【GW10連休毎日連載企画】#4 大阪で味わう高知県のソウルフードで食い倒れ寸前!!

 

飲んだ後でもペロリと完食、そんな五十路に私はなりたい

 今日は朝から新聞、テレビ、ラジオをはじめとするあらゆるメディアで、叫ぶように言われているのでしょうが、「平成最後の日」でございます。そんな貴重な日の珍級グルメはコレ!

まあ、写真を見てよ。




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 ね、フツーに眺めると、なんの変哲も無いパーコーメンに見えるでしょう。でも、もうちょっとよく見てみてみて。



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 じつはこれ、トッピングされてるのはパーコーではなく、トンカツなんです! そして、ラーメンは味噌! 味噌ラーメンにトンカツが乗っかっているという、ありそうでなかったラーメンが、大阪・梅田にあるというので、京都ぶらりからのついでに寄ることにしたのでした!

 そう、今日はこれを食べに来たのだ!

 いわゆる「排骨(パーコー)」とは、豚のあばら肉に小麦粉や片栗粉をまぶして揚げたもので、卵液とパン粉をまとわせて揚げたとんかつとは似て非なるもの。

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 でも、高知県では、そのトンカツを味噌ラーメンにトッピングした、「味噌カツラーメン」が、ご当地グルメとして市民のソウルフードになっているという。それを大阪に持って来たのがこのラーメンというわけだ。

「味噌カツ」って言っちゃうと、八丁味噌のタレをかけた「名古屋の味噌カツ」をイメージしてしまうので、本来は「トンカツ味噌ラーメン」と言った方がわかりやすか。そして名前が、「北海道百年味噌カツラーメン」と、なかなかのカオスなのであった(汗)。

 前書きはそれくらいにして、まずは、ラーメンの命であるスープをひとくちズズッ……。

 ん~、濃ゆ~~!

 濃厚な味噌の味が舌から口へ、口から鼻へ、夏の日の熱風のごとくゆる~りと抜けていく。トロミもあって、20代、30代ならばけっこうイケるのではなかろうか。しかし、筆者のように、五十路も後半となると、腹ペコでないと後半がキツイ……(ジジイ)。

 それにプラスすることの、メインのトッピングのトンカツも、立派な厚みのある美味しいロースを使っているので、嬉しくて嬉しくて。

 具はその他にも、味玉、メンマ、ひき肉、ネギと、これだけ乗っていて1,000円以下ってのが、食い倒れの街にして粉物王国の大阪らしいところですな~。東京だったら1,500円くらいはするのではなかろうか?

 じゃあ逆に、あっさり醤油ラーメンだったら、トンカツにラーメンが負けちゃうので、やっぱり濃厚味噌で正解なのでしょう。麺はゆる縮れの中太卵麺で、モチモチプリプリ。さすが、「北海道」ですな~。

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 訪店したのは深夜にもかかわらずかなりの混み具合で、人気店というのが伺える。店員さんは愛想良く、好印象の店だった。

 東京から京都を経由して、高知名物の北海道ラーメンを大阪で喰うって、ある意味贅沢なラーメン紀行となった。

 味噌カツラーメン、濃ゆうございました(笑)。

 

【おまけ】
 翌朝、梅田で食べた「インデアンカレー」がすごかった! ひと口目は「甘!」と思ったけど、食べているうちにどんどん舌が痺れてくる、今まで未体験のショッキングなカレー。

 でも、もっと驚いたのは、券売機じゃなくて、昔懐かしい楕円形のプラッチックの食券を売る「お姉さん」がいたことだった! さらば、平成……。

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梅田 麺屋國丸。「北海道百年味噌カツラーメン」980円

SNS映え  ☆☆
味     ☆☆☆
珍級度   ☆☆

(写真・文=よしよし)

【GW10連休毎日連載企画】#3 これを食べるために京都に来た!! 分厚すぎ柔らかすぎのサンドイッチ

 

やっと、やっと、やっと出会えたおいしい京風珍級グルメ

 京都珍級グルメぶらり旅で2敗(!?)を喫したところで向かったのは、裏路地にあるちょっとした有名な店。ここも喫茶店なのだが、さっきの巨大な喫茶店とは趣が全く違う。

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 自転車が店前に駐輪できるし、何よりも「COFFEE」という看板のみで、店名も書かない奥ゆかしさ。本当にここがあの店なのか、確認できるのは、扉のガラス窓に小さく書かれていた店名だけだった。

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 この店の名物を食べるためには、整理券が必要。実は、例の超美味しい(笑)から揚げパフェを食べに行く途中に店前を素通りしたとき、幸運にも数時間後の整理券が2枚残ってるという張り紙を見つけて、予約することができたのだった。

 そして、時間に店に戻り、いざ入店! 店内は、外観同様にノスタルジー溢れる、古き良き純喫茶という雰囲気。

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 すぐさま店内は満席になったのだが、筆者以外のお客さんは全てジョシ……。さすが、京女の皆さん、美味しいものに敏感ですなぁ。

 てことで、注文してから待つこと数分、ウエイトレスのお姉さんが運んで来てくれたのが、これだった!

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 どうよどうよ、このぶっっっ厚い玉子焼き!

 思わず、

「なんじゃこりゃ~」

 またしても歓喜の雄叫びを小声で発動すると、お姉さんは満足そうに、

「ウフフ」

 と微笑むのだった(笑)。

 そう、今日はこれを食べに来たのだ!

 一体、タマゴ何個使ってるんだ(4個)ってくらいの厚みの玉子焼きは、覗き込むだけで甘~~い香りが立ち上ってくる。それを挟むパンも、羽毛布団のようにフッカフカなのだ。

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 片方のパンにはケチャップが塗られ、もう片方にはマヨネーズが。さっきラーメンとパフェと、その他にもいろいろ食べたばかりなのに、口の中にはもうよだれが溜まってくるではないか!

 柔らかい玉子焼きを挟んだ柔らかいパンは、指先だけでつまもうとしても無理。玉子焼きがかなりの重みなので、しっかり持たないと、パンの間からズルズルと滑り落ちてしまう。

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 が、きつく持つと、柔らかい玉子焼きを握りつぶしてしまいそう。慌てて口から迎えに行き、玉子焼きにかぶりつくと、口いっぱいで窒息しそうになるのだった。

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 窒息する前に、「バゴッ!」と吸い込み、「ズズズッ」っと吸いとる。と、口の中が幸せな空間に! ほんのりした暖かさに、思わず、「産みたて?」と思ってしまったが、そんなことあるわけなかった(笑)。

 京都らしく、玉子焼きは出汁巻きになっていて、玉子の甘みと出汁の旨味と香りで、お腹も幸せいっぱい。結局食べきれず、半分はお持ち帰りにしてもらった。

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 ラーメン屋の行列に並ぶのもいいけど、たまにはこんなサンドイッチのために並ぶのも、「おおきに~」の声も、また楽しい。

「コロナの玉子サンドイッチ」うもうございました。

 

烏丸御池 喫茶マドラグ「コロナの玉子サンドイッチ」780円

SNS映え  ☆☆☆
味     ☆☆☆!
珍級度   ☆☆

(写真・文=よしよし)

【GW10連休毎日連載企画】#2 冗談にもほどがある! 生クリームとから揚げの美味しい!? ミスマッチ

 

ご飯+アンコがおはぎなら、スイーツ+から揚げはパフェ?

 妖怪ラーメンから続く京都珍級ぶらり旅の2軒目は、さらに京都らしさというか、古都ジョークの効いた店へ行くことにした。

 ちなみに、京都での移動に使ったのは、レンタルの電チャリだっだが、これがめっちゃ便利だった。タクシーよりも手軽で、バスより時間の無駄がなく、もちろん徒歩より楽で早い! 唯一の問題が駐輪場なのだが、今回4軒回った中で、唯一、有料駐輪場を使ったのがこの店だった。

 店があるのは京都の繁華街・三条のど真ん中。買い物客に観光客にガイジンで溢れまくった街にある大きな喫茶店なのだが、ちょうどその裏手に有料駐輪場を見つけることができた。

 店の入り口の真ん中にある巨大なショーケースの中には、お目当のあのパフェも鎮座している。そして驚いたのは、予想外に混んでいて、ウエイティングだったのだ。そう、古都ジョークの効いた喫茶店は、超人気店だったのだ!

 20分ほど待ったところでかわいいウエイトレスさんに席に案内してもらい、お願いしたメニューがこれ!

「から揚げパフェ、お願いします」

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 そう、今日はこれを食べに来たのだ!

 この店はパフェの種類が多く、この三条本店では、から揚げパフェにトンカツパフェ、エビフライパフェなどの珍級パフェメニューがあるのだ。

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 どうよ、この華やかに装飾されたパフェというかから揚げは。いかにも京都女子が好みそうなデザートじゃないですか(?)

 パフェの具は、飾り剥きしたリンゴにさくらんぼ、キウイにオレンジ、バナナのフルーツ軍団。それをアイスクリームと生クリームのクリーム軍が下から支えている。もちろん、から揚げは最上位に君臨している。

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 てぇことで、熱々のから揚げをお上品にフォークで突き刺し、アイスクリームをたっぷりからめて口に運ぶ、その前にじっくりと観察を。

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 う~む、過去に見たことのない景色である。その、乳白色のクリームをまとったから揚げをおもむろに口内へ。サックリとした食感と溢れ出る肉汁。舌はその肉汁とアイスクリームで幸せ一色……。

 のはずだった。がしかし、一瞬にしてその幸せな夢は悪夢へと一変したのだ。

「まっず!! なんじゃこりゃ!?」

 まずい、しかも、めっちゃまずい!!

 から揚げから溢れ出た鶏の肉汁とから揚げの塩味が、甘いアイスクリームとまったく合わない。あ~、まずい!

 さっきまであんなに幸せだったのに、不幸は意外なほど突然訪れた。せっかく京都まで来たのに、トホホ……。

 でも待てよ、アイスクリームとは合わないけど、生クリームとは絶妙なマッチングなのかも?

 まるで店に忖度したかのような、そんなお人好しの妄想は、次のひと口で再び砕け散った。

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「まっず! 生クリームも合わね~」

 さらに、ヨーグルトとの組み合わせは不幸中の不幸! 食べ始めたとたんに、もう嫌になってきた。

 から揚げがこれなら、トンカツやエビフライだって同じじゃないの?

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 東京からのおのぼりさんとしては、「京都の珍級グルメは美味しかった」という土産話を持って帰りたかったのだが、さっき食べた妖怪臭のラーメンといい、このから揚げパフェといい、今のところ低空飛行をキープしている。

 本気で残そうかとさえ思った甘しょっぱいから揚げをなんとか完食し、ため息をつきながら残ったアイスクリームと生クリームを……。

 んまぁっ!

 完璧な甘さで、思わず飛び上がるほど美味しかった! コーンフレークのサクサク感も最高だ! そうか、から揚げはこのためのネガティブキャンペーンだったってことか。それならそうと先に言ってほしかったが、食べ終わる頃になってようやく本意がわかった気がした京都の名物パフェだった。

 から揚げパフェの下の部分、うもうございました。

 

京都三条 からふね屋「から揚げパフェ」870円

SNS映え  ☆☆☆!!
味     ………
珍級度   ☆☆☆

(写真・文=よしよし)

【GW10連休毎日連載企画】#1 百鬼夜行の路地にある、世にも奇妙な京都名物

 

なに出汁なのか、どんなタレなのか、そもそもラーメンだったのか!?

 京都……。

 名前の響きとしては、雅やかで伝統を受け継ぐ文化の街というイメージが、日本人を含む外国人の頭にさえインプットされている。しかし、こと、グルメとなるとちと違う。

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 もちろん、京野菜や鱧料理を始めとする、いわゆる「京料理」は有名だが、「古都」のイメージとは大きく異なる超珍級なグルメがあるのもまた、京都の一面なのだ。

 北野天満宮近くにある「妖怪通り」は、毎年秋に妖怪仮装行列「一条百鬼夜行」が開催される通りである。仮装行列が先なのか、妖怪が先なのか、近くにあった児童館の職員さんに尋ねると、

「そうねぇ……確か芸能人……女優さんが来て……なんか言うとったな……」

 腕組みをして頭を傾げたまま考え込んでしまったので、深い事情があるのだろうと納得して目的の店へ向かうことにした。

 その店は、妖怪通りの一番端っこ、その角地にあった。この通りに並ぶ店の多くは、店先に置物に化けた妖怪が待ち構え、お出迎えしてくれるのだが、この店はその数が若干多い。

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 店内を覗いてみると、お昼時ということもあり、テーブル席は埋まり、小さなカウンターにも1人客が座っていた。その雰囲気は、どこの町にもある古ぼけたラーメン屋という感じなのだが、「妖怪通り」という地域柄、妖怪の絵やグッズが賑やかしになっている。

 壁に貼られたメニューも妖怪だらけで、それはそれでけっこうおもしろい。その中にいくつか赤字で書かれたメニューがあるのだが、そのひとつがこの店を訪れた目的、そう、「妖怪ラーメン」なのだ!

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 壁に貼られた絵にそっくりな三つ目のオヤジに「妖怪ラーメン」を注文すると、オヤジは澄ました顔して「あいよ」的な返事を。

 本当は、(おっ、こいつ、妖怪ラーメン食うのか!?)みたいなことを思っているに違いないのだが、あえて表情に出さないのが若干ハラ立つ……。

 数分後、ラーメン屋のおばちゃんに化けた女狐が運んで来たのが、黒い丼の黒いラーメンだった。

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 そう、今日はこれを食べに来たのだ!

 パッと見、なんの料理かわからないかもしれないが、ラーメンである。スープが黒くて、そのせいで麺も黒みがかり、紫色っぽく変色している。いったい何を煮込めばこんなに黒いスープができるのか?

 トッピングはというと、一応、チャーシューは乗っているのだが、果たして何のチャーシューかは……。そしてきわめつけは、ゆで卵だ。普通は味玉だが、この卵は、真っ黒いピータンなのだった! これだって、何のピータンだか……(笑)。

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 疑えば疑うほど怪しく見えてくる黒いラーメン。実は、写真を撮ってる時から感じてはいたのだが、丼から立ち上る匂いが……生臭い。きっと、妖怪の香りに違いない。ならばどんな出汁がでているのかと、レンゲですくってひと口ズズズ……。

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「くっせ~! イカスミ風味の妖怪汁かぁ~」

 匂いといい味といい、イカスミ風だが、たぶん妖怪出汁だろう。ニラやピータンの匂いも混じっているに違いない。

 勇気を決して紫色の麺をズズッとすすると、鼻から抜ける香しい妖怪の香り。何だかわからないチャーシューも、本物の豚の味がして美味いのだ。

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 しかし、問題はコレ。レンゲですくうと、何かの目ん玉に見えてきた。血走ったように見えるのは、パプリカパウダー風の妖怪粉に違いない。思い切ってひとくちで頬張ると、これまたホンモノのピータン風で、けっこう美味だった。

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 最初は臭かった妖怪の煮汁も、慣れてしまうと後を引き、もうひと口、もうひと口と泥沼に引き込んでいく。そう、まるで、台湾の臭った豆腐のように……。

 気がついた時には丼のほとんどを食い尽くしていて、「ああ、これでオイラも妖怪の仲間か…」そう、大きくため息をつくのだった。

 妖怪ラーメン、うもうござ……。

 

 

北野白梅 いのうえ「妖怪ラーメン」750円

SNS映え  ☆☆
味     (゜ロ゜)!!
珍級度   ☆☆☆

(写真・文=よしよし)

【試し読みあり】関西の人気飲食店が59店登場! 失恋×グルメで読ませる新たなグルメコミックガイド

 3月に刊行されたコミック『失恋めし 京都・奈良・大阪・神戸編』(KADOKAWA)には、59の失恋物語と、そこに寄り添うメニューが描かれている。作者は、TOCANAで魔女修行漫画「かげのしょ」を連載中の木丸みさきさん。第23回コミックエッセイプチ大賞審査員特別賞「書店員賞」を受賞した大衆演劇漫画『わたしの舞台は舞台裏~大衆演劇裏方日記』(KADOKAWA)でデビューして以降、幅広いジャンルを手がけてきた。

 新刊『失恋めし』は「関西ウォーカー」(KADOKAWA)の連載をまとめたもの。大阪、京都、奈良、兵庫・神戸と、関西に実在する飲食店を舞台に、老若男女、さまざまな世代の失恋模様が描かれている。

「執筆の依頼をいただいた際に、編集さんから『ヤケ食いの話はなしで』と言われていたこともあって、毎回失恋と食でどう話をひねるか、かなり悩みました。単に思い出の味に浸る話ではワンパターンになってしまうし、暗い話にもしたくなかった。意外性のある話になるように展開を考えるのは難しかったです」(木丸みさきさん、以下同)

 さらに、実在する店を舞台にすることで、こんな悩みもあったそう。

「どこも関西では人気の、美味しい飲食店ばっかりだったんです。だから、その店で食事をしたことがきっかけで別れるとか、お店の印象が悪くなるような話にはしたくなくて。あ、もちろん人気店じゃなかったらいいってわけではないでんすけど(苦笑)。ただ、そもそも『失恋』というマイナスな状態から話が始まるので、毎回どう楽しいオチにするか、そこにどう共感してもらうか、しかもそれを2ページのショートストーリーでどうまとめるか、頭を使いました」

 中には、木丸さん自身の体験談なども盛り込まれているのだろうか。

「エッセンスとしては、実体験を参考にした部分もありました。例えば大阪のハーブカフェ『SORA』さんの話は、『初めてのお店にひとりで入る』っていう主人公の女の子の不安が、自分の体験からきているものです。知らないお店に入ることって、不安と出会いの繰り返しじゃないですか。その気持ちを恋愛に絡めて描きたくて。

 それから、大阪の熱帯魚バー『近藤熱帯魚店』さんを舞台にしたのは、彼氏と別れてから化粧が濃くなった、でも実はそのほうが本来の自分らしいっていう女の子の話。男性って、奇抜な髪型とか派手な服装が嫌いな人もけっこういるじゃないですか。私も、彼氏が嫌がるような派手な服とか髪色が好きだったことがあって、付き合ってる間は彼の好みに合わせておとなしくしてましたけど、別れたてまた自由にできると思ったら開放感があった、っていう体験をしたことがあったんです」

 紹介されている飲食店59店には、すべて店舗情報やMAPが載っているのも、同書の魅力になっている。連載時には60店以上の飲食店を取材したというが、印象に残った店はあるのだろうか。

「どこも思い出深いですが、個人的には奈良の『茶粥ののんのん』さんが印象的でした。江戸時代の茅葺きをそのまま使っていて、お店のある建物自体が文化財としても重要なものなんです。取材時は真夏で、夏場に庭を眺めながらアツアツの茶粥を食べるのも、なんだか風情があって格別でした。しかもこのお店ではストーリーにも関係する、ちょっとラッキーな出会いもあったんですよ。誰に出会ったかは、秘密なんですけどね(笑)」

★試し読みは次ページにも!

 関西というと、大阪、京都、兵庫、奈良と、それぞれの県民性の違いが面白おかしく取り上げられることも少なくない。これだけの店舗数を取材すると、飲食店にも、地域性を感じることはあったのだろうか。

「改めて読み返してみて気づいたことですけが、例えば大阪は商店街や繁華街など、賑やかな場所にあるお店を多く紹介していて、どこも安くて美味しくて気取ってなかった。京都や奈良はやっぱり和食が多くて、上賀茂神社の横にある今井食堂サバ煮だったり、龍安寺・西源院の湯豆腐だったり、清水寺の冷やし飴だったり、神社仏閣やその土地に所縁のあるお店が多く登場しました。それから神戸は独特な食文化があって、外国と日本の食のミックスが面白かったです。

 そういう背景に引っ張られた部分もあったのか、大阪は下町的な人情話が多くなったし、失恋してもタダでは起きない主人公が多くなりました。京都奈良は神社仏閣や土地にちなんだ話が中心だったし、神戸はその非日常的な感じがにじみ出るようなひねった話が出てきたかなあと」

 そんな関西の文化やさまざまな世代の恋模様を描いた本作について、木丸さんは改めて、「恋愛をしたことがあって、食べることが好きな人ならぜひ手にとってもらえたら」と話す。

「同棲して別れた彼氏より、一緒に飼っていたペットが恋しい! とか、自分はいつも人の失恋話を聞くばっかりだとか、好きになる男が筋肉バカだったり、音楽とか芸術とか趣味に走って『私、あんたの人生に関係ないやん!』ってツッコミたくなるような人を好きになってしまったりとか、とにかく、いろんな方向から失恋の話を切り取ったつもりです。

 同時に、関西に住んでいる人なら、知ってるお店が舞台になっていて楽しんでもらえるでしょうし、そうじゃない方も、グルメガイドとしても面白く読んでいただけるんじゃないかと思います。私自身は失恋したら甘い物に走っちゃうんですけど、この取材を通して、そうじゃないお店もたくさん開拓することができました。お店と料理の雰囲気が伝わるように描いたので、ぜひ、ショートストーリーとあわせて楽しんでください」

 GWに関西旅行を予定している人は、同書を片手に、その店で起こっているかもしれないさまざまな人間模様に思いを馳せながら、旅してみてはいかがだろうか?

■著者プロフィール

●木丸みさき
大阪生まれの大阪育ち、京都府在住。大阪の某大衆演劇場スタッフとして働いた経験をもとに、劇場で出会った役者やお客さんたちとの交流を描いた「わたしの舞台は舞台裏 大衆演劇裏方日記」でマンガ家デビュー。同作は、第23回コミックエッセイプチ大賞で「書店員賞」を受賞。

【試し読みあり】関西の人気飲食店が59店登場! 失恋×グルメで読ませる新たなグルメコミックガイドの画像5

『失恋めし 失恋めし 京都・奈良・大阪・神戸編』(KADOKAWA/1,188円)

 恋が終わった時、あの人を忘れさせてくれたもの、元気をくれたもの、あの味だった! 失恋をテーマに、1つの恋が終わった女性が街で初めて出会う店の味、友人に連れられて食べた懐かしの味など、おいしい食べ物を通じて元気をもらっていく1話完結の失恋×グルメコミック。登場するのは、

・  京都「西源院(龍安寺内)」/心を穏やかにしてくれる精進料理の湯豆腐

・  大阪「美味卯」/「好きなブランド卵で食べる優しい卵かけご飯

・  京都「メゾン・ド・フルージュ」/一年中イチゴが食べられるイチゴ専門店の「イチゴミルフィーユ」

 など、京都・奈良、大阪、兵庫・神戸に実在する59店。

 

初デートにも使える! 普通じゃない「台湾式揚げパン屋」って!?

台湾生まれ日本育ち、アジアンメニューはだいたい美味しい

 春とはいえ、その日はかなり寒い日だった。拳を握りしめ、JR鶯谷駅からラブホ街を抜けて向かったのは、陸橋の向こう側にある狭い路地。そこに変わったパンが食べられる店があるという。

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「パン」というからには、パン屋かと思うだろうが、ちと違う。揚げた食パンの中に具材を詰め込んでいるのだが、サンドイッチでもなければ揚げパンでもなく、かと言えば、どっちでもあるようなこんなやつ……?

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 そう、今日はこれを食べに来たのだ!

 これは、台湾のB級グルメで「棺材板や官財板(カンザイパン)」と呼ばれるもの。見た目はモロ揚げた食パンなのだが、切り込まれたフタを開けると、そこにはホ~ラ……。

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 どう? 見て見て見て、豚の角煮に甘しょっぱいタレが絡みつき、ゆで卵のトッピングまで。

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 スプーンで角煮をひとさじすくうと、トッロ~ンとタレがまとわり付いてくる。しかも、パンは揚げたて、角煮もアッツアツなので、カメラを向けると、レンズが曇って……。

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 タレが固めなのは、食器がパンということを考慮してのこと。ちゃんと計算されていて、肉は柔らかく、パンはカリッカリ。そのまんまかぶりつくと、「サクッ」とした食感のあと、甘しょっぱいタレとジューシーな角煮の肉汁が口内を覆い尽くすのだ。ちょっと濃いめの味付けが、これまたグッド!

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 なお、同店の官財パンには、煮豚の他にも、エビチリやカツカレー、シチュー、ハムカツなどのメニューがある。カツやハムカツなんて、揚げ物インザ揚げ物という、豪速球なメニューとなっている。

 官財パンの他に、変わり種ホットドッグのメニューもあり、筆者が頼んだのはキムチ納豆。

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 軽く焼いたコッペパンの香ばしさのあと、クセのあるキムチと納豆の味と香りがダイレクトに伝わって来る。パンには海苔やゴマのふりかけがかかり、風味を増している。

 店内には壁に向かって小さなカウンター席があり、そこで食べていると、後から入って来たカップルの、

「オレは大学は○○で、こんな遊びが好きで……」
「私はこんな趣味があって……」

 なんて、「付き合いたてのカップルかい!」と突っ込みたくなる声が聞こえてきた。初々しい最初のデートでも入りたくなるような雰囲気。

 その店を出る時、

「お寒い中、ありがとうございました~」

 おじいちゃん店主がそう声をかけてくれる、心もあったまる店だった。

 ちなみに、筆者が10年以上前に台湾で食べた棺材板がコレ。クリームシチューが入った定番メニューで、日本のクリームシチューより小麦粉の多い安っぽいシチューだったが、具も多くて美味しかった。

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「日本なら、絶対これにカレーを入れるのに」

 と思っていたので、カツカレーの官財パンメニューを見て、「待ってました!」とニンマリしてしまった。

 今日は煮ブタだったけど、次はカツカレーの直球で勝負してみよう(笑)。

鶯谷 カンザイパーン「煮ブタ」430円

SNS映え  ☆☆☆
味     ☆☆☆
珍級度   ☆☆☆

(写真・文=よしよし)

断崖絶壁の火サスの街で食べる謎の定食って……

断崖絶壁の火サスの街で食べる謎の定食って……の画像1

この魚は何?具の正体は!? 嵐とサスペンスの天丼定食

 

断崖絶壁の火サスの街で食べる謎の定食って……の画像2

 断崖絶壁の岩肌に、太平洋の荒波が砕け散る。その波しぶきに顔を洗われ、一歩踏み出そうとした足が怖じ気づいた……。サスペンス劇場で事件が起きるには、絶好の場所である(笑)。

 ここは北茨城にある風光明媚な温泉地・五浦の街。数軒のホテルや民宿が点在する海辺の街には、射的屋もなければスマートボール屋も、もちろんストリップ小屋もない。あるのは、覗き込めば吸い込まれそうな崖と荒ぶる海、そして、客が溢れている一軒の料理屋だった……。

断崖絶壁の火サスの街で食べる謎の定食って……の画像3

 日曜日の昼前に到着すると、店の駐車場はすでに満車で、待ち客と思しき人々がたむろしている。

「えっ、こんなに混んでるの!?」

 予想外だったが、とりあえず順番待ちの受付をお願いしようと店に入ると、昼時の厨房も店内も、嵐のようにてんてこ舞い。高校生のバイト少年が両手にお盆を持ち、呆然と入り口に立ち尽くす筆者に向かって言った。

「入れるのは1時間くらい後になりますけど」

「ハ、ハイ、わかりました」

 素直にそう返事をしたその時、少年の表情が明らかに変わったのだ。

(1時間待ちだって言ってるのに、それでも食いて~のかよ!?)

 目をひん剥いて、驚いているように見えたのだ(笑)。

 女将と思しき女性が出してくれた表に、名前と電話番号と注文するメニューを書いて一旦店を出、待っている間に海でも見ようかと、近所を散歩したのが先出の写真である。

 しかし、バイト少年も驚いた、客がそこまでして食べたいものとはなんなのか? きっちり1時間後にスマホに着信があり、店に入るとすでに席には注文の品が用意されていた。そう、今日はこれを食べに来たのだ!

断崖絶壁の火サスの街で食べる謎の定食って……の画像4

 丼にうず高く盛られているのは、もちろん天ぷらだ。テーブルからの高さ約30センチ。均一ではない複雑な形をした数種類の天ぷらを、石垣のように上手に組み合わせ、天まで届けと言わんばかりに盛っている。

 それにしても、上手に盛ったもんだと思ったら、裏側は丼の蓋を立てて天ぷらを支えているのだった。が、この時点で筆者はあることを確信した。

「こりゃ、完食はムリだな」

 それならば、好きなものから食べていくことにしよう。

 しかし、複数の天ぷらが絶妙に絡まり合ってお互いを支えているので、ひとつを取れば全てのバランスが崩れて崩壊しかねない。慎重に慎重を重ねて、まずは一番取りやすい所にあったさつまいもから……。

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 ふむふむ、紛れもない庶民のおかず、さつまいもの天ぷらで、芋の甘みと天つゆのしょっぱさは、日本ならでわの味覚ではないか。ちなみに茨城県は、全国第2位のさつまいも生産量を誇る“イモ県”でもある。

断崖絶壁の火サスの街で食べる謎の定食って……の画像6

 続いて天ぷらの石垣から引き抜いたのは、イカゲソ天であった。これも庶民の台所ではスタメンといえる。続いてつまみ上げたのは、何やら白身の魚。これはいったい……?

断崖絶壁の火サスの街で食べる謎の定食って……の画像7

 たぶん、ブリではなかろうか? 幕の内弁当なんかに、たまに小さい天ぷらが入ってるいるが、こんなに大きなブリの天ぷらは初体験だ。下味もきちっとしていて、白身魚のホクホク感も楽しめた。

 好きなものからどころか、「取れるものから」という順番になり、おまけにこのあたりまで来ると、唇はもう叶姉妹並みにツヤツヤプルプルで、舌も口の中も油まみれ。付け合わせの柴漬けやイカの塩辛は、アッという間に食べきってしまい、残りの油は味噌汁で流し込んでは、次の石垣に取り組むのだった。

 この細長いものは……アナゴ? フルの長さのアナゴさんが、なんと2本突き刺さっている。その裏側にある、緑色が透けてるレースのブラみたいなのは何かの葉っぱだが、正体は不明だ。

断崖絶壁の火サスの街で食べる謎の定食って……の画像8

「分からないのは後で女将に聞くか」

 この時はそう思っていたのだが……。

 そして、最初の予想どおり、天ぷらの量は胃袋の容量をかるくオーバーしていて、8分目まで食べたところでギブアップ。お持ち帰り用のタッパをいただいて詰めることとなった。

 お会計時、お昼時の嵐が去って温和な表情になった女将に聞いてみた。

「あれは何の天ぷらだったんですか?」

 すると、

「あら~、出したときに聞いてくなきゃ分からないのよ~。ごめんね~」

 まぁ、あれだけ混んでいれば、ネタも変わるだろうし仕方ないか。そうだよな、出された時に聞くべきだった……。

 そう思って、店を出てから気づいた。店に戻った時には、すでにテーブルにはメニューが用意されていた……。はたして、天ぷらの具の詳細は!? 火曜サスペンス並みに、謎は深まるばかりの天丼なのだった……。

断崖絶壁の火サスの街で食べる謎の定食って……の画像9

五浦 船頭料理天心丸「ミックス天丼定食」1,350円

SNS映え  ☆☆☆
味     ☆☆
混み具合  ☆☆☆!!

(写真・文=よしよし)

増える定額制飲食サービス でも、毎日同じようなメニューで人間は耐えられる?

 定額制サービスが、あちこちで増えている。

 例えば動画配信サービスは、最もメジャーなもののひとつ。その流れは、飲食店にまで及んでいる。一定の条件のもとで、毎日同じ店・チェーンで指定されたメニューが定額制で食べられるサービス。でも、それは本当にオトクなのだろうか。

 定額制サービスで、よく知られているのは、はなまるうどんが毎年数量・期間限定で実施している「定期券」。昨年は、はなまるうどんだけではなく吉野家・ガストともコラボし、最初に300円で定期券を購入すれば、それぞれの店で割引などを受けることができるサービスを実施している。はなまるうどんだけでも、うどん一杯ごとに天ぷら1品が無料になるサービスだったので、週に三度も通えば、かなり得をしたはずである。

 近年、こうしたサービスの中で最も注目を集めたのは、野郎ラーメンの実施した定額制サービスであろう。野郎ラーメンは、若者に人気の二郎インスパイア系ラーメン店。ここでは、アプリ限定で看板メニュー3品が、月額8,600円で一日一杯食べられる定額制が導入されたのである。毎日食べれば2万円を軽く超えるラーメンが1万円以下で食べられる。このサービスに飛びつく人も多かった。

 だが、実際にそんなに食べるのだろうか? 動画配信サービスだって、いくら見放題といっても毎日、映画やドラマを見る人はそうそういない。週に数本しかみないけれども、惰性で入会したままの人のほうが多数派ではあるまいか。果たして、好きだとしても毎日同じか似たようなメニューを定額制で食べられるからと、そんなに食べ続けられる人はいるのか。

 こうした定額制に目のないフリーライターは語る。

「飛びついてはしまうのですが、毎日同じメニューを食べるとなると、さすがに飽きますね。たとえば、うどんであれば一週間も食べると、異常に肉であるとかガッツリしたものが食べたくなります。ただ、野郎ラーメンは、元を取ろうと必死に食べましたよ。とはいえ割引率が高いので、1カ月に12回も行けばペイできる。しかも3品から選べるので計画的に食べれば、そんなに苦じゃないですね」

 結局、定額制グルメを満喫するには、美味さよりも「これだけ得をしたという満足感」の比重が高いということか。
(文=是枝了以)

増える定額制飲食サービス でも、毎日同じようなメニューで人間は耐えられる?

 定額制サービスが、あちこちで増えている。

 例えば動画配信サービスは、最もメジャーなもののひとつ。その流れは、飲食店にまで及んでいる。一定の条件のもとで、毎日同じ店・チェーンで指定されたメニューが定額制で食べられるサービス。でも、それは本当にオトクなのだろうか。

 定額制サービスで、よく知られているのは、はなまるうどんが毎年数量・期間限定で実施している「定期券」。昨年は、はなまるうどんだけではなく吉野家・ガストともコラボし、最初に300円で定期券を購入すれば、それぞれの店で割引などを受けることができるサービスを実施している。はなまるうどんだけでも、うどん一杯ごとに天ぷら1品が無料になるサービスだったので、週に三度も通えば、かなり得をしたはずである。

 近年、こうしたサービスの中で最も注目を集めたのは、野郎ラーメンの実施した定額制サービスであろう。野郎ラーメンは、若者に人気の二郎インスパイア系ラーメン店。ここでは、アプリ限定で看板メニュー3品が、月額8,600円で一日一杯食べられる定額制が導入されたのである。毎日食べれば2万円を軽く超えるラーメンが1万円以下で食べられる。このサービスに飛びつく人も多かった。

 だが、実際にそんなに食べるのだろうか? 動画配信サービスだって、いくら見放題といっても毎日、映画やドラマを見る人はそうそういない。週に数本しかみないけれども、惰性で入会したままの人のほうが多数派ではあるまいか。果たして、好きだとしても毎日同じか似たようなメニューを定額制で食べられるからと、そんなに食べ続けられる人はいるのか。

 こうした定額制に目のないフリーライターは語る。

「飛びついてはしまうのですが、毎日同じメニューを食べるとなると、さすがに飽きますね。たとえば、うどんであれば一週間も食べると、異常に肉であるとかガッツリしたものが食べたくなります。ただ、野郎ラーメンは、元を取ろうと必死に食べましたよ。とはいえ割引率が高いので、1カ月に12回も行けばペイできる。しかも3品から選べるので計画的に食べれば、そんなに苦じゃないですね」

 結局、定額制グルメを満喫するには、美味さよりも「これだけ得をしたという満足感」の比重が高いということか。
(文=是枝了以)

ダムがないならアレでカレーを!! ラーメン屋が起こしたダムカレーレボリューション!

■ふざけてないマジメな水門カレー

 最近、一部メディアを騒がせているダムカレーではあるが、実際に食べたことはあるだろうか? その名の通り、カレーとライスでダムとダム湖を形取ったメニューで、全国各地、ご当地にあるダムの形をカレーライスに落とし込んだ、地域活性化のためのご当地メニューである。

 しかし、千葉県にある一軒のラーメン屋の店主が、とうとう反乱を起こした!

 その店は、千葉県の習志野市にあり、残念ながら習志野には自衛隊はあってもダムはない。そこで店主が考えたのが、「水門」だった(妄想)!?

 お隣、八千代市を流れる新川にある「大和田排水機場」、つまり「水門」を、カレーライスに落とし込んだメニューがこれだ!

 そう、今日はこれを食べに来たのだ。

 着皿したカレーライスのダム部分は、円形の皿を直線的に分断するロックフィルダムに似た形式だ。

 本来ならダム湖となるはずの上流部分に浮いている2分割された味付け玉子は、川のほとりに2体ある乙女のブロンズ像を、そしてチーズは村上橋を、ネギはナガエツルノゲイトウ(水草)を表しているそうだ。そして、下流側に見える揚げ物はとんかつで、ダム(水門)を支える支柱を表現している。

 ダムカレーを食べる時の楽しみのひとつは、見た目そのものでもあるが、本来のダム見学の楽しみと同様、なんと言っても、放水の瞬間を再現することではないだろうか。

 ということで、ご飯のダム部分を少しづつ掘っていくと……やがて堰止められていたカレーが川下に向かって放水されるのだった。

 ま、当然といえば当然だが、ダムカレーを食べる人は、大人、子どもにかかわらず、ほぼ全員がやるに違いないお楽しみではある。

 今回の「大和田排水機場のカツカレー」のルゥは、かなり濃厚なタイプで、ダムの一部を掘り下げても、放水速度は非常に緩やかなものだった。

 さて、恒例となったお楽しみ行事も終わったところで、いよいよ実食。同店のスプーンは、シャベルを模したもので形はユニークではあるが、実際には大きさといい形といい、若干食べづらい。

 が、カレーの味そのものは特にスパイシーということもなく、ルゥ自体の濃厚さにチーズのまろみとコクが加わり、白いご飯との相性は抜群。さらに、味付け玉子にカツが付き、女性なら食べきれないかもしれないほどの大満足なボリューム感である。

 同店には有名な「重力式ダムカレーラーメン」もあり、こちらは以前にも紹介したが(記事参照)、ダムとカレーとラーメンが楽しめる逸品となっている。その他にも、ダムカレーチャーハンなど、他のダムカレー店では食べられない特殊なダムカレーもあるので、「ダム好きなのにダムがない!」とお嘆きの首都圏住まいの方は、是非ともお試しいただきたい。

 尚、筆者は以前、建築関係に従事した経験があり、施工管理技士の資格も取得している。しかし、ダムカレーを食べたり、食べている人を見て、侮辱を感じたことなど一度もない。

『大和田排水機場カツカレー』大変うもうございました。

京成大久保 麺屋西陣『大和田排水機場カツカレー』1,000円
SNS映え  ☆☆☆
味     ☆☆☆
珍級度   ☆☆☆!

(写真・文=よしよし)