『よるのふくらみ』(新潮社)
■今回の官能小説
『よるのふくらみ』(窪美澄、新潮社)
結婚とは、1人の男性を家族として、またセックスのパートナーとして、2つの役割を両立させながら生涯愛し続けることである。そう考えると、筆者は途端に結婚に自信がなくなる。この2つを1人の男で消化できる女など存在するのだろうか。生活に重きを置けば、男を共に家庭を作るパートナーとしか見られなくなるし、そんな男の前で、夜だけは女になれといわれても、想像するだけで疲弊してしまう。
出産とセックスという「生と性」をテーマにした作品『ふがいない僕は空を見た』(新潮社)でデビューした作家・窪美澄は、新作の『よるのふくらみ』(新潮社)でも、生と性の狭間で揺れる男女の姿を描いている。その中の『なすすべもない』で、主人公のみひろは、結婚を控える前から家庭とセックスの間に挟まれ、押し潰されそうになっている。そう、生活とセックスという「生と性」の問題が描かれているのだ。
