンテンツに触れる機会が増えたことが、今回の『パラサイト』躍進の一因なのでしょうか?

渡辺 昨年、アメリカの音楽業界の方とお話をする機会があったのですが、まさにその通りで、アメリカのユーザー/リスナーの外国語コンテンツを受け入れる人たちの割合が、今まで以上に多いそう。そのきっかけとなったのが、スペイン語圏であるラテン系コンテンツの爆発的ヒットだったそうですが、それがBTSなどのブレ―クにもつながっているということなのでしょう。

――BTSは音楽だけでなく、彼らの存在自体がアメリカでも大きな影響力を持っていますよね。

渡辺 DJのスティーヴ・アオキさんにインタビューした時にうかがったのですが、日系アメリカ人としてロサンゼルスで生まれ育ってきた彼が感じたのは、白人には白人のヒーローがたくさんいるけど、「アジア人のステレオタイプやロールモデルといえばジャッキー・チェン」で、そこからずっと抜け出せなかったということ。なので、BTSのブレイクは、アジア系アメリカンの子どもたちのロールモデルとして大きな役割を果たしている、とおっしゃっていました。今、BTSから影響を受けている子が大人になったら、また違う価値観が生まれそうな感じはしますね。

――先ほど話に出ましたが、近年はコリン・キャパニック(※1)に端を発した人種問題で揺れていたNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)が、「スーパーボウル」ハーフタイムショーにJ.Loとシャキーラというラテンルーツを持つ女性アーティストを起用しました。これはどう見ましたか?

※1 サンフランシスコ・フォーティナイナーズの元クォーター・バック。2016年にミネソタ州で、警察官に自動車のテールランプがついていないと止められた黒人男性フィランド・キャスティルが、射殺させる事件が発生。コリンは、この人種差別事件に抗議するため、試合前の国歌斉唱時に膝をつくという行動を始めた。これを問題視したNFLは18年5月、「国歌斉唱時には起立すること」を義務化。コリンは17年シーズン以降、NFLから事実上追放され、その後、和解が成立するも、現在までどのチームとも契約に至っていない。

辰巳 ちょっと話は飛躍するのですが、5月末から活性化したブラック・ライブズ・マター(警察などによる黒人への残虐行為に反対する人種差別抗議運動、以下BLM)を受けて、NFL幹部が「人種差別にまつわる選手の訴えを聞いてこなかった」と謝罪したことに驚きました。

渡辺 それはNFLの改革にジェイ・Zを招いたこと(※2)も大きかったのでしょうか?

※2 コリン・キャパニックの抗議が発端となり、NFLは社会正義を目的とするキャンペーン「インスパイア・チェンジ」を始め、これを強化するため、19年8月に、ジェイ・Zが創設したエンターテインメント企業「Roc Nation」とパートナーシップを結んだ。この契約によりジェイは「スーパーボウル」ハーフタイムショーのエンターテインメント、社会正義を監督する役割を担うことになった。

辰巳 ジェイ・Zをパートナーとして受け入れることは、NFLの姿勢を示すターニングポイントだったと思います。今回の「スーパーボウル」ハーフタイムショーは、黒人に関する人種問題を想起させないラテン系女性スターをフックアップし、成功したといった感じでしょうか。ラテン系市民が多いマイアミが開催地でしたしね。

――もし来年無事に「スーパーボウル」が開催されるとしたら、BLMなどを受けて、どんな方向性になるとお考えですか?

渡辺 融和な方向、“みんなでがんばろう”といった流れですかね。かつ、黒人アーティトが先頭に立つ存在として登場するようなステージになるのでは。

――ハーフタイムショーは時流を反映しますからね。

渡辺 ビヨンセとブルーノ・マーズ、コールドプレイがパフォーマンスした16年は、ビヨンセの「Formation」という曲がブラック・パワーを強調するようなパフォーマンスで「政治的すぎる」として叩かれました。だから18年は、ジャスティン・ティンバーレイクを起用して、“ザ・エンターテインメント”を持ってきた。これまでのNFLなら来年は無難なステージになりそうですが、人種差別を認めて謝罪したり、黒人カルチャーに影響力を持つジェイ・Zが関わったりしていますから、政治色が強いステージとなるのか。どちらかだと思います。

辰巳 10年代前半の「スーパーボウル」のハーフタイムショーといえば、世界平和や米軍への感謝みたいな、あまり意見が分かれないというか、議論が起こりにくいテーマや演出が多かった。そんななか、渡辺さんがおっしゃる通り、16年のビヨンセは「政治的すぎる」と議論を呼びました。1960〜70年代に警察と対立した黒人解放運動組織ブラックパンサー党を模した衣装をまといながらBLM要素のある楽曲「Formation」をパフォームしたことから、称賛を浴びる一方「アンチ警察」だとして反発も呼び、警察官や保安官がデモ行進を行うまでの騒動に発展したんです。

 こうした流れもあって、翌17年のレディー・ガガは、トランプ政権に物申すんじゃないかというプレッシャーと期待をかけられましたが、直接的にアンチ・トランプ的なパフォーマンスはしないまま、反トランプ派のアンセムとされる「This Land is Your Land」を歌うなど、密かにメッセージを込めて。これがウケたんですよね。J.Loが今回パフォーマンス中、少女たちがケージに入れられている演出を行って暗にトランプ政権の移民政策を批判したのも、ガガと同じ(直接的ではないプロテスト表現の)流れだったと思います。

 スーパーボウルのハーフタイムショーは、日本でいうなら“紅白の大トリ”が紅白全編を一人でやるような、それくらい栄誉と注目度がある国民的なお祭りですから、パフォーマンスの仕方が問われますよね。

渡辺 アワードそのものが大きな受け皿となっているオスカーやグラミーとは違いますからね。ハーフタイムショーだと、何を発言しても叩かれる、何を表現しても叩かれるという怖さはあります。

――そのグラミーですが、今年はノミネート/受賞作もさることながら、グラミー賞そのものが大きな話題となりました。その経緯を知らない人もいるので、お2人から説明していただけますか?

渡辺 グラミー賞を主催する団体「ザ・レコーディング・アカデミー」のトップに長年鎮座してきたポートナウ会長が、「女性アーティストの受賞が少ない」という非難に対して、「女性アーティストはもっと努力しなければならない」と女性蔑視の失言をして大炎上したんです。

辰巳 それで辞任に追い込まれた。次にデボラ・デューガンという白人女性が新会長に就任したんですけど、わずか5カ月ぐらいで辞めてしまった。

渡辺 授賞式の1週間前に辞めさせられたんですよね。

辰巳 そのデボラが、米雇用機会均等委員会に告発文を送って。

渡辺 それも授賞式の前日くらいでしたね。

辰巳 その内容が、「グラミーはボーイズクラブで、人種差別と性差別がまかり通っている」「私はハラスメントをされた」「元会長はアーティストから性暴行を告発されていた」など。また、グラミー賞の一般部門の選考システムは、全会員から投票を募って上位候補をリストアップし、選考委員会が8つほどノミニーを選ぶという流れになっているんです。このノミネーション会議で、高順位だったアリアナ・グランデやエド・シーランが落とされるなど不正が横行していると、デボラは明かしています。

 デボラは40ページにわたる告発文を提出したんですけど、グラミー側はそれを否定。デボラこそ不正行為をしようとしてほかの女性幹部から告発されていたと主張して、完全に泥沼となりました。

渡辺 これらがリアルタイムで報道されている中、前夜祭でアイコニック・アワード(功労賞)を受賞したP・ディディ(ショーン・コムズ)が、「ブラックミュージックはグラミーから尊敬されたことがない」と発言。授賞式の幕が上がるまで、グラミーはずっとバッシングされてましたね。なおかつ直前にコービー・ブライアントが亡くなり、最悪な雰囲気のまま始まったという感じでした。

 アリシア・キーズが2年連続司会を務め、最多受賞のビリー・アイリッシュはグラミー史上最年少ということで、「女性が活躍したグラミー賞」にしたかったんでしょうが、2人に対するプレッシャーが重すぎて、不健康さを感じましたね。「我々は古いシステムを拒絶します」など、グラミーへの皮肉かな? とも受け取ることができるアリシアのモノローグは最高でしたけど。

辰巳 式自体は、コービーへの追悼が印象に残るものになりましたね。

渡辺 数時間前に彼の乗ったヘリコプターが墜落して死亡したという報道があったばかりなのに、オープニングではアリシア・キーズがボーイズIIメンと共に、彼らの代表曲でもある「It’s So Hard to Say Goodbye to Yesterday」を急きょ追悼のパフォーマンスとしてアカペラで歌ったんです。ボーイズIIメンはもともとタイラー・ザ・クリエイターのステージに参加する予定で会場にいたのですが、アリシアと10分間だけ楽屋でリハーサルをし、追悼パフォーマンスに挑んだそう。衣装が私服のような感じで、臨場感もすごかったですね。オープニング・パフォーマンスしたリゾもコービーへの追悼シャウトをしていましたし、その後に続いたリル・ナズ・Xやニプシー・ハッスルのトリビュート・ステージでも、コービーへのメッセージが見受けられました。

――グラミーといえば6月に、これまでR&Bやヒップホップといったブラック・ミュージックを包括する「アーバン」というジャンル名を廃止することを発表しました。「アーバン」という名称は時代遅れ、といった批判は数年前からありましたが、わかりやすく説明してもらえますか?

辰巳 もともと、今年のグラミー賞で最優秀ラップ・アルバム部門を受賞した(ラッパーの)タイラー・ザ・クリエイターが、「黒人アーティストは、ポップジャンルに入れてもらえない。人種や肌の色ゆえに、アーバンという言葉に押し込まれている」といったニュアンスの批判をしていたんです。それにビリー・アイリッシュも「私は白人のティーンエイジャーの女性だからポップに入れられている。私が白人じゃなかったら、ラップジャンルに入れられてると思う。(黒人の)リゾは私よりポップなのに、R&B(および「最優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバム賞」)に入れられている」と賛同した。そういった流れを受けて、人種指定ニュアンスがまとわりつくアーバンというジャンルカテゴリをやめようと。

渡辺 BLMの問題が浮き彫りになった時に、グラミー側は「アーバンという名称を変更します」と発表しました。でも、BLM以前からそういった動きはあったと明かしているので、少なからず1月末のグラミーのタイミングでなされたタイラーの発言はインパクトがあったのではと思います。

 もともと「アーバン・ミュージック」は70年代にニューヨークの黒人ラジオDJが作ったカテゴリーでもあるんですよ。当時、ラジオ局がスポンサーを集めなければならかったのですが、スポンサーの多くは白人企業。その人たちにソウルやディスコなどのブラック・ミュージックと言ってもなかなかお金を出してもらえないので、スノッブな白人にもウケるようなカテゴリーとして「アーバン」を作り、お金を出してもらったという経緯があるそうなんです。米ユニバーサル・ミュージックなども、アーバンという部署名をなくすと言っています。音楽業界を覆すような大きな改革にはならなくても、ある程度の改革にはなると思いますし、これまでの価値観を刷新するという意味では、いいタイミングなのかな? と感じました。

――後編は9月5日公開

マスク着用時の「口臭ケア」に、「アロマスプレー」はNG!? 枕用スプレーを直接吹きかけ、あわや大惨事に


――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、マスクが必需品となった今、私が思うことはただひとつ。

「あたし……口臭ぇ……」

 世の中の女子たちの口の中を嗅いだことはないのですが、自分の口に限って言えば、断言できます。口、臭ぇと。マスクの中で息をしていると、自分の口臭に嫌気が差してくるのです。あー!! これ、どうにかならんもんかね!!!!

 そんなわけで、「マスク 口臭」でネット検索したところ、「マスクスプレー」なるものが売られていることに気付きました。マスクにシュッとプッシュすると、たちまちマスクが良い匂いになるというシロモノ。マスクの中が良い匂いになるそう。お昼の情報バラエティ番組『ヒルナンデス』(日本テレビ系)で紹介されたこともあるらしく、かなり売れているようです。

 新しい物好きの私は、すぐさまこのマスクスプレーに飛びつき、「せっかくだから母にも買ってあげよう!」と思い立ち、階段をかけ下りました。そして、母の喜ぶ顔を思い描きながら「マスクスプレーいらない!? 買ってあげるよ!」とウェブサイトを見せました。しかし、母の第一声はというと……。

「あんた、またモノ増やす気!? 毎日毎日ダンボール届いて、いいかげんにしなさいよ!!」

 Oh……、まさかの母、ブチ切れ案件……。そんなわけで、「これ、無駄遣いなのかなあ……」としょんぼりしながら2階の自室に戻り、「でも欲しいんだよなあ」と首を振りながら考えました。

 ……そうだ! マスクスプレーって、アロマオイルみたいなもんなんだよね!? ということは、家にある「マクラスプレー」と同じ成分なんじゃない!?

 マクラスプレーとは、私が愛用している枕用のアロマスプレーで、寝る前に枕にふりかけると安眠できるというもの。ふわっと良い匂いが漂いリラックスできるので、私は仕事中に疲れてくると椅子にふりかけて使っているのです。

 成分内容を確認すると、「エタノール・水・精油」也。あらやだ! マクラスプレーとマスクスプレー、成分内容は一緒じゃないの! ってことは、マスクスプレーとして代用できるわ!?

「私って節約上手~♪」と鼻歌を歌いながら、私はマスクにシュッシュッとスプレーしました。そして、間髪いれずにマスクをつけてみました。すると、次の瞬間……、

「ゴホゴホゴホゴホゴホッッッッ!!!!!!!!!!」

 私は死ぬんじゃないかと思うくらいにむせました。鼻が!! 鼻がもげるうううう!!!! スプレーの濃度が濃すぎて、芳香剤を鼻に突っ込んだような臭いがしました。涙目でマスクをはぎとり、ゼイゼイと肩で息をしながら「こりゃ、死ぬ……」と悶絶。

 マスクスプレーの説明文を読んでみると、「エタノールが目や鼻にしみることがありますので、マスクにスプレーをしてから、すぐに装着しないでください」「マスクの外側に2~3回スプレーし、20回ほど軽く振ってからマスクに装着してください」と書いてあります。マスク用のスプレーですらそう書いてあるのに、枕用のスプレーをぶっかけてすぐマスクを装着したら、そりゃ危険よね……。

 その後も懲りずに枕用スプレーをマスクにかけてみましたが、やっぱり匂いが濃くて使用を断念しました。結局、メルカリでマスクスプレーを購入。マスクにスプレーして、振ってからマスクを装着してみると、ふわ~っとミントの匂いが広がってすごくイイ!

 はあ~、思い切り息しても口臭を嗅がなくて済むって最高!!!! そんなわけで最近、私は毎日シューっとスプレーしてからマスクを装着するようになりました。枕用フレグランススプレーで代用しようとしてるみんなッ! 素直にマスクスプレーを買ったほうがいいぞッ!!

5.5万のエルメスのスカーフが、8倍の値段に!? 「スカーフ額」をオーダーした買い物狂いに待ち受ける過酷な未来


――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 みなさんこんばんは。今回は、以前紹介した「2020年上半期に購入した高額商品ベスト3」の記事(<番外編2>参照)で第2位にランクインした、「エルメスのスカーフ額」の購入エピソードを紹介したいと思います。

 昨年の冬からスカーフに並々ならぬ興味・関心を持ち、さまざまなスカーフを集めてきた私は、ある時、「何でこんなにスカーフが好きなんだろう」と考えました。

 スカーフの魅力といったら、なんといっても色鮮やかな柄。シルクの光沢が美しい――そう、私、スカーフを“巻きたい”というより、“鑑賞したい”派。絵画のように眺めていたいんだ! と気づいたのです。

 ちょうどその頃、私のお気に入りのYouTuberがお部屋紹介で「一目ぼれしたエルメスのスカーフを飾っているんですよ~」と言いながら、額縁に入ったスカーフを紹介していました。

 これだ!!!! スカーフを額縁に入れて飾る「スカーフ額」! これこそあたしが求めていたものだわ! そう思い立ったら、すぐに行動に移したくなるのが千葉N子。今まで集めてきたスカーフたちをざっと並べてみました。額縁候補第1位に選んだのは、魚のスカーフ。別に魚に特別な思い入れは全くなかったんですが、グリーンとブルーの入り混じった絶妙な色合いに一目ぼれして購入したものです。

 「スカーフ 額縁」でネット検索すると、2万円くらいでスカーフ額をオーダーできることがわかり、「2万円くらいならいいんじゃないの!?」とほくほくしながら「スカーフ額縁化計画」を練り始めました。

 ところが、さらに調べていくと、「悪徳額縁店による雑な接着方法だと、早ければ1年、5年もたてば確実に100%、スカーフがたわんで、見た目が汚くなる」という恐ろしい事実を知る羽目に……。

 私は「何枚も額縁にするわけじゃないし……、変な業者に当たるのだけはごめんだわ。ここは気合を入れて、こだわって作ろうかしら……」と、ある額縁屋に狙いを定めました。その額縁屋さんはたくさんの額装例を出していて、かなりこだわって作っている様子。「ここならカッコよく仕上がりそうだわ!」と思った私は、スカーフの画像とともに、「これに合う額縁を提案してもらえるとうれしいです」と、お店に早速メッセージを送りました。普通の額縁屋さんは2万円前後で引き受けてくれるらしいし、まあ……4万くらいまでなら払ってもいいよね……?

 しかし、数日後、見積もりの連絡をもらった私の目玉はビヨヨ~ンと飛び出ました。

額縁屋さん「6万7,000円になります」

 ちょっとあんた、スカーフが2万円くらいなのに額縁で約7万って!! ははは……いや、いいんですよ。本気でこだわりぬいたものなら、これから先ずっと部屋に飾るだろうし、いいと思うんです。問題は、この魚のスカーフに対する私の思い入れが中途半端な点。というのも、見積もりがくる数日前、友だちに「この魚のスカーフを額縁にするんだ~」と言って見せたら、彼女はその瞬間、「だっさ!!!! 魚拓じゃん!!!! こんなもの飾るの!?」と言ってきやがったのです……。

 そのときは、芸術のわからんヤツめ、と思ったのですが、その後、SNSにそのスカーフをアップしたときの周りの反応が微妙だったのが、妙に気になりました。誰一人として「可愛い!!」と言ってくれない。知り合いにも見せましたが「へえ。額縁って高いんだねえ」と、まったく魚のスカーフに触れようとしないのです。いや、確かによく見れば、魚の目は死んでいるし、怖いっちゃ怖い……のかもしれない。芸術がわからないのは、私のほうなのか……?

 本当にこれでいいのだろうか……。急に7万円払うことが怖くなってきて、私は自問自答しました。やっぱり、額縁にするなら本気で気に入ったものがいいと思う。そのとき思い出したのは、去年ドハマりしたエルメスのツイリーの柄。柄にハマって色違いで4枚も集めたものの、私が着けると、デカいクマがちっちゃなネクタイをしているみたいでカッコ悪くて、結局全部売ってしまったのです。確か、あの柄の「カレ」(90cm×90cmの正方形)が出ていたはず。それを額縁にするのはどうかしら!? 思い立ったが千葉N子、すぐさま、5万5,000円でスカーフを入手しました。これで準備万端! さあ、再度額縁屋さんに見積もりをもらうわよーーー!!

額縁屋さん「こちらはサイズ感も大きいので45万700円となります」

 ぴえええええええええ~~~~~~~~!!!!!! スカーフと額縁で50万円かよ!! この額縁代を入れたら、現在のリボ額70万円弱也。そのほか、ジュエリーローンで150万円也。ふふ……なぜ毎月50万近く支払っているのに一向にローンが完済できないのかわかったよ……。あたいの物欲はどろっどろの真っ黒だよ。キャンバスに塗りたくったらすごい絵ができそうじゃない……? そして、「スカーフ額」をめぐる私の戦いは、まだまだ続くのでした……。

「母親と一緒にいるのが子の幸せ」? 障害のある娘を介護する親、「子どもと離れられない」と語る言葉の先

「『ヨロヨロ』と生き、『ドタリ』と倒れ、誰かの世話になって生き続ける」(光文社『百まで生きる覚悟』春日キスヨ)――そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。

 井波千明さん(仮名・55)には、障害のある娘、圭さん(仮名・22)がいる。

 障害がある子どもを持つまでは、人生の崖っぷちから落ちるようなものだと考えていたが、生まれてみると「今まで知らなかった幸せをたくさん知って、豊かになった」と、幸福感が増したという。

 井波さんは、圭さんが特別支援学校を卒業するころから、圭さんを社会に託し、親がいなくても生きていけるような施設を探すことを考えていた。自分たち親が老いて、圭さんの世話ができなくなったときに、圭さんの姉である長女に心配をかけたくなかったのだ。

 ところが、新型コロナウイルスの感染拡大で圭さんが通っていた作業所が休みになり、圭さんと二人で過ごす時間が増えると、圭さんと離れられなくなっていることに気がついた。これから先、一緒にいればいるほど離れられなくなりそうで、いっそ、自分たちが老いたときに圭さんと一緒に入れる終の棲家を探そうかと考えるまでになった。

(前編はこちら:義父母の介護と障害のある娘、新型コロナが変えた“距離”

離れられないのは老親の方

 そんな葛藤を、井波さんは学生時代の友人とのオンライン飲み会で吐露した。すると、その中の一人がこんな経験を語ったのだという。

「友人の義父母は、私のように障害のある息子を介護していました。友人の夫の弟で、その義弟は成人後、病気が原因で障害が残っています。義父母が70代になったころ、義弟と共倒れになることを心配した友人夫婦が、義弟を施設に入れることを提案し、義父母とも話し合って、納得してもらったうえで施設にお願いすることにしたそうです。ところが、ようやく見つかった施設が実家から遠く離れた山奥で、重度の障害のある入居者が多かったこともあり、そんなところで一生を終えることになる息子を不憫に思った義母が、入居して1年もたたないうちに実家に呼び戻してしまったんだそうです」

 施設退去時に迎えに行った友人夫婦が見たのは、入居していた数カ月の間に親しくなった、ほかの入居者や職員と泣いて別れを惜しむ義弟の姿だった。

「施設の職員さんは、そんな姿を見て『お母さんが離れられないと、難しいですね』と言ったそうです。友人の義弟は20代で障害を負ったので、義母は息子がかわいそうだという気持ちがより強くなったのではないか、と友人は言っていましたが、圭と離れられなくなっている自分のことを言われているようで身につまされました」

 親子が離れたほうがよいと客観的に考えられる段階で離れることができないと、最終的に親が老いて、親子とも身動きが取れないところまで行ってしまう。そして、残った兄弟姉妹に負担をかけることになる。筆者も、親子それぞれの施設探しに奔走する兄弟姉妹を何組か見てきた。幸い、井波さんの友人の場合は、その後、実家から近いところに施設が見つかった。義父母は80代になっており、もうこれ以上自宅での介護は無理なことを義母も認識していたようで、義弟を施設に入れることをすんなり承知したという。

 ところが井波さんの住む市には障害者施設が少なく、あったとしても友人の義弟が最初に入ったところのような、へんぴな場所にしかない。障害者施設に入るのは、高齢者が特別養護老人ホームを探すよりも難しいのだという。

 そんなこともあり、井波さんは圭さんが入れる施設を探す踏ん切りがつかなかったのだが、友人の話を聞いて一歩を踏み出す決心をした。といっても、施設探しではない。子離れの一歩だ。 

「障害者向けのヘルパーに登録したんです。圭の送迎があったり、ホームにいる義父母のところからいつ呼び出されるかわからなかったりすると細切れ時間しかないので、働くことに躊躇していたんですが、圭と同じ障害者向けのヘルパーなら、それくらい時間でも働けそうだったので、思い切ってやってみることにしました」

 今も圭さんと一緒にいたい気持ちは変わらない。でも、その気持ちは「圭は自分と一緒に生活するのが一番幸せで、他人と生活すると苦しい毎日になるんじゃないか。体を壊してしまうんじゃないか」といった不安からではないかと、冷静に自分を見つめることができるようになった。

「子どもは母親と一緒にいるのが一番幸せ、って、母親のただの思い上がりですよね」

 それが正しいのかどうかはわからない。でも、そう思えるようになっただけでも、井波さんにとっては大きな変化なのだ。

 障害者の親としての経験があるから、ヘルパーとして障害者に寄り添うことができるはずだと、くだんの友人は背中を押してくれたという。井波さんなら、仕事にも新しい幸せを見つけられるに違いない。

『スター・ウォーズ』『SATC』『モンティ・パイソン』人気キャストも……2020年上半期に亡くなったセレブ

 新型コロナウイルスの感染拡大により、さまざまな面で影響を受けている米ショービズ界。大往生したセレブもいたが、3月以降は新型コロナウイルスで命を落としたセレブの訃報が目立ち、世界中に大きな衝撃を与えた。今回は、そんな2020年上半期に亡くなったセレブたちをご紹介しよう。

メルカリで「買って後悔した商品ベスト3」2020年上半期編を発表! 合計67万円も安く買い物したのに「要らない」ワケ


――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 こんにちは! 今回は、フリマアプリ中毒のワタクシが「安く買えた商品ベスト3」を発表します! 先に言っておきますが、ハッキリ言いましょう。どの商品も買って非常に後悔しています!!!!

「安く買える=お得」と思いがちですが、裏を返せば「そのくらいの高額で購入したにもかかわらず、捨て値で売りたいと思うほど要らないもの」というわけなんですよ……。この事実に気が付くまでにわたしゃ、2年ほどかかりましたよ、ええ……。

 皆さんにより良い買い物ライフを送っていただくために、私のトホホな体験談をお伝えしますね。

第3位 合計1カラットのダイヤモンドピアス(定価22万円→7万5,000円)

 定価22万円というダイヤモンドピアスが7万5,000円で売られており、「おほーーー!!!!!!」と飛びつきました。出品者さんいわく、「一度外で外れてしまい、怖くなってつけられなくなった」とのこと。私はこのダイヤモンドを使ってピアリングに仕立てようと思っていたので、「無問題(モーマンタイ)!」と思って購入しました。ところが……。届いたものを確認したところ、なんとも曇ったダイヤモンドで、キラキラ感が全然ない……。

 これ、本当に22万円もするの~~~!?!? と思い、出品者さんが買ったという店のホームページに飛んだところ、めっちゃ赤い文字で「セール!! セール!! セール!!」と書いてあり、件のダイヤモンドピアスも10万円ほどに値下げされていました。や、やられたあ~~~!!!!!!!! しかも、ピアリングに仕立てて数週間後、片方を落としましたからね……。ほんと、買ったことを後悔しました。ジュエリーは実物を見て購入しなきゃだめよねえ……。

「お母さまから譲り受けたものの使いこなせなかったので出品しました」というネックレスを購入しました。ひゃっほー!! 20万円も得をした~~!! と思っていたのですが……。届いたネックレスはめちゃくちゃ華奢で、「これ、切れたりしないかなあ……?」と恐る恐るつけていたのですが、ブツブツ切れるし絡む絡む!! アベリに修理をお願いしたところ「チェーンが劣化で伸びていますね。そのぶん、ダイヤモンドの間隔が伸びてずれています」との返事……。

 な、なんやてーーーーー!!!! ぱっと見はキレイでしたが、かなり使われていた商品だということがあとで発覚しました……。無念!!

 

第1位 シャネルのバッグ(定価約60万円→29万5,000円)

 カールラガーフェルド時代のツイードバッグ。見た瞬間、一目ぼれし、ウンウン唸った末に購入しましたが、届いたシャネルのバッグは結局、一度も使わないまま買取に出しました……。買い取り額の低いことと言ったら……。

 「なんで使わないの?」と友達にも言われたのですが、汚れるのが怖くて使えなかったのです。いわゆる「大事にしすぎて使わなかった」パターンですね……トホホ。ちなみに、このバッグを売ってくれた人は中古店で30万円で購入後、1年ほど使用し29.5万円で私に売っているので、なんだかモヤっとしました。

 合計67万円も安く買いましたが、なんというか、「要らない福袋を買ってしまった」感がすごいです。フリマアプリの使い方として一番いいのは、「欲しかったけど手に入らなかったもの」を検索して買ったり、フリマアラートに登録しておいて、出てきた瞬間に買うことだと思います。

 とはいえ、激安の商品を見つけるとついつい宝くじを買う気持ちで買ってしまうんですけどね……! 皆さんもお気を付けください!