フジとジャニーズが“テレビの印象操作問題”に切り込むも……亀梨和也『FINAL CUT』7.2%のズッコケ発進

 KAT-TUN・亀梨和也主演連続ドラマ『FINAL CUT(ファイナルカット)』(関西テレビ制作、フジテレビ系)が9日にスタート。前クールの同枠で大コケした井上真央主演『明日の約束』の影響もあってか、初回平均視聴率は7.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と不安なスタートとなりました。

 亀梨が演じるのは、母親が女児殺害事件で犯人扱いされ、自殺に追い込まれた過去を持つ男。12年の時を経て、主人公は真犯人を探し出し、母を追い詰めた者たちへの復讐に燃えるとか……。

 はい、そうです。元SMAP・草なぎ剛主演で1年前にヒットした『嘘の戦争』とそっくりなんです。しかも、同じカンテレ制作の火曜ドラマ枠で、監督も同じ。おまけに主人公と敵対する役どころを藤木直人が演じる点も同じです。

 というわけで、同作は『銭の戦争』『嘘の戦争』に続く「草なぎ剛・復讐3部作」の3作目だったという説が浮上。草なぎが“新しい地図”を描いたがために、主演をジャニタレに取られたのではないかとウワサされています。

 そんな疑惑の同作ですが、日刊サイゾーでは最終回まで各話レビューをお届け。早速、初回のあらすじを振り返ります。

■裕木奈江が約23年ぶりの民放連ドラ

 中村慶介(亀梨)の母・恭子(裕木奈江)は、女手ひとつで慶介を育てながら、園長として保育園を切り盛り。しかし、女児が殺害される事件が起こり、ニュース番組『ザ・プレミアワイド』が、あたかも恭子が犯人であるかのように報道。精神的に追い詰められた恭子は、お風呂場で手首を切って自殺してしまいます。

 そんな12年前の出来事を思い出しムギギとなりながら、公園でパルクール(物を使わずに、周囲の地形や建物などを使って飛んだり登ったりするトレーニングカルチャー)をする慶介。ちなみに、亀梨が撮影中に左手人差し指を骨折したのは、どうやらこのシーンだったようです。

 慶介は、女児殺害事件の鍵を握る若葉(橋本環奈)に「たかはしまもる」の偽名で接近。若葉はデートのたびに勝負下着をつけていますが、慶介が手を出してこないことに不満げです。

 加えて、若葉の姉・雪子(栗山千明)にも「よしざわゆう」という偽名で近づく慶介。雪子も、たちまち慶介に胸キュンのようです。どうやら、慶介は女性を虜にできるモテキャラのようですね。

 着々と復讐計画を進める慶介ですが、ウェブサイト「MP.info.net」の管理人でもあります。初回では「MP.info.net」がどんなサイトなのかイマイチわかりませんでしたが、ここには『ザ・プレミアワイド』の取材でなんらかの被害を受けた人の情報が集まってくるみたいです。

 そんな「MP.info.net」に、喜美子(矢田亜希子)から『ザ・プレミアワイド』から取材を受けたとの書き込みが。慶介は早速、喜美子に事情を聞くため接触。喜美子は、心臓移植しか助かる見込みのない4歳の娘・みずきちゃんの移植費用のため、『ザ・プレミアワイド』の取材を受けるも、番組は恣意的な編集で病院の印象を操作。あたかも、主治医が医療ミスをしたかのような内容で放送したといいます。

 この話を受け、「僕たちにお任せください」と伝える慶介。ん? 「MP.info.net」って、もしかして復讐屋さんの依頼サイトなんでしょうか? 依然として「MP.info.net」が謎ですが、ここに書き込めば助けてくれるみたいです。

■「ファイナルカット」って何?

 慶介は、仲間の大地(Hey! Say! JUMP・高木雄也)と共に、『ザ・プレミアワイド』のプロデューサー・井出(杉本哲太)を徹底的に監視。井出は、12年前の事件の際も同番組のプロデューサーを務めており、慶介はかなりの恨みを持っているようです。

 そんな中、『ザ・プレミアワイド』の恣意的な編集のせいで、みずきちゃんの主治医が病院を辞める事態に。喜美子は井出に「(番組から)病院に謝罪してください」と頼みますが、逆に井出から“募金詐欺目的の胡散臭い両親”のように報じることも可能だと脅されてしまいます。

 この後、井出を呼び出した慶介は、井出の素顔を隠し撮りした数々の映像を「ネットにバラ撒く」と脅迫。「お前の人生を編集するのは、俺だ」と、うまいことを言った後、キメ顔で「つまり、これがあなたの、ファイナルカットです」と敬語で言い放ちます。どうやら、これがキメゼリフみたいです。

 ちなみに、フジのドラマ資料によると、同作における「ファイナルカット」とは、「公開されるとその人の人生が終わる致命的な映像」のことだとか。しかし、劇中ではこの言葉が唐突に出てくるので、正直「へ?」ってなります。

 映画やテレビ番組の公開用の最終編集版を指す映像を、業界では「ファイナルカット」と呼ぶようですが、同ドラマの使用方法としては、プロレス技の“首折り落とし”を指す「ファイナルカット」のほうが意味合いは近いのかもしれません。それにしてもこのキメゼリフ、モヤモヤする……。

 そんなこんなで、慶介に脅された井出は、『ザ・プレミアワイド』の編集会議で、みずきちゃんの病院へ謝罪することを提案。しかし、司会者の百々瀬(藤木直人)は、その場で井出が放送賞を受賞した際のトロフィーを机にガンガン打ちつけ、狂ったように激怒。「さあ、てーへんだ、てーへんだ!」と昔の瓦版屋の口上を再現し、井出に説教をし始めます。

 なるほど、このドラマの見どころは、亀梨の復讐っぷりでも、華麗なパルクールでもなく、藤木の怪演で間違いなさそうです。そういえば、『嘘の戦争』の藤木も最高だったなあ……。

 ラストは、慶介が実は警察官であることが発覚し、初回は終了です。

■見どころは、亀梨よりも藤木!

 どうしても「もし、草なぎが主演だったら……」と想像しながら見てしまった初回ですが、とりあえず亀梨の化粧っ気が薄れてて安心しました。昨年、4月期の主演ドラマ『ボク、運命の人です。』(日本テレビ系)は、目張りとファンデーション感が強烈で、最後までサラリーマンに見えなかったんですよ……。

 また、アクのない演技が良くも悪くも特徴的な亀梨なだけに、草なぎのような“ムギギ感”は期待できなさそうですが、その分、藤木演じるクセの強いキャラクターが視聴者を楽しませてくれそうです。

 ストーリー的には、テレビ局の捏造編集による印象操作を糾弾する内容を、フジやジャニーズ事務所がよくやったなという印象。近年、ニュース番組の司会にジャニタレを送り込み、都合の悪い芸能ニュースをファイナルカットしているジャニーズ事務所は、どんな顔してこのドラマの制作に携わってるんだろう……と想像することも含め、ワクワクするドラマと言えそうです。

 そんな、いろいろと楽しみ方が多そうな『FINAL CUT』ですが、まだ始まったばかり。視聴率が心配ではありますが、最終回まで見守っていきます!
(文=どらまっ子TAMOちゃん)

星野源が初めて笑った……!『コウノドリ』最終回の充実ぶりと“シーズン3”への期待

 周産期母子医療センターを舞台に出産にまつわるさまざまな物語を見せてくれた『コウノドリ』(TBS系)も、いよいよ最終回。10.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と数字は思ったより伸びなかったものの、毎回2ケタ視聴率をキープ、前シーズンを上回る安定感を見せた。レギュラーメンバーそれぞれの行く末はいかに?

 

■帰ってきたメンバー

 

 急患の中国人旅行客への言語対応で四苦八苦する産科医の鴻鳥(綾野剛)や助産師の小松(吉田羊)の前に、颯爽と現れ中国語で通訳し始めた同僚の産科医・倉崎(松本若菜)。才女ぶりがかっこいい。もとヘビーメタル愛好家なのに、そのギャップはなんなのか。しかも中国語を話せることに対し「理由は聞かないでください」というのが、またいかす。女・四宮のようになってきた。

 救命科に転科した下屋(松岡茉優)の代わりにやってきた彼女だが、真顔でボケまでこなし、すっかりペルソナ産科に馴染んだようだ。

 その急患の出産の際中、新生児科医として現場に現れたのは、なんと新井恵美(山口紗弥加)だ。前シリーズでバーンアウトしてペルソナから姿を消し、ついこの前の第8話(参照記事)で講談医科大にいることがわかったばかりの彼女。「なんで?」と驚く鴻鳥や小松に対し「話はあとで。モタモタしないでお産に集中してください」と言い放つ。

 鴻鳥と連絡は取っていたようだが、それでもなんの連絡もなく帰ってきて、迷惑をかけた仲間に説明もなく、いきなり「モタモタするな」「集中しろ」とは、さすが「鉄の女」と呼ばれていただけのことはある。だが、そんな性格を知ってる鴻鳥らは、それすらうれしそうに受け入れる。

 どうやらペルソナの院長(浅野和之)が講談医科大に土下座をしてまで頼んでくれたらしい。

 そして、もう一人。前シーズンに出ていた助産師の角田真弓(清野菜名)も産休を終えて産科に戻ってきた。しかも、立て続けに2人も産んでるとは! 復帰を希望したのは小松だというが、その真意は……?

 

■「オランダへようこそ」

 

 21トリソミー(ダウン症候群)の子どもを出産する決意はしたものの、不安が消えない高山透子(初音映莉子)。

 そんな透子に、新生児科医の今橋(大森南朋)が渡したのは、ダウン症の子をもつエミリー・パール・キングスレイという作家が書いた「オランダへようこそ」という文章。

 キングスレイは、あの『セサミストリート』の作家を長く務めており、『セサミ~』は昔から人間の多様性を意識的に織り込んできた番組。最近も自閉症のキャラクターを登場させ、発達障害への理解を啓蒙しているほど。

 その文章の中でキングスレイは、予定通りの旅にならず違う目的地(オランダ)に着いてしまっても、その新たな場所を楽しめばよい。いつまでも行けなかった場所のことばかり考えていたら、今いる場所のよさが見えない。と、自身の経験をもとに語る。

「イタリア旅行をずっと夢見てきたのに」「あんなに一生懸命に計画を立てたのに」「手違いで飛行機はオランダに着いてしまった」

「でもある日、ゆっくりと胸に空気を吸い込んだら……素敵な風車が目についた。綺麗なチュウリップが目についた」

 特に、

「周りの人たちはイタリアの話で盛り上がっている」「そうよ、私もそこに行くはずだったのよ……」

 という部分はキングスレイ自身の当時の苦悩をうかがわせる。しかし、最後の、

「みんなとは違う土地だけど、私はオランダを思い切り楽しんで、そして大好きになりました。」

 という結びは透子に大きな勇気を与えてくれただろう。

 しかもこの文章はダウン症や障害を持つ妊婦だけでなく、すべての、予定通りにいかなかった人生を生きる人々の傍に寄り添うことのできる力がある。今回の放送を機に、この文章も話題となり広まっている。

 透子は、同じダウン症の子を持つ木村弓枝(奥山佳恵)らにも会い、話を聞く。同じ境遇の仲間の存在は、医師とまた違う助けになるのだろう。透子の夫・光弘(石田卓也)も、いまだダウン症の子を育てることに心のどこかで否定的だったが、やはり同じ立場である弓枝の夫(今里真)と接し、気持ちが溶けていく。

「案ずるより産むが易し」(向井)

「傘を忘れて家を出ても意外となんとかなるもんだし」(小松)

 付き添いつつ、夫妻の肩の力を抜いてあげるペルソナ熟女コンビ。『北風と太陽』のやり口。

 カンファレンスで鴻鳥や今橋は、とにかく押し付けず見守ることが大切だと言っていた。しかし「太陽」のつもりで接しても「北風」だと感じられてしまうことは日常生活でも多々あることで、こういう配慮は医療技術とはまた別の信頼につながるのだろう。

 後日、透子は双方の親の前で「オランダへようこそ」を聞かせる。

「この子はみんなの子だもの」

 当初反対していた夫方の親も今は味方だ。周囲も「イタリア」だけが目的地ではないことに気づこうとしている。

 

■四宮の迷い

 

 父親の訃報に、三たび帰郷した四宮。能登の曇った海岸で、生前に父から渡されたヘソの尾を見つめ、亡き父を想う。

「この街を子どもが産めない街にはさせない」「この街のお産を守ることが使命だと思っている」

 気持ちを知ってか知らずか、戻ってきた四宮を飯に誘う鴻鳥。店に入って荻島(佐々木蔵之介)を見つけるなり「はめられた」という顔をする四宮。塩顔大集合。

 荻島は今シーズンの第1話で鴻鳥がヘルプで向かった隠岐の島で開業医として切り盛りしていたあの荻島だ。鴻鳥の先輩なのだから当然同期の四宮の先輩でもある。

「そういう郷土愛とかセンチメンタリズムに左右されて設備の整っていないところでお産をすることは、俺は尊いとは思いません。医師一人が全てを抱えるのは無理がある」

 故郷で働く思いを語る荻島に対し、いきなり中二病丸出し発言をぶつける四宮。おそらく父親のことがあるから感情的になっているのだろう。

 現地で実際に孤軍奮闘してる先輩に久しぶりに会っていきなりこれを言うのはなかなか頭おかしいので、そうあってほしい。

 しかし、大人の荻島は怒ったりなんかしない。

「酒が足りないんじゃないか?」と冗談でかわしつつも「何をそんなに怖がってるんだ? しかめっ面はお前の本当の顔じゃないだろ?」「同じ産科医、場所は違っても心意気は同じ。どこへ行っても一人ぼっちで戦わなきゃいけないなんてそんなことはないんだ」荻島の言葉が四宮に響くのがわかる。

 

■さらに成長した若手

 

 間もなくペルソナを離れ講談医科大に小児循環外科医の修行にでる白川(坂口健太郎)。
「俺、先生の一番弟子になれましたかね?」と不安げに聞く白川に、「僕の弟子じゃない。頼りになるパートナーだよ」とニクいことを言う今橋。これで安心して新天地に向かえるだろう。

 救命科で居眠りしてる下屋を起こそうとする加瀬(平山祐介)に、「寝かせといてやりなよ。面白いねよ。ガッツだけでなんとかやっていけるもんなんだ」「産科には返さないって言ってみようか?今橋先生がどんな顔するか見たくない?」と冗談めかしつつ下屋を認める救命科部長の仙道(古舘寛治)。

 研修医から一人前の医師になる過程でつまずいた同期2人も、どうやらもう一段成長し認められているようだ。

 ちなみに、すっかり丸くなった仙道部長だが、第6話で、鴻鳥、四宮らを含む産科新生児科医師全員の前で「産科ってさ、毎日妊婦さん相手にお世辞言ってる感じでしょ? 君たち危機感たりないんじゃないの?」と失礼極まりなく言い放っていたのが忘れられない。

 もちろん下屋が飛び込むことになる救命科の厳しさを煽る演出なのは重々承知だが、あれだけ人を殺したピッコロやベジータが平然と仲間になっているくらいの違和感を感じるのは筆者の器が小さいからだろうか。それだけ古舘がいい存在感を出してたのだ。

 

■オールスター IN 手術室

 

 診療にくるたびに小松とじゃれ合う同期の助産師・武田京子(須藤理彩)が、いよいよ出産。子宮口がなかなか開かず、帝王切開に切り替え、無事子どもを出産したものの、安心したのもつかの間、床が血の海に。

 さすが助産師「結構出てるね?」と他人事のような、冷静な「まな板の鯉」ならぬ「手術台の助産師」武田に安心させられるが血はまったく止まらない。羊水が母体の血中に入って引き起こされるという、子宮型羊水塞栓症。胎児の成分で起こるアナフィラキシーショックらしい。

 手術前、鴻鳥・四宮の揃い踏みに「豪華だね」と笑っていた武田だが、白川はもちろん途中から今橋や新井もくるわ、下屋や加瀬ら救命科までやってきて心臓マッサージするわ、もはやオールスター手術室。心停止した緊迫したシーンなのに、正直「豪華」だと思ってしまったのは、やはり最終回だからだろうか。

 同期の死の気配に、一瞬気が動転しつつも、一度の深呼吸で「大丈夫です、もう落ち着きました」と立て直す小松がさすがだ。

 心停止でもうダメかと思われたが「武田ー! 生きろー!!」の小松の声でなんとか息を吹き返し、子宮を全摘出したものの一命は取り留めた。戦友のような関係だからこその双方の信頼をとても強く感じたシーン。

 

■出て行くメンバー

 

 武田の手術直後、一息つく鴻鳥と小松を前に突如「ペルソナをやめようと思う。能登に帰る」と切り出す四宮。親のいた産科を継ぐのだ。

「飛び込んでみるしかない、怖がってるばかりじゃなくて」と語ったのは、やはり荻島の言葉を意識してのことだろう。

「四宮はそう言うと思ってたよ」鴻鳥もわかっていて荻島に会わせたようだ。

「俺も赤ちゃんが好きだからな」わかってはいたが、こんなことを四宮が言うなんて。

 そして、それに呼応するかのように自分もペルソナをやめると言い出す小松。「お母さんのケアに力を入れた場所を作りたい」という。

「産む前も、産んだあともお母さんの家族の人生に寄り添いたい」という決意は、ペルソナでたびたび患者に寄り添いすぎて注意を受けてしまう小松ならではだ。

「離れてたって僕たちが目指す場所は同じだ」と受け入れる鴻鳥。四宮は驚いていたのに。どうせ小松の気持ちもわかっていたのだろう。何でも知っている男・鴻鳥。

「僕はいつまでもペルソナにいてみんなを繋げていく。お母さん・赤ちゃんと社会を。そして、それぞれの場所でがんばる仲間たちを繋げていく、そういう医者に僕はなりたい」

 まるで宮沢賢治のようだ。

「また夢みたいなこと言ってるかな」という鴻鳥に「でもいいんじゃないか? 夢みたいなことをいう奴がいないと先には進めないからな」と四宮。

 鴻鳥は小松に言われ、ペルソナが自分の家族だと気づかされる。孤児の鴻鳥に親も兄弟もいない。夕日が差し込む部屋で抱きしめあう3人。

 少し前に屋上で下屋に「鴻鳥先生はずっとペルソナにいますよね?」と問われた時に鴻鳥は何もいわず遠くを見ていた。「もしや、鴻鳥も……?」と思いかけたが、あの時何を思っていたのか。

 白川も講談医科大にいくため新生児科に別れを告げ、ロビーで会った下屋に「お前がいたから今までやってこれた」と事実上告白とも取れる発言をするが、下屋はそれには答えず大声で、何かを吹っ切るように「白川ー! 頑張れよー!!」とエールを送る。

「お、お前もなー!」去っていく白川を目で追う下屋は、一瞬顔を歪める。安易に恋愛に発展しない若駒同士の関係が美しい。

 鴻鳥と四宮のラスト2ショットは屋上で。

「ちゃんと野菜たべなきゃだめだよ」とお母さんみたいな鴻鳥。

「お前にいわれたくない」と彼氏のような四宮。2人ともカップ焼きそばとジャムパンだけで暮らしてそうだから、見ているこっちが心配になる。

「ペルソナは任せろ」と力強く四宮を送り出す鴻鳥に、四宮は自ら手を出し握手を求めた。シーズン3があるのかはわからないが、2人の関係は今後も変わらないだろう。

 

■4カ月後・エピローグ

 

・高山夫妻は無事女の子を出産。子どもの心臓は今の所問題なく、子どもが可愛くて仕方がない様子だ。

・小松は新しい職場を作るため内装業者に相談、若干、恋の予感も!

・能登で父の跡を継ぎ、働く四宮は、マイペースでおおらかな地元の患者にも今まで通りの四宮として接しつつも充実してる様子。そこに現れたのは、地域医療研修医として派遣されてきた赤西吾郎(宮沢氷魚)。

「サクラのやつ……」とフィクサー鴻鳥の差し金を見破る四宮。「邪魔はするなよ、ジュニアくん」という第一回と同じ皮肉に対し「体当たりで学ばせてもらいます、ジュニア先輩」と言い返す成長した赤西。

 これに、ぷっと吹き出して笑う四宮。このシリーズ通して、初めて見せる四宮の笑顔。しかも笑い方が素すぎて一瞬NGなのかと思ったほど。いや、正直あれはNGでもいいのではないかと今でも思っているほど、「らしくない」笑い方だった。気をとりなおして「ついてこい」とカッコつける四宮。この続きをスピンオフでぜひ見たい。

 

■シーズン3は……?

 

 今シリーズでは、妊婦や家族だけでなく医師やスタッフの苦悩が多く描かれた。特に後半はその進退にからめて、毎回誰かが一人減り二人減りという状態。まるで『バトルロワイヤル』だ。

 オリジナルの話を生かしつつ、レギュラーメンバーそれぞれの苦悩も丁寧に描き、さらに第10話ではほぼオリジナルで「新型出生前診断」の問題に切り込むなど、構成や脚本も複雑に練られたものだった。

 第1話で鴻鳥が隠岐の島に行く設定にあまり意味を感じなかったのだが、ここにつながってくるとは。意味を感じなかったことをお詫びしたい。

 今回見終わって気になったのは、鴻鳥の裏の顔が人気ピアニストBABYであるという必要性がほぼなくなっていたことだ。

 前シーズンでは、クライマックスで正体を記者に嗅ぎ付かれつつも、それを記者の良心で記事にせず、ことなきを得るなど、最後まで意味を持っていた設定だが、今回は正直なくてもいいような場面でピアノを弾くシーンが挿入されたり、意味なく患者がBABYのファンで動画を見るシーンが加えられていたり、かといって本筋に一切かかわらなかったりと、設定を持て余しているように見えた。

 これは原作でも、その設定の「旨味」を使いつくしぎみな傾向が見られるので仕方がないことなのかもしれないが、BABYと交流のある米国の人気歌手(アレサ)が来日中に鴻鳥に助けられる話など、何か一つ鴻鳥がBABYである意義を入れて欲しかった。

 しかし裏を返せば、今回は「実は人気ピアニスト」という奇抜な設定が入る余地がないくらい、王道の詰まった内容だったということでもある。

 続編を期待する声も多そうだが、思ってた以上にメンバーが散り散りになってしまい、裏の要だった小松までも出て行ってしまったので、果たしてどうなるのだろうか。しかし、故郷の慣れない地で揉まれる四宮の話はぜひ見てみたいし、新天地で輝く小松や白川も見てみたい。もちろん「家族」の一部と離れ「家」を守る鴻鳥母さんの寂しそうな顔も気になる。

 シーズン3とまでいかなくてもそれぞれの活躍を描くスピンオフはぜひとも作っていただきたい。
(文=柿田太郎)

『ドクターX』独走! 月9が『逃げ恥』人気に便乗!? 『ひよっこ』脚本家作品が謎の激コケ……冬ドラマ視聴率ランキング

 今月、最終回を迎えた民放プライム帯連続ドラマを、ランキング形式で振り返ります(ビデオリサーチ調べ、関東地区/クールまたぎ除く)。

1位『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)20.7%
2位『陸王』(TBS系)16.0%
3位『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)12.7%
4位『コウノドリ』(TBS系)11.9%
5位『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)8.7%
6位『監獄のお姫さま』(TBS系)7.7%
7位『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(フジテレビ計)6.7%
8位『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)6.5%
9位『今からあなたを脅迫します』(日本テレビ系)6.1%
10位『明日の約束』(フジテレビ系)5.7%
11位『ユニバーサル広告社~あなたの人生、売り込みます!~』(テレビ東京系)4.0%

■ツートップが15%超え!

 トップはいわずもがな、米倉涼子主演『ドクターX』の第5期。「結末がわかっていても、やっぱり見ちゃうのよね~」という人が多いのでしょうね。ただ、今回は脚本に中園ミホ氏が参加しなかったせいか、薄っぺらいストーリーが目立った印象も。特に最終回は、ご都合主義展開が満載で、「シリーズ史上、最低」との声も少なくないようです。

 今回は、最終回目前で主人公・大門未知子が余命3カ月の後腹膜肉腫を患っていることが判明! 漫画『ブラック・ジャック』や、ロシア人登山家(関連記事 http://tocana.jp/2015/05/post_6490_entry.html)よろしく、「ついに自分で自分を手術か!?」と淡い期待を寄せてしまいましたが、そんな尖ったシーンはありませんでした。

 2位は、最終回が自己最高の20.5%を記録した役所広司主演『陸王』。筆者は、ビートたけし扮する鬼瓦権造のような役柄を演じた名優・寺尾聰に、「ありがとう!」と高級海苔とかをあげたい気持ちです。

 しかし、ほぼ全ての回の山場で、決まって「エーブリデーアイリッスントゥーマイハー♪」と、Little Glee Monsterの「Jupiter」が流れていた同作ですが、これが本当に邪魔で邪魔で……。役所、志賀廣太郎、正司照枝など、いぶし銀の演技に酔いしれている筆者の心を、毎回、見事に興ざめさせてくれました。逆に言えば、「リトグリうぜー!」と思っていた視聴者ほど、このドラマにのめり込んでいたという、ある意味リトマス試験紙的なものだったとも……!?

■『コウノドリ』を降ろされた俳優

 3位は、兎にも角にも女優・綾瀬はるかの魅力が爆発していた『奥様は、取り扱い注意』。ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが共演した映画『Mr.&Mrs. スミス』(2005)のオマージュとも思える同作ですが、“元特殊工作員の主婦”という役柄を演じた綾瀬のアクションシーンがエロくてたまりませんでした。

 難癖をつけるとすれば、原作・脚本の金城一紀氏が女性視聴者を意識するあまり、レイプや乳がん、女の友情といったフェミ展開を“雑に”盛り込んでいた点が残念……。それを除けば、完成度の高い娯楽作品に仕上がっており、視聴者の満足度も総じて高かったのではないでしょうか?

 4位は、綾野剛が眉と目尻を垂らし、三角形の目で産婦人科医を演じた『コウノドリ』の第2シリーズ。第1シリーズで麻酔科医役を演じた東京03・豊本明長がしれっと降ろされていたのは、濱松恵の暴露の影響でしょうか?

 ハッピーな結末を迎える妊婦キャラが多かったからか、第1シリーズに比べると泣きどころは少なかったものの、第5話の死産展開で号泣する視聴者が続出。

 また、お腹の大きな妻の横でオロオロしている夫役には、ナオト・インティライミや、ゴールデンボンバー・喜矢武豊といった意外なキャストも。劇中で無神経亭主を演じたナオトですが、Twitterでは「#うちのインティライミ」というハッシュタグが散見され、夫の愚痴をこぼすママが相次ぎました。

■『ひよっこ』脚本家ドラマ、謎の激コケ

 7位は、最終回で月9史上最低となる4.6%を記録してしまった篠原涼子主演『民衆の敵』。“市政エンターテインメント”とうたっていた同作ですが、途中からエンターテインメント性は薄れ、地味で説教臭い市議会内の内紛ドラマに。石田ゆり子や高橋一生といった旬の俳優を揃えたものの、「俳優の無駄遣い」感は否めません。

 また、第8話で石田演じるシングルマザーに「恋愛できなかったら、子どもを持つ幸せも諦めなくてはいけないんでしょうか!?」「家族の形はひとつじゃない」などと“精子提供”について語らせていた同作。これって、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)で話題となった「自分に呪いをかけないで。そんな恐ろしい呪いからはさっさと逃げてしまいなさい!」というセリフ的なフィーバーを狙ったものだったのでしょうか? あまりにも唐突だったため、疑ってしまいます。

 9位は、ディーン・フジオカと武井咲がダブル主演を務めた『今からあなたを脅迫します』。しかし、妊娠中の武井はどんどん登場シーンが減り、劇中ではもはやなんだかよくわからない存在と化していきました。そのせいか否か、日テレでは珍しい大コケぶり。最初からディーンの単独主演であれば、こんな事態にはならなかったかも?

 そんなディーン以上に大コケしたのが、沢村一樹主演で金曜夜8時台に放送された『ユニバーサル広告社』。初回から4.4%と低調だった同作ですが、最終回ではなんと2.9%まで落ち込んでしまいました。

「テレ東のドラマなんてこんなもんだろ?」と思った方、ノンノン。このボロボロぶり、結構見過ごせないんですよ。だって、同枠前クールの小泉孝太郎主演『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~』は、期間平均7.2%だったんですよ。しかも、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』の岡田惠和氏が脚本を手掛けているというのに……。視聴者の満足度は高いようなので、なぜこんなことになってしまったのか、今期最大の謎です。

 そんなわけで、さまざまなネタを提供してくれた秋ドラマ。日刊サイゾーでは、来年も引き続き全話レビュー(http://admin.cyzo.com/review.html)をお届けしますので、暇つぶしに覗いていってくださいね。
(文=どらまっ子TAMOちゃん)

『ドクターX』独走! 月9が『逃げ恥』人気に便乗!? 『ひよっこ』脚本家作品が謎の激コケ……冬ドラマ視聴率ランキング

 今月、最終回を迎えた民放プライム帯連続ドラマを、ランキング形式で振り返ります(ビデオリサーチ調べ、関東地区/クールまたぎ除く)。

1位『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)20.7%
2位『陸王』(TBS系)16.0%
3位『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)12.7%
4位『コウノドリ』(TBS系)11.9%
5位『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)8.7%
6位『監獄のお姫さま』(TBS系)7.7%
7位『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(フジテレビ計)6.7%
8位『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)6.5%
9位『今からあなたを脅迫します』(日本テレビ系)6.1%
10位『明日の約束』(フジテレビ系)5.7%
11位『ユニバーサル広告社~あなたの人生、売り込みます!~』(テレビ東京系)4.0%

■ツートップが15%超え!

 トップはいわずもがな、米倉涼子主演『ドクターX』の第5期。「結末がわかっていても、やっぱり見ちゃうのよね~」という人が多いのでしょうね。ただ、今回は脚本に中園ミホ氏が参加しなかったせいか、薄っぺらいストーリーが目立った印象も。特に最終回は、ご都合主義展開が満載で、「シリーズ史上、最低」との声も少なくないようです。

 今回は、最終回目前で主人公・大門未知子が余命3カ月の後腹膜肉腫を患っていることが判明! 漫画『ブラック・ジャック』や、ロシア人登山家(関連記事 http://tocana.jp/2015/05/post_6490_entry.html)よろしく、「ついに自分で自分を手術か!?」と淡い期待を寄せてしまいましたが、そんな尖ったシーンはありませんでした。

 2位は、最終回が自己最高の20.5%を記録した役所広司主演『陸王』。筆者は、ビートたけし扮する鬼瓦権造のような役柄を演じた名優・寺尾聰に、「ありがとう!」と高級海苔とかをあげたい気持ちです。

 しかし、ほぼ全ての回の山場で、決まって「エーブリデーアイリッスントゥーマイハー♪」と、Little Glee Monsterの「Jupiter」が流れていた同作ですが、これが本当に邪魔で邪魔で……。役所、志賀廣太郎、正司照枝など、いぶし銀の演技に酔いしれている筆者の心を、毎回、見事に興ざめさせてくれました。逆に言えば、「リトグリうぜー!」と思っていた視聴者ほど、このドラマにのめり込んでいたという、ある意味リトマス試験紙的なものだったとも……!?

■『コウノドリ』を降ろされた俳優

 3位は、兎にも角にも女優・綾瀬はるかの魅力が爆発していた『奥様は、取り扱い注意』。ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが共演した映画『Mr.&Mrs. スミス』(2005)のオマージュとも思える同作ですが、“元特殊工作員の主婦”という役柄を演じた綾瀬のアクションシーンがエロくてたまりませんでした。

 難癖をつけるとすれば、原作・脚本の金城一紀氏が女性視聴者を意識するあまり、レイプや乳がん、女の友情といったフェミ展開を“雑に”盛り込んでいた点が残念……。それを除けば、完成度の高い娯楽作品に仕上がっており、視聴者の満足度も総じて高かったのではないでしょうか?

 4位は、綾野剛が眉と目尻を垂らし、三角形の目で産婦人科医を演じた『コウノドリ』の第2シリーズ。第1シリーズで麻酔科医役を演じた東京03・豊本明長がしれっと降ろされていたのは、濱松恵の暴露の影響でしょうか?

 ハッピーな結末を迎える妊婦キャラが多かったからか、第1シリーズに比べると泣きどころは少なかったものの、第5話の死産展開で号泣する視聴者が続出。

 また、お腹の大きな妻の横でオロオロしている夫役には、ナオト・インティライミや、ゴールデンボンバー・喜矢武豊といった意外なキャストも。劇中で無神経亭主を演じたナオトですが、Twitterでは「#うちのインティライミ」というハッシュタグが散見され、夫の愚痴をこぼすママが相次ぎました。

■『ひよっこ』脚本家ドラマ、謎の激コケ

 7位は、最終回で月9史上最低となる4.6%を記録してしまった篠原涼子主演『民衆の敵』。“市政エンターテインメント”とうたっていた同作ですが、途中からエンターテインメント性は薄れ、地味で説教臭い市議会内の内紛ドラマに。石田ゆり子や高橋一生といった旬の俳優を揃えたものの、「俳優の無駄遣い」感は否めません。

 また、第8話で石田演じるシングルマザーに「恋愛できなかったら、子どもを持つ幸せも諦めなくてはいけないんでしょうか!?」「家族の形はひとつじゃない」などと“精子提供”について語らせていた同作。これって、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)で話題となった「自分に呪いをかけないで。そんな恐ろしい呪いからはさっさと逃げてしまいなさい!」というセリフ的なフィーバーを狙ったものだったのでしょうか? あまりにも唐突だったため、疑ってしまいます。

 9位は、ディーン・フジオカと武井咲がダブル主演を務めた『今からあなたを脅迫します』。しかし、妊娠中の武井はどんどん登場シーンが減り、劇中ではもはやなんだかよくわからない存在と化していきました。そのせいか否か、日テレでは珍しい大コケぶり。最初からディーンの単独主演であれば、こんな事態にはならなかったかも?

 そんなディーン以上に大コケしたのが、沢村一樹主演で金曜夜8時台に放送された『ユニバーサル広告社』。初回から4.4%と低調だった同作ですが、最終回ではなんと2.9%まで落ち込んでしまいました。

「テレ東のドラマなんてこんなもんだろ?」と思った方、ノンノン。このボロボロぶり、結構見過ごせないんですよ。だって、同枠前クールの小泉孝太郎主演『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~』は、期間平均7.2%だったんですよ。しかも、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』の岡田惠和氏が脚本を手掛けているというのに……。視聴者の満足度は高いようなので、なぜこんなことになってしまったのか、今期最大の謎です。

 そんなわけで、さまざまなネタを提供してくれた秋ドラマ。日刊サイゾーでは、来年も引き続き全話レビュー(http://admin.cyzo.com/review.html)をお届けしますので、暇つぶしに覗いていってくださいね。
(文=どらまっ子TAMOちゃん)

ラストシーンに鳥肌……『民衆の敵』最終回は“月9史上最低4.6%”篠原涼子の黒歴史確定!

 篠原涼子主演の月9『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(フジテレビ系)。25日放送の最終回(15分拡大SP)の平均視聴率は、単話として月9史上最低の4.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。1月期の西内まりや主演『突然ですが、明日結婚します』第6話の5.0%を0.4%も下回ってしまいました。ああ……、前クールの月9『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』の最終回は、16.4%だったのに……。

 なお、『民衆の敵』全10話の期間平均視聴率は、『突然ですが、明日結婚します』と並ぶ6.7%。最近、地味などんより展開が続いていた同作ですが、「見たくないなあ……」「全話レビュー書くって言わなきゃよかったなあ……」という気持ちが募るあまり、最終回の放送中は裏番組の『きょうの料理』(NHK Eテレ)で束の間の逃避を計ってしまいました。だって、土井善晴先生が白みそ仕立てのお雑煮(丸餅入り)作ってたんだもん。ハッピー。

 で、『民衆の敵』って初回は9.0%と、ここまで悪くなかったんですよ。なんで約半分にまで落ち込んでしまったのでしょう? その原因を探りつつ、あらすじを振り返ります。

※前回までのレビューはこちら
http://www.cyzo.com/tag/民衆の敵

■一生のペロペロシーンは?

 市議会のドン・犬崎(古田新太)にはめられ、不正献金の疑いをかけられてしまった佐藤智子市長(篠原涼子)。そんな中、藤堂(高橋一生)が千葉報知新聞の和美(石田ゆり子)に接触。「犬崎を告発してほしい」と、犬崎会派の不正流用された領収書のコピーを預けます。

 新聞の一面で不正献金が報じられた犬崎は、マスコミから追及される身に。さらに、犬崎の手下だった元福祉課長の富田(渡辺いっけい)は、犬崎が前市長の河原田(余貴美子)や智子を貶めていたことを暴露。自身も嫌疑をかけることに協力したことを認めます。

 市議会から犬崎が去り、「やっと市長の仕事ができる」「ここからが本当のスタート」と笑顔を見せる智子。犬崎が押し進めてきたニューポート建設計画も白紙に戻るかと思いきや、藤堂が智子に向かって「僕は、ニューポート建設に賛成している」と告白。ニューポート建設の真の目的は“産廃処理場”の併設であり、「国から多額の交付金が入ります。その交付金があれば、佐藤市長の福祉政策はすべて実現します」と説明します。

 これに、智子は「そんな良いことだったらさ、なんで最初からそう言わないの?」と反論。藤堂は「最初から言ったら、みんな反対するでしょ?」「民衆に伝えず、導いたほうがいいこともある」と反論し、選挙投票に行った経験が「ない」という智子に“主権在民”について説明します。

 この後もあーだこーだと政治論を交わす2人。「みんなのために1人が犠牲になるのはおかしい」と言い切る智子に、藤堂は「僕は国政に行って、みんなの幸せを選びます」と吐き捨て、その場を去っていきます。

■一生のチュパチュパシーンは?

 産廃処理場の建設計画について市民に公表した智子は、「議会を開いて、みなさんに決めてもらいたいと思います」と、この件は直接民主主義制で決めると宣言。1回目の「市民の議会」では閑古鳥が鳴いていたものの、智子や仲間たちがビラなどで参加を呼びかけ、徐々に人が集まるように。

 一方、「どうしても書きたいことがある」と新聞社に辞表を提出した和美は、『佐藤智子の挑戦 あおば市の投票率を全国一にした市長』という本を執筆、出版します。

 そして、場面は3年後へ。子どもを抱えた未亜(前田敦子)や、市議を続けている岡本(千葉雄大)や園田(トレンディエンジェル・斎藤司)、市長の座に戻った河原田、穏やかな隠居生活を送る犬崎、大学で勉強するデリヘル嬢・莉子(今田美桜)、政治記者として活躍する和美、国政で活躍する藤堂の姿がパッパッと少しずつ映り、最後は議員バッジを付けた智子が登場。国会議事堂を背景に、カメラ目線で「本当に、この世の中を変えられるのは、あなたです」と微笑み、終了です。

■う……

 うぜええーーー!! 最後のセリフ、うぜええーーー!!

 いや、響く人には響くんでしょうよ。でも、報酬金目的で市議会議員になった主婦が、カメラ目線で「政治への無関心はダメ」って視聴者に説教するまでがあまりにも短すぎて……。しかも、これまで描いてたのって、ほとんど市議会内の内紛だったじゃん。最終回に「政治への無関心」っていうテーマをギュウギュウに詰め込まれても……。これ100回見るより、池上彰が笑顔で「みなさん、今、議会で何が行われてるか、知りたくないですか?」って1回言ったほうが、よっぽど人々の興味を引きますよ……。

 ちなみに、9回目に開かれた「市民の議会」で、智子は「いいですか、みなさん。私たち、ひとりひとりの無関心が積み重なって、結局は一部の人間だけが得をする。そんな世の中になってしまうんです! あとになって、あれ、おかしいなあ、なんて思ったって、もう遅いんですよ。民衆の敵は外にいるんではありません。私たち、ひとりひとりの無関心、それこそが民衆の敵なんです!」と力説するんですが、どうしても「なんで大切なこと描いてるのに、『民衆の敵』をみんな見てくれないの!? 見てくれない視聴者こそ、民衆の敵よ!」という制作サイドの嘆き声に聞こえてしまって、物悲しく感じられてしまいました。

 というわけで、一生がデリヘル嬢役の女の子とケーキの生クリームをペロペロしていた頃がピークだった『民衆の敵』。いつまでも「篠原の黒歴史」と言われるのはかわいそうなので、早く忘れてあげましょう。
(文=どらまっ子TAMOちゃん)

ラストシーンに鳥肌……『民衆の敵』最終回は“月9史上最低4.6%”篠原涼子の黒歴史確定!

 篠原涼子主演の月9『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(フジテレビ系)。25日放送の最終回(15分拡大SP)の平均視聴率は、単話として月9史上最低の4.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。1月期の西内まりや主演『突然ですが、明日結婚します』第6話の5.0%を0.4%も下回ってしまいました。ああ……、前クールの月9『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』の最終回は、16.4%だったのに……。

 なお、『民衆の敵』全10話の期間平均視聴率は、『突然ですが、明日結婚します』と並ぶ6.7%。最近、地味などんより展開が続いていた同作ですが、「見たくないなあ……」「全話レビュー書くって言わなきゃよかったなあ……」という気持ちが募るあまり、最終回の放送中は裏番組の『きょうの料理』(NHK Eテレ)で束の間の逃避を計ってしまいました。だって、土井善晴先生が白みそ仕立てのお雑煮(丸餅入り)作ってたんだもん。ハッピー。

 で、『民衆の敵』って初回は9.0%と、ここまで悪くなかったんですよ。なんで約半分にまで落ち込んでしまったのでしょう? その原因を探りつつ、あらすじを振り返ります。

※前回までのレビューはこちら
http://www.cyzo.com/tag/民衆の敵

■一生のペロペロシーンは?

 市議会のドン・犬崎(古田新太)にはめられ、不正献金の疑いをかけられてしまった佐藤智子市長(篠原涼子)。そんな中、藤堂(高橋一生)が千葉報知新聞の和美(石田ゆり子)に接触。「犬崎を告発してほしい」と、犬崎会派の不正流用された領収書のコピーを預けます。

 新聞の一面で不正献金が報じられた犬崎は、マスコミから追及される身に。さらに、犬崎の手下だった元福祉課長の富田(渡辺いっけい)は、犬崎が前市長の河原田(余貴美子)や智子を貶めていたことを暴露。自身も嫌疑をかけることに協力したことを認めます。

 市議会から犬崎が去り、「やっと市長の仕事ができる」「ここからが本当のスタート」と笑顔を見せる智子。犬崎が押し進めてきたニューポート建設計画も白紙に戻るかと思いきや、藤堂が智子に向かって「僕は、ニューポート建設に賛成している」と告白。ニューポート建設の真の目的は“産廃処理場”の併設であり、「国から多額の交付金が入ります。その交付金があれば、佐藤市長の福祉政策はすべて実現します」と説明します。

 これに、智子は「そんな良いことだったらさ、なんで最初からそう言わないの?」と反論。藤堂は「最初から言ったら、みんな反対するでしょ?」「民衆に伝えず、導いたほうがいいこともある」と反論し、選挙投票に行った経験が「ない」という智子に“主権在民”について説明します。

 この後もあーだこーだと政治論を交わす2人。「みんなのために1人が犠牲になるのはおかしい」と言い切る智子に、藤堂は「僕は国政に行って、みんなの幸せを選びます」と吐き捨て、その場を去っていきます。

■一生のチュパチュパシーンは?

 産廃処理場の建設計画について市民に公表した智子は、「議会を開いて、みなさんに決めてもらいたいと思います」と、この件は直接民主主義制で決めると宣言。1回目の「市民の議会」では閑古鳥が鳴いていたものの、智子や仲間たちがビラなどで参加を呼びかけ、徐々に人が集まるように。

 一方、「どうしても書きたいことがある」と新聞社に辞表を提出した和美は、『佐藤智子の挑戦 あおば市の投票率を全国一にした市長』という本を執筆、出版します。

 そして、場面は3年後へ。子どもを抱えた未亜(前田敦子)や、市議を続けている岡本(千葉雄大)や園田(トレンディエンジェル・斎藤司)、市長の座に戻った河原田、穏やかな隠居生活を送る犬崎、大学で勉強するデリヘル嬢・莉子(今田美桜)、政治記者として活躍する和美、国政で活躍する藤堂の姿がパッパッと少しずつ映り、最後は議員バッジを付けた智子が登場。国会議事堂を背景に、カメラ目線で「本当に、この世の中を変えられるのは、あなたです」と微笑み、終了です。

■う……

 うぜええーーー!! 最後のセリフ、うぜええーーー!!

 いや、響く人には響くんでしょうよ。でも、報酬金目的で市議会議員になった主婦が、カメラ目線で「政治への無関心はダメ」って視聴者に説教するまでがあまりにも短すぎて……。しかも、これまで描いてたのって、ほとんど市議会内の内紛だったじゃん。最終回に「政治への無関心」っていうテーマをギュウギュウに詰め込まれても……。これ100回見るより、池上彰が笑顔で「みなさん、今、議会で何が行われてるか、知りたくないですか?」って1回言ったほうが、よっぽど人々の興味を引きますよ……。

 ちなみに、9回目に開かれた「市民の議会」で、智子は「いいですか、みなさん。私たち、ひとりひとりの無関心が積み重なって、結局は一部の人間だけが得をする。そんな世の中になってしまうんです! あとになって、あれ、おかしいなあ、なんて思ったって、もう遅いんですよ。民衆の敵は外にいるんではありません。私たち、ひとりひとりの無関心、それこそが民衆の敵なんです!」と力説するんですが、どうしても「なんで大切なこと描いてるのに、『民衆の敵』をみんな見てくれないの!? 見てくれない視聴者こそ、民衆の敵よ!」という制作サイドの嘆き声に聞こえてしまって、物悲しく感じられてしまいました。

 というわけで、一生がデリヘル嬢役の女の子とケーキの生クリームをペロペロしていた頃がピークだった『民衆の敵』。いつまでも「篠原の黒歴史」と言われるのはかわいそうなので、早く忘れてあげましょう。
(文=どらまっ子TAMOちゃん)

真木よう子、小雪、西内まりや……“大コケ”クイーンは誰の手に!? 2017年ドラマ低視聴率ランキング

『ドクターX~外科医・大門未知子~』第5期(テレビ朝日系)、『陸王』(TBS系)、『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』(フジテレビ系)……と、今年も話題の連続ドラマが多くの視聴者を感動させた一方で、あまり関心を寄せてもらえず、早期打ち切りとなった地獄のような作品も存在します。そんなドラマが「2017年のうちに成仏できますように」との思いを込め、残念ながら低視聴率に終わった民放プライム帯ドラマを振り返ります。

■首位はもちろん『セシル』!

 全話平均視聴率が7%を切ってしまったドラマは、11作品。ワーストランキングは以下の通りです(ビデオリサーチ調べ、関東地区/クールまたぎ除く)。

1位『セシルのもくろみ』(フジテレビ系)4.5%
2位『大貧乏』(フジテレビ系)4.9%
3位『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』(フジテレビ系)5.3%
4位『明日の約束』(フジテレビ系)5.7%
5位『僕たちがやりました』(フジテレビ系)6.1%
6位『今からあなたを脅迫します』(日本テレビ系)6.1%
7位『人は見た目が100パーセント』(フジテレビ系)6.4%
8位『嫌われる勇気』(フジテレビ系)6.5%
8位『警視庁いきもの係』(フジテレビ系)6.5%
8位『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)6.5%
11位『突然ですが、明日結婚します』(フジテレビ系)6.7%

 トップは、11月に篠原涼子主演映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の降板が発覚するなど、何かと話題の真木よう子が主演の『セシルのもくろみ』。7位の『人は見た目が100パーセント』同様、「女は女らしくあるべき」「女はおしゃれをするべき」というフジの揺るがない価値観がこれでもかと詰め込まれた作風で、第6話では驚愕の3.7%を記録してしまいました。

 最終回では、主人公による約10分間の演説シーンが。「そういうネットニュースが出るたびに、いちいち右往左往するのはどうなんでしょう? もう数字とか、ネットとか、そんな本当の正体もわからないものに振り回されるの、やめにしませんか?」「先日は、撮影を飛ばしてしまって、すいませんでした!」など、自身に関するもろもろの騒動をネタにしたセリフを言わされていた真木ですが、結局、同作を最後に表舞台から姿を消してしまいました……。

■フジ“死に枠”が廃止に

 2位は、小雪にとって14年ぶりの連ドラ主演となった『大貧乏』。裏番組の木村拓哉主演『A LIFE~愛しき人~』が、竹内結子、松山ケンイチ、及川光博、浅野忠信、木村文乃とこれでもかと主役級の役者を盛り込んだせいか、大苦戦。小雪は、子育てに奮闘するシングルマザー役を好演していましたが、世間ではあまり話題になりませんでした。

 もちろん、キャスティングだけのせいではないにしろ、小雪はここ数年「親になって初めて人間にさせていただいた」発言や、「(明日、起こるはずの日食を)見ました」発言など、“失言女優”のイメージが定着。好感度の低さが数字に表れてしまったのかもしれませんね。

 3位は、観月ありさにとって“テレビドラマ主演女優連年記録”26年目となる『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』。『大貧乏』の後番組だったこともあり、心配通りの結果となってしまいました。

 しかし、同作で号泣した筆者としては、正直、もっと評価されてほしかった……。主人公の「お前の骨には敬意を払う」「骨は決して裏切らないんだ」という独特なセリフ回しにも違和感はなく、観月の“なりきりぶり”に感心。原作ファンはいろいろ思うところがあるかもしれませんが、いやほんと、こんな変人役がはまる女優さんって、なかなかいませんよ。

 なお、『大貧乏』や『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』が放送されたフジの日曜夜9時枠は、9位の渡部篤郎主演『警視庁いきもの係』を最後に廃枠となってしまいました。

■“カンテレ制作枠”失墜のきっかけ

 5位の窪田正孝主演『僕たちがやりました』は、草なぎ剛主演『嘘の戦争』、小栗旬主演『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』と、それまで好調続きだった火曜夜9時台のカンテレ制作枠の数字をガクンと落とすきっかけに。筆者含め熱いファンは多かったものの、エログロありの挑戦的な作風が視聴者層を狭めたのか、最終回も6.0%と低視聴率のまま終わってしまいました。

 当たり前ですよ、初回から加藤諒演じる高校生が腕に「ウンコ」ってピンで彫られたり、主人公ら高校生が、金持ちの先輩から無限に金を配られるドラマを、うちの両親が見るとは思えないもの。あと、自分の子どもにも見せたくない……。

 8位の『嫌われる勇気』は、“死に枠”の「木曜劇場」枠で放送。主演の香里奈は、「アドラー心理学で提唱される特徴をそのまま具現化したような人物」を“ほぼスッピン”で好演していましたが、「日本アドラー心理学会」が“放送中止”か“脚本の大幅な見直し”を求めてフジに抗議文を送ったことで、ミソが付いてしまいました。

 11位は、西内まりや主演の月9『突然ですが、明日結婚します』。これが俳優デビューとなったflumpool・山村隆太の大根ぶりもさることながら、脚本が兎にも角にもクソでした。脚本は、山室有紀子さんと倉光泰子さんの共同作とのことですが、倉光さんが後に面白ドラマ『刑事ゆがみ』の脚本を手掛けたとはいまだに信じられません。そのくらい『突然ですが、明日結婚します』は、子ども騙しの安直な恋愛ドラマでした。ああ、逆に見直したくなってきた……。

 みなさん、いかがでしたでしょうか? あまりにも話題にならなかったため、「そんなんあったっけ?」というドラマもあったかもしれませんね。しかし、ドラマの制作現場は、役者もスタッフも命がけ。全てのドラマが日の目を見られるよう、「日刊サイゾー」ではこれからも“全話レビュー(http://admin.cyzo.com/review.html)”を続けていきます!
(文=どらまっ子TAMOちゃん)

そして日向先生は伝説のカウンセラーとなった! 井上真央の“神演技”が炸裂『明日の約束』最終回

「悩み続けるしかないんだと思います。親の思い込みや決めつけは、子どもにとってつらいんです。愛情だと分かるから、心がどんどん縛られていくんです」

 井上真央主演の社会派ミステリー『明日の約束』(フジテレビ系)の最終話。視聴率の低迷から途中打ち切りにならないかと心配された井上真央の復帰作でしたが、なんとか全10話を完走しました。前回までに誰が吉岡圭吾を自殺に追い詰めたのかという謎解きは済ませていたので、最終回はスクールカウンセラー日向先生を演じた井上真央の、主演女優として圧巻演技が炸裂した50分間となったのでした。

 いつもはドラマのエンディングを飾っていた東方神起が歌う主題歌「Reboot」が流れる中、胸騒ぎのラストエピソードが幕を開けます。愛する息子・圭吾(遠藤健慎)を自殺で失った最凶毒親・吉岡真紀子(仲間由紀恵)との戦いも最終ラウンドです。小嶋記者(青柳翔)から預かった圭吾の肉声が残された音声データを、日向先生は真紀子の家へと届けに行きます。これまで日向先生のことを拒絶していた真紀子ですが、この日はどうも様子が違います。日向先生が圭吾の仏壇に「線香をあげたい」とお願いすると、あっさり「どうぞ」と許可したのでした。

 自殺を考えている人は、無意識のうちにSOSを発していると言われています。日向先生が圭吾の遺影に向かって手を合わせると、近くに真紀子が書いた遺書らしきものがあることに気づきます。圭吾の肉声が唯一残されている大切な音声データは、水槽の中に投げ込まれていました。真紀子が後追い自殺を考えていることを、日向先生は察知します。3カ月間ずっと真紀子に苦しめられてきた日向先生ですが、臨床心理士として、いやその場に居合わせた人間として放っておくわけにはいきません。

 死んであの世にいる圭吾に、自殺の原因は本当に自分なのかどうかを確かめたいと口走る真紀子。短大を卒業後、親から言われるがままにお見合い結婚し、23歳のときに産んだ圭吾だけが真紀子の生き甲斐でした。真紀子は自分が理想の母親になることで、圭吾に幸せな人生を歩ませようと誓ったのです。自分自身にとっても、そして圭吾にとっても絶対的なユートピアとなる理想の家庭を築き上げることに尽力した真紀子でした。でも、大人にとっての完成されたユートピアは、未来のある子どもにとっては自由のないディストピアとなってしまうのです。

 最愛の息子を失い、高校を訴える裁判も取り止めになり、生きる気力を失った真紀子に向かって、日向先生は圭吾から自殺前夜に告白されたことをようやく打ち明けます。「あなたのせいで圭吾が!」と真紀子は詰め寄りますが、そんな真紀子の怒りと憎しみを敢えて日向先生は受け止めるのでした。

「それで真紀子さんが生きようと思うのなら、それでもかまいません。あのとき、答え方が違っていたら何かが変わっていたかもしれません。私は心の苦しみを汲み取ってあげられなかった。ごめんさない」

 日向先生が胸の内をさらけ出したことで、真紀子は圭吾が死んで苦しんでいるのは自分ひとりではなかったことに気づきます。ドラマ開始から15分間にわたる、井上真央と仲間由紀恵との緊張感溢れる演技バトルでした。

 

■これが見納め、毒親・尚子の鬼顔スマッシュ!

 

 女子プロレスラーの豊田真奈美選手は、11月に行われた引退試合で前代未聞となる54人掛けのラストファイトを披露しましたが、最終話の日向先生/井上真央もそれに近いものを感じさせました。真紀子との息詰まるバトルの後は、もっとも身近で、いちばん扱いにくい実の母親・尚子(手塚理美)との決着戦です。

 圭吾の自殺騒ぎに日向の婚約解消といろいろありましたが、この夜は尚子と日向は一緒にコタツに入って、珍しくまったりモードです。「どこか温泉でも行かない?」と尚子は機嫌よさげです。せっかくの母娘の団欒タイムでしたが、日向は意を決して「家を出ていく」と尚子に告げるのでした。

「何よ、それ。ママに相談もなしで。ねぇピッピ、聞いた? また日向が変なこと言うのよ~」

 例によって日向が自己主張すると、尚子は文鳥のピッピちゃんに呼び掛け、家庭内議会での多数派であることを誇示するのでした。そして3カ月間ハラハラドキドキしどおしだった、背面からの振り向きざまの鬼顔スマッシュを決めます。

「本気で言ってんの、あんた? 日向はそんなにママのことが嫌いなの?」

 毒とドスの効いた尚子の高圧的な台詞に対し、日向は一度まぶたを閉じ、ためをつくってから乾坤一擲となる言霊を口から吐き出します。

「嫌いじゃないよ。だから、つらいんじゃない」

 毒親の恐ろしさは、本人が「自分は毒親」と気づいていないことです。日向は涙をボロボロとこぼしながら、尚子の押しつけがましい愛情に子どもの頃から苦しんできたことを訴えます。それでも尚子はまだ自分の非を認めようとはしません。

「あんたなんか二度と顔も見たくない! やっぱりママのことが嫌いなんでしょ。ちゃんと嫌いって言ってから、出ていきなさいよッ」

 日向はこのとき、ずっと研ぎ澄ましてきた優しいナイフで尚子に斬り掛かります。

「言わない。自分を産んでくれた人のことを嫌いになることは、自分を嫌いになることと同じことだから」

 

■日向先生がテレビ界に残したものとは?

 

 2人の毒親とのデスマッチを終えた日向先生は、高校に残される生徒や教師たちに終業式の場でラストメッセージを贈ります。井上真央は主演映画『八日目の蝉』(11)や『白ゆき姫殺人事件』(14)に代表されるように、“受け”の芝居が抜群にうまい女優です。『明日の約束』でも手塚理美や仲間由紀恵のテンション高めな演技に対し、抑えた芝居でずっと応え続けました。演技キャリアのない若手俳優たちとの共演シーンでは、相手のまっすぐな演技を引き出してみせました。でも視聴率は低迷したまま。そんな中でブレずに腐らずに自分の芝居を貫き、そして最後の最後に女優としての底力を発揮してみせます。日本のテレビドラマや映画での壇上での演説シーンは鼻白んでしまうことが多いのですが、井上真央は自分自身や自分の周囲にいる親しい人たちに向かって語り掛けるように、この3カ月間で芝居を通して体感してきたことを言葉へと凝縮していくのでした。

「私がいちばん許せないのは、吉岡圭吾くんです。亡くなった人を否定的に話すのはよくないと思います。でも、私は今を生きている人に言いたいのです。自殺という行為を、つらい現実から逃げるための手段と思ってほしくないんです。吉岡くんにも生きて逃げる勇気を持ってほしかった。生きることから逃げさえしければ、人はやり直せるから。幸せが約束された明日ではなくても、それでも明日も生きていることが大切だと信じてください」

 ノーサイドの時間です。これまで日向先生を窮地に追い込んできた小嶋記者や仮面ティーチャー・霧島先生(及川光博)は日向先生の名スピーチを褒め讃えて学校を去っていきます。日向先生から別れを告げられた年下の恋人・本庄(工藤阿須加)は「今の仕事を辞めて、医大を再受験する」とのことです。16歳のひとりの少年が自殺を遂げたという悲しい事実は変わりませんが、日向先生と共にこの事件に関わった人たちは、ほんの少しですが成長を遂げ、生きていくことの重みを背負う覚悟ができたのではないでしょうか。

 最後に関西テレビが制作した『明日の約束』の功罪について考えたいと思います。毒親というテーマに真っ正面から向き合った姿勢は高く評価されますが、視聴率は初回の8.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)以降は伸び悩み、最終回も5.9%に留まりました。もっと多くの人に観てもらうための工夫がされてしかるべきでした。サスペンス要素を強くしたために、1話~3話を見逃していた人たちが途中から入りづらかった点も惜しまれます。またシリアスムードのドラマにあって、コメディリリーフの役割を任されていたのが白洲迅と新川優愛の若手2人だったのも荷が重すぎたように思います。

 オリジナルストーリーであることを謳っている『明日の約束』ですが、2016年に出版されたノンフィクション『モンスターマザー 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』(福田ますみ著、新潮社刊)が企画のベースになっていることは明らかです。もちろん、『モンスターマザー』には日向先生のようなスクールカウンセラーは登場しませんし、『明日の約束』はフィクションドラマとして独自の展開をしています。実際に05年に起きた高校生自殺事件の傷跡が当事者たちには、まだ残る『モンスターマザー』を原作本としてクレジットすると諸々問題があったのでしょうが、関西テレビと新潮社側とでうまくコミュニケーションできていれば、双方にとって効果的な宣伝もできたように思います。例えば、原作として明記するのではなく、「原案」や「企画協力」にするとか。『モンスターマザー』で書かれている毒親のリアルな凄まじさや性善説に基づいた学校教育の危うさは、もっと知られるべきでしょう。日本のテレビ界に社会派ドラマを定着させるための課題も残した番組だったと言えそうです。

 10月の番組スタートからずっと苦虫を噛み潰したような表情だった日向先生でしたが、最終回では毒親との和解を果たしたバスケ部マネジャーの増田(山口まゆ)や真紀子の娘・英美里(竹内愛紗)の元気そうな近況を知り、ようやく明るい笑顔を見せてくれました。自分のことよりも、子どもたちの幸せを喜ぶ日向先生が、とても神々しく思えた瞬間でした。3カ月間、難しい問題に向き合ってきた日向先生/井上真央、お疲れさまでした。そして、決して明るくはないドラマを応援し続けてきた視聴者のみなさんも。どうかよい年をお迎えください。

(文=長野辰次)

20.5%『陸王』最終回に見たスポ根ドラマとしての完成度と「感動の押し売り感」の正体

 日曜劇場『陸王』(TBS系)も最終回。視聴率は20.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、最後の最後で大台に乗せました。おめでとうございます。数字に恥じない、熱のこもった最終回だったと思います。そんなわけで、振り返りです。

前回までのレビューはこちらから

 世界的アウトドアメーカー・Felixの御園社長(松岡修造)から提案された買収計画を、ギリギリで断った足袋業者・こはぜ屋の宮沢社長(役所広司)。代わりに考えてきた業務提携案には色よい返事をもらえず、新たな取引先を探すべく奔走中です。

 こはぜ屋には独自の技術であるシルクレイがありますが、先日製造機がぶっ壊れたので、最低でも1億円くらいないと生産を再開できません。とあるヘルメットメーカーが話を聞いてくれたりもしましたが、天敵であるアトランティス社(以下、ア社)の小原(ピエール瀧)が裏から手を回し、結局ご破算に。そんな折、例の御園社長から電話がかかってきます。

「ということは、Felixは我々を支援してくれるということでしょうか?」

 一度は断った業務提携を、御園社長は飲むといいます。3億円の融資をすると。ただしその条件は厳しく、返済期限は5年。最初の3年間はFelixからの発注を確約するが、それ以降は一切の保証なし。で、5年で返せなければ、こはぜ屋を乗っ取ると。

 悩む宮沢でしたが、やはり陸王への思いは断ち切れず、この融資を受けることにしました。

 

■アトランティスの茂木、RIIを履く

 

 一方、実業団ランナーの茂木くん(竹内涼真)は、再びア社とサポート契約を結びました。ケガをしたらサポートを打ち切り、治ったら今度は実業団チームそのものを人質にとって契約を迫るア社のやり方には不満タラタラですが、カリスマシューフィッターの村野さん(市川右團次)も「今度のRII(アール・ツー=ア社の看板シューズ)は悪くない」と言ってるので、再起をかける豊橋国際マラソンにはRIIを履いて出場することになります。

 そんな茂木くんを、こはぜ屋一同は応援に行くことに。宮沢社長にとって豊橋国際といえば、レース中にケガに倒れた茂木くんを目の当たりにし、陸王開発に乗り出した思い出の大会。たとえ茂木くんが陸王ではなくRIIを履くとしても、応援したい気持ちに変わりはありません。

 ところで、こはぜ屋にはまだ1足だけ、茂木モデルの陸王が残っています。飯山さん(寺尾聰)が開発したシルクレイに、社長の息子・大地(山崎賢人)が探してきたアッパー素材を、あけみさん(阿川佐和子)たち縫製おばちゃん軍団が縫い付け、カリスマシューフィッター村野さんがカリスマ的な調整を施したスペシャルな陸王です。しかし、今や茂木くんはア社と契約の身。豊橋国際で陸王を履くことは許されません。

 それでも、こはぜ屋一同の思いを知った村野さんは、こっそりこの陸王を茂木に手渡します。「持っていてくれるだけでいいからと。RIIを履くことを知りながら、お前のことを応援したいと、そういう連中の気持ちそのものだ」と。

「心が温かくなります……」

 茂木くんもうれしそうです。

 

■アトランティスの茂木、陸王を履く

 

 そうして迎えたレース当日。RIIを履いて準備に余念のない茂木くんに、大学時代からのライバル・毛塚(佐野岳)が声をかけます。

「おい、完走はしろよ。この前みたいに棄権なんていう無様なオチは許さねえ」

 2年前の豊橋国際で明暗が分かれた茂木と毛塚。それ以降、2人の差は広がるばかりでした。その間、ニューイヤー駅伝で茂木が毛塚に勝る結果を残したこともありましたが、世間の評価は覆っていません。日本人トップなら世界陸上への出場が約束されるこのレース。毛塚にとっては、単なる通過点でしかありませんでした。

 ちなみに、こはぜ屋は会社を休んで社員全員で応援に来ていますが、大地だけはまだ現場についていません。就活中の大地はこの日、当初からの第一志望だった大手企業・メトロ電業の最終面接なのです。終わったら新幹線で来るそうです。

 レース前、練習している茂木くんに、宮沢社長は、神社で願掛けしてもらったという手編みの靴ひもを手渡します。「お守り代わりに、持っててください」と。

 またいたく感動してしまった茂木くん、RIIを脱ぎ捨て「俺はこの陸王を履きます」とア社・小原に宣言。当然、契約違反ですし小原は激怒しますが、どうやら本気のようです。

「今のこはぜ屋さんは、2年前の俺なんです」

 陸王を履いてスタート地点に現れた茂木くんを見て、こはぜ屋一同は超びっくり&大感動。何しろ、履く履かない以前に、この陸王が茂木くんの手に渡っていることすら知らなかったので、ほぼ全員号泣のままレースがスタートします。

 

■マラソンドラマとして見どころ満載

 

 レースは、先行するケニア勢を毛塚と茂木が追う展開。先頭集団から、同大会2連覇中のサイラス・ジュイ(本人)が飛び出すと、毛塚と茂木も集団を置き去りにして三つ巴の状態に。

 40キロ過ぎにサイラスが脚を痛めてリタイア。毛塚と茂木の一騎打ちとなり、最後は茂木が毛塚をかわして優勝を果たします。

 このレースシーンが、単純にスポ根の魅力に満ちていて非常に楽しかったです。

 スタート直前、毛塚は、茂木がRIIから陸王に履き替えていることに気付きます。

毛「結局、そっち履いたんだ」

茂「ああ」

毛「いい靴なんだな、それ」

茂「最高だ」

 これまで、毛塚は陸王を見るたびにバカにしてきました。そして、陸王を履く茂木のこともバカにしてきました。しかしここにきて、ようやく茂木を、そして陸王を認めたのでした。静かなやり取りでしたが、大きな意味を持つシーンです。

 30キロ過ぎ、毛塚は給水を一度飛ばし、勝負に出ます。茂木も毛塚も、かつて箱根を制した登りのスペシャリスト。ゆるい登りが続くこの区間が勝負どころでしたが、給水のタイムロスを嫌ってリスクを取った毛塚がリードします。

 35キロ。先行する毛塚が、今度は給水に失敗。ボトルを落としてしまいます。30キロ地点の給水を飛ばしている毛塚にとっては、致命的なミス。しかし茂木はこれをチャンスと受け取らず、自分のボトルを毛塚に手渡します。なんてフェアな! 実際、マラソン中継ではしばしば見られる光景ですが、ドンピシャな演出です。これで盛り上がらないはずがありません。

 38キロ。もっとも苦しい距離ですが、並走する2人は実に楽しそうです。互いの実力を認め合ったアスリート同士の、2人だけの世界が描かれます。もはや経済ドラマを見ていることも忘れそうです。どこのシューズを履いてるとか、どうでもよくなってきました。

 40キロ。2年前に茂木が倒れた同じ地点で、トップを走るサイラスが脚を痛めました。路上に這いつくばるサイラスを見て、茂木は動揺を隠せません。しかしそこには、宮沢社長と息子・大地の姿がありました。

 茂木にとっても、こはぜ屋にとっても、すべてはこの場所から始まったのでした。

 宮沢が叫びます。

「陸王を信じて走れ、茂木──!」

 ああ、お見事。茂木が勝つことはドラマ的に当然なんですが、ここまで説得力を持ってマラソンシーンを描かれたら、もう感服するしかありません。

 レース後、敗者となった毛塚は茂木に握手を求めます。茂木には、ケガで低迷していたときにサポートスタッフとして参加したレースで、好成績を残した毛塚に握手を求めて無視された記憶があります。その毛塚が、自ら茂木に握手を求めてくるのです。

「つええな……。次は、俺が勝つ」

 なんて爽やか! 清々しいスポ根! 面白かったー!

 

■『陸王』全話における“感動と約束事”のトレードオフ

 

 レース後、勝利者インタビューで茂木くんは、陸王を掲げて「この陸王に支えられました」と、堂々と話します。「こはぜ屋のみなさんに、今日の優勝は捧げたいと思います」と。

 ア社の契約ランナーなのに。まだ契約破棄の手続きだってしてないはずなのに。レースでRIIを履かないだけでも大問題なのに、よりによって競合他社製品を大々的に宣伝している。結果、陸王は大ヒット商品になり、こはぜ屋は工場を増築。Felixからの融資にも返済の目処が立ったようです。一方、ア社の小原は左遷されてしまいました。契約不履行された上に職を解かれる小原さん、かなり不憫です。

 もちろん、インタビューで陸王に感謝を述べる茂木くんの姿はカッコいいし、感動的なんです。だけど、これはないですよ。片方でFelixとこはぜ屋の「買収か業務提携か」という契約の話を何週にも渡って条件の細部までシビアに語っておいて、もう片方で茂木とア社、茂木が所属するダイワ食品とア社との契約について、茂木の「謝罪します」の一言で済ましちゃうというのは、まるで筋が通ってないですよ。

『陸王』では、こうした感動と約束事のトレードオフがしばしば行われてきました。第1話では、おばちゃんたちの行動を献身的な美談として語るために「サービス残業」を肯定する描写がありました。

 第9話では、大地の頑張りを強調しつつ「最後の陸王」を演出するために、タチバナラッセルとの「3月までの契約」をウヤムヤにし、残っているはずのアッパー素材の在庫を消失させてしまいました。

 最終回の茂木の行動も、社会人としてあるまじき行為であることに疑いの余地はありません。ア社や小原のやり方を汚く描いておいて、それをやっつければ、社会通念上むっちゃ非常識な判断を行ったとしても許される、感動できる、という論法です。

 少なくとも上記3つの例は、原作では描かれていません。なぜなら、こうした約束事の破棄は、一方で宮沢が戦っているビジネス上の「清濁併せ飲もうよ感」や「時には妥協も必要だよ感」「契約だからしょうがないよ感」と同居できないからです。一本の作品の中で、求められるビジネスマナーの水準や仕事上の倫理感が一貫していなければ、経済小説として成立しないからです。

 これらの設定を、ドラマの脚本家が追加しました。結果、物語に振り幅が生まれ、見応えのあるシーンが演出されました。エモーショナルでリッチなドラマの一丁上がりです。これ、どちらがいいとか悪いとかいう話ではないです。好みの問題として、このやり方は好みじゃなかった。もっと視聴者を信じていいと思うし、もっと原作を信じていいと思うんです。なんか評判がよろしくないリトグリちゃんの歌なんかより、こういう「感動の押し売り」的なあざとさのほうが、よっぽど没入を妨げる要素だったと思います。

 

■後半の間延び感について

 

 結局最後まで見ていて、もっとも盛り上がったのは第6話のニューイヤー駅伝と今回の豊橋国際マラソンでした。宮沢社長を演じる役所広司は終始すばらしい、まったくすばらしいとしかいいようのない芝居でしたし、トリックスター気味に投入された松岡修造の、なんと達者なことか。風格で役所広司に対抗できる俳優が誕生したというのは、日本の映画・ドラマ界において大きな収穫だと思います。

 それでも、マラソンシーンの興奮には勝らなかった。特に7話以降の間延び感については、ちょっと見ていられないくらいでした。

『陸王』は宮沢社長が判断を繰り返す物語です。ひとつ判断すれば、次の危機が来る。それを判断で乗り越えれば、また新しい危機が来る。その繰り返しの中で、宮沢社長の中に成長が訪れ、判断基準や決断のプロセス、結果に対する熱量が変化していくのが面白いところなんですが、ドラマは宮沢社長目線ではなく、基本的には息子・大地と茂木くん目線で進むので、宮沢社長の内面描写がおざなりになっていた部分があると思うんです。

 深く悩んだり、それなりに周囲に感謝しながら判断を下しているそのプロセスの中で、何度も「ただのヒステリックおじさん」に見えてしまう場面があった。これは物語の構造的な問題なので、作りようによって解決できたかどうかは難しいところだと思うんですが、主人公周辺が盛り上がりに欠けたのは、そんなところが原因なのかなと思います。

 とはいえ、面白かったし、好きな作品ではあるんですよ。第1話からチャキチャキ阿川さんはずっとキュートでしたし、第5話の馬場徹さんの「新しい陸王、完成したら、私、買います」には心底痺れたし、第6話の音尾くんの「バテるに決まっとろうが!(号泣)」には私も泣かされました。大手への就職が決まったのに、こはぜ屋に残ると言った大地と、その大地を諭す社長でもあり父親でもある宮沢の姿もよかった。正直、このレベルで作り込まれた作品って、少ないと思います。豪腕、達人、巨匠……福澤克雄監督と福澤組のみなさんには、どんな賛辞だって惜しくない。だからこそ、なんというか、もうちょい視聴者を信じてほしいと思っちゃうんですよねえ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

20.5%『陸王』最終回に見たスポ根ドラマとしての完成度と「感動の押し売り感」の正体

 日曜劇場『陸王』(TBS系)も最終回。視聴率は20.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、最後の最後で大台に乗せました。おめでとうございます。数字に恥じない、熱のこもった最終回だったと思います。そんなわけで、振り返りです。

前回までのレビューはこちらから

 世界的アウトドアメーカー・Felixの御園社長(松岡修造)から提案された買収計画を、ギリギリで断った足袋業者・こはぜ屋の宮沢社長(役所広司)。代わりに考えてきた業務提携案には色よい返事をもらえず、新たな取引先を探すべく奔走中です。

 こはぜ屋には独自の技術であるシルクレイがありますが、先日製造機がぶっ壊れたので、最低でも1億円くらいないと生産を再開できません。とあるヘルメットメーカーが話を聞いてくれたりもしましたが、天敵であるアトランティス社(以下、ア社)の小原(ピエール瀧)が裏から手を回し、結局ご破算に。そんな折、例の御園社長から電話がかかってきます。

「ということは、Felixは我々を支援してくれるということでしょうか?」

 一度は断った業務提携を、御園社長は飲むといいます。3億円の融資をすると。ただしその条件は厳しく、返済期限は5年。最初の3年間はFelixからの発注を確約するが、それ以降は一切の保証なし。で、5年で返せなければ、こはぜ屋を乗っ取ると。

 悩む宮沢でしたが、やはり陸王への思いは断ち切れず、この融資を受けることにしました。

 

■アトランティスの茂木、RIIを履く

 

 一方、実業団ランナーの茂木くん(竹内涼真)は、再びア社とサポート契約を結びました。ケガをしたらサポートを打ち切り、治ったら今度は実業団チームそのものを人質にとって契約を迫るア社のやり方には不満タラタラですが、カリスマシューフィッターの村野さん(市川右團次)も「今度のRII(アール・ツー=ア社の看板シューズ)は悪くない」と言ってるので、再起をかける豊橋国際マラソンにはRIIを履いて出場することになります。

 そんな茂木くんを、こはぜ屋一同は応援に行くことに。宮沢社長にとって豊橋国際といえば、レース中にケガに倒れた茂木くんを目の当たりにし、陸王開発に乗り出した思い出の大会。たとえ茂木くんが陸王ではなくRIIを履くとしても、応援したい気持ちに変わりはありません。

 ところで、こはぜ屋にはまだ1足だけ、茂木モデルの陸王が残っています。飯山さん(寺尾聰)が開発したシルクレイに、社長の息子・大地(山崎賢人)が探してきたアッパー素材を、あけみさん(阿川佐和子)たち縫製おばちゃん軍団が縫い付け、カリスマシューフィッター村野さんがカリスマ的な調整を施したスペシャルな陸王です。しかし、今や茂木くんはア社と契約の身。豊橋国際で陸王を履くことは許されません。

 それでも、こはぜ屋一同の思いを知った村野さんは、こっそりこの陸王を茂木に手渡します。「持っていてくれるだけでいいからと。RIIを履くことを知りながら、お前のことを応援したいと、そういう連中の気持ちそのものだ」と。

「心が温かくなります……」

 茂木くんもうれしそうです。

 

■アトランティスの茂木、陸王を履く

 

 そうして迎えたレース当日。RIIを履いて準備に余念のない茂木くんに、大学時代からのライバル・毛塚(佐野岳)が声をかけます。

「おい、完走はしろよ。この前みたいに棄権なんていう無様なオチは許さねえ」

 2年前の豊橋国際で明暗が分かれた茂木と毛塚。それ以降、2人の差は広がるばかりでした。その間、ニューイヤー駅伝で茂木が毛塚に勝る結果を残したこともありましたが、世間の評価は覆っていません。日本人トップなら世界陸上への出場が約束されるこのレース。毛塚にとっては、単なる通過点でしかありませんでした。

 ちなみに、こはぜ屋は会社を休んで社員全員で応援に来ていますが、大地だけはまだ現場についていません。就活中の大地はこの日、当初からの第一志望だった大手企業・メトロ電業の最終面接なのです。終わったら新幹線で来るそうです。

 レース前、練習している茂木くんに、宮沢社長は、神社で願掛けしてもらったという手編みの靴ひもを手渡します。「お守り代わりに、持っててください」と。

 またいたく感動してしまった茂木くん、RIIを脱ぎ捨て「俺はこの陸王を履きます」とア社・小原に宣言。当然、契約違反ですし小原は激怒しますが、どうやら本気のようです。

「今のこはぜ屋さんは、2年前の俺なんです」

 陸王を履いてスタート地点に現れた茂木くんを見て、こはぜ屋一同は超びっくり&大感動。何しろ、履く履かない以前に、この陸王が茂木くんの手に渡っていることすら知らなかったので、ほぼ全員号泣のままレースがスタートします。

 

■マラソンドラマとして見どころ満載

 

 レースは、先行するケニア勢を毛塚と茂木が追う展開。先頭集団から、同大会2連覇中のサイラス・ジュイ(本人)が飛び出すと、毛塚と茂木も集団を置き去りにして三つ巴の状態に。

 40キロ過ぎにサイラスが脚を痛めてリタイア。毛塚と茂木の一騎打ちとなり、最後は茂木が毛塚をかわして優勝を果たします。

 このレースシーンが、単純にスポ根の魅力に満ちていて非常に楽しかったです。

 スタート直前、毛塚は、茂木がRIIから陸王に履き替えていることに気付きます。

毛「結局、そっち履いたんだ」

茂「ああ」

毛「いい靴なんだな、それ」

茂「最高だ」

 これまで、毛塚は陸王を見るたびにバカにしてきました。そして、陸王を履く茂木のこともバカにしてきました。しかしここにきて、ようやく茂木を、そして陸王を認めたのでした。静かなやり取りでしたが、大きな意味を持つシーンです。

 30キロ過ぎ、毛塚は給水を一度飛ばし、勝負に出ます。茂木も毛塚も、かつて箱根を制した登りのスペシャリスト。ゆるい登りが続くこの区間が勝負どころでしたが、給水のタイムロスを嫌ってリスクを取った毛塚がリードします。

 35キロ。先行する毛塚が、今度は給水に失敗。ボトルを落としてしまいます。30キロ地点の給水を飛ばしている毛塚にとっては、致命的なミス。しかし茂木はこれをチャンスと受け取らず、自分のボトルを毛塚に手渡します。なんてフェアな! 実際、マラソン中継ではしばしば見られる光景ですが、ドンピシャな演出です。これで盛り上がらないはずがありません。

 38キロ。もっとも苦しい距離ですが、並走する2人は実に楽しそうです。互いの実力を認め合ったアスリート同士の、2人だけの世界が描かれます。もはや経済ドラマを見ていることも忘れそうです。どこのシューズを履いてるとか、どうでもよくなってきました。

 40キロ。2年前に茂木が倒れた同じ地点で、トップを走るサイラスが脚を痛めました。路上に這いつくばるサイラスを見て、茂木は動揺を隠せません。しかしそこには、宮沢社長と息子・大地の姿がありました。

 茂木にとっても、こはぜ屋にとっても、すべてはこの場所から始まったのでした。

 宮沢が叫びます。

「陸王を信じて走れ、茂木──!」

 ああ、お見事。茂木が勝つことはドラマ的に当然なんですが、ここまで説得力を持ってマラソンシーンを描かれたら、もう感服するしかありません。

 レース後、敗者となった毛塚は茂木に握手を求めます。茂木には、ケガで低迷していたときにサポートスタッフとして参加したレースで、好成績を残した毛塚に握手を求めて無視された記憶があります。その毛塚が、自ら茂木に握手を求めてくるのです。

「つええな……。次は、俺が勝つ」

 なんて爽やか! 清々しいスポ根! 面白かったー!

 

■『陸王』全話における“感動と約束事”のトレードオフ

 

 レース後、勝利者インタビューで茂木くんは、陸王を掲げて「この陸王に支えられました」と、堂々と話します。「こはぜ屋のみなさんに、今日の優勝は捧げたいと思います」と。

 ア社の契約ランナーなのに。まだ契約破棄の手続きだってしてないはずなのに。レースでRIIを履かないだけでも大問題なのに、よりによって競合他社製品を大々的に宣伝している。結果、陸王は大ヒット商品になり、こはぜ屋は工場を増築。Felixからの融資にも返済の目処が立ったようです。一方、ア社の小原は左遷されてしまいました。契約不履行された上に職を解かれる小原さん、かなり不憫です。

 もちろん、インタビューで陸王に感謝を述べる茂木くんの姿はカッコいいし、感動的なんです。だけど、これはないですよ。片方でFelixとこはぜ屋の「買収か業務提携か」という契約の話を何週にも渡って条件の細部までシビアに語っておいて、もう片方で茂木とア社、茂木が所属するダイワ食品とア社との契約について、茂木の「謝罪します」の一言で済ましちゃうというのは、まるで筋が通ってないですよ。

『陸王』では、こうした感動と約束事のトレードオフがしばしば行われてきました。第1話では、おばちゃんたちの行動を献身的な美談として語るために「サービス残業」を肯定する描写がありました。

 第9話では、大地の頑張りを強調しつつ「最後の陸王」を演出するために、タチバナラッセルとの「3月までの契約」をウヤムヤにし、残っているはずのアッパー素材の在庫を消失させてしまいました。

 最終回の茂木の行動も、社会人としてあるまじき行為であることに疑いの余地はありません。ア社や小原のやり方を汚く描いておいて、それをやっつければ、社会通念上むっちゃ非常識な判断を行ったとしても許される、感動できる、という論法です。

 少なくとも上記3つの例は、原作では描かれていません。なぜなら、こうした約束事の破棄は、一方で宮沢が戦っているビジネス上の「清濁併せ飲もうよ感」や「時には妥協も必要だよ感」「契約だからしょうがないよ感」と同居できないからです。一本の作品の中で、求められるビジネスマナーの水準や仕事上の倫理感が一貫していなければ、経済小説として成立しないからです。

 これらの設定を、ドラマの脚本家が追加しました。結果、物語に振り幅が生まれ、見応えのあるシーンが演出されました。エモーショナルでリッチなドラマの一丁上がりです。これ、どちらがいいとか悪いとかいう話ではないです。好みの問題として、このやり方は好みじゃなかった。もっと視聴者を信じていいと思うし、もっと原作を信じていいと思うんです。なんか評判がよろしくないリトグリちゃんの歌なんかより、こういう「感動の押し売り」的なあざとさのほうが、よっぽど没入を妨げる要素だったと思います。

 

■後半の間延び感について

 

 結局最後まで見ていて、もっとも盛り上がったのは第6話のニューイヤー駅伝と今回の豊橋国際マラソンでした。宮沢社長を演じる役所広司は終始すばらしい、まったくすばらしいとしかいいようのない芝居でしたし、トリックスター気味に投入された松岡修造の、なんと達者なことか。風格で役所広司に対抗できる俳優が誕生したというのは、日本の映画・ドラマ界において大きな収穫だと思います。

 それでも、マラソンシーンの興奮には勝らなかった。特に7話以降の間延び感については、ちょっと見ていられないくらいでした。

『陸王』は宮沢社長が判断を繰り返す物語です。ひとつ判断すれば、次の危機が来る。それを判断で乗り越えれば、また新しい危機が来る。その繰り返しの中で、宮沢社長の中に成長が訪れ、判断基準や決断のプロセス、結果に対する熱量が変化していくのが面白いところなんですが、ドラマは宮沢社長目線ではなく、基本的には息子・大地と茂木くん目線で進むので、宮沢社長の内面描写がおざなりになっていた部分があると思うんです。

 深く悩んだり、それなりに周囲に感謝しながら判断を下しているそのプロセスの中で、何度も「ただのヒステリックおじさん」に見えてしまう場面があった。これは物語の構造的な問題なので、作りようによって解決できたかどうかは難しいところだと思うんですが、主人公周辺が盛り上がりに欠けたのは、そんなところが原因なのかなと思います。

 とはいえ、面白かったし、好きな作品ではあるんですよ。第1話からチャキチャキ阿川さんはずっとキュートでしたし、第5話の馬場徹さんの「新しい陸王、完成したら、私、買います」には心底痺れたし、第6話の音尾くんの「バテるに決まっとろうが!(号泣)」には私も泣かされました。大手への就職が決まったのに、こはぜ屋に残ると言った大地と、その大地を諭す社長でもあり父親でもある宮沢の姿もよかった。正直、このレベルで作り込まれた作品って、少ないと思います。豪腕、達人、巨匠……福澤克雄監督と福澤組のみなさんには、どんな賛辞だって惜しくない。だからこそ、なんというか、もうちょい視聴者を信じてほしいと思っちゃうんですよねえ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)