結婚したい、でもできない、そもそも彼氏もいない……でも結婚したい! そんなアラサー女子たちの熱量はものすごく、また女性の社会進出によって経済力もあるためか、世間にはナゾの結婚セミナーや恋愛コンサルタントなどが大流行しているらしい。そんな類いのセミナーを“うさんくさいもの”と一刀両断して距離をおいていた私だが、先日友人(29歳)が、突如としてその手のセミナーに通っていることを神妙な顔で告白。底辺グラドルである私も2018年には33歳を迎えてしまう。本音を言わせてもらえば、そろそろ家族がほしい=結婚したい!!
とはいえ、ここ長らく恋愛とはご無沙汰。実はこの間、モノは試しに、とある婚活パーティーに参加してみたけれど、なんの収穫もなし。私みたいなだらしない系オンナは、フツーの婚活をしていても恋も愛もダンナもやっては来ない。そんな焦燥感に駆られてたどり着いたのが「愛されめしAcademy」なるお教室だった。キャッチコピーは、「クックパッドでも教えない! 料理で彼の心と胃袋をつかみたい女性のための愛されめしAcademy」「冷蔵庫の中身で彼の心と胃袋をつかんでプロポーズを引き出す1dayレッスン」とのこと。何それ斬新……。受講料は7560円! さっそく参加することに!
■「今日は、料理は作りません!」
レッスン当日、会場である東京・四谷の飲み屋街のほど近くにあるキレイなキッチンスタジオに到着。ドアを開けると、突然フェミニンなイケメンが「こんにちは!」とお出迎えする粋な演出からスタート。
今日は、私を入れて11人のグループレッスンだ。ほかの参加者を見渡すと、30代前半~40代くらいの妙齢の女性たち。こういう婚活系セミナーに比較的ガチで参加しそうな地味系女性の中でも、さらに〈婚活=料理〉と考えそうな古風で奥ゆかしい印象の女性が多い。おそらく、この中で私が一番「愛されめし偏差値」が低いだろう。そもそも普段、自炊なんてほとんどしない私だから、気を引き締めていかねば!
着席すると、いよいよこのセミナーの代表であり「愛されめしクリエーター」の青木ユミ先生が登場! 40代というわりには若々しく上品な雰囲気が漂う美魔女だ。とにかく滑舌がよく、柔和な声で、流暢にご挨拶。「この『愛されめし』に参加後、たった1カ月でカレができたり、3カ月でカレからプロポーズを引き出したりといった生徒さんが多くいらっしゃいます。さらに『愛されめし』のメソッドをしっかり学ばれた方の90%は、1年以内の結婚が決まっているんです!」と、先生。「愛されめし」、スゴすぎ!! はやく、男の胃袋をバッキバキにつかんじゃう、秘伝のレシピを教えて~!
しかし次の瞬間、先生は、私たちにハッパをかけた!
「この講座を終えて、“楽しかった!”だけで帰ってしまうと、明日からの生活は変わりません! 今日参加したことで、明日から何かひとつ動き始めてほしい!」
……このテの婚活セミナーって、“とにかく結婚は素晴らしいもの!”というセールストークや、先生の自己顕示欲満載トークを延々と聞かされるイメージがあったが、意外とマジメな啓発系の言葉が並び、教室の雰囲気も徐々にシリアスになっていく。身を引き締めつつ、しばし先生の言葉に感服していると「今日のレッスンでは、実技はありません。料理は作りません!」と衝撃のひと言。え……料理作らない!? じゃあいったい何するんだ、「愛されめし」……。
さっそく暗雲が立ち込めてきた「愛されめし」だが、まず参加者同士の簡単なオリエンテーリングから始まった。「自分と同じ血液型、同じ星座の参加者同士で集まって、軽い自己紹介をしてください」と、先生。いったい、これになんの意味が? 婚活は? めしは? と不思議に感じつつも、人間は共通点があると安心するそうで、先生いわく「仲良くなるため、好かれるためには、今の状態のような共通点が必要。初対面の男性との会話はもちろん、さらには結婚してから姑との会話にも通じます」とのこと。
しかし、この共通点を探るために立て続けに質問をしたら、ただの職質になってしまう。「会話にはキャッチボールが必要であり、相手に好意と関心を示しつつ、自分自身のアピールもする。これができれば仕事やプライベートの人間関係にも役に立ちます」とのこと。耳タコレベルの話ではあるけれど、ド正論! ド直球!
こうしておよそ3時間、みっちりと先生の講義が繰り広げられていく。たとえば、「幸せが遠のくサイクルとは?」のレッスンでは、「自分のコップに水がたまっていないのに、同じ容量のコップを持つ彼に『水をくれ』と言いすぎては重い女になってしまう。自分のコップは自分で満たし、彼に水をあげましょう」などなど、やはり「めし、どこ行った?」と突っ込みたくなるような話が延々と続いていく。
先生のお話を要約すると、男性の求めるものは次の3つ。「居心地の良さ」「女性らしさ」「自由」。この3つがあれば彼女にはなれるが、「結婚するならプラス『家庭力』が必要です!」と、先生。お、ちょっと「めし」っぽくなってきたか? 「キレイにしているだけでもダメ、居心地だけよくてもダメ、料理だけできてもダメ。料理は+αの要素なのですから!」とのことだ。「つまり『胃袋をつかむ』とは、単なる料理のスキルではありません! 私も、一度目の結婚をして……」と、サラッと口走る先生。あれ? 先生まさかのバツイチ?
その後も、こんな調子の講義が続き、料理レシピなどの話は一切出てこずじまい。先生がそれらしいことを口にしたのは「彼が二日酔いなのに、唐揚げを揚げるような女は選ばれませんね」というくだり。そりゃそーだろ! とツッコミどころが多いのだが、周りの参加者はコワくらいの勢いでペンを走らせている……。
終盤には、冒頭の謎のフェミニン男性が再登場。実は、彼も講師の1人で「ボクは、なぜ元カノと別れたか?」など、男性目線のリアルな話を語ってくれたのだが、これは素晴らしかった。彼が20代の若きイケメンという部分もよかったが、第三者の男性の意見を交えることで、女だけで集まって恋愛話をした時にありがちな、無意味なポジティブさや無謀な希望論を持ち寄って励まし合い、進歩も成長もないという事態を避けられるからだ。また、彼の本業は美容師のため、受講者の髪型や服装のアドバイスもしてくれる。うん、大事ですな!
こうして、「愛されめし」講座は1秒たりとも包丁を握ることなく終了。「めし」要素皆無なことに関しては終始ギモンだったが、先生の言う「胃袋をつかむ」とは、ただ単に料理が上手というわけではなく、女としてのトータルバランスがよいことを指しているのだと理解した。
つまり、この「愛されめし」授業のメソッドというのは、まずはマインドを変えることで恋愛やプライベートを充実させ、とりあえずモテるようになれ、そして料理のウデを披露しろ……って理屈らしい。まあ、凡百のモテ本に書かれているような内容だけれども、ごもっともではあるまいか。その“気づき”を、お話し上手な先生と、若いイケメンが与えてくれたのだ。
■入会後に待っている「愛されめし」レシピ
今回、私が参加したのは1日限りのお試し編。後日、無料の個人面談にちゃっかり足を運ぶと、「愛されめしAcademy」に入会することで、継続的に月1~2回のお料理レッスンが受けられる、とのこと。なるほど、「愛されめし」の「めし」の部分は、この先に隠されているのか……! この時、先生は「入会金のお金が心配なら、今ここでカード会社に電話して、枠を増やせるか聞いてもいいですよ!」と、激奨してきたものの、料理する前におなかいっぱいになってしまいました!
最後に、先生がポロっとこぼした言葉で印象的だったのは「私は『愛されめし』メソッドで今のカレのマインドを変えていったから、私が疲れている時は野菜スープを作ってくれるのよ」というエピソード。先生……彼氏いるんだ! なにはともあれ、そのカレとお幸せに……!
吉沢さりぃ(よしざわ・さりぃ)
山梨生まれ。B107cm、Kカップの現役底辺グラドル兼ライター。2016年に『グラビアアイドルのぶっちゃけ話』(彩図社文庫)で作家デビュー。趣味は飲み歩き。