新しいドラマの扉開けた翻訳ドラマ『モンテ・クリスト伯』次回はシェークスピアかドストエフスキーで?

 いよいよ最終回を迎えた『モンテ・クリスト伯 ─華麗なる復讐─』(フジテレビ系)。2時間スペシャルで描かれたその結末は、原作を踏まえながらもオリジナルな展開も多かった。

 視聴率は6.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、激増した先週の7.4%より落ちてしまったものの、あまりないタイプのドラマだっただけに最後まで強い印象を残した。

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■汚れなき信一朗

 前回、薬を飲ませた直後に未蘭(岸井ゆきの)が倒れたため、その薬を渡した真海を責め立てにやって来た信一朗(高杉真宙)。キレる信一朗に真海(ディーン・フジオカ)は言う。

「あなたの気持ちは良くわかります。私にも殺したいほど憎い男たちがいます。彼らに苦痛を与えることを夢見て生きながらえてきた」

「どうかあなただけは、このむごい世界に足を踏み入れないでください」

 真海にとって、この罪人だらけの世界で、信一朗だけは唯一、紫門暖であった頃から変わらぬ最後の希望なのだろう。

 結局ラスト間際、真海が渡したのは本当に解毒剤で、そのおかげで未蘭が助かっていたことがわかる(前回、未蘭が倒れたのは瑛理奈の飲ませた薬のせいで、そのまま未蘭が死んだことにしたのは公平を苦しめるため)。

 彼をとことん守ることで真海は、自分のしているひどい復讐とのバランスを取っているのかもしれない。

 

■殺人鬼・瑛理奈の壮絶な最後

 夫の公平(高橋克典)が警察官僚であるのをいいことに、やりたい放題の殺人を繰り返す本物の「モンスターペアレンツ」瑛理奈(山口紗弥加)。

 今回も未蘭が死んだ(助かったことはまだ知らない)罪を義父の貞吉(伊武雅人)に被せるため、さらなる殺害を試みる。途中で公平が来たため、それは未遂に終わったが、体が麻痺して動けない貞吉に普通に話しかけながら、口を濡れ布巾で押さえつけるその形相は鬼畜そのもの。

 甲高い声で良妻を演じつつ、その裏で……というより、自分の血のつながった息子・瑛人に遺産を残すという大義をもった「良妻」そのものとして、なんの疑問もなく殺人を繰り返しているのが恐ろしい。

 結局、公平はとっくに瑛里奈の行いに気づいていたのだが、その毒牙が愛娘・未蘭に向かったことで我慢できなくなり、ついに瑛理奈を問い詰める。

 

■原作以上にボコボコにされる神楽

 監禁された神楽(新井浩文)は、袋を被せられ、顔に水をかけられる拷問地獄。真海がラデル共和国の監獄で受けた一番きつい拷問だ。空腹にさせられ、わずかな食事を死ぬほど高い値段で買わされるのは原作と同じだが、水責めなどの前のめりな拷問はドラマオリジナル。『スターウォーズ』の新作でもそうだが、近年の映像作品は人質の顔に袋を被せるのが流行りで、やはりこれは、現実世界でのテロ組織の動画の影響があるのでしょう。

 ちなみに、この日の神楽のお食事代は、わずかなパンとスープで1,000万円。原作では1億円くらいだったので、ややリーズナブル。

 真海は、自分の手を汚さない分、神楽は余計に罪が重いと言っており、南條や入間公平が自ら死を選んだり(助かったが)、勝手に狂ってしまったのに比べ、神楽には手下を介してるとはいえ、かなり直接的な暴力を振るっている。

 自分の罪に自覚がないことを罪だとされた神楽だが、やはりというか真海(暖)へのかつての仕打ちも忘れてしまっていたほど自覚がない。どこか憎めないくらい新井の演技が飄々としており、他の2人の悪党とはまた違う味があった。

 ずっとリアルタイムでTwitter実況をしていたサービス精神あふれる新井だが、最終回は地方で実況叶わず。しかし、このシリアスな最終回にあのひょうきん実況はそぐわない気もするので、それはそれでよかったのかもしれない。

■留美が母親だと知り嘔吐する安藤

 不倫の末に産んですぐ一度は捨てた息子・安藤(葉山奨之)との日々を刹那的に楽しむ神楽の妻・留美(稲森いずみ)。真海は公平を苦しめるために留美を安藤に出会わせたのだが、もはや彼女の生きる糧となっている。

 だが、留美が母親だと知り、いきなり嘔吐。しかも父親である警察官僚の公平は自分の保身のことしか考えてないから、どんなことしても助けてくれるはずだと留美に言われ「お前ら(留美と公平)、最高やべーわ!」と吐き捨てて笑う。確かに笑うしかないくらいクソな状況。

 公平は過去を詫びて、外国へ逃がし助けるフリをして2人きりの時に安藤を撲殺、またしても赤子の時のように生き埋めにする。高橋の腐りきった極悪な演技が光る。

 しかし、こちらも赤子の時以来、またしても埋めた直後に真海の執事・土屋(三浦誠己)が助け出し、一命をとり留める。もはや、ある種の父性が土屋の中に生まれていたように感じる。今回は描かれていないが、きっと土屋は安藤の面倒を見る気がしてならない。

 公平を許せない留美は、安藤が殺人犯だと公表する記者会見の場に乗り込み、公平の悪事を全て暴露。公平は取り乱し帰宅、逃げようと妻・瑛理奈に弱音を吐く。

「どこで間違えた……俺はただ立派な人間になりたかっただけだ」

「家族っていうのはなんだ、そう思ってきた、だが、それすらも自分のためだったのかもしれん」

 だが必死に慰めてくれる瑛理奈に感謝し抱きしめた瞬間、瑛理奈は口から血を吐いて壮絶に死ぬ。公平に過去の殺人を咎められたことで毒を飲んでいたのだ。息子の瑛人も死んだと真海に言われた公平は、全てを失い気が狂ってしまう。

 だが瑛人は生きており(原作では母子ともに死亡)、死んだ母が倒れている現場で真海を睨みつける。復讐の芽を感じさせる終わり方だ。

■焼身自殺を図る真海

 真海は最後に神楽、南條、すみれというかつての仲間を集めて晩餐会を開く。

 家中に灯油をまき、神楽と南條を椅子に縛り付けた狂った部屋に招かれたすみれ。

「もうやめて、こんなの馬鹿げてる」

 おかまいなしに「余興」として、第1話で流されたすみれにプロポーズした時のサプライズ動画を流す真海。画面内、「愛は勝つ」に合わせ踊る神楽に、はしゃぐ南條。

 真海は若い自分を指差し「誰です、この頭の悪そうな男は?」「人に騙されるのが目に見えている」と皮肉を言いつつ「でも本当に幸せそうだ」とこぼす。

 真海に誘導され、当時の気持ちを正直に語る2人。

神楽「お前が街にきた時からずっと目障りだったし、お前が船長に決まった時すげーむかついたよ」

南條「(暖が警察に連行されて)焦ったけど、正直ほっとしたよ。これですみれを取られないで済むって」

 初めて当人が認めた本音。真海はこれを聞きたかっただけなのかもしれない。

 そして少し前に、「全てを捨てて自分と結婚するなら、もう復讐はやめる」とすみれに「踏み絵」を迫っていた真海は、15年前と同じように改めてすみれにプロポーズする。

「はい、私は『真海さんと』結婚します」涙を流しながら答えたすみれの言葉を聞き、「やっぱり最後に『愛は勝つ』んだ」とつぶやき全員を解放、退去させる真海。

 すみれは暖とは呼ばなかった。抜け殻のように「楽しかった」とつぶやき、火に包まれる真海。

 信一朗が未蘭の件で激怒して訪ねて来た時「いずれ私は罰を受けるでしょう」と真海は言っていた。「絶対に許さない」と言った信一朗に対し「許しなど求めていない」とも。この時から真海は死ぬことを決意していたのでしょう。

■強い原作リスペクト

 すべてが明るみに出たため、公平、南條、神楽はそれぞれ逮捕されたが、真海の遺体は見つからなかった。南條は飛び込んで助けに入り、大やけどを負ったが、実際は土屋やエデルヴァが助けたのかもしれない。

 真海が残した「希望」である信一朗へあてた手紙には「待て、しかして希望せよ」とあった。このへんは原作と同じだが、これは最初に日本語訳した岩波版(山内義雄)の言葉で、脚本家の黒岩勉の原作へのリスペクトを感じた。

 最後、海辺を歩く紫門暖とエデルヴァっぽい人影。原作ではエデ(エデルヴァ)の愛によりエドモン(紫門)は救われ、結ばれるのだが、それを示唆するエンディング。しかしあえて多くを語らず、原作を読ませ補完させようとする意図を感じた。

 ドラマとして完結しているかは別として、やはり原作へのリスペクトなのだろう。

 2時間、詰め込みに詰め込んだ濃い内容をうまくまとめ上げた最終回。しかし気になる点もあった。

 殺人を犯すなど、その罪の重さはもちろんあるものの、真海的に恨みがあるわけでもない瑛理奈があそこまで壮絶に死に絶えながら、結局メインの復讐相手のうち2人が「救われたような」形となったエンディングには、やや疑問が残る。「小物」の寺角(渋川清彦)を目の前で生き埋めにしたほどの真海なのに、やはりすみれに正体がばれていたのが効いているのか。

 原作では、瑛理香が瑛人とともに心中したことを公平(ヴィルフォール)から聞かされ、その意図しなかった「巻き込み」具合にショックを受け、真海(モンテ・クリスト伯)が罪の意識に苛まれるシーンがある。

 しかし、このドラマでは瑛理香の死は真海も想定済みといった感じで、その死に対して罪悪感を感じている様子もなかった。それだけに、なぜ原作に背き南條を殺さなかったのかが気になる。

 最後、真海を助けようと火の海に飛び込んで全身大やけどを負ったのも、少し「改心」したことによる中途半端な「罰」に見えてしまった(幼い瑛人を殺さなかったのはテレビ的にわかるが)。

 今作は母親が特に「強く」描かれていた。

 第6話で、留美が実の子(安藤)と近親相姦をしていることを知っても、ショックを受けるよりも安藤が生きていた喜びが上回る様子を見て「母親というのは偉大だな」と真海は言っている。

 息子のために殺人を繰り返す瑛理奈。息子の嫁を守るため餓死を選んだ恵(風吹ジュン)。そして、安藤が殺した死体(寺角)を埋めてやった留美。もっと丁寧に掘り下げてほしかった部分だ。

 まじめに原作を追ったため1クールでは内容を詰め込みすぎで、もったいなくも駆け足で描ききれていない部分が多かった。だが珍しい手法の意欲作で、この手の翻訳ものとして、ある種の扉を開いた気がする。

 ぜひ黒岩勉はシェークスピアやドストエフスキーなどで再挑戦していただきたい。
(文=どらまっ子HARUちゃん)

『モンテ・クリスト伯』9週目で打ち切り? 口から液体を吐きながら白目で倒れる様子は「まるでエクソシスト」

 海外の古典の名作を現代の日本を舞台に焼き直した『モンテ・クリスト伯 ─華麗なる復讐─』(フジテレビ系)も次週が最終回。9話での最終回に「打ち切りか?」と思われたが、次回は2時間スペシャルとのことで、ほぼ同じボリューム。視聴率も今回7.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)とアップしているので、次週、有終の美を飾ってほしいところ。

 無実の罪で投獄され、後に脱獄、手に入れた巨額の富と知識を武器に、自分をハメた友人らへの復讐に燃える主人公のモンテ・クリスト・真海を演じるディーン・フジオカは、世間から浮いた雰囲気が見事にハマり、現実感のない胡散臭さがよく似合う。褒めてます。

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■死んでいなかった南條

 かつて、嘘の通報で真海が投獄されるきっかけを作った南条幸男(大倉忠義・関ジャニ∞)は、その真海から奪った最愛の妻・すみれ(山本美月)に嘘がバレたあげく、香港での修行時代に殺人事件に関与していることもバラされ、首を吊った。これが前回まで。

 しかし今回、その事件の被害者の娘・エデルヴァ(南条幸男のマネジャー江田愛梨/桜井ユキ)が直後に縄を切り、助けていたことが判明。原作では南条に当たるフェルナンは、真実をバラされ、妻と息子(ドラマでは娘だが)に出て行かれ自害、という展開なのだが、ここまで原作に基本忠実なだけに、当然今回も展開を予想してくるであろう原作ファンを裏切り、ほくそ笑む脚本家の顔が目に浮かぶ。果たしてこの「裏切り」は「裏切り」のままなのか?

 南条を助けたことを復讐仲間(仲間というより上司に近い)の真海に激怒されるエデルヴァ。窓ガラスを割るほど激昂する真海。

「この瞬間のために生き永らえてきたのではなかったのか!?」

 助けてしまった理由は、南条の娘・明日花からの電話で情が湧いたからということらしく、かつて親を殺された自分に置き換えてしまったのだろう。

 手切れ金として100億円(!)の小切手を渡されたエデルヴァが、真海に問う。

「真海さんは復讐が終わったらどうするつもりなんですか?」

「幸せにはなれないんだと思います、人を不幸にしても!」

 真海に想いを寄せるエデルヴァは、真海の行く末を本気で心配しているようだ。

 しかし、同じ「傷」を持つエデルヴァに裏切られた(と感じた)真海は、昏睡する南条の病室に忍び込み、薬殺しかける。

 それに気づいたすみれは必死に真海を止めつつ「どうしても殺したいなら私がやる」と言い切る。

 かつて真海を待てず南条の元へ行ってしまったという大きな罪悪感が、彼女をそうさせるのだろう。

 真海は、すみれだけは復讐に巻き込まないようにしていたはずだが、嫉妬の炎に火がついたようで、「そんなに幸男が大切か?」「だったらお前がやれ」と注射器を手渡し立ち去る。

 すみれは「暖にそんなことさせたくないから」と、かつての夫「暖」として接しているが、真海は以前なら絶対言わなかったであろう「お前」呼びのままで、かなり距離がある。

 結局、すみれはその薬を使って幸男を殺しかけるのだが、目覚めた幸男はすみれを羽交い締めにして「俺を殺したいんだな?」とブチ切れ。

 すみれも「明日花がいなければね」と本音をぶつけ合う。このまま南条が真海の元に乗り込んでくるようだが、目覚めた幸男は前より悪人度が増しているようで、この辺の展開は完全にドラマオリジナル。いまいち悪人度が低かった幸男がレベルアップしたことで、次週どうなるのかが楽しみだ。

 

■真海の正体を知って反撃に出る極悪・入間

 残りの復讐相手である警察官僚の入間公平(高橋克典)と不動産屋の神楽清(新井浩文)も、かつて自分たちがハメて投獄した紫門暖が真海であることに確信を持ったようで、潰そうと動き出す。原作では、勘づくくだりは一切ないので、ここもオリジナルな展開。

 公平はすぐさま指紋から真海が紫門暖であることを特定、ラデル共和国からの脱獄犯として警察の管理下に身柄を置くと宣言。

「復讐ごっこは終わりだよ、お前の負けだ、紫門暖」

 100パーセント確信犯で真海をハメた極悪人なのに、警察官僚という立場にいるからか、まったく罪の意識なく上から目線で脅してくる公平。

 圧倒的優位から顔をくしゃくしゃにして、真海を見下しながら笑う公平の様子は、相当なクズっぷりが滴り出ており、最高。

 しかし、過去に公平が不義の子を庭に埋めた際の目撃者(秘書の土屋/三浦誠己)がいると告げられると、あっさり形勢逆転、指紋の照合結果をもみ消すことに。

 しかも、その子がまだ生きており、その子の母である神楽留美(稲森いずみ)が現在入れ込んでいる安藤完治(葉山奨之)だと知って驚く公平。留美に安藤は危険だから離れるようにと忠告するが、寺角(渋川清彦)を埋めてから頭のネジが飛んでしまったような留美は、むしろ及び腰な安藤をぐいぐい引っ張るほど頼もしく、「第2の人生」を謳歌しているかのよう。

■真海が渡したのは毒なのか?

 唯一、真海が心を許しているのは、恩人・守尾英一朗(木下ほうか)の息子・真一朗(高杉真宙)だけなのだが、真一朗が公平の娘・美蘭(岸井ゆきの)と付き合っていることを知った真海は悩んだ末、美蘭を助けようと動く。

 公平の妻・瑛理奈(山口紗弥加)は血のつながっていない美蘭を毒殺し、血のつながっている長男・瑛人(宇都宮太良)に遺産が回るよう狙っている。それを知っている真海は、解毒剤らしきものを真一朗に渡し、何かあったら美蘭に飲ませるように伝える。

 案の定、瑛理奈の毒入りレモネード(原作と同じ飲み物)を飲まされた美蘭は倒れ、真一朗はさっそく真海に渡された解毒剤を飲ませる。これで一安心かと思いきや、静かに鼻血を垂らしながら、口から液体を吐き、白目を剥きながら倒れる美蘭。これがなかなか踏み込んだ描写で、エクソシスト並み。

 慌てて病院へ駆けつけ、脳に後遺症が残ると医師に告げられた失意の公平に、自分が毒を飲ませたからだと土下座する真一朗。激怒した公平は屋上から真一朗を突き落とそうとするが、医師が止めていなかったら本当に突き落としていただろう。美蘭の実の母や婚約者(出口)が死んだ時と同じ毒だと言われてるのに、自身の出世のため、またしても公にしようとしない公平。しかし、その医師は真海とアイコンタクトらしきことをしており、どこかから寄贈された古い時計も意味ありげにアップになるなど、またしても真海の手の内では……? な展開。

 

■都合良すぎだと感じてしまう展開

 一方、留美に金を使い込まれ、金に困った神楽はヤミ金っぽい組織(F&Dファイナンス)から金を借りるが、その直後、秘書の牛山(久保田悠来)に頭突きをされ、ヤミ金社員にも殴られ、気を失い牢獄のような場所に監禁される。

 どうやらこの牛山もただの秘書ではなさそう。牛山はドラマオリジナルだが、それぞれの復讐相手が勝手に自滅ぎみの過去を抱えているというのは原作通りで、読んでいて多少「都合よすぎでは?」と感じてしまうのだが、これは根底にキリスト教の原罪に通じる考え方(己の罪に気づく)に沿う部分があるからだろう。

 なので、復讐相手に限らず登場人物はそれぞれに「罪」を抱えており、ドラマでは宗教観に頼らずどう「落とす」かが最終回の鍵となるだろう。

 ドラマのラスト、真海の元に戻ってきたエデルヴァは、手切れ金として渡された小切手を破き、飲み込もうと口に入れるが、飲み込めない。

「ずいぶん贅沢な朝食だな?」と皮肉を言いつつ、「スープ飲むか? 一緒に」と振り返り微笑む真海。最高のツンデレ。口から紙切れをはみ出させ、無様に涙しながら笑うエデルヴァ。エデルヴァを許した真海の心理が、次週どう影響するのか?

 今回、公平の父・貞吉(伊武雅人)と真海が五十音表を使って会話していた内容も明かされるであろう2時間スペシャル、是非お見逃しなく。
(文=どらまっ子HARUちゃん)

『モンテ・クリスト伯』大倉忠義の純愛すぎる想いが人を殺す……ついに山本美月が“おディーン様”にあの告白

『岩窟王』の名で知られる名作を現代の日本を舞台に焼き直したドラマ『モンテ・クリスト伯 ─華麗なる復讐─』(フジテレビ系)。無実の罪で収監されたのち脱獄、巨額の富と知性を手に舞い戻ったモンテ・クリスト・真海(ディーン・フジオカ)が仕掛ける復讐はいよいよ本格化。

 第7話は、真海の復讐相手の一人である南條幸男(大倉忠義・関ジャニ∞)に重い鉄槌が下される他、大きな展開が。視聴率は5.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、ほぼ横ばい。放送時ネットでもずいぶん話題にはなってるようだが、登場人物の関係性が複雑なため、なかなか途中から新規参入しにくいのかもしれない。

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■真海=暖だと気付いていたすみれ

 13年前のショーン・リー(南條の恩人で香港の有名俳優)殺害の情報を売ったと思われ、香港マフィア「ヴァンパ」に自宅に押し入られた南條。妻・すみれ(山本美月)と娘・明日花を人質に取られ、追い込まれた南條は自分が裏切っていないことを証明するため奔走。情報を売った「真犯人」が真海であると突き止め、ヴァンパ側に伝える。

 ヴァンパ一味が去った自宅で、すみれが南條から聞かされたのは、香港時代に借金を返すためヴァンパと共にショーンの自宅に忍び込み、そこで予定外に帰宅したショーン夫妻を殺してしまったという過去。南條が手を下したわけではないが、見殺しにしたような格好だと告げる。

 そしてこの情報を元に南條を潰そうとしているのが真海だと聞かされ、絶句するすみれ。

「一緒に乗り切ろう、今度は私が幸男を助ける番だよ。幸男がやったこと、私も抱えて生きていく。一生償っていこう」

 当時の夫・暖(真海)が突然逮捕、のちに獄中死したと伝えられ、失意の底にいたすみれを支えたのは南條(幸男)だ。その南條を今度は自分が支えようと励ますすみれだが、南條こそが「暖がテロ組織とつながっている」と嘘の通報をした「犯人」であることをまだ知らない。

 南條を心配するあまり、すみれは真海の元を訪れ、そしてついに本当のこと口にする。

「主人は悪くないんです。悪いのは貴方のことを待っていることができなかった私だよ……暖」

「暖なんでしょ? 死んだって聞いてたから信じられなかったから、わかったよ、最初に会った時から」

 真海=暖だとわかっていたことを、ようやく打ち明ける。さらに、暖の母・恵(風吹ジュン)は孤独死しているのだが、それも、すみれが「テロリストの妻」だと責められないように、恵がわざと距離を取り会わなくなった末に起きた事件だという「真相」も明かされた。

 ずっと無言で背を向け聞いていた真海(暖)だが、「幸男は悪くない、恨むなら私を恨んで」と必死に南條をかばうすみれの言葉に耐え切れず、反論する。

「何もわかってない、悪いのは幸男なんだよ!」

「紫門暖が警察に捕まるよう嘘の通報をしたのは南條幸男です。南條幸男が紫門暖を『殺し』たんです」

 一瞬、「暖」としてのパーソナリティも垣間見えたが、現在「真海」である彼は、あくまで「暖」は牢獄で死んでいる、というスタンスですみれに接している。頑なにすみれに会おうとしなかったのは、自分の復讐の気持ちが揺らぐのを防ぐためだったのだろう。

 真実を知ったまま、すみれは南條と合流し、夫妻で受賞したベストパートナー授賞式へ。

 しかし壇上での南條の挨拶の最中、「ショーン・リー殺害に南條が関わっている」との速報が駆け巡り、授賞式は一転、追及の場に。壇上でずっとこれまで黙っていたすみれは、このタイミングでいきなり南條と報道陣を前に離婚する旨を告げる。舞台裏で、すみれに一番知られたくなかった秘密(暖をハメたこと)を知っていることを告げられた南條は呆然。南條はドラマも降板、CM違約金も発生と、全てを失った。

 

■首を吊る南條幸男

 南條のマネジャー・江田愛梨(桜井ユキ)は、その日で退職することを告げつつ、自分が両親殺害の一部始終をを見ていた、当時幼かったショーンの娘・エデルヴァであると正体を明かす。

「ショーン・リー一家を殺したのが自分だと書いて責任を取らないと、奥さんと娘さんがヴァンパに狙われますよ?」

「あの後、知らない街の汚い部屋に閉じ込められて、汚い男たちの相手を毎日毎日させられた」

 自分の壮絶な過去を語りつつ、南條に真相を交えた遺書を書くように言い残し出て行く。

 ずっと落ち着いた口調だが、正直、かなり憎んでいる前振りもあったし、実際、親を殺され、その後売り飛ばされ男の相手をさせられたという事実も踏まえると、もっと憎しみを爆発させるものかと思いきや、唯一広東語で「人生の全てに懺悔しろ」と言った時以外、ずいぶんあっさりとした印象。

 この後、南條は首を吊って自殺するのだが、江田が何も知らない南條の娘・明日花からの電話に、なんとも言えない表情を浮かべていたのは、かつての親を亡くした幼い自分と重ねていたからなのだろうか。

 原作でも、南條(フェルナン)は妻と子に出て行かれ自殺するのだが、ドラマで一番違うのは、江田(エデ)が南條のマネジャーとして随時行動を共にしていたこと。そして最後、南條が首を吊った直後に、慌てて江田が戻ってきたのは何を意味しているのか? もしかしたら助けているのか?

 長く接していただけに(特に娘に)情がわいた可能性はありそうだが、どうなったのか気になる。

 南條が書き残した内容は、遺書というよりすみれへの想いを綴った純粋すぎるラブレター。

「僕はずっと君のことが好きでした」

「君を守ること、君を幸せにすること、それだけが僕の夢でした。それだけが僕の人生でした」

「君を守れなくてごめんなさい」

 回想での、暖がいなくなり落ち込むすみれに南條が想いを告げるシーンでも、

「これから一生暖ちゃんのこと思い続けてていいから、俺はずっと都合のいい『お兄ちゃん』でいい。俺はただ、すみれに生きてて欲しいだけなんだよ」

 おそらく、すみれを想いすぎるあまり、南條の中では暖を裏切った事実は、都合よく、なかったことになっていたのかもしれない。

 南條の殺害関与報道を受け、暖を陥れた「共犯」である神楽清(新井浩文)は「あいつ生きてる」、入間公平(高橋克典)は「やっぱりそういうことか」と、共に紫門暖のことを思い浮かべるのだが、南條は最後まで、真海が暖だとは疑いもしなかった。純粋すぎる想いが彼の中で、暖を本当に「殺し」ていたからだろう。

 ちなにみヴァンパが真海邸に襲ってきたものの、すでにヴァンパ内部とつながっていた真海は、仲間割れを起こさせ、事なきを得る。

 原作でも、盗賊の親玉ルイジ・ヴァンパ(こちらは個人名)とモンテ・クリスト伯(真海)はつながっており、捕らえられたフェルナン(南條)の息子(ドラマでは娘)を助けたりしている。

 

■今回も瑛里奈の悪魔ぶりが

 祖父である貞吉(伊武雅人)が怪しんでいるのを知り、貞吉のお手伝いの女性も(おそらく)殺害、これを機に自分の殺人鬼である一面を貞吉にだけさらけ出しはじめた入間瑛里奈(山口紗弥加)。美蘭(岸井ゆきの)を貞吉が殺したように見せかけて毒殺し、さらにその貞吉も自殺に見せかけて殺すと、貞吉に予告する。全ては血の繋がっている息子(瑛人)にだけに遺産を残すための歪んだ愛情からきており、病気で全身が麻痺し動けない貞吉の耳元でそれを語って聞かせる瑛里奈の様子は、ヒッチコックやスティーブン・キングの作品のような恐ろしさ。伊武雅人の目の芝居だけの芝居が今回も冴えていた。

 瑛里奈は夫の公平が警察幹部であるため、自宅での事件が公にされることはないとたかをくくっているため、やりたい放題になってきている。

 一方、その入間公平は、前回殺害された寺角類(渋川清彦)が紫門暖と同じ浜浦町出身だと知り、怪しんでいる様子。暖の死亡報告書はラデル共和国から届けられていたのだが、その資料の中に「ファリア真海」(暖に知識や資産を与えた恩人)の名を発見し、何かピンときたようだ。

 今回は、真海が寺角殺害の件で警察に連行されるところで終了となった。神楽も「元・漁師の勘」だと真海を疑いだしているし、果たして双方どこまで掴んでいるのか?

 原作では、入間(ヴィルフォール)にしろ神楽(ダングラール)にしろ、途中で真海=暖(モンテ・クリスト伯=エドモン・ダンテス)であると見破る展開はなく、どちらも本人に種明かしをされて「えーーー!」となるお約束であるだけに、ドラマならではの展開だとしたら、この先をどう描くのか楽しみだ。

 

■東京-鎌倉間の移動が早すぎないか?

 細かい点だが気になった点をいくつか。

 エデルヴァはなぜ「江田」という近い偽名を使ったのか? 原作では、ドラマでのマネジャー設定がないためフェルナン(南條)とエデ(江田)が、最後フェルナンが告発される法廷まで接触することはなく、そのため偽名自体出てこないのだが、ドラマでは少なくともバレる可能性は排除したいはずなのに「エデルヴァ」に近い名前を使っている。絶対にバレないという自信がそうさせているのか、はたまたバレてほしい気持が根底にあるからなのか、謎だ。

 そしてもう一点。南條やすみれが、東京-鎌倉間を行き来するのだが、その移動時間がやけに短いのだ。南條は、ヴァンパに3時までに情報を掴んで自宅に戻らないと妻子を殺すと脅されてるのに、鎌倉の真海邸を出たのは2時だし(ギリギリ間に合っている)、すみれも、ベストパートナー賞の楽屋にもう南條は入っているのに、単身真海邸に赴き、込み入った話をして、こちらも本番までにギリギリ戻れている。

 どちらも車で移動のはずだが、大事な授賞式や、ましてや妻子の命がかかっているのにそんなギリギリで行動するだろうか?

 ちなみに鎌倉と東京(港区だとして)はグーグル検索で1時間15分(車使用)はかかる距離だ。

 真海がシンガポールまで密航した際などもそうだが、このドラマは移動の描き方だけは随分雑な気がする。

 次回予告。入間が「復讐ごっこは終わりだよ、お前の負けだ、紫門暖」と笑うシーン。原作にはなさそうな展開が楽しみだ。
(文=どらまっ子HARUちゃん)

『モンテ・クリスト伯』稲森いずみが実の子の前で犯されかけるAV展開……米朝首脳会談中止の速報がかぶる奇跡も

 

『岩窟王』の名で知られる名作を現代の日本を舞台に焼き直したドラマ『モンテ・クリスト伯 ─華麗なる復讐─』(フジテレビ系)。無実の罪で投獄させられ、復讐の鬼と化したモンテ・クリスト・真海(紫門暖)をディーン・フジオカが演じる。壮絶なシーンの連発となった第6話は前回より0.7ポイントアップの6.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。1話完結でないために脱落者も多いようだが、ハマっている人は抜け出せなくなるドロ沼ドラマなので、気になっている人は多いのだろう。潜在視聴率は高そうだ。

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■江田の両親殺害に関与していた南条

 

 人気俳優・南条幸男(大倉忠義・関ジャニ∞)は、売れない香港時代、大物俳優だったショーン・リー(原作でのアリ・パシャに相当)の付き人をしていた。

 そのショーンは13年前に失踪しているのだが、香港マフィア「ヴァンパ」が殺害したとの報道が出る。これは恐らく真海が流した情報だが、実は南条は当時ヴァンパと関わりがあり、ショーン失踪(殺害)にも噛んでいる。これによりヴァンパは身内の南条が情報を売ったと疑い、動き出す。怯える南条と、利用しようとする神楽清(新井浩文)。

 国有地取得をめぐって、自分の不動産会社と対立する五蓉グループのCMを引き受けた南条を敵視し始めている神楽は、この弱みを利用して南条を落とし、国有地をゲットしようと目論む。ちなみに、2人とも15年前に友人の紫門暖(真海)の成功を妬み、嘘の情報を警察に流し、暖が異国の地に投獄されるきっかけを作った「裏切り者」仲間。復讐すべき相手同士を憎ませ合うのは真海の常套手段。

 早くもやってきたヴァンパのメンバーから脅され、さらに神楽がこの件について嗅ぎ回っていることを知る南条。後日、神楽の元に乗り込み、これ以上首を突っ込むなと釘を刺すが、これにより神楽は南条が噛んでいることを確信する。

 ちなみに、南条は、当時いなくなったショーンの代役に抜擢され、その作品をきっかけに売れっ子俳優になっているのだが、その作品のキメ台詞が「これが俺の復讐だ」というらしく、皮肉が効いている。

 今回も、意味ありげな台詞や細かい見せ方は凝っているのだが、番組ラストにヴァンパが南条宅に集団で押しかけた際、「常識が通用しない連中」として怯えていたはずの南条なのに、警備の一人も雇っていないばかりか、妻・すみれ(山本美月)に普通に玄関を開けさせるなど、少々違和感も感じた。

 ショーンがヴァンパに殺された時に現場にいて、生き延びたショーンの娘が、南条のマネジャー(のフリ)をしている江田(桜井ユキ)であることが今回発覚。南条を恨み、真海に協力する理由が見えてきた。南条の妻で、真海のかつての妻でもあるすみれに「もうすぐで父と母にいい報告ができそうなので楽しみです」と意味深に微笑むが、すみれに対して復讐相手の妻であると同時に、今は真海に対する恋敵として見ている部分もある。

 その真海が「いよいよ始まるね、君の復讐が」と言ってマッチを擦り、江田のタバコに火をつけ、「南条幸男の全てを奪ってやろう、彼の命さえも」といってその火を消す→オープニング、という流れはおディーン様ファンはたまらなかったはず。

 ちなみに今回も「すみれが真海を暖だと気付いている匂わせ」は多く、かつて暖からもらった貝殻の指輪を眺めたり、暖の母親の墓参りをしてたり、「私が助けなきゃいけなかったのに、助けられなかった人」とも言っている。もはや匂わせというか、絶対気づいているが。

 

■「化学反応を楽しむ」真海

 

 真海は、当時の香港警察の捜査資料や独自で手に入れた資料を神楽にちらつかせるも、「友達を売ることはできません」と言いつつ渡さない。もちろん自分をかつて「売った」神楽への皮肉。そして、この「餌」がきかっけで大事件が起こる。

 南条を落とすため、ひいては国有地取得のため、喉が出るほどその資料が欲しい神楽は、地元の先輩件チンピラ(一応地上げ屋)の寺角(渋川清彦)に、真海宅に侵入し資料を写真に撮ってきてほしいと持ちかける。

 15年前、輝いていた暖に嫉妬していた南条と神楽を焚きつけたのは寺角だが、浅はかな小悪党といった感じの寺角は、ズル賢い神楽にいいように使われた挙句、今もうだつが上がっていない。金に困っている寺角は二つ返事で引き受ける。

 このやりとりも盗聴器で把握している真海は「化学反応を楽しんでみよう」とターゲットを泳がせて楽しんでいる。家の前をうろつく寺角を不審がる秘書に「私の客だ、丁重に知らないふりをしておいてくれ」と余裕も見せるが、かつて自分の母から土地を奪い、餓死に追いこんだ寺角のことを「人殺し」としっかり恨んでいる。

 その寺角は、かつての刑務所仲間・安藤完治(葉山奨之)が神楽の妻・留美(稲森いずみ)を「ハメ込んでる」のを知り、脅しつつ真海邸侵入を持ちかける。しかし「バカとは組まない」と断られる不憫な寺角。誰からもバカにされ、それにどこか慣れっこになっている寺角。安藤に「俺はお前の大先輩だからな」とヘラヘラ言い返していたが、15年前にも神楽相手に同じことを言っており、うまいことやってのし上がっている周囲に対し、いい意味でも悪い意味でも全く変わってない(変われない)寺角の悲しさ。それを渋川清彦(元・KEE)が飄々と演じている。

 結局、ヤミ金の取り立てに耐えられなくなった安藤は寺角と真海邸に侵入するのだが、このヤミ金会社(F&Dファイナンス)も真海とつながっている様子。

■犯行現場で三つ巴のAV展開

 

 真海は、安藤が盗みや詐欺の前科がある人物で、青年実業家として紹介してしまったことを留美に詫びる。もちろん全て知って行っていたのだが、さらに真海は安藤が捨て子であることを意味深に告げ、留美はそれがかつて埋めたはずの自分の不義の子であることを悟る。真海は、安藤と体の関係を持つ留美を絶望させようと目論んでいたのだが、実の子が生きていたことを知った留美は涙を流し喜んだ。もちろん真の理由は真海には告げていないし、かといって真海も聞かなくてもわかっている。思惑だらけのドラマ。

 さらに真海は、安藤がさらに悪事をしようとしていることを告げる。

 そして、わざと留守にされた真海邸にまんまと寺角・安藤が侵入している最中、留美が安藤を止めようと現れる。

「サツにでも突き出すか? 俺に惚れたあんたが勝手に貢いだだけだろ? 腐ったババアを抱いてやったんだから感謝しろよ?」

 フルスロットルで本性を剥き出しにする安藤。しかし、菩薩と化した留美は「安藤君のこと私が守ってあげる」と、お構いなしに安藤を全肯定。

 かねてより大根疑惑のあった安藤役の葉山は不安定な芝居もありながらも、クズっぷりを好演しており、その大根ぶりはいい人に見せるための「演技のために演技」であったとみて間違いないが、演技に力が入りすぎて、侵入している男とは思えないほどの絶叫演技。これは演出の問題だが、さすがに状況無視しすぎで少し笑ってしまった。

 ここで寺角が留美を背後から殴りつけ、犯そうとしだす地獄展開。この辺のシーンはまんまAVの前半部分を見させられているかのようだし、しかも全員ずっと大声で、もうはちゃめちゃ。

 結局、留美を守ろうとした安藤は寺角を刺してしまう。動揺する安藤に「こういう時は、埋めればいいんだよ……」と指示をする経験者・留美さん。もちろん、22年前に自らが赤子(現・安藤)を埋めたことを踏まえての発言だが、まだ安藤は留美が自分の母だとは知らない。深夜に死体(瀕死)を埋めるために庭を掘る母と子。AVの次はホラーだ。

 95パーセント埋まったままの虫の息の寺角に、母親を殺された恨みを吐きつつ、自分の正体を明かす真海。

「俺は柴門暖だ」

 真海の人影を感じ途中で逃げた2人にかわり、最後まで土をかけ埋め終わった真海がつぶやく。

「これでまず一人」

 

■留美の覚醒

 

 翌日、アザだらけの顔で「私は私の人生生きることにしたの」と神楽に金をせびる留美は完全に覚醒したようで、その変貌ぶりはかつての鬼束ちひろのようだし、顔だけ見てると劉邦の時代の武将・黥布のよう。

 議員への賄賂をバラすと脅す留美の変貌ぶりに神楽が驚きつつ「お前、死ぬぞ?」と言い、それに対し「貴方もね」と留美がカウンターで言い返した最高のタイミングで「米朝首脳会談をトランプがキャンセル」のニュース速報が鳴り響く。最高なのか最悪なのか、どっちにしろ笑った。そしたら、画面の留美も声をあげて笑っており、個人的ミラクル。「久しぶりだね、私の顔ちゃーんと見てくれたの」と喜ぶ留美を呆然と見つめる神楽もよかった。

 経緯は違うものの、寺角が安藤に殺されるのは原作通り。だが原作では留美(エルミーヌ)はここまで倒錯したキャラではなく、ドラマにはいない娘のユージェニーのキャラが混ぜられていると思われる。

 さらに、前回発覚した毒盛り殺人鬼である入間瑛理奈(山口紗弥加)の悪魔っぷりは今回も見え隠れしており、

「未蘭(岸井ゆきの)お姉ちゃんに好きな人ができちゃったみたいだから準備をいろいろ急がなきゃなって」

「これからどういう風にお料理しようかなって」

「ママね、瑛人のためにこれからどうやってお料理しようかしらって考えている時が一番幸せなの」

 殺人のことを、例えながらとはいえ、幼い実の子にうれしそうに語るクレイジーぶりがすごかった。

 最近は、内容が盛りだくさんすぎてわかる人にはたまらないが、半端に見ている人には複雑すぎる展開になってきている。ぜひ多くの人に見ていただきたいドラマだ。

(文=どらまっ子HARUちゃん)

 

山口紗弥加の悪魔ぶりが最高『モンテ・クリスト伯』果たして葉山奨之の芝居は下手なのか? 狙いなのか?

 日本でも『巌窟王』として知られる170年前の原作を下地とし、現代の日本版に「脚色」したドラマ『モンテ・クリスト伯 ─華麗なる復讐─』(フジテレビ系)。

 無実の罪で投獄された後、莫大な財産を手に舞い戻った紫門暖あらためモンテ・クリスト・真海(ディーン・フジオカ)が気づかれることなく自分をハメた旧友らに、遠回りだが最も心理的に効果的な復讐を仕掛けていく。

 第5話の視聴率は5.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と2話続けてダウン。5月に入り上がったものの、また初回並みに戻ってしまった。物語は盛り上がってきているのだが、複雑な人間関係やその展開に、途中から見始めたがついてこれない視聴者が脱落してしまったのか。確かに細かい伏線も多いのでわからないと面白さが半減してしまうかもしれないが、残念だ。おさらいします。

(前回までのレビューはこちらから)

■安藤役の葉山の不自然な芝居は本当に狙いなのか?(その2)

 前回、金や不貞のことで神楽清(新井浩文)に暴言を吐かれ、家を飛び出した妻・留美(稲森いずみ)は一夜明けて、何事もなかったように清に朝食を振る舞う。清は、有力者である議員・木島(嶋田久作)の紹介での結婚である手前、「別れられねえよな」と皮肉を言うが、留美が昨日と打って変わって落ち着いていられるのは、真海に紹介された若き実業家(のフリをしている)安藤完治(葉山奨之)という依存先を見つけたから。

 清の前で仮面のような固まった笑顔でたたずむ稲森いずみも、留美に皮肉を言った後「ま、俺も一緒か」と自嘲する新井浩文も、双方どうしようもない関係性がにじみ出ている芝居がとても良かった。

 しかし留美が「王子様」的に依存している当の安藤は、留美が事業のためにと貢いだ金で、朝からデリヘルを呼ぶようなゲスっぷり。「とにかくちょー若い子」と注文を出すあたり、やはり留美を金ヅルとしか見ていないのだろう。

 前回、芝居が「下手くそすぎる」と酷評された葉山だが、筆者はこれが善人ヅラを強調する「演技の演技」のためであると書いた。その演技の意図はおそらく間違っていないと思うのだが、かといって今回の悪人ヅラの芝居がうまかったかと言われると、正直なんとも言えない感じで、今後の葉山の演技に注目したい。

 

■すみれの想いと江田の嫉妬が炸裂

 南条すみれ(山本美月)は、真海(紫門暖)に会いたがっているが、真海はかつての最愛の人物・すみれに会おうとしない。それは、すみれを復讐相手と見ていないから巻き込まないようにしてるからなのか、それとも自分の母親が餓死したのを、母の元を離れ南条幸男(関ジャニ∞・大倉忠義)と結婚したすみれのせいだと思いつつも葛藤しているからなのかわからないが、その態度に、真海の手下であり、南条家にマネジャーとして入り込んでいる江田(桜井ユキ)は嫉妬を強める。

 その気持ちが暴走したのか、真海が入間夫妻を自宅に招いた際、江田は真海に黙ってすみれも招待する。

 真海がかつての夫・紫門暖と同じ猫舌であるかどうかを見極めようと、熱々の小籠包を食べるのを注視したり、星が好きなのか尋ねたり、かなり前のめりに真海=暖かどうか? に踏み込んでくるすみれ。

「これまで(結婚を)考えたことは?」

「一度だけ、結婚を考えた女性がいました。けれど、私が長い旅をしている間にその女性は別の男性と結婚してしまったそうです」

「真海さんはその女性を恨んでいますか?」

「こう思うことにしています。その女性はもう死んでしまったのだと」

 この答えに悲しい顔をするすみれだが、2人だけでベランダにいるとあらぬ誤解を招くと「貴女には迷惑をかけたくない」と言った何気ない真海の言葉に本音が見え隠れする。

 一同が帰ったあと、すみれが持参した娘・明日花が描いた星空の絵を燃やす真海の姿は、自分の気持ちが揺らがないように、復讐の炎を焚きつけているように見えた。

 そんな姿を見て、江田は「あの男たちに復讐したいのか、それともすみれを取り返したいのか」と詰め寄る。どこまで本気かわからない感じで真海に首を絞められつつも、江田は「かまいません、真海さんになら殺されても」「でも私に代わって必ず南条幸男を殺してください!」と胸中を吐露、情念の深さをさらけ出した。迫力あるいいシーン。

■登場してすぐ死んだ出口

 今回、真海のもとに復讐のための新たな「手駒」が登場。外務省の官僚・出口文矢(尾上寛之・原作でのフランツ・デビネーの相当)は、マレーシア政府まで動かし自分を帰国させた真海に心酔しているようで、それは婚約者である入間未蘭(岸井ゆきの)の祖父・入間貞吉(伊武雅刀)の殺害まで引き受けるほど。初めは冗談として聞いていた出口だが、それにより30億円の遺産が自分たちに入るということ、そして貞吉が過去に美蘭の母(父である入間公平=高橋克典の前妻)を毒殺した罪人であることなどを真海から吹き込まれ、実行に移す。

 入間宅に美蘭しかいない隙をつき(入間夫妻は真海宅に招かれている)、貞吉の部屋に侵入した出口だが、なんといきなり泡を吹いて死亡してしまう。

 出口の死の描写は原作のフランツというより使用人・バロワと同じで、ある程度エピソードをミックスしていると思われる。

 ちなみに原作では出口にあたるフランツは、明日花にあたるアルベール(青年男子)の親友で、ともに盗賊と対峙したりといろいろ冒険をするのだが、ドラマではこの2人はまったく切り離されており、やはり明日花が少女であることで原作通りでない部分が生まれている。

 

■悪魔・瑛理奈が正体を現す

 出口の死因が美蘭の母親と同じため「事件性がある」と子飼いの医師に言われるも、自分の立場からそれをもみ消す公平。

 警察官僚である公平の自宅で事件があっても事を荒立てないはずだという真海の推測通りの展開。

 ハイボール好きの出口だけが飲むように炭酸水に毒を仕込んでいたのは公平の妻・入間瑛理奈(山口紗弥加)だ。

 ずっとカマトトのような振る舞いを続け、本性を潜めていた瑛理奈だが、13年前にまだ美蘭の家庭教師として入間家に入り込んでいた時に、当時の公平の妻(美蘭の実母)を殺したのも彼女だったのだ。

「清濁合わせ飲んで生きてきた人間は必ず自分の中に悪魔を抱え込むことになる」「私はあの家(入間家)に住む悪魔を目覚めさせただけ」だという真海は、瑛理奈に出口名義で手紙を送っていた。

「13年前、前の奥様を毒殺したように入間貞吉を殺してください。遺産を戴ければ、他言は致しません。 出口文矢」

 これが逆に出口が殺される引き金となることを、真海はわかっていたのだろう。

「手紙には人の人生を壊すほどの力があると教えてくれた人がいてね、その人へのお返しだ」と真海は江田に語っていたが、これはかつて自分がテロ組織と繋がっているかのように手紙を捏造した公平のことを指している。

 出口が死んだ翌日、一人キッチンで陽気に「歓喜の歌」を口ずさむ瑛理奈の「悪魔」ぶりはかなりキテおり、山口紗弥加ここにありといった感じ。ずっと丁寧にキャラを積み重ねて来たのが生きている。

「第九」でエヴァンゲリオンを思い出した人もいるかもしれないが、どちらかというと映画『ダイハード』のそれのようだった。

 

■なぜ出口を殺す必要が?

 一見、出口を殺すことには意味がないように思われる。しかし、瑛理奈に罪を犯させることで、本当の目的である公平を追い込んでいる。さらに今後、瑛理奈の唯一の実子で、溺愛する瑛人(宇都宮太良)だけに遺産が渡るように、「公平の一番の宝物」=美蘭を殺すことまで真海は見越しているのだ。

 さらに真海の根回しは周到で、事前に公平にも出口が日本の援助金を横領していたと刷り込んでいる(おそらく嘘)。この真意はまだはっきりしていないが、今後生きてくるのだろう。

 この横領の事実を伝える際、真海はマレー語の報告書を見せ「私は、マレー語はちょっと(読めない)」と公平を困らせている。これは第1話で英語(ローマ字)の読めない暖(真海)が公平に手紙を改ざんされた時と立場が入れ替わっていること示している。

 ドロドロの展開の中にあって守尾信一朗(高杉真宙)と未蘭だけは純粋にお互いに惹かれあうが、現在の両親に恩義のある真面目な美蘭は親の決めた相手(出口)と結婚すると覚悟を決めていた。その矢先の出口殺害。今後二人の関係はどうなるのか? それ以前に美蘭は瑛理奈に殺されてしまうのか?

 次回はいよいよ南条に真海の復讐が炸裂する模様。乞うご期待。
(文=どらまっ子HARUちゃん)

『モンテ・クリスト伯』森友問題に仮想通貨暴落、視線入力まで登場! それでいて中身のドロドロは“現代の大映ドラマ”か

 日本でも『巌窟王』として有名な約170年前の名作を下地とし、現代の日本的に「翻訳」したドラマ『モンテ・クリスト伯 ─華麗なる復讐─』(フジテレビ系)。

 無実の罪で投獄されたのち、莫大な財産を手に舞い戻った紫門暖あらためモンテ・クリスト・真海(ディーン・フジオカ)が、気づかれることなく堂々と旧知の友人である復讐相手たちを陥れていくところが見どころ。

 第3話の視聴率が7.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、今回の第4話が6.5%と、低空飛行ながら初回の5.1%よりじわじわ上昇中。第4話をおさらいします。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■殺されたはずの赤ん坊が「母」の前に

 とある国有地の取引を有利に進めるため、不動産業を営む神楽清(新井浩文)は旧知の議員・木島義国(嶋田久作)にすがり、五蓉不動産がライバルとして動いていることを知る。議員が根回しして取引を有利に進める、もちろん森友学園や加計学園問題を下地としているのだろう。

 しかし、その五蓉不動産のCMに人気俳優である南条幸男(関ジャニ∞・大倉忠義)と妻のすみれ(山本美月)が出演することを知り、旧知の友であり、真海を陥れた「共犯者」である神楽は気に食わない。

 神楽の妻・留美(稲森いずみ・原作でのエルミーヌに相当)は刑事部長・入間公平(高橋克典)とかつて不貞関係にあり、産んだばかりの子どもを遺棄した秘密がある。公平は真海(ディーン・フジオカ)を警戒し、留美に近づかないように電話で指示、しかしその電話の最中、絶妙なタイミングで真海が登場、留美に接触する。怖い。

 真海はアパレルブランドを立ち上げようとしている青年実業家の安藤完治(葉山奨之・原作でのベネデット/アンドレア・カヴァルカンティに相当)を紹介し、留美と引き合わせる。3人は真海の購入したばかりの家でランチをするが、ここの庭にかつて留美と公平は子供を埋めているため留美は落ち着かない。

 だが、おかまいなしにグイグイ踏み込んでくる、いい人っぽい安藤に、次第に心を開いていく留美。かつて銀座でホステスをしていた留美を、子飼いの神楽と結婚させたのは議員の木島で、神楽は出世と金にしか目がなく、乾ききっている留美は何人もの男と体を交え、寂しさをごまかしていた。そこに自分と向き合ってくれそうな純粋っぽい安藤が現れたので、惹かれてしまったのだろう。ついさっき公平に釘を刺されたのに、もう真海の紹介した男に出資しようとする留美の弱さが悲しい。

 しかし、実は安藤は非合法っぽい集団から借金を取り立てられており、留美を金ヅルと見て接触しているよう。

 実はこの安藤は、留美と入間との間に生まれ埋められたはずの子どもで、真海はそれを知っていて留美と引き合わせた。安藤のことを「私のために生まれてきた人間」だという真海は、もちろん復讐の駒として使うのだろう。

 

■安藤役・葉山の芝居が変なのはわざとか?

 しかも留美は軽い気持ちで始めた仮想通貨(ベルコイン)にはまって損失を出し、夫には言えないため公平に泣きついて金(300万)を出してもらう。実は神楽は秘書の牛山(久保田悠来)を使って、仮想通貨のことも、公平とのことも、若い男と寝ていることも全て知っていた。神楽は留美に対する愛は一切なく、ただ自分の大切な金を危機にさらしたことにのみ激怒する。神楽の最も大切なもの、つまり真海が神楽から奪おうとするものが浮き彫りになる。もちろんこの仮想通貨の「暴落」を裏で操っていたのも真海だ。

 金の件で神楽にブチ切れられた留美は、その300万を持って家を飛び出し、そのまま安藤と身体を交えてしまう。安藤が、自分があやめかけた実子であるとも知らずに。

 留美は安藤に対して、他の寝るだけの若い男らと違い、母性のようなものを感じているようだが、文字通り「母」であるだけ悲しく、しかも一線まで越えてしまった。もちろん真海が不幸にしたいのは留美ではなく、その先にいる神楽や公平なのだが、復讐に目が眩んでいる真海には今は関係ないのだろう。

 ちなみに安藤役の葉山の芝居が嘘のようにたどたどしく、これは「純粋ないい人」を演じるための、いわゆる「演技の演技」だと思うのだが、それにしてもただ下手に見えてしまっており、どちらにせよ現時点ではやや損をしている気がする。

■伊武雅人の目力が凄い

 入間公平の長女で大学院生の未蘭(岸井ゆきの/原作でのヴァランティーヌに相当)は親の決めた外務官僚の出口文矢(尾上寛之/原作でのフランツ・デネピーに相当)との結婚に抵抗するが、公平は自分の出世のために押し切ろうとする。公平の父である入間貞吉(伊武雅刀)は寝たきりで意識レベルが極めて低いように見えるため、雑に報告し、了承をとったことにする公平。

 しかし、未蘭を溺愛する貞吉は未蘭が出口と結婚した場合、30億の資産を公平、未蘭、瑛人(公平と現妻の間の子・未蘭は前妻との子)の3人には相続せず、文化財団に寄付すると公平を脅す。

 手も口も動かせない貞吉だが、視線で文字を操るパソコンで会話が可能だったのだ。

「ワタシノ遺産カミランノ結婚カドチラカエラベ、コウヘイ!」と機械に読み上げさせ、公平を睨みつける貞吉。伊武雅人の不気味さがよく出てるシーンだ。

 この騒動の最中、未蘭は海洋生物の研究を兼ねて訪れた魚市場で、守尾水産で働く守尾信一朗(高杉真宙)と出会い、惹かれ合っており、この時信一朗から借りて未蘭が着ていた守尾水産のパーカーを貞吉が意味ありげに見つめていたのが気になる。

 かつて守尾水産の船長をしていたバラジという男と貞吉はテロ組織を通じてつながっているはずで、真海(紫門暖)が投獄されるきっかけでもあるからだ。

 

■すみれはやはり暖に気付いている?

 前回、真海宅で開いたパーティに南条の妻で料理研究家のすみれ(山本美月)だけは呼ばなかったように、今回もかつての妻・すみれと接触しないようにする真海。すみれは会いたそうなのだが、真海は意図的に避けているようだ。

 前回、娘に星の話をしたり(真海がかつて星を頼りに船を操縦していた)行けなかったパーティの差し入れにオレンジのケーキを作ったり(真海が暖としてすみれと付き合っていたころオレンジを齧って食べていた)そのケーキを作りながら「愛は勝つ」を口ずさんでいた(2人の結婚式やプロポーズ時の思い出の曲)ことから、すみれは真海を暖だと気付いているか、少なくとも面影に親近感を抱いているはずで、今回も真海がらみの会話で思わせぶりな表情を見せていた。

 南条のマネジャーで、すみれのマネジャー的な存在でもある江田愛梨(桜井ユキ)はどこかすみれをライバル視してるようにも見える。真海に片思いしている感は見受けられるが、真海の復讐を手伝う利害関係はまだ明らかにされていない。

 

■南条は過去に香港マフィアとつながりが

 国有地取引においてライバル側(五蓉不動産)に付いた南条幸男が気に食わない神楽に、真海が仕掛ける。南条が香港時代に非合法組織と繋がっていたようだと、それとなく神楽に吹き込み、神楽は南条の弱みを見つけようと香港に秘書を送り込み調べだす。そもそも五蓉のCMを南条に持ってきたのもマネジャーの江田だから当然、江田を操作している真海が裏で手を回したのだろう。

 香港の非合法組織は「ヴァンパ」というらしく、原作では山賊の親玉を殺し、その親玉に座った元・羊飼いの少年の名がルイジ・ヴァンパで、殺された先代の親玉の名がククメットである。ククメットは真海と繋がりがあるとでっちあげられたテロ組織の名前に使われており、今回も個人名ではなく、組織名として流用されている。

 

■最新の話題をうまくはめ込む

 今回、森友問題や仮想通貨、視線でのパソコン操作など、最新の話題が盛り込まれていた。原作ではもちろん仮想通貨ではなく、スペインの株が暴落したと嘘をつき大損をさせたり、パソコンではなく、目で合図して意思の疎通を図ったりしているのだが、最新の話題やガジェットとあざとく入れることで古典に血を通わせ、現代の日本にうまく落とし込んでいる印象を強めた。このあたりは、古典を翻案にしたドラマならではの楽しませ方だろう。このドラマが当たれば、今後こういった「翻訳」ものが増えるかもしれない。

 真海の復讐はただ殺すとか脅すのではなく、かつての共犯同士を憎ませあってこじらせたり、身内同士を憎ませたり、内部から破壊させ、逃げ場を失わせていくのがえぐい。

 まったく違うのだが、ここにきて口コミで評判が上がってきているのは、このドロドロ具合にどこかかつての大映ドラマのような懐かしさがあるからだろうか。次回の展開が楽しみだ。
(文=どらまっ子HARUちゃん)

 

フジテレビ『モンテ・クリスト伯』原作に忠実かつエグい展開……“どろどろの復讐劇”が本格化

 日本でも『巌窟王』として有名な170年前の名作を下地とし、無実の罪で投獄された男の壮大な復讐を描く『モンテクリスト伯 ─華麗なる復讐─』(フジテレビ系)。脱獄し、莫大な財産を手に舞い戻った紫門暖あらためモンテ・クリスト・真海(ディーン・フジオカ)が、復讐相手となる各家庭に接触し始めたのが今回の第3話。各家庭の内側に隠された秘密がボロボロ出て来ます。

(前回までのレビューはこちらから)

■南条家への接触

 シーカヤックで遭難しかけた女性と女の子の2人組を助けた真海(暖)。この子は、南条幸男とすみれの子ども・明日花(鎌田恵怜奈・原作でのアルベールに相当)で、一緒に乗っていたのは幸男のマネジャー・江田愛梨(桜井ユキ・原作でのエデに相当)。

 原作通りなら、この物語でキーマンとなるであろう江田は真海とつながっており、遭難も実は真海と江田が仕組んだこと。それを知らない南条は真海に感謝する。

 前話から1年経っている(2018春)のだが、守尾英一朗(木下ほうか)の葬儀の日、港で話したことも幸男は覚えていないようだ。かつての親友なのに。

 明日花が遭難時に江田に飲み水を譲ったことに触れ「普通なら足を引っ張り合うものですからね」と真海が幸男にカマをかけるも、やはり気づかれない。

 数年前ディーン・フジオカが突如日本の芸能界に現れた時から、もやもやと感じていた「誰なんだお前は?」感がシナリオと関係ないところで見事に生きている。

■すみれは暖に気づくのか?

 そしていよいよ元・最愛の妻であるすみれとの再会。今回すみれが真海と会った際、暖だと気付く様子は見られなかった。しかし、真海はなかなか紅茶を飲まず、これは彼が猫舌であることを示しているはずだ。第1話では、すみれの前で猫舌ぶりを披露しているし、2話でホームレスのようなかっこうで舞い戻った際も、信一郎の振る舞った味噌汁を熱がるそぶりがあった。この「暖」の名残りに、すみれは気づいていないのか?

 明日花は遭難時、母親(すみれ)から「星が(帰る場所の)目印になってくれる」と聞かされていると発言しており、これはすみれが暖のことを今でもしっかり想っていることの証ではないだろうか。そして、今の真海にとっての帰る場所とはどこなのかが気になる。

 ちなみに、真海はすみれの出した紅茶とシフォンケーキを口に入れたものの、家の外で嘔吐している。これがどういう状況なのかはまだわからないが、原作では、モンテ・クリスト伯は復讐しようと狙う相手が差し出した食べ物は決して口にしないように描かれている。これを下地としているのは間違いないだろう。

■神楽への接触

 真海は不動産業を営む神楽とも接触、莫大な資産をちらつかせ「金づる」のふりをして神楽の金銭欲を刺激する。

 元・漁師仲間の神楽だが、真海の贈り物である釣竿をゴルフクラブ代わりに素振りするところから見て昔の面影は消えており、前話ラストで神楽が真海を指して言っていた「成金」が、実は神楽そのものであることがわかる。それは、自宅とはいえ秘書の牛山(久保田悠来)の前で平気で下着になったりと生粋の育ちの良さでない仕草からもうかがえる。

 実はこの釣竿には盗聴器が仕掛けられていることも神楽は当然知らず、お返しに真海へリールを送るのだが、そのリールを真海が何度も何度も木槌で叩きながら壊す行動から、神楽への恨みの深さを感じることができる。

■入間家への接触

 入間公平の妻・瑛理奈(山口紗弥加)の飲み物にアレルゲンである蕎麦粉を混ぜて発作を起こさせ(実行したのは江田愛梨)、それを助けることで入間家に侵入、接触し出す真海。瑛理奈は血のつながった実子の瑛人を溺愛しており、入間の前妻との子・未蘭(岸井ゆきの・原作でのヴァランティーヌに相当)とは溝があるようだ。

 公平の前で、ともに自分を陥れた仲間の神楽の名前を出すことで反応を確かめる真海。

■復讐相手勢揃いのパーティ

 真海は鎌倉に購入したとある別荘でのパーティに復讐相手たちを招待する。

 やってきたのは神楽夫妻、南条幸男、入間夫妻の5人。それぞれ男たちは旧知なのに初対面ヅラで挨拶させ、それを眺める真海の圧倒的優位ぶり。

 南条の妻であるすみれは江田がわざと仕事のミスをさせたため欠席なのだが、ここにすみれを来させなかったのは真海が未だすみれを想っている気持ちのあらわれだと感じる。

 この時、真海の秘書・土屋慈(三浦誠己)が、キッチンで真海にある告白をする。昔、窃盗目的で侵入したこの別荘で、入間公平と神楽の妻・留美が庭のマリア像の下に生きたまま赤子を埋めていたという事実。公平と留美はかつて出来ており、その関係を隠すため不義の子を消そうとしたようだ。

 もちろん、土屋の過去を含め全ての事実を知って真海は動いているはずだ。留美や公平の前で、マリア像の下から「小型犬の骨」が出てきたとあえて言ってみたり、新鮮なカツオをさばき、血を見せることで2人(特に留美)を精神的に追い込む真海。

 留美の病んだ心は子どもを殺した怯えからくるものなのだろう。しかし、まさかこんなところでディーンの包丁さばきの腕が活かされるとは、前回の語学力披露といい、おディーン様ファンには、余すところなくたまらないドラマだ。

 問題は、なぜ江田が真海に協力しているのかだが、江田は南条に「杀人犯(人殺し)」と書いたファックスを送っており、かつて南条が出世のきっかけをつかんだ香港時代に何かあったのだろう。終盤、江田は真海を想っているが、真海は江田を復讐の道具としか見ていない様子も見られ、次回ますます以降重要なポジションになっていきそうだ。

■復讐を楽しんでいる真海

 真海は復讐相手を前に思わせぶりな言葉を連発、その思わせぶり具合のドラマの見どころの一つだ。

・真海が有名な投資家だとのネット記事を見た南条に「ネットに書かれてることの半分以上は嘘ですよ」と微笑む。もちろん自分の存在自体がフェイクであることを踏まえての発言。

・どうして日本へきたのかと南条に問われ「長年の夢を叶えるために」、その夢をすみれに問われ「それは叶ってからのお楽しみです」。もちろんそれは復讐を意味する。

・公平が取り調べのような口調になっているのを瑛理奈に咎められると「プロの取り調べに興味がありますので」と、かつて取り調べで公平に証拠を捏造され投獄された過去を念頭に発言。

 真海は江田にこの復讐について「殺すなんて簡単すぎる」「本当の不幸ってなんだか知ってるか?」「壊すんだよ、大切なもの全てを」と持論を語っており、真綿で首を絞めるように少しずつ恐怖を与え、「大切なもの」を奪い、「死」以上の不幸に落とし込もうと楽しんでいるのがわかる。

 ここまで見てわかるのは、思ってる以上に細かく原作を意図を持って「翻訳」し、脚本化しているということ。脚本の黒岩勉は相当『岩窟王』が好きなのか、それともただ腕が見事なだけなのか。どちらにしても丁寧に作られているのは間違いない。明治時代に原作を初めて日本語訳した黒岩涙香と同じ性なのも面白い。

 果たして最後まで原作通りなのか? 特にすみれや江田との関係に注目しつつ、次週を待ちましょう。
(文=どらまっ子HARUちゃん)

数カ国語を操るおディーン様を堪能できる『モンテ・クリスト伯』見た目がまんまなのは大丈夫か?

 日本でも『巌窟王』として有名なアレクサンドル・デュマの名作『モンテクリスト伯』(1841年)を現代の日本を舞台に「翻訳」ドラマ化した『モンテ・クリスト伯 ─華麗なる復讐─』(フジテレビ系)。いよいよおディーン様がモンテクリスト伯となって舞い戻る第2話は5.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と微増。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■浦島太郎状態の暖

 

 前回の2003年から14年たった17年。一人のホームレスが港町・浜浦町に現れる。腰近くまで伸び切った白髪、ボロボロすぎる衣類に裸足。無実の罪で投獄されたラデル共和国の監獄から脱獄し、舞い戻ってきた紫門暖(ディーン・フジオカ)だ。どうやら船を操り、密入国してきたらしい。更地になっているかつての実家の前で力果て倒れていたところを守尾信一朗(高杉真宙)に助けられる。

 暖が平和にこの町で暮らしていた当時、世話になっていた守尾漁業の社長・守尾英一朗(木下ほうか)の息子が信一朗だ。第1話では小学生姿の幼い信一朗が、暖と仲良さげにしており、暖は後に気づくことになるが、信一朗は変わり果てたその老人(に見える)が暖だとは気づかない。

 恩人である英一朗は病気で入院中らしく、信一朗はその後を継ぎ、融資も受けられず赤字続きの守尾漁業を立て直そうと奮闘していた。

 暖が信一朗から聞いたのは、暖の母・(風吹ジュン)が一人自宅で餓死し、2カ月も誰にも発見されなかったという、つらすぎる現実。

 さらに、婚約者のすみれ(山本美月)が暖の親友・南条幸男(関ジャニ∞・大倉忠義)と結婚していたことを知り、ショックを受ける。幸男は俳優として成功し、大スターとなり、すみれも売れっ子料理研究家として、週刊誌に取り上げられるようなセレブ夫婦になっていた。

 その事実を、かつてすみれが切り盛りしていた喫茶店で、今はカラオケスナックとなった店のホステスから聞いていた時に、酔って暖に絡んできたのが寺角類(渋川清彦)。暖は帰り道に、寺角から力ずくで真相を聞き出す。

 寺角によると、母を騙し、実家の土地を巻き上げたのは、かつての暖の同僚の漁師・神楽清(新井浩文)。それをきっかけに神楽は不動産で成功したという。

 さらに前話で暖は亡くなった船長(テロ組織とつながってるとのウワサがあった)から手紙を託されていたのだが、神楽が「暖がやべえ手紙持ってるから通報しよう」と陥れる話を持ちかけ、幸男が実際に通報したという。

 次期船長になる暖を羨んだ神楽、すみれと結婚する暖を羨んだ幸男。それぞれ地位と女を妬んだ仲間に裏切られたことを知った暖。

 

■監獄からどうやって脱出したか?

 

 暖がラデル共和国の監獄から脱獄するまでの様子も回想で描かれた。投獄されてから7年目、11年のある日、暖の独房の床板を外して侵入してきたのは、同じく投獄されている囚人・ファリア・真海(田中泯)。20年にわたってここで暮らしているというこの老人は、数カ国語を操る博識な人物で、この国の元大統領だという。その類い稀な知性で、太陽の位置などから場所を計測、肉の脂で作ったロウソクを明かりに、鳥の羽のペン、すすを溶かして作ったインクでそれらを記し、ベッドのパイプから作ったナイフで何年も床に穴を掘り続けている。

 真海と話すうちに、公安の入間公平(高橋克典)が父親の入間貞吉(伊武雅人)を守るため、身代わりで自分を逮捕し、売り飛ばしたことに暖は気づく。同時に、そのきっかけを同僚の神楽が作ったと怪しむ暖は脱獄を決意。掘削の作業をしながら、真海からさまざまな言語や生きるための術だけでなく、歴史や哲学など、真海の持つ叡智の全てを学び、同時に親子のように関係を深める。

 しかし、掘り進んだ穴が外に通じる直前、真海は衰弱し、息を引き取ってしまう。暖は、遺体袋に入れられた真海の死体と入れ替わり、海へと投棄され脱出に成功する。

 真海が亡くなる間際、すでに数カ国語をマスターした暖が、さまざまな国の言葉を織り交ぜながら会話するのだが、日本語、英語、中国語、スペイン語、イタリア語を操る姿がとても自然で、さすが国際人ディーン様ここにあり! といったシーンでした。

■復讐開始

 

 まず、暖は貨物船に忍び込み、シンガポールへ渡航。亡くなる前に真海から託された莫大な隠し資産をスイス銀行から引き出す。その時の口座名が「モンテ・クリスト伯」。実際、名前とパスワードだけで45,912,654,038ドルもの莫大な金額を引き出せるのかは謎だし、やけにあっさりシンガポールまで来れたなとも思いましたが、「The count of Monte-Cristo」と銀行で名乗るシーンは、とてもかっこよかったです。

 ちなみにこれがUSドルなのかシンガポールドルなのかはわかりませんが、USドルなら日本円で約5兆円、シンガポールドルでも約4兆円と、どっちにしてもやべえ額です。

 一方、日本では守尾英一朗が亡くなっており、葬儀が行われていたが、ここに集まったのは神楽清、南条幸男、入間公平の「三悪人」。警視庁の刑事部長に出世した入間公平は将来の警視総監候補らしい。神楽と入間がきな臭そうな会話をしているのが気になる。

 葬儀後、港で再会を懐かしむ神楽と幸男の元に、サングラスをかけたスーツの紳士が現れる。

「怖くないですか? 今日の海。何か見透かされてしまいそうな気になるな。でも大丈夫か、海は何もしゃべらないから」

 莫大な資産を手に復讐に戻ったモンテ・クリスト・真海こと紫門暖だ。

 すでに会社を潰し1億円の借金を背負った信一朗に、世話になったお礼として帳消しにする額(1億円)の小切手を渡していた。

 不審がる神楽が「地元の方じゃないですよね?」と尋ねても「竜宮城からきました」と煙に巻く。カラオケスナックでホステスに、あまりに世間のことを知らないので「浦島太郎か」とイジられていたのを受けての台詞だ。

 港にでかいクルーザーを横付けして去っていく暖を、神楽は「どっかの成金」と言っていたが、そういう意味では成金中の成金かもしれない。いよいよ次週、暖の復讐が始まる。

 

■今回登場したキャラが原作で相当するのは?

 

 信一朗はマクシミリアン、騎兵大尉で、ピエール・モレル(このドラマでは守尾 英一朗に当たる)の息子だ。暖のよき理解者として描かれる。ファリア・真海は、ファリア神父というイタリアの神父で、独立運動がらみで逮捕、投獄されていて、獄中の展開や脱獄の方法も原作通りだ。

 何年も何年も穴を掘り続けて、結局その穴を使わず遺体袋に入って脱出するところがひっかかるかもしれないが、原作もそうなのでご安心ください。

 ちなみに原作では、財宝が隠されている場所がモンテ・クリスト島で、そこからモンテ・クリスト伯を名乗ることになっており、シンガポールとかスイス銀行はもちろんドラマでの脚色だ。

 今回見終わって気になるのは、ホームレス姿の時は仕方ないにしても、髪を切りこざっぱりした姿(モンテ・クリスト伯)となってからも、間近で顔を晒してるのに旧知の2人がまったくもって暖に気付かないこと。原作では獄中でのあまりの悲惨な暮らしですっかり人相が変わっているから気付かれないという設定なのだが、今回まんま「紫門暖」のままにしか見えないのだ。ある意味「おとぎ話」のような物語なので、細かいことをいうのは野暮だと承知しているが、他の部分が細かく現在に合うように練られているので、逆に、軽い口ヒゲ程度で親友らが気付かないことが気になってしまう。

 あと、これも仕方ないのだが、暖があまりに簡単に日本に船で戻ったり、シンガポールに密入国したりする点だ。

 原作ではここまで長い距離を移動しないので描かれないが、ここまで航海が多いと渡航中のシーンがなさすぎるのが引っかかってしまう。

 しかし、それでもディーン様の語学力(特に英語と中国語)はかっこよく、無駄に嫉妬されて、はめられてしまうのも仕方ないと、勝手にキャスティングに納得してしまいました。次回からの復讐が楽しみです。
(文=どらまっ子HARUちゃん)

数カ国語を操るおディーン様を堪能できる『モンテ・クリスト伯』見た目がまんまなのは大丈夫か?

 日本でも『巌窟王』として有名なアレクサンドル・デュマの名作『モンテクリスト伯』(1841年)を現代の日本を舞台に「翻訳」ドラマ化した『モンテ・クリスト伯 ─華麗なる復讐─』(フジテレビ系)。いよいよおディーン様がモンテクリスト伯となって舞い戻る第2話は5.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と微増。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■浦島太郎状態の暖

 

 前回の2003年から14年たった17年。一人のホームレスが港町・浜浦町に現れる。腰近くまで伸び切った白髪、ボロボロすぎる衣類に裸足。無実の罪で投獄されたラデル共和国の監獄から脱獄し、舞い戻ってきた紫門暖(ディーン・フジオカ)だ。どうやら船を操り、密入国してきたらしい。更地になっているかつての実家の前で力果て倒れていたところを守尾信一朗(高杉真宙)に助けられる。

 暖が平和にこの町で暮らしていた当時、世話になっていた守尾漁業の社長・守尾英一朗(木下ほうか)の息子が信一朗だ。第1話では小学生姿の幼い信一朗が、暖と仲良さげにしており、暖は後に気づくことになるが、信一朗は変わり果てたその老人(に見える)が暖だとは気づかない。

 恩人である英一朗は病気で入院中らしく、信一朗はその後を継ぎ、融資も受けられず赤字続きの守尾漁業を立て直そうと奮闘していた。

 暖が信一朗から聞いたのは、暖の母・(風吹ジュン)が一人自宅で餓死し、2カ月も誰にも発見されなかったという、つらすぎる現実。

 さらに、婚約者のすみれ(山本美月)が暖の親友・南条幸男(関ジャニ∞・大倉忠義)と結婚していたことを知り、ショックを受ける。幸男は俳優として成功し、大スターとなり、すみれも売れっ子料理研究家として、週刊誌に取り上げられるようなセレブ夫婦になっていた。

 その事実を、かつてすみれが切り盛りしていた喫茶店で、今はカラオケスナックとなった店のホステスから聞いていた時に、酔って暖に絡んできたのが寺角類(渋川清彦)。暖は帰り道に、寺角から力ずくで真相を聞き出す。

 寺角によると、母を騙し、実家の土地を巻き上げたのは、かつての暖の同僚の漁師・神楽清(新井浩文)。それをきっかけに神楽は不動産で成功したという。

 さらに前話で暖は亡くなった船長(テロ組織とつながってるとのウワサがあった)から手紙を託されていたのだが、神楽が「暖がやべえ手紙持ってるから通報しよう」と陥れる話を持ちかけ、幸男が実際に通報したという。

 次期船長になる暖を羨んだ神楽、すみれと結婚する暖を羨んだ幸男。それぞれ地位と女を妬んだ仲間に裏切られたことを知った暖。

 

■監獄からどうやって脱出したか?

 

 暖がラデル共和国の監獄から脱獄するまでの様子も回想で描かれた。投獄されてから7年目、11年のある日、暖の独房の床板を外して侵入してきたのは、同じく投獄されている囚人・ファリア・真海(田中泯)。20年にわたってここで暮らしているというこの老人は、数カ国語を操る博識な人物で、この国の元大統領だという。その類い稀な知性で、太陽の位置などから場所を計測、肉の脂で作ったロウソクを明かりに、鳥の羽のペン、すすを溶かして作ったインクでそれらを記し、ベッドのパイプから作ったナイフで何年も床に穴を掘り続けている。

 真海と話すうちに、公安の入間公平(高橋克典)が父親の入間貞吉(伊武雅人)を守るため、身代わりで自分を逮捕し、売り飛ばしたことに暖は気づく。同時に、そのきっかけを同僚の神楽が作ったと怪しむ暖は脱獄を決意。掘削の作業をしながら、真海からさまざまな言語や生きるための術だけでなく、歴史や哲学など、真海の持つ叡智の全てを学び、同時に親子のように関係を深める。

 しかし、掘り進んだ穴が外に通じる直前、真海は衰弱し、息を引き取ってしまう。暖は、遺体袋に入れられた真海の死体と入れ替わり、海へと投棄され脱出に成功する。

 真海が亡くなる間際、すでに数カ国語をマスターした暖が、さまざまな国の言葉を織り交ぜながら会話するのだが、日本語、英語、中国語、スペイン語、イタリア語を操る姿がとても自然で、さすが国際人ディーン様ここにあり! といったシーンでした。

■復讐開始

 

 まず、暖は貨物船に忍び込み、シンガポールへ渡航。亡くなる前に真海から託された莫大な隠し資産をスイス銀行から引き出す。その時の口座名が「モンテ・クリスト伯」。実際、名前とパスワードだけで45,912,654,038ドルもの莫大な金額を引き出せるのかは謎だし、やけにあっさりシンガポールまで来れたなとも思いましたが、「The count of Monte-Cristo」と銀行で名乗るシーンは、とてもかっこよかったです。

 ちなみにこれがUSドルなのかシンガポールドルなのかはわかりませんが、USドルなら日本円で約5兆円、シンガポールドルでも約4兆円と、どっちにしてもやべえ額です。

 一方、日本では守尾英一朗が亡くなっており、葬儀が行われていたが、ここに集まったのは神楽清、南条幸男、入間公平の「三悪人」。警視庁の刑事部長に出世した入間公平は将来の警視総監候補らしい。神楽と入間がきな臭そうな会話をしているのが気になる。

 葬儀後、港で再会を懐かしむ神楽と幸男の元に、サングラスをかけたスーツの紳士が現れる。

「怖くないですか? 今日の海。何か見透かされてしまいそうな気になるな。でも大丈夫か、海は何もしゃべらないから」

 莫大な資産を手に復讐に戻ったモンテ・クリスト・真海こと紫門暖だ。

 すでに会社を潰し1億円の借金を背負った信一朗に、世話になったお礼として帳消しにする額(1億円)の小切手を渡していた。

 不審がる神楽が「地元の方じゃないですよね?」と尋ねても「竜宮城からきました」と煙に巻く。カラオケスナックでホステスに、あまりに世間のことを知らないので「浦島太郎か」とイジられていたのを受けての台詞だ。

 港にでかいクルーザーを横付けして去っていく暖を、神楽は「どっかの成金」と言っていたが、そういう意味では成金中の成金かもしれない。いよいよ次週、暖の復讐が始まる。

 

■今回登場したキャラが原作で相当するのは?

 

 信一朗はマクシミリアン、騎兵大尉で、ピエール・モレル(このドラマでは守尾 英一朗に当たる)の息子だ。暖のよき理解者として描かれる。ファリア・真海は、ファリア神父というイタリアの神父で、独立運動がらみで逮捕、投獄されていて、獄中の展開や脱獄の方法も原作通りだ。

 何年も何年も穴を掘り続けて、結局その穴を使わず遺体袋に入って脱出するところがひっかかるかもしれないが、原作もそうなのでご安心ください。

 ちなみに原作では、財宝が隠されている場所がモンテ・クリスト島で、そこからモンテ・クリスト伯を名乗ることになっており、シンガポールとかスイス銀行はもちろんドラマでの脚色だ。

 今回見終わって気になるのは、ホームレス姿の時は仕方ないにしても、髪を切りこざっぱりした姿(モンテ・クリスト伯)となってからも、間近で顔を晒してるのに旧知の2人がまったくもって暖に気付かないこと。原作では獄中でのあまりの悲惨な暮らしですっかり人相が変わっているから気付かれないという設定なのだが、今回まんま「紫門暖」のままにしか見えないのだ。ある意味「おとぎ話」のような物語なので、細かいことをいうのは野暮だと承知しているが、他の部分が細かく現在に合うように練られているので、逆に、軽い口ヒゲ程度で親友らが気付かないことが気になってしまう。

 あと、これも仕方ないのだが、暖があまりに簡単に日本に船で戻ったり、シンガポールに密入国したりする点だ。

 原作ではここまで長い距離を移動しないので描かれないが、ここまで航海が多いと渡航中のシーンがなさすぎるのが引っかかってしまう。

 しかし、それでもディーン様の語学力(特に英語と中国語)はかっこよく、無駄に嫉妬されて、はめられてしまうのも仕方ないと、勝手にキャスティングに納得してしまいました。次回からの復讐が楽しみです。
(文=どらまっ子HARUちゃん)

ディーン・フジオカ『モンテ・クリスト伯』初回から低視聴率5.1%……この先“復讐”できるのか?

 日本でも『巌窟王』として有名なアレクサンドル・デュマの名作『モンテ・クリスト伯』(1841年)を現代の日本を舞台にドラマ化した『モンテ・クリスト伯─華麗なる復讐─』(フジテレビ系)。冤罪で投獄され、のちに復讐の鬼と化す主人公をディーン・フジオカが演じる。

 第1話の視聴率は5.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と芳しくなく、初回ということで登場人物や人間関係の紹介と、物語の状況説明に終始した感が強かったため、早くも付いてこれない人が多かった模様。当然、原作ファンはどう「翻訳」されているか気になるところだろう。

 

■舞台は現代の日本

 

 原作では1815年のフランスの港町マルセイユから物語が始まるが、今回のドラマ『華麗なる復讐』第1話では2003年の日本の架空の港町(浜浦町)が舞台。

 ディーン・フジオカ演じる柴門暖(さいもんだん)が恋人・目黒すみれ(山本美月)にサプライズプロポーズをするところから物語は始まる。

 しかしその後、漁師である暖を乗せた遠洋漁業船・海進丸が遭難、2週間も連絡がつかず、守尾漁業社長・守尾英一朗(木下ほうか)や、同じ会社の漁師で今回はケガで乗船しなかった神楽清(新井浩文)も心配を募らせる。

 暖の活躍で海進丸はなんとか帰港し、暖の母親・柴門恵(風吹ジュン)やすみれを安心させるが、船長のバラジ・イスワランは事故で頭を強く打ち、死亡していた。

 神楽の地元の先輩で地上げ屋の寺角類(渋川清彦)は、バラジが死んだことで次期船長は神楽だと祝福するも、神楽に「クズっすね」とウザがられる。

 暖の親友で、すみれとも親しく、サプライズプロポーズにも協力した南条幸男(関ジャニ∞・大倉忠義)は、病室や海辺でたびたびいちゃつく2人を寂しそうに見つめており、どうやらすみれに片思いしている模様。

 一方、バラジの死体を調べる警視庁公安部の入間公平(高橋克典)は、何かを探しているようで、次第に暖の周りに不穏な気配が漂いだす。

 

■ヒーローになれなかった男たち

 

 通信機もGPSも故障した中、星の位置から航路を計測し、日本まで戻ってきたという暖の功績を讃え、社長の守尾英一朗は神楽でなく暖を次期船長にすると決定。暖が「カグ兄(にい)」と慕う神楽は船を降り、事務方として会社を支える決心をする。

 お互いがんばろうと励ましあった際、神楽は、暖がバラジに手紙を託されていたことを知る。

 役者の卵でもある南条はオーディションに落選、昼間から酒を飲んでいた神楽と寺角に合流。ヤクザの下につき、地上げ屋を生業としてる寺角は、デリカシーなく神楽と南条の気持ちをえぐるような言葉を連発する。

 船長の座を諦めたばかりの神楽には、「俺、知ってるんだよ? おめえがずっと暖に嫉妬してるって。やつが転校してくる前まで、おめえがこの街のヒーローだったもんな」。

 暖を「この街のヒーロー」だと言う南条には、「何言ってんだ、女寝取られたくせに」。

 2人ともキレかけるが、それは一番言われたくなかった核心を突かれたからだろう。

 酒の勢いもあってか、神楽は死んだバラジが国際的なテロ組織「ククメット」のメンバーとして疑われていたことを寺角と南条に教えてしまい、寺角もその情報を、さらにヤクザに売ってしまう。

 暖という「ヒーロー」と、彼を取り巻く「ヒーロー」になれなかった男たちの対比が描かれる。これが物語の下地となるのだろう。

■結婚式の最中に逮捕

 

 翌日、暖がククメットのメンバーであると匿名のタレコミがったとのことで、公安の入間が暖の家を訪ねてくる。バラジがククメットと寄港先で接触しているとの情報も、ラデル共和国から入手していると言う。

 タレコミを鵜呑みにしてるわけではないと言いながらも、バラジ元船長から手紙を預かっていることまで知っている入間に、暖は仕方なくその手紙を見せる。

 英文のため、あまり知識のない暖は読めないが、宛先の「Dear Teikichi」の文字に反応する入間。「これを持ってるだけで貴方やご家族に危険が及ぶかもしれない」と入間に言われた暖は、手紙を諦め入間に渡す。

 実は「Teikichi」とは入間公平の父・入間貞吉(伊武雅刀)のことで、金融ファンド・TIファンドマネージメントの代表。ククメットは旧政府要人の集まりであってテロリストではないと信望する貞吉は、ククメットに多額の資金援助をしている。

 入間公平は、「Dear Teikichi」の部分を「Dear Simon」(柴門)と極秘に書き換え、結婚式の真っ最中の暖をテロ資金提供処罰法の容疑で逮捕してしまう。

 式場にサプライズプロポーズの時の動画とBGMの「愛は勝つ」が流れる最中、パトカーで連行される暖。

 手違いだからすぐに釈放すると入間に言われながらも、そのまま暖はラデル共和国に移送され、投獄されてしまう。

「バラジからの手紙を受け取る予定だった人物」を日本(政府)が引き渡せば、ラデル共和国は拘束されている人質(日本の外務省の人間)を引き渡すとの密約があったのだ。

 つまり公平は公安の立場を利用し、テロ一味とつながる父親を守るため、暖を投獄したのだ。

 ラデルの獄中、資金の出所を問われ、蹴られたり水をかけられたりボロボロになりながら拷問を受ける暖は、これからどうなるのか。

 

■原作との比較

 

 舞台を原作の中世のフランスから現代の日本に変えているため、当然いろいろと直しているところも多く、例えば、主人公は航海士→遠洋漁師、皇帝位から追放されていたナポレオンの支持者→国際テロ組織、検事代理→警察公安、といった感じに「翻訳」されている。

 そして、人物名も原作から微妙にもじっているものが多い。

エドモン・ダンテス(一等航海士)→柴門暖(遠洋漁師)
フェルナン・モンデゴ(漁師)→南条幸男(売れない役者)
メルセデス→目黒すみれ
ダングラール(モレル商会の会計士)→神楽清(遠洋漁師)
ジェラール・ド・ヴィルフォール(検事代理)→入間公平(警察公安)
ガスパール・カドルッス(仕立て屋)→寺角類(地上げ屋)
ピエール・モレル(モレル商会経営者)→守尾英一朗(守尾漁業社長)
ノワルティエ(反王党派=ナポレオン支持者)→入間貞吉(テロ組織ククメットに資金援助)

 ちなみにテロ組織の名も原作に出てくる山賊頭の名前「ククメット」から来ているものと思われる。

 原作を読んでいる人と読まずに見ている人との温度差や理解の差をどう埋めていくのかが今後の課題な気もするが、「テロ組織」とか「ラデル共和国」とかの国際的な感じだけで、いきなりギブアップした人も多いだろう。

 はるか遠洋で遭難した船がきっちり元の小さな港に戻ってくるところなど違和感もあったが、日本であって日本でないような異国感漂う雰囲気は癖になりそうだ。

 バラエティでは空気の読めない変わり者的な印象のあるディーンだが、普通の若者を演じると実にナチュラルに見える。不思議な人だ。今後、語学力なども披露されるのだろう。

 個人的には渋川清彦演じる寺角類の小悪党ぶりがリアルで気持ち良かったです。次回に期待します。
(文=どらまっ子HARUちゃん)