『99.9』変人・深山が“透明人間”の謎を解くも、まるで金沢市のPR動画状態?

 嵐・松本潤が変人・刑事弁護士役を演じるドラマ『99.9 -刑事専門弁護士- SEASONII』(TBS系)の第2話が21日に放送され、平均視聴率18.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から2.9%の大幅アップとなりました。

 今回、深山大翔(松本潤)が調査するのは、26年前に石川県・金沢市で起きた、そして深山自身の父親・大介(首藤康之)が容疑者として逮捕された女子高生殺人事件。第一審で有罪判決が下り、控訴の手続きの途中で大介が死去したため、そのままお蔵入りとなった事件です。

 26年前の事件のあらましは以下の通り。殺害が起こった当夜20時40分頃、車で駅前を通りかかった大介は、顔見知りの美里(織田梨沙)を見つけ、雨が降っていたこともあり家へ送っていくことに。その10分後、美里は妹へのお菓子を買うためコンビニの前で降車し、大介はそのまま帰宅。その翌朝、美里の遺体が雑木林で発見され、その傍には美里と大介の指紋だけが付着した傘が落ちていた。さらに、帰宅後のアリバイ証言が妻以外になかったため、大介は最重要容疑者になってしまったのです。

 しかし、前回のラスト、被害者の妹・鏑木美由紀(野々すみ花)から、新たな遺留品(水晶の御守り)が見つかったと連絡が入り、真犯人発見の可能性に賭けて深山は再調査をすることに決めたのでした。

 当時の捜査・裁判記録を洗い直したところ、不思議なことがわかってきます。殺害現場には傘以外、指紋や足跡、DNAなどが一切残っていなかった。事件当夜、雨が降っていたことを抜きにしても、まるで“透明人間”による犯行のようなのです。

 その一方、美由紀の証言により、事件が起こる数カ月前から美里が男性にしつこく言い寄られていたことが発覚。また、事件当夜、美里はコンビニに入らなかったこともわかり、恐らくその店内にストーカー男がいたのでは? と深山は推測。しかし、当時のコンビニ店長に問い合わせてみると、美里が大介の車から降りた時間帯に“お客”はいなかったとのことで、調査は難航してしまいます。

 そんな折、深山の上司・佐田篤弘(香川照之)が、家族を伴って金沢に到着。すると、佐田の娘・かすみ(畑芽育)が遺留品とまったく同じ御守りを持っていて、それが信州の山頂にある神社で売っている縁結びの御守りであることが判明します。

 深山たちが足を運んだ結果、その神社には確かに遺留品と同じ御守りが売られていました。そして、26年前の入山記録を調べるとそこには、美里の遺体の第一発見者だった警察官・小倉学(薬丸翔)の名前が。さらに、殺害現場に落ちていた傘には小倉の指紋も付着していたことが判明。事件当時、小倉は初動捜査の際のミスで指紋が付着したと主張したのですが、実際は美里を殺害した時に傘に触れていたのです。

 また、コンビニ店長に改めて確認したところ、事件当夜、店内にお客はいなかったものの、巡回していた小倉はいたことが発覚。つまり、“透明人間”は警察官という職業と、検察側が不利な証言を揉み消したことにより作り出されたものだったのです。

 以上の調査結果を、深山は26年前の担当検事・大友修一(奥田瑛二)に突き付け、大友は責任をとるカタチで辞職。父親の汚名をそそいだところで終了となりました。

 さて、感想ですが、前回同様に今回も、容疑者逮捕に至った経緯がお粗末すぎる印象が否めませんでした。殺害現場にあったのは傘に付着した指紋だけ。アリバイについては妻の証言しかなかったため効力が弱かったとのことですが、普通に暮らしていたら大概そんなものでしょう。逆にアリバイがある方が怪しいですよ。

 また、犯人が警察というパターンは、古くはトマス・バークによる短編推理小説『オッターモール氏の手』や、日本人作家でいえば貫井徳郎氏による傑作小説『慟哭』(東京創元社)など、ミステリー界では割と多いパターンなので新鮮味は感じられませんでした。

 それと、もう1つ気になったのは、深山が26年前の事件を再調査した動機。新たに見つかった遺留品は父親や被害者の物ではないと断定していましたが、なぜそんなことが言い切れるのか。家族が持っている物を、何から何まですべて把握している人っているものなんですかね。

 そんな疑問点があったためイマイチ真相究明のくだりに引き込まれず、やたらと街並みや自然の美しさが映し出されたため、金沢市のPR動画を見ているような錯覚に陥る瞬間がしばしばありました。

 ただ、調査の時は意見が食い違うものの、おやじギャグが飛び出した瞬間にだけ親友のように仲が良くなる深山と佐田の関係性や、個性派揃いの脇役陣の演技は、前シーズン以上に見ていて面白い。タイトルが厳かなため難事件を期待してしまいますが、謎解きとコミカルな小ネタとのバランスという観点でいえば、人気ドラマシリーズ『トリック』や『時効警察』(共にテレビ朝日系)などに通じるような良さがあると思うので、この先の高視聴率も期待できるのではないでしょうか。
(文=大羽鴨乃)

『99.9』変人・深山が“透明人間”の謎を解くも、まるで金沢市のPR動画状態?

 嵐・松本潤が変人・刑事弁護士役を演じるドラマ『99.9 -刑事専門弁護士- SEASONII』(TBS系)の第2話が21日に放送され、平均視聴率18.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から2.9%の大幅アップとなりました。

 今回、深山大翔(松本潤)が調査するのは、26年前に石川県・金沢市で起きた、そして深山自身の父親・大介(首藤康之)が容疑者として逮捕された女子高生殺人事件。第一審で有罪判決が下り、控訴の手続きの途中で大介が死去したため、そのままお蔵入りとなった事件です。

 26年前の事件のあらましは以下の通り。殺害が起こった当夜20時40分頃、車で駅前を通りかかった大介は、顔見知りの美里(織田梨沙)を見つけ、雨が降っていたこともあり家へ送っていくことに。その10分後、美里は妹へのお菓子を買うためコンビニの前で降車し、大介はそのまま帰宅。その翌朝、美里の遺体が雑木林で発見され、その傍には美里と大介の指紋だけが付着した傘が落ちていた。さらに、帰宅後のアリバイ証言が妻以外になかったため、大介は最重要容疑者になってしまったのです。

 しかし、前回のラスト、被害者の妹・鏑木美由紀(野々すみ花)から、新たな遺留品(水晶の御守り)が見つかったと連絡が入り、真犯人発見の可能性に賭けて深山は再調査をすることに決めたのでした。

 当時の捜査・裁判記録を洗い直したところ、不思議なことがわかってきます。殺害現場には傘以外、指紋や足跡、DNAなどが一切残っていなかった。事件当夜、雨が降っていたことを抜きにしても、まるで“透明人間”による犯行のようなのです。

 その一方、美由紀の証言により、事件が起こる数カ月前から美里が男性にしつこく言い寄られていたことが発覚。また、事件当夜、美里はコンビニに入らなかったこともわかり、恐らくその店内にストーカー男がいたのでは? と深山は推測。しかし、当時のコンビニ店長に問い合わせてみると、美里が大介の車から降りた時間帯に“お客”はいなかったとのことで、調査は難航してしまいます。

 そんな折、深山の上司・佐田篤弘(香川照之)が、家族を伴って金沢に到着。すると、佐田の娘・かすみ(畑芽育)が遺留品とまったく同じ御守りを持っていて、それが信州の山頂にある神社で売っている縁結びの御守りであることが判明します。

 深山たちが足を運んだ結果、その神社には確かに遺留品と同じ御守りが売られていました。そして、26年前の入山記録を調べるとそこには、美里の遺体の第一発見者だった警察官・小倉学(薬丸翔)の名前が。さらに、殺害現場に落ちていた傘には小倉の指紋も付着していたことが判明。事件当時、小倉は初動捜査の際のミスで指紋が付着したと主張したのですが、実際は美里を殺害した時に傘に触れていたのです。

 また、コンビニ店長に改めて確認したところ、事件当夜、店内にお客はいなかったものの、巡回していた小倉はいたことが発覚。つまり、“透明人間”は警察官という職業と、検察側が不利な証言を揉み消したことにより作り出されたものだったのです。

 以上の調査結果を、深山は26年前の担当検事・大友修一(奥田瑛二)に突き付け、大友は責任をとるカタチで辞職。父親の汚名をそそいだところで終了となりました。

 さて、感想ですが、前回同様に今回も、容疑者逮捕に至った経緯がお粗末すぎる印象が否めませんでした。殺害現場にあったのは傘に付着した指紋だけ。アリバイについては妻の証言しかなかったため効力が弱かったとのことですが、普通に暮らしていたら大概そんなものでしょう。逆にアリバイがある方が怪しいですよ。

 また、犯人が警察というパターンは、古くはトマス・バークによる短編推理小説『オッターモール氏の手』や、日本人作家でいえば貫井徳郎氏による傑作小説『慟哭』(東京創元社)など、ミステリー界では割と多いパターンなので新鮮味は感じられませんでした。

 それと、もう1つ気になったのは、深山が26年前の事件を再調査した動機。新たに見つかった遺留品は父親や被害者の物ではないと断定していましたが、なぜそんなことが言い切れるのか。家族が持っている物を、何から何まですべて把握している人っているものなんですかね。

 そんな疑問点があったためイマイチ真相究明のくだりに引き込まれず、やたらと街並みや自然の美しさが映し出されたため、金沢市のPR動画を見ているような錯覚に陥る瞬間がしばしばありました。

 ただ、調査の時は意見が食い違うものの、おやじギャグが飛び出した瞬間にだけ親友のように仲が良くなる深山と佐田の関係性や、個性派揃いの脇役陣の演技は、前シーズン以上に見ていて面白い。タイトルが厳かなため難事件を期待してしまいますが、謎解きとコミカルな小ネタとのバランスという観点でいえば、人気ドラマシリーズ『トリック』や『時効警察』(共にテレビ朝日系)などに通じるような良さがあると思うので、この先の高視聴率も期待できるのではないでしょうか。
(文=大羽鴨乃)

2話目にしてクライマックス!?  『トドメの接吻』ヤンデレ・志尊淳の“重すぎる愛”に山崎賢人が……

 イケメン俳優・山崎賢人がチュッチュしまくりのドラマ『トドメの接吻』(日本テレビ系)。第1話の平均視聴率は7.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ/以下同)と、初回から不穏な空気が漂いまくりでしたが、14日放送の第2話では、6.5%という0.9ポイントダウンの残念な結果に。

「愛なんか求めるから人は不幸になる」と、金と権力のためだけに女を弄ぶホスト“エイト”こと堂島旺太郎(山崎賢人)が、ある日突然目の前に現れた謎の女(門脇麦)にキスをされ命を落とし、7日前にタイムリープしてしまう……という“邪道ラブストーリー”が展開する本作ですが、主人公の度重なるタイムリープに、視聴者が飽きてしまった感も否めませんでした。これからどう『ドメキス』ファンを囲っていくのでしょうか……。第2話のあらすじから振り返っていきたいと思います。

*前回のレビューはこちらから

 

■「死」あるところに「キス女」アリ

 旺太郎は、自分のボディガード役を買って出た後輩ホスト・和馬(志尊淳)と行動を共にすることに。キス女に怯える日々を送りながら、年商100億円のホテルグループのお嬢様・美尊(新木優子)に近づく策を練っていました。ある日、旺太郎が働くホストクラブ「ナルキッソス」にやってきた美尊の友人たちを接客していると、突然、旺太郎が控室に置いておいた精力ドリンクを飲んだ同僚ホストが倒れ、救急車で運ばれる騒ぎに。どうやら、ドリンクには毒が盛られていたようで、さらに旺太郎のロッカーから毒物が見つかったことから、旺太郎は殺人未遂の容疑者として逮捕されてしまいました。

 和馬の助けにより、なんとか警察署から逃げ出した旺太郎ですが、キス女から呼び出され、向かった先で今度は何者かにナイフで刺されてしまいます。しかし、そこに現れたキス女の口付けで、毒入りドリンク騒動の前にタイムリープ。事件をなんとか防ぎ、美尊の家の乗馬倶楽部が開く初乗り会にルンルンで参加しますが、肝心の美尊ちゃんとはお近づきになれず、やはりそこでも倒れてきた木材の下敷きになり、死……にそうになりますが、またも現れたキス女にブチュっとかまされ(以下略)。

 こうしてタイムリープを繰り返した旺太郎は、過去の経験を活かし、美尊に本音が言えずに悩む友人・真凛(唐田えりか)を脅迫しながらも、彼女たちの仲を取り持ったことで、美尊との距離を縮めることに成功するのです。めでたしめでたし! と思いきや……。

■ヤンデレ・和馬の重~い「愛」

 美尊とちょっぴり“イイ感じ”になった旺太郎の元へ、和馬から電話が。キス女が「佐藤宰子(さいこ)」という名前であることは突きとめていた旺太郎ですが、なんと、和馬は彼女の住所がわかったというのです。猛ダッシュで和馬が待つアパートに駆けつけた旺太郎。恐る恐る部屋のドアを開けると、そこに待っていたのは宰子ではなく、壁一面に貼られた旺太郎の隠し撮り写真と、その真ん中に赤い文字で書かれた「愛」という文字(しかも超達筆)。顔面蒼白の旺太郎。ハンガーには、見覚えのある女装用の衣装。そう、ここは宰子の部屋ではなく、和馬の部屋だったのです。

「ずっと、好きでした。一緒に死んであげます」とヤンデレ度高めのセリフとともに包丁を向けてくる和馬。逃げる旺太郎ですが、ブスッと思いっきり腹部を刺されてします。今回ばかりは宰子も来てくれません。絶体絶命の旺太郎の元へやってきたのは、ストリートミュージシャン・春海(菅田将暉)でした。彼は、息も絶え絶えの旺太郎を見ながら「な、言ったろ。宰子はエイトを助けてるって」と笑い転げるばかりで、止血したり救急車を呼ぶ素振りは見せません。「おらは生き返っただ~♪」と意味ありげに口ずさんでいました。と、今週はここまで。

 2話目にして衝撃展開の連続だった今話。まずは、旺太郎を狙っていた犯人である和馬。単に売れっ子ホストであるエイトを尊敬し、キャンキャンと子犬のように懐いているだけかと思っていましたが、旺太郎の家に行く時はスキップしながら「フゥ~!」ってテンションアゲアゲだったし、何気なく旺太郎が発した「結婚」というワードに反応してみたり、「その女グセは死ななきゃ治んないのかもな」ってつぶやいてみたり。その裏にはエイトへの「愛」があったんですね。そんな人を殺そうとしてしまうくらいですから、彼、かなりこじらせちゃっています。1話で旺太郎を橋の上からつき落としたのも、きっと彼なんでしょうね。和馬のこの裏切り行為により、愛を必要としない旺太郎は、さらに愛を信じられなくなってしまいそうです……。

 そういえば、和馬役の志尊くんは、16年に同枠で放送された『そして、誰もいなくなった』でも、藤原竜也演じる主人公のかわいい後輩でありながら、最終的に裏切る“悪男”を演じていました。今作でも、そのかわいらしいルックスからは想像もつかないような、黒~い演技を見せてくれています。来週は、和馬の殺意が美尊ちゃんに向けられるとか。悪役を演じる志尊くん、素顔とのギャップがあって個人的に好きなので、来週も密かに彼に期待しています。

■謎の女はキスで命を救うヒーローだった!

 さてさて、もうひとつは、実にあっさり名前と仕事を旺太郎に知られてしまった“キス女”こと佐藤宰子。旺太郎も途中で気が付いたように、やはり彼女は、旺太郎を「キスで殺す」のではなく、「キスで助けていた」ようです。今話冒頭でも、「あなた、狙われてる……かっ」と、和馬が旺太郎を殺そうとしていることを警告していましたし、思い返せば1話でも「ア、アナタ、シヌ」とメッセージを送っていました。毒入りドリンクのことを知らせるよう、店のロッカーに「デンジャラス」と書かれたメモを残したのも、彼女の仕業だったのでしょう。

 では、いったいなぜ彼女は旺太郎を助けるのか? なぜキスでタイムリープさせられるのか? そして、旺太郎のタイムリープと宰子を知るストリートミュージシャンの春海とはどういう関係なのか? 謎はまだまだありますが、なんたってまだまだ序盤ですから、今後描かれていくだろう宰子という人物のバックボーンも楽しみです。

 このように、1話での伏線がサラッと回収され、怒涛の展開をみせた今話。前回のレビューで、「タイムリープの回数が多くて飽きる」と書きましたが(http://www.cyzo.com/2018/01/post_147811.html)、初回が強烈すぎて慣れたのか、今回はさほど退屈には感じませんでした。というのも、1話ではストーリーの展開の速さについていくことだけに集中してしまっていたため、物語に隠された伏線を見逃してしまっていたからだと今話を見て気がついたからです。

 旺太郎がタイムリープをすればするほど、各所に散りばめられた伏線に気がつき、自分なりの推理を楽しむことができるので、旺太郎のタイムリープは決して無駄ではないのだと思います(ただし、尺の長さは気になりますが)。“間違い探し”や“謎説き”が好きな人の知的好奇心をくすぐるドラマなのではないでしょうか。この先物語がどう展開していくのか、繰り返されるシーンでも、気を抜かずに画面に集中したいと思います。

 さて、次週からは、宰子のキスによって生かされ、タイムリープしていたことに気が付いた旺太郎が、今度は自ら宰子の元へキスを求めに行くようです。これまで受身だった旺太郎が、グイグイ積極的に宰子に迫っていく姿は、女性なら胸キュン間違いなしでしょう。個人的には、12年前の船の事故と関わりがありそうな美尊の兄・尊氏(新田真剣佑)の動向にも注目したいと思います。
(文=どらまっ子TAROちゃん)

『隣の家族は青く見える』厚生労働省とのタイアップは大丈夫!? LGBT描写にはあざとさも……

 18日に第一回が放送された深田恭子・松山ケンイチ主演のドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、うわべは幸せそうな4組の「家庭」が抱えるそれぞれの悩みや、価値観の違いから生まれる摩擦を描くっぽい。いわゆる「妊活」を軸にしたドラマとは聞いていたものの、オンエアを観るまで今ひとつ雰囲気がわからなかったのだが、思ってたよりも軽やかなコメディ路線。「ヒューマンコメディ」というやつでしょうか。

 コーポラティブハウスとは、入居者が集まって土地を買ったりデザインしたりを自主的に行って建てる集合住宅らしく、このドラマでは一軒家が4軒、そして中庭は共有スペースとなっており、若干ヒッチコックの『裏窓』(1954)っぽい印象。殺人は起きないはず。古くてすみません。さて「ご近所さん」とも「お隣さん」とも違う、その距離感がどんな摩擦を生むのか。

■まず登場人物は?

 この4世帯がどうやって出会ったかの経緯は省かれているが、それぞれ他人同士。最初に住宅設計の打ち合わせで4組の住民が集合した際は、それぞれ幸せそうな家庭なり夫婦なりに見えた。

・五十嵐大器(松山ケンイチ)と五十嵐奈々(深田恭子)夫妻。それぞれ玩具メーカー勤務とスキューバダイビングインストラクターの、いわゆる幸せそうな新婚さん。子どもなし。

・川村亮司(平山浩行)と杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)の結婚しそうな同棲カップル。スタイリストとネイリストで、業界臭強め。子どもなし。

・小宮山真一郎(野間口徹)と小宮山深雪(真飛聖)のベーシックな家庭。商社マンと専業主婦。小さい子どもが2人。

・広瀬渉(眞島秀和)渋い独身。このコーポラティブハウスを設計した一級建築士で、モテそう。子どもなし。

 しかし、これはあくまでうわべだ。段々それぞれの歪みや本音が見えてくる。

 

■「女は子どもを産んでこそ一人前」

 まず、拮抗を崩してきたのは、いわゆる旧態依然とした価値観を、悪気なくよかれと思って押し付けてくる専業主婦の小宮山深雪。

「みなさんもいずれは、お子さん作られるでしょうしね?」の何気ない(それでいて無神経な)一言が、他の3組の会話をピタリと止める。

「お仕事お忙しいのはわかるけど、子どもは絶対作ったほうがいいわよ~」

「いろんな考え方があっても子ども欲しいっていうのは女性共通の願いよ。やっぱり女っていうのは子どもを産んでこそ一人前だもん」

「少しでも少子化に歯止めかけなきゃね?」

 他3組の微妙な空気を察した夫・真一郎が止めても、尻に敷いてるようでお構いなしに持論を展開。もうこの時点で、一緒に住むのを放棄する人がいてもおかしくないのでは? と思うほどだが、さらに、夫の海外赴任が多かった過去を自慢気に語ったりと、見事なヒールぶり。

 子ども作れ発言に我慢できなくなった業界カップル・杉崎ちひろは、仕事のふりをして途中退席、パートナーの川村にぶちまける。

「私みたいに子ども欲しくない人だっているし、欲しくたってできない人だっているんだよ? 無神経じゃん!」

 川村に「そう反論すればよかったのに?」とのんきに言われるも、「これからお隣さんになるのに、そんなこと言えるわけないじゃん」。

 しかし怒りつつも、なんだかんだ川村(バツイチだが、そこもイジれる関係)といちゃついたり。カラッとしてるのが救いか。だが、小宮山深雪は小宮山深雪で、ちひろの高級バッグをさりげなく睨みつけ、嫉妬丸出し。火種が燻っている感じだ。

 五十嵐夫妻は、クセ的には一番フラットな家庭なのだが、やはりというか、夫・大器の母親が子作りをせっついてくる様子。深雪の「自分がひた走る価値観に周りを巻き込むことで安心したい」という弱さからくる感情よりも、もっとわかりやすい、いわゆる年老いた親が子ども夫妻に望むアレだ。

 奈々が子作りに前向きなことがわかり、さっそくベッドインしたがる大器。絵に描いたように平和だ。

 そして、ダンディな設計士・広瀬。

 設計事務所の上司に、独立や、そのモチベーションとなる結婚や子作りをせっつかれている様子だが、表情が暗い。同僚の長谷部留美(橋本マナミ)が「結婚してくれたら子どもも産んであげる」と冗談ともつかないノリでからんでくるが、やはり広瀬は笑えない。

 そんなある日、馴染みのバーで酔った青年・青木朔(さく・北村匠海)と出会う。

 かつて付き合ってたパートナーの結婚式に出席した帰りだということで、荒れ気味に酔ってる青木が、何気なく言った言葉を広瀬は聞き逃さなかった。

「普通、付き合ってた男、結婚式呼びます?」

「行かなきゃ良かったのに」(マスター)

「だってー……どんな女か見たかったんだもん……」

 予感がしたのか、静かに反応する広瀬。結論からいうと、広瀬はゲイだ(おそらくマスターは知ってる空気)。

 それが確定するのは、歩けないほど酔った青木との帰り道。

「わたるん(広瀬)も、こっち側の人だよね?」と言われて、そのままキスを受け入れる。

 LGBTに向き合いたいのか、ただ見世物的にBLっぽいことをやりたいのかはまだわからないが、ただ一部の層に向けたあざとさはバシバシと感じた。なぜならこのパートだけ不自然に美化されたおとぎ話のようだったから。

 物語は途中で、1年が経過する。

■1年たって入居後

 中庭で、一家で餅つきをしながら家族円満をアピールする小宮山深雪。

 通りかかった広瀬にお見合い相手を紹介しようとしたり、派手な格好で「ニューイヤーパーティ」に出かける川村夫妻(まだ同棲状態だが結婚間近)のブランドバッグを目に、またしても自分のバッグを恥じて隠したりと相変わらず。

 実は、小宮山真一郎は多すぎる転勤を苦に、妻に言わずに商社を退職しており、世間体を過剰に気にする深雪はそれを恥じ、周囲どころか子どもたちにすら隠している。次の仕事が決まらない真一郎に激怒し、会社に行くふりをさせ、帰りも早く帰ってきたら邪魔者扱いし、それでいて自分はキレイな部屋をブログに上げてのアクセス数増加に満足したりと、虚栄心に飲み込まれ具現化されたモンスターとして描かれる。弱腰の夫にピリつく時に、昼ドラのような過剰なBGMアリ。

 一方の五十嵐夫妻は、未だ子宝に恵まれず。

「1年以上、避妊なしの性交を続けても妊娠に至らなかった場合、検査するまでもなく不妊症と言えます」

 主治医(伊藤かずえ)にいきなり言われ、驚く2人。主治医に不妊治療の覚悟を問われるも、特に夫の大器は、妻の奈々に比べ、筆者のような多くの男性がそうであるように、妊娠や出産にいまいち無知な男性といった感じで受動的だ。

「もし、治療を始めるのであれば、明日の夜か、明後日の朝、性交渉をしてください(笑顔)」

「……え? 性交渉?」

「……ご主人、何か問題でも?」

「ん、ん、いえ、ん……(動揺)」

 他にも、精液採取に大器が戸惑うなど、深刻な空気を出しすぎないようにしてる印象。

 さらに、広瀬の元には、1年付き合ってきた青木が押しかけてくる。同居するために住むところを引き払い、背水の陣で攻め入るとは、なかなかの爆弾小僧。

「一つの棟に4軒しかないから、お互いにどんな生活してるか、すぐわかるって」と怒る広瀬だが、「もしかして遊びだった?」と、逆に詰め寄る青木。押し切られるように同居が始まった。

「幸せ。わたるんの料理一生食べ続けたい」

「たくさん養子とって大家族作る」

 と、グイグイくる青木に対し、「この話は以上」と広瀬は先をはぐらかす。広瀬は職場にも周りの家族にも、いわゆるカミングアウト的なことはしていない。

 部屋でワインを飲みながら食べてたのがアヒージョなのかどうかTwitter検索で確認しようと思い「わたるん」と打ち込むと、すかさず予測で「わたるん 受け」「わたるん 攻め」という言葉が並ぶ。結局「妊活」ドラマというより、こっちの話題が先行してる様子。

 そして、ここまでただひたすらにバブリーなだけだったスタイリスト川村の元に突然、前妻の死を告げる電話が。5年間、一度も会っていなかったという前妻との子どもにそっけなくされるなど、いきなり暗雲が。

 家に帰ってきてもどこか様子がおかしいので、ちひろに「子どものこと迷ってんじゃないかなって思って」と言われ、「え?」と思わず焦ってしまう川村。

「言っとくけど、私、本当に産まないよ?(その後あーだこーだ)」

 川村は、前妻との子どものことを念頭に置いて焦ったのだろう。ちひろには、まだ何も伝えていない様子。わた……広瀬と青木の時もそうだが、こういった会話の細かい仕掛けがうまい。

 ちなみに前妻の子どもが父親を無視して見ていたのは、大人気ユーチューバーのフィッシャーズ。チョイスに、やや媚びを感じました。

■リアルな4家庭が出揃う

・不妊症発覚の五十嵐夫婦。

・結婚目前で、前妻との子どもをどうするか問題が出てきた川村と子ども欲しくない杉崎ペア。

・他人を妬み価値観押し付けがちな妻と、その妻に言い返せない無職の夫。子どもは元気そう。

・ゲイカップルの広瀬と青木。

 第1回放送を見終わって感じたのは、主演の2人が少し薄い印象。

 今が一番かわいいとの呼び声高い魔性の女・深キョンこと深田はもちろんかわいいのだが、いまいち感情が見えない。演技のせいというより、そういうシーンをあえて省いてる気も。これが深田にプラスなのかマイナスなのか……。妊活の前の晩に、うなぎ、山かけ納豆、レバニラを晩御飯に出してくる深田というか奈々は古典的ですが、よかったです。

 コミカルな芝居もうまい松ケンのからみは王道な感じでいいのだが、いまいち妊活部分もとってつけた感じがして、特に医者とのからみあたりは薄い『コウノドリ』(TBS系)のような印象。その軽さがいいのかもしれないけど、それぞれ「昼ドラ」だったり「BL」だったりと、(意図的に?)とっちらからせてる雰囲気を、どうまとめ上げるのかが見ものです。

 今のところ一番気になるのは、スタイリスト川村が実子をどうするのかという問題。それでなくても「子どもいらない」を連呼してる強気なパートナー・杉崎ちひろと結婚目前なのに。いけすかねえ金持ちスタイリストだと思ってノーマークだっただけに、5年ぶりに会った子どもの前でぎくしゃくする平山浩行の芝居がとても良かったです。

 あと、気になったのはこの番組が厚生労働省の「ポジティブ・シェアリング」「こころの耳」に賛同してタイアップを行っていること。「みんなの力で心を軽く!」だかの啓蒙スローガンを掲げていたが、なんかこれを知った途端に、少し萎えました。

 まあドラマだし、と見て見ぬ振りしてた「なんだかんだ全員やけに金持ってそうじゃん」問題が見過ごしにくくなったり。別にドラマだし、みすぼらしくする必要はないのだが、悩みのある人に寄り添うという役所の政策がちらつくと、どうしても少し見え方が変わってきてしまう。

 その辺のタイアップなどの縛りの影響で、教習所で見せられるような交通安全の映画みたいになるのだけはぜひとも避けていただきたい。第2話も期待してます!
(文=柿田太郎)

『隣の家族は青く見える』厚生労働省とのタイアップは大丈夫!? LGBT描写にはあざとさも……

 18日に第一回が放送された深田恭子・松山ケンイチ主演のドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、うわべは幸せそうな4組の「家庭」が抱えるそれぞれの悩みや、価値観の違いから生まれる摩擦を描くっぽい。いわゆる「妊活」を軸にしたドラマとは聞いていたものの、オンエアを観るまで今ひとつ雰囲気がわからなかったのだが、思ってたよりも軽やかなコメディ路線。「ヒューマンコメディ」というやつでしょうか。

 コーポラティブハウスとは、入居者が集まって土地を買ったりデザインしたりを自主的に行って建てる集合住宅らしく、このドラマでは一軒家が4軒、そして中庭は共有スペースとなっており、若干ヒッチコックの『裏窓』(1954)っぽい印象。殺人は起きないはず。古くてすみません。さて「ご近所さん」とも「お隣さん」とも違う、その距離感がどんな摩擦を生むのか。

■まず登場人物は?

 この4世帯がどうやって出会ったかの経緯は省かれているが、それぞれ他人同士。最初に住宅設計の打ち合わせで4組の住民が集合した際は、それぞれ幸せそうな家庭なり夫婦なりに見えた。

・五十嵐大器(松山ケンイチ)と五十嵐奈々(深田恭子)夫妻。それぞれ玩具メーカー勤務とスキューバダイビングインストラクターの、いわゆる幸せそうな新婚さん。子どもなし。

・川村亮司(平山浩行)と杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)の結婚しそうな同棲カップル。スタイリストとネイリストで、業界臭強め。子どもなし。

・小宮山真一郎(野間口徹)と小宮山深雪(真飛聖)のベーシックな家庭。商社マンと専業主婦。小さい子どもが2人。

・広瀬渉(眞島秀和)渋い独身。このコーポラティブハウスを設計した一級建築士で、モテそう。子どもなし。

 しかし、これはあくまでうわべだ。段々それぞれの歪みや本音が見えてくる。

 

■「女は子どもを産んでこそ一人前」

 まず、拮抗を崩してきたのは、いわゆる旧態依然とした価値観を、悪気なくよかれと思って押し付けてくる専業主婦の小宮山深雪。

「みなさんもいずれは、お子さん作られるでしょうしね?」の何気ない(それでいて無神経な)一言が、他の3組の会話をピタリと止める。

「お仕事お忙しいのはわかるけど、子どもは絶対作ったほうがいいわよ~」

「いろんな考え方があっても子ども欲しいっていうのは女性共通の願いよ。やっぱり女っていうのは子どもを産んでこそ一人前だもん」

「少しでも少子化に歯止めかけなきゃね?」

 他3組の微妙な空気を察した夫・真一郎が止めても、尻に敷いてるようでお構いなしに持論を展開。もうこの時点で、一緒に住むのを放棄する人がいてもおかしくないのでは? と思うほどだが、さらに、夫の海外赴任が多かった過去を自慢気に語ったりと、見事なヒールぶり。

 子ども作れ発言に我慢できなくなった業界カップル・杉崎ちひろは、仕事のふりをして途中退席、パートナーの川村にぶちまける。

「私みたいに子ども欲しくない人だっているし、欲しくたってできない人だっているんだよ? 無神経じゃん!」

 川村に「そう反論すればよかったのに?」とのんきに言われるも、「これからお隣さんになるのに、そんなこと言えるわけないじゃん」。

 しかし怒りつつも、なんだかんだ川村(バツイチだが、そこもイジれる関係)といちゃついたり。カラッとしてるのが救いか。だが、小宮山深雪は小宮山深雪で、ちひろの高級バッグをさりげなく睨みつけ、嫉妬丸出し。火種が燻っている感じだ。

 五十嵐夫妻は、クセ的には一番フラットな家庭なのだが、やはりというか、夫・大器の母親が子作りをせっついてくる様子。深雪の「自分がひた走る価値観に周りを巻き込むことで安心したい」という弱さからくる感情よりも、もっとわかりやすい、いわゆる年老いた親が子ども夫妻に望むアレだ。

 奈々が子作りに前向きなことがわかり、さっそくベッドインしたがる大器。絵に描いたように平和だ。

 そして、ダンディな設計士・広瀬。

 設計事務所の上司に、独立や、そのモチベーションとなる結婚や子作りをせっつかれている様子だが、表情が暗い。同僚の長谷部留美(橋本マナミ)が「結婚してくれたら子どもも産んであげる」と冗談ともつかないノリでからんでくるが、やはり広瀬は笑えない。

 そんなある日、馴染みのバーで酔った青年・青木朔(さく・北村匠海)と出会う。

 かつて付き合ってたパートナーの結婚式に出席した帰りだということで、荒れ気味に酔ってる青木が、何気なく言った言葉を広瀬は聞き逃さなかった。

「普通、付き合ってた男、結婚式呼びます?」

「行かなきゃ良かったのに」(マスター)

「だってー……どんな女か見たかったんだもん……」

 予感がしたのか、静かに反応する広瀬。結論からいうと、広瀬はゲイだ(おそらくマスターは知ってる空気)。

 それが確定するのは、歩けないほど酔った青木との帰り道。

「わたるん(広瀬)も、こっち側の人だよね?」と言われて、そのままキスを受け入れる。

 LGBTに向き合いたいのか、ただ見世物的にBLっぽいことをやりたいのかはまだわからないが、ただ一部の層に向けたあざとさはバシバシと感じた。なぜならこのパートだけ不自然に美化されたおとぎ話のようだったから。

 物語は途中で、1年が経過する。

■1年たって入居後

 中庭で、一家で餅つきをしながら家族円満をアピールする小宮山深雪。

 通りかかった広瀬にお見合い相手を紹介しようとしたり、派手な格好で「ニューイヤーパーティ」に出かける川村夫妻(まだ同棲状態だが結婚間近)のブランドバッグを目に、またしても自分のバッグを恥じて隠したりと相変わらず。

 実は、小宮山真一郎は多すぎる転勤を苦に、妻に言わずに商社を退職しており、世間体を過剰に気にする深雪はそれを恥じ、周囲どころか子どもたちにすら隠している。次の仕事が決まらない真一郎に激怒し、会社に行くふりをさせ、帰りも早く帰ってきたら邪魔者扱いし、それでいて自分はキレイな部屋をブログに上げてのアクセス数増加に満足したりと、虚栄心に飲み込まれ具現化されたモンスターとして描かれる。弱腰の夫にピリつく時に、昼ドラのような過剰なBGMアリ。

 一方の五十嵐夫妻は、未だ子宝に恵まれず。

「1年以上、避妊なしの性交を続けても妊娠に至らなかった場合、検査するまでもなく不妊症と言えます」

 主治医(伊藤かずえ)にいきなり言われ、驚く2人。主治医に不妊治療の覚悟を問われるも、特に夫の大器は、妻の奈々に比べ、筆者のような多くの男性がそうであるように、妊娠や出産にいまいち無知な男性といった感じで受動的だ。

「もし、治療を始めるのであれば、明日の夜か、明後日の朝、性交渉をしてください(笑顔)」

「……え? 性交渉?」

「……ご主人、何か問題でも?」

「ん、ん、いえ、ん……(動揺)」

 他にも、精液採取に大器が戸惑うなど、深刻な空気を出しすぎないようにしてる印象。

 さらに、広瀬の元には、1年付き合ってきた青木が押しかけてくる。同居するために住むところを引き払い、背水の陣で攻め入るとは、なかなかの爆弾小僧。

「一つの棟に4軒しかないから、お互いにどんな生活してるか、すぐわかるって」と怒る広瀬だが、「もしかして遊びだった?」と、逆に詰め寄る青木。押し切られるように同居が始まった。

「幸せ。わたるんの料理一生食べ続けたい」

「たくさん養子とって大家族作る」

 と、グイグイくる青木に対し、「この話は以上」と広瀬は先をはぐらかす。広瀬は職場にも周りの家族にも、いわゆるカミングアウト的なことはしていない。

 部屋でワインを飲みながら食べてたのがアヒージョなのかどうかTwitter検索で確認しようと思い「わたるん」と打ち込むと、すかさず予測で「わたるん 受け」「わたるん 攻め」という言葉が並ぶ。結局「妊活」ドラマというより、こっちの話題が先行してる様子。

 そして、ここまでただひたすらにバブリーなだけだったスタイリスト川村の元に突然、前妻の死を告げる電話が。5年間、一度も会っていなかったという前妻との子どもにそっけなくされるなど、いきなり暗雲が。

 家に帰ってきてもどこか様子がおかしいので、ちひろに「子どものこと迷ってんじゃないかなって思って」と言われ、「え?」と思わず焦ってしまう川村。

「言っとくけど、私、本当に産まないよ?(その後あーだこーだ)」

 川村は、前妻との子どものことを念頭に置いて焦ったのだろう。ちひろには、まだ何も伝えていない様子。わた……広瀬と青木の時もそうだが、こういった会話の細かい仕掛けがうまい。

 ちなみに前妻の子どもが父親を無視して見ていたのは、大人気ユーチューバーのフィッシャーズ。チョイスに、やや媚びを感じました。

■リアルな4家庭が出揃う

・不妊症発覚の五十嵐夫婦。

・結婚目前で、前妻との子どもをどうするか問題が出てきた川村と子ども欲しくない杉崎ペア。

・他人を妬み価値観押し付けがちな妻と、その妻に言い返せない無職の夫。子どもは元気そう。

・ゲイカップルの広瀬と青木。

 第1回放送を見終わって感じたのは、主演の2人が少し薄い印象。

 今が一番かわいいとの呼び声高い魔性の女・深キョンこと深田はもちろんかわいいのだが、いまいち感情が見えない。演技のせいというより、そういうシーンをあえて省いてる気も。これが深田にプラスなのかマイナスなのか……。妊活の前の晩に、うなぎ、山かけ納豆、レバニラを晩御飯に出してくる深田というか奈々は古典的ですが、よかったです。

 コミカルな芝居もうまい松ケンのからみは王道な感じでいいのだが、いまいち妊活部分もとってつけた感じがして、特に医者とのからみあたりは薄い『コウノドリ』(TBS系)のような印象。その軽さがいいのかもしれないけど、それぞれ「昼ドラ」だったり「BL」だったりと、(意図的に?)とっちらからせてる雰囲気を、どうまとめ上げるのかが見ものです。

 今のところ一番気になるのは、スタイリスト川村が実子をどうするのかという問題。それでなくても「子どもいらない」を連呼してる強気なパートナー・杉崎ちひろと結婚目前なのに。いけすかねえ金持ちスタイリストだと思ってノーマークだっただけに、5年ぶりに会った子どもの前でぎくしゃくする平山浩行の芝居がとても良かったです。

 あと、気になったのはこの番組が厚生労働省の「ポジティブ・シェアリング」「こころの耳」に賛同してタイアップを行っていること。「みんなの力で心を軽く!」だかの啓蒙スローガンを掲げていたが、なんかこれを知った途端に、少し萎えました。

 まあドラマだし、と見て見ぬ振りしてた「なんだかんだ全員やけに金持ってそうじゃん」問題が見過ごしにくくなったり。別にドラマだし、みすぼらしくする必要はないのだが、悩みのある人に寄り添うという役所の政策がちらつくと、どうしても少し見え方が変わってきてしまう。

 その辺のタイアップなどの縛りの影響で、教習所で見せられるような交通安全の映画みたいになるのだけはぜひとも避けていただきたい。第2話も期待してます!
(文=柿田太郎)

木村拓哉『BG』15.7%スタートは“重い十字架”? 「幼稚なおじさん」にしか見えず、視聴率急落は必至か

 満を持して始まった元SMAP・木村拓哉主演の『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)。キムタク御大の必死すぎるバラエティ番宣の甲斐もあってか、18日に放送された第1話の視聴率は15.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、今期の初回としてはトップを飾りました。さすが、腐ってもキムタクですねえ。パチパチパチ(拍手)。

 というわけで、日刊サイゾーでは本作も張り切って全話レビューしてまいります。さっそく第1話から振り返ってみましょう。

 

■キムタクが、交通整理の冴えないオッサンに

 

 さかのぼること6年前の2012年、島崎(木村拓哉)は、どうやら優秀なガードマンだったようです。欧州に移籍するサッカーのスター選手に付き添い、空港に押し寄せたファンをさばいたり、「裏切り者ー!」とか叫んでるファンが投げつけた生卵を華麗にキャッチしたりしています。しかし、どうやらこのとき何かがあったようで、スローモーションでなんとも言えない表情を浮かべたところで、現在へ。それにしても老けた。老けました。

 18年、島崎は小雪舞い散る寒空の下、黄色いヘルメットをかぶって交通整理の仕事をしています。キャリア6年だそうですから、やっぱりあの空港の件の後、すぐに転職したようです。よほどのことがあったのでしょう。何しろ、なんともいえない表情でしたから。

 一緒に働く老人(でんでん)と「俺より若いよー」「若くないですよー」みたいなやり取りをしていることから、気さくな性格であることが示されます。

 と、そこに通りかかる1台の黒塗りセダン。運転する江口洋介は、通行禁止にもかかわらず「急いでいます、通してくれませんか」と無理を言い、後部座席の石田ゆり子も「お願いできませんか」と、口調こそ丁寧なものの聞き分けはなさそう。島崎は、またなんとも言えない表情を浮かべると、「事故を起こされても困るんで」と、あっさり規制を解いて高級車を通します。通れるなら通行禁止にするなよ! といった基本的なツッコミをしていると話が進まなくなるので自重しますが、まあ導入はだいたいこんな感じでした。ちなみに後部座席の石田ゆり子は立原愛子という名前で、女子アナ上がりの厚生労働大臣。江口はそのSP・落合。愛子大臣は、失言騒ぎで失職寸前だそうです。

 そんな折、島崎の勤める警備会社が身辺警護課(ボディガードの仕事)を発足することになり、社長の今関(永島敏行)は島崎をこの課に配属したいと言います。島崎は一度、断るものの、結局、新人ボディガードとして身辺警護課の配属になって、なまった体を鍛え直すことに。チームを組むのは、会社の各部署から、盗聴器を探すのが上手そうな沢口(間宮祥太朗)、現金輸送を任されている高梨(斎藤工)、敏腕万引きGメンの菅沼(菜々緒)と、ビル警備の仕事をしている村田(上川隆也)が選抜されました。この村田が課長だそうですが、警備会社から精鋭を集めて、この程度? という印象のメンツです。島崎は敏腕ボディガードだったようですし、後に高梨は元自衛官、村田課長は元警視庁のSPであることが明かされますが、盗聴器の沢口くんなんて訓練最終盤になってもまともに動けてないし、万引きGメンの菅沼さんが抜擢された理由はまったくわかりません。目がいいから、とかかな。

 ともあれ、そんな5人のチームが初仕事に臨む、というのが第1話でした。

■冒頭は、いかにもテレ朝な味わい

 

 本作の脚本は『ギフト』(97/フジテレビ系)、『エンジン』(05/同)、『GOOD LUCK!!』(03/TBS系)などでお馴染みのキムタク御用達ライター・井上由美子さん。この3作は、いかにも華やかなキムタクドラマでしたが、『BG』に限っていえば、すこぶる地味という印象です。キムタク本人が華やかさを失っていることもありますが、それ以上に脚本が段取りじみていて、説明としてはわかりやすいけど「面白いドラマが始まる」というワクワク感が皆無です。

 唯一、真っ白なスウェット上下で全力疾走しているキムタクの走り方だけ、なんかちょっと面白い。そういえば、キムタクはSMAPで一番足が遅いのでした。数年前に放送された『スマスマ初のスター大運動会SP!!』(フジテレビ系)の惨劇を思い出します。SMAPの5人で50メートル走をして、キムタクの余りの足の遅さに気を使った中居正広が、盛大にコケて最下位を引き受けた、あのシーン。キムタクの中で、どう処理されているのでしょう。

 それはそうと、キムタクより5歳も年上なのに華やかさにあふれているのが、SP・落合を演じる江口洋介です。雰囲気もキリリと冴えていて、背も高いし、すごく優秀に見えます。愛子大臣も、全幅の信頼を寄せている様子。

 一方、キムタクはいかにも“頼りない”という記号を与えられています。バツイチだし、中学生の息子にもナメられてる。もっとも端的なのが言葉使いで、同僚の斎藤工との会話の際に「その盾(ボディガード)が死んじゃったら、まずくない?」とか「ケガすることだってあるしさ」とか「丸腰のウチらは無力だよ、怖いでしょ?」とか、言っていることの内容以前に、語尾が幼稚すぎる。

 ここで何が行われているかというと、脚本家によるキムタクの“異物化”です。江口洋介や斎藤工には固い言い回しでハッキリキリキリしゃべらせて、キムタクの語尾をユルめることで「特別な存在である」「自由で、何者にも縛られない」「わが道をゆく男」「等身大」といったイメージを浮き立たせようとしているわけです。

 これが、完全に失敗してる。

 長年の御用達ライターを起用した弊害が、モロに出ていると感じました。15年前、20年前と同じフンニャリ言葉を使うキムタクの容姿は、明らかに年齢を重ねています。もうまったく等身大じゃない。キラメキを失った、ただ顔面が整っただけの小柄な中年俳優です。しかし、脚本家の井上さんにとっては、今でも「かわいいかわいいキムタク」なのでしょう。

 キムタクの芝居は、昨年の『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)とさして変化していませんが、『A LIFE』は周囲の人物もユルかった。浅野忠信は自由すぎたし、松ケンはキムタク以上のフンニャリだったし、及川ミッチーはミッチーだった。だから、キムタクも“変な人集団”の1人として馴染むことができていたように見えました。『BG』はこれ、きついですよ。周りが固ければ固いほど、キムタクが「幼稚なおじさん」に見えてしまう。井上さんが「いつまでも若々しいヒーロー」を描こうとしていることは理解できるけど、この座組みでもっともキムタクの加齢を認められないでいるのが、きっと脚本家の井上さんなのだと思います。不幸なことです。

 

■事件のクオリティの低さも霞みます

 

 さて、1話完結ですし、事件の仕掛けについては特筆すべきことはないので、さくっといきましょう。

「失業問題は自己責任です」という、ものすごい失言で殺害予告を受けた愛子大臣が、SP落合らを引き連れて隅田川マラソンの開会式に出席することに。島崎たちのクライアントは、マラソンのメインスポンサーであるカップラーメン会社の社長です。

 で、なんか逆恨みしたっぽい週刊誌の記者が発煙筒を焚いて、「爆弾だー!」ってことになって、ラーメン社長は島崎たちチームの護衛によって無事逃亡。一方、SP落合は警護中に持ち場を離れて携帯をイジるという大ボケをかまし、愛子大臣とはぐれてしまいます。

 なんやかんやで犯人の記者と愛子大臣が対峙していた部屋に島崎登場。華麗に取り押さえると思いきや、記者が島崎をボコるという超絶展開。このままですと愛子大臣は殺されてしまうところでしたが、都合よく現れたSP落合と島崎の連携によって、記者の身柄は確保されました。

 島崎は格闘弱いし、有能だと思っていたSP落合は超バカだし、こっちも有能だと思っていた斎藤工はよくわからない理由で初任務前にボディガードを辞めちゃったし、犯人の動機もよくわからないし、プロットも「悲惨」の一言です。いや、わかるんですよ。丸腰の民間警備員が主人公だから「丸腰だから人を守れることもあるんじゃないですか?」というキメ台詞につなげるために、いろいろ捻じ曲げる必要があったことも理解できる。ただ、事件も、脇役も、ぜんぜんキムタクを引き立てられてない。主人公に、ろくな見せ場がないんです。

 なぜなら、脚本家が「キムタクが流し目でキメ台詞を言えば成立する」と思ってるから。全然そんなの、もう通用しないのに。

 初回の15.7%という数字は、これは重い十字架になるかもしれません。終わってみたら「連ドラ史上、最大の下げ幅」という記録を作ってしまうかもしれない。そんな不安を感じさせる第1話でしたが、仕事なので第2話以降も張り切ってレビューします! よろしくお願いいたします!
(文=どらまっ子AKIちゃん)

木村拓哉『BG』15.7%スタートは“重い十字架”? 「幼稚なおじさん」にしか見えず、視聴率急落は必至か

 満を持して始まった元SMAP・木村拓哉主演の『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)。キムタク御大の必死すぎるバラエティ番宣の甲斐もあってか、18日に放送された第1話の視聴率は15.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、今期の初回としてはトップを飾りました。さすが、腐ってもキムタクですねえ。パチパチパチ(拍手)。

 というわけで、日刊サイゾーでは本作も張り切って全話レビューしてまいります。さっそく第1話から振り返ってみましょう。

 

■キムタクが、交通整理の冴えないオッサンに

 

 さかのぼること6年前の2012年、島崎(木村拓哉)は、どうやら優秀なガードマンだったようです。欧州に移籍するサッカーのスター選手に付き添い、空港に押し寄せたファンをさばいたり、「裏切り者ー!」とか叫んでるファンが投げつけた生卵を華麗にキャッチしたりしています。しかし、どうやらこのとき何かがあったようで、スローモーションでなんとも言えない表情を浮かべたところで、現在へ。それにしても老けた。老けました。

 18年、島崎は小雪舞い散る寒空の下、黄色いヘルメットをかぶって交通整理の仕事をしています。キャリア6年だそうですから、やっぱりあの空港の件の後、すぐに転職したようです。よほどのことがあったのでしょう。何しろ、なんともいえない表情でしたから。

 一緒に働く老人(でんでん)と「俺より若いよー」「若くないですよー」みたいなやり取りをしていることから、気さくな性格であることが示されます。

 と、そこに通りかかる1台の黒塗りセダン。運転する江口洋介は、通行禁止にもかかわらず「急いでいます、通してくれませんか」と無理を言い、後部座席の石田ゆり子も「お願いできませんか」と、口調こそ丁寧なものの聞き分けはなさそう。島崎は、またなんとも言えない表情を浮かべると、「事故を起こされても困るんで」と、あっさり規制を解いて高級車を通します。通れるなら通行禁止にするなよ! といった基本的なツッコミをしていると話が進まなくなるので自重しますが、まあ導入はだいたいこんな感じでした。ちなみに後部座席の石田ゆり子は立原愛子という名前で、女子アナ上がりの厚生労働大臣。江口はそのSP・落合。愛子大臣は、失言騒ぎで失職寸前だそうです。

 そんな折、島崎の勤める警備会社が身辺警護課(ボディガードの仕事)を発足することになり、社長の今関(永島敏行)は島崎をこの課に配属したいと言います。島崎は一度、断るものの、結局、新人ボディガードとして身辺警護課の配属になって、なまった体を鍛え直すことに。チームを組むのは、会社の各部署から、盗聴器を探すのが上手そうな沢口(間宮祥太朗)、現金輸送を任されている高梨(斎藤工)、敏腕万引きGメンの菅沼(菜々緒)と、ビル警備の仕事をしている村田(上川隆也)が選抜されました。この村田が課長だそうですが、警備会社から精鋭を集めて、この程度? という印象のメンツです。島崎は敏腕ボディガードだったようですし、後に高梨は元自衛官、村田課長は元警視庁のSPであることが明かされますが、盗聴器の沢口くんなんて訓練最終盤になってもまともに動けてないし、万引きGメンの菅沼さんが抜擢された理由はまったくわかりません。目がいいから、とかかな。

 ともあれ、そんな5人のチームが初仕事に臨む、というのが第1話でした。

■冒頭は、いかにもテレ朝な味わい

 

 本作の脚本は『ギフト』(97/フジテレビ系)、『エンジン』(05/同)、『GOOD LUCK!!』(03/TBS系)などでお馴染みのキムタク御用達ライター・井上由美子さん。この3作は、いかにも華やかなキムタクドラマでしたが、『BG』に限っていえば、すこぶる地味という印象です。キムタク本人が華やかさを失っていることもありますが、それ以上に脚本が段取りじみていて、説明としてはわかりやすいけど「面白いドラマが始まる」というワクワク感が皆無です。

 唯一、真っ白なスウェット上下で全力疾走しているキムタクの走り方だけ、なんかちょっと面白い。そういえば、キムタクはSMAPで一番足が遅いのでした。数年前に放送された『スマスマ初のスター大運動会SP!!』(フジテレビ系)の惨劇を思い出します。SMAPの5人で50メートル走をして、キムタクの余りの足の遅さに気を使った中居正広が、盛大にコケて最下位を引き受けた、あのシーン。キムタクの中で、どう処理されているのでしょう。

 それはそうと、キムタクより5歳も年上なのに華やかさにあふれているのが、SP・落合を演じる江口洋介です。雰囲気もキリリと冴えていて、背も高いし、すごく優秀に見えます。愛子大臣も、全幅の信頼を寄せている様子。

 一方、キムタクはいかにも“頼りない”という記号を与えられています。バツイチだし、中学生の息子にもナメられてる。もっとも端的なのが言葉使いで、同僚の斎藤工との会話の際に「その盾(ボディガード)が死んじゃったら、まずくない?」とか「ケガすることだってあるしさ」とか「丸腰のウチらは無力だよ、怖いでしょ?」とか、言っていることの内容以前に、語尾が幼稚すぎる。

 ここで何が行われているかというと、脚本家によるキムタクの“異物化”です。江口洋介や斎藤工には固い言い回しでハッキリキリキリしゃべらせて、キムタクの語尾をユルめることで「特別な存在である」「自由で、何者にも縛られない」「わが道をゆく男」「等身大」といったイメージを浮き立たせようとしているわけです。

 これが、完全に失敗してる。

 長年の御用達ライターを起用した弊害が、モロに出ていると感じました。15年前、20年前と同じフンニャリ言葉を使うキムタクの容姿は、明らかに年齢を重ねています。もうまったく等身大じゃない。キラメキを失った、ただ顔面が整っただけの小柄な中年俳優です。しかし、脚本家の井上さんにとっては、今でも「かわいいかわいいキムタク」なのでしょう。

 キムタクの芝居は、昨年の『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)とさして変化していませんが、『A LIFE』は周囲の人物もユルかった。浅野忠信は自由すぎたし、松ケンはキムタク以上のフンニャリだったし、及川ミッチーはミッチーだった。だから、キムタクも“変な人集団”の1人として馴染むことができていたように見えました。『BG』はこれ、きついですよ。周りが固ければ固いほど、キムタクが「幼稚なおじさん」に見えてしまう。井上さんが「いつまでも若々しいヒーロー」を描こうとしていることは理解できるけど、この座組みでもっともキムタクの加齢を認められないでいるのが、きっと脚本家の井上さんなのだと思います。不幸なことです。

 

■事件のクオリティの低さも霞みます

 

 さて、1話完結ですし、事件の仕掛けについては特筆すべきことはないので、さくっといきましょう。

「失業問題は自己責任です」という、ものすごい失言で殺害予告を受けた愛子大臣が、SP落合らを引き連れて隅田川マラソンの開会式に出席することに。島崎たちのクライアントは、マラソンのメインスポンサーであるカップラーメン会社の社長です。

 で、なんか逆恨みしたっぽい週刊誌の記者が発煙筒を焚いて、「爆弾だー!」ってことになって、ラーメン社長は島崎たちチームの護衛によって無事逃亡。一方、SP落合は警護中に持ち場を離れて携帯をイジるという大ボケをかまし、愛子大臣とはぐれてしまいます。

 なんやかんやで犯人の記者と愛子大臣が対峙していた部屋に島崎登場。華麗に取り押さえると思いきや、記者が島崎をボコるという超絶展開。このままですと愛子大臣は殺されてしまうところでしたが、都合よく現れたSP落合と島崎の連携によって、記者の身柄は確保されました。

 島崎は格闘弱いし、有能だと思っていたSP落合は超バカだし、こっちも有能だと思っていた斎藤工はよくわからない理由で初任務前にボディガードを辞めちゃったし、犯人の動機もよくわからないし、プロットも「悲惨」の一言です。いや、わかるんですよ。丸腰の民間警備員が主人公だから「丸腰だから人を守れることもあるんじゃないですか?」というキメ台詞につなげるために、いろいろ捻じ曲げる必要があったことも理解できる。ただ、事件も、脇役も、ぜんぜんキムタクを引き立てられてない。主人公に、ろくな見せ場がないんです。

 なぜなら、脚本家が「キムタクが流し目でキメ台詞を言えば成立する」と思ってるから。全然そんなの、もう通用しないのに。

 初回の15.7%という数字は、これは重い十字架になるかもしれません。終わってみたら「連ドラ史上、最大の下げ幅」という記録を作ってしまうかもしれない。そんな不安を感じさせる第1話でしたが、仕事なので第2話以降も張り切ってレビューします! よろしくお願いいたします!
(文=どらまっ子AKIちゃん)

『アンナチュラル』石原さとみが小綺麗で“7K”にリアリティーないものの、孤独を背負うキャラクターが魅力的!

 石原さとみが法解剖医を演じるドラマ『アンナチュラル』(TBS系)の第1話が12日に放送され、平均視聴率12.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。好調なスタートとなりました。

 ドラマの舞台は、変死体の死因を究明する不自然死究明研究所(Unnatural Death Investigation Laboratory)、通称UDIラボ。年間約400体の法医解剖を行う同研究所には現在、三澄ミコト(石原さとみ)と中堂系(井浦新)がそれぞれ筆頭医を務める2チームが存在します。

 そのUDIにある日、中年夫婦が訪れます。息子・高野島渡(野村修一)が突然死したものの、警察は事件性がないと判断。解剖も行われないまま死因は虚血性心疾患(心不全)と断定されたのですが、生前の高野島は至って健康体だったため、疑問を抱いているというのです。

 担当を任されたミコトが早速解剖を行ってみたところ、心臓に異変は見つからず。その代わり、急性腎不全の症状を発見。毒殺の可能性を疑うのですが、体内から毒物は検出されません。しかし、新種の毒物が用いられた可能性もある。というわけで、ミコトは臨床検査技師の東海林夕子(市川実日子)、記録員の久部六郎(窪田正孝)を伴い、高野島の身辺調査を開始します。

 高野島の勤務先を訪れたミコトたち3人は、高野島が亡くなった翌日、同僚の敷島由果も突然死したことを知ります。しかも、高野島と由果には交際のウワサがあった。そのことを知った久部は、高野島の婚約者・馬場路子(山口紗弥加)が嫉妬に狂って毒を盛ったのではないかと疑います。路子はフィアンセの死に淡々としていて、おまけに職業は劇薬毒物製品の開発者と怪しさ満点。久部は単独で刑事ばりの調査を開始します。

 結論からいってしまえば、これは久部と視聴者を騙すミスリード。路子は純然たるシロで、高野島と由果の間にも実際には男女の関係はなかったのです。しかし、久部が入手したお菓子から、高野島がここ最近、サウジアラビアへ出張したことをミコトは知り、そこから死因がMERS(中東呼吸器症候群)であったことを発見。その結果、死に至る病原菌を持ち込んだことが世間に知れ渡り、高野島と遺族はまるで犯罪者のように批判の矢面に立たされてしまうのです。

 図らずも、死者に汚名を着せてしまったことで落ち込むミコト。しかし、突然死する数日前に高野島と性交渉に及んだという路子はMERSに感染していないため、感染源は別の場所にあると気づきます。そして、高野島が帰国後、健康診断のため訪れた東央病院が怪しいと睨み、調査開始。すると、同病院ではここ1カ月、患者の死亡率が急激に上がっていることが発覚します。

 そんな折、東央病院で死亡した患者の告別式が行われるという情報が伝わり、ミコトは火葬場へと直行し、遺族の許可を得て遺体を解剖します。すると案の定、MERS感染の症状が見つかり、さらには東央病院がMERSの簡易検査キットを購入していたことも発覚。高野島の名誉を挽回し、東央病院の隠蔽工作を暴いたところで終了となりました。

 さて、ここからは感想。石原さとみが主演、さらに脚本を務めるのが、2016年に新垣結衣主演で大ヒットしたラブコメディ・ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)を担当した野木亜紀子とあって、放送前から注目度が高かった今回のドラマ。序盤は野木脚本らしい軽いコメディタッチで描かれ、不自然死究明研究所という特殊な舞台を視聴者がすんなり受け入れられる展開となったのですが、遺体解剖を中堂とどちらが担当するかじゃんけんで決めようとするなど、ミコトの言動が不謹慎にも思えました。

 また、冒頭シーンでは、UDIが7K(危険・汚い・きつい・規則が厳しい・休暇がとれない・化粧がのらない・結婚できない)の最悪な職場環境であることが強調されるのですが、石原が小綺麗にメイクして登場するため、少なくとも“汚い”と“化粧がのらない”は微塵も感じられません。

 しかし、シーンが進むにつれ、ミコトの印象は徐々に変わりました。死者に対する軽はずみにも思える言動は、そうしていなければ自我を保てないからなのではないかと。日常的に遺体と接するミコトにとって、一般人が抱く“死=厳粛”といった概念はなく、それは寄り添うようにしてあるもの。生死は相反するものではなく隣り合い、そしてミコトは生よりもむしろ、死の方へと半身を置いている。それは特殊な仕事によるものだけでなく、今回のラストに明らかになった、幼少時の一家無理心中の経験も背景にあるのでしょう。

 家族を失ったトラウマのためフィアンセとも真に心を通わすことができず、“結婚できない”孤独感を石原が上手く表現しているのも印象的でした。ただキュートなだけではない、これまでとは違った魅力が発揮され、次回からの展開も楽しみです。
(文=大羽鴨乃)

『アンナチュラル』石原さとみが小綺麗で“7K”にリアリティーないものの、孤独を背負うキャラクターが魅力的!

 石原さとみが法解剖医を演じるドラマ『アンナチュラル』(TBS系)の第1話が12日に放送され、平均視聴率12.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。好調なスタートとなりました。

 ドラマの舞台は、変死体の死因を究明する不自然死究明研究所(Unnatural Death Investigation Laboratory)、通称UDIラボ。年間約400体の法医解剖を行う同研究所には現在、三澄ミコト(石原さとみ)と中堂系(井浦新)がそれぞれ筆頭医を務める2チームが存在します。

 そのUDIにある日、中年夫婦が訪れます。息子・高野島渡(野村修一)が突然死したものの、警察は事件性がないと判断。解剖も行われないまま死因は虚血性心疾患(心不全)と断定されたのですが、生前の高野島は至って健康体だったため、疑問を抱いているというのです。

 担当を任されたミコトが早速解剖を行ってみたところ、心臓に異変は見つからず。その代わり、急性腎不全の症状を発見。毒殺の可能性を疑うのですが、体内から毒物は検出されません。しかし、新種の毒物が用いられた可能性もある。というわけで、ミコトは臨床検査技師の東海林夕子(市川実日子)、記録員の久部六郎(窪田正孝)を伴い、高野島の身辺調査を開始します。

 高野島の勤務先を訪れたミコトたち3人は、高野島が亡くなった翌日、同僚の敷島由果も突然死したことを知ります。しかも、高野島と由果には交際のウワサがあった。そのことを知った久部は、高野島の婚約者・馬場路子(山口紗弥加)が嫉妬に狂って毒を盛ったのではないかと疑います。路子はフィアンセの死に淡々としていて、おまけに職業は劇薬毒物製品の開発者と怪しさ満点。久部は単独で刑事ばりの調査を開始します。

 結論からいってしまえば、これは久部と視聴者を騙すミスリード。路子は純然たるシロで、高野島と由果の間にも実際には男女の関係はなかったのです。しかし、久部が入手したお菓子から、高野島がここ最近、サウジアラビアへ出張したことをミコトは知り、そこから死因がMERS(中東呼吸器症候群)であったことを発見。その結果、死に至る病原菌を持ち込んだことが世間に知れ渡り、高野島と遺族はまるで犯罪者のように批判の矢面に立たされてしまうのです。

 図らずも、死者に汚名を着せてしまったことで落ち込むミコト。しかし、突然死する数日前に高野島と性交渉に及んだという路子はMERSに感染していないため、感染源は別の場所にあると気づきます。そして、高野島が帰国後、健康診断のため訪れた東央病院が怪しいと睨み、調査開始。すると、同病院ではここ1カ月、患者の死亡率が急激に上がっていることが発覚します。

 そんな折、東央病院で死亡した患者の告別式が行われるという情報が伝わり、ミコトは火葬場へと直行し、遺族の許可を得て遺体を解剖します。すると案の定、MERS感染の症状が見つかり、さらには東央病院がMERSの簡易検査キットを購入していたことも発覚。高野島の名誉を挽回し、東央病院の隠蔽工作を暴いたところで終了となりました。

 さて、ここからは感想。石原さとみが主演、さらに脚本を務めるのが、2016年に新垣結衣主演で大ヒットしたラブコメディ・ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)を担当した野木亜紀子とあって、放送前から注目度が高かった今回のドラマ。序盤は野木脚本らしい軽いコメディタッチで描かれ、不自然死究明研究所という特殊な舞台を視聴者がすんなり受け入れられる展開となったのですが、遺体解剖を中堂とどちらが担当するかじゃんけんで決めようとするなど、ミコトの言動が不謹慎にも思えました。

 また、冒頭シーンでは、UDIが7K(危険・汚い・きつい・規則が厳しい・休暇がとれない・化粧がのらない・結婚できない)の最悪な職場環境であることが強調されるのですが、石原が小綺麗にメイクして登場するため、少なくとも“汚い”と“化粧がのらない”は微塵も感じられません。

 しかし、シーンが進むにつれ、ミコトの印象は徐々に変わりました。死者に対する軽はずみにも思える言動は、そうしていなければ自我を保てないからなのではないかと。日常的に遺体と接するミコトにとって、一般人が抱く“死=厳粛”といった概念はなく、それは寄り添うようにしてあるもの。生死は相反するものではなく隣り合い、そしてミコトは生よりもむしろ、死の方へと半身を置いている。それは特殊な仕事によるものだけでなく、今回のラストに明らかになった、幼少時の一家無理心中の経験も背景にあるのでしょう。

 家族を失ったトラウマのためフィアンセとも真に心を通わすことができず、“結婚できない”孤独感を石原が上手く表現しているのも印象的でした。ただキュートなだけではない、これまでとは違った魅力が発揮され、次回からの展開も楽しみです。
(文=大羽鴨乃)

兄逮捕で話題の広瀬すず主演『anone』が7.2%に急落! 独特すぎる世界観に脱落者続出か?

兄逮捕で話題の広瀬すず主演『anone』が7.2%に急落! 独特すぎる世界観に脱落者続出か?の画像1

 静岡の兄(24歳・無職)が何かと話題の広瀬すず主演『anone(あのね)』(日本テレビ系)。初回は9.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)とまずまずの滑り出しでしたが、17日放送の第2話は7.2%まで急落。同枠前クールの綾瀬はるか主演『奥様は、取り扱い注意』が全話2ケタだったことを思い返すと、なかなか厳しい現状といわざるを得ません。

 初回では、欅坂46・平手友梨奈ばりに前髪で目元を隠している主人公・ハリカ(広瀬)の衝撃の過去が描かれましたが、物語はどの方向へ向かっていくのでしょうか? 第2話のあらすじを振り返ります。

※これまでのレビューはこちら
http://www.cyzo.com/tag/anone

■田中裕子の悲壮感が最高

 1年前に亡くなった夫・京介(木場勝己)が作っていた偽札を自宅の床下から発見し、なぜかわざわざ人に目撃されそうな海辺で燃やした亜乃音(田中裕子)。亜乃音は15年前に娘の玲(江口のりこ)が失踪して以来、どんよりとしたテンションで生きています。

 一方、広瀬の兄同様に無職となったハリカ(広瀬)は、あの大金が偽札であると気付き、亜乃音の自宅へ。京介が生前、印刷所を営んでいたここで働き、偽札を作りたいと志願。「お金使った後なら、刑務所入っていいの」と覚悟を見せます。

 また、勝手に床下を覗いたハリカが、京介のデジカメを発見。そこには、京介と玲のツーショット写真が満載。亜乃音は、2人が隠れて会っていたことにショックを受けます。

 娘に会いたい亜乃音は、とりあえずハリカと共にデジカメに写っているラーメン屋へ。どうやら玲は常連客だったようで、居合わせた客から「(玲は)県道沿いのガソリンスタンドで働いてるよ!」との情報が。また、玲は離婚して、息子を連れて地元に戻ってきたものの、「お母さんと反りが合わないから戻りたくない」のだとか。

■なぜ海へ……?

 その晩、ハリカは亜乃音の家に泊まることに。すると亜乃音は、玲は京介の浮気相手が産んだ子であると告白。0歳から自分の子として育てたものの、あるとき玲の前に本当の母親が現れて以来、親子関係が悪化したといいます。

 そうこうしていると、印刷機にセットされたままの偽札の版を発見してしまう亜乃音。「印刷してみようか」と機械を稼動させると、あっという間に大量の1万円札が印刷されていきます。しかし、“透かし”なども再現された京介が作った偽札に比べると、雲泥の差。亜乃音は「わかった? コレが限界なの」とハリカに偽札作りを諦めさせ、2人で1,500万円分ほどの偽札を台所で燃やします。って、床下で見つけた偽札は450万円分くらいだったはず。同じように家の中で処分できたんじゃ……。

 一方、持本(阿部サダヲ)は、父から継いだカレー屋を、3年前に同級生・西海(川瀬陽太)の口車にまんまと乗せられフランチャイズ化。揚げ句、西海が勤める本社に乗っ取られそう。しかし、店舗譲与の契約書にハンコを押そうとしているところに、カレー屋で堂々と焼きうどんを頼んだりするヤベー女性・るい子(小林聡美)が登場。るい子が契約書をビリビリに破ると、2人は川へ。楽しそうに小銭を投げ捨てる遊びをし、ドキドキします。なお、ドラマ資料によれば、2人は“死に場所を探している”という設定のようです。

 前回、亜乃音が偽札を燃やしている現場を目撃した2人は、亜乃音が闇金を隠していると踏んで元印刷所へ侵入。しかし、それらしいものは何も見つからず、諦めて帰ろうとしたところで買い物から戻ってきたハリカと鉢合わせ。捕まえようと追いかけたハリカは、持本の車で誘拐されてしまいました。

 その後、亜乃音が仕事から帰宅。荒らされた自宅に唖然とし、第2話は終了です。

■視聴率は期待できない

 終盤では拳銃も飛び出し、予期せぬ方向へ動き出した同作。亜乃音の不幸話ばかりがつらつらと描かれるのかと思いきや、痛快活劇のようになってきました。この、予想のつかないなんでもありの展開は、『カルテット』とも共通。とはいえ、作風が独特すぎるだけに、視聴率は期待できなさそうです。

 今回は、るり子が「この世界には裏メニューっていうのがあるんです」「裏メニューのほうがおいしいんですよ」と、“裏金”を“裏メニュー”に置き換えて話したシーンや、100円玉を川にポイポイ投げ入れて、持本が「ドキドキして気持ちいい」と喜ぶシーンが『anone』ファンの間で話題となっているようですが、筆者はもともとわざとらしい“演劇臭”が苦手だからか、小林と阿部の掛け合いにアレルギー反応が……。痒い痒い。

 まあ、好みの問題でしょうが、田中の自然なふんわり演技でドラマに入り込んでいるところに、急に小林と阿部がテンション高めでウィットに富んだ小粋なセリフをぶっ込んでくるため、思わず「入ってくんなよ!」と……。テンションのまるで異なるキャラクターたちを絡ませるところに、制作側の狙いがあるのでしょうが、これは視聴者を選びそう。好きな人は、「名言連発!」「セリフが心に響く!」と騒いでるんでしょうけどね……。

 というわけで、『カルテット』同様、「見続けている視聴者は賞賛!」「ピンと来ない人は見ない!」という二極化が起きていそうな『anone』。視聴率至上主義と言われる最近の日テレとしては、かなり攻めたドラマかと。とりあえず、初回で芦田愛菜の生き写しのような演技を見せた子役・大迫莉榎(ハリカの幼少期役)が、またあの“ソックリ演技”を見せてくれることを期待しつつ、次回を待ちたいと思います。
(文=どらまっ子TAMOちゃん)