撮影現場でいまだに暴力、日本の映画産業ではハラスメントが絶えない/深田晃司監督インタビュー

『淵に立つ』(2016年公開)で第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査委員賞を受賞するなど国際的に高く評価されている深田晃司監督が、映画の撮影現場におけるハラスメントに関するステートメントをツイッターに投稿し、話題となった。

 先月、深田晃司監督は<突然ですがハラスメント等についての覚書のようなステートメントを書きました。企業なら会社の公式サイトに理念として掲げられますが、私は個人の映画監督ですのでSNSの場を活用させて頂きます。突然と書きましたが、本当はもっと早く書きたいと思っていました。気持ちとしては結構切迫してます>というコメントとともに以下の画像をツイートした(画像の下にステートメントの書き起こしを載せておくのでご参照を)。

 

 以下は、ハラスメント等についての覚書のようなステートメントです。
 映画作りを中心とした映像の仕事に関して、私(深田晃司)が私自身に課す心構えであり、また共に仕事する仲間に期待する心構えです。

・年齢や経験値に関わらず他者を一個の人格として尊重しながら行動します。
・映画の撮影現場において殴打などの暴力で感情を発散しません。またそれらの行為に対し教育的意義を認めません。
・一緒に映画を作る同僚を激しい口調で罵倒すること、怒鳴ることをしません。「愛があれば大丈夫」「あなたのためを思って言ってる」という言葉も忌避します。それは指導でも教育でもなく、マウンティングと考えます。もちろん指導は必要です。それがどこから「罵倒」「威圧」になるのか、線引きは曖昧ですが、その曖昧さを逃げ道にせず、常に相手の心を傷つける可能性を意識します。もし傷つけてしまったときはまずは謝罪し、傷つけた相手の回復のために何ができるかを考えます。
・個人的な創作への意気込みや覚悟、人生観を他者に強要しません。
・映画のクオリティを上記の行動の言い訳にしません。仮にそれによって映画のクオリティが上がったとしても、それらはドーピングで得られた結果と同様のものと考えます。
・自分の立場を利用して相手の心身を服従させません。特に監督やプロデューサーのような立場のある人間が、自分よりも立場の弱い、年の離れた若い俳優やスタッフに対し、キャスティング、スタッフィングに関わることのできる強い立場を誇示しながらコントロールしようとすること、特に性的な関係や男女の付き合いを求めることはあってはなりません(ただし自由恋愛まで否定はしません。ただ、自身の持つ種々の権力に十分に慎重でなくてはなりません。その立場を自覚的あるいは無自覚を装い利用するような行動を忌避します)
・上記、当然私自身も強く自戒しなければなりませんが、私との映画作りに今後関わるプロデューサーの皆さんにも同じ態度を求めます。私は個人的な縁故から俳優やスタッフを決めることはありません。最終的にはすべて資質と人柄で判断します。
・仮に私の名前の持つ微々たる名声や、私の未来の映画が持つキャスティング権、スタッフィング権がセクシャルハラスメントに利用されていたことが明らかになった場合、そのスタッフ、プロデューサーとの仕事を取りやめます。
・ただし、風評のみで判断しません。当事者含む関係者への十分なヒアリング、調査を行ったうえで私自身の責任で判断します。

・以上の内容を、今後私自身の経験やリテラシーの向上に合わせて常に更新していきます。

 深田晃司監督は以前より映像業界における撮影現場の労働環境の改善を訴えており、2012年には映画文化の多様性を育むためのNPO法人・独立映画鍋を有志と立ち上げて情報発信などに努めてきた。なぜ、敢えて今回このようなかたちでステートメントを公表したのか。その背景について話を聞いた。

 

深田晃司
1980年生まれ。東京都出身。2010年に『歓待』で東京国際映画祭「日本映画・ある視点」作品賞を受賞。2016年には『淵に立つ』で第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査委員賞を受賞した。最新作は2019年の『よこがお』。2012年には映画文化の多様性を育むためのNPO法人・独立映画鍋を有志と立ち上げ、代表を務めている(土屋豊監督との共同代表)。

映像業界におけるパワハラ・セクハラ
──なぜ今回このような文章を公表されたのですか?

深田晃司(以下、深田) もともと自分が21歳とか22歳とかでこの業界に入ったときは、殴られたり蹴られたりというのが日常化していました。そういった体験がきっかけで、10年ぐらい前から現場の労働環境の改善に関して考えたり発言したりするようになりました。

──ちょっと待ってください。撮影現場では普通に暴力があるんですか?

深田 もう15年ぐらい前の話ですけど、私の場合は予算5億円ぐらいかかっている比較的大きな規模の映画に装飾助手として入ったとき、同じ装飾助手の先輩から殴られたり蹴られたり、あと、ミスをしたときに走ってきてそのままドロップキックされたりしました。

──21世紀に入ってもそんなひどいことが。

深田 他にも、監督がスタッフを殴るとか、みんなの前で激しく叱責するとか、女性スタッフに対しての性的なからかいが横行しているとか、撮影現場におけるハラスメントの実例は、もう挙げていったらキリがないですね。

──過酷な労働環境だと思ってはいましたが、想像以上に旧時代的です。

深田 それでも昔よりはましになったと思いますが、そういった問題はいまでも決してなくなってはいません。この間も、テレビドラマの撮影で一緒に仕事をしたスタッフから「去年、撮影現場で美術スタッフから殴られた」という話を直に聞いたばかりです。
 自分の現場ではもうそういったことはないはずですが、私の周囲にないだけで、話を聞いていると、映像業界において暴力やひどいハラスメントの問題はまだまだ存在していますね。

──未だに。

深田 これが一般企業とかある程度まとまった組織であれば、ハラスメントの防止策であったり、労働環境の改善といった取り組みがしやすいわけですが、映像業界というのはフリーランスの集まりです。
 作品ごとにスタッフも俳優も違うし、そういった意識を共有する機会をつくることは難しい。
 そこで、これから私と一緒に仕事をする人や、これから仕事をしてみたいと思ってくれている人に私の考えを伝えるのには、SNSにあげるかたちが一番手っ取り早いかなと思って、こうしたツイートをしてみました。

日本の映画業界で長時間労働が起きる理由
──暴力を当たり前に振るう現場で、映画が制作されている。

深田 こういった状況は、そもそも人権的にも大問題ですが、それとはまた別に、映像業界の未来を考えるうえでも由々しき事態だと思います。
 日々、多くの若者が夢をもって映画の世界に入ってきますが、こういった現場の状況に耐えきれずに辞めていってしまうケースをよく耳にします。

──まあ、そうなりますよね……。

深田 いまの映画業界は、親が子どもを安心して送り出せる業界ではないです。

──ちなみに、アメリカやフランスの映画業界では労働組合がきちんと機能していて、労働時間の上限を守ることに関してかなり厳格なルール運用がなされているようですが、日本ではそのあたりどうなっているのでしょうか?

深田 日本では労働時間に具体的な制限を設ける流れはないです。これも非常に大きな問題だと思います。

──やはりそうでしたか。

深田 とはいえ、自分の現場では「長時間の徹夜撮影はしない」とかルールを決めてある程度の時間で終わらせるようにはしてはいるものの、それでも胸を張って言えるほど短いわけではないので心苦しいですが……。日本の撮影現場では長時間労働がかなりありますね。

──長時間労働が起きる背景には、撮影日数が短いという問題もあると思うのですが、日本の映画業界は他の国と比べるとどうなのでしょうか。

深田 予算とか内容によって変わってくるので一概には言えないですけど、自分の映画の場合は長編1本つくるのに3週間前後の撮影期間をとります。これは主に予算の問題なので、もっと長い撮影期間でつくることができる監督もいらっしゃいますけど、ただ、この3週間前後というのは比較的よく聞く数字です。
 しかし海外では概ねもっと長いです。
 この間、モロッコで30代前半ぐらいの若い女性の監督と話したとき、彼女は初監督作品を撮ったばかりなんですけど、その作品は6週間だったそうです。それで自分は3週間でつくっている話をしたら「私は6週間でも足らなかったのに」と苦笑いされました。
 イタリアの映画監督に聞いたときは、最低でも5週間だけれども、5週間だと残業代が発生して最終的に高くつくからプロデューサーに6週間もらえるよう交渉しているなんて言われましたね。
 台湾でも大体平均が8週間と聞きましたし、そういった諸外国の話を聞くと、いかに3週間という数字が短いかですよね。

──その撮影日数の短さでは、一日の労働時間を長くして、かつ急いで撮らなければ間に合わないですよね。そういった職場環境によるストレスがハラスメントをまん延させる原因のひとつという面もあるのではないでしょうか?

深田 そういう面はあるでしょうね。人間、疲れてきたらそのストレスを暴力だったり暴言で発散しようとしますから、ミスを注意するのにもついつい荒くなったりする。
 あと、そもそも長時間労働は事故の原因のひとつにもなります。十分な休養をとれていない状況ではどうしても注意力が散漫になりますから、撮影中に事故を起こす危険性が増します。

──睡眠不足で体力勝負の現場作業は危ないですよね。

深田 この議論に関しては、日本人の労働に対する向き合い方が問われていると思っていて。
 いい作品をつくるためならと、限度を超えて頑張ってしまう傾向が私たちにはありますけれど、実はその意識から変えていかなくてはいけないかもしれない。
 海外の映画関係者と話していると、そのあたりの考え方が全然違うんです。

──というと?

深田 映画をつくるために人を殺しちゃいけないとか、犯罪をしてはいけないということぐらいは、みんな理解しているじゃないですか?
 海外の映画関係者はそれと同じレベルで、スタッフの睡眠時間を奪ってはいけない、家族と共に過ごす時間を奪ってはいけない、撮影の後に映画を観る時間を奪ってはいけないと考えるのが基本的な価値観なんですよ。
 彼らはそれぐらいの覚悟をもって労働時間の上限を守ろうとしている。

 

映画『よこがお』(©2019 YOKOGAO FILM PARTNERS & COMME DES CINEMAS)
日本映画界の構造的な問題
──結局のところ、潤沢な予算があって、もっと余裕のある撮影現場をつくることができれば、職場の環境もよくなってくるし、ハラスメントの問題も少なくなってくると思うんです。
 でも、日本の映画業界では様々な理由から、そういった状況をつくることができていないというわけですか。

深田 まず、映画をつくるうえでのお金の集め方を簡単に説明しますと、その方法は3種類しかないんです。
 ひとつは、映画会社や民間企業からのファンド。もうひとつは、民間からの寄付。そして最後は公共の助成金。
 だいたいこの3つの組み合わせで成り立っています。
 アクションやラブコメ映画などの娯楽性の高いいわゆる「ジャンル映画」ではビジネスとしてお金を集めることがしやすいわけですが、商業性よりも作家性を優先する映画ではそういった集め方をすることが容易ではないので寄付や助成金での補助が大事になってくる。そうやって映画の多様性が成り立っています。

──民間からの寄付というのもあるんですね。

深田 アメリカではこれが盛んですね。アメリカでは民間からの寄付が出やすいように法律を整えていて、寄付をすると税金の控除を受けられる仕組みがあります。
 それにより、公的な助成金は少ないけれど、映画の多様性がそれなりに担保されている。イギリスも似た状況にあります。もちろんそれでもインディペンデント作家は大変だとは聞きますが。

──公共の助成金に関してはどうでしょうか?

深田 これは、フランスや韓国との比較で見るのが分かりやすいと思います。
 2015年度のデータですが、日本の文化予算は1038億円で国家予算額に占める割合は0.11%でした。
 それと比較してフランスは4640億円もあり、国家予算額に占める割合は0.87%です。
 韓国の予算額は2653億円ですが、国家予算額に占める割合は0.99%にもおよびます。
 とりわけ映画に使われている予算を比較すると、日本の文化庁では約20億円、韓国のKOFIC(韓国映画振興委員会)では約400億円、フランスのCNC(フランス国立映画センター)では約800億円になります。

──ずいぶんな差がありますね。

深田 文化予算の話をすると、世間から「あんたらはすぐに『金をくれ』と言う」なんて指摘されるんですけど、欧米並みにきちんともらったうえでそれでも「金をくれ」と言って批判されるのなら分かりますが、そもそもまともにもらっていないのだから、「求めてなにが悪いんだ」という気持ちはありますね(笑)。

──でも、どうしてフランスや韓国はそんなに手厚い支援があるんですか。

深田 それは、文化予算のみに頼らず、劇場のチケット代から一部徴収し業界に還元する仕組みになっているからです。
 フランスでは10%、韓国では3%を興業収入から税金として取り、それを再分配しています。
 ヒット作品が稼ぎ出したお金の一部が業界全体に流れることによって、様々なタイプの映画がつくられる環境が生まれています。

──それならば、映画ファンの使ったお金が「映画文化の豊かさ」というかたちで返ってくるわけで、両者ともにメリットですね。

深田 以上のような事情により日本の場合は、寄付にも助成金にも頼れないという状況です。だから興業収入のみによって市場原理主義的にビジネスを成り立たせなくてはならない。

──それでは大作エンターテインメント映画でなければペイできないし、政治や社会問題を描いた硬質な作品や、芸術性・作家性が強く出た作品はつくりにくいのではないでしょうか。

深田 しかも、日本映画には「日本語で話されている」という大きな枷がある。英語圏や中国の映画と比べどうしたってマイノリティなので、そもそもの観客数にも大きな違いがあります。吹き替えによる翻訳がしやすいアニメ作品はまだしも実写作品はなかなか大きな海外市場は期待できない。

──日本語話者の数は1億3000万人ほどですから、どう頑張っても上限があるわけですね。

深田 問題はまだあります。
 外国映画を除いた日本映画の市場の8割を、東宝、東映、松竹といった大手映画会社が寡占している状況です。
 しかも、アメリカでは80年前に独禁法で禁止されている「大手映画会社が広範な映画館チェーンをもつ」ことが未だに許されている。

──東宝のTOHOシネマズ、東映のT・ジョイ、松竹のMOVIX、3社とも映画館チェーンを展開しています。

深田 チェーンの規模には大小がありますし、それが独占的な規模や性質を有していなければまだ良いのですが、独禁法が適用された当時のアメリカでは、ハリウッドの市場の8割を大手五社が独占していることが問題視されたことを思えば、今の日本はもっと酷いとも言える。アメリカではそうやって市場が独占的にならないための努力をしているのに比べ、日本では助成金も寄付も少ないのに、市場の競争の平等を保つような仕組みづくりさえなされていない。
 ちなみにフランスではもっと進んでいて、地上波テレビで映画のCMを流すことが禁じられています。

──日本では製作委員会にテレビ局が名を連ねた大作映画のCMが地上波でじゃんじゃん流れていますね。

深田 こういった状況がすべて放置され、「大手ショッピングセンターのひとり勝ちで周囲の商店街はシャッター通り」といった状況になっているのが、現在の日本映画界です。

 

映画『よこがお』(©2019 YOKOGAO FILM PARTNERS & COMME DES CINEMAS)
日本映画界はどうするべきか?
──こうした状況を変えるにはどうしたらいいのでしょうか。

深田 フランスや韓国が成功している背景には、フランスならCNC、韓国ならKOFICという映画振興に関する仕事をする公的な組織があります。
 しかし、日本にはこのようなものはありません。これは早急になんとかすべきだと思います。
 というのも、そういった組織がないと、行政機関が映画に関する施策を打とうとしても、業界の抱えている問題やニーズをきちんとそこに反映させていくことが難しいからです。
 文化庁にせよ、経済産業省の悪名高いクールジャパン政策にせよ、各省庁もそれなりに映画を支援はしようとしてくれているけれども、そもそも業界がバラバラの状況だと「どこで誰の話を聞けばいいの?」となってしまいます。
 もっと映画界からも声を届ける努力をするべきで、それが不足していたのは映画人の責任だと思います。行政にもそうですが、まずは「なぜ映画の多様性を公的支援で支える必要があるのか」、映画や文化の公的価値をきちんと言葉にして納税者に対して伝えていかないといけません。そういった発想がこれまでの日本映画界には決定的に欠けていました。

──なるほど。国も一応頑張って文化を支援しようとしてはいるんだけど、映画の専門家ではないお役人にはどこにお金をかければいいかよく分からないので、結局はわけもわからず吉本興業にお金が流れていく、みたいな構図があるわけですね。

深田 そういうことになってしまっているんだと思います。
 お金をかければいいというわけではないですけれど、お金がないとそもそも豊かな文化はなかなかつくることができない。
 「お金がなくてもやる気さえあればなんでもできるじゃないか」なんて言うのは、竹槍で戦争に勝とうとするのと同じですよ。
 根性でなんとかできる、大和魂さえあればなんとかできるという太平洋戦争中の発想と同じなので、意味がないと思います。「貧乏でも頑張れ」と言ってしまうと結局、貧乏に耐えやすい環境にいる人、例えば東京に実家があるとか実家が裕福だとか他に収入があるとかヒモになれる才能があるとか、そういった人が優位に立って映画とは関係ないところで勝負が決まっていくことになる。

──「根性」でなんとかするしかない状況のなか起きているのが、長時間労働であり、スタッフへの暴力、ハラスメントですよね。

深田 とにかく、映像業界には解決しなければいけない問題が多すぎて、どこから手をつけていったらいいか分からない。
 ただ、だからこそ、変えがいがあるとも言えるのかもしれませんけどね。

(取材、構成:編集部)

●深田晃司監督最新作「よこがお」全国公開中。出演: 筒井真理子・市川実日子・池松壮亮

https://yokogao-movie.jp/

2020年1月22日Blu-ray、DVD発売決定!

●メ~テレドラマ「本気のしるし」(出演:森崎ウィン・土村芳 監督:深田晃司)放送中!

https://www.nagoyatv.com/honki/

TVer、GYAO!にて過去全話無料で見逃し配信中!

りんごちゃん「男か女か」の性別イジりを終わりにする方法

 12月4日、その年に検索数が急上昇した人物などを表彰する「Yahoo!検索大賞2019」の授賞式に、大ブレイク中のものまねタレント・りんごちゃんが出席。そこでりんごちゃんの性別に踏み込むような一幕があり、物議を醸している。

 りんごちゃんは「お笑い芸人部門賞」を受賞。授賞式で、りんごちゃんが赤いドレスを着て登壇すると、司会の今田耕司が「りんご“ちゃん”やねんなあ……さっき(舞台裏)まではりんご“くん”だったのにね」と、りんごちゃんの性別を示唆するような発言をした。会場はザワついたが、りんごちゃんは「さっきは出荷前だったので」と切り返した。

 しかし会見でも今田はりんごちゃんについて「(男性用の)トイレで会ったら、ちょっと(股間を)のぞき込んでしまいますけどね」とコメント。りんごちゃんの性別を揶揄する今田に対して、SNSでは「完全にハラスメントでしょう」「見た目や性別で笑いを取る文化はもう古いっていい加減気づかないと」「いい加減、男か女の二択で人を見ていくのやめませんか」などと呆れる声が少なくない。

りんごちゃんの性別をイジっても、もう“笑い”は起こらない
 今年いっきにブレイクを果たしたりんごちゃんだが、年齢や性別を公表していない。女性的な服装やメイクをしているが、過去にニューハーフバーなどで働いていたことを明かしており、おそらくは生まれついた体の性別は男性だったのだろう。

 テレビでは、りんごちゃんのような出自を持つタレントにその性別をツッコんだり、体を触ったりして笑いを取ることは珍しい光景ではなかった。今でもその文化は残っているが、視聴者側には変化が訪れており、他人のセクシュアリティやプライバシーを軽んじる言動に、違和感や不快感を唱える人は30年前と比べれば格段に増えたといえるだろう。

 今年8月放送の『踊る! さんま御殿!!』(日本テレビ系)にりんごちゃんがゲスト出演した際にも、そんな場面があった。

 この日の番組は「コンプレックスのせいで傷ついた瞬間」についてトークを展開。司会の明石家さんまは、りんごちゃんの服装について「りんごちゃんなんかは男やろ? でも女物か、着てるの」と言い、ゲストのヒロミが「りんごちゃんはね、そういうのないの。りんごちゃんはりんごちゃんで、男とか女じゃない」とフォローすると「おっさんやないか、アホ!」とツッコみ“笑い”を生もうとした。りんごちゃんの性別をしきりにイジるさんまの態度に、視聴者からは「全然笑えない」「デリカシーがなさすぎ」など厳しい意見が相次いだ。

 今年10月放送の『関ジャニ∞のジャニ勉』(関西テレビ)でも、村上信五が林檎ちゃんの胸を揉みしだいて笑いを取るシーンがあった。りんごちゃんがマツコ・デラックスのものまねで「嫌いじゃないんだけど」と言い放ち、その寸劇は終わったが、SNSでは「セクハラではないか」といった批判も噴出していた。りんごちゃんの性別がどうあれ、その出で立ちや振る舞いが女性的であることは疑いない。

「メイクとかおしゃれが好きな女の子に見えたらそれで良い」
 さて、冒頭の発表会見後の囲み取材でも、りんごちゃんへ報道陣からも「実際のところ性別はどうなのか?」と不躾な質問が飛んだ。しかし、りんごちゃんは「今日、この場で初めて言いたいと思います」と前置いて、「りんごちゃんはりんごちゃんです!」と宣言した。

 さらに続けて、りんごちゃんは次のようなコメントをしている。

「Yahoo!さんで『りんごちゃん』って検索すると、次には『性別』とか、性別がいつもくっついている。そんなにみんな気になるんだと思っているんですけど、私はみなさんが思う通りで良くて。概念がなくて、メイクとかお洒落が好きな女の子に見えたらそれで良くて、おっさんだと思えばそれでも良くて、そういう形になっております」

 本人の意思によらず極めてプライベートなこと、たとえばセクシュアリティについて、「本当はどうなんだ?」と他人が踏み込む態度は、これまで意識されずごく普通のコミュニケーションと思われて繰り返されてきただろうが、実はとても暴力的なものだ。ゆえに、その乱暴なやり方を避けてコミュニケーションを成立させることは可能なはずだろう。

 りんごちゃんの場合、「メイクとかお洒落が好きな女の子」でも「おっさん」でもどちらでも良いということは、性別を明言したくはないということだ。その気持ちを尊重すれば、「男か女か」などもう二度と聞くことはなくなる。つまり相手を尊重することこそが、りんごちゃん性別論争に終止符を打つ、簡単な方法だ。決して難しいことではない。

神田沙也加と村田充の離婚は「夏」、ジャニーズJr.との関係「不倫じゃない」

12月4日、女優の神田沙也加と俳優の村田充がそれぞれブログで離婚していたことを公表した。それによれば、双方の仕事の関係から来年1月まで離婚を明かさない予定だったものの、“とある週刊誌”から離婚について記事を掲載するとの連絡を受けたため、このタイミングで公表に至ったという。

 

その週刊誌というのは、「女性セブン」(小学館)のことだろう。同誌は神田と村田がブログで離婚を公表後、web版「ニュースポストセブン」にて<神田沙也加に不倫直撃、直後に離婚発表 ジャニーズJr.と交際>との記事を掲載した。

 

記事によると、神田は今年7月の舞台『SHOW BOY』で共演したジャニーズJr.の秋山大河と交際するようになり、10月に村田と別居。村田は同誌の取材に「離婚」を否定したが、神田側は「村田さんとは既に離婚しています」と答えたという。12月5日発売の「女性セブン」で詳報している。

 

今回の離婚公表と「女性セブン」の報道により、神田が不倫していたことが離婚理由であると受け取るネットユーザーは多いようだが、実際のところはどうなのか。記事の全容を把握したうえでブログを書いたのかどうか不明ながら、神田と村田の説明をそのまま受け取れば、神田とジャニーズJr.秋山の恋愛は「不倫」ではないようだ。

 

離婚理由はともに「夫婦として子どもを持つことへの考えの相違」としており、子どもを望む夫と望まない妻とで折り合いがつかなかったことが最大の理由とされている。

 

神田沙也加は言わずと知れた松田聖子と神田正輝の一人娘。両親は離婚しており、祖母である聖子の母に育てられたこと、幼少期の複雑な感情についてなどを、神田沙也加は公表してきた。村田もそんな彼女のバックグラウンドを理解し支えていたようだが、夫婦として描く将来像の違いは埋められない溝になったのかもしれない。

 

また、離婚時期は「今年の夏」であり、離婚届を提出してからも新居を手配し雑事をこなすなどの期間があったため数カ月は同居していた、ともブログで説明されている。神田の新しい恋人については村田も「報告を受けている」そうだ。もし仮に、7月の舞台共演で生まれた婚外恋愛が原因でこじれた末の破局であれば、村田も冷静な文章をUPはしないだろう。

「#KuToo」は女性優遇でもハイヒール禁止でも男性差別でもない

12月2日、その年の話題になった言葉に贈られる「2019ユーキャン新語・流行語大賞」の表彰式が都内で行われ、年間大賞をラグビー日本代表のスローガン「ONE TEAM」が受賞した。

 トップテンには「計画運休」「軽減税率」「スマイリングシンデレラ/しぶこ」「タピる」「#KuToo」「○○ペイ」「免許返納」「闇営業」「令和」が選出され、表彰式では受賞者たちが登壇して思いを述べた。その中で特に印象深かったのは、「#KuToo」発起人で受賞者の石川優実さんのスピーチだ。

「#KuToo」への誤解
 「#KuToo」とは、「靴」「苦痛」「#MeToo」をかけ合わせた造語。ホテルや葬儀場などの職種で、女性だけパンプス着用を義務付けられて靴擦れや腰痛など健康を損なわれることをなくし、男女同じフラットな靴を履ける(ハイヒールを禁止するわけではない)よう改善を求めている運動だ。

 石川優実さんが今年1月、Twitterで「私はいつか女性が仕事でヒールやパンプスを履かなきゃいけないという風習をなくしたいと思ってる」という思いをツイートしたところ、多くの女性たちから共感の声と「いいね!」を集めた。職場において女性のみヒールやパンプスを強いる服装規定をなくし、男女によって選択肢に違いがある状況を正す「#KuToo」のムーブメントはネットを中心に話題となった。

 今年6月、石川さんは約1万8800万筆の署名とともに「職場における女性に対するヒール・パンプスの着用指示に関する要望書」を厚生労働省へ提出。さらに10月には、石川さんが英BBCが選ぶ世界の人々に影響を与えた女性を選ぶ今年の「100人の女性」に選出されている。

 厚生労働省の労働政策審議会雇用環境・均等分科会はハラスメントに関する企業向けの指針を審議中だが、10月21日の審議会で出された「職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上高ずべき措置等に関する指針の素案」には、パンプス強制など服装規定についての記載がなかった。石川さんら「女性へのパンプス・ヒール強制を考える会」は表彰式の翌3日、厚労省に素案の改善について要望書を提出。その後の記者会見で、石川さんは「足の痛い思いをしている労働者のことを考えるなら、指針に入れるべきだ」と訴えている。

 「#KuToo」は流行語にノミネートされるほどネット上で大きなムーブメントとなったと言えるが、ネットユーザーであってもこうしたトレンドに興味がなく「聞いたことがない」「知らない」という人もまだ多いだろう。同時に、残念ながら「#KuToo」の目的を誤解して反発する声も少なからずある。男性からも、女性からもだ。

 たとえば「ヒールを履きたい人の邪魔をしないで」という声。「#KuToo」は女性を代表して「パンプスを履かせるな!」と主張しているものではなく、選択の自由を求めるものだが、正確に伝わっていない部分もあるようだ。

 また、なかには「“女尊男卑”の世の中になることが目的なのか」という極端な批判意見も見られるが、「#KuToo」は男性を責めているわけでも、女性に男性より強い特権を与えろと要求しているわけでもない。性別によって異なる職務上の制限がかかり、健康さえ損なう現状を変えようという運動だ。男女の選択肢が等しくなることを“女尊男卑”とは呼ばない。

 男性がスーツやネクタイの着用が強いられる一方で、女性はオフィスカジュアルが許容されているという職場もある。そのために困っている男性もいるだろうし、男女の別なく勤務中の服装のカジュアル化が認められてもいいはずだ。その苦痛を改善すべく当事者が発信することも可能だろう。ただし、それは足元の平等についての話をしている「#KuToo」とはまた別の問題提起や議論になる。

 「#KuToo」運動の本質が広く伝わるよう、石川さんの表彰式でのスピーチを書き起こす。

「優遇してほしいわけではありません」
 「2019ユーキャン新語・流行語大賞」の表彰式に臨んだ石川さんは、ドレス姿に黒のレースアップシューズを合わせた装いで登場。約3分間のスピーチに登壇し、改めて「#KuToo」の目的や思いについて言葉を尽くした。

 こんばんは。「#KuToo」の署名の発信者、石川優実と申します。
 本日はこのような賞をいただき、本当に嬉しく思います。(「#KuToo」は)インターネットから始まった言葉なので、少しこの運動についてお話しをさせてください。

 まず、この「#KuToo」は私がつくった言葉ではありません。運動が進んでいく中で、センスのある賛同中のひとりの方が作ってくださった言葉です。
 昨年ノミネートした「#MeToo」の受賞者が、声をあげた全ての人々だったように、この「#KuToo」の受賞者も私個人ではなく、アクションを起こしてくださった全ての方々が受賞者だと思っています。

 ひとつよく勘違いされるんですけれど、この運動はヒールの否定運動ではありません。職場で、女性のみにヒールやパンプスを義務づけたり、マナーだとする風潮に対して異を唱える運動です。ヒールが好きな方は、ぜひ引き続き履いてください。

 そしてもうひとつ、この運動は、女性も男性と同じ靴を履いて仕事をすることを許してもらうための運動ではありません。女性も、同じ職場ならば、男性と同じ靴を履いて仕事をする権利があるということをお知らせする運動です。同じ労働者ならば、当然の権利のはずです。今まで、それに気が付くことができなかっただけだと思います。

 (女性を)優遇してほしいわけではありません。同じ労働環境、同じ労働条件で仕事にチャレンジする機会をくださいという運動です。女性はすぐに仕事を辞めるとか、女性は能力や体力がないとか、それらはまず、ヒールのあるパンプスのように女性のみに負担があるものをなくし、すべてフラットにした状態で判断してください。話はそれからだと思います。

 ヒールのある靴を履いて足を痛め、仕事を諦めざるを得なかった人たちがいます。就職活動ができなかった人たちもいます。始めからその仕事を選ぶことを諦めた人たちもいます。靴を履くことを止めた後も足の痛みと戦っている人もいます。そして、それらの人々はみんな女性だったということをなかったことにしないでください。こんな運動をしなくて済むような社会になることを願っています。

 そして最後に、この運動に対して、バッシングも含めてアクションしてくださったすべての方々に心から感謝いたします。本当にありがとうございました。

「#KuToo」は女性優遇でもハイヒール禁止でも男性差別でもない

12月2日、その年の話題になった言葉に贈られる「2019ユーキャン新語・流行語大賞」の表彰式が都内で行われ、年間大賞をラグビー日本代表のスローガン「ONE TEAM」が受賞した。

 トップテンには「計画運休」「軽減税率」「スマイリングシンデレラ/しぶこ」「タピる」「#KuToo」「○○ペイ」「免許返納」「闇営業」「令和」が選出され、表彰式では受賞者たちが登壇して思いを述べた。その中で特に印象深かったのは、「#KuToo」発起人で受賞者の石川優実さんのスピーチだ。

「#KuToo」への誤解
 「#KuToo」とは、「靴」「苦痛」「#MeToo」をかけ合わせた造語。ホテルや葬儀場などの職種で、女性だけパンプス着用を義務付けられて靴擦れや腰痛など健康を損なわれることをなくし、男女同じフラットな靴を履ける(ハイヒールを禁止するわけではない)よう改善を求めている運動だ。

 石川優実さんが今年1月、Twitterで「私はいつか女性が仕事でヒールやパンプスを履かなきゃいけないという風習をなくしたいと思ってる」という思いをツイートしたところ、多くの女性たちから共感の声と「いいね!」を集めた。職場において女性のみヒールやパンプスを強いる服装規定をなくし、男女によって選択肢に違いがある状況を正す「#KuToo」のムーブメントはネットを中心に話題となった。

 今年6月、石川さんは約1万8800万筆の署名とともに「職場における女性に対するヒール・パンプスの着用指示に関する要望書」を厚生労働省へ提出。さらに10月には、石川さんが英BBCが選ぶ世界の人々に影響を与えた女性を選ぶ今年の「100人の女性」に選出されている。

 厚生労働省の労働政策審議会雇用環境・均等分科会はハラスメントに関する企業向けの指針を審議中だが、10月21日の審議会で出された「職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上高ずべき措置等に関する指針の素案」には、パンプス強制など服装規定についての記載がなかった。石川さんら「女性へのパンプス・ヒール強制を考える会」は表彰式の翌3日、厚労省に素案の改善について要望書を提出。その後の記者会見で、石川さんは「足の痛い思いをしている労働者のことを考えるなら、指針に入れるべきだ」と訴えている。

 「#KuToo」は流行語にノミネートされるほどネット上で大きなムーブメントとなったと言えるが、ネットユーザーであってもこうしたトレンドに興味がなく「聞いたことがない」「知らない」という人もまだ多いだろう。同時に、残念ながら「#KuToo」の目的を誤解して反発する声も少なからずある。男性からも、女性からもだ。

 たとえば「ヒールを履きたい人の邪魔をしないで」という声。「#KuToo」は女性を代表して「パンプスを履かせるな!」と主張しているものではなく、選択の自由を求めるものだが、正確に伝わっていない部分もあるようだ。

 また、なかには「“女尊男卑”の世の中になることが目的なのか」という極端な批判意見も見られるが、「#KuToo」は男性を責めているわけでも、女性に男性より強い特権を与えろと要求しているわけでもない。性別によって異なる職務上の制限がかかり、健康さえ損なう現状を変えようという運動だ。男女の選択肢が等しくなることを“女尊男卑”とは呼ばない。

 男性がスーツやネクタイの着用が強いられる一方で、女性はオフィスカジュアルが許容されているという職場もある。そのために困っている男性もいるだろうし、男女の別なく勤務中の服装のカジュアル化が認められてもいいはずだ。その苦痛を改善すべく当事者が発信することも可能だろう。ただし、それは足元の平等についての話をしている「#KuToo」とはまた別の問題提起や議論になる。

 「#KuToo」運動の本質が広く伝わるよう、石川さんの表彰式でのスピーチを書き起こす。

「優遇してほしいわけではありません」
 「2019ユーキャン新語・流行語大賞」の表彰式に臨んだ石川さんは、ドレス姿に黒のレースアップシューズを合わせた装いで登場。約3分間のスピーチに登壇し、改めて「#KuToo」の目的や思いについて言葉を尽くした。

 こんばんは。「#KuToo」の署名の発信者、石川優実と申します。
 本日はこのような賞をいただき、本当に嬉しく思います。(「#KuToo」は)インターネットから始まった言葉なので、少しこの運動についてお話しをさせてください。

 まず、この「#KuToo」は私がつくった言葉ではありません。運動が進んでいく中で、センスのある賛同中のひとりの方が作ってくださった言葉です。
 昨年ノミネートした「#MeToo」の受賞者が、声をあげた全ての人々だったように、この「#KuToo」の受賞者も私個人ではなく、アクションを起こしてくださった全ての方々が受賞者だと思っています。

 ひとつよく勘違いされるんですけれど、この運動はヒールの否定運動ではありません。職場で、女性のみにヒールやパンプスを義務づけたり、マナーだとする風潮に対して異を唱える運動です。ヒールが好きな方は、ぜひ引き続き履いてください。

 そしてもうひとつ、この運動は、女性も男性と同じ靴を履いて仕事をすることを許してもらうための運動ではありません。女性も、同じ職場ならば、男性と同じ靴を履いて仕事をする権利があるということをお知らせする運動です。同じ労働者ならば、当然の権利のはずです。今まで、それに気が付くことができなかっただけだと思います。

 (女性を)優遇してほしいわけではありません。同じ労働環境、同じ労働条件で仕事にチャレンジする機会をくださいという運動です。女性はすぐに仕事を辞めるとか、女性は能力や体力がないとか、それらはまず、ヒールのあるパンプスのように女性のみに負担があるものをなくし、すべてフラットにした状態で判断してください。話はそれからだと思います。

 ヒールのある靴を履いて足を痛め、仕事を諦めざるを得なかった人たちがいます。就職活動ができなかった人たちもいます。始めからその仕事を選ぶことを諦めた人たちもいます。靴を履くことを止めた後も足の痛みと戦っている人もいます。そして、それらの人々はみんな女性だったということをなかったことにしないでください。こんな運動をしなくて済むような社会になることを願っています。

 そして最後に、この運動に対して、バッシングも含めてアクションしてくださったすべての方々に心から感謝いたします。本当にありがとうございました。

妊婦やベビーカーへの憎悪も可視化されるネット 「子育てしやすい社会」の空気をどう作るか

 10月上旬、とあるTwitterユーザーが「ベビーカーには席を譲りません」と主張し、その意志を示すためのマークを作成してツイートした。同ツイート主は「ベビーカー様が蔓延る世の中。子供がいれば優遇されて当たり前ですか?」と主張しており、マークには「それはあなたが生んだ子です わたしが席を譲る義理はありません」との文句が躍っている。

 投稿主が個人で作成したと見られる非公式の「ベビーカーには席を譲りませんマーク」。このツイートとマークについてSNSやネット掲示板上では、「席を譲らないのは自由だけどわざわざ主張する必要ある?」「ベビーカーによほどの恨みでもあるのかな」「釣りだったらいいけど……」といった反応が見られる。

 あえて「譲りません」などと公言する理由はわからず、注目を浴びたいがためにわざと露悪的なことをしている可能性もあるが、投稿主のその他のツイートからはベビーカーを押す母親や幼い子どもへの強い憎しみを感じる。また痴漢や性犯罪の被害を訴える女性への誹謗中傷も強い。

 本来であればスルーしたほうがいい案件なのだろうが、ベビーカーや親子連れへの嫌悪・憎悪を訴えてはばからない声は、ネット上ではそれほど珍しくもない。公共交通機関を利用する子ども連れの保護者を「子連れ様」などと揶揄して煙たがる人がいることも事実だ。

 Twitterには「#子連れ様」「#ベビーカー様」「#妊婦様」というハッシュタグも存在しており、ベビーカーを利用しての子連れの外出、公共の場における子どもの泣き声などについて否定的な意見が多く投稿されている。「ベビーカーには席を譲りませんマーク」に対しても「素晴らしいマークですね」「こういうシールが販売されたらありがたい」などと賛同する声がある。

子を殺しかねない悪質な嫌がらせ「抱っこ紐外し」も
 今年9月には、赤ちゃんを抱いている「抱っこ紐」のベルトのバックルが外されるという非常に危険な事案も報告され、危機意識が共有されることとなった。Twitterで拡散された目撃情報によれば、やや混雑するバス車内でベビーカーを畳んで赤ちゃんを抱く母親がいたが、中年女性がいきなりバックルに手をかけ、外したのだという。母親は咄嗟に赤ちゃんを支えてなんとか事なきを得たそうだが、親子の背後で犯行に及んだ中年女性は笑っていたという。あまりに恐ろしい光景だ。

 9月20日放送の『スッキリ!』(日本テレビ系)が、この危険かつ悪質な加害行為「抱っこ紐外し」について特集すると、SNSでは恐怖や怒りを訴える意見のほか、バスや電車など交通機関における目撃談や体験談の投稿が複数寄せられた。それほど私たちの社会は、幼い子どもや親への悪意に満ちているのだろうか。

[wezzy_blogcard 69415]

「優しくして」は「特別に優遇して」じゃない
 ネットでは、妊婦やベビーカーの子連れに「これ以上優遇すべきでない」「つけあがり、マナーの悪い妊婦や子連れが多い」といった論調を振りかざすユーザーたちがいる。しかし、そもそも本当に妊婦や子連れは“優遇”されているのだろうか。

 今年11月、二人乗りのベビーカーに双子を乗せていた女性が名古屋市の市バスから乗車を拒否された。新聞やテレビもこのことを取り上げ、市バスの対応に疑問の声が相次ぐなどして。多胎育児の困難さも浮き彫りになった。

[wezzy_blogcard 70597]

 妊婦や子連れが安全に外出できるよう、困難やリスクを改善しようという試みもある。2015年に誕生した「マタニティを応援するマーク」は、ある一般男性が妻の妊娠中の大変さや肩身の狭さを感じたことをきっかけに、「妊婦さんを応援したい」という思いで作成したもの。鞄などにつけることで、街中で妊婦さんを応援する意思を表明できる。

 

「マタニティを応援するマーク」Twitterアカウント@maternity_papaより
 男性はクラウドファンディングなどを活用して「マタニティを応援するマーク」を1万個以上生産し、2017年からは都内の一部の区や市のほか、三重県四日市市の役所や保健所窓口、子育て支援団体で無料配布をしているほか、ウェブサイトでも販売している。

 また、今年6月からは東京都世田谷区の区役所や区民センターで「赤ちゃん泣いてもいいよステッカー」の配布がスタートした。街中での子どもの泣き声に理解を示し、親の心理的負担を失くす目的のもので、ステッカーをスマホなどに貼って利用することで「泣いてもいい」という意志を表明することができる。

 

「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」Twitterアカウント@Welovebaby_pjより
 「赤ちゃん泣いてもいいよステッカー」は、インターネットメディア「ウーマンエキサイト」を運営するエキサイト株式会社が展開する「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」の一環で作成され、現在では三重県など14県にも同様の取り組みが広まっているという。

 こうしたステッカーの取り組みは、妊婦や子連れに好意的な人々を可視化させ、社会の許容力を高める一助になるかもしれない。なにより、妊婦や子連れだけを「特別に優遇する」ものではなく、安心して子育てするための空気づくりを担う取り組みだ。

 妊婦や子どもに限らず、高齢者や障害者、病気の人などに対して「優しくしましょう」という啓発は、日本に住む多くの人々が小学校から散々、受けてきたものだろう。けれどもそれは「自分は元気なのだから」という前提があって、疲弊し荒んだ状態のときには「自分も優しくされたい」と思うのが自然だ。その「優しくされたい」気持ちが裏返り、「なぜあいつらばかり優遇されるのか」という憎悪に発展している側面もあるように思える。特別な人にだけ特別に優しくする社会への違和感、とでもいうのだろうか。

 これは親子連れへ憎しみを向けてはばからない人々を擁護する意図ではまったくないので誤解のないようにしたいが、彼らだけの歪んだ価値観に起因すると言ってよいのかどうか。基本的な対人関係が「優しさ」を欠き、雑な扱いが「普通」とされている日本社会全体の問題といえるのではないか。子どもをごく当たり前に許容する人たちが大多数の、子育てしやすい社会でありたいが、ではどうすればそのような社会が築けるのか。この問題は、実は根深く広範囲につながっているように思えてならない。

 ちなみに厚生労働省が先日発表した人口動態統計の速報によれば、2019年1~9月に生まれた子どもの数は67万3800人で前年同期に比べ5.6%マイナス。出生数の減少ペースはさらに加速している。令和婚も増えているように見えるかもしれないが実際は急増などしてもおらず、令和のベビーブームも来そうにない。政府が本気で少子化対策をするのなら「安心して子育てするため」の政策をどれだけたくさんやってもまだ足りないほどだろうが、まず「生み育てたい」と思えるような空気がない限り状況は好転しないだろう。

消費増税を続ければ、日本はどんどん貧しくなっていく/井上純一インタビュー

 日本経済の行き詰まりが続いている。賃金は上がらず、消費も伸びず、大手企業の冬のボーナスが100万円近いといっても庶民の生活は変わらずに苦しい。10月1日には消費税が10%になった。今後の景気動向はますます厳しくなっていくと予想されている。すでに、2019年度の国の税収は当初見込みの62兆4950億円から1~2兆円規模で大幅に減る見通しとの報道も出ている。

 なぜ日本経済はこのような状況に陥り、抜け出す糸口すら掴めないのか? 経済に関する知識を解説する人気コミック『キミのお金はどこへ消えるのか』『キミのお金はどこへ消えるのか 令和サバイバル編』(いずれもKADOKAWA)は、政府や国民が抱く根本的な勘違いを分かりやすく教えてくれる。

 作者である漫画家の井上純一氏は、現在の日本がやるべきことは消費税の増税などではなく減税であり、医療・教育・福祉への投資であり、公共事業の充実であると主張する。いったいどういうことなのか。話を聞いた。

 

【井上純一】
1970年生まれ、宮崎県出身。漫画家、ゲームデザイナー。玩具会社・銀十字社の代表取締役。漫画家としての主な著作に『中国嫁日記』(KADOKAWA)、『中国工場の琴音ちゃん』(一迅社)などがある。『キミのお金はどこへ消えるのか』シリーズの続編『それって全部お金デスヨ!!』の連載が、電子エンタメ小説誌「カドブン ノベル」(KADOKAWA)2019年12月号から始まっている。

分かりやすさの罠
──国が教育・医療・福祉にお金をかけないで「弱者バッシング」を繰り返していくことは、人権の問題であるのみならず、そもそも経済政策として間違っているというのが『キミのお金はどこに消えるのか』で訴えられていることのひとつだと思います。
 日本では福祉がカットされ、富める者はますます富み、弱者はますます虐げられています。さらに選挙結果を見ると国民はそれを支持しているようです。どうして日本はここまで緊縮財政の方向に進み、また、それを国民が支持する状況になってしまったのでしょうか?

井上純一(以下、井上) 僕もそれに関してはよく考えたんですけど、ようやく掴めてきたのは、「分かりやすいから」ということだと思うんですね。

──分かりやすい。

井上 そう。それはみんなが「自分の感じていること」をベースに物事を考えてしまうから。
 たとえば、「国=自分」と短絡的に考えて「日本(自分)には1000兆円の借金があって、このままでは財政破綻してしまう!」と言われたら、「節約して借金を返さなければ!」となりますよね。

──まあ、なりますね。たとえば自分の家に借金があるなら、食費や交際費を削って返済にあてようと思います。

井上 ですよね。そう考えてしまいがちです。それは、発言に影響力のある財界人も同じでした。
 先日、ファーストリテイリング代表取締役の柳井正さんが「日経ビジネス電子版」のインタビューで「国の歳出を半分にして、公務員などの人員数も半分にする。それを2年間で実行するぐらいの荒療治をしないと」と発言して話題になっていましたよね。
 これはミクロの視点で言えば正しいんですよ。民間の会社であれば、売上規模を変えずに社員を半分にすれば、人件費がなくなったぶん利益が出ますから。
 でも、企業と国は違う。企業は雇用を減らすことで経費を減らし、儲けを増やすことができますけど、国は人を捨てられないじゃないですか?

──なるほど。企業と国ではコストカットのやり方が全然違いますね。

井上 それをすると、経済政策によって人を殺すことになってしまうんですよ。そんなことはできるわけがない。
 まあ、いまの日本の政府にはそれをやろうとしている人たちがいるみたいで怖いんですけど……。

 

井上純一氏(撮影:編集部)
「弱者バッシング」はなぜ起きる?
──確かに、いまの日本にはそういった恐ろしさがあると感じます。その延長線上には、生活保護受給者などの社会的弱者がバッシングされる流れもありますよね。

井上 そうですね。これも分かりやすいから起こる現象です。
 行動経済学では「儲けたお金よりも、失ったお金の方が多く感じる」という人間の心理が説明されています。
 たとえば、1円ももらえないときには別に損とは思わないですけど、100円もらった後にその100円を取られると損したように感じませんか?

──損した気分になりますね。

井上 このように人間の心理には「マイナスの方を大きく認識する」という傾向がある。
 だから、生活保護の不正受給率なんてたった0.4%程度しかないのに、「生活保護をもらっている奴はみんなズルをしている。そんなことに俺たちの金を使うな」という意見が出てくるんです。

──いわゆる「生活保護バッシング」ですね。そういった世論を背景に安倍政権は生活保護費の削減を進めています。

井上 「弱者に対して金を使うな」という声が起こることで貧困層への支援がなくなり、そうした人々はますますお金を使うことができなくなっていく。
 これが続くとどうなるか?
 国の経済規模が縮小していくんですよ。

──なにもいいことがないじゃないですか。

井上 特に日本は国内総生産(GDP)の6割を個人消費が占めているので、みんなに消費の余裕が出て、みんながお金を使う方がいい。だから、貧困層がお金を得て使うことはなにひとつ悪いことじゃない。そのほうが景気も良くなるし、税収も上がります。

──私たちの社会は、なぜ、わざわざ自分で自分の首を絞めるようなことをしているのでしょうか?

井上 行動経済学の考え方では「地位財」というものがあります。
 「他人と比較することによって価値の生まれる財産」といった考えで、具体的には「自分よりも下だと思っている人間の幸福を認めず、自分より不幸な人がいることで安心する」という現象となってあらわれます。
 だから、自分より格下だと思っている人間にいい思いはさせまいと弱者バッシングを繰り返すわけです。
 生活保護だけに限らず、公共サービスへの支出には似たことが起きます。災害救助中の自衛隊が温かい食べ物を食べているとバッシングがあるとか、公共工事はなんでもかんでもムダ扱いしたりとか。
 公務員バッシングもそのひとつ。

──先ほど話に出た柳井さんも「公務員などの人員数も半分にする」と言っていました。

井上 そういった類のバッシングがあるわけです。
 しかし、もともと日本は他の国と比べると、人口1万人あたりの公務員の数が少ない。さらに、現場では非正規雇用公務員の比率がどんどん増えている。
 いま、人手が足りなくて台風の被害を受けた地域の復興に時間がかかっているじゃないですか? もしも、公務員の数が多かったら、もう少し復興が早かったかもしれないし、そもそも被害をもっと少なくできたかもしれない。
 あと、少し前に教師間いじめの問題が報道されていましたけれども、これも教員がもっとたくさんいて職場のストレスが少なかったら起きなかったかもしれないですよね。
 そもそも最近ではこのように地方公務員や教員の人件費を削ることによって大変な弊害が起きているわけです。

──なるほど。

井上 れいわ新撰組の山本太郎さんは公務員の数を増やすよう提言していますが、公務員が多くいて、彼らがきちんとした収入を得ることはなにも悪いことではない。
 正規に雇用された公務員が増えるということは、安定した仕事のおかげでお金を使うことのできる人が増えるわけで、そこで増えた消費はめぐりめぐって自分のもとにも返ってくる。
 そうじゃないと、みんな豊かになれないですよ。

 

『キミのお金はどこへ消えるのか 令和サバイバル編』(KADOKAWA)より。(c)Jun’ichi Inoue (c)アル・シャード/KADOKAWA
「なんで給料が上がらないんだ!」と怒るべき
──そうした状況で、一般庶民の消費をますます冷え込ませる消費増税なんて愚の骨頂というわけですね。

井上 そう! いまやるべきことは消費増税なんかじゃない。消費税の減税であり、公共事業などの充実ですよ。

──そういう認識が世間ではあまり広がっていないように思います。

井上 いまの日本社会にある息苦しさが緊縮的な考え方や緊縮財政によって起きていることはもっと知られた方がいいです。
 ITなどで成功した若手実業家は「貧乏なのはお前らのせいで、そこから抜け出すのは個人個人の力だ」みたいなことをよく言いますよね。
 ある意味では正解なのかもしれないけれど、あくまでそれはミクロな考え方であって、やっぱり国が救わなくていけない人というのは存在するんですよ。
 そして、そういった人を救済することは、まわりまわって自分のもとに返ってくるし、最終的な収支はプラスになる。そのことをしっかり認識すべき。

──本当にそうですね。

井上 この社会をギスギスして息苦しいものにしている責任の一端は、そうした経済政策を望み、支持する国民の側にもあると言えます。
 だから、こうした状況に違和感をもつ人は、心置きなく「国が悪い」って言っていいんですよ。
 「生活保護をもらってる奴はズルしてる」「公務員は恵まれている。もっと数を減らせ」などと言って足を引っ張り合うのではなく、もっとストレートに「なんで給料が上がらないんだ!」と怒るべきです。

──そういう声がもっと大きくなれば、この社会はもっと優しく、心地いいものに変われるのにと思います。

井上 ただやっぱり、こういった考え方は分かりにくいですよね。
 家庭や企業といった単位と国ではお金の使い方が違うけれど、それを理解するのは難しい。
 『キミのお金はどこに消えるのか』でやりたかったのは、「分かりやすさ」がもたらす「罠」を多くの人に知らせることです。
 みなさんは、高級官僚や政治家といった頭のいい人って間違えないし、彼らの言うことは正しいと思っていませんか?

──そう思ってしまいがちなところはあると思います。

井上 歴史を見れば分かりますけど、政治家だって学者だって、頭の良い人は意外と未来の予測を間違えるんですよ。だから、大切なことは、知識を身につけ、自分の頭で考えること。みんなが真っ当な知識を得て、現状について考えること。いまの支配者層・指導者層が言っていることに対して「なにかおかしいぞ」と疑問をもつこと。そのうえで、「なんで給料が上がらないんだ!」という声を起こすなり、緊縮的な政策ではない政党に投票するなりすること。
 みんなが正しい知識をもつようになれば、世の中は少しずついい方向に進むのではないかと考えて『キミのお金はどこへ消えるのか』を描いています。
 自分たちの未来を変えられるのは、自分たちだけなのです!

(取材、構成:編集部)

メルカリで「悪い」評価を避ける方法 失敗例と簡単にできる対策!

メルカリで「悪い」と評価されてしまったこと、ありますか?

 「悪い」評価をされると、落ち込みます。お酒の席で、よかれと思って余計な一言を発してしまった翌日の朝くらい、落ち込みます。

 というわけで今回は、わたしがどんな理由で「悪い」と評価されてしまったか、その事例と、どうすれば「悪い」評価を避けることができたのか? の対策を書いていきます。

フリマアプリの「評価」とは…?
 そもそも「評価」とは、いったい何なのか? メルカリを始めフリマアプリでの取引は、最後の「評価」をもって、終了となります。購入者、出品者の双方が、取引の際の相手の印象や、届いた商品の状態などをもとに、「良い」「普通」「悪い」の3段階の評価をつけるのです。(※1)

 この評価は、商品を購入する際の判断材料のひとつになります。当然「良い」評価が多い出品者は信頼でき、「悪い」評価が多い出品者とは、あまり取引をしたくない、と感じる方が多いと思います。

 また1度ついてしまった「悪い」評価は、消すことができません。フリマアプリでは、複数のアカウントを持つことができないので、一生消えない「悪い」の傷が残ってしまうのです。

 「悪い」評価がついてしまった後に、「違うんだよ! これは、アレコレこういう事情があって……」と言い訳したくても、なすすべもなく。ただただ落ち込むのみなのです。

 では、改めて、わたしの取引の中から、付いてしまった数少ない「悪い」にまつわる体験談と、できたかもしれない対策をお届けします。

悪い評価が付いた例 パターン1「匂い」
【購入者からの評価】
商品から刺激臭がしました。

【出品者からの言い訳】
 梱包前に、よかれと思って、商品をアルコール除菌シートで拭いたことが、匂いの原因と思われます。わたしは、匂いに極めて鈍感なので、気付くことができませんでした。

【こうすればよかった!対策】
 発送したことを知らせる際に、取引メッセージで「梱包前に、アルコール除菌シートで、商品を拭いたので、多少匂いが残っているかもしれません。」と送っておけば、ていねいに除菌してくれたのか? と、逆に「良い」評価になったかもしれません。

 後悔先に立たずとは、このことです。

悪い評価が付いた例 パターン2「不良品?」
【購入者からの評価】
何度やっても正常に動作しません。

【出品者からのいいわけ】
 こちらは、カードを入れて読み込む、子ども用の知育玩具に対して、ついてしまった「悪い」評価です。こちらの商品は、元々購入時からカードの情報をうまく読み取れないことが多々あったため、わたし自身もメーカーに問い合わせたことがありました。

 ですので、商品紹介ページには「元々接触が良くなく、カードが読み取れないことがあるので、難ありということで、相場より安く出品します。」と、注意書きをしておいたのですが…。

【こうすればよかった!対策】
 商品紹介ページを、ちゃんと読んでくださる方もいれば、あまり読まずに購入される方もいます。購入いただいた後に改めて、取引メッセージで「商品紹介ページにも書きましたが、元々接触が良くなく…(以下略)」と送っておけば、「悪い」評価は避けられたのか? どうなのか?

 今更悔やんだところで、あとの祭りです。

悪い評価が付いた例パターン3「髪の毛?」
【購入者からの評価】
髪の毛のかたまりが入っていました。

【出品者からのいいわけ】
 こちらは、使わずにしまってあった、毛糸をまとめて出品した時のことです。ついてしまった「悪い」評価を見て、「梱包の際に何度も確認したのに、そんなわけない!」と思った後、ふと思い出しました。

 大量の毛糸の中に、ぱっと見髪の毛と見間違えてしまうような、極めて細い黒の毛糸があったことを……。もしかしたら、購入された方は、見た瞬間「わっ! 髪の毛」と思い、そのままゴミ箱に? などと想像しつつも、大変申し訳ない気持ちになりました。

【こうすればよかった! 対策】
 こちらも、取引メッセージで事前に「ぱっと見髪の毛と見間違えるような、細い黒い毛糸があります。」と送っておけばよかったのでしょうか。いや、そんなメッセージを送ったら、受け取った側に、逆に「めんどくさいやつなんじゃ?」と思われかねない、そんな気もします。

 転ばぬ先の杖が、良い方向に働くとも限りません。

悪い評価が付いた例パターン4「思ったより…」
【購入者からの評価】
思ったより大きかったです。

【出品者からのいいわけ】
 商品紹介ページに、商品のサイズは細かく書いておいたので、こればっかりは「知らんがな」です。十人十色、世の中には、いろいろな人がいるものです。

「悪い」評価を避けるために…
 わたしに限らず、「悪い」評価のコメントで、よく見かけるのが「傷や汚れ」「髪の毛」「匂い」です。特に洋服などの場合をは多く、出品をする際は以下の点に気を付けてみてください。

・傷や汚れは隠さず、写真に撮ってUPすること。面倒な場合は「〇回以上着た中古品ですので、傷や汚れの見落としがあるかもしれません!」など、正直に書くこと。
・梱包の前に、必ずコロコロをかけること、ポケットの中なども確認すること。
・世の中には匂いに極めて敏感な人がいると意識すること。
 やった! 売れた! からの、突然の「悪い」評価で、ムダに落ち込まないためにも、できる限りの対策を! どこまですればいいのやら、ですが。

※1 PayPayフリマでは、購入者側からの評価のみ

生理をオープンにするかしないかの前に「正しい情報」は知られているか

大丸梅田店5階フロアに新たにオープンした「ミチカケ(michi kake)」の売り場従業員が任意で“生理バッジ”をつける試みが、中止となった。

 この売り場では「隠すべきこと」「恥ずかしいこと」とタブー視されてきた女性の性と生理をオープンにし、“月のみちかけのように、あなたのリズムに寄り添う”をコンセプトに生理用品や下着、セルフプレジャーグッズや漢方など様々な商品を販売していく。

 その取り組みの一環として、「生理バッジをつけて生理中であることを知らせれば、従業員同士の互いを気遣うコミュニケーションにつながるのでは」という意見が社内で上がり、試験的に生理バッジを導入。

 強制ではなく任意だが、「生理にかかわらず体調の悪い人は気遣えばいい」「セクハラを受けるかも」といった懸念から批判も巻き起こり、大丸はバッジ着用の中止を判断したという。「つけなくてはならない」という同調圧力を心配する声や、「生理バッジよりも生理休暇の取得が大切」という指摘もあった。

 生理も性も、隠すべきでも恥ずべきでもないが、同時に個人のプライバシーである。「隠したほうがいい」と言うことと、「隠さずオープンにしたほうがいい」と言うこと、どちらも個人のプライバシーに踏み込みすぎている。

 たとえば、生理用ナプキンを購入した際に紙袋や黒いビニール袋など“中身が隠れる袋”に入れることが“普通”とされているが、「私は透明なビニール袋でいい」という女性もいれば、「紙袋に包んでもらいたい」と希望する女性もいるだろう。ユニ・チャームの生理用品ブランド「ソフィ」は隠さなくて済むようなデザインのパッケージをデザインし、12月3日から全国で限定発売を開始するが、これは選択肢の幅を広げるものであり、「隠さずオープンにすべき」と強要しているわけではない。

 性も生理も、生物としての自然な現象だ。特別な意味を持たせて隠したり、エッチな扱いをしたりという偏見が、個人の選択を狭めてしまう。オープンにするかどうかは個々の判断であり「どちらがいいか」などと議論すること自体おかしいが、まず偏見や誤解をほどく性教育の学び直しが全世代に必要だろう。

「痛み止め飲まずに生理痛我慢」の誤解
 今月27日放送の『あさイチ』(NHK)の特集は生理についてだった。番組では、産婦人科医の・高尾美穂氏を招き、生理についての「正しい知識」を紹介した。

 そこで紹介された生理についての「正しい知識」はたとえばこうだ。一般的に生理中は睡眠の質が悪くなるため、日中に眠気を感じてしまう。そういった場合は、昼寝をとるなどの対策も有効だ。また鎮痛剤の使い方についても誤解が生じている。

 生理がある・あったはずの女性でも、その体感は千差万別で、他者の体調を思いやれないことは多々ある。生理痛で辛い時に痛み止めを飲むか否かについてゲストの坂下千里子は、痛み止めは飲めば飲むほど効果が薄れると考え、極限になるまで飲むことを我慢したこともあるという。また同じくゲストのLiLiCoも、<(痛み止めは)一切飲まない。痛くてもこれは生きている証拠>と話した。

 しかし高尾氏は「それは誤解」と説いた。「痛み止めを飲み過ぎると効かなくなっちゃう」と懸念する患者の声が多いそうだが、用法用量を守れば効果が薄れる等の心配はないという。

 高尾氏<今の考え方としては、生理は病気じゃないです。でも、生理痛は病気なんです。なので、『困っていることには対策をしよう』というのが私たちからのおすすめにはなっています>

 生理の知識は当事者である女性だけが持っていればいいわけではない。男女が共に暮らしていくためには、男性も生理がどういったものなかのか知っておく必要がある。でなければ相手の体調不良を気遣うことも出来ないからだ。

 番組では生理について誤解している男性からの何気ない一言で女性が傷つくなど、具体的なエピソードも紹介された。しかし女性の側にもまた、生理や性への偏見および知識不足がないわけではない。

 MCの博多華丸・大吉は生理用品を「見たことはもちろんある」けれど、「どうやって開けたらいいか、どうやって使ったらいいかは、わかってるようでわかってないですよ」と率直に話した。すると坂下千里子が「すごい詳しかったら、やだ~、逆に」と苦笑する場面があった。坂下の反応は残念だが、珍しいものでもないだろう。

 番組では、男の子に生理を教える活動をしている医師夫婦のプロジェクト「アストロン」を紹介。アストロンは公立学校の保健の授業で4年生を対象に性教育を教えているという。生理用品の使い方、仕組み、個人差まで具体的に教える。番組では生理について扱うにとどまったが、性教育の範囲はその限りではない。

 男女ともに生理の正しい知識を身に着けること、および性教育を受けることは、自分や他者の体を気遣い、大切に扱うことにつながっていくだろう。今の子供だけにすればいいというものでもなく、生殖に関する簡単な知識しか教わらなかった、あるいはそれすら学ばなかった世代も多い。テレビというマスメディアを使い、性にまつわる行動の誤解や偏見をほどく企画は、何度繰り返し放送しても「やりすぎ」ということはないだろう。

女児誘拐事件から考える、「家出したい子ども」を社会はどう受け止めるか

 11月、女児誘拐事件が連続して発覚した。一件目は、大阪府に住む小学6年生の少女が行方不明になり、栃木県に住む男の家から逃げ出した事件だ。伊藤仁士容疑者は今月10日ごろ、SNSを通じて「半年くらい前に来た女の子がいる。しゃべり相手になってほしい。うちに来ない?」と少女を誘い出し、在来線を乗り継いで栃木県の自宅に連れ込んだという。

 自宅に着くと伊藤容疑者は少女のスマートフォンを奪い取り、連絡手段を遮断。その後、少女は伊藤容疑者の家から抜け出し、近くの交番に駆け込み、保護された。伊藤容疑者の自宅には別の中学生の少女もおり、そちらも栃木警察は保護している。

 二件目の事件は今月27日に発覚。埼玉県で不動産業を営む阪上裕明容疑者が、家出希望の中学生を自宅に住まわせていたとして、未成年者誘拐の容疑で逮捕された。阪上容疑者は今年8月ごろ、Twitter上で家出願望を吐露していた中学生の少女に「相談にのるよ」「勉強するなら養ってあげる」などと声をかけて誘い出し、自分が管理する借家に住まわせていたという。阪上容疑者には、妻と子どももいた。

 阪上容疑者はさらにもう一人の女子中学生も同じようにTwitterで誘い出し、借家に住まわせていた。2人の少女には宅建の勉強をさせており、「将来、自分の仕事を手伝わせるつもりだった」と供述しているそうだ。

「人助け」だと犯人に同情、擁護する声
 相次いだ少女誘拐事件に、ネット上では様々な声が上がった。「男は少女を保護した」「少女は同意をしていた」と、容疑者を擁護する声も一定数ある。

 保護者の同意を得ずに未成年者を自宅に泊めていたとして逮捕者が出るたびに、「犯人は善意だった」「人助けが悪になるのか」と犯人を擁護する声は必ずわく。数年前、「神待ちサイト」なるものが話題になった際もそうだった。「神待ちサイト」とは、家出を希望する少女を含めた女性が掲示板にその旨を書き込み、自宅に呼びたい大人がそれに応じるというものである。

 ちなみに今も「神待ちサイト」を名乗るwebサイトは複数あるが、そこに表示されている女性たち(性行為と引き換えに食事や宿、金銭を求めている)のうちどの程度が実在するのかは不明。ユーザーが直接、書き込み主の女性とやりとりできるわけではなく、有料ポイント制の「出会い系サイト」への登録を促されるものが多く、サクラの可能性もあるだろう。

 ただ、売春を希望する少女や女性がいないわけではない。さまざまな理由から家出を望む少年少女もいるだろう。Wezzyでは2017年、家出した未成年への適切な対応について記事にしたが、『警察専門相談電話』#9110を紹介した。『警察専門相談電話』#9110は、発信すれば地域を管轄する各都道府県の警察総合相談室などの相談窓口に直接つながる。

 しかし、それ“だけ”が最適解だというわけではない。ここで思考停止してはいけないのだろう。今年3月、児童相談所で児童心理士として働いた経験を持つ心理カウンセラーの山脇由貴子さんに児童虐待について取材した際、「警察や児童相談所が、保護される子どもたちにとって居心地の良い場所とは限らない」との問題を指摘していた。

[wezzy_blogcard 64441]
[wezzy_blogcard 64454]

「非行児童」として補導される
 山脇さんによれば、本来は虐待被害者として保護すべき児童なのに、非行という形で現れてしまっている複雑なケースもあるという。

 家庭になんらかの問題や事情があり、家に帰れず夜間徘徊をしている子どもが非行児童として保護され、家庭環境などを確認されることもなく、親元に帰されてしまう……そうしたことがあると、子どもの側も「警察には頼れない」「自分の味方ではない」と感じてしまうだろう。

<たとえば万引きで捕まえても、一度は児相に児童虐待の履歴がないか確認するなど、情報共有は徹底してほしいと思います。万引きにしてもなぜしたのか、家に食べ物がなかった可能性だってある。親に連絡するとかえってその子供が危険なケースだってあるわけです>

 また、児童相談所や保護施設には集団生活を送る上でのルールがある。ルールは必要だが、それも子どもにとって居心地の良い場所づくりのためであることを念頭に置き、改善していってほしい。山脇さんによれば、私語厳禁でスマートフォンやゲーム機の他、洋服といった私物の持ち込みも禁止、1日のスケジュールが細かく決まっており自由時間はほぼない……といった施設もあるという。

 こうしたことから、警察に通報して任せておけばそれですべてのケースが解決するといえるわけではない。児童はあくまでも保護対象であることが大前提だが、親や警察に対しての信頼を失い猜疑心を抱く子どもも存在することまで含め、児童のSOSを受けたときのより良いかかわり方を模索していく必要があるだろう。