<妊活雑誌を買ったら、頭がくらくら。「妊活ベビ待ち茶」「子宮の冷えを和らげるパンティライナー」「日本人は卵巣と子宮がつぶれがち!」どうかしてる。>
ーー私がこうtwitterで発言したところ、1270件という、そこそこの「イイね!」をいただきました。引用コメントに特に目立ったのは、「こういうノリにうんざりしていた」なる声。
さてちょっと検索すればバレバレですが、この妊活雑誌の正体は、主婦の友生活シリーズより先月発売されたムック本『赤ちゃんが欲しい 2018夏』。
特別第一付録は「巡りUPで子宮イキイキ! 夜ふんパンツ」。「夫婦でタイミング砲!」なる特集タイトルと相まって、ゲスなネタで盛り上がりがちなまとめサイトで「妊活本、ほぼ18禁本」と【朗報】扱いされている始末です。は~、すごい。
表紙を眺めているだけでも十分頭が痛くなってくる内容ですが、深呼吸して平静を保ちながら、さらなる詳細をご紹介していきましょう。以下、トチ狂い度の高い特集ベスト3を、勝手にランキング!
トンデモ妊活記事3位「妊活占い」
占いは、女性誌の巻末に掲載されるのがほぼお約束になっている定番コンテンツ。同誌においては当然のごとく、妊活がテーマです。
巷には〈子宝占い〉というものが存在するので、とりたててめずらしい物件でもありませんが、それでも「7月中旬以降、妊娠力が高まり授かるチャンス(牡羊座)」とか堂々と書かれてしまうと、アホかいなと力がヒュル~と抜けていきます。妊娠は、排卵期に狙い打ちすればいいものではないとは言え、西洋占星術に妊娠率の高い時期を告げられても……ねえ。同誌は不妊治療に関するまともな医療情報もたくさん掲載されていますが、合間合間にスピ&トンデモ物件を挟みこんでくるので、医師たちの真っ当なアドバイスも台無し感満載。
ネタ感が強いぶん、まだマシかと思えたのはスピリチュアルゲイカップルを謳うトシ&レティが、妊活のお悩みにスピ論理で答える1ページのコーナー。「波長」「月のパワー」と言っておけばそれなりにまとまるような気がするご回答は、暑さで朦朧とした頭にもすんなり入ってくる、薄く浅~い内容です。
ちなみにこちらで紹介されていた「babyを呼ぶ法則」今月のおすすめは「かに座の新月から48時間以内に願い事を書き出し、ダーリン度ラブラブし(原文ママ)、花を飾ったり裁縫をしたり家庭的な作業を多くする」なんだとか。これって、読者や広告出しているクリニックから、「ふざけるのもほどほどに」ってクレームこないんですかね?
トンデモ妊活記事2位「日本人は子宮と卵巣がつぶれがち! 美姿勢ストレッチでまっすぐ立って妊娠!」
タイトルだけで、「そんなワケねーだろ」という言葉しか浮かんでこない、攻めの姿勢が黒い光を放っています。
記事によると、〈妊娠しづらい原因は姿勢〉なんだとか。「不妊治療の患者数はここ12年で約10倍。その大きな原因が姿勢!」とストレッチ専門スタジオの代表者が語っていますが、何を根拠にしているのかまったくの謎。日本人は猫背になりがち→内臓が圧迫され子宮や卵巣もつぶれる→血流が悪化して必要な栄養がいきわたらず、知らず知らずのうちに妊娠しにくくなっている、とのお話です。
医学的根拠の薄い妊活物件では、何でもかんでも〈子宮回りの血流を上げよう!〉という提案が目白押し。そこさえ語れば、読者は何でも納得するとでも思っているのでしょうか? 同誌の場合はさらに、同社発売の『授かり力アップ! 妊活女子の冷えとりガイド』(赤ちゃんがほしい 特別編集)へ誘導したいのでしょうけど。ストレッチそのものは、やりたきゃやれば? という範囲のごくノーマルなものです。
トンデモ妊活記事1位「特別付録・夏の妊活がぐいぐい進む!「夜ふん・パンツ」で授かる予感
女子向けにデザインされた〈ふんどしパンツ〉は以前から存在しますが、やはり「子宮イキイキ」「妊活がぐいぐい進む」といったインパクトあるキャッチで付録に仕立てたこちらの物件が1位です。
ふんどしパンツとは、一般的なパンツのゴム部分を紐にすることで、体の締め付けを極力取り除き、血行がよくなるよ! と謳う点が特徴。付録を紹介するページでは、産婦人科クリニックさくら院長の松井彰浩医師が登場し、
「血行の悪化=臓器の悪化=つまりは子宮卵巣機能の悪化につながりますから、ふんどしパンツで血巡りを正常にしていただくと、授かりやすい体質に近づけると思いますよ」
とコメントを寄せています。編集部へのサービストークなのかもしれませんけど、まともな患者が蜘蛛の子をちらす勢いで逃げていく画が、目に浮かぶわあ……。
子宮イキイキ夜ふんパンツの写真とともに掲載されたイメージモデルの横にあしらわれたキャッチは「ひもパンみたいで夫ウケもよさそう」。紐パンでテンションが上がる男性は確かに一定数いるようですが、そういった男性はセクシー路線が好物なのでは。キュートなピンク×パイナップル柄という、よく言えばガーリー悪く言えば子供っぽい〈カマトトパンツ〉で欲情してもらおうという魂胆が、なんだかなあ。
こちらの物件は当連載の過去記事(「おしゃふん」が女性を健康に? ベストフンドシストに矢口真里まで担ぎ出したふんどし業界の詭弁マーケティング)も、ぜひご参考に。ちなみに〈夜ふん〉の元ネタである『夜だけ「ふんどし」温活法』(日本ふんどし協会著・山田麻子監修/大和書房)では、血流を促しムレを防ぐことから、痔やカンジダ症の予防と言っておりました。
以上、どうかしてる度の高いページをご紹介しましたが、同誌で紹介されている妊活アイテムも、全般的にひどい。「授かりドリンク」に「陰嚢冷却下着」「子宮の冷えをやわらげるパンティライナー」「妊活ベビ待ち茶(開発者も飲み続けて妊娠!だそうです)」etc…ですから。
それに加え、「タイミング砲」だの「ちんたまレシピ」(玉ねぎをレンチンするのが語源のようですが、ココロが汚れているので別の意図を感じます)だの下ネタ系タイトルと、「ベビ待ちGirl」「あかほしGIRL」というキラキラ感爆発造語がからみあうと、もう胸焼け必須。
待ち時間のやたら長い不妊治療系クリニックの待合室でコレを読んでいたら、テンションがだだ下がりしそう。私は医療情報(どんなにまともでも)とスピ&トンデモの合体が最も醜悪だと思っているので、イヤ~な異界を覗いた気分でいっぱいです。これらを〈治療の間のリフレッシュになる、楽しい情報〉だと思っている作り手たちもまた、おかしな物件と同列の〈トンデモ〉に、カウントさせていただきましょう。