「コンビニ戦争」は、すでに始まっている!? ばくだん有するファミマ軍が優勢か

《飽食から美食に変わったニッポングルメ。ラーメンだってカレーだってスイーツだって、おいしくて当然の時代! でも、目でも楽しめたらもっとおいしくない!? そんな変なグルメ、おもしろグルメを探訪する! B級グルメなんて恐れ多い。珍級グルメ、いただきま~す!!》

 最近、コンビニがきな臭くなってきているのを感じないか? というのは……オムライスに味噌カツ、ポーク玉子にチャーハン、鶏から、チキン南蛮……。

 どう、腹へってきた?

 チキンライスに炙り焼きソーセージ、炙りサーモン、カツカレー……。

 どうだどうだ、もう口の中はヨダレで充満しているんじゃないの~!?

 ベーコンエッグに、エビマヨ、ツナマヨ、ベーコンマヨに海苔弁まで……。

 もう、ハラのグー音とヨダレで恥ずかしいくらいだろ!? もうおわかりのように、これは、コンビニの棚に並ぶ変わり種おにぎりの種類である。

 さるかに合戦の昔から、おにぎりといえば、梅干し、おかか、塩むすびが定番で、日本が誇る携行食であり、楽しみなお弁当でもあった。それがいつの間にか、ファミレスのメニュー並みに種類が豊富になり、もはや「コンビニ変わり種おにぎり戦争」と言えるほどの事態に発展しているのだっ!!

 そこで経緯を調べてみると、意外なことがわかった。どうやら、コンビニおにぎり戦争の発端は、高知県から始まったようだ。

 高知県には昔から「ばくだんおにぎり」という大きなおにぎりを食べる食文化があり、そのばくだんおにぎりを、コンビニの「スリーエフ」が店内で調理して販売していたという。現在ではスリーエフはローソンに変わり、高知県内のローソン限定で販売されていたものが、全国の各コンビニに広まったようだ(諸説あり)。

 筆者のイメージでは「ばくだんおにぎりといえば、サークルKサンクスが放ったばくだんむすび牛カルビ&豚生姜焼&鶏唐揚や、ばくだんおにぎり唐揚げと豚生姜マヨなどが争いの発端かと思っていただけに予想外ではあった。

 現在では、セブンイレブンがロースかつ丼おにぎり(期間限定)や旨辛鳥唐揚げおむすびという丼系で応戦すれば、サークルKサンクスを手中に収めたファミリーマートからは、苔弁風おむすびおかか入りや、味噌カツおむすびというマジ弁当風でさらなる追撃がなされた。

 そこに、ちょい高級おにぎりで様子見を決め込むと思われていたローソンが、ここにきてガパオライスおにぎりや、ありそうでなかったもっと大きなおにぎりカツカレーおにぎり特大で参戦してきたのだ。

 元はローソン軍から始まった戦だけに、負けられない戦いがここにあるに違いない。

 果たしてコンビニおにぎり戦争はいつまで続くのか。そして、どこまでにぎってしまうのか。コンビニのおにぎりコーナーから目が離せない……。

(写真・文=よしよし)

「コンビニ戦争」は、すでに始まっている!? ばくだん有するファミマ軍が優勢か

《飽食から美食に変わったニッポングルメ。ラーメンだってカレーだってスイーツだって、おいしくて当然の時代! でも、目でも楽しめたらもっとおいしくない!? そんな変なグルメ、おもしろグルメを探訪する! B級グルメなんて恐れ多い。珍級グルメ、いただきま~す!!》

 最近、コンビニがきな臭くなってきているのを感じないか? というのは……オムライスに味噌カツ、ポーク玉子にチャーハン、鶏から、チキン南蛮……。

 どう、腹へってきた?

 チキンライスに炙り焼きソーセージ、炙りサーモン、カツカレー……。

 どうだどうだ、もう口の中はヨダレで充満しているんじゃないの~!?

 ベーコンエッグに、エビマヨ、ツナマヨ、ベーコンマヨに海苔弁まで……。

 もう、ハラのグー音とヨダレで恥ずかしいくらいだろ!? もうおわかりのように、これは、コンビニの棚に並ぶ変わり種おにぎりの種類である。

 さるかに合戦の昔から、おにぎりといえば、梅干し、おかか、塩むすびが定番で、日本が誇る携行食であり、楽しみなお弁当でもあった。それがいつの間にか、ファミレスのメニュー並みに種類が豊富になり、もはや「コンビニ変わり種おにぎり戦争」と言えるほどの事態に発展しているのだっ!!

 そこで経緯を調べてみると、意外なことがわかった。どうやら、コンビニおにぎり戦争の発端は、高知県から始まったようだ。

 高知県には昔から「ばくだんおにぎり」という大きなおにぎりを食べる食文化があり、そのばくだんおにぎりを、コンビニの「スリーエフ」が店内で調理して販売していたという。現在ではスリーエフはローソンに変わり、高知県内のローソン限定で販売されていたものが、全国の各コンビニに広まったようだ(諸説あり)。

 筆者のイメージでは「ばくだんおにぎりといえば、サークルKサンクスが放ったばくだんむすび牛カルビ&豚生姜焼&鶏唐揚や、ばくだんおにぎり唐揚げと豚生姜マヨなどが争いの発端かと思っていただけに予想外ではあった。

 現在では、セブンイレブンがロースかつ丼おにぎり(期間限定)や旨辛鳥唐揚げおむすびという丼系で応戦すれば、サークルKサンクスを手中に収めたファミリーマートからは、苔弁風おむすびおかか入りや、味噌カツおむすびというマジ弁当風でさらなる追撃がなされた。

 そこに、ちょい高級おにぎりで様子見を決め込むと思われていたローソンが、ここにきてガパオライスおにぎりや、ありそうでなかったもっと大きなおにぎりカツカレーおにぎり特大で参戦してきたのだ。

 元はローソン軍から始まった戦だけに、負けられない戦いがここにあるに違いない。

 果たしてコンビニおにぎり戦争はいつまで続くのか。そして、どこまでにぎってしまうのか。コンビニのおにぎりコーナーから目が離せない……。

(写真・文=よしよし)

鬼平の街で味わう江戸の味“うどん王国”埼玉で出会った「ウナギみたいなうどん」って!?

《飽食から美食に変わったニッポングルメ。ラーメンだってカレーだってスイーツだって、おいしくて当然の時代! でも、目でも楽しめたらもっとおいしくない!? そんな変なグルメ、おもしろグルメを探訪する! B級グルメなんて恐れ多い。珍級グルメ、いただきま~す!!》

 東京では、例年より1週間も早く桜が咲き、花粉も大量に舞い散る春がやって来ました。しかし、まだまだ肌寒い日は多く、そんな日には、あったかいうどんが食べたくなる季節です。

 ということで、食べに行ってきたのは、首都圏の「うどん王国」埼玉。「うどん県」と言ってしまうといろいろ問題がありそうなので、とりあえず「王国」としておくが、アチラのうどん県同様、コチラの埼玉にも、県内あちこちにさまざまなうどんがある。

 その中でも、今回食べた珍級うどんは、コレ!! 

 ネギが邪魔でよくわからないけど、汁の少ないぶっかけ系に見えるでしょ。でも、なんかちょっとおかしいと思わない? だって、麺が、こんな、こんな……。

 こ~んなふうに……

 一本になっちゃっているのだ!!

 一本うどんといえば、以前、京都の北野天満宮前にある「たわらや」の一本うどんの記事を書いたが(記事参照)、あちらはちゃんと、すまし汁に浸かった汁うどんだった。それに対し今回のは、汁というよりタレに浸かってるし、たわらやのうどんより断面が長方形で、太さも若干太目となっている。

 そして、さらに違うのが、うどんの命ともいえる、のど越しと食感だ。本来、のどで味わううどんに対し、この一本うどんは、噛み締めて味うタイプ。極端に言うと「うどん」というより九州地方にある「だんご汁」のだんごを細くした練り物という方が合っているかもしれない。

 そして、見てわかるとおり、すすりあげて食べることはまず不可能だ。写真のように箸でつまみ揚げるのにも、けっこうな握力が必要なほどの質量があるからだ。ゆえに、たぐってはムシャムシャと咀嚼して食べるのが正解。そしてその歯ごたえとのど越しは、たわらやがギリ、うどんで、こちらはギリ、だんごなのだ(筆者調べ)。

 そして、濃い目のタレは甘しょっぱく、そこに半熟卵とネギを絡めて食べる、関東風すき焼き風味。「シメのうどんを一本にしてみました」的な、日本人が好きなど真ん中の味付けとなっている。

 

 掘れば掘るほど変わったうどんが出て来る王国・埼玉。次はどんなうどんと巡り会えるのか?

 五鉄一本うどん、うもうございました。

 

羽生 五鉄「一本うどん」800円

SNS映え  ☆☆
味     ☆☆☆
珍級度   ☆☆☆

(写真・文=よしよし)

 

柔らかい丸木橋とオムレツの美味しい関係 角煮カツ丼がうますぎた!

 

 カツの形、卵の調理法、その盛り付け、どれを取っても未体験のカツ丼の味は!?

《飽食から美食に変わったニッポングルメ。ラーメンだってカレーだってスイーツだって、おいしくて当然の時代! でも、目でも楽しめたらもっとおいしくない!? そんな変なグルメ、おもしろグルメを探訪する! B級グルメなんて恐れ多い。珍級グルメ、いただきま~す!!》

 ソースに味噌、卵とじ、野菜炒めにデミソース……といえば、もちろん、日本が世界に誇るカツ丼である。日本全国にいろいろなカツ丼があるが、先日ついに“近未来の究極カツ丼”に出会ってしまった!!

 それはまるで、荒れ果てた荒野にできた小さなクレーターにかけられた丸木橋。そこに、丸くて黄色いフワフワした謎の物体が、天から舞い降りて来たような……。今までのカツ丼の概念を根本から覆す逸品だった。

 

 

 丸木橋にしか見えないのは、柔らかく煮込んだ豚の角煮を揚げたトンカツ。舞い降りた黄色くて丸い物体Xは、タマゴをたっぷり使ったオムレツである。そして、黒いクレーター丼の中にはホカホカの白いご飯が。チラ見えする茶色い謎の液体は、玉ねぎソースである。どうよ、近未来的ドラマが空想できるでしょ?

 まずはホンの数秒、丸木橋とオムレツの不思議な関係性を奇想しながら注意深く観察していただきたい。すると気がつくのが、オムレツの上にさりげなく添えられたミツバとゆずの皮である。これを任意の場所に移動してから、いよいよ、実食の作業に取り掛かろう。

 

 冷めないうちに是非とも行なっていただきたいのが、丸木橋にかかったオムレツの背骨に沿って軽く箸を入れることだ。その瞬間、半熟タマゴがトロ~~っと溢れ出て、丸木橋からまるでナイアガラの滝の様に丼一面に広がるだろう。これはまるで伊丹十三監督作品『タンポポ』に登場したあのオムレツではないかっ!

 そのまま食べるより、もちろん、丸木橋のカツにトッピングして食べるのがオススメである。が、一口目はカツ本来の味を賞味するべく、箸でつまみ上げようとしたとき、煮込まれた肉の柔らかさゆえ、丸木橋が崩落した! 引力に負けてちぎれてしまったのだ。箸でも簡単に切れるトンカツとは……。

 

 

 箸に残った橋の端をおもむろに頬張ると、カリッとした芳ばしい食感の次に、ジュワ~っと濃厚な肉汁が口内を満たす。人類はなぜ今まで、角煮とカツのコンビネーションを思いつかなかったのか?

 そして、2番目の楽しみであるトロトロオムレツをカツにトッピングにして二口目を。ああ、なんという多幸感。衣の歯ざわりと肉汁のジュワトロ、オムレツのトロトロが究極のトリニティーを完成させるのだった。

「でも、こってりすぎてくどくない?」

 

 

 カツ丼好きにとって、ある種、禁句でもある。が、しかし、読者諸氏は忘れてはいないだろうか、オムレツの上に乗っていたミツバとゆずの皮を。濃厚な味に舌が負けて来た時こそ、その2つのアイテムをカツにトッピングすれば、洞窟の中の分かれ道を別の道へと進んだ時のような異次元の風味と味わいが体験できるのだ。

 そして、さらに忘れてならないのが、ごはんにかけられている玉ねぎソースである。濃厚な味付けの具に爽やかなソースが仲介役となり、白ご飯と見事なマッチングをみせるだろう。

 しかし、さらに恐ろしいことを発見してしまった。なんと、この角煮カツ丼にはダブルがあり、二本の丸木橋を体験できるという……。

 近未来すぎるカツ丼、うもうございました。

 

秋葉原 炉端バル さま田「とろとろ玉子の角煮カツ丼」700円/ダブル950円(ランチのみ)

SNS映え  ☆☆☆
味     ☆☆☆
珍級度   ☆☆☆

(写真・文=よしよし)

関西人もドン引き……すき家“伝説の珍メニュー”「お好み焼き牛丼」が中国で大好評!?

 世界的な和食ブームの潮流に乗り、中国でも日本料理店の数が増えているが、成功している日本の外食チェーンは、実はそれほど多くない。そうした中で健闘している業態のひとつが牛丼チェーンだ。進出が早かった上に、エリアによってはフランチャイズを取り入れている吉野家ホールディングスの「吉野家」が451店舗(2017年12月現在)と先行しているが、ここ数年、ゼンショーホールディングスが展開する「すき家」が、中国での出店ペースを加速させている。公式ホームページによると、12年時点でわずか35店舗だった店舗数が、現在は195まで拡大している。

 すき家の人気の秘密は、どこにあるのか? それは、低価格と斬新なメニューにある。牛丼の並盛は14元(約240円)と吉野家より約10元も安く、メニューも麻婆豆腐牛丼やキクラゲ牛丼といった、中華の要素を取り入れた商品が並ぶ。そんなすき家で最近、ある新メニューが登場して話題となっている。それが「大阪焼牛丼」だ。大阪焼は、関東以東では屋台でよく目にする大判焼きのような形をしたお好み焼きの一種だが、中国では、お好み焼きそのものを指す。

 物は試しと、「大阪焼牛丼」を注文してみた。提供されると、まずお好み焼きソースのいい香りがする。半熟卵が中央に乗り、周囲にキャベツが敷き詰められ、その下に牛肉が見え隠れする。ご丁寧にマヨネーズと鰹節、青海苔までかけているところにこだわりを感じる。関西人だってお好み焼きでご飯を食べるのだから、そこに牛肉が混ざっていても、なんら不思議ではないということだろうか。

 さっそく食してみると、お好み焼きソースと鰹節の風味が口の中に広がり、牛丼の味は消えている。そこで牛肉だけを食べてみると、これは普通の牛丼の味付けだった。両者が味を主張し、決して交わることがない。だからといって「別々に食べればいいのでは?」というのは野暮。お好み焼きは、中国ではメジャーとは言い難いが、中国版Twitter「微博(ウェイボー)」を見ると、「うますぎる」「おいしさ炸裂!」「ソースをもっとかけてほしい」と、意外にも好評のようだ。

 このお好み焼きを乗せた牛丼は、実は日本国内でも「お好み牛玉丼」として08年と13年に期間限定メニューとして存在し、賛否両論はあったものの、一部の人々から熱狂的な支持を受けていた珍メニューだ。「大阪焼牛丼」と「お好み牛玉丼」がまったく同じものかどうかはわからないが、同じコンセプトのものが中国でも好評を得ているのは確かだ。
(文=大橋史彦)

 

関西人もドン引き……すき家“伝説の珍メニュー”「お好み焼き牛丼」が中国で大好評!?

 世界的な和食ブームの潮流に乗り、中国でも日本料理店の数が増えているが、成功している日本の外食チェーンは、実はそれほど多くない。そうした中で健闘している業態のひとつが牛丼チェーンだ。進出が早かった上に、エリアによってはフランチャイズを取り入れている吉野家ホールディングスの「吉野家」が451店舗(2017年12月現在)と先行しているが、ここ数年、ゼンショーホールディングスが展開する「すき家」が、中国での出店ペースを加速させている。公式ホームページによると、12年時点でわずか35店舗だった店舗数が、現在は195まで拡大している。

 すき家の人気の秘密は、どこにあるのか? それは、低価格と斬新なメニューにある。牛丼の並盛は14元(約240円)と吉野家より約10元も安く、メニューも麻婆豆腐牛丼やキクラゲ牛丼といった、中華の要素を取り入れた商品が並ぶ。そんなすき家で最近、ある新メニューが登場して話題となっている。それが「大阪焼牛丼」だ。大阪焼は、関東以東では屋台でよく目にする大判焼きのような形をしたお好み焼きの一種だが、中国では、お好み焼きそのものを指す。

 物は試しと、「大阪焼牛丼」を注文してみた。提供されると、まずお好み焼きソースのいい香りがする。半熟卵が中央に乗り、周囲にキャベツが敷き詰められ、その下に牛肉が見え隠れする。ご丁寧にマヨネーズと鰹節、青海苔までかけているところにこだわりを感じる。関西人だってお好み焼きでご飯を食べるのだから、そこに牛肉が混ざっていても、なんら不思議ではないということだろうか。

 さっそく食してみると、お好み焼きソースと鰹節の風味が口の中に広がり、牛丼の味は消えている。そこで牛肉だけを食べてみると、これは普通の牛丼の味付けだった。両者が味を主張し、決して交わることがない。だからといって「別々に食べればいいのでは?」というのは野暮。お好み焼きは、中国ではメジャーとは言い難いが、中国版Twitter「微博(ウェイボー)」を見ると、「うますぎる」「おいしさ炸裂!」「ソースをもっとかけてほしい」と、意外にも好評のようだ。

 このお好み焼きを乗せた牛丼は、実は日本国内でも「お好み牛玉丼」として08年と13年に期間限定メニューとして存在し、賛否両論はあったものの、一部の人々から熱狂的な支持を受けていた珍メニューだ。「大阪焼牛丼」と「お好み牛玉丼」がまったく同じものかどうかはわからないが、同じコンセプトのものが中国でも好評を得ているのは確かだ。
(文=大橋史彦)

 

ファンタジーとリアルの間に漂う揚げ物屋で「アイスのからあげ」を食す!

 

《飽食から美食に変わったニッポングルメ。ラーメンだってカレーだってスイーツだって、おいしくて当然の時代! でも、目でも楽しめたらもっとおいしくない!? そんな変なグルメ、おもしろグルメを探訪する! B級グルメなんて恐れ多い。珍級グルメ、いただきま~す!!》

 

 アイスクリームのからあげって食べた事ある? 筆者は以前からずっと、アイスの天ぷらやからあげを食べてみたかった。

 思えば、「アイスクリーム」はグルメものにはしばしば登場するが、“変わり種グルメ”ではあまり見かけない希少な食材である。このコーナーでも、筆者の記憶にあるのは、北千住にあった「菊や」(惜しまれつつ閉店)のアイスクリームラーメンくらいではないか。

 そんな、憧れの「アイスのからあげ」が食べられる店が藤沢にあると聞き、静岡にハンバーグを食べに行った帰りに寄ってみることにした。

 藤沢駅から2駅、小田急線善行(ぜんぎょう)駅を降りると、その店は駅前ロータリーの入り口の角に、黄色いのぼりをはためかせ、燦然と輝いていた。

 駅出口から徒歩1分。店が近づくにつれて店の全貌が見えてくる。表に丸いテーブルがひとつ出ているので、外でも食べられるようになっている。

 そして、店の前に到着した時、“外でも”が“外で”だということに気づかされた。つまり、お持ち帰りがメインで、すぐに食べたい人は、店前のテーブルで食べることができるようだ。

 店前には、からあげにトンカツ、エビフライ、たこ焼きなど、美味しそうなおかずや弁当のメニューが、写真付きや写真なしでたくさん貼り出されている。雰囲気は、少し派手なお弁当屋さんである。腹ペコでここに立ったなら、途端に腹の虫の大合唱が始まるだろう。

 が、果たして「アイスのからあげ」は本当にあるのか? 張り紙を端から目を走らせて目的のメニューを探してみるのだが……ない。

「こ、これは、ガセネタだったか!?」

 そうも思ったが、そんな変わったメニューがあってもおかしくない雰囲気の店ではある。直接店員に聞こうと、店の奥に声をかけると、「ハ~イ」という声とともに、親切そうな丸いメガネのおっちゃんが登場した。

「アイスのからあげってあるんですか?」

 願いを込めて聞いてみた。すると、

「ありますよ。雪見だいふくとモナカ、どっちがいいですか?」

 あった! 本当に。しかも2種類!! 漠然と、おしゃれなアイス屋さんで出される、丸くすくったアイスの唐揚げを想像していたが、市販のアイスだったか、そう来たか……。

 筆者が選んだのは、雪見だいふくの方。しかし、季節は冬。これだけあるメニューの中で、いきなり「じゃあ、雪見だいふくのほうで」というのも違和感しかない。まずは様子見で、鶏皮の素揚げを頼んでみると、これが、パリッパリのサックサクで、超~うまい! なんでカルビーは鶏皮チップスを出さないのかという、まさに“爆誕”レベルなのだ。ホットなシーズンならビールは必須だろう。

 その鶏皮をカリカリつまみながら、次は何にしようか考えあぐねた末に頼んだのが、イカゲソの唐揚げだった。これもまた、「サク・コリ・プッルン!」という三重奏の食感と、海の香りが楽しめる逸品。こんな店がウチの近くにあったら、毎晩でも通いてーゼ……。

 そして、いよいよ、その時はきた。

「すみませーん、あと、アイスの唐揚げ。雪見だいふくの方で」

 おっちゃんに、そうお願いした。

 約3分後、「ハイ、お待たせ……」と、受け取ったのは、コロッケのような、小さなカレーパンのような、小さくて丸い物体だった。上に生クリームがちょこんと乗っかっている。

「……ワイルドに食べてね」

 おっちゃんに言われたとおり、かぶりついてみた。

「なんだこれわわわ!?」

 歯を立てた瞬間の、生クリームの甘さと衣のサクサクした食感は、人生の中でも未知の領域だった。

「あ~、イカフライでやめときゃよかった……」

 後悔したが、間に合わない。そのまま噛み下ろすと、甘さのあとに一瞬だけ、皮である求肥の柔らかさを感じ、それから固めのアイスの食感と冷たい甘味が伝わってきた。

「う、う~ん?」

 今までクリームの甘さと揚げ衣というコンビネーションを体験したことがなかったのでチト気になる味ではあるが、まずくはない。まさに、「珍級(ツウ好み笑)」な味なのだった。

 店主に聞くと、店を始めて40年。変わり揚げを始めたのは30年前だという。当時は、昼間は子ども、夜は会社帰りのサラリーマンで賑わい、夜は酒も出した。しかし、飲酒運転で帰る客がいて酒の提供はやめ、駅前にマックができると子どもたちも遠ざかったという。

 なぜかファンタジーで、宮崎駿のアニメに出てきそうな、駄菓子屋みたいな揚げ物屋。次はモナカのほう、いってみっか……。

 

善行 ビーバー「あげアイス ユキミ」200円

SNS映え  ???
味     ☆☆
珍級度   ☆☆☆!!

(写真・文=よしよし)

 

ファンタジーとリアルの間に漂う揚げ物屋で「アイスのからあげ」を食す!

 

《飽食から美食に変わったニッポングルメ。ラーメンだってカレーだってスイーツだって、おいしくて当然の時代! でも、目でも楽しめたらもっとおいしくない!? そんな変なグルメ、おもしろグルメを探訪する! B級グルメなんて恐れ多い。珍級グルメ、いただきま~す!!》

 

 アイスクリームのからあげって食べた事ある? 筆者は以前からずっと、アイスの天ぷらやからあげを食べてみたかった。

 思えば、「アイスクリーム」はグルメものにはしばしば登場するが、“変わり種グルメ”ではあまり見かけない希少な食材である。このコーナーでも、筆者の記憶にあるのは、北千住にあった「菊や」(惜しまれつつ閉店)のアイスクリームラーメンくらいではないか。

 そんな、憧れの「アイスのからあげ」が食べられる店が藤沢にあると聞き、静岡にハンバーグを食べに行った帰りに寄ってみることにした。

 藤沢駅から2駅、小田急線善行(ぜんぎょう)駅を降りると、その店は駅前ロータリーの入り口の角に、黄色いのぼりをはためかせ、燦然と輝いていた。

 駅出口から徒歩1分。店が近づくにつれて店の全貌が見えてくる。表に丸いテーブルがひとつ出ているので、外でも食べられるようになっている。

 そして、店の前に到着した時、“外でも”が“外で”だということに気づかされた。つまり、お持ち帰りがメインで、すぐに食べたい人は、店前のテーブルで食べることができるようだ。

 店前には、からあげにトンカツ、エビフライ、たこ焼きなど、美味しそうなおかずや弁当のメニューが、写真付きや写真なしでたくさん貼り出されている。雰囲気は、少し派手なお弁当屋さんである。腹ペコでここに立ったなら、途端に腹の虫の大合唱が始まるだろう。

 が、果たして「アイスのからあげ」は本当にあるのか? 張り紙を端から目を走らせて目的のメニューを探してみるのだが……ない。

「こ、これは、ガセネタだったか!?」

 そうも思ったが、そんな変わったメニューがあってもおかしくない雰囲気の店ではある。直接店員に聞こうと、店の奥に声をかけると、「ハ~イ」という声とともに、親切そうな丸いメガネのおっちゃんが登場した。

「アイスのからあげってあるんですか?」

 願いを込めて聞いてみた。すると、

「ありますよ。雪見だいふくとモナカ、どっちがいいですか?」

 あった! 本当に。しかも2種類!! 漠然と、おしゃれなアイス屋さんで出される、丸くすくったアイスの唐揚げを想像していたが、市販のアイスだったか、そう来たか……。

 筆者が選んだのは、雪見だいふくの方。しかし、季節は冬。これだけあるメニューの中で、いきなり「じゃあ、雪見だいふくのほうで」というのも違和感しかない。まずは様子見で、鶏皮の素揚げを頼んでみると、これが、パリッパリのサックサクで、超~うまい! なんでカルビーは鶏皮チップスを出さないのかという、まさに“爆誕”レベルなのだ。ホットなシーズンならビールは必須だろう。

 その鶏皮をカリカリつまみながら、次は何にしようか考えあぐねた末に頼んだのが、イカゲソの唐揚げだった。これもまた、「サク・コリ・プッルン!」という三重奏の食感と、海の香りが楽しめる逸品。こんな店がウチの近くにあったら、毎晩でも通いてーゼ……。

 そして、いよいよ、その時はきた。

「すみませーん、あと、アイスの唐揚げ。雪見だいふくの方で」

 おっちゃんに、そうお願いした。

 約3分後、「ハイ、お待たせ……」と、受け取ったのは、コロッケのような、小さなカレーパンのような、小さくて丸い物体だった。上に生クリームがちょこんと乗っかっている。

「……ワイルドに食べてね」

 おっちゃんに言われたとおり、かぶりついてみた。

「なんだこれわわわ!?」

 歯を立てた瞬間の、生クリームの甘さと衣のサクサクした食感は、人生の中でも未知の領域だった。

「あ~、イカフライでやめときゃよかった……」

 後悔したが、間に合わない。そのまま噛み下ろすと、甘さのあとに一瞬だけ、皮である求肥の柔らかさを感じ、それから固めのアイスの食感と冷たい甘味が伝わってきた。

「う、う~ん?」

 今までクリームの甘さと揚げ衣というコンビネーションを体験したことがなかったのでチト気になる味ではあるが、まずくはない。まさに、「珍級(ツウ好み笑)」な味なのだった。

 店主に聞くと、店を始めて40年。変わり揚げを始めたのは30年前だという。当時は、昼間は子ども、夜は会社帰りのサラリーマンで賑わい、夜は酒も出した。しかし、飲酒運転で帰る客がいて酒の提供はやめ、駅前にマックができると子どもたちも遠ざかったという。

 なぜかファンタジーで、宮崎駿のアニメに出てきそうな、駄菓子屋みたいな揚げ物屋。次はモナカのほう、いってみっか……。

 

善行 ビーバー「あげアイス ユキミ」200円

SNS映え  ???
味     ☆☆
珍級度   ☆☆☆!!

(写真・文=よしよし)

 

グルメリポーターとして正反対の道を行く勝俣州和とミスターちん 「本音」と「忖度」視聴者が選ぶのは?

 2017年の「流行語大賞」に「忖度」が選ばれた。この言葉には「他人の気持をおしはかる」という意味があり、決してネガティブな表現とは限らない。

 昨年12月28日に放送された『出動! 偏見捜査官』(TBS系)は、世の中にはびこる“偏見”を密着取材で解き明かす特番。

“偏見”とは、なんぞや? 今回、番組は7つのそれを用意している。「見た目がイケてない男はドが過ぎたオシャレに走る」「インドに1人旅する人は絶対に人生に悩んでる」、「7度目の引退をした大仁田厚はどうせまた復帰する」などの“偏見”が番組内で紹介されたのだ。

 中でも、とりわけ気になるのは「グルメ番組の食レポ、不味くても美味しいという」なるもの。これは果たして真実なのか、それともただの誤解なのか?

 調査すべく、番組は腕に覚えのあるリポーターをキャスティング。最初に登場したのは、彦摩呂である。

 

■彦摩呂と鈴木あきえが見せた、リポーターとしての“大人力”

 今回、“おとり調査”として、偽のグルメリポートが決行されている。ロケは名店として名高いラーメン店で行われた。まず、彦摩呂の元には不味いラーメンが運ばれてくる。リポーターは、このメニューを食してどう反応するだろう。偏見どおり、不味くても「美味しい」と言うのだろうか?

 とにかく、彦摩呂のリアクションが気になる。まず、彼は市販の醤油をぬるま湯で薄めただけのスープと麺を口にした。すると、彦摩呂は「麺だけの味が味わえる」「味のお坊さんみたい」と、満足げな表情で躊躇なくリポートするのだ。これは、絶妙!

「不味い」とは言わないものの、それでいて決して嘘をついてない。美味しいのか否かはギリギリの線でボヤかしつつ、できるだけポジティブな表現で、彦摩呂は仕事を全うした。

 続いての登場は、昨年『王様のブランチ』(TBS系)を卒業した鈴木あきえだ。リポート力に定評のある彼女も、彦摩呂が食べたものと同じラーメンの食リポに挑戦。例によって、まずは“超薄口スープ”を口にした。するとやはり、まるで動じない。「いい意味で裏切られました!」「実家を思い出す。寝起きでそのままいただける」「繊細だなぁ~」と、マイナスイメージの少ないワードで味を表現したのだ。

 本音は明かさず、それでいて「美味しい」という言葉を絶対に使わない彼女。嘘をつかないまま、大人の態度で鈴木はリポートをやり遂げた。

 

■不味いラーメンにフリーズするミスターちんに、芸能人らが高評価

 波乱を起こしたのは3人目に登場したリポーター、B21スペシャルのミスターちんである。

「食レポロケは久々」だと告白するちんであったが、久しぶりすぎて彼は対策法を忘れてしまったのかもしれない。何しろ、不味いラーメンを食べるや「何、これ!?」とバカ正直にフリーズしてしまうのだ。

 ここからのちんは、忖度なし。まず、露骨に躊躇しながら麺をすすりにいく。食べたら食べたで「スープが持ち上がってこないんだよ(苦笑)」「何の味もしない」と、加減無しのリポートを貫き通してしまう。

 しかし、悪いことばかり言っていたら番組が成立しない。さすがにちんも、いいことを言おうとするのだが「このラーメンは“食べる側”に経験値が必要」「ある意味、究極のラーメン」と、コメントがいちいち店舗のプラスになってない。甲斐甲斐しくはあるが、取り繕いきれないのだ。まったくもって、損な生き方ではないか。

 恐らく、テレビ制作者にとって、ちんは使いにくいはずだ。彦摩呂や鈴木あきえの方が、使い勝手がいいに決まってる。ソツなくメニューの美味しさを表現し、店に損をさせず、それでいて決して嘘はつかない。欺瞞を回避しながら、同時に大人として忖度もする手練が彦摩呂と鈴木である。

 だが、しかし。ちんのグルメリポートをスタジオで観ていた伊集院光は「好きだなあ、こういうの」と、好印象を持っている様子なのだ。フットボールアワー・後藤輝基は「逆に信用できる」、光浦靖子は「カッコいい」とコメントし、それぞれがちんの食リポに高評価を与えている。

 恐らく、芸能人の秘めたる本音はこちらだろう。もしかしたら「ちんさん、よくやってくれました」と、カタルシスを覚えているかもしれない。

 

■何度も行ったお店で「うわぁ!」と、初めてのリアクションをとる勝俣州和

 今回のこの番組では、食レポ関連の“偏見”がもう1つ取り上げられている。それは「TVリポーターのコメント、本心ではなく言わされている」というものである。

 ここで呼び出されたのは、グルメ番組で長年活躍する勝俣州和であった。彼には、ちょっとしたウワサがあるらしい。それは「ロケで過去に行った店でも初めてのリアクションをする」という風評だ。……これって、視聴者を欺いていることにならないだろうか?

 このウワサを確認すべく、勝俣を対象に“おとり捜査”が実施された。まず、「勝俣が初めてのお店で食レポをする」という趣旨の偽番組が企画される。しかし、勝俣が訪問するのは彼が過去に行ったことのあるお店ばかり。この状況の中、勝俣は“初めてのリアクション”をするのだろうか……?

 結論から言うと、勝俣は行く先々で“初めてのリアクション”を取りまくった。過去に3度訪れた店舗では銀ダラを使ったラーメンを食し、「うまい! タラってこんなに旨味が出るんですね?」と感嘆する勝俣。

 2店目は、もっとすごい。自身が出版したグルメ本で紹介した中華料理店にもかかわらず「うわぁ!」と新鮮なリアクションを連発し、“初めて”を装ったのだ。

 しかし、この行いは勝俣が持つ信念ゆえである。彼の言い分はこうだ。

「視聴者に『このお店へ行きたい』と思わせるのが我々の仕事ですから。何回目とか、観る人には関係ないじゃないですか。『このお店にこういう美味しいものがあるんだ。じゃあ、行ってみよう!』っていうのが、テレビ番組です。視聴者は“初めて感”をそんなに求めてますかね?」

「100回来ても、“初めての感動”はできます」

 なるほど。リポーターには、それぞれの信念があるということ。視聴者のためを思い、事実ばかりを最優先しないタイプ。番組制作者と取材店を慮り、できるだけポジティブな形で情報を提供しようとするタイプ。そして、まったく忖度できず、ありのままを伝えることしかできないタイプ。

 個人的に、思うところはある。2017年は「忖度」という言葉が席巻した年であった。揺り戻しではないが、今年は忖度を知らないミスターちんのようなリポートをもっと見てみたい。
(文=寺西ジャジューカ)

グルメリポーターとして正反対の道を行く勝俣州和とミスターちん 「本音」と「忖度」視聴者が選ぶのは?

 2017年の「流行語大賞」に「忖度」が選ばれた。この言葉には「他人の気持をおしはかる」という意味があり、決してネガティブな表現とは限らない。

 昨年12月28日に放送された『出動! 偏見捜査官』(TBS系)は、世の中にはびこる“偏見”を密着取材で解き明かす特番。

“偏見”とは、なんぞや? 今回、番組は7つのそれを用意している。「見た目がイケてない男はドが過ぎたオシャレに走る」「インドに1人旅する人は絶対に人生に悩んでる」、「7度目の引退をした大仁田厚はどうせまた復帰する」などの“偏見”が番組内で紹介されたのだ。

 中でも、とりわけ気になるのは「グルメ番組の食レポ、不味くても美味しいという」なるもの。これは果たして真実なのか、それともただの誤解なのか?

 調査すべく、番組は腕に覚えのあるリポーターをキャスティング。最初に登場したのは、彦摩呂である。

 

■彦摩呂と鈴木あきえが見せた、リポーターとしての“大人力”

 今回、“おとり調査”として、偽のグルメリポートが決行されている。ロケは名店として名高いラーメン店で行われた。まず、彦摩呂の元には不味いラーメンが運ばれてくる。リポーターは、このメニューを食してどう反応するだろう。偏見どおり、不味くても「美味しい」と言うのだろうか?

 とにかく、彦摩呂のリアクションが気になる。まず、彼は市販の醤油をぬるま湯で薄めただけのスープと麺を口にした。すると、彦摩呂は「麺だけの味が味わえる」「味のお坊さんみたい」と、満足げな表情で躊躇なくリポートするのだ。これは、絶妙!

「不味い」とは言わないものの、それでいて決して嘘をついてない。美味しいのか否かはギリギリの線でボヤかしつつ、できるだけポジティブな表現で、彦摩呂は仕事を全うした。

 続いての登場は、昨年『王様のブランチ』(TBS系)を卒業した鈴木あきえだ。リポート力に定評のある彼女も、彦摩呂が食べたものと同じラーメンの食リポに挑戦。例によって、まずは“超薄口スープ”を口にした。するとやはり、まるで動じない。「いい意味で裏切られました!」「実家を思い出す。寝起きでそのままいただける」「繊細だなぁ~」と、マイナスイメージの少ないワードで味を表現したのだ。

 本音は明かさず、それでいて「美味しい」という言葉を絶対に使わない彼女。嘘をつかないまま、大人の態度で鈴木はリポートをやり遂げた。

 

■不味いラーメンにフリーズするミスターちんに、芸能人らが高評価

 波乱を起こしたのは3人目に登場したリポーター、B21スペシャルのミスターちんである。

「食レポロケは久々」だと告白するちんであったが、久しぶりすぎて彼は対策法を忘れてしまったのかもしれない。何しろ、不味いラーメンを食べるや「何、これ!?」とバカ正直にフリーズしてしまうのだ。

 ここからのちんは、忖度なし。まず、露骨に躊躇しながら麺をすすりにいく。食べたら食べたで「スープが持ち上がってこないんだよ(苦笑)」「何の味もしない」と、加減無しのリポートを貫き通してしまう。

 しかし、悪いことばかり言っていたら番組が成立しない。さすがにちんも、いいことを言おうとするのだが「このラーメンは“食べる側”に経験値が必要」「ある意味、究極のラーメン」と、コメントがいちいち店舗のプラスになってない。甲斐甲斐しくはあるが、取り繕いきれないのだ。まったくもって、損な生き方ではないか。

 恐らく、テレビ制作者にとって、ちんは使いにくいはずだ。彦摩呂や鈴木あきえの方が、使い勝手がいいに決まってる。ソツなくメニューの美味しさを表現し、店に損をさせず、それでいて決して嘘はつかない。欺瞞を回避しながら、同時に大人として忖度もする手練が彦摩呂と鈴木である。

 だが、しかし。ちんのグルメリポートをスタジオで観ていた伊集院光は「好きだなあ、こういうの」と、好印象を持っている様子なのだ。フットボールアワー・後藤輝基は「逆に信用できる」、光浦靖子は「カッコいい」とコメントし、それぞれがちんの食リポに高評価を与えている。

 恐らく、芸能人の秘めたる本音はこちらだろう。もしかしたら「ちんさん、よくやってくれました」と、カタルシスを覚えているかもしれない。

 

■何度も行ったお店で「うわぁ!」と、初めてのリアクションをとる勝俣州和

 今回のこの番組では、食レポ関連の“偏見”がもう1つ取り上げられている。それは「TVリポーターのコメント、本心ではなく言わされている」というものである。

 ここで呼び出されたのは、グルメ番組で長年活躍する勝俣州和であった。彼には、ちょっとしたウワサがあるらしい。それは「ロケで過去に行った店でも初めてのリアクションをする」という風評だ。……これって、視聴者を欺いていることにならないだろうか?

 このウワサを確認すべく、勝俣を対象に“おとり捜査”が実施された。まず、「勝俣が初めてのお店で食レポをする」という趣旨の偽番組が企画される。しかし、勝俣が訪問するのは彼が過去に行ったことのあるお店ばかり。この状況の中、勝俣は“初めてのリアクション”をするのだろうか……?

 結論から言うと、勝俣は行く先々で“初めてのリアクション”を取りまくった。過去に3度訪れた店舗では銀ダラを使ったラーメンを食し、「うまい! タラってこんなに旨味が出るんですね?」と感嘆する勝俣。

 2店目は、もっとすごい。自身が出版したグルメ本で紹介した中華料理店にもかかわらず「うわぁ!」と新鮮なリアクションを連発し、“初めて”を装ったのだ。

 しかし、この行いは勝俣が持つ信念ゆえである。彼の言い分はこうだ。

「視聴者に『このお店へ行きたい』と思わせるのが我々の仕事ですから。何回目とか、観る人には関係ないじゃないですか。『このお店にこういう美味しいものがあるんだ。じゃあ、行ってみよう!』っていうのが、テレビ番組です。視聴者は“初めて感”をそんなに求めてますかね?」

「100回来ても、“初めての感動”はできます」

 なるほど。リポーターには、それぞれの信念があるということ。視聴者のためを思い、事実ばかりを最優先しないタイプ。番組制作者と取材店を慮り、できるだけポジティブな形で情報を提供しようとするタイプ。そして、まったく忖度できず、ありのままを伝えることしかできないタイプ。

 個人的に、思うところはある。2017年は「忖度」という言葉が席巻した年であった。揺り戻しではないが、今年は忖度を知らないミスターちんのようなリポートをもっと見てみたい。
(文=寺西ジャジューカ)