『コンフィデンスマンJP』視聴率回復の秘訣は古沢良太の“ドM”体質か!? 制約があるほど光る手腕がイイ!

 4月23日放送の『コンフィデンスマンJP』第3話の視聴率は、9.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区。以下同)だった。

 手放しで喜べるほどの数字ではないが、1話9.4%→2話7.7%→3話9.1%と、3話目にして下げ止まり。1話と同じ9%台に戻せた事は大きい。

 本記事では、第3話の視聴率が上がった理由を分析。そして、近年のヒット作と比較しながら、コンフィデンスマンJPの今後の展開と全話の視聴率を占う。

前回までのレビューはこちらから

 その前に、第3話「美術商編」の内容の振り返りから。

 ボクちゃん(東出昌大)は、美大生の須藤ユキ(馬場ふみか)が自殺未遂した事を知る。その理由は、美術評論家の城ケ崎善三(石黒賢) にヤリ逃げされたこと。「画家として将来性がある」と、城ケ崎は自分の権力をチラつかせて近づいたのに、「才能がない」とユキを切り捨てた。

 ダー子(長澤まさみ)とリチャード(小日向文世)の協力を得て、ボクちゃんは城ケ崎にニセモノの絵画を高額で売りつけようとする。

■制約があるほど光る、古沢良太の手腕

 美大生・ユキのリストカットから始まる第3話。金や権力で女を釣るオッサンと傷つけられた若い女性。ベタとも言えるが、我々の身近にも起こり得る加害者と被害者の構図は共感を呼ぶ。ボクちゃんのユキを助けたいという気持ちに納得できるし、城ケ崎が失墜するのも痛快。そしてすべてを失った城ケ崎が子どもの下手な絵に励まされる姿に感動できる。善と悪を最初から明確にする型にハマった構成だからこそ、善悪で割り切れない人間の機微が強く打ち出されていた。(余談だが、助けたユキにも裏があった)

 これは私見ではあるが、古沢脚本のドラマは型にハマった展開である時ほど、キャラクターや台詞の個性が際立って面白い。

 古沢良太自身、テレビや雑誌のインタビューで、規制の多い方が書けると語っている。クリエイターとして“ドM”とも受け取られそうな発言は、規制ばかりのテレビ業界においては救世主ともいえる一言だ。こと連続テレビドラマは、コンプライアンス的な制約が多く、視聴率・製作費・撮影日数などの数字との闘いを強いられる。お金と時間をかけず、大勢の人が見易い物を作らなければならない。

 3話は、1話と2話で大規模なロケが敢行されたせいか、オークション会場や美術商の事務所など、少ないステージで物語が展開されていた。その分1シーンにかけられる時間が長く、古沢良太得意の会話劇が楽しむことができた。

 特に目を引いたのは、ダー子たちが贋作を手掛ける画師・判友則(でんでん)にピカソの偽物の制作を頼みに行くシーン。判友則がどれだけ凄いかを1シーンで煽るだけ煽り、「ピカソよりうまくならねえように気を付けねえと」と、痺れる一言で締めくくられる。だが次のシーン、一瞬で城ケ崎に贋作だと見抜かれ、判友則は逮捕される。

 呆気ないオチで笑えるのは、壮大なフリの賜物。絵画が数点置かれただけの寂れた部屋での判友則への依頼の盛り上がりは、古沢良太の会話劇の手腕なくして成立しない。

 また、三橋利行氏の演出も、映像以上に会話劇を引き立たせた印象だ。予算や時間の制約があっても面白い本を作る控えめな天才と、彼の会話劇を目立たせた演出家。自己犠牲の精神が、視聴率の回復を呼び込んだのかもしれない。

■コンフィデンスマンJPは視聴率2ケタを達成できるのか?

 冒頭でも触れた視聴率の下げ止まり。これは早ければ早い方がいい。

 ここ半年間で、全話の視聴率が初回を上回ったゴールデン帯ドラマは3タイトルのみ(テレビ朝日水曜21時、木曜20時枠は除く)。『99.9-刑事専門弁護士- SEASONⅡ』『陸王』(ともにTBS系)『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ)。各作品、下げ止まりが早かった。

『99.9』(1話15.1%、2話18.0、全話17.4%)

『陸王』(1話14.7%、2話14.0%、3話15.0%、全話16.0%)

『奥様は、取り扱い注意』(1話11.4%、2話11.3%、3話12.4%、全話12.7%)

『陸王』『奥様は~』は3話目で下げ止まり。『99.9』に至っては2話目で3%近くも上昇させた。『コンフィデンスマンJP』は3話で1話を超える視聴率を出していないが、『陸王』『奥様は~』と近いV字での推移をしている。『99.9』のように初回よりも2%以上も高い全話の視聴率を叩き出せる見込みは低いが、1%増は見込める。そうなれば、全話平均視聴率は二桁となる。

 ただし、『コンフィデンスマンJP』には、最終話までを気にならせる“引っぱり”がない。『奥様は~』であれば、綾瀬はるか演じる主人公が何者であるかの謎があった。『陸王』には最新シューズを完成させるというゴールがあった。引っ張り無しでも楽しめるのが『コンフィデンスマンJP』のすごさではあるが、視聴率だけを見れば不利な状況下にある。

■ストーリー&視聴率UPの鍵を握るのは小日向文世?

 いまだ謎の多い人物が一人いる。「ダー子とボクちゃんの育ての親」という提示しかない、小日向文世演じるリチャードだ。

 濃いキャラクター同士で展開するのが古沢脚本のドラマの特徴であるのに、いまだ大きな活躍もせず目立つことのないリチャードの存在は逆に浮いている。彼が何かを抱えている可能性は大いにあり得る。

 早い段階で、リチャードの怪しさを提示させたり、「3人の中に裏切者がいるかもしれない」などの展開があれば、視聴率の観点でウィークポイントだった最終話までの引っ張りが完成する。例え呆気ないオチであっても、古沢脚本の作品であれば許せてしまう。『リーガルハイ』のときだって、主人公と宿敵の因縁がペットのハムスターの死というオチだった。それでも続編を期待され、セカンドシーズンが放送された。『コンフィデンスマンJP』は続編を期待される名作となるのか? 中盤と終盤の展開にかかっている。4月30日放送予定の第4話「映画マニア編」も楽しみにしたい。

(文=許嫁亭ちん宝)

岩田剛典『崖っぷちホテル!』視聴率ほぼ半減ショック! 「フツーに面白いドラマ」は、もういらない!?

「岩ちゃん」こと岩田剛典がブリブリな笑顔を振りまきつつ、老舗ホテルの再建を目指すドラマ『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)。第2話の視聴率は、なんと初回からほぼ半減となる6.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)まで下げました。近年、稀にみる垂直落下ぶりですが、そんなに悪かったかなぁ。悪くないと思うんだけどなぁ。というわけで、今回も振り返ってみます。

(前回までのレビューはこちらから)

 

 新米支配人の佐那(戸田恵梨香)にお願いされ、ホテル・グランデ・インヴルサを再建するために名門バリストンホテルから衝撃の転職を果たした宇海くん(岩田)。前回までに、このホテルの問題点はだいたい洗い出せていたようで、さっそく大ナタを振るいます。

 まずは、やる気がないくせにプライドだけは高い副支配人・時貞(渡辺いっけい)と料理長・江口(中村倫也)を降格処分に。時貞は「宿泊部の主任」という新たな肩書を気に入るわけもなく、ブーブー言ってます。新人パティシエ・ハルちゃん(浜辺美波)に料理長の座を奪われた江口もイジケまくっていますが、宇海くんは相変わらずニコニコで気にも留めません。

 自ら副支配人となった宇海くんは、従業員一同に「ホテルの宝物である顧客名簿を読め」と命令。10年ほど前に、たくさんの客が「ケーキ美味い」と感想を寄せていたことが明らかになると、「このケーキを再現してケーキフェアをやろう」という企画を打ち出しました。

 で、ケーキフェアは概ね大成功。両親を事故で亡くした女子高生を盛大なおもてなしで感動させました。宇海くんの鮮やかな仕事ぶりに、最初は苦々しく思っていたバーマスター・梢さん(りょう)や元料理長・江口も、少しずつ心を許してきたようです。

 

■今回は「チャド・マレーン回」でした

 

 今回、大きくフィーチャーされたのは、見た目が完全に外国人なのに英語がしゃべれないベルボーイのピエール田中(チャド・マレーン)。

 ホテル上層部の人事をバッサバサに斬りまくる宇海の姿を見て、仕事に自信のないピエールは「ぼくはクビになる」とガクブル状態。そんなこんなで大事なケーキを踏んづけてしまうなどミスを重ね、宇海くんに呼び出しを食らいます。

 クビになる覚悟を決めたピエールでしたが、宇海くんは「一緒に、いい方法を考えましょう」と、優しく語りかけます。そしてもう一度、顧客名簿を総ざらい。さらに、バーマスター梢さんの助言で、佐那の父が大事にしていた顧客からのお礼状もすべてひっくり返して読み返すことに。

 そんなこんなで、踏んづけたケーキをご所望だった女子高生が何者だったかを探し当て、無事にご満足をいただくことができました。

 やる気のない従業員に、さらなるミスを重ねさせてドン底にまで追い込み、宇海くんの器量の良さと本人の努力によって回復する。ピエールは宇海くんを信頼することになり、やる気を取り戻す。このドラマのフォーマットになるのは、こうして1人ひとりを回復させる流れなのでしょう。全員が宇海くんを中心にひとつになったとき、ホテルも復活を果たす、というクライマックスが見えてきます。

 

■浜辺美波のコメディエンヌぶりがまぶしいよ

 

 今回は、若き天才パティシエ・ハルちゃんを演じる浜辺美波が気を吐きました。イジけ腐った(元)上司の江口を「ツンデレなのね」と気にも介せず、自分のやるべきことを天真爛漫な笑顔でこなす姿は、実に健気で愛さずにはいられません。それにしても、17歳。永野芽郁もそうですが、新しい世代の女優さんがどんどん育ってる感じがして素敵です。

 また、ここまでスーパーポジティブなハルちゃんにも今後、波乱が訪れるとすれば、それは物語の大きな振り幅になると思います。中盤の盛り上がりを支えるのは、もしかしたらハルちゃんかもしれません。

■エピソードは弱い、弱いけど優しい

 

 見ていて気になるのは、各エピソードの弱さです。ピエールが「クビになる~」と恐れ慄く原因になったのも、「外国人客から逃げたのを宇海に見られた」「ケーキ踏んじゃった」だけなので、少し不自然に感じます。その宇海くんには「ネクタイ締められない」「20分締めたら3日も寝込んだ」という設定が与えられていますが、これもバリストンホテルとやらの副支配人にまでのし上がった人物としては、いかにも不自然。後半でバリッとスーツで決めるシーンがあって、それに対するギャップなのでしょうけど、ちょっと納得しかねる部分でもあります。

 また、ハルちゃんが食べたこともない「幻のケーキ」を完全に再現できちゃったのも安易だと思いますし、そのケーキを求めてやってきた女子高生の動機が、第1話と同じ「死んだ家族との思い出を求めて」というパターンだったことも、物足りないっちゃ物足りない部分です。

 ただ、こうした弱さもひっくるめて、優しい出来になっていると思うんですよねえ。第1話のレビューにも書きましたが、基本的には岩ちゃんファン向けのアイドルドラマなので、そもそもの岩ちゃんのパブリックイメージに、よく似合う作風だと思う。で、弱いといっても、退屈なわけではない。フツーに面白い、といえるくらいにはまとまってる。

 そういう、それなりによくできたドラマがここまで数字を下げるというのは、第2話を見終えた後でも、ちょっと不思議だなぁという印象が残ります。岩ちゃんの求心力が、まあこんなもんなのもあるけど、なんかフツーに面白いドラマって、もうあんまり視聴者に求められてないのかもしれませんね。ホント、悪くないし、マジメに作ってると思うんだけど。うーむむ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

岩田剛典『崖っぷちホテル!』視聴率ほぼ半減ショック! 「フツーに面白いドラマ」は、もういらない!?

「岩ちゃん」こと岩田剛典がブリブリな笑顔を振りまきつつ、老舗ホテルの再建を目指すドラマ『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)。第2話の視聴率は、なんと初回からほぼ半減となる6.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)まで下げました。近年、稀にみる垂直落下ぶりですが、そんなに悪かったかなぁ。悪くないと思うんだけどなぁ。というわけで、今回も振り返ってみます。

(前回までのレビューはこちらから)

 

 新米支配人の佐那(戸田恵梨香)にお願いされ、ホテル・グランデ・インヴルサを再建するために名門バリストンホテルから衝撃の転職を果たした宇海くん(岩田)。前回までに、このホテルの問題点はだいたい洗い出せていたようで、さっそく大ナタを振るいます。

 まずは、やる気がないくせにプライドだけは高い副支配人・時貞(渡辺いっけい)と料理長・江口(中村倫也)を降格処分に。時貞は「宿泊部の主任」という新たな肩書を気に入るわけもなく、ブーブー言ってます。新人パティシエ・ハルちゃん(浜辺美波)に料理長の座を奪われた江口もイジケまくっていますが、宇海くんは相変わらずニコニコで気にも留めません。

 自ら副支配人となった宇海くんは、従業員一同に「ホテルの宝物である顧客名簿を読め」と命令。10年ほど前に、たくさんの客が「ケーキ美味い」と感想を寄せていたことが明らかになると、「このケーキを再現してケーキフェアをやろう」という企画を打ち出しました。

 で、ケーキフェアは概ね大成功。両親を事故で亡くした女子高生を盛大なおもてなしで感動させました。宇海くんの鮮やかな仕事ぶりに、最初は苦々しく思っていたバーマスター・梢さん(りょう)や元料理長・江口も、少しずつ心を許してきたようです。

 

■今回は「チャド・マレーン回」でした

 

 今回、大きくフィーチャーされたのは、見た目が完全に外国人なのに英語がしゃべれないベルボーイのピエール田中(チャド・マレーン)。

 ホテル上層部の人事をバッサバサに斬りまくる宇海の姿を見て、仕事に自信のないピエールは「ぼくはクビになる」とガクブル状態。そんなこんなで大事なケーキを踏んづけてしまうなどミスを重ね、宇海くんに呼び出しを食らいます。

 クビになる覚悟を決めたピエールでしたが、宇海くんは「一緒に、いい方法を考えましょう」と、優しく語りかけます。そしてもう一度、顧客名簿を総ざらい。さらに、バーマスター梢さんの助言で、佐那の父が大事にしていた顧客からのお礼状もすべてひっくり返して読み返すことに。

 そんなこんなで、踏んづけたケーキをご所望だった女子高生が何者だったかを探し当て、無事にご満足をいただくことができました。

 やる気のない従業員に、さらなるミスを重ねさせてドン底にまで追い込み、宇海くんの器量の良さと本人の努力によって回復する。ピエールは宇海くんを信頼することになり、やる気を取り戻す。このドラマのフォーマットになるのは、こうして1人ひとりを回復させる流れなのでしょう。全員が宇海くんを中心にひとつになったとき、ホテルも復活を果たす、というクライマックスが見えてきます。

 

■浜辺美波のコメディエンヌぶりがまぶしいよ

 

 今回は、若き天才パティシエ・ハルちゃんを演じる浜辺美波が気を吐きました。イジけ腐った(元)上司の江口を「ツンデレなのね」と気にも介せず、自分のやるべきことを天真爛漫な笑顔でこなす姿は、実に健気で愛さずにはいられません。それにしても、17歳。永野芽郁もそうですが、新しい世代の女優さんがどんどん育ってる感じがして素敵です。

 また、ここまでスーパーポジティブなハルちゃんにも今後、波乱が訪れるとすれば、それは物語の大きな振り幅になると思います。中盤の盛り上がりを支えるのは、もしかしたらハルちゃんかもしれません。

■エピソードは弱い、弱いけど優しい

 

 見ていて気になるのは、各エピソードの弱さです。ピエールが「クビになる~」と恐れ慄く原因になったのも、「外国人客から逃げたのを宇海に見られた」「ケーキ踏んじゃった」だけなので、少し不自然に感じます。その宇海くんには「ネクタイ締められない」「20分締めたら3日も寝込んだ」という設定が与えられていますが、これもバリストンホテルとやらの副支配人にまでのし上がった人物としては、いかにも不自然。後半でバリッとスーツで決めるシーンがあって、それに対するギャップなのでしょうけど、ちょっと納得しかねる部分でもあります。

 また、ハルちゃんが食べたこともない「幻のケーキ」を完全に再現できちゃったのも安易だと思いますし、そのケーキを求めてやってきた女子高生の動機が、第1話と同じ「死んだ家族との思い出を求めて」というパターンだったことも、物足りないっちゃ物足りない部分です。

 ただ、こうした弱さもひっくるめて、優しい出来になっていると思うんですよねえ。第1話のレビューにも書きましたが、基本的には岩ちゃんファン向けのアイドルドラマなので、そもそもの岩ちゃんのパブリックイメージに、よく似合う作風だと思う。で、弱いといっても、退屈なわけではない。フツーに面白い、といえるくらいにはまとまってる。

 そういう、それなりによくできたドラマがここまで数字を下げるというのは、第2話を見終えた後でも、ちょっと不思議だなぁという印象が残ります。岩ちゃんの求心力が、まあこんなもんなのもあるけど、なんかフツーに面白いドラマって、もうあんまり視聴者に求められてないのかもしれませんね。ホント、悪くないし、マジメに作ってると思うんだけど。うーむむ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

『Missデビル』宝塚の男役と化した菜々緒が「おだまり!」ハニートラップで華麗なハイキック!!

 菜々緒が“悪女を超えた悪魔”を演じるドラマ『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』(日本テレビ系)の第2話が21日に放送され、平均視聴率8.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.5ポイントダウンとなってしまいました。

 その前回、フリーの人事コンサルタント・椿眞子(菜々緒)による地獄の新人研修に生き残った斉藤博史(Sexy Zone・佐藤勝利)は、共亜火災保険の人材活用ラボという部署に配属されることに。意気揚々と上司に挨拶へ向かうのですが、そこで待ち構えていたのは眞子だったのです。

 そして今回、博史は眞子から、第2営業部で社内研修をしてくるよう命じられます。といっても、研修とは表向き。実際の任務はというと、リストラの対象となる人物を1人選んで来いというものなのです。

 入社早々、気の重くなる仕事を押し付けられてしまった博史ですが、いざ研修が始まると、面倒見の良い夏月(中越典子)の助けもあり、すんなりと第2営業部に溶け込みます。

 そんなある日、博史のデスクに一枚のメモが。そこには、夏月が部長の浅岡(神保悟志)からセクハラを受けていると記されているのです。博史はすぐに事実確認をするのですが、夏月からは「完全にデマ」と否定されてしまいます。

 しかし、夏月は明らかに何かを隠している……。そう考えた博史は眞子に相談。すると、眞子はすでに、浅岡が夏月にセクハラする証拠動画を入手しているのでした。

 博史からその映像を見せられた夏月は、セクハラの被害に遭っていることを認めます。ガンで入院する夫のために残業代を余分に稼がなければならず、その弱みにつけこまれ、浅岡にホテルへ誘われたというのです。

 セクハラの告発を決意した夏月ですが、眞子を交えての正式な事情聴取の段になると、急に翻意。実は夏月は、営業成績を伸ばすため不正な取引(顧客との契約を破棄した後、すぐに再契約を締結)をしていたのです。それが発覚することを恐れ、事を荒立てたくなかった。しかし、そのこともバッチリ事前に調査していた眞子は、その場で夏月に退職を迫ります。

 その一方で眞子は、浅岡が自分にセクハラをするようハニートラップをしかけ、お尻を触られたところでハイキックをお見舞い。それをバッチリ映像に収め、2度とセクハラしないようお灸を据えたところで今回は終了となりました。

“人事の悪魔”と称される強烈なキャラクターを演じるにあたり、普段にも増して厚化粧を施している菜々緒。抑揚のないセリフ回しも相まってアンドロイドのようだと前回指摘しましたが、それは今回も変わらずでした。ただ、徐々に人間らしさといいますか、血の通ったドSっぽさが垣間見えてきました。

 まず、夏月が浅岡のセクハラを否定したシーン。その直前まで夏月は被害を認める発言をしていたため、「どうして?」と騒いだ博史に対して、「おだまり!」と、能面を崩し一喝したのです。

 この声を張る演技について菜々緒は、テレビ情報誌「週刊ザテレビジョン」(KADOKAWA)のインタビュー記事で、「宝塚の男役のような感じ」をイメージしていると語っていますが、通常時のフラット演技とのギャップが激しく、かなり迫力がありました。

 それともう一つ、浅岡に炸裂させたハイキック。これに関しては前回も披露していましたが、ミニスカートにピンヒールという動きにくいスタイルでよくあれほどキレイに決まるものだな、と惚れ惚れしてしまいました。

 そんな菜々緒のカッコ良さをただ純粋に楽しめばいい。メッセージ性だとかリアリティーだとか、そんな真面目くさったことをこのドラマに求めても無駄だ、ということを今回ハッキリ悟りました。

 なぜならこのドラマ、指摘すればキリがないほど粗だらけだから。そもそも、大企業が今回のように回りくどいやり方でリストラ選定しますかね。このご時世、“〇〇歳以上の社員を対象に早期退職を勧告”でバッサリ切っていくのが現実の企業のやり方ではないでしょうか。まさに血も涙もない悪魔です。

 それと比べれば、眞子はまだ天使に思えます。なんたって、浅岡のセクハラの証拠をガッチリ掴んでいるのに、ハイキックだけで済ませるんですから。とても温情的です。というよりも、傷害罪で眞子の身も危ういと思うのですが……。

 そんな眞子に振り回される博史役の佐藤勝利の演技が、かなりいただけない。常に困った表情を浮かべるだけの大根ぶりを発揮し、ナレーションにも抑揚がない。とてもメインを張れるほどの技量ではありません。

 その博史と、同期の藤堂真冬(白石聖)とのとってつけたようなロマンスを予感させる展開。同じく同期で、前回の新人研修で自殺未遂するほど追い詰められた南雲陽一(前田航基)が、何事もなかったようにケロッと元気に登場、などなど違和感や納得いかない点はありますが、次回からは菜々緒のPRドラマという観点で楽しんでいきたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『Missデビル』宝塚の男役と化した菜々緒が「おだまり!」ハニートラップで華麗なハイキック!!

 菜々緒が“悪女を超えた悪魔”を演じるドラマ『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』(日本テレビ系)の第2話が21日に放送され、平均視聴率8.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.5ポイントダウンとなってしまいました。

 その前回、フリーの人事コンサルタント・椿眞子(菜々緒)による地獄の新人研修に生き残った斉藤博史(Sexy Zone・佐藤勝利)は、共亜火災保険の人材活用ラボという部署に配属されることに。意気揚々と上司に挨拶へ向かうのですが、そこで待ち構えていたのは眞子だったのです。

 そして今回、博史は眞子から、第2営業部で社内研修をしてくるよう命じられます。といっても、研修とは表向き。実際の任務はというと、リストラの対象となる人物を1人選んで来いというものなのです。

 入社早々、気の重くなる仕事を押し付けられてしまった博史ですが、いざ研修が始まると、面倒見の良い夏月(中越典子)の助けもあり、すんなりと第2営業部に溶け込みます。

 そんなある日、博史のデスクに一枚のメモが。そこには、夏月が部長の浅岡(神保悟志)からセクハラを受けていると記されているのです。博史はすぐに事実確認をするのですが、夏月からは「完全にデマ」と否定されてしまいます。

 しかし、夏月は明らかに何かを隠している……。そう考えた博史は眞子に相談。すると、眞子はすでに、浅岡が夏月にセクハラする証拠動画を入手しているのでした。

 博史からその映像を見せられた夏月は、セクハラの被害に遭っていることを認めます。ガンで入院する夫のために残業代を余分に稼がなければならず、その弱みにつけこまれ、浅岡にホテルへ誘われたというのです。

 セクハラの告発を決意した夏月ですが、眞子を交えての正式な事情聴取の段になると、急に翻意。実は夏月は、営業成績を伸ばすため不正な取引(顧客との契約を破棄した後、すぐに再契約を締結)をしていたのです。それが発覚することを恐れ、事を荒立てたくなかった。しかし、そのこともバッチリ事前に調査していた眞子は、その場で夏月に退職を迫ります。

 その一方で眞子は、浅岡が自分にセクハラをするようハニートラップをしかけ、お尻を触られたところでハイキックをお見舞い。それをバッチリ映像に収め、2度とセクハラしないようお灸を据えたところで今回は終了となりました。

“人事の悪魔”と称される強烈なキャラクターを演じるにあたり、普段にも増して厚化粧を施している菜々緒。抑揚のないセリフ回しも相まってアンドロイドのようだと前回指摘しましたが、それは今回も変わらずでした。ただ、徐々に人間らしさといいますか、血の通ったドSっぽさが垣間見えてきました。

 まず、夏月が浅岡のセクハラを否定したシーン。その直前まで夏月は被害を認める発言をしていたため、「どうして?」と騒いだ博史に対して、「おだまり!」と、能面を崩し一喝したのです。

 この声を張る演技について菜々緒は、テレビ情報誌「週刊ザテレビジョン」(KADOKAWA)のインタビュー記事で、「宝塚の男役のような感じ」をイメージしていると語っていますが、通常時のフラット演技とのギャップが激しく、かなり迫力がありました。

 それともう一つ、浅岡に炸裂させたハイキック。これに関しては前回も披露していましたが、ミニスカートにピンヒールという動きにくいスタイルでよくあれほどキレイに決まるものだな、と惚れ惚れしてしまいました。

 そんな菜々緒のカッコ良さをただ純粋に楽しめばいい。メッセージ性だとかリアリティーだとか、そんな真面目くさったことをこのドラマに求めても無駄だ、ということを今回ハッキリ悟りました。

 なぜならこのドラマ、指摘すればキリがないほど粗だらけだから。そもそも、大企業が今回のように回りくどいやり方でリストラ選定しますかね。このご時世、“〇〇歳以上の社員を対象に早期退職を勧告”でバッサリ切っていくのが現実の企業のやり方ではないでしょうか。まさに血も涙もない悪魔です。

 それと比べれば、眞子はまだ天使に思えます。なんたって、浅岡のセクハラの証拠をガッチリ掴んでいるのに、ハイキックだけで済ませるんですから。とても温情的です。というよりも、傷害罪で眞子の身も危ういと思うのですが……。

 そんな眞子に振り回される博史役の佐藤勝利の演技が、かなりいただけない。常に困った表情を浮かべるだけの大根ぶりを発揮し、ナレーションにも抑揚がない。とてもメインを張れるほどの技量ではありません。

 その博史と、同期の藤堂真冬(白石聖)とのとってつけたようなロマンスを予感させる展開。同じく同期で、前回の新人研修で自殺未遂するほど追い詰められた南雲陽一(前田航基)が、何事もなかったようにケロッと元気に登場、などなど違和感や納得いかない点はありますが、次回からは菜々緒のPRドラマという観点で楽しんでいきたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

池松壮亮の役者バカぶりがさらに激しさを増す!! 美人OLと現実逃避の旅『宮本から君へ』第3話

 社会のルールを守ることは大人の常識ですが、ルールに縛られすぎていては生きていくことが面白くも何ともありません。退屈な社会のルールなら平然と破ってしまう男、それが宮本浩です。新井英樹原作コミックのTVドラマ化『宮本から君へ』(テレビ東京系)を観ていると、裸になった池松壮亮がサウナ風呂のロウリュのような熱風をテレビの中からこちらに向けて吹き込んできます。テレビを観ているだけなのに、視聴者の心は汗だくです。池松演じる宮本の熱さがますますヒートアップした『宮本から君へ』第3話を振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 都内の弱小文具メーカーに勤める宮本浩(池松壮亮)は仕事や生きることに価値を見出すことができずに悩んでいます。大手自動車メーカーの受付嬢である甲田美沙子(華村あすか)と朝の通勤電車で会話を交わすことだけが唯一の楽しみです。美沙子に会うために、毎日出社しているようなものでした。社会人になって初めての秋。24歳になった宮本は美沙子からマフラーをプレゼントされます。美沙子ともっと深い仲になりたいと願う一方、今のお友達づきあいも壊したくありません。恋に仕事に、宮本は宙ぶらりんな状態でした。

 11月の終わりの金曜日、いつになく美沙子が駅に姿を見せません。そろそろ電車に乗らないと会社に遅刻してしまうなというタイミングで、ようやく美沙子は現われました。でも、いつもとちょっと様子が違います。宮本の手を握って「どこか行きませんか、会社をサボって。海とか……」。美沙子がどこまで本気なのか、冗談を言っているだけなのか、宮本は女心を計りかねてしまいます。

 電車の発車メロディが流れ、意を決した宮本は美沙子と共に会社とは反対方向へ向かう電車に乗り換えるのでした。社会人1年生として仕事のルールを学ぶことに明け暮れていた毎日が、美沙子と会社をサボったことで刺激的でロマンティックな、非日常的な世界へと変貌していきます。

 原作コミックが連載されたのは1990年代前半。サラリーマンたちはバブルの世を謳歌していましたが、まだ当時はケータイ電話が一般には普及していませんでした。ある意味、その頃のサラリーマンは会社からも恋人からも首輪を繋がれていない時代でもあったわけです。時代設定は明確にされていないTVドラマ版『宮本から君へ』ですが、宮本も美沙子もケータイ電話は持っていないようです。会社に「急にお腹が痛くなりました」「身内に不幸があったので」などバレバレな嘘電話をすることなく、2人は外房あたりの海へと繰り出していきます。

 ガラガラの電車の中、美沙子と2人っきりという駆け落ち気分を宮本は味わい、見知らぬ駅で買った駅弁を半分っこします。美沙子から「あーん」してもらい、宮本はサイコーの浮かれ具合です。これが政治家や官僚なら「ハニートラップかな?」と疑わなくてはいけませんが、小さな文具メーカーの平社員である宮本は、浮かれたい放題に浮かれるのでした。まだ何者にもなれずにいる宮本は、その分だけとても自由な生き物です。

 駅弁で食欲を満たした後は、浜辺に出て海を眺める宮本と美沙子でした。平日の海には2人以外に誰も人影がありません。流木に腰掛けた宮本は、隣にいる美沙子の肩を抱き寄せようとしますが、誤って美沙子の頭を叩いてしまいます。「なんで叩くんですか!?」とちょっと怒った美沙子がサイコーにかわいく思えてきます。「肩を、肩を(抱くつもりがね)……」と言いよどむ宮本の言葉尻を美沙子は繋いで「肩を、ちょっと貸してくださいね」としなだれ掛かります。ついに宮本は惚れた女を手中に収める瞬間を迎えたのです。

 

■華村あすかのたどたどしさが男心をくすぐる!?

 

 美沙子が会社をサボって海を見たがったのには、明確な理由がありました。残念ながら、宮本とデートがしたかったわけではありません。昨晩、交際していた彼と別れ、思いっきり泣くために海を訪れたのでした。宮本はそれに付き合わされていたのです。美沙子からそのことを知らされた宮本は、座っていた流木からまるでワイヤーで引っ張られたかのように後方へビョ~ンと跳び退きます。後ろ跳び世界選手権があれば、確実にメダルを獲得したことでしょう。ここからの宮本は尋常ではない行動に移ります。いよいよ、アブノーマルパーソン・宮本の本領発揮です。

 おもむろにスーツを脱ぎ出した宮本は、パンツ一丁になります。「付き合っている人がいたこと、隠すつもりはなかったんです」と謝る美沙子を浜辺に残し、波が高い海へ狂ったように駆け出す宮本。どうやら失恋で気落ちしている美沙子の心のスキに付け込んで、エロい関係になろうとしていた自分自身が許せないようです。会社はズル休みしたくせに、自分の頭の中にある恋愛哲学には厳格な宮本でした。「甲田美沙子がフツーの奴に捨てられちゃダメだろ!」「泣くなら、ひとりで泣け!!」と波にさらわれながら、ズブ濡れになった宮本は叫び続けます。宮本の叫び声は波の音に掻き消され、半分も美沙子の耳には届きません。美沙子は宮本の言動に励まされたというより、むしろあっけにとられています。きっと美沙子は「男はみんなバカだ」と痛感したに違いありません。

 季節はずれの海で寒中水泳に励んだその夜、宮本は同期入社の田島(柄本時生)のアパートを訪ねました。会社をサボった宮本のために、田島は2人分のナポリタンを作ってやります。「人間ひとり、大した意味もっとらんて。つまらん意地を張っとったら後悔するぜ」と助言する田島に向かって、宮本は「でも人間に意味なし、なんて思ってないだろう?」と聞き返すのでした。「それ、本気で聞いとる?」と答えるときの田島、いや柄本時生の人生を半分達観したような表情がすごくいいんですよ。

 週明けの月曜、出社した宮本は無断欠席したことで岡崎部長(古舘寛治)から小言を言われますが、小田課長(星田英利)や田島がフォローしてくれたお陰で思いのほかあっさりと解放されました。こんなことで激怒していては、新入社員がいなくなってしまうからでしょうか。宮本が勤める文具メーカーは、良くも悪くも緊張感というものがありません。でも、美沙子と一緒にズル休みしたことで、2人の心の距離は確実に縮まりました。終業後も美沙子と待ち合わせて、アフターファイブを楽しむようになります。あの日以来、美沙子は髪型を変え、香水も変えました。「(彼と別れて)ひと月も経っていないのに、薄情でしょう?」と笑いながら宮本と夜の街をデートする美沙子。気が付けば、東京はもう初冬。夜風に震える美沙子のために、宮本は彼女からプレゼントされたマフラーを手渡します。宮本の体温をマフラーごしに感じる美沙子でした。

 美沙子が「東京でいちばん好きな場所」という神宮外苑のベンチに腰掛ける2人。短い沈黙の後、宮本は「甲田さん、本気で好きになるよ」と低い声で囁き、美沙子と唇を重ねます。友達の関係から初キスまでずいぶん回り道しましたが、会社を1日ズル休みした収穫がようやく実ったのです。

 宮本の憧れのヒロイン・甲田美沙子を演じる華村あすかは、本作がデビュー作となる山形出身19歳の新人女優です。まだお芝居はうまくありませんが、たどたどしい感じが逆に「守ってあげたい!」という男心をくすぐるタイプのようです。所属事務所はかつて石田ゆり子・ひかり姉妹らが活躍したボックスコーポレーション。先輩女優たちと同様に小悪魔的な魅力をこれから発揮していくことでしょう。それにしても、美沙子に振り回される宮本に徹底的になりきる池松壮亮の熱いこと熱いこと。番組エンディングに流れたメイキング映像を見ると、本当に波に呑まれて海難事故になるギリギリまで芝居を続けています。ハードな撮影続きで「何回か記憶が飛んだ」そうです。原作で描かれた宮本の熱さに真っ正面からぶつかっていく池松の役者バカぶりは、一体どこまでエスカレートしていくのか。宮本&池松のクレージーさにますます拍車が掛かる第4話も楽しみです。
(文=長野辰次)

『孤独のグルメ』原作者・久住昌之が出演しなくなる? 第3話はメキシカン感めっきめき!

 深夜の飯テロ番組『孤独のグルメSeason7』(テレビ東京系)。テレビなどで不意に流れる食欲を刺激されてしまう食事シーンを「飯テロ」と呼ぶが、ハナからその「テロ」に襲われるとわかっているのに、自らチャンネルを合わせにいくというのもおかしな話だ。しかし我々は、そのテロを毎週楽しみにしてる。今回もメキシコの「テロリスト」が我々の胃袋に襲いかかります。第3話「東京都港区南麻布のチョリソのケソフンディードと鶏肉のピピアンベルデ」。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■『真昼のセント酒』はせず、メキシコ料理

 

 商談で久しぶりに広尾を訪れた井之頭五郎(松重豊)は銭湯(広尾湯)を発見。

 どうしても同じ原作者(久住昌之)で同じ深夜枠で放送されていた『真昼のセント酒』という「昼間から営業さぼって銭湯&一杯」がコンセプトの作品を連想してしまい、まさか五郎も今回仕事をさぼって入浴か? と思われたが、「(銭湯は)なくしてはいけない文化だ……」と、ただ慈悲深い感想を述べ、商談先へ向かう。仏のような人だ。

 それでいて商談先のグローバルキッズスクールに入るなり「Wao! He is tall!」とインターナショナルな子どもたちに囲まれてしまう仏の五郎。スタッフ(豊田エリー)に「今日のランチはラザニア」だと言われ「Lasagna! Lasagna! Lasagna!」と軍人のように盛り上がる子どもたちを見て、いつもなら「腹が、減った」と食欲が湧くところを「アイム、ハングリー、トゥ!」とアレンジ、しかもまだ子どもらに贈るアンティークトイの商談中なのに「よし店を探そう!」と勇み足でスクールを飛び出しかけてしまうなど、今回もセルフパロディが目立った。

 見送る子どもたちに笑顔で手を振り、振り返るなり鬼の形相で飲食店を探しだす元・仏、現・鬼の五郎。この「振り向きざまの鬼の形相」も、第2話のバイキング中に披露しており、もはや持ちネタ。五郎風に言わせてもらえば「これ、好きだ」。

 ラザニアの刺激で天ぷら屋や蕎麦屋を素通りしたものの、イタリア料理ではなくたまたま見かけたメキシコ料理店(広尾の「サルシータ」)に「胃袋の直感に従い」入店するのがいかにも五郎らしい。

 しかし勢いで入ったもののメニューを見てもさっぱりわからない。

「ユカタン風」という文字を見て「九州の『博多ン』は好きだけど……」と戸惑い、「チョリソのケソフンディード」を読みながら「『ケソ』で『フン』?」と困惑、だが「ピピアンベルデ? にモレポブラーノ? さっぱりわからんが声に出して言いたい料理に思えてきた」と、前向きに楽しみだす。注文したのは5品。

・ソペス
・ユカタン風チキンとライムのスープ
・ズッキーニのプディン(Sサイズ)
・チョリソのケソフンディード
・メキシカンレモネード(炭酸あり)

 

■知られざる奥深きメニューの数々

 

 ソペスは、トルティーヤ生地を厚めに揚げたものの上に豆ペーストやサルサやチーズなどの具材が乗ったもので、五郎いわく「メキシカンおかずタルト」。店員(渡部豪太)に勧められたオリジナルのハバネロのホットソースをかけて、かぶりつく。

「割と平気、というかナイスアクセント!」

 ユカタン風スープには、アボカド、トマト、チップスなどが細かく刻んで煮込まれおり、ライムのおかげで「具沢山なのに味はすっきり」。「おちゃめなユカタン、きっと人気者だ」と勝手に擬人化して微笑む五郎タン。

「超のつくフワトロ」だというズッキーニのプディンは、刻んだズッキーニを卵やチーズ、生クリームで包んで焼き上げたもので、五郎いわく「ズッキーニ一本槍のメキシカン茶碗蒸し」。「ソンブレロ(メキシコのでかい帽子)被って叫びたいほど」美味いらしいが、ぜひ、広尾の中心・有栖川公園で愛を叫んでほしかった。

 溶けたチーズの中に刻んだチョリソが入ったチョリソのケソフンディードは「食べる前から美味さ当選確実」というのも納得。小ぶりのトルティーヤが付いてくるので、包んで食べる。「もろこし感が尋常じゃない」というトルティーヤはトウモロコシの粉で作った柔らかい餃子の皮みたいなもので、タコスの下に敷いてあるアレ。

「この手の巻き食いはタコスしか知らなかったけど、これもいいぞー!」と、新たな発見を喜ぶ五郎。「巻き食い」という、言いそうで言わない言葉を自然に編み出す。しかし、こういう軽作業をしながら食う時の五郎はいつも楽しそうだ。

 これに先ほどのハバネロソースをかけ「ハバネロ追加でメキシカン感めっきめき!」。今日イチのパワーワード。

■チョコレートを使った鶏料理は選ばれず

 

 ここで「鶏肉のピピアンベルデ」を追加注文。もう一つのメインの名物「鶏肉のモレポブラーノ」はソースにチョコレートを使っていることから「俺をどこへ連れて行こうっていうんだ」と悩みつつも選ばれなかったが、どんな味なのかとても気になる。ドラマと違って口に合わないものは遠慮なくがっかりする原作コミックスだったら、どんな顔をするのか。だが、実は甘党の五郎の口に合いそうだ。

 冷めてなお美味いというズッキーニのプディンの残りを平らげ、「死せる孔明、生ける仲達を走らす!」と、なぜか中米から三国志を引用する五郎。

 五郎の食事の感想は全て原作者・久住昌之の手直しが入ってるので、間違いなく久住の趣味。同氏原作の「蜀の軍師」(=諸葛亮孔明ら)をパロった『食の軍師』(日本文芸社)という食の戦略漫画もオススメです。

 鶏肉のピピアンベルデが到着。カボチャの種とグリーントマトを使ったソースで食べる鶏肉料理。

「食べたことない味だ、脳がこの味をどの棚に入れていいのか困ってる。困るけど……美味しい」

 初めて出会った味覚は舌が美味いと思っても、まだ脳の理解が追いつかない感じがあるが、まさにそうなのだろう。

 しかし次第に脳も活性化し、「俺の脳もソースの美味さにようやく追いついてきた」。

 周りの店内はテキーラを飲んだり、おしゃべりしたり、わいわい楽しんでるのに、そのセンターで一人黙ってカチャカチャと鶏肉の骨をだけを外し、最終決戦の準備を進める五郎。ここで今季からの戦闘用BGM「アイリッシュ・スプーン」のイントロがけたたましく鳴り響く。アイリッシュトラッドとメタルが混ざったような曲に乗せて、一気に流し込んだ。

 ハバネロソースをかけたピピアンベルデを「異文化の伝統と新しさが陽気に踊りまわってるような味だ」と評していたが、そんな曲だ。勢い余った五郎がメキシコ語で叫ぶ(心の中で)。

「アミーゴ アミーバ ウノ ドス トレス メヒコ バンザーイ!(=男女の友達、1、2、3、メキシコ万歳! ※筆者の直訳)」

 

■久住があのコーナーを辞めたがってる?

 

 そして久住が実際に店舗を訪れる「ふらっとQUSUMI」のコーナー。

 実は前回の放送の少し前に、久住は自身のTwitterでこのコーナーの出演を迷っている旨の書き込みをしていた。揶揄するのだけが目的のアカウントからの心無い書き込みがきっかけなのだが、その直後「最後のコーナーいらないような気がずっとしてる」「ボクの仕事は原作と音楽と五郎台詞直しだけで十分」「いい歳して出たがりみたいで、いつも居心地が悪かったんだ」と本音を吐露した。

 しかし、以前も書いたが、このコーナーをむしろメインに考えている視聴者もいるくらいで、「やめないでほしい」という書き込みが殺到、久住は反響に驚きながらも「よく考えてみます」と結論を保留している。

 もともとメインストリームで目立って何かをすることに抵抗がある人だと思うので、特に近年のブーム気味のヒットで、出演するたびに一部でやんや言われたり、あげつらって見られることに疲弊していたのかもしれない。

 しかし今回も久住はメキシコビール(ライム添え)を「ライムジュースかな?」と、恒例の酒じゃない物に例えて飲む特技を披露し、サボテンのサラダやタコスを流し込んだ。

 筆者の久住のイメージは、いまだ、『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)の「東京トワイライトゾーン」というコーナーで、タモリやカメラマンの滝本淳助(みうらじゅんのバンド「大島渚」のドラマー)と一緒に、街角の気になる建造物(2階にドアがあるが階段がないとかどうしようもないやつ)などを見て、くだらない妄想を繰り広げる貧相な人というイメージ(失礼)で、今の成功者のような扱いに馴染めないのだが、おそらく当人が一番馴染めていないのかもしれない。

 ドラマとは違った雰囲気のあのコーナー、ドラマパートとセットで見て補完し合うものだと思うので、ぜひマイペースに続けていただきたい。
(文=柿田太郎)

『あなたには帰る家がある』木村多江の演技が主演・中谷美紀を喰う!? “不倫を楽しむ”姿が怖すぎる! 

 中谷美紀主演のドラマ『あなたには帰る家がある』の第2話が4月20日に放送され、平均視聴率8.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.2ポイントダウンしてしまいました。

 同時間帯に日本テレビでは、2017年邦画興行収入ランキング第1位を獲得した映画『名探偵コナン から紅の恋歌』が放送されており、それを考慮すると、この視聴率は良かったのかもしれません。

 では、今回もあらすじから振り返ってみましょう!

(これまでのレビューはこちらから)

■不審な行動をとる秀明に浮気を疑い始める真弓……

 妻である佐藤真弓(中谷美紀)との13回目の結婚記念日に、顧客である茄子田太郎(ユースケ・サンタマリア)の妻・綾子(木村多江)とホテルで一線を越えてしまった秀明(玉木宏)。真弓は、遅く帰ってくるなり、よそよそしい秀明の様子に疑いを持ち、友人で同僚の由紀(笛木裕子)に相談したところ、「絶対に浮気している」と断言され、不安になってしまう。

 一方、秀明は行きつけのカレーショップで綾子との情事を思い返し、マスターの圭介(駿河太郎)から「今ならまだ引き返せる。忘れろ!」と忠告される。

 秀明が家に帰ると、真弓はウェブサイトで見つけた「夫にする浮気チェックリスト」をさっそく試してみた。すると、ところどころ当たっている節があり、さらに不安に……。しかし、次の日の夜に秀明から久しぶりの夫婦水入らずのデートを提案され、真弓は嬉しさからその不安も吹っ飛ぶ。

 デート当日、真弓との待ち合わせ場所に行こうとする秀明のもとに、綾子から「すぐに相談したいことがあって、来てほしい」との電話がかかってくる。動揺する秀明は真弓とのデートに向かうも「仕事で戻らないといけない」と言い残し、その場を去っていってしまった。

 すぐさま、綾子に指定された喫茶店に向かった秀明。だが実は、太郎が呼べと綾子に命令し、設計図に文句を付けるために呼び出しただけだった。家に帰ると真弓はカンカンに怒っており険悪なムードに。娘の麗奈(桜井ひより)からも「ママの気持ちも考えて!」と注意されてしまう。

 数日後、麗奈の中学生になって初めての陸上大会が行われ、ひとり娘を応援する真弓。すると、そこに「仕事で行けない」と言っていた秀明が現れた。「これからはちゃんとする」との秀明の言葉を聞いて、今までのことを忘れようとする真弓。しかし、家に帰り送られてきた秀明のクレジットカード明細を見て愕然。そこにはホテル代金が書かれており、再び浮気を疑い始めるのだった、というのが第2話でした。

■コミカル演出が逆にスリリングさを引き立たせる!

 前回に引き続き「不倫」という重い題材を扱う分、コミカルな演出が多めでとても見やすいのが同ドラマ。上戸彩主演の不倫ドラマ『昼顔』(フジテレビ系)とは、違ったスリリングな展開が大人の女性の心を鷲掴みしてくれます。

 第2話で言うと、特に真弓が秀明の浮気を疑うも、秀明の「ちゃんとするから」との一言に「まあ、いっか!」と思ってしまうところが、なんとも滑稽で面白い。その後、夫のクレジットカード明細を見て愕然とするという描写が引き立ち、「え~、どうなるの~! 気になる~」という気持ちにさせてくれます。

 しかし、そのコミカル演出が逆に怖さを引き立てる部分も。冒頭で必ず、真弓が優しい口調で秀明の裏切りの行動を説明するというところや、いつも前向きで元気な真弓だからこそ、今後浮気を知って、どういった復讐をするのかと考えると、ゾクゾクとさせてくれます。

 原作では、現実では笑えないようなとんでもないシリアスな展開が待ち構えているのですが、このコミカル演出のおかげで、よりいっそう楽しめそう。

 また、秀明の頭の中が単純すぎて面白い。“浮気相手を思い出して上の空”“浮気相手からの電話にワクワクする”などの「クズ夫」描写に笑ってしまいます。男性からは「夫をバカにしている」「夫はそんなんじゃない!」と怒られそうですが、女性の視点は鋭い。「残念ですが、そういう風に見えているんですよ」とだけ言っておきます(笑)。

■「前科あり!?」と疑いたくなる木村多江の演技に脱帽!

 第2話でもやはり、秀明の不倫相手・綾子役の木村多江の演技は素晴らしかったです。この役のために生まれてきたのかと思うくらいばっちりハマっています。

 真弓目線で見ると、夫の浮気相手ですから嫌いになりそうですが、偏屈な性格の太郎に従って生きている嫁というだけで、かわいそう過ぎて……(涙)。ううっ、嫌いになれない!

 ただ、第2話を見て思ってしまったことは、「綾子よ、もしかして不倫、初めてではないな!?」ということ。まるで経験者のように危険な情事を楽しんでいるように見えたのです。極めつきは第2話最後の「たまにでいいの……。だから、奥さんと呼ばないで。名前で呼んで」という綾子が秀明に向けて言うセリフ。あの幸薄顔でこんなこと言われたら、“ドキッ”としてしまうのも無理はない。ハマってしまう男性の気持ちもわかります。

 原作では綾子のとんでもない秘密についても触れているのですが、その部分を木村がどのように演じきるのか。期待できそうです。

■目を引く小ネタ演出が面白い!

 前回のレビューの際には、触れなかったのですが、同ドラマには小ネタ的な演出が入っています。第1話では、13日の結婚記念日に秀明が綾子とホテルに行くのですが、そのホテルの部屋番号が「1313」。さらに、この部屋のカードキーを秀明が落とすという演出で、視聴者側の不安をますます掻き立ててくれました。

 そして今回は、「笑い」の小ネタが。浮気を疑いだした真弓は、ネットで浮気している夫の行為について調べるのですが、アクセスした先というのが、読売新聞社が運営するウェブサイト「発言小町」。実際このウェブサイトを覗くと、主婦からの質問がたくさん。主婦の強い味方なのでしょう。ネットでも「おお、『発言小町』が登場した(笑)」という主婦からの声が上がっており、笑いを引き出していたようです。

 今後もこういった小ネタ的演出がたくさん出てくるかと思うので、注目してみるのもいいかもしれません。

 以上、第2話のレビューでした。

 第3話は、佐藤家と茄子田家が合同バーベキュー! 秀明や真弓は太郎と仕事上で面識がありますが、真弓と綾子は初対面。その上、真弓は綾子が秀明の浮気相手とは知らず……。さあ、どんな展開になるのでしょうか! 放送をお楽しみに。

(文=どらまっ子KOROちゃん)

数カ国語を操るおディーン様を堪能できる『モンテ・クリスト伯』見た目がまんまなのは大丈夫か?

 日本でも『巌窟王』として有名なアレクサンドル・デュマの名作『モンテクリスト伯』(1841年)を現代の日本を舞台に「翻訳」ドラマ化した『モンテ・クリスト伯 ─華麗なる復讐─』(フジテレビ系)。いよいよおディーン様がモンテクリスト伯となって舞い戻る第2話は5.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と微増。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■浦島太郎状態の暖

 

 前回の2003年から14年たった17年。一人のホームレスが港町・浜浦町に現れる。腰近くまで伸び切った白髪、ボロボロすぎる衣類に裸足。無実の罪で投獄されたラデル共和国の監獄から脱獄し、舞い戻ってきた紫門暖(ディーン・フジオカ)だ。どうやら船を操り、密入国してきたらしい。更地になっているかつての実家の前で力果て倒れていたところを守尾信一朗(高杉真宙)に助けられる。

 暖が平和にこの町で暮らしていた当時、世話になっていた守尾漁業の社長・守尾英一朗(木下ほうか)の息子が信一朗だ。第1話では小学生姿の幼い信一朗が、暖と仲良さげにしており、暖は後に気づくことになるが、信一朗は変わり果てたその老人(に見える)が暖だとは気づかない。

 恩人である英一朗は病気で入院中らしく、信一朗はその後を継ぎ、融資も受けられず赤字続きの守尾漁業を立て直そうと奮闘していた。

 暖が信一朗から聞いたのは、暖の母・(風吹ジュン)が一人自宅で餓死し、2カ月も誰にも発見されなかったという、つらすぎる現実。

 さらに、婚約者のすみれ(山本美月)が暖の親友・南条幸男(関ジャニ∞・大倉忠義)と結婚していたことを知り、ショックを受ける。幸男は俳優として成功し、大スターとなり、すみれも売れっ子料理研究家として、週刊誌に取り上げられるようなセレブ夫婦になっていた。

 その事実を、かつてすみれが切り盛りしていた喫茶店で、今はカラオケスナックとなった店のホステスから聞いていた時に、酔って暖に絡んできたのが寺角類(渋川清彦)。暖は帰り道に、寺角から力ずくで真相を聞き出す。

 寺角によると、母を騙し、実家の土地を巻き上げたのは、かつての暖の同僚の漁師・神楽清(新井浩文)。それをきっかけに神楽は不動産で成功したという。

 さらに前話で暖は亡くなった船長(テロ組織とつながってるとのウワサがあった)から手紙を託されていたのだが、神楽が「暖がやべえ手紙持ってるから通報しよう」と陥れる話を持ちかけ、幸男が実際に通報したという。

 次期船長になる暖を羨んだ神楽、すみれと結婚する暖を羨んだ幸男。それぞれ地位と女を妬んだ仲間に裏切られたことを知った暖。

 

■監獄からどうやって脱出したか?

 

 暖がラデル共和国の監獄から脱獄するまでの様子も回想で描かれた。投獄されてから7年目、11年のある日、暖の独房の床板を外して侵入してきたのは、同じく投獄されている囚人・ファリア・真海(田中泯)。20年にわたってここで暮らしているというこの老人は、数カ国語を操る博識な人物で、この国の元大統領だという。その類い稀な知性で、太陽の位置などから場所を計測、肉の脂で作ったロウソクを明かりに、鳥の羽のペン、すすを溶かして作ったインクでそれらを記し、ベッドのパイプから作ったナイフで何年も床に穴を掘り続けている。

 真海と話すうちに、公安の入間公平(高橋克典)が父親の入間貞吉(伊武雅人)を守るため、身代わりで自分を逮捕し、売り飛ばしたことに暖は気づく。同時に、そのきっかけを同僚の神楽が作ったと怪しむ暖は脱獄を決意。掘削の作業をしながら、真海からさまざまな言語や生きるための術だけでなく、歴史や哲学など、真海の持つ叡智の全てを学び、同時に親子のように関係を深める。

 しかし、掘り進んだ穴が外に通じる直前、真海は衰弱し、息を引き取ってしまう。暖は、遺体袋に入れられた真海の死体と入れ替わり、海へと投棄され脱出に成功する。

 真海が亡くなる間際、すでに数カ国語をマスターした暖が、さまざまな国の言葉を織り交ぜながら会話するのだが、日本語、英語、中国語、スペイン語、イタリア語を操る姿がとても自然で、さすが国際人ディーン様ここにあり! といったシーンでした。

■復讐開始

 

 まず、暖は貨物船に忍び込み、シンガポールへ渡航。亡くなる前に真海から託された莫大な隠し資産をスイス銀行から引き出す。その時の口座名が「モンテ・クリスト伯」。実際、名前とパスワードだけで45,912,654,038ドルもの莫大な金額を引き出せるのかは謎だし、やけにあっさりシンガポールまで来れたなとも思いましたが、「The count of Monte-Cristo」と銀行で名乗るシーンは、とてもかっこよかったです。

 ちなみにこれがUSドルなのかシンガポールドルなのかはわかりませんが、USドルなら日本円で約5兆円、シンガポールドルでも約4兆円と、どっちにしてもやべえ額です。

 一方、日本では守尾英一朗が亡くなっており、葬儀が行われていたが、ここに集まったのは神楽清、南条幸男、入間公平の「三悪人」。警視庁の刑事部長に出世した入間公平は将来の警視総監候補らしい。神楽と入間がきな臭そうな会話をしているのが気になる。

 葬儀後、港で再会を懐かしむ神楽と幸男の元に、サングラスをかけたスーツの紳士が現れる。

「怖くないですか? 今日の海。何か見透かされてしまいそうな気になるな。でも大丈夫か、海は何もしゃべらないから」

 莫大な資産を手に復讐に戻ったモンテ・クリスト・真海こと紫門暖だ。

 すでに会社を潰し1億円の借金を背負った信一朗に、世話になったお礼として帳消しにする額(1億円)の小切手を渡していた。

 不審がる神楽が「地元の方じゃないですよね?」と尋ねても「竜宮城からきました」と煙に巻く。カラオケスナックでホステスに、あまりに世間のことを知らないので「浦島太郎か」とイジられていたのを受けての台詞だ。

 港にでかいクルーザーを横付けして去っていく暖を、神楽は「どっかの成金」と言っていたが、そういう意味では成金中の成金かもしれない。いよいよ次週、暖の復讐が始まる。

 

■今回登場したキャラが原作で相当するのは?

 

 信一朗はマクシミリアン、騎兵大尉で、ピエール・モレル(このドラマでは守尾 英一朗に当たる)の息子だ。暖のよき理解者として描かれる。ファリア・真海は、ファリア神父というイタリアの神父で、独立運動がらみで逮捕、投獄されていて、獄中の展開や脱獄の方法も原作通りだ。

 何年も何年も穴を掘り続けて、結局その穴を使わず遺体袋に入って脱出するところがひっかかるかもしれないが、原作もそうなのでご安心ください。

 ちなみに原作では、財宝が隠されている場所がモンテ・クリスト島で、そこからモンテ・クリスト伯を名乗ることになっており、シンガポールとかスイス銀行はもちろんドラマでの脚色だ。

 今回見終わって気になるのは、ホームレス姿の時は仕方ないにしても、髪を切りこざっぱりした姿(モンテ・クリスト伯)となってからも、間近で顔を晒してるのに旧知の2人がまったくもって暖に気付かないこと。原作では獄中でのあまりの悲惨な暮らしですっかり人相が変わっているから気付かれないという設定なのだが、今回まんま「紫門暖」のままにしか見えないのだ。ある意味「おとぎ話」のような物語なので、細かいことをいうのは野暮だと承知しているが、他の部分が細かく現在に合うように練られているので、逆に、軽い口ヒゲ程度で親友らが気付かないことが気になってしまう。

 あと、これも仕方ないのだが、暖があまりに簡単に日本に船で戻ったり、シンガポールに密入国したりする点だ。

 原作ではここまで長い距離を移動しないので描かれないが、ここまで航海が多いと渡航中のシーンがなさすぎるのが引っかかってしまう。

 しかし、それでもディーン様の語学力(特に英語と中国語)はかっこよく、無駄に嫉妬されて、はめられてしまうのも仕方ないと、勝手にキャスティングに納得してしまいました。次回からの復讐が楽しみです。
(文=どらまっ子HARUちゃん)

数カ国語を操るおディーン様を堪能できる『モンテ・クリスト伯』見た目がまんまなのは大丈夫か?

 日本でも『巌窟王』として有名なアレクサンドル・デュマの名作『モンテクリスト伯』(1841年)を現代の日本を舞台に「翻訳」ドラマ化した『モンテ・クリスト伯 ─華麗なる復讐─』(フジテレビ系)。いよいよおディーン様がモンテクリスト伯となって舞い戻る第2話は5.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と微増。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■浦島太郎状態の暖

 

 前回の2003年から14年たった17年。一人のホームレスが港町・浜浦町に現れる。腰近くまで伸び切った白髪、ボロボロすぎる衣類に裸足。無実の罪で投獄されたラデル共和国の監獄から脱獄し、舞い戻ってきた紫門暖(ディーン・フジオカ)だ。どうやら船を操り、密入国してきたらしい。更地になっているかつての実家の前で力果て倒れていたところを守尾信一朗(高杉真宙)に助けられる。

 暖が平和にこの町で暮らしていた当時、世話になっていた守尾漁業の社長・守尾英一朗(木下ほうか)の息子が信一朗だ。第1話では小学生姿の幼い信一朗が、暖と仲良さげにしており、暖は後に気づくことになるが、信一朗は変わり果てたその老人(に見える)が暖だとは気づかない。

 恩人である英一朗は病気で入院中らしく、信一朗はその後を継ぎ、融資も受けられず赤字続きの守尾漁業を立て直そうと奮闘していた。

 暖が信一朗から聞いたのは、暖の母・(風吹ジュン)が一人自宅で餓死し、2カ月も誰にも発見されなかったという、つらすぎる現実。

 さらに、婚約者のすみれ(山本美月)が暖の親友・南条幸男(関ジャニ∞・大倉忠義)と結婚していたことを知り、ショックを受ける。幸男は俳優として成功し、大スターとなり、すみれも売れっ子料理研究家として、週刊誌に取り上げられるようなセレブ夫婦になっていた。

 その事実を、かつてすみれが切り盛りしていた喫茶店で、今はカラオケスナックとなった店のホステスから聞いていた時に、酔って暖に絡んできたのが寺角類(渋川清彦)。暖は帰り道に、寺角から力ずくで真相を聞き出す。

 寺角によると、母を騙し、実家の土地を巻き上げたのは、かつての暖の同僚の漁師・神楽清(新井浩文)。それをきっかけに神楽は不動産で成功したという。

 さらに前話で暖は亡くなった船長(テロ組織とつながってるとのウワサがあった)から手紙を託されていたのだが、神楽が「暖がやべえ手紙持ってるから通報しよう」と陥れる話を持ちかけ、幸男が実際に通報したという。

 次期船長になる暖を羨んだ神楽、すみれと結婚する暖を羨んだ幸男。それぞれ地位と女を妬んだ仲間に裏切られたことを知った暖。

 

■監獄からどうやって脱出したか?

 

 暖がラデル共和国の監獄から脱獄するまでの様子も回想で描かれた。投獄されてから7年目、11年のある日、暖の独房の床板を外して侵入してきたのは、同じく投獄されている囚人・ファリア・真海(田中泯)。20年にわたってここで暮らしているというこの老人は、数カ国語を操る博識な人物で、この国の元大統領だという。その類い稀な知性で、太陽の位置などから場所を計測、肉の脂で作ったロウソクを明かりに、鳥の羽のペン、すすを溶かして作ったインクでそれらを記し、ベッドのパイプから作ったナイフで何年も床に穴を掘り続けている。

 真海と話すうちに、公安の入間公平(高橋克典)が父親の入間貞吉(伊武雅人)を守るため、身代わりで自分を逮捕し、売り飛ばしたことに暖は気づく。同時に、そのきっかけを同僚の神楽が作ったと怪しむ暖は脱獄を決意。掘削の作業をしながら、真海からさまざまな言語や生きるための術だけでなく、歴史や哲学など、真海の持つ叡智の全てを学び、同時に親子のように関係を深める。

 しかし、掘り進んだ穴が外に通じる直前、真海は衰弱し、息を引き取ってしまう。暖は、遺体袋に入れられた真海の死体と入れ替わり、海へと投棄され脱出に成功する。

 真海が亡くなる間際、すでに数カ国語をマスターした暖が、さまざまな国の言葉を織り交ぜながら会話するのだが、日本語、英語、中国語、スペイン語、イタリア語を操る姿がとても自然で、さすが国際人ディーン様ここにあり! といったシーンでした。

■復讐開始

 

 まず、暖は貨物船に忍び込み、シンガポールへ渡航。亡くなる前に真海から託された莫大な隠し資産をスイス銀行から引き出す。その時の口座名が「モンテ・クリスト伯」。実際、名前とパスワードだけで45,912,654,038ドルもの莫大な金額を引き出せるのかは謎だし、やけにあっさりシンガポールまで来れたなとも思いましたが、「The count of Monte-Cristo」と銀行で名乗るシーンは、とてもかっこよかったです。

 ちなみにこれがUSドルなのかシンガポールドルなのかはわかりませんが、USドルなら日本円で約5兆円、シンガポールドルでも約4兆円と、どっちにしてもやべえ額です。

 一方、日本では守尾英一朗が亡くなっており、葬儀が行われていたが、ここに集まったのは神楽清、南条幸男、入間公平の「三悪人」。警視庁の刑事部長に出世した入間公平は将来の警視総監候補らしい。神楽と入間がきな臭そうな会話をしているのが気になる。

 葬儀後、港で再会を懐かしむ神楽と幸男の元に、サングラスをかけたスーツの紳士が現れる。

「怖くないですか? 今日の海。何か見透かされてしまいそうな気になるな。でも大丈夫か、海は何もしゃべらないから」

 莫大な資産を手に復讐に戻ったモンテ・クリスト・真海こと紫門暖だ。

 すでに会社を潰し1億円の借金を背負った信一朗に、世話になったお礼として帳消しにする額(1億円)の小切手を渡していた。

 不審がる神楽が「地元の方じゃないですよね?」と尋ねても「竜宮城からきました」と煙に巻く。カラオケスナックでホステスに、あまりに世間のことを知らないので「浦島太郎か」とイジられていたのを受けての台詞だ。

 港にでかいクルーザーを横付けして去っていく暖を、神楽は「どっかの成金」と言っていたが、そういう意味では成金中の成金かもしれない。いよいよ次週、暖の復讐が始まる。

 

■今回登場したキャラが原作で相当するのは?

 

 信一朗はマクシミリアン、騎兵大尉で、ピエール・モレル(このドラマでは守尾 英一朗に当たる)の息子だ。暖のよき理解者として描かれる。ファリア・真海は、ファリア神父というイタリアの神父で、独立運動がらみで逮捕、投獄されていて、獄中の展開や脱獄の方法も原作通りだ。

 何年も何年も穴を掘り続けて、結局その穴を使わず遺体袋に入って脱出するところがひっかかるかもしれないが、原作もそうなのでご安心ください。

 ちなみに原作では、財宝が隠されている場所がモンテ・クリスト島で、そこからモンテ・クリスト伯を名乗ることになっており、シンガポールとかスイス銀行はもちろんドラマでの脚色だ。

 今回見終わって気になるのは、ホームレス姿の時は仕方ないにしても、髪を切りこざっぱりした姿(モンテ・クリスト伯)となってからも、間近で顔を晒してるのに旧知の2人がまったくもって暖に気付かないこと。原作では獄中でのあまりの悲惨な暮らしですっかり人相が変わっているから気付かれないという設定なのだが、今回まんま「紫門暖」のままにしか見えないのだ。ある意味「おとぎ話」のような物語なので、細かいことをいうのは野暮だと承知しているが、他の部分が細かく現在に合うように練られているので、逆に、軽い口ヒゲ程度で親友らが気付かないことが気になってしまう。

 あと、これも仕方ないのだが、暖があまりに簡単に日本に船で戻ったり、シンガポールに密入国したりする点だ。

 原作ではここまで長い距離を移動しないので描かれないが、ここまで航海が多いと渡航中のシーンがなさすぎるのが引っかかってしまう。

 しかし、それでもディーン様の語学力(特に英語と中国語)はかっこよく、無駄に嫉妬されて、はめられてしまうのも仕方ないと、勝手にキャスティングに納得してしまいました。次回からの復讐が楽しみです。
(文=どらまっ子HARUちゃん)