『孤独のグルメ』井之頭五郎の“バイキンガー”ぶりと、タイトルに「一人」が入る意味とは?

 おじさんがああだこうだ考えながら飯食うのを鑑賞するドラマ『孤独のグルメ』(テレビ東京系)。説明するとバカみたいだが、事実といえば事実だけに申し訳ない。第2話となる今回は、Season7にして初となるメニュー「バイキング」。これは「ああだこうだ」冥利につきそう。

 視聴率は初回が5.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、深夜にしては異様に高い。今回は3.2%とダウンしたものの、それでもテレ東の他の深夜に比べたら十分高く、あいかわらず好調だ。

 

■第2話「世田谷区経堂の一人バイキング」

 

 商談前に顧客(大和田獏)がテニスに興じるのを見学するも、やったことないのにノリでラケットを握らされ、あげく無茶振りされた「エア・ケイ」(錦織圭のやつ)の意味がわからなくて理不尽にもがっかりされてしまう、かわいそうなな我らが井之頭五郎(松重豊)。実はテニスは、大和田獏の本当の趣味。その昔、かの野沢直子(雅子じゃない方)が「ばくばくばくばく、おーわだばく!」と名前を連呼するだけの歌を歌っていたのを思い出す。

 一瞬期待したが、そんな曲がかかるわけもなく無事商談も終わり、最寄りの経堂駅までの道を尋ねるも、大和田獏が説明下手なタイプの人だったため、五郎は四苦八苦。道順の説明途中に「なんだかんだあって」を使われたら、戸惑うのも当然だが、実際、世田谷は農道を基にした、細く入り組んだ道が極めて多い。特に住宅街はランドマークとなる建物が少なく、筆者も豪徳寺付近から抜け出せず深夜に小一時間ばかり「遭難」したことがある迷宮だ。

 まだ雪の残る小道を行く五郎は途中、一軒家から出てきた女性が食事の感想を言ってるのを聞き逃さない。見た目、完全にただの個人住居だが、ポツンと「マッシーナメッシーナ」と看板が置かれている。

 映画『トップガン』のあの曲を歌っていたケニー・ロギンスが在籍したグループ「ロギンス&メッシーナ」に由来するのか、それともさらにそこから名前をとった『ジョジョの奇妙な冒険』のロギンズとメッシーナという登場人物(波紋の師範)に由来するのかはわからないが、とにかく駄洒落なのは間違いない。

 こんな場所に店があるのもすごいが、メニューが90分1,500円のバイキング一択なのもすごい。

 

■かつて「一人」の付いた放送回は3回

 

 そもそも今回のタイトルに「一人バイキング」とあるが、元来、この番組は「一人飯」であることが大前提。かつてタイトルメニューに「一人」が付いたのは、Season1の「神奈川県川崎市 八丁畷の一人焼肉」、Season2の「墨田区両国の一人ちゃんこ鍋」、Season5の「東京都豊島区 西巣鴨の一人すき焼き」の3回。

 つまり、鍋など通常「一人では行かないはず」というものに「一人」を付けているのだが、しかし大人数でつつく前提の鍋や焼肉はともかく(2012年の放送時より一人焼肉は市民権を得たが)、バイキングはむしろ一人向きなメニューな気もする。言ってしまえば、結局食べる側の気持ち次第なのだが「空腹の好奇心が(店に)入っちまえと騒いでいる」という五郎は、当然入店。

 引き戸を開けて入店するも、中は完全に「ひとんち」のリビングダイニングで、苦手な人は、この空気だけで頓挫してしまうかもしれない。だが五郎は「いきなり友達の実家に呼ばれた気分」と、この状況を楽しんでる。さすが。

 原作コミックの五郎は、この手の一癖ありそうな空気の店(西荻窪のおまかせ定食の回など)を当初苦手としていた気もするが、ドラマの松重五郎はたくましい。

■バイキンガー五郎

 

 並べられたメニューを次々皿に乗せて行く五郎。個人の貿易商という仕事柄、ビジネスホテルで朝食バイキングなど食べる機会も多いのだろう。洋食を一つのプレートに、和食を小皿に分ける取り方もこなれている。「五郎’Sバイキング第一弾」として持ってきたのは、

・サバの塩焼き
・なす味噌
・がんも煮
・マカロニグラタン
・白菜の浅漬け
・豚しゃぶ
・サラダ風のヘルシー冷やし中華
・タラモサラダ
・アスパラガスの塩焼き(一本丸ごと)
・きんぴらごぼう(カレー風味)
・雑穀米ご飯
・豆腐と油揚げの味噌汁(いりこ出汁)

 大きな図体で背中を丸め、品目を選ぶ五郎がかわいい。サバの塩焼きが小ぶりなのを「バイキング者、バイキンガーの気持ちがわかってる」と喜んでいるが、確かに朝食バイキングのサバ塩は小さい。「サバの塩焼き定食欲が、とりあえず満足させられた」と、ちょっとずつたくさん食べたい考え方は、まさに「バイキンガー」。

 白菜浅漬け、きんぴら、なす味噌、がんも煮を横長の皿にちょっとずつ並べて「どうだ、この付け合わせの組み合わせ。なかなかセンスいいと思うなぁ」と配列に酔いしれる感じも、バイキンガーあるあるかもしれない。

 少量のマカロニグラタンを食べ「子どもの頃に初めて食べた時、逆上がりができた時くらい感動したっけ」と幼少時を懐かしんだかと思いきや、「そっから白菜漬けに飛ぶ自由」と、定番の2品だけで精神を開放するルーク・スカイウォーカーのような五郎。

 スパゲティサラダかと思いきや、冷やし中華だった! という驚きも、バイキングならでは。店によっては料理名が添えてある場合もあるが、視覚で認識してたものを口に入れた時、味覚で訂正するのもバイキングの醍醐味。

 タラモサラダはギリシャ料理。タラモ(魚卵)をパンやジャガイモに練りこんだ料理で、日本ではタラコが多く使われるのでタラコ+じゃがいもサラダだと思われているらしい。「美味さで堕落しそうだ」というこのメニューを、五郎は「隠して持って帰りたい」と、密輸を企てるほど気に入っていた。

 冷めたアスパラを食べつつ「バイキングは時の運、諦めが肝心」と自分に言い聞かせていたのに、すぐさま到着した焼きたてを食べ、「バイキングは運じゃない。諦めずに自ら道を切り開く強い心が大切なんだ」と持論をリライトする五郎。そもそも、なぜ一回我慢したのかは謎だが、ドラマ版五郎は柔軟さが魅力だ。

 

■アフリカ料理「マフェ」とは?

 

「五郎’Sバイキング第二弾」

・マフェ
・甘めの卵焼き
・ブロッコリーサラダ

「よーし、ギニアいってみよー!」と、今回もいかりや口調の掛け声で食べだしたのは、ピーナッツソースとトマトを使った煮込み料理・マフェ。西アフリカでは有名な料理らしく、番組でもギニア版のカレーとして紹介。この今回のメインディッシュを、大盛りご飯にかけて貪る五郎。「しっかり辛さがありながら優しい味」とのこと。

 途中で客が入ってきて五郎と相席になるが「普通の店での相席とは、相席感のレベルが全然違う」と慄く。なんたって「ひとんち」だから。他の客は全員女性なのだが、「全品制覇したくなるのがバイキンガーの性(さが)!」と、意にも介さずおかわりし続ける五郎の豪胆さ。

 

「五郎’Sバイキング第三弾」

・枝豆豆腐(わさび塩で)
・キュウリとトマトの塩麹和え
・おくらとみょうがの和え物
・がんも煮
・雑穀米
・味噌汁

 正直、マフェで終わりかと思った。いいとこ最後に出てきた枝豆豆腐を味見するだけ思ったら、雑穀米と味噌汁まで。もう胃が完全に開いているのだろう、五郎は「小ライス」と言っていたが、結構な量を追加していた。

「美味い家庭の味が恋しくなったら、この家に帰ってこよう。ここはまるで、俺の胃袋の実家だ」と、万感の思いで食事を締め、お会計しかけた直後「ドリア出来上がりましたー」と言われ、取り乱す五郎。

 てっきり食べ直すかと思ったが「また来る口実ができたから、よしとしよう」と前向きに店をあとにする。

「バイキングは100パーセント食べ過ぎちまうな、でも満足感は200パーセントだから『勝ち』ってことで」

 筆者のようなさもしい貧乏人は「元を取れたかどうか」を基準に「勝ち負け」を考えてしまうが、昼飯に数千円使うこともある小金持ちの五郎の言う「勝ち負け」とは、もっと精神的なものだろう。

 今回は店主役のいしのようこに五郎が軽くときめく様子も見られたが、かつてあったような恋バナ展開は特になく、どちらかというと、変なおじさんが出現しやしないかと勝手にドキドキしてしまいました。

 原作者・久住昌之がロケ店を訪ねる「ふらっとQUSUMI」では、3年かかってやっと辿りつけた客もいることが明かされた秘境・世田谷に潜む一軒家バイキング。冒険心溢れる方は是非。
(文=柿田太郎)

“据え膳”を食べない独自美学に酔う池松壮亮! 自己チュー男のこだわり『宮本から君へ』第2話

 経済効率が最優先される現代社会において、いちばん真逆な方向へ突き進んでいるのが宮本浩という男です。大学を卒業して、小さな文具メーカーの営業マンとして働き始めた宮本ですが、彼のやることなすこと無駄だらけです。漫画家の新井英樹が漫画家デビュー以前に文具メーカーに勤めていた体験をベースにした同名コミックのドラマ化『宮本から君へ』(テレビ東京系)は、そんな無駄だらけの男・宮本の青春の日々が描かれます。深夜0時52分からのオンエアにもかかわらず、主演俳優・池松壮亮の宮本になりきった暑苦しい演技に感化された視聴者は少なくないようで、第1話の視聴率は「ドラマ25」枠の初回としては過去最高となる2.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という好記録でした。第2話はどうでしょうか?

 大手自動車メーカーに勤める甲田美沙子(華村あすか)たちとの合コンに臨んだ宮本浩(池松壮亮)でしたが、テーブルに置かれたフルーツポンチの鉢の中に“宮本”と名前の書かれたコンドーム(開封前)が落ちたところで第1話は終わりました。いまどきの婚活パーティーだったら「宮本さんったら、準備よすぎ!」と爆笑ネタになるのでしょうが、大学を出たばかりの宮本はギャグに転嫁させることができません。毎朝、美沙子と通勤電車の中で会話するのを楽しみにしていた宮本ですが、フルーツポンチ事件の後は気まずくて、出社時間をずらしていました。職場でも同僚たちから「宮本」ではなく「ポンチ!」と呼ばれるようになり、散々な毎日です。

 美沙子のことで頭がいっぱいな宮本は、仕事でも大ポカをやってしまいます。京橋のお得意先である文具店に2カ月間顔を出していなかったことが部長の岡崎(古舘寛治)にバレてしまったのです。京橋の文具店へ詫びにいく宮本でしたが、店長(綾田俊樹)は説教を滔々と垂れるものの、目すら合わせてくれません。ここで何と宮本は「人と話すときは相手の目を見て話してはどうですか?」と説教返しをするのでした。自分の職務怠慢ぶりを棚に上げて、お得意先の態度を平気であげつらう宮本。シリーズ後半から爆発することになるクレージー営業マンの片鱗さを早くも感じさせます。

 当然ながらこの一件も岡崎部長の耳に入り、今度は小田課長(星田英利)に付き添われて再び謝罪に行くことになります。多分、小田課長も別にこの会社が好きで入ったわけじゃないはずです。でも、人生経験が豊富な分、小田課長は世間知らずの新人・宮本に対してもすっごく寛容なのです。一緒に詫びに行くのにイヤな顔ひとつせず、「営業マンはみんな、俺のために命を投げ出してくれる」と自慢げに語る店長を懸命にヨイショしまくります。部下思いの小田課長の熱心さにほだされ、宮本もぎこちないながらに店長の太鼓持ちに徹するのでした。合コンの席と違って、宮本はホッとします。見習うべき先輩がここにいました。ちっぽけな会社に勤める小田課長が、とても頼もしく思えるエピソードでした。

 謝罪の帰り道、煙草をふかしながら小田課長は、愛想笑いもできない愚直すぎる宮本を「わかってて、損するのは利口やないなぁ」と関西弁でやんわりと諭すのでした。仕事はつまんなくても、こういう情の深い上司や先輩がいたら、ついつい職場って居着いてしまうものですよね。チュパチャップス時代からずいぶん時間は掛かったけど、ほっしゃんって脇役俳優としていい味出すようになったなぁと、しみじみさせるシーンです。ところが、後輩の尻拭いで無駄な時間を費やしたほっしゃん、いや小田課長に対して、「(損な性格の自分たちを)かっこいいと思っているんですよー」と笑顔で返す宮本は、途方もない大バカ者です。

■いまいちな女の子が、無性に愛おしく思えた瞬間

 

 前回の合コンでは、駅のホームで面識のない美沙子に声を掛けた宮本のことを「すごいと思う」とうっとりした表情で語っていた暗くて地味な女の子・裕奈(三浦透子)に、宮本は夜の渋谷駅でばったり遭遇します。同居しているお姉さんの彼氏が遊びに来る日なので、大して好きでもない映画を観て時間を潰していたそうです。どちらからともなく、夜の街へと流れていく2人。バーで慣れないカクテルを口にした裕奈は、いつになく上機嫌です。美人偏差値の高い美沙子は口説き落とすのに手間ひまが掛かりそうですが、宮本に気があることが痛いほどわかる裕奈は、鼻毛を抜くよりも簡単に落ちそうです。あくまでも理想の女性への一点勝負か、それともハードルの低い女の子で手を打つのか。夜のバーで宮本は自問自答し、気持ちよく酔っぱらうことができません。

 バーを出たときは、すでに終電間際でした。急いで駅に向かえば終電に間に合うのに、裕奈は帰ろうとしません。酔いに任せて宮本と手をつなぎ、「私、今まででいちばん楽しい日です」とはしゃいでいます。宮本はとうとう裕奈を連れて、ラブホテルへと入ってしまいます。薄っぺらなバスローブに着替え、同じベッドに入る2人ですが、悶々とした時間だけがジリジリと流れていきます。眠れずにいる裕奈は宮本が頼んでもいないのに、小学校時代の思い出話を始めます。学級会で裕奈は何度か議題になったという、まったくエロさを感じさせない話題でした。クラスでイジメに遭っていた裕奈は、担任の教師から「彼女もみんなと同じ人間なのよ」と言われ、クラスメイトたちは泣きながら謝罪したそうです。

 無駄に熱い男・宮本はベッドの中で呟きます。「それって、何か悔しいよね。そんなところで謝るのなら、最初っからいじめるなよって」と返す宮本に、裕奈は「優しすぎますよ、宮本さん」と微笑むのでした。エロさをまるで感じさせない女の子・裕奈が無性に愛おしく思えた瞬間でした。思わず、宮本は裕奈のことを抱き寄せてしまいます。

 この後、宮本はてっきり裕奈と朝までエッチしたんだろうなぁと思っていたら、出社した宮本の言動を見る限りではエッチはしていないそうです。据え膳に手を出さずにラブホから会社に出社した自分のことを「立派! よく耐えた!!」と自画自賛する宮本でした。処女を奪ってほしかっただろう裕奈の心情はまったく無視され、「自分が惚れた女以外とはエッチしない」という中学の頃からの独自の哲学を貫いた宮本がニヤニヤしながら鼻血を流す姿がカメラに映し出されます。宮本は優しそうに見えて、超弩級な自己チュー野郎です。

 ラブホで裕奈と朝までハグしあい、京橋の文具店への謝罪も済ませ、いつになく充実感で満たされる宮本でした。客観的に見れば、恋も仕事も何ひとつ成果を上げていないのですが、本人はそのことに気づいていません。でも、こういうポジティブ思考の人間って、往々にして幸運を呼び込んでしまうものです。今度は大物です。夜の街で、美沙子とばったり遭遇するのでした。

 合コン以来となる久々の再会でしたが、夜の雑踏の中でも美沙子は3D映像のように宮本の目にグ~ンと飛び込んでくるのでした。しかも、同期入社の田島(柄本時生)から「ポンチ!」と宮本が呼ばれていることから、美沙子は「ポンチじゃ、かわいそう」と笑ってフォローしてくれるではありませんか。フルーツポンチ事件のことは水に流してくれるそうです。しかも、「電車の中で学校時代のことを話す宮本さんはすごく生き生きした表情をしていて、そういう宮本さんをいつも見ていたい」とまで語っています。美女が気まぐれに発する思わせぶりな台詞に、どれだけ数多くの男たちが舞い上がった挙げ句に轟沈したことでしょう。

 田島が気を利かせて去ったその夜、宮本にはまだツキが残っていました。駅での別れ際、美沙子は通行人に押され、宮本の胸の中へと倒れ込んできたのです。宮本の鼻先に、美沙子のうなじ部分がありました。このときの宮本には美沙子が愛用している香水プアゾンが、彼女のフェロモン臭に感じられたに違いありません。もう迷うことなく、美沙子にロックオンです。

 次回の宮本は美沙子に誘われて会社をサボり、海へと繰り出します。回り道ばかりしている宮本は、ついに「エッチするのは惚れた女だけ」という中学以来の大願成就を果たすのでしょうか? 無駄だらけの宮本ですが、どうやらそんな無駄な部分にこそ、その人の人間性が色濃くにじみ出るようです。経済効率に反して、損をして得をする男・宮本の独自哲学がさらに炸裂する第3話も見逃せません。
(文=長野辰次)

ディーン・フジオカ『モンテ・クリスト伯』初回から低視聴率5.1%……この先“復讐”できるのか?

 日本でも『巌窟王』として有名なアレクサンドル・デュマの名作『モンテ・クリスト伯』(1841年)を現代の日本を舞台にドラマ化した『モンテ・クリスト伯─華麗なる復讐─』(フジテレビ系)。冤罪で投獄され、のちに復讐の鬼と化す主人公をディーン・フジオカが演じる。

 第1話の視聴率は5.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と芳しくなく、初回ということで登場人物や人間関係の紹介と、物語の状況説明に終始した感が強かったため、早くも付いてこれない人が多かった模様。当然、原作ファンはどう「翻訳」されているか気になるところだろう。

 

■舞台は現代の日本

 

 原作では1815年のフランスの港町マルセイユから物語が始まるが、今回のドラマ『華麗なる復讐』第1話では2003年の日本の架空の港町(浜浦町)が舞台。

 ディーン・フジオカ演じる柴門暖(さいもんだん)が恋人・目黒すみれ(山本美月)にサプライズプロポーズをするところから物語は始まる。

 しかしその後、漁師である暖を乗せた遠洋漁業船・海進丸が遭難、2週間も連絡がつかず、守尾漁業社長・守尾英一朗(木下ほうか)や、同じ会社の漁師で今回はケガで乗船しなかった神楽清(新井浩文)も心配を募らせる。

 暖の活躍で海進丸はなんとか帰港し、暖の母親・柴門恵(風吹ジュン)やすみれを安心させるが、船長のバラジ・イスワランは事故で頭を強く打ち、死亡していた。

 神楽の地元の先輩で地上げ屋の寺角類(渋川清彦)は、バラジが死んだことで次期船長は神楽だと祝福するも、神楽に「クズっすね」とウザがられる。

 暖の親友で、すみれとも親しく、サプライズプロポーズにも協力した南条幸男(関ジャニ∞・大倉忠義)は、病室や海辺でたびたびいちゃつく2人を寂しそうに見つめており、どうやらすみれに片思いしている模様。

 一方、バラジの死体を調べる警視庁公安部の入間公平(高橋克典)は、何かを探しているようで、次第に暖の周りに不穏な気配が漂いだす。

 

■ヒーローになれなかった男たち

 

 通信機もGPSも故障した中、星の位置から航路を計測し、日本まで戻ってきたという暖の功績を讃え、社長の守尾英一朗は神楽でなく暖を次期船長にすると決定。暖が「カグ兄(にい)」と慕う神楽は船を降り、事務方として会社を支える決心をする。

 お互いがんばろうと励ましあった際、神楽は、暖がバラジに手紙を託されていたことを知る。

 役者の卵でもある南条はオーディションに落選、昼間から酒を飲んでいた神楽と寺角に合流。ヤクザの下につき、地上げ屋を生業としてる寺角は、デリカシーなく神楽と南条の気持ちをえぐるような言葉を連発する。

 船長の座を諦めたばかりの神楽には、「俺、知ってるんだよ? おめえがずっと暖に嫉妬してるって。やつが転校してくる前まで、おめえがこの街のヒーローだったもんな」。

 暖を「この街のヒーロー」だと言う南条には、「何言ってんだ、女寝取られたくせに」。

 2人ともキレかけるが、それは一番言われたくなかった核心を突かれたからだろう。

 酒の勢いもあってか、神楽は死んだバラジが国際的なテロ組織「ククメット」のメンバーとして疑われていたことを寺角と南条に教えてしまい、寺角もその情報を、さらにヤクザに売ってしまう。

 暖という「ヒーロー」と、彼を取り巻く「ヒーロー」になれなかった男たちの対比が描かれる。これが物語の下地となるのだろう。

■結婚式の最中に逮捕

 

 翌日、暖がククメットのメンバーであると匿名のタレコミがったとのことで、公安の入間が暖の家を訪ねてくる。バラジがククメットと寄港先で接触しているとの情報も、ラデル共和国から入手していると言う。

 タレコミを鵜呑みにしてるわけではないと言いながらも、バラジ元船長から手紙を預かっていることまで知っている入間に、暖は仕方なくその手紙を見せる。

 英文のため、あまり知識のない暖は読めないが、宛先の「Dear Teikichi」の文字に反応する入間。「これを持ってるだけで貴方やご家族に危険が及ぶかもしれない」と入間に言われた暖は、手紙を諦め入間に渡す。

 実は「Teikichi」とは入間公平の父・入間貞吉(伊武雅刀)のことで、金融ファンド・TIファンドマネージメントの代表。ククメットは旧政府要人の集まりであってテロリストではないと信望する貞吉は、ククメットに多額の資金援助をしている。

 入間公平は、「Dear Teikichi」の部分を「Dear Simon」(柴門)と極秘に書き換え、結婚式の真っ最中の暖をテロ資金提供処罰法の容疑で逮捕してしまう。

 式場にサプライズプロポーズの時の動画とBGMの「愛は勝つ」が流れる最中、パトカーで連行される暖。

 手違いだからすぐに釈放すると入間に言われながらも、そのまま暖はラデル共和国に移送され、投獄されてしまう。

「バラジからの手紙を受け取る予定だった人物」を日本(政府)が引き渡せば、ラデル共和国は拘束されている人質(日本の外務省の人間)を引き渡すとの密約があったのだ。

 つまり公平は公安の立場を利用し、テロ一味とつながる父親を守るため、暖を投獄したのだ。

 ラデルの獄中、資金の出所を問われ、蹴られたり水をかけられたりボロボロになりながら拷問を受ける暖は、これからどうなるのか。

 

■原作との比較

 

 舞台を原作の中世のフランスから現代の日本に変えているため、当然いろいろと直しているところも多く、例えば、主人公は航海士→遠洋漁師、皇帝位から追放されていたナポレオンの支持者→国際テロ組織、検事代理→警察公安、といった感じに「翻訳」されている。

 そして、人物名も原作から微妙にもじっているものが多い。

エドモン・ダンテス(一等航海士)→柴門暖(遠洋漁師)
フェルナン・モンデゴ(漁師)→南条幸男(売れない役者)
メルセデス→目黒すみれ
ダングラール(モレル商会の会計士)→神楽清(遠洋漁師)
ジェラール・ド・ヴィルフォール(検事代理)→入間公平(警察公安)
ガスパール・カドルッス(仕立て屋)→寺角類(地上げ屋)
ピエール・モレル(モレル商会経営者)→守尾英一朗(守尾漁業社長)
ノワルティエ(反王党派=ナポレオン支持者)→入間貞吉(テロ組織ククメットに資金援助)

 ちなみにテロ組織の名も原作に出てくる山賊頭の名前「ククメット」から来ているものと思われる。

 原作を読んでいる人と読まずに見ている人との温度差や理解の差をどう埋めていくのかが今後の課題な気もするが、「テロ組織」とか「ラデル共和国」とかの国際的な感じだけで、いきなりギブアップした人も多いだろう。

 はるか遠洋で遭難した船がきっちり元の小さな港に戻ってくるところなど違和感もあったが、日本であって日本でないような異国感漂う雰囲気は癖になりそうだ。

 バラエティでは空気の読めない変わり者的な印象のあるディーンだが、普通の若者を演じると実にナチュラルに見える。不思議な人だ。今後、語学力なども披露されるのだろう。

 個人的には渋川清彦演じる寺角類の小悪党ぶりがリアルで気持ち良かったです。次回に期待します。
(文=どらまっ子HARUちゃん)

ディーン・フジオカ『モンテ・クリスト伯』初回から低視聴率5.1%……この先“復讐”できるのか?

 日本でも『巌窟王』として有名なアレクサンドル・デュマの名作『モンテ・クリスト伯』(1841年)を現代の日本を舞台にドラマ化した『モンテ・クリスト伯─華麗なる復讐─』(フジテレビ系)。冤罪で投獄され、のちに復讐の鬼と化す主人公をディーン・フジオカが演じる。

 第1話の視聴率は5.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と芳しくなく、初回ということで登場人物や人間関係の紹介と、物語の状況説明に終始した感が強かったため、早くも付いてこれない人が多かった模様。当然、原作ファンはどう「翻訳」されているか気になるところだろう。

 

■舞台は現代の日本

 

 原作では1815年のフランスの港町マルセイユから物語が始まるが、今回のドラマ『華麗なる復讐』第1話では2003年の日本の架空の港町(浜浦町)が舞台。

 ディーン・フジオカ演じる柴門暖(さいもんだん)が恋人・目黒すみれ(山本美月)にサプライズプロポーズをするところから物語は始まる。

 しかしその後、漁師である暖を乗せた遠洋漁業船・海進丸が遭難、2週間も連絡がつかず、守尾漁業社長・守尾英一朗(木下ほうか)や、同じ会社の漁師で今回はケガで乗船しなかった神楽清(新井浩文)も心配を募らせる。

 暖の活躍で海進丸はなんとか帰港し、暖の母親・柴門恵(風吹ジュン)やすみれを安心させるが、船長のバラジ・イスワランは事故で頭を強く打ち、死亡していた。

 神楽の地元の先輩で地上げ屋の寺角類(渋川清彦)は、バラジが死んだことで次期船長は神楽だと祝福するも、神楽に「クズっすね」とウザがられる。

 暖の親友で、すみれとも親しく、サプライズプロポーズにも協力した南条幸男(関ジャニ∞・大倉忠義)は、病室や海辺でたびたびいちゃつく2人を寂しそうに見つめており、どうやらすみれに片思いしている模様。

 一方、バラジの死体を調べる警視庁公安部の入間公平(高橋克典)は、何かを探しているようで、次第に暖の周りに不穏な気配が漂いだす。

 

■ヒーローになれなかった男たち

 

 通信機もGPSも故障した中、星の位置から航路を計測し、日本まで戻ってきたという暖の功績を讃え、社長の守尾英一朗は神楽でなく暖を次期船長にすると決定。暖が「カグ兄(にい)」と慕う神楽は船を降り、事務方として会社を支える決心をする。

 お互いがんばろうと励ましあった際、神楽は、暖がバラジに手紙を託されていたことを知る。

 役者の卵でもある南条はオーディションに落選、昼間から酒を飲んでいた神楽と寺角に合流。ヤクザの下につき、地上げ屋を生業としてる寺角は、デリカシーなく神楽と南条の気持ちをえぐるような言葉を連発する。

 船長の座を諦めたばかりの神楽には、「俺、知ってるんだよ? おめえがずっと暖に嫉妬してるって。やつが転校してくる前まで、おめえがこの街のヒーローだったもんな」。

 暖を「この街のヒーロー」だと言う南条には、「何言ってんだ、女寝取られたくせに」。

 2人ともキレかけるが、それは一番言われたくなかった核心を突かれたからだろう。

 酒の勢いもあってか、神楽は死んだバラジが国際的なテロ組織「ククメット」のメンバーとして疑われていたことを寺角と南条に教えてしまい、寺角もその情報を、さらにヤクザに売ってしまう。

 暖という「ヒーロー」と、彼を取り巻く「ヒーロー」になれなかった男たちの対比が描かれる。これが物語の下地となるのだろう。

■結婚式の最中に逮捕

 

 翌日、暖がククメットのメンバーであると匿名のタレコミがったとのことで、公安の入間が暖の家を訪ねてくる。バラジがククメットと寄港先で接触しているとの情報も、ラデル共和国から入手していると言う。

 タレコミを鵜呑みにしてるわけではないと言いながらも、バラジ元船長から手紙を預かっていることまで知っている入間に、暖は仕方なくその手紙を見せる。

 英文のため、あまり知識のない暖は読めないが、宛先の「Dear Teikichi」の文字に反応する入間。「これを持ってるだけで貴方やご家族に危険が及ぶかもしれない」と入間に言われた暖は、手紙を諦め入間に渡す。

 実は「Teikichi」とは入間公平の父・入間貞吉(伊武雅刀)のことで、金融ファンド・TIファンドマネージメントの代表。ククメットは旧政府要人の集まりであってテロリストではないと信望する貞吉は、ククメットに多額の資金援助をしている。

 入間公平は、「Dear Teikichi」の部分を「Dear Simon」(柴門)と極秘に書き換え、結婚式の真っ最中の暖をテロ資金提供処罰法の容疑で逮捕してしまう。

 式場にサプライズプロポーズの時の動画とBGMの「愛は勝つ」が流れる最中、パトカーで連行される暖。

 手違いだからすぐに釈放すると入間に言われながらも、そのまま暖はラデル共和国に移送され、投獄されてしまう。

「バラジからの手紙を受け取る予定だった人物」を日本(政府)が引き渡せば、ラデル共和国は拘束されている人質(日本の外務省の人間)を引き渡すとの密約があったのだ。

 つまり公平は公安の立場を利用し、テロ一味とつながる父親を守るため、暖を投獄したのだ。

 ラデルの獄中、資金の出所を問われ、蹴られたり水をかけられたりボロボロになりながら拷問を受ける暖は、これからどうなるのか。

 

■原作との比較

 

 舞台を原作の中世のフランスから現代の日本に変えているため、当然いろいろと直しているところも多く、例えば、主人公は航海士→遠洋漁師、皇帝位から追放されていたナポレオンの支持者→国際テロ組織、検事代理→警察公安、といった感じに「翻訳」されている。

 そして、人物名も原作から微妙にもじっているものが多い。

エドモン・ダンテス(一等航海士)→柴門暖(遠洋漁師)
フェルナン・モンデゴ(漁師)→南条幸男(売れない役者)
メルセデス→目黒すみれ
ダングラール(モレル商会の会計士)→神楽清(遠洋漁師)
ジェラール・ド・ヴィルフォール(検事代理)→入間公平(警察公安)
ガスパール・カドルッス(仕立て屋)→寺角類(地上げ屋)
ピエール・モレル(モレル商会経営者)→守尾英一朗(守尾漁業社長)
ノワルティエ(反王党派=ナポレオン支持者)→入間貞吉(テロ組織ククメットに資金援助)

 ちなみにテロ組織の名も原作に出てくる山賊頭の名前「ククメット」から来ているものと思われる。

 原作を読んでいる人と読まずに見ている人との温度差や理解の差をどう埋めていくのかが今後の課題な気もするが、「テロ組織」とか「ラデル共和国」とかの国際的な感じだけで、いきなりギブアップした人も多いだろう。

 はるか遠洋で遭難した船がきっちり元の小さな港に戻ってくるところなど違和感もあったが、日本であって日本でないような異国感漂う雰囲気は癖になりそうだ。

 バラエティでは空気の読めない変わり者的な印象のあるディーンだが、普通の若者を演じると実にナチュラルに見える。不思議な人だ。今後、語学力なども披露されるのだろう。

 個人的には渋川清彦演じる寺角類の小悪党ぶりがリアルで気持ち良かったです。次回に期待します。
(文=どらまっ子HARUちゃん)

『あなたには帰る家がある』中谷美紀と玉木宏の夫婦描写がリアルすぎて「あるある」「見てて辛い」と賛否両論!

 TBSの金曜ドラマ『あなたには帰る家がある』の第1話が4月13日に放送され、初回平均視聴率は9.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録しました。

 同ドラマは、2000年に『プラナリア』(文藝春秋)で直木賞を受賞した作家・山本文緒の同名小説が原作。“夫婦の絆”や“不倫”、“女の本音”が盛り込まれており、『金曜日の妻たちへ』『ずっとあなたが好きだった』といった人気ドラマを生み出したTBSの金曜ドラマらしい作品に仕上がっているそうです。

 では、第1話のあらすじを振り返ってみましょう!

■表向き“平穏な夫婦”。でも裏では……

 専業主婦・佐藤真弓(中谷美紀)は、結婚13年目になる住宅販売会社社員の夫・佐藤秀明(玉木宏)とひとり娘・麗奈との3人家族。麗奈が名門私立中学に合格し、子育てがひと段落したのもつかの間、虚無感が真弓を襲う。そんな中、麗奈の中学入学式の帰り道に、真弓がかつて働いていた旅行代理店の同期・愛川由紀(笛木優子)に偶然再会し、職場復帰を勧められる。

 一方その頃、秀明はモデルハウスを見に来ていた茄子田太郎(ユースケ・サンタマリア)と妻の綾子(木村多江)の接客をしていたが、太郎のめんどくさい態度に困惑する。

 その夜、真弓は秀明に職場復帰の相談をするが、秀明は「そんなに甘くない」と言い放つ。しかし、その態度に腹が立った真弓は家計や麗奈の学費のためだと力説し、しぶしぶ秀明も了承した。

 職場復帰した真弓だが、働いていた頃と勝手が変わり、失敗ばかり。秀明の方は営業のために茄子田家を訪れたものの、横柄な態度を取る太郎にまたも手を焼く。そんな秀明の姿を見て励ます綾子。いつしか2人は惹かれ合っていった。

 ある夜、会社でミスをして帰ってきた真弓は、家事を一切手伝わない秀明に怒りをぶつけ大ケンカに発展するも、タイミングよく太郎からの電話が鳴り、なんとかその場を逃れることに成功。

 太郎が待つスナックを訪れた秀明は、真弓や仕事への不満を爆発させ、あおるように酒を飲んで、その場で寝てしまう。目を覚ますと、なんとそこは茄子田家。かいがいしく秀明を介抱してくれる綾子に、秀明は思わず抱きつき「本当に幸せなのか?」と尋ねた。そこで2人は一線を越えそうになるが、物音が聞こえて、秀明は慌てて茄子田家を後にした。

 それから数日たった4月13日。この日は真弓と秀明の結婚記念日。真弓は秀明のためにと、好物であるメンチカツを作って帰りを待っていた。その頃、秀明も早めに家に帰ろうと車を走らせていたが、偶然、雨の中で大荷物を持って歩く綾子を見つけ、家まで送ることに。その途中、綾子は秀明に「私、幸せです。でも、寂しい」と胸の内を語り、2人はホテルへ。ついに一線を越えてしまうのだった、というのが第1話の内容でした。

■女性100人超リサーチ力に圧巻! 女性たちからは共感との声!

 同ドラマの脚本は『花燃ゆ』(NHK総合)の脚本を担当した大島里美氏。『花燃ゆ』では、時代劇初挑戦ということで、大河ドラマ史上ワーストと言われる視聴率をたたき出してしまいましたが、良作もあります。まだ若かった沢尻エリカを有名にしたドラマ『1リットルの涙』『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』(共にフジテレビ系)や映画『ダーリンは外国人』(2010)といった作品をヒットさせており、現代ものでは評価されています。ただ、今回は“大人のドラマ”ということで、“不倫”などを主題に扱うのはほぼ初めて。少々不安が残ります。

 でも、そこは天下のTBSがカバー! なんと事前に女性100人超にリサーチを行い、「クスっと笑える“オンナの本音”あるある」を大量にゲットしたそう。これが秀明や太郎の性格、夫婦描写に反映されているようで、ネットでは放送中から「秀明の賞味期限チェック、あれウチの旦那もやるよ~! ムカつくんだよね~」「仕事も家事もやるのって大変だよね~それなのに旦那がグータラしてるの腹立つ~わかる~!」「太郎みたいに若い女には優しい態度するおっさんいるいる!」など、共感するとの声が聞こえてきていました。

 一方で、そういったリアルな描写が「見ていて辛い」といった声も。特に夫婦のすれ違いなどの描写が妙にリアルだと既婚女性は感じていたようです。夫婦で見ると険悪なモードに入りそうな予感がしますので、今後はひとりで見ることをオススメします。

■演技力抜群の俳優陣の中に一人だけ……

 主人公の真弓はずぼらで頑固な性格の専業主婦。これを中谷が演じるということで、最初は「大丈夫か?」と感じていた人もいるはず。なぜなら、中谷から“家庭”“主婦”という生活感ある役をあまり演じたことがない上、キャリアウーマンや少し抜けた刑事と印象の方が強いからです。

 しかし、ドラマを見ると、あら意外といいじゃない! 特に、結婚記念日に料理を作るシーンではメンチカツを油の中に投入する前から「あちっ!」と言ったり、思いっきり焦げているにもかかわらず、嬉しそうに「よし!」と言っているのです。中谷といえば、数年前までベジタリアンで、揚げ物なんて作ったことがないはず。むしろそういうところが、“ずぼら主婦”にぴったりハマるのです。

 また、ユースケ演じる横暴で嫌味ったらしい夫も絶妙。ユースケといえば、ドラマ『火の粉』(フジテレビ系)で演じた狂気を秘めた役のように、変人役を演じさせると、なぜかぴったりハマります。原作では、さらに気持ち悪い行動を取るだけに、今後もその演技に期待できるはず。さらに、その嫁を演じる木村も実にうまいのです。あの幸薄い感じが妙に色っぽい主婦にぴったり。いつもは三つ指突いて夫の帰りを待つような嫁なのですが、突然、大胆な行動をみせ、不倫へと走ってしまう……。その演技は主役の中谷よりも木村の方が魅力的に映ってしまうほど。

 そして、ユースケ×木村といえば、『カレ、夫、男友達』(NHK)でも夫婦役だったのですが、そのときに、束縛夫のユースケが妻である木村の頭にマヨネーズをドバドバとかけるという衝撃的な荒行が今でも思い出されます。同ドラマにも、そういったシーンがあると話題になると思うのですが……。今後そういった演出を期待したいところです。

 一方で、違和感しか湧かなかったのが、中谷の夫を演じる玉木宏。同ドラマのようにダメな夫役は、過去にドラマ『残念な夫。』(フジテレビ系)で演じていたことがありましたが、これもすごく違和感が……。実生活で若い頃チーマーをしていたことが影響しているからでしょうか。さらに、顔が若すぎて、とても13歳の娘を持つ父親とも思えない……。配役に少々無理があるように思えますが、なんてったって好感度NO.1俳優ですからね。視聴率のためには必要不可欠。次回は浮気がバレそうになるという不運に見舞われますが、どんなダメな夫ぶりをみせてくれるのか期待しましょう。

 以上、第1話のレビューでした。

 前作の『アンナチュラル』は初回平均視聴率12.7%だっただけに、少し寂しいスタートを切ってしまいました。しかし、演技派の俳優陣に加え、“リアルな描写”という売りがありますから、これから数字が伸びるチャンスはまだまだありそうです。第2話に期待しましょう!

(文=どらまっ子KOROちゃん)

『あなたには帰る家がある』中谷美紀と玉木宏の夫婦描写がリアルすぎて「あるある」「見てて辛い」と賛否両論!

 TBSの金曜ドラマ『あなたには帰る家がある』の第1話が4月13日に放送され、初回平均視聴率は9.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録しました。

 同ドラマは、2000年に『プラナリア』(文藝春秋)で直木賞を受賞した作家・山本文緒の同名小説が原作。“夫婦の絆”や“不倫”、“女の本音”が盛り込まれており、『金曜日の妻たちへ』『ずっとあなたが好きだった』といった人気ドラマを生み出したTBSの金曜ドラマらしい作品に仕上がっているそうです。

 では、第1話のあらすじを振り返ってみましょう!

■表向き“平穏な夫婦”。でも裏では……

 専業主婦・佐藤真弓(中谷美紀)は、結婚13年目になる住宅販売会社社員の夫・佐藤秀明(玉木宏)とひとり娘・麗奈との3人家族。麗奈が名門私立中学に合格し、子育てがひと段落したのもつかの間、虚無感が真弓を襲う。そんな中、麗奈の中学入学式の帰り道に、真弓がかつて働いていた旅行代理店の同期・愛川由紀(笛木優子)に偶然再会し、職場復帰を勧められる。

 一方その頃、秀明はモデルハウスを見に来ていた茄子田太郎(ユースケ・サンタマリア)と妻の綾子(木村多江)の接客をしていたが、太郎のめんどくさい態度に困惑する。

 その夜、真弓は秀明に職場復帰の相談をするが、秀明は「そんなに甘くない」と言い放つ。しかし、その態度に腹が立った真弓は家計や麗奈の学費のためだと力説し、しぶしぶ秀明も了承した。

 職場復帰した真弓だが、働いていた頃と勝手が変わり、失敗ばかり。秀明の方は営業のために茄子田家を訪れたものの、横柄な態度を取る太郎にまたも手を焼く。そんな秀明の姿を見て励ます綾子。いつしか2人は惹かれ合っていった。

 ある夜、会社でミスをして帰ってきた真弓は、家事を一切手伝わない秀明に怒りをぶつけ大ケンカに発展するも、タイミングよく太郎からの電話が鳴り、なんとかその場を逃れることに成功。

 太郎が待つスナックを訪れた秀明は、真弓や仕事への不満を爆発させ、あおるように酒を飲んで、その場で寝てしまう。目を覚ますと、なんとそこは茄子田家。かいがいしく秀明を介抱してくれる綾子に、秀明は思わず抱きつき「本当に幸せなのか?」と尋ねた。そこで2人は一線を越えそうになるが、物音が聞こえて、秀明は慌てて茄子田家を後にした。

 それから数日たった4月13日。この日は真弓と秀明の結婚記念日。真弓は秀明のためにと、好物であるメンチカツを作って帰りを待っていた。その頃、秀明も早めに家に帰ろうと車を走らせていたが、偶然、雨の中で大荷物を持って歩く綾子を見つけ、家まで送ることに。その途中、綾子は秀明に「私、幸せです。でも、寂しい」と胸の内を語り、2人はホテルへ。ついに一線を越えてしまうのだった、というのが第1話の内容でした。

■女性100人超リサーチ力に圧巻! 女性たちからは共感との声!

 同ドラマの脚本は『花燃ゆ』(NHK総合)の脚本を担当した大島里美氏。『花燃ゆ』では、時代劇初挑戦ということで、大河ドラマ史上ワーストと言われる視聴率をたたき出してしまいましたが、良作もあります。まだ若かった沢尻エリカを有名にしたドラマ『1リットルの涙』『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』(共にフジテレビ系)や映画『ダーリンは外国人』(2010)といった作品をヒットさせており、現代ものでは評価されています。ただ、今回は“大人のドラマ”ということで、“不倫”などを主題に扱うのはほぼ初めて。少々不安が残ります。

 でも、そこは天下のTBSがカバー! なんと事前に女性100人超にリサーチを行い、「クスっと笑える“オンナの本音”あるある」を大量にゲットしたそう。これが秀明や太郎の性格、夫婦描写に反映されているようで、ネットでは放送中から「秀明の賞味期限チェック、あれウチの旦那もやるよ~! ムカつくんだよね~」「仕事も家事もやるのって大変だよね~それなのに旦那がグータラしてるの腹立つ~わかる~!」「太郎みたいに若い女には優しい態度するおっさんいるいる!」など、共感するとの声が聞こえてきていました。

 一方で、そういったリアルな描写が「見ていて辛い」といった声も。特に夫婦のすれ違いなどの描写が妙にリアルだと既婚女性は感じていたようです。夫婦で見ると険悪なモードに入りそうな予感がしますので、今後はひとりで見ることをオススメします。

■演技力抜群の俳優陣の中に一人だけ……

 主人公の真弓はずぼらで頑固な性格の専業主婦。これを中谷が演じるということで、最初は「大丈夫か?」と感じていた人もいるはず。なぜなら、中谷から“家庭”“主婦”という生活感ある役をあまり演じたことがない上、キャリアウーマンや少し抜けた刑事と印象の方が強いからです。

 しかし、ドラマを見ると、あら意外といいじゃない! 特に、結婚記念日に料理を作るシーンではメンチカツを油の中に投入する前から「あちっ!」と言ったり、思いっきり焦げているにもかかわらず、嬉しそうに「よし!」と言っているのです。中谷といえば、数年前までベジタリアンで、揚げ物なんて作ったことがないはず。むしろそういうところが、“ずぼら主婦”にぴったりハマるのです。

 また、ユースケ演じる横暴で嫌味ったらしい夫も絶妙。ユースケといえば、ドラマ『火の粉』(フジテレビ系)で演じた狂気を秘めた役のように、変人役を演じさせると、なぜかぴったりハマります。原作では、さらに気持ち悪い行動を取るだけに、今後もその演技に期待できるはず。さらに、その嫁を演じる木村も実にうまいのです。あの幸薄い感じが妙に色っぽい主婦にぴったり。いつもは三つ指突いて夫の帰りを待つような嫁なのですが、突然、大胆な行動をみせ、不倫へと走ってしまう……。その演技は主役の中谷よりも木村の方が魅力的に映ってしまうほど。

 そして、ユースケ×木村といえば、『カレ、夫、男友達』(NHK)でも夫婦役だったのですが、そのときに、束縛夫のユースケが妻である木村の頭にマヨネーズをドバドバとかけるという衝撃的な荒行が今でも思い出されます。同ドラマにも、そういったシーンがあると話題になると思うのですが……。今後そういった演出を期待したいところです。

 一方で、違和感しか湧かなかったのが、中谷の夫を演じる玉木宏。同ドラマのようにダメな夫役は、過去にドラマ『残念な夫。』(フジテレビ系)で演じていたことがありましたが、これもすごく違和感が……。実生活で若い頃チーマーをしていたことが影響しているからでしょうか。さらに、顔が若すぎて、とても13歳の娘を持つ父親とも思えない……。配役に少々無理があるように思えますが、なんてったって好感度NO.1俳優ですからね。視聴率のためには必要不可欠。次回は浮気がバレそうになるという不運に見舞われますが、どんなダメな夫ぶりをみせてくれるのか期待しましょう。

 以上、第1話のレビューでした。

 前作の『アンナチュラル』は初回平均視聴率12.7%だっただけに、少し寂しいスタートを切ってしまいました。しかし、演技派の俳優陣に加え、“リアルな描写”という売りがありますから、これから数字が伸びるチャンスはまだまだありそうです。第2話に期待しましょう!

(文=どらまっ子KOROちゃん)

『正義のセ』吉高由里子が殺人回想シーンになぜか登場! 突然“想像の翼”を広げる主人公についていけない!

 吉高由里子主演のドラマ『正義のセ』(日本テレビ系)の第2話が4月18日に放送され、平均視聴率9.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、前回から1.1ポイントダウンとなってしまいました。

 第1話放送直後から「既視感がすごい……」と視聴者の間では、悪い意味で話題となっていたため、「見なくてもいいっか~」と考える人が続出したのでしょうか。

 視聴率ダウンの推測はこのくらいにして、第2話のあらすじを振り返ってみましょう! 

■初めて殺人事件を担当し、検事として成長を見せる凜々子!

 ある日、竹村凜々子(吉高)は梅宮譲支部長(寺脇康文)から妻が夫を殺した事件を任される。初めて殺人事件を担当することになった凜々子は「頑張ります!」と張り切るが、凜々子の担当事務官・相原勉(安田顕)は、「常に冷静に落ち着いて」と忠告する。

 凜々子の担当する殺人事件は、主婦・町田かれん(財前直見)が夫・義之(大澄賢也)の暴力から身を守るために夫を殴った、という内容。「気付いたら意識がなくびっくりした」と泣きながら殺意を否認するかれんの供述を聞き、凜々子は同情する。

 そんな中、警察から「かれんが夫以外の男性と頻繁に会っていた」という情報がもたらされ、凜々子と相原は殺害現場である町田家に向かった。すると、近所の主婦から「かれんが出したゴミ袋の中に離婚届があった」との話を聞く。もしかしたら「かれんは不倫をしていたのでは?」と思い始める凜々子。さらに、司法解剖によって5回も殴っていたことが判明し、殺意があった疑いが強まっていく。

 翌日、かれんが頻繁に会っていた男が、仕事の斡旋業者の社長だったことがわかり、凜々子と相原は話を聞きに行くことに。社長はかれんが働きたがっていたと話し、2人はかれんが夫と別れ独り立ちしたがっていたのだと知るのだった。

 さらに、調べようと、かれんの携帯電話の情報を取り寄せた2人は、履歴から娘・まりあの居場所を突き止める。まりあに会いに行き、2人は「日頃から暴力を振るっていた父に母は何も言わず耐えていた。それが嫌で家を出た」という真実を聞く。母を毛嫌いし続けるまりあに、凜々子はかれんがまりあのSNSに励ますメッセージを送っていた事実を伝える。それに感動したまりあは「母に渡してほしい」と、かれんのことを許す旨を書いた手紙を凜々子に渡した。

 凜々子はかれんにその手紙を渡し、自白を促す。手紙を読んだかれんは泣きながら事件の真実を話し、無事解決に至った、という内容でした。

■SF演出が炸裂! 凜々子が“想像の翼”を広げて、殺人回想シーンに登場!

 第1話でも言いましたが、凜々子を中心に話が進むため、結局は彼女の想像通りにことが進みすぎです。凜々子の推理は的中率100%に近く、被疑者の自白シーンがまったく必要なくなってしまうぐらいで、「お前は江戸川コナンか!」とツッコミたくなります。

 その上、今回、凜々子と相原がかれんの携帯電話の履歴から娘の居場所を見つけるというシーンがあるのですが、「警察が調べてるはずでしょ?」と疑問が。まさかこのドラマの中の警察は、かれんの「娘の居場所はわからない」という言葉を信じて調べてないのでしょうか。普通調べているはずですが、きっと警察は無能だということを言いたいのでしょうか!?

 また、かれんの事件回想シーンの演出が急にSFチックになり、かれんが夫を殺す瞬間に第三者として、なぜか凜々子が傍観しているのです! 「ええ? なんでいるの?」という声と共に、「“想像の翼”を広げ始めちゃった? ああ、『花子とアン』(NHK総合)ね」とツッコミたくなる演出にびっくりです。多分、凜々子のかれんに同情する気持ちを表現したいと思ったのでしょうが、突拍子もない演出になってしまっているので、視聴者側としては「てっ!」ではなく、「けっ!」と吐き捨てしまいそうです。

■吉高よりも有名な脇役俳優たちがパセリ化!

 凜々子中心で話が進むので、どうしても脇役が機能していない印象がすごいです。無駄に声を低くしてクールキャラを気取っている三浦翔平しかり、梅宮支部長役の寺脇康文、同僚の塚地武雅も添え物程度にしか見えず、「いる意味があるのか?」と疑問に思ってしまいます。

 凜々子のバディである相原に至っては、毎回凜々子に忠告をするのですが、凜々子がガン無視して猪突猛進するあまり、別にいなくてもいい存在という印象が強くなるばかり。演技派として人気がある安田顕の無駄遣いとしかいいようがありません。

 また、「仕事並みに恋もしっかりする」というテーマがあるようですが、デートのシーンが毎回ちょっとしかない……。その上、恋人とすれ違いという悲しいオチ。まったく恋はうまくいっていないので、すでに失恋フラグが立っている印象に。演出を担当している南雲聖一氏は過去に菅野美穂主演ドラマ『働きマン』(同)の演出も担当していることもあり、筆者としては、このまま相手が別れを切り出す方向に進めようとしているのではないかと想像してしまいました。

 そして一番いらないと思ってしまったのが、家族のシーン。父親役の生瀬勝久と母親役の宮崎美子、塩顔の凜々子と似ても似つかないソース顔の妹の広瀬アリスとの一家団欒シーンがあるのですが、これがまったく仕事に結びついていないのです。家族コントのためだけに用意されているのかと思ってしまうぐらいで、いっそこのシーンはなくしてしまったほうがいいのではないかと。今後この家族が凜々子の仕事に必要になる日がくるのでしょうか。

 以上、第2話のレビューでした。

 こういうお奉行さまスタイルのドラマは高齢者も見やすいとあって、今後視聴率が挽回する可能性もなきにしもあらず。次回は、結婚詐欺事件を担当するそう。おまけに、プライベートの方では恋人にプロポーズされるらしく、「え? そっちの方は全然進んでいなくない? また突然かよ!」と放送前からツッコミ要素が満載。楽しみに次回放送を待ちましょう!

(文=どらまっ子KOROちゃん)

『シグナル』サスペンスにSFエキスをポトリ……塩顔・坂口健太郎とソース顔・北村一輝の時空を超えた捜査に期待!

 坂口健太郎が連続ドラマ初主演を務める『シグナル 長期未解決事件捜査班』(フジテレビ系)の第2話が17日に放送され、平均視聴率8.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.3ポイントダウンとなってしまいました。

 まずは前回のあらましを少し。三枝健人(坂口健太郎)は、小学1年生の時に起きた女児誘拐殺人事件で犯人らしき女を目撃するのですが、警察には取り合ってもらえず。警察は、25歳の男性・橋本啓介を最重要容疑者として捜査を進めるのでした。

 しかし、行方をくらませた橋本は見つからぬまま月日は流れ、間もなく時効成立を迎えてしまうことに。その間、城西警察署地域課所属・南山田交番勤務の警察官となった健人は、ある日、廃棄予定の無線機から男の声が聞こえてくることに気づきます。

 その声の主は、過去に同警察署刑事課に所属していた刑事の大山剛志(北村一輝)。閉鎖された谷原記念病院の通風孔内に橋本の首吊り死体があることを伝えてきます。

 半信半疑の健人ですが、現場へ足を運んだところ白骨化した橋本の死体を発見。これによって一気に捜査の突破口が開け、谷原記念病院に勤務していた看護師・吉本圭子(長谷川京子)が容疑者として急浮上。任意同行にこぎつけたところで前回は終了となりました。

 そして今回、圭子の取り調べシーンからスタートするのですが、時効まで残された時間はわずか20分。当然、圭子は口を割ろうとしません。警察にとって頼みの綱は、橋本の首を吊ったロープに付着していた血液。これが圭子の血液ならば、殺人の決定的な証拠となる。しかし、DNA鑑定を依頼した科捜研からは、なかなか結果が届きません。

 焦燥感に駆られた健人は、偽の鑑定書を圭子に突きつけ自白を迫ります。しかし、嘘を見透かされてしまい、そのままタイムアウト。時効成立となったところでようやく科捜研から鑑定書が届きます。ロープに付着していたのは、やはり圭子のもの。真犯人を目の前にして逮捕できず、健人は悔しさを滲ませます。

 しかし、科捜研からはもう一点、届け物が。それは、橋本の衣服に入っていたというコインパーキングのチケットなのですが、そこに打刻された日時は、少女が殺害された翌日。つまり、橋本殺害に関しては時効まで1日の猶予があり、圭子はその場で即逮捕され、一件落着となります。

 その後、2010年4月に時効を撤廃する改正法が成立し、警視庁内では長期未解決事件捜査班が発足。城西警察署刑事課の刑事・桜井美咲(吉瀬美智子)らが配属されます。

 それからさらに8年後、アメリカでプロファイリングを学び、警部補に昇進した健人が同捜査班に加入。1997年に発生した女性連続殺人事件の再捜査を開始することになります。

 とはいえ、過去に捜査一課が全力を尽くしても解決できなかった事件。新たな手がかりは掴めず、捜査は一向に進展しません。

 そんな折、例の無線機から再び大山の声が。慌てて応答した健人は、大山が以前とはどこか違う様子であることに気がつきます。不審に思い問い詰めると、大山はまさしく今、21年前の女性連続殺人事件の捜査中だというのです。

 時空を超えた通信に驚く健人ですが、さらに不可思議な現象が発生します。本来は殺害されたことになっている近藤美香という女性を、1997年の世界にいる大山が救出すると、それが2018年にも反映され、捜査資料上で“殺人未遂”に変化。つまり、タイムパラドックスが発生するのですが、今回はそこまでで終了となりました。

 さて感想。前回は、橋本の白骨死体が見つかって以降、目まぐるしい展開となり、健人をはじめとする演者たちがドタバタ動き回り、視聴者側は置いてけぼりをくらって、何が何だかわからないまま終わってしまった印象でした。

 その点、今回は落ち着いて見られました。2018年の世界にいる健人と、1997年の世界にいる大山とが無線機で繋がり、タイムパラドックスが発生するという展開も面白い。その世界観に引き込まれました。

 冷静に考えれば、“そんなバカな”な設定なのですが、重厚なサスペンスの世界にSFのエキスを一滴たらし、演出の妙でうまく溶け込ませている。だから、特異な設定も違和感なく受け入れられるんですね。

 ただ、時系列がちょっと複雑。実は今回、圭子を逮捕した直後にも無線機の通信がつながるシーンがあったのですが、その時の大山がいつの時代から交信しているのかわからない。前回、橋本の首吊り死体を発見した時とも違う雰囲気なのです。設定自体は面白いだけに、今後はこのあたりの交通整理をうまくして欲しいな、と思いました。

 見ようによっては、大山が主役にもとれますよね。塩顔・坂口健太郎とソース顔・北村一輝という対照的な2人ですが、時空を超えた捜査が今後どう発展していくのか。回を重ねる毎に面白くなっていくのではないかと期待してます。
(文=大羽鴨乃)

『シグナル』サスペンスにSFエキスをポトリ……塩顔・坂口健太郎とソース顔・北村一輝の時空を超えた捜査に期待!

 坂口健太郎が連続ドラマ初主演を務める『シグナル 長期未解決事件捜査班』(フジテレビ系)の第2話が17日に放送され、平均視聴率8.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.3ポイントダウンとなってしまいました。

 まずは前回のあらましを少し。三枝健人(坂口健太郎)は、小学1年生の時に起きた女児誘拐殺人事件で犯人らしき女を目撃するのですが、警察には取り合ってもらえず。警察は、25歳の男性・橋本啓介を最重要容疑者として捜査を進めるのでした。

 しかし、行方をくらませた橋本は見つからぬまま月日は流れ、間もなく時効成立を迎えてしまうことに。その間、城西警察署地域課所属・南山田交番勤務の警察官となった健人は、ある日、廃棄予定の無線機から男の声が聞こえてくることに気づきます。

 その声の主は、過去に同警察署刑事課に所属していた刑事の大山剛志(北村一輝)。閉鎖された谷原記念病院の通風孔内に橋本の首吊り死体があることを伝えてきます。

 半信半疑の健人ですが、現場へ足を運んだところ白骨化した橋本の死体を発見。これによって一気に捜査の突破口が開け、谷原記念病院に勤務していた看護師・吉本圭子(長谷川京子)が容疑者として急浮上。任意同行にこぎつけたところで前回は終了となりました。

 そして今回、圭子の取り調べシーンからスタートするのですが、時効まで残された時間はわずか20分。当然、圭子は口を割ろうとしません。警察にとって頼みの綱は、橋本の首を吊ったロープに付着していた血液。これが圭子の血液ならば、殺人の決定的な証拠となる。しかし、DNA鑑定を依頼した科捜研からは、なかなか結果が届きません。

 焦燥感に駆られた健人は、偽の鑑定書を圭子に突きつけ自白を迫ります。しかし、嘘を見透かされてしまい、そのままタイムアウト。時効成立となったところでようやく科捜研から鑑定書が届きます。ロープに付着していたのは、やはり圭子のもの。真犯人を目の前にして逮捕できず、健人は悔しさを滲ませます。

 しかし、科捜研からはもう一点、届け物が。それは、橋本の衣服に入っていたというコインパーキングのチケットなのですが、そこに打刻された日時は、少女が殺害された翌日。つまり、橋本殺害に関しては時効まで1日の猶予があり、圭子はその場で即逮捕され、一件落着となります。

 その後、2010年4月に時効を撤廃する改正法が成立し、警視庁内では長期未解決事件捜査班が発足。城西警察署刑事課の刑事・桜井美咲(吉瀬美智子)らが配属されます。

 それからさらに8年後、アメリカでプロファイリングを学び、警部補に昇進した健人が同捜査班に加入。1997年に発生した女性連続殺人事件の再捜査を開始することになります。

 とはいえ、過去に捜査一課が全力を尽くしても解決できなかった事件。新たな手がかりは掴めず、捜査は一向に進展しません。

 そんな折、例の無線機から再び大山の声が。慌てて応答した健人は、大山が以前とはどこか違う様子であることに気がつきます。不審に思い問い詰めると、大山はまさしく今、21年前の女性連続殺人事件の捜査中だというのです。

 時空を超えた通信に驚く健人ですが、さらに不可思議な現象が発生します。本来は殺害されたことになっている近藤美香という女性を、1997年の世界にいる大山が救出すると、それが2018年にも反映され、捜査資料上で“殺人未遂”に変化。つまり、タイムパラドックスが発生するのですが、今回はそこまでで終了となりました。

 さて感想。前回は、橋本の白骨死体が見つかって以降、目まぐるしい展開となり、健人をはじめとする演者たちがドタバタ動き回り、視聴者側は置いてけぼりをくらって、何が何だかわからないまま終わってしまった印象でした。

 その点、今回は落ち着いて見られました。2018年の世界にいる健人と、1997年の世界にいる大山とが無線機で繋がり、タイムパラドックスが発生するという展開も面白い。その世界観に引き込まれました。

 冷静に考えれば、“そんなバカな”な設定なのですが、重厚なサスペンスの世界にSFのエキスを一滴たらし、演出の妙でうまく溶け込ませている。だから、特異な設定も違和感なく受け入れられるんですね。

 ただ、時系列がちょっと複雑。実は今回、圭子を逮捕した直後にも無線機の通信がつながるシーンがあったのですが、その時の大山がいつの時代から交信しているのかわからない。前回、橋本の首吊り死体を発見した時とも違う雰囲気なのです。設定自体は面白いだけに、今後はこのあたりの交通整理をうまくして欲しいな、と思いました。

 見ようによっては、大山が主役にもとれますよね。塩顔・坂口健太郎とソース顔・北村一輝という対照的な2人ですが、時空を超えた捜査が今後どう発展していくのか。回を重ねる毎に面白くなっていくのではないかと期待してます。
(文=大羽鴨乃)

『コンフィデンスマンJP』見どころは古沢良太脚本だけじゃない!? フジテレビの敏腕スタッフが超高視聴率を狙う!

 長澤まさみ主演作『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)が4月9日にスタート、第1話の平均視聴率は9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)であった。

 同作は『リーガルハイ』『デート』(同)を手掛けた脚本家・古沢良太の3年ぶりの連ドラ作品とあって、初回90分放送の肝いりの第1話。まずは、あらすじをさらっと解説したい。

 天才的な頭脳を持つもハニートラップが苦手な詐欺師・ダー子(長澤まさみ)、詐欺師なのにお人よしで騙されやすいボクちゃん(東出昌大)、変装の名人リチャード(小日向文世)の3人が、悪徳公益財団の会長・赤星(江口洋介)から20億円を騙し取るというのが第1話のストーリー。登場人物同士が騙し合い、視聴者の予想すら裏切る“コンゲーム”というジャンルの性質上、ストーリーの詳細はお伝えしないが、初回90分という長尺にもかかわらず、体感時間はアッと言う間という感じ。飽きることなく見ることができた。

 番組宣伝でデカデカと『脚本:古沢良太』と銘打たれた通り、脚本家に注目が集まる本作。この記事では『コンフィデンスマンJP』の見どころに触れつつ、企画や演出などを担当するフジテレビの人々にもスポットライトを当ててみたい。

■今からでも間に合う、古沢良太ってどんな人?

 スタッフを紹介する前に、まずは古沢良太に触れたいと思う。ネットニュースやCMなどで名前を見たことがあっても、どのくらいスゴい人なのか、わからないという人も多いはず。

 経歴をザックリ紹介すると、2002年テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞で『アシ!』という漫画家とアシスタントの交流を描いた作品で大賞を受賞。岡田恵和氏・井上由美子氏・両沢和幸氏、そして今は亡き野沢尚氏という脚本界のレジェンドたちに認められ、破格の賞金800万円(現在は500万円)を掴み取り、20代にして華々しいデビューを飾った。その後、30代のうちに映画『ALWAYS三丁目の夕日』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞、ドラマ『ゴンゾウ 伝説の刑事』(テレビ朝日系)で向田邦子賞の受賞などの各タイトルを総ナメにする。プロ将棋士に例えるなら、羽生善治的な存在と言えるだろう。

 本作『コンフィデンスマンJP』も、古沢良太の足跡が滲み出た一作だった。

『リーガルハイ』でも見られた、味方すら騙す裏切りの連続。『デート』にも使われた、行ったり来たりの自由な時系列での構成。そして登場人物同士の軽快な掛け合い。

 掛け合いの良さはデビュー当時から評価されていたが、構成力と予想のつかない展開は、『相棒』(テレビ朝日系)、『ゴンゾウ 伝説の刑事』『外事警察』(NHK総合)などの刑事ドラマで培ったと考えられる。

 ただ、それらの作品は、現在の古沢良太作品と比べると、ややヘビーなテイストの作品が多い。そこで注目したいのが、表題にも挙げたフジテレビの敏腕スタッフである。

■ブランド力低下のフジテレビにもいる、有能社員たち

 まず本作の企画を手掛けたのは、成河広明氏。『リーガルハイ』や『デート』の時からタッグを組んでいたプロデューサーだ。成河氏の代表作は、『ストロベリーナイト』『絶対零度~未解決事件特命捜査~』(共にフジテレビ系)など、古沢良太が過去に手掛けた刑事ドラマと毛色が似ている。

 それにもかかわらず、二人がタッグを組んだ作品は本作も含めてコメディ路線。そうなった経緯については当人同士しか存ぜぬことではあるが、古沢良太のコメディを書ける力を見抜いていなければ、『リーガルハイ』『デート』は存在せず、現在のように広く世に名の知れる脚本家になっていなかったかもしれない。いかに組むスタッフが大事かということがうかがえる。

 その点で、起用された演出家も素晴らしい。チーフディレクターの田中亮氏は『ラストシンデレラ』『ディア・シスター』(共にフジテレビ系)など女性層に向けたヒューマンコメディ作品を手掛けた監督。コミカルな世界観を艶っぽく見せる力に長けている。

 第1話のフジテレビ本社社屋のイルミネーションを背景に使ったタイトルバックは絶妙だった。さじ加減も優れており、一歩間違えばただのドタバタ喜劇になりかねない場面をスリリングに演出して冷めさせない。長澤まさみが持つセクシーさを控えつつ、チャーミングさを引き出し、「色仕掛けだけは下手くそ」というダー子の設定に説得力を持たせていた。

 同じくディレクターとして名を連ねる金井絋氏も『HERO』や『恋仲』(共にフジテレビ系)など幅広いジャンルの作品で登場人物の人間臭さを引き出してきた監督であるし、三橋利行氏も『俺のセンセイ』(フジテレビ系)という新人脚本家と組んだ深夜ドラマを洗練された作品に昇華させた力を持つ。

 上質な脚本をフジテレビのスタッフたちがどう料理するかも、楽しみな要素の一つである。

■初回平均視聴率9.4%。視聴率アップの秘策は?

 まるで忖度したかのように絶賛記事を書いてしまったが、本作にも課題はある。それが2ケタに届かなかった視聴率だ。

 直近の月9作品、『海月姫』初回8.6%、『民衆の敵』初回9.0%と比べれば健闘した数字と言えるが、TBS日曜劇場や日本テレビ水曜10時枠などのコンスタントに2ケタ視聴率を取る他局の看板枠に比べれば物足りない。

 Twitterやネットニュースなどで本作への絶賛の声が多く見受けられるも、褒められる作品イコール高視聴率とは限らない。『海月姫』も視聴者の満足度は高かったが、月9史上ワースト視聴率を更新した。ネットで声を上げる層は、目が肥えているという自負のある、言わばモノを見る玄人。そういった類の人は、ごく一部に過ぎない。炎上は低視聴率につながるが、ネット上の絶賛は高視聴率につながらない。バッシングを受けない程度に斬新で見易い作品を心がけるこたが、視聴率を上げる手でもある。そういった意味では光明がある。それは3月30日放送の『新・週刊テレビ批評』(フジテレビ系)で語られた古沢良太のスタンスだ。

「フジテレビは攻めの姿勢を貫くべき、ただし過激なことをすればいいというわけではない」

 高視聴率を目指すのに必要な“攻め”とは、好感を持たれるほんの少しの目新しさなのかもしれない。

『半沢直樹』(TBS系)は水戸黄門的な馴染みのあるフォーマットに、“上司への仕返し”という、ありそうでなかった要素を入れていた。『逃げるは恥だが役に立つ』(同)も時代の半歩先を行く契約結婚を主軸に置いた。両作品とも、視聴者にとって身近な会社組織と結婚生活を題材とし、それらに対する不満まで解消し、人気を博した。

『コンフィデンスマンJP』は、我々にとって身近なお金の不満を解消してくれるのだろうか?

 年収1,000万円超のテレビマンたちが、視聴者の財布の中の1円玉にまで想いを馳せる想像力と誠実さがあれば、この作品は多くの人に愛されるモノになる。

 本作がフジテレビの世の中からの評価に対するコンゲームとなることを期待しつつ、16日放送の第2話も見守りたい。(文=許婚亭ちん宝)