爆笑ヨーグルト姫、無事出産! おばさんたちの母性がドバドバ出ちゃう展開に笑える泣ける!『監獄のお姫さま』第5話

“クドカン”の愛称で親しまれる宮藤官九郎が脚本を手掛けるドラマ『監獄のお姫さま』(TBS系)の第5話が14日に放送され、平均視聴率8.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.2ポイント増となりました。

 まずはこれまでのあらすじを少し。2017年のクリスマス・イヴ、元囚人の馬場カヨ(小泉今日子)、大門洋子(坂井真紀)、足立明美(森下愛子)、勝田千夏(菅野美穂)と元刑務官の若井ふたば(満島ひかり)の5人は、EDOミルク社・社長の板橋吾郎(伊勢谷友介)を誘拐。その背景には、6年前に起こった横田ユキ(雛形あきこ)殺害事件の罪を、当時婚約者だった“爆笑ヨーグルト姫”こと江戸川しのぶ(夏帆)に吾郎が押しつけたことを証言させ、再審請求しようという目的があったのです。

 その吾郎・監禁シーンと、カヨたちが女子刑務所で出会い親密になっていく6年前のシーンが行き交うカタチでドラマは展開。前回まではしのぶが入所、妊娠発覚、出産という流れが描かれました。

 さて、今回は勇介と名付けた男の子を無事に出産したしのぶが、刑務所に戻ってきたところからスタート。しのぶだけでなく、「母性がドバドバ出ちゃう」と言いながら子育てに協力するカヨたちの愛情も受け、勇介はスクスクと成長します。しかし、幸せな時間には限りが。規則により、刑務所内で一緒に生活できるのは最長でも1年半と決まっているのです。

 いつしかカヨたちだけでなく他の囚人や刑務官たちからも可愛がられるようになる勇介。しかし時の流れは早く、遂にしのぶの元から離されてしまう日が訪れます。乳児園か親戚か、勇介の引き渡し先の選択を迫られたしのぶは、絶縁状態だった母親に預けることに決めます。

 そして迎えたお別れの日。しのぶだけでなく遠巻きに見ているカヨたちも号泣する中、しのぶの母親に勇介が引き取られるのですが、迎えに来た車内からは吾郎が登場。勇介の存在を口止めしたハズなのに、しのぶの母親が裏切ったのです。吾郎に殺人教唆の濡れ衣を着せられただけでなく、愛する我が子まで奪われてしまったしのぶが絶望に打ちひしがれ、慟哭したところで今回は終了となりました。

 さて感想。初回から第3話目あたりまでは女優陣のテンポが悪く、クドカンの持ち味ともいえるクスっと笑わせるようなサブカルネタの台詞もキレを欠いていたため、正直レビュー書きの仕事をしていなければ観るのを止めていたかもしれません。ただ、前回から少しずつクドカンワールドの魅力が発揮され始め、今回はさらに面白味が増したため途中離脱しなくて良かったと心底思いました。

 特に、これまでダダ滑りしている感が強かった、吾郎・監禁シーンでの女優陣の歯車がカチッとハマり始めたような印象を受けました。例えば、吾郎から「おばさん」呼ばわりされてカヨたちがキレる、というパターンがこれまで何度も繰り返されていました。それがあまりにしつこかったため辟易していたのですが、今回はカヨたちが怒って吾郎に詰め寄っていく際、いつもふたばだけが参加していないというツッコミが入ったことで、これまでとは違った流れになり笑いが生まれたのです。

 ふたばを演じる満島は現在31歳ということで、小泉らと比べれば確かにおばさんではありません。しかし、微妙な年齢ではあります。「おばさん」という言葉に反応しない小さなプライドや、規律を重んじるクソ真面目な性格も相まって面白味が増すと同時に、これまでの放送を見直したところ確かにツッコミに参加していなかったため、改めて笑ってしまいました。例えるならば、バラエティ番組でひな壇芸人たちが皆オーバーリアクションする中、ただひとり立ち上がらずに冷静でいる土田晃之的な面白さといったところでしょうか。

 また、カヨたちの怒りを買ってしまったことでツッコミに加わるものの、“とりあえず参加しました”という態度が露骨に出てしまうため、さらに怒りを増幅させてしまうというやり取りは、ドラマというよりも小劇団の舞台を見ているような可笑しさがありました。今回のドラマを制作するにあたり宮藤は、自分は何が1番書きたいのか? という自問をした結果、「おばちゃんのお喋りを書いている時が一番楽しい」という結論に至り、大好きな女優をキャスティングしてもらったとのことですが、その成果が表れ始めたようです。

 現代のシーンで笑わせる一方、勇介との別れで泣かせるという緩急の付け方も見事。また、車内から吾郎が登場した際のまるで悪魔が降り立ったような演出も効いていました。今まではあまり悪い男といった感じがしなかった吾郎ですが、同シーンにより一気に憎さが増した印象です。ここからどのようにして復讐計画が立ち上がっていくのか、今後の展開に目が離せません。
(文=大羽鴨乃)

ついに明かされた毒親・尚子の洗脳テクニック!! 視聴率もわずかに上昇の『明日の約束』第4話

「小学生のころ、私の持ち物はすべてお母さんが選んでいた。中学生のときは、おしゃれ禁止だった。高校生になると、進学も就職も決められそうだった。みんな、私のことを嫌いなんだって、あの人が言うからそう思ってた。毎日オドオド、ビクビクして、人と話すのが怖かった」

 井上真央がスクールカウンセラーを演じる社会派ミステリー『明日の約束』(フジテレビ系)。視聴率は5~6%代に低迷していますが、サスペンス要素が強まった前回に続き、第4話は井上真央演じる日向(ひなた)先生がスクールカウンセラーになった経緯、毒親・尚子(手塚理美)の左手が不自由になった過去が明かされる重要な回となりました。

 恋人の本庄(工藤阿須加)から日向が母親・尚子のことを異様なまでに嫌っている理由を問われ、できれば親しい人には話したくなかった自分と尚子の関係について日向は打ち明け始めます。それが冒頭の言葉です。

 日向は幼い頃から尚子の徹底した管理下に置かれ、尚子との交換日記という形で、「明日の約束」という名の反省文を毎日書かされていたのです。これはもはや教育や躾ではなく、母親が子どもを支配するための洗脳タイムでした。日向は自分の意思を持つことは許されず、常に独裁者である母親の顔色を気にしながら少女時代を過ごしたのでした。大学に入って心理学を学び始めたのも、親元を離れ、自分自身の心をケアするためだったのです。

「じゃあ、なんで一緒に暮らしているの?」と本庄は例によって子犬のようにつぶらな瞳で、日向が大人になってからも尚子と同居している理由を尋ねます。このストレートな質問に日向はすぐには答えることができません。母親のことは大嫌いですが、100%母親のことを嫌いになれないのが毒親の底なし沼のような恐ろしさなのです。彼女のお陰で大学に進学することができ、ある意味ではスクールカウンセラーというやりがいのある仕事を見つけることもできたわけです。母親のことを全否定することは、日向自身のアイデンティティーも否定することに繋がり、そう簡単には割り切ることができないのです。

 今回も手塚演じる尚子の毒親ぶりから目が離せません。先週は終始ニコニコ顔で「風月庵」の新作和菓子をせっせと配りまくっていた尚子ですが、今週の尚子は「あなたは二重人格者ですか?」と思わせるほどの、豹変ぶりを見せる大サービス。二面性を持つ女の怖さをこれでもかと見せつけます。

 いつものように恐る恐る自宅に帰ってきた日向ですが、リビングで文鳥のピッピちゃんを相手にしているはずの尚子がいません。おかしいなと思いつつ、日向が二階の自室へ上がると、そこには日向の買い置きの文具品を勝手に使い、子どものように無邪気に遊んでいる尚子の姿が。

「ひなちゃんのことが心配だったのよ~。本庄さんに嫌われたら大変だと思って」

 

■CGなしで、手塚理美の顔が大変身!!

 

 本庄に無断で会ったことを詫びる尚子ですが、それでも日向がそっけない態度をしていると、日向が振り返った瞬間には尚子のもうひとつの顔、毒親顔に変身しているではありませんか。思わず、子どもの頃に観た特撮映画『大魔神』(1966)の変身シーンを思い出しました。

「いい加減にしなさいよ! 誰のお陰で生きてきたと思ってるのッ。あんたのそーゆーとこ、死んだお父さんも嫌がってたわ」

 娘を口撃するのに死んだ父親まで持ち出す尚子のえげつなさ。これこそが、尚子が実の娘を洗脳するための常套パターンでした。日向に何でも話し合える親しい友達ができないようにし、親戚やご近所さんの名前も出して、「みんな、日向のことを嫌っている。日向の味方は母親である自分だけなんだ」と我が子をずっと洗脳し続けたのです。

 普段は耳を塞いで自分の部屋に逃げ込んでいた日向ですが、この夜は部屋の中に尚子がズカズカと上がり込んでいるため、どこにも逃げ場がありません。自殺してしまった圭吾(遠藤健慎)のためにも、スクールカウンセラーである自分がいつまでも毒親に逆らえない子どものままではいられません。意を決した日向はついに尚子に反撃します。

「怒るなら自分の言葉で怒ってよ。はっきり言って。その腕のことだって……」

 日向にとって重く暗いトラウマとなっていた、尚子の左手が不自由になった過去が、日向の回想シーンとして明かされます。日向が高校生のとき、近くの神社の石段から転げ落ちそうになったのを庇ったのは尚子でした。そのときの怪我で尚子の左手は今も障害が残っているのです。自分の身体を犠牲にしてまで娘を守った尚子ですが、そのことで尚子は一度も日向を責めたことがないのです。これもまた、毒親ならではの不可解さです。でもそれゆえ、日向はひとりぼっちで暮らすことになる尚子のことが見捨てられずにいるのでした。日向の恋人・本庄は、こんな2人の共依存関係をどこまで受け止めることができるのでしょうか。

 

■EXILE系で、いちばん長生きしそうな男

 

 前回から本格的に登場した週刊誌記者・小嶋を演じる青柳翔は、今週も絶好調です。圭吾の自殺はバスケ部内でいじめがあったからだという噂にバスケ部のキャプテン・長谷部(金子大地)がブチ切れ、校内で長谷部が暴れている様子を映した投稿動画をネットにアップする小嶋。そのせいで、長谷部の実名と顔がネット上でさらされる結果に。校長(羽場裕一)、日向先生、バスケ部の臨時顧問となった北見先生(白洲迅)の3人が編集部に乗り込みますが、数々の事件を取材してきた小嶋はまったく動じません。

「今さらうちが削除しても意味ないでしょ。デジタルタトゥーって言葉はご存知ですか? 今は疑わしきは罰せられる時代です。正義に満ち満ちた素晴しい社会じゃないですか」

 劇団EXILE所属の青柳翔のこの憎々しさ! まさに「憎まれっ子世に憚る」です。EXILE系のメンバーの中でも、いちばん長生きしそうじゃないですか。我が子・圭吾を自殺に追い詰めた真紀子(仲間由紀恵)、日向の懸命な反撃を笑ってスウェーバックしてみせた尚子、それに続く第3のヒール・小嶋記者の本格始動に日向先生は大ピンチです。

 尚子や小嶋の見事な暴れっぷりによって、出番が限られてしまっている最凶毒親である仲間由紀恵演じる真紀子ですが、今週も短い出番でインパクトのある効果的な出演となっていました。久々に高校に現われた真紀子は、圭吾と仲のよかった同級生の沢井(渡邉剣)を見つけ、あいさつ代わりのポイズン攻撃です。

「久しぶりね、沢井くん。圭吾がいなくなったバスケット部は楽しいかしら?」

 自殺した親友の遺族から浴びせられるこの口撃は、思春期の少年にはつらすぎます。さらに真紀子は「鎌倉からいじめをなくす会」の顧問弁護士を同伴し、校長や日向先生を威嚇します。マスコミや弁護士を味方につけた真紀子は裁判に訴え出るとのこと。あまりにもハードな展開に、日向先生だけでなく、視聴者もついていくのに必死です。

 圭吾の自殺、バスケ部顧問・辻先生(神尾佑)の襲撃事件……と暗い内容が続き、視聴率も泥舟のように沈みつつあった『明日の約束』ですが、第4話は5.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と前回の5.4%よりわずかですが微増しました。ドラマの後半、自暴自棄になった長谷部は「辻先生を襲ったのは俺です」と虚偽の自供によって警察に連れていかれますが、日向先生やバスケ部の仲間たちが力を合わせ、長谷部のアリバイを証明する動画を警察に提出します。ビバ、青春! なんという学園ドラマの王道的な展開でしょう。

 警察から解放された長谷部は「動画でピンチになった俺が、動画に助けられるなんて」と苦笑しますが、これは『明日の約束』にも言えそうです。従来の学園ドラマとは異なる超ハードで斬新なドラマを目指してきた『明日の約束』ですが、分かりやすく視聴者に安心感を与える学園ドラマのフォーマットを使ったところ、視聴率がアップしたわけです。

 日向先生は恋人・本庄と無事に結ばれるのか、それとも母親・尚子との新しい関係性を模索するのか。そして関西テレビは社会派ドラマとしてのテーマ性に徹底的にこだわるのか、それとも視聴率アップによろめくのか。次回の『明日の約束』もいろんな意味で見逃せません。
(文=長野辰次)

“唯一の見どころ”高橋一生のエロシーンがない! 月9『民衆の敵』雑すぎる終わり方に呆気

 女優・篠原涼子主演の月9『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(フジテレビ系)の第4話。平均視聴率は前回から0.1ポイントアップの7.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、引き続き微妙な数字でした。

 前回は、出演シーンが激増し、もはやどちらが主人公かわからなくなるほどの露骨な“一生頼り”が目立った同作。今週も、前回の“生クリームぺろぺろシーン”ばりの一生の激エロシーンに期待しつつ、あらすじを振り返ります。

※前回のあらすじはこちら
http://www.cyzo.com/2017/11/post_142088.html

■一生のセリフが少ない!

 約60万円の議員報酬が振り込まれた智子(篠原)は、新聞社に勤めるママ友・和美(石田ゆり子)を自宅に呼び、家族で焼き肉パーティーを開催。しかし、和美に「来年の税金、すごい高くなるよ」と忠告されると、「やばいじゃん、それー!」とアワアワ。

 一方、シャッター街と化した地元商店街の電気屋で育った新人議員・岡本(千葉雄大)は、商店街の復活に情熱を燃やすも、昼間のファミリーレストランの光景で愕然。そこには、店も開けずに朝から井戸端会議を繰り広げる商店街のおばちゃんたちの姿が。選挙時には岡本を応援していたおばちゃんたちですが、「店開けてるだけで損しちゃう」と言われてしまいます。

 その話を耳にした智子は、商店街のおばちゃんたちに「子育て支援を頼めないか」と提案。岡本たちと共に直談判しに行くと、おばちゃんたちは“子ども食堂”ならやってもいいと快諾。ちなみに子ども食堂とは、行き場のない子どもや、貧困家庭の子どもに無料、もしくは安価で食事を提供する場所のこと。

 早速、決議案を通すための準備に取り掛かる岡本。しかし、新人の決議が通る可能性は低い上、岡本が所属する“市長派”は全市議の半分以下。しかも、実現までにはかなりの時間がかかりそう。これを受け、せっかちな智子は「私、子ども食堂、始めるから!」と宣言。岡本を尻目に1人でどんどん進めていきます。

■政治の「必殺技」とは!?

 最初は智子も店番を手伝い、うまく回っていた子ども食堂ですが、智子が本会議などで忙しくなると人出不足により店がパンク。訪れた親から罵声が飛び交い、厨房のおじちゃんはフライパンを振りすぎて腱鞘炎が再発してしまいます。

 見かねた岡本は、智子に「あなたのやってることは、子どもの文化祭と同じなんですよ! 祭で終わらせたら、意味ないだろ!」と激怒。智子は、藤堂(高橋)に言われた「急がば回れ」という言葉を思い出し、シュンとしてしまいます。

 そんなとき、藤堂が智子に「必殺技があるでしょ」と意味深なアドバイス。その必殺技が何かは不明なまま、本会議での岡本の演説シーンへ。岡本が「商店街の活性化について、執行部に強く要望します!」と熱弁を振るうと、なぜか市長派と敵対する“犬崎派”議員を含む全議員から拍手喝采が。あっさり議決です。

 ここで、智子が犬崎(古田新太)に「お願いします」と頭を下げる回想シーンが。犬崎は、智子に「俺を利用するってことだぞ」「それがどういうことかわかるよな。ひとつ貸しだぞ、いいな」と告げます。え? これが「必殺技」? この“貸し”が次回今後の展開に繋がるんでしょうけど、こんなことで解決しちゃって腰抜け……。それとも、政治の世界のあるあるなんでしょうか?

 で、詳しいことはわかりませんが、それなりの予算や人材が確保できたようで、子ども食堂は復活。藤堂は智子に「お見事でした。敵対する2人に協力をさせたんですから」と言葉を投げかけ、第4話は終了です。

■え……、終わり?

 時間の都合からか、後半が足早すぎて、決議案の内容やらなんやらあまりわからなかったのですが、雰囲気から察するに“いい感じ”でまとまったみたいです、はい。

 それに、子ども食堂を託児所代わりに利用しようとしていた毒親たちの姿も見られず、なぜか客の民度も上がっているような。よかったですね。で、結局、今回言いたかったことは、「頭下げると決議案が通る」ってことで、よろしいでしょうか? 違ったらすみません。

 しかし、第2話の演説シーン(関連記事)のような、カッコかわいい智子が毎回見られると期待していたのに、どうやらそうではなさそう。筆者はあの智子の一匹狼感に「政治版『ドクターX』だ!」と興奮したものですが、しばらくは政治の世界に馴染もうとする姿が描かれそうです。

 そんなことより今回、“真の主役”こと一生のエロシーンがなーーーい! 馴染みのデリヘル嬢に政治家であることがバレる展開はあったものの、視聴者が楽しみにしているペロンチョシーンがないじゃないか! これまで毎回あったのに、服着てるなんて、なんていうことだ!

 この撮影中、一生は角膜炎を患っていたとのウワサもあるので、そのせいでしょうか? フジテレビさん、次回もペロペロシーンがないなら、無駄な期待をさせないように、先に「ない」と言ってください!

 というわけで、途中までは丁寧に描かれていたものの、後半が雑だった第4話。視聴者の心がますます離れてしまったのでは? と心配です!
(文=どらまっ子TAMOちゃん)

『シン・ゴジラ』の裏で14.5%の『陸王』リトグリの「Jupiter」は、うるさい? 効果的?

 エーブリデーアイリッスントゥーマイハー♪

 というわけで、毎度クライマックスに大音量で流れ出すLittle Glee Monsterの「Jupiter」にもだいぶ慣れてきた日曜劇場『陸王』(TBS系)は第4話。視聴率は14.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と安定水準です。しかも、裏ではテレビ朝日が『シン・ゴジラ』のテレビ初放送をぶつけてきてましたので、なおさら『陸王』の強さが際立ちます。

 というわけで、今回も振り返りです。

前回までのレビューはこちらから

 マラソン足袋のソールとして、前代未聞の最適素材「シルクール」の開発に成功した「こはぜ屋」の宮沢社長(役所広司)は、超ゴキゲン。開発チームを飲み会に集め「陸王を世界一のシューズにする」と夢を語ります。当然、みんなも大賛成。まずは、シューズを作るきっかけを与えてくれたダイワ食品の実業団ランナー・茂木くん(竹内涼真)に陸王を履いてもらうことを目標に掲げます。

 今回はそんな茂木くんが、陸王に足を入れてくれるまでのお話。

「半腱様筋の損傷」という、ランナーとしては致命的な故障を抱えている茂木くん。一流メーカー「アトランティス」とのサポート契約も打ち切られ、意気消沈しています。

 なんとか故障を克服し、チームドクターから“完治”のお墨付きをもらった茂木くんでしたが、アトランティスに「治ったらサポート再開」の約束を反故にされてしまいます。いわく「半腱様筋の損傷からトップランナーに復帰した例は、過去に0人」だからだそうです。所属する実業団から「若いうちに陸上部を辞めとけ」と迫られていたこともあって、心を痛めるばかりです。

 ある意味で、そんな茂木くん以上に心を痛めていたのが、アトランティスの社員シューフィッター・村野さん(市川右團次)でした。選手のことを第一に考え、長距離界では“カリスマ”とも呼ばれるほど選手たちの信頼も厚い村野さんは、「必ずアトランティスで茂木のシューズを作ってやる」と約束していたのです。しかし、しょせんは大企業の一社員ですので、上司・小原(ピエール瀧)の「サポート打ち切り」の指示に逆らうことはできません。そこで、信念の男・村野さんは、アトランティスを辞めることにしました。

 無職となったカリスマは、「大企業はもういい」と言います。そして、夢を語る宮沢社長にほだされ、こはぜ屋とアドバイザリー契約を結ぶことに。こはぜ屋にとっては、これ以上ない強力な味方となります。

 

■仕事は「人」であるという作品哲学の象徴

 

 宮沢社長は、何度もダイワ食品陸上部を訪れ、監督・城戸(音尾琢真)や茂木くん本人に「陸王を履いてくれ」「足型を採らせてくれ」とお願いしてきましたが、なしのつぶてでした。しかし、ここで村野さんの“村野力”が爆発。茂木くんの足型なんてとっくに持っていますし、宮沢社長と一緒に陸王の茂木モデルを抱えてダイワに乗りこめば、監督も顔パスでグラウンドに通すしかありません。茂木くんも茂木くんで、村野さんが持ってきたシューズなら履いてみたくなっちゃう。

 この作品で再三語られてきたのは、仕事とは「人」であるという哲学です。

 シューズメーカーの経営者として、宮沢社長は何も持っていません。資金もないし、ノウハウもないし、技術も実績も経験ない。あるのは夢と情熱だけ。その夢と情熱が、まずは縫製のエキスパートである足袋屋のおばちゃんたちを動かし、シルクレイの特許を持っていた飯山(寺尾聰)を動かし、カリスマシューフィッターも動かす。銀行員・坂本(風間俊介)は、次から次へとキーパーソンを呼び寄せる。みんながみんな、損得抜きで宮沢社長の力になろうと駆けずり回る。

 プロジェクトを前に進めるのは、いつだって宮沢社長以外の人物が持っている「ノウハウと技術と実績と経験」です。宮沢社長が、ものすごい顔面で夢を語ると、みんなが「ノウハウと技術と実績と経験」によって物事を解決していく。それは「人」を見つめ、「人」を大切に思う宮沢社長の性根のよさによるものでもありますが、そんなに都合よくみんながみんな足りないパーツを持ち寄って奇跡を起こすことなんてあるんかいな、と斜めに見てしまいそうになる。

 毎回、後半になって「そんな都合のいいことあるんかいなー」と思い始めたタイミングで、リトグリちゃんが大音量で歌い上げるわけですよ。

 エーブリデーアイリッスントゥーマイハー、ひとりじゃぁなぁーいー♪

 ここまでバッチリと歌詞を聞かせる劇伴には、当初から賛否があったようです。

 深いぃー胸の奥でぇえー、つながってぇるぅー♪

 補強してるな、と感じるんです。歌詞を聞かせることで、物語の哲学を補強してる。歌声によって、私たちの雑念(?)を、力ずくでねじ伏せようとするのが、このリトグリちゃんの歌に任された役割なのでしょう。だからこそ、物語にすんなり感動できている視聴者に対しては、うるさく感じられてしまうのかもしれません。

 

■“怖い人たち”が怖すぎた件について

 

 このドラマで、原作以上に怖い人として登場しているのが、アトランティスの小原と、ダイワの城戸監督です。特に城戸監督のエキセントリックともいえる激情芝居は、ちょっと過剰なんじゃないのかと思っていました。

 今回、この城戸監督の怖さが、村野がこはぜ屋を伴って現れたときに、非常に効果的に作用したと思いました。あんなにめっちゃ怖い城戸監督がすんなり道を開けてしまう、敬意を表してしまうほど、村野という人間の陸上界における実績が偉大なのだ、という意図が、より明確に伝わってきました。

 もうひとつ、陸王を履いて記録会に参加し、最後は脚がつって倒れてしまったものの快走を見せた茂木くんに対し「サポートを取り戻せ」と部下に命じた小原。常に会社の利益優先、効率優先な“悪役”として登場していましたが、選手の走りを見る能力は本物であることが示されました。これも、小原を悪役一辺倒に描いてきただけにギャップが利いて人物像が一気に広がったように思います。

 このへんは原作には描きこまれていない演出の妙で、上手いよなぁと素直に感じ入るところです。

 それと、第2話で城戸監督が茂木くんに「お前は終わりだ! ──ミッドフット着地を身につけなければ」と倒置で言ったり、今回、茂木くんが記録会の後、宮沢社長に「この靴のせいです。──走っていて、こんなに気持ちのいいシューズは初めてです」と倒置で言ったりするところは、原作には描きこまれていない脚本の妙で、上手いよなぁと素直に感じ入るところでした。

 あと、宮沢社長が息子・大地(山崎賢人)に「茂木選手のファンなんだべ?」と尋ねたシーンがありましたが、私は埼玉北部の出身なので、この「だべ?」には素直に感じ入りました。

 まだ4話で、ずいぶん原作を消化しているので後半のダレが心配ではありますが、次回以降も楽しみたいと思います。はい。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

D・フジオカ&武井咲演じる主人公が「全く好きになれない……」『脅迫します』5.9%自己最低!

 ディーン・フジオカ演じる“脅迫屋”と、武井咲演じるお人よし大学生によるドタバタヒューマンコメディ『今からあなたを脅迫します』(日本テレビ系)。12日放送の第4話の平均視聴率は5.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、自己最低を記録してしまいました。あららら。

 今をときめくおディーン様の民放初主演ドラマにもかかわらず、なんだかパッとしない同作。その原因を探りつつ、今週もあらすじを振り返ります。

※前回のレビューはこちら
http://www.cyzo.com/2017/11/post_141960.html

■ストーリーはなかなか重いが……

 冒頭から「今から君を脅迫する」と、ウクライナ人の金髪美女を脅迫している千川(ディーン)が登場。しかし、「昼夜を問わず、大声で泣き喚く、排泄物を撒き散らしては、注意されるとヒステリーを起こして噛み付く」「君のご主人様は、この状況を嘆いている」と、よく聞いてみると美女の腕に抱かれているパグに対して脅迫しているのでした……。

 そんな極寒の掴みギャグの後は、7年前に交通事故で亡くした両親の墓参りをする澪(武井)のシーンへ。そこへ、中学校の教師だった澪の母・七海(石田ひかり)の教え子だという國枝(森田甘路)が。当時、荒れていた自分におはぎを食べさせ、将来につながるアドバイスをくれた七海に恩義を感じているという國枝ですが、澪に「あいつは罪も償わずに、のうのうと……」「本当に悪い奴は、別にいる」と意味深な言葉を残します。

 澪の両親をはねた犯人・大西はすでに逮捕され、刑期を終えているものの、國枝の言葉が引っかかる澪。そんなとき、澪の元へ「國枝との関係について聞きたい」と警察がやってきます。なにやら昨晩、7年前の事故で同乗していた添島(前田公輝)という男を、國枝が襲おうとしたのだとか。

 両親の事故との関連を疑う澪は、栃乙女(島崎遥香)に添島の調査を依頼。すると、出所後の大西が、添島の父親が経営する商社で役員にまで上り詰めていることが判明。大西は、添島の身代わりになった可能性が高そうです。

 早速、添島を呼び出し、「自首してください」と詰め寄る澪。すると添島は、1カ月前に起こした別の事故のことだと勘違い。添島が飲酒運転で事故を起こしたのは、1度きりではなさそうです。

 反省の色を見せない添島に怒りを覚えたのか否か、本格的に動き出す千川。暴力団組長の不破(小沢仁志)に“掃除屋”(事件や事故の後処理をする裏稼業)を紹介してもらい、添島のことを調査。すると、添島が1カ月前の事故を、掃除屋に500万円で頼んで揉み消していたことが発覚。証拠も手に入れます。

 その後、添島、國枝、澪が千川のアジトに集合。椅子にくくりつけた添島を、千川や國枝がを殺そうとしますが、澪は「正しいことをして、優しい人でいて」という七海の教えを思い出し、「この人が死んでも、両親は生き返ってくれません!」とこれを制止。結局、千川に「自首しろ。さもなくば、死んで償え」と脅迫された添島は自首、國枝も出頭し、一件落着です。

■主人公についていけない

 澪の両親を殺した犯人との直接対決とあり、もっと盛り上がってもいいものですが、なんでしょう……この、イマイチな感じ……。

 いや、栃乙女役のぱるるや、目黒役の三宅弘城の演技なんか、初回から安定感抜群なんですよ。それに今回は、前田の“極悪演技”もよかったですし、森田演じる國枝の「よくも七海先生の命をー!」という、薄気味悪いほどの恩人への執着ぶりなんかも存在感があってよかったんです。

 しかし、主人公の2人がなんとも微妙な……。千川の魅力はいまだによくわからないし、澪は不思議ちゃんキャラだからか、両親殺しの真犯人を前にしても涙のひとつも見せやしない……。なのに、千川はやたらオヤジギャグをぶっこんでくるし、澪は悩んだら大量のおはぎをこさえてくる。「私たち、愛されキャラですよ~。ウケるでしょ~」と押し付けてくる2人を、どうしても好きになれないんですよ……。

 ああ、最終回までにこの2人を好きになりたい……。そんな悲しい気持ちになった第4話でした。
(文=どらまっ子TAMOちゃん)

櫻井翔・校長、3年生切り捨て改革で嵐を巻き起こす! 『先に生まれただけの僕』第4話

 人気アイドルグループ・嵐の櫻井翔が私立高校の校長役を演じるドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)の第4話が4日に放送され、平均視聴率7.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から2.8ポイント下げという結果になってしまいました。

 その前回、英語教師・島津智一(瀬戸康史)のアクティブ・ラーニング(課題を与えて生徒たちの間で相談させ問題を解かせる教育法)を取り入れた授業に感動した鳴海涼介(櫻井翔)は、他の授業にも採用することを決意。島津に講師を頼み、他の教師たちを集めて勉強会を開きます。そして、これまでとは違う授業ができそうだとテンションが上がった鳴海は、全校生徒を集め「授業を面白くする!」と高らかに宣言するのです。

 生徒たちが能動的に参加するスタイルの授業は反響を呼び、鳴海は手応えをつかみます。しかし、改革を実施したのは1,2年生のみ。受験や就職を控えた3年生はこれまで通りの授業のため、不満の声が挙がってしまいます。そしてある日、代表者が校長室に押しかけ、「見捨てられた」「切り捨てられた」と怒りを爆発させるのです。

 そんな中、野球部の2年生が3年生にしごかれ、肋骨をケガしてしまう事件が発生。鳴海の改革が明らかに悪影響を及ぼし始めてしまっているのです。また、これまでの授業を暗に批判したような“授業を面白くする”発言に対して、アクティブ・ラーニング反対派の教師たちからここぞとばかりに批判の声が殺到してしまいます。

 先走った言動を反省した鳴海は、3年生だけを緊急招集。頭を下げて謝罪した上で、リアルな社会では理不尽なことだらけだと説き始めるのです。就職組にはその厳しい社会がすぐ目の前に迫っていること、進学組には学校を出てからが本当の勝負であることを、商社マンとして社会の荒波にもまれてきた経験から語るのです。そして、鳴海の魂のこもったロングスピーチに生徒たちが心を動かされ静まり返る中、今回は終了となりました。

 さて、感想。総合商社・樫松物産から京明館高等学校へ出向して以来、偏差値44から50へアップさせ人気校にすべく悪戦苦闘している鳴海ですが、改革に焦るあまり空気の読めない言動が目立ちました。今回のアクティブ・ラーニング導入に関しても、間違いなくこれまでの授業および教師たちを全否定するようなものですし、3年生たちが疎外感を抱いてしまうのも無理はありません。

 また、自分の誤りや失言を他人から指摘されなければ気づかないという鈍感さが、元エリート商社マンという設定をブレさせてしまっているようにも思えます。櫻井の演技力が決して高くないだけに、どこか頼りなさも感じてしまうのです。

 それだけに今回、新聞のラテ欄に「怒涛の10分超えロングスピーチ! 改革から取り残された三年生のみんなへ!」というコピーを見つけた時には不安を覚えました。櫻井の独演が10分以上も続くとなると、地獄絵図と化すのではないかと。ドラマの内容よりも櫻井ファンを喜ばせるためだけの演出を優先するように路線変更したのではないかと危惧してしまったのです。

 しかし、結論をいえば最後のロングスピーチは見応えがありました。鳴海が最初、「こんな(理不尽な)こと社会に出れば普通にあります」と語り始めた時には「逆ギレかよ!?」とツッコミそうになりましたが、確かに鳴海の言うことは正しいのです。世の中に出れば理屈の通らないことだらけ。けれど、現実の教育現場では実社会経験のない教師ばかりが多いため、鳴海の言う“普通”を知る人は少ないのではないでしょうか。

 また、たとえ民間企業で働いた経験があっても、鳴海のようにズバリと言える教師はどれぐらいいることでしょう。鳴海は今回、進学組の生徒たちに向かって、偏差値の低い高校から進学できる大学は「就職に有利といえる大学ではない」とまで言い放ってましたが、そんな発言ができる教師は決して多くはないでしょう。教科書に書いてあることを教えるのではなく、生徒たちよりも“たまたま先に生まれただけの僕”が経験したことを語る。そうすることで社会に通用する生徒を育てていくという鳴海の理念およびドラマのテーマが、これまでで一番現れた回となったように思えます。

 ただ、このままでは社会の現実を生徒たちに突きつけて怖がらせているだけにすぎません。進学組の生徒たちに向かって「人間力を鍛えろ」と諭していましたが、具体的には何をすればいいのか。それを示していかなければなりません。また、アクティブ・ラーニングだけで偏差値が上がるほど学校教育は単純なものなのかも疑問です。鳴海校長の前途はまだまだ多難ですが、前回から少しずつ見どころが増えてきただけに今後の展開に期待したいと思います。
(文=大羽鴨乃)

6.4%停滞の『刑事ゆがみ』に漂い出した“コレジャナイ”感……「本格」路線化の功罪とは

 9日に放送されたドラマ『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)の視聴率は6.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。各方面から絶賛の声が聞こえてきていますが、数字的には、だいたいここらへんで推移する感じでしょうか。このレビューでも初回から「面白い面白い」と書いてきました。今回も面白いっちゃ面白いんですが、ちょっと感触が違いました。

「連ドラはニコパチが重要」と、よくいわれます。2話、5話、8話で展開が訪れ、それが充実したものであれば良作ですよ、という話です。『刑事ゆがみ』も、今回が第5話。これまで完全な1話完結でつづられてきましたが、今回は、初回から登場している謎のハッカー少女・ヒズミ(山本美月)の過去が明かされ始めます。ちなみにこのヒズミ、原作コミックには登場しないドラマオリジナルキャラなので、この人物の処理がドラマの出来そのものを左右しそうです。

 では、まずはお話から軽く振り返りましょう。

前回までのレビューはこちらから

 7年前、弓神(浅野忠信)は「ロイコ事件」という殺人事件の捜査に関わっていました。ロイコ(=ロイコクロリディウム)というのは、カタツムリに寄生して宿主を支配し、思いのままに操ってしまうという寄生虫だそうです。

 かつて、そのロイコをモチーフにした小説があって、その小説に書かれていた通りの殺人事件が起きました。事件では夫婦が殺され、現場には被害者の血で描かれたカタツムリのイラストが残されていた。このイラストが、小説の表紙に描かれているものと同じだったのです。弓神らの捜査によると、事件の犯人は小説の作者らしい。どうやら、実際に事件を起こすことで話題を呼び、小説をたくさん売るのが目的だったようです。しかし、容疑が固まる前に作者は焼身自殺。真相は闇の中。

 その事件では、12歳になる夫婦の娘が生き残りました。しかし、現場を目撃してしまったために、少女はショックで記憶障害と失声症を患ってしまったそうです。

 弓神は今でも、焼身自殺をした作者が本当に犯人だったかどうか、疑っています。そして、なんらかの理由で、生き残った失語症の少女の面倒を見ています。その娘こそが、ヒズミなのでした。

 というのが、次回以降に続くオリジナルの部分。

 もうひとつ今回起こったのが、市議会議員の娘がさらわれた誘拐事件。この現場にもロイコのイラストがあったことから弓神たちも捜査に加わるわけですが、こっちはまあ、結論としては母親による狂言誘拐でした。夫に不倫されて悔しかったとか、そういう理由だそうです。そういう理由であることが、実に熱っぽく、迫力の演出でもって語られました。

 これまでこのレビューでは事件の真犯人を書いてきませんでしたが、今回は大した伏線がないので謎解きの快感は薄いですし、逆に犯人が母親であることがわかっていても、クライマックスに訪れる浅野忠信と板谷由夏の演技合戦は必見ですので、ぜひFODでご覧ください。

 

■スケール感が増した反面、“バディ”羽生の存在感が消えた

 

 今回、前回までと比べて、だいぶスケール感のある事件が語られました。情報量も格段に多いし、テレビのワイドショーまで巻き込んだ、いわゆる“劇場型”犯罪。本格的な刑事ドラマっぽさをビシビシ感じます。犯人からの脅迫電話を開口部の大きなリビングで受けたり、ヘンテコな変装をした刑事が「どっちにしろ刑事に見えねえ」と言われたり、小児誘拐映画の金字塔である黒澤明『天国と地獄』(1963)へのオマージュも抜かりありません。

 その反面、弓神の“バディ”である新人刑事・羽生くん(神木隆之介)の存在感が非常に希薄なものとなりました。

 私は、第2話(http://www.cyzo.com/2017/10/post_34983.html)、第3話(http://www.cyzo.com/2017/10/post_141162.html)のレビューにも書いた通り、このドラマは神木隆之介を愛でるために見ていると言っても過言ではないくらい羽生くんのキャラ付けが重要な要素だと思っていて、だからこそ今回は、とりわけ「感触が違う」と感じたのです。

 これまで、どの事件も羽生くんは「単に所轄で起こったから」以上のモチベーションで捜査に当たってきました。事件発生の段階で羽生くんの心が揺さぶられていたからこそ、右往左往しながら捜査を通して成長していく彼に共感を抱いてきたのです。

 今回は、「ロイコ事件」にしろ「狂言誘拐」にしろ、羽生くんに全然関係がない。「羽生くんこそ主人公」という見方をしてきた私からすると、すごく出来はいいけど、主人公のいない話だなぁ、という印象だったのです。無論、これまで通りゲスト犯人(今回は板谷由夏)に対しても主人公並みの掘り下げが行われていることは変わりないのですが、これまではゲストへの掘り下げに加えて羽生くんの成長があったので、分厚い作品として感じられてきたということです。

 

■初めてとなる男性脚本家の起用

 

 もうひとつ、このドラマの魅力として感じていたのが、女性犯罪者に対する描き込みの個性です。『刑事ゆがみ』はこれまで、すべての脚本を女性脚本家が手掛けてきました。

 第2話では「作家の当事者性が投影された作品」に見えると書きましたし、第4話(http://www.cyzo.com/2017/11/post_141861.html)では「彼女たちを、決して“被害者”や“弱者”として一面的に扱うことをしない」「『私たちは同情されるために登場したわけではない』という、悲劇を抱えた女性キャラクターたちの強い主張が感じられます」と書いています。

 しかし、今回の犯人である母親も、夫の不倫相手である秘書の女性も、わりと一面的に自分勝手で、欲望に忠実で、「女って怖いな」みたいなステレオタイプに見えました。結果、すべてを自白した時に犯人の女は「許しを乞う側」になり、夫は「妻を許す側」になっている。こうした結末のニュアンスは、これまでの『刑事ゆがみ』には見られなかった、おそらくは注意深く取り除かれてきた視点ではなかったかと思うんです。

 第5話で脚本を担当したのは池上純哉さん。男性です。1時間弱の中に、この華やかな誘拐劇と次回以降への伏線を手際よく詰め込んだ手腕は経験豊富なベテラン脚本家ならではだと思いますし、そもそも作品に対して「作り手が男だから」「女だから」みたいな物言いを付けるのもフェアじゃないんですが、「なんか今回、女性心理の描き込みが浅いなー」と思いながら見ていて、最後のクレジットで池上さんの名前が出てきて少し腑に落ちたので、正直にそれは記しておきます。

 具体的なことを言うと、第4話で私は「彼女たちが守るべきものをドラマの中でしっかりと定め、それを彼女たちが能動的に守ろうとしたがために、事件が起こる」とも書いているんですが、今回の母親にとって「守るべきもの」ってなんだったんだろうという話なんです。家族だ、夫婦生活だ、子どものためだ、みたいな話になっていましたが、その考え方が自分勝手すぎやしないかと。

 先に「狂言誘拐」と書きましたが、今回の事件、母親の狂言ではあっても、娘への誘拐は実際に行われている。娘が電話口で「パパー! パパー!」と悲痛な叫び声を上げているシーンもある。

 弓神に自白を迫られた母親は「そんなことするわけない、そんなことしたら、娘との関係が……」とか言って否認するんですが、関係とかそういう問題じゃないだろと。後に解放されるとしても、娘の中に「誘拐された」という体験は傷となって残るだろと。絶望的な恐怖を伴って残るだろと。そこに想像力が及ばないなら、「あなたは何を守ろうとしてたの?」と思ってしまうんです。無事に帰ってきて元気だったからいいようなものの。

 というか、うーん、女性心理の描き方とか、そういうことでもないかな。なんというか、ヒズミは犯罪被害によるPTSDによって記憶障害と失語症になっているわけで、ひとつのドラマの中で、犯罪被害に遭った小児に対して「こっちは深刻なPTSD被害」「こっちは大丈夫」というダブルスタンダードが発生していることが気持ち悪かったのかもしれません。

 と、いろいろ書いてきましたが、あのー、面白いのでみんな見たほうがいいです、という感じは変わらないです。はい。また次回。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

11.9%安定の綾野剛主演TBS『コウノドリ』は「ダメ夫を成敗する水戸黄門」か

 周産期医療センター(出産の前後を通して、産科と新生児科で連携した医療体制のとれる病院)を舞台に、医師や助産婦、妊婦やその家族との悲喜こもごもと、生命の誕生の素晴らしさや厳しさを描く医療ヒューマンドラマ『コウノドリ』(TBS系)。

 中盤にさしかかる第4話の視聴率は13.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と自己最高を記録。さっそく振り返ってみたい。

 

■新人にスポットが

 

 このシリーズから、新人研修医としてペルソナ総合医療センターの産科に加わっている赤西吾郎(宮沢氷魚)。産科での研修も終盤に差し掛かる中で、今ひとつ身の入らない仕事ぶりを続けていたが、安易な判断で患者の妊婦を危険にさらすミスを犯してしてしまう。

 それを先輩の産科医・四宮(星野源)に咎められるも、反省するどころか「いいんじゃないですかね? ま、何もなかったんだし(笑)」とヘラヘラする始末。それは直属の先輩医師である下屋(松岡茉優)にビンタされてしまうほどだ。

 産婦人科病院の二世でもある赤西に対し、四宮は「これだからジュニアは使えない」と皮肉を込める。人材不足で忙しい職場において平然と定時に仕事を切り上げては、またしても下屋をイラつかせる毎日。新規加入したものの、初回から今ひとつ見せ場のなかった赤西にようやくスポットが?

 

■陣痛に耐えたら愛情が湧く?

 

 今回の患者は、2人目の出産を間もなくに控えた秋野蓮(安めぐみ)。まだ幼い長女につらく当たってしまう自分が嫌で、今回は帝王切開ではなく自然分娩で産みたいと考えている。

「陣痛を味わって産道を通して産んだ方が、この子(お腹の子)に愛情が湧くんじゃないか」「痛みから逃げた、楽して産んだから、上の子の子育てもうまくいってないんじゃ?」という理屈らしい。

 このように、過去に帝王切開を経験したことある妊婦が、お腹を切らずに経膣分娩(自然分娩)に挑戦することをトーラック(TOLAC)といい、原作コミックによるとアメリカでは保険会社が医療費を抑えるために広めたらしいが、この「お腹を痛めて産んでこそ子どもに愛情を持てる」という根拠のない根性論は、耐えることを美徳とする日本人の心情に合っているのか、確かにもっともらしく、よく語られている気がする。

 主治医の鴻鳥(綾野剛)によると、トーラックにはもちろんリスクがあり、

・かつての帝王切開時の傷が裂ける子宮破裂の可能性があり、その場合、子どもの後遺症や母子の命に関わる場合もある。(確率は5/1000)

・トーラック成功率は7割、危なかったら途中から緊急帝王切開に切り替える。

 ……と伝えられるも、「産道を通した方が、子どもに対する愛情が違うんですよね?」と蓮の決意は固い。

 助産師の小松(吉田羊)は、その理屈を「思い込み」だという一方で、「それでもお腹を痛めて産みたいって思うものなの」と理解を示す。

 蓮はことあるごとに、夫の壮太(前野朋哉)に相談するのだが、仕事の忙しさにかまけて今ひとつ……ふたつほど親身になってくれない。このドラマでお馴染み「とにかく旦那がわかってない」案件である。

「ま、俺はなんでもいいよ」「好きな方法でいいんじゃないかな」「ごめん風呂入ってくる」と、今回も見事に女性の側をイラつかせる。陣痛が始まった蓮を病院に送った時も、出産する時間は何時か? と、まるで映画の上映時間かなんかのように尋ね、それまで同僚と屋形船で飲み会をしようとしていたほどの傑物だ。

 長女の育児に関しても、たいして育児に関わってなさそうな壮太は他人事のように「もっと余裕を持って接してあげたら?」と言い放ち、当事者である蓮と「朝バタバタしてるのに、そんな余裕なんてもてないよ!」とぶつかってしまう。残念ながら日本の育児でありがちな対立なのかもしれないが、こういうこともあって蓮は藁にもすがる思いでトーラックに挑みたいようだ。

 

■今回の「鴻鳥 vs 四宮」

 

「妊婦の希望に沿ってあげましょう」という鴻鳥に対し、「お前のその優しさのせいで、妊婦はもちろん、俺たちも余計なリスクを背負わされるんだ」「夜間に子宮破裂が起きたらもっと危険だ」と反発する四宮。

 前回の放送ではBLに発展しそうなほど見つめ合い、理解し合う様子を見せていたのに、また周囲が気まずくなるほどの衝突。というか、主にけしかけてるのは四宮で、もめ出すのも四宮なら、最後に態度を軟化させ我々をキュンとさせてくれるのも四宮だ。今回も、もはや主役といっていいほど見せ場のほとんどを四宮が生み出しており、おそらくキャラクター人気投票をしたら主役を差し置いて1位になってしまうであろう美味しい立ち位置。従来なら星野と綾野は逆のキャスティングの方がイメージ通りのはずだが、あえて外したところが功を奏しているように見える。

 鴻鳥も「僕らの仕事は妊婦にトーラックをやめさせることじゃないよ」「忙しくて余裕がないから妊婦の希望に添えないなんて、根本が間違ってるんじゃないかな」と物腰こそやわらかいが、譲らない。荒れた空気を読んで、上司として人員不足を詫びることで場を収めようとする今橋医師(大森南朋)が健気だ。

 2人がいない場所で「(鴻鳥)サクラと四宮、あの2人、仲いいんだか悪いんだかわからないですよね!」と後輩の下屋が愚痴るが、ごもっとも。

 しかし、小松いわく「でも考えてることは一緒なんだよ、最終的には妊婦さんのこと、そして家族のことを誰よりも考えている」らしい。実際その通りなのだろうが、原作では、直前に小松が、揉める2人を「そういうの余所でやってくんない? (食事の)味がわかんなくなるんだよ」と一喝していた。ドラマではそこが描かれていないので、単に安易に2人の関係性を言葉だけで説明してしまっているように見えたのが残念だ。

 

■トーラックは成功しなかったが……

 

 結局、トーラックを実施し自然分娩に挑むが、出産は難航し、それでも蓮は頑なに帝王切開を拒否する。しかし、長女の泣きながらの「ママ、がんばってる(だからもういいじゃん)」という一言で自身の考えを改め、途中から帝王切開に切り替え、無事出産。子どもにもっと愛情を持てるのでは? という想いから始めたトーラックだが、その想いは違う形で成就されたようだ。余談だが「安めぐみ」って、これ以上ないくらいの安産ネームだ。

 赤西は「なんで危険を冒してまで自然分娩にこだわるのか? 帝王切開すればいいのに」と何の気なしに四宮に語るが、「まだ切らなくていいものを、なんで急いで切る必要がある? そんなの優しさでもなんでもない。それで産まれて、お前はお母さんに(妊婦)におめでとうって言えるのか?」とやり返されてしまう。

 ん?? 結局トーラックをすることに理解を示しているのか? ライバル鴻鳥のしていることを新人にわかったように言われたくなかったようだが、本当にややこしい性格だ。

 だが、赤西は四宮に背中を押されて陣痛で苦しむ出産現場を訪れ、結果的に帝王切開手術に初の「前立ち」と呼ばれる第一助手として参加。出産直後、メインで執刀した下屋を差し置き「おめでとうございます! 本当におめでとうございます!」と蓮に興奮気味に声をかけ、下屋に引かれる。産科研修の最後にして、ようやく何かを掴んだ様子だが、またしてもキーマンは四宮だ。

 しかも四宮が赤西を「ジュニア」と呼んで執拗に小馬鹿にしていたのは、自分も実は産科医の息子で、かつてそう呼ばれていたことに由来しているらしく、四宮なりの非常にわかりにくいエールのようだ。目立ちすぎだぞ四宮。

 

■もう一組のゲスト夫妻

 

 肺に疾患があり、鼻から挿管されている子どもを新生児集中治療室(NICU)に預けている青木夫妻(木下優樹菜・パーマ大佐)。しかし連絡もなく2人でのんきに旅行に行き、その他人事具合を新生児科医の白川(坂口健太郎)に注意されてしまう。

「もう家族なんです。夫婦で楽しむことはもちろん大事ですが、これからは家族で楽しむことも考えてみてください」非常に短い出番だったためか、怒られるためだけにやってきたかのようなゲスト人選だと勘ぐってしまう。

 

■四宮の恋?

 

 何話かにわたり四宮と旧知の様子で接していたシングルマザーの倉橋恵美(松本若菜)。子どもをペルソナのNICUに預けているが、四宮とは医師と患者以上の関係がありそうで、それを勘ぐる白川が一人で勝手にドタバタとコメディーしていたのだが、その正体が明らかに。なんのことはない倉橋は研修医時代に四宮や鴻鳥らの下にいた後輩の産科医で、これにより数週に渡る白川の勘繰りはあっけなく終了。

 とはいえ、それでも四宮と倉橋には先輩後輩以上の感情があるようにも見え、だとしたら原作コミックにはない色恋沙汰な展開だ。

 倉橋は別れた夫に出産したことも告げずに復職を模索しているが、なかなか先が見えず行き詰まっている模様で、職を持つ女性の産休、復職問題も、このドラマでよく描かれるテーマとなっている。

 

■ダメな夫が成敗される水戸黄門

 

 あからさまに出産をナメていた蓮の夫・壮太だが、苦しむ妻や尽力する医師らを目の当たりにして自分の浅はかさを知る。

「まさか、こんなに大変だとは思いませんでした。女性は命がけで出産に立ち向かっているんですね」

「先生たちも大変ですね、僕たち夫婦のわがままを聞いてくれて本当にありがとうございます」

「バカなことを言ってすみませんでした」

 と、黄門様に悪代官が懲らしめられたかのような絵に描いた撃沈ぶりで、今回は特に勧善懲悪感が目立った。夫がわかりやすく謝罪する場面は原作になかったので、ドラマ化において、どの辺をターゲットにしているのかが見て取れる。ネットでの評判を見ても、物語そのものよりもダメな夫に対するいらだちの共感と自身の出産経験を思い出しての感動がメインのようで、やはりそこを意識して作られているのだろう。

 そのためか、感情移入のメイン媒体となるゲスト妊婦(母親)は、今まで実力派の女優が多かったのだが、今回は実力派というよりママタレありきのキャスティングだったため評判がいまいちなようで、ダメな夫役以上に引き受ける女優は大変そうだ。

 しかし本物の新生児を使う撮影は毎度リアルだし、デリケートな部分に気をつけつつ情報量の多い内容をうまくまとめあげているので、このまま人気シリーズとして安定しそう。

 個人的に今回一番気になったのは、帝王切開の最中に、メインの助手を初めて務める新人・赤西が、意識ある妊婦の目の前で何度も何度も叱られていたところ。素人バレバレの新人が何度も怒られながら自分の手術に関わってる状況って、単純に地獄だろうなって思いました。
(文=柿田太郎)

11.9%安定の綾野剛主演TBS『コウノドリ』は「ダメ夫を成敗する水戸黄門」か

 周産期医療センター(出産の前後を通して、産科と新生児科で連携した医療体制のとれる病院)を舞台に、医師や助産婦、妊婦やその家族との悲喜こもごもと、生命の誕生の素晴らしさや厳しさを描く医療ヒューマンドラマ『コウノドリ』(TBS系)。

 中盤にさしかかる第4話の視聴率は13.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と自己最高を記録。さっそく振り返ってみたい。

 

■新人にスポットが

 

 このシリーズから、新人研修医としてペルソナ総合医療センターの産科に加わっている赤西吾郎(宮沢氷魚)。産科での研修も終盤に差し掛かる中で、今ひとつ身の入らない仕事ぶりを続けていたが、安易な判断で患者の妊婦を危険にさらすミスを犯してしてしまう。

 それを先輩の産科医・四宮(星野源)に咎められるも、反省するどころか「いいんじゃないですかね? ま、何もなかったんだし(笑)」とヘラヘラする始末。それは直属の先輩医師である下屋(松岡茉優)にビンタされてしまうほどだ。

 産婦人科病院の二世でもある赤西に対し、四宮は「これだからジュニアは使えない」と皮肉を込める。人材不足で忙しい職場において平然と定時に仕事を切り上げては、またしても下屋をイラつかせる毎日。新規加入したものの、初回から今ひとつ見せ場のなかった赤西にようやくスポットが?

 

■陣痛に耐えたら愛情が湧く?

 

 今回の患者は、2人目の出産を間もなくに控えた秋野蓮(安めぐみ)。まだ幼い長女につらく当たってしまう自分が嫌で、今回は帝王切開ではなく自然分娩で産みたいと考えている。

「陣痛を味わって産道を通して産んだ方が、この子(お腹の子)に愛情が湧くんじゃないか」「痛みから逃げた、楽して産んだから、上の子の子育てもうまくいってないんじゃ?」という理屈らしい。

 このように、過去に帝王切開を経験したことある妊婦が、お腹を切らずに経膣分娩(自然分娩)に挑戦することをトーラック(TOLAC)といい、原作コミックによるとアメリカでは保険会社が医療費を抑えるために広めたらしいが、この「お腹を痛めて産んでこそ子どもに愛情を持てる」という根拠のない根性論は、耐えることを美徳とする日本人の心情に合っているのか、確かにもっともらしく、よく語られている気がする。

 主治医の鴻鳥(綾野剛)によると、トーラックにはもちろんリスクがあり、

・かつての帝王切開時の傷が裂ける子宮破裂の可能性があり、その場合、子どもの後遺症や母子の命に関わる場合もある。(確率は5/1000)

・トーラック成功率は7割、危なかったら途中から緊急帝王切開に切り替える。

 ……と伝えられるも、「産道を通した方が、子どもに対する愛情が違うんですよね?」と蓮の決意は固い。

 助産師の小松(吉田羊)は、その理屈を「思い込み」だという一方で、「それでもお腹を痛めて産みたいって思うものなの」と理解を示す。

 蓮はことあるごとに、夫の壮太(前野朋哉)に相談するのだが、仕事の忙しさにかまけて今ひとつ……ふたつほど親身になってくれない。このドラマでお馴染み「とにかく旦那がわかってない」案件である。

「ま、俺はなんでもいいよ」「好きな方法でいいんじゃないかな」「ごめん風呂入ってくる」と、今回も見事に女性の側をイラつかせる。陣痛が始まった蓮を病院に送った時も、出産する時間は何時か? と、まるで映画の上映時間かなんかのように尋ね、それまで同僚と屋形船で飲み会をしようとしていたほどの傑物だ。

 長女の育児に関しても、たいして育児に関わってなさそうな壮太は他人事のように「もっと余裕を持って接してあげたら?」と言い放ち、当事者である蓮と「朝バタバタしてるのに、そんな余裕なんてもてないよ!」とぶつかってしまう。残念ながら日本の育児でありがちな対立なのかもしれないが、こういうこともあって蓮は藁にもすがる思いでトーラックに挑みたいようだ。

 

■今回の「鴻鳥 vs 四宮」

 

「妊婦の希望に沿ってあげましょう」という鴻鳥に対し、「お前のその優しさのせいで、妊婦はもちろん、俺たちも余計なリスクを背負わされるんだ」「夜間に子宮破裂が起きたらもっと危険だ」と反発する四宮。

 前回の放送ではBLに発展しそうなほど見つめ合い、理解し合う様子を見せていたのに、また周囲が気まずくなるほどの衝突。というか、主にけしかけてるのは四宮で、もめ出すのも四宮なら、最後に態度を軟化させ我々をキュンとさせてくれるのも四宮だ。今回も、もはや主役といっていいほど見せ場のほとんどを四宮が生み出しており、おそらくキャラクター人気投票をしたら主役を差し置いて1位になってしまうであろう美味しい立ち位置。従来なら星野と綾野は逆のキャスティングの方がイメージ通りのはずだが、あえて外したところが功を奏しているように見える。

 鴻鳥も「僕らの仕事は妊婦にトーラックをやめさせることじゃないよ」「忙しくて余裕がないから妊婦の希望に添えないなんて、根本が間違ってるんじゃないかな」と物腰こそやわらかいが、譲らない。荒れた空気を読んで、上司として人員不足を詫びることで場を収めようとする今橋医師(大森南朋)が健気だ。

 2人がいない場所で「(鴻鳥)サクラと四宮、あの2人、仲いいんだか悪いんだかわからないですよね!」と後輩の下屋が愚痴るが、ごもっとも。

 しかし、小松いわく「でも考えてることは一緒なんだよ、最終的には妊婦さんのこと、そして家族のことを誰よりも考えている」らしい。実際その通りなのだろうが、原作では、直前に小松が、揉める2人を「そういうの余所でやってくんない? (食事の)味がわかんなくなるんだよ」と一喝していた。ドラマではそこが描かれていないので、単に安易に2人の関係性を言葉だけで説明してしまっているように見えたのが残念だ。

 

■トーラックは成功しなかったが……

 

 結局、トーラックを実施し自然分娩に挑むが、出産は難航し、それでも蓮は頑なに帝王切開を拒否する。しかし、長女の泣きながらの「ママ、がんばってる(だからもういいじゃん)」という一言で自身の考えを改め、途中から帝王切開に切り替え、無事出産。子どもにもっと愛情を持てるのでは? という想いから始めたトーラックだが、その想いは違う形で成就されたようだ。余談だが「安めぐみ」って、これ以上ないくらいの安産ネームだ。

 赤西は「なんで危険を冒してまで自然分娩にこだわるのか? 帝王切開すればいいのに」と何の気なしに四宮に語るが、「まだ切らなくていいものを、なんで急いで切る必要がある? そんなの優しさでもなんでもない。それで産まれて、お前はお母さんに(妊婦)におめでとうって言えるのか?」とやり返されてしまう。

 ん?? 結局トーラックをすることに理解を示しているのか? ライバル鴻鳥のしていることを新人にわかったように言われたくなかったようだが、本当にややこしい性格だ。

 だが、赤西は四宮に背中を押されて陣痛で苦しむ出産現場を訪れ、結果的に帝王切開手術に初の「前立ち」と呼ばれる第一助手として参加。出産直後、メインで執刀した下屋を差し置き「おめでとうございます! 本当におめでとうございます!」と蓮に興奮気味に声をかけ、下屋に引かれる。産科研修の最後にして、ようやく何かを掴んだ様子だが、またしてもキーマンは四宮だ。

 しかも四宮が赤西を「ジュニア」と呼んで執拗に小馬鹿にしていたのは、自分も実は産科医の息子で、かつてそう呼ばれていたことに由来しているらしく、四宮なりの非常にわかりにくいエールのようだ。目立ちすぎだぞ四宮。

 

■もう一組のゲスト夫妻

 

 肺に疾患があり、鼻から挿管されている子どもを新生児集中治療室(NICU)に預けている青木夫妻(木下優樹菜・パーマ大佐)。しかし連絡もなく2人でのんきに旅行に行き、その他人事具合を新生児科医の白川(坂口健太郎)に注意されてしまう。

「もう家族なんです。夫婦で楽しむことはもちろん大事ですが、これからは家族で楽しむことも考えてみてください」非常に短い出番だったためか、怒られるためだけにやってきたかのようなゲスト人選だと勘ぐってしまう。

 

■四宮の恋?

 

 何話かにわたり四宮と旧知の様子で接していたシングルマザーの倉橋恵美(松本若菜)。子どもをペルソナのNICUに預けているが、四宮とは医師と患者以上の関係がありそうで、それを勘ぐる白川が一人で勝手にドタバタとコメディーしていたのだが、その正体が明らかに。なんのことはない倉橋は研修医時代に四宮や鴻鳥らの下にいた後輩の産科医で、これにより数週に渡る白川の勘繰りはあっけなく終了。

 とはいえ、それでも四宮と倉橋には先輩後輩以上の感情があるようにも見え、だとしたら原作コミックにはない色恋沙汰な展開だ。

 倉橋は別れた夫に出産したことも告げずに復職を模索しているが、なかなか先が見えず行き詰まっている模様で、職を持つ女性の産休、復職問題も、このドラマでよく描かれるテーマとなっている。

 

■ダメな夫が成敗される水戸黄門

 

 あからさまに出産をナメていた蓮の夫・壮太だが、苦しむ妻や尽力する医師らを目の当たりにして自分の浅はかさを知る。

「まさか、こんなに大変だとは思いませんでした。女性は命がけで出産に立ち向かっているんですね」

「先生たちも大変ですね、僕たち夫婦のわがままを聞いてくれて本当にありがとうございます」

「バカなことを言ってすみませんでした」

 と、黄門様に悪代官が懲らしめられたかのような絵に描いた撃沈ぶりで、今回は特に勧善懲悪感が目立った。夫がわかりやすく謝罪する場面は原作になかったので、ドラマ化において、どの辺をターゲットにしているのかが見て取れる。ネットでの評判を見ても、物語そのものよりもダメな夫に対するいらだちの共感と自身の出産経験を思い出しての感動がメインのようで、やはりそこを意識して作られているのだろう。

 そのためか、感情移入のメイン媒体となるゲスト妊婦(母親)は、今まで実力派の女優が多かったのだが、今回は実力派というよりママタレありきのキャスティングだったため評判がいまいちなようで、ダメな夫役以上に引き受ける女優は大変そうだ。

 しかし本物の新生児を使う撮影は毎度リアルだし、デリケートな部分に気をつけつつ情報量の多い内容をうまくまとめあげているので、このまま人気シリーズとして安定しそう。

 個人的に今回一番気になったのは、帝王切開の最中に、メインの助手を初めて務める新人・赤西が、意識ある妊婦の目の前で何度も何度も叱られていたところ。素人バレバレの新人が何度も怒られながら自分の手術に関わってる状況って、単純に地獄だろうなって思いました。
(文=柿田太郎)

大門未知子が後輩医師をドS調教!? 『ドクターX ~外科医・大門未知子』第4話

 米倉涼子がフリーランスの天才外科医を演じる大ヒットドラマ『ドクターX ~外科医・大門未知子』(テレビ朝日系)第5期の第4話が2日に放送され、平均視聴率19.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.1ポイント増となりました。

 さて、今回は手術シーンからスタート。“三度の飯よりオペが好き”と公言する未知子はハードに仕事をこなすのですが、助手を務める森本光(田中圭)は技術的に劣り、足手まといになってしまいます。

 また、西山直之(永山絢斗)ら“ゆとり世代”の若手医師たちからの突き上げもあり、森本はストレスを抱え込んでしまうのです。その姿を見かねた先輩外科医・原守(鈴木浩介)に誘われ、気分転換に婚活パーティーに参加。そこで運命の女性・内神田四織(仲里依紗)に出会い、結婚へ向けトントン拍子で話が進みます。

 そんなある日、四織が勤務中の森本を訪れ、人気の結婚式場を予約することができたと報告。喜ぶ森本ですが、帰り際に四織が倒れてしまいます。すぐに検査したところ、四織は余命3カ月の重篤な肝臓がんを患っていることが発覚。さらに、四織が日本医師倶楽部の会長・内神田景信(草刈正雄)の娘、つまり超VIPであることが明らかになり、医局内は騒然となってしまうのです。

 オペ失敗は絶対に許されないと、病院長・蛭間重勝(西田敏行)は万全の布陣でオペに臨むことを計画。しかし、四織が執刀医に指名したのは、婚約者であり名医だと思い込んでいる森本だったのです。自分の手に負えない困難な手術が回ってきたことに森本は恐れおののき、未知子に助手を頼むのですが、未知子は「いたしません」の一点張り。教授連中が土下座しても首を縦には振らないのです。

 しかしオペ当日、未知子は手術室に現れ、助手に入ることを承諾。森本は安堵しつつ肝臓にある腫瘍の摘出を始めるのですが、肝臓の20%を残さなければいけないギリギリの切除が求められる困難なオペに途中でギブアップ。未知子に助けを求めるも頑なに拒否されてしまったため、インオペ(手術中止)を決意するのです。

 四織を救えなかったことに落胆する森本ですが、その数日後、未知子が四織の再手術をしていると聞きつけ、慌てて手術室に駆け込みます。実は未知子、前回のオペの際、腫瘍を切除して小さくなった肝臓が自己再生するような処置をこっそり施していたのです。それが功を奏し、手術は無事に成功となりました。

 その後、四織は実は“内神田”という姓を利用して医師たちを騙す結婚詐欺師だったことが発覚。重鎮の娘を助けて株を上げようとした蛭間がその事実を知り、内神田景信の目の前で驚嘆、森本がショックを受けて泣く、というオチがついたところで終了となりました。

 今回は森本にスポットライトが当たる回となりました。森本といえば第1期に新米外科医として登場。天才的なオペ技術を誇る未知子に憧れを抱き海外留学を決意したものの、留学は失敗に終わったようで相変わらず外科医としての腕は半人前。第1話から先輩医師だけでなく若手医師たちにもバカにされるようなシーンがちょくちょく挿入されていました。

 しかし、ダメなりにも一生懸命頑張る森本のことを、未知子は未知子なりに密かに気にかけていたのではないでしょうか。今回、最初のオペ中に未知子が森本の助けを拒否した際、外野の教授たちからは“未知子なりの教育”という意見が飛び交いました。獅子の子落としではないですが、困難な局面から逃げてばかりでは森本の成長には繋がらないというわけです。

 2回目のオペについては、森本が執刀医を代わると申し出た際、未知子が「あんたはこの前やったでしょ。次は私の番」と言ったため、結局自分がオペをやりたかっただけなんだと、他の教授たちが呆れ返るシーンがありました。どこか子どもじみたところがある未知子なだけに、最後の最後は自分がオペをしたいという気持ちは確かにあったのかもしれません。けれど、昔気質の職人の師弟関係ではないですが、“背中を見て覚えろ”という意味合いもあったのではないかと思うのです。普段は定時きっかりに帰る未知子ですが、今回は珍しく残業して四織のレントゲンと睨めっこするシーンがあったことからも、森本を気にかけている様子が伝わってきました。

 第2話での新人医師・伊東亮治(野村周平)に対してもそうでしたが、今シーズンの未知子は後輩たちに対して姉御肌な部分を発揮しているシーンが垣間見られます。優しい言葉など一切かけず、その指導方法はドS気味ではありますが、他人のことは我関せずだった未知子も後輩育成が考えられるほど丸くなってきたということかもしれません。

 さて、次回は最先端のAI診断システムがテーマということですが、未知子と若手医師たちとの絡みも含めて面白い展開を期待したいと思います。
(文=大羽鴨乃)