朝鮮人虐殺は過去の出来事ではない。関東大震災前夜にそっくりな2019年の日本/加藤直樹さんインタビュー

 『TRICK 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(ころから)という本が注目を集めている。

 作者は、加藤直樹氏。2014年に出版された前著『九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響』(ころから)も大きな反響を呼んだ。

 再び関東大震災朝鮮人虐殺をテーマにした『TRICK』は、インターネット上を中心にはびこる「虐殺否定論」のどこが誤っているのかを、膨大な資料をもとにひとつひとつ解き明かした労作だ。

 本書ではそのうえで、虐殺否定論を「発明」した本、工藤美代子『関東大震災「朝鮮人虐殺の真実」』(2009年/産経新聞出版)および、著者名は変わっているがほぼ同じ内容の加藤康男『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』(2014年/WAC)を取り上げ、彼らがいかにインチキな資料の読み解き方で虐殺否定論をでっちあげたかを、すべて白日のもとにさらしている。

 いま現在、関東大震災朝鮮人虐殺のみならず、日本がかつて犯した過去の過ちをなかったことにし、そこから得られる教訓をすべて闇に葬り去ろうとする歴史修正主義的な勢力が跋扈している。この状況が続けば、社会はどうなるか。加藤氏に話を聞いた。

 

【加藤直樹】
1967年生まれ。主な著書に『九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響』(ころから)、『謀叛の児 宮崎滔天の「世界革命」』(河出書房新社)など。共著に『NOヘイト!出版の製造者責任を考える』(ころから)他。チェ・ギュソク『沸点 ソウル・オン・ザ・ストリート』(ころから)の翻訳も手がけている。

歴史修正主義者の使う「TRICK」
──なぜ『TRICK』を書こうと思われたのですか?

加藤直樹(以下、加藤) 前著『九月、東京の路上で』を出版したのが2014年の3月だったんですけど、その年の5月ぐらいに、担当編集を通じて在日の実業家から「朝鮮人虐殺が本当にあったという証拠になる資料があったらコピーさせてほしい」というお願いがありました。
なにがあったのか話を聞いてみると、彼の住んでいる街の区議会議員が顧問を務めている団体が、その地域の全戸に「朝鮮人虐殺などない」というチラシを入れてきたのだと言うのです。それで区議に抗議の電話を入れたら、「証拠があるなら持ってこい」と言ってきたとのことでした。
それを聞いた後、慌てて使えそうな資料をコピーしたんですけど、よくよく考えれば、この資料を実業家の彼に渡したところでどうなるのかと思ったんですね。どんな資料を持っていったところで区議が「恐れ入りました」なんて言うわけないじゃないですか。どころか、「抗議してきた在日を論破してやった」なんてツイッターとかに書きかねない。
それは、私が直接会いに行ったって同じことですよね。「こんな本を書いた奴を追い返してやった」と、そんなことを書かれるのが関の山ですよね。

──確かに、そういう展開が目に浮かびますね。

加藤 そこで、別のアプローチをとることにしました。「朝鮮人虐殺があった証拠を持って行く」のではなく、「虐殺否定論のデタラメさを指摘するwebサイトをつくる」という方法を彼に提案したんです。
まずは彼と、そして友人たちと協力して虐殺否定論の誤りを丁寧に説明したサイト『「朝鮮人虐殺はなかった」はなぜデタラメか』をつくりました。
翌年には、そうした虐殺否定論の原点とも言える工藤美代子『関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実』、加藤康男『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』に対する検証に特化したサイト『工藤美代子/加藤康男「虐殺否定本」を検証する』もつくりました。
その作業でわかったのは、虐殺否定論とは「トリック」なんだということです。

──虐殺否定論者は読者を騙すためにわざと嘘をついているということですか。

加藤 彼らは読者に対して、意図的な「トリック」をしかけているんです。
ある手記の都合のいいところだけ切り取るとか、虐殺の様相を伝えたり、それが明らかな事実であることがわかる文章は見なかったことにするとか、原文に書いていない文章をでっちあげるとか、そういうことは、意図的にやらないとできないことですよね。なので、彼らだって、自分たちの書いていることが、いつか「正史」になるとは思ってはいません。

──虐殺否定論者も一応、資料を読んでいるのだから、自分の書いていることがおかしいとわかっているはずですよね。うしろめたいからこそ、変な引用の仕方をしたりするのでしょうか。

加藤 彼らが自分たちの書いている「歴史」を事実として信じているわけではないんですね。たとえ信じられないようなことであっても、それを押し通して「何が正しいのか、歴史の事実は分からない」といった具合に「藪の中」にしてしまったり、人を黙らせたりすることにこそ意味があるのでしょう。
そうして、日本の近現代史から負の側面を消し去りたいという歴史修正主義的なムードをつくっていければそれでいいということだと思います。
そこには、事実に対する、あるいは事実を追求する学問に対する敬意など微塵もありません。

 

『TRICK 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(ころから)
「本」がもつ権威と、東京都議会
──『TRICK』の「まえがき」に出てくる、全国紙の新聞記者が校閲担当者から「朝鮮人虐殺が『あった』と言い切ってしまって大丈夫か」と聞いてきたエピソードは衝撃的でした。

加藤 それも彼らの活動が実を結んでいる証拠でしょうね。
先ほど紹介したサイトでやったようなアプローチを本にしようと思ったのは去年の9月なんですけど、それは本がもつ「権威」というものを感じたからです。

──権威?

加藤 図書館に行くと、本当によく工藤美代子の『関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実』が置いてあるんですよ。
あるとき、全然別の調べものをするために、新潟の郷土の名士の伝記を読んでいた際にはこんなことがありました。
その著者は右翼でもなんでもなくて、ごく常識的な郷土史家だったんですけど、関東大震災のくだりのところで「朝鮮人が暴動を起こした」といったメチャクチャなことを書いているので、参考文献を見てみたら、やはり工藤美代子の本があって。

──確かに、「本に書いてあるから事実なんだろう」と思ってしまうことはあるかもしれません。

加藤 素朴な話ですけどね。でも、「本」というかたちになっていることで、東京都議会では議論の裏付けとして通用してしまった例がある。

──2017年に小池百合子東京都知事が朝鮮人虐殺犠牲者追悼式典への追悼文送付を取りやめた背景には、その年の3月の議会における自民党の古賀俊昭議員の質問があると『TRICK』には書かれています。古賀都議は工藤美代子の本を紹介しつつ「朝鮮人活動家が震災に乗じて凶悪犯罪を行い、その結果、日本人自警団が過敏になって無関係の朝鮮人も巻き添えにしてしまった」という歴史観を語り、朝鮮人追悼碑は「日本人へのヘイトスピーチ」であるとしたんですよね。

加藤 そうした古賀議員の主張を否定することもなく、小池都知事は追悼文の送付をとりやめ、それは今年までずっと続いています。
それどころか、『TRICK』でも書きましたが、小池都知事自身が虐殺否定論者である可能性が大きい。これは命に関わる深刻な問題だと思うのです。
虐殺否定論をなぜ許してはならないかというと、それは「地震が起きたら外国人が暴れ出すかもしれない」という発想と結びついているからです。
東京都のトップにいる人が「地震が起きたらマイノリティーが迫害されるのではないかと心配する」のか、「地震が起きたらマイノリティーが暴れ出すのではないかと警戒する」のかでは、その後に行政当局がとるべき行動のベクトルが真逆になるわけですよね。
関東大震災においては、警察とか治安を守るべき行政側が率先してデマを拡散させたという事実があります。彼らの発想は、後者だったからです。
もしも小池都知事が虐殺否定論者なのであれば、約100年前と同じことが繰り返される危険性があるわけです。
だから、これは絶対に看過できない問題なんです。

1923年と2019年、酷似するメディアの状況
──加藤さんが書かれてきた本のなかで私が印象的だったのはメディアの責任です。1919年の三・一独立運動の後、新聞は「不逞鮮人」といった言葉を盛んに用いて敵対心を煽っており、震災前の時点ですでに朝鮮人への蔑視と恐怖が植え付けられていたと書かれています。これは、ワイドショーなどで嫌韓報道がずっと垂れ流されている2019年の現状とそっくりだなと思いました。

加藤 本当にそこが関東大震災の虐殺から学ぶところだと思っていて。
表層的な理解だと、「地震が起きて人々がパニックになり、通常では騙されないような妄想に駆られてしまった」という突発的な事件であると捉えてしまうと思うんですね。でも、それは違う。
「流言が起きる仕組み」については社会学でもさまざまな研究がなされていますが、緊急時の流言であっても、そうした事態が起きる前にその社会で「信憑性がある」と考えられていることしか拡散していかないという研究があります。要するに、ふだんの偏見が増幅するだけなのです。

──震災前の状況から、起きるべきして起きてしまった惨劇だったわけですね。

加藤 放火にせよ、井戸の毒にせよ、別に朝鮮人ではなくてアメリカ人がやったという噂でもいいわけじゃないですか。しかし、そうはならなかった。実際、その当時には一瞬だけ、「社会主義者がやった」「大本教の信者がやった」といった流言も登場するんです。でも、それらはさほど広まらず、朝鮮人に関するデマだけがどんどん広がっていった。
つまり、みんな「朝鮮人ならやりかねない」と心の底では思っていたからということですね。そういった認識を世間に定着させるために当時のメディアが果たしてしまった役割は非常に大きい。
震災までに新聞は「不逞鮮人」といった言葉を用いて、朝鮮人に対して「テロを起こしかねない連中である」というイメージを書き立てていました。
たとえば、早稲田大学で独立を求めて活動する朝鮮人留学生が逮捕されたという事実があると、報道は「爆弾を用意していたらしい」という尾ひれをくっつけて膨らませる。そういうことを繰り返していた。当時の新聞記事にはそういうものがたくさんあります。
そういう記事を通じて、「朝鮮人というのは日本人を憎んでいて、なにをしでかすかわからない連中だ」という印象がつくられていった。それが、関東大震災という緊急時に流言となって噴き出すわけです。

──聞けば聞くほど、いまと同じ状況に思えてきます。

加藤 テレビのワイドショーなんて韓国バッシングのネタばかりですし、夕刊フジなんか毎日毎日、韓国の話をしてますからね。異様です。いったいどこの国の新聞なんだって感じですよね。

 

『九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響』(ころから)
新大久保に育って
──加藤さんは大久保で生まれ育ったんですよね。昔の大久保はどんな街だったんですか?

加藤 もともと大久保という街自体が多様なバックグラウンドをもつ街だったんですよ。
戦前は軍人を中心とした高級住宅街だったのが、戦後に軍が解体されてからは土地が安く売りに出されて、そこに全国から人が流れ込んできたんです。

──新大久保はそんな経緯でできた街だったんですね。

加藤 だから子どものころ、教室にはいろんな階層の子がいました。大久保通りの商店の子もいれば、国鉄の宿舎に住んでいる国鉄労働者の子どももいて、歌舞伎町で働いている水商売の人たちの子どももいる。バラバラなんです。
そういったなかに在日の子たちもいた。

──在日の子たちに周囲はどう接していたんですか?

加藤 単純ではないです。李くんや高さんがクラスの人気者だったりする一方で、急に差別的な言動が向けられることもある。また、日本名で暮らしている子について、ひそひそと「あいつ朝鮮人らしいよ」と言ったりする。いま思えば、大人が吹き込んでいるわけですよね。民族差別は、ふだんは見えないけど、突然、飛び出してくるものだと感じます。
こんなこともありました。ある日、町で酔っ払いの見知らぬおじさんに話しかけられ、何を言っているか分からないからうろたえていたら「お前朝鮮人だな!」とか言い出した。

──ひどい話ですね。

加藤 ただ、大久保には他の町にはない風通しのよさがあったのは確かです。それは、外に出てから思います。日本人と在日というだけでなく、住民がさまざまな次元で多様なんですよね。いろんな「よそ者」が流れ込んでつくった町なので、「元々の住民」と「よそ者」みたいな感じも薄い。「都会にはいろんなルーツを持った人がいるのが当然」という感覚は、大久保で身につけた気がします。

──21世紀に入り、その大久保でレイシストたちがデモを行うようになります。

加藤 2013年のある日、在特会(在日特権を許さない市民の会)が大久保通りでデモをしている映像をネットで見ました。そのなかでは、会長の桜井誠が「大久保を日本人の手に取り戻すぞ」なんてことを言っていた。
その瞬間に頭に血がのぼりました。桜井が「日本人」という言葉でなにをイメージしているかは知らないけれど、大久保が日本人だけの街であったことなんて、昔からなかった。もともと同じ出自の人が集まるような街ではないわけです。
それに、そもそも、こちらから見たら、あっちの方が「よそ者」ですよ。大久保の人間ではないんだから。
それにも関わらず、「朝鮮人は出ていけ。大久保を日本人の手に取り戻すぞ」なんて言っている。外から来て、なにを指図しているんだってことですよ。そういうことを、たとえば僕の同級生の親が経営していたパチンコ屋の前で叫んだりしているから、本当に頭が来た。
それが『九月、東京の路上で』を書くきっかけとなり、『TRICK』にもつながっていきます。

嫌韓ムード渦巻くなかで芽生えた「希望」
──ここ1年ほど、日本では嫌韓の空気が渦巻き、排外主義的なムードが強まっていると感じます。そんななかで希望はあるのでしょうか?

加藤 本当に、言葉を失うくらい酷い状況ですよね。しかし、そうした中でも、希望がないわけではないとも感じています。次の時代への芽が育っているというか。今年の8月、新宿のアルタ前で、韓国への輸出規制を宣言した安倍政権に抗議する集会がありました。ネットで呼びかけられたもので、いわゆる運動団体が主催したものではありませんでした。そのとき、私はたまたま近くを通りかかったんですけど、様子を見ていたら面白いことがありました。
主催者の若者がこう言っていたんです。「どうか日本の僕たちを諦めないでください」って。
これを聞いてハッとしたんです。というのも、これは明らかに、『金子文子と朴烈』(2019年日本公開)という韓国映画に出てくるセリフの転用なんですね。映画の中で、日本政府の弾圧を受ける朝鮮人活動家の朴烈に連帯する日本人の作家が語る「どうか日本の民衆の良心を諦めないでください」というセリフが元になっています。さらに、集会に参加している人が掲げるプラカードのひとつには「浩然の気」という言葉が書かれていました。これも『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』(2019年日本公開)という韓国映画に出てくる言葉です。南北朝鮮を背負う二人の男の友情をつなぐキーワードなんですね。
それで、ここに集まっている人たちの情熱の元が見えた気がしたんですよ。

──エンターテインメントが日韓の人々をつなげているわけですね。

加藤 彼らは韓国映画を通じて、韓国の社会や文化や生活に触れている。さらに言えば、韓国の人々の知性に触れている。だからこそ、日本政府のやり方に反発を覚えるし、日本のメディアが洪水のように発信しているレイシズム的な韓国敵視・蔑視のメッセージに違和感を抱いたんだと思うんです。
それはたぶん、歴史的な知識に裏打ちされているわけではないのかもしれないけれど、彼らは映画を通じて、韓国の社会や韓国の人たちが、日本のメディアが描き出すような浅はかで愚かな人々ではないことを感じ取り、尊敬すべき隣人だと思っている。だから、その隣人たちを侮辱する者たちに対する怒りが彼らを突き動かしたのではないかと思うんですよ。

──映画のみならず、音楽、ドラマ、文学、グルメ、ファッション、コスメなど、韓国カルチャーの人気はどんどん広がっています。

加藤 いわゆる「原爆Tシャツ」問題でBTSがバッシングに遭ったことがありましたよね。
あのとき、ツイッター上では「#ArmyAgainstRacism」というハッシュタグができたりして、日韓のBTSファンたちがネット上で連帯していました。
しかも、あのときは、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジアなど、世界中のファンも日本のネトウヨのバッシングに異を唱えた。つまりBTSの側はグローバルなカルチャーを背景にしているわけで、ドメスティックな視野でいまだに20世紀を生きているような日本のネトウヨ中高年オヤジが勝てるわけない。結局、BTSは、日韓の「被爆者」に謝罪するという、グローバルな水準での正義にかなった答えを選びました。原爆被害をナショナリズムやレイシズムの道具のように振り回した日本の極右勢力を相手にはしなかった。
こういう動きには、小さくとも、やっぱり希望を感じます。

──あの出来事は痛快でした。

加藤 あと、この5~6年でレイシズムを許さないという声が広がってきたことは重要です。
小池都知事が追悼文を出さないということがわかったとき、私はともかくこれをメディアに報じてもらわなければと思いました。それでつながりのある記者に連絡をして回ったんですけど、その一方で、暗澹たる気持ちでもありました。
というのも、そもそも、毎年、朝鮮人犠牲者の追悼式典をやっていること自体、知る人は少ないし、ましてや、そこに都知事が追悼文を送っていたことなんて知るわけがない。そういった状況下で、「追悼文送付取りやめ」というのがニュースのネタとしてどれくらいの価値があるかといったら、冷静に考えて厳しいと思ったんですね。
実際、ある記者には「それが報道する価値があることなのかどうか考えさせてくれ」と言われました。正直、「それが一般的な反応だよな」と思いました。

──不勉強ながら、私もあのときのニュースで式典や追悼文のことを初めて知りました。

加藤 そんななか、最初に取り上げたのが東京新聞だったんですけど、あとで記者に聞いたら、すごい反響だったんですって。
当時の小池都知事はまだ大人気だった頃ですけど、それにも関わらず、追悼文送付取りやめに関しては大きな批判にさらされました。

──排外主義に怒りを覚える人は確実に増えているとは、私も思います。

加藤 最近でいえば、小学館「週刊ポスト」の問題や、大坂なおみ選手への差別発言への抗議など、レイシズムに対してすぐに抗議する世論が広がりつつある。それは小さな動きではあるけれど、メディアをたじろがせるぐらいの力はもちつつあります。
もちろん、なんでこんなひどい言説がまかり通るのかと思うことは多いし、カメラを引いて世の中全体を見渡せば、むしろ酷い状況がますます深まっているのだけれど、一方で民族差別を許さないという空気も徐々に広がりってきていると感じます。

東京がもつ「多様性」は豊かさである
──『九月、東京の路上で』の「あとがき」にある<様々なアイデンティティーをもつ人々が行き交う東京が、私は好きだ。しかし、そうした多様性を豊かさへと育てていくには、努力が必要なのだと思う>という言葉は、私もその通りだと思いました。

加藤 社会に色々なルーツやバックグラウンドをもっている人がいるというのは、面白いし、豊かさだと思うんですよ。
ただ、多様な人が集まるということは、もうひとつ進んで考えると、矛盾や葛藤を抱えることでもある。社会的、歴史的、制度的な問題に向き合うことになる。でも、同じ社会を共に生きる者として、そうした問題を改善する方向で考えていきたいですよね。
そのためには、いろいろなルーツをもっている人がいるということを知ることが必要じゃないですか。違いが見えてはじめて、そこで生じている問題がわかるし、解決する方法も模索することができる。
そうでなければ、ただ多数派がマイノリティーを黙らせて問題をなかったことにするだけになってしまう。
人々にはさまざまなルーツがあり、違いがあるということが前提になっていなければ、豊かな社会をつくることができません。
だから、繰り返しになりますが、まずは、知ることからはじめなければいけないと思うんです。

(取材、構成:編集部)

慶應大で相次ぐ性被害 アメフト部の盗撮疑惑にミスコンの集団強姦とセクハラ

 慶応大学アメリカンフットボール部「慶應ユニコーンズ」は15日、無期限の活動自粛を発表した。

 公式サイトの発表によると、慶應大学側は<部内において複数の部員による著しく不適切な行為があったことが認められた>と説明。その上で“不適切な行為”については、<教育的観点およびプライバシー保護の観点から、詳細は公表いたしかねます>としていた。

 しかし16日、日刊スポーツは<慶大アメフト男子部員不祥事 女子部員の風呂を盗撮>との見出しで騒動を伝え、<関係者によると8月に夏合宿で男子部員複数が女性部員の風呂を盗撮した>と詳報した。

 似たような事件は2012年にもあった。早稲田大学アメリカンフットボール部「ビッグベアーズ」の合宿中に、部員50名が女性浴場を覗くなどして試合の出場停止処分を受けたのだ。慶應大と早稲田大のアメフト部はいずれも強豪チーム。言語道断の不適切行為であることは間違いない。

 慶應大学側が本件の詳細をアナウンスしないことについて、被害者のプライバシーに配慮しているのではないかと見る向きもあるが、慶應大に限ってそれはどうだろうか。慶應大では2016年にミスコンテストを中止しているが、その背景にあったミスコン運営団体の集団強姦事件についてはだんまりを決め込んでいた。

2016年のミスコン中止と集団強姦事件に「慶應大の闇」
 2016年10月4日、慶應大は同年の学園祭で予定されていた「ミス慶応コンテンスト2016」の中止を発表。慶應大側は理由について、ミスコンの運営母体「広告学研究会」で未成年飲酒が認められ、同団体に解散を命じたためとしていた。

 しかし10月13日発売の「週刊新潮」(新潮社)は、「広告学研究会」が9月に神奈川県葉山町で行った合宿において、当時未成年だった女子学生に対する集団強姦があったことを報道。女子学生は、男子学生6人からテキーラの飲酒を強要されたり、泥酔状態となったところで性的暴行を受けたりといった被害の実態を告発した。犯人たちは強姦の様子をスマートフォンで撮影までしていたという。朝日新聞夕刊が追随する形で、<男子学生数名が10代の女子学生に集団で性的暴行を加えた疑いがあるとして神奈川県警が捜査を進めている>と詳細を伝えた。

 慶應大側は女子学生から被害相談を受けていたことも明らかとなり、集団強姦事件の隠蔽疑惑も浮上した。「週刊新潮」発売の直前に慶應大は<「広告学研究会」の解散命令に関わる一部報道について>と題した告示文を発表、<報道されているような事件性を確認するには至りませんでした><一部報道されているような情報の「隠蔽」の意図も事実もありません>と疑惑を否定し、問題はあくまでも未成年飲酒、飲酒強要の危険行為などにあったとした。

 被害にあった女子学生は警察に被害届を提出。同年11月に慶應大学は男子学生6人のうち4人について3人を無期停学処分、1人をけん責処分とした。

セクハラ不祥事で「ミス慶應コンテスト2019」も中止に
 集団強姦事件を受けて一時中止となった慶應大のミスコンだが、翌2017年には有志団体の運営によって復活を遂げている。しかし2つの団体がそれぞれ開催しようとしていた今年度のミスコンのうち片方が、またもセクハラ不祥事の発覚をきっかけに開催中止が決定した。

 発端は、9月19日発売の「週刊文春」(文藝春秋)に寄せられた「ミス慶應コンテスト2019」のファイナリストの濱松明日香さんの友人による告発だった。濱松さんは運営員会のプロデューサーをつとめる40代男性A氏に食事に誘われ、その後行ったクラブのVIPルームで尻を触られる、キスをされそうになるなどのセクハラ行為を受けたという。

 同誌が運営団体に事実確認を求めると、ミスコンの運営委員長をつとめる慶應大2年の学生から「セクハラの事実はない」との抗議文が届き、濱松さんの直筆による「セクハラ行為は一切受けておりません」という陳述書が添えられていたそうだが、後に濱松さんは「陳述書は脅されて書かされた」と主張。運営団体によるセクハラ隠蔽が疑われていた。

 一連の騒動から、運営側は10月13日に「ミス慶應コンテスト2019」に中止を正式に発表。その理由について「候補者の過半数から辞退の意向を正式に頂いた」ためとしているが、この直後の16日に公開された文春オンラインの記事において、濱松さんは<セクハラ告発後、運営委員長と話し合うこともありましたが、先方からセクハラに対する謝罪はなく、それどころか、他のファイナリストに精神的な苦痛を与えたとして、私に謝罪しろというのです>と抗議している。

 塾生たちの逸脱した倫理観からくる不祥事が続く慶應大。大学側にも説明責任があるのではないだろうか。

台風の避難所生活でわかった「持っていけばよかったもの」 

 10月12日、台風19号が接近する関東は大雨で、各地の河川の水位が上昇。多摩川から比較的近いところに住む我が家は「避難勧告・指示」を受け、近所の小学校で一夜を明かしました。

 我が家の家族構成は、私・夫・長女(5歳)・次女(3歳)で、マンションの2階に住んでいます。夫は単身赴任中で、実際に避難したのは私と子どもたちの3人です。短い時間でしたが実際に避難生活を経験し、持って行ってよかったもの、必要だったものを紹介します。

濡れた靴を乾かす新聞紙や防寒着があると安心
 正直、はじめから避難を想定していたわけではありません。台風19号の接近は数日前から伝えられており、前日11日の段階で「明日は外に出てはいけない」という認識はあったのですが、避難する可能性についての認識は薄かったのです。

 むしろ暴風雨で外に出ては危険だろうと思い、万が一の停電や断水に備えることを念頭に置いて、とりあえず自宅内で食べるものと飲むものに困らないようにしておこうと、そんな考えでした。

 そして12日の午前10時頃、子どもたちがテレビを見ながらダラダラと朝食を食べ、一足先に朝食を終えた私が細々とした家事を片付けていた時に、iPhoneで「緊急速報」アラートが鳴りました。我が家は「浸水想定区域」として、警戒レベル4・避難勧告発令中の地域に該当していたのです。

 Yahoo!や自治体の災害情報を確認したところ、我が家から一番近い避難先は、自宅から徒歩2分足らず、長女が来年入学する小学校だということがわかりました。小学校に問い合わせると「現時点で450人ほど来ています。既に備蓄物資の交付は終わっているので、必要な毛布や食料はご家庭から持ってきてほしい」とのこと。

 正直焦りましたが、冷静にならねばと、一旦状況を整理しました。

 当該小学校は児童数700人余りであり、少なくともこの時点で避難しているのは地域住民の一部と考えられます。避難場所は徒歩5分と近いですが、外はすでに大雨強風で、こんな天候で未就学児2人を連れて出るのは気が重い……。

 しかし、家が浸水する可能性があり、避難勧告が出ている。迷いましたが、行くだけ行ってみようと決意し、iPhoneを充電しながら「とりあえず」の荷物をまとめました。

 以下は、私が持っていった荷物です。

・懐中電灯
・レジャーシート
・フェイスタオル×2
・ハンドタオル×1
・ポケットティッシュ×3
・ウエットティッシュ60枚入り×2
・歯磨きシート
・500mlのペットボトル2本(ポカリスエット)
・小さめ~中くらいのビニール袋×数枚
・お弁当(おにぎり、卵焼き、ウインナー、キウイフルーツ)
・お菓子(キットカット、ビスコ)
・マスク
・おむつ×3枚
・おもちゃ(ぬいぐるみ)
・長女の着替え(Tシャツ・ショートパンツ・ショーツ)
・次女の着替え(Tシャツ、レギンス、ショーツ)
・iPhone
・財布
・ヘアゴム
・リップクリーム
 運良く生理が終わったばかりだったので、生理用ナプキンは持っていきませんでした。長女には麦茶の入った水筒、次女には水の入った水筒を持ってもらいました。子どもたちには「台風だから家より安全な小学校に行ってみよう」と伝えました。

 避難時の服装は、私はTシャツ×デニムジーンズ×ウィンドブレーカー。子どもたちはパーカー×Tシャツ×レギンス×レインコート。私は傘を差しましたが、子どもたちはレインコートのフードのみ。靴は全員スニーカーです。長靴を履くと、水が中に入ってしまったときにかえって足を取られて危険だという情報があったためです。

 小学校までの道中が若干浸水(10cmの深さほどの水たまりが至る所にある)しており、靴はずぶ濡れになりました。避難所に到着したのは14時過ぎです。

 小学校内は土足可能。受付では代表者の氏名や避難した人数、住所を紙に書き、それから場所取りをしました。先に到着していた人たちは支給された毛布などを使ってスペースを確保していたようですが、我が家は持参したレジャーシートを教室の一角に敷いて確保しました。

 しばらくすると、同じ保育園を利用する親子とばったり会い、子どもたちを遊ばせながら情報交換や世間話をして時間を潰しました。

 それぞれが避難を決意した理由は「一軒家に住んでいるので一階の浸水が怖い」「子どもが小さいから早めに動いたほうがいいと思った」などでした。大人が2人以上いる家庭だと、まず全員で避難して、1人が足りない荷物を自宅に取りに戻る……なんてこともあったようです。

 夕方になるにつれ、避難者の人数はどんどん増えていたようで、単身で避難してきたと思われる人も何人かいました。夜になり、歯ブラシがなかったので、歯磨きシートで子どもの歯をふいてやりました。

 22時に消灯でしたが、教室内はまさに「雑魚寝」状態です。家族単位で避難した場合、自分の家族とはかなりの至近距離で(ほとんどくっついて)寝る必要があります。我が家はレジャーシートの上で、タオルやリュックやぬいぐるみを枕代わりにし、パーカーやウインドブレーカーを毛布代わりにしましたが、夜が深まるにつれてだんだん寒くなり、なかなか寝付けませんでした。

 深夜になって雨が止み、台風が過ぎ去ったと思われる時間になると、私たちの避難していた小学校では、帰宅していく人も少なくなかった印象です。しかし、我が家は子どもたちがすっかり寝てしまっていたので、帰宅するという人から備蓄物資の毛布を譲ってもらい、ようやく私も少しだけ寝ることができました。結局、朝5時頃に子どもたちを起こしてから自宅に戻り、およそ15時間ほどの避難生活が終了しました。

<持っていってよかったもの>
・レジャーシート(場所取りに便利)
・ウエットティッシュ(食事前や子どもの食べこぼしがあった時に便利)
・ティッシュ(鼻をかむ時などに必要)
・小さめ~中くらいのビニール袋(食事で出たゴミを入れる、汚れた衣類や靴下を入れるのに便利)
・歯磨きシート(歯磨き代わりとして使用)
・お弁当
・お菓子(甘いものを摂取すると落ち着く)
・ポカリスエット(水分補給に便利)
・ヘアブラシ
<持っていけばよかったと思うもの>
・新聞紙(移動で濡れたスニーカーの中を乾かすことができる)
・大きめのビニール袋(45リットルくらい。リュックやウィンドブレーカーなど大きめの濡れたものを干す場所がない時にまとめられる。また、タオル等を入れて枕代わりにもできる)
・替えの靴下(移動で濡れてしまった時など、替えがあると便利。また、夜は温度が下がるため足が冷える)
・ブランケットやバスタオル(夜は温度が下がる)
・ペットボトルの水(2リットルほどあれば安心)
・のど飴(咽喉が痛い時にあると便利)
・鎮痛剤
・ホッカイロ
・マスク
・モバイルバッテリー(今回は電気も通っており、空いているコンセントもありましたが、停電時のためにあると安心)
・ラジオ
・おもちゃ(子どもはぬいぐるみと絵本だけではすぐに飽きてしまう)
 我が家の場合、結局、自宅は浸水せず、避難しなくても命に別状はありませんでした。しかし、私自身は「避難してよかった」と心から感じています。なぜなら、避難したことによって、避難所の状況や必要なものが少なからずわかったからです。

 また、自宅に子どもと自分しかおらず、最終判断が自分だけに委ねられている環境は不安です。しかし、避難所には地域や防災の詳しい方がおり安心できたという点も大きいメリットでした。

台風の避難所生活でわかった「持っていけばよかったもの」 

 10月12日、台風19号が接近する関東は大雨で、各地の河川の水位が上昇。多摩川から比較的近いところに住む我が家は「避難勧告・指示」を受け、近所の小学校で一夜を明かしました。

 我が家の家族構成は、私・夫・長女(5歳)・次女(3歳)で、マンションの2階に住んでいます。夫は単身赴任中で、実際に避難したのは私と子どもたちの3人です。短い時間でしたが実際に避難生活を経験し、持って行ってよかったもの、必要だったものを紹介します。

濡れた靴を乾かす新聞紙や防寒着があると安心
 正直、はじめから避難を想定していたわけではありません。台風19号の接近は数日前から伝えられており、前日11日の段階で「明日は外に出てはいけない」という認識はあったのですが、避難する可能性についての認識は薄かったのです。

 むしろ暴風雨で外に出ては危険だろうと思い、万が一の停電や断水に備えることを念頭に置いて、とりあえず自宅内で食べるものと飲むものに困らないようにしておこうと、そんな考えでした。

 そして12日の午前10時頃、子どもたちがテレビを見ながらダラダラと朝食を食べ、一足先に朝食を終えた私が細々とした家事を片付けていた時に、iPhoneで「緊急速報」アラートが鳴りました。我が家は「浸水想定区域」として、警戒レベル4・避難勧告発令中の地域に該当していたのです。

 Yahoo!や自治体の災害情報を確認したところ、我が家から一番近い避難先は、自宅から徒歩2分足らず、長女が来年入学する小学校だということがわかりました。小学校に問い合わせると「現時点で450人ほど来ています。既に備蓄物資の交付は終わっているので、必要な毛布や食料はご家庭から持ってきてほしい」とのこと。

 正直焦りましたが、冷静にならねばと、一旦状況を整理しました。

 当該小学校は児童数700人余りであり、少なくともこの時点で避難しているのは地域住民の一部と考えられます。避難場所は徒歩5分と近いですが、外はすでに大雨強風で、こんな天候で未就学児2人を連れて出るのは気が重い……。

 しかし、家が浸水する可能性があり、避難勧告が出ている。迷いましたが、行くだけ行ってみようと決意し、iPhoneを充電しながら「とりあえず」の荷物をまとめました。

 以下は、私が持っていった荷物です。

・懐中電灯
・レジャーシート
・フェイスタオル×2
・ハンドタオル×1
・ポケットティッシュ×3
・ウエットティッシュ60枚入り×2
・歯磨きシート
・500mlのペットボトル2本(ポカリスエット)
・小さめ~中くらいのビニール袋×数枚
・お弁当(おにぎり、卵焼き、ウインナー、キウイフルーツ)
・お菓子(キットカット、ビスコ)
・マスク
・おむつ×3枚
・おもちゃ(ぬいぐるみ)
・長女の着替え(Tシャツ・ショートパンツ・ショーツ)
・次女の着替え(Tシャツ、レギンス、ショーツ)
・iPhone
・財布
・ヘアゴム
・リップクリーム
 運良く生理が終わったばかりだったので、生理用ナプキンは持っていきませんでした。長女には麦茶の入った水筒、次女には水の入った水筒を持ってもらいました。子どもたちには「台風だから家より安全な小学校に行ってみよう」と伝えました。

 避難時の服装は、私はTシャツ×デニムジーンズ×ウィンドブレーカー。子どもたちはパーカー×Tシャツ×レギンス×レインコート。私は傘を差しましたが、子どもたちはレインコートのフードのみ。靴は全員スニーカーです。長靴を履くと、水が中に入ってしまったときにかえって足を取られて危険だという情報があったためです。

 小学校までの道中が若干浸水(10cmの深さほどの水たまりが至る所にある)しており、靴はずぶ濡れになりました。避難所に到着したのは14時過ぎです。

 小学校内は土足可能。受付では代表者の氏名や避難した人数、住所を紙に書き、それから場所取りをしました。先に到着していた人たちは支給された毛布などを使ってスペースを確保していたようですが、我が家は持参したレジャーシートを教室の一角に敷いて確保しました。

 しばらくすると、同じ保育園を利用する親子とばったり会い、子どもたちを遊ばせながら情報交換や世間話をして時間を潰しました。

 それぞれが避難を決意した理由は「一軒家に住んでいるので一階の浸水が怖い」「子どもが小さいから早めに動いたほうがいいと思った」などでした。大人が2人以上いる家庭だと、まず全員で避難して、1人が足りない荷物を自宅に取りに戻る……なんてこともあったようです。

 夕方になるにつれ、避難者の人数はどんどん増えていたようで、単身で避難してきたと思われる人も何人かいました。夜になり、歯ブラシがなかったので、歯磨きシートで子どもの歯をふいてやりました。

 22時に消灯でしたが、教室内はまさに「雑魚寝」状態です。家族単位で避難した場合、自分の家族とはかなりの至近距離で(ほとんどくっついて)寝る必要があります。我が家はレジャーシートの上で、タオルやリュックやぬいぐるみを枕代わりにし、パーカーやウインドブレーカーを毛布代わりにしましたが、夜が深まるにつれてだんだん寒くなり、なかなか寝付けませんでした。

 深夜になって雨が止み、台風が過ぎ去ったと思われる時間になると、私たちの避難していた小学校では、帰宅していく人も少なくなかった印象です。しかし、我が家は子どもたちがすっかり寝てしまっていたので、帰宅するという人から備蓄物資の毛布を譲ってもらい、ようやく私も少しだけ寝ることができました。結局、朝5時頃に子どもたちを起こしてから自宅に戻り、およそ15時間ほどの避難生活が終了しました。

<持っていってよかったもの>
・レジャーシート(場所取りに便利)
・ウエットティッシュ(食事前や子どもの食べこぼしがあった時に便利)
・ティッシュ(鼻をかむ時などに必要)
・小さめ~中くらいのビニール袋(食事で出たゴミを入れる、汚れた衣類や靴下を入れるのに便利)
・歯磨きシート(歯磨き代わりとして使用)
・お弁当
・お菓子(甘いものを摂取すると落ち着く)
・ポカリスエット(水分補給に便利)
・ヘアブラシ
<持っていけばよかったと思うもの>
・新聞紙(移動で濡れたスニーカーの中を乾かすことができる)
・大きめのビニール袋(45リットルくらい。リュックやウィンドブレーカーなど大きめの濡れたものを干す場所がない時にまとめられる。また、タオル等を入れて枕代わりにもできる)
・替えの靴下(移動で濡れてしまった時など、替えがあると便利。また、夜は温度が下がるため足が冷える)
・ブランケットやバスタオル(夜は温度が下がる)
・ペットボトルの水(2リットルほどあれば安心)
・のど飴(咽喉が痛い時にあると便利)
・鎮痛剤
・ホッカイロ
・マスク
・モバイルバッテリー(今回は電気も通っており、空いているコンセントもありましたが、停電時のためにあると安心)
・ラジオ
・おもちゃ(子どもはぬいぐるみと絵本だけではすぐに飽きてしまう)
 我が家の場合、結局、自宅は浸水せず、避難しなくても命に別状はありませんでした。しかし、私自身は「避難してよかった」と心から感じています。なぜなら、避難したことによって、避難所の状況や必要なものが少なからずわかったからです。

 また、自宅に子どもと自分しかおらず、最終判断が自分だけに委ねられている環境は不安です。しかし、避難所には地域や防災の詳しい方がおり安心できたという点も大きいメリットでした。

退職代行業者は必要ない、会社を辞めるための分かりやすい手続き

 「退職代行業者」が注目を集めている。会社を辞めたいが引き止められる、あるいは妨害されて転職ができないなどのトラブルを避けるため、本人に代わって会社に退職の連絡をしてくれる業者だ。

 エン・ジャパン株式会社が20代~40代の女性を対象に実施した調査によると、退職時に経験した苦労やトラブルの最多は「会社・上司からの引き止め」(36%)だった。退職代行業者に一定のニーズがあるのも頷ける。

 しかし退職代行業者に依頼すれば平和に仕事を辞めることができるのかといえば、そうではないらしい。連合東京(日本労働組合総連合会東京都連合会)で書記長を務める今野衛氏が9月末、自身のツイッターに投稿した“告発”が大きな注目を集めた。

<埼玉で退職代行業者のトラブルが続いている。成功率100%と言って29000円をとるのに、会社が「退職を認めない」と言い張ると依頼者には知らぬ存ぜぬを決め込むらしい。最後には「連合の無料労働相談ダイヤルに相談して!」と言われるらしい。退職代行は非弁行為だから無理なんだよ!>

 埼玉で退職代行業者のトラブルが続いている。

 成功率100%と言って29000円をとるのに、会社が「退職を認めない」と言い張ると依頼者には知らぬ存ぜぬを決め込むらしい。

 最後には「連合の無料労働相談ダイヤルに相談して!」と言われるらしい。

退職代行は非弁行為だから無理なんだよ!

— Konno Mamoru@funkykong555) 2019年9月30日

 

 「成功率100%」を謳っているにもかかわらず、失敗しても責任を取らない。これでは何のための退職代行業者かわからない。今野氏に退職代行業者に関するトラブルについて話を伺った。

 

今野衛
連合ユニオン東京書記長。1993年4月に連合東京入局。労働者の相談活動に従事し団体交渉に這いずり回る。2001年12月連合に東京の個人でも加入できる連合ユニオン東京の書記長に就任。企業の追い出し部屋事件を数多く摘発し、労働移動支援助成金の不正受給問題も摘発した。

退職代行業者は弁護士ではないため何もできない
 今野氏の元には日々、労働にまつわるさまざまな相談が寄せられる。その中に、「退職代行業者を利用したのに離職できず、会社側から嫌がらせを受けるようになった」というものが増えているという。退職代行サービス業者の申し入れを会社側が受け入れず、当該社員に給与を支払わない、離職票や健康保険の資格喪失書類などを送らない、という嫌がらせに出るというのだ。

今野氏「退職を認めない会社側は、『本人が直接社長に退職届を提出することになっている』『仕事の引継ぎをしないと認めない』『労働者が損害を発生させたからその弁償問題を決着させろ』といった主張をします。これらの主張は会社側の無茶苦茶な言いがかりなのですが、会社側にこういったことを言われると退職代行業者はなす術がないのです」

 なぜなら、退職代行業者は弁護士ではないからだ。退職を認めない会社と交渉をすると、弁護士法72条『非弁活動』(弁護士以外の者が報酬を得る目的で法律事件を取り扱ってはならないと規定する法律)に違反してしまうのである。

今野氏「最近では、『退職代行業者が行っているサービスは非弁活動である』として、弁護士以外の退職代行の電話を断る会社も増えてきています。それはそうですよね。退職代行業者は『依頼者に退職方法をアドバイスすること』『退職意思をそのまま会社に伝えること』くらいしかできないのですから。つまり、これ以外の交渉は依頼者本人がやらなければならないのです。にもかかわらず、一件につき3~5万円という暴利をむさぼっているのが、退職代行業者の実態です」

 退職代行業者のホームページを見ると、『即日退職OK』『すべて丸投げOK』『退職成功率100%』と刺激的な言葉が並ぶ。そのため、依頼者は自分が何もしなくても退職代行業者がすべての対処をし、会社も必要書類を整えてくれるものと勘違いしてしまうが、実際にはそううまくはいかないのだ。

今野氏「会社側が退職を認めないと主張し、すべてを拒否すると、退職代行はなんら打つ手がないのです。宙ぶらりんにされた依頼者が退職代行業者に抗議して返金を求めても、『当社はやるべきことはすべてしましたので返金はしません』『あとは労働団体の無料相談に電話を』と無責任に放逐されてしまうことは珍しくありません」

退職代行業者に特別なノウハウはない
 連合東京では無料の労働相談ダイヤルを設けており、退職を認めない会社に関する相談を受けつけている。

 今野氏は『退職できずに困っている』という相談を受けた際、基本的には会社との無用なトラブルを避けるため、『引き継ぎ期間を確保してから有給消化期間に入ったほうが良い』とアドバイスしているという。

今野氏「これは社会人としての最低限のマナーではないかと思うのです。『自分で手続きを行うのが面倒くさい』『上司に指導されたことに納得いかなくて明日から会社に行きたくない』『自分は対人関係が苦手だから丸投げでお願いしたい』……そうした安易な考え方をしてしまう人がいることも事実です。労使紛争を抱える現場で運動をしている身からすると、当然会社側にも言い分はあり、テレビゲームをリセットするように簡単にはいきません」

 しかし、中には長時間残業を強いられ、パワハラ・セクハラを受け、精神疾患寸前の状況に追い込まれている人からの相談もある。退職を申し出ても『損害賠を償請求するぞ』と脅されるなど、困り果てている人もいる。

今野氏「そういったケースは引き継ぎ云々の次元ではないため、できるだけ早く退職できるようサポートしています。これは私たちの労働組合だけではなく、相談ダイヤルを設定している労働組合はどこでも同じアドバイスをしているはずです。東京都労働情報センターなどの行政機関でも同様です。

 ですから、退職代行業者がしている『依頼者に退職方法をアドバイスすること』は、特別なノウハウでもなんでもないのです。退職は正当な手続きを踏めば100%できますし、簡単なことなのです」

退職手続きの正式な手順・トラブル時の対処法
 では、退職の正当な手続きとはどういうものか。その正式な手順を伺った。

1.退職届を提出
1カ月前に退職を申し出ることと就業規則で定めている会社も多いが、民法627条1項において、退職の2週間前までに会社に対して退職することを伝えれば良いことになっている。
就業規則よりも民法が優先されるため、2週間前に退職を申し出れば退職できる。もちろんこの2週間のすべてを有給休暇にあてることもできる。
2.有給休暇取得申請書を提出
今野氏は、有給休暇を完全取得したのちに退職することを勧める。
3.残業代金の未払い分があればその請求書も提出
残業代金は2年間に遡り請求できる。ただし、タイムレコーダーの記録やパソコンのログ記録など、就労していたことが分かる証拠が必要。エクセル表などに毎日の残業時間と請求金額を計算し、根拠を添えて会社に請求する。
4.健康保険証や会社貸与器物の返却
今野氏曰く、「正当な退職手続きをとったとしても嫌がらせをしてくる会社は少なくないです。そのケースでの対処法もご紹介します」。

 会社側がそれでも退職を認めず嫌がらせをしてくる場合の対処法もある。

・給料や退職金、残業代金を支払ってこない場合
会社が給料や退職金を支払わない場合、まずは会社に請求書を出す。こちらの指定期日までに支払わない場合は、労働基準監督署に未払いで労働基準法違反の違反を申告する。労働基準監督署はすぐに対応してくれる。
・離職票の発行手続きをしてくれない場合
会社が離職票の発行手続きをしてくれない場合は、ハローワークに相談すると良い。ハローワークから会社に指導をする。
・健康保険資格喪失証明書、源泉徴収票、雇用保険被保険者証
会社がこういった書類を発行してくれない場合も、所管官庁に申し出ればすぐに対応してくれる。
どうしても自分で退職できない場合は弁護士に相談を
 退職代行業者は非弁活動になることを回避するため、労働組合を設立したが、今野氏はこの労働組合は認められるものではないと指摘する。

今野氏「労働組合法2条では『労働組合とは、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善、その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう』と規定しています。退職代行だけを行う会社からなる労働組合が、労働組合として認められるとは思えないのです。

 会社側に立つ弁護士も同じように捉えている人が多く、退職代行会社の労働組合から団体交渉の申し入れがあっても、会社は『労働組合としては認められない』として団体交渉拒否をすることも考えられます。この場合、またもや依頼者は宙ぶらりんの状態に置かれます」

 会社に団体交渉を拒否された場合、東京都労働委員会へ不当労働行為の救済申し立てをすることになる。申立書を作成するにも手間がかかり、不当労働行為の審査には長い時間がかかる。今野氏は「退職代行業者にそんなスキルはない。結局、すぐに退職したい依頼者を待たせることになってしまう」と懸念する。

今野氏「退職行為は基本的に、退職したい人自身が自分で行うものと考えます。それでもどうしてもそれができない状況の人がいるのも事実です。その場合は業者ではなく、退職代行を請け負っている弁護士にお願いすべきでしょう」

■連合東京の相談ダイヤル:0120-154-052

http://www.rengo-tokyo.gr.jp/html/faq/

退職代行業者は必要ない、会社を辞めるための分かりやすい手続き

 「退職代行業者」が注目を集めている。会社を辞めたいが引き止められる、あるいは妨害されて転職ができないなどのトラブルを避けるため、本人に代わって会社に退職の連絡をしてくれる業者だ。

 エン・ジャパン株式会社が20代~40代の女性を対象に実施した調査によると、退職時に経験した苦労やトラブルの最多は「会社・上司からの引き止め」(36%)だった。退職代行業者に一定のニーズがあるのも頷ける。

 しかし退職代行業者に依頼すれば平和に仕事を辞めることができるのかといえば、そうではないらしい。連合東京(日本労働組合総連合会東京都連合会)で書記長を務める今野衛氏が9月末、自身のツイッターに投稿した“告発”が大きな注目を集めた。

<埼玉で退職代行業者のトラブルが続いている。成功率100%と言って29000円をとるのに、会社が「退職を認めない」と言い張ると依頼者には知らぬ存ぜぬを決め込むらしい。最後には「連合の無料労働相談ダイヤルに相談して!」と言われるらしい。退職代行は非弁行為だから無理なんだよ!>

 埼玉で退職代行業者のトラブルが続いている。

 成功率100%と言って29000円をとるのに、会社が「退職を認めない」と言い張ると依頼者には知らぬ存ぜぬを決め込むらしい。

 最後には「連合の無料労働相談ダイヤルに相談して!」と言われるらしい。

退職代行は非弁行為だから無理なんだよ!

— Konno Mamoru@funkykong555) 2019年9月30日

 

 「成功率100%」を謳っているにもかかわらず、失敗しても責任を取らない。これでは何のための退職代行業者かわからない。今野氏に退職代行業者に関するトラブルについて話を伺った。

 

今野衛
連合ユニオン東京書記長。1993年4月に連合東京入局。労働者の相談活動に従事し団体交渉に這いずり回る。2001年12月連合に東京の個人でも加入できる連合ユニオン東京の書記長に就任。企業の追い出し部屋事件を数多く摘発し、労働移動支援助成金の不正受給問題も摘発した。

退職代行業者は弁護士ではないため何もできない
 今野氏の元には日々、労働にまつわるさまざまな相談が寄せられる。その中に、「退職代行業者を利用したのに離職できず、会社側から嫌がらせを受けるようになった」というものが増えているという。退職代行サービス業者の申し入れを会社側が受け入れず、当該社員に給与を支払わない、離職票や健康保険の資格喪失書類などを送らない、という嫌がらせに出るというのだ。

今野氏「退職を認めない会社側は、『本人が直接社長に退職届を提出することになっている』『仕事の引継ぎをしないと認めない』『労働者が損害を発生させたからその弁償問題を決着させろ』といった主張をします。これらの主張は会社側の無茶苦茶な言いがかりなのですが、会社側にこういったことを言われると退職代行業者はなす術がないのです」

 なぜなら、退職代行業者は弁護士ではないからだ。退職を認めない会社と交渉をすると、弁護士法72条『非弁活動』(弁護士以外の者が報酬を得る目的で法律事件を取り扱ってはならないと規定する法律)に違反してしまうのである。

今野氏「最近では、『退職代行業者が行っているサービスは非弁活動である』として、弁護士以外の退職代行の電話を断る会社も増えてきています。それはそうですよね。退職代行業者は『依頼者に退職方法をアドバイスすること』『退職意思をそのまま会社に伝えること』くらいしかできないのですから。つまり、これ以外の交渉は依頼者本人がやらなければならないのです。にもかかわらず、一件につき3~5万円という暴利をむさぼっているのが、退職代行業者の実態です」

 退職代行業者のホームページを見ると、『即日退職OK』『すべて丸投げOK』『退職成功率100%』と刺激的な言葉が並ぶ。そのため、依頼者は自分が何もしなくても退職代行業者がすべての対処をし、会社も必要書類を整えてくれるものと勘違いしてしまうが、実際にはそううまくはいかないのだ。

今野氏「会社側が退職を認めないと主張し、すべてを拒否すると、退職代行はなんら打つ手がないのです。宙ぶらりんにされた依頼者が退職代行業者に抗議して返金を求めても、『当社はやるべきことはすべてしましたので返金はしません』『あとは労働団体の無料相談に電話を』と無責任に放逐されてしまうことは珍しくありません」

退職代行業者に特別なノウハウはない
 連合東京では無料の労働相談ダイヤルを設けており、退職を認めない会社に関する相談を受けつけている。

 今野氏は『退職できずに困っている』という相談を受けた際、基本的には会社との無用なトラブルを避けるため、『引き継ぎ期間を確保してから有給消化期間に入ったほうが良い』とアドバイスしているという。

今野氏「これは社会人としての最低限のマナーではないかと思うのです。『自分で手続きを行うのが面倒くさい』『上司に指導されたことに納得いかなくて明日から会社に行きたくない』『自分は対人関係が苦手だから丸投げでお願いしたい』……そうした安易な考え方をしてしまう人がいることも事実です。労使紛争を抱える現場で運動をしている身からすると、当然会社側にも言い分はあり、テレビゲームをリセットするように簡単にはいきません」

 しかし、中には長時間残業を強いられ、パワハラ・セクハラを受け、精神疾患寸前の状況に追い込まれている人からの相談もある。退職を申し出ても『損害賠を償請求するぞ』と脅されるなど、困り果てている人もいる。

今野氏「そういったケースは引き継ぎ云々の次元ではないため、できるだけ早く退職できるようサポートしています。これは私たちの労働組合だけではなく、相談ダイヤルを設定している労働組合はどこでも同じアドバイスをしているはずです。東京都労働情報センターなどの行政機関でも同様です。

 ですから、退職代行業者がしている『依頼者に退職方法をアドバイスすること』は、特別なノウハウでもなんでもないのです。退職は正当な手続きを踏めば100%できますし、簡単なことなのです」

退職手続きの正式な手順・トラブル時の対処法
 では、退職の正当な手続きとはどういうものか。その正式な手順を伺った。

1.退職届を提出
1カ月前に退職を申し出ることと就業規則で定めている会社も多いが、民法627条1項において、退職の2週間前までに会社に対して退職することを伝えれば良いことになっている。
就業規則よりも民法が優先されるため、2週間前に退職を申し出れば退職できる。もちろんこの2週間のすべてを有給休暇にあてることもできる。
2.有給休暇取得申請書を提出
今野氏は、有給休暇を完全取得したのちに退職することを勧める。
3.残業代金の未払い分があればその請求書も提出
残業代金は2年間に遡り請求できる。ただし、タイムレコーダーの記録やパソコンのログ記録など、就労していたことが分かる証拠が必要。エクセル表などに毎日の残業時間と請求金額を計算し、根拠を添えて会社に請求する。
4.健康保険証や会社貸与器物の返却
今野氏曰く、「正当な退職手続きをとったとしても嫌がらせをしてくる会社は少なくないです。そのケースでの対処法もご紹介します」。

 会社側がそれでも退職を認めず嫌がらせをしてくる場合の対処法もある。

・給料や退職金、残業代金を支払ってこない場合
会社が給料や退職金を支払わない場合、まずは会社に請求書を出す。こちらの指定期日までに支払わない場合は、労働基準監督署に未払いで労働基準法違反の違反を申告する。労働基準監督署はすぐに対応してくれる。
・離職票の発行手続きをしてくれない場合
会社が離職票の発行手続きをしてくれない場合は、ハローワークに相談すると良い。ハローワークから会社に指導をする。
・健康保険資格喪失証明書、源泉徴収票、雇用保険被保険者証
会社がこういった書類を発行してくれない場合も、所管官庁に申し出ればすぐに対応してくれる。
どうしても自分で退職できない場合は弁護士に相談を
 退職代行業者は非弁活動になることを回避するため、労働組合を設立したが、今野氏はこの労働組合は認められるものではないと指摘する。

今野氏「労働組合法2条では『労働組合とは、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善、その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう』と規定しています。退職代行だけを行う会社からなる労働組合が、労働組合として認められるとは思えないのです。

 会社側に立つ弁護士も同じように捉えている人が多く、退職代行会社の労働組合から団体交渉の申し入れがあっても、会社は『労働組合としては認められない』として団体交渉拒否をすることも考えられます。この場合、またもや依頼者は宙ぶらりんの状態に置かれます」

 会社に団体交渉を拒否された場合、東京都労働委員会へ不当労働行為の救済申し立てをすることになる。申立書を作成するにも手間がかかり、不当労働行為の審査には長い時間がかかる。今野氏は「退職代行業者にそんなスキルはない。結局、すぐに退職したい依頼者を待たせることになってしまう」と懸念する。

今野氏「退職行為は基本的に、退職したい人自身が自分で行うものと考えます。それでもどうしてもそれができない状況の人がいるのも事実です。その場合は業者ではなく、退職代行を請け負っている弁護士にお願いすべきでしょう」

■連合東京の相談ダイヤル:0120-154-052

http://www.rengo-tokyo.gr.jp/html/faq/

「流産しろ」の暴言、ネット掲示板「ママスタ」の書き込み主を特定した川崎希

 芸能人は、その一挙手一投足について謂れなき批判を浴びがちだ。まだネットの発達していなかった時代は週刊誌やワイドショーに追われてあることないこと書き立てられたというが、現代ではネット上のデマや誹謗中傷も多い。

 10月4日夜、元AKB48で実業家の川崎希が自身のブログを更新し、ネットでの嫌がらせ書き込みとその対応について明かした。家族まで槍玉に挙げての誹謗中傷を放置することなく、SNSのなかでも特に批判的な内容が書き込まれていたという「ママスタジアム」上の書き込みに絞り、書き込み主を特定したという。

 「ご報告」と題されたその記事にはこうある。

<以前からずっと私やアレク、家族に対しての嫌がらせの書き込みをする人たちがいて 書き込みもエスカレートして家族の安全を脅かすような内容もあって所属事務所の弁護士さんにお願いをしてどのような人が書いているのか発信者開示請求をしていました。
そして今回、東京地方裁判所で発信者情報開示請求の申し立てが認められて 今まで誹謗中傷やプライバシー侵害をしてきた人たちの名前と住所が全て開示されました>

<特に嫌がらせの書き込みが凄まじい数あった
ママスタジアムという匿名の掲示板での書き込みのものを開示請求しました>
<所属事務所と弁護士さんと誹謗中傷してた方々を これからどのように対応していくかまた引き継ぎ話し合い手続きを進めていこうと思います>

 発信者情報開示請求は、ネット上の誹謗中傷書き込みを行なった人物に対して民事訴訟を行う場合、まず行う手続きだ。これにより、書き込みを行なっている人物がどのプロバイダを利用しているかを特定し、さらにプロバイダに対し、その人物の個人情報を開示するよう請求する。ブログ記事の内容から、川崎はこの発信者情報開示請求を行い、書き込み主の個人情報の開示を受けたと思われる。

 今後相手方にどんな対応を行うかは検討中であるというが、発信者情報開示請求が認められたことを公にするだけでも、当該書き込み主以外の人物による誹謗中傷書き込みの抑止力になりうるだろう。同日に夫のアレクサンダーも同じ趣旨の記事をアップしたが、川崎は8日も、この報告を受けての記事をブログにアップ。「ありがとうございます」と題された記事で、これまでの嫌がらせ書き込みについてその詳細を明かした。

<私は3年くらい前から
レストランやお店など行った場所ほぼ全てにやってもいないことでのクレームの連絡を入れられたり
(無銭飲食してたとか窃盗してたとか)
妊娠を発表してからは妊娠してると嘘つくなというメッセージや流産しろなど知らない人たちから毎日メッセージが届いていました。(略)
匿名の掲示板でみんなで自宅に着払いで荷物を送ろうと呼びかけられたり
海外にいる間は放火するチャンスと言われたりしてこわい思いもたくさんありました。
匿名だからだれが書いたのだろうと不安で道を歩くともしかしたら近くにいるかもしれないなど
常に匿名の誰かに嫌がらせをされることが気味が悪くこれは有名税とかそういう言葉で済ませることは出来ないと思って
所属事務所の方と相談をして発信者情報開示請求をすることになりました。>

 妊娠中に「流産しろ」というメッセージを送られたほか、行ったことのある飲食店にクレームの連絡を入れられたりするなどの実害も生じていたという。

<いまはネットでだれでも簡単に書くことが出来るから匿名と思うと過激な内容を書く人もいるかもしれませんが書かれた方はネットだからしょうがないとは思わず人だから必ず嫌な思いはするし傷付きます。
 匿名やアカウント名しかわからないから諦めるではなく書かれた方もそれなりの対応が出来る書き込みをした人の住所や名前を知ることのできる発信者情報開示請求がもっと知られるとこのような嫌がらせを安易にする人が減ると思うので
番組でも取り上げていただいてありがとうございました。そしてネットでの書き込みなどに悩む人がいなくなるようなモラルのあるネットの使い方が浸透していくようになりますように>

 川崎の行動は、同じように誹謗中傷書き込みや、それを真に受けた者たちからの心無いメッセージや妨害行動に悩まされている他の芸能人にとっても、勇気を与えるものとなるだろう。ネット上の中傷書き込みは、言いっ放しで責任が生じないと勘違いしているユーザーもいるのかもしれないが、それは思い違いである。

ママスタに書き込まれるありえない罵詈雑言
 現在もママスタには川崎希(とアレク)のスレッドがあり、ユーザーの書き込みが続いている。しかし今回のブログでの報告を受け、いつものような荒ぶりは影を潜め、常連と思しきユーザーらが「いつ内容証明が届くのか」と戦々恐々とする様子が見られる。

 川崎&アレクスレは現時点で落ち着きを見せているものの、他の芸能人のスレッドでは、“通常営業”状態。例えばあびる優のスレッドでは「☓☓(娘の名前)の唇アップ気持ち悪いな。乾いたナメクジみたい。おえっ」と娘の写真をアップして誹謗する書き込みや「あびる、☓☓のこと叩きまくってそう。ヒステリックな声で怒りまくってそう。☓☓も負けじとわめきちらし、暴れまくって阿鼻叫喚。」など、完全な憶測にもかかわらずイメージダウンを招くような酷い書き込みも見られ、地獄の様相が続いている。

 芸能人は人間であり、有名であるからといって一般人が何を言っても許されるというわけではない。川崎の行動で、彼女が望むように、モラルのあるネットの使い方が浸透していくことを願う。

 また、当のママスタジアムはあらゆる掲示板の中で最も誹謗中傷が集まる場所といってもよい。これを放置してきた運営会社、株式会社インタースペースも、今後は何かしらのガイドラインを設け、こうした書き込みを放置しない動きを見せてほしい。

(鼻咲ゆうみ)

養育費を払わない親から取り立て、兵庫県明石市の新条例とは

 母子家庭の貧困は深刻な社会問題だ。平成28年度「全国ひとり親世帯等調査結果」によると、母子世帯の母自身の平均年収は243万円(うち就労収入は200万円)と極めて低い。

 貧困要因のひとつに、“養育費の未払い”がある。同調査によると、母子世帯のうち、養育費の取り決めをしているのは42.9%だが、現在も養育費を受け取っているのは24.3%。およそ4人に1人しか養育費を受け取れていない。

 そこで兵庫県明石市は今月8日、養育費を支払う義務がありながら正当な理由なく不払いを続けている元夫や妻に対して、悪質なケースには過料を科す新条例を来月4月の施行を目指すと発表した。養育費不払いへの過料は全国初の試みだ。

 「過料」とは、地方自治体の条例で定めることのできる行政罰であり、今回の条例では上限を5万円とし、養育費と同じ額とする。簡単に言えば、養育費を払わない悪質な親から罰金5万円を徴収する、ということになる。

 たとえば離婚した元夫婦のAさんとBさんがいて、Aさんが子どもを引き取り育てているとしよう。Bさんが子どもの養育費を払う義務を負うにもかかわらず支払わず、「悪質なケース」と判断された場合、Bさんには「過料」が科される。

 Bさんに「過料」が科されると同時に、子どもを育てるAさんには、市から過料と同額の「養育支援金」が給付される。つまり実質、養育費がひとり親家庭に入るという仕組みだ。

 明石市は過料の他にも、正当な理由なく養育費を支払わない場合について、給料差し押さえや天引き、行政サービスの一部制限、氏名公表などを条例に盛り込むことを検討しているという。とくに「氏名公表」については異例の処置であり、泉房穂市長が発表するなり賛否両論を集めた。

 この反響を明石市役所はどう受け止めているのだろうか。新条例発表の経緯や疑問点について、明石市役所の担当者に問い合わせた。

――養育費不払いに対しての過料は全国初の試みです。どういう経緯で実施の運びになったのでしょうか?

明石市担当者:養育費という家庭の個人的なお金の徴収を市が後押しするということについては、いろいろご意見もあると思います。ただ、養育費というのはあくまで子どもが健やかに成長する上で必要なお金です。

子どもは自分でお金を稼ぐことができないので、生活するためには、親がお金を出すしかありません。そのため、親が生活に必要なお金を出せない場合、「経済的虐待」という見方もできます。

現実問題、親の貧困により困っている子どもがいる中、行政は養育費不払いの対応をひとり親の方のみに負わすのではなく、「子どもの生活支援」として積極的に関わっていく必要があるというのが、出発点です。

――泉房穂市長が不払い者氏名の公表も検討すると発表し大きな話題となりましたが、どのようなケースで氏名公表の可能性があるのでしょうか?

明石市担当者:まだ検討段階ではありますが、受け取り側から不払いの申し出があった際にはまず、支払い状況を調査し、支払勧告の通知を送るなど段階を踏んでいきます。「過料」や「氏名公表」は、それでも養育費が支払われなかった場合の措置であり、とりわけ「氏名公表」は、最後の最後の手段だと想定しています。過料だけで養育費を徴収できれば、氏名公表までは必要ないという判断になる可能性もあります。

また、たとえば支払い義務者が、病気で仕事ができない、失業でお金がないなど、払うに払えないという状況であれば、氏名公表をしても意味がありません。そういった方には逆に、就労支援や生活保護などの支援を紹介することも考えられます。

――ケースごとに包括的な支援が必要になってくるのですね。過料や氏名公表といった手段については、リスクを懸念する声も出ています。たとえば、「子ども自身が傷つくのではないか」「支払義務者が失職して収入を失ったり、あるいは逆恨みが起きるのではないか」などです。その点はどのようにお考えでしょうか?

明石市担当者:市にもそういった意見は届いています。市でも、過料や氏名公表を検討案として挙げる段階で、そうしたリスクは想定しており、慎重に対応すべきだと考えています。お子さん自身に意見を聞いて、お子さんの同意がないと氏名公表はできないという要件を設ける案も出ています。

しかし、現行制度でも養育費の「強制執行」をすることはできます。養育費の取り決めとして公正証書や家庭裁判所の調停調書などの債務名義があり、相手の勤務先や銀行口座がわかっている場合に、給与や口座を差し押さえて、不払いの養育費を回収するわけですが、この強制執行にも、相手から逆恨みされるリスクは同じようにあると思います。

もちろん「氏名公表」の場合、恨まれる度合いがより強くなる可能性もあります。公表された本人だけでなくその親族などから恨まれることもあるかもしれませんので、慎重に検討すべきだと思っています。

――離婚の際に養育費の支払いについて取り決めがされていないと新条例の対象にはならないということですが、DV被害などで養育費について話し合いが難しい家庭もありますよね。

明石市担当者:離婚前の段階からDV被害者を支援する部署も設けていますが、DVによる離婚で、DV加害者でもある配偶者と養育費の取り決めをさせることはなかなか難しいという現状もあります。DV被害に遭い離婚して子どもを養育されている方の中には、「相手ともう関わりたくない」とおっしゃられる方も多く、市が積極的に立ち入って「養育費の金額を決めたほうがいいですよ」とまでは言えません。そこは、地方自治体の限界なのかもしれません。

 明石市では、昨年11月から今回の新条例とは別に「明石市養育費立替パイロット事業」を試行実施している。明石市が業務委託した保証会社とひとり親が養育費の保証契約を締結し、取り決められた養育費が支払われなかった場合、保証会社がひとり親家庭に養育費を立替払いし、養育費の支払い義務者に立替分を請求するというシステムだ。契約時に必要な保証料5万円も市が負担しており、これまで、3名に対し計8回の立替が実施されている。

――新条例の施行後は、養育費立替事業も継続させるのでしょうか?

明石市担当者:「明石市養育費立替パイロット事業」はまだ試行実施期間中ですが、今後も継続する方向で考えています。ただ、民間の保証会社も関わっているので、そちらとも話し合いながら検討する必要があります。

新条例の施行もまだ正式に決まったわけではなく、10月11日に有識者を招いて検討会を行う予定です。検討会ではこの立替事業を制度化するのか、どこに位置付けるかという話し合いも行います。

ただ、本来であれば「きちんと払うべき人が払う方法」にすることが理想的です。立替事業では、保証会社が替わりに支払った分を義務者に請求することになり、お金は払うべき人から回ってくるのですが、迂遠で市に保証料5万円がかかってきますので、慎重に話し合いを進める予定です。

――市の財政をみながらということですね。

明石市担当者:そうです。養育費に関する制度は本来国がもっと本格的に動くことが望ましく、また、裁判所も調停などで養育費の取り決めに関わったのであれば、支払いについても積極的に対応してもらいたいところです。今回の明石市の動きが広がって、国単位で新しい制度や事業が整っていくことを期待しています。

ただ、子どもたちの貧困の切迫感というのは、自治体だからこそ感じる部分があるので、明石市では養育費不払いにしっかりと対応していく姿勢でいます。

天海祐希が演じる「かっこいい女性」はなぜ説得力があるのか 

 元宝塚のトップスターであり、弁護士や医者、刑事など数々の「かっこいい女性」を演じてきた天海祐希だが、役だけでなく、彼女自身の人間性も「これ以上ないほどかっこいい」と評判だ。

 10月8日に行われた映画『最高の人生の見つけ方』の公開直前イベントで、感極まって涙するファンに天海がかけた言葉が話題となっている。

「私を応援する気持ちと同じくらい自分を応援してくださいね」
 天海祐希はW主演を務めた吉永小百合とともに公開直前イベントに登壇。当日はイベント参加者から出演者への質問タイムもあり、大いに盛り上がったようだ。

 質問タイムでは、天海の大ファンという女性が感極まり「今もずっと好きで、今日初めて会ってめっちゃ嬉しいです」と涙ながらに話した。

 すると天海は、「私を応援する気持ちと同じくらい自分を応援してくださいね。それできっとあなたの人生も素晴らしいことに……泣かない! ね! 頑張って、素敵な毎日にしましょう」とエールを送った。

 この模様がワイドショーやネットニュースで拡散され、「かっこいい!」「名言!」「刺さる!」「最高」「天海さん大好きになった」と大きな反響を呼んでいる。

「男は裏切るけど筋肉は裏切らないよ!」
 現在52歳の天海祐希だが、スリムなプロポーションを保ち続けている。それもそのはず、天海の趣味は筋トレだという。

 天海はバラエティ番組で筋トレについてよく語っている。たとえば昨年10月、『マルコポロリ!』(関西テレビ系)にゲスト出演した天海は「夜中でもお腹が空いたら食べます」と、やせ我慢はしないと宣言。

 体重が気にならないのかと問われると、「食べたら動けってことです」「もう、婚活より筋活」だと主張。さらに、「お姉さん婚活なんて! 筋肉筋肉。筋肉があなたを救う! 男は裏切るけど筋肉は裏切らないよ!」と視聴者に呼びかけてみせたのだった。

「結婚には興味がない」
 「婚活より筋活」という冗談より以前から、天海は結婚願望がないことも度々語っている。

 2016年4月に放送された『ヨロシクご検討ください』(日本テレビ系)に天海がゲスト出演した際、坂上忍は「女優女優してないの。なんていい人なんだろうと思って」と天海の第一印象について語り、さらに「こういう人をお嫁さんにしたら絶対幸せな旦那さんになれるなと思ったら、まだ独身なんだよね」と切り出した。

 すると天海は「多分(結婚は)しない。興味がないんですよね」「お家に人がいるのが嫌なんです」と、濁さずはっきり回答した。

 「女性が結婚や出産を望まないはずがない」という見方はいまだに根強いようで、2016年9月、モントリオール世界映画祭での映画『恐妻家宮本』の舞台挨拶後にも天海はマスコミに結婚について聞かれた。このときも「する気はありません。予定もありません。相手もおりません!」と即答している。

 2017年11月放送の『日曜もアメトーークSP』(テレビ朝日系)に出演した際も、「家に人がいることが嫌」と語り、「一人がいい!」を連呼していた。

 天海祐希の演じる「かっこいい女性」に説得力があるのは、バラエティ番組などで見せる素顔からも一本筋の通った人間性が垣間見えるからなのだろう。そして彼女自身、誰かを愛し応援するように自分を応援し、素敵な毎日を過ごそうと意識しているのかもしれない。

神戸の教師暴行事件、「女帝」「ティーチャーカースト」職員室の異常が次々浮き彫りに

 神戸市立東須磨小で30~40代教師4人が20代の教師3人に暴言や暴行を働いていたことが明らかになった事件で、9日、東須磨小の仁王美貴校長と市教育委員会の幹部らが記者会見を開いた。

 仁王校長は、7月初旬に被害教師からハラスメントの訴えを受けており、問題を把握していたが、市教委には詳細を報告していなかったという。隠蔽の意図はなかったとしたうえで、「私のハラスメント行為への認識が甘かった」と釈明した。仁王校長は昨春から同校に赴任し、今春から校長をつとめていた。

 まだ調査は継続中であるが、学校側は「行為の重大性から委員会とも相談の上4名を公務から外し、今後一切、東須磨の子どもの前での指導を行わせない」との処分を発表。同校では7日から新たな教員を迎えて新体制を敷いていることを説明し、謝罪を繰り返した。

 加害者側の教師4人は、被害教師に対して「バカ」「アホ」などの暴言を浴びせる、コピー用紙の芯で尻がミミズ腫れになるまで叩く、羽交い締めにして激辛カレーを無理やり食べさせたり目にこすりつけたりなどの暴行を繰り返していたことが発覚している。

 カレーを無理やり食べさせる様子の動画も撮影されており、そこには被害者の男性教師が「ごめんなさい。辛いのは好きじゃないんです」と訴え、悲鳴を上げる中で、加害者側の教員たちが手を叩いて笑うなどのシーンが収められていた。被害を受けた男性教師は、9月から療養しているという。

 この動画や写真は事件を伝えるテレビニュースなどでも放送。ネットではすでに加害に加担した教師4人が“特定”されており、個人情報や顔写真が流出・拡散して炎上騒動に発展している。加害教師4人は自宅謹慎処分を受けているが、有給休暇扱いであることもバッシングの一因となっている。

“女帝”による“ティーチャーカースト”が原因?
 驚くのは、少しずつ明らかになってきた加害教師4名の異常な言動だ。

 一部報道では、同校の児童が取材に応じて「(加害教諭は)辛い18禁カレーを食べさせて、食べているところを見るのが面白かった的なことを言っていた」などと証言している。

 さらに仁王校長は9日の会見で、被害教師による「(加害教諭が)『反抗しまくって学級つぶしたれ』と子どもに言っていた」との訴えも明かしている。到底、教職者の言動として信じられないものだが、なぜ加害教師らはここまで増長していたのだろうか。

 8日放送の『グッとラック!』(TBS系)によれば、加害者側の40代女性教師は現校長よりも在校年数が長く、校内での発言力を持っていたという。いじめのターゲットを決めるなど中心的な役割を担っており、さながら“女帝”のような権力を持っていたそうだ。

 同校では、校長が気に入った教師を招き入れる「神戸方式」という人事システムを採用していた。9日の会見において仁王校長は「昨年度しんどくなった教員の中には、前校長と意見が合わなかった教員はいる」と発言していた。教師間に歪な上下関係が存在しており、それが暴行事件の温床になっていたであろうことが窺える。

 8日放送の『とくダネ!』(フジテレビ系)は、こうした目には見えない教師間の上下関係を「ティーチャーカースト」と呼称。ただし、こうした言い換えには違和感も残る。

 この事件を報じるテレビのテロップやネットニュースの見出しには、「教師いじめ」「ハラスメント」などの文言が躍る。しかしこの事件はいじめやパワハラという言葉で括るのが妥当とは思いがたい内容だ。犯罪行為として「侮辱罪」や「傷害罪」が適用される可能性もある。これを「ティーチャーカースト」による「いじめ」「ハラスメント」などと記号化して伝えることは、事件を矮小化させてしまいかねない。

 被害を受けた男性教師ならびに市教委は今後、実態解明を進めると共に、加害教師らの刑事告発も視野に処分を検討しているという。