武井咲&D・フジオカ『今からあなたを~』5.7%大惨事! 「おサムすぎる」戦犯は誰だ!?

 ディーン・フジオカによる、良くも悪くも耳元でささやくような優しいセリフ回しが特徴的な『今からあなたを脅迫します』(日本テレビ系)。もともと小出恵介が脅迫屋を演じる予定だったものの、例のおイタのせいで、同じ事務所のおディーン様がしぶしぶ出ることになったとのウワサも。小出だったら、もう少し脅迫シーンに見応えがあったような気も……。

 なお、初回平均視聴率8.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と微妙なスタートを切った同作ですが、29日放送の第2話は5.7%まで急落! あらすじとともに、その要因を探っていきましょう。

■わかりにくいストーリー

 女子大生・澪(武井咲)は、完二(ディーン)の脅迫屋の仕事をしぶしぶ手伝うはめに。依頼人は、1年前に自殺したシンガーソングライターERu(高月彩良)の親友で、ワゴン車でカフェを営む沙和子(大後寿々花)。

 ERuは1年前、ラジオで過激発言をしたことで世間からバッシングを受けていたとか。さらに、週刊誌「週刊見聞」に「ERuにはゴーストラーターがいる」というガセ記事を書かれたために、耐えきれなくなり自殺に追い込まれたそう。沙和子は、同誌編集長の茂木(小木茂光)にERuの名誉を取り戻す記事を書かせてほしいといいます。

 早速、完二は、人気イケメン俳優の柿宮優人に澪を抱きつかせ、車の中から写真を撮り、熱愛疑惑写真を捏造。これを持って、茂木に「(この写真を譲るから)ERuの記事を書いてほしい」と交換条件を持ちかけます。って、いきなり脅迫でもなんでもないんかい。

 しかし、「週刊見聞」も同じ日に柿宮を張っており、一部始終を見ていたため、「いけませんね、こういうヤラセは」と交換条件を拒否。完二の計画はあっさり撃沈します。

 初回から、しきりに初老男性がドヤ顔で口走りそうなダジャレのような何かをぶっこんでいる完二ですが、今回もヤラセを見抜かれたことを「うかつに目撃されたうっかり八兵衛。キミのせいだ」と澪のせいにするくだりが。すると、天然ボケキャラの澪が、すかさず「うっかり八兵衛? 元は町人で、風車の弥七の弟子だったんです。人懐こくてお調子者、食いしん坊でお団子が好きなんです……」とうっかり八兵衛の説明を長々と始めるという……。

 今回はほかにも、「はったりですよね」(澪)、「そう、はったり半蔵」(完二)、「あっ、はったりと服部をかけて、はったり半蔵なんですね」というくだりや、「おととい来やがれ!」(完二)、「おとといは来れません!」(澪)といったやり取りも。これって、一体、どの辺りの層にウケてるんでしょうか? 原作小説の完二はこういうキャラではないため、ドラマオリジナル要素だと思うのですが、このノリについていけない私がいます……。確かに、澪の天然ぶりを際立たせる演出としては効果的なのかもしれませんが、おディーン様が無理しているようにも。このサムいやり取り、最終回まで続くんだろうなあ……。

 それはいいとして、澪に次の作戦を持ちかける完二。謎の大金を持っている澪ですが、そこから300万円を茂木に渡し、ERuのゴーストライター疑惑の再取材をお願いするよう指示します。

 沙和子のためになるならと、澪は茂木に300万円を渡しますが、茂木は受け取りを拒否。すると、その現場をカメラに収めた完二が登場。完二は、“ゴーストライターの記事のネタ元に接触したところ、「ERuには悪いことをした」と300万円を渡してきたが、偽善者ぶった澪がネコババして茂木に渡そうとした”という嘘のシナリオを茂木に説明……って、正直、このシーンは、完二の思惑がわかりにくく、話を複雑にしているので、スルーしてもいいかと。澪の金持ち要素を、どうしてもねじ込みたかったのかしら……。

 その後、完二の仲間でハッカーの栃乙女(島崎遥香)が、ERuの芸能事務所の女社長が茂木に怪しいメールを送っていたことを発見。これを受け、盗み屋の目黒(三宅弘城)が、ピッキングで女社長の車に進入。運転席の後ろで丸まって隠れていると、ヤクザと女社長のシャブの取り引き現場に遭遇します。ちなみに、目黒が全然、隠れきれてなかったのですが、これもギャグなのでしょうか? このドラマ、ギャグなのか、ガチなのかがわからない!

 また、女社長が茂木に送った証拠の譜面から、それが沙和子の筆跡であることを確認。完二が沙和子を問い詰めると、沙和子は今回、死んだERuへの罪滅ぼしをしたかったのだと告白。ゴーストライターのことは2人だけの秘密だったものの、女社長が気付いてしまい、茂木にリーク。これにより、茂木が掴んでいた自身のシャブ売人疑惑を揉み消したんだそうです。

 この後、完二は柿宮に抱きついている澪の写真と、茂木に300万円を渡そうとしている澪の写真を持って、茂木に接触。2枚の写真を並べると、「編集長が自ら女に金を渡し、特ダネを捏造しようとした」ように見えると脅し、茂木はあっさりERuのアゲ記事を書くと約束。「ERuは正義の歌姫」というタイトルの記事が世に出て、一件落着です。

■お経でも聞いているような1時間

 う~む……。これは視聴率5%台に下がってもおかしくないでしょうね……。おディーン様の一本調子の演技同様に、ドラマにも盛り上がり箇所がなく、1時間にわたって、坊さんのお経でも聞いているような気持ちに……いや、般若心経にだって「掲諦 掲諦 波羅掲諦」という盛り上がり箇所があるから、お経じゃないか……とにかく、次回はもっと心踊るシーンを!!

 で、脚本もさることながら、完二のキャラがフワフワしてるのも敗因でしょうね。初回で、脅迫相手を間違えてしまった完二ですが、第2話でも計画が失敗。結局、栃乙女のハッキングと、目黒の潜入捜査のおかげで、事件が解決したわけです。

 そんな、“肝心なところが抜けてる脅迫屋”という役どころの完二ですが、おディーン様の“男前演技”のせいか、はたまた脚本のせいか、初回で中途半端にかっこいいアクションシーンがあったせいか……そこらへんが視聴者にイマイチ伝わってない気がするんですよ。“かっこいい脅迫屋”と見るべきか、“愛らしい脅迫屋”と見るべきか、迷っているうちに事件が解決してしまうんです。これは、おディーン様的にも損な状況だと思うので、早くなんとかしてほしいです。

 完全に崖っぷちの『今からあなたを脅迫します』。主人公2人に魅力が感じられないため、その反動でキャラがはっきりしている栃乙女と目黒が好きになってきました。そんな状況も含め、いろいろとなんとかしてほしいです!
(文=どらまっ子TAMOちゃん)

14.0%堅調のTBS日曜劇場『陸王』は、確信と正解に満たされすぎて「ちょっと物足りない」

 今やすっかりドラマ界の“テッパン”となった池井戸潤原作・福澤克雄演出の日曜劇場『陸王』(TBS系)。第2話も視聴率は14.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、実に堅調。しかも、裏ではフジテレビが気合いを入れまくってカメラ120台を導入したプロ野球・日本シリーズが放送されてましたので、その強さたるや。たるや。

 というわけで、今回も振り返りです。

前回のレビューはこちらから

 埼玉・行田市で100年続く足袋製造業「こはぜ屋」を営む宮沢(役所広司)は、銀行から融資と引き換えに提案されたリストラを拒否し、工場はまさに風前の灯。なんとしても、新規事業であるマラソンシューズ「陸王」の開発を成功させなければなりません。

 こはぜ屋は、足袋作りのノウハウを応用することで、履きやすくて軽いシューズの試作品を完成させるものの、どうしても今まで使っていた地下足袋用の天然ゴムでは、ソールの耐久性に問題が。そんな折、ひょんなことから手にした「シルクレイ」という繭に特殊加工を施した素材が、シューズのソールに最適であることがわかります。ランニングの専門家である有村(光石研)の直感でも、大学で解析した結果でも「これ以上の素材はない」と。宮沢は、「陸王」の完成には「シルクレイ」が必須であることを確信しますが、「シルクレイ」の特許を持っている飯山社長(寺尾聰)は、会社を潰して行方不明。今回は、その死蔵特許となっている「シルクレイ」をソールに使用するために、まずは飯山社長を探し出すところから始まります。

 もうひとつ、宮沢には願いがあります。それは、故障がちの実業団ランナー・茂木(竹内涼真)に、こはぜ屋のシューズを履いてもらうことです。宮沢は、茂木の復活には、ミッドフット着地と呼ばれる走法をマスターすることが必要だと確信しており、また、こはぜ屋のシューズが、この走法をマスターするための最適な矯正靴であることも確信していたので、茂木にシューズを届けていました。茂木は現在、大手メーカー・アトランティスの専属スポンサードを受けているので、足袋屋のペラいシューズなんかに興味はありませんが、その一方で1日でも早く新フォームを定着させようと、焦りが募るばかりです。

 そういうわけで、今回は「シルクレイを使うために飯山社長を探し出して説得する」「茂木に、こはぜ屋のシューズを履いてもらう」という宮沢の確信を実現させるまでが描かれました。

 で、結局、飯山社長はなんだかんだあって、シルクレイの使用を認めます。プロジェクトチームにも参加し、ソール開発に積極的に関わっていくことになりました。

 茂木のほうはといえば、ケガが治らないことからアトランティスのスポンサー契約を切られ、最初は薄汚れたミズノなどを履いていましたが、監督から「ミッドフット着地を身に着けなければ、お前は終わり」と怖い顔で迫られると、ロッカーに放置したままになっていた「こはぜ屋」を勝手に履いて走り出しました。

 その2つのエピソードを物語るシーンが、並列で現れながら終盤のカタルシスに向かって丁寧に積み上げられます。

 俳優部は、老若男女、揃いも揃って充実ぶりに目を瞠るしかありません。役所、寺尾、竹内はもちろん、ピエール瀧、音尾琢真、小藪千豊、市川右團次、上白石萌音……それぞれが持ち味を発揮しながら、作品世界を彩ります。無名塾、西部警察、ライダー、テクノエレクトロ、TEAM NACS、吉本新喜劇、スーパー歌舞伎、東宝シンデレラといった畑違いの面々が、ひとつの画面の中で融和していくダイナミズムは大バジェットが用意された日曜劇場ならではの魅力ですし、飛び道具として投入されたエッセイスト・阿川佐和子の天真爛漫なおばちゃんぶりも、おそらくは制作側の計算通り、確信通りといったところでしょう。

■かくして『陸王』は、確信に満ちている

 

 確信を実現する物語、その舞台裏もまた、確信に満ちていたことは間違いありません。やることなすこと、全部正解。どうあれ結果はフルマークの判定勝ちであります。危なげ、一切なし。

 もちろん、そうした作品を貶めるつもりは、まったくありません。この福澤組のクオリティは、長年の経験と、今なお精力的であり続ける情熱の賜物です。原作選びからキャスティング、演出、編集にいたるまで、当代一のプロフェッショナルな仕事が完遂されていると思います。じゅうぶんに面白いし、感動的です。

 だけどー。

 それがなんだか、ちょっと今回、物足りなく感じたことは確かなんです。だいたい池井戸さんの原作からして、同じく実在の企業をモチーフにした『空飛ぶタイヤ』のころの逼迫感や、その作品が“存在しているだけ”でヒヤヒヤしちゃうような切実感はありませんし、映像化された世界にも波乱や驚きを予感させるような綻びは見られません。波乱万丈な物語のはずが、原作の1段落目からドラマの最終回まで、完璧に塗り固められた舗装道路の上を走っているように見える。みんな挫折ばかりしているのに、作品に挫折の匂いがひとつもない。ドラマのどこを切っても、赤い血が流れそうな気がしない。

 実際には、そんなことないんでしょう。作り手の方々に対して、すごく失礼な物言いであることは自覚しています。

 それでも、この『陸王』という作品は、視聴者が自らの思いを乗せて羽ばたく翼ではなく、突き崩していくべき壁のように感じるのです。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

14.0%堅調のTBS日曜劇場『陸王』は、確信と正解に満たされすぎて「ちょっと物足りない」

 今やすっかりドラマ界の“テッパン”となった池井戸潤原作・福澤克雄演出の日曜劇場『陸王』(TBS系)。第2話も視聴率は14.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、実に堅調。しかも、裏ではフジテレビが気合いを入れまくってカメラ120台を導入したプロ野球・日本シリーズが放送されてましたので、その強さたるや。たるや。

 というわけで、今回も振り返りです。

前回のレビューはこちらから

 埼玉・行田市で100年続く足袋製造業「こはぜ屋」を営む宮沢(役所広司)は、銀行から融資と引き換えに提案されたリストラを拒否し、工場はまさに風前の灯。なんとしても、新規事業であるマラソンシューズ「陸王」の開発を成功させなければなりません。

 こはぜ屋は、足袋作りのノウハウを応用することで、履きやすくて軽いシューズの試作品を完成させるものの、どうしても今まで使っていた地下足袋用の天然ゴムでは、ソールの耐久性に問題が。そんな折、ひょんなことから手にした「シルクレイ」という繭に特殊加工を施した素材が、シューズのソールに最適であることがわかります。ランニングの専門家である有村(光石研)の直感でも、大学で解析した結果でも「これ以上の素材はない」と。宮沢は、「陸王」の完成には「シルクレイ」が必須であることを確信しますが、「シルクレイ」の特許を持っている飯山社長(寺尾聰)は、会社を潰して行方不明。今回は、その死蔵特許となっている「シルクレイ」をソールに使用するために、まずは飯山社長を探し出すところから始まります。

 もうひとつ、宮沢には願いがあります。それは、故障がちの実業団ランナー・茂木(竹内涼真)に、こはぜ屋のシューズを履いてもらうことです。宮沢は、茂木の復活には、ミッドフット着地と呼ばれる走法をマスターすることが必要だと確信しており、また、こはぜ屋のシューズが、この走法をマスターするための最適な矯正靴であることも確信していたので、茂木にシューズを届けていました。茂木は現在、大手メーカー・アトランティスの専属スポンサードを受けているので、足袋屋のペラいシューズなんかに興味はありませんが、その一方で1日でも早く新フォームを定着させようと、焦りが募るばかりです。

 そういうわけで、今回は「シルクレイを使うために飯山社長を探し出して説得する」「茂木に、こはぜ屋のシューズを履いてもらう」という宮沢の確信を実現させるまでが描かれました。

 で、結局、飯山社長はなんだかんだあって、シルクレイの使用を認めます。プロジェクトチームにも参加し、ソール開発に積極的に関わっていくことになりました。

 茂木のほうはといえば、ケガが治らないことからアトランティスのスポンサー契約を切られ、最初は薄汚れたミズノなどを履いていましたが、監督から「ミッドフット着地を身に着けなければ、お前は終わり」と怖い顔で迫られると、ロッカーに放置したままになっていた「こはぜ屋」を勝手に履いて走り出しました。

 その2つのエピソードを物語るシーンが、並列で現れながら終盤のカタルシスに向かって丁寧に積み上げられます。

 俳優部は、老若男女、揃いも揃って充実ぶりに目を瞠るしかありません。役所、寺尾、竹内はもちろん、ピエール瀧、音尾琢真、小藪千豊、市川右團次、上白石萌音……それぞれが持ち味を発揮しながら、作品世界を彩ります。無名塾、西部警察、ライダー、テクノエレクトロ、TEAM NACS、吉本新喜劇、スーパー歌舞伎、東宝シンデレラといった畑違いの面々が、ひとつの画面の中で融和していくダイナミズムは大バジェットが用意された日曜劇場ならではの魅力ですし、飛び道具として投入されたエッセイスト・阿川佐和子の天真爛漫なおばちゃんぶりも、おそらくは制作側の計算通り、確信通りといったところでしょう。

■かくして『陸王』は、確信に満ちている

 

 確信を実現する物語、その舞台裏もまた、確信に満ちていたことは間違いありません。やることなすこと、全部正解。どうあれ結果はフルマークの判定勝ちであります。危なげ、一切なし。

 もちろん、そうした作品を貶めるつもりは、まったくありません。この福澤組のクオリティは、長年の経験と、今なお精力的であり続ける情熱の賜物です。原作選びからキャスティング、演出、編集にいたるまで、当代一のプロフェッショナルな仕事が完遂されていると思います。じゅうぶんに面白いし、感動的です。

 だけどー。

 それがなんだか、ちょっと今回、物足りなく感じたことは確かなんです。だいたい池井戸さんの原作からして、同じく実在の企業をモチーフにした『空飛ぶタイヤ』のころの逼迫感や、その作品が“存在しているだけ”でヒヤヒヤしちゃうような切実感はありませんし、映像化された世界にも波乱や驚きを予感させるような綻びは見られません。波乱万丈な物語のはずが、原作の1段落目からドラマの最終回まで、完璧に塗り固められた舗装道路の上を走っているように見える。みんな挫折ばかりしているのに、作品に挫折の匂いがひとつもない。ドラマのどこを切っても、赤い血が流れそうな気がしない。

 実際には、そんなことないんでしょう。作り手の方々に対して、すごく失礼な物言いであることは自覚しています。

 それでも、この『陸王』という作品は、視聴者が自らの思いを乗せて羽ばたく翼ではなく、突き崩していくべき壁のように感じるのです。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

櫻井翔・校長、スクールカースト問題をあっさり解決!『先に生まれただけの僕』第2話

 ちょっぴり頬がダルダル気味の人気アイドルグループ・嵐の櫻井翔が私立高校の校長役を演じるドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)の第2話が21日に放送され、平均視聴率7.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回の10.1%から急落するカタチとなってしまいました。

 前回、社内政治に敗北したため総合商社・樫松物産の傘下・京明館高等学校へ校長として出向することを命じられ、赤字経営からの脱却を任されることになった主人公・鳴海涼介(櫻井翔)。教師たちの意識改革を実行しようとするものの相手にしてもらえず、金銭的な理由で大学進学に悩む生徒・加瀬龍之介(佐久間悠)に対しては“奨学金=借金”という生々しい話をしてしまい、「そんな怖い話、聞きたくなかった」と泣かれてしまうなど散々なスタートとなってしまったのでした。

 その龍之介が不登校になってしまい、鳴海は頭を悩ませます。もし不祥事を起こせば本社への復帰の道が断たれてしまうからです。その一方、経営再建のため教師の質をアップさせようと予備校の人気講師を招いての講習を実施するも、数学教師・及川祐二(木下ほうか)にすっぽかされてしまうなど、こちらもうまくいきません。

 また、その及川が担任を務めるクラスの女子生徒の間でいじめ問題が発生。その背景にはスクールカーストがあるようなのですが、離婚した妻子への慰謝料を払うため予備校の講師も兼業して多忙を極める及川は、鳴海がケアを求めても応じようとはしないのです。

 業を煮やした鳴海は、いじめの加害者である生徒たちを呼び寄せ話し合いで解決。また、学校再建に不必要だと感じた及川に対しては、半年ほど樫松物産の子会社へ出向してリアルな社会を勉強してくるか、さもなければ今よりも給料のよい予備校を斡旋する代わりに退職してくれと迫るのです。これに及川が応じたため、数学の教師が足りなくなることに。どうするのかと他の教師たちに迫られた鳴海は、自らが教壇に立つ(実は教員免許をもっている)と宣言。ここで今回は終了となりました。

 さて感想ですが、まずは鳴海が予備校の講師を招いて教師力アップ講習を開いたことについて。これって、他の教師たちへの侮辱でしかないですよね。長年、教育の現場に携わってきたプロフェッショナルが赴任して教師たちの力不足を感じて実施するのならまだしも、鳴海は営業一筋の完全な外様。しかも、出向してまだ日も浅く、ろくに授業も見ていないというのにいきなり講習を開くというのは横暴ではないでしょうか。そして、それに対して陰口を叩く程度にしか反発心を見せない教師たちのリアクションもおかしい。特に、古文教師の杉山文恵(秋山菜津子)は校長の座を狙っていたということですから、鳴海に対してもっと強硬な姿勢に出てもいいのではないでしょうか。それでなければ、職員室内でのドラマが盛り上がりません。

 また、奨学金問題やスクールカーストについては、ニュースで取り上げられている教育問題の上っ面だけをなぞっているようにしか思えませんでした。鳴海がいじめの加害者の女子生徒たちに派閥をつくることの無意味さを説く場面がありましたが、正直、心に響くようなせりふは何ひとつとしてありませんでした。それにもかかわらず問題はあっさりと解決し、女子生徒たちが仲良く登校している姿を見て拍子抜けしてしまいました。

 こういった教育問題に踏み入る場合、同局で人気を博したドラマ『ごくせん』で仲間由紀恵が演じた“ヤンクミ”こと山口久美子や、1998年放送版の『GTO』(フジテレビ系)で反町隆史が演じた鬼塚英吉などキャラ立ちした熱血教師が主役ならば見どころがあるのでしょうが、棒演技の櫻井が演じるこれといって特徴のない鳴海では感情移入もできません。

 その鳴海のキャラについてですが、今回、及川を辞職に追いやった際に突如として冷徹なビジネスマンの顔を覗かせたことに違和感を覚えてしまいました。初回からビジネスの論理を持ち込んでいたならともかく、それまでは悩み事があるとすぐに保険医・綾野沙織(井川遥)のもとへ駆け込むなど元エリート営業マンとは思えないデリケートさを見せていただけに、及川に対する強気な態度は鳴海を教壇に立たせるためのご都合主義な展開に思えて仕方ありませんでした。

 さて、次回は鳴海が実際に生徒たちの前に立って授業を行うということですが、ここまでたいして盛り上がりがないだけに、そろそろ視聴者を強く惹きつけるような展開を期待したいところです。
(文=大羽鴨乃)

櫻井翔・校長、スクールカースト問題をあっさり解決!『先に生まれただけの僕』第2話

 ちょっぴり頬がダルダル気味の人気アイドルグループ・嵐の櫻井翔が私立高校の校長役を演じるドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)の第2話が21日に放送され、平均視聴率7.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回の10.1%から急落するカタチとなってしまいました。

 前回、社内政治に敗北したため総合商社・樫松物産の傘下・京明館高等学校へ校長として出向することを命じられ、赤字経営からの脱却を任されることになった主人公・鳴海涼介(櫻井翔)。教師たちの意識改革を実行しようとするものの相手にしてもらえず、金銭的な理由で大学進学に悩む生徒・加瀬龍之介(佐久間悠)に対しては“奨学金=借金”という生々しい話をしてしまい、「そんな怖い話、聞きたくなかった」と泣かれてしまうなど散々なスタートとなってしまったのでした。

 その龍之介が不登校になってしまい、鳴海は頭を悩ませます。もし不祥事を起こせば本社への復帰の道が断たれてしまうからです。その一方、経営再建のため教師の質をアップさせようと予備校の人気講師を招いての講習を実施するも、数学教師・及川祐二(木下ほうか)にすっぽかされてしまうなど、こちらもうまくいきません。

 また、その及川が担任を務めるクラスの女子生徒の間でいじめ問題が発生。その背景にはスクールカーストがあるようなのですが、離婚した妻子への慰謝料を払うため予備校の講師も兼業して多忙を極める及川は、鳴海がケアを求めても応じようとはしないのです。

 業を煮やした鳴海は、いじめの加害者である生徒たちを呼び寄せ話し合いで解決。また、学校再建に不必要だと感じた及川に対しては、半年ほど樫松物産の子会社へ出向してリアルな社会を勉強してくるか、さもなければ今よりも給料のよい予備校を斡旋する代わりに退職してくれと迫るのです。これに及川が応じたため、数学の教師が足りなくなることに。どうするのかと他の教師たちに迫られた鳴海は、自らが教壇に立つ(実は教員免許をもっている)と宣言。ここで今回は終了となりました。

 さて感想ですが、まずは鳴海が予備校の講師を招いて教師力アップ講習を開いたことについて。これって、他の教師たちへの侮辱でしかないですよね。長年、教育の現場に携わってきたプロフェッショナルが赴任して教師たちの力不足を感じて実施するのならまだしも、鳴海は営業一筋の完全な外様。しかも、出向してまだ日も浅く、ろくに授業も見ていないというのにいきなり講習を開くというのは横暴ではないでしょうか。そして、それに対して陰口を叩く程度にしか反発心を見せない教師たちのリアクションもおかしい。特に、古文教師の杉山文恵(秋山菜津子)は校長の座を狙っていたということですから、鳴海に対してもっと強硬な姿勢に出てもいいのではないでしょうか。それでなければ、職員室内でのドラマが盛り上がりません。

 また、奨学金問題やスクールカーストについては、ニュースで取り上げられている教育問題の上っ面だけをなぞっているようにしか思えませんでした。鳴海がいじめの加害者の女子生徒たちに派閥をつくることの無意味さを説く場面がありましたが、正直、心に響くようなせりふは何ひとつとしてありませんでした。それにもかかわらず問題はあっさりと解決し、女子生徒たちが仲良く登校している姿を見て拍子抜けしてしまいました。

 こういった教育問題に踏み入る場合、同局で人気を博したドラマ『ごくせん』で仲間由紀恵が演じた“ヤンクミ”こと山口久美子や、1998年放送版の『GTO』(フジテレビ系)で反町隆史が演じた鬼塚英吉などキャラ立ちした熱血教師が主役ならば見どころがあるのでしょうが、棒演技の櫻井が演じるこれといって特徴のない鳴海では感情移入もできません。

 その鳴海のキャラについてですが、今回、及川を辞職に追いやった際に突如として冷徹なビジネスマンの顔を覗かせたことに違和感を覚えてしまいました。初回からビジネスの論理を持ち込んでいたならともかく、それまでは悩み事があるとすぐに保険医・綾野沙織(井川遥)のもとへ駆け込むなど元エリート営業マンとは思えないデリケートさを見せていただけに、及川に対する強気な態度は鳴海を教壇に立たせるためのご都合主義な展開に思えて仕方ありませんでした。

 さて、次回は鳴海が実際に生徒たちの前に立って授業を行うということですが、ここまでたいして盛り上がりがないだけに、そろそろ視聴者を強く惹きつけるような展開を期待したいところです。
(文=大羽鴨乃)

必死に立ち回る神木隆之介を愛でたい! イジリ倒したい!『刑事ゆがみ』の楽しみ方

 26日に放送されたドラマ『刑事ゆがみ』(フジテレビ系) 第3話の視聴率は6.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、 前回より0.2ポイントだけ回復。低空飛行が続きますが、 今回も内容的には悪くないです。全然悪くない。 事件の謎解きで得られるカタルシス的にはちょっと微妙ですが、 全体としては面白かったです。はい。

前回までのレビューはこちらから

 というわけで、悪くない謎解きなので、 今回も詳細は書かないでおきます。例によって、 興味があればFODで無料で見られますし。

 前回のレビュー(記事参照) では、神木隆之介演じる新米刑事・ 羽生くんのキャラクター造形についてお話ししました。 主人公の弓神(浅野忠信)は、ある意味で“型破り” という型通りに、典型的な“型破り刑事”として描かれています。 一方、バディである羽生くんの設定は、捜査能力・捜査哲学・ 職業倫理に関しては弓神と対照的でありながら、 弓神以上に多くの個人的な情報が与えられています。 これによって、 視聴者は羽生くんに感情移入しやすくなっているし、 羽生くんこそ愛すべきキャラとして立ち上がっているという話でし た。

 

■主人公は弓神ではなく、羽生くんでした。

 

 今回まで見てきて、 ドラマが羽生くんの内面描写や背景設定の構築に手間を惜しまなか った理由がわかってきました。この『刑事ゆがみ』 というドラマは、 実は羽生くんを主人公に設定しているのではないか、 ということです。

 今回の第3話までの事件の発生と解決において、 心を揺さぶられたのは、いつも羽生くんでした。 1話では偶然出会った初恋の相手、2話では偶然出会った同じ“ 女教師フェチ”という趣味を持つ下着泥棒、 そして第3話では交番勤務時代にお世話になった上司。 いずれの事件でも、 そのキーパーソンは羽生くんの心の機微に触れてきます。 逆にいえば、弓神はどの事件に対しても冷静で、 判断力を失うことがありません。

 つまり、 視聴者が羽生くんにがっつり感情移入できるようなキャラクター描 写を施した上で、その羽生くんの心情を揺さぶる事件を起こす、 というパターンを敷いているように見えるんです。 原作では金魚のフンでしかなかった羽生という人物を主人公に仕立 て上げているわけですから、 これはなかなか大きな原作改変ですし、 今のところ実に成功していると感じます。

 成功の理由は、 やはり神木隆之介という俳優さんの力によるところでしょう。 これは、制作側の中に「 神木さんにこういうシチュエーションを与えればいい顔をする」「 こんな試練を与えればこう跳ね返してくる」 という絶対的な信頼感があるからこその作劇です。しかも、 手練れの浅野忠信を向こうに回して、という配置ですから「 あの神木きゅんも立派になったなぁ」 と感慨にふけってしまいます。

 スタッフの神木さんに対する信頼と、 神木さんの信頼に応える芝居。この2つの相乗効果により、 羽生くんに感情移入した視聴者は羽生くんと一緒に泣いたり怒った りしながら楽しめますし、仮に彼本人に感情移入できなくとも、 弓神がわかりやすいキャラなので、 弓神の側から必死に立ち回る羽生くんをイジっている( 愛でている)ような感覚を味わうことができる構図になっている。 わりと全年齢的に見やすい作品だと思うんですよ。 視聴率の話はとりあえず横に置いとくとして。

■「容疑者はウソをつく」を引き受けている脚本

 

 もうひとつ、 このドラマがよく頑張っているなぁと思うところがあります。

 刑事ドラマにおいて、 容疑者がウソをつくことは珍しいことではありません。むしろ、 罪状を否認してくれなければ話が進まないともいえるので、 おおむね、どんなドラマのどんな容疑者もウソをついています。

 容疑者がウソをつく生き物である限り、 視聴者はその言葉のすべてを疑ってかかることになります。 だからドラマは、彼らが「ウソをついていない」ときには「 ウソをついていませんよ」と明確に主張する必要が出てきます。

 例えば取り調べにおいて、刑事が母親のエピソードを聞かせる。 容疑者は涙ながらに罪を自白する。よくあるパターンです。

 このドラマでも、 羽生くんが頑張って取り調べをするシーンが頻繁に出てきます。 あえて古典的に、『太陽にほえろ!』みたいに、 机を叩いたり恫喝したりする羽生くんが演出されますが、 決して自白を引き出すことができません。 なぜなら羽生くんの取り調べは、常に的外れで、 真相ではないからです。

『刑事ゆがみ』は、 こうしたシーンで容疑者に必要以上に否認させません。 容疑者はウソをつく生き物であり、 その言葉は常に視聴者に疑われるということを引き受けているので す。

 では、どうしているか。言葉ではなく、行動によって「 明確な否認」を描いています。行動はウソをつかないからです。

 例えば第2話。斎藤工演じる下着泥棒は、泥棒に入った家で、 寝ていた女性に暴行を働いたという容疑がかけられていました。

「俺は下着にしか興味がないからレイプはしない」

 結果的に、真相はそういうことなのですが、 これを言葉で言われても説得力は皆無です。しかし、彼が「 女性が在宅中で、寝ているときにしか盗みに入らなかった」 という過去の行動が示されることで、「 今回も寝ている女性をレイプしなかった」 という主張が補強されることになるのです。

 今回も、取り調べのシーンがありました。容疑者は、 恩義のある警官を殴り倒した罪に問われています。 粗暴で短気な容疑者の自宅の冷蔵庫には、「 辛い時こそ拳をひらけ」と書かれた紙が丁重に貼られていました。 それは、警官がかつて、容疑者のために書いたものでした。

 取り調べで容疑者は「向こうが先に襲ってきた」 と正当防衛を主張しますが、 やはり言葉だけでは説得力がありません。しかし、 この取り調べの際に彼が、 固く握った拳を震えながら開くシーンを繰り返し描くことで、「 彼から襲ったのではない(彼は警官の教えを守っている)」 という真相が、説得力を持って浮かび上がるのです。

 こうした、 プロットからシナリオを立ち上げる際の具体的なエピソードの作り 込みが、実に丁寧に行われているのも、『刑事ゆがみ』 の特徴だと思います。複数の脚本家を使っていますが、 かなり強いディレクションというか、 統率が入っているという印象です。 クオリティコントロールが行き届いているし、 時間をかけて脚本を練っていることがよくわかります。要するに、 マジメに頑張って作っているドラマだということです。 マジメに頑張って作っているドラマに対しては、 やっぱりマジメに頑張って応援したいと思うのです。

 今後も、羽生の心を揺らす事件を起こして、 弓神が真相を解明する。その捜査の過程において、 弓神が羽生に気付きを与え、羽生が成長していく。 そういうパターンを守りながら回を重ねて行けば、 大きく崩れることはないと思います。

 

■ところで、低視聴率について

 

 それにしても、先日「面白いのに数字低いねー」 と隣のデスクの人と話していたのですが、「もしかして、『 浅野忠信って誰?』って状態なんじゃないの?」と言われて、 目からウロコでした。確かに、センセーショナルだった『 鮫肌男と桃尻女』から、もう20年近く。 当時のサブカルキッズもおじさんおばさんですし、 言葉は悪いけど、最近の浅野さんが「ドラマに降りてきた」 みたいな感覚で楽しんで見てる人って、 あんまりいないのかもしれません。

 まあ、浅野さん本人は楽しそうですし、私も楽しいので、 別にいいですけど。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

好調キープの『コウノドリ』シーズン2、いよいよ星野源の“ツンデレ”が完全炸裂へ!?

 周産期医療センター(出産の前後を通して、産科と新生児科で連携した医療体制のとれる施設)を舞台としたヒューマン医療ドラマ『コウノドリ』(TBS系)。2年ぶりとなるシーズン2の第2話目が放送され、視聴率も11.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好調をキープ。その内容を振り返りたい。

 

■出産は奇跡、育児は現実

 

 前回の第1話で、心室中隔欠損(新生児の心臓の心室に穴が開いてしまっている)の子どもを身ごもっていることが発覚した佐野彩加(高橋メアリージュン)が引き続き登場。新生児の疾患は、さほど問題がないことがわかるが、いくら産科医師の四宮(星野源)や助産師の小松(吉田羊)が不安なことなどないかと質問をしても、佐野は執拗に「大丈夫です」としか口にせず、すぐに仕事復帰したいという焦りもあってか、一人で背負いすぎてるように見える。

 前回の終盤では、妻への無理解を謝罪した夫(ナオト・インティライミ)も、結局育児休暇を取らなかった事実が明かされ、泣きじゃくる赤ん坊を横にあやすでもなく呆然と一人佇む佐野妻の姿が、先の不安を予感させた。

 その際、主役の産科医師・鴻鳥(綾野剛)の声を借りたナレーションで「出産という奇跡の後には、現実が続いていく」と語られ、これはドラマの冒頭で語られた「出産は奇跡だ」という言葉を受けてのものなのだろうが、出産(一瞬の奇跡)から育児(長く続く現実)になだれ込むように突入する一連の苦労も繋げて描こうとしていることがわかる。

 特にそれを感じるのは、このドラマが完全な1話完結という区切り方ではなく、何話かにわたり並行して妊婦やその家族が登場し、幾つかの軸として散りばめられている点だ。2年前の前シリーズでも、妻を出産と同時に亡くしてしまった小栗旬がシングルファザーとして奮闘する様子を追いかけ、定期的にその後の苦労(働きながらの育児)が描かれていた。

 医師側からしてみれば、随時同時進行で複数の患者の経過を看ているわけだから、ドラマだからといって「一人出産したら次」とならないのは当然なのかもしれない。さらに、並行して見せることで、妊娠・出産だけでなく、その後も母親と新生児の両方の健康を連携し見守る「周産期医療センター」という施設の特色もよく表現されているといえるだろう。

 

■母体を選ぶか赤ちゃんを選ぶか

 

 そして、今回登場したもう一人の妊婦は、妊娠して間もなく自身が子宮頸がんに侵されていることが発覚した久保佐和子(土村芳)。子宮の入り口を一部切除したものの、すでに周囲に転移しており、胎児に転移はしないものの子宮を全摘出しなくてはならないことが告げられる。佐和子の選べる選択肢は2つ。

・子どもをすぐ諦め、子宮を全摘出する。
・子どもを出産した後、子宮を全摘出する。

 当然、子どもを望んでいたわけだし、子宮も摘出してしまうので、佐和子は後者を選択したいが、問題はお腹の子が、まだ19週という、出産するにはあまりに早すぎる段階(帝王切開でも、早期すぎるため子どもに疾患や後遺症などが出てしまう可能性がとても高い)だということ。生まれてくる子どもの健康のために、もう少し母体内での成熟を待ちたいが、当然その間に母体のがんが進行する恐れがある。

 子が母体にいるうちは抗がん剤も使えない。乱暴な言い方をすれば、母体を優先するか、それとも母体を危険にさらしてでも生まれてくる子のリスクを減らすか、という大変難しい選択。結果次第で正解がないため、夫婦も、医師も、安易には決めかねる案件だ。

■鴻鳥 vs 四宮

 

 カンファレンスと呼ばれる、医師やスタッフ同士の検討会議では、久保夫妻が妊娠継続し出産を希望する場合、主治医の鴻鳥は28週で出産させるつもりだと発言。これに対し四宮は、早すぎて子どもに障害が出る可能性があると反論、母体の様子を見つつ32週までは引っ張るべきだと主張。2人の意見は完全に対立する。

 生まれてくる子どもの健康を優先する四宮と、母体の治療と両立させたい鴻鳥。鴻鳥の気持ちの裏には、生まれてくる子どもに影響の出そうな治療を拒んで、産後すぐがんで亡くなった、鴻鳥自身の母親への思いがあるはずだ(前シリーズ5話)。

鴻鳥「お母さんのがんの状態は、フタを開けてみないとわからない」

四宮「フタを開けてから、ベビーに重い後遺症が残りました、じゃダメなんだ」

鴻鳥「予想以上にがんが進んでいたらどうする?」

四宮「ベビーに後遺症が予想以上に残ったらどうする?」

鴻鳥「もちろんそれもわかった上で僕は話してる」

 久々に見る鴻鳥と四宮の完全対立。鴻鳥に対してライバルであり親友である(あってほしい)四宮はツンデレが魅力なのだが、新たなシリーズになってからは前シリーズより距離が縮まったのか、やや「ツン」の部分が弱く見え、物足りなかった。久しぶりにがっつりと対立してくれて、後は心置きなく「デレ」を待つばかりだ。

 

■産科 vs 新生児科

 

「我々新生児科は、産科の出した結論に添います。その時は全力でサポートします」と新生児科のベテラン医師・今橋(大森南朋)は言うものの、カンファレンス後の若手同期2人だけの会話で、「(28週で子どもを取り出しても)うちのNICU(新生児集中治療室)なら大丈夫なんじゃない?」という産科医の下屋(松岡茉優)、それに対し「そんな簡単に言うな、信頼してくれるのはうれしいけど、こっち(新生児科=NICUを管轄)に丸投げしないでほしい」と反論する新生児科医の白川(坂口健太郎)、それを受けて「私たち産科は、別にあんたたちに責任を負ってほしいなんて考えてないよ」と返す下屋。産科は出産までが主な担当で、新生児科は生まれた後の(特に疾患や障害がある)子どもの治療が主な担当なので、原作でもこの立場の違いはよく描かれている。

 ちなみにこの産科医の下屋とNICUの白川が、少しいい関係になるのでは? と若干思わせるところもあるのだが、それが同期の友情なのか恋愛なのかはわからない。

 冷静になった白川が最後に言った「結局は子どもに何かあった時に、親がその現実を受け入れられるか受け入れられないかが問題なんだよな……」という言葉が、出産に関わる医師の気持ちを表している。

 

■「出産」女優は毎回実力派揃い

 

 子宮摘出は避けられないと告げられた診察室を出てすぐ、夫(福士誠治)に子どもも産めなくなるのだから離婚していいよと言い出す佐和子。もちろん離婚したいわけではないのだろうが、どうしていいのかわからなくてなってしまった妻としての、女性としての苦悩がよく表れているシーン。

 ここで、NHK朝ドラ『べっぴんさん』でも主人公の友人・君ちゃんとして脇を締めていた土村が魅せる。診察室内で「子どもを産みたい」と涙する芝居も見事で、脚本上目立つ役ということもあるが、それを差し引いても光っていた。

 この女優、芝居のうまさというか、質が黒木華に似ているなと思っていたら、京都造形芸術大学映画学科俳優コースで、黒木の一つ後輩に当たる。しかも、かなり影響を受けたとのことで、どこか納得。

 先週の志田未来もそうだが、このドラマの妊婦役には達者な女優が多く、2年前の前シーズンでも、子どもを捨てる母親の苦悩を鬼気迫る演技で演じた清水富美加(第1話)や、無事産まれたばかりの我が子を、出産と同時に里子に出すため別れを告げねばならない中学生女子の、喜びと後悔の入り混じった非常に複雑な心理状態を見事に演じきった山口まゆ(第5話=神回とされる)などの演技が印象深い。男優の塩顔配役以上に、ゲスト女優の配役もこだわっているようだ。当たり前か。

■原作との違い

 

 原作コミックでは、鴻鳥が、出産時期の決断で悩む久保の夫(原作では市川姓)を、自身が育てられた養護施設に連れて行き、自身が出生の際に同じ子宮頸がんで母親を亡くしていることを伝える。そこで鴻鳥の養母・景子ママ(綾戸智恵)が久保に言った「彼女(鴻鳥の亡くなった母親)はサクラ(鴻鳥)を育てたかったと思うよ」という言葉が、夫が早期出産を妻に希望するきっかけとなっていた。

 しかし今回のドラマでは、おそらく迷っているのであろう鴻鳥が、単身養護施設を訪ねる設定になっており、そこで前述の養母の言葉を自ら聞き、早期出産を久保夫妻に勧めることを決める流れになっているので、若干意味合いが違ってきている。ちなみに母親の死因は、ドラマでは乳がんだ。

 この後、鴻鳥は、28週での出産を久保夫妻に提案する際「お母さんご自身の手でお子さんを育てて欲しいからです」と思いを込める。

 結局、母体を守るため早期出産を望む夫に対し、妻・佐和子はもし自分が死んでも、夫一人で育てる苦労が少しでも減るように、例え自身のがんが進行したとしてもギリギリまで体内で子どもを育み健康に産んであげたい(32週での出産)とし、夫婦間でも意見は対立する。

 しかし夫の「2人で育てるんだ、俺たちの子だよ? 3人の人生だよ?」との言葉に、妻も28週での早期出産を決意する。先週、育児を「手伝う」と発言し、四宮に「手伝うじゃないだろ? あんたの子どもだ」と一喝されてしまったナオト・インティライミが聞いたら、気まずいであろうほどの久保の夫の言葉。いや、言われたのはナオト本人ではなく佐野の夫としてなのだが、なぜか星野源にナオトが怒られた印象になってしまうのが忍びない。

 

■子宮頸がん予防ワクチン

 

 今回、子宮頸がん予防ワクチンの使用の是非についても描かれている。子宮頸がん予防ワクチンは、唯一予防できる可能性が高いワクチンと言われているが、運動障害など副作用らしき事例が複数起き、現在は推奨されていない。しかし、それがそのワクチン自体によるものなのか因果関係は正式には解明されておらず、ワクチンを打っていれば助かった命も多かったとの意見もある。

 日本では毎年、約1万人が新たに子宮頸がんになり、約3,000人が亡くなっているという現状の中、ワクチンが危険なモノなのかはっきりとした結論は出されておらず、ドラマでもあえてこの結論は出さずに、この議論そのものを登場人物の口で語らせ、問題提起している。自身も子宮頸がんで摘出手術を受け、ワクチンを推奨したことで一部で問題視された三原じゅん子参院議員と絡めて覚えている方も多いのではないだろうか。

 

■おもしろシーン

 

 題材が題材なだけに真面目なシーンが多いこのドラマで、時折挟み込まれるわずかな面白パート。前シーズンではダジャレを連発する麻酔医・船越(東京03・豊本明長)がその多くを担っていたが、今回は登場していないため、どうするのかと思っていたら逸材が現れた。

 医師や助産師らが休憩中に育児のストレスを語り合っている際、地味なソーシャルワーカーの向井(江口のりこ)が自身の一番の苦労として、「(旦那が)私のこと、子どもを産んでからも女として見るんです……」とつぶやき、休憩中の全員を絶句させる。食事の途中で、あからさまに中座する下屋や鴻鳥、タイミングを逃し向井に捕まる小松などを巻き込み、突然のコメディパートに。

 四宮と小松のじゃれあいなど、他にも息抜き的な場面はあるのだが、ここだけ際立って攻めている印象を受けた。思い返せば、前シーズンでも何の前触れもなく、その素朴な顔面を突如「ツタンカーメン」といじられ、即座に「関係ないし」と不機嫌に応答するなどピンポイントながら見事な印象を残していた(ここもネット上で好評だった)のだが、今回もこのホームランを機に、緊張の多いこのドラマに緩和を差し込んで欲しい。

 個人的には、突如、向井を「ツタンカーメン」といじったぽっちゃり助産師の真田(小林きな子)と2人はいい凸凹コンビだと思うので、前シリーズでもあったクリスマスでのレクリエーション会では是非2人でC-3POとR2-D2に扮していただきたい。

 ちなみに原作コミック(14巻)では、気分の優れない久保の妻(原作では市川姓)が自宅でお笑いのDVDを鑑賞している場面があり、そのトリオの風貌が、どう見ても東京03っぽい。これは東京03・豊本がレギュラー出演していた前シーズンの放送より半年は前のことなので、つまりドラマ以前から原作に登場させるほど、原作者の鈴ノ木ユウが彼らのファンだから3人がキャスティングされた(角田晃広は第1シーズンの7話ゲストとして、飯塚悟志は最終話にエキストラ的に出演)のでは? と思っていたら、どうやら鈴ノ木と東京03・角田が大学時代に同じ音楽サークルだったのが発端らしい。交流はなかったらしいが。

■今後の見どころ

 

 結局、久保の出産も子宮摘出手術も成功し、子どもの経過も順調、がんの転移も見つからなかった。

「運が良かったな」という四宮に、「お母さんが子どもを助けたいって思いが勝ったんだよ」という鴻鳥。しかしここで四宮のデレが炸裂する。

「いや、母親の手で子どもを育てさせたいっていうお前の思いが、勝ったんじゃないか」

 そう言い残して新生児集中治療室を出る四宮。少しだけニヤつく鴻鳥。いやーライバルって本当にいいもんですね! と水野晴郎が出てきても許せるシーン。

 お腹の中で大きくなるまで子どもを育てられなかった劣等感を感じたと告白する久保妻に「ちょっと、早く生まれちゃったけど、赤ちゃんがご家族と一緒に生きていくために、この誕生日を選んだんです」と、告げる今橋医師。出産を経験した女性が特に支持するドラマなのもわかるなーと思った直後、産後うつらしき佐野彩加が病院の屋上に立ち、まさに飛び降りようとしているシーンで次週へ続く。無事出産したからといって、そこで終わりではないという周産期医療の現場をドラマチックに描き出す。

 今後、気になるのは、鴻鳥がよく回想している赤ちゃんを抱えた三浦芽美(松本穂香)という存在、そして今回、四宮に対し「正式に離婚しました」と告げた謎の妊婦・三上いづみ(柊瑠美)だ。

 特に三上と四宮が2人きりで病院外のカフェで会話をするシーンでは、フリかもしれないが男女関係を匂わせる空気もあった。医療に携わる側の男女はたくさんいるのに、シリーズ通して、そして原作でも特に恋愛模様が描かれたことはないので、貴重な要素になるのかもしれない。

 このカフェのシーンで四宮が珍しく私服(白い丸首インナーに、黒のカジュアルなジャケット)だったため、ネットでは女性ファンがざわめいており、改めて巷での四宮人気を感じる。

 ちなみに主役である鴻鳥は謎の人気ピアニストとしての一面もあるのだが、今シリーズではあまりその必然性がなく、設定を持て余しているように見えるので、今後展開にからめていただけたらうれしいです。
(文=柿田太郎)

好調キープの『コウノドリ』シーズン2、いよいよ星野源の“ツンデレ”が完全炸裂へ!?

 周産期医療センター(出産の前後を通して、産科と新生児科で連携した医療体制のとれる施設)を舞台としたヒューマン医療ドラマ『コウノドリ』(TBS系)。2年ぶりとなるシーズン2の第2話目が放送され、視聴率も11.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好調をキープ。その内容を振り返りたい。

 

■出産は奇跡、育児は現実

 

 前回の第1話で、心室中隔欠損(新生児の心臓の心室に穴が開いてしまっている)の子どもを身ごもっていることが発覚した佐野彩加(高橋メアリージュン)が引き続き登場。新生児の疾患は、さほど問題がないことがわかるが、いくら産科医師の四宮(星野源)や助産師の小松(吉田羊)が不安なことなどないかと質問をしても、佐野は執拗に「大丈夫です」としか口にせず、すぐに仕事復帰したいという焦りもあってか、一人で背負いすぎてるように見える。

 前回の終盤では、妻への無理解を謝罪した夫(ナオト・インティライミ)も、結局育児休暇を取らなかった事実が明かされ、泣きじゃくる赤ん坊を横にあやすでもなく呆然と一人佇む佐野妻の姿が、先の不安を予感させた。

 その際、主役の産科医師・鴻鳥(綾野剛)の声を借りたナレーションで「出産という奇跡の後には、現実が続いていく」と語られ、これはドラマの冒頭で語られた「出産は奇跡だ」という言葉を受けてのものなのだろうが、出産(一瞬の奇跡)から育児(長く続く現実)になだれ込むように突入する一連の苦労も繋げて描こうとしていることがわかる。

 特にそれを感じるのは、このドラマが完全な1話完結という区切り方ではなく、何話かにわたり並行して妊婦やその家族が登場し、幾つかの軸として散りばめられている点だ。2年前の前シリーズでも、妻を出産と同時に亡くしてしまった小栗旬がシングルファザーとして奮闘する様子を追いかけ、定期的にその後の苦労(働きながらの育児)が描かれていた。

 医師側からしてみれば、随時同時進行で複数の患者の経過を看ているわけだから、ドラマだからといって「一人出産したら次」とならないのは当然なのかもしれない。さらに、並行して見せることで、妊娠・出産だけでなく、その後も母親と新生児の両方の健康を連携し見守る「周産期医療センター」という施設の特色もよく表現されているといえるだろう。

 

■母体を選ぶか赤ちゃんを選ぶか

 

 そして、今回登場したもう一人の妊婦は、妊娠して間もなく自身が子宮頸がんに侵されていることが発覚した久保佐和子(土村芳)。子宮の入り口を一部切除したものの、すでに周囲に転移しており、胎児に転移はしないものの子宮を全摘出しなくてはならないことが告げられる。佐和子の選べる選択肢は2つ。

・子どもをすぐ諦め、子宮を全摘出する。
・子どもを出産した後、子宮を全摘出する。

 当然、子どもを望んでいたわけだし、子宮も摘出してしまうので、佐和子は後者を選択したいが、問題はお腹の子が、まだ19週という、出産するにはあまりに早すぎる段階(帝王切開でも、早期すぎるため子どもに疾患や後遺症などが出てしまう可能性がとても高い)だということ。生まれてくる子どもの健康のために、もう少し母体内での成熟を待ちたいが、当然その間に母体のがんが進行する恐れがある。

 子が母体にいるうちは抗がん剤も使えない。乱暴な言い方をすれば、母体を優先するか、それとも母体を危険にさらしてでも生まれてくる子のリスクを減らすか、という大変難しい選択。結果次第で正解がないため、夫婦も、医師も、安易には決めかねる案件だ。

■鴻鳥 vs 四宮

 

 カンファレンスと呼ばれる、医師やスタッフ同士の検討会議では、久保夫妻が妊娠継続し出産を希望する場合、主治医の鴻鳥は28週で出産させるつもりだと発言。これに対し四宮は、早すぎて子どもに障害が出る可能性があると反論、母体の様子を見つつ32週までは引っ張るべきだと主張。2人の意見は完全に対立する。

 生まれてくる子どもの健康を優先する四宮と、母体の治療と両立させたい鴻鳥。鴻鳥の気持ちの裏には、生まれてくる子どもに影響の出そうな治療を拒んで、産後すぐがんで亡くなった、鴻鳥自身の母親への思いがあるはずだ(前シリーズ5話)。

鴻鳥「お母さんのがんの状態は、フタを開けてみないとわからない」

四宮「フタを開けてから、ベビーに重い後遺症が残りました、じゃダメなんだ」

鴻鳥「予想以上にがんが進んでいたらどうする?」

四宮「ベビーに後遺症が予想以上に残ったらどうする?」

鴻鳥「もちろんそれもわかった上で僕は話してる」

 久々に見る鴻鳥と四宮の完全対立。鴻鳥に対してライバルであり親友である(あってほしい)四宮はツンデレが魅力なのだが、新たなシリーズになってからは前シリーズより距離が縮まったのか、やや「ツン」の部分が弱く見え、物足りなかった。久しぶりにがっつりと対立してくれて、後は心置きなく「デレ」を待つばかりだ。

 

■産科 vs 新生児科

 

「我々新生児科は、産科の出した結論に添います。その時は全力でサポートします」と新生児科のベテラン医師・今橋(大森南朋)は言うものの、カンファレンス後の若手同期2人だけの会話で、「(28週で子どもを取り出しても)うちのNICU(新生児集中治療室)なら大丈夫なんじゃない?」という産科医の下屋(松岡茉優)、それに対し「そんな簡単に言うな、信頼してくれるのはうれしいけど、こっち(新生児科=NICUを管轄)に丸投げしないでほしい」と反論する新生児科医の白川(坂口健太郎)、それを受けて「私たち産科は、別にあんたたちに責任を負ってほしいなんて考えてないよ」と返す下屋。産科は出産までが主な担当で、新生児科は生まれた後の(特に疾患や障害がある)子どもの治療が主な担当なので、原作でもこの立場の違いはよく描かれている。

 ちなみにこの産科医の下屋とNICUの白川が、少しいい関係になるのでは? と若干思わせるところもあるのだが、それが同期の友情なのか恋愛なのかはわからない。

 冷静になった白川が最後に言った「結局は子どもに何かあった時に、親がその現実を受け入れられるか受け入れられないかが問題なんだよな……」という言葉が、出産に関わる医師の気持ちを表している。

 

■「出産」女優は毎回実力派揃い

 

 子宮摘出は避けられないと告げられた診察室を出てすぐ、夫(福士誠治)に子どもも産めなくなるのだから離婚していいよと言い出す佐和子。もちろん離婚したいわけではないのだろうが、どうしていいのかわからなくてなってしまった妻としての、女性としての苦悩がよく表れているシーン。

 ここで、NHK朝ドラ『べっぴんさん』でも主人公の友人・君ちゃんとして脇を締めていた土村が魅せる。診察室内で「子どもを産みたい」と涙する芝居も見事で、脚本上目立つ役ということもあるが、それを差し引いても光っていた。

 この女優、芝居のうまさというか、質が黒木華に似ているなと思っていたら、京都造形芸術大学映画学科俳優コースで、黒木の一つ後輩に当たる。しかも、かなり影響を受けたとのことで、どこか納得。

 先週の志田未来もそうだが、このドラマの妊婦役には達者な女優が多く、2年前の前シーズンでも、子どもを捨てる母親の苦悩を鬼気迫る演技で演じた清水富美加(第1話)や、無事産まれたばかりの我が子を、出産と同時に里子に出すため別れを告げねばならない中学生女子の、喜びと後悔の入り混じった非常に複雑な心理状態を見事に演じきった山口まゆ(第5話=神回とされる)などの演技が印象深い。男優の塩顔配役以上に、ゲスト女優の配役もこだわっているようだ。当たり前か。

■原作との違い

 

 原作コミックでは、鴻鳥が、出産時期の決断で悩む久保の夫(原作では市川姓)を、自身が育てられた養護施設に連れて行き、自身が出生の際に同じ子宮頸がんで母親を亡くしていることを伝える。そこで鴻鳥の養母・景子ママ(綾戸智恵)が久保に言った「彼女(鴻鳥の亡くなった母親)はサクラ(鴻鳥)を育てたかったと思うよ」という言葉が、夫が早期出産を妻に希望するきっかけとなっていた。

 しかし今回のドラマでは、おそらく迷っているのであろう鴻鳥が、単身養護施設を訪ねる設定になっており、そこで前述の養母の言葉を自ら聞き、早期出産を久保夫妻に勧めることを決める流れになっているので、若干意味合いが違ってきている。ちなみに母親の死因は、ドラマでは乳がんだ。

 この後、鴻鳥は、28週での出産を久保夫妻に提案する際「お母さんご自身の手でお子さんを育てて欲しいからです」と思いを込める。

 結局、母体を守るため早期出産を望む夫に対し、妻・佐和子はもし自分が死んでも、夫一人で育てる苦労が少しでも減るように、例え自身のがんが進行したとしてもギリギリまで体内で子どもを育み健康に産んであげたい(32週での出産)とし、夫婦間でも意見は対立する。

 しかし夫の「2人で育てるんだ、俺たちの子だよ? 3人の人生だよ?」との言葉に、妻も28週での早期出産を決意する。先週、育児を「手伝う」と発言し、四宮に「手伝うじゃないだろ? あんたの子どもだ」と一喝されてしまったナオト・インティライミが聞いたら、気まずいであろうほどの久保の夫の言葉。いや、言われたのはナオト本人ではなく佐野の夫としてなのだが、なぜか星野源にナオトが怒られた印象になってしまうのが忍びない。

 

■子宮頸がん予防ワクチン

 

 今回、子宮頸がん予防ワクチンの使用の是非についても描かれている。子宮頸がん予防ワクチンは、唯一予防できる可能性が高いワクチンと言われているが、運動障害など副作用らしき事例が複数起き、現在は推奨されていない。しかし、それがそのワクチン自体によるものなのか因果関係は正式には解明されておらず、ワクチンを打っていれば助かった命も多かったとの意見もある。

 日本では毎年、約1万人が新たに子宮頸がんになり、約3,000人が亡くなっているという現状の中、ワクチンが危険なモノなのかはっきりとした結論は出されておらず、ドラマでもあえてこの結論は出さずに、この議論そのものを登場人物の口で語らせ、問題提起している。自身も子宮頸がんで摘出手術を受け、ワクチンを推奨したことで一部で問題視された三原じゅん子参院議員と絡めて覚えている方も多いのではないだろうか。

 

■おもしろシーン

 

 題材が題材なだけに真面目なシーンが多いこのドラマで、時折挟み込まれるわずかな面白パート。前シーズンではダジャレを連発する麻酔医・船越(東京03・豊本明長)がその多くを担っていたが、今回は登場していないため、どうするのかと思っていたら逸材が現れた。

 医師や助産師らが休憩中に育児のストレスを語り合っている際、地味なソーシャルワーカーの向井(江口のりこ)が自身の一番の苦労として、「(旦那が)私のこと、子どもを産んでからも女として見るんです……」とつぶやき、休憩中の全員を絶句させる。食事の途中で、あからさまに中座する下屋や鴻鳥、タイミングを逃し向井に捕まる小松などを巻き込み、突然のコメディパートに。

 四宮と小松のじゃれあいなど、他にも息抜き的な場面はあるのだが、ここだけ際立って攻めている印象を受けた。思い返せば、前シーズンでも何の前触れもなく、その素朴な顔面を突如「ツタンカーメン」といじられ、即座に「関係ないし」と不機嫌に応答するなどピンポイントながら見事な印象を残していた(ここもネット上で好評だった)のだが、今回もこのホームランを機に、緊張の多いこのドラマに緩和を差し込んで欲しい。

 個人的には、突如、向井を「ツタンカーメン」といじったぽっちゃり助産師の真田(小林きな子)と2人はいい凸凹コンビだと思うので、前シリーズでもあったクリスマスでのレクリエーション会では是非2人でC-3POとR2-D2に扮していただきたい。

 ちなみに原作コミック(14巻)では、気分の優れない久保の妻(原作では市川姓)が自宅でお笑いのDVDを鑑賞している場面があり、そのトリオの風貌が、どう見ても東京03っぽい。これは東京03・豊本がレギュラー出演していた前シーズンの放送より半年は前のことなので、つまりドラマ以前から原作に登場させるほど、原作者の鈴ノ木ユウが彼らのファンだから3人がキャスティングされた(角田晃広は第1シーズンの7話ゲストとして、飯塚悟志は最終話にエキストラ的に出演)のでは? と思っていたら、どうやら鈴ノ木と東京03・角田が大学時代に同じ音楽サークルだったのが発端らしい。交流はなかったらしいが。

■今後の見どころ

 

 結局、久保の出産も子宮摘出手術も成功し、子どもの経過も順調、がんの転移も見つからなかった。

「運が良かったな」という四宮に、「お母さんが子どもを助けたいって思いが勝ったんだよ」という鴻鳥。しかしここで四宮のデレが炸裂する。

「いや、母親の手で子どもを育てさせたいっていうお前の思いが、勝ったんじゃないか」

 そう言い残して新生児集中治療室を出る四宮。少しだけニヤつく鴻鳥。いやーライバルって本当にいいもんですね! と水野晴郎が出てきても許せるシーン。

 お腹の中で大きくなるまで子どもを育てられなかった劣等感を感じたと告白する久保妻に「ちょっと、早く生まれちゃったけど、赤ちゃんがご家族と一緒に生きていくために、この誕生日を選んだんです」と、告げる今橋医師。出産を経験した女性が特に支持するドラマなのもわかるなーと思った直後、産後うつらしき佐野彩加が病院の屋上に立ち、まさに飛び降りようとしているシーンで次週へ続く。無事出産したからといって、そこで終わりではないという周産期医療の現場をドラマチックに描き出す。

 今後、気になるのは、鴻鳥がよく回想している赤ちゃんを抱えた三浦芽美(松本穂香)という存在、そして今回、四宮に対し「正式に離婚しました」と告げた謎の妊婦・三上いづみ(柊瑠美)だ。

 特に三上と四宮が2人きりで病院外のカフェで会話をするシーンでは、フリかもしれないが男女関係を匂わせる空気もあった。医療に携わる側の男女はたくさんいるのに、シリーズ通して、そして原作でも特に恋愛模様が描かれたことはないので、貴重な要素になるのかもしれない。

 このカフェのシーンで四宮が珍しく私服(白い丸首インナーに、黒のカジュアルなジャケット)だったため、ネットでは女性ファンがざわめいており、改めて巷での四宮人気を感じる。

 ちなみに主役である鴻鳥は謎の人気ピアニストとしての一面もあるのだが、今シリーズではあまりその必然性がなく、設定を持て余しているように見えるので、今後展開にからめていただけたらうれしいです。
(文=柿田太郎)

綾瀬はるかと西島秀俊の“パナソニック夫婦”が大人気! 『奥様は、取り扱い注意』2ケタキープ

 綾瀬はるかと西島秀俊のイチャイチャシーンも好評の『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)。そういえば2人って、どちらもパナソニックのCMキャラクターを務めている“パナソニック夫婦”なんですね。こないだ、ヤマダ電機で同社の洗濯機を値切っているときに気付きました。

 初回から平均視聴率2ケタをキープしている同作ですが、25日放送の第4話も11.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好調。毎回、冒頭でちょっとずつ明かされる主人公の生い立ちも気になりますし、西島演じる夫の正体も気になる!

 ということで、第4話のあらすじを振り返ります。

■刑事的な嗅覚もすごい!

 最近、近所に住むセレブ主婦・美佐子(星野真里)が自宅で開いている「読書会」に、優里(広末涼子)や京子(本田翼)と共に参加している菜美(綾瀬はるか)。この日も「読書会」のために美佐子宅を訪れると、1人息子の悠斗くんが誘拐され、犯人から身代金1億円を要求されているとのこと。犯人がポストに投函したスマホには、「警察に通報したら息子を殺す。必ず殺す」とのメッセージが保存されているほか、リアルタイムで「ママー、助けてー」と泣き叫ぶ悠斗くんの動画まで送られてきます。

 そうこうしていると、美佐子の夫・光雄が仕事先から慌てて帰宅。美佐子は「警察に頼みましょう」と持ちかけますが、光雄は「身代金を払えば、悠斗は帰ってくる」の一点張りです。

 なお、犯人は謎の男子大学生の3人組(柾木玲弥ほか)。イベントで作った借金を返済するため、悠斗くんを誘拐したようです。

 その後、悠斗くんの家庭教師を務める真純(佐野ひなこ)が、いつものように美佐子の家へ。すると、スマホに「今、入っていった家庭教師を身代金の運び役にする」とのメッセージが。犯人に監視されていることに怯える美佐子たちですが、菜美はすでに何かに気付いたようで、この晩は美佐子の家にお泊まり。光雄や真純の動きを窺います。

■見どころは回し蹴り?

 翌日、どうしても1億円が工面できなかった光雄は、犯人に「7,000万円で許してください」と交渉。すると、この直後に真純のケータイに電話が。「実家の母から」と席を外し、犯人に監視されているかもしれないのに、外で何者かと電話する真純。実は真純は、この誘拐事件を企てた張本人。さらに菜美は、光雄の表情から、真純が光雄の愛人であったことを見抜きます。

 何かを思い立ったように、美佐子の家を後にし、謎のクリーニング店へ入っていく菜美。店の店主(西尾まり)と共に奥の隠し部屋へ入ると、そこには複数台のパソコンが。美佐子は店主に、この街の防犯カメラのデータを入手するよう依頼。すぐに悠斗くんを誘拐した車のナンバーを割り出します。

 犯人の居場所を突き止めた菜美は、店主から借りたコミカルな帽子と丸いサングラスで変装し、窓から堂々と突入。犯人を掌底や回し蹴りであっという間にノックアウトし、縄で縛った後、地下室に監禁されている悠斗くんを残したまま公衆電話へ。警察に「不審な人間が出入りしている」と通報し、犯人の大学生と真純は御用となりました。

 なお、真純は、光雄との子どもをおろしたショックから犯行に及んだとか。さらに、全てを知った美佐子は光雄と離婚してしまいました。この辺、菜美のナレーションでサラッと説明されましたが、よく考えると、なかなかヘビーなお話だ……。

■キリッとした綾瀬にメロメロ

 これまでの夫のDVに悩む主婦や、ママ友同士のイジメ問題と違い、今回は明らかに事件であったため、綾瀬が終始、キリッとした表情をキープ。前回の“ユッサユッサジョギング”のようなお色気シーンはありませんでしたが、同作で“カッコいい綾瀬を見たい派”の筆者としては、大満足でした。

 また、今回のアクションシーンでは、階段の手すりを使ったアクロバティックな回し蹴りに興奮! 前回の敵は青木さやかでしたが、やっぱり敵は男性のほうがスカッとしますね。

 というわけで、「変装したところで、綾瀬も街の防犯カメラに映ってるんじゃ……、そして、警察に見られたらバレるんじゃ……、いや、その辺はぬかりなくやってるか……?」というモヤモヤを除けば、安定感抜群だった『奥様は、取り扱い注意』第4話。次回は菜美が勇輝を置いて家出しちゃうみたいなので、見るしかないですね。
(文=どらまっ子TAMOちゃん)

綾瀬はるかと西島秀俊の“パナソニック夫婦”が大人気! 『奥様は、取り扱い注意』2ケタキープ

 綾瀬はるかと西島秀俊のイチャイチャシーンも好評の『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)。そういえば2人って、どちらもパナソニックのCMキャラクターを務めている“パナソニック夫婦”なんですね。こないだ、ヤマダ電機で同社の洗濯機を値切っているときに気付きました。

 初回から平均視聴率2ケタをキープしている同作ですが、25日放送の第4話も11.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好調。毎回、冒頭でちょっとずつ明かされる主人公の生い立ちも気になりますし、西島演じる夫の正体も気になる!

 ということで、第4話のあらすじを振り返ります。

■刑事的な嗅覚もすごい!

 最近、近所に住むセレブ主婦・美佐子(星野真里)が自宅で開いている「読書会」に、優里(広末涼子)や京子(本田翼)と共に参加している菜美(綾瀬はるか)。この日も「読書会」のために美佐子宅を訪れると、1人息子の悠斗くんが誘拐され、犯人から身代金1億円を要求されているとのこと。犯人がポストに投函したスマホには、「警察に通報したら息子を殺す。必ず殺す」とのメッセージが保存されているほか、リアルタイムで「ママー、助けてー」と泣き叫ぶ悠斗くんの動画まで送られてきます。

 そうこうしていると、美佐子の夫・光雄が仕事先から慌てて帰宅。美佐子は「警察に頼みましょう」と持ちかけますが、光雄は「身代金を払えば、悠斗は帰ってくる」の一点張りです。

 なお、犯人は謎の男子大学生の3人組(柾木玲弥ほか)。イベントで作った借金を返済するため、悠斗くんを誘拐したようです。

 その後、悠斗くんの家庭教師を務める真純(佐野ひなこ)が、いつものように美佐子の家へ。すると、スマホに「今、入っていった家庭教師を身代金の運び役にする」とのメッセージが。犯人に監視されていることに怯える美佐子たちですが、菜美はすでに何かに気付いたようで、この晩は美佐子の家にお泊まり。光雄や真純の動きを窺います。

■見どころは回し蹴り?

 翌日、どうしても1億円が工面できなかった光雄は、犯人に「7,000万円で許してください」と交渉。すると、この直後に真純のケータイに電話が。「実家の母から」と席を外し、犯人に監視されているかもしれないのに、外で何者かと電話する真純。実は真純は、この誘拐事件を企てた張本人。さらに菜美は、光雄の表情から、真純が光雄の愛人であったことを見抜きます。

 何かを思い立ったように、美佐子の家を後にし、謎のクリーニング店へ入っていく菜美。店の店主(西尾まり)と共に奥の隠し部屋へ入ると、そこには複数台のパソコンが。美佐子は店主に、この街の防犯カメラのデータを入手するよう依頼。すぐに悠斗くんを誘拐した車のナンバーを割り出します。

 犯人の居場所を突き止めた菜美は、店主から借りたコミカルな帽子と丸いサングラスで変装し、窓から堂々と突入。犯人を掌底や回し蹴りであっという間にノックアウトし、縄で縛った後、地下室に監禁されている悠斗くんを残したまま公衆電話へ。警察に「不審な人間が出入りしている」と通報し、犯人の大学生と真純は御用となりました。

 なお、真純は、光雄との子どもをおろしたショックから犯行に及んだとか。さらに、全てを知った美佐子は光雄と離婚してしまいました。この辺、菜美のナレーションでサラッと説明されましたが、よく考えると、なかなかヘビーなお話だ……。

■キリッとした綾瀬にメロメロ

 これまでの夫のDVに悩む主婦や、ママ友同士のイジメ問題と違い、今回は明らかに事件であったため、綾瀬が終始、キリッとした表情をキープ。前回の“ユッサユッサジョギング”のようなお色気シーンはありませんでしたが、同作で“カッコいい綾瀬を見たい派”の筆者としては、大満足でした。

 また、今回のアクションシーンでは、階段の手すりを使ったアクロバティックな回し蹴りに興奮! 前回の敵は青木さやかでしたが、やっぱり敵は男性のほうがスカッとしますね。

 というわけで、「変装したところで、綾瀬も街の防犯カメラに映ってるんじゃ……、そして、警察に見られたらバレるんじゃ……、いや、その辺はぬかりなくやってるか……?」というモヤモヤを除けば、安定感抜群だった『奥様は、取り扱い注意』第4話。次回は菜美が勇輝を置いて家出しちゃうみたいなので、見るしかないですね。
(文=どらまっ子TAMOちゃん)