過去最高17.5%! TBS『陸王』好調と相反する“物語の停滞、引き伸ばし”がストレスに……

 日曜劇場『陸王』(TBS系)も第8話。視聴率は17.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と過去最高を記録。2話を残してラストスパートといったところでしょうか。

 今回は、クライマックスのキーマン・御園社長役に大抜擢された松岡修造に大注目でしたが、ずいぶんと引き延ばされたなーという印象でした。というわけで、とりあえず振り返りましょう。

前回までのレビューはこちらから

 奇跡のソール素材・シルクレイの製造機がぶっ壊れたことで、こはぜ屋・宮沢社長(役所広司)が進めてきた新マラソンシューズ「陸王」の開発は完全に行き詰まりました。新たに製造機を作るには1億円の設備投資が必要ですが、そんな融資をしてくれる銀行はひとつもありません。

 そんな折、銀行からベンチャーキャピタルに転職した坂本ちゃん(風間俊介)が、こはぜ屋への買収話を持ってきました。坂本ちゃんといえば、「チーム陸王」の一員としてさまざま尽力してきてくれた人物。そもそも、こはぜ屋に新規事業を提案したのも、シルクレイを見つけてきてくれたのも坂本ちゃんです。坂本ちゃんの存在なくしては、この物語は始まってすらいないのです。『陸王』の中で、坂本ちゃんこそ「神の使い」「大いなる導き手」として、ここまで描かれてきました。

 だからこそ、買収話が持ち込まれたときに、坂本ちゃんを「冗談じゃない!」「必要ない!」と面罵する宮沢社長が、なんだかひどくみっともない人物に見えてしまった。「今回ばかりは坂本ちゃん見損なったよ」と社員に向かって吐き捨てる宮沢社長を、今回ばかりは見損なってしまいました。

 まあ『陸王』というドラマは、そもそもそういう設計なんです。宮沢社長は誰かにそそのかされてお熱を上げ、物事が思い通りに進まなければ酒を飲んで家族や取引先に当たり散らし、誰かが手を貸してくれなければ何も解決できないのに、解決できたら、まるで自分の手柄みたいにニッコニコになる。人と人とのつながりが仕事を成功に導く、といえば耳触りはいいもんですが、要するに他力本願、我田引水の神風主義。そういう男なんです。と、ここまで楽しんできたドラマの主人公を貶めたくなるほど、みっともなかったんですよねえ、坂本ちゃんに対する宮沢社長の態度って。

 

■駅伝大会出場の意味も見出せず

 

 とりあえずなんの解決案もないまま陸王への未練に溺れ、うじうじしている宮沢社長。「行田市民駅伝大会」などにうつつを抜かしているうちに心変わりし、買収を持ちかけてきた世界的スポーツメーカー・Felixの御園社長と会ってみることにしました。今回、ほぼ大半の時間を使って、この心変わりまでが描かれます。実に白々しく、間延びした展開です。

 そうして宮沢社長がうじうじしている間に、実害が出始めます。陸王のサポート契約が消滅した茂木くん(竹内涼真)は大事なレースにミズノの市販品で挑まざるを得ず、一度、陸王によって矯正したフォームが崩れ、大惨敗。一度は見捨てられた大手メーカー・アトランティスから再度サポートの打診を受けますが、意固地になって拒否したりしています。

 一度はみんなの心を動かした宮沢社長の情熱、その「陸王」という夢に縛られて、今度はみんなが不幸になろうとしている。役所広司の芝居が達者すぎることもあって、本当にフラストレーションのたまる回でした。池井戸ドラマといえば、毎回訪れる爽快感こそが魅力なんですが、今回は爽快感ゼロ。リトグリちゃんの「Jupiter」も鳴りません。制作側からしても、ゴリ押ししたい感動ポイントがなかったということです。

 

■満を持して、松岡修造です

 

 なんのかんので、ようやくFelix御園と会うことにした宮沢社長。満を持して、松岡修造の登場です。大物が来るぞ、という重々しいBGMとともに、会議室に御園が入ってきます。

 まず、風格! デカいし、顔が美しくて、目が強い。さすが、混じりっけなしの超絶ボンボンでありながら、テニスという実力社会に飛び込んで結果を残してきただけのことはあります。存在感として、役所広司にまるで引けを取りません。

 そして、演技もわりと自然! 「先じちゅは坂本さんを通して~」とか「御社の技じゅちゅ力です」とか、「つ」の発音が多少アレなことに目をつぶれば、実に堂々とした役者ぶりでした。よくよく考えてみれば、ドラマ初出演とはいえCMではさんざんお芝居してますし、なんかあの“熱血キャラ”だって芝居といえば芝居だろうし、これくらい出来て当たり前なんでしょうけど、この大詰めで松岡さんを持ってきたのはナイスキャスティングだったと思います。

 その御園社長、買収しても、こはぜ屋の名前は残していいといいます。足袋屋も続けていいし、宮沢が社長を続けてもいい。壊れちゃったシルクレイ製造機の新規調達に、3億円の資金を用意する。Felixのマーケティング力をもってすれば、これまで以上に「こはぜ屋」ブランドを広めていくこともできる。まあ、だいたい坂本ちゃんが最初に宮沢社長に相談に来たときに話していたことと同じです。

「宮沢社長、一緒にやりましょう」

 そう言って握手を求める御園の手を、あっさり握り返す宮沢社長。なんなんだよ、って感じですが、まあようやく、2話にわたって停滞していた話が進みましたので、よかったです。

 宮沢社長が帰った後、「あと一押しだな」と言ってニヤリと笑う松岡修造も、実に怪しげで素敵でした。

 あと2話、いよいよ宮沢社長のことが全然信用できなくなってしまったのと、なんだかんだでここまでで一番盛り上がったのが、話の筋に全然関係ない“平瀬(和田正人)の引退レース”だったことが心配ではありますが、あの異様な盛り上がりを超えることができるのかどうか、見守りたいと思います。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

過去最高17.5%! TBS『陸王』好調と相反する“物語の停滞、引き伸ばし”がストレスに……

 日曜劇場『陸王』(TBS系)も第8話。視聴率は17.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と過去最高を記録。2話を残してラストスパートといったところでしょうか。

 今回は、クライマックスのキーマン・御園社長役に大抜擢された松岡修造に大注目でしたが、ずいぶんと引き延ばされたなーという印象でした。というわけで、とりあえず振り返りましょう。

前回までのレビューはこちらから

 奇跡のソール素材・シルクレイの製造機がぶっ壊れたことで、こはぜ屋・宮沢社長(役所広司)が進めてきた新マラソンシューズ「陸王」の開発は完全に行き詰まりました。新たに製造機を作るには1億円の設備投資が必要ですが、そんな融資をしてくれる銀行はひとつもありません。

 そんな折、銀行からベンチャーキャピタルに転職した坂本ちゃん(風間俊介)が、こはぜ屋への買収話を持ってきました。坂本ちゃんといえば、「チーム陸王」の一員としてさまざま尽力してきてくれた人物。そもそも、こはぜ屋に新規事業を提案したのも、シルクレイを見つけてきてくれたのも坂本ちゃんです。坂本ちゃんの存在なくしては、この物語は始まってすらいないのです。『陸王』の中で、坂本ちゃんこそ「神の使い」「大いなる導き手」として、ここまで描かれてきました。

 だからこそ、買収話が持ち込まれたときに、坂本ちゃんを「冗談じゃない!」「必要ない!」と面罵する宮沢社長が、なんだかひどくみっともない人物に見えてしまった。「今回ばかりは坂本ちゃん見損なったよ」と社員に向かって吐き捨てる宮沢社長を、今回ばかりは見損なってしまいました。

 まあ『陸王』というドラマは、そもそもそういう設計なんです。宮沢社長は誰かにそそのかされてお熱を上げ、物事が思い通りに進まなければ酒を飲んで家族や取引先に当たり散らし、誰かが手を貸してくれなければ何も解決できないのに、解決できたら、まるで自分の手柄みたいにニッコニコになる。人と人とのつながりが仕事を成功に導く、といえば耳触りはいいもんですが、要するに他力本願、我田引水の神風主義。そういう男なんです。と、ここまで楽しんできたドラマの主人公を貶めたくなるほど、みっともなかったんですよねえ、坂本ちゃんに対する宮沢社長の態度って。

 

■駅伝大会出場の意味も見出せず

 

 とりあえずなんの解決案もないまま陸王への未練に溺れ、うじうじしている宮沢社長。「行田市民駅伝大会」などにうつつを抜かしているうちに心変わりし、買収を持ちかけてきた世界的スポーツメーカー・Felixの御園社長と会ってみることにしました。今回、ほぼ大半の時間を使って、この心変わりまでが描かれます。実に白々しく、間延びした展開です。

 そうして宮沢社長がうじうじしている間に、実害が出始めます。陸王のサポート契約が消滅した茂木くん(竹内涼真)は大事なレースにミズノの市販品で挑まざるを得ず、一度、陸王によって矯正したフォームが崩れ、大惨敗。一度は見捨てられた大手メーカー・アトランティスから再度サポートの打診を受けますが、意固地になって拒否したりしています。

 一度はみんなの心を動かした宮沢社長の情熱、その「陸王」という夢に縛られて、今度はみんなが不幸になろうとしている。役所広司の芝居が達者すぎることもあって、本当にフラストレーションのたまる回でした。池井戸ドラマといえば、毎回訪れる爽快感こそが魅力なんですが、今回は爽快感ゼロ。リトグリちゃんの「Jupiter」も鳴りません。制作側からしても、ゴリ押ししたい感動ポイントがなかったということです。

 

■満を持して、松岡修造です

 

 なんのかんので、ようやくFelix御園と会うことにした宮沢社長。満を持して、松岡修造の登場です。大物が来るぞ、という重々しいBGMとともに、会議室に御園が入ってきます。

 まず、風格! デカいし、顔が美しくて、目が強い。さすが、混じりっけなしの超絶ボンボンでありながら、テニスという実力社会に飛び込んで結果を残してきただけのことはあります。存在感として、役所広司にまるで引けを取りません。

 そして、演技もわりと自然! 「先じちゅは坂本さんを通して~」とか「御社の技じゅちゅ力です」とか、「つ」の発音が多少アレなことに目をつぶれば、実に堂々とした役者ぶりでした。よくよく考えてみれば、ドラマ初出演とはいえCMではさんざんお芝居してますし、なんかあの“熱血キャラ”だって芝居といえば芝居だろうし、これくらい出来て当たり前なんでしょうけど、この大詰めで松岡さんを持ってきたのはナイスキャスティングだったと思います。

 その御園社長、買収しても、こはぜ屋の名前は残していいといいます。足袋屋も続けていいし、宮沢が社長を続けてもいい。壊れちゃったシルクレイ製造機の新規調達に、3億円の資金を用意する。Felixのマーケティング力をもってすれば、これまで以上に「こはぜ屋」ブランドを広めていくこともできる。まあ、だいたい坂本ちゃんが最初に宮沢社長に相談に来たときに話していたことと同じです。

「宮沢社長、一緒にやりましょう」

 そう言って握手を求める御園の手を、あっさり握り返す宮沢社長。なんなんだよ、って感じですが、まあようやく、2話にわたって停滞していた話が進みましたので、よかったです。

 宮沢社長が帰った後、「あと一押しだな」と言ってニヤリと笑う松岡修造も、実に怪しげで素敵でした。

 あと2話、いよいよ宮沢社長のことが全然信用できなくなってしまったのと、なんだかんだでここまでで一番盛り上がったのが、話の筋に全然関係ない“平瀬(和田正人)の引退レース”だったことが心配ではありますが、あの異様な盛り上がりを超えることができるのかどうか、見守りたいと思います。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

櫻井翔・校長が「出しゃばりすぎ」!? 『先に生まれただけの僕』モンスター・ペアレンツのクレームを見事に解決!

 嵐・櫻井翔が私立高校の校長役を演じるドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)の第8話が2日に放送され、平均視聴率8.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.2ポイントアップとなりました。

 前回、真柴ちひろ(蒼井優)が担当する特進クラス・2年3組の生徒の結婚騒動に頭を悩ませた鳴海涼介(櫻井翔)ですが、今回もちひろのクラスの生徒に問題が浮上。大和田達也(伊能佑之介)の成績が著しく低下し、進級時に普通進学クラスに移らざるを得ない状況に陥っていることを学校の責任だとして、達也の父・和宏(升毅)が抗議してきたのです。

 いわゆるモンスター・ペアレンツの登場に戦々恐々とする鳴海ですが、達也に詳しい事情を聞いてみたところ、学校に非がないことがわかります。プロ棋士を目指しているという達也は、塾をサボり将棋教室に通っていることを白状。さらに、「すべての時間を将棋に使いたい」とのことで、大学進学はおろか高校中退も辞さないと言い出すのですが、これには当然、達也の両親は大反対し、達也に進学を勧めるよう鳴海に手助けを求めるのです。

 両親の立場に立てば、鳴海も進学を勧めるのがベストだと考えます。プロ棋士になれるのは毎年4人あまりと極端に狭き門だからです。しかしその一方、関東大会で優勝した経験があり、頑張ればプロになれる素質がある達也を応援したい気持ちもあります。また、日本将棋連盟の奨励会に21歳までに加入できなければプロ棋士にはなれないという年齢制限があるため、達也が学業を捨ててでも将棋に打ち込みたいという気持ちもわかるのです。

 悩んだ結果、鳴海は達也にひとつの提案を出します。21歳までは全力で将棋に打ち込み、結果が出なかった場合はきっぱり夢を諦め、そこから大学進学を目指すこと。同級生たちには遅れをとってしまうけれど、ギャンブル的な生き方をするのではなくセーフティ・ネットは張るべきだと諭すのです。また、最低でも高校は卒業するよう約束させ、達也の両親も納得したところで終了となりました。

 さて感想。前回の結婚騒動に関しては結論が曖昧でモヤモヤ感がありましたが、今回はすっきり解決したように感じました。夢を追う生徒を応援したい気持ちと、誰しもが努力をすれば夢を叶えられるわけではないという現実的な観点、両親の立場を考慮すれば、ベストかどうかはさておきひとつの落としどころではあったと思います。

 また、21歳までに奨励会に加入できなければプロにはなれないという将棋界の独特のルールに対して“厳しい”ではなく“優しい”と、まだやり直しの利く年齢で夢を諦めさせる親切なルールだという鳴海流の解釈は、商社マンとしてリアルな社会生活を送ってきた経験があるからこそ言えるものだと感じました。

“生徒と真正面から向き合う”という理念を実行し、今やすっかり教育現場に染まった鳴海ですが、不安な点もあります。それは、残り2話で学校経営の立て直しが達成できるのかどうかということです。前回同様、今回も生徒個人の相談役に回ってしまい、経営改善のための業務にほとんど着手できていませんでした。というよりもむしろ、経営を悪化させてしまいかねない行動を起こしていました。

 前回、1年3組の担任・市村薫(木南晴夏)から相談を持ちかけられた、授業中に生徒がスマホで情報検索をしてもいいのか否か、ということに関しては今回、来年度からタブレットPCを用いるという解決策を発表。また、部活動に力を入れるべく専属コーチを続々と雇い始めていましたが、まだ何の経営実績も上げていないのに支出ばかりが増え、この先の赤字垂れ流しが思いやられます。今回、最初にちひろから達也の相談を受けた際、副校長の柏木文夫(風間杜夫)に「校長は出しゃばりすぎなの」とたしなめられていましたが、まさにその通り。いかにして経営を立て直すかを優先して考えるべきだと思います。

 仕事に邁進する一方、プライベートではフィアンセの松原聡子(多部未華子)を放ったらかし状態の鳴海。まだ婚約指輪を渡しておらず、それを聞いたちひろがニンマリする場面がありましたが、前々回あたりから描かれ始めたこの安っぽい三角関係も、このままいくと中途半端な展開で終わってしまいそう。また、そもそも取ってつけたような展開なだけに、描く必要性も感じられません。

 しかし次回の予告では、鳴海が聡子へのプロポーズの方法を相談して、ちひろの嫉妬心をかき立ててしまうシーンがあるため、まだまだこの関係性は引っ張るようです。ただ、職員会議で来年度の入学試験のことが議題に上がり、受験生獲得に向けて本格的に計画を練り始めるようなので、鳴海校長のビジネスマンとしての真価発揮に期待したいところです。
(文=大場鴨乃)

父親がシャブ逮捕の浅野忠信『刑事ゆがみ』最終回直前で“マズイ雰囲気”に……?

 息子が稼いだカネで喰うシャブは旨ぇか!?

 というわけで、“パリピおじさん(記事参照)”こと所属事務所社長の父親が覚せい剤で逮捕されてしまった浅野忠信の主演ドラマ『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)は第9話。せめて放送が終わってからにしてよ……と、関係者全員が思っていることでしょう。逮捕報道後の浅野さんの気丈な振る舞いには、頭が下がる思いです。

 ともあれ、低視聴率ながら好評を集めている同作も、最終回直前まできました。今回は、ドラマで初となる「非1話完結」、次回へ続くとなりました。いよいよクライマックスです。さっそく振り返ってまいりましょう。ちなみに視聴率は6.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。もう数字は話題にしなくてもいいね。

前回までのレビューはこちらから

 今回の殺人事件の被害者は、元医師で資産家の独居老人・薮田先生(渡辺哲)。熱湯風呂に入れられ、身体中をズタズタに切りつけられた痛ましい姿で、二階堂ふみ(豪華ゲスト!)演じる家政婦の春菜に発見されます。現場には「積年の恨み ここに晴らす」とのメモが。

 近所の人の話では、薮田先生には晴男くん(鹿間康秀)という1人息子がいましたが、医大入試に立て続けに失敗したことで7年前に失踪。すでに失踪宣告が出され、“認定死亡”となっています。

 

■7年前といえば、覚えていますか「ロイコ事件」

 

 7年前といえば、第5話(記事参照)で語られた「ロイコ事件」のあったころです。当時、弓神(浅野)が担当したこの事件では、ある夫妻が『ロイコ』という小説になぞらえる形で惨殺され、その小説の作者・横島(オダギリジョー)が容疑者として浮上したものの、焼身自殺。事件は闇に葬られていました。

 その横島の、未完の遺作となった小説が『聖なる夜空にサンタが舞う』。弓神の上司である係長・菅能ちゃん(稲森いずみ)によれば、同著は「家を飛び出した息子が親に復讐する」というストーリー。殺害方法やメモ書きの内容まで薮田先生が殺された事件と一致しており、失踪したはずの晴男くんが容疑者として浮上します。さらに、真野恵里菜(=豪華ゲスト2!)演じる美人鑑識官がメモ書きを調べると、そこには晴男くんの指紋が。いよいよ晴男くんに疑いの目が向けられます。

 しかし、この事件の捜査に、どうにもやる気がなさそうなのが弓神です。羽生くんにサボりを注意され「マジで首切られますよ」とたしなめられると「それもいいかもなぁ」と上の空になってみたり、ロイコ事件の生き残りである夫妻の娘・ヒズミ(山本美月)に「2人で南の島でも行くか」と提案してみたり、もう警察の仕事も辞めちゃいたい感じ。どうしたんでしょう。

 弓神は、晴男くんより第一発見者の春奈が怪しいと言います。それを受けて、羽生くん(神木隆之介)が春奈を取り調べることに。しかし春奈は、先生の家から絵画やら1万円札やらをくすねていたことは認めましたが、殺害については否認します。「だって私、犯人を見ましたから」と。

 

■就職しちまったんですか、琥珀さん!

 

 映画『HiGH&LOW THE MOVIE』で大暴れしていた「琥珀さん」ことEXILE・AKIRA(=豪華ゲスト3!)は、どうやらタクシー運転手に就職したようです。メガネをかけて、真面目に働いています。正気に戻ったようでよかったです。で、この運転手とのシーンで、いよいよ弓神の怪しい行動に拍車がかかります。

 いつも春奈を先生宅まで乗せている運転手のドライブレコーダーにも、この犯人が映っているはずでした。しかし、映っているはずの部分だけ、弓神はスキを突いてドラレコから削除します。そこに映っていたのは、死んだはずの『ロイコ』作者・横島。そう、横島は生きていたのです。

 怪しい行動を重ねる弓神を羽生くんが尾行すると、なんと弓神は横島と密会していました。

 羽生くんは、上司の菅能ちゃんに「この事件とロイコ事件、関係あるんじゃ?」「横島は生きているんじゃ?」と迫ります。頑なにそれを否定する菅能ちゃんでしたが、横島の死亡報告書の作者が弓神であることを発見すると「ごめん、ありえるかも」と、関与の可能性を認めました。

 で、なんだかんだあって、横島に呼び出されたヒズミが意識不明の状態で病院に運び込まれ、その報せを受けた弓神が駆けつけると、ヒズミは声にならない声で(ロイコ事件を目撃したショックで失声症になってる)、弓神を指差し「ひとごろし……」。弓神は夜の町に姿を消すのでした。最終回へ続く。

 

■ちなみに、今回と次回の脚本はドラマオリジナルです

 

 ここまで、原作から舞台設定や人物配置を拝借しつつ、巧みにアレンジを加えながら時代性、当事者性を抱いた脚本を作ってきた『刑事ゆがみ』。結果、原作より強度が増した回も少なくありませんでしたが、今回と次回の最終回は、ほぼ完全にオリジナルとなります。

 第1話のレビュー(http://www.cyzo.com/2017/10/post_34885_entry.html)で、「いずれオリジナルで事件を構築するという、人物造形とはまるで違う脳みそを使わなければいけない段階も来ることでしょう。応援してますし、もしつまんなくなったら、それも正直に書かなきゃなーと思ってます」と書いたので正直に書きますが、第9話、けっこうマズイ雰囲気が漂ってきたかなーと思います。

 仕掛けの整合性を取ろうとするあまり、キャラクターの行動原理や捜査の技能レベルが乱れきってる。羽生くんがキレキレなのは「成長した」ってことでいいんですが、割を食ったのが菅能ちゃんで、真相に迫った羽生くんを否定し続ける場面なんて、稲森いずみがすごく無能な刑事に見えてしまっていた。弓神の突飛な行動の数々も、「次回に謎を残す」という役割はあっても、これまでの心理的な伏線がないので「意味がわからんよ……」以上の印象がない。今回、第5話とはつながっているけど、6~8話とは全然つながってない。さらにいえば、未完であるはずの『聖なる夜空にサンタが舞う』がハードカバーで出版されていたり、メモ書きに7年前の息子の指紋が残っていたりと、細部にも粗が目立ちました。それでも、各ショットの雰囲気と役者の芝居がいいので画面的に「もって」いるのが、逆にすごく優秀な作品でもあると思うんですけど。

 脚本的にいえば、そもそも初回から登場しているヒズミが「誰」なのか、そしてヒズミを生んだロイコ事件とは「何」なのかを解き明かすのがドラマ版の本筋であって、ロイコ事件を初出しした第5話と今回を担当した池上純哉さんが、実質的なメインライター(設計者)なのかもしれません。ただ、この作品の評価を高めてきたのって、おそらくは事件関係者個人(特に女性)への描き込みの深さとリアルさ、それと浅野&神木というバディのイチャコラ感だったと思うんですよね。そう考えると、倉光泰子さんをはじめとした女性脚本家たちが実力を発揮したことによって、本来の設計よりずっと魅力的な作品が出来上がってしまっていた、と理解したほうが正しいのかもしれません。

 いやいや、最終回を前に書く内容じゃないね。すみません。次回も楽しみです。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

星野源も坂口健太郎もいなくなる!?『コウノドリ』3シーズンへの布石と“ONE PIECE化”の期待

 周産期母子医療センター(出産の前後を通し、産科と新生児科で連携した医療体制のとれる病院)を舞台に、医師や妊婦の喜びと悲しみ、生命の誕生の素晴らしさや難しさを描く医療ヒューマンドラマ『コウノドリ』(TBS系)。

 白川が転機を迎える第8話は視聴率12.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と着実にアップ。前回の終盤、BABYのライブ会場に突如現れた四宮(星野源)の真意とは……?

 

■BABYの正体を知っていた!

 

「やっぱり四宮にはバレてたか、僕がBABYだってこと」

 ライブ後に訪れてきた四宮に、鴻鳥(綾野剛)がそう語る、いきなりの展開。

 しかし前シーズンでは重要なポイントであった「鴻鳥が人気ピアニストBABYである」という設定は、今回あまり意味を持たなくなってきており、特に影響もなく話は進む。

 今回、四宮が訪ねて来たのは、大学から早期胎盤剥離防止の研究に誘われており、それに専念すべきか? という相談のため。

 実はすでに研究を手伝っているのだが、鴻鳥はそれを知っていたようで、そのことに今度は四宮が驚く。しかしよくお互いを知っている2人だ。

 四宮は以前早期胎盤剥離の手術中に妊婦を亡くし、さらにその子どもも脳性まひになってしまった、つらい過去がある。もはや家族も面会に来ない、眠り続ける子どもに、毎夜本を読んであげるなど、責任を感じていた四宮だったが、結局その子も息を引き取ってしまった(前シリーズ・9話)。

 そんな四宮が早期胎盤剥離防止の研究に参加していることは、間近で苦悩する姿(治してあげたかったと自分を責めるように号泣)を見ていた鴻鳥にとって、なんの不思議もないのだろう。

 人手不足のペルソナ産科を離れることを躊躇する四宮に、鴻鳥は「関係ない。自分で選択するべきだ。自分の行くべき道を」と背中を押す。四宮も鴻鳥にそう言われたくて、わざわざ来たのかもしれない。

 そんな中、四宮の父親が倒れたとの連絡が。

 

■四宮の里帰り

 

 急遽、故郷の石川・能登へ飛んだ四宮だったが、そこで目にしたのは病を押して妊婦の診察をする父・晃志郎(塩見三省)の姿。四宮の父も産科医だ。

 しかもステージ4の肺がんなのに「仕事を続けながら治療をすればいい」と言い張り、すぐ治療に専念させたい四宮を突っぱねる。

「俺はこの街を、子どもが産めない街にはさせない」と産科医不足の街のために踏ん張りたい晃志郎に、「だったら、生きろよ!」と複雑な思いをぶつける四宮。食卓には輪島塗が並んでいる。

 結局「この街のお産を守ることが使命だと思っている。だから最後までやらせてくれ」という晃志郎の強い意志の前に「……勝手にすればいいよ」としか四宮が言えなかったのは、彼が息子であるのと同時に、現場に生きる同じ産科医だからなのだろう。能登の曇った空が、静かに葛藤する四宮の心情とよくマッチしていた。

 ちなみに「だったら生きろよ!」という台詞は、台本では「だったら治療しろよ」だったのが、星野の案で強い言葉したいと変更されたらしく(公式HPのインタビュー)、より血の通ったシーンとなっている。

 

■今週の鴻鳥と四宮

 

 ライブハウスで、なぜか結婚の話題となり、

「僕たちもいつかそんな日が来るかもしれないね(笑)」

「言っておくがスピーチだけはごめんだからな」

「安心して? 四宮には絶対頼まないから(笑)。その代わり余興でお嫁サンバを…」

「絶対やらないぞ!」

 という謎の乳繰り合いがあり、先週に引き続き、対立もなく異様な仲の良さを見せつけてくれた。

 また、四宮が「ピアノって魔法みたいだな」と呟き、慣れなさそうに鍵盤を一つだけ叩くその姿に「もっと弾いてえええ」と思ったファンの方も多いだろう。

 今放送中のドラマ『民衆の敵』(フジテレビ系)の中で、篠原涼子演じる市議がカラオケで「恋しさと切なさと心強さと」を選曲してるのに、邪魔が入って結局一言も歌えない(歌わない)というシーンのヤキモキさを思い出す。

 

■天狗と化した白川

 

 前回から、医師として力をつけるにつれ自信過剰になっている新生児科医・白川(坂口健太郎)問題。「上を目指す」ことに取り憑かれたような姿は、救命科に移った同期の下屋(松岡茉優)が「患者が助かれば十分」と患者本位であるのに対し、白川のそれは評価されることに酔った自分本位と言える。

 そんなある日、白川は産後間もない子どもを新生児遷延性肺高血圧症(肺に血液が流れにくくなり血流中の酸素が不足する病気)と診断、肺に一酸化窒素を流す治療を開始する。

 だが、親である風間夫妻(高橋努・芦名星)への説明に、自分の力を誇示する様子が。過剰な自信により自分の考えに固執するその姿に、同じような時期に天狗になりかけた経験のある鴻鳥や今橋(大森南朋)も不安を感じており、危なっかしい。

 その後、数日しても一向に治療の効果が見えないので、研修医の赤西(宮沢氷魚)が「本当に肺高血圧なんですかね?」と違和感を口にしたり、看護師の麻生(古畑星夏)も「今橋先生に相談した方が……」と持ちかけるも、白川は「その必要はない!」と聞く耳をもたない。

 しかしあくる日、レントゲンに写る子どもの肺が白くなる事態が発生。麻生が独断で呼んだ今橋の診断により、総肺静脈還流異常症という先天性の心臓病(肺静脈が本来行くべき左心室以外に流れてしまう)であることが発覚する。

 

■懐かしいあの人が!

 

「それって医療ミスですよね!?」

 間違った治療をされていたことに激昂する風間(夫)。

 動揺する白川に代わり、今橋がよその病院に搬送して緊急手術をする必要がある旨を伝える。

 だが、気まずさゆえ搬送車内の付き添いを他の医師に頼もうとする白川に、今度は今橋が声を荒らげる。

「責任を持って最後まで見届けなさい!」

「君は過ちを犯した。自分の実力を過信して赤ちゃんの命を危険にさらしたんだ。自分の過ちから逃げるんじゃない」

 重苦しい空気の搬送車で向った講談医大でも、引き継ぎの医師にそっけなく言われた言葉が白川に刺さる。

「あとはこちらでなんとかしますから、もう帰っていいですよ」

 帰り際、ベンチで手術終了を待つ不安げな風間夫妻の姿が目に入るが、白川は逃げるように迂回してしまう。

 そんなズタボロの白川に声をかけてきたのは、以前同じ新生児科で「鉄の女」と呼ばれていた先輩医師・新井(山口紗弥加)だった。

 新井もかつて、気負いすぎ視野が狭くなったあげく、つまずき打ちのめされ、燃え尽きてペルソナから消えてしまった過去がある(前シーズン・9話)。

 今は講談医大の小児科で働きつつ、NICU(新生児集中治療室)を卒業した子どもらを外来で診ているという新井は、現場から離れていた半年間「ペルソナにほっぽり出してきた赤ちゃんのこと」が頭から離れなかったとの苦い体験を語り、「そろそろ帰んなよ? 赤ちゃんたちがあんたのこと待ってるよ」と、かつての後輩の尻を叩く。

 おそらく今の白川に声をかけるのに、彼女ほどの適任はいないだろう。

 前シリーズ・9話でこんなことがあった。

 一人で抱え込み過ぎている新井に「休んでください」と声をかけた当時研修医の白川。だが、バーンアウト寸前の新井は「いいってば! 白川先生に任せられない!」と突っぱね、白川をむっとさせてしまう。

 2人は、2年前のあの日のことを思い出していたのだろうか。そして白川は、後輩に強く当たりちらす今の自分をどう思っただろうか。

 

■強化された「救い」

 

 少し驚いたのは、原作コミックでは新井との出会いが全くの偶然として描かれているのだが、ドラマでは鴻鳥がこっそり新井に連絡をしていて、白川に声をかけて欲しいと段取りをしていたという点だ。これはドラマ、原作、それぞれによさがあると思う。

 ドラマの「段取り」パターンでは、まず、あんな消え方をした新井と鴻鳥が今も連絡を取っていたんだ、という「救い」があるし、「みんな新井先生に会いたがってますよ」「私もみんなに会いたいな」という通話の内容から、双方が気にしており今後また会うかもしれないんだな、という「救い」も見て取れる(鴻鳥の言葉は気遣いの可能性もあるが)。

 そして、原作では確認できなかった結婚指輪らしきものが新井の左手に光っていたのも「救い」だ。もちろん段取りを仕掛けた鴻鳥は主人公として株が上がるし、出会いの整合性や辻褄的にも、こっちの方が説得力があるだろう。

 それに対し原作の「偶然」パターンは、ドライだ。

 その後の新井と誰も連絡を取っている様子はなかったし、新井が婚約者とどうなったのかもわからないままだ。今後もペルソナ一派と関わることはないのかもしれない。それがシビアな現実なのかもしれない。

 しかし、だからこそ、失意の白川と、かつて同じ失意の底にいた新井が、何の手筈もなく偶然出会い、会話する中で共に救われるという奇跡はこちらの方が強烈に輝く。

 頼まれて探し出し励ますのと、無視することもできたであろう、たまたま見かけた後輩に声をかけ、過去の自分と似た境遇なのを知って自発的に励ますのとでは、励ます側の振りかぶり方が違うはずだ。

 後日ペルソナで、白川が再度、風間夫妻に遭遇するシーン。

 ここも原作ではお互い気まずそうな会釈程度で厳しい現実を見せるのに対し、ドラマでは白川に「力及ばず申し訳ありませんでした」としっかり頭を下げさせ、風間妻も「白川先生、お世話になりました」とぎこちないながらも向き合って挨拶させるなどの「救い」をいれている(旦那は仏頂顔)。

 どちらがいいというわけではないが、原作は実際あるのであろう厳しさをしっかりと描き、ドラマは視聴者の後味が悪くならないよう強めに配慮をいれているのだろう。

 ちなみに新井が仕事から離れていた間によく行っていたと白川に語った温泉や魚釣りというのは、山口自身の本当の趣味だ。

 

■どんどんレギュラーがいなくなる?

 

 屋上にて、いつものように下屋に軽口をたたく白川だが、唐突にペルソナをやめる決意を告げる。

 患者に寄り添う気持ちをなくしていたと反省を口にし、「どんな小さな命にももっといい未来を届ける」ため、よその小児循環器科(おそらくペルソナにはない)で研修を受けたいと語る。

「上を目指す」のではなく「先を目指す」と語るその気持ちは、下屋が救命科に転科するのを志願した気持ちと同じだろう。

 研修先が決まるまではいるようだが、しかし今後白川が出ていき、下屋も転科していて、これで四宮までいなくなったら、ドラマ的にはだいぶ寂しくなってしまいそうなのだが、これはシーズン3でまた結集するための布石なのだろうか?

 ここまでメンバーが散り散りになると、何年か経ってそれぞれ新たな能力を手にいれた手練の医師たちが一堂に会す、再開後の『ONE PIECE』(集英社)のような展開を期待してしまう。

 今回のラスト、ペルソナに戻った四宮のもとに、晃志郎から「一日一生」という書が届けられる。四宮はどんな決断をするのか。再度、晃志郎が倒れる次週も見逃せない。
(文=柿田太郎)

綾瀬はるか『奥様は、取り扱い注意』“伏線回収”失敗か? モヤモヤ最終回に賛否

 主演の綾瀬はるかの魅力が爆発しているアクションホームコメディ『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)。6日放送の第10話(最終回・10分拡大)の平均視聴率は、前回から0.5ポイントアップの14.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。前回の煽り方が激しかったため、15%超えは必至と予想していましたが、自己2番目の高視聴率で終了しました。

 そういえば、主人公の夫役を好演中の西島秀俊が、家族スリーショットを初めてキャッチされた模様。発売中の「週刊女性」(主婦と生活社)には、2時間サスペンスの犯人のような微妙なファッションに身を包む西島の姿が掲載されております(これの2枚目)。

 さて、そんな西島演じる勇輝の正体やいかに? 最終回のあらすじを振り返ります。

※過去のレビューはこちら
http://www.cyzo.com/tag/奥様は、取り扱い注意

■全てが明らかに!

 ハッカーの小雪(西尾まり)から、夫・勇輝の正体が公安の人間だと知らされた元特殊工作員の菜美(綾瀬)。勇輝が帰る前に、自宅に仕掛けられた監視カメラを全て撤去。帰宅した勇輝が、食卓に置かれた監視カメラを見た次の瞬間、キッチンでキャベツを切っていた菜美は勇輝の顔に向かって包丁をヒューン! 勇輝はとっさに持っていたバッグでガード。おもむろに靴下を脱ぎ捨てた2人は、「あなたのこと信じてたのに」「騙してたのは君も同じだ」とリビングで激しいバトルを繰り広げます。

 すると、勇輝のパンチが菜美にヒット。これでエンジンがかかった菜美は、再び包丁を持ち出しますが、壁に追い詰められた拍子に夫婦写真が落下し、フレームがパリーン。試合終了です。

 2人は食卓につき、勇輝は全てを打ち明けることに。勇輝は、菜美が以前の戸籍を捨てる半年前から監視していたものの、普通のOLになった菜美の行動が理解できず、近づくために出会い系パーティーに潜入。しかし、一目惚れした勇輝は「見慣れてるはずの君と面と向かって目と目が合っただけで、俺はあっという間にイカれちまったんだ」と言います。任務を忘れ、イカれちまったそうです。

 また、菜美への監視は結婚後1年の予定だったものの、(第8話で)与党幹事長代理の三浦(冨家規政)を破滅させたために、公安にとって菜美はテロリストに準じる存在に。そこで、菜美がこれ以上、国内で怪しい動きをしないよう、勇輝は上司に掛け合ってドイツ行きを提案したんだとか。これに菜美は、「ありったけの力で喧嘩をして、仲直りがしたかった。それなのに、あなたは私の首に首輪をはめたいっていうの?」と不満げです。

 一方、売春斡旋組織のリーダー・横溝(玉山鉄二)にはめられた優里(広末涼子)は、売春を拒否。すると、見せしめとして横溝の手下にボコられ、入院してしまいます。

 優里から事情を聞いた菜美は、横溝の事務所から優里のセックス映像など全てのデータを奪いますが、この行動に勇輝は「どうして言うことを聞かないんだ」と困惑。菜美は「自分の妻が冷たい人間でもいいの?」「あなたのために、かっこいい私でいたいだけ」と言い放ちます。

■救うのはあくまでも“町内”!

 翌日、京子(本田翼)を誘拐し、菜美に「データを持って、倉庫へ来い」と告げる横溝。菜美が映画『理由なき反抗』のジェームズ・ディーンのような動きやすい服に着替え、家を出ようとすると、勇輝が現れ「君が家に帰ってきたとき俺の姿がなかったら、もう二度と会えないもんだと思ってくれ」と別れを示唆します。

 倉庫に着くやいなや、横溝の手下たちを相手していく菜美。2本の警棒をブンブン振り回したり、金的にかかと落としをくらわしたりと大暴れ。そして、10人倒した菜美は、笑顔で「うああああああ!! ぎもぢいい!」と絶叫。もう、全く普通の主婦じゃないです。

 横溝を追い詰めた菜美は、「私たちの町から手を引け」と凄み、交換条件で横溝を見逃すことに。菜美の何がすごいって、毎度、日本を平和にしているわけではなく、あくまでもこの町内を平和にしているところ。ドイツに移住するかもしれないってときに、この激しい“町内愛”はどこから湧き上がってくるのでしょうか。

 そんなこんなで、横溝の組織はこの町から手を引き、優里の家族愛も復活。渉(中尾明慶)も浮気相手と別れて京子の元へ戻り、平和が訪れます。

 ラストは、自宅の玄関で待ち構えていた勇輝が、菜美に「動くな」と銃口を突きつけ、菜美がニヤリ。「なんというスリル。やっぱりこの人を、愛してる」という菜美の心の声が流れた後、黒い画面に「パーン!」と発砲音が響き、終了です。

■伏線回収失敗か

 小栗旬主演『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』(テレビ朝日系)や『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(フジテレビ系)と同様に、“モヤモヤエンディング”を突きつけてきた原作・脚本の金城一紀氏ですが、筆者としては今作の終わり方は大満足。いい意味で嘘っぽい世界観がウリの同作においては、むしろ主要キャストが最後、暗転するまでみんなピンピンしているこの結末のほうが、血生臭さがなくキレイな終わり方だったと思います。それに、続編もありそうだし。

 また、かねてより類似点が指摘されてきた映画『Mr.&Mrs. スミス』ですが、やっぱり最後も『Mr.&Mrs. スミス』のオマージュ感は色濃かったですね。映画も早々に夫婦でドンパチやった後、お互いの正体が判明したことで、さらに愛が燃え上がっていましたし。

 決定的な違いといえば、家が無傷だったことでしょうか。『Mr.&Mrs. スミス』は夫婦喧嘩の末、半壊していましたが、勇輝は「全部気に入ってるんだよ!」と調度品に傷をつけることを嫌がりましたから。やはり、綾瀬と西島がイメージキャラクターを務めるパナソニックの高級家電だらけの家に配慮したのでしょうか?

 一点、ミソをつけるとすれば、第5話で優里が乳がんでなかったことがわかった際、「思えば、このときが私たちの友情のピークだったかもしれない。この少し後に起こるある事件が、私たちの友情を激しく揺さぶることになる」という菜美の心の声が、回収できていないことでしょうか? この3人、最初から最後まで超仲良しだったんですけど……。

 また、「なんで出てきたの?」とツッコミたくなるほど意味不明だった、その優里が乳がん展開ですが、最終回で優里の夫・啓輔(石黒賢)が、「再検査で、悪い結果が出たとかじゃないだろうな」と、突然ぶっこんできたのには笑ってしまいました。

 というわけで、途中、“中だるみ回”はあったものの、娯楽レベルの高いハイセンスなものを見せていただいた『奥様は、取り扱い注意』。ぜひ、続編をお願いします!
(文=どらまっ子TAMOちゃん)

濃い目の顔は似てるけど……『ドクターX ~外科医・大門未知子』草刈正雄と永山絢斗の親子設定に違和感!

 女優・米倉涼子が、フリーランスの天才外科医を演じるドラマ『ドクターX ~外科医・大門未知子』(テレビ朝日系)第5期の第8話が先月30日に放送され、平均視聴率20.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回より0.5ポイントアップとなりました。

 今回の患者は、元大臣秘書官の八雲拓哉(林家正蔵)。八雲は根治不可能といわれる肝細胞癌を患い、寿命があとわずかであることを悟ったため、厚生労働省と某大学病院との癒着問題を告発して正義に生きることを決意。日本中から注目の的の存在なのです。そのため、オペ失敗は許されないと、東帝大学病院の病院長・蛭間重勝(西田敏行)は執刀医に大門未知子(米倉涼子)を指名します。

 未知子の主導による術前カンファレンスを滞りなく終えるのですが、手術直前に邪魔が入ります。日本医療界のトップ・日本医師倶楽部の会長・内神田景信(草刈正雄)と、八雲が告発した相手は“友達の友達”ということで、八雲のオペを失敗させるよう圧力がかけられてしまうのです。

 というわけで、未知子の執刀はなしになり、代わりに指名されたのはオペ・スキルの低い外科副部長・海老名敬(遠藤憲一)。これには当然、未知子が不満を爆発させるのですが、もうひとり納得いかない様子を見せる人物が現れます。それは、若手外科医の西山直之(永山絢斗)。西山は未知子に触発されて外科医としての向上心が芽生えたらしく、難易度の高いオペに挑戦したいという意欲を見せるのです。

 そんな中、東帝大学病院に脅迫文が送られてきます。その内容は、これまでの難易度の高い外科手術はすべて未知子が執刀し、その手柄を医局が奪い取っていたこと、そのことをマスコミにバラされたくなければ八雲の執刀医を未知子にしろ、というもの。これを蛭間は、未知子がみずから送ったものではないかと疑うのですが、未知子にはまったく身に覚えがないのです。

 脅迫文の犯人捜しで病院内がザワつく中、西山が勝手に八雲のオペを開始。慌ててオペ中止させようとする教授たちに向かって西山は、「上の者の許可を取ってる」と言います。その“上の者”とは、内神田のこと。実は西山、内神田も出生を把握していなかった実の息子だったのです。それを脅しのネタにしてオペ執刀を許可させたのでした。

 そして、西山が実の息子だと知ったことで情が湧いた内神田は、オペ失敗でキャリアに傷をつけてはいけないと、蛭間に命じて未知子を助手につけさせるのです。

 内神田が懸念した通り、西山は突然起こった大量出血にパニック状態に陥ってしまいます。そこで未知子がバトンタッチして八雲のオペはなんとか無事に終了するのですが、未知子はオペ後に西山を呼びつけ、準備を怠って手術をおこなったことを説教。スキルアップのために執刀したかったという西山に対して、「失敗された患者に次はないんだよ」と叱りつけるのです。

 一方、未知子によって命拾いした八雲は、まだ続く人生のため長い物には巻かれろと考えを改め、厚労省への告発を取り下げ。また、東帝大学病院に脅迫文を送りつけた犯人は、執刀を回避したかった海老名だったことが判明。オチがついたところで終了となりました。

 さて感想。これまでのレビューにも何度か書きましたが、今シーズンは強引なストーリー展開が目立つように感じます。今回でいえば、西山が内神田の息子だったこと、それを脅しのネタにオペをした点ですね。

 西山は今回、内神田が内部告発を揉み消すため八雲を見殺しにしようとしたことに腹を立てたようですが、シーズン序盤から内神田は患者の命よりも自身の利益重視というスタンスでした。また、スキルアップのためということに関しても、難易度の高い手術はこれまで何度もありました。なぜ今さらになって急に西山の自己主張が強くなったのかわかりません。確かに濃い目の顔はちょっと似ていますが、西山をメインにしたいがため後付けで内神田の息子という設定にしたように思えてならないのです。

 そんな西山の暴走を諫めた未知子からは、他の教授たち以上に後輩に対する愛情が感じられました。今シーズンは、西山と同じくゆとり世代にあたる新人医師・伊東亮治(野村周平)に説教するなど指導医的な立場になることが多いですが、これまでのロンリーウルフ的なカッコ良さとはまた違った魅力が引き出されていると思います。また、今回の術前カンファレンスでは外科チームの医師たちが全員、未知子の話に耳を傾け熱心にメモを取っていましたが、未知子にはもはや病院長の風格すら漂い始めているように感じられました。

 しかし、出る杭は打たれるもの。次回、未知子は内神田の裏工作によって、“想像を絶するような窮地”に立たされるとのことで、その運命やいかに。目が離せません。
(文=大場鴨乃)

濃い目の顔は似てるけど……『ドクターX ~外科医・大門未知子』草刈正雄と永山絢斗の親子設定に違和感!

 女優・米倉涼子が、フリーランスの天才外科医を演じるドラマ『ドクターX ~外科医・大門未知子』(テレビ朝日系)第5期の第8話が先月30日に放送され、平均視聴率20.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回より0.5ポイントアップとなりました。

 今回の患者は、元大臣秘書官の八雲拓哉(林家正蔵)。八雲は根治不可能といわれる肝細胞癌を患い、寿命があとわずかであることを悟ったため、厚生労働省と某大学病院との癒着問題を告発して正義に生きることを決意。日本中から注目の的の存在なのです。そのため、オペ失敗は許されないと、東帝大学病院の病院長・蛭間重勝(西田敏行)は執刀医に大門未知子(米倉涼子)を指名します。

 未知子の主導による術前カンファレンスを滞りなく終えるのですが、手術直前に邪魔が入ります。日本医療界のトップ・日本医師倶楽部の会長・内神田景信(草刈正雄)と、八雲が告発した相手は“友達の友達”ということで、八雲のオペを失敗させるよう圧力がかけられてしまうのです。

 というわけで、未知子の執刀はなしになり、代わりに指名されたのはオペ・スキルの低い外科副部長・海老名敬(遠藤憲一)。これには当然、未知子が不満を爆発させるのですが、もうひとり納得いかない様子を見せる人物が現れます。それは、若手外科医の西山直之(永山絢斗)。西山は未知子に触発されて外科医としての向上心が芽生えたらしく、難易度の高いオペに挑戦したいという意欲を見せるのです。

 そんな中、東帝大学病院に脅迫文が送られてきます。その内容は、これまでの難易度の高い外科手術はすべて未知子が執刀し、その手柄を医局が奪い取っていたこと、そのことをマスコミにバラされたくなければ八雲の執刀医を未知子にしろ、というもの。これを蛭間は、未知子がみずから送ったものではないかと疑うのですが、未知子にはまったく身に覚えがないのです。

 脅迫文の犯人捜しで病院内がザワつく中、西山が勝手に八雲のオペを開始。慌ててオペ中止させようとする教授たちに向かって西山は、「上の者の許可を取ってる」と言います。その“上の者”とは、内神田のこと。実は西山、内神田も出生を把握していなかった実の息子だったのです。それを脅しのネタにしてオペ執刀を許可させたのでした。

 そして、西山が実の息子だと知ったことで情が湧いた内神田は、オペ失敗でキャリアに傷をつけてはいけないと、蛭間に命じて未知子を助手につけさせるのです。

 内神田が懸念した通り、西山は突然起こった大量出血にパニック状態に陥ってしまいます。そこで未知子がバトンタッチして八雲のオペはなんとか無事に終了するのですが、未知子はオペ後に西山を呼びつけ、準備を怠って手術をおこなったことを説教。スキルアップのために執刀したかったという西山に対して、「失敗された患者に次はないんだよ」と叱りつけるのです。

 一方、未知子によって命拾いした八雲は、まだ続く人生のため長い物には巻かれろと考えを改め、厚労省への告発を取り下げ。また、東帝大学病院に脅迫文を送りつけた犯人は、執刀を回避したかった海老名だったことが判明。オチがついたところで終了となりました。

 さて感想。これまでのレビューにも何度か書きましたが、今シーズンは強引なストーリー展開が目立つように感じます。今回でいえば、西山が内神田の息子だったこと、それを脅しのネタにオペをした点ですね。

 西山は今回、内神田が内部告発を揉み消すため八雲を見殺しにしようとしたことに腹を立てたようですが、シーズン序盤から内神田は患者の命よりも自身の利益重視というスタンスでした。また、スキルアップのためということに関しても、難易度の高い手術はこれまで何度もありました。なぜ今さらになって急に西山の自己主張が強くなったのかわかりません。確かに濃い目の顔はちょっと似ていますが、西山をメインにしたいがため後付けで内神田の息子という設定にしたように思えてならないのです。

 そんな西山の暴走を諫めた未知子からは、他の教授たち以上に後輩に対する愛情が感じられました。今シーズンは、西山と同じくゆとり世代にあたる新人医師・伊東亮治(野村周平)に説教するなど指導医的な立場になることが多いですが、これまでのロンリーウルフ的なカッコ良さとはまた違った魅力が引き出されていると思います。また、今回の術前カンファレンスでは外科チームの医師たちが全員、未知子の話に耳を傾け熱心にメモを取っていましたが、未知子にはもはや病院長の風格すら漂い始めているように感じられました。

 しかし、出る杭は打たれるもの。次回、未知子は内神田の裏工作によって、“想像を絶するような窮地”に立たされるとのことで、その運命やいかに。目が離せません。
(文=大場鴨乃)

『監獄のお姫さま』満島ひかりの母性に泣き、菅野美穂のライク・ア・ヴァージン(にゃんこスターVer)で爆笑!

 人気脚本家・宮藤官九郎による復讐コメディードラマ『監獄のお姫さま』(TBS系)の第8話が5日に放送され、平均視聴率6.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.1ポイント増となりました。

 まずは、これまでのあらすじを少し。2017年のクリスマス・イブ、元囚人の馬場カヨ(小泉今日子)、大門洋子(坂井真紀)、足立明美(森下愛子)、勝田千夏(菅野美穂)と元刑務官の若井ふたば(満島ひかり)の5人は、EDOミルク社・社長の板橋吾郎(伊勢谷友介)を誘拐。その背景には、6年前に起こった横田ユキ(雛形あきこ)殺害事件の罪を、当時婚約者だった“爆笑ヨーグルト姫”こと江戸川しのぶ(夏帆)に吾郎が押しつけたことを証言させ、再審請求しようという目的があったのです。

 その吾郎・監禁シーンと、カヨたちが出会い親密になっていく女子刑務所シーンとが行き交うカタチでドラマは展開。前回は、カヨたちが吾郎への復讐を決意し、その計画を着々と練っていく過程が描かれました。

 吾郎への復讐&美容師免許取得という目的ができたことで毎日にハリが出るカヨですが、おっちょこちょいなことにプランを記したノートをふたばに見られ、没収されてしまいます。そんな折、前回の洋子に続いて明美、千夏、タイ人のリン(江井エステファニー)の3人の仮釈放が決定。カヨはふたばから、吾郎への復讐計画など刑務所内だけの話でシャバに戻ったらみんな忘れる、無駄な計画を練るのは止めるよう言われショックを受けるのです。

 やがてカヨの仮釈放も迫る中、それを察したしのぶからこっそり殺人事件が起こる前のことを打ち明けられます。しのぶの父で江戸川乳業(現・EDOミルク)の前社長だった江戸川徳三郎(田窪一世)が、吾郎と横田ユキの交際に気づき激怒。吾郎を出世コースから外したというのです。その結果、追い詰められた吾郎が、しのぶに殺人教唆の罪を被せることで会社を乗っ取る計画を立てたのではないか、というのがしのぶの臆測なのです。

 その夜、布団の中でしのぶが息子・勇介の写真を見て泣いていることに気づき同情心を強めるカヨですが、その翌朝に仮釈放が決まったため、しのぶの傍にいてあげられなくなってしまいます。

 仮釈放といってもすぐに出られるわけではありません。雑居房から隔離された寮で1週間、社会復帰のための教育をふたばからマンツーマンで受けなければならないのです。

 これまではカヨのことを囚人番号“69番”と呼んでいたふたばですが、寮では囚人として扱わないため名前で呼ぶことに。そして、付きっきりで身の世話をし、一緒に料理を作ったりしたことで年下ながらも母性が芽生え、食事の際に例の復讐ノートを取り出して、「馬場カヨのことはね、嫌いじゃない。だから、これは渡せない。先生としてではなくて母親として渡せない。わかって。好きだからもう会いたくないの」と訴えるのです。

 一方、現代の吾郎・監禁シーンでは、前回まで刑事から聴取を受けていたふたばが吾郎の妻・晴海(乙葉)を連れて戻り、いよいよ本格的に吾郎への尋問開始、というところで終了となりました。

 さて感想ですが、今回は笑いと悲哀のバランスが絶妙だったと思います。まず笑いについては、吾郎と2人きりになった千夏が色仕掛けで供述を引き出そうと、ラジカセでマドンナのヒット曲「ライク・ア・ヴァージン」をかけて踊り始めたシーンが秀逸でした。途中から顔をしかめて唇を突き出し、親指を立ててサイドステップを踏む、お笑いコンビ・にゃんこスターのネタの振り付けを披露したのですが、菅野美穂の吹っ切れた演技に笑ってしまいました。

 また、仮釈放された千夏が、白シャツびしょ濡れ状態の吾郎に遭遇して魅了されるシーンがあったのですが、千夏は以前、吾郎について「薄手の白シャツ一枚でずぶ濡れで立ってても素通りする自信がある」と、男として興味がないことを語っていただけに、吾郎に色目を使う演技は菅野のコメディエンヌとしての才能が活きる場面になりました。

 一方、悲哀のエッセンスをもたらしたのは、ふたばでした。ふたばは父親も刑務官を務め、少女時代は刑務所内にある美容室で美容免許をもつ受刑者に髪を切ってもらっていたことがあるんですね。その時に仲良くなった女性が薬物中毒で何度も服役した悲しい思い出を第5話で語っていたのですが、今回、カヨも美容師免許を獲得したため、その姿を重ね合わせてしまったのでしょう。だからこその「好きだからもう会いたくない」というセリフは胸に迫るものがありました。

 しかし、そのふたばは実際にはカヨたちの犯行に加わったわけで、次回はその動機が明らかにされるとのこと。また、吾郎に対する“プレ裁判”も始まるとのことで放送を楽しみに待ちたいと思います。
(文=大場鴨乃)

『監獄のお姫さま』満島ひかりの母性に泣き、菅野美穂のライク・ア・ヴァージン(にゃんこスターVer)で爆笑!

 人気脚本家・宮藤官九郎による復讐コメディードラマ『監獄のお姫さま』(TBS系)の第8話が5日に放送され、平均視聴率6.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.1ポイント増となりました。

 まずは、これまでのあらすじを少し。2017年のクリスマス・イブ、元囚人の馬場カヨ(小泉今日子)、大門洋子(坂井真紀)、足立明美(森下愛子)、勝田千夏(菅野美穂)と元刑務官の若井ふたば(満島ひかり)の5人は、EDOミルク社・社長の板橋吾郎(伊勢谷友介)を誘拐。その背景には、6年前に起こった横田ユキ(雛形あきこ)殺害事件の罪を、当時婚約者だった“爆笑ヨーグルト姫”こと江戸川しのぶ(夏帆)に吾郎が押しつけたことを証言させ、再審請求しようという目的があったのです。

 その吾郎・監禁シーンと、カヨたちが出会い親密になっていく女子刑務所シーンとが行き交うカタチでドラマは展開。前回は、カヨたちが吾郎への復讐を決意し、その計画を着々と練っていく過程が描かれました。

 吾郎への復讐&美容師免許取得という目的ができたことで毎日にハリが出るカヨですが、おっちょこちょいなことにプランを記したノートをふたばに見られ、没収されてしまいます。そんな折、前回の洋子に続いて明美、千夏、タイ人のリン(江井エステファニー)の3人の仮釈放が決定。カヨはふたばから、吾郎への復讐計画など刑務所内だけの話でシャバに戻ったらみんな忘れる、無駄な計画を練るのは止めるよう言われショックを受けるのです。

 やがてカヨの仮釈放も迫る中、それを察したしのぶからこっそり殺人事件が起こる前のことを打ち明けられます。しのぶの父で江戸川乳業(現・EDOミルク)の前社長だった江戸川徳三郎(田窪一世)が、吾郎と横田ユキの交際に気づき激怒。吾郎を出世コースから外したというのです。その結果、追い詰められた吾郎が、しのぶに殺人教唆の罪を被せることで会社を乗っ取る計画を立てたのではないか、というのがしのぶの臆測なのです。

 その夜、布団の中でしのぶが息子・勇介の写真を見て泣いていることに気づき同情心を強めるカヨですが、その翌朝に仮釈放が決まったため、しのぶの傍にいてあげられなくなってしまいます。

 仮釈放といってもすぐに出られるわけではありません。雑居房から隔離された寮で1週間、社会復帰のための教育をふたばからマンツーマンで受けなければならないのです。

 これまではカヨのことを囚人番号“69番”と呼んでいたふたばですが、寮では囚人として扱わないため名前で呼ぶことに。そして、付きっきりで身の世話をし、一緒に料理を作ったりしたことで年下ながらも母性が芽生え、食事の際に例の復讐ノートを取り出して、「馬場カヨのことはね、嫌いじゃない。だから、これは渡せない。先生としてではなくて母親として渡せない。わかって。好きだからもう会いたくないの」と訴えるのです。

 一方、現代の吾郎・監禁シーンでは、前回まで刑事から聴取を受けていたふたばが吾郎の妻・晴海(乙葉)を連れて戻り、いよいよ本格的に吾郎への尋問開始、というところで終了となりました。

 さて感想ですが、今回は笑いと悲哀のバランスが絶妙だったと思います。まず笑いについては、吾郎と2人きりになった千夏が色仕掛けで供述を引き出そうと、ラジカセでマドンナのヒット曲「ライク・ア・ヴァージン」をかけて踊り始めたシーンが秀逸でした。途中から顔をしかめて唇を突き出し、親指を立ててサイドステップを踏む、お笑いコンビ・にゃんこスターのネタの振り付けを披露したのですが、菅野美穂の吹っ切れた演技に笑ってしまいました。

 また、仮釈放された千夏が、白シャツびしょ濡れ状態の吾郎に遭遇して魅了されるシーンがあったのですが、千夏は以前、吾郎について「薄手の白シャツ一枚でずぶ濡れで立ってても素通りする自信がある」と、男として興味がないことを語っていただけに、吾郎に色目を使う演技は菅野のコメディエンヌとしての才能が活きる場面になりました。

 一方、悲哀のエッセンスをもたらしたのは、ふたばでした。ふたばは父親も刑務官を務め、少女時代は刑務所内にある美容室で美容免許をもつ受刑者に髪を切ってもらっていたことがあるんですね。その時に仲良くなった女性が薬物中毒で何度も服役した悲しい思い出を第5話で語っていたのですが、今回、カヨも美容師免許を獲得したため、その姿を重ね合わせてしまったのでしょう。だからこその「好きだからもう会いたくない」というセリフは胸に迫るものがありました。

 しかし、そのふたばは実際にはカヨたちの犯行に加わったわけで、次回はその動機が明らかにされるとのこと。また、吾郎に対する“プレ裁判”も始まるとのことで放送を楽しみに待ちたいと思います。
(文=大場鴨乃)