『シグナル』最終話は、ご都合主義のオンパレードで混線の末、衝撃のぶん投げラスト!

 坂口健太郎の初主演連続ドラマ『シグナル 長期未解決事件捜査班』(フジテレビ系)の最終回が12日に放送され、平均視聴率9.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.9ポイントアップとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 2000年に起きた女子高生集団暴行事件で、兄・亮太(神尾楓珠)が濡れ衣を着せられ、その結果、自殺で失ってしまったという暗い過去をもつ三枝健人(坂口)刑事。しかし前回、亮太は実は他殺だったということを知り、“過去とつながる無線機”を使って、当時の世界を生きる大山剛志(北村一輝)に助けを求めました。

 そして今回、その続きからとなったのですが、大山は一歩及ばず、すでに亮太は殺されてしまったあとでした。しかし、現場に残されたコップには、亮太のものではない微量の血液が見つかり、警視庁捜査一課の刑事部長・中本慎之助(渡部篤郎)が怪しいと睨んだ大山は、中本のタバコの吸い殻をこっそり盗み出し、DNA鑑定に回します。

 一方、18年現在に生きる健人も、上司の桜井美咲(吉瀬美智子)とともに、中本の悪事を暴くべく捜査を開始。中本と裏でつながっていたものの、今は逆に命を狙われ逃走中の身である元暴力団員・岡本紀夫(高橋努)と接触を試みます。

 ところが、この動きを察知していた中本が殺し屋を手配し、岡本は射殺。健人も腹部を撃たれ、救急車で搬送されてしまいます。意識が薄れていく中、健人が心配するのは大山の身。本来のタイムラインでは、大山は谷原記念病院で、中本の右腕である岩田一夫(甲本雅裕)に射殺されてしまうことになっているのです。

 実は前回、例の無線機を使い、美咲が大山に「谷原記念病院へは行くな」と忠告。しかし、正義感の強い大山は見過ごすことができず、谷原記念病院へと向かいます。そして案の定、岩田につかまり、命の危険にさらされてしまうのです。

 ただ、大山は病院へ向かう前、部下にメモを残していたため、駆け付けた彼らに救助され、一命を取り留めます。

 一方、救急車で搬送中だった健人は絶命。目を覚ますとそこは見知らぬ部屋で、自分の名刺を見ると、未解決事件捜査班の刑事から地域課の警察官に肩書が変わっていることに気づきます。つまり、無線機によって過去が変わったことで、健人の人生にも変化が生じたのです。

 しかし大山は、中本殺害事件の重要参考人とみなされ失踪。事情は異なるものの、行方不明という事実は以前と変わらないのでした。

 そんな中、健人は、大山から郵送されてきたという封筒を母・美紀(高野志穂)から受け取ります。そしてその中には、中本と衆議院議員・野沢義男(西岡徳馬)の癒着関係の証拠となるフロッピーディスクと、彼らの悪事を暴いて欲しいという旨が書かれた手紙が入っているのです。

 封筒の消印を頼りに龍宮岬を訪れる健人。車を運転するシーンに、「諦めない限り未来は変わる」という健人のナレーションが挿入されます。そしてそこへ、真っ白な光に包まれた部屋で大山がベッドから起き上がり、窓辺に立ってカメラを振り返る、という清純派女性アイドルグループのMVの一場面のような、フェアリー感あふれる映像がかぶります。

 なんじゃこりゃ、と思いつつ見ていたら、ここでまさかの終了。え、終わり!? 一瞬、我が目を疑い、そして次に、今回が最終回という我が認識を疑ったのですが、まぎれもなく今回がラスト。あまりのぶん投げっぷりに、しばらく絶句してしまいました。

 いや、狙いはわかるんです。名作ドラマや映画などには、余韻の残る素晴らしいラストがつきもの。「主人公たちの人生はこの後、どうなってしまうのだろう」と、視聴者に想像を喚起させるようなシーンですね。

 ただ、このドラマに関しては、“過去とつながる無線機”というミステリー要素があるんですよ。この超常現象を説明するのは無理でしょうけど、「いやぁ、あれは何だったんだろうね」と、健人と大山が語り合うなり何なり、何かしらのフォローは必要だったのではないでしょうか。

 それと、その無線機でのやりとりが、今回はこれまでにも増して混線模様でした。谷原記念病院を訪れた大山が、第1話で無線機を発見したばかりの健人と通信していたりと、時間軸がごっちゃごちゃでワケがわかりません。

 で、過去が変わったことで現在に変化が生じても、健人だけはなぜか以前のタイムラインの記憶が残っているんですよね。今回に限ったことではなく、このドラマは総じてご都合主義のオンパレードでした。

 まあ、でも、時空を超えて通信できる無線機をストーリーの主軸に置いてる時点で、突拍子もなく都合がいいドラマであって、それを指摘したら元も子もなくなってしまうんですけどね。ただ、無線機以外の部分ではリアリティーを追求して欲しかったな、というのが全話を振り返っての感想です。

 しかし、主演の坂口が回を追うごとに成長を見せたことは、演劇業界にとって大きな収穫だったのではないでしょうか。大山役の北村も熱演を披露していただけに、今度は無線機抜きで、単純にバディものが見てみたいな、という気もします。ラストシーンをぶん投げてしまったため続編は難しいでしょうが、フジテレビ版“相棒”に期待します。
(文=大羽鴨乃)

“改変で炎上”が功を奏した『花のち晴れ』、杉咲花&キンプリ・平野紫耀の「鈍感力」が視聴者を惹き付ける!?

 King & Prince・平野紫耀くん演じる晴が、飯豊まりえちゃん演じる人気モデル・メグリンと急接近し、視聴者たちをヤキモキさせている火曜ドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS系)。

 小栗旬演じる花沢類の登場で視聴率を上げた3話以降、数字はどんどん下降傾向にありましたが、なんと、5日放送の第8話はその3話と並ぶ9.6%で、前話より2.1ポイントの大幅アップ!

 ですが、正直、その理由は全くわかりません。7話から原作のマンガにはないオリジナル展開が強くなり、脚本家のTwitterには苦情が殺到するなど、不安要素が増えましたが、今話でもそれは増す一方で、見ていてイライラしかしませんでした。

 まぁ、このドラマのメインターゲットは間違いなく女性でしょうし、女の人って修羅場とか燃えちゃうし、炎上とか大好物な人が多いような気がするので(当社比)、みなさんなんだかんだ言いながらもやっぱり続きが気になっちゃうんでしょうね……。ということで、今回もあらすじから振り返っていきます。

*前回までのレビューはこちらから

■メグリンが晴の“彼女(仮)”に昇格

 嫌なことから逃げて、天馬(中川大志)に守ってもらってばっかりじゃダメだと、庶民狩りをやめた晴(平野)の姿を見て気がついた音は、「天馬くんに守られるんじゃなくて、隣で並んで歩ける人になりたい」と、桃乃園学院への転入を延期することに。

 しかし、前話で音は天馬の母・利恵(高岡早紀)に「ずっと天馬くんのそばにいたいです」としっかり誓っていますから、当然、利恵ママはお怒りです。天馬の父・一馬(テット・ワダ)と、音が婚約者にふさわしいのか見極めるため、音の母(菊池桃子)を含めた食事会の場が設けられることになりました。

 一方で、音にフラれた晴は、メグリン(飯豊)とちゃんと向き合って前に進もうと、メグリンの“彼氏(仮)”になります。“彼女(仮)”になったメグリンはもちろん、学園の株を上げるため晴とメグリンがくっつくことを望んでいた海斗(濱田龍臣)や一茶(鈴木仁)、杉丸(中田圭祐)らも2人を祝福するのでした。ただ、音と晴を応援していた愛莉(今田美桜)はものすっごく不服そうですが。

 

■鈍感&無自覚の怖さ

 ある日の放課後、天馬と映画館デートをしている音の元に、メグリンから電話が。なんでも、晴の役に立ちたいと、英徳の生徒たちのためにモデル仲間を呼んで、自らの誕生パーティーを行うそうで、学園での友達第1号の音に、その招待状を渡したいんだとか。その後、メグリンは晴とともに招待状を持って映画館にやってきました。

 そして、その流れでこれまたWデートをする流れに。前回散々だったくせに(詳しくは6話参照)、全く懲りずに『湯を沸かせないほどの冷めた愛』というどこかで聞いたような映画を4人で観たり、お店に入ってかき氷を食べたりするわけですが、笑いのツボも泣くタイミングも一緒で、楽しそうに軽口も言い合ってキャッキャしている音と晴を見るたびに、天馬とメグリンは複雑そうな顔を浮かべます。

 目の前でお互いのパートナー同士がキャッキャしているのを見せられたらたまったもんじゃありませんが、お互い「友達」として付き合っていくことにした鈍感で無自覚な音と晴は、天馬とメグリンの本心には気がつきませんし、2人とも優しいので決して責めようとはしません。見ているこっちがつらいし、キャッキャしながら楽しんでいる音と晴を見てモヤモヤしている天馬とメグリンを、画面越しに見てもどかしさを感じる……という負の連鎖が視聴者のイライラにつながっているように感じました。天馬くん、いっそのことまたヤンデレDV化してくれたら一周回って気持ちいいのに。

 

■音への好意がダダ漏れな、晴の長~い弁明

 さて、メグリンの誕生パーティーの当日、英徳に「パーティーを中止せよ」という脅迫状が届きました。天馬の両親との食事会に向かわなければならない音は仕方なくレストランへと急ぎますが、街頭に置かれた大型テレビに映ったパーティーの中継映像で、以前、英徳の校門に落書きした犯人と同じブレスレットをつけた人間が会場に紛れ込んでいるのに気がつき、英徳へダッシュ。

「神楽木! メグリン、逃げて!!」という音の声により、晴は爆弾入りケーキからメグリンを守ることができました。犯人は、C5メンバーの見事な連携プレーで無事確保され、騒然となる会場も、メグリンがサプライズ演出だと説明することで、なんとか一件落着します。

 その頃、レストランにいる天馬の両親は、時間になってもやってこない音に呆れ、食事会はすでにお開きモード。天馬がなんとかなだめていると、音、そして晴が現れました。そして、晴は「全部俺のせいです!」と遅れてしまった事情を説明&音の天馬への気持ちを代弁します。

「彼女は世界中の誰よりも馳天馬君を愛しています。

 江戸川さんはずっと心配していました。完璧な馳君に自分は釣り合わないんじゃないか、自分のせいで無理させているんじゃないかって。

 僕から見れば、もう十分馳君の気持ちに応えてるのに、まだ向き合えていないって悩んでて……。

 その末にたどりついたのが、自分らしい自分を馳君に好きになってもらいたいって、バカみたいにまっすぐな答えで。だから、今日の食事会を江戸川さんはとても大切にしていました。

 なのに……、僕が全部ぶち壊しにした。本当に江戸川さんは悪くないんです。許してやってください」

 案外チョロい一馬パパは、この晴の言葉を受け止め、「音ちゃんも素敵な友達を持ったね」と、音を許してくれた様子。しかし、天馬の表情は曇ったまま。自分が知らない音の想いと葛藤を誰よりも晴が理解していて、かつそれを音本人じゃなく、よりによって、晴の口から聞くという地獄を見せられた天馬くんの心中はいかほどでしょうか……(白目)。「今日はごめん」と切り出した音を、天馬くんは無言で抱きしめます。一切光のない、あの死んだ目で。間違いなく、ヤンデレ化の兆しです。

 晴はというと、英徳に戻り、パーティー会場で1人泣きながら野菜炒めを作っていたメグリンに謝り、「誕生日おめでとう、めぐみ」と、メグリンの念願だった“名前呼び”をプレゼントして、彼女をギュッと抱きしめるのでした。これにて8話の終了です。

 

■女子会&男子会の様子がかわいい

 今話の中で、何のストレスも感じることがなかったのは、女子会と男子会のシーンでした。女子チームは、晴を喜ばせるために野菜炒めを食べさせてあげたいメグリンの料理の勉強ついでに、音のアパートに愛莉や紺野さん(木南晴夏)も呼んで“たこパ”を開催。音にデレたり、メグリンに毒を吐きながらも晴への一途さは認めていたり、このシーンの愛莉が抜群にかわいかったです。

 男子チームはというと、愛莉以外のC5メンバーが夜のプールサイドでボーイズトーク。C5って学校以外で群れているイメージがあまりないので、杉丸の好きな人が愛莉かもしれなかったり、“脱ヘタレ”のお祝いに晴がプールに突き落とされたり、「ザ・青春」って感じです。普通の男子高校生のようにわちゃわちゃして仲良さげなところが垣間見えて、なんだか安心しました。

 

■音のみならず、晴まで“ブレブレ”

 前回のレビューで、「音のキャラがブレブレ」と書きましたが(参照記事)、今話では、晴もブレブレだったように感じます。だって、号泣しちゃうくらい音のことが好きだったのに、メグリンの“彼氏(仮)”になって、かと思えば相変わらず音が自分のことを好きになった妄想をしちゃうし、メグリンがそばにいるのに音のこと考えでぼけーっとしちゃうし。おまけに、ラストでメグリンを抱きしめたかと思えば、次回予告で、「俺は江戸川を諦めねえ!」って問題発言してるし。思わず、何がどうしてそうなったってツッコミたくなるくらいです。音への気持ちにブレがない天馬や、晴にウザがられながらもへこたれないメグリンの一途さを見習ってほしいくらい。

 音も晴とメグリンが付き合ったと知ったとき「ちょっとだけ……胸がチクンとしました」って素直に紺野さんに打ち明けていたし、自分の気持ちにはとっくに気がついているはず。「友達」って便利な言葉だなぁ~と思いました。はい。

 まぁ、原作よりもメグリンの存在を目立たせて晴とくっつけたのも、この後の展開が生きるように考慮してのことだと思いますし、これを書いている私を含め、視聴者がイライラしたりネガティブな声を上げるのも、それだけ物語に入り込んでいるからなんですよね。なんか恥ずかしいですけど。好き合ってる2人が“すれ違う”のも恋愛ドラマの醍醐味だと思うので、まんまと制作陣の策にハマっているという自覚を持って、素直な心で今夜放送の9話を楽しみたいと思います。

(文=どらまっ子TAROちゃん)

『コンフィデンスマンJP』最高視聴率の要因は“小池徹平のネクラ感”と“見事な伏線とパロディの使い方”!?

『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)6月4日放送の第9話は「スポーツ編」。最終回目前にして自己最高の視聴率9.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をマーク。前週から1.2ポイントもアップした。

 映画化も発表され、止まらぬ勢いを見せた。第9話のあらすじは以下の通り。

 IT企業経営者・桂公彦(小池徹平)。彼はスポーツチームを買収しては自分の好き勝手に編成し、弱くなったら売却。それを繰り返し、スポーツファンたちから恨まれていた。ダー子(長澤まさみ)たちはニセモノのバスケットのクラブチームを桂に売りつけ、3年契約7.5憶円を騙し取ろうと企む。

『スラムダンク』(集英社)などからのパロディが目を引く回であったが、伏線を巧みに駆使し、笑いと感動を生み出していた。そのテクニックに触れながら、第9話「スポーツ編」を振り返りたい。

(これまでのレビューはこちらから)

■鼻につくIT企業経営者に共感してしまう“異質の1時間”

 伏線の使い方の前に、キャラクターとキャスティングの話からしたい。

 今回のメインゲストはIT経営者の桂を演じた小池徹平。一見、頼りなさそうな小池が経営者という役柄はミスキャストのように思えるが、小池が演じたからこそ良かった。

 世の中のIT企業経営者は鼻につくイメージの人間が多い。容姿・器量・人格が破綻しているにもかかわらず、美女や煌びやかな日常を満喫している(そうでない人もいるが)。

 その身の丈に合わない振る舞いが、鼻についてしまう理由。童顔な小池の身の丈に合わない生意気な振る舞いは、悪目立ちするIT経営者像とマッチしていた。

 この身の丈に合わない感じは、物語にも大きく作用している。小池扮する桂は、学生時代は運動音痴でパッとしない存在。恋した女子は皆、運動部のキャプテンの彼女になってしまう。経営者となり美女との結婚生活を手に入れたが、妻はサッカー選手に寝取られる。スポーツへのコンプレックスが金儲けの原動力となり、プロチームの支配欲求にまで転じる。

 浮かばれない青春を送っていた者は、大人になってからコンプレックスを埋めようと躍起になる。そんな人間の愚かしさが桂の憎らしさの一因となっていた。しかしその憎らしさの正体は、共感であるようにも思える。

 誰しもが完璧な青春など手に入れられない。一流の大学や企業に入った元ガリ勉君が同窓会で調子こいてリア充ぶったり、パッとしなかった女子が彼氏を得た途端「男ってさ~」と、すべてをわかったようなことを言い出したりする。スポーツ選手が引退後に勉強や経営に目覚めたり、勉強も運動も恋愛もソツなくこなした者は自分の普通さを想い悩み、変わったことをしようとする。

 身近な人にも自分自身にも、桂の痛々しさは当てはまるところがあるのではないか。桂という男は万人が共感できる悪役だったのかもしれない。だからこそ、ラストで桂がプロチームを金儲けの道具でなく真剣に育てようとする心境の変化に感動できた。人生とは青春の穴埋め作業なのかもしれないと思わされた1時間だった。

■“見せ球”と“クセ球”、スポーツにも通ずる脚本のテクニック

「スポーツ編」ということで、野球になぞらえて9話で使われた脚本術を紹介したい。

 前置きとして野球には“見せ球”という投球術がある。「速球を投げる前にわざと遅い球を放り、速球をより速く見せる」などがそれに当たる。

 違和感のある球を見せて、渾身の球でアウトを取りにいく。その作法は、脚本で言うところの“伏線”と似ている。

 バスケチームにいたダー子達の仲間、五十嵐(小手伸也)が秘密兵器と呼ばれ続け、その活躍を心待ちにさせる。いよいよ活躍!……という場面で、16秒で交代を余儀なくされ足を引っ張るだけとなる。普通に登場させて失敗させるよりも、秘密兵器という前フリを見せ続けたおかげで笑いの振れ幅は大きくなる。

 ギャグシーンだけでなく、伏線は物語の大きな引っ張りにも使われていた。物語の序盤、桂が魅力的なプロチームの見学中に突然帰宅。そして桂は弱小チームと契約を結ぶ。突然の帰宅という違和感が伏線となり、謎が解けるまでチャンネルを変えられなくなる。

 物語の終盤、その伏線がヒントとなり、チームの買収と弱体化が、わざと赤字部門を出すという会社の税金対策であると同時に、桂のスポーツへの復讐になるという真実を浮き彫りにする。

 余談だが刑事ドラマやミステリーの視聴率が安定するのは、伏線の賜物。誰が何のためにどんなトリックで殺人に至るのか、伏線を散りばめながら視聴者をラストシーンまで誘導できる。

 そして、ネットでも話題となった、『スラムダンク』や『ROOKIES』(ともに集英社)などの名作コミックのパロディ。これは“クセ球”に置き換えられる。クセ球は、ストレートであるがブレる球であるため、バットの芯に当たりにくい特性を持つムービングファストボールなどを指す。

 第9話も、ストレートにやれば、視聴者に「つまらない!」と打ち返される場面で、パロディを使った。不良たちが更生する場面ではドラマ『ROOKIES』(TBS系)の主題歌を流し、「バスケがしたいです」と『スラムダンク』の名言を言わせる。普通の熱血スポ根シーンのはずが、パロディという一クセだけで、元ネタを知る者の喜びに変わり、笑いにもなる。

 また「バスケがしたいです」や「左手は添えるだけ」などの元ネタを知らないという前提で、冒頭に提示しておく配慮は見事だった。知らない人にとっては伏線となり、知っている人にとってはパロディとなる。

 伏線とパロディの使い方が見事だったからこそ、9話の視聴率は上昇するに至ったのではないだろうか。

■最終回、初の2ケタ視聴率となるか!?

 11日には、15分拡大で最終話「コンフィデンスマン編」が放映される。結婚詐欺を題材に、ダー子たちが別のコンフィデンスマンと戦いを繰り広げるようだ。予告によれば、ダー子たちが命の危機が訪れる! ただ、映画化を発表してしまったため、死なないことは明らかなのだが……。

 本レビューも次で最後と寂しさを感じつつ、本作の一ファンとして、最終話「コンフィデンスマン編」の有終の美を期待したい。

(文=許婚亭ちん宝)

『コンフィデンスマンJP』最高視聴率の要因は“小池徹平のネクラ感”と“見事な伏線とパロディの使い方”!?

『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)6月4日放送の第9話は「スポーツ編」。最終回目前にして自己最高の視聴率9.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をマーク。前週から1.2ポイントもアップした。

 映画化も発表され、止まらぬ勢いを見せた。第9話のあらすじは以下の通り。

 IT企業経営者・桂公彦(小池徹平)。彼はスポーツチームを買収しては自分の好き勝手に編成し、弱くなったら売却。それを繰り返し、スポーツファンたちから恨まれていた。ダー子(長澤まさみ)たちはニセモノのバスケットのクラブチームを桂に売りつけ、3年契約7.5憶円を騙し取ろうと企む。

『スラムダンク』(集英社)などからのパロディが目を引く回であったが、伏線を巧みに駆使し、笑いと感動を生み出していた。そのテクニックに触れながら、第9話「スポーツ編」を振り返りたい。

(これまでのレビューはこちらから)

■鼻につくIT企業経営者に共感してしまう“異質の1時間”

 伏線の使い方の前に、キャラクターとキャスティングの話からしたい。

 今回のメインゲストはIT経営者の桂を演じた小池徹平。一見、頼りなさそうな小池が経営者という役柄はミスキャストのように思えるが、小池が演じたからこそ良かった。

 世の中のIT企業経営者は鼻につくイメージの人間が多い。容姿・器量・人格が破綻しているにもかかわらず、美女や煌びやかな日常を満喫している(そうでない人もいるが)。

 その身の丈に合わない振る舞いが、鼻についてしまう理由。童顔な小池の身の丈に合わない生意気な振る舞いは、悪目立ちするIT経営者像とマッチしていた。

 この身の丈に合わない感じは、物語にも大きく作用している。小池扮する桂は、学生時代は運動音痴でパッとしない存在。恋した女子は皆、運動部のキャプテンの彼女になってしまう。経営者となり美女との結婚生活を手に入れたが、妻はサッカー選手に寝取られる。スポーツへのコンプレックスが金儲けの原動力となり、プロチームの支配欲求にまで転じる。

 浮かばれない青春を送っていた者は、大人になってからコンプレックスを埋めようと躍起になる。そんな人間の愚かしさが桂の憎らしさの一因となっていた。しかしその憎らしさの正体は、共感であるようにも思える。

 誰しもが完璧な青春など手に入れられない。一流の大学や企業に入った元ガリ勉君が同窓会で調子こいてリア充ぶったり、パッとしなかった女子が彼氏を得た途端「男ってさ~」と、すべてをわかったようなことを言い出したりする。スポーツ選手が引退後に勉強や経営に目覚めたり、勉強も運動も恋愛もソツなくこなした者は自分の普通さを想い悩み、変わったことをしようとする。

 身近な人にも自分自身にも、桂の痛々しさは当てはまるところがあるのではないか。桂という男は万人が共感できる悪役だったのかもしれない。だからこそ、ラストで桂がプロチームを金儲けの道具でなく真剣に育てようとする心境の変化に感動できた。人生とは青春の穴埋め作業なのかもしれないと思わされた1時間だった。

■“見せ球”と“クセ球”、スポーツにも通ずる脚本のテクニック

「スポーツ編」ということで、野球になぞらえて9話で使われた脚本術を紹介したい。

 前置きとして野球には“見せ球”という投球術がある。「速球を投げる前にわざと遅い球を放り、速球をより速く見せる」などがそれに当たる。

 違和感のある球を見せて、渾身の球でアウトを取りにいく。その作法は、脚本で言うところの“伏線”と似ている。

 バスケチームにいたダー子達の仲間、五十嵐(小手伸也)が秘密兵器と呼ばれ続け、その活躍を心待ちにさせる。いよいよ活躍!……という場面で、16秒で交代を余儀なくされ足を引っ張るだけとなる。普通に登場させて失敗させるよりも、秘密兵器という前フリを見せ続けたおかげで笑いの振れ幅は大きくなる。

 ギャグシーンだけでなく、伏線は物語の大きな引っ張りにも使われていた。物語の序盤、桂が魅力的なプロチームの見学中に突然帰宅。そして桂は弱小チームと契約を結ぶ。突然の帰宅という違和感が伏線となり、謎が解けるまでチャンネルを変えられなくなる。

 物語の終盤、その伏線がヒントとなり、チームの買収と弱体化が、わざと赤字部門を出すという会社の税金対策であると同時に、桂のスポーツへの復讐になるという真実を浮き彫りにする。

 余談だが刑事ドラマやミステリーの視聴率が安定するのは、伏線の賜物。誰が何のためにどんなトリックで殺人に至るのか、伏線を散りばめながら視聴者をラストシーンまで誘導できる。

 そして、ネットでも話題となった、『スラムダンク』や『ROOKIES』(ともに集英社)などの名作コミックのパロディ。これは“クセ球”に置き換えられる。クセ球は、ストレートであるがブレる球であるため、バットの芯に当たりにくい特性を持つムービングファストボールなどを指す。

 第9話も、ストレートにやれば、視聴者に「つまらない!」と打ち返される場面で、パロディを使った。不良たちが更生する場面ではドラマ『ROOKIES』(TBS系)の主題歌を流し、「バスケがしたいです」と『スラムダンク』の名言を言わせる。普通の熱血スポ根シーンのはずが、パロディという一クセだけで、元ネタを知る者の喜びに変わり、笑いにもなる。

 また「バスケがしたいです」や「左手は添えるだけ」などの元ネタを知らないという前提で、冒頭に提示しておく配慮は見事だった。知らない人にとっては伏線となり、知っている人にとってはパロディとなる。

 伏線とパロディの使い方が見事だったからこそ、9話の視聴率は上昇するに至ったのではないだろうか。

■最終回、初の2ケタ視聴率となるか!?

 11日には、15分拡大で最終話「コンフィデンスマン編」が放映される。結婚詐欺を題材に、ダー子たちが別のコンフィデンスマンと戦いを繰り広げるようだ。予告によれば、ダー子たちが命の危機が訪れる! ただ、映画化を発表してしまったため、死なないことは明らかなのだが……。

 本レビューも次で最後と寂しさを感じつつ、本作の一ファンとして、最終話「コンフィデンスマン編」の有終の美を期待したい。

(文=許婚亭ちん宝)

嵐・二宮和也『ブラックペアン』視聴率16.6%と急上昇も「大人としてのクオリティが低すぎる」問題

 嵐・二宮和也主演の日曜劇場『ブラックペアン』も佳境となった第8話。ここにきて視聴率が16.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、意外な急伸。特段、今回だけが面白かったとも思いませんでしたが、最終回には20%の大台に届くかもしれません。

 なぜこんなに数字が伸びたのか謎ですが、とにかく振り返りましょう。

前回までのレビューはこちらから

■医者以前に、大人としてどうなのよ

 このドラマは大きく分けて、3つの構図から成り立っています。第1話~第4話までが、最新医療機器「スナイプ」の失敗を“天才外科医”渡海征司郎(二宮)がリカバリーして患者を助ける話。そのあと、海外からやってきた手術ロボ「ダーウィン」の失敗を渡海がリカバリーするくだりがあって、最近は国産手術ロボ「カエサル」による手術が失敗し、渡海がリカバリーしています。繰り返し語られるのは「機械より人間(渡海)の腕のほうが確実」という御題目だけ。周辺にいろんな大人がいて、いかにも真剣な顔でなんやかんや言っていますが、基本的には「渡海スゲー、機械はクソ」しかやってません。何度も言ってますが、よくも悪くも『水戸黄門』みたいなパターンに満ちたドラマです。

 しかも、機械は実際の医療現場でも活躍している実物を借りちゃったりしているので、ドラマは一概に「機械の医療はクソ」と言い切ることもできず、機械による手術の失敗はすべて人為的なミスによって起こっています。操作がヘタでアームが干渉しちゃったとか、助手が機械にぶつかってカメラの視野が変わっちゃったとか、素人目に見ても「単なるポカ」ばかり。結果、医療ドラマで、人の命を扱っているのに、大人たちが代わる代わる「単なるポカ」をやるというトホホな状態。渡海以外の人物が、医者としてどうこう以前に、大人としてのクオリティが極めて低いので、いつまでたっても渡海の相対評価が上がらず「単なるポカをやらない人」でしかない。

 ところで、このドラマの表題は『ブラックペアン』なのですが、ここまで「ブラックペアン」については、ほとんど説明されていません。“神の腕を持つ”という渡海の上司・佐伯教授(内野聖陽)だけが扱えるという触れ込みですが、使い道は手術の最後に、ちょっと血管なり人工心肺のチューブをつまむだけ。もとよりペアンですから、それ1つで人の命を救えるような代物ではないのでしょうが、ちょっとつまんで「これが私だ! ブラックペアンだ!」とか言われても、なんだかねえ。そのペアンがブラックである必然性がまったく不明なので「黒いからカッコイイと思ってんのかな? アイアムチョーノのファンなのかな?」くらいの感想しか浮かびません。

 もちろん、原作にはブラックペアンがブラックである必然性がばっちりありますし、ドラマでも最終回で明かされることになるのでしょうけど、だとすれば「ブラックペアン」を安売りしすぎというか、普通のチューブとかつまんじゃうと、ペアン界の“黒のカリスマ”たるブラックペアンの存在感も薄れてしまうように感じます。原作では、佐伯教授にとってブラックペアンは「必ず用意されているけど、決して触ってはいけないもの」というミステリアスな位置付けなので。

 ちなみに今回の第8話は、例によって機械による手術でミスが起こり、渡海がババン! と登場したあとに、このブラックペアン佐伯がドドン! と現れ、渡海の手柄を横取りするお話でした。『水戸黄門』で例えるなら、渡海黄門様が相棒のオペ看・猫ちゃん(趣里)を連れて「控えおろう!」とやっていたら、後ろから佐伯綱吉公が現れて「おまえが控えろ! あと猫より犬が好き!」とか言ってる感じですかね。違いますかね。

■お話はトホホでも面白いんだからすごい。

 と、何やら退屈している風に書いていますが、こんなにトホホな筋立てでも、ちゃんと面白いのが『ブラックペアン』のすごいところで。

 何しろ『水戸黄門』なら印籠を出すだけで悪者は「ははー」と首を垂れてしまいますが、『ブラックペアン』では、この印籠のくだりで熱のこもった手術シーンが登場するのです。単純にカット数だけ比較しても何十倍もあるでしょうし、BGMもリッチですし、ニノちゃまは西村晃や里見浩太朗より断然キュートです。毎回、お話がどうでもよくなるくらいスカッとさせてくれるし、手術でミスしたダメ医者たちの「ぐぬぬ」な表情も実に爽快。イヤな奴がやり込められて悔しがる一連のシークエンスは、福澤克雄監督ならではの“日曜劇場名物”といえるでしょう。これがあるから、お話がトホホでも満足感がある。余計な部分を忘れちゃって、「ブラックペアンは面白いよ」と思える。

 やっかいなのが、ドラマも終盤を迎えて、余計な部分が余計じゃなくなってきたことです。序盤から小出しにしてきた「ペアンが体内に残ったX線写真」についても、そろそろ処理しなければなりません。気分爽快な手術シーンによって記憶から追い出していたこのへんのアレコレを思い出さなければならない。

 どうやらこのX線写真は、佐伯教授と渡海のお父さん・渡海一郎(辻萬長)の因縁がからむ患者のもののようです。その患者は「さくら病院」というところにいるらしい。渡海はその患者を探している。見つけ出して、佐伯教授への“復讐”を果たしたいらしい。そしてその患者は、「イイヌマタツジ」という名前らしい。

 クライマックスを前に、そこらへんが矢継ぎ早に説明されたわけですが、まあ、今回も手術シーンが充実してこともあって、あんまりちゃんと頭に入ってこなかったですね。「イイヌマタツジ」って、猫や犬より鳩が好きそうな名前だなと思ったくらいです。イイヌマタツジ。新沼謙治。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

岩田剛典『崖っぷちホテル!』視聴率は7.8%安定も「崖っぷちにいるんじゃなく、すでに……」

 日本テレビ系の日曜ドラマ『崖っぷちホテル!』も第8話。視聴率は7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、だいたいこのへんで安定です。

 このドラマについては、ちょっと甘いし、ゆるいところもあるけど、基本的には「気持ちのいいコメディですね」といった感じで紹介してきました。岩田剛典演じる主人公のニコニコワクワクホテルマンは愛嬌があってかわいいですし、彼が起こした奇跡の数々も、脚本家の性根のよさが表れていて好印象ですし、戸田恵梨香、渡辺いっけいほかキャスト陣も安定したお芝居で楽しませてくれるし、野性爆弾・くっきー、チャド・マレーン、宮川大輔の吉本芸人3人も、嫌味なく物語世界に溶け込みつつ、しっかり面白い。軽妙な中にも、それぞれのキャラクターに苦悩があって、克己がある。“崖っぷち”からの復活を目指すホテルそのものも、その存在としての魅力を振りまいている。

 なので、まあぶっちゃけ第7話からアレだなとは思っていたのですが、この第8話には驚きました。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

■うんこ!

 はい、うんこ。全然面白くない。気持ちもよくない。驚くほどに。

 前回のレビューで「物語の底が抜けた」と書きましたが、底が抜けたまま『崖っぷちホテル!』は最終回に向けて走り出したようです。例えるなら、映画『バトル・ロワイアル』からの『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌』のようなものです。もう物語は終わっているのに、登場人物たちが無理やりカメラの前に引きずり出されているような感触。ホテル・グランデ・インヴルサの再生をわりと本気で願ってきた私のような良心的な視聴者には、全然関係がない、意味がない、リアリティもない、誰の魂も乗っていない、まるでホテルの抜け殻の中で人間の抜け殻たちが蠢いているような、薄気味の悪い1時間となりました。

 これまでは作劇のパターンとして、ある問題が勃発すると、宇海くんがその解決に当たるべき担当者を指名し、その担当者の「本音」と「本気」を引き出すことで問題を解決するとともに、意識を改革するというものでした。

 この「本音」と「本気」を引き出す宇海くんの“導き”の見事さと、それに伴って語られるホテルマンとしての理念と誇り、そして従業員それぞれに対する優しさと思いやりが、『崖っぷちホテル!』の感動ポイントだったのです。「能力があるけど、やる気がない」彼らが、ひとりずつ、生き生きと働くようになっていく。誰もが、人として再生していく。そうしてホテルがひとつになっていく。なぜなら、ホテルは人だから……みたいな、そういうとこが気持ちよかったんです。

 しかし、従業員全員がホテルを愛し、ホテルをよりよくするために全力を尽くすと決心してしまったドラマには、もう課題がありません。宇海くんが意識改革を完遂してしまったのが、第6話まで。第7話で“最大の敵”として登場した前支配人(佐藤隆太)も、みんなで力を合わせてやっつけました。もうグランデ・インヴルサに、心配事は何もないのです。崖っぷちにいるんじゃなく、すでに崖を登りきっているのです。

 で、今後何をするんだろうと思って待っていたのが第8話。

 なんか突飛な設定の外国人が登場し、適当に課題が建て増しされ、適当に解決されました。宇海くんの“導き”も、もうその心に寄り添うべき従業員はいないので、単なるノウハウの伝授にすぎません。答えを直接教えちゃったらドラマにならないから、なんとなくヒントっぽいものを与えて、よく訓練された従業員が正解を出す。しかも、ヒントと正解も、全然ピンとこない。

 外国人の客が「ベッドメイクができてない!」と不満を述べ、宇海くんが「ワクワク働こ!」と言い、フロントマンがベッドにハスの葉をばら撒く。客、満足。

 何それ。

 客が「部屋に大きいテレビを持ってきて」と注文し、なぜか客室係がなかなか持っていかず、宇海くんが「ワクワク働こ!」と言い、頼まれてもない母国の衛星放送(?)の契約をする。客、満足。

 何それ。

 ちゃんと具体的な希望を述べない客のコミュニケーション不全にも共感できないし、従業員たちの異常な察知能力(もはやテレパシー)にも共感できない。出来の悪いクイズ番組で、八百長で答えを知っている回答者を見ているみたい。

 最後は停電になって、寄せ鍋を食わせて、客満足。何それ。しらねーし。全部おめーらの都合だし。

■唯一、残っていた財産も雑に処理されました。

 第2話のレビューで、こんなことを書きました。

「また、ここまでスーパーポジティブなハルちゃんにも今後、波乱が訪れるとすれば、それは物語の大きな振り幅になると思います。中盤の盛り上がりを支えるのは、もしかしたらハルちゃんかもしれません。」

 ホテルが再生を目指す中で、唯一、宇海の薫陶を必要としなかったのが、若き天才シェフのハルちゃん(浜辺美波)でした。最初から才能にあふれ、やる気にあふれていたハルちゃんは、ともすれば宇海とともに“導き”を与える側ですらあったわけです。

 だからこそ、ハルちゃんの内面(あるいは暗黒面)が描かれることがあるとするなら、それはドラマにとって大きな展開を生む要素になり得ると感じていたのです。それは、『崖っぷちホテル!』に残された、数少ない財産だったと思うんです。

 それも今回、いかにも雑に処理されました。「元気印だって、落ち込むことはあるのよね」みたいな2~3のセリフ、数分のシーンでパパッと描かれ、ドラマそのものの都合に飲み込まれていく。展開の「役割」に埋没していく。ハルちゃんという一人の人物が「殺された」とさえ感じられる、残酷な処理。

 こっちもすごく雑な言い方をさせてもらえば、三谷幸喜はこんなことしないんですよ。物語上の役割が終わったキャラクターにも、最後まで寄り添おうとするんです。そういうとこだと思いますよ。次回もきつそうだけど、最後まで頑張ります。頑張りましょう。はい。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

『Missデビル』木村佳乃の無駄遣いの理由が明らかになるも、設定に無理がありすぎ!?

 菜々緒が“悪魔”と称される冷徹な人事コンサルタント役を演じるドラマ『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』(日本テレビ系)の第8話が2日に放送され、平均視聴率7.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.2ポイントダウンとなってしまいました。

(前回までのレビューはこちらから)

 その前回ラスト、自宅で縣雄二(大高洋夫)に襲われた椿眞子(菜々緒)。どうやら眞子は、幼少期に父親が経営していたホテル・アックスが全焼し、その時に契約していた共亜火災保険の偽装により保険金が下りず。それを苦にして父親が自殺した、という過去があるようなのです。

 そして、その偽装に関わったのが、現社長の大沢友晴(船越英一郎)と現人事部長の伊東千紘(木村佳乃)、さらに当時、共亜火災と契約していた調査会社の社長・縣だったのです。

 眞子は彼らの不正を暴き、復讐を遂行するために共亜火災へ潜り込んだ。そして、不正の証拠となる写真を盗み出したために、縣が取り返しに来たというわけだったのです。

 というわけで今回は、眞子が縣に羽交い絞めにされ、喉元にナイフを突きつけられたところからスタートしたのですが、眞子は護身術を使い、あっさり撃退してしまいました。

 その翌日、斉藤博史(Sexy Zone・佐藤勝利)は眞子から、秘書部で新人研修を受けるよう命じられるのですが、そんなことより気になるのは同期の藤堂真冬(白石聖)のこと。真冬は、父・悟が倒れたため介護離職しようとするものの、悟からは退職を反対されて困っているというのです。

 真冬に密かに想いを寄せる博史は、親身になって相談に乗ろうとするのですが、「生ぬるい優しさ、イラっとする」と、逆に怒らせてしまう事態に。

 そんな折、父・修(鶴見辰吾)とケンカして家出した妹・茜(関屋利歩)が突然、会社に姿を現し、博史は驚き慌てます。すると、そこへ通りかかった千紘が、会長・喜多村完治(西田敏行)の部屋へ行くことを提案。そこで喜多村から、子を想う親の気持ちを諭されたため、茜は家に戻ることを決めるのですが、真冬の父親もまた、娘を想ってこそ退職に反対しているのではないかと気づき、博史は真冬のもとへ駆けつけます。

 真冬は博史の説得を聞き入れ、「ちゃんと仕事と向き合ってみる」と心変わり。この件は落着となりました。

 しかし、安心したのも束の間。眞子に呼び出された博史は、修と大沢が懇意であることや、会社ぐるみの陰謀に巻き込まれ、家族にも危険が迫っていることを知らされるのです。

 するとそこへ、ナイフを持った縣が再び登場するのですが、またもや眞子に返り討ちにされ、ハイキックでノックアウトされてしまいます。

 時を同じくして、会長室では喜多村と大沢と千紘の3人が面会。ホテル・アックスの件を含め、犯罪まがいのことをしている大沢を喜多村が咎めるのですが、大沢は逆ギレ。 日頃から喜多村が“社員は家族”を口癖にしているくせに、実の娘を捨てた過去があることを指摘した上で、その娘が千紘だと暴露するのです。千紘が、寝耳に水状態になったところで、今回は終了となりました。

 これまでの放送では、博史が研修先でトラブルに直面し、それを眞子が解決する、というのがお決まりのパターンでした。しかし今回は、真冬の離職問題がメイン。というよりも、眞子の過去の秘密も含め、いっぺんにいろいろな情報を詰め込み過ぎた結果、働き方改革に対して一石投じようとした前回以上に薄っぺらい回となってしまった印象です。

 結局のところ眞子は、修と大沢の関係を伝えたいがため、博史を秘書部へ送り込んだのだと思うのですが、よく大沢が許可したな、と不思議に思いました。大沢はすでに、眞子が復讐のため共亜火災に潜り込んだことに気づいている様子ですから、脇が甘すぎるんじゃないかと感じたのです。それとも、拒否したら怪しく思われると気を遣ったのでしょうかね。

 不用心なのは、縣に二度も命を狙われる失態を犯した眞子も同じです。ハイキックで成敗した後、博史の方を振り向き、「これでわかったでしょう? 明確な危機が迫っているんです」と、博史の家族の身に危険が迫り、用心するようキメ顔で諭すのですが、説得力は微妙。縣にしても、一度負けた相手に正面切って襲い掛かるという学習能力のなさ。なんだか笑えるシーンでした。

 しかし、なんといっても今回、一番の衝撃だったのは、千紘と喜多村の血縁関係の発覚。これまで千紘は、ちょこちょこっと出番がある程度だったので、木村佳乃の無駄遣いではないか、それほど名前の売れていない女優でもいいのでは? と思っていたのですが、こんな秘密があったんですね。ただ、これが物語にどのような影響があるのかよくわからない。とってつけたような設定にも思える。大体、西田敏行の娘が木村佳乃って、ドラマ内の設定とはいえ、かなり無理があるんじゃないですかね……。

 何はともあれ、残すところあと2回。眞子は復讐を遂げることができるのか、注目したいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『Missデビル』木村佳乃の無駄遣いの理由が明らかになるも、設定に無理がありすぎ!?

 菜々緒が“悪魔”と称される冷徹な人事コンサルタント役を演じるドラマ『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』(日本テレビ系)の第8話が2日に放送され、平均視聴率7.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.2ポイントダウンとなってしまいました。

(前回までのレビューはこちらから)

 その前回ラスト、自宅で縣雄二(大高洋夫)に襲われた椿眞子(菜々緒)。どうやら眞子は、幼少期に父親が経営していたホテル・アックスが全焼し、その時に契約していた共亜火災保険の偽装により保険金が下りず。それを苦にして父親が自殺した、という過去があるようなのです。

 そして、その偽装に関わったのが、現社長の大沢友晴(船越英一郎)と現人事部長の伊東千紘(木村佳乃)、さらに当時、共亜火災と契約していた調査会社の社長・縣だったのです。

 眞子は彼らの不正を暴き、復讐を遂行するために共亜火災へ潜り込んだ。そして、不正の証拠となる写真を盗み出したために、縣が取り返しに来たというわけだったのです。

 というわけで今回は、眞子が縣に羽交い絞めにされ、喉元にナイフを突きつけられたところからスタートしたのですが、眞子は護身術を使い、あっさり撃退してしまいました。

 その翌日、斉藤博史(Sexy Zone・佐藤勝利)は眞子から、秘書部で新人研修を受けるよう命じられるのですが、そんなことより気になるのは同期の藤堂真冬(白石聖)のこと。真冬は、父・悟が倒れたため介護離職しようとするものの、悟からは退職を反対されて困っているというのです。

 真冬に密かに想いを寄せる博史は、親身になって相談に乗ろうとするのですが、「生ぬるい優しさ、イラっとする」と、逆に怒らせてしまう事態に。

 そんな折、父・修(鶴見辰吾)とケンカして家出した妹・茜(関屋利歩)が突然、会社に姿を現し、博史は驚き慌てます。すると、そこへ通りかかった千紘が、会長・喜多村完治(西田敏行)の部屋へ行くことを提案。そこで喜多村から、子を想う親の気持ちを諭されたため、茜は家に戻ることを決めるのですが、真冬の父親もまた、娘を想ってこそ退職に反対しているのではないかと気づき、博史は真冬のもとへ駆けつけます。

 真冬は博史の説得を聞き入れ、「ちゃんと仕事と向き合ってみる」と心変わり。この件は落着となりました。

 しかし、安心したのも束の間。眞子に呼び出された博史は、修と大沢が懇意であることや、会社ぐるみの陰謀に巻き込まれ、家族にも危険が迫っていることを知らされるのです。

 するとそこへ、ナイフを持った縣が再び登場するのですが、またもや眞子に返り討ちにされ、ハイキックでノックアウトされてしまいます。

 時を同じくして、会長室では喜多村と大沢と千紘の3人が面会。ホテル・アックスの件を含め、犯罪まがいのことをしている大沢を喜多村が咎めるのですが、大沢は逆ギレ。 日頃から喜多村が“社員は家族”を口癖にしているくせに、実の娘を捨てた過去があることを指摘した上で、その娘が千紘だと暴露するのです。千紘が、寝耳に水状態になったところで、今回は終了となりました。

 これまでの放送では、博史が研修先でトラブルに直面し、それを眞子が解決する、というのがお決まりのパターンでした。しかし今回は、真冬の離職問題がメイン。というよりも、眞子の過去の秘密も含め、いっぺんにいろいろな情報を詰め込み過ぎた結果、働き方改革に対して一石投じようとした前回以上に薄っぺらい回となってしまった印象です。

 結局のところ眞子は、修と大沢の関係を伝えたいがため、博史を秘書部へ送り込んだのだと思うのですが、よく大沢が許可したな、と不思議に思いました。大沢はすでに、眞子が復讐のため共亜火災に潜り込んだことに気づいている様子ですから、脇が甘すぎるんじゃないかと感じたのです。それとも、拒否したら怪しく思われると気を遣ったのでしょうかね。

 不用心なのは、縣に二度も命を狙われる失態を犯した眞子も同じです。ハイキックで成敗した後、博史の方を振り向き、「これでわかったでしょう? 明確な危機が迫っているんです」と、博史の家族の身に危険が迫り、用心するようキメ顔で諭すのですが、説得力は微妙。縣にしても、一度負けた相手に正面切って襲い掛かるという学習能力のなさ。なんだか笑えるシーンでした。

 しかし、なんといっても今回、一番の衝撃だったのは、千紘と喜多村の血縁関係の発覚。これまで千紘は、ちょこちょこっと出番がある程度だったので、木村佳乃の無駄遣いではないか、それほど名前の売れていない女優でもいいのでは? と思っていたのですが、こんな秘密があったんですね。ただ、これが物語にどのような影響があるのかよくわからない。とってつけたような設定にも思える。大体、西田敏行の娘が木村佳乃って、ドラマ内の設定とはいえ、かなり無理があるんじゃないですかね……。

 何はともあれ、残すところあと2回。眞子は復讐を遂げることができるのか、注目したいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『あなたには帰る家がある』中谷美紀一家の絆再生シーンに「感動しない」「脚本家ゴミ」と視聴者大激怒!

 中谷美紀が主演するドラマ『あなたには帰る家がある』(TBS系)の第8話が6月1日に放送され、平均視聴率は7.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.3ポイントの大幅ダウンとなりました。

 前回でついに離婚した真弓(中谷)と秀明(玉木宏)。その2人が娘のことで悩むというのが今回の内容だったのですが、ネットでは、「ありえない展開が多すぎ!」「脚本家変わった!?」という声が放送中から上がり、途中離脱する視聴者が続出。詳細については後ほど解説しますが、この件が大幅なダウンに繋がった要因のひとつなのかもしれません。

 それでは、今回もあらすじから振り返りましょう!

(これまでのレビューはこちらから)

■“親の離婚”で苦しむ娘に両親が立ち上がる!

 ついに、離婚した真弓と秀明は、お互い別々に暮らし始め、清々しい新生活を楽しんでいた。そんな中、真弓は一緒に暮らす娘の麗奈(桜田ひより)から、突如、「学校を辞めたい」と言われ困惑。秀明に相談しようと思う真弓だったが、「離婚したし、秀明に頼らず一人で解決しよう」と決意する。

 修学旅行の見積もりを届けに太郎(ユースケ・サンタマリア)に会った真弓は、娘の問題を相談したところ、上から目線の発言をされる。それに腹を立てた真弓は、綾子(木村多江)が必ず帰ってくると信じている太郎に、今の態度のままだと綾子は帰ってこないだろうと一喝し、その場を立ち去った。

 一方その頃、麗奈が学校を辞めたがっていることを知った秀明は、麗奈の帰り道を待ち伏せ。麗奈に会った秀明は「学校辞めたいのはなぜか」と聞くも、麗奈に逃げられてしまう。

 翌日、陸上県予選に出場する麗奈を応援に来た真弓と真弓の母親の弥生と秀明。ところが麗奈は目前で逃げてしまう。ようやく見つけた麗奈の口から出たのは、家族の一件が周囲にバレ、励ます言葉に答えるのがつらいということ。「もう頑張れない」と泣く麗奈に、真弓は娘のためを思ってやっていたことが、逆に娘に気を遣わせたことに気付く。

 一方、麗奈の悩みの元凶が自分であることを知った秀明は麗奈との面会日に、真弓とは違う形で麗奈に向き合おうと考える。しかし面会当日、優しく接してくる秀明に対し、麗奈は反発し続ける。そんな中、秀明は麗奈に「陸上を頑張ろう」と諭す。だが、麗奈は拒絶し、その場から逃げ出す。そんな麗奈を秀明は追いかけ、お互いの気持ちを言い合う。すると、そこに真弓も加わり、家族の絆が久しぶりに戻ることに。

 翌日、真弓の家に届いた秀明宛ての郵便物を届けに秀明のアパートへ向かった真弓。玄関前で秀明とばったり会い、話をしていると、なんと部屋の中から綾子が現れ、真弓は動揺。その一部始終を太郎は遠くから見ているのだった、というのが今回の内容でした。

■綾子ついに犯罪の道へ!

 これまで視聴者に恐怖を与えてきた「綾子事変」。しかし今回、佐藤家の絆の再建が主軸となっていたため、秀明と結婚の約束もしていないのに、ハローワークで「結婚が決まっているので」と言ったり、ずぶ濡れで秀明の住むアパートを訪れて着替える姿を見せたり、古びた食堂で働いているのに秀明には「お客にお酒を出す仕事だから慣れなくて」と言って心配させようとしたりと、イライラはするものの、これといって、叫びたくなるようなシーンはなくトーンダウン……。

「今週は『綾子事変』はないのか〜」と残念に思っていたのですが、なんと綾子は、秀明のアパートの合鍵を見つけ、これを持ち去ってしまうという罪を実行してしまったのです。これには、視聴者からも「おい、それは窃盗罪だぞ!」というツッコミが殺到。

 ストーカー規制法にも触れ、その上、窃盗罪までしていますから、逮捕されてもしょうがない女となってしまった綾子。あと2話でどんな狂気を見せてくれるのか、本当に楽しみです。

■娘役の桜井ひよりに賞賛の声

 同ドラマは演技力がある俳優で固められており、毎回主要人物を演じる4人に対し「演技がうまいから安心して見られる!」との声が上がっているのですが、今回は娘役の桜田の演技に賞賛の声が続々と上がっていました。

 特に、陸上県予選の会場で同じ陸上部員たちから、両親の離婚を話しのネタにされ、つらくて逃げ出し、泣きながら本音を明かすシーンでは「こっちも泣けてくる!」「麗奈のつらさが伝わってくるわ〜」という声が上がっていたほか、面会日に秀明を軽蔑し、泣き出すシーンには「本当に怒っているように見える!」「泣きの演技の迫力がすごい!」との声が。

 2011年公開の映画『はやぶさ/HAYABUSA』で成田ひのり名義で女優デビューし、『明日、ママがいない』(日本テレビ系)のピア美役で共演の芦田愛菜に負けない演技力を発揮し注目されただけある! まだ15歳という若さですが、ウィキペディアにはすごい数の出演作が書かれており、スタッフからも評価されているよう。桜井が“ポスト安達祐実”と呼ばれる日もあるかもしれません。

■ご都合主義のストーリーに悪寒を感じる人が続出

 不倫をテーマにしているだけあって、いつもはハラハラドキドキする展開があるのですが、今回はちょっと趣向を変えて“家族の絆の再生”が主軸に。しかし、視聴者からは「は? 何これ?」「全然感動しない」「脚本家ゴミ!」といった散々な声が上がっていました。

 特に多かったところは、面会日に秀明を軽蔑するあまり、逃げ出す麗奈を追いかける秀明、そんな2人を見掛け、真弓も追いかける、というシーン。踏み切りの遮断機が下がってきてしまい追いかけられなくなった秀明が、線路の向かい側にいる麗奈に「頑張れ~頑張れ~」といきなり応援し始め、さらに真弓もそれに加わるという内容なのですが、あまりにも唐突過ぎて、「このシーンはあり得ないな」「これ感動シーンのつもりなの!?」「違う、こんなの求めてない」「親のせいでズタボロやのに 頑張れ頑張れって鬼畜すぎるだろ……」といった批判的な声ばかり。誰ひとり「感動した!」「家族の仲戻ってよかったね!」とは言っていませんでした。

 また、秀明が不倫し離婚に至った経緯を学校中に広めた親友と麗奈が和解するシーンでは、麗奈が「なぜ、秘密といったのにバラしちゃったの?」という質問を親友にするのですが、これに親友は「ごめん。ごめんね」としか言わない。それなのに麗奈は許して和解するんです。これ、おかしいですよね。だって質問に親友は答えてないのに、なぜ許せるんでしょうか? 麗奈は親友がバラしてしまったために、悩んで苦しんで、県予選もバックレたんですよ。相当怒っているはず。なのに、すぐ仲直りするのはおかしすぎ。時間の都合かもしれませんが、ご都合主義すぎて、視聴者はドン引きしていました。

 いつも重い展開ばかりなので、ここでちょっと家族の話でブレイクタイムという制作側の思惑があったのかもしれませんが、あまりにも内容がご都合主義すぎてしまい逆効果。不倫ドラマがもともとのテーマですから、こういう家族再生はすべてが片付く最終回の残り3分の1ぐらいで十分。不倫ドラマとして楽しんでみていた視聴者にとって今回は、拷問だったようです。

 以上、8話のレビューでした。

 次回、ついに4人が集まり、直接対決となるようです。一体どんな話し合いが繰り広げられるのか。綾子は目を覚ますのか……。同ドラマの重要な回となりそうですので、放送を期待して待ちましょう!

(どらまっ子KOROちゃん)

『モンテ・クリスト伯』9週目で打ち切り? 口から液体を吐きながら白目で倒れる様子は「まるでエクソシスト」

 海外の古典の名作を現代の日本を舞台に焼き直した『モンテ・クリスト伯 ─華麗なる復讐─』(フジテレビ系)も次週が最終回。9話での最終回に「打ち切りか?」と思われたが、次回は2時間スペシャルとのことで、ほぼ同じボリューム。視聴率も今回7.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)とアップしているので、次週、有終の美を飾ってほしいところ。

 無実の罪で投獄され、後に脱獄、手に入れた巨額の富と知識を武器に、自分をハメた友人らへの復讐に燃える主人公のモンテ・クリスト・真海を演じるディーン・フジオカは、世間から浮いた雰囲気が見事にハマり、現実感のない胡散臭さがよく似合う。褒めてます。

(前回までのレビューはこちらから)

■死んでいなかった南條

 かつて、嘘の通報で真海が投獄されるきっかけを作った南条幸男(大倉忠義・関ジャニ∞)は、その真海から奪った最愛の妻・すみれ(山本美月)に嘘がバレたあげく、香港での修行時代に殺人事件に関与していることもバラされ、首を吊った。これが前回まで。

 しかし今回、その事件の被害者の娘・エデルヴァ(南条幸男のマネジャー江田愛梨/桜井ユキ)が直後に縄を切り、助けていたことが判明。原作では南条に当たるフェルナンは、真実をバラされ、妻と息子(ドラマでは娘だが)に出て行かれ自害、という展開なのだが、ここまで原作に基本忠実なだけに、当然今回も展開を予想してくるであろう原作ファンを裏切り、ほくそ笑む脚本家の顔が目に浮かぶ。果たしてこの「裏切り」は「裏切り」のままなのか?

 南条を助けたことを復讐仲間(仲間というより上司に近い)の真海に激怒されるエデルヴァ。窓ガラスを割るほど激昂する真海。

「この瞬間のために生き永らえてきたのではなかったのか!?」

 助けてしまった理由は、南条の娘・明日花からの電話で情が湧いたからということらしく、かつて親を殺された自分に置き換えてしまったのだろう。

 手切れ金として100億円(!)の小切手を渡されたエデルヴァが、真海に問う。

「真海さんは復讐が終わったらどうするつもりなんですか?」

「幸せにはなれないんだと思います、人を不幸にしても!」

 真海に想いを寄せるエデルヴァは、真海の行く末を本気で心配しているようだ。

 しかし、同じ「傷」を持つエデルヴァに裏切られた(と感じた)真海は、昏睡する南条の病室に忍び込み、薬殺しかける。

 それに気づいたすみれは必死に真海を止めつつ「どうしても殺したいなら私がやる」と言い切る。

 かつて真海を待てず南条の元へ行ってしまったという大きな罪悪感が、彼女をそうさせるのだろう。

 真海は、すみれだけは復讐に巻き込まないようにしていたはずだが、嫉妬の炎に火がついたようで、「そんなに幸男が大切か?」「だったらお前がやれ」と注射器を手渡し立ち去る。

 すみれは「暖にそんなことさせたくないから」と、かつての夫「暖」として接しているが、真海は以前なら絶対言わなかったであろう「お前」呼びのままで、かなり距離がある。

 結局、すみれはその薬を使って幸男を殺しかけるのだが、目覚めた幸男はすみれを羽交い締めにして「俺を殺したいんだな?」とブチ切れ。

 すみれも「明日花がいなければね」と本音をぶつけ合う。このまま南条が真海の元に乗り込んでくるようだが、目覚めた幸男は前より悪人度が増しているようで、この辺の展開は完全にドラマオリジナル。いまいち悪人度が低かった幸男がレベルアップしたことで、次週どうなるのかが楽しみだ。

 

■真海の正体を知って反撃に出る極悪・入間

 残りの復讐相手である警察官僚の入間公平(高橋克典)と不動産屋の神楽清(新井浩文)も、かつて自分たちがハメて投獄した紫門暖が真海であることに確信を持ったようで、潰そうと動き出す。原作では、勘づくくだりは一切ないので、ここもオリジナルな展開。

 公平はすぐさま指紋から真海が紫門暖であることを特定、ラデル共和国からの脱獄犯として警察の管理下に身柄を置くと宣言。

「復讐ごっこは終わりだよ、お前の負けだ、紫門暖」

 100パーセント確信犯で真海をハメた極悪人なのに、警察官僚という立場にいるからか、まったく罪の意識なく上から目線で脅してくる公平。

 圧倒的優位から顔をくしゃくしゃにして、真海を見下しながら笑う公平の様子は、相当なクズっぷりが滴り出ており、最高。

 しかし、過去に公平が不義の子を庭に埋めた際の目撃者(秘書の土屋/三浦誠己)がいると告げられると、あっさり形勢逆転、指紋の照合結果をもみ消すことに。

 しかも、その子がまだ生きており、その子の母である神楽留美(稲森いずみ)が現在入れ込んでいる安藤完治(葉山奨之)だと知って驚く公平。留美に安藤は危険だから離れるようにと忠告するが、寺角(渋川清彦)を埋めてから頭のネジが飛んでしまったような留美は、むしろ及び腰な安藤をぐいぐい引っ張るほど頼もしく、「第2の人生」を謳歌しているかのよう。

■真海が渡したのは毒なのか?

 唯一、真海が心を許しているのは、恩人・守尾英一朗(木下ほうか)の息子・真一朗(高杉真宙)だけなのだが、真一朗が公平の娘・美蘭(岸井ゆきの)と付き合っていることを知った真海は悩んだ末、美蘭を助けようと動く。

 公平の妻・瑛理奈(山口紗弥加)は血のつながっていない美蘭を毒殺し、血のつながっている長男・瑛人(宇都宮太良)に遺産が回るよう狙っている。それを知っている真海は、解毒剤らしきものを真一朗に渡し、何かあったら美蘭に飲ませるように伝える。

 案の定、瑛理奈の毒入りレモネード(原作と同じ飲み物)を飲まされた美蘭は倒れ、真一朗はさっそく真海に渡された解毒剤を飲ませる。これで一安心かと思いきや、静かに鼻血を垂らしながら、口から液体を吐き、白目を剥きながら倒れる美蘭。これがなかなか踏み込んだ描写で、エクソシスト並み。

 慌てて病院へ駆けつけ、脳に後遺症が残ると医師に告げられた失意の公平に、自分が毒を飲ませたからだと土下座する真一朗。激怒した公平は屋上から真一朗を突き落とそうとするが、医師が止めていなかったら本当に突き落としていただろう。美蘭の実の母や婚約者(出口)が死んだ時と同じ毒だと言われてるのに、自身の出世のため、またしても公にしようとしない公平。しかし、その医師は真海とアイコンタクトらしきことをしており、どこかから寄贈された古い時計も意味ありげにアップになるなど、またしても真海の手の内では……? な展開。

 

■都合良すぎだと感じてしまう展開

 一方、留美に金を使い込まれ、金に困った神楽はヤミ金っぽい組織(F&Dファイナンス)から金を借りるが、その直後、秘書の牛山(久保田悠来)に頭突きをされ、ヤミ金社員にも殴られ、気を失い牢獄のような場所に監禁される。

 どうやらこの牛山もただの秘書ではなさそう。牛山はドラマオリジナルだが、それぞれの復讐相手が勝手に自滅ぎみの過去を抱えているというのは原作通りで、読んでいて多少「都合よすぎでは?」と感じてしまうのだが、これは根底にキリスト教の原罪に通じる考え方(己の罪に気づく)に沿う部分があるからだろう。

 なので、復讐相手に限らず登場人物はそれぞれに「罪」を抱えており、ドラマでは宗教観に頼らずどう「落とす」かが最終回の鍵となるだろう。

 ドラマのラスト、真海の元に戻ってきたエデルヴァは、手切れ金として渡された小切手を破き、飲み込もうと口に入れるが、飲み込めない。

「ずいぶん贅沢な朝食だな?」と皮肉を言いつつ、「スープ飲むか? 一緒に」と振り返り微笑む真海。最高のツンデレ。口から紙切れをはみ出させ、無様に涙しながら笑うエデルヴァ。エデルヴァを許した真海の心理が、次週どう影響するのか?

 今回、公平の父・貞吉(伊武雅人)と真海が五十音表を使って会話していた内容も明かされるであろう2時間スペシャル、是非お見逃しなく。
(文=どらまっ子HARUちゃん)