『西城秀樹のおかげです』(早川書房)
■今回の官能小説
『エロチカ79』(『西城秀樹のおかげです』より/森奈津子、早川書房)
あなたは、「官能小説」と聞くとどんな世界観を想像するだろうか? まるで人気のない地下室のような、陰湿で暗く、淫靡な雰囲気を思い浮かべる人が少なくないように思う。それは、いわゆる昭和時代から存在している「旅列車のお供」としての官能小説の世界だが、昨今官能小説の表現は多様化している。じっとりと読ませるスタンダードな官能小説とは真逆の、晴れ晴れした明るくポップな官能小説も存在する。その1つが、今回ご紹介する『西城秀樹のおかげです』(早川書房)に収録された『エロチカ79』だ。
時は1979年、ヤンキー全盛期で校内暴力が問題視されていた時代。主人公の麻里亜は中学3年生の女の子で、セーラー服の袖をまくり、くるぶしまで長いスカートを引きずり、授業をサボってカツアゲをする日々を送っていた。
