“キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士が、森羅万象を斬る不定期連載。今回のテーマは、新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』だ。同監督の前々作『君の名は。』を0点(続きを読む
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“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、『孤狼の血 LEVEL2』にモノ申す「あんなヤクザ、平成初期にいねーよ!」
“キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士が、森羅万象を斬る不定期連載。今回のテーマは、大ヒット中のヤクザ映画『孤狼の血 LEVEL2』(原作:柚月裕子、監督:白石和彌)だ。前作『孤狼の血』(2018年)を大絶賛した瓜田ファミリーだが、続編となる本作には、果たしてどのような反応を見せるのか?
元極道の瓜田純士と、その妻・麗子。そして、かつては極道の妻だった、純士の母・恭子。そん…
“元アウトローのカリスマ”瓜田純士、田代まさしに去勢を提案!?
マーシーこと田代まさし容疑者(63)が、覚せい剤所持の疑いで5度目(薬物では4度目)の逮捕。なぜ何度捕まってもシャブをやめられないのか? 薬物への依存を根本から断ち切るためにはどうしたらよいのか?――極道時代、多くのポン中を目の当たりにしてきた“キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士(39)が、大手メディアが触れることのできない「依存の本質」と「依存脱却の最終手段」を明かした!
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――マーシー5度目の逮捕の報道を受け、まず何を思ったでしょうか?
瓜田純士(以下、瓜田) ダルクは無駄だと思いました。マーシーは、薬物依存症患者のリハビリ施設であるダルクのスタッフとして働いていたそうですが、彼みたいな自分に甘い奴が、一番やっちゃいけないのは、「傷の舐め合い」なんですよ。
ダルクでは、似た者同士が集まって、朝から晩まで自分の体験談とかを語り合っているわけですから、そんなところにいたら薬物への執着がさらに増して、またやりたくなるだけじゃないですか。
――では、薬物依存症患者は、どうすればよいと思いますか?
瓜田 画期的な解決策がひとつあるんですが、それを言うのは後回しにして、まずは常識的な答えから言いましょうか。いま、世論はだいたい二分されています。半数以上の人が「反省が足りないから、また刑務所にブチ込めばいい」と思っていて、残りの人が「病気だから治療をしたほうがいい」と思っている。
僕がこのどちらを支持するかといえば、後者ですね。刑務所に入ったところで、薬物依存は治らないからです。刑務所って、時間が止まるだけなんですよ。だからポン中に関しては、国営の治療施設を充実させて、ちゃんとプログラムを組んで、治療してあげるのがいいんじゃないかと思います。税金はかかりますけど、多くの人が廃人になるのを見過ごすよりはマシじゃないでしょうか。
マーシーは、このままだと間違いなく廃人になりますよ。このあと懲役を務めたところで、出てきたらまた同じ過ちを犯すだろうし、60代、70代をそれで潰すと思うんですよ。で、支援者も続々と去り、孤立無援のまま死んでいくしかない。
――「自業自得」との声も聞かれそうです。
瓜田 僕も昔はそう思っていましたが、親しかった先輩がポン中になっておかしくなっちゃってからは、考え方が変わったんですよ。見捨てるのはかわいそうだと。僕がヤクザをしていた頃は、周囲はポン中だらけでした。彼らは何度も刑務所に入って、出てくるたびに親分に叱られて、涙を流して反省をする。けど、また同じ過ちを繰り返すんですよ。
――瓜田さんも2003年に覚せい剤取締法違反(所持及び使用)で逮捕されていますよね。なのになぜ、その後、更生して社会復帰することができたのでしょう?
瓜田 僕は「商品」をちょっと味見した程度で、体質的に合わなかったから、ハマらなかったんですよ。また、僕の場合、出所後にダルクではなく精神科病院に入ったのがよかったのかもしれない。そこには薬物依存以外の、いろんな症状の患者さんたちがいたから、「傷の舐め合い」をできる環境ではなかったんですよ。だから、クスリへの興味も自然と薄れていった。
ところで、世の中の多くのポン中は、なぜ覚せい剤をやめられないと思いますか?
――目がさえてバリバリ働けるからでしょうか?
瓜田 違うんですよ。彼らの大半は、「シャブセックス」がやめられないだけなんですよ。幸か不幸か、僕はそれを体感する前にやめましたが、信じられない快楽らしいんですよ。「まるで全身の毛穴から精液が出てくるようだ」と聞いたことがあります。
しかもこの快感は、相手がいなくても成立するんです。「シャブオナニー」ってやつですね。マーシーはかつて、盗撮で書類送検されたり、のぞきで逮捕されたりもしていますが、あれはきっと、シャブオナニーのためのオカズを探し歩いていたんだと思います。
――シャブセックスは聞いたことがありますが、シャブオナニーは初耳です。
瓜田 パートナーと楽しむのはアマチュアで、上級者ほど1人でできるシャブオナニーを好むそうです。僕がヤクザだった頃、ビデオボックスに8時間ぐらいこもって出てこない同業者もいました。1人のほうがオルガズムを得るためのシチュエーションにあれこれこだわることができて、気持ちいいんだとか。
その強烈な快感を思い出すと、捕まったあともまたしたくなって、シャブに手を出してしまう。その繰り返しなんだと思います。
――そういう人を止めるには、どうすればよいのでしょう?
瓜田 不能にさせるしかないですね。
――えっ!?
瓜田 去勢するか、性欲を抑制する薬を投与するしかない(真顔で断言)。初犯でそれは酷だけど、たとえば「3回目以降はそうする」という法律を作っちゃえばいいんですよ。「性欲減退法」という法律をね。ムラムラしなくなれば、シャブもいらなくなる。これは薬物犯罪のみならず、性犯罪に適用してもいいですね。
女性の場合は、穴派とクリ派がいるので難しいところですが、そのどちらかを取っちゃう か、あるいは性欲抑制剤を投与する。
――残酷ですね。そんな法案が通ったら、世界中の人権団体が黙っていませんよ。
瓜田 廃人になるのを見殺しにするよりは、いくらか優しいと思いますよ。だって、チ●コやマ●コがなくなったって、社会復帰や社会貢献はできますから。更生後に子どもを育てたくなったら、養子をもらえばいいだけのことです。
――うーん……。
瓜田 そうやって躊躇する人が多いから、いつまでたってもポン中がいなくならないんですよ。非現実的な話と思うかもしれないけど、原理原則さえわかってしまえば、対策も立てやすいってもんです。有識者会議で「覚せい剤をやめられないのはセックスとオナニーが原因だ」ということを議論し、国が性欲減退法を制定すれば、シャブに手を出す人は激減すると思いますよ。
そもそもヒロポン(覚せい剤)は、戦前戦中に、「ものを食べなくても働き続けることができる人間を育成しよう」という日本政府の国策に基づいて普及させたものだという説もある。最初に国が広めたんだから、最後のケツも国が拭け、って話ですよ。
(取材・文=岡林敬太)
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“元・アウトローのカリスマ”瓜田純士『ジョーカー』を大絶賛! 「俺とアーサーの違い」とは?
映画『ジョーカー』(トッド・フィリップス監督、ホアキン・フェニックス主演)が世界各国で話題沸騰中だ。“悪のカリスマ”が主役の作品となれば、この男は居ても立ってもいられないだろう。“元アウトローのカリスマ”こと瓜田純士(39)が、妻と共に映画館に向かった!
コメディアンを夢見るひとりの心優しい男・アーサーが、映画史上最凶の悪役といわれるジョーカーに変貌するまでを描いた『ジョーカー』。ベネチア国際映画祭で金獅子賞を獲得した本作は、日本でも公開から3週連続で週末ランキングのNo.1を記録するなど快進撃を続けている。
バットマンシリーズの悪役として知られるジョーカーだが、今回の映画は独立した作品であるため、「シリーズを見ていなくても楽しめる」との声も多い。シリーズのファンである瓜田と、シリーズ未見の妻・麗子。それぞれの感想を聞いてみよう。
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――いかがでしたか?
瓜田純士(以下、純士) いやぁ、もう、めちゃくちゃよかったですよ! 『ゴッファーザー』とか『アマデウス』とか『タイタニック』などの歴史的名作に、いきなり肩を並べたどころか、ヘタすりゃ首位に躍り出たんじゃないか、ってぐらいのド傑作でした。ひとりの孤独なメンタルをやられた男が、テレビの力を使いつつ、政治的な要素も重なって、一夜にして悪のカリスマになる。その描き方が圧巻でした。お見事と言うほかない。
「(アーサーとジョーカーを演じた)ホアキン・フェニックスの演技がすごい」というウワサを耳にしてたから、最初は斜に構えて見てたんですよ。「ほうほう、どれほどのもんだい? ちょっとやそっとじゃ、俺は驚かないぞ」と。ところが、そんな上から目線な態度の俺が、開始早々、胸ぐらをつかまれてKOされて病院送りになるぐらいの怪演でしたから、参りましたよ。歴代の、どのジョーカーよりもすごかった。
――奥様はどうだったでしょうか?
瓜田麗子(以下、麗子) 泣くと思って、わざわざティッシュを買って劇場入りしたのに、まったくその出番がなかったです。なんやあのメンヘラ被害妄想男は。あいつ、暗いねん。
純士 だから、それを演じ切ったのがすごいんだよ。並の役者だったら、台本があっても、あの演技は無理だって。
麗子 鑑賞中、純士がずっと横で泣いてるから、「はぁ、純士の頭の中は、やっぱこうなんや……」と再確認すると同時に、付き合い始めの頃の自分の苦労を思い出してウンザリしたわ。
純士 俺をメンヘラ扱いかよ……。
麗子 ホンマに出会った頃はああやったから。
純士 (あきれ顔で)ごくまれに、こういうバカっているんですよ。これだけの名作をくさすバカが……。うちの嫁にシャガールとかゴッホの絵を見せたところで、どうにもならない。つまりは、そういうことでしょうね。
麗子 シャガールやゴッホやジョーカーに心酔するような奴は、ブランドに弱い奴やと思うねん。
純士 いいものをいいと思えない。そういうひねくれたバカは、『天気の子』でも見てりゃいいんですよ(笑)。
麗子 『天気の子』はよかったなぁ(参照記事)。
純士 ああいうどうしようもないインポテンツな作品が、嫁は好きなんですよ。俺だけがベタ褒めしてるんならただのメンヘラ支持者のたわごとで終わっちゃうかもしれないけど、世界の絶賛と照らし合わせれば、『ジョーカー』がいかに素晴らしいのかはわかること。俺、この映画になら1万円出してもいいと思いました。
麗子 1円も出したないわ……。
純士 最初から最後まで圧巻だったじゃん。あの表情や、走り方、そして彼が少しずつ傷ついていく描写などに、いちいち鳥肌が立った。そんな彼が、ただたたずんでるだけでも絵になる。日本人じゃ、そんな俳優は1人もいない。レベルが違いますね。
麗子 この映画をええと思う人は、偽善者か、育った境遇が近かった人だけやと思うで。「かわいそう、かわいそう。人を殺すのもわかるよ」って、じゃあ、「植松聖(相模原障害者施設殺傷事件の犯人)の気持ちもわかるよ」となるんかい。
純士 正真正銘のバカは、こういう横ヤリを入れてくるんですよ。誰も人殺しがいいなんて言ってない。彼の芝居の話をしてるだけで。
麗子 あいつには向上心がないねん。
純士 それはただの因縁だね。「かわいそうな人の話は初めから見る気がしない」「主人公がマイナス思考の映画は全部受け入れない」ってことになったら、批評なんか成り立たないだろ。ひよっけ(妻の愛称)は、1から9までをすっ飛ばして、ただ好きか嫌いかの感情だけで語っちゃうから、つまんない。関西人がよくやるんですよ、こういう話になんないことを。串カツでも食ってろって話ですよ。ブヒブヒ言いながら(笑)。
麗子 彼はもっと現状を把握して、もっと向上心を持って行動しやんとあかんねん。
純士 だから、リアルの社会でこんなのがいい悪いの話じゃなく、映画としてどうなのかって話をしてんのに……。自分の嫁がここまでのレベルだと思うと、情けなくなってくるわ。
麗子 ウチも、あいつや純士のことが、情けないと思うわ。とにかくこの映画は、受け入れられへん。「かわいそう」に持っていこう、持っていこうとするあまり、逆に冷めた自分がいてたわ。
純士 でも、ひよっけは、『プリズン・ブレイク』のティーバッグがかわいそうな目に遭ったときは泣いてたじゃん。ティーバッグは、6人の子どもを強姦殺人した鬼畜だぞ? ルックスに左右されてないか? ジョーカーは見た目がキモイから好きになれないだけだろ。
確かにホアキン演じるアーサーならびにジョーカーはキモイ部分もあるけど、しゃべらずして演じるっていうの? 口元ひとつ、目つきひとつで悲哀を漂わせるその姿に、俺は心をわしづかみにされたよ。もしホアキンが、汁に麺だけの味気ないラーメンを、「A.激辛」「B.お袋の味」で演じ分けたとしたら、A、B、どっちでも泣く自信があるわ。
麗子 どんだけ泣き虫やねん。
純士 ガキどもに追いかけられていじめられるシーンも、舞台でやらかすシーンも、バスで冷たい視線を浴びながらカードを出すシーンも、便所でブン殴られるシーンも、全部ハラハラしたし、泣けた。地下鉄でサラリーマンのグループと同じ車両になったシーンなんて、「ああ、これからロクでもないことが起きるに決まってる」と胸が締め付けられちゃって……。
俺自身、精神科病院に入ったことがあって、精神疾患を抱えた人と結構接してきてるんですよ。病院の中ではいい人だったけど、彼らも表で事件を起こすと、ウチの嫁みたいな民衆に叩かれるんだろうな。もちろん人殺しはいけないことだけど、そこまで追い詰められる理由も見てあげないといけないな、なんてことを思ったり。
ここまで感情移入させられたのは、そうした実人生で経験したことの影響もあるけど、やっぱホアキンの演技力あってこそ。すごくなかったですか、彼の表情。母親の前や、カウンセラーの前では急に、おっさんなのに少年みたいな顔になるし。マイケル・ジャクソンを思い出したわ。
子どもの前でマジックもしてたけど、ああいう演技って実際、難しいと思うよ。相当練習しないと無理。ちなみにあの子どもが誰なのか、わかった?
麗子 誰って、あのお屋敷に住んでる資産家の息子ちゃうの?
純士 そうなんだけど、それだけじゃないんだよ。彼が大きくなったら、どうなると思う?
麗子 わからん。
純士 やっぱバットマンシリーズを見てない人だと、わからないか……。ホアキンの演技に話を戻すけど、トイレかなんかでクネクネ気持ち悪いことをやってたよね。ガリガリの体で。でも終盤、髪を緑に染めて、あの服に袖を通してジョーカーになると、気持ち悪さが格好よく見えてくる。デコ(警察)から逃げながらタバコを吸うシーンや、自己陶酔したように階段で踊るシーンなんかは、しびれるほどに格好よかったなぁ。
麗子 純士とかぶるところなかった? ナルシストなところとか、被害妄想っぽいところとか。
純士 被害妄想で思い出したけど、映画を見てる最中にちょっとだけ引っかかったのは、「それって、殺すほどのことか?」と思えるようなシーンがいくつかあった点。でも今にして思えば、それもあえて、そうしたのかも。その手の人は思い込みが激しいっていう、実際の症例を取り入れてるのかもしれませんね。
――そのほか、この映画で気に入った点は?
純士 テレビ司会者であるコメディアンを、貫禄たっぷりに演じたロバート・デ・ニーロですね。生放送を滞りなく進行しなくちゃいけないという場面で、ジョーカーが、みんなの顔が引きつっちゃうようなことを次から次へとやらかすじゃないですか。その状況下、デニーロがとっさに機転を利かせるシーンが好き。
もちろん細かいシナリオがあるんだろうけど、本当に引きつった感じ、そしてその引きつった状況から、ほかのゲストに腹の内を見られないように、ポンポン話題を変えていくところの演技がすごかった。生放送中のハプニングに対応する、みのもんたやタモリを見てるようでした。
あとは映像美ですね。古い町並みや、酒場とか地下鉄がよかったです。舞台は古いのに、迫力がすごい。特に電車のシーンは臨場感たっぷりでした。ただ、これは劇場の問題かもしれないけど、若干ボリュームがデカすぎたかなって気もします。
麗子 おしゃれやな、きれいやな、と思えるシーンは確かにあったな。
純士 美しさと孤独さがたまらなかった。孤独な奴ってこうなりかねないっていう瀬戸際の状況。そういうのをあまり美化しちゃいけないんだろうけど、明日からそっち側に行っちゃうんじゃないかというギリギリのボーダーラインと、それを突破する心模様がとても上手に描かれていた。社会で居場所がなくて人に愛されてないから、彼はものすごく孤独だったんだと思うよ。
麗子 愛されようと努力すればええやん。
純士 そのやり方がわかんないんだよ。誰も教えてくれないから。現実社会の身の回りにも、ああいう、どこにいても「あっち行け」と言われるような際どい人って結構いるよね。
麗子 純士とかぶるな。
純士 なんでもかんでも俺にかぶらせるんじゃねえ! でも確かに、ひよっけと出会わなかったら、俺もあっち側に行ってたかもしれない。アーサーと俺の違いは、自分を出すか否かだね。アーサーはジョーカーという別の人格を作り上げて恨みを晴らしてたけど、俺クラスのナルシストになると、そんなことをして獄中に入ったところで誰が俺を称賛するんだ、割に合わないだろ、と思っちゃう。だって、名前を変えて顔を隠しちゃったら、瓜田純士の手柄にはならないじゃないですか。だから、あっち側へ行かずに済んだ。
「コンチクショウ」と思って、ヤケのやんぱちになりかけたこともあったけど、俺の場合、そういうときに、テレビ番組に呼ばれるような絶好の大舞台もなかったし。もしそういう機会があったら、俺もすべてをぶちまけて、一夜にして悪のカリスマになってたかもしれない。実際はそんなことはなく、ただの「痴話ゲンカ脅迫男」レベルで終わりましたけどね(笑)。
でも、アーサーほどじゃないにせよ、理不尽にさげすまれて傷つくことって、誰しもあると思うんですよ。だから多くの人が、ジョーカーに共感するんじゃないでしょうか。女性は母性本能をくすぐられるのかと思いきや、ウチの嫁に関して言えば、まったくその気配がないという……。
麗子 傷の舐め合いをする奴とか、向上心がない奴は嫌いやねん。
純士 傷の舐め合いどころか、彼には愚痴をこぼせる相手すらいなかったんだよ。誰にも頼らず、悪のカリスマになったところがすごい。悪といっても、今作では、まったく罪のない人を殺したわけじゃないんだけどね。
麗子 それは犯罪者を守ってるわ。どんな理由があっても人は殺したらあかん。
純士 とはいえ、今まで山ほど理不尽な目に遭いながらも、すべて「しょうがない」「致し方ない」と自分に言い聞かせてきた人間が、一度の間違いをきっかけに、歯止めが利かなくなっちゃう気持ち、俺にはよくわかるんですよ。
麗子 負け犬やで、負け犬。
純士 負け犬が、そのままカリスマになっちゃったわけじゃないですか。悪のカリスマに。かわいそうな奴なんですよ。
麗子 かわいそうやったら、何してもええんか?
純士 あそこまで行ったら、いいよ(笑)。
麗子 殺された人も、よそではええことしてるかもしれんやん。
純士 よそでいいことしてたって、AがBにしたことは事実。だからBがAにやり返しただけ。因果応報だよ。俺、無差別殺人や快楽殺人はもちろん否定するけど、もしひよっけが誰かにいじめられたら、いじめた奴を殺すと思うよ。
麗子 それは殺さなあかんな。
純士 そういうことなんだよ。だから俺は、ジョーカーを支持する。100点満点だから100点をつけたけど、本当は1000億点をつけたいぐらいですよ。派手なCGや手の込んだどんでん返しはないけど、めちゃくちゃ心を揺さぶられる作品でした。人に勧めたくなる映画ですね。見たほうがいいよ、って。
麗子 見やんでええわ。
(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)
『ジョーカー』瓜田夫婦の採点(100点満点)
純士 100点
麗子 3点
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”元アウトローのカリスマ”瓜田純士、ブラックエンペラー2代目総長の実父への想いをラップに乗せる!
「親父、調子はどうだ?」――ユーチューバーとして、そしてミュージシャンとして精力的に活動中の“キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士(39)が、瓜田夫婦名義で新たなミュージックビデオを発表した。曲のタイトルは「TO FATHER」。伝説の暴走族「ブラックエンペラー」の2代目総長で、元極道でもある実父(遠藤吉寿氏)に向けたラップソングだ。父の背中を追うようにアウトローの世界に足を踏み入れた瓜田だったが、やがて両者は対立し、疎遠状態に……。あれから5年。更生し、家庭を持った元不良息子が、父への思いを曲に刻んだ。
――なぜ今この時期に、「父親」をテーマにした曲を発表したのでしょうか?
瓜田純士(以下、純士) 親父とは久しく会っていないんですが、今年の夏、知人から近況を聞きまして。その晩、親父について、あれこれ考えたんですよ。構ってもらえなかった少年時代や、対立していた極道時代は「あんな奴は親じゃねえ」とうそぶいていましたが、大人になって更生した今では「俺が子どもだったな」「実はいろんなところで守られていたんだな」と思えるようになった。そこで、親父に対するそうした思いを曲にしようと決めました。
――純士さんとお父様の関係性を教えてください。
純士 俺が小6か中1のときに両親は離婚したんですが、お袋との結婚期間も外に女を作っていたから、年に一度ぐらいしか家に帰ってこないような親父でした。だから、「どんな人なんだろう?」という興味があり、親父の本棚を漁ると、暴走族時代の本(『俺たちには土曜しかない』遠藤吉寿著)や映画(『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』)のVHSが出てくるから、憧れも抱くようになって。
でもお袋は、親父が帰ってこない間、姑の近くにいたせいでノイローゼ気味になってしまい、俺は親父への憧れを表に出すことができなかったんですよ。子ども心に「お袋の味方をしないといけない」という思いがあったから、いつもお袋の目を盗みながら親父関連の作品を見ていました。
――ご両親が離婚してから、お父様との交流は?
純士 ますます疎遠になったんですが、ある日、おばあちゃんから、「親父には弟がいた」という話を聞きまして。そこの家庭もいろいろと問題があって、おばあちゃんは弟らを残して、長男である親父だけを連れて家を出てきちゃったらしいんです。
生き別れになった弟からしたら、お兄ちゃんに会いたい。やがて風のウワサで「1万人クラスの巨大暴走族の総長になっている」と聞き、だったら自分もバイクに乗って新宿に行けば兄貴に会えるんじゃないか。そう思って中免を取って、バイクで新宿に出てきたときに、弟は交通事故で亡くなったそうです。
そういう話も聞いていたので、俺も弟さんが思ったように、ヤクザかなんかになって新宿で目立っていれば、いつか親父と会えて認めてもらえるかもしれない、という期待も抱きつつ、17でヤクザとしての登録を終えて、歌舞伎町をウロチョロし始めたわけです。そしたら18ぐらいのとき、歌舞伎町のセントラルロードを仲間と歩いていたら、親父とバッタリ会いまして。
――そのとき、どんな会話を?
純士 連絡先を交換して、「夜に出てこい」と言われて、その晩、飲み屋で近況を語り合いました。そこからお互いヤクザということで、シノギの話とかも出てくるようになり、たまに会うようになったんですよ。
親父とは組織は別でした。ただ、俺の組織の幹部も若かりし頃、ブラックエンペラーとケンカしていたなどの縁から、親父をみんな知っていました。普段は口もきけないような上の幹部の人たちが、われわれ親子の飲みの席に同席して、「なんだお前、遠藤さんの息子だったのか」「お父さんに心配をかけるなよ」などと声をかけてくれることも度々ありまして。今にして思えば、それは親父が作ってくれた“場面”なんでしょうね。そういう席を設けてくれたのは、もしかしたら守ってくれていたのかな、と思うんですよ。「俺の実子を安いチンピラみたいに扱うなよ」という意味だったと思うんです。
――だとしたら、お父様の優しさを感じますね。
純士 ただ、それが悪いほうに転がることもあって。親父が何かトラブルを起こすと、「息子を捕まえたら親父と話せるぞ」ということで、俺が追い込みをかけられる場面も出てきたわけです。それはさすがに背負いきれず、逃げ出す意味で「親父のことを俺に聞くな。あんなの親じゃねえ」と言っていた時期もありましたし、そうしたことが原因で、親父と殺し合いをしかねないほど憎み合った時期もありました。そんなこんなが重なって、いつしか再び疎遠になってしまったという感じです。
――最後にお父様と会ったのはいつでしょう?
純士 2014年頃だったかな。親父はすでにヤクザをやめていて、「やっと肩の荷が下りた」と言っていました。そのときはその言葉の意味がわからなかったけど、先日、近況を知人から聞いたときに、「親父もいろいろ大変だったんだろうな」と思いました。俺よりも圧倒的に面倒な立場にいたんだろうし、立場上、したくもない態度を取っていたんだろうし、引くに引けなかったこともあったんだろう、と。俺も大人になったから、そうしたことがわかるようになってきたんですよ。
――お父様の近況は?
純士 それはご想像にお任せします。が、その知人いわく、千葉の美浜で俺が刺されたとき(参照記事)、親父は俺のことを心配して、水面下でいろいろと動いてくれていたらしいんです。また、俺が切腹してICUにいたときも、お袋は俺が死ぬと思ったらしく、誰に相談していいかわからずに別れた親父に連絡を取ったら、親父は病院の近くまで駆けつけてくれたそうで。
そんな話を聞くうちに、憎しみは消え去り、親父に向けた曲でも作ろうか、という気になりました。
――まず、リリック(歌詞)から作ったのでしょうか?
純士 いや、今回はトラックが先に決まっていました。前作、前々作同様、Kombow氏の作品の中から、秋らしいトラックに目をつけていたんですよ。で、そのトラックにハマりそうな秋らしい感傷的なリリックということで、最初は「嫁と嫁のお父さんの物語」を書こうと考えていたんです。大阪から出てきて、俺みたいな男と一緒になって、いろいろ苦労もあっただろう、と。
「TO FATHER」で、俺がフック(サビ)を歌う部分があるじゃないですか。あそこの部分に、「ウチ、寂しかったんよ。ウチ、ほんまにパパに大事にされていたんよ」みたいな関西弁の嫁の歌を入れる予定だったんですが、その案を嫁にぶつけたら、「アホちゃうか。ウチの年齢でそんなメンヘラな歌を歌ったら恥ずかしわ。純士のためにも、それだけはほんまにやめといたほうがええで」とフル却下されまして(笑)。
一歩間違えたら、とんでもない駄作を世に発表するところでしたが(笑)、そこへたまたま自分の親父の近況が舞い込んできたから、新たにリリックを書いて、そのトラックにハメ込みました。結果オーライですが、うまいことハマったと思います。
――英語のリリックも印象的でした。
純士 歌詞の内容的に、日本語で歌うと間抜けになりそうな部分だったから、英語にしました。ただし、英語をしゃべれない奴が英語で歌うという禁じ手をやる以上は、ちゃんとした英語にしなかったら笑われる。だから、ネットで調べたり、外国の偉人の名言を引用したりしつつ、文法的にも発音的にも間違えがないように努めました。
――フックを純士さんが担当したのは、今回が初めてですね。
純士 前から嫁に「フックを歌ってみたら?」と言われていたので、今回初めて挑戦してみました。どうでした?
――歌がうまく、声が優しいことに驚きました。
純士 人って、自分の声が一番わからないじゃないですか。最初、DJのTVXI氏が完成形に近い音源を上げてきたときに、「あれ? こんなはずじゃない」と自分の声に引いちゃいまして。DJに「ああしてほしい」「こうしてほしい」とボーカルをイジるように、何度もリメイクの指示を出してしまったんですよ。
ところが、リメイクしてもらった数パターンの声と、元の声を何日もかけて聴き比べてみると、「やっぱ元の声のほうがいい」ということがわかった。だから今後はDJから上がってきた音に返信をするのは、少なくとも丸一日聴き込んでからじゃないとダメだなと反省しました。
矢沢永吉とかマイケル・ジャクソンもきっと細かい注文を出すんでしょうけど、ああいう人たちって、ベース、ギター、ドラム、編曲者などの一人ひとりに大金を払って、初めて発言しているわけじゃないですか。それをこっちは業界最安値クラスでやっているくせに、永ちゃんばりに指示がうるさい(笑)。そりゃ周りもウンザリするわ、と思いました。
――麗子夫人の歌声も美しかったです。奥様にお聞きしますが、あのメロディは自分で考えたんでしょうか?
瓜田麗子(以下、麗子) メロディの基礎はすべて、純士が鼻歌で作るんですよ。「こんな風に歌って」と。あとはDJの意見も取り入れつつ、自分でアレンジして歌いました。
純士 メロディ作りは完全に俺。なのに嫁は、「自分で作ってる」って思いたがるんですよ。
麗子 作ってるやん!
純士 基礎は俺なんですよ。
麗子 そう言うてるやん! その純士の毎回変わる適当な鼻歌を覚えるのが思いっきり大変やねんから、歌いやすいように自分でアレンジするしかないねんやん。
純士 そんな嫁を説得するのが大変で……。暴走したら違うもんになっちゃいますからね。レコーディング中にDJからも「これは旦那さんの曲だから、奥さんはもう少し控えめに」と注意されていましたから(笑)。まぁ、最終的にいい感じに仕上がったらよかったけど。
麗子 いつもウチのおかげでよくなってるやん!
純士 要するに瓜田夫婦は、アリとキリギリスなんですよ。アリがせっせと頑張っているのに、キリギリスが手柄を横取りしようとするから、アリは疲れるばかりなんです。結局、アリですから俺は。
――今回も、制作中に夫婦ゲンカが絶えなかったのでしょうか?
純士 なぜ夫婦で音楽活動する人が世の中に少ないのか。その答えが今回、出ましたね。夫婦でやったらケンカになるし、ヘタしたら離婚までありますって。それぐらい今回も、ケンカになったんで。せっかちな俺と、おおらかな嫁だと、必ずケンカになるんですよ。
嫁はすべてにルーズ。時間を守らないし、何事もギリギリまで動かない。なのに、誰よりも偉そうにしている(笑)。それが非常にムカつくんだけど、嫁がいないと作品が出来上がらないのも事実だから、俺はノッてもいないのにノッているフリをしてあげる場面も多かった。99パーセントは俺の頑張りなんだけど、五分五分の作品に見せるのにも苦労しました。
――奥様、反論をどうぞ。
麗子 毎度のことやけど、純士は物作りしだしたら寝ている以外は毎日ピリピリするから、ほんま嫌やねん。協力せぇへんかったらよかったわ、って毎回後悔すんねん。もう一緒に物作りをするのは、ほんま嫌。途中で何回もそう思うねん……。
純士 こっちはそんな嫁のことを、ひたすら機嫌を取らないといけない。ちょっとでも機嫌を損ねると、「もうやらん!」「ウチは帰るで!」とゴネだすから大変でした。彼女は、自分がマドンナかブリトニー・スピアーズにでもなった気でいるんですよ。
麗子 なってへんわ! 今回一番揉めたのは、撮影のためにホテル(バリアンリゾート)に行くか行かないか、って問題でした。ウチはどうしても行きたかったんですよ。すごく楽しいし、あそこで撮ったら動画にもよい艶が出るじゃないですか。女子会ではよく行っていたんですけど、2人では一度も行ったことがなかったから、「この機会に行こ!」って誘ったんです。
純士 俺は、女子会でラブホを使うっていう文化を知らなかったんです。俺の中でラブホといえば、「ポン中、デリヘル、監禁」という悪い思い出しかなかったので、最初は「けがらわしいから嫌だ」と断ったんですよ。これまでずっと低予算で撮ってきたのに、わざわざ金を払って撮影場所を確保することにも抵抗があったし。
でも、いざ行ってみたら楽しくて(笑)。タダでコーヒーを飲めるし、菓子も食い放題だし、遊べるし。そこで動画を撮って、「こんだけいいところだから、どこで撮ったかバレねえだろ」と思っていたら、視聴者のコメントを見ると、「その鏡はバリアンですね」「バリアンで撮ったんだぁ」とバレまくっているという(笑)。あれはちょっと恥ずかしかったですね。
――作品の仕上がりには満足していますか?
麗子 大満足ですね。1曲目、2曲目、3曲目とも、全部色が違うじゃないですか。中でも今回は最高のものができたと思っています。
純士 曲の仕上がりはこれまでで一番だし、映像もカメラをGoProに替えてよくなったと思います。音楽は半年前から、シロートの状態で始めたんですよ。トラックやDJはどこで探して、どうコンタクトを取ればいいのか。スタジオではどうやって録音するのか。曲と映像はどう合わせればいいのか。音源の配信はどうやってやるのか。そんなこんなを半年前はまったくわからなかったんだけど、今こうして3曲目の制作を終えて思うのは、「たいがいのことは頑張ればできる」ということ。コツコツ勉強してコツコツ努力さえすれば、「もっと複雑な表現も、やろうと思ったらできるだろう」という自信がつきました。アリなんで。
麗子 ほんま、アリやな。
純士 「新宿の虎」と言いたいところだけど、「新宿のアリ」だよ俺は(笑)。
(取材・文=岡林敬太)
※瓜田夫婦「TO FATHER」(feat.dj TVXI & Kombow)各種ストアで配信中
https://linkco.re/amp/68ptPFrX?
※瓜田純士のYouTube好評配信中(瓜田純士プロファイリング ) https://www.youtube.com/channel/UCv27YAy0FZ-4wwisy5zPmeg
※「“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき」の記事一覧 https://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/
”元アウトローのカリスマ”瓜田純士が大ヒットアニメ『天気の子』をメッタ斬り!
“キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士(39)が森羅万象を批評する不定期連載。今回は、新海誠監督の最新作『天気の子』の鑑賞を依頼し、率直な感想を語ってもらった。同監督の前作『君の名は。』を酷評した瓜田だが、果たして今回はどうなるのか……?
『天気の子』が大ヒット中だ。公開から8月11日までの時点で、観客動員584万人、興行収入78億円を突破した。公式サイトなどによると、そのあらすじは以下の通り。
〈高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。彼のこれからを示唆するように、連日降り続ける雨。そんな中、帆高は一人の少女(陽菜)に出会う。彼女には、祈ることで空を晴れにできる能力があった――〉
音楽は前作同様、RADWIMPSが担当。小栗旬、本田翼、平泉成、梶裕貴、倍賞千恵子ら豪華声優陣が脇を固める。
ちなみに数年前、新海監督の前作『君の名は。』に対し、「0点」という厳しい採点をした瓜田だが(記事参照)、その後、評価が変わったという。
「こないだテレビで『君の名は。』を見直したら、案外よかった。RADWIMPSの音楽や、あの絵に慣れたせいもあるけど、ストーリーも凝っていて面白いと感じた。それだけに、この新作には大いに期待している」と言って、新海ファンの愛妻と共に映画館に入って行った。
さてさて、鑑賞後の心の天気は、晴れなのか、曇りなのか、雨なのか――。劇場の外で待ち伏せて、直撃インタビューを行った。
✳︎ ✳︎ ✳︎
――いかがでしたか?
瓜田純士(以下、純士) いやぁ、ひどい!
瓜田麗子(以下、麗子) えええっ!? 最高やったのに……。
純士 まず、この手のストーリーをやるのに新宿を舞台にしちゃダメだと思いました。帆高がチャカ(拳銃)を拾うシーンが出てきたけど、「新宿でチャカ」となると、きっとそれが原因となって、何かものすごくディープな事件に巻き込まれるんだろうなと期待してしまった。
ところが、チャカにまつわるストーリーが出てこない。監督としたら、チャカを使えばスリリングな映画になると思ったんだろうけど、なんの伏線にもなっていないからガッカリしました。だったら新宿に触るな、と言いたい。新宿はもっと毒々しい世界なのに、街の使い方を間違えてんじゃねーよと。
そもそもいくら16歳とはいえ、拳銃の不法所持、発砲、公務執行妨害までついて、保護観察処分はないでしょう。本来なら、特別少年院送致になるはずで……。
麗子 うるさいわ! そんな細かいことはどーでもええねん! あのピストルのおかげで緊張感と後半へのつながりができて、めっちゃよかったやん。それにウチもちっちゃい頃、公園でよぉ物を拾ったで。だから、拾った物を宝物にするあの純粋な気持ちがわかんねん。それを、いざというときのためにお守りにしとってんやろな。ホンマは届けやなアカンけどな。
純士 アカンのはこの映画だよ。ヒロインの陽菜にしたって、天気をいじれる能力があるというから、もっと太古の何かの魂が乗り移ったり、新宿のチャカのバイオレンス展開と絡んだりしつつ、壮絶な死とか罰当たりとかタイムトラベルでもあるのと思いきや、たいしたことは起きていない。
総じて言うと、なんにもない。スッカラカンなんですよ。なのに、終始意味ありげな音楽をかけっぱなしで、帆高が勝手に事態を大きくしているだけ。別に警察から逃げなくてもいいわけだし、「助けるために撃った」と言えばいいだけのことなのに。きっと「彼女が好きで、彼女を守るために逃げる男」ってのが新海監督の中で、ものすごく伝えたい絵だったんでしょうね。だからまったく何も起きていないのに、大声でわめいて冷や汗をかいて、かったるい音楽をかけて、涙をちょちょぎらせながら走り回っている。走っている場合じゃねーだろ! とっとと家に帰れっつーの!
麗子 ひどい……(泣きそうな顔に)。
純士 ごめん、ごめん(と妻に謝る)。でも、これが本音だから。編プロの男が「月刊ムー」のライターっていう設定はいいにしても、それが物語に効果的に絡んでいない。「今こういう都市伝説を検証しているんだが、俺はおっさんだから向いていない。ちょうどおまえぐらいの年齢の子を探していた。ちょっと潜入取材に行ってこい」ってことで帆高が事件に巻き込まれ、その最中に謎の少女と出会い、発砲したチャカの硝煙がきっかけで古代の天気にまつわる壮大なスケールの話に発展して……とかならいいけど、そういう感じでもなかったじゃん。
で、ここで走らなきゃいいのにって場面で、ことごとく走り出すでしょ、あの帆高ってバカは。チャカだってとっとと捨てればいいものを、なぜか後生大事に抱えたまんま逃げている。陽菜の能力にしたって、なぜ備わっているのかの説明が足りないし。
麗子 説明、あったで。
純士 あったけど、足りない。腑に落ちないんだよ。天気をいじったことのひずみで、街一個を吹き飛ばしちゃうとかの大事に至るならわかるけど、そこまでのことは起きていない。好き勝手に能力を使って、勝手に少女が消えて行く。そして意外と簡単に再会できちゃうから、前作のような切なさもない。そのくせ、泣かせの音楽だけはしつこくしつこくかかっている。いつドラマチックなことが始まるの? と待っているうちに2時間が終わっちゃった。本当に新海って子は……。
麗子 ラブホのシーンとか、めっちゃほほえましかったし、キュンキュン来たやん。
純士 せいぜいあそこがハイライトでしょう。でもそれにしたって、新海監督が憧れていたであろう思春期の子どものちっぽけな冒険みたいなもんを、とんでもない大ごとをやらかしているように見せているだけ。監督の人生経験が浅いから、あんな陳腐な物語になっちゃったんでしょう。
帆高を追うリーゼントの刑事の走り方もまたキモいんですよ。で、帆高が逃げている最中に、なぜか女上司がタイミングよくバイクで現れる。ルパン三世の峰不二子がやるなら、ああいうご都合主義も許せるんですよ。でも、あの絵のタッチでやられると興醒め。ああいうルパンみたいなスリリングな展開を一切遊んでないオタクが手がけるとこうなっちゃうのか、という悪例だと思いました。
麗子 モンキーパンチ(ルパン三世の作者)も、そんなに遊んでいないと思うで。
純士 でも、モンキーパンチにはセンスがあるじゃん。
麗子 それは贔屓目やわ。
純士 いや、新海監督にはセンスがないの! 警察モノとか事件モノに手を出すのは、向いていない。あと、コミカルな描写も不向きかな。てるてる坊主のシーン。あれで笑わそうとしているんだとしたら、センスがないですね。
新海監督は男女の青くさいイチャイチャ描写のセンスはあるんだから、「今、私の胸元見てたでしょ?」「い……いや、見てません(照)」みたいなのを2時間たっぷりやってりゃいいんですよ。RADWIMPSも気の毒だよ。こんな監督に気に入られてさ。

麗子 こんな最高な映画を純粋に楽しめへん純士のほうがよっぽど気の毒やわ! どんだけ文句を言うたら気が済むねん!
純士 まだまだ文句は言い足りないね。ストーリーの進め方も気に入らない。もっと登場人物の会話や絵で物語を説明してほしかったのに、モノローグと音楽でグイグイ進めちゃっていたから、それはちょっと違うんじゃないかと。
あと、天気を操るという大きなテーマを扱うんであれば、それなりの解説がないと。そんなでかいテーマに触っておきながら、納得いく解説がない。解説不足を、音楽や喜怒哀楽の表情でごまかしている印象を受けました。
女や子どもはだませても、本とかが好きな大人の男は、この手の作品が苦手だと思うわ。思春期丸出し男の「全部俺のせいで」という思い込みで、勝手にトラブルを大きくしやがって。新海監督は、自己投影しているのかわかんないけど、ああいう主人公が好きなんだろうな。その感覚が俺には理解できないわ。
麗子 そこがええねんやん! どこにでもおる普通の子が、純粋な気持ちで頑張っているところに胸を打たれるねん!
純士 誰だって頑張っているよ。俺だって。
――奥様はこの作品をどのように評価していますか?
麗子 大満足です。ホンマに素晴らしい作品やと思います。哀愁と、まっすぐさと、キレイな心と、キレイな絵。しかも音楽もええところで入ってくるから、ええ意味で「もうホンマに新海って子は(ハート)」と思って(笑)。
純士 単なるファンだろ。
麗子 うん。やっぱウチ、新海監督とRADWIMPSの大ファンやわ! 今回、『君の名は。』の瀧と三葉が出てきたシーンもあったやろ? あれ、深海ファンのウチからしたら、めっちゃうれしかったわ~!
純士 悪いけど、そんな嫁の感性を俺は全否定するわ。本当に吐き気がする。
麗子 坊主憎けりゃ袈裟まで憎いで、純士は新海監督が嫌いやから、なんでもかんでも気に食わんとイチャモンつけてるだけなんちゃう?
純士 いや、違う。前作を見直して、新海監督の才能も見直したんだって。これを活字で読んだら面白いだろうな、と思ったんだよ。だからこそ、今回は残念だった。期待していた分、余計に腹が立ってきちゃって。
何度も言うけど、全体的に何も起きていないんですよ。始まってもいなければ終わってもいないままエンドロールになっちゃった。猪木とアリの試合と一緒ですよ。演出は派手だし、本人たちは決死の戦いのつもりだけど、実は何も起きていないっていう。
麗子 純士はお小言が多すぎる。小姑みたいで鬱陶しいわ。ウチは『君の名は。』のときもそうやったけど、終始涙が止まらへんかったわ。今回はネギを切っているシーンでも涙が出てきたもん。ネギやから泣いたんちゃうで。あの思いやり言うんかな。男女の距離が少しずつ縮まっていく感じにホロッと来たんや。
純士 なんで帆高が陽菜をそんなに好きになったのかもよくわからないけどなぁ。マックでハンバーガーをもらった程度のことで、「陽菜! 陽菜!」って、あそこまでなるかね?
麗子 それが思春期の恋やねん。些細なことから惹かれ合うもんやろ?
純士 あんなに思い込みが激しかったら病気だよ。もっとルパンのように、オシャレにできないもんかね。
麗子 普通の男の子やもん。そんなん期待したらアカンわ。
純士 宮崎駿の作品だって、普通の人が登場するけど、もっと壮大な物語があるじゃん?
麗子 駿に近ない?
純士 近くないよ。
――新宿が主な舞台だったことに対し、奥様はどのように感じましたか?
麗子 ウチは新宿在住やから、めっちゃうれしかった! 街の再現度がすごかったですね。あ、ここ行ったことある! あ、ここも知ってる! って感じで、物語に一層入り込みやすかったです。
純士 バイトがなかなか見つからず、行くあてもなく新宿をさまよう。そして人の冷たさに打ちひしがれながら、野良猫に餌をやる。その展開が古いっつーの。そもそも家出してないで早く帰れよ。なぜ帰らないのかの説明もないし。
麗子 思春期の男の子はいろいろあんねん。音楽もアカンかった?
純士 ただただ耳障り。音楽って、ここぞの場面に取っておかないとダメだと思うんだけど、この映画では「曲を流すのは今じゃねーから!」のオンパレード。あんなにしつこく流されると、耳と心が疲れちゃう。
麗子 そんなん言わんといて。RADWIMPSも最高やったけど、あの女性ボーカル(三浦透子)の歌は、あいみょんの100倍よかったやん。
純士 あんな場面で使われたら、あの歌手もかわいそうだよ。
麗子 純士の心ない言葉の数々を、純粋な新海監督がもし読んだらと思ったら胸が痛い……。かわいそうやわ……。
純士 ぜひ読んで傷ついてほしい。そして、次回に生かしてほしい。
――今のところ辛辣な意見しか言っていない純士さんですが、強いてよかった点を挙げるなら?
純士 街の細かい風景描写は評価できるけど、そんなのはソフトでなんとでもなるし。あの独特の人物の絵にはだいぶ慣れたけど、それでも表情が乏しい気がしました。家出中の横顔も、疲労困憊しているようには見えないし。
麗子 それ、よかったところちゃうやん!
純士 よかったところを探すのに、ここまで苦労する映画もなかなかないんだよ。
麗子 純士はひねくれすぎやねん。ウチも泣いたけど、隣のおばちゃんも、前の席の子どもやおっちゃんも、号泣しとったで。今回は純士も感動してくれていると思っとったら、全然違うかってんな。
純士 誤解なきよう言っておくけど、俺は決してあまのじゃくでコキ下しているわけじゃないからね。純粋に思っていることを言っているだけ。
麗子 悲しいわ。もっと価値観一緒になって、一緒に泣きたかったのに……。
純士 一つ確認するけど、ちゃんとストーリーを理解した上で泣いた?
麗子 当たり前や! ストーリーも絵も音楽もキレイやから感動したんや。
純士 絵と音楽にだまされているんじゃない?
麗子 ちゃうわ! ストーリーもいろんな角度から、こう来て、こう来て、こう来たやん(と言って方々から矢が飛んでくるような仕草)。
純士 こう来ても何も、ほとんど何も始まっていないんだけどな……。
――今のところベタ褒めの奥様ですが、不満点はありましたか?
麗子 最後のほうの展開があまりにも現実離れしているところと、猫はカロリーメイトを食べへんやろ? ってところと、都会のマックにあんな親切な店員はおらへんわってところだけが引っかかった。ウチ、上京して間もない頃、よぉ疲れ果てて新宿のマックで寝てもうたんやけど、いつもゴッツい警備員が問答無用で起こしにきたからな(笑)。以上3つのリアリティの欠如で、3点だけ減点やな。
純士 結局、「こんな青春っていいな」っていう監督の幻想を描いているだけなんだよな。俺がスポンサーだったら、監督にカネを渡して、「もっと歌舞伎町で遊んでこい!」と言いますね。
麗子 新海監督は女の人に対してキレイな夢を見てくれてんねん。そやから、作品もキレイやねん。
純士 フォーエバー・チェリーボーイかよ……。
――まあ、それこそが新海監督の持ち味という声もありますけどね。
純士 結局のところこれは、凡人のための映画なんでしょう。例えばですが、あるサラリーマンが財布を落とした。それを誰かが拾って警察に届けたとしましょう。凡人はそれを見て「いい人だ」と言って泣くんです。
麗子 ウチのこと、ディスってんのか?
純士 そうじゃないけど、俺みたいなタイプの人間は、そんなことでは感動しないんだよ。落ちた財布からハミ出た免許証の写真を見て、シャーロック・ホームズみたいな奴が、「むむっ、この顔には見覚えが!」と言って、警察には届けずに尾行を開始する。そういう物語に面白みを感じるんですよ。
麗子 そんな奴、おるか!
純士 何事も、ひねったり凝ったりオシャレだったりするほうが面白い。だから俺は、タカキューの服よりもイタリアのファッションのほうが好きなんだよ。
麗子 ウチもタカキューは嫌やで。フォーエバー21は好きやけど。
純士 もしこの映画が中国で売れたら、やっぱりなと思う。中国では売れても、イタリアやフランスでは売れないはず。
麗子 全世界で売れるわ!
純士 とにかく今回の作品は俺には無理だわ。こんなに熱を持って話しているのが嫌になってきたわ。
麗子 嫌よ嫌よも好きのうちや!
✳︎ ✳︎ ✳︎
瓜田純士は正直者だが、お天気屋なところがあるのも事実。あれだけボロクソにけなした『君の名は。』を、のちに「面白い」と評した前例もあるため、新海監督の次回作が出る頃に再び『天気の子』の感想を聞いてみるのも一興かもしれない。
(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)
『天気の子』瓜田夫婦の採点(100点満点)
純士 0点
麗子 97点
※瓜田純士のYouTube好評配信中!(瓜田純士プロファイリング) https://www.youtube.com/channel/UCv27YAy0FZ-4wwisy5zPmeg
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“元アウトローのカリスマ”瓜田純士、新曲を発表! アンチコメントに殺人予告も飛び出す事態に……
“キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士(39)が愛妻と共に、2作目のミュージックビデオ(MV)『Alba della Sicilia〜シチリアの夜明け〜』(feat.dj TVXI & Kombow)をYouTubeで発表した。曲調は軽快なラテンポップだが、リリック(歌詞)はマフィアの悲恋物語。イタリアに行ったことがないのにシチリアをテーマに選んだ理由は? MVはどこで撮影したのか? 制作の裏話を夫妻に聞こうとしたら、開口一番、純士の口から殺害予告が飛び出し、しまいには夫婦ゲンカが始まった!
――新曲のMVを拝見しました。
瓜田純士(以下、純士) YouTubeのコメント欄、見ましたか? 新曲を批判している奴らが何人かいましたが、俺、あいつらを●すんで。俺、体懸けるんで 、刑務所に面会に来てくださいよ。「実話」とつくような雑誌は差し入れられないので、単行本の差し入れをお願いします。俺、満期で行く覚悟なんで。
――落ち着いてください! 新曲を批判というのは、「曲はいいけどMVがダメ」という趣旨の書き込みのことですか?(現在は削除済み )
純士 はい。やれ動画がつぎはぎだとか、やれうちの嫁の歩き方がお水くさいだとか、しまいにはカモメの数が多いということにまで文句をつけやがって、ほんと腹が立ちますよ。
――それだけ熱心に見てくれている、ということではないでしょうか?
純士 (耳を貸さずに)ああいうことを言う奴に限って、サザン(オールスターズ)が同じようなMVを撮ったらベタ褒めするんですよ。しかも、あれだけの長文でダメ出ししておきながら、俺のことを「兄貴」とか呼んで、怒られないように予防線を張っているのが一番腹立つんですよ。そんなの極道の世界で「兄貴、みんなが思っていることなので言わせてもらいますけど、今日のスーツにこのネクタイ、マジないっすよ」とか、「兄貴のためを思って言いますけど、アニキの連れている女、マジないっすよ」なんつったら殺されますよ。
――確かに(笑)。
純士 実際にイタリアまで行くカネがないから、いつものYouTubeのメンバーで経費もかけずにイタリアっぽくやってみましたよ、というコンセプトなのに、ゴチャゴチャ言いやがって!
――あのMVは、どこで撮影したのでしょう?
純士 汐留のイタリア街です。イタリア街つっても日本ですから、福山通運のトラックとかも普通に走っているわけですよ(笑)。それはさすがにカットしたけど、日本語のポスターとかはわざと入れ込んだわけです。
――それが瓜田さんならではのお茶目さだと。
純士 そうそうそう。完璧な美とかクオリティを求める奴はディズニーランドで遊んでろ、って話ですよ。こっちは安っぽささえも味になる浅草花やしき感覚で遊んでいる。そのあえてのクオリティに水を差すような奴らは、どうせつまんない人生を送っているんですよ。かわいそうになってきちゃいますよ。
――怒りは収まったでしょうか? では楽曲の話に入ります。今回はなぜイタリアを舞台にしたリリックなのでしょう?
純士 季節ごとに1曲ずつリリースしたいと考えていて、春に出した1曲目は自叙伝みたいな感じだった。2曲目も似たような自叙伝系だと、自分の中で二番煎じになっちゃう。さて、どうしようと考えているときに、あ、そうだ、海外の裏社会を舞台にしたら面白そうだなとひらめいたんですよ。もともとマフィア映画が好きなんで、マフィア発祥の地であるイタリアのシチリアを舞台にしたらどうだろう、と。
――真島昌利作詞作曲の「アンダルシアに憧れて」を思い出しました。
純士 制作中に、それも頭をよぎりました。ただ、俺は作家なので、「アンダルシア~」よりもリアリティがなくちゃいけないと思いました。イタリアには行ったことがないけど行ったことがあるように書くには、調べるしかない。『熱帯夜』(フィリピンを舞台にした瓜田の小説) と同じ発想ですね。
今回もそういう感じで、イタリアのアングラ事情みたいなリリックを書ければいいなと思いました。書く際に注意したのは、ただのそれっぽい単語の羅列にはしたくないということ。現地の人が見て、「なんだこれは? バカにしてんのか?」となるのは避けたかったんですよ。
たとえば「山口組のサムライが芸者に恋をして、桜吹雪が舞うなか富士山頂で抱き合い、ササニシキを食べながら京都の大文字焼きを見下ろす」みたいなストーリーになったらバカ丸出しでヤバいじゃないですか。
――(笑)。
純士 だから、時代考証をしっかりやりつつリリックを書きました。たとえば「脱ぎ捨てられたチャッカブーツ」という言葉が出てきますが、これはその時代に活動していたマフィアが実際に好んで履いていたもので、フェラガモが作ったトラメッザというメンズラインのブーツなんですね。そういう史実をちゃんと調べつつ、街の名称とかにも誤りが ないかを調べつつ書いていったら、勝手にストーリーが出来上がった感じです。
――前作とは打って変わって、明るい曲調なのが意外でした。
純士 まず、ただのラップじゃないんだよ、瓜田夫婦はいろんなジャンルをできますよ、という器用さを見せたかった。また、どうせ発表するならバズらせたかったので、いま世界で最も視聴回数が多いといわれるジャンルにしたんですよ。ラテンポップ? あるいはレゲトンってい うのかな? レゲエのようなノリにラテン系の歌詞が入るような曲。
――それは初挑戦の領域だったと思うのですが、迷わず飛びつき、すぐさま発表してしまうスピード感が瓜田夫婦の強みですね。
純士 ラップ初挑戦で前作の「recollection~遠い日の記憶から~」を完成させた時点で、今後はどんなジャンルでもできるだろうと思ったんで。最初はもっとゆっくりな曲調にしようかとも思ったんですけど、「どこにでもある感じで退屈や」と嫁が言うもんだから、セオリーを無視していろいろ聴き比べてみた結果、稲妻が落ちるような感じで「これだ!」というトラックを見つけました。前作同様、Kombow氏のトラックです。
――セオリーを無視するところがアウトローの瓜田さんらしいですが、そこを「素人くさい」と捉える視聴者もいるようです。
純士 俺は音楽で食ってきたわけじゃない。ただの物書きなんですよ。だから俺らがやっていることを、監督目線であれこれダメ出しする奴らが出てくる。こっちがフレッシュな感じだから、上から教えてやろうという凡人の発想でね。
いきなりこんなベートーヴェンみたいな天才が現れて、その音楽に耳なじみがないからって、既存のものと照らし合わせながら「ああしたらいい」「こうしたらいい」と型にはめようとする。そんな奴らには、ちょっと待ってくれと言いたいです。瓜田夫婦は最初から違うだろ、と。セオリーだのなんだの言いだしたら、見た目から何から全部改造しなけりゃならなくなる(笑)。
一見アウトローっぽいけど実は型にはまったミュージシャンといえば、湘南乃風の若旦那とMINMI(2016年に離婚)とかがいるわけじゃないですか。ディスるわけじゃないけど、彼らはアーティストとして完成されていて、ちゃんとしたレールに乗っている。そういう人らの「いろいろあったね、俺たち」っていうストーリーを求めるならば、最初からそっちを聴いてくれ、という話なんですよ。瓜田夫婦を一緒にするな、と。
振り子打法のイチローだって、プロデビュー当時に(土井正三)監督からフォームを変更しろと言われたらしいじゃないですか。でもイチローはそれに従わず、自分のスタイルを貫いて、あれだけの選手になった。俺も一緒。型にはめようとする声に従って、ありきたりな完成度を目指すようだったら、つまんない表現者になっちゃう。だからこのスタイルは変えません。負け惜しみじゃなく、腹が立っているわけじゃなく……いや、存分に腹は立っているんですけど(笑)、腹が立っているのはそいつらのセンスのなさに対してなんですよ。
――なるほど。
純士 汐留のイタリア街で、いつものプロファイリング のカメラマンと、遊び半分でMVを作ってみた。カネも時間もかけていないからツッコミどころ満載だけど、曲は良くない? と思ってもらいたくてやっているんですよ。そのへんの機微をわからない奴は、今すぐチャッカブーツを履いて船着き場に来い! リリックの通り、チャカで頭蓋骨を撃ち抜いてやるから。
――瓜田さんのラップと奥様の歌が、何度も入れ替わる展開が新鮮でした。
純士 俺が日本語ラップで、嫁まで日本語ラップだとつまんないから、真逆を掛け合わせていくことにしました。語り口調で暴走する旦那を、シンガーである嫁の美声でふた する。それを何度も繰り返す構成です。男女デュオだと展開も多くなるから、目も耳も飽きずにより良く聴こえる効果もあるんじゃないかと。
――フック(サビ)が印象的ですが、あの歌メロは瓜田さんが考えたんですか?
純士 楽譜を書けないので鼻歌で作った感じですけど、おおまかなメロディは俺が決めました。でも結局、レコーディングの最中に嫁のアーティスト魂が炸裂して、勝手なアレンジを加え始めたので(笑)、そのへんは夫婦合作ということになりますね。
――レコーディングの所要時間は?
純士 2時間です。俺のパートは一発録りで、10分程度で終了。残り時間はすべて嫁のパートの録音でした。そこは性格の違いで、俺は予習をきっちりして行って、一気に集中して終わらせたいタイプなんだけど、嫁は逆。「なんとかなんねん」と予習もせずに行って、現場でのひらめきを頼りに納得いくまで粘り強くやるタイプなんですよ。嫁は俺のことを「どんだけ出たがりやねん!」とツッコミつつ、「もっとウチにも歌わせてよ(笑)」と言って、どんどん自分が出しゃばってきた。
しかも、DJのTVXI氏には譜面も何も見せていないし、鼻歌も聴かせていないのに、「ここの語尾は高く上げんのか、低く下げるんか。どっちがええと思う?」とか言いだして。録り終わってミックダウンする段階になってからも、嫁は「ここは高いほうがええわ」とかDJに何度も注文するわけです。俺はせっかちだから「どっちでもいいから早く完成させよう」と思ったけど、嫁は完璧主義だから「妥協すんのは絶対にアカンねん」と言って、いつまでもDJとやりとりをしている。
しまいにはDJが「勘弁してください。そもそも僕、譜面も見ていないし原曲のメロディも知らないんですから、高いだの低いだの言われても知りませんよ!」と音を上げそうになったので、俺が平謝りする羽目に……。
――と、旦那様は言っていますが、奥様の言い分はいかがでしょう?
瓜田麗子(以下、麗子) ウチはお祭り好きやから、せっかくいろんなバージョンを録ったんやったら全部を使うてほしいとお願いしただけですよ。そんなウチのことを純士は気に入らんかったみたいやけど、こっちかて気に入らん点はあるわ。なんやねん、あのMVは! (純士が編集を担当した)MVを見て、「奥様の歩く後ろ姿がタバコを買いに行くお水みたい」と文句を言うてる視聴者がおったけど、ウチもまったく同感です。なんであの後ろ姿、使うねん! 使うな、言うたのに!
――動画がアップされる前に、直してもらえばよかったじゃないですか。
麗子 純士は、ウチが何度も口出しすることを嫌がるんですよ。編集が終わらなくなるし、大ゲンカにもなるから。でも横顔のアップだけはどうしても使ってほしくなかったから、そこだけはブーブー文句を言うて消してもらいました。MVの中でイタリア語の単語が差し込まれる場面が数カ所ありますよね? あれ、もともとはウチの横顔のシーンやったんです(笑)。だから余計、動画がつぎはぎな印象になっちゃったんですよ。
――奥様が満足している点はありますか?
麗子 トラックを選ばせてくれたのはよかったです。純士は独特の色っぽい声をしているので、あれぐらいアップテンポな曲に、聴き取れないぐらいの早口で言葉を詰め込んだほうがハマると思ったんです。最初は抵抗していた純士ですが、「よく聴くと味があるな」と受け入れてくれたのがうれしかったです。
――非常に良い曲だと思いましたよ。
麗子 すったもんだありつつも、最終的におしゃれな感じにまとまったから、「まいっか、ハハハ」となりました。前作もそうでしたが、夫婦ゲンカを何度も何度も重ねた末に、やっとこさ完成した作品なんですよ。
純士 レコーディング日もMVの撮影日も、ケンカが絶えませんでしたからね。嫁を連れ出すのも一苦労でしたから。「レコーディングは6時からって決まっているんだよ。そろそろ行くぞ!」と声をかけても、「嫌や。8時からにならへんのか? ご飯食べてからがいい」とゴネ始める。「じゃあ、さっさと食べて出かけよう」とせっついても、「ご飯食べたらおなかが出るし顔もむくむねん。もうちょい待ちぃな」とか言われるんですから。
MVを撮影後、9時間かけて編集した試作品を見せたら、「この横顔、ブサイクやわ。なんで撮影前にご飯食べたんやろ?」とか言われても、知らねーよ! って話じゃないですか。顔が映ると文句を言うから、文句を言われない後ろ姿をメインにしたんですよ。そしたら今度は視聴者から「奥様の歩き方ダメだ」と指摘され、「どうしてちゃんと歩かなかったの?」と嫁に聞いたら、大ゲンカになってしまいました。
麗子 ウチは初めから、「後ろ姿しか使ったらアカンで」と言ってからイタリア街に向かったんですよ。それやのに、試作品を見てみたら顔も映っているし、ええ感じのシーンは全部カットされていたから頭に来たわ!
純士 今の言葉、ちゃんと録音しましたよね? 俺はまさにそう聞いていたんですよ。「後ろ姿しか使ったらアカン」と。となると当然、編集では後ろ姿だけを使いますよね? そしたら「あの正面を向いたカメラ目線が一番のお気に入りやったんや。なんで使うてくれへんかったんや!」なんてことを平気で抜かす。事前に聞いていたことと全然違うことを後から言いだすんですよ。おまけに撮影当日は替えの衣装を忘れるし。
麗子 忘れてへんわ! カバンの奥に入れといたのに、純士がアホやからそれに気づかへんかっただけや!
――夫婦で仲良く制作していたのかと思いきや、裏では激しい争いが起きていたんですね。そして、その遺恨はいまだに尾を引いているという……。
麗子 ですから、ダメ出しのコメントは極力控えていただけたらな、と。これ以上、夫婦ゲンカの火種を用意されたら、ホンマに離婚に発展するっちゅーねん!
純士 瓜田夫婦の作品は、トラブルやアクシデントさえも丸ごと真空パックしたナマモノなんですよ。そういうドタバタを想像しつつ、温かい目で見守ってくれたらうれしいですね。
(取材・文=岡林敬太)
※瓜田夫婦『Alba della Sicilia〜シチリアの夜明け〜』(feat.dj TVXI & Kombow)デジタル音源配信中
https://linkco.re/2svr55GZ
※瓜田純士のYouTube好評配信中(瓜田純士プロファイリング ) https://www.youtube.com/channel/UCv27YAy0FZ-4wwisy5zPmeg
※「“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき」の記事一覧 https://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/
“元アウトローのカリスマ”瓜田純士、新曲を発表! アンチコメントに殺人予告も飛び出す事態に……
“キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士(39)が愛妻と共に、2作目のミュージックビデオ(MV)『Alba della Sicilia〜シチリアの夜明け〜』(feat.dj TVXI & Kombow)をYouTubeで発表した。曲調は軽快なラテンポップだが、リリック(歌詞)はマフィアの悲恋物語。イタリアに行ったことがないのにシチリアをテーマに選んだ理由は? MVはどこで撮影したのか? 制作の裏話を夫妻に聞こうとしたら、開口一番、純士の口から殺害予告が飛び出し、しまいには夫婦ゲンカが始まった!
――新曲のMVを拝見しました。
瓜田純士(以下、純士) YouTubeのコメント欄、見ましたか? 新曲を批判している奴らが何人かいましたが、俺、あいつらを●すんで。俺、体懸けるんで 、刑務所に面会に来てくださいよ。「実話」とつくような雑誌は差し入れられないので、単行本の差し入れをお願いします。俺、満期で行く覚悟なんで。
――落ち着いてください! 新曲を批判というのは、「曲はいいけどMVがダメ」という趣旨の書き込みのことですか?(現在は削除済み )
純士 はい。やれ動画がつぎはぎだとか、やれうちの嫁の歩き方がお水くさいだとか、しまいにはカモメの数が多いということにまで文句をつけやがって、ほんと腹が立ちますよ。
――それだけ熱心に見てくれている、ということではないでしょうか?
純士 (耳を貸さずに)ああいうことを言う奴に限って、サザン(オールスターズ)が同じようなMVを撮ったらベタ褒めするんですよ。しかも、あれだけの長文でダメ出ししておきながら、俺のことを「兄貴」とか呼んで、怒られないように予防線を張っているのが一番腹立つんですよ。そんなの極道の世界で「兄貴、みんなが思っていることなので言わせてもらいますけど、今日のスーツにこのネクタイ、マジないっすよ」とか、「兄貴のためを思って言いますけど、アニキの連れている女、マジないっすよ」なんつったら殺されますよ。
――確かに(笑)。
純士 実際にイタリアまで行くカネがないから、いつものYouTubeのメンバーで経費もかけずにイタリアっぽくやってみましたよ、というコンセプトなのに、ゴチャゴチャ言いやがって!
――あのMVは、どこで撮影したのでしょう?
純士 汐留のイタリア街です。イタリア街つっても日本ですから、福山通運のトラックとかも普通に走っているわけですよ(笑)。それはさすがにカットしたけど、日本語のポスターとかはわざと入れ込んだわけです。
――それが瓜田さんならではのお茶目さだと。
純士 そうそうそう。完璧な美とかクオリティを求める奴はディズニーランドで遊んでろ、って話ですよ。こっちは安っぽささえも味になる浅草花やしき感覚で遊んでいる。そのあえてのクオリティに水を差すような奴らは、どうせつまんない人生を送っているんですよ。かわいそうになってきちゃいますよ。
――怒りは収まったでしょうか? では楽曲の話に入ります。今回はなぜイタリアを舞台にしたリリックなのでしょう?
純士 季節ごとに1曲ずつリリースしたいと考えていて、春に出した1曲目は自叙伝みたいな感じだった。2曲目も似たような自叙伝系だと、自分の中で二番煎じになっちゃう。さて、どうしようと考えているときに、あ、そうだ、海外の裏社会を舞台にしたら面白そうだなとひらめいたんですよ。もともとマフィア映画が好きなんで、マフィア発祥の地であるイタリアのシチリアを舞台にしたらどうだろう、と。
――真島昌利作詞作曲の「アンダルシアに憧れて」を思い出しました。
純士 制作中に、それも頭をよぎりました。ただ、俺は作家なので、「アンダルシア~」よりもリアリティがなくちゃいけないと思いました。イタリアには行ったことがないけど行ったことがあるように書くには、調べるしかない。『熱帯夜』(フィリピンを舞台にした瓜田の小説) と同じ発想ですね。
今回もそういう感じで、イタリアのアングラ事情みたいなリリックを書ければいいなと思いました。書く際に注意したのは、ただのそれっぽい単語の羅列にはしたくないということ。現地の人が見て、「なんだこれは? バカにしてんのか?」となるのは避けたかったんですよ。
たとえば「山口組のサムライが芸者に恋をして、桜吹雪が舞うなか富士山頂で抱き合い、ササニシキを食べながら京都の大文字焼きを見下ろす」みたいなストーリーになったらバカ丸出しでヤバいじゃないですか。
――(笑)。
純士 だから、時代考証をしっかりやりつつリリックを書きました。たとえば「脱ぎ捨てられたチャッカブーツ」という言葉が出てきますが、これはその時代に活動していたマフィアが実際に好んで履いていたもので、フェラガモが作ったトラメッザというメンズラインのブーツなんですね。そういう史実をちゃんと調べつつ、街の名称とかにも誤りが ないかを調べつつ書いていったら、勝手にストーリーが出来上がった感じです。
――前作とは打って変わって、明るい曲調なのが意外でした。
純士 まず、ただのラップじゃないんだよ、瓜田夫婦はいろんなジャンルをできますよ、という器用さを見せたかった。また、どうせ発表するならバズらせたかったので、いま世界で最も視聴回数が多いといわれるジャンルにしたんですよ。ラテンポップ? あるいはレゲトンってい うのかな? レゲエのようなノリにラテン系の歌詞が入るような曲。
――それは初挑戦の領域だったと思うのですが、迷わず飛びつき、すぐさま発表してしまうスピード感が瓜田夫婦の強みですね。
純士 ラップ初挑戦で前作の「recollection~遠い日の記憶から~」を完成させた時点で、今後はどんなジャンルでもできるだろうと思ったんで。最初はもっとゆっくりな曲調にしようかとも思ったんですけど、「どこにでもある感じで退屈や」と嫁が言うもんだから、セオリーを無視していろいろ聴き比べてみた結果、稲妻が落ちるような感じで「これだ!」というトラックを見つけました。前作同様、Kombow氏のトラックです。
――セオリーを無視するところがアウトローの瓜田さんらしいですが、そこを「素人くさい」と捉える視聴者もいるようです。
純士 俺は音楽で食ってきたわけじゃない。ただの物書きなんですよ。だから俺らがやっていることを、監督目線であれこれダメ出しする奴らが出てくる。こっちがフレッシュな感じだから、上から教えてやろうという凡人の発想でね。
いきなりこんなベートーヴェンみたいな天才が現れて、その音楽に耳なじみがないからって、既存のものと照らし合わせながら「ああしたらいい」「こうしたらいい」と型にはめようとする。そんな奴らには、ちょっと待ってくれと言いたいです。瓜田夫婦は最初から違うだろ、と。セオリーだのなんだの言いだしたら、見た目から何から全部改造しなけりゃならなくなる(笑)。
一見アウトローっぽいけど実は型にはまったミュージシャンといえば、湘南乃風の若旦那とMINMI(2016年に離婚)とかがいるわけじゃないですか。ディスるわけじゃないけど、彼らはアーティストとして完成されていて、ちゃんとしたレールに乗っている。そういう人らの「いろいろあったね、俺たち」っていうストーリーを求めるならば、最初からそっちを聴いてくれ、という話なんですよ。瓜田夫婦を一緒にするな、と。
振り子打法のイチローだって、プロデビュー当時に(土井正三)監督からフォームを変更しろと言われたらしいじゃないですか。でもイチローはそれに従わず、自分のスタイルを貫いて、あれだけの選手になった。俺も一緒。型にはめようとする声に従って、ありきたりな完成度を目指すようだったら、つまんない表現者になっちゃう。だからこのスタイルは変えません。負け惜しみじゃなく、腹が立っているわけじゃなく……いや、存分に腹は立っているんですけど(笑)、腹が立っているのはそいつらのセンスのなさに対してなんですよ。
――なるほど。
純士 汐留のイタリア街で、いつものプロファイリング のカメラマンと、遊び半分でMVを作ってみた。カネも時間もかけていないからツッコミどころ満載だけど、曲は良くない? と思ってもらいたくてやっているんですよ。そのへんの機微をわからない奴は、今すぐチャッカブーツを履いて船着き場に来い! リリックの通り、チャカで頭蓋骨を撃ち抜いてやるから。
――瓜田さんのラップと奥様の歌が、何度も入れ替わる展開が新鮮でした。
純士 俺が日本語ラップで、嫁まで日本語ラップだとつまんないから、真逆を掛け合わせていくことにしました。語り口調で暴走する旦那を、シンガーである嫁の美声でふた する。それを何度も繰り返す構成です。男女デュオだと展開も多くなるから、目も耳も飽きずにより良く聴こえる効果もあるんじゃないかと。
――フック(サビ)が印象的ですが、あの歌メロは瓜田さんが考えたんですか?
純士 楽譜を書けないので鼻歌で作った感じですけど、おおまかなメロディは俺が決めました。でも結局、レコーディングの最中に嫁のアーティスト魂が炸裂して、勝手なアレンジを加え始めたので(笑)、そのへんは夫婦合作ということになりますね。
――レコーディングの所要時間は?
純士 2時間です。俺のパートは一発録りで、10分程度で終了。残り時間はすべて嫁のパートの録音でした。そこは性格の違いで、俺は予習をきっちりして行って、一気に集中して終わらせたいタイプなんだけど、嫁は逆。「なんとかなんねん」と予習もせずに行って、現場でのひらめきを頼りに納得いくまで粘り強くやるタイプなんですよ。嫁は俺のことを「どんだけ出たがりやねん!」とツッコミつつ、「もっとウチにも歌わせてよ(笑)」と言って、どんどん自分が出しゃばってきた。
しかも、DJのTVXI氏には譜面も何も見せていないし、鼻歌も聴かせていないのに、「ここの語尾は高く上げんのか、低く下げるんか。どっちがええと思う?」とか言いだして。録り終わってミックダウンする段階になってからも、嫁は「ここは高いほうがええわ」とかDJに何度も注文するわけです。俺はせっかちだから「どっちでもいいから早く完成させよう」と思ったけど、嫁は完璧主義だから「妥協すんのは絶対にアカンねん」と言って、いつまでもDJとやりとりをしている。
しまいにはDJが「勘弁してください。そもそも僕、譜面も見ていないし原曲のメロディも知らないんですから、高いだの低いだの言われても知りませんよ!」と音を上げそうになったので、俺が平謝りする羽目に……。
――と、旦那様は言っていますが、奥様の言い分はいかがでしょう?
瓜田麗子(以下、麗子) ウチはお祭り好きやから、せっかくいろんなバージョンを録ったんやったら全部を使うてほしいとお願いしただけですよ。そんなウチのことを純士は気に入らんかったみたいやけど、こっちかて気に入らん点はあるわ。なんやねん、あのMVは! (純士が編集を担当した)MVを見て、「奥様の歩く後ろ姿がタバコを買いに行くお水みたい」と文句を言うてる視聴者がおったけど、ウチもまったく同感です。なんであの後ろ姿、使うねん! 使うな、言うたのに!
――動画がアップされる前に、直してもらえばよかったじゃないですか。
麗子 純士は、ウチが何度も口出しすることを嫌がるんですよ。編集が終わらなくなるし、大ゲンカにもなるから。でも横顔のアップだけはどうしても使ってほしくなかったから、そこだけはブーブー文句を言うて消してもらいました。MVの中でイタリア語の単語が差し込まれる場面が数カ所ありますよね? あれ、もともとはウチの横顔のシーンやったんです(笑)。だから余計、動画がつぎはぎな印象になっちゃったんですよ。
――奥様が満足している点はありますか?
麗子 トラックを選ばせてくれたのはよかったです。純士は独特の色っぽい声をしているので、あれぐらいアップテンポな曲に、聴き取れないぐらいの早口で言葉を詰め込んだほうがハマると思ったんです。最初は抵抗していた純士ですが、「よく聴くと味があるな」と受け入れてくれたのがうれしかったです。
――非常に良い曲だと思いましたよ。
麗子 すったもんだありつつも、最終的におしゃれな感じにまとまったから、「まいっか、ハハハ」となりました。前作もそうでしたが、夫婦ゲンカを何度も何度も重ねた末に、やっとこさ完成した作品なんですよ。
純士 レコーディング日もMVの撮影日も、ケンカが絶えませんでしたからね。嫁を連れ出すのも一苦労でしたから。「レコーディングは6時からって決まっているんだよ。そろそろ行くぞ!」と声をかけても、「嫌や。8時からにならへんのか? ご飯食べてからがいい」とゴネ始める。「じゃあ、さっさと食べて出かけよう」とせっついても、「ご飯食べたらおなかが出るし顔もむくむねん。もうちょい待ちぃな」とか言われるんですから。
MVを撮影後、9時間かけて編集した試作品を見せたら、「この横顔、ブサイクやわ。なんで撮影前にご飯食べたんやろ?」とか言われても、知らねーよ! って話じゃないですか。顔が映ると文句を言うから、文句を言われない後ろ姿をメインにしたんですよ。そしたら今度は視聴者から「奥様の歩き方ダメだ」と指摘され、「どうしてちゃんと歩かなかったの?」と嫁に聞いたら、大ゲンカになってしまいました。
麗子 ウチは初めから、「後ろ姿しか使ったらアカンで」と言ってからイタリア街に向かったんですよ。それやのに、試作品を見てみたら顔も映っているし、ええ感じのシーンは全部カットされていたから頭に来たわ!
純士 今の言葉、ちゃんと録音しましたよね? 俺はまさにそう聞いていたんですよ。「後ろ姿しか使ったらアカン」と。となると当然、編集では後ろ姿だけを使いますよね? そしたら「あの正面を向いたカメラ目線が一番のお気に入りやったんや。なんで使うてくれへんかったんや!」なんてことを平気で抜かす。事前に聞いていたことと全然違うことを後から言いだすんですよ。おまけに撮影当日は替えの衣装を忘れるし。
麗子 忘れてへんわ! カバンの奥に入れといたのに、純士がアホやからそれに気づかへんかっただけや!
――夫婦で仲良く制作していたのかと思いきや、裏では激しい争いが起きていたんですね。そして、その遺恨はいまだに尾を引いているという……。
麗子 ですから、ダメ出しのコメントは極力控えていただけたらな、と。これ以上、夫婦ゲンカの火種を用意されたら、ホンマに離婚に発展するっちゅーねん!
純士 瓜田夫婦の作品は、トラブルやアクシデントさえも丸ごと真空パックしたナマモノなんですよ。そういうドタバタを想像しつつ、温かい目で見守ってくれたらうれしいですね。
(取材・文=岡林敬太)
※瓜田夫婦『Alba della Sicilia〜シチリアの夜明け〜』(feat.dj TVXI & Kombow)デジタル音源配信中
https://linkco.re/2svr55GZ
※瓜田純士のYouTube好評配信中(瓜田純士プロファイリング ) https://www.youtube.com/channel/UCv27YAy0FZ-4wwisy5zPmeg
※「“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき」の記事一覧 https://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/
“元アウトローのカリスマ”瓜田純士、ジャニー喜多川氏の”少年愛”にシルク・ドゥ・ソレイユ創業者との共通点を見た!?
解散、脱退、不祥事など、このところジャニーズ事務所の崩壊を予感させる事象が相次いでいたが、そんな中、社長のジャニー喜多川氏が亡くなった。数多くのアイドルを育ててきたカリスマを失い、今後の“ジャニーズ帝国”はどうなるのか? ジャニー氏に負けない先見性と審美眼を持つ 作家の瓜田純士(39)が、ジャニタレの未来を占った。
――創業以来、半世紀以上にわたりジャニーズ事務所を支えてきたジャニーさんが亡くなりました。この報道を受け、何を思いましたか?
瓜田純士(以下、瓜田) ジャニーズには全然詳しくないですけど、連日やっているニュースを見て、すごい人だったんだなって。所属タレントからしたら、本当にいいおじいちゃんだったと思うんですよ。だって、誰も悪く言わないじゃないですか。言えないのかもしれないけど。でも、悪いところがあったら(事務所を)辞めていると思うし、言われた通り信じて残った奴らはたいてい、いいポストに就いているじゃないですか。
――ジャニーさんの印象は?
瓜田 よく知らないですけど、直感的に思うのは、内部にいるタレントたちにとっては怖い存在だったんじゃないでしょうか。怒らせたらクビが飛ぶし、番組やCDもオシャカになる。「ジャニーさんに嫌われたら最後」って認識が、全員の中にあったはず。そのジャニーさんが提唱したとされる「アイドルは結婚しちゃダメ」みたいな掟を、直じゃなくても会社の人間から聞かされたら、守るしかない。「ジャニーさんの目が黒いうちは」みたいな恐怖心が、みんなの中にあったんじゃないでしょうか。
――近影を見たら、優しそうなお顔ですけどね。
瓜田 ヤクザの親分だってそうですよ。外部の人からは「気の良さそうなおっちゃんだな」と見えることが多い。でも、いざ自分がその組織の中に入り、周りから「あの人は雲の上の存在だ」みたいなことをさんざん聞かされて、みんながペコペコ挨拶しているのを3カ月も見ていると、その気の良さそうなおっちゃんが、だんだん神様みたいに見えてきちゃうものなんですよ。
でもそんなヤクザの親分も、年老いて病気がちになると、月一の集まりでもただ奥に座っているだけのお飾りみたいになって、神通力も失われていく。ジャニーさんも、そうだったんじゃないかな。年を取り、弱気なおじいちゃんになるにつれ、「SMAP解散」「嵐も活動停止」などのほころびが見られるようになり、盤石なジャニーズ帝国ではなくなっていったのかもしれませんね。
とはいえ、死後に叩かれる極悪な経営者ではなく、多くの所属タレントに愛されていたのは事実だと思いますよ。本当に純粋な少年のような人で、タレントを大事にしていたんじゃないかなって気がします。
――行きすぎた“少年愛”のウワサもありましたが。
瓜田 闘病中のジャニーさんの元をたくさんの所属タレントたちが代わる代わる訪れて、ジャニーさんの好物をみんなで食べて、そのことで容体も一瞬回復したりしつつ、最後は幸せに看取 られたというニュースを見て、俺は確信しましたよ。本当に体調がヤバいときに、ただのビジネス上の付き合いでしかない人たちに病室に来られたら、しんどいじゃないですか。
家族しか無理ですよ。いや、家族でも会うのはしんどい。普通は側近に「もうすぐ元気になると伝えておいてくれ」と託して、面会を拒絶するぐらいの距離を保つと思う。それを病室まで呼んじゃうっていうことは、間違いなく肉親以上の感情があったということですよ。肉親以上の感情がなかったら、血もつながってない奴らが病室に来るのは無理ですよ。
――肉親以上の感情とは?
瓜田 愛や恋や性的なものだけでは説明できない「好きの感情」ってあると思うんですよ。息子以上にかけられる情熱というかね。もしかしたら、シルク・ドゥ・ソレイユの生みの親とかもそんな感情なのかも。関わるアーティストやスタッフのことを、心の底から愛している。そんな感じの、家族でも立ち入ることができない、あふれる愛があったんだと思う。
――シルク・ドゥ・ソレイユ、お好きなんですか?
瓜田 いや、見たことないので、勝手なイメージです(笑)。さらに勝手なイメージを膨らませるのであれば、何もない砂漠にカジノをつくったベンジャミン・シーゲルや、マコーレー・カルキンとの友情を育んだマイケル・ジャクソン、もしくは恵まれない子どもたちを養子にしているアンジェリーナ・ジョリーあたりの感情にも近いのかも。「この世界、この絆は、俺たち私たちがつくったんだ」というね。そこには部外者が立ち入れない愛のカタチがあると思う。
ちなみにうちの嫁は、こう言っていました。「ジャニーさんは男やけど、オカンの気持ちやったんちゃう?」と。言い得て妙だな、と思いました。
――ところで、ジャニーズ事務所のこれまでのビジネスを、視聴者としてどんな思いで見ていましたか?
瓜田 10歳やそこらから目を付けて売り出して、本来ならどんどん新陳代謝させなくちゃならないのに、なんで40オーバーのおっさんたちをアイドル然とさせているんだろう? それで経済が回っちゃっているから、やめるにやめられないのかな? と以前は否定的に見ていたんですよ。ところがここ数年、自分もこの年齢になってくると、見方が大きく変わってきましたね。
タッキーいるじゃないですか。滝沢秀明。彼がこないだね、(ジャニーさんの訃報を受けての会見で)ほうれい線を作ってしゃべっていたんですよ。あのタッキーがほうれい線って、そのショックがわかりますか? ありえないことなんですよ。でもね、そういう年齢になっても一生懸命前に出てきている姿に、俺は胸を打たれたんですよ。
元SMAPの中居(正広) くんもそうじゃないですか。白髪隠しなのかハゲ隠しなのか、ピンクだか金髪だかよくわかんない色に髪を染めて、ドライヤーで精いっぱいボリュームを出して、小麦色のタンニングローションみたいなのを顔に塗りたくってでも、ああやって前に出てくるというのは、すごいことだと思うんです。
――どういう意味ですごいのでしょう?
瓜田 お金と手間をかけているとはいえ、あの年齢であそこまでの若さを維持しているっていうのは、すごいことじゃないですか。もともと美少年として出てきたから劣化を取り沙汰されがちだけど、マッチ(近藤真彦)やヒガシ(東山紀之)やタッキーなんかは、新橋あたりの居酒屋で禿げ上がって腹出して呑んだくれている同世代のおっちゃんたちと比べたら、今でもまったく別次元のきれいな人たちなんですよ。
――言われてみれば僕も以前、ヒガシと同じ写真に偶然写り込んでしまったことがあるのですが、その写真を見て愕然としました。「ヒガシと俺、果たして同じ人間なのか……?」と。
瓜田 そうなんですよ。「あいつ最近、宮根(誠司)さんみたいになっちまって 」なんて新橋の居酒屋で悪口を言ったところで、向こうから松潤(松本潤)が歩いてきたら、あまりのきれいさに全員ひれ伏しますって。あ、俺は別ですよ。俺はオーラが別格なんで。俺と並んだら、そんな奴らのオーラもかき消えますけど、コシャ平民から見たら、ジャニーズのタレントたちは別次元に映ることでしょう。
――しかし、今回ジャニーさんが亡くなったことにより、所属タレントたちのジャニーズ離れが加速するのではないかと見る向きもあります。瓜田さんはそのへん、どう読みますか?
瓜田 事務所を離脱して、今まで言えなかった、やれなかった言動をし始めて「えへへ」と調子づく奴も出てくるでしょうけど、その一方で、マッチやヒガシやタッキーといった“保守派”の年長者がビシッと気合を入れて、「フラフラするなよ」という空気を出しつつ、ストイックに事務所の伝統を守っていくんじゃないでしょうか。
――そんなジャニーズに残るほうが幸せなのか。それともジャニーズの呪縛から解き放たれたほうが幸せなのか。
瓜田 解き放たれて好きに生きようとした結果が、ぶくぶくに太った今の野村義男じゃないですか。組織から外れて好き勝手やっている奴は、やっぱ自分に甘いんですよ。もちろん、よっちゃんのギターはすごいんだけど、「見られる立場」から降りると、見た目はああなっちゃうんですよ。こないだ、よっちゃんをテレビで見ましたが、テキ屋のおっちゃんかと思いましたよ(笑)。同じたのきんトリオでも、スマートなマッチと全然違うじゃないですか。
最近俺ね、キムタク(木村拓哉)のことも見直したんですよ。ずっとチビでダサいな思っていたけど、いまだに役者として第一線にいるし、顔も格好いいままだし、浮いた話のひとつもないじゃないですか。その心がけというか、徹底した自己管理は見事というほかない。俺は最近、自分もボディメイクを始めたせいもあって、自己管理をしっかりできる人らにしか共感できないんですよ。
タッキーもそう。先日の挨拶のときの姿勢や表情ひとつとっても、新橋のサラリーマンとは全然違うじゃないですか。ああいう意識の高さを、われわれも見習わないとダメ。世のお父ちゃん方の良き見本にもなるはずだから、ジャニーズのタレントたちには還暦を過ぎてもアイドルを続けてほしいですね。……って俺、ジャニーズなんか全然知らないとか言っておきながら、どんだけ熱くジャニーズのことを語っているんだ、っていう(笑)。
(取材・文=岡林敬太)
※瓜田純士のYouTube好評配信中!(瓜田純士プロファイリング ) https://www.youtube.com/channel/UCv27YAy0FZ-4wwisy5zPmeg
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「カラテカ入江ひとりを悪者にするのはダサい」お笑い好きの”元アウトロー”瓜田純士が闇営業にモノ申す!
反社会的勢力の忘年会で闇営業を行ったとして、宮迫博之や田村亮らお笑い芸人13人が、所属事務所から無期限謹慎処分を言い渡された。元反社でお笑い好きでもある“キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士(39歳)は、一連の騒動をどんな思いで見つめていたのか?
――今回の騒動を見て、まず何を感じましたか?
瓜田純士(以下、瓜田) 乞食かな、と思いました 。ある程度の立場にいる奴らが、目の前の10万、100万を拾いにいく姿が卑しくて、乞食みたいだな、と 。プライドを持ってちゃんと一芸で食べている芸人やタレントは、道端に10万円落ちていても絶対に拾わないと思うんですよ。ダウンタウンとか明石家さんまとかは。
だから今回謹慎になった奴らは、そのレベルに達していない、しみったれた連中ってことなんですよ。
――手厳しいですね。
瓜田 自分の話をさせてもらうと、俺みたいな元不良って、昔の不良仲間と街でばったり再会したときに、そいつらから羽振りの良さを見せつけられるケースが多いんですよ。見たこともないような高級車から降りてきたり、ギンギラギンの腕時計をハメていたり、六本木あたりで信じられないような派手な遊び方をしていたり。
で、そういう謎の金持ちに限って、「俺は飲食店をいくつもやっていて」とか、「ITで成功して」とか、「外国のビッグビジネスに携わっていて」みたいなことをサラッと言いながら、「ところで瓜田くんは元気なの?」「いつも応援しているよ」とすり寄ってきて、「俺の先輩が瓜田くんに会いたがっているから、今度一緒にメシでも食わない?」とか言って、やたらと席を設けたがるんですよ。
――そういう誘いに、瓜田さんは乗るのでしょうか?
瓜田 自慢じゃないけど俺、一度も行ったことがないんですよ。足代とかを渡されそうになったこともあるけど、受け取ったことがないんです。それを受け取ったら俺はもう、アウトだと思っているんで。
だって、場合によっちゃ、犯罪で稼いだお金で飯を食ったことになっちゃうじゃないですか。カタギになってからは、そのへんのブロックをものすごく徹底しているから、今回の芸人たちの心理が、まったく理解できないんですよ。
――うっかり忘年会に顔を出してしまった心理が?
瓜田 うっかりとかじゃないんですよ。あのね、厳しい言い方をすると、こいつらは道端に落ちているお金も平気で拾うような連中なんですよ。こないだ嫁と一緒に自販機の小銭をあさった俺が言うのもなんですけど(笑)。
――自販機の小銭? なんですか、その話は。
瓜田 夫婦で近所のスーパーに買い物に行ったら、100円だけお金が足りなくて。「わざわざ100円を取りに家に戻るのは面倒や」と嫁が言うもんだから、俺は「任せろ!」と言って、近くにあった自販機の釣り銭口をあさったんですよ(笑)。
――何をしているんですか……。
瓜田 100円のためにそんなことをしちゃうぐらいだから、「俺はまったくクリーンな男だ」とは言えませんし、言うつもりもありません。ただ、俺はヤクザの世界から足を洗うときに、組の人間からこう言われまして。「辞めるからには、今後は歌舞伎町の中に入ったり、そういうことをしている連中とつるんだり、こっち側の稼ぎ方をするんじゃねえぞ」と。もちろんわかっていますよ、と言ってカタギの世界に戻ったわけです。
そんな俺が、犯罪で収益を得ているかもしれない奴らと飯を食ったり、そいつらから小遣いをもらったりしていたら、「てめえ、話が違うじゃねえか!」となりかねないと思っていたんですよ。ずっと。
何があっても「俺は白だ」と言える状況こそが、強いと思っているんで。そのためだったら、どんなに苦しい思いをしてもいいと思える性格なんで。それを十何年間、徹しているから、「うっかり行っちゃった」みたいな事態や「バレなきゃいい」みたいな発想がそもそもないんですよ。誰も見ていなくても、自分との約束を守る性格なんで。
――なるほど。
瓜田 ところが、うちの嫁はそうじゃない。夫婦で散歩中、ばったり会った昔の知人が、いかつい高級車から降りてきて、「これで奥さんとデザートでも食べなよ」と言って万札を渡してこようとしたりすると、俺は断るんだけど、嫁は「おおきに!」と言って受け取っちゃう。俺が「そんな食べ物に口をつけたくない」と言っても、嫁はヒョイパク食べちゃうわけです。
不良時代の知り合いと飲食店で偶然会って、「おごってやるよ」と言われても、俺はそういうお金にありつきたくないから、「自分らの分は自分で払う」と言うのに、嫁は俺の見ていないところで、ちゃっかりタクシー代とかをもらっているんですよ(笑)。
――夫婦の間で、価値観の相違があるんですか?
瓜田 うちの嫁は、よく言えば偏見がない人なんです。「せっかく好意であげるって言うてくれてはんねんから、断ったら相手に失礼やんか」と言うんですよ。あとは、俺は相手の正体を見抜けるからブロックできるけど、素人の嫁は見抜けない、というのもあるでしょう。
ただ、今回名前が出ている奴らは芸人として売れるぐらいだから洞察力もあるわけだし、東京でもしっかり遊んできた連中だろうから、それなりの人たちを見てきていると思うんですよ。まともな経営者から、街の不良、うさんくさい遊び人まで一通り見てきているはずだから、わかっていたと思うんですよね。
だって、20代かそこらの柄の悪い連中が、そろいもそろって高い腕時計をハメていたりするんですよ? そいつらから「エステ会社の忘年会だ」と言われて、それを信じるわけがないと思うんですよ。やっぱ“匂い”が違うんで、悪い奴らって。一目瞭然ですから、そんなの。特に酒を飲んでいるときは、カラオケの合いの手の入れ方ひとつ取っても、柄悪い奴らは柄悪くいくんですよ。足を崩して、大声出してね。
だからはっきり言って、あの会場に行った芸人らの「反社会勢力だとは知らなかった」という言葉には無理がある。絶対わかっていただろう、と。
――会場に来てから「ヤバい連中だ」と気づいたけど、その時点ではもう帰るに帰れなかった、という可能性はないですかね?
瓜田 仮にそうだとしても、「すいません、帰ります」と言って、ギャラを受け取らずに途中で抜け出すことだって、できたわけじゃないですか。
俺だったら迷わず帰りますよ。え? ここで? ウソ? と周囲にいる人がヒヤヒヤするタイミングでも帰っちゃう。なんで帰ったんだ! と後で怒られても、「だってあいつら、怪しいじゃないですか」と言えばいい。断れない人って多いけど、断れないせいで痛い思いをするんだったら、嫌われても断ったほうがいいんで。絶対に。
――それにしても、宮迫さんあたりは表の仕事だけでも十分稼いでいるのに、なぜ闇営業なんかしたんでしょうね?
瓜田 会社から振り込まれる給料は、いくら高額だとしても嫁が管理していたりして、好きなようには使えない。そんな中、どこに報告する必要もないお金が数十万ポケットに入ってくる。それが単純に魅力的だっただけだと思いますよ。「気に入っている姉ちゃんにバッグの一個でも買ってやれる」ぐらいの感覚でしょう。バカだなって思いますよ。
あとね、一連の報道を見て、卑怯だなと思ったこともあるんですよ。
――それはなんでしょう?
瓜田 カラテカ入江ひとりを悪者にするのは卑怯じゃないか、と。入江みたいな奴って、芸能界に限らず、どこの世界にもいるんですよ。謎のコネクションを自慢しながら謎のコネクションの中を生きる奴。人をパーティーに誘っておきながら、「次のパーティーがあるから」とか言って、わずか10分程度で会場から消えるような奴(笑)。
「俺はパーティーとパーティーの間をすり抜けて生きている」ぐらいの感覚の、うさんくさくて調子が良くて、ルックスはさえないくせに誰よりもいい服を着ているようなバカって、昔から一定数いるんですよ。
そういうバカは本当に、悪気なく話を振ってくるんで。入江からしたらそのシーズンだけで、おそらく何十件ものパーティーや忘年会を回していたと思うんですよ。今回問題になっている忘年会はその中の1件にすぎず、おそらく「ここは羽振りがいいから芸人仲間を連れていこう」ぐらいの軽いノリでしかないから、ヘタしたら入江のほうがあんま覚えていないぐらいの出来事だと思うんですよ。
それをみんなで「入江が、入江が」と言うのはダサい。宮迫が最も古株なんだとしたら、「入江を指導できなかったことを含め、すべての責任は俺にある」ぐらいのことを言えないもんですかね? 「俺はどんな処分でも受ける。ほかの奴らは俺という先輩がいる手前、帰れなかっただけ。だから俺が全責任を取る」と言えば、まだ見方も変わったのに。
宮迫とか亮クラスが後輩のせいにして頬かむりするっていうのが、一番ダサいですよ。先日、何かの雑誌で宮迫が数千万円の腕時計コレクションを自慢していましたけど、自分はそんな贅沢して、不倫までしているわけじゃないですか。一方、忘年会のメンバーの中には、苦労してやっと去年ぐらいから売れ始めた芸人もいる。同じ事務所の先輩として、そういう後輩の罪をかぶる男気はないのかな、と残念に思いました。
――今回の一件を通じて、われわれが得られる教訓ってありますかね?
瓜田 幼稚園ぐらいのときに先生や近所の口うるさいオヤジの言っていたことって、結構正しくて。「よく知らない人についていったり、よく知らない人からもらった食べ物を口にしちゃいけませんよ」って、絶対言われるじゃないですか。そのまんまなんですよ。
幼稚園の教えを守っておけば、結構なんとかなる。「信号を守りましょう」「正直でいましょう」「ウソはダメです」とか。そういう子どもでも知っているようなルールを中年にもなって守れないのは、ただのバカと言うほかないですね。
(取材・文=岡林敬太)
※瓜田純士のYouTube好評配信中!(瓜田純士プロファイリング) https://www.youtube.com/channel/UCv27YAy0FZ-4wwisy5zPmeg
※「“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき」の記事一覧 https://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/