芸人カミナリがテレビから消えた?上沼恵美子の苦言とバラエティの悲しい裏事情

 芸人カミナリの活動が鳴りを潜めている。ボケで坊主の竹内まなぶ、その頭をド突くツッコミの石田たくみによる、茨城出身のコンビだ。2017年の「タレント番組出演本数ランキング」(ニホンモニター)では、前年と比較して番組出演本数が最も増加した「2017ブレイクタレント」の1位に輝いた。飛ぶ鳥を落とす勢いだった2人だが、以前と比べてあまり見かけない。彼らを取り巻くテレビ界の悲しい現状とは?

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カミナリは、頭をはたくツッコミに誇り―「痛みを伴う笑い」への抗議との2時間闘争

 芸人やバラエティー番組スタッフにとっては、受難の時代となりそうだ。

 日本テレビが9月20日に大みそか恒例の『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで! 絶対に笑ってはいけないシリーズ』を休止することを発表。『NHK紅白歌合戦』の裏番組として、10年から11年連続民放1位の視聴率を記録するなど人気を集め、今年は15年の節目を迎えるはずだっただけに、テレビ界に激震が走った。

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天然キャラのまなぶが熱血漢に……カミナリの「深すぎるコンビ愛」

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(3月24~30日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

高田純次「怪物と戦うときは、自分も怪物になったほうがいいんじゃないですか?」

「怪物と戦う者は、自分もそのため怪物とならないように用心するがよい」

 哲学者・ニーチェの言葉である。怪物に勝つための力を得ようとすると、自分が怪物みたいな存在になってしまう。嫌いな人を懲らしめようとすると、自分もまた嫌いな人と同じように振る舞ってしまう。そうならないように気をつけましょう。そんな警句だろうか。

 哲学者や偉人の言葉を聞くと、人はしばしばわかってないのにわかったふりをしてしまう。しかし、28日放送の『世界の哲学者に人生相談』(NHK Eテレ)という番組でこの言葉を聞いた高田純次は、いつもの調子で次のように疑問を呈していた。

「怪物と戦うときは、自分も怪物になったほうがいいんじゃないですか?」

 なるほど、そうかもしれない。ニーチェの名前に臆さない高田のシンプルな疑問。番組で解説役を務める哲学の先生も、返答に苦慮しているように見えた。

 さて、話は少し変って、27日放送の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、占いに関する説が検証されていた。題して、「なにやら占い師に傾倒し始めた相方が改名を訴えてきても応じられない説」。怪しい占い師に熱を上げ始めたお笑いコンビの一方が、占い師に助言されたからといって改名を提案したら、相方はどう反応するのか、というドッキリ企画である。

 1組目のターゲットになったのは、若手芸人のカミナリ。幼なじみの石田たくみと竹内まなぶから成るカミナリは、茨城訛りと激しいツッコミを武器にした漫才で、2016年の「M-1グランプリ」の決勝に進出。翌年の「M-1」でも決勝に残った。

 今回ドッキリの仕掛け人となったのは、ツッコミのたくみの方である。たくみはまなぶの目の前で1週間、怪しい数珠をつけ、怪しい水を飲む。埼玉の占い師から買ったという水晶を見せたりもする。そして1週間後、2人きりの部屋でたくみは話し始める。自分だけ、4月から『王様のブランチ』(TBS系)のレギュラー出演が決まった。これを契機に、名前を変えようと思う。「石田たくみ」を「石田夢門」にしようと思う。「夢門」と書いて、「たくみ」と読ませようと思う。なぜか。

「先生が言ってた」

 占いの先生が、平仮名は「あんまり良くない」と言っていた。だからオレは、4月から「夢門」になろうと思う。

 目の前でこんなことを言い始めた相方に、まなぶはどう応じたのか?

 テーブルを挟んで正対するカミナリの2人。占い師に傾倒して「夢門」になろうとしているたくみ(ドッキリの仕掛け人)に対し、まなぶ(ドッキリのターゲット)は最初から「頭おかしいじゃん」と全面否定の姿勢を示す。しかし、たくみは占い師の能力をさらにアピールし始める。

たくみ「これ(数珠)とかさ、先生からもらって1週間だよ。1週間でこんなおっきい(レギュラー番組の)話来たからさ」

まなぶ「違いますよ、それは。キミの努力だから」

たくみ「でも、何もだってしてないし、努力っつうか、ただ……」

まなぶ「いや、してるしてる」

たくみ「ただ普通に生きてただけで……」

まなぶ「してる、してる。芸人って気づきづらいのよ、努力に」

たくみ「そうか?」

まなぶ「そうそうそう。こんなんで決まりません。何度も言うけどオマエの努力なの」

 たくみの目を見て、たくみの言葉を封じるかのように矢継ぎ早に、まなぶは繰り返し説く。キミは努力しているんだ。キミは努力してきたんだ。気づいていないだけなんだ。そんなまなぶの姿をVTRで見ていた浜田が、ツッコミを入れる。

「こいつが(占いの)先生みたいになってるやん」

 松本も「洗脳しようとしてるんちゃう?」と呼応し、笑いを誘う。怪しい占い師の洗脳から相手を解こうとする側が、洗脳しているように見えてしまうという逆説。あるいは、信頼と信仰を区別することの難しさ。まなぶはたくみを幼なじみかつ相方として信頼してきた。しかし、そのたくみが信仰の側に取り込まれようとしている。「夢門」になろうとしている。2人の間の信頼をこれから先にもつなぐために、信仰の側にいるたくみに届く言葉を、まなぶは重ねようとする。こちら側に取り返そうとする。しかしその姿は、別の信仰に取り込もうとしているように傍からは見えてしまう――。

 なるほど、高田純次がニーチェに抗して言うように、怪物を倒すために自分が怪物になる覚悟をしなければならないこともある。たくみは言う。オマエに何かを買えとは言っていない、すべて「オレのことだから」。すると、何かのスイッチが入ったかのように、まなぶは語り始めた。

「いやいや、キミの人生はオレの人生だし、オレの人生はキミの人生なんだよ。一緒に歩んでいくの。ね? そいつが、そんなクソみたいなもの買わされて、つけて信じて、名前改名するとか、ふざけんなと思うよ」

 洗脳された人への対応として、これが適切なのかはよくわからない。けれど、自分が怪物になることに慎重になりすぎるあまり、人それぞれだからと何もしなければ、大切なものを取り戻せなくなるときがあるのかもしれない。相方のために、図らずも怪物のようになってしまうまなぶと、相方を怪物のようにさせてしまうたくみ。カミナリの2人の関係に、深い信頼を感じた。

 27日放送の『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)に、女優の工藤夕貴が出演していた。10代でデビューし、ハリウッド映画にも出演歴がある工藤。近年は、女優業だけでなく農業にも従事している。工藤いわく、「食べ物を自分の手で育てられることが、本来は人間の生活だと思う」。富士山の麓に自宅を構え、自ら開墾した農地で、自給自足に近い生活を送っているのだという。

 番組では、そんな工藤のもとに「大都会東京で迷える女子」を送り込み、2泊3日の農業体験を通じて「女磨き」をさせるというような企画を実施していた。題して、「女を鍛えるネイチャー工藤塾」。今回は(次回があるのかどうか知らないけれど)塾生として、ゆきぽよや藤崎奈々子ら4人の女性タレントが参加していた。

 1日目、まずは畑を耕す。率先してクワを持ち、作業を進める工藤。しかし、慣れない農作業にゆきぽよらは、「しんどい」「腰が痛い」と、すぐに愚痴をこぼしてしまう。そんな塾生に、塾長であるところの工藤は説く。

「なんのために一生懸命ほじくってるって思うかもしれないけど、これが(野菜が)育ってくベッドになる。お母さんでいう子宮みたいな。今こうやって私たちが土を触ってる瞬間に、やっぱり地球とひとつになってるんだよね。アースしてる」

 2日目、田んぼの草刈りをしたり、ドラム缶風呂に入ったりした後、夕食は野外でオーガニックカレー。食後、焚き火を前に工藤は、「明日の朝は、来なきゃよかったと思うかもね」と思わせぶりなことを言う。どうやら、体力的にキツい試練が朝から待っているらしい。不満の声を上げる塾生に、工藤は自説を述べる。なぜ体を追い込むのか。そうすることで、ミトコンドリアが活性化し、体が強くなるからだ。2月に冷たい湖で泳いだって自分は平気だが、それもこれも普段からミトコンドリアを覚醒させているからだ。説明を終わると、工藤は笑いながらこう言った。

「呼んで。ミトコンドリア女優って呼んで」

 3日目、早朝4時から登山が始まる。約2時間の往路、塾長の人生論を聞きながら歩き続けた塾生を山頂で待っていたのは、日の出に照らされた富士山だった。感動の声を上げる塾生。昇る太陽を見ながら、塾長は語る。

「勝手に朝日が昇るんじゃなくて、私たちが回転してるんだからね。宇宙の法則によって回転させられてる」

 自然との共生。自給自足の生活。素晴らしいことだと思う。「子宮」とか「アース」とか「ミトコンドリア」とか「宇宙の法則」とか、なんだか気になるキーワードはある。体力的に追い込まれた塾生に塾長が優しい言葉をかけ、塾生落涙、みたいな展開もあった。個人的にはムムムと思うが、そのあたりはこれ以上ツッコまない。人それぞれだし。

 怪物と戦う者は、怪物にならないように用心しなければならない。ミトコンドリア・ライターになる前に、この件からは早急に目をそらしておこうと思う。

(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)

“ローカル芸人”カミナリとU字工事が、山田うどんにビジネス指南「ダ埼玉を売りにしろ!」

 芸人にとってキャラクターは大事。ネタの面白さのみで売れるに越したことはないが、なかなかそうもいかない。例えば、おぎやはぎは加藤浩次のアドバイスで“Wめがね”というフックを身につけ、物珍しさから注目を浴びやすくなったという。劇団ひとりも、当初は“泣き芸”というキャラクターを持っていた。彼は2月10日放送『ゴッドタン』(テレビ東京系)で、以下のような発言を残している。

「ニュートラルに売れたいっていうのは、最初はどの芸人も思うこと。でも、俺で言ったら“泣き芸”とか何か一個を(収録へ)お土産に持っていき、それを入り口に隙間で『こういうコメントができます』と自分の価値を上げていく。最初、呼ぶ側は誰を呼んでるかわからないんだから」

■「ローカルはメリットだらけ」(U字工事)

 人気芸人がさまざまな会社を訪ね、ビジネス講座を開く番組『芸人先生』(Eテレ)は、7月2日、9日と2週にわたって山田うどんを訪問した。

 ちなみに、うどん業界において同社は、店舗数ランキング4位というポジションにある。とはいえ、3位のなか卯が460店舗で、4位の山田うどんは167店舗。大きく水をあけられているのが実情だ。

 まず、第1週目に講義を行ったのはU字工事の2人。彼らは同社社員に「山田うどん」の印象を尋ねた。これが、散々だったのだ。

「山田うどんは普通。悪く言えば、うまくもなければまずくもない。普通の味を提供している店。人に『山田うどん、いいよ』って勧める時の言葉が難しい」

「山田うどん自体にダサい、垢抜けないイメージがある。埼玉自体にも、都会にも田舎にもなりきれない垢抜けないイメージがある」

 補足だが、山田うどんの本社は埼玉県所沢市にあり、チェーン展開の大部分は埼玉県内に偏っている。山田うどんは、俗に「埼玉のソウルフード」と呼ばれているのだ。

 ローカルでダサいと自虐する山田うどんに、U字工事はシンパシーを感じているよう。益子卓郎は吐露する。

「俺らも漫才がうまいわけでもないし、何かしゃべれるってわけでもないし、ギリギリでテレビ出られてる」

 当初、彼らは標準語で東京寄りの漫才を行っていたそう。でも、全然うまくいかなかった。その後、浅草キッド主催の漫才イベント「浅草お兄さん会」に出場した際、水道橋博士から「栃木訛りを前面に押し出したほうがいい」と助言され、現在のスタイルへ到達。ローカル色を武器に、世に出ることができた。

「漫才が上手な人はいっぱいいるし、ましてや大阪の上方漫才をブワーッてやられたら圧倒されるわけです。そこで戦うのが、ローカルだったんです」(益子)

 要するに、今回2人が説くのは「ローカルはメリットだらけ。埼玉代表になれ!」である。なるほど、“普通”の山田うどんには適したアドバイスかもしれない。

 しかし、山田うどん社員の反応が芳しくない。「埼玉って住んで寝るところ」「埼玉色を出すのは恥ずかしい」と、会社だけでなく県そのものを自虐する社員までいるのだ。

「なんで、恥ずかしいんですか! 我々が埼玉だったら、すぐ(ローカルの)ネタをやりますよ」(益子)

 U字工事は地域の特産品などをネタに織り込むことで、オーディションに受かり始めた。2人は、その手法を山田うどんにも勧めている。例えば、埼玉は深谷ねぎが全国生産1位。そういったローカルの特徴も、メニュー表で押し出すべき。これは、実体験に基づくアドバイスだ。

「お笑いもそうだもんなあ。特徴があったほうがオーディションにも絶対受かりますし、『なんであんなに漫才がうまいのに、もっと出てないんだろう』っていう方がいっぱいいるんですよ。『俺ら、出てていいのかなあ?』ってくらいの人がいっぱいいて」(福田薫)

■「“カロリーのK点超え”を売りにしろ!」(カミナリ)

 第2週目の講師はカミナリ。2人は「ウリという名のインパクトが大事」だと、山田うどん社員に説いた。

 そういえば、カミナリには売りが2つある。1つ目は茨城訛りのツッコミ、2つ目は「どつき漫才」だ。ツッコミの石田たくみは解説する。

「どつき漫才は昔からある文化ですけど、僕のは『こんなに思いっきり叩くか?』ってくらい強く叩いているから衝撃を与えてると思うわけです」

 しかし、山田うどん社員は自社の売りがわからない模様。「山田うどんの売りは?」と質問されても、「売りは……ない(苦笑)」と頼りのない返答である。

 いや、ある。まず、「やわらかいうどん」。同店が提供するうどんは、驚くほどやわらかい。山田うどんを応援する書籍『愛の山田うどん 「廻ってくれ、俺の頭上で!!」』(河出書房新社)には、さぬきうどんの全国進出により「うどんにはコシがなくっちゃ」という論調が拡大、山田うどんの評判が下降した状況が記されている。いや、そんな異端だからこそ、“売り”になり得るのではないか? それが、カミナリによるアドバイスだ。

 2つ目の売りは、「カロリーのK点越え」。実は、山田うどんのセットメニューは1000キロカロリーを超えるものばかり。こちらも、やはり世の流れに反している。だが、これもアピールポイントになるのでは? 逆を突く発想を一貫してカミナリは提案するのだ。営業コンサルタントの和田裕美氏は、この手法を評価した。

「個性を生かしてほかがやってないことをやると、必ず好きな人がいるんです。サイレントマジョリティというか、言葉を発しない消費者がいるんですね。カロリーを気にする人がいる半面、実はカロリーをオーバーしても食べたい人もいる。言葉を発しない消費者に向けて物を作り続けると、ほかは負けていても、そこは絶対勝ち残る」

 自らが世に出るために取った戦略を、そのまま伝授した2組。くすぶる時期の自分たちを山田うどんに重ね合わせたか? 芸人が売れるための戦略とビジネスの戦略は、相通じているということだ。

 ちなみに山田うどん、意外と言っては失礼だが、たまに食べるとすごくおいしい。さぬきの食感に慣れた我々に、あのやわらかさは逆に新鮮。カミナリが言うように、売りにしてしかるべき特徴だと思う。

(文=寺西ジャジューカ)

カミナリ“ブレイクタレント第1位”のワケは「孫キャラ」! テレビ視聴者高齢化の恩恵

 お笑いコンビのカミナリが、ニホンモニターによる2017年度のブレイクタレント第1位となった。年間出演本数は235番組であり、昨年の5番組から約50倍の大幅アップである。カミナリは昨年の『M-1グランプリ2016』(テレビ朝日系)の決勝に出場し知名度を上げた。なぜ、彼らはブレイクに至ったのか。

「カミナリは、ギャップが受けているといえるでしょうね。出身地の茨城弁を駆使した漫才からは素朴なイメージを受けますが、ツッコミは一転して激しい“どつき”を見せます。そうした漫才のギャップは、視聴者にインパクトを与えたといえます。さらには、2人が幼稚園からの幼なじみというエピソードも、お互いの信頼関係であの漫才をやっていると印象づけることになり、好感度は高いでしょう。彼らが所属するグレープカンパニーは、サンドウィッチマンや永野などが所属する小さな事務所です。大手事務所の“ゴリ押し”で売れたわけではない点も評価できますね」(放送作家)

 もう一つ、カミナリの人気を決定づけているものが“孫キャラ”である。現在のテレビは中高年の視聴者が多い。彼らにかわいがられるようなキャラクターが受けているのだ。同じタイプではオードリーもブレイクを果たした。

「オードリーは『M-1グランプリ2008』(同)に敗者復活組から決勝進出を果たします。NON STYLEに敗れ準優勝となりますが、現在のテレビへの出演本数はオードリーの方が上です。今どきの若者風のNON STYLEよりも、素朴なオードリーの方が受け入れられたのです。若林の人見知りキャラや、無駄遣いをしない春日のケチキャラなどは中高年の受けは良いでしょう。カミナリも、その枠にぴったりとハマったといえます」(前出・同)

 テレビは今後ますます高齢者向けメディアとなるだろう。そうなると、カミナリの立場はますます安泰となりそうだ。
(文=平田宏利)