怒号飛び交う美奈子一家の『ザ・ノンフィクション』 母の夫は「父親」でなければならないのか

『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)は13日、「ビッグダディ」こと林下清志さんの元妻としてTVバラエティで有名になった美奈子さんの家族に密着した「新・漂流家族 2019夏 ~美奈子と夫と8人の子供~ 前編」を放送した。今年2月に放送され大きな反響を呼んだ「新・漂流家族」の続編にあたり、20日に後編が放送予定となっている。

 美奈子さんは2015年5月に元プロレスラー・佐々木義人さんと再婚。義人さんは初婚で、美奈子さんは4度目の結婚だ。2017年4月に第七子となる六女が、昨年11月には第八子となる七女が誕生した。一家は埼玉県で4LDKの中古一戸建てに住まいを構えている。

 今年2月に放送された「新・漂流家族」は、主に美奈子さんが七女を妊娠している時期に密着した内容だった。“正義感が強く綺麗好きで几帳面な性格”だという義人さんと美奈子さんは育児方針を巡る夫婦喧嘩が絶えず、特に長男(当時18歳)、長女(当時16歳)と義人さんの関係は良好ではなかった。夫婦喧嘩によって義人さんは家出を繰り返し、「離婚」を口にすることもあったが、夫婦は和解。義人さんは確執のある長男と長女にも「父親だと認めてもらえるよう、色々な問題を解決して頑張りたい」と語っていた。

 それから半年あまり。「新・漂流家族 2019夏」は、2月の放送から2週間後の家族の様子から、始まった。美奈子さんと義人さんは相変わらず育児方針で喧嘩をしているが、「それ以外で喧嘩することはない」という。ただし両者ともに「全然引かない、引きたくない」ため、家にいても子どもたちに悪影響だと思い、義人さんは喧嘩になると家出するそうだ。とはいえ、夫婦仲が険悪というわけではないように見えた。

 一方で、義人さんと長男・長女との確執は続いていた。義人さんとの衝突に嫌気が差して家を出た長男は「新・漂流家族」の後編放送にて、番組スタッフに「(家族とは)もう関わらないつもりで縁も切ろうと思います。なんかもう面倒くさいので」と語っていた。長女も「お父さんは頭が固い」「今は我慢して、18歳になってひとり暮らしできれば」と距離を置く。

 もうすぐ20歳を迎える長男は、通信制高校を中退し、知人宅を転々としながらその日暮らしの生活を送っていた。今は特に仕事はしていないという。そんな長男に、美奈子さんは義人さんが心配していることを伝え、「よっちゃん(義人さんとも)うまくいって欲しいと私は思っている」「(義人さんは)“ちゃんとお父さんにならなきゃ”って一生懸命頑張りすぎちゃって、力んじゃっている感じ。今までお父さんが何人かいたじゃん。私の目線から言わせると、誰よりも子どものことは思っている気がする」「家族みたいになれたらいいなとは思っている」「みんなで仲良くなれたらそれが一番だよね」と語りかける。長男も義人さんについて「下の子に対してはすごく優しい」とは思っているという。しかし、彼は今さら、“母の再婚相手”と、“父と息子”の関係を気づかなければいけないのだろうか。

 美奈子さんは番組スタッフに、自身が16歳の時に誕生した長男について「父親の愛っていうのを知らないのかなって。父親によって愛情のかけられ方が違うから、どれが本物なの?って思っちゃってんのかな」「ちょっと遅い反抗期がきてるのかな」と言い、義人さんに相談する。しかし義人さんは、「近くで住まいを……」という美奈子さんの提案に反対する。家で生活しながらアルバイトでお金を貯めてやりたいことを見つけるべきというのが義人さんの考えだ。

 義人さんは長男を手厳しく批判。

「一回落ちるところまで落ちればいい」
「あいつ(長男)がはっきり言ってなまくらで、ボケボケボケボケ生きてきただけだろ」
「(以前スマホの利用時間で注意してきたことなどは)これまであいつのために言ってきたのにわかっていない」
「わかってきていないことが今結果に出てんだよ」
「ああいうふうになってほしくなかったから今まで色々言ってきたんだよ」
「家に戻ってきても逆効果だと思うよ」

 夫による息子への批判を聞く美奈子さんの目からは、涙が流れていた。美奈子さんは、番組スタッフに、「(長男は)ひとりで生きていける力はまだないのかなって私は思っちゃうけど、甘いのかな? わからないんだけど。何が正解かよくわかんなくて。でも今は助けてあげたいっていう気持ちがある」と心情を吐露するのであった。

 17歳になった長女もまた、高校を中退した。番組スタッフに理由を聞かれた長女は「将来したいことが見つからなくて。ダラダラというかズルズル学校続けちゃった感じで」と語る。高校生の時点で将来の職業を明確に定めている生徒など決して多くないだろうが、当初は反対していた美奈子さんも「自分にやる気がなかったら続かない」と納得したそうだ。

 長女は義人さんについて「今までの生活習慣を急に変えるって結構きついじゃないですか。それを押し付けるかのように、俺が父親になったんだからこれはこうしろよ、みたいなのが、ちょっと違うんじゃないのかなって思います」と、冷静に不満を述べる。家を出て自立して距離を置きたいそうだが、それならばなおのこと、高校を卒業して「やりたい仕事」かどうかわからなくとも就職するという選択肢を残したほうがよかったのではないか。

 長女の高校中退について義人さんは「がっかりしましたね」と憤り、「高校やめるなら家を出ていけ」「他の子に影響を与えちゃうから」ときつく言ったのだという。長女が門限を守らなかったことなどにも触れ、「今となってはどうでもいい」「お好きにどうぞって感じです」「俺からは手を差し伸べない」「誰に言われても俺の気持ちは変わらない」と、突き放していた。

 

長男への誤解
 「新・漂流家族」は、ステップファミリーの物語だ。あくまでも“父親”になろうとする義人さんと、そのやり方に反発する子供たち。母親が再婚したとはいえ、いきなり「父親として接するから、息子・娘として振る舞うこと」を要求されれば、うまくいくものもいかないだろう。子供らの母親は美奈子さんだが、美奈子さんの夫で幼い子らの父親である義人さんが、長男や長女の“父親”でなければならないという道理もない。「父親になりたい」のは、義人さんの勝手だろう。たとえ子供たちのため、良かれと思ってしていることだとしても、それが長男や長女をひどく傷つけていることについてはどう考えているのだろうか。

 今回、長男と義人さんの関係にわずかだが雪解けを感じる変化が生じた。3月、家を出ていた長男が突然帰宅したのだ。長男は「俺ひとり暮らししようと思って、こっちでバイト探そうと思って、新しい家が決まるまででいいんだけどその間、(家に)いさせてくれない?」と義人さんに頼み、義人さんの答えは「全然いていいよ」。

 しかし、家出後に職を転々としていたという長男の話を聞くと、義人さんは怒り出した。

「屁理屈にしか聞こえない」
「今まで何十個もバイトしてきているだろ。それじゃあもういい加減ダメだよ」
「やりたいことはないけど、何かのためにお金を貯めていくんだよ」

 そして医薬品の「治験モニター」のバイト(高収入だがリスクも伴う)をしたいという長男に、激高。

「ふざけるな」
「お前腐ってるな」
「ちゃんと真面目に仕事して金貯めていくんだよ!」
「そんなのやれよって言う親がいるかよ!」
「お前自分の子どもができて、そんなこと言ったらどう思う?」
「そんな簡単に稼げねーんだよ、金なんて」
「色々なことから逃げているんだよお前は」
「逃げすぎてる。逃げすぎて逃げすぎて19歳」

 反論の隙を与えない罵倒。だが、長男の高校進学に関して、義人さんはある誤解をしていたことが発覚する。中学卒業後、長男が三重県の通信制高校の料理人コースに入学したことについて義人さんは、美奈子さんが決めたことで長男の意思ではないと認識していたが、長男は「決めた理由が違うよ」と涙ながらに事実を語ったのだ。

 長男は友達と同じ普通科高校に行きたかったが、「(美奈子さんに)お金がどうのこうのと言われたから自分で稼いでいける学校にした。行きたかった、(友達と同じ)高校に」と本音を明かした。その当時、美奈子さんと義人さんは結婚したばかりで経済的に余裕がなく、美奈子さんは長男に「自分で学費出してくれたら助かる」と言っていたのだ。

 義人さんはこのことを知らなかったと言い、長男に「それは悪かった。ごめん」と謝罪。「俺もお前のことずっと気にしていた。お前が家からいなくなった時もすごく寂しかったし」「お前はこの家に住んで、やりたいことを見つけて生活してみろ」と、一転して優しさを見せる。番組スタッフにも「あいつも本当に困っていたと思います」と長男を慮る。ただ一週間後、やはりひとり暮らしをしたいと考える長男は、アルバイトの面接に向かうのだが。

 ステップファミリーとして、「うまくいかない」様子をありのままに見せてきた佐々木家の「新・漂流家族」。幼い子供たちが大勢いる家庭で怒号が飛び交う映像に、「見ていられない」「つらい」という視聴者の感想も多い。だが義人さんも美奈子さんも「ウチはウチだから、これでいいんだ」と開き直っているわけではない。結婚から4年、今もずっと家族での生活をもっと良いものにしたいと模索中で、正解を探している。

 次週「後編」が放送されても、彼らの日常はまだ続く。そこに正解はなく、簡単にたどり着けるハッピーエンドもないのだろう。

怒号飛び交う美奈子一家の『ザ・ノンフィクション』 母の夫は「父親」でなければならないのか

『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)は13日、「ビッグダディ」こと林下清志さんの元妻としてTVバラエティで有名になった美奈子さんの家族に密着した「新・漂流家族 2019夏 ~美奈子と夫と8人の子供~ 前編」を放送した。今年2月に放送され大きな反響を呼んだ「新・漂流家族」の続編にあたり、20日に後編が放送予定となっている。

 美奈子さんは2015年5月に元プロレスラー・佐々木義人さんと再婚。義人さんは初婚で、美奈子さんは4度目の結婚だ。2017年4月に第七子となる六女が、昨年11月には第八子となる七女が誕生した。一家は埼玉県で4LDKの中古一戸建てに住まいを構えている。

 今年2月に放送された「新・漂流家族」は、主に美奈子さんが七女を妊娠している時期に密着した内容だった。“正義感が強く綺麗好きで几帳面な性格”だという義人さんと美奈子さんは育児方針を巡る夫婦喧嘩が絶えず、特に長男(当時18歳)、長女(当時16歳)と義人さんの関係は良好ではなかった。夫婦喧嘩によって義人さんは家出を繰り返し、「離婚」を口にすることもあったが、夫婦は和解。義人さんは確執のある長男と長女にも「父親だと認めてもらえるよう、色々な問題を解決して頑張りたい」と語っていた。

 それから半年あまり。「新・漂流家族 2019夏」は、2月の放送から2週間後の家族の様子から、始まった。美奈子さんと義人さんは相変わらず育児方針で喧嘩をしているが、「それ以外で喧嘩することはない」という。ただし両者ともに「全然引かない、引きたくない」ため、家にいても子どもたちに悪影響だと思い、義人さんは喧嘩になると家出するそうだ。とはいえ、夫婦仲が険悪というわけではないように見えた。

 一方で、義人さんと長男・長女との確執は続いていた。義人さんとの衝突に嫌気が差して家を出た長男は「新・漂流家族」の後編放送にて、番組スタッフに「(家族とは)もう関わらないつもりで縁も切ろうと思います。なんかもう面倒くさいので」と語っていた。長女も「お父さんは頭が固い」「今は我慢して、18歳になってひとり暮らしできれば」と距離を置く。

 もうすぐ20歳を迎える長男は、通信制高校を中退し、知人宅を転々としながらその日暮らしの生活を送っていた。今は特に仕事はしていないという。そんな長男に、美奈子さんは義人さんが心配していることを伝え、「よっちゃん(義人さんとも)うまくいって欲しいと私は思っている」「(義人さんは)“ちゃんとお父さんにならなきゃ”って一生懸命頑張りすぎちゃって、力んじゃっている感じ。今までお父さんが何人かいたじゃん。私の目線から言わせると、誰よりも子どものことは思っている気がする」「家族みたいになれたらいいなとは思っている」「みんなで仲良くなれたらそれが一番だよね」と語りかける。長男も義人さんについて「下の子に対してはすごく優しい」とは思っているという。しかし、彼は今さら、“母の再婚相手”と、“父と息子”の関係を気づかなければいけないのだろうか。

 美奈子さんは番組スタッフに、自身が16歳の時に誕生した長男について「父親の愛っていうのを知らないのかなって。父親によって愛情のかけられ方が違うから、どれが本物なの?って思っちゃってんのかな」「ちょっと遅い反抗期がきてるのかな」と言い、義人さんに相談する。しかし義人さんは、「近くで住まいを……」という美奈子さんの提案に反対する。家で生活しながらアルバイトでお金を貯めてやりたいことを見つけるべきというのが義人さんの考えだ。

 義人さんは長男を手厳しく批判。

「一回落ちるところまで落ちればいい」
「あいつ(長男)がはっきり言ってなまくらで、ボケボケボケボケ生きてきただけだろ」
「(以前スマホの利用時間で注意してきたことなどは)これまであいつのために言ってきたのにわかっていない」
「わかってきていないことが今結果に出てんだよ」
「ああいうふうになってほしくなかったから今まで色々言ってきたんだよ」
「家に戻ってきても逆効果だと思うよ」

 夫による息子への批判を聞く美奈子さんの目からは、涙が流れていた。美奈子さんは、番組スタッフに、「(長男は)ひとりで生きていける力はまだないのかなって私は思っちゃうけど、甘いのかな? わからないんだけど。何が正解かよくわかんなくて。でも今は助けてあげたいっていう気持ちがある」と心情を吐露するのであった。

 17歳になった長女もまた、高校を中退した。番組スタッフに理由を聞かれた長女は「将来したいことが見つからなくて。ダラダラというかズルズル学校続けちゃった感じで」と語る。高校生の時点で将来の職業を明確に定めている生徒など決して多くないだろうが、当初は反対していた美奈子さんも「自分にやる気がなかったら続かない」と納得したそうだ。

 長女は義人さんについて「今までの生活習慣を急に変えるって結構きついじゃないですか。それを押し付けるかのように、俺が父親になったんだからこれはこうしろよ、みたいなのが、ちょっと違うんじゃないのかなって思います」と、冷静に不満を述べる。家を出て自立して距離を置きたいそうだが、それならばなおのこと、高校を卒業して「やりたい仕事」かどうかわからなくとも就職するという選択肢を残したほうがよかったのではないか。

 長女の高校中退について義人さんは「がっかりしましたね」と憤り、「高校やめるなら家を出ていけ」「他の子に影響を与えちゃうから」ときつく言ったのだという。長女が門限を守らなかったことなどにも触れ、「今となってはどうでもいい」「お好きにどうぞって感じです」「俺からは手を差し伸べない」「誰に言われても俺の気持ちは変わらない」と、突き放していた。

 

長男への誤解
 「新・漂流家族」は、ステップファミリーの物語だ。あくまでも“父親”になろうとする義人さんと、そのやり方に反発する子供たち。母親が再婚したとはいえ、いきなり「父親として接するから、息子・娘として振る舞うこと」を要求されれば、うまくいくものもいかないだろう。子供らの母親は美奈子さんだが、美奈子さんの夫で幼い子らの父親である義人さんが、長男や長女の“父親”でなければならないという道理もない。「父親になりたい」のは、義人さんの勝手だろう。たとえ子供たちのため、良かれと思ってしていることだとしても、それが長男や長女をひどく傷つけていることについてはどう考えているのだろうか。

 今回、長男と義人さんの関係にわずかだが雪解けを感じる変化が生じた。3月、家を出ていた長男が突然帰宅したのだ。長男は「俺ひとり暮らししようと思って、こっちでバイト探そうと思って、新しい家が決まるまででいいんだけどその間、(家に)いさせてくれない?」と義人さんに頼み、義人さんの答えは「全然いていいよ」。

 しかし、家出後に職を転々としていたという長男の話を聞くと、義人さんは怒り出した。

「屁理屈にしか聞こえない」
「今まで何十個もバイトしてきているだろ。それじゃあもういい加減ダメだよ」
「やりたいことはないけど、何かのためにお金を貯めていくんだよ」

 そして医薬品の「治験モニター」のバイト(高収入だがリスクも伴う)をしたいという長男に、激高。

「ふざけるな」
「お前腐ってるな」
「ちゃんと真面目に仕事して金貯めていくんだよ!」
「そんなのやれよって言う親がいるかよ!」
「お前自分の子どもができて、そんなこと言ったらどう思う?」
「そんな簡単に稼げねーんだよ、金なんて」
「色々なことから逃げているんだよお前は」
「逃げすぎてる。逃げすぎて逃げすぎて19歳」

 反論の隙を与えない罵倒。だが、長男の高校進学に関して、義人さんはある誤解をしていたことが発覚する。中学卒業後、長男が三重県の通信制高校の料理人コースに入学したことについて義人さんは、美奈子さんが決めたことで長男の意思ではないと認識していたが、長男は「決めた理由が違うよ」と涙ながらに事実を語ったのだ。

 長男は友達と同じ普通科高校に行きたかったが、「(美奈子さんに)お金がどうのこうのと言われたから自分で稼いでいける学校にした。行きたかった、(友達と同じ)高校に」と本音を明かした。その当時、美奈子さんと義人さんは結婚したばかりで経済的に余裕がなく、美奈子さんは長男に「自分で学費出してくれたら助かる」と言っていたのだ。

 義人さんはこのことを知らなかったと言い、長男に「それは悪かった。ごめん」と謝罪。「俺もお前のことずっと気にしていた。お前が家からいなくなった時もすごく寂しかったし」「お前はこの家に住んで、やりたいことを見つけて生活してみろ」と、一転して優しさを見せる。番組スタッフにも「あいつも本当に困っていたと思います」と長男を慮る。ただ一週間後、やはりひとり暮らしをしたいと考える長男は、アルバイトの面接に向かうのだが。

 ステップファミリーとして、「うまくいかない」様子をありのままに見せてきた佐々木家の「新・漂流家族」。幼い子供たちが大勢いる家庭で怒号が飛び交う映像に、「見ていられない」「つらい」という視聴者の感想も多い。だが義人さんも美奈子さんも「ウチはウチだから、これでいいんだ」と開き直っているわけではない。結婚から4年、今もずっと家族での生活をもっと良いものにしたいと模索中で、正解を探している。

 次週「後編」が放送されても、彼らの日常はまだ続く。そこに正解はなく、簡単にたどり着けるハッピーエンドもないのだろう。

ズタボロだった浜崎あゆみを救った天使のような長瀬智也

 浜崎あゆみの自伝的小説『M 愛すべき人がいて』(幻冬舎)は、発売後すぐに増刷され爆発的な売れ行きを見せているという。1998年に歌手としてデビューした浜崎あゆみは、翌年にはトレンドを席巻しスターの領域に踏み込んだが、デビュー前からエイベックス代表取締役会長CEOを務める松浦勝人氏に恋い焦がれ、当時のヒット曲はいずれも松浦氏への恋心を綴ったものだったことが同書で明かされた。

 あくまでも小説であり「事実に基づくフィクションである」との前置きはあるが、多く脚色しているとはいえ松浦氏との恋愛は事実なのだろう。子役として芸能界デビューし、サンミュージックに所属する売れないアイドル女優だった浜崎あゆみは、16~17歳の頃にヴェルファーレのVIPルームで松浦氏と出会い、電話番号を聞かれる。

 当初、松浦氏は既婚者なうえ不倫相手までいたため、恋心を秘めたままにしていた浜崎あゆみ。彼への思慕を歌詞に綴り、デビュー前にいくつもの曲を作りためたという。しかしデビュー曲のレコーディングが終わった頃、妻と正式に離婚した松浦氏に浜崎あゆみはラブレターをFAXで送信。すると松浦氏は不倫相手とは別れて浜崎あゆみと真剣交際をはじめ、同棲生活をスタートさせる。

 芸能界の隅っこにいた10代の浜崎あゆみが、30代の大人の男で気鋭の音楽プロデューサーだった松浦氏(しかもオラオラスタイルで引っ込み思案の彼女をグイグイ引っ張っていく)に惚れるのは自然なことだった。当時はまだ「いつか許される日が来たら、私は、マサと私の子供のためだけに歌う母になりたい」と願うほど、浜崎あゆみは“普通”の少女だったようである。

 デビュー前にいくつもの楽曲をストックし、用意周到に浜崎あゆみは売り出された。1998年4月のデビューシングル「poker face」を皮切りに、浜崎あゆみはわずか数カ月で5枚ものシングルCDをリリースした。6月「YOU」、8月「Trust」、10月「For My Dear…」、12月「Depend on you」。いずれもCMや番組のタイアップつきである。この時点で“女子高生”のトレンドになりつつあったが、翌1999年1月のファーストアルバム「A Song for ××」で人気の火はさらに燃え広がった。

 99年も2月、4月、5月と連続でCDをリリースし、7月の「Boys & Girls」はオリコン1位を獲得。こうして浜崎あゆみはたった一年で、松浦氏の計画通りかまたはそれ以上に大きなアイコン的存在となった。ただ、同年11月にリリースした「appears」の歌詞は、二人の関係が終わりに近づこうとしていることを歌っていた。

 2000年には完全に破局。浜崎あゆみが同年4月にリリースした「vogue」、5月「Far away」、6月「SEASONS」は、いずれも別れの悲しみを歌っており、ファンに“絶望3部作”と呼ばれている。12月にリリースした「M」は、松浦氏との決別を意味していたという。

 この小説に浜崎あゆみが寄せたコメントに、「自分の身を滅ぼすほど、ひとりの男性を愛しました」とある。ただ彼女がそれから全盛期を迎え、約10年にわたり日本のヒットチャートTOPに君臨したことを思えば、松浦氏との恋が彼女の身を滅ぼしたとは思えず、むしろ見事な立身出世だ。

 そして当時の浜崎あゆみファンが気になるのは、愛する男(松浦氏)との別れで失意のどん底にあった浜崎あゆみを、立ち直らせた次の恋人の存在だろう。もちろんこの小説には一切登場しないが、破局翌年である2001年に浜崎あゆみはTOKIO長瀬智也との熱愛が発覚している。長瀬智也は「浜崎あゆみさんとは良いお付き合いをさせていただいています」と宣言し、オープンな交際を続けた。この二人があまりにもお似合いだとして、ファンは大いに祝福した。

 

 2002年の曲「independent」や2003年「ourselves」「ANGEL’S SONG」などは、いかにも長瀬との恋愛を歌っているようだ。二人はお揃いのタトゥーをそれぞれの肩(背中側と胸側)に刻み、それはハートマークと翼のイメージになっていた。

<君はとなりに寄り添い ワケのわからぬ事を話してる

不器用にでも何とか 励まそうとしてる>(independent)

<ねえ君は確かに突然現れ私の暗闇に光射した>

<君は背に天使の羽を持つ>(ANGEL’S SONG)

 長瀬智也といえば、フジテレビのニュース番組『FNNレインボー発』を「れいんぼいっぱつ」と読み間違えていたというエピソードをはじめ、天然ボケとおおらかな性格は男女問わず人気。

 小説のラストで浜崎あゆみは、次のように言う。

<二人で作り上げた“浜崎あゆみ”は、マサにも、あゆにも、手に負えないモンスターになってしまったね。でも、このモンスターから、あゆは逃れられないのでしょう。決して逃げてはいけないのでしょ、ねえ、マサ……>

 そして絶望三部作につながるわけだが、絶望から一転、2001年の浜崎あゆみは腰にしっぽをつけて<こんな時代に生まれついたよ だけど君に出会えたよ>と高らかに歌う「evolution」を1月にリリースし、快進撃を続ける。不安や悲しみではなく、希望や愛する人への思いを再び歌っていく。そこに長瀬智也の存在があったことは確かなのだろう。

ズタボロだった浜崎あゆみを救った天使のような長瀬智也

 浜崎あゆみの自伝的小説『M 愛すべき人がいて』(幻冬舎)は、発売後すぐに増刷され爆発的な売れ行きを見せているという。1998年に歌手としてデビューした浜崎あゆみは、翌年にはトレンドを席巻しスターの領域に踏み込んだが、デビュー前からエイベックス代表取締役会長CEOを務める松浦勝人氏に恋い焦がれ、当時のヒット曲はいずれも松浦氏への恋心を綴ったものだったことが同書で明かされた。

 あくまでも小説であり「事実に基づくフィクションである」との前置きはあるが、多く脚色しているとはいえ松浦氏との恋愛は事実なのだろう。子役として芸能界デビューし、サンミュージックに所属する売れないアイドル女優だった浜崎あゆみは、16~17歳の頃にヴェルファーレのVIPルームで松浦氏と出会い、電話番号を聞かれる。

 当初、松浦氏は既婚者なうえ不倫相手までいたため、恋心を秘めたままにしていた浜崎あゆみ。彼への思慕を歌詞に綴り、デビュー前にいくつもの曲を作りためたという。しかしデビュー曲のレコーディングが終わった頃、妻と正式に離婚した松浦氏に浜崎あゆみはラブレターをFAXで送信。すると松浦氏は不倫相手とは別れて浜崎あゆみと真剣交際をはじめ、同棲生活をスタートさせる。

 芸能界の隅っこにいた10代の浜崎あゆみが、30代の大人の男で気鋭の音楽プロデューサーだった松浦氏(しかもオラオラスタイルで引っ込み思案の彼女をグイグイ引っ張っていく)に惚れるのは自然なことだった。当時はまだ「いつか許される日が来たら、私は、マサと私の子供のためだけに歌う母になりたい」と願うほど、浜崎あゆみは“普通”の少女だったようである。

 デビュー前にいくつもの楽曲をストックし、用意周到に浜崎あゆみは売り出された。1998年4月のデビューシングル「poker face」を皮切りに、浜崎あゆみはわずか数カ月で5枚ものシングルCDをリリースした。6月「YOU」、8月「Trust」、10月「For My Dear…」、12月「Depend on you」。いずれもCMや番組のタイアップつきである。この時点で“女子高生”のトレンドになりつつあったが、翌1999年1月のファーストアルバム「A Song for ××」で人気の火はさらに燃え広がった。

 99年も2月、4月、5月と連続でCDをリリースし、7月の「Boys & Girls」はオリコン1位を獲得。こうして浜崎あゆみはたった一年で、松浦氏の計画通りかまたはそれ以上に大きなアイコン的存在となった。ただ、同年11月にリリースした「appears」の歌詞は、二人の関係が終わりに近づこうとしていることを歌っていた。

 2000年には完全に破局。浜崎あゆみが同年4月にリリースした「vogue」、5月「Far away」、6月「SEASONS」は、いずれも別れの悲しみを歌っており、ファンに“絶望3部作”と呼ばれている。12月にリリースした「M」は、松浦氏との決別を意味していたという。

 この小説に浜崎あゆみが寄せたコメントに、「自分の身を滅ぼすほど、ひとりの男性を愛しました」とある。ただ彼女がそれから全盛期を迎え、約10年にわたり日本のヒットチャートTOPに君臨したことを思えば、松浦氏との恋が彼女の身を滅ぼしたとは思えず、むしろ見事な立身出世だ。

 そして当時の浜崎あゆみファンが気になるのは、愛する男(松浦氏)との別れで失意のどん底にあった浜崎あゆみを、立ち直らせた次の恋人の存在だろう。もちろんこの小説には一切登場しないが、破局翌年である2001年に浜崎あゆみはTOKIO長瀬智也との熱愛が発覚している。長瀬智也は「浜崎あゆみさんとは良いお付き合いをさせていただいています」と宣言し、オープンな交際を続けた。この二人があまりにもお似合いだとして、ファンは大いに祝福した。

 

 2002年の曲「independent」や2003年「ourselves」「ANGEL’S SONG」などは、いかにも長瀬との恋愛を歌っているようだ。二人はお揃いのタトゥーをそれぞれの肩(背中側と胸側)に刻み、それはハートマークと翼のイメージになっていた。

<君はとなりに寄り添い ワケのわからぬ事を話してる

不器用にでも何とか 励まそうとしてる>(independent)

<ねえ君は確かに突然現れ私の暗闇に光射した>

<君は背に天使の羽を持つ>(ANGEL’S SONG)

 長瀬智也といえば、フジテレビのニュース番組『FNNレインボー発』を「れいんぼいっぱつ」と読み間違えていたというエピソードをはじめ、天然ボケとおおらかな性格は男女問わず人気。

 小説のラストで浜崎あゆみは、次のように言う。

<二人で作り上げた“浜崎あゆみ”は、マサにも、あゆにも、手に負えないモンスターになってしまったね。でも、このモンスターから、あゆは逃れられないのでしょう。決して逃げてはいけないのでしょ、ねえ、マサ……>

 そして絶望三部作につながるわけだが、絶望から一転、2001年の浜崎あゆみは腰にしっぽをつけて<こんな時代に生まれついたよ だけど君に出会えたよ>と高らかに歌う「evolution」を1月にリリースし、快進撃を続ける。不安や悲しみではなく、希望や愛する人への思いを再び歌っていく。そこに長瀬智也の存在があったことは確かなのだろう。

大島美幸から滝川クリステルへ「男を立てて」アドバイス 「夫は社長で、妻は秘書」も

 7日に結婚を発表した小泉進次郎衆議院議員とフリーアナウンサーの滝川クリステル。芸能界からも祝福の声が相次ぐ中、森三中の大島美幸も8日に出席したイベントの場で、小泉議員と滝川アナの結婚を祝福。<男を立ててということです。おめでとうございます>との“昭和的”なアドバイスを送った。

 大島美幸は2002年に鈴木おさむと“0日婚”で入籍。鈴木おさむのエッセイ『ブスの瞳に恋してる』(マガジンハウス文庫)は、鈴木が妻・大島との結婚生活を綴ったもので、「ブス」というのは大島を差している。

 大島美幸といえば、体を張った芸で笑いをとっているイメージが強いが、家庭人としては“昭和的”な古き良き価値観が端々に窺える。

 たとえば、結婚10年目となる2012年に出版した、レシピ本『春夏秋冬 いいヨメ 毎日ごはん』(ワニブックス)に関するインタビューで大島は、<食べ物は身体を作るもと。だから、家族を活かすも殺すもヨメ次第なんですよね。これからは愛妻弁当を目標に、いいヨメ修業を頑張りたいと思っています>と語っており、家庭における「ヨメ」の役割を強く意識しているようだ。

 

 2017年には、自身の妊活体験について綴った著書『森三中・大島美幸の日本一、明るくまじめな妊活本』(オレンジページ)を出版。そこには夫の鈴木おさむは、不妊検査を拒否したという記述もある。妊活のため大島は仕事を休むなどライフスタイルを変えたが、鈴木は生活を変える気がないなど、夫婦間で妊活に対する温度差があったようだ。

 妊活に協力的ではなかった鈴木に対して、大島は<夫は社長で、妻は秘書>だと割り切るように意識を変え、休業中ということもあって時間に余裕のある大島が病院の予約や情報収集を行ったといい、妊活中は夫を<この人は社長なんだ>と思うことで乗り切ったという。「妻が変われば夫も変わる。夫を変えたければ、まず妻が変わる」という話のようだ。

 夫婦が同じ価値観で“合っている”のであれば、他人が口出しをすることではない。大島の価値観や経験談に正しいも間違いもないだろう。ただ同じように、「男を立てて」というアドバイスが有効でない家庭もある。どういったやり方がうまくいくのか、それぞれ自分たちで模索していくしかないのだろう。

NHKの何が問題か? 「公共放送の病」と70年前の政治的遺物である放送法

 先の参院選で躍進した、NHKから国民を守る党(N国党)。「NHKをぶっ壊す」をスローガンに戦った立花孝志代表が当選を果たしたという事実は、見過ごせない。インターネット発信のみで認知度を高め、巨大メディアのNHKにノーを突きつけた。これほど鮮やかにテレビの凋落ぶりを示す選挙はいまだかつてない。

 NHKは果たして、「みなさまの公共放送」と言えるのか。その信が問われることにもなった今回の選挙。これを機に、NHKを肥大化させる原因ともなった放送法の見直しについて、真剣に議論をはじめてもよいのではないか。

法律の庇護下に置かれた公共放送
 受信料の支払い義務は、放送法第64条「受信設備を設置した者は、協会(NHK)とその放送の受信についての契約をしなければならない」が根拠となっている。テレビを置けば強制契約となるわけだ。契約が義務であって受信料の支払いは義務とは書かれていないのに、現状は月額1,260円(地上契約の場合)の支払いを要請される。年間にしておよそ1万4,000円である。料金の支払いに納得いかず不払いを貫き、NHKに訴えられた人は少なくない。

 NHKの平成30年度決算概要によると、同年度の事業収入7,332億円のうち受信料収入は7,122億円。つまりNHKは国民から集めたお金で成り立つ組織である。事業収入を支える柱は言うまでもなく放送法だ。

 「法律で契約しろとなっているからお金を徴収できる」。よく考えれば極めて珍妙なビジネスモデルである。極端な話、何の経営努力も必要なく、技術やアイデア、斬新な商品を生み出さなくても潤沢な資金が得られる仕組みだ。「NHKの経営はバカでもできる」と言われるゆえんはまさにここにある。

 そのように法律を笠に着て蓄えた資金を、NHKは何に使っているのか。平成30年度財務諸表の財産目録一覧によれば、NHKの資産は現金預金・有価証券、固定資産、特定資産など計1兆1,940億円で、純資産は7,666億円。有価証券の内訳を見ると、国債や政府保証債、地方債、事業債などの購入に多額のお金を投じていることが分かる。国民から受信料を徴収し、かつ国会で予算の承認を受けている放送局が、いったい何の目的でこれらの証券を購入しているのか。きちんと説明すべきではないのかと指摘する声もある。

 厳しい競争社会を生き抜くわけでもなく、事業リスクや赤字を怖れる必要もない。何度も言うように、「法律に書かれているから」莫大な収入が保証されている点を忘れてはならない。

 多額の資産を抱え込み、余剰資金を証券購入に回すほど「儲かっている」NHKだが、受信料を引き下げて国民に還元する気はないようだ。それどころか、今後の徴収業務は輪をかけて行われる可能性がある。放送法改正でNHKのテレビ番組がインターネット視聴できることになり、ネット環境が整うだけで受信料の支払い義務が生じる。これにより、NHKの懐はますます潤い、受信料の徴収に泣く国民はさらに増えるだろう。

 

法令違反の組織に受信料を支払う必要なし?
 N国党は、次のような問題を理由に受信料不払いを推奨している。

・職員の高すぎる給料
 平成30年度のNHKの給与費は1,115億円。職員の数が約1万人だから、平均年収は1,000万円に上る。会社員の平均年収(約400万円)のおよそ2.5倍の額である。NHK職員の給与の妥当性については、過去国会でも取り上げられ、問題視する向きも少なくない。

・職員の犯罪率
 NHKは、2004~2014年の10年間で、公表されているだけで70人以上の逮捕・処分者を出している。横領、着服、不正経理といった社内不祥事から、窃盗、わいせつなどの悪質犯罪、殺人、死体遺棄といった凶悪犯罪まで、内容もさることながら数の多さは深刻である。2015年以降も変わらず毎年数人の逮捕者を出し続け、2018年11月には「おはよう日本」のチーフプロデューザーが女性のスカート内を盗撮しようとして逮捕されるという事件が起きた。

・集金人の悪質行動
 自宅で待ち伏せ、ドアを蹴とばす、大声を出す、払わないと高圧的な態度に出る……。など、NHK集金人の素行の悪さは世間に響き渡っている。彼らはNHK職員として1,000万円の年収を得ているわけでは当然なく、NHKから受信料の徴収を委託されノルマが課せられているため、どうしても強引なやり口に頼らざるを得ない事情があるようだ。違法・無法な行為で集金に走るNHKに受信料を払う必要はあるのか? というのがN国党の言い分だ。

・視聴者から要望がありながら、スクランブル放送を実施しない
 スクランブル放送とは、料金を支払った者のみ番組視聴できるシステムである。WOWOWやスカパー!などを想像すると分かりやすい。「スクランブル放送を望む国民は8割以上」との調査結果があっても、NHKはスクランブル放送に関する情報を進んで提供しようとしない。受信料収入が圧倒的に減るからだろう。エゴに走る放送局のどこが「みなさまのNHK」なのか、N国の党は厳しく指弾した。

 他にも、経費の使い道や報道姿勢などの問題を取り上げ、受信料不払い推奨の根拠としている。立花代表はYouTube動画などを使ってこれらの情報を拡散し、ネット層からの支持を取り付けることに成功した。

NHKが庶民の不満のはけ口に?
 今度の参議院選挙では、「年金・社会保障」が大きな争点として浮上した。収入はなかなか増えず、明るい未来を描けない。そんな漠然とした不安を抱く人は若者を中心に多い。このような情勢下で何かと攻撃の的にされやすいが、大企業やキャリア公務員、富裕層といった上流層。NHKは放送業界の権威的存在であり、そこで働く職員は高年収の「勝ち組」たちだ。苦しい生活にあえぐ庶民からすれば、まさに敵として映ってもおかしくない。

 NHK職員の給与に関しては、さまざまな見方があり、必ずしも高禄とは言い難い。というのも、NHKを含むテレビ局員は総じて高収入で、民放キー局はおおむね平均年収1,500万円ラインに達するほどだからだ。NHKだけが特別高いとは言えないのである。「給与を下げたら高待遇のライバル局に優秀な人材を取られてしまう」という理屈にも一理あるだろう。

 ただし、選挙ではそのような公平な視点をもって投票に臨む人が果たしてどれくらいいるのか、率直な疑問として残る。N国党のようにわかりやすく「NHK職員の給料はみなさんの2.5倍ですよ! 犯罪者も多いのに、そんな組織に受信料なんか払う必要ありますか!」と訴えられたら、大きく雪崩を打ってしまうのが大衆というものだ。NHKというわかりやすい敵、ワンイシューに特化した巧みな戦略、庶民の間でくすぶる不満。これらの要素が有機的に結びついた結果、巻き起こったのがN国党旋風ではなかろうか。

 

放送法改正論議の呼び水に
 選挙結果より、選挙後の議員たちの仕事ぶりこそ重要である。国民の信を受けた国会議員がどのように働き、どんな結果を残していくのかのウォッチが我々に求められる。立花議員に投票した人は、NHK改革やスクランブル放送の実現に期待しての行動だろう。ただのブームで終わらせないためにも、彼の国会活動がどのような形で展開するか、見守っていかなければならない。

 結局のところ、NHK問題の本質は放送法にあるのではないか。ここにメスを入れることは、受信料の問題に限らず、テレビ局のあり方や報道の中立性、電波の取り扱い方まで波及する。昭和25年に制定された放送法だが、すでに今の時代にそぐわない条文もある。そもそも受信料は、GHQ主導の下、政府からの独立を目的に国民から広く徴収するためのシステムとして生まれた。つまり70年前の政治的遺物なのだ。

 時代は進み、放送媒体をめぐる状況も大きく様変わりした。情報のアクセス環境の質は当時の比ではない。情報収集をNHKに頼らなければならない時代は、とっくの昔に終わっているのである。

 時代ニーズの変化とともに企業法の改正や会社法の制定がなされたように、放送法も時代の流れには逆らえないはず。法律の庇護を受け続けた結果、組織全体が弛緩して国民からそっぽを向かれつつあるのが今のNHKと言えるのではないか。このまま改革もなしに立ち止まっていれば、いずれ政治の介入を許す日が来るかもしれない。

NHKの何が問題か? 「公共放送の病」と70年前の政治的遺物である放送法

 先の参院選で躍進した、NHKから国民を守る党(N国党)。「NHKをぶっ壊す」をスローガンに戦った立花孝志代表が当選を果たしたという事実は、見過ごせない。インターネット発信のみで認知度を高め、巨大メディアのNHKにノーを突きつけた。これほど鮮やかにテレビの凋落ぶりを示す選挙はいまだかつてない。

 NHKは果たして、「みなさまの公共放送」と言えるのか。その信が問われることにもなった今回の選挙。これを機に、NHKを肥大化させる原因ともなった放送法の見直しについて、真剣に議論をはじめてもよいのではないか。

法律の庇護下に置かれた公共放送
 受信料の支払い義務は、放送法第64条「受信設備を設置した者は、協会(NHK)とその放送の受信についての契約をしなければならない」が根拠となっている。テレビを置けば強制契約となるわけだ。契約が義務であって受信料の支払いは義務とは書かれていないのに、現状は月額1,260円(地上契約の場合)の支払いを要請される。年間にしておよそ1万4,000円である。料金の支払いに納得いかず不払いを貫き、NHKに訴えられた人は少なくない。

 NHKの平成30年度決算概要によると、同年度の事業収入7,332億円のうち受信料収入は7,122億円。つまりNHKは国民から集めたお金で成り立つ組織である。事業収入を支える柱は言うまでもなく放送法だ。

 「法律で契約しろとなっているからお金を徴収できる」。よく考えれば極めて珍妙なビジネスモデルである。極端な話、何の経営努力も必要なく、技術やアイデア、斬新な商品を生み出さなくても潤沢な資金が得られる仕組みだ。「NHKの経営はバカでもできる」と言われるゆえんはまさにここにある。

 そのように法律を笠に着て蓄えた資金を、NHKは何に使っているのか。平成30年度財務諸表の財産目録一覧によれば、NHKの資産は現金預金・有価証券、固定資産、特定資産など計1兆1,940億円で、純資産は7,666億円。有価証券の内訳を見ると、国債や政府保証債、地方債、事業債などの購入に多額のお金を投じていることが分かる。国民から受信料を徴収し、かつ国会で予算の承認を受けている放送局が、いったい何の目的でこれらの証券を購入しているのか。きちんと説明すべきではないのかと指摘する声もある。

 厳しい競争社会を生き抜くわけでもなく、事業リスクや赤字を怖れる必要もない。何度も言うように、「法律に書かれているから」莫大な収入が保証されている点を忘れてはならない。

 多額の資産を抱え込み、余剰資金を証券購入に回すほど「儲かっている」NHKだが、受信料を引き下げて国民に還元する気はないようだ。それどころか、今後の徴収業務は輪をかけて行われる可能性がある。放送法改正でNHKのテレビ番組がインターネット視聴できることになり、ネット環境が整うだけで受信料の支払い義務が生じる。これにより、NHKの懐はますます潤い、受信料の徴収に泣く国民はさらに増えるだろう。

 

法令違反の組織に受信料を支払う必要なし?
 N国党は、次のような問題を理由に受信料不払いを推奨している。

・職員の高すぎる給料
 平成30年度のNHKの給与費は1,115億円。職員の数が約1万人だから、平均年収は1,000万円に上る。会社員の平均年収(約400万円)のおよそ2.5倍の額である。NHK職員の給与の妥当性については、過去国会でも取り上げられ、問題視する向きも少なくない。

・職員の犯罪率
 NHKは、2004~2014年の10年間で、公表されているだけで70人以上の逮捕・処分者を出している。横領、着服、不正経理といった社内不祥事から、窃盗、わいせつなどの悪質犯罪、殺人、死体遺棄といった凶悪犯罪まで、内容もさることながら数の多さは深刻である。2015年以降も変わらず毎年数人の逮捕者を出し続け、2018年11月には「おはよう日本」のチーフプロデューザーが女性のスカート内を盗撮しようとして逮捕されるという事件が起きた。

・集金人の悪質行動
 自宅で待ち伏せ、ドアを蹴とばす、大声を出す、払わないと高圧的な態度に出る……。など、NHK集金人の素行の悪さは世間に響き渡っている。彼らはNHK職員として1,000万円の年収を得ているわけでは当然なく、NHKから受信料の徴収を委託されノルマが課せられているため、どうしても強引なやり口に頼らざるを得ない事情があるようだ。違法・無法な行為で集金に走るNHKに受信料を払う必要はあるのか? というのがN国党の言い分だ。

・視聴者から要望がありながら、スクランブル放送を実施しない
 スクランブル放送とは、料金を支払った者のみ番組視聴できるシステムである。WOWOWやスカパー!などを想像すると分かりやすい。「スクランブル放送を望む国民は8割以上」との調査結果があっても、NHKはスクランブル放送に関する情報を進んで提供しようとしない。受信料収入が圧倒的に減るからだろう。エゴに走る放送局のどこが「みなさまのNHK」なのか、N国の党は厳しく指弾した。

 他にも、経費の使い道や報道姿勢などの問題を取り上げ、受信料不払い推奨の根拠としている。立花代表はYouTube動画などを使ってこれらの情報を拡散し、ネット層からの支持を取り付けることに成功した。

NHKが庶民の不満のはけ口に?
 今度の参議院選挙では、「年金・社会保障」が大きな争点として浮上した。収入はなかなか増えず、明るい未来を描けない。そんな漠然とした不安を抱く人は若者を中心に多い。このような情勢下で何かと攻撃の的にされやすいが、大企業やキャリア公務員、富裕層といった上流層。NHKは放送業界の権威的存在であり、そこで働く職員は高年収の「勝ち組」たちだ。苦しい生活にあえぐ庶民からすれば、まさに敵として映ってもおかしくない。

 NHK職員の給与に関しては、さまざまな見方があり、必ずしも高禄とは言い難い。というのも、NHKを含むテレビ局員は総じて高収入で、民放キー局はおおむね平均年収1,500万円ラインに達するほどだからだ。NHKだけが特別高いとは言えないのである。「給与を下げたら高待遇のライバル局に優秀な人材を取られてしまう」という理屈にも一理あるだろう。

 ただし、選挙ではそのような公平な視点をもって投票に臨む人が果たしてどれくらいいるのか、率直な疑問として残る。N国党のようにわかりやすく「NHK職員の給料はみなさんの2.5倍ですよ! 犯罪者も多いのに、そんな組織に受信料なんか払う必要ありますか!」と訴えられたら、大きく雪崩を打ってしまうのが大衆というものだ。NHKというわかりやすい敵、ワンイシューに特化した巧みな戦略、庶民の間でくすぶる不満。これらの要素が有機的に結びついた結果、巻き起こったのがN国党旋風ではなかろうか。

 

放送法改正論議の呼び水に
 選挙結果より、選挙後の議員たちの仕事ぶりこそ重要である。国民の信を受けた国会議員がどのように働き、どんな結果を残していくのかのウォッチが我々に求められる。立花議員に投票した人は、NHK改革やスクランブル放送の実現に期待しての行動だろう。ただのブームで終わらせないためにも、彼の国会活動がどのような形で展開するか、見守っていかなければならない。

 結局のところ、NHK問題の本質は放送法にあるのではないか。ここにメスを入れることは、受信料の問題に限らず、テレビ局のあり方や報道の中立性、電波の取り扱い方まで波及する。昭和25年に制定された放送法だが、すでに今の時代にそぐわない条文もある。そもそも受信料は、GHQ主導の下、政府からの独立を目的に国民から広く徴収するためのシステムとして生まれた。つまり70年前の政治的遺物なのだ。

 時代は進み、放送媒体をめぐる状況も大きく様変わりした。情報のアクセス環境の質は当時の比ではない。情報収集をNHKに頼らなければならない時代は、とっくの昔に終わっているのである。

 時代ニーズの変化とともに企業法の改正や会社法の制定がなされたように、放送法も時代の流れには逆らえないはず。法律の庇護を受け続けた結果、組織全体が弛緩して国民からそっぽを向かれつつあるのが今のNHKと言えるのではないか。このまま改革もなしに立ち止まっていれば、いずれ政治の介入を許す日が来るかもしれない。

吉本興業・岡本社長のパワハラ“ビンタ”を元マネージャー激白 「ファミリー」を酷使する体質は変えられるのか

 宮迫博之と田村亮を筆頭とした所属芸人の闇営業問題がきっかけで、その組織体制が問題視されることとなった吉本興業。田村亮は7月20日に事務所を通さず開いた記者会見で、吉本興業・岡本昭彦社長から恫喝パワハラを受けたことを告発した。その岡本社長は7月22日に会見し弁明、吉本興業は芸人とエージェント契約を結ぶ方向に舵を切ったが、9日発売の「FRIDAY」(講談社)は、吉本興業の元社員が岡本社長を含む上司たちから暴力的なパワハラを受けていたと告白する記事を掲載している。

 「FRIDAY」にて吉本興業内のパワハラを激白したのは、吉本興業でマネージャーとして働いていた男性A氏だ。A氏によると、岡本社長のパワハラ行為は日常茶飯事。たとえば、岡本社長を含めた会食では「吉本で働くには会食も大事だから鍛えなアカン」と大量の肉やご飯を食べさせられたという。A氏が体調不良からあまり食べられずにいると、岡本社長は「なんで食われへんねん」とA氏をビンタしたそうだ。岡本社長が「すぐに手を出す」ことは、社内では有名だったとも。

 宮迫博之と田村亮が開いた会見でも、彼らは岡本社長から「会見をするなら連帯責任でクビにする」「お前ら全員クビにする力があるんだ」と圧力をかけられたと明かしている。岡本社長は「“家族”ゆえの冗談だった」と釈明しているが、傍から見れば冗談と受け入れられるような状況でないことは明らかである。

 パワハラを働くのは社長だけではなく、A氏は上長から常にパワハラを受け、私物のカバンやパソコンを投げ捨てられて恫喝されたこともあったという。社員にも芸人にも吉本興業への忠誠心が強く要求され、マネージャーは芸人の発言を監視。不満を漏らせばすぐに「チクられる」ため社員同士も疑心暗鬼になっていたという。

 

吉本興業は2度も労働基準監督署の是正勧告を受けている
 吉本興業はこれまでに2度にわたり、労働基準監督署の是正勧告を受けている。最初の勧告は2012年3月。同社と子会社は労使協定で定められた月50時間以上の残業をさせたなどとして新宿労基署から勧告を受けた。2回目は今からおよそ1年前の、2018年8月および9月。業規則の不備や休日勤務手当の不十分な支払いなどがあったとして再勧告を受けている。

 A氏も「FRIDAY」において、過酷な労働環境について語っていた。吉本興業のマネージャーは多忙であり、月の労働時間は300時間を超えるという。しかし、会社として労働基準法を守らないわけにはいかないということから、A氏は上長から勤務記録の書き直しを指示されていた。そんな環境が原因か、30代前後で同期の半分以上が辞めてしまったという。

吉本興業は「家族」を酷使して「父」「兄たち」が私腹を肥やす
 上長から理不尽な叱責を受け、同僚同士で監視しあい、年に10日の休みもなく勤務記録を書き直して働き続ける。そのような環境下で“笑いを生む”どころか、適切なタレントマネジメントなど出来るだろうか。

 吉本興業に所属する芸人たちは、そうしたマネージャー側の事情を知ってか知らずか、不満を漏らす。「週刊女性」8月13日号(主婦と生活社)の取材に匿名で応じた中堅芸人によると、マネージャー1人が100人もの芸人を担当しなければならないほど人手不足であり、ギャラの振り込みがされなかったこともあるという。マネージャーにその旨を伝えると「経理に確認します」と言ったきりで、結局2年後にギャラが振り込まれたこともあったそうだ。また、今年3月に吉本興業を解雇された楽しんごも、マネージャーにメールをしてもレスがなかったりしたことがあったと述べている。

 吉本内部で上層部からのパワハラが横行し、マネージャーは人手不足や長時間労働を余儀なくされるなど過酷な環境に置かれているという話が事実であれば、ギャラの振り込み忘れやレスポンスの遅さなども、マネージャー個人の“能力不足”の問題などと矮小化できない。会社が、“ファミリー”である社員を酷使する労働環境を改めない限り、“芸人ファースト”は夢のまた夢だ。

 そもそも吉本興業という組織について、岡本社長も大崎洋会長も「家族」「ファミリー」などと表現しているが、家族のように接するということは、雑な扱いをしても許されるということではまったくない。彼らは家庭を、暴力や暴言も愛のムチだとして許されるような、無法地帯だと勘違いしてはいないか。あるいは家族にひもじい思いをさせて「父」や「兄たち」が私腹を肥やしているような組織が、彼らの理想とする家族像なのだろうか。

『ドラクエ』映画のステマ疑惑も…Twitterで同じ投稿をする複数の女性アカウント

 8月2日に封切られた映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』。多くのユーザーに愛されるゲームシリーズ「ドラゴンクエスト」が原作とあって話題性は高く、声をあてた役者たちの番宣も盛んに繰り広げられた。しかしすでに鑑賞したドラクエファンの間では、映画の結末部分を巡って熱い議論が起こっているようだ。

 Twitter上でも、同作をめぐってある不可解な現象が見られている。下記画像のように、映画『ドラクエ』を鑑賞する旨をまったく同じ文面でツイートするアカウントが、複数出現しているのだ。ちなみに、<映画の前にお昼ご飯>とツイートしてアップされたラーメン店の画像も、同じものだった。

 

 この明らかに不審な“同時多発ツイート”にはネットで注目が集まり、『ドラクエ』映画のステマ(ステルスマーケティング、宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること)ではないかとの指摘もある。

 Twitterでは、<倉敷に映画見に行ってきまーす ドラゴンクエスト ユアストーリー! ドラクエ全然分かんないけど!>をコピペしてわざとツイートしたり、地名や作品名を変えた大喜利ツイートが見られたりと “祭り”の状態だ。

 しかし映画『ドラクエ』PRを目的としたステマとも思えない。なぜなら、これら不審なアカウントの過去ツイートを遡ってみると、『ドラクエ』の件だけでなく、すべてのツイートが同じものであるからだ。

 これら女性アカウントは、4月に会社の仲間が沖縄のパーティに参加し、6月に検査入院している彼氏のお見舞いに訪れ(入院費の7万円を負担)、7月31日には「コメダ珈琲」でパフェを食べている。アップされている画像も文面もすべて同じだ。なんとも不気味である。

 

 これらのアカウントに共通しているのは、いずれも20代前半の“若い女性”を模していて、4月に開設されたばかりのものということ。アカウントに実体はなく、業者が管理しているものと見て間違いない。

 

29,640円で“売れる”Twitterアカウント
 実体のないTwitterアカウントは多い。

 2018年7月、Twitter社は長い期間活動の形跡がないなどしてロックされたアカウントをフォロワー数に含めて表示しないように仕様変更した。すると、芸能人や著名人のフォロワーがたった一日で激減。AKB48の柏木由紀のフォロワーは122.5万人から約5万人近く減少し、アイドルグループ「仮面女子」の神谷えりなに至っては116.5万人から約45万人減ってしまった。ちなみに、米トランプ大統領は30万人減、レディー・ガガは250万人も減ったという。

 芸能人や著名人にとってはフォロワー数も実人気といえ、それを“水増し”するためのサービスもひとつの商売として存在する。実際に、Twitterのフォロワーやリツイート数を売るサービスはある。たとえば、100フォロワーは1,000円、1000フォロワーは10,000円で売られている。リツイート数の値段も同じ相場だ。

 Twitterアカウントそのものを売買するサイトもある。出品一覧を覗いてみると……「フォロワー数4800人、平均いいね数650以上 インプレッション数600万」というスペックのアカウントには、29,640円の値がつけられていた。「フォロワー数4800人、平均いいね数450以上、インプレッション数530万」は27,560円。フォロワー数やいいね数の多いアカウントはより高く売れるようだ。こうして売られるアカウントは、「実在の人物」などいない虚構そのものなのだろう。

 さらには、有名人や企業公式アカウントに表示されているTwitter公式マーク「認証バッジ」がついたアカウントまで出品されている。さらに驚きなのがお値段で、50万~100万円ほど。出品者も胡散臭いが、購入者の利用方法を想像すると寒気がする。

 SNSを含むインターネットの世界に、“嘘”をプログラムして流すことは容易だ。投稿内容も、画像も、何もかもでたらめのツギハギだらけということは、実は珍しくもなんともない。

『ドラクエ』映画のステマ疑惑も…Twitterで同じ投稿をする複数の女性アカウント

 8月2日に封切られた映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』。多くのユーザーに愛されるゲームシリーズ「ドラゴンクエスト」が原作とあって話題性は高く、声をあてた役者たちの番宣も盛んに繰り広げられた。しかしすでに鑑賞したドラクエファンの間では、映画の結末部分を巡って熱い議論が起こっているようだ。

 Twitter上でも、同作をめぐってある不可解な現象が見られている。下記画像のように、映画『ドラクエ』を鑑賞する旨をまったく同じ文面でツイートするアカウントが、複数出現しているのだ。ちなみに、<映画の前にお昼ご飯>とツイートしてアップされたラーメン店の画像も、同じものだった。

 

 この明らかに不審な“同時多発ツイート”にはネットで注目が集まり、『ドラクエ』映画のステマ(ステルスマーケティング、宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること)ではないかとの指摘もある。

 Twitterでは、<倉敷に映画見に行ってきまーす ドラゴンクエスト ユアストーリー! ドラクエ全然分かんないけど!>をコピペしてわざとツイートしたり、地名や作品名を変えた大喜利ツイートが見られたりと “祭り”の状態だ。

 しかし映画『ドラクエ』PRを目的としたステマとも思えない。なぜなら、これら不審なアカウントの過去ツイートを遡ってみると、『ドラクエ』の件だけでなく、すべてのツイートが同じものであるからだ。

 これら女性アカウントは、4月に会社の仲間が沖縄のパーティに参加し、6月に検査入院している彼氏のお見舞いに訪れ(入院費の7万円を負担)、7月31日には「コメダ珈琲」でパフェを食べている。アップされている画像も文面もすべて同じだ。なんとも不気味である。

 

 これらのアカウントに共通しているのは、いずれも20代前半の“若い女性”を模していて、4月に開設されたばかりのものということ。アカウントに実体はなく、業者が管理しているものと見て間違いない。

 

29,640円で“売れる”Twitterアカウント
 実体のないTwitterアカウントは多い。

 2018年7月、Twitter社は長い期間活動の形跡がないなどしてロックされたアカウントをフォロワー数に含めて表示しないように仕様変更した。すると、芸能人や著名人のフォロワーがたった一日で激減。AKB48の柏木由紀のフォロワーは122.5万人から約5万人近く減少し、アイドルグループ「仮面女子」の神谷えりなに至っては116.5万人から約45万人減ってしまった。ちなみに、米トランプ大統領は30万人減、レディー・ガガは250万人も減ったという。

 芸能人や著名人にとってはフォロワー数も実人気といえ、それを“水増し”するためのサービスもひとつの商売として存在する。実際に、Twitterのフォロワーやリツイート数を売るサービスはある。たとえば、100フォロワーは1,000円、1000フォロワーは10,000円で売られている。リツイート数の値段も同じ相場だ。

 Twitterアカウントそのものを売買するサイトもある。出品一覧を覗いてみると……「フォロワー数4800人、平均いいね数650以上 インプレッション数600万」というスペックのアカウントには、29,640円の値がつけられていた。「フォロワー数4800人、平均いいね数450以上、インプレッション数530万」は27,560円。フォロワー数やいいね数の多いアカウントはより高く売れるようだ。こうして売られるアカウントは、「実在の人物」などいない虚構そのものなのだろう。

 さらには、有名人や企業公式アカウントに表示されているTwitter公式マーク「認証バッジ」がついたアカウントまで出品されている。さらに驚きなのがお値段で、50万~100万円ほど。出品者も胡散臭いが、購入者の利用方法を想像すると寒気がする。

 SNSを含むインターネットの世界に、“嘘”をプログラムして流すことは容易だ。投稿内容も、画像も、何もかもでたらめのツギハギだらけということは、実は珍しくもなんともない。