なぜか日大アメフト部問題とシンクロした展開!! 池松壮亮が頭を丸めた『宮本から君へ』第8話

 日大アメフト部問題が注目を集めています。アメフト部員である学生たちがアメフトに青春のすべてを捧げているのに対して、監督やコーチといった大人たちにとってのアメフトはお金を稼ぐための手段でしかありませんでした。試合に勝つことのみを目的とした組織の理論とアメフトという競技に情熱を注ぐ選手個人の想いとの大きな裂け目に、渦中の選手はハマってしまったようです。ビジネス上の常識と個人的な理想との狭間で、『宮本から君へ』(テレビ東京系)の主人公・宮本浩も揺れ動いています。奇しくも宮本役を演じる池松壮亮が頭を丸めた『宮本から君へ』第8話を振り返りましょう。

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 宮本浩(池松)は弱小文具メーカーに勤める新米営業マンです。前回、先輩の神保(松山ケンイチ)と共に大手製薬会社に納品するクリアファイルの商品説明に臨みました。宮本にとっては初めての大仕事、神保にとっては最後の仕事になるため、かなり頑張った低価格で見積書を提出しました。ところが、ライバル社の益戸(浅香航大)がさらに安い価格を提示していたことを知り、大ショックを受けます。入札制にもかかわらず、仲卸業者である「ワカムラ文具」の島貫部長(酒井敏也)が益戸に情報を漏らしていたのです。汚い島貫や益戸たちのやり口に、怒り狂う宮本でした。

 大手製薬会社が正式決定を下すのは10日後です。美沙子(華村あすか)とはあっさり別れた宮本ですが、今回の仕事はどうにも諦め切れません。神保から無駄だと諭されても、今の宮本の耳には何も届かない状態です。商品説明会であからさまに不機嫌な態度を見せていたことを文具問屋の安達(高橋和也)からも注意されますが、そこへ勝ち誇った表情の益戸が現われたため、ついつい余計なひと言が出てしまいます。「直前になって見積書を書き直す、益戸さんの慌てふためく姿を見たかったです」と精一杯の皮肉を口にするのでした。

 ド新人の営業マンである宮本のこの言葉にカチンときた益戸は「おまけは黙ってろよ」と言い返します。感情の沸点が極端に低い宮本は、もう我慢できません。安達たちが見ている前で、益戸につかみ掛かってしまいます。ところが、勢い余った宮本は、益戸にいなされて、かっこ悪く床に転がるはめに。「おい、ケンカか!?」とフロア全体が騒然としますが、益戸の「違います。つまずいただけだよな、宮本くん」という冷静な言葉によってその場は収められるのでした。安達からの「お前は営業失格だ」というダメ押しの言葉が身に沁みる宮本でした。

 熱血サラリーマンドラマだった『宮本から君へ』ですが、第8話は同じテレ東の人気ドラマ『孤独のグルメ』に同化していきます。怒りのやり場のない宮本は、神田の洋食屋で、さらには赤羽の自宅アパートに戻って、バカ喰いを続けます。井之頭五郎のようなウイットに富んだ脳内ナレーションはありません。自分の胃袋を痛めつけるためだけに、ひたすら宮本は食べ続けます。お昼をたらふく食べた後も、コンビニで買った袋入りのポテトチップをペットボトルのコーラで流し込み、大福もちを齧り、さらには甘いプリンアラモード、カップ麺をかっ喰らいます。心配して様子を見にきた同期入社の田島(柄本時生)の気分が悪くなるほどの悪食ぶりでした。これでは庶民的美学を貫く『孤独のグルメ』ではなく、節操のない『乞食のグルメ』です。かっこ悪いことをしている自分に酔っていることを宮本は自覚しており、そのことがさらに宮本に嫌悪感をもたらすのでした。負のループ地獄が止まりません。

「俺がかっこいいと思ったやり方、何ひとつ成功しねぇ」と狭いアパートのトイレで宮本は嗚咽します。うんこと惨めさを垂れ流す宮本でした。さらにはトイレットペーパーが切れていて、自分の尻さえも拭えません。武士なら切腹、極道なら指を詰めるなどの詫び方がありますが、トイレから出てきた宮本が選んだ方法は実にシンプルです。部屋にあった電気シェーバーを使って、頭を丸め始めるのでした。中途半端な逆モヒカン状態になった宮本と、それを見て笑い転げる田島の表情をカメラは映し出します。役のために、自分の地毛を劇中で刈ってしまうところが、実に若手演技派・池松壮亮らしいですね。

■もはや営業スタイルの違いではなく、生き方の問題

 頭を丸めただけでは、事態は何も変わりません。営業マンとしての経験の浅い宮本が頼れるのは、やはり神保です。日曜日ですが、宮本は迷わず神保のいるマンションにGOです。坊主頭になった宮本を、ひとまず神保は笑って受け入れてくれました。大手製薬会社への入札は諦めて、頭を切り替えたほうがいいと一般論を説く神保に対し、「それを認めたら、一般論をつくった人以上にはなれないと認めたことになりませんか」とまだ喰らい付きます。「最後までもがいてれば、望みは消えないと思います」と信念を捨てない宮本に、もはや返す言葉を神保は持っていません。2人にとっての仕事とは、営業とは、食べるための手段のみならず、自己実現のための重要なものだったのです。熱風ブラザーズの再結成です。

 月曜日。ケンカ騒ぎを起こしたことを、文具問屋の安達のところまで謝罪に宮本は向かいます。スーツ姿に坊主頭はまるで似合いませんが、安達たちの大笑いした表情にホッとしました。ところが、宮本が頭を丸めたことを面白く思わない人間もいました。宮本がケンカを売った益戸です。子どものように頭を丸めた宮本を見て、益戸はおもむろに不機嫌な顔になるのでした。スマートでクールな営業スタイルを標榜する益戸にとって、それはもっとも肌に合わない謝罪方法だったのです。

「僕には生きていく上で、仕事以外にも興味があることがたくさんあるんだよ」と益戸は上から目線で語ります。ひとりの人間の持てるパワーが100%だとしたら、益戸は30~40%程度の力で要領よく仕事を済ませ、後はプライベートを充実させたいというタイプです。そこへ120%以上の情熱をたぎらせながらド新人が30~40%の枠に首を突っ込んでくるのはウザすぎるというわけです。もはや営業スタイルうんぬんの違いではなく、人間としての生き方の問題です。頭を丸めて、ますます純粋無垢化している宮本は、益戸のいう大人の営業スタイルが受け入れられません。大手製薬会社へのクリアファイル納品の件をまだ諦めていないことを、ついつい益戸にバラしてしまうのでした。勢いに任せて感情を爆発させてしまう宮本は、やっぱり大バカものです。

 目の前の仕事に全力を出し切ることに快感を覚える宮本のような体育会系のサラリーマンもいれば、最小限の努力で最大の効果を狙う策士タイプもいるわけで、さまざまな価値観が組み合わさって大人の社会は成立しています。益戸のやり方は決してフェアではありませんが、彼としては自分が持っているコネと営業テクニックをフル発揮して、入札を勝ち得たのです。学生時代と違って、努力よりも結果を残すことが重要視される社会人としてのシビアさを、異なる価値観の持ち主である益戸から学ぶ宮本でした。

 次回、第9話の宮本は、むかつく益戸に反撃するために驚異的な粘り腰を見せることになります。予算も時間もコネもない中で、宮本はどんな逆転劇を演じてみせるのでしょうか。宮本の過剰な情熱がようやく実を結び始める第9話も見逃せません。
(文=長野辰次)

『モンテ・クリスト伯』大倉忠義の純愛すぎる想いが人を殺す……ついに山本美月が“おディーン様”にあの告白

『岩窟王』の名で知られる名作を現代の日本を舞台に焼き直したドラマ『モンテ・クリスト伯 ─華麗なる復讐─』(フジテレビ系)。無実の罪で収監されたのち脱獄、巨額の富と知性を手に舞い戻ったモンテ・クリスト・真海(ディーン・フジオカ)が仕掛ける復讐はいよいよ本格化。

 第7話は、真海の復讐相手の一人である南條幸男(大倉忠義・関ジャニ∞)に重い鉄槌が下される他、大きな展開が。視聴率は5.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、ほぼ横ばい。放送時ネットでもずいぶん話題にはなってるようだが、登場人物の関係性が複雑なため、なかなか途中から新規参入しにくいのかもしれない。

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■真海=暖だと気付いていたすみれ

 13年前のショーン・リー(南條の恩人で香港の有名俳優)殺害の情報を売ったと思われ、香港マフィア「ヴァンパ」に自宅に押し入られた南條。妻・すみれ(山本美月)と娘・明日花を人質に取られ、追い込まれた南條は自分が裏切っていないことを証明するため奔走。情報を売った「真犯人」が真海であると突き止め、ヴァンパ側に伝える。

 ヴァンパ一味が去った自宅で、すみれが南條から聞かされたのは、香港時代に借金を返すためヴァンパと共にショーンの自宅に忍び込み、そこで予定外に帰宅したショーン夫妻を殺してしまったという過去。南條が手を下したわけではないが、見殺しにしたような格好だと告げる。

 そしてこの情報を元に南條を潰そうとしているのが真海だと聞かされ、絶句するすみれ。

「一緒に乗り切ろう、今度は私が幸男を助ける番だよ。幸男がやったこと、私も抱えて生きていく。一生償っていこう」

 当時の夫・暖(真海)が突然逮捕、のちに獄中死したと伝えられ、失意の底にいたすみれを支えたのは南條(幸男)だ。その南條を今度は自分が支えようと励ますすみれだが、南條こそが「暖がテロ組織とつながっている」と嘘の通報をした「犯人」であることをまだ知らない。

 南條を心配するあまり、すみれは真海の元を訪れ、そしてついに本当のこと口にする。

「主人は悪くないんです。悪いのは貴方のことを待っていることができなかった私だよ……暖」

「暖なんでしょ? 死んだって聞いてたから信じられなかったから、わかったよ、最初に会った時から」

 真海=暖だとわかっていたことを、ようやく打ち明ける。さらに、暖の母・恵(風吹ジュン)は孤独死しているのだが、それも、すみれが「テロリストの妻」だと責められないように、恵がわざと距離を取り会わなくなった末に起きた事件だという「真相」も明かされた。

 ずっと無言で背を向け聞いていた真海(暖)だが、「幸男は悪くない、恨むなら私を恨んで」と必死に南條をかばうすみれの言葉に耐え切れず、反論する。

「何もわかってない、悪いのは幸男なんだよ!」

「紫門暖が警察に捕まるよう嘘の通報をしたのは南條幸男です。南條幸男が紫門暖を『殺し』たんです」

 一瞬、「暖」としてのパーソナリティも垣間見えたが、現在「真海」である彼は、あくまで「暖」は牢獄で死んでいる、というスタンスですみれに接している。頑なにすみれに会おうとしなかったのは、自分の復讐の気持ちが揺らぐのを防ぐためだったのだろう。

 真実を知ったまま、すみれは南條と合流し、夫妻で受賞したベストパートナー授賞式へ。

 しかし壇上での南條の挨拶の最中、「ショーン・リー殺害に南條が関わっている」との速報が駆け巡り、授賞式は一転、追及の場に。壇上でずっとこれまで黙っていたすみれは、このタイミングでいきなり南條と報道陣を前に離婚する旨を告げる。舞台裏で、すみれに一番知られたくなかった秘密(暖をハメたこと)を知っていることを告げられた南條は呆然。南條はドラマも降板、CM違約金も発生と、全てを失った。

 

■首を吊る南條幸男

 南條のマネジャー・江田愛梨(桜井ユキ)は、その日で退職することを告げつつ、自分が両親殺害の一部始終をを見ていた、当時幼かったショーンの娘・エデルヴァであると正体を明かす。

「ショーン・リー一家を殺したのが自分だと書いて責任を取らないと、奥さんと娘さんがヴァンパに狙われますよ?」

「あの後、知らない街の汚い部屋に閉じ込められて、汚い男たちの相手を毎日毎日させられた」

 自分の壮絶な過去を語りつつ、南條に真相を交えた遺書を書くように言い残し出て行く。

 ずっと落ち着いた口調だが、正直、かなり憎んでいる前振りもあったし、実際、親を殺され、その後売り飛ばされ男の相手をさせられたという事実も踏まえると、もっと憎しみを爆発させるものかと思いきや、唯一広東語で「人生の全てに懺悔しろ」と言った時以外、ずいぶんあっさりとした印象。

 この後、南條は首を吊って自殺するのだが、江田が何も知らない南條の娘・明日花からの電話に、なんとも言えない表情を浮かべていたのは、かつての親を亡くした幼い自分と重ねていたからなのだろうか。

 原作でも、南條(フェルナン)は妻と子に出て行かれ自殺するのだが、ドラマで一番違うのは、江田(エデ)が南條のマネジャーとして随時行動を共にしていたこと。そして最後、南條が首を吊った直後に、慌てて江田が戻ってきたのは何を意味しているのか? もしかしたら助けているのか?

 長く接していただけに(特に娘に)情がわいた可能性はありそうだが、どうなったのか気になる。

 南條が書き残した内容は、遺書というよりすみれへの想いを綴った純粋すぎるラブレター。

「僕はずっと君のことが好きでした」

「君を守ること、君を幸せにすること、それだけが僕の夢でした。それだけが僕の人生でした」

「君を守れなくてごめんなさい」

 回想での、暖がいなくなり落ち込むすみれに南條が想いを告げるシーンでも、

「これから一生暖ちゃんのこと思い続けてていいから、俺はずっと都合のいい『お兄ちゃん』でいい。俺はただ、すみれに生きてて欲しいだけなんだよ」

 おそらく、すみれを想いすぎるあまり、南條の中では暖を裏切った事実は、都合よく、なかったことになっていたのかもしれない。

 南條の殺害関与報道を受け、暖を陥れた「共犯」である神楽清(新井浩文)は「あいつ生きてる」、入間公平(高橋克典)は「やっぱりそういうことか」と、共に紫門暖のことを思い浮かべるのだが、南條は最後まで、真海が暖だとは疑いもしなかった。純粋すぎる想いが彼の中で、暖を本当に「殺し」ていたからだろう。

 ちなにみヴァンパが真海邸に襲ってきたものの、すでにヴァンパ内部とつながっていた真海は、仲間割れを起こさせ、事なきを得る。

 原作でも、盗賊の親玉ルイジ・ヴァンパ(こちらは個人名)とモンテ・クリスト伯(真海)はつながっており、捕らえられたフェルナン(南條)の息子(ドラマでは娘)を助けたりしている。

 

■今回も瑛里奈の悪魔ぶりが

 祖父である貞吉(伊武雅人)が怪しんでいるのを知り、貞吉のお手伝いの女性も(おそらく)殺害、これを機に自分の殺人鬼である一面を貞吉にだけさらけ出しはじめた入間瑛里奈(山口紗弥加)。美蘭(岸井ゆきの)を貞吉が殺したように見せかけて毒殺し、さらにその貞吉も自殺に見せかけて殺すと、貞吉に予告する。全ては血の繋がっている息子(瑛人)にだけに遺産を残すための歪んだ愛情からきており、病気で全身が麻痺し動けない貞吉の耳元でそれを語って聞かせる瑛里奈の様子は、ヒッチコックやスティーブン・キングの作品のような恐ろしさ。伊武雅人の目の芝居だけの芝居が今回も冴えていた。

 瑛里奈は夫の公平が警察幹部であるため、自宅での事件が公にされることはないとたかをくくっているため、やりたい放題になってきている。

 一方、その入間公平は、前回殺害された寺角類(渋川清彦)が紫門暖と同じ浜浦町出身だと知り、怪しんでいる様子。暖の死亡報告書はラデル共和国から届けられていたのだが、その資料の中に「ファリア真海」(暖に知識や資産を与えた恩人)の名を発見し、何かピンときたようだ。

 今回は、真海が寺角殺害の件で警察に連行されるところで終了となった。神楽も「元・漁師の勘」だと真海を疑いだしているし、果たして双方どこまで掴んでいるのか?

 原作では、入間(ヴィルフォール)にしろ神楽(ダングラール)にしろ、途中で真海=暖(モンテ・クリスト伯=エドモン・ダンテス)であると見破る展開はなく、どちらも本人に種明かしをされて「えーーー!」となるお約束であるだけに、ドラマならではの展開だとしたら、この先をどう描くのか楽しみだ。

 

■東京-鎌倉間の移動が早すぎないか?

 細かい点だが気になった点をいくつか。

 エデルヴァはなぜ「江田」という近い偽名を使ったのか? 原作では、ドラマでのマネジャー設定がないためフェルナン(南條)とエデ(江田)が、最後フェルナンが告発される法廷まで接触することはなく、そのため偽名自体出てこないのだが、ドラマでは少なくともバレる可能性は排除したいはずなのに「エデルヴァ」に近い名前を使っている。絶対にバレないという自信がそうさせているのか、はたまたバレてほしい気持が根底にあるからなのか、謎だ。

 そしてもう一点。南條やすみれが、東京-鎌倉間を行き来するのだが、その移動時間がやけに短いのだ。南條は、ヴァンパに3時までに情報を掴んで自宅に戻らないと妻子を殺すと脅されてるのに、鎌倉の真海邸を出たのは2時だし(ギリギリ間に合っている)、すみれも、ベストパートナー賞の楽屋にもう南條は入っているのに、単身真海邸に赴き、込み入った話をして、こちらも本番までにギリギリ戻れている。

 どちらも車で移動のはずだが、大事な授賞式や、ましてや妻子の命がかかっているのにそんなギリギリで行動するだろうか?

 ちなみに鎌倉と東京(港区だとして)はグーグル検索で1時間15分(車使用)はかかる距離だ。

 真海がシンガポールまで密航した際などもそうだが、このドラマは移動の描き方だけは随分雑な気がする。

 次回予告。入間が「復讐ごっこは終わりだよ、お前の負けだ、紫門暖」と笑うシーン。原作にはなさそうな展開が楽しみだ。
(文=どらまっ子HARUちゃん)

『あなたには帰る家がある』中谷美紀&木村多江の「離婚」を軽く考える姿に視聴者から非難轟々!

 中谷美紀主演のドラマ『あなたには帰る家がある』(TBS系)の第7話が5月25日に放送され、平均視聴率は9.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.1ポイントアップとなりました。

 前回のダウンから再びアップ。最高視聴率である初回の9.3%近くまで盛り返してきました。この調子であれば、最終回は2ケタの大台を迎えそうな予感も。

ではでは、今回もあらすじから振り返っていきましょう!

(これまでのレビューはこちらから)

■離婚へのカウントダウン開始!

 ついに秀明(玉木宏)に、「別れよう」と伝えた真弓(中谷美紀)。娘の麗奈(桜田ひより)のことも考えて、真弓は「離婚までのTODOリスト」を作るほど前向きなのに対し、秀明はなかなか離婚に踏み切れず……。職場の後輩・桃(高橋メアリージュン)にも気づかれ「お客様の奥さんに手を出すから~」と呆れられてしまう。

 家に帰っても、父に幻滅した麗奈には無視され、居場所までなくなり落ち込む秀明。さらに追い討ちをかけるように、真弓から離婚に当たっての話をされる。

 一方、茄子田家でも、綾子(木村多江)が太郎(ユースケ・サンタマリア)に離婚を迫っていた。浮気されても綾子を愛している太郎は当然のように拒否。それだけではなく綾子が出て行かないようにと監視するように……。翌朝、いつも通り朝食を作る綾子だったが、太郎が目を離した隙に、裏口から逃げ出してしまう。

 自宅を出て、狭いアパートでひとり暮らしをすることとなった秀明のもとへ、突然、綾子が尋ねてくる。秀明は困惑し、「迷惑だ、帰れ」と言い放つが、ひるむ様子を見せない綾子。そんな綾子に恐怖心がさらに強くなる秀明は力ずくで綾子を追い出すのだった。

 別の日、一緒に離婚届を提出するために役所の前で秀明と待ち合わせした真弓。「じゃあ行こっか」という真弓に対し、秀明は最後のデートを提案する。いろいろと問題が起こり、結局、離婚届を提出できなかった2人。仕方なくマンションへ向かい、家族最後の時間を過ごすのだった。

 翌日、出勤した秀明は上司に離婚を報告。落ち込む秀明は仕事帰りに桃と飲みに行くが泥酔。桃はアパートまで秀明を送るが、そこに綾子が現れ、桃は激怒。秀明に説教して帰っていってしまう。一方、太郎は、綾子の居場所を聞き出そうと真弓を呼び出していた。秀明のことをなじる太郎。そんな太郎に真弓は激怒し、秀明の良かった部分を思い出す。はっとした真弓はすぐに秀明を呼び出し、「今までありがとう」との感謝を述べ、その場を去るのだった、というのが7話の内容でした。

■ジコチュー綾子に殺害予告並みの言葉殺到!

 これまで、「メンチカツお届け」「佐藤家に押しかけ女房」など、数々の「綾子事変」を起こし、視聴者の反感を買ってきた綾子ですが、今回もその勢力は衰えず。

 家出をした綾子は、秀明の新居であるアパートを見つけ、押しかけるんですが、「これで、2人きりになれたね」「別れを決めるのは秀明さんじゃない」などの迷言を言い放ち、これには秀明も困惑。その上、秀明が「なに言ってんの?」と怒鳴ると、ニコッとしながら「こういうカップルみたいなケンカしてみたかったんだ~」と、ひるむことなく返答……。「ああ言えばこう言う」状態です(笑)。

 これには視聴者も激怒し、「綾子は厚かましすぎる」「加害者のくせに」「脳内GPS怖い~!」という声が。さらに、その激怒は容姿にまで及び、「綾子の半開きの口がイライラする」「一段と洋服をスケさせて来やがったな!」と、まるで姑のような言葉が並び、しまいには「一回 地獄に落ちたら良い!」と辛らつな声まで……。回を重ねるごとに綾子に対する感想が酷くなっている状態です。

 この調子だと、綾子は最終回手前で視聴者によって呪い殺されるかも!? はたして、綾子は最終回まで生きていられるのでしょうか?

■視聴者の救世主が誕生!

 今回、ほんの少しですが、高橋メアリージュン演じる桃が、いいシーンを見せてくれました。

 予告動画では、酔った秀明が寄りかかってきて桃がニヤリとするというシーンがあったため、「今度は桃と!?」との声が多かったのですが、蓋を開けてみたらまったく違う。それどころか、桃は視聴者の鬱憤を晴らしてくれる救世主だったのです。

 秀明が居酒屋で泥酔。桃は秀明をアパートまで送り届けたんですが、そのとき「真弓~真弓~」と恋しそうに呼ぶ秀明の姿に、それまで不倫で秀明に嫌悪感を持っていた桃が少し優しく。しかし、そこへ綾子がのこのこやってきて「すみませ~ん」と、さも“ウチの夫が”感を出したもんだから、さあ大変。桃は秀明を投げ飛ばし、「流されてばっかりで何も行動してない!」と秀明に言い放つのです。

 これには視聴者もスッキリ! ネットには桃を賞賛する声が続々と並び、桃フィーバーが起こっていました。原作では重要人物だった桃ですが、ドラマではほとんど出番がなかっただけに、こういった形で活躍してくれるとは! それに、こういう息抜きがあるほうが、重めの不倫ドラマは格段に見やすくなりますね。残り2話ほどしかありませんが、桃が再び活躍してくれるのを期待したいところです。

■妻たちは離婚後を甘く考えすぎ!?

 今回綾子の異常行動よりも気になったのが、妻たちの離婚に対して考えが甘いというところです。 

 まずは、綾子ですが、前回、佐藤家に乗り込んだ際、麗奈に「パパ(秀明)とママ(綾子のこと)と慎吾と麗奈ちゃんの4人で暮らしましょう」と言ったんですが、家を自分から出て息子の親権を取れるわけがない。それに、太郎の方が収入も良いので裁判しても難しいでしょう。また、今回は朝食の用意をしているふりをして、ぬか床の脇に置いていた通帳を持って家出。その後、貯金は実は息子のために貯めていたもので、使いたくないと発言していましたが、息子を置いて出ていった母親からの金なんて……多分、息子は拒否するでしょう。「綾子、考えが甘いぞ!」と言ってやりたい。

 一方で真弓は、離婚にあたり秀明に月々の家のローンの支払いと別に養育費8万円を要求するんですが、秀明は営業が下手で、会社ではいつも成績が最下位。営業は成績次第で給料が決まることが多いので、あまり収入も良くないでしょう。そんな秀明が月に十数万円を支払えるわけがありませんよ。ましてや、自分の住むアパートの家賃もあるだろうし、車のローンもあるだろうし……。最悪の場合、秀明が自分に保険金を掛けて死なないと払えないでしょう。もし秀明が払えなくなった場合、その負担を真弓が負うのですが、旅行代理店の契約社員もしくはパート的な雇用ですからね。もうマンションから出て行くしかなくなりますよ。

 それに、麗奈は離婚に対し「いいんじゃない?」と言ってますが、通っている学校が有名私立中学ですからね。父親がいないことでいじめの対象になることもあります。こうなりたくないのであれば、離婚を回避したほうがいいんですが、真弓は離婚へ一直線。もう、こっちも甘い……。

 ネットでも「2人の考えが甘い!」「離婚はこんなにうまくはいかない!」「離婚をなめるな!」と、非難轟々。現実はうまくはいかないようです。

 次回、離婚後にもひと波乱起きそうなので、視聴者の厳しい意見を映像化してくれるのかもしれませんね。

 以上、7話のレビューでした。

 ドラマも佳境を迎え、一段とシリアスになり、面白さが増してきている『あな家』。どんな結末になるのか楽しみですね。今夜も期待して放送を待ちましょう!

(どらまっ子KOROちゃん)

『正義のセ』桐山漣を投入し“仮面ライダー人気”に便乗か!? 女性から歓声殺到も、視聴率には反映されず……

 吉高由里子主演のドラマ『正義のセ』(日本テレビ系)の第8話が5月30日に放送され、平均視聴率は9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.4ポイント増しました。

 今回はゲストが豪華だったんですが、その割に視聴率は伸びず……。まあ、そもそも詰めが甘い脚本が悪いので、ゲストを豪華にしたところで急上昇なんて望めません。

 それでは、今週もあらすじから振り返りましょう!

(これまでのレビューはこちらから)

■人気芸能人であろうと容赦せず追い詰める凜々子!

 芸能事務所のマネジャーが起こしたひき逃げ事件を担当することとなった凜々子(吉高由里子)。被疑者の斎藤茂典(正名僕蔵)に取り調べをしたところ、深く反省した様子を見せる。事故当時は斎藤がマネジャーを務める人気俳優の光岡駿太(桐山漣)を自宅へ送るために運転したと説明し、「人を跳ねたことに気づかなかった」とひき逃げについては否認した。

 凜々子と相原は、参考人として光岡に話を聞きに撮影現場へ行く。光岡は斎藤の車に乗っていたが、後部座席で眠っていて事故には気づかなかったと話し、「自分を見出してくれた恩人である斎藤さんの罪を少しでも軽くしてください」と懇願。光岡の誠実な態度に、凜々子は心が揺らぎ、相原に呆れられてしまう。

 翌日、事故現場を訪れた2人は、車が光岡の自宅と別の場所に向かっていたとこに気づく。凜々子は女の勘で、「交際中の女優の自宅では?」と推測。警察に問い合わせたところ、なんと当たっていた。

 そんな中、2人は被害者・横山茜(浦まゆ)会いに行く。話を聞くと、事故当時、車が一度止まっていたことが判明。事故に気づかずそのまま走り去ったという斎藤の供述がウソであることがわかり、斎藤を再度取り調べることに。2人がつかんだ事実を突きつけると、斎藤は「光岡に迷惑がかるから嘘をついた。ひき逃げした」と供述。2人は光岡に会いに行き、斎藤をひき逃げ容疑で起訴すると伝えた。

 これで事件は一件落着と思いきや、光岡の出演するドラマのスタッフが、事故発生時刻に斎藤を駅前で見たと新事実が発覚。この事実から、光岡が運転してひき逃げを起こし、斎藤が身代わりに出頭したと推測する凜々子。この推測を斎藤と光岡に突きつけると、2人ともきっぱりと否定した。

 そんな折、凜々子はネットで事件発生時に光岡が運転していたという目撃情報を発見。この情報を突きつけても、まだ身代わり出頭を否定する斎藤。そんな斎藤に凜々子は「実は光岡が罪悪感から真実を話した」と明かす。すると、斎藤も涙を浮かべながら自白。事件はめでたく解決した、というのが今回の話でした。

■ライダー俳優出演で視聴率稼ぎを目論む!?

 今回のゲスト、桐山は菅田将暉とともに平成仮面ライダーシリーズ第11作『仮面ライダーW』(テレビ朝日系)にてW主演を務めたライダー出身俳優。女性人気はすさまじく、前回の次回予告放送直後から、「来週は桐山くん出るの!?」「予告だけで惚れちゃう~」「やっば~い! 絶対見る~」とTwitterには黄色い歓声が。そして今回の放送、案の定ですが、Twitterは「桐山く~ん!」という声ばかり! 女性の視聴者がいつも以上に興奮していました。今回の0.4ポイント増は彼のおかげなのかもしれません。

 しかし、ここでふと疑問が。「もしかして、『仮面ライダー』に便乗してないか?」と感じたのです。どうしてそう感じたかというと、今回のストーリーに“仮面ライダー臭”が漂っていたから。

 まず、桐山演じる人気俳優光岡のブレイクのきっかけは『プラスマン』という戦隊ヒーローものに出演したからという設定なんですが、桐山も『仮面ライダーW』で連ドラ初主演を飾り、火がついた俳優。これに「あれ、設定が同じでは?」と思ったのです。ネットでも「桐山くんとデビューダブる~!」と言う声が上がっていましたが、これは偶然なんでしょうか? また、仮面ライダーWには「さぁ、お前の罪を数えろ」というキメセリフがあるのですが、これが今回のストーリーを遠まわしにリンクして見えると話題に。Twitterでは一時「さぁ、お前の罪を数えろ」という言葉が乱立し、何も知らない筆者はびっくりしました。それともうひとつ。一番若い事務官役を演じている俳優は渡部秀という若手俳優で、この人も平成仮面ライダーシリーズ第12作『仮面ライダーオーズ/OOO』(同)で主演を務めているのです。

 これはもう“『仮面ライダー』便乗商法”だとしか言いようがない……。あまり女性ウケしない吉高が主演ということで、奥様層をなんとか取り込もうと必死なのかもしれません。ですが、その結果が0.4ポイント微増という結果。あまり効果はなかったようですね。そんなに視聴率を上げたいなら、同ドラマをつまらなくしている原因“先の読めるストーリー展開”“ご都合主義”をやめたほうが視聴率アップ効果は出ると思うのですがぁ! まあ、それだと『正義のセ』じゃなくなるとスタッフは言うでしょうね。最後までこの調子で行くのかと思うととても残念です。

■新米検事のくせに国家権力並みの力を持つ凜々子

 今回の突っ込みどころですが、大きく言って2つありました。

 まず、事件発生時、光岡が車を運転していた証拠を見つけるために取った行動。これが、すごい。監視カメラに映る光岡を見つけるよう、警察署の職員に命令するんです。それも総動員(笑)。ベテラン刑事も呆れ、若手刑事に「あの検事とことん調べないと気がすまないそうですよ」と言われて仕方なく参加していましたが、普通に考えて「ここまでする警察ってある?」と思うんですよね。それに、新米検事である凜々子がそんな力を持っているのでしょうか? 「すみませんがよろしくお願いします!」と凜々子は下から言ってましたが「凜々子が裏で権力をチラつかせたのでは?」と勘ぐってしまいました。

 その上、この捜査で証拠は一切見つからない……。やり損です(笑)。それなのに、何食わぬ顔で「なかったか~」とだけ言うとは! 「面の皮が厚いな、この女(笑)」と思ってしまいました。凜々子のために警察は動いてくれたんだから、謝るなり感謝するなり、何かしらの行動をさせてあげてください。

 もうひとつが決定的な証拠となる“目撃情報”です。この光岡の事件発生時の目撃情報をさがすんですが、光岡は毎日10件以上もの目撃情報がある芸能人なんです(笑)。これって芸能人として脇甘くないですか? ジャニーズでもそこまでないですよ。それに、光岡は事件以前から女優と交際しているのですが、その情報は一切ない。それの目撃情報やウワサが一切ないのに……事件当時の目撃情報はあるんですね~へぇ~……。都合がいいですね(笑)。

 ベテランだけではなく若手含めスタッフ全員で脚本を読んで、もう少し詰めてストーリーを完成するようにしたほうがいいんじゃないでしょうか? でないと、保育士から苦情殺到した前回のようなことがまた起きますよ!

■竹村家の常識のなさが浮き彫りに!

 それから、今回竹村家の話がやたらに長かったんですが、これもすごいんです。竹村家には常識がないんです(笑)。

 父親の浩市(生瀬勝久)は、商店街にある知り合いのお店の店主から「経営が厳しくて、支払いができない」という話を聞き、その店主に30万円を貸すんです。それも、家族に一言も言わず。そのため、通帳から30万が引き出されていることを知った母親の芳子(宮崎美子)は、浮気を疑い大騒動に発展してしまったんです。

 いくら、家族とも顔なじみの店主に貸したとはいえ、家族に一言「お金貸してもいいかな?」と言うべきでは? この家族なら「ダメ」など言わず「いいよ!」と言うでしょう。それなのに……。浩市は江戸っ子かなんか知りませんが、勝手すぎます。きっと、原作者の阿川佐和子氏の父親が昔気質の家長といった人だったと聞いたことがありますから、それが投影されているのかも!?(時代に合わず思いっきりスベってますが……)

 それと、今回一番気になったのが、家でご飯を食べる凜々子がテーブルに肘をついて食べていたこと。肘をつくのはマナー違反です。超ウルトラ非常識だと思います。これは演出なのか、それとも吉高単独の行動なのか……。吉高単独の行動であれば、「あ~、やっぱり。吉高って常識なさそうだよね~。妊婦に人をぶつけるぐらいだもんね~」と解釈すればいいんですが、どうしてスタッフは注意しないんですか? ネットでも「肘ついて食べたらだめだろ(笑)」とめちゃくちゃ指摘されてましたけど(苦笑)。まあ、家族に秘密情報も言ってしまう検事ですから、常識なんて持ち合わせてないんでしょうね。次回以降には、マナー教室か一般教養を習う教室に通うシーンを入れたほうがよいかもしれませんね。

 以上、8話のレビューでした。

 次回は、過去に起訴した痴漢事件が冤罪だったということが判明し、凜々子が大ピンチを迎えます。いつも、自分が正しいと行動してきた凜々子に降りかかった、身から出た錆のようなストーリー(笑)と言うことで、楽しみに待ちましょう!

(どらまっ子KOROちゃん)

『シグナル』「カネもコネもない奴を生贄に……」警視庁が憤激してもおかしくない展開も、主演・坂口健太郎の好演が光る

 塩顔界のプリンス・坂口健太郎が主役を務めるドラマ『シグナル 長期未解決事件捜査班』(フジテレビ系)の第8話が29日に放送され、前回と同じく平均視聴率6.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録しました。

(前回までのレビューはこちらから)

 その前回ラスト、三枝健人(坂口)刑事は、1999年に起きた女子高生集団暴行事件の真相を教えると、上司の岩田一夫(甲本雅裕)から連絡を受け、待ち合わせ場所へ。実はこの事件、健人にとって、実兄の加藤亮太(神尾楓珠)が濡れ衣を着せられ、その結果自殺に至った因縁があるため、真犯人に関する情報は喉から手が出るほど欲しかったのです。

 しかし、待ち合わせ場所には、腹部を刺され瀕死状態の岩田の姿が……というところで前回は終了し、今回はこの続きからスタート。岩田は、かつての部下・大山剛志(北村一輝)刑事を殺して裏庭に埋めた、といったようなことを仄めかすと、そのまま息を引き取ってしまいます。

 一方、1999年の世界では、女子高生の井口奈々(山田愛奈)が飛び降り自殺を図り、一命を取り留めたものの、集団暴行を受けたことを苦にしての行動だったことが発覚。刑事事件に進展し、大山が捜査に加わります。

 実はこの事件には、都市開発会社社長の御曹司が関わっていたため、その社長が衆議院議員の野沢義男(西岡徳馬)に相談。そして野沢は、自身と癒着関係にある警視庁捜査一課の刑事部長・中本慎之助(渡部篤郎)にうまく取り計らうよう依頼し、その結果として、カネもコネもない亮太が生贄として主犯に仕立て上げられてしまったのでした。

 過去と未来をつなぐ無線機によって、健人の兄が無実の罪で捕まったことを知っていた大山は、中本の裏工作に気づくのですが、肝心の奈々までもが亮太が主犯だという供述をしたため、お手上げ状態となってしまいます。

 一方、2018年現在の世界を生きる健人は、待ち合わせの直前、岩田が元暴力団員の岡本(高橋努)の別荘を訪れていたという情報を入手。上司の桜井美咲(吉瀬美智子)とともに、現地へ向かいます。

 そこで健人は、岩田が死に際に遺した言葉を思い出し、裏庭を捜索。不自然に土が盛られた場所を掘り起こし、白骨死体と大山の警察手帳を発見したところで今回は終了となりました。

 さて感想。今回は、今まで小出しにされてきた健人の兄の情報が一気に明かされる回となったのですが、権力によって無実の人間をスケープゴートにする、という展開は、あまりに警視庁を貶めて描き過ぎなのではないかと感じました。

 オリジナルドラマが製作されたお隣の国ではいざ知らず、日本が舞台だとリアリティーに欠けるような気もします。また、都市開発会社の社員の息子たちを暴行事件の犯人に仕立て上げ、亮太が主犯だと供述するようけしかけた、中本の裏工作も雑過ぎ。警視庁が憤激してもおかしくない展開でした。

 ストーリー的にも安直すぎますよね。この先、クライマックスに向けて勧善懲悪の流れになっていくのが予想できます。大山が無実を証明することで亮太は自殺をせず、現在の世界でも健在。健人の心の闇が晴れてハッピーエンド、といったところでしょうか。

 お決まりのレールに沿うような進行。そして、話を円滑に進めるための都合のいい演出は、健人が岡本の別荘を捜査したシーンでも発揮されていました。捜査令状を取っていなのに勝手に入り込んでいたのです。これって、完全に不法侵入ですよね。しかも、手袋をつけずに白骨死体を掘り起こすという愚まで犯していました。

 脚本や演出に粗が目立つ一方、坂口健太郎の好演ぶりは光っていました。今回、亮太の自殺死体を発見してしまった幼少期や、兄が濡れ衣を着せられたことを知る高校生時代など、暗い過去を振り返るシーンがあったのですが、悲しみ・怒り・憎しみといった負の感情、それを抱えつつ真実を暴き出そうという意思の強さなどが感じられる演技を、しっかり披露していました。

 坂口にとって本作が、連続ドラマ初主演作となるのですが、正直なところ、ドラマが始まった当初は、まだその器ではないと感じました。たどたどしい演技が目立ち、ストーリーの流れを阻害してしまうこともしばしばあったのです。

 しかし、回を追うごとに表現力が増したため、健人というキャラクターに次第に血が通い、感情が奥深くなっていくのが感じられました。刑事として一人前になっていく健人同様、坂口も役者として急成長した印象で、まだまだ伸び代もありそうな予感がします。

 ドラマも残すところあと僅かですが、坂口がさらに健人のキャラクターをモノにし、クオリティの高い演技を見せてくれることや、筆者が予想した展開を、いい意味で裏切ってくれることを期待しつつ、次週放送を待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『花のち晴れ』飯豊まりえの折れない“鋼メンタル” 王子様キャラ・中川大志の“ヤンデレ”覚醒も……

 23日にメジャーデビューを果たしたジャニーズ期待の新星「King & Prince」平野紫耀くんが出演する『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS系)。第6話の視聴率は8.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、0.4ポイントダウンでした。

 平野くんたちが歌うこのドラマの主題歌「シンデレラガール」は、発売初週で57.7万枚を売り上げ、6月4日付のオリコン週間シングルランキングで初登場1位を獲得! デビューシングルの初週50万枚超えは、2006年の先輩・KAT-TUNによる「Real Face」(75.4万枚を記録)以来12年2カ月ぶりなんだとか。キンプリ、すさまじい人気です。このいい流れが、ドラマのほうにも影響してくれるといいんですが……。ということで、今夜放送の7話を前に、6話のあらすじから振り返っていきたいと思います。

*前回までのレビューはこちらから

■相変わらず、ぶっとんでるメグリン

 

 前回ラストで(参照記事)付き合うこととなった音(杉咲花)と天馬(中川大志)。音の告白シーンを見てしまった晴(平野紫耀)はすっかり意気消沈。人気モデル・メグリンこと西留めぐみ(飯豊まりえ)は、ラブパワーMAXのメグリンスペシャルカレーで晴を元気づけようとしますが、そのお味は、執事の小林さん(志賀廣太郎)がダウンしてしまうほど、破壊的なものでした。

 ちなみに、晴が今一番食べたいのは、「ミシュランの三ツ星も霞む」という音が作った野菜炒め(2話参照)だそう。「そっか。じゃあ元気モリモリ作戦は失敗ってことで」とちょっぴり落ち込むメグリンですが、マズいとわかっているカレーを一口食べて、「ありがとな。わざわざ飯作りに来てくれて」と、きちんとお礼を言う晴。これにはメグリンも思わずキュンときちゃいます。

 一方、天馬と付き合うことになった音は、学校でクラスメイトに無視されても平気なくらい上機嫌だし、天馬くんからの何気ないメールにも舞い上がってしまうくらいには浮かれています。そんな音のクラスに、英徳の制服を着たメグリンが。学園の名声を上げるために晴とメグリンをくっつけたいC5メンバー・海斗(濱田龍臣)の提案によって、英徳に転入してきたそうです。メグリンの影響を受け、英徳には転入希望者が殺到。さすがカリスマモデル。そんな彼女、今週もいい具合にやばいです。

・「ねぇ、私、晴くんと付き合ってもいいんだよね?」と、ご丁寧に音にお伺いをたてるメグリン

・完璧主義の父・巌(滝藤賢一)に「(晴は)10点満点でいえば、よくて5点」「(音は)神楽木家にも前にもふさわしくない」と言われるも、何も反論できず自己嫌悪に陥る晴に、「あなたのつらくて悲しい気持ち、私が半分もらうから」と泣きながらベットに寝転ぶ晴の横にゴローンするメグリン

・前回のカレーのリベンジからか、こりもせずに、重箱に入れたとってもカラフルなお弁当(味はお察しください)を晴に食べさせるメグリン

 晴が音のことを好きなことを知っていながら、ガンガン攻める彼女。一見するとウザいしイタい感じもしますが、計算とかはまったくないし、ただ晴を元気づけようと明るく笑顔で振る舞う姿は、一周まわって、けなげでかわいく思えてきます。

 しかも彼女がすごいのは、ライバルである音を陥れようとか、そういう悪意が1ミリもないところ。遊園地でデート中の音と天馬にバッタリ会ったときも、Wデートを提案して「私はもう逃げる晴くんを見たくない」と晴を鼓舞したり、天馬につっかかる晴をたしなめたり、鋼の心を持った、素直で本当にいい子なんです。演じる飯豊さんは叩かれ気味だけど……。

 

■地獄のWデート

 

 そんなメグリンをよそに、晴は音と天馬の2ショットを見るたびイライラ。音が天馬のために気合を入れて作ったお弁当も「らしくない」と、嫌味を言ってしまいます。さらには、天馬とコーヒーカップに乗って自分が先にダウンしてしまったり、お化け屋敷では思いっきりビビッてしまったり、天馬の弱点をさらけ出すどころか、ことごとく惨敗。おまけに天馬から「音は渡さない」とけん制される始末です。

 音も、メグリンから、完璧主義で、幼い頃から神楽木家にふさわしい人間になるよう晴に“テスト”を与えてきた晴の父の話を聞き、天馬くんが隣にいながら、考えるのは晴のことばかり。お互いのことを考えてぼけーっとしている2人は、一緒に遊園地に来たパートナーを置いてすたすた歩き、そのまま観覧車の中に。どことなく気まずい雰囲気を断ち切ろうと、音が口を開きますが、いつものように2人は言い合いになってしまいます。

「俺の気持ち気付いてるくせに、知らんぷりしてんじゃねぇよ。俺が好きなのは……」

 晴がそこまで言いかけたとき、観覧車が一周して地上に到着。音は天馬とメグリンの元へ走ってそそくさと外に出て行きます。

 帰り道、赤ちゃんが乗ったベビーカーが階段から落ちていくところに遭遇し、少しでも音にいいところを見せようと体を張って赤ちゃんを助けますが、真っ先に反応したのは音ではなくメグリンで、「心臓止まるかと思った」と晴にとびつきます。音は天馬に促され、その場を離れます。その後、メグリンは晴に告白。晴は何も答えません。

■天馬のヤンデレが覚醒

 

 晴とメグリンと別れ、立ち寄ったカフェで、2人は天馬が通う桃乃園学院の生徒会メンバーにバッタリ。天馬が音とデートをしていたと聞いてあからさまに落ち込む女子生徒を心配する音は、彼女を追いかけるよう言いますが、これには聖人君子の天馬くんもさすがに怒りが爆発。

「音は何考えてんだろ? 僕のこと好きな子を慰めてほしいの? そばに寄り添ってもいいの? それで音は何も感じない? 今日一日、僕が何も感じてないと思ってる? 嫉妬したり、傷ついたりしてないって思ってる?」

 激しく、でも静かに音に怒りをぶつける天馬くん。思わず口に出ちゃったのでしょうが、普段穏やかなぶん、ちょーコワいです。でも、天馬くんのコワさはこれだけじゃないんです……。

 カフェを飛び出し、きちんと晴と話をつけた音からの呼び出しで、再び2人は会うのですが、「もう嫌な思いは絶対させない」と謝る音を、天馬くんは「もういい……分かったから」とギュッと抱きしめ、その流れで2人は初チューをキメます。音は照れたり、拒否ったりするわけでもなく、天馬くんをジッと見つめて意外にも動じません。そんな彼女に天馬くんは、「桃乃園に転校してこないか?」と突拍子もないことを言うんです。

 この流れ、暴力を振るった後に泣きながら謝った後に優しくなるDV男みたいでめちゃくちゃ怖いなと思ったんです。そりゃあ、音は英徳で散々な目に遭ってきたし、晴にとられないように自分の目が届くところにおいておきたい気持ちはわかります。でも天馬くん、別人みたいに目が死んでるんだもん。完全にイッちゃってるんだもん。

 幼いころに母・美代子(堀内敬子)を亡くした天馬くん。父・一馬(テット・ワダ)は仕事が忙しかっただろうし、秘書だった利恵さん(高岡早紀)と再婚しちゃうし、一人ぼっちになった天馬くんにとって、音は母に代わる大きな存在なんだろうと思います。だからこそ、そんな音に依存している。このまま2人が結婚したら間違いなくDV男化しちゃいそうだし、今話を見て、勝手に2人の明るい未来が見えなくなりました。天馬派のみなさんごめんなさい。でも、天馬くんは怖いけど、ヤンデレな中川くんの演技はゾッとするくらいすごくよかったので、もっと見てみたいです。はい。

 

■平野紫耀の演技は下手なのか?

 

 1話のレビュー(参照記事)で、「平野くんの棒演技が逆にイイ」と書きましたが、今話では、前言撤回したくなるシーンがありました。「あなたは私のことが好きなんですか?」と問いかける音に、晴が告白をするシーンです。

「好きだ。ずっと、頭の中はお前のことばかり」
「江戸川に好かれるにはどうしたらいいか、どうやったら触れられるか。好きで好きでたまらない」
「本当に、江戸川のことが大好きだ」

 音の目をまっすぐに見て、素直な気持ちを伝えました。もちろん、音は天馬と付き合っていますから、「大事な人にただただ笑っていてほしい」とフラれてしまいます。「こんなんで終わりかよ」と、涙をこらえきれずにボロボロ涙を流しながら引き止めようとする晴に、音は声を震わせながら「神楽木と私は、何も始まってないよ」と言い残して部屋を後にします。

「なんだこれ、俺、泣いてんのか?」と、一人になった部屋で号泣する晴、そしてバックに流れる宇多田ヒカルの「初恋」もあいまって、これまでで一番のエモさを感じました。平野くんの泣き演技は、どこまで台本にあったものなのかはわかりませんが、とても自然に感じましたし、切ない表情に思わずつられて涙が出そうになりました。

 晴はもちろん、自分の気持ちより周りを優先してしまう音や、そんな音が何よりも大事な天馬、そして音を好きな晴を支えようとするけなげなメグリン、みんなの「初恋」がぐちゃぐちゃにこじれてきた『花のち晴れ』、悪者が誰一人としていないだけに、こんなこと言っちゃアレだけど、みんなに幸せになってほしいです……。
(文=どらまっ子TAROちゃん)

『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)三谷幸喜・クドカンにも劣らぬ古沢良太の手腕! 7話目にして“最高傑作”が誕生!

『コンフィデンスマンJP』の第7話「家族編」が5月21日に放送され、平均視聴率は8.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。

 リチャード(小日向文世)はバーで矢島理花(佐津川愛美)と出会う。現在、理花はスリ師をしているが、10億円の遺産を持つ与論要造(竜雷太)の末娘なのであった。ダー子(長澤まさみ)は、刑務所に服役中の理花に成りすまし、余命半年の要造から遺産をもらい受けようとする。しかし、18年ぶりに帰って来た理花がニセモノではないかと、兄・祐弥(岡田義徳)と姉・弥栄(桜井ユキ)は疑う。兄姉からの妨害を受けながら、ダー子は婚約者設定のボクちゃん(東出昌大)と共に、与論要造の信頼を勝ち取る日々が始まる。

 以上が「家族編」のあらすじ。視聴率は前回から0.6ポイント増。感想としては、「『コンフィデンスマンJP』に求めていた面白さはコレなのだ!」と断言できるほど、面白かった。今回は脚本の技術の高さに着眼点を置き、第7話の内容と魅力を振り返りたい。

(これまでのレビューはこちらから)

■『コンフィデンスマンJP』には“疑い”が欠けていた?

「面白いけれど、なぜか腑に落ちない」と、本作には何かが欠けていると感じてモヤッとしていた。しかし、第7話を見てモヤが晴れた。この物語には、ダー子たちに疑いの目を向ける存在が欠けていたのだ。疑り深かったのは第1話「ゴッドファーザー編」の江口洋介くらい。他の回のターゲットや周辺人物はスンナリとダー子たちに騙されてしまう。嘘が交錯するコンゲームというジャンルなのに、疑う存在がいなければ緊迫感は出ない。ノリや小ネタに誤魔化され、ハラハラドキドキという、コンゲームにおける楽しみの本質を忘れさせられていた。ある意味、このドラマに騙されていたのだ。

 第7話では、冒頭からダー子を偽物の理花だと気づき、疑う兄と姉の存在がある。屋敷のどこに理花の部屋があるかわかるだろう、と問われたり、DNA鑑定を持ちかけられたり、ピンチの場面が度々訪れる。また、家族というステージが緊張感を高めてくれた。家族には独自の文化と思い出がある、竜雷太演じる与論要造が「今年もアレが楽しみだな」と言えば、要造の言う“アレ”が何なのかわからないダー子たちは右往左往する。

「邪魔者の出現」と「難易度の高いステージの用意」。これらは基本要素であるが、第7話の面白さはそれに留まらない。古沢良太の特異性が存分に発揮されていた。

■脚本家・古沢良太の持つ、“ゲーム的展開”と“演歌の精神”

 まるでRPGゲームの世界を体験したような1時間だった。

 要造に実の娘だと思わせ10億円の遺産を騙し取るまでの“ゴール”。遺産を奪い合う兄姉という“敵”。獄中の理子から得た家族のエピソードという“アイテム”。アイテムの中に、「理子が家族からイジメを受けていた」というカードがある。このカードをどのタイミングで切るのかが、作中の楽しみでもあった。

 屋敷の中で展開する物語であるが、“ステージ”もめくるめく展開を見せる。以下、ネタばれ注意ではあるが……

1、 実の娘だと信じさせるため、兄姉の妨害を乗り越える。

2、兄姉がダー子たちと同じ遺産目当ての偽物の息子&娘だと気づく。

同時にダー子たちも偽物とバレ、牽制し合いながらの要造への媚売り合戦が展開。

3、要造の望みが建前の媚売りでなく本音でぶつかり合える家族の存在だとわかる。

敵対した兄姉と協力し合い、ケンカも罵倒もある普通の家族を目指す。

 遺産10億円ゲットという大目的のため、中間目標が変わりダー子たちの行動ラインまで変化していく。この後も予想を裏切る展開が続くが、オンデマンドで最後まで見てほしい。前述した「本物の理子がイジメを受けていた」というカードを切るタイミングが抜群だったからこそ、ハラハラドキドキ展開のコンゲームは、感動のヒューマンドラマへと変貌する。今まで媚売りに始終していたダー子たちが、要造の望みを知った後での食卓のシーンは、涙がこぼれる。現代日本で家族の食卓がノスタルジーと化してしまったのだと気づかされ、切ない気持ちにさせられた。

 古沢良太の脚本の良さは、視聴者を飽きさせないゲーム的な展開と胸に染みる演歌な部分にある。その両方を併せ持つ脚本家は国内に古沢良太、ただ一人だと思う。

■コメディ作家BIG3古沢良太・宮藤官九郎・三谷幸喜の違いとは?

 古沢良太はビッグネーム故に、三谷幸喜や宮藤官九郎と比較されたり、並べられることがある。同じコメディのジャンルを得意とする3人であるが、笑いのトリガーは明確に違う。しかし、第7話「家族編」は古沢良太の独自の良さに加え、三谷幸喜と宮藤官九郎の得意とする技まで駆使されていた。そのため、コメディ作家大御所3人の違いについて触れてみたい。

 まずは三谷幸喜。彼の笑いは、“状況”で引き起こされる。映画『ラヂオの時間』『THE 有頂天ホテル』やドラマ『王様のレストラン』(フジテレビ系)、どの作品も限定された空間で起きてほしくないトラブルに登場人物たちが見舞われる。そして登場人物は誰もが真剣だからこそ、ミスをする際には笑えてしまう。焦って下手を打つ者、考えすぎて見当違いをする者、欲に駆られて事態が見えなくなる者。トラブルの中でそれぞれの個性が浮き彫りとなり、人間ドラマが生じていく。だからこそ、“ドタバタ”ではなく“喜劇”と呼ばれ、作風には気品すら感じられる。

 次に宮藤官九郎。彼の作品の笑いの肝は“緩急”にある。例えば『あまちゃん』(NHK総合)では、天野春子(小泉今日子)の傍若無人な振る舞いで笑いが起き、娘を想う繊細な親心に泣かされる。上京とアイドルになる不安を感じる娘・アキ(能年玲奈)に 「私変わった(成長した)?」と問われた際の返答は圧巻だ。

「変わってないよ、アキは。昔も今も、地味で暗くて向上心も協調性も存在感も個性も華もないパッとしない子だけど……だけど、みんなに好かれたね。こっち(岩手)に来て、みんなに好かれた。あんたじゃなくてみんなが変わったんだよ。自信持ちなさい、それはね案外すごいことなんだからね」

 おバカさと真面目さのギャップに魅せられて、登場人物たちは視聴者の心に寄り添う友達となる。だからクドカンドラマの最終回はいつも寂しくなってしまう。

 そして、古沢良太の笑いのトリガーはどこにあるのか? それは登場人物同士の“対立”の中にある。文学ニートとリケジョの恋を描いた『デート』(フジテレビ系)、悪徳弁護士と清廉潔白な弁護士の活躍を描いた『リーガルハイ』(同)。意見の違う者同士のチグハグ感に笑い、相反する主張から物事の本質まで見えそうになる。

 本作第7話「家族編」に話を戻すと、ピンチが次々に起きる“状況”設定には三谷幸喜を、コメディとヒューマンの“緩急”は宮藤官九郎を彷彿とさせた。そして古沢良太自身が得意とする“対立”構図の果てに、家族の本質は血の繋がりには無いというメッセージ性まで感させる。

 無駄な小ネタや自分の見せたい画に執着しなかった三橋利行氏の演出も相まって、古沢良太の脚本の良さが見えたのかもしれない。残り3話。古沢脚本×三橋監督のコンビをまた見られることを期待しつつ、第8話「美のカリスマ編」も楽しみにしたい。

(文=許婚亭ちん宝)

『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)三谷幸喜・クドカンにも劣らぬ古沢良太の手腕! 7話目にして“最高傑作”が誕生!

『コンフィデンスマンJP』の第7話「家族編」が5月21日に放送され、平均視聴率は8.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。

 リチャード(小日向文世)はバーで矢島理花(佐津川愛美)と出会う。現在、理花はスリ師をしているが、10億円の遺産を持つ与論要造(竜雷太)の末娘なのであった。ダー子(長澤まさみ)は、刑務所に服役中の理花に成りすまし、余命半年の要造から遺産をもらい受けようとする。しかし、18年ぶりに帰って来た理花がニセモノではないかと、兄・祐弥(岡田義徳)と姉・弥栄(桜井ユキ)は疑う。兄姉からの妨害を受けながら、ダー子は婚約者設定のボクちゃん(東出昌大)と共に、与論要造の信頼を勝ち取る日々が始まる。

 以上が「家族編」のあらすじ。視聴率は前回から0.6ポイント増。感想としては、「『コンフィデンスマンJP』に求めていた面白さはコレなのだ!」と断言できるほど、面白かった。今回は脚本の技術の高さに着眼点を置き、第7話の内容と魅力を振り返りたい。

(これまでのレビューはこちらから)

■『コンフィデンスマンJP』には“疑い”が欠けていた?

「面白いけれど、なぜか腑に落ちない」と、本作には何かが欠けていると感じてモヤッとしていた。しかし、第7話を見てモヤが晴れた。この物語には、ダー子たちに疑いの目を向ける存在が欠けていたのだ。疑り深かったのは第1話「ゴッドファーザー編」の江口洋介くらい。他の回のターゲットや周辺人物はスンナリとダー子たちに騙されてしまう。嘘が交錯するコンゲームというジャンルなのに、疑う存在がいなければ緊迫感は出ない。ノリや小ネタに誤魔化され、ハラハラドキドキという、コンゲームにおける楽しみの本質を忘れさせられていた。ある意味、このドラマに騙されていたのだ。

 第7話では、冒頭からダー子を偽物の理花だと気づき、疑う兄と姉の存在がある。屋敷のどこに理花の部屋があるかわかるだろう、と問われたり、DNA鑑定を持ちかけられたり、ピンチの場面が度々訪れる。また、家族というステージが緊張感を高めてくれた。家族には独自の文化と思い出がある、竜雷太演じる与論要造が「今年もアレが楽しみだな」と言えば、要造の言う“アレ”が何なのかわからないダー子たちは右往左往する。

「邪魔者の出現」と「難易度の高いステージの用意」。これらは基本要素であるが、第7話の面白さはそれに留まらない。古沢良太の特異性が存分に発揮されていた。

■脚本家・古沢良太の持つ、“ゲーム的展開”と“演歌の精神”

 まるでRPGゲームの世界を体験したような1時間だった。

 要造に実の娘だと思わせ10億円の遺産を騙し取るまでの“ゴール”。遺産を奪い合う兄姉という“敵”。獄中の理子から得た家族のエピソードという“アイテム”。アイテムの中に、「理子が家族からイジメを受けていた」というカードがある。このカードをどのタイミングで切るのかが、作中の楽しみでもあった。

 屋敷の中で展開する物語であるが、“ステージ”もめくるめく展開を見せる。以下、ネタばれ注意ではあるが……

1、 実の娘だと信じさせるため、兄姉の妨害を乗り越える。

2、兄姉がダー子たちと同じ遺産目当ての偽物の息子&娘だと気づく。

同時にダー子たちも偽物とバレ、牽制し合いながらの要造への媚売り合戦が展開。

3、要造の望みが建前の媚売りでなく本音でぶつかり合える家族の存在だとわかる。

敵対した兄姉と協力し合い、ケンカも罵倒もある普通の家族を目指す。

 遺産10億円ゲットという大目的のため、中間目標が変わりダー子たちの行動ラインまで変化していく。この後も予想を裏切る展開が続くが、オンデマンドで最後まで見てほしい。前述した「本物の理子がイジメを受けていた」というカードを切るタイミングが抜群だったからこそ、ハラハラドキドキ展開のコンゲームは、感動のヒューマンドラマへと変貌する。今まで媚売りに始終していたダー子たちが、要造の望みを知った後での食卓のシーンは、涙がこぼれる。現代日本で家族の食卓がノスタルジーと化してしまったのだと気づかされ、切ない気持ちにさせられた。

 古沢良太の脚本の良さは、視聴者を飽きさせないゲーム的な展開と胸に染みる演歌な部分にある。その両方を併せ持つ脚本家は国内に古沢良太、ただ一人だと思う。

■コメディ作家BIG3古沢良太・宮藤官九郎・三谷幸喜の違いとは?

 古沢良太はビッグネーム故に、三谷幸喜や宮藤官九郎と比較されたり、並べられることがある。同じコメディのジャンルを得意とする3人であるが、笑いのトリガーは明確に違う。しかし、第7話「家族編」は古沢良太の独自の良さに加え、三谷幸喜と宮藤官九郎の得意とする技まで駆使されていた。そのため、コメディ作家大御所3人の違いについて触れてみたい。

 まずは三谷幸喜。彼の笑いは、“状況”で引き起こされる。映画『ラヂオの時間』『THE 有頂天ホテル』やドラマ『王様のレストラン』(フジテレビ系)、どの作品も限定された空間で起きてほしくないトラブルに登場人物たちが見舞われる。そして登場人物は誰もが真剣だからこそ、ミスをする際には笑えてしまう。焦って下手を打つ者、考えすぎて見当違いをする者、欲に駆られて事態が見えなくなる者。トラブルの中でそれぞれの個性が浮き彫りとなり、人間ドラマが生じていく。だからこそ、“ドタバタ”ではなく“喜劇”と呼ばれ、作風には気品すら感じられる。

 次に宮藤官九郎。彼の作品の笑いの肝は“緩急”にある。例えば『あまちゃん』(NHK総合)では、天野春子(小泉今日子)の傍若無人な振る舞いで笑いが起き、娘を想う繊細な親心に泣かされる。上京とアイドルになる不安を感じる娘・アキ(能年玲奈)に 「私変わった(成長した)?」と問われた際の返答は圧巻だ。

「変わってないよ、アキは。昔も今も、地味で暗くて向上心も協調性も存在感も個性も華もないパッとしない子だけど……だけど、みんなに好かれたね。こっち(岩手)に来て、みんなに好かれた。あんたじゃなくてみんなが変わったんだよ。自信持ちなさい、それはね案外すごいことなんだからね」

 おバカさと真面目さのギャップに魅せられて、登場人物たちは視聴者の心に寄り添う友達となる。だからクドカンドラマの最終回はいつも寂しくなってしまう。

 そして、古沢良太の笑いのトリガーはどこにあるのか? それは登場人物同士の“対立”の中にある。文学ニートとリケジョの恋を描いた『デート』(フジテレビ系)、悪徳弁護士と清廉潔白な弁護士の活躍を描いた『リーガルハイ』(同)。意見の違う者同士のチグハグ感に笑い、相反する主張から物事の本質まで見えそうになる。

 本作第7話「家族編」に話を戻すと、ピンチが次々に起きる“状況”設定には三谷幸喜を、コメディとヒューマンの“緩急”は宮藤官九郎を彷彿とさせた。そして古沢良太自身が得意とする“対立”構図の果てに、家族の本質は血の繋がりには無いというメッセージ性まで感させる。

 無駄な小ネタや自分の見せたい画に執着しなかった三橋利行氏の演出も相まって、古沢良太の脚本の良さが見えたのかもしれない。残り3話。古沢脚本×三橋監督のコンビをまた見られることを期待しつつ、第8話「美のカリスマ編」も楽しみにしたい。

(文=許婚亭ちん宝)

嵐・二宮和也『ブラックペアン』が犯した失敗……『水戸黄門』パターンからの脱却なるか

 嵐・二宮和也が孤高の天才外科医を演じる日曜劇場『ブラックペアン』(TBS系)も第6話。視聴率は13.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、今回も横ばいです。毎回、同じような展開なので、このままだと下がっていくかもしれません。今回はちょっと前に進んだけど。

 というわけで、振り返りましょう。

前回までのレビューはこちらから

■ニノちゃんは、あいかわらずかわゆい。

 見るからに悪童っぽい外科医・渡海(二宮)は、今回もシーン単体で見れば、非常にかわゆい立ち居振る舞いのオンパレードでした。

 先輩医師が腫瘍の取り残しというミスをしてしまったときの「和解金2,000万円を要求します」とか、落盤事故でケガ人が27人も搬送されてきたときに、研修医の世良くん(竹内涼真)に言った「一人も殺すなよ、動け!」とか、患者の危機一髪のときにアウトフォーカスから手術室に入ってくるとこなんてもう「キター!」って感じで、たまらんですね。たまらん。かわゆい。

 ニノ以外のキャストも、これもシーン単体で見ればという話ですが、全然悪くないです。高階講師(小泉孝太郎)が上司の命令と患者の命の間で揺れ動く瞬間も、治験コーディネーター・香織(加藤綾子)の得も言われぬ色気も、回を重ねるごとに汚れみが増していく佐伯教授(内野聖陽)も、まるで合いの手のように折に触れてアップショットが抜かれる関川先生(今野浩喜)もよい。前回からゲストで出ているジャストミート福澤も、『陸王』(同)の松岡修造と同様に、日曜劇場が発掘した俳優として今後、世に出ていくかもしれない。

 でも、いずれも「シーン単体で見たら」です。お話の登場人物としてキャラクターを演じきれているかといえば、まったくできてない。なぜなら、シナリオの時点でキャラクターが破綻しているからです。

■怒れよ、渡海。

 前回までにさんざん申し上げております通り、『ブラックペアン』は『水戸黄門』のような“お約束”を楽しむ作品でした。高階や、その他のいけすかない医者がメカやロボを使って奇をてらった術式の手術を強行し、失敗する。天才・渡海がそれを、基本に忠実な手技でリカバリーして命を救う。あくまで、そのパターンを守ることに時間を費やしています。

 そのパターンの中でバリエーションを出すのも大変で、実際、このところマンネリ化が目立っていた同作ですが、今回は「患者が渡海の母親」ということで、パターンの中で大きな揺らぎを生み出せる設定が投入されました。

 ここまで、あくまにクールを気取ってきた渡海でしたが、母親に対して奇をてらった手術をされ、しかも失敗されるとなれば、怒り狂ってもおかしくない。もう6話ですし、そろそろ渡海のそういう姿を見せてほしいと期待していたんです。

 が、まったく、不自然なくらいに、いつもの渡海でした。

「ほかのオペに入っていたから」という理由で誰かが勝手に母ちゃんの胸を開けても、さして怒らない。「腫瘍を取り残す」というミスを犯されても、「2,000万円くれ」とは言うものの、別に怒らない。高階が奇をてらったロボによる再手術の同意書を渡海に内緒で勝手に書かせても怒らないし、輸血用の血が足りないのにロボ手術を強行しても怒らない。あげく高階がロボ手術をミスって母ちゃんが死にかけても怒らない。いつも通り、ささっとリカバリーして嫌味を言って去っていくだけ。

 控え目に言って、こいつ頭おかしいんじゃねえかと思いました。目の前で母ちゃんが殺されかけてるのに、なんでそんな感じなの? バカなの?

 今回、渡海は取り乱さなければいけなかったと思うんです。母ちゃんを殺されることに恐怖しなければならなかった。これじゃ母ちゃんを患者にした意味がないんです。

 さらに今回、近所で落盤事故が起きて27人が緊急搬送されてくるという事態も発生しました。この27人も、渡海は全員助けちゃった。27人もいれば病院に着いた時点で死んでる人もいそうですが、全員助けちゃった。

 そうして母ちゃんと27人の負傷者を平常運転で救ってしまったことによって、渡海という医者は「治せる患者は全員治せる」天才外科医から「誰でも、どんなケガでも病気でも、どんなタイミングでも、絶対に治せる」魔法使いになってしまっている。しかも、渡海と母親の間に“何もない”ので2人の関係性を描くこともできず、渡海が「母ちゃんが死にそうでも平気」な、たいへん珍しい人物に見えてしまっている。

 普通の医療ドラマなら、より医者の心情を深堀りできるはずの「肉親が患者」という設定が、渡海の人格破綻をさらに加速させるという、これは明らかに失敗していると感じました。

■『水戸黄門』からの脱却

 なぜそんな失敗が起こったかというと、「患者が母親」の投入は、決してパターン内でのマンネリ打破のためではなかったからです。うっすらとパターンの外で語られてきた「ブラックペアンって何?」「渡海と佐伯教授の因縁っぽいのは何?」という本筋に展開を与えるために、佐伯教授の過去を知る人物として母親が必要だった。

 だったら普通に出して、普通にエピソードを絡めて説明すればいいのに、「せっかく母親出すんだから、病気にしちゃえ! 瀕死にしちゃえ! 感動するだろ!」というドラマの強欲が出た結果でしょう。で、「天才外科医が母親を救う」というシチュエーションは、細部がどうあれ感動的に見えてしまう。

 とにかく強欲なんです、『ブラックペアン』というドラマは。何もかも詰め込んで押し通そうという姿勢がすごい。とにかく渡海は比類なき天才であるべきだし、最新医療機器はどんどん出すべきだし、そういう最新ロボは失敗するべきだし、竹内涼真は泣いているべきだし、権力闘争中の大人たちは徹底的に卑怯であるべきだし……そういう出力最優先主義というか、物量主義というか、強引で豊饒な作劇の悪いところが全部出たのが今回だったように思うんです。

 これが、やっぱりそこそこ面白いというのが、始末の悪いところなんですよねえ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

嵐・二宮和也『ブラックペアン』が犯した失敗……『水戸黄門』パターンからの脱却なるか

 嵐・二宮和也が孤高の天才外科医を演じる日曜劇場『ブラックペアン』(TBS系)も第6話。視聴率は13.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、今回も横ばいです。毎回、同じような展開なので、このままだと下がっていくかもしれません。今回はちょっと前に進んだけど。

 というわけで、振り返りましょう。

前回までのレビューはこちらから

■ニノちゃんは、あいかわらずかわゆい。

 見るからに悪童っぽい外科医・渡海(二宮)は、今回もシーン単体で見れば、非常にかわゆい立ち居振る舞いのオンパレードでした。

 先輩医師が腫瘍の取り残しというミスをしてしまったときの「和解金2,000万円を要求します」とか、落盤事故でケガ人が27人も搬送されてきたときに、研修医の世良くん(竹内涼真)に言った「一人も殺すなよ、動け!」とか、患者の危機一髪のときにアウトフォーカスから手術室に入ってくるとこなんてもう「キター!」って感じで、たまらんですね。たまらん。かわゆい。

 ニノ以外のキャストも、これもシーン単体で見ればという話ですが、全然悪くないです。高階講師(小泉孝太郎)が上司の命令と患者の命の間で揺れ動く瞬間も、治験コーディネーター・香織(加藤綾子)の得も言われぬ色気も、回を重ねるごとに汚れみが増していく佐伯教授(内野聖陽)も、まるで合いの手のように折に触れてアップショットが抜かれる関川先生(今野浩喜)もよい。前回からゲストで出ているジャストミート福澤も、『陸王』(同)の松岡修造と同様に、日曜劇場が発掘した俳優として今後、世に出ていくかもしれない。

 でも、いずれも「シーン単体で見たら」です。お話の登場人物としてキャラクターを演じきれているかといえば、まったくできてない。なぜなら、シナリオの時点でキャラクターが破綻しているからです。

■怒れよ、渡海。

 前回までにさんざん申し上げております通り、『ブラックペアン』は『水戸黄門』のような“お約束”を楽しむ作品でした。高階や、その他のいけすかない医者がメカやロボを使って奇をてらった術式の手術を強行し、失敗する。天才・渡海がそれを、基本に忠実な手技でリカバリーして命を救う。あくまで、そのパターンを守ることに時間を費やしています。

 そのパターンの中でバリエーションを出すのも大変で、実際、このところマンネリ化が目立っていた同作ですが、今回は「患者が渡海の母親」ということで、パターンの中で大きな揺らぎを生み出せる設定が投入されました。

 ここまで、あくまにクールを気取ってきた渡海でしたが、母親に対して奇をてらった手術をされ、しかも失敗されるとなれば、怒り狂ってもおかしくない。もう6話ですし、そろそろ渡海のそういう姿を見せてほしいと期待していたんです。

 が、まったく、不自然なくらいに、いつもの渡海でした。

「ほかのオペに入っていたから」という理由で誰かが勝手に母ちゃんの胸を開けても、さして怒らない。「腫瘍を取り残す」というミスを犯されても、「2,000万円くれ」とは言うものの、別に怒らない。高階が奇をてらったロボによる再手術の同意書を渡海に内緒で勝手に書かせても怒らないし、輸血用の血が足りないのにロボ手術を強行しても怒らない。あげく高階がロボ手術をミスって母ちゃんが死にかけても怒らない。いつも通り、ささっとリカバリーして嫌味を言って去っていくだけ。

 控え目に言って、こいつ頭おかしいんじゃねえかと思いました。目の前で母ちゃんが殺されかけてるのに、なんでそんな感じなの? バカなの?

 今回、渡海は取り乱さなければいけなかったと思うんです。母ちゃんを殺されることに恐怖しなければならなかった。これじゃ母ちゃんを患者にした意味がないんです。

 さらに今回、近所で落盤事故が起きて27人が緊急搬送されてくるという事態も発生しました。この27人も、渡海は全員助けちゃった。27人もいれば病院に着いた時点で死んでる人もいそうですが、全員助けちゃった。

 そうして母ちゃんと27人の負傷者を平常運転で救ってしまったことによって、渡海という医者は「治せる患者は全員治せる」天才外科医から「誰でも、どんなケガでも病気でも、どんなタイミングでも、絶対に治せる」魔法使いになってしまっている。しかも、渡海と母親の間に“何もない”ので2人の関係性を描くこともできず、渡海が「母ちゃんが死にそうでも平気」な、たいへん珍しい人物に見えてしまっている。

 普通の医療ドラマなら、より医者の心情を深堀りできるはずの「肉親が患者」という設定が、渡海の人格破綻をさらに加速させるという、これは明らかに失敗していると感じました。

■『水戸黄門』からの脱却

 なぜそんな失敗が起こったかというと、「患者が母親」の投入は、決してパターン内でのマンネリ打破のためではなかったからです。うっすらとパターンの外で語られてきた「ブラックペアンって何?」「渡海と佐伯教授の因縁っぽいのは何?」という本筋に展開を与えるために、佐伯教授の過去を知る人物として母親が必要だった。

 だったら普通に出して、普通にエピソードを絡めて説明すればいいのに、「せっかく母親出すんだから、病気にしちゃえ! 瀕死にしちゃえ! 感動するだろ!」というドラマの強欲が出た結果でしょう。で、「天才外科医が母親を救う」というシチュエーションは、細部がどうあれ感動的に見えてしまう。

 とにかく強欲なんです、『ブラックペアン』というドラマは。何もかも詰め込んで押し通そうという姿勢がすごい。とにかく渡海は比類なき天才であるべきだし、最新医療機器はどんどん出すべきだし、そういう最新ロボは失敗するべきだし、竹内涼真は泣いているべきだし、権力闘争中の大人たちは徹底的に卑怯であるべきだし……そういう出力最優先主義というか、物量主義というか、強引で豊饒な作劇の悪いところが全部出たのが今回だったように思うんです。

 これが、やっぱりそこそこ面白いというのが、始末の悪いところなんですよねえ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)