『正義のセ』吉高由里子が交際匂わせか!? 大倉忠義の誕生日を連呼……ジャニオタが過敏反応し激怒!

 吉高由里子主演のドラマ『正義のセ』(日本テレビ系)の第9話が6月6日に放送され、平均視聴率は8.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.5ポイントダウンしました。

 今回は、みーおんことAKB48の向井地美音がゲスト出演するため、前回の次回予告の段階から話題となっていましたが、あまり視聴率は振るわず。正直、みーおんの出演時間が放送時間最後10分ぐらいの間に2回と、拍子抜けするぐらい少ない。そのためか、放送開始時間から見ていた人たちが途中でチャンネルを変えてしまったのかもしれません。

 ではでは、今回もあらすじから振り返っていきましょう!

(これまでのレビューはこちらから)

■推理的中率100%の名検事・凜々子が冤罪事件を起こす!?

 ある日、以前担当した痴漢事件の真犯人が見つかり、起訴した被疑者が冤罪だったと梅宮支部長(寺脇康文)から伝えられた凜々子(吉高)。被疑者の村井直陽(東幹久)は、当初の取り調べで容疑を全面的に認めていたため、確信を持って起訴に踏み切ったつもりだったが、別の痴漢事件で捕まった被疑者のDNAと凜々子が担当した事件の被害者である女子高生のスカートに付いていたDNAが一致したのだという。

 村井を招き、梅宮支部長と共に謝罪する凜々子だったが、村井は激怒。「なぜ、当初の取り調べで容疑を認めたのか?」という梅宮支部長の質問に、村井は「警察に自白を強要された。検察がきちんと調べてくれると思っていた」と答え、「全部あんたのせいだ!」と凜々子に言い放つ。

 このことがニュースになり、世間にも広まってしまったことで、「絶対に冤罪だけは出さない」と心に決めていた凜々子は自信を失ってしまう。そんな凜々子を励ます港南支部の面々。しかし、いつもしつこいほどに調査する凜々子が冤罪を起こすなど、考えられないと思う彼らは、独自に調査を始める。

 翌日、村井がマスコミの取材を受けたことで凜凛々子もマスコミからも追われるように。 「このまま検事を続けていいのか? みんなに迷惑をかけているのでは?」と思い悩む凜々子に梅宮支部長は「誰もそんなことは思っていない」と声をかけ、港南支部の面々も笑顔を見せる。

 そんな中、同僚検事の大塚(三浦翔平)が、別の事件で起訴された被疑者が「痴漢の常習犯たちが集まるWEB掲示板で出会ったメンバーで集団痴漢した」と自白していることを突き止める。そして、その掲示板には村井が逮捕された日から書き込んでいないハンドルネームがあり、これが村井で、別の女子高生に痴漢していたから容疑を認めたのではと推測。

 凜々子と担当の相原事務官(安田顕)は調査を始める。すると、被害者の女子高生とは別の女子高生・坂下あゆみ(向井地美音)が浮上。あゆみに話を聞くと「痴漢され、そのトラウマで電車に乗れなくなり、不登校になった」と告白。被害届を出した方がいいという凜々子に、最初は躊躇するあゆみ。しかし、もう痴漢で自分と同じような思いをする人をなくしたいという気持ちから提出を決意。そのおかげで、もう一度村井を取り調べできた凛々子は、いくつかの決定的な証拠を突きつけ、ついに村井は観念。自白を取ることに成功した、というのが今回の内容でした。

■今回も実際に起こった事件が元ネタ!

 今回は痴漢事件が主軸となる内容でしたが、昨年JR東日本の埼京線で実際に起こった集団痴漢事件を基にしているようです。この事件はドラマと同じように痴漢常習犯が集まるWEB掲示板で知り合った4人が集まり起こした事件で、中には京都大学を卒業したIT企業のエリート社員もいたとか。

 7話の保育園事件同様、実際の事件を基にしているところは、リアリティーを追求でき、すごくいいと思います。しかし、同ドラマの場合は、事件の概要だけ頂戴しているだけで、深く追求していないために穴だらけなのが残念なところ。保育園事件の回のときにもいいましたが、非常に薄っぺらいんですよね~。

 また、これまで一切裁判シーンがなく、被疑者を起訴して事件は一件落着。普通は、この後、裁判が行われ、検事と弁護士がそれぞれ弁論し、それを基に裁判長が判決を下しますが、同ドラマは凜々子が起訴して終わり。凜々子は検事であり、裁判官でもあるよう見えて仕方ない(笑)。同じ検事ドラマである『HERO』(フジテレビ系)では、裁判シーンもあるんですけどね……。凜々子=正義の味方がテーマにあるので、わざと入れてないのかもしれませんが、これだけが検事の仕事だと誤解を招くこともありそう。“お仕事ドラマ”というキャッチを付けているなら、検事の仕事を全部見せるべきだと思います。

■視聴者による結末先読みツイートが続出!

 今回、Twitterで一番目立ったのが視聴者による先読みツイート。冤罪だった村井ですが、“村井の手に制服の繊維が付いていた”との証拠や“同僚たちがやたらと凜々子を庇う”ものだから、放送開始10分ぐらいで、Twitterでは「村井が痴漢したの別の女子高生だった説!」「冤罪だった村井が本当は痴漢していたフラグ立ったわ」と、結末を予測する人が続出。

 さらに、被害者であるあゆみに聞き取りに凜々子と相原が行った際、痴漢にあった事実を認め、痴漢されたショックで学校に行けず、すぐさま自宅に帰って制服をそのままクローゼットに投げ込んで現在もそのままの状態といった話をするんですが、凜々子はこれを華麗にスルー。しかし、Twitterでは「制服にDNA残ってんだろ。調べろよ!」「決定的な証拠になるでしょ!」という声が続出。視聴者は凜々子より有能のようです(笑)。また、「この証拠で村井を追及してめでたしめでたしね!」と先読みする人まで現れる始末……。

 同ドラマのように勧善懲悪ものは、基本的に老若男女に見てもらえるようにと、わかりやすい内容にするもの。しかし、同ドラマはわかりやすいを超えてネタバレまでさせている。さらに、どんでん返しもなく凜々子の頑張る姿だけを見せられるという一本調子で面白くなさ過ぎる……。制作側は、本当にこれでいいと思っているのでしょうか? いいと思っているのだとしたら、視聴者をナメてるとしかいいようがありません。脚本を担当した松田裕子氏は、ほかのドラマを見て、勉強し直したほうがいいでしょう。

■凜々子のセリフにジャニオタが過敏反応!

 先読みツイートの次に多かったのは、演出やセリフなど細かいところのツイートでした。

 特に多かったのは、最後の取り調べシーン。凛凜子はあゆみのことを「別の女子高生」といい、身元を隠しているのですが、冤罪となったほうの事件の被害者である女子高生は顔写真を思いっきり見せてるんですよね(笑)。これには視聴者から「おい、被害者の写真思いっきり見せてるぞ!」「これはだめでしょ!」とツッコミが殺到。

 筆者も前から指摘していますが、同ドラマは演出やセリフで被害者保護を一切無視することが多い。家族にべらべらと事件内容を話したり、告発者の名前を被疑者に言ったり……。「これ、現実社会でやったら報復事件が起こるぞ!」と思ってしまうばかりです。

 また、今回はジャニオタが過敏に反応するセリフがありました。

 それは、この痴漢事件が起きた日である“5月16日”というセリフです。吉高由里子と言えば、昨年、関ジャニ∞大倉忠義との熱愛が報道されていましたが、彼の誕生日も5月16日だそうで、そのため、ドラマを見ていたジャニオタからは「5月16日って吉高さん、今言ったよね!?」「なにかの偶然ですか?」「思い出しちゃうじゃんか!」といった声が。また、やたら吉高が「5月16日」を連呼するので「マジで吉高~(怒)。いい加減にしろって(笑)」といった怒りの声もありました。

 まあ、「5月16日」設定に吉高が関与しているとは考えにくいのですが、ジャニオタからしたら気分がよくなかったようですね。あまり、こういう演出を繰り返すと、ドラマ自体が炎上することもあるので、以後気をつけたほうがよいと思います。

 以上、今回のレビューでした。

 次回はついに最終回! 国会議員の息子が起こした事件が主軸なのですが、よくある議員が権力を振りかざす内容とのこと。凜々子はどんな推理をみせてくれるのでしょうか。放送を楽しみに待ちましょう!

(どらまっ子KOROちゃん)

『シグナル』坂口健太郎の狂気vs渡部篤郎の悪どさが、最終回へ向けてドラマを盛り上げる!

 主演・坂口健太郎が回を追うごとに俳優として覚醒中のドラマ『シグナル 長期未解決事件捜査班』(フジテレビ系)の第9話が5日に放送され、平均視聴率7.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.4ポイントアップとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 その前回、大山剛志(北村一輝)の白骨死体を発見した三枝健人(坂口)刑事は、大山の遺品の中から、焼き鳥屋『ふじよし』の名刺を見つけます。その店はかつて、兄・亮太(神尾楓珠)が井口奈々(山田愛奈)の暴行事件の濡れ衣を着せられ、少年院に収容された時、世間の目から逃れるため親戚の家へ引き取られた健人が、毎晩のように通った店だったのです。

 久しぶりに『ふじよし』を訪れた健人は、店のおかみ(濱田マリ)から、1999年当時、加害者遺族として肩身の狭い思いをしていた健人を、大山がこっそり陰から見守っていたことを聞かされ、胸を熱くさせます。

 そんな折、“過去とつながる無線機”によって、99年の世界を生きる大山と交信した健人は、暴行事件の捜査から手を引くよう懇願。兄の無実を証明して欲しいという気持ちはあるものの、大山がいずれ警視庁内部の陰謀によって殺されることがわかっているため、その未来を変えたいと思ったのです。

 しかし、正義感の強い大山は捜査を続行。やがて月日が経ち、少年院から退院した亮太から、暴行事件の真犯人を示す証拠が見つかったとの連絡を受けます。すぐに会いに行こうとするのですが、捜査会議が始まってしまったため、やむなく後回しにすることに。

 一方、上司の桜井美咲(吉瀬美智子)とともに暴行事件の再捜査を続ける健人は、今は結婚し母親になった井口奈々(映美くらら)のもとを訪問。すると奈々から、真犯人は都市開発会社社長の御曹司・小川であったことが明かされるのです。

 そして、さらに健人を驚かせたのは、少年院から退院した日に自殺したと思われていた亮太に、他殺の疑いが浮上したこと。まだ亮太が少年院にいた当時、手紙をもらった奈々の印象では、決して自殺するような文面ではなかったというのです。

 その証言を受けた健人は病院へ向かい、亮太が死んだ時の検死データを入手。そこには、明らかに他殺を示すような記録(意識を失うほどの精神安定剤&血液を固まりにくくする抗凝固剤の投与)が残っていたのです。

 実は暴行事件の裏側では、小川の父親が衆議院議員の野沢義男(西岡徳馬)に相談し、野沢と癒着関係にあった警視庁捜査一課の刑事部長・中本慎之助(渡部篤郎)が、亮太をスケープゴートに仕立て上げた、という工作があったのでした。

 そのことを健人はまだはっきりつかんでいませんが、警視庁内部に陰謀がうごめいていることは気づき始めているため、兄も警視庁の誰かに殺されたのでは? と疑い始めます。

 ちょうどその時、大山と無線機がつながるのですが、大山は今まさに亮太から証拠品を受け取りに行こうとしている時。つまり、亮太が殺される直前なのです。「兄を助けてください!」と、健人が懇願したところで今回は終了となりました。

 さて感想ですが、金持ちの息子を守るため、貧しい家庭の息子を犠牲にするという展開は、少し単純すぎる気がしないではないのですが、善悪それぞれのサイドの役者たちの演技が熱を帯びてきたため、クライマックスへ向けて盛り上がってきた印象です。

 まず、主人公・健人を演じる坂口ですが、これは前回のレビューでも書いた通り、回を追うごとに着実に表現力がアップしています。

 特に、狂気をはらんだ演技が秀逸。今回、高校時代の回想シーンで、兄がレイプ犯だということを同級生に馬鹿にされ、殴り掛かるシーンがあったのですが、目を見開き暴れる姿には脅威を感じました。色白なために感情が爆発した時に顔が紅潮して、リアルさが増す。今後は、冷徹な殺人犯みたいな役も見てみたいです。

 その健人の、時空を超えた相方である大山は、いわゆる人情派の刑事。これまでの事件でも、前科者たちに肩入れする姿を見せていましたが、その人間味のある人柄を北村が熱演しています。今回は、自分の死を予知しつつも、捜査に命を燃やす悲壮感みたいなものも感じられ、さらにキャラ立ちした印象でした。

 一方、ダークサイドの中本は、大山が自身の裏工作に気づき始めたことを知り、「こちら側にくるチャンスをやろう」と勧誘するなど、もはや本性を隠さないようになってきましたが、これを演じる渡部が見るからに悪どい。昨年放送されたドラマ『警視庁いきもの係』(フジテレビ系)で、ダジャレ好きな警部補役を演じていた時とは大違い。名優の振れ幅の広さというものを感じさせてくれます。

 残念ながら視聴率は振るいませんが、役者たちの熱のこもった演技は見ごたえあり。最終回を楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『シグナル』坂口健太郎の狂気vs渡部篤郎の悪どさが、最終回へ向けてドラマを盛り上げる!

 主演・坂口健太郎が回を追うごとに俳優として覚醒中のドラマ『シグナル 長期未解決事件捜査班』(フジテレビ系)の第9話が5日に放送され、平均視聴率7.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.4ポイントアップとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 その前回、大山剛志(北村一輝)の白骨死体を発見した三枝健人(坂口)刑事は、大山の遺品の中から、焼き鳥屋『ふじよし』の名刺を見つけます。その店はかつて、兄・亮太(神尾楓珠)が井口奈々(山田愛奈)の暴行事件の濡れ衣を着せられ、少年院に収容された時、世間の目から逃れるため親戚の家へ引き取られた健人が、毎晩のように通った店だったのです。

 久しぶりに『ふじよし』を訪れた健人は、店のおかみ(濱田マリ)から、1999年当時、加害者遺族として肩身の狭い思いをしていた健人を、大山がこっそり陰から見守っていたことを聞かされ、胸を熱くさせます。

 そんな折、“過去とつながる無線機”によって、99年の世界を生きる大山と交信した健人は、暴行事件の捜査から手を引くよう懇願。兄の無実を証明して欲しいという気持ちはあるものの、大山がいずれ警視庁内部の陰謀によって殺されることがわかっているため、その未来を変えたいと思ったのです。

 しかし、正義感の強い大山は捜査を続行。やがて月日が経ち、少年院から退院した亮太から、暴行事件の真犯人を示す証拠が見つかったとの連絡を受けます。すぐに会いに行こうとするのですが、捜査会議が始まってしまったため、やむなく後回しにすることに。

 一方、上司の桜井美咲(吉瀬美智子)とともに暴行事件の再捜査を続ける健人は、今は結婚し母親になった井口奈々(映美くらら)のもとを訪問。すると奈々から、真犯人は都市開発会社社長の御曹司・小川であったことが明かされるのです。

 そして、さらに健人を驚かせたのは、少年院から退院した日に自殺したと思われていた亮太に、他殺の疑いが浮上したこと。まだ亮太が少年院にいた当時、手紙をもらった奈々の印象では、決して自殺するような文面ではなかったというのです。

 その証言を受けた健人は病院へ向かい、亮太が死んだ時の検死データを入手。そこには、明らかに他殺を示すような記録(意識を失うほどの精神安定剤&血液を固まりにくくする抗凝固剤の投与)が残っていたのです。

 実は暴行事件の裏側では、小川の父親が衆議院議員の野沢義男(西岡徳馬)に相談し、野沢と癒着関係にあった警視庁捜査一課の刑事部長・中本慎之助(渡部篤郎)が、亮太をスケープゴートに仕立て上げた、という工作があったのでした。

 そのことを健人はまだはっきりつかんでいませんが、警視庁内部に陰謀がうごめいていることは気づき始めているため、兄も警視庁の誰かに殺されたのでは? と疑い始めます。

 ちょうどその時、大山と無線機がつながるのですが、大山は今まさに亮太から証拠品を受け取りに行こうとしている時。つまり、亮太が殺される直前なのです。「兄を助けてください!」と、健人が懇願したところで今回は終了となりました。

 さて感想ですが、金持ちの息子を守るため、貧しい家庭の息子を犠牲にするという展開は、少し単純すぎる気がしないではないのですが、善悪それぞれのサイドの役者たちの演技が熱を帯びてきたため、クライマックスへ向けて盛り上がってきた印象です。

 まず、主人公・健人を演じる坂口ですが、これは前回のレビューでも書いた通り、回を追うごとに着実に表現力がアップしています。

 特に、狂気をはらんだ演技が秀逸。今回、高校時代の回想シーンで、兄がレイプ犯だということを同級生に馬鹿にされ、殴り掛かるシーンがあったのですが、目を見開き暴れる姿には脅威を感じました。色白なために感情が爆発した時に顔が紅潮して、リアルさが増す。今後は、冷徹な殺人犯みたいな役も見てみたいです。

 その健人の、時空を超えた相方である大山は、いわゆる人情派の刑事。これまでの事件でも、前科者たちに肩入れする姿を見せていましたが、その人間味のある人柄を北村が熱演しています。今回は、自分の死を予知しつつも、捜査に命を燃やす悲壮感みたいなものも感じられ、さらにキャラ立ちした印象でした。

 一方、ダークサイドの中本は、大山が自身の裏工作に気づき始めたことを知り、「こちら側にくるチャンスをやろう」と勧誘するなど、もはや本性を隠さないようになってきましたが、これを演じる渡部が見るからに悪どい。昨年放送されたドラマ『警視庁いきもの係』(フジテレビ系)で、ダジャレ好きな警部補役を演じていた時とは大違い。名優の振れ幅の広さというものを感じさせてくれます。

 残念ながら視聴率は振るいませんが、役者たちの熱のこもった演技は見ごたえあり。最終回を楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

“飯豊まりえ叩き”が加速する『花のち晴れ』、視聴率ダウン&イライラの原因は「無駄な改変」か

「きみは~しんでれらがーる~♪」と、平野紫耀くんら「King & Prince」が歌う主題歌もだいぶ聴き慣れてきた火曜ドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS系)。第7話の視聴率は7.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、前回から0.8ポイントダウン。4話以降、数字が下がりっぱなしです……。

 7話からオリジナル展開に突入したため、原作ファンからは不満の声も上がっているようですし、ネット上では平野くんファンから、“メグリン”こと西留めぐみ役の飯豊まりえさんへの批判が大きくなるばかり。ドラマも終盤にさしかかりましたが、正直、期待よりも今後への不安要素が残る展開でした。というわけで、今週もあらすじから振り返ります。

*前回までのレビューはこちらから

■C5が“庶民狩り”をする理由

 音(杉咲花)にフラれて落ち込む晴(平野)は、西留めぐみ(飯豊)の転入により評判が上がった英徳の株を下げたくないC5メンバー・海斗(濱田龍臣)の提案をすんなり受け入れ、“庶民狩り”を再開。音が仲良くしていたクラスメイト・麻美(牧内莉亜)がターゲットになってしまいます。音は、自分のせいだと晴を止めようとしますが、一茶(鈴木仁)と杉丸(中田圭祐)に制止されます。なんでも、晴が庶民狩りを始めたのには、あるキッカケがあったそうです。

 晴たちが高等部に上がったころ、学園は政財界を牛耳るフィクサーを父に持つという3年の森口(吉村界人)が仕切っており、彼は生徒の弱みを握って人間関係をメチャクチャにして楽しんでいたそう。晴はビビリながらも、本人に学費を滞納していることを問いただし、その結果フィクサーの息子という嘘がばれ、晴が神楽木グループの子息と知った森口は学園を去っていきました。これを知った生徒たちから持ち上げられたこともあって、晴は「正しき5人=コレクト5」のリーダーとして、英徳を守るために庶民狩りをするようになったとか。

 森口みたいな生徒はともかく、お金がないという理由だけで悪いことを一切していない無害な生徒を追い出すのってどうなの? とは思いますが、そのあたりは一茶も杉丸も承知の上。ただ、晴と海斗が学園のために頑張っていることは認めてあげようと、応援しているようです。そして、音にもそうしてほしいと2人は言います。C5の中でこの2人の影が薄いのは、一歩引いたところでみんなを見守っているからということなのかもしれません。はい。

 

■神楽木親子の溝と男前なメグリン

「神楽木家の後継者にふさわしいものを身に付けろ」と、父・巌(滝藤賢一)にオーダーメイドスーツを作ってもらい、さらに週末には食事に誘われた晴。わかりやすいくらいにおめめをキラキラさせて、お口をキュッとつり上げ喜びます(この時の強張った笑顔は、平野くんのあえての演技だと思っておきます)。

 が、その「食事」というのは、リゾートホテルチェーンのご令嬢であるメグリンを、晴の婚約者にしようと巌パパが企んだ「お見合い」でした。てっきり後継者として認めたれたと思っていた晴はショックを受けながらも、父には抗えず、「お前程度の男にはもったいない女性だ」「10点満点でいえば5点がいいところ」と、メグリンとメグリンパパの前でケチョンケチョンにされます。『花男』の道明寺(松本潤)であれば、「うるせぇババア!!!」とぶち切れていると思いますが、ヘタレ男子である晴は、黙って聞くことしかできません。そんな晴に代わって口を開いたのは、メグリン。

「晴くんの素晴らしさは数字なんかじゃ言い表せない! 私はちゃんと自分の力で晴くんの心を手に入れます! 私たちをビジネスに利用しないでください!」

 そう言って晴の手を引き、レストランを後にします。「お前かっこいいな」と思わず晴が言ってしまうくらい、とても男前でした。連絡先交換してなかった晴に、わざわざ自分の顔と連絡先がプリントされた特製ジグソーパズルを作ってプレゼントしたり、「ラブパワーMAX! 注入」と晴に体当たりしたり、ちょっとイタくてめんどくさいタイプですが、それだけじゃなくて、ブレない芯の強さを持った女の子です。

 メグリンの株が上がったこのシーン、原作にはないオリジナル展開だそうです。世間の飯豊さんに対する評判をみると、突然の“メグリン上げ”展開のように感じないこともありませんが、巌パパに啖呵を切るシーンは、『花男』のつくし(井上真央)を見ているみたいでスカッとしました。そして、このシーンがあったからこそ、後半の音と晴のシーンがとても淡白に思えてしまったんです……。

■大事なことなので2回言った音

 その後、晴が行方不明になったとメグリンに聞いた音は、なんやかんや言いながらも晴を探しに行き、前に2人で訪れた道明寺邸で発見。道明寺の母の執事である西田(デビット伊東)は、メイド頭のタマさん(佐々木すみ江)が呼んでいると、2人を中に招き入れます。

 晴は幼いころバイオリンコンクールで失敗し、「完璧な息子しかいらない」と父に言われたことから失くした信頼を取り戻そうと頑張ってきました。そのとき晴の心を支えたのが、「F4」のリーダーとして英徳を率いた道明寺だったのです。

 自分と道明寺を比べ、ますます自信をなくす晴に、西田は「F4」が“暇つぶし”で生徒のロッカーに赤札を貼り、いじめをしていたことや、一人の女性との出会いによって、仲間や学園の生徒を思いやるようになったと、道明寺の昔話を聞かせます。

西田「司坊ちゃんも最初は完璧ではなかった」
タマ「間違ったと思ったら、そこから軌道修正すればいい」

 それでもなお、まだ下を向いている晴を、最後は音が励まします。

「前にも言ったけど、完璧になろうと、悩んでもがいて必死に頑張ってる。それが神楽木の良さだと思うから。だから、神楽木らしくいてね」

 そうして2人は別れるわけですが、音のこのセリフ、メグリンの言葉に比べたらちょっと弱くないですかね? 演出的には、2話(参照記事)で音が言ったこの言葉に、晴が心をわしづかみにされたことを視聴者に思い起こさせたかったのでしょうが、だったらメグリンとのお見合いシーンは無駄のようにも思えますし、今話だけでいえば、ヒロインは完全にメグリンと言いたくなるくらい、この言葉と音に魅力を感じなかったんですよね。それは、このシーンだけでなく、他にもありました。

 

■自分の“弱さ”を認めた晴

 翌日、学園で男子生徒から花瓶を投げつけられる麻美をかばう音。そしてその上から2人をかばったのが晴でした。道明寺パワーなのか、それとも音に励まされたからのか、麻美の退学届けをビリビリに破き、「こんなダセエこと、もうやめた」とつぶやきます。

「道明寺さんみたいに英徳学園を守りたかった。英徳のリーダーになりたかった」

「でも、こんなことやってても、ますます自分にうんざりするだけだ」

「俺は全然完璧じゃねえし、馳天馬みたいにはなれねえ。ヘタレで弱っちくて……、でもそんな俺からはもう逃げねえ!」

「庶民狩りなんかしなくても、俺が英徳の品格を取り戻す。だから頼む、俺を信じてくれ! 俺に力を貸してくれ!」

 そう言って、生徒たちに頭を下げた晴。これに感動した音につられて愛莉や他の生徒からも拍手が起き、湧き上がる神楽木コール。そんな盛り上がりの中、音は学園を出て、天馬の元へ。「桃乃園には転入できません」と、衝撃発言をするのでした。

 

■ブレブレな音にイライラが募る

 音は天馬、そして天馬の母・利恵(高岡早紀)と食事に行ったとき、「“18歳になるまで英徳に居続ける”という婚約の条件を出したのは、いずれ学費を払えなくなって退学すると思っていたから」「天馬さんと音さんの婚約には反対だったし」とチクチク嫌味を言われながらも、「私はずっと天馬くんのそばにいたいです」と誓いました。そうして転入へ向けて、婚約者で彼氏の天馬(中川大志)がいる桃乃園学院に見学に訪れています。

 なのに、ここへきて「転入しません」とは……。利恵ママはもしかしたら「あらそう」と不敵な笑みを浮かべながらアッサリ許してくれるかもしれませんが、天馬くんが死んだ目になってまたヤンデレを発揮しないか、とても不安です。ブレブレなんですよね、音ちゃん。自分よりも周りの幸せを優先してしまうからこそ、晴への気持ちに気がつかないふりをして選んだ行動で結果的にいろんな人を傷つけてしまっている気がします。

 先ほども書いたように、『花男』ではつくしの真っ直ぐな正義感の強さと雑草根性が際立っていて、いろんな困難にぶつかっていく姿がスカッとして気持ちよかったので、音を見ていると、どうしてもイラッとしてしまうんですよねー。原作と違うオリジナル展開もそうですが、視聴率ダウンの原因は、音のキャラのブレもあるんじゃないかと思います。1話で肉の塊で晴を殴ったような、あれぐらいの勢いのある音ちゃんを見てみたいです。愛莉ちゃん(今田美桜)あたりが、ガツンと言ってくれるといいんですけど。

 さて、今夜放送の8話の予告によると音と晴は“お友達”になって、晴がメグリンと抱き合うようなシーンが。またまた荒れそうなニオイがプンプンしますが、生温かい目で見守りたいと思います。
(文=どらまっ子TAROちゃん)

 

『コンフィデンスマンJP』コメディだけど社会風刺が魅力的! 視聴率ダウンも神回連発するワケ

(これまでのレビューはこちらから) 

 5月28日放送の第8話「美容編」。

 リチャード(小日向文世)が贔屓にしていたメンズエステのエステティシャン福田ほのか(堀川杏美)。ほのかは、美容関連の総合商社『ミカブランド』に採用される。しかし1年後、社長・美濃部ミカ(りょう)の「デブ」「豚」などの暴言やパワハラに耐えかね、ほのかは退社。ダー子(長澤まさみ)たちは、ミカに偽物の化粧水を売りつけ、代理復讐を果たそうとする。以上が導入部のあらすじである。

 第8話の面白さは、物語が思わぬ方向に転ぶ展開にあった。その魅力を語る上で欠かせない中盤から終盤のあらすじにも触れながら、第8話「美容編」を振り返りたい。

■第8話の“影のMVP”は、プロデューサーor編成の判断?

 中盤以降のあらすじは以下のようになっている。

 ダー子はフランスの老舗高級ブランドの人間としてミカに商談を持ち掛ける計画を立てるもアッサリ引き下がる。理由はミカの“美のアスリート”ともいえる、女性を美しくする執念を垣間見たから。儲け話ではミカを揺さぶることはできないと判断する。

 そこでダー子は40歳のド田舎の女に扮して、架空の村に伝わる化粧水・弁天水に興味を持たせることにした。ダー子の実年齢を知らぬミカは、40歳とは思えぬダー子の肌の美しさと弁天水に魅了される。ミカがついに弁天水の権利を3億で買うかと思いきや、ダー子を自分の主催する美人コンテストに出場を提案。ミカは田舎で暮らすダー子に美しさを賞賛される喜びを味合わせようとした。

「一緒に世界中の人を綺麗にしましょう。それまで(弁天水は)待ってるわ」とミカ。

 あとは「弁天水を売る」と宣言するだけ。しかし、ほのかが週刊誌にパワハラをリークしてミカは社長を退任。弁天水を売る計画は失敗に終わる。

 脚本家・古沢良太のブログには、「美容編」は序盤に書き上げ撮影も初期に行われたとあった。「美容編」の置き処を8話という終盤に遅らせた判断は正しかったと言える。「大幅な計画変更」「ターゲットの心理の読み違え」「計画の失敗」は、今までに無い要素だからこそ意外性が高まった。そして、最終話に手強いターゲットを置くならば、この辺りで計画を失敗させた方が、ハラハラしながら今後の話を楽しむことができる。

 プロデューサーか編成サイドの判断かはわからないが、「美容編」が第8話であることは得策だったと言える。

■『コンフィデンスマンJP』に潜む社会風刺

 第8話の魅力は、展開の意外性に留まらない。社会風刺的な一面もスパイスとして潜んでいた。

 パワハラのリークで手に入った50万円で、元気を取り戻す福田ほのか。もともと彼女はミカブランドの入社を喜び、傷つけばミカへのバッシングで癒さやれてしまう。彼女は他者への憧れか批判でしか、自分の価値を保つことができない。美容の仕事も自分をカッコよく見せるためのアクセサリーにすぎなかったのだろう。

 対照的に、ミカにとって美容は人生そのものだった。顔に火傷を負ったせいで、亭主に捨てられ、仕事すら見つからない母の苦労を見て育った。だから女性を美しくすることにストイックであるし、美容の仕事に就きながら痩せようとしないミカを叱責したのも頷ける。ミカは全てを失い団地暮らしとなった後も近所の奥様を綺麗にすることに喜びを感じていた。

「カリスマに勝って、凡人に負けた」

 ミカを騙せたが、ほのかのリークで計画が失敗したダー子の一言にはハッとさせられる。

 近年、パワハラやセクハラで多くの権力者が失脚している。ハラスメントそのものへの批判は仕方ないが、辞職にまで追い込む風潮は有益なのだろうか。批判するからにはその対象の過去の功績や失脚後の損失にも目を向けねばと、記事を書く人間として反省させられた。

■演出家の違いで出る、各話のテイストの違いとは?

 第8話の意外な展開も社会風刺も、“女性の願望”が起点となっている。りょう扮する美濃部ミカの美への執着心が、ダー子に大きく影響していた。計画変更を余儀なくされるし、詐欺師なので目立ってはいけないのに表舞台に出てしまうし、ミカへの共感から騙すことへの罪悪感まで持つ。

 第8話で演出を手掛けたのは、田中亮氏。第5話の「スーパードクター編」でも、かたせ梨乃演じる野々宮ナンシーの魅力が物語の肝になっていた。『ラストシンデレラ』『ディアシスター』(共にフジテレビ)など、女性の心理描写を得意とする田中氏にマッチした脚本だったと言える。

 通常、脚本家は“本打ち”と呼ばれる打ち合わせを重ね、脚本を執筆する。演出家やプロデューサーからのアイデアを脚本に反映することも多い。

 田中氏であれば女性の心境が深堀りされる回になり、「映画マニア編」や「遺跡発掘編」なの演出を手掛けた金井絋氏の回は小ネタやコスプレが多い。近年メガホンを撮り始めた三橋利行氏の場合は古沢良太の書く台詞を尊重し、一言一句が聞き取りやすいように丁寧な演出を心がけている印象だ。

 最終話の前に、今までの回を見直し、誰が演出する回が好きかを確かめてみるのも面白い。個人的には、三橋氏が手掛けた「美術商編」と「家族編」がお薦めである。

 残り2話、誰がメガホンを取るのかも楽しみにしつつ、第9話「スポーツ編」を心待ちにしたい。

(文=許婚亭ちん宝)

『コンフィデンスマンJP』コメディだけど社会風刺が魅力的! 視聴率ダウンも神回連発するワケ

(これまでのレビューはこちらから) 

 5月28日放送の第8話「美容編」。

 リチャード(小日向文世)が贔屓にしていたメンズエステのエステティシャン福田ほのか(堀川杏美)。ほのかは、美容関連の総合商社『ミカブランド』に採用される。しかし1年後、社長・美濃部ミカ(りょう)の「デブ」「豚」などの暴言やパワハラに耐えかね、ほのかは退社。ダー子(長澤まさみ)たちは、ミカに偽物の化粧水を売りつけ、代理復讐を果たそうとする。以上が導入部のあらすじである。

 第8話の面白さは、物語が思わぬ方向に転ぶ展開にあった。その魅力を語る上で欠かせない中盤から終盤のあらすじにも触れながら、第8話「美容編」を振り返りたい。

■第8話の“影のMVP”は、プロデューサーor編成の判断?

 中盤以降のあらすじは以下のようになっている。

 ダー子はフランスの老舗高級ブランドの人間としてミカに商談を持ち掛ける計画を立てるもアッサリ引き下がる。理由はミカの“美のアスリート”ともいえる、女性を美しくする執念を垣間見たから。儲け話ではミカを揺さぶることはできないと判断する。

 そこでダー子は40歳のド田舎の女に扮して、架空の村に伝わる化粧水・弁天水に興味を持たせることにした。ダー子の実年齢を知らぬミカは、40歳とは思えぬダー子の肌の美しさと弁天水に魅了される。ミカがついに弁天水の権利を3億で買うかと思いきや、ダー子を自分の主催する美人コンテストに出場を提案。ミカは田舎で暮らすダー子に美しさを賞賛される喜びを味合わせようとした。

「一緒に世界中の人を綺麗にしましょう。それまで(弁天水は)待ってるわ」とミカ。

 あとは「弁天水を売る」と宣言するだけ。しかし、ほのかが週刊誌にパワハラをリークしてミカは社長を退任。弁天水を売る計画は失敗に終わる。

 脚本家・古沢良太のブログには、「美容編」は序盤に書き上げ撮影も初期に行われたとあった。「美容編」の置き処を8話という終盤に遅らせた判断は正しかったと言える。「大幅な計画変更」「ターゲットの心理の読み違え」「計画の失敗」は、今までに無い要素だからこそ意外性が高まった。そして、最終話に手強いターゲットを置くならば、この辺りで計画を失敗させた方が、ハラハラしながら今後の話を楽しむことができる。

 プロデューサーか編成サイドの判断かはわからないが、「美容編」が第8話であることは得策だったと言える。

■『コンフィデンスマンJP』に潜む社会風刺

 第8話の魅力は、展開の意外性に留まらない。社会風刺的な一面もスパイスとして潜んでいた。

 パワハラのリークで手に入った50万円で、元気を取り戻す福田ほのか。もともと彼女はミカブランドの入社を喜び、傷つけばミカへのバッシングで癒さやれてしまう。彼女は他者への憧れか批判でしか、自分の価値を保つことができない。美容の仕事も自分をカッコよく見せるためのアクセサリーにすぎなかったのだろう。

 対照的に、ミカにとって美容は人生そのものだった。顔に火傷を負ったせいで、亭主に捨てられ、仕事すら見つからない母の苦労を見て育った。だから女性を美しくすることにストイックであるし、美容の仕事に就きながら痩せようとしないミカを叱責したのも頷ける。ミカは全てを失い団地暮らしとなった後も近所の奥様を綺麗にすることに喜びを感じていた。

「カリスマに勝って、凡人に負けた」

 ミカを騙せたが、ほのかのリークで計画が失敗したダー子の一言にはハッとさせられる。

 近年、パワハラやセクハラで多くの権力者が失脚している。ハラスメントそのものへの批判は仕方ないが、辞職にまで追い込む風潮は有益なのだろうか。批判するからにはその対象の過去の功績や失脚後の損失にも目を向けねばと、記事を書く人間として反省させられた。

■演出家の違いで出る、各話のテイストの違いとは?

 第8話の意外な展開も社会風刺も、“女性の願望”が起点となっている。りょう扮する美濃部ミカの美への執着心が、ダー子に大きく影響していた。計画変更を余儀なくされるし、詐欺師なので目立ってはいけないのに表舞台に出てしまうし、ミカへの共感から騙すことへの罪悪感まで持つ。

 第8話で演出を手掛けたのは、田中亮氏。第5話の「スーパードクター編」でも、かたせ梨乃演じる野々宮ナンシーの魅力が物語の肝になっていた。『ラストシンデレラ』『ディアシスター』(共にフジテレビ)など、女性の心理描写を得意とする田中氏にマッチした脚本だったと言える。

 通常、脚本家は“本打ち”と呼ばれる打ち合わせを重ね、脚本を執筆する。演出家やプロデューサーからのアイデアを脚本に反映することも多い。

 田中氏であれば女性の心境が深堀りされる回になり、「映画マニア編」や「遺跡発掘編」なの演出を手掛けた金井絋氏の回は小ネタやコスプレが多い。近年メガホンを撮り始めた三橋利行氏の場合は古沢良太の書く台詞を尊重し、一言一句が聞き取りやすいように丁寧な演出を心がけている印象だ。

 最終話の前に、今までの回を見直し、誰が演出する回が好きかを確かめてみるのも面白い。個人的には、三橋氏が手掛けた「美術商編」と「家族編」がお薦めである。

 残り2話、誰がメガホンを取るのかも楽しみにしつつ、第9話「スポーツ編」を心待ちにしたい。

(文=許婚亭ちん宝)

嵐・二宮和也『ブラックペアン』13.0%停滞中……連ドラなのに「連続していない」という地獄

 3日に放送された日曜劇場『ブラックペアン』(TBS系)の視聴率は、前回と同じ13.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)でした。木曜21時の『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日系)と今クールトップを争っているという図式ですが、画面から伝わってくる熱量のわりに、いかにも低調だと感じます。

『ブラックペアン』は長所と短所が実にハッキリした作品で、なんといっても長所は主人公である“孤高の天才外科医”渡海征司郎を演じる嵐・二宮和也の愛嬌です。もう第1話から、ずっとかわいい。今回もかわいかった。

 そして短所は……今回、もっとも顕著に出たので、そのあたりを中心に振り返ってみましょう。

前回までのレビューはこちらから

■連ドラなのに連続してない!

 毎回、無能な誰かが手術に失敗し、それを天才・渡海(二宮)が悪態をつきながらリカバリーするというパターンを繰り返してきた『ブラックペアン』。それ自体は悪いことじゃないんですが、渡海以外の人物像や設定が1回ごとにリセット・リニューアルされてしまうので、お話についていくのがとてもしんどいです。

 前回は、渡海が実の母親のオペで執刀したことが問題になりました。なんでも、渡海が勤務する東城大では「親族のオペ禁止」という奇妙なルールがあるのだそうです。

 同僚が手術中にミスったことで母ちゃんを殺されかけた渡海は、そのルールを知りつつオペ室に乗り込んでササっと処置を行い、母ちゃんの命を救いました。これでクビになるという設定でしたが、母ちゃんが手術の同意書に「ホントにヤバいときは息子に任せて!」的な但し書きをしていたことで、不問に付されます。なぜなら、「患者の意思が最優先」だから。

 このドラマにはたびたび、こうした「病院かくあるべし」「医療とは何ぞや」っぽい感じの理念めいた美辞麗句が登場します。医療とは「患者の意思が最優先である」。なるほど、言われてみればそうかもしれないし、なかなか説得力のある、よい言葉ではありませんか。患者の意思が最優先なら、渡海に処分が下されないのも当然です。

 しかし今回、冒頭で早くもこの理念が覆されます。理由はわからないんですが、病院側はやっぱり渡海を処分することにしたのです。1/3の減給だそうです。そんな折、渡海にはライバルである帝華大から「倍の報酬で来ないか」と誘いが来ていたそうで、さっくり移籍することになりました。

 前回言ってたことと違うじゃん! というだけなら、連ドラではよくある細かい矛盾なので、そんなに目くじらを立てるようなことでもないんです。しかし『ブラックペアン』は、妙に理念っぽいやつを挟み込んでしまっていることで、「渡海の肉親オペは不問」という事実が、その理念とともに強く印象づけられてしまっている。だから、こうした矛盾(ウソ)を叩きつけられたときのダメージがでかいんです。

 そもそも、オペ中に母ちゃんが死にかけてて、助けられるのが渡海しかいない状況でも「肉親のオペNG」という設定が効いてる時点で「ハァ?」となっているところ、まあ成功したし不問になったし別にいいか、からの「やっぱり処分します」。「ハァア!?」ですよ。要するに、ドラマのほうから「前回のことは忘れてね」と言っている。連続ドラマを「連続するドラマ」として楽しみたいと思っている視聴者にとって、こんなに悲しいことはないと思うんですよ。

■『半沢直樹』のダイジェスト?

 人物のほうで今回、リセットされたのが東城大の病院長・守屋(志垣太郎)でした。前回までほぼ“消えていた”守屋が、何か悪いものでも食べたのか、急に悪役として立ち上がったのです。

 その権力を振りかざし、私利私欲のために暴虐の限りを尽くした守屋でしたが、最後にはダークヒーロー渡海の餌食となり、失脚してしまいました。

 急に出てきて、急に失脚。なんなんだよ、って話なんですが、要するに毎回、渡海の“敵”を創出しなければならない構図に無理が生じているのだと思うんです。世間では、このドラマを指して『水戸黄門』方式といわれていますが、ずっと水戸黄門をやっていると、物語を終わることができません。今回も“いつものパターンの敵”として帝華大の武田医師(シソンヌ・長谷川忍)が渡海によって血祭りに上げられましたが、物語の進行上、もうひとり“敵”が必要になってしまった。基本的に手持ちのカードの中で勝負しなければいけない窮屈な人物配置の中で、ある程度みんなにエピソードを振ってしまったので、残っているのが守屋しかいなかったのでしょう。

 なんの印象もなかった人物がいきなりカメラの前に飛び出してきて、ひどいことを言いまくり、か弱い女の子を泣かせたりしまくり、最終的には無様に土下座をしている。志垣太郎は熱演でしたが、まるで『半沢直樹』のダイジェストを見ているような、奇妙な感触の回でした。

■命の重みを感じて泣きたいのに

 それと、このドラマに「重厚」とか「本格」というイメージを抱けない原因が、毎回必ず発生する医療ミスです。今回が第7話ですが、もし渡海がいなければ、劇中7~8人くらい、すでに医療ミスで死んでいることになります。

 つまりは、毎回「渡海は天才ですよ」と言いたいがために、ほかの誰かが医療ミスで患者を殺しかけないと話が進まないのです。結果、渡海は(視聴者も)、手術中の事故を待ち望むことになってしまう。人が死にかけないと話が進まないので、誰かが死にかけると「よっしゃ死にかけた! 渡海センセーの見せ場やで~!」という気分で、楽しくなってしまう。医療ドラマを見る上での「最大の泣き所」となる“命の重み”が、どんどん軽くなってしまう。どうせ助けるし。

 今回、何かと話題の治験コーディネーター・香織さん(加藤綾子)の過去が語られました。よくできたエピソードだったし、ビジネスモードとプライベートモード、さらに熱血モードをちゃんと演じ分けてみせたカトパンもすごくよかったんですが、「過去の医療ミスが……」という彼女の個人的なトラウマも、やっぱり軽く見えてしまいます。「気にすんなよ、東城大では毎週、誰かが医療ミスしてるよ」って思っちゃうもんね。このへんも、理念めいた表現が上滑りしている感じです。

■あと3回かな

 残すところ、あと3回でしょうか。ここまで来て、今さら整合性を求める気もありませんし、肝心の「ブラックペアン」をめぐる因縁についても、すっきりした解決はあまり望んでいません。

 なんだかんだ言ってますが、このドラマは面白いんです。お話はダメですし、お話を犠牲にしてまで描こうとした主人公としての渡海征司郎というキャラクターも、まだまだ描き切れていないように感じます。

「患者を生かし、医者を殺す」──オペ室の悪魔・渡海征司郎。

 実にカッコいいキャッチフレーズですし、雰囲気はそれなりに出てるんですが、患者を生かしまくる反面、まだ全然医者を殺してない渡海くん。高階講師(小泉孝太郎)にしろ佐伯教授(内野聖陽)にしろ、渡海くんがきっちり殺さないからキャラがブレブレになっちゃってるんです。あと3話、さぁ皆殺しにしてしまえ! 祭りだ祭りだ! みたいなやつが見たいです。はい。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

岩田剛典『崖っぷちホテル!』コメディが“茶番”になる瞬間……前回までで終わっておけばよかったのに!?

 岩田剛典主演の日曜ドラマ『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)も第7話。視聴率は7.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、第4話あたりから視聴者は増えもせず、減りもせず。気に入らなかった人は早々に離れ、気に入った人は離脱することなく見続けているようです。

 とはいえ、物語的には前回の第6話で、ひと段落。今回から新しいことが始まります。いったい何が始まったのか。そして、大丈夫なのか。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■急に降って湧いた売却話。

 そもそもこのドラマは、ダメダメなホテルに革命児である宇海くん(岩田)がやってきて、従業員の意識を改革し、「いいホテルにする」ことを目標に始まりました。

 そして、一人ひとりに丁寧なエピソードが割り振りながら、「ホテルにとって何より大切なのは、お客様の笑顔です」という哲学が繰り返し語られました。ベルボーイ、清掃係、厨房、バー、事務方、そして支配人である佐那(戸田恵梨香)……全従業員がその哲学を理解することで、とりあえず「いいホテル」になった、というのが前回まででした。

 そして今回、そんな「いいホテル」になった「グランデ・インヴルサ」に存続の危機が訪れます。

 もともと若い娘っこである佐那が総支配人になったのは、亡き父の跡を継いだ兄・誠一(佐藤隆太)が借金を残してトンズラしたことがきっかけでした。その消息不明だった誠一が、急にホテルに舞い戻ってきたのです。

 誠一は、久しぶりに顔を見せたかと思いきや、いきなりホテルの乗っ取りを宣言。すでに取得している45%の株に加え、取引銀行の担当者・横山さんのお父さんが持っている6%も譲ってもらう算段が付いていて、合計で持ち株比率が51%になるとのこと。これを根拠に誠一は、まずは35%しか持っていない佐那から「総支配人」の立場を奪い取ります。肝心の宇海くんは「従うしかない」とニコニコ。

 新支配人となった誠一は、なぜか従業員たちのポジションの大シャッフルを提案。テキトーな感じで、シェフをベルマンに、フロントを清掃係に……などなど仕事を振り分けます。肝心の宇海くんは「おもしろいじゃないですか」とニコニコ。一流ホテルでも、ジェネラリストを育成するために、さまざまな仕事を体験させるという教育があるんだそうです。

 振り分けられたみんなは懸命に自分の仕事をこなしつつ、講習会を開いてお互いに仕事を教え合うなど、これはこれで和気あいあい、かつ充実した雰囲気。しかし、誠一の目的はホテルの再建ではなく、売却なのでした。

 銀行と勝手に話を進めた上、すでに看板工事まで発注していた誠一でしたが、ここでヒーロー宇海くんがヒーローパワーを発揮。6%を持っていた横山さんのお父さんから株を買い取り、さらに宇海くんに指図された古参従業員・時貞さん(渡辺いっけい)が全国各地を回ってかき集めた10%も加えて、佐那の持ち株比率は51%に。ホテルは売却のピンチを免れるのでした。

 こうして、誠一の登場によって降って湧いた売却話は一件落着。何事もなかったように、次回へ。

■あー、ドラマの腰が折れた。物語の底が抜けた。

 これまで“いい話”を積み重ねてきていたので、たいへん好印象だった『崖っぷちホテル!』でしたが、今回は実のないエピソードだったと感じます。

 兄妹の持ち株比率の数字についても、唐突に現れた横山パパの「6%」をめぐるやり取りも、まったく必然性がありません。兄・誠一の登場から乗っ取り、宇海にしてやられるまでの展開も、佐藤隆太の突飛なキャラクターに頼るばかりで行動原理が見えないので、まったく共感できない。ただ場を荒らすために出てきた野蛮人でしかないし、“基本いい奴”しかいなかったのが特徴の同ドラマでは、完全に浮いてしまっている。

 そして今回、ドラマの腰が折れた、と感じたのが、誠一が提案した「お仕事シャッフル」に嬉々として乗っかった宇海&従業員の面々の姿です。

 結果的に、それぞれが仕事を教え合う、それぞれの仕事への理解が進む、それぞれの仕事への帰属意識が再確認されるなどの効果が生まれ、「厄介な奴による厄介な企画だったが、思わぬ副産物もあったね」みたいな感じで処理されていますが、これはダメでしょう。割烹でバイト歴があって、たまたま調理師免許を持っていたからって、厨房を清掃係に任せちゃダメでしょう。フレンチ食いに来た客に、したり顔で肉じゃが出しちゃダメでしょう。

 第1話からここまで、従業員全員に(視聴者にも)丁寧に敷衍してきた「ホテルにとって何より大切なのは、お客様の笑顔です」という哲学を、完全に破棄してるんです。「客の都合を考えて動け」と言い続けてきたドラマが、ここにきていきなり客の都合を無視して、「従業員の結束が固くなったからいいじゃん」と言ってしまった。

 この物語に通底していたのは「このホテルには伝統と格式がある」という前提条件でした。第1話より以前、従業員たちは、その伝統と格式にあぐらをかいてダメダメになったり、伝統と格式があったはずのホテルが変わってしまったからこそダメダメになったりしていたわけです。そういう連中が宇海によって意識を改革され、プロフェッショナルなホテルマンとして本来の「伝統と格式」を取り戻そうと立ち上がるにいたったのが、前回までだったのです。

 今回、その物語の、底が抜けてしまった。プロフェッショナルでない人間の料理を、客に食わせてしまった。ベッドメイクも、ベルボーイも、事務経理でさえも「がんばれば誰にでもできる程度の仕事」と作品の中で定義づけてしまった。これにより、ホテル・インヴルサも「がんばれば誰にでも再生できる程度のホテル」に成り下がるし、宇海の起こしてきた数々のミラクルも価値を失うことになります。脚本家は「たった数日だし、清掃係も料理上手だから、別にいいじゃん」とでも考えたんでしょうか。宇海も、そう考えたんでしょうか。だとしたら、今まで見てきたものは、なんだったというのか……。

 あー、もったいない。ここまでいい感じで上品なコメディを紡いできただけに、本当にもったいない。格式を失ったコメディを、人は「茶番」と呼ぶのです。

 来週はフロントマンの大田原さん(野性爆弾・くっきー)が客に一目ぼれして云々だそうですよ。第1話のネタ振りを回収した第6話までで終わっときゃよかったのに、とならないことを祈りたいです。ここまで見てきて、今さらガッカリしたくなーい。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

『Missデビル』は、まるでB級戦隊モノ? 残業アジトにショッカー社員、美女監禁……

 菜々緒が“悪魔”と称される冷徹な人事コンサルタント役を演じるドラマ『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』(日本テレビ系)の第7話が26日に放送され、平均視聴率7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.5ポイントダウンとなってしまいました。

(前回までのレビューはこちらから)

 今回、斉藤博史(Sexy Zone・佐藤勝利)が椿眞子(菜々緒)から新人研修へ赴くよう命じられたのは、CFD(クライアント・ファースト・ディビジョン)。この部署は、結成わずか1年ながら、営業・契約・顧客サービスを一本化し、大きな業績を上げているエリート軍団なのです。

 さっそくCFDへ足を運んだ博史は、リーダーの甘露路慶治(袴田吉彦)を筆頭に、先輩社員たちの熱血ぶりを見て圧倒されてしまいます。その一方、膨大な仕事をこなしながらも、全員が定時退社していることに違和感を覚えるのでした。

 そんな中、博史の教育係・里中純(永岡佑)が突然倒れ、入院することに。里中は肝臓と腎臓に持病を抱えているものの通院せず、奥さんによれば残業続きとのこと。さらに、里中は目を覚ました途端、「PJ150をやらなければならないんだ!」と、何やら定時後にも業務を行っていることをニオわす発言をしたため、博史は、CFDがどこかに残業するための基地をもっているのではないかと疑いを抱きます。

 残業アジトを見つけだすため、博史は部署内を盗聴。その結果、CFDが社長室の予算で6,000万円もするPCサーバーを購入していることが発覚します。その送付先が、つまりは彼らの隠れ家ということで、博史はサーバーを梱包する木箱の中に入り、アジトに潜入捜査するよう眞子から命じられます。

 トロイの木馬作戦でなんとかアジトに潜入することに成功した博史。そこで目にしたのは、猛烈な仕事ぶりをみせる社員たちと、CFDを胡散臭いと考え潜入したものの捕らえられ、縄で縛られてしまった人事部長・伊東千紘(木村佳乃)の姿でした。

 一方、会社内で甘露路に残業アジトの存在を問い詰めた眞子も、不意打ちを食らって気絶させられ、アジトに連れ込まれて千紘と一緒に拘束されてしまいます。

 ここで甘露路は、最近世の中を賑わす働き方改革への不満の想いを吐露し、身を粉にして働くことこそが会社や国の発展につながると長広舌。そして、PJ150とは、10年後に創業150周年を迎える共亜火災が、業界トップであるためのプロジェクトなのだということを明かします。

 甘露路が滔々と演説する間、こっそり縄抜けに成功した眞子は、得意のハイキックを社員どもに浴びせまくり撃破。CFDを壊滅させ、一件落着となったのでした。

 しかし、安心したのも束の間。自宅へ戻った眞子は、こっそり忍び込んでいた謎の男に襲われ、首にナイフを突きつけられたところで今回は終了となりました。

 さて感想ですが、今回、里中が病院のベッドで突如として「PJ150をやらなければならないんだ!」と、狂気に満ちた表情でセリフを吐いた瞬間、嫌な予感がしました。というのも、このドラマではこれまで、一見ノーマルな人物が突然ヒステリックな演技を始めると、その後にムチャクチャな展開が待ち構えていたからです。

 で、やっぱりといいますか、その後はB級戦隊モノのような酷い流れに。残業アジトはまるで悪の組織の秘密基地のようで、そこで働くCFDの社員たちはさながらショッカーといったところ。まるで、と書きましたが、眞子と千紘を鉄パイプで撲殺しようとしてましたから、こいつらは本当に悪者でした。

 そんな罪を犯してまで秘密を守ろうとするPJ150とは一体何なのかというと、要は“24時間働けますか”のコピーが躍った時代に憧れを抱く甘露路が、それを再現するべく設立した組織だったのです。

 このドラマはいわゆるお仕事モノですから、昨今、国を挙げて取り組まれている働き方改革がテーマに組み込まれることは当然といえば当然。その切り口も多々あることでしょう。今回のようにアンチテーゼを投げかけるのもアリだとは思いますけど、それを訴える方法は他になかったんですかね。

 奇抜な展開のせいでメッセージ性が完全に希薄化。というより、ほぼコントを見ているようでした。甘露路が、「エジソンは、アインシュタインは、マハトマ・ガンジーは、土日は休ませてくれと、自分の都合で早退したいと言いましたか? いいや、言っていない。彼らが寝る間も惜しんで必死に働いたからこそ、今の豊かさが、人類の進歩があるんです」と熱く語ったシーンはウケ狙いにしか思えず、実際に笑ってしまいました。ちなみにアインシュタインは、1日10時間以上の睡眠をとるロングスリーパーだったという説があるみたいですね。

 何はともあれドラマは終盤へ突入。どうやら眞子は、幼少期に起きた火事が原因で共亜火災に対し恨みを抱いているらしく、今回ラストに登場した謎の男はその辺りの事情を握っている様子。クライマックスに向けて盛り上がっていくことを期待したいと思います。
(文=大羽鴨乃)

中野ブロードウェイで五郎が迷子『孤独のグルメ』敵地=居酒屋でも米さえあればこっちのもんだ!

 おじさんの一人飯の心情を描く孤高のドラマ『孤独のグルメ Season7』(テレビ東京系)。今回は久しぶりの居酒屋飯。思えばSeason1の第1回放送も、門前仲町の居酒屋からだった。酒を飲まない五郎(松重豊)にかかれば居酒屋も立派な食堂に。「第八話 東京都中野区百軒横丁のチキン南蛮と地鶏モモ串」。

(前回までのレビューはこちらから)

■いきなり中野ブロードウェイ入り口からスタート

 知らない方のために説明させてもらうと、中野ブロードウェイとは1966年にできたショッピングセンターで、当初は商店街の延長のような普通の店舗(服飾や飲食など)が多かったが、1990年に「まんだらけ」が出店以降、サブカル系の店舗が続々と集まり、今や「サブカルの殿堂」とまで呼ばれるようになった都内随一の空間である。

 それでいて、今でも創業当時の飲食店やおばさま向けのブティックも残っていたり、一時はビットコインのATMまで置いてあったりと、イオンなどでは絶対あり得ない雑多なジャンルの店舗が300以上ひしめきあっている。

 そんなブロードウェイに初めて足を踏み入れた五郎。2階の喫茶店で商談の予定が、3階直通のエスカレーターに乗ってしまい2階を通過、軽くパニックに。このトラップ、ブロードウェイあるあるだ。

 しかも待ち合わせ場所が見つからず先方に電話するも、当の社長(東京03・角田晃広)は時間を勘違いして、近所で中華を食べており拍子抜け。ちなみにこの中華屋はブロードウェイ入り口に対し右の方向にある珉珉。

 仕方なく古銭やコスプレ、鉄道模型の店と、ブロードウェイ内部を散策、満喫する五郎。

 なんだかんだで昔ながらの喫茶店「喫茶 絵夢」(2階)にて商談開始。欲を言えば2階の通路だけ変に天井が低いので、そこを歩く長身の五郎が見たかった。が、ここでまさかの大口取引が決定!

「お祝いに相応しい飯を食おう」とブロードウェイを出た南東側に広がる飲食店エリア=「飲食店のジャングル」で良さげな店を見極めようと気合の入る「密林の狩人」五郎。

 珍しく夕暮れ時の繁華街をうろつくため、五郎の「孤独」ぶりが浮き立つ。

 そう言えば五郎が友人らと食事をしているシーンは、基本見たことがない。そういうコンセプトだから当たり前なのかもしれないが、夜に差し掛かる時間だし、誰かを誘おうという考えに至らないところが五郎の存在を際立たせる。

「みんな楽しそうだ、しかし下戸の俺の居場所はこの辺りにはないんだろうか」

 当初、連載の限られたページ数(8ページ)の中で収めるために五郎は下戸になったらしいが、これは結果オーライで、飲める主人公だったら今の飄々とした雰囲気は出なかったかもしれない。今回も居酒屋を「敵地」と表現するくだりがあり、この立ち位置は面白い。

■ボクシングの例えだらけ

 ようやく見つけた店は「やきとり 泪橋」。宮崎料理が得意な店らしく、「チキン南蛮」の文字が五郎に突き刺さり、入店。

「ジョーよ泪橋を逆に渡れ。明日のために食うべし食うべし」

 と、店名から『あしたのジョー』モードの五郎。(ジョーが暮らすドヤ街の入り口に掛かる橋が泪橋で、いつかドヤ暮らしから抜け出すことを「逆に渡る」と作中で表現)。店員役が千葉哲也で、ジョーの作者(ちばてつや)と同姓同名なのも遊んでいる。このためか、この日はしつこいくらいにボクシングにちなんだ発言が連発される。

・「試合開始のゴング前から胃袋が飛び出しそうだ」←注文前に炭で焼かれてる焼き鳥を見て

・「試合開始前から会場は熱気に包まれている」←注文繰り返す店員の威勢が良いだけで

・「先制の左ジャブだ」←お通しが美味くて

・「ガードが追いつかない」←チキン南蛮が美味しくて

・「でももうちょっと戦いたい」←あと少し何か食べたい

・「最終ラウンド」←ご飯をお代わりして

・「今夜このリングに立てたことを俺は誇りに思う」←食べ終わって

 ……などなど。

■「ご飯」さえあればこっちのもの

 ほぼカウンターのみの小さな店。飲み屋なのでまずはお通しから。

・アボカドとチーズの正油和え

・鶏皮の酢の物

「飲まないからお通しには敏感なんだ」という五郎の下戸審美眼を持ってしても「おざなりでない」満足の逸品。

 地鶏の皮の、歯ごたえの良さもさることながら、やや甘めであるところを「烏龍好き、ウーロンジャーには悪くない」と評価。第2話のバイキングの時は「バイキンガー」と名乗っていたし、今日はのちに「タルタリスト」とも宣言するし、一体いくつの顔を持っているのか?

 そしてオーダーしたのは以下の「五郎’s 居酒屋定食セレクション」

・チキン南蛮
・鯖串
・豚ばらの味噌串
・鶏がらスープ
・ささ身ときゅうりのごま和え
・ご飯

 ご飯が「レンチンになっちゃう」と言われるも、全く問題とせず、むしろ米をゲットできたことに安堵する五郎。「チンだってなんだっていい、ご飯さえあればこっちのもんだ」「ご飯があれば飲み屋だってパラダイス」とは、居酒屋で飯を食う下戸の本音だ。あるとないとじゃ大違い。しかも麦飯で、うれしい誤算。

「ささ身ときゅうりのごま和え」をつまみ「定食屋では会えない味だ」と感慨にふける。今回、居酒屋を「敵地」と表現するくだりがあったが、そこに、濃厚そうなタルタルソース滴る「チキン南蛮」が到着。一心不乱に掻きこむ。

 揚げたてだが、甘酢を絡ませてあるのだろう、衣はしっとり。タルタルも一味違うらしく、調べてみると宮崎出身者おすすめの店とのことで、本場の味だ。慣れない美味さに「舌と頭が戸惑いながら喜んでいる」という五郎。ちなみにチキン南蛮は『孤独~』初登場。

 興奮しすぎた五郎は一旦我に返り、スープを挟む。「美味い焼き鳥屋の鶏スープが不味いわけがない」と、ごもっともな意見。中から鶏肉のかけらをサルベージし「お宝発見」と喜ぶ。

 鯖串は文字通り、串に刺したサバを焼いたもの。「サバってやつは、いつだって俺を喜ばせてくれる、いいやつだ」とのことで「これからもずっと仲良くしていこう」と唐突な決意表明。

 豚ばら味噌串は、当然米に合う味らしく、すぐさま五郎はご飯に乗っけてミニ丼を作成。きっとやるだろうなあ……と思っていると、案の定やってくれるからうれしい。

■「地鶏の炭火焼」の魔力

 残りのチキン南蛮を改めて美味しくかきこみ、それでもあと少し何か食べたい気分の五郎の目の前に現れたのが、他の客がオーダーした「地鶏のモモ串」。

 狭い店内で、後ろに座る客に手渡すために受け取ったのに思わず凝視、そして注文。

 宮崎名物の「地鶏の炭火焼」を串に刺して出しているのだと店主。

「地鶏の炭火焼」は名前もありふれてるし、結局焼いただけでしょ? みたいに思われがちだが筆者は鶏料理で一番くらいに好きなメニューだ。炭火の炎が立ち上る金網の上で、歯ごたえのある地鶏のぶつ切りを転がしながら焼いたもので、特段派手な部分はないが、炭の香りとシンプルな塩味で純粋に鶏の旨味を味わえる。歯ごたえあり、香ばしさあり、脂も肉汁もあり。添えられる柚子胡椒も、このために発明されたのでは? というくらい、合う。宮崎近辺ではお祭りの屋台などでも普通に見られる。

 一口食って、弾力と旨味に感激し、すぐさま麦飯に乗っけてまたかきこむ。ああ、美味そう。

「大口が決まったお祝いに、まさに相応しい宴」と五郎は大満足だったが、これが寿司や焼肉とならないところが「らしい」。かと言って正直普段のチョイスと何が違うのかはわからなかったが、原作での名言を使って言わせてもらえれば「まあ、感じ感じ」というとこだろう。

 店を出てエンディングが流れ終了……かと思いきや、エンドロール終盤で五郎のガラケーが鳴る。短いやり取りの後、「来週韓国かよ、いきなりだなあ」とワクワクする煽りで終了。映画みたいだ。

 すでにネットニュース等で知らされていたので驚かなかったが、「予告」もなくいきなり韓国行きを突きつけてくれた方がテンション上がるのになあと、少しだけ思いました。

 原作者・久住昌之が同店を訪れる「ふらっとQUSUMI」のコーナーでは、ちろり(酒を燗する金属製の容器)に入って出てくる焼酎を飲みつつ、「地鶏たたき」や、「アボカド炭火焼」「冷汁」と宮崎づくし。

 今回謎だったのは、やくみつるが特に見せ場もなく横で串を食ってたこと。店員役の千葉が「ちばてつや」とかかっていただけに、いろいろ「意味」を考えてしまったのだが、亀田家と揉めたことくらいしかボクシングとの共通点もないし、出身も宮崎というわけでもないし、おそらく意味はないのだが、気になるキャスティングだ。

 さて、来週から2週に渡りいよいよ韓国。何か電話でお願いをされていたようだが、果たしてその内容とは?
(文=柿田太郎)