『花のち晴れ』松田翔太の登場に沸くも、最終回を前に視聴者のフラストレーションは最高潮!?

 今夜ついに最終回を迎える、火曜ドラマ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系)。念のため触れておきますが、先週放送の第10話の視聴率は、5.2%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)という悲惨な結果でした。同時間帯にはサッカーW杯日本代表の初戦となるコロンビア戦(後半)がNHKで生中継されていましたから、致し方ない結果でしょう……。

 前回(参照記事)、晴(King & Prince・平野紫耀)の父・巌(滝藤賢一)の提案により、天馬と柔道・剣道・弓道の3種目で勝負をすることになった晴。今話では、いよいよその戦いが幕を開けます。大事な一戦はロシアだけでなく、ドラマの中でも行われていたのです。さらには、前シリーズの『花より男子』から、松田翔太演じる「F4」西門総二郎も登場し、Twitterでは「#西門さん」「#西門総二郎」がトレンド入りするなど、W杯の陰で盛り上がりを見せました。ということで、最終回前の予習がてら、今回もあらすじから振り返っていきましょう。


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■紺野さんが視聴者の気持ちを代弁

 晴に抱きしめられたことで、晴のことが好きだとやっと認めた音(杉咲花)。でも、「これで終わりにする」と自分の気持ちには蓋をして、天馬(中川大志)とちゃんと向き合いたいという音に、紺野さん(木南晴夏)は厳しく言います。

「音っちは結局、自分が傷つくのが怖いだけじゃん。周りのことばっか気にして、自分の気持ち後回しで、結局どっちつかずで、そういうのが一番人を傷つけてるって分かんない!?」

 まさにその通り。冒頭から紺野さんが全視聴者の気持ちを代弁してくれました。でも、幼いころから一緒に過ごしてきた天馬くんとの時間を失いたくないと、紺野さんの愛のこもった説教を無視して音は天馬の元へ。晴の試合も、天馬くんを応援すると約束するのでした。

 そんないつまで経っても踏ん切りがつかない音とは対称的に、晴はメグリン(飯豊まりえ)を呼び出し「どうしても江戸川が好きだ」「俺と別れてくれ」と土下座。音をかけて天馬と勝負し、負けたら音を諦めて父の言うとおりにすると約束したことを伝えます。そんなことをされたら一気に熱が冷めそうなものですが、一途なメグリンは「私にもまだチャンスがあるはず」と、晴と別れる気はないようす。どこまででも健気です。いっそのこと天馬とメグリンがくっつけばいいのに……。もちろん冗談ですが。

 

■松田翔太の壁ドン&アノ人の名前も

 柔道・剣道・弓道の3種目で全国チャンピオンの腕前を持つ天馬と勝負する晴、どう考えても無謀ですが、音だけは晴が勝つかもしれないと信じていました。そしてそんな音に感化されたC5メンバーは、筋肉キャラで武道に長けている杉丸(中田圭祐)が道場の師範代を集めたり、頭脳明晰な海斗(濱田龍臣)がトレーニングプランを組んであげたり、愛莉(今田美桜)は筋トレに付き合ってあげたりと、晴に協力します。

 さらに、家が華道の家元である一茶(鈴木仁)は、家元仲間である「F4」メンバーの一人、西門総二郎を晴の弓道の先生として招き、道明寺オタクであり、「F4」にも強い憧れを抱く晴は大興奮。「仕方ないよ、俺カッコいいから」というナルシスト発言も全然嫌味に聞こえないし、若干お年を召された感はありますが、悪い意味ではなく、さらに色気が増した印象です。左肩を出した「肌脱ぎ」と呼ばれる弓道着姿がたまらなく色っぽくて、晴同様、視聴者は大興奮だったこと間違いなしです。はい。

 西門さんの指導のおかげで、最初は弓を持つことすらままならなかった晴も、的まで弓を飛ばすことができるように。偶然、天馬の付き添いで練習場を訪れた音は、そんな晴の姿に思わず口元が緩みます。そして晴の想い人が音だと気づいた西門さんは、「最後までその気持ちに真正面からぶつかっていけよ」「人生、一期一会だ」と、おなじみの台詞で背中を押します。

 そして、晴と音の姿に、かつての道明寺(松本潤)とつくし(井上真央)の姿を重ねたのでしょう。F4きってのプレイボーイでもある西門さんは、音に壁ドンをしてからかいつつも、「君とあいつを見て思っただけ。歴史は繰り返されるなぁって」とポツリ。おなじみのハーレーにまたがり、「もしもし あきら?」と電話をかけ、「今すっごい面白いことあってさ」と楽しそうに報告します。この「あきら」とはもちろん、「F4」メンバーの美作あきら(阿部力)。残念ながら本人の出演はありませんでしたが、原作でもあきらが登場するのはまだまだ先のこと。そのほかにも西門さんの口から道明寺や花沢類の名前も登場しましたし、『花男』ファンにとってはたまらない演出だったかと思います。スタッフさんの愛を感じますね。

■自分の「しょーもなさ」に気がついた音

「好きな人に応援されたら嬉しいと思う」とメグリンに鈍感発言を浴びせた音。「それ音が言う?」と凍りついた表情のメグリンの心情たるや……。鋼のメンタルを持つメグリンもさすがに限界だったようで、晴と天馬が戦う本当の意味を音に打ち明けます。

「分かってるよね? 音が応援しなきゃいけない相手は誰なのか。天馬くんだよ?」

 ことあるごとに「しょーもない」と言ってきた音ですが、本当に「しょーもない」のは自分だとようやく気がつきます。天馬とちゃんと話そうと会いに行くと、彼は音にこう言います。

「神楽木とさえ離れれば、元の自分達に戻れる。音を幸せにするのは僕だ」

 この思いつめた天馬の言葉に、真面目で責任感の強い音は、自分が天馬を元に戻さなくてはと、天馬のそばにいることを決心するのでした。なんかもう、自分で自分の首を絞めてしまっているようにしか思えません。

 そうして迎えた晴と天馬の「武道三種 交流試合」。ルールは簡単、3番勝負で先に2番勝利したほうが勝ち。両校とも生徒が応援に駆けつけるなか、英徳の制服を着た音は、天馬の母・利恵さん(高岡早紀)と、母・由紀恵(菊池桃子)と一緒に、真っ白な制服に身を包んだ桃乃園の生徒たちに混じって天馬の応援に。会場には巌パパとメグリンの姿もあります。

 一回戦は柔道。響き渡る声援の中、いよいよ試合開始となりますが、天馬は容赦なく晴につかみかかり、あっという間に一本背負いを決めます。試合開始からほんの数十秒のことでした。挙句、手首を負傷してしまったようです。この後どうなっちゃうの……!?  というところで10話は終わりです。

 

■音へのイライラが最高潮に

 7話以降、晴と天馬くんの間を行ったりきたりして、ブレッブレな音ちゃん。冒頭の紺野さんのみならず、往生際の悪さに苛立っているのは、愛莉も同じでした。これまで音&晴推しだった愛莉ですが、9話でメグリンの一途さにかつての自分を重ね、音と晴を素直に応援できなくなってしまっています。

 そんなところに、メグリンと付き合っていたはずの晴が音のために天馬と戦うと聞けば、そりゃあ「だから最初っから愛莉は音だって言ってたのに!」と怒りたくなる気持ちもわかります。でも晴は「これ以上、自分に嘘はつけない」と、自分の弱さを認めた上で、気持ちに正直になることを選びました。

 一方の音はというと、自分の気持ちから逃げてばかり。でも、父の会社が倒産してからは、出稼ぎ中の父に代わって、世間知らずで根っからのお嬢様である母を支えながら、バイトをして苦しい家計を助けてきた音は、自然とそうなるしかなかったのかもしれません。婚約者である天馬と結ばれれば家計も今よりは楽になるだろうし、おまけに利恵さんは、音の父を化粧品部門の責任者として迎え入れ、家族3人で住める部屋も手配してくれるっていうし……。家族想いな音だからこそ、天馬のそばを離れられないんだと思います。

 それに、1話で紺野さんに暴言を言った晴を肉の塊で殴ったり、4話で家出をした愛莉を雨の中探しに行って助け出したり、カッコいい姿を見せてくれただけに、このところはウジウジしっぱなしで、良いところが全然でていなかった音。晴はとっくに腹をくくっているので、「私のためにケンカしないでー」なんてしょうもないことを言わず、自分の気持ちを1番にして行動してくれることを願いたいと思います。

 さて、いよいよ最終回。天馬信者の近衛(嘉島陸)による英徳や音への嫌がらせ事件も結局保留になったままだし、晴と天馬の勝負の行方を含めて、最後まで見守りたいと思います。きっと“晴エンド”でも“天馬エンド”でもネット上は荒れるんでしょうが……。

(文=どらまっ子TAROちゃん)

嵐・二宮和也『ブラックペアン』過去最高18.6%有終の美! それでも「続編は難しい」ワケとは

 日曜劇場『ブラックペアン』(TBS系)最終話の視聴率は18.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と過去最高を記録。全話平均も14.3%となり、今期ドラマではトップだそうです。7話目までは13%前後でしたが、ラスト3話で急上昇。有終の美を飾りました。

 前回のレビューで「ラスト3話だけ見とけば大丈夫だったんじゃ?」と書きましたが、はてさてホントにそうだったのでしょうか。最終話を中心に振り返ります。

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■面白かったー!

 今回は、いよいよ表題でもある『ブラックペアン』のお話。端的に言って、面白かったです。最終回、たいへん楽しめました。

 初回からたびたび登場していた、体内にペアンが残されたX線写真の謎。この謎が、ほぼ今回だけですべて紐解かれました。主人公の天才外科医・渡海征司郎(二宮和也)が上司の佐伯教授(内野聖陽)に抱いていた誤解と逆恨みも、スッキリ解消。その天才的な手技で佐伯教授の命を救うクライマックスも、たいへん盛り上がりました。

 ガジェットとしての「ブラックペアン」の処理も、比較的忠実に原作を再現していました。まだネット上の公式で無料で見られますし、最終回だけ見てもストーリーはおおよそ理解できると思いますので、興味があればチェックしてみてください。よくできたお話です。

 佐伯教授は、ブラックペアンが“医者が不完全である”ことの象徴だと言います。「医者は腕こそがすべて」だと言い続けてきた東城大佐伯外科チームのボスが、「腕だけでは治せない患者」のために用意していたのが、ブラックペアンでした。

 最終回にきて、初めて手術に失敗した渡海。患者の命を救うと同時に、ブラックペアンは医師としての渡海を救うことにもなりました。

■二宮和也が“悪魔”だった効果

 序盤から、このレビューではニノの愛嬌について「このドラマの長所」と書いてきました。“オペ室の悪魔”と呼ばれる孤高の天才外科医、どうにも低身長で猫背で童顔なニノには似合わない設定ですが、このニノの可愛げこそが作品を救っていると。

 最初のころにそう書いていたのは「渡海って、なんか暗くてジメジメしたキャラだし、手術に関しては超天才完璧超人すぎるから、顔とか立ち姿はキュートなほうがバランスが取れて、ちょうどいいよね」くらいの感じでしたが、最終回まできて、渡海が可愛いこともドラマにきっちり作用しました。

 渡海は最終盤になって「誤解に基づく恩讐に囚われて、師匠の命を危険にさらす」という、かなりヤバ目なところまで落ちてしまいます。佐伯教授はペアンを体内に残しましたが、渡海は病魔に倒れた佐伯教授の体内に、取れるはずの大動脈解離を残し、「いつ死んでもおかしくない」状態に置きながら脅迫するのです。

 そこから渡海はブラックペアンによる救いを得て回復していくわけですが、この医療従事者にあるまじき暴挙を犯した孤高の闇医者が、ニノのツルツルな童顔のおかげで「天才だが未成熟な人物」として浮き上がってくる効果がありました。絶対に手術を失敗しない外科医が(つまりは医療そのものが)“未成熟である”もしくは“完璧ではない”ことはブラックペアンをめぐるドラマそのものの主題となっていますし、だからこそこの作品の結末は、未来を感じさせるものとなりました。

 顔の見えない原作だと「その後、杳として行方がしれない」渡海に“終わった感”が漂っていたものですが、ニノなんか、まだまだガキンチョっぽいので、これからもっといい医者になりそうだなーと思えたのです。これは、原作以上に気持ちのいい余韻になりました。

■でもやっぱり、4話でよかった。

 というより、『ブラックペアン』は物語が4話分しかなかった、というのが今クール全体を通した印象です。1~6話はほとんど同じストーリーのループで、1話にまとめても差し支えありません。無理やり引き延ばしたせいで人物描写はブレにブレたし、高階講師(小泉孝太郎)と研修医・世良(竹内涼真)のような登場シーンの多いキャラクターほど、どこをどう飛んでどう着地したのか、その軌跡が見えにくくなってしまいました。前話で片づけたはずの問題が、1週間たったら解決していないことになっているケースも多く、2人とも芝居がよかっただけに、残念だった部分です。

 一方で、物語の進行にあまり関係のない、単なるキャラクターとして大いに光ったのがオペナース・猫田(趣里)でした。「渡海を支える」という役回りだけなのでキャラが立ちやすかった上、シナリオの進行によって人格がブレることがなく、終始、愛せる人物として画面の中で存在感を放ち続けることができました。同様の理由で、趣里ちゃんほどじゃないにしろ、キャラクターの良さを発揮したのが関川医師(今野浩喜)だったことも記しておきます。演出部が関川のキャラを気に入って便利に使っていることが、ありありと伝わってきました。

 いろいろ話題を振りまいたカトパンこと加藤綾子の治験コーディネーター役も、まずもって業界関係者からのクレームはカトパンの責任ゼロですし、お芝居も悪くなかったと思います。感情を豊かに表現した、というわけではないですが、感情を出さないクールな人物として成立していた、ドラマの邪魔になっていなかったと思います。あと、これも何度も書いていますが、顔面の美しさと年齢の感じが絶妙にハマってたと思う。いろんな偉い男性との食事シーンが何度もありますが、そのすべてで「食後のセックス」を連想させました。単なるお色気フェロモンとはまた違う、リアルなエロさというか、これは今後、カトパンが女優業を本格的にやるなら武器になると感じます。

■続編希望続々! だそうですが……。

 実際、面白かったし、最終回を前に視聴率爆上げ、しかも渡海は死んでませんので、ネット上では続編を期待する声が続々と上がっているそうです。

 でも正直、厳しいかなーと思います。

 原作者・海堂尊さんの一連のシリーズでは、数多くの作品が繰り返し映像化されていますが、田口公平が複数作品を横断して登場する『チームバチスタの栄光』シリーズとは違い、渡海が出てくるのはこの『ブラックペアン』だけです。

 また同作は、基本的に「ブラックペアンって、なんなの?」という疑問への答えが、ミステリーとしての仕掛けの帰着と、物語が抱いている思想の帰着の両方を担っています。いわば一本道なので、この先がありません。ならばドラマスタッフがオリジナルでシナリオを作ればいいということにもなりそうですが、1冊の小説から実質4話分しかドラマを抽出できなかった「渡海が主人公の『ブラックペアン』」を新たに12話分作るのは難儀でしょうし、実現したとしても今回の1~6話のような「水戸黄門スタイル」のループドラマにしかなり得ないと思います。

 海堂さんの小説の特色は、本職の医者が、実際の現場で抱いた医療の問題をエンタメに昇華していることにあります。作家が頭で考えたロジックではなく、現場のプロがその身をもって「やべえ」と感じていることを「どう世の中に伝えるか」というスタンスが少なからず入っているため、そのメッセージが実存的であり、強烈なのです。「プロの医者じゃなきゃ書けない小説」だからこそ売れたのであって、その続編を作る可能性があるとしたら、やっぱり海堂さん自身がまず『ブラックペアン2』を書くしかないよなぁと思います。

 どちらかというと、ニノが今後、渡海っぽいキャラを演じることのほうに期待したいです。そして、40歳50歳になって、内野聖陽くらい顔面にシワが刻まれたとき、どんな俳優になっているのか。そっちのほうが楽しみですねー。

 ではでは、今回はそんなところで。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

韓国編後半で意外なゲスト登場!『孤独のグルメ』肉の食べごろはいつなのか問題

『孤独のグルメ Season7』(テレビ東京系)は、引き続き韓国編。前回はセルフビビンパを楽しんだ井之頭五郎(松重豊)だったが、今回は待ってましたの焼肉。Season1から各シリーズごとに必ず1回は登場する(ホルモン焼き含む)ド定番人気メニューだが、本場はもちろん初。

 今回は韓国らしく、でかい肉をハサミで切り分けられつつも「おあずけ」に苦しむ五郎の姿が。第10話「韓国ソウル特別市の骨付き豚カルビとおかずの群れ」。

(前回までのレビューはこちらから)

■朝から「立ち食いそば」感覚でトッポギ

 韓国滞在2日目の朝。朝からやってるトッポギ屋台を発見。

 仕事前のサラリーマンやOLがさっと食べてさっと出て行く様子は、五郎の言う通り「日本の立ち食いそばみたいな感覚」のよう。

 トック(うるち米でできた長細い餅)をコチュジャン(唐辛子味噌)や砂糖で甘辛に炒めたものを熱々でいただく。

 どちらかというと甘めな印象だが、五郎が食べたものはなかなか辛いようで、魚のすり身らしき具も入っている。

 続いて揚げたてのティギム(天ぷら)も追加。イカやさつまいもに混じってキムマリ(春雨海苔巻き)の天ぷらもあり、五郎も気に入った様子。

 水を飲もうと迷っていると、隣で食べていた若者が「おでんのスープと一緒に召し上がるといいですよ」と紙コップにオデンの汁だけよそって手渡してくれた。原作のハードボイルドと違い、ドラマの五郎はかまってあげたくなる。

 あちらのおでんの具は波打つように串に刺された練り物がメインで、スープを紙コップで飲むのも定番のよう。

 どうやら練り物自体を「オデン」と呼ぶようで、前回のビビンパの回も、甘辛いタレにまみれた小粒の「オデン」がおかずの一品に混ざっていた。

 ちなみに、ベースとなる料理は以前からあったとの説があるが、「おでん」という名前は戦時中の日本統治下で広まったものらしい。釜山では以前は「カントウ」と言い、これも関西の「関東炊き」からきているという。

 

■襲い来る「おかずの群れ」

 無事、午前中で仕事も終え、ソウルで昼飯の店探し。

「朝、屋台飯だったからガッツリしたものを(腹に)入れたい」と五郎は力んでいたが、朝からトッポギと天ぷらは、なかなかに「がっつり」だと思う。

 そんな筆者の気持ちなど伝わるわけもなく、「がっつり系 ガツンと響く ソウル飯」と街角で一句詠みつつ店を探す俳人・五郎。

 そして見つけた庶民的な焼肉店。さっそく入店し、隣席で食べている肉を指差したりジェスチャーを交え「デジカルビ」と「白米」を無事注文。独自の愛想を振りまいたからか「面白い日本人だな」と客に笑われるが、気にしない。

 注文後すぐ、前回の全州の店と同じく、オーダーしてないキムチやナムルなどのおかず(パンチャン)が何皿も運ばれてくる。五郎も驚いていたが、これは韓国では普通のことで、さらに基本おかわりもできて無料(というかメインの料理に「込み」)。今回も11皿がずらりと並ぶ、まさに「群れ」。『修羅の群れ』の主演は松方弘樹だが、「おかずの群れ」の主演は松重豊。

 さっそくテンジャンチゲ(味噌チゲ)から「群れ」退治。

「ご飯と汁があれば、あとの全てはおかずとして向こうに回し、定食が完成する」

 いつものように哲学しながら汁をすする。「毎日飲みたい」ほどちょうどいいらしいチョイ辛味噌汁。

 続いてニラ・ネギ・白菜の三種キムチ。一皿ずつしっかり量がある。

 白菜キムチは(前回もそうだが)一枚のまま切っておらず、こういう本場感がうれしい。

「キムチって漬物ではなくて一つの『道』、『教え』のような気がする」と悟りを開き、わしわしと音を立て「教え」を味わう賢者・五郎。

 続くケジャン(ワタリガニの辛い漬物)もうまそうだったが、マヨネーズで和えたリンゴのサラダに妙に惹かれた。給食で食べた淡いマヨネーズ味の和え物に野菜のほかリンゴやパイナップルが入っていた記憶があるが、これと関係があるのだろうか。

 昔は韓国で「サラダ」というと、とにかくマヨネーズで和えたものだったらしく、定番の味らしい。

 

■原作でも食べていたチャプチェ

 そして、主役のデジカルビが登場。骨が付いたままの豚のあばら肉をでかいまま1枚、網全面に広げ焼けるのを待つ。デジモンの「デジ」はデジタルだが、デジカルビの「デジ」は豚だ。

 焼いてる間に、「群れ」のチャプチェ(春雨炒め)やワラビナムルでつなぐのだが、目の前に鎮座する肉塊が気になって仕方ない。

 ナムルなどを楽しみつつも「それにしてもこの肉の焼ける匂い、拷問だよ。理性がグラグラしてきた」と、これから食べる肉の匂いに苦しむ五郎。

「このお預け感はハンパない、ああ、犬のように店の中を駆けずり回りたい」

「いや、俺は犬ではない、人として静かに待とう……」

 もはや満月の夜の人狼。チャプチェを食べる時も「小皿で肉食欲を散らすんだ」と自分の中の「野性」を必死に抑え込んでいた。チャプチェに失礼だぞ、五郎。

 ちなみに今回チャプチェに対し「スキヤキの残り物みたいな哀愁があって結構好きなんだ」とも言っていたが、原作漫画では、川崎を訪れた際に初めてチャプチェを食べており、その時は「なんだか翌日あっためなおしたスキヤキのようだ」と発言している。

 

■食べごろ感のズレが気になる

 ようやく店員が肉をハサミで切り分けたので、「(食べて)オーケー?」と聞くも、「もう少し」とお預けをくらう。

「まだなの?」「あーもう自分で焼きたい」爆発寸前の五郎。

 仕方なく、焼ける間に今度は海苔の和え物を食べて気を紛らわす五郎だが、美味しく味わいながらも正直「肉が気になって味がようわからん」と、もうノイローゼ状態。

 ちなみに筆者も、店員が焼いてくれるタイプのサムギョプサルの有名チェーンに行った時、よくこの感情を抱く。

 個人的な食べごろ時に箸を伸ばすと、もう少し焼いてと静止されてしまうのだ。そうしているうちにジューシー感はピークを越え、水分が減った感じ(ウエルダン)になって初めて「許可」が降りる。あちらではカリカリ感が大切なようで、余分な油をしっかり落とす意味合いもあると思われるが、「食べごろ」感のズレを感じる。

 

■豚肉だけでなく牛肉も

 そして、ようやく店員から念願の肉解禁サインが。

「うまいなあ……」

「おあずけ」を経た胃袋に染み渡る肉の美味さに溺れつつも、付けダレをひと舐めし「ん? ちょっと酸っぱいんだ」と分析する冷静さも持ち合わせているのはさすが。

 あとはただ力一杯味わうだけ。ご飯とともにグイグイ流し込む。

「力強い肉だ。待ちに待った俺をドーンと受け止める、ガッツリ系の最高峰」

「最高! 口がはしゃぎ、喉が喜び、胃袋が踊り狂っている」

「幸せだ。幸せ者とは、まさに今の俺のことなんだろう」

 一番うまいとされる骨の周りの肉も幸せそうに噛み剥がす。

「俺は今、ソウルの黒豹だ」

 勇ましい発言をした直後に勢い余って肉を落としてしまい「俺は黒豹失格だ」と即野獣引退。とにかく楽しそう。

 これで終わりかと思いきや、となりの席に運ばれてきたチャドルバギ(牛カルビの薄切り)を見て、またしても「同じやつください」戦法で追加注文。同時に半ライスも。

 ここでもやしナムルの小皿を完食するも、すぐさまおかわりが勝手に出てくる。五郎いわく「ナムルのわんこそば」。幸せなシステム。

 チャドルバギはデジカルビと違って軽く焼くだけでいいという。厚みの違いもあるが、やはり牛だからだろうか。

 脂身多めのスライス肉を次々と成敗。ごま油と塩を付けて「日本の焼肉屋の今は亡きレバ刺しの食べ方」と故人を偲ぶ。

 次は肉に味噌と白米を巻いて。牛肉と味噌と米。合わないわけがない。

「味噌、酸っぱいタレ、ごま塩。俺の胃袋に肉を放り込ませ続ける最強のトライアングル」

 原作の川崎焼肉回の名文句「うおォン、俺は人間火力発電所だ」を思い起こす食べっぷり。完食するとおかわりが来ちゃうからと「おかずの群れ」は残しつつ、完食。

 終わり際、肉でなく焼き魚定食を食べる酒好きの常連客が登場したのだが、クレジットを見たら『デュエリスト』(2005)や『M』(07)の監督イ・ミョンセ。韓国映画ファンにはうれしいサプライズ。

 そして前回はなかった原作者・久住昌之が同店を訪ねるコーナー「ふらっとQUESUMI」で、ついに久住がソウルへ。

 久住は五郎の頼んでいないサムギョプサルを食べていたが、こちらはあまりカリカリに焼いていなかった。焼く人次第で違うのだろうか?

 得意の、お酒を違うものに例えるくだりでは、マッコリを「牛乳」「コリアンミルク」と表現。このくだりは、ウザがられてもしつこく毎回やってほしい。

 今頃日本人観光客で賑わっているのだろうその店名は「チョンチョムスップルカルビ」。行ける方が羨ましい。

 次回は、千葉市の特製ニンニクスープと生鮭のバター焼き。一瞬何のお店かわからなかったが、いわゆる洋食店。Season7も残りわずか!
(文=柿田太郎)

「男にしてください」の台詞にキュン死しちゃう!? 中小企業の弱さと醍醐味『宮本から君へ』第10話

 クライマックスに向け、新米サラリーマンの大暴走が続く池松壮亮主演ドラマ『宮本から君へ』(テレビ東京系)。情熱だけで人間は、果たしてどこまで突っ走ることができるのでしょうか。宮本の若さに任せた暴走を苦々しく感じている大人たちが、次々とその前に立ちはだかることになります。もう後には戻れない“爆弾小僧”宮本が、真正面から障害へとぶつかっていく第10話を振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 弱小文具メーカーに勤める宮本浩(池松壮亮)は仕事に興味が持てず、付き合い始めた大手自動車メーカーの受付嬢・美沙子(華村あすか)とはエッチした直後に振られ、人生のドン底にいました。さらには大手文具メーカーに勤めるイケメン営業マンの益戸(浅香航大)と営業先でケンカ騒ぎを起こし、反省の意味を込めて頭を丸めたところです。「社会人になって、あまりいいことがない」とこぼしていた宮本ですが、大手製薬会社に納品するクリアファイルの件だけは、まだ諦め切れずにいます。大手製薬会社が正式決定を下すまで、残り1週間。ライバル益戸の勝利が確定している中、奇跡の逆転を目指して宮本は今回も鼻息が荒いです。

 宮本の情熱に感染してしまった先輩の神保(松山ケンイチ)、小田課長(星田英利)の協力を得て、宮本は極秘に新しいサンプルの発注を進めていました。1週間以内にサンプルを完成させなくてはいけないので、綱渡り状態です。ところが、宮本がクリアファイル納品の件をまだ諦めていないことが、仲介業務を請け負っている「ワカムラ文具」の島貫部長(酒井敏也)の耳に入ります。宮本が勝手に新しいサンプルを提出することは、大手製薬会社との間に入っている島貫部長や文具問屋の安達(高橋和也)のメンツを潰すことになります。激怒した島貫は、宮本の上司である岡崎部長(古舘寛治)を電話で叱責。坊主頭の宮本のことをヤクザ呼ばわりするのでした。

 元はと言えば、タヌキ親父の島貫がクリアファイルの入札価格を事前に益戸に漏らしたために端を発した問題ですが、既得権益の上にあぐらをかく島貫は自分の非を認めるわけがありません。さまざまな利害関係で成り立つビジネスの世界には、ろくに仕事をしていないのに威張っている島貫のような理不尽な輩は大勢います。会社に戻ってきた宮本は、さっそく岡崎部長から会議室に呼び出され、大目玉を喰らうはめに。でも、島貫の悪行にはこれまでも神保や小田課長も散々手を焼いてきたのでしょう。2人して、宮本を庇うのでした。中でもほっしゃん演じる小田課長のこの言葉が泣かせます。

小田「上に立つ人間が、部下の可能性の間口を狭めてどないするんすか。取り引き停止のひとつやふたつ、どないでも穴埋めできますから」

 会社勤めを経験している人間なら、仕事ができる先輩に一度は言われてみたい台詞ですね。会社って、いくら大企業に就職できても、配属先の先輩や上司がサイアクな場合はどうにもなりません。むしろ地獄です。その点、宮本は本当に上司や先輩に恵まれています。思わず目頭が熱くなった宮本は、「……続けさせてください」と岡崎部長に声を震わせながらお願いするのが精一杯でした。実はこの台詞、新井英樹の原作コミックにはないひと言です。架空の人物であるはずの宮本浩が憑依した池松壮亮の口が、自然に動いたものではないでしょうか。

 会議室での熱いやりとりを、同僚の田島(柄本時生)は耳をそばだてて聴いています。採算の目処が立たない仕事に夢中になっている宮本は大バカ者ですが、そんな大バカ者を小田課長と先輩の神保は懸命にフォローしています。田島は羨ましくて仕方ありません。つまらないはずの仕事を面白い状況に転がし、周囲をどんどん巻き込んでいく宮本は、とても特殊な才能の持ち主のようです。

■宮本の強引すぎる営業スタイルは是か非か?

 結局、岡崎部長はサンプルの件について「OK」とは言いませんでしたが、「絶対に許さん」とも言わずに会議室から去っていきました。小田課長いわく「沈黙は了承や」とのことです。かくして、タヌキ親父の島貫のメンツを潰すことを前提にした新サンプル作成ゲリラチック情熱作戦は続行することになったのです。ところが、ここでトラブル発生。新しいクリアファイルのデザイン版下は用意できていた宮本ですが、すでに押さえていた印刷工場が仕事のキャンセルを言い出したのです。

 親会社から急ぎの大量発注が回ってきたので、イレギュラーでしかも少量のサンプルを仕上げるだけの宮本の注文は後回しにされてしまったのです。印刷工場の社長も申し訳なさそうです。印刷工場の多くは零細企業で、社長が営業と現場の責任者を兼ねていることがほとんどなのですが、そんなカツカツの予算とスケジュールで動いている町工場のリアルさがまざまざと描かれる第10話でした。『宮本から君へ』の原作世界をリスペクトする真利子哲也監督の場合、柳楽優弥&菅田将暉主演作『ディストラクション・ベイビーズ』(2016)のスマッシュヒット以前はインディーズ映画でずっと地道に撮り続けてきたわけです。予算も人材も限られているインディーズ映画の製作現場も、似たようなものです。いくら監督だけが熱くなっても、どうにもなりません。みんなを熱くできなければ、現場は回らないのです。

 宮本が窮地に陥っている一方、ライバルの益戸はいっさい手綱を緩めようとしません。島貫を遠隔操作してクリアファイルの件を宮本に諦めさせようとしていた益戸ですが、さらに念には念をと、クリアファイルの納品を1日早めます。もはや絶体絶命のピンチに追い込まれた宮本。ですが、ここで救いの手を差し伸べる人物が現われるのでした。高橋和也演じる文具問屋の安達です。本来なら島貫同様に仲介を無視した宮本の暴走に怒っていいはずの安達ですが、彼も益戸と島貫のアンフェアなやり口にはカチンときていたのです。そして何よりも、宮本の「僕を男にしてください!」という実直な言葉を粋に感じたのです。ソープランドの店内ならいざしらず、取引先の相手にはなかなか言えない台詞です。「よくぞ、言った。宮本!」とばかりに安達は以前から懇意にしている印刷所を個人経営する飯島(篠原篤)のところへ宮本を連れていくのでした。これぞ、男が男に惚れる瞬間ですね。さすが元「男闘呼組」高橋和也!

 宮本の強引な仕事ぶりに反感を覚える視聴者もいることでしょう。仲介人も印刷工場もそれぞれの立場と事情を抱えて毎日黙々と働いているわけです。そこへ宮本はふいに割り込み、ひたすら頭を下げ続けることでイレギュラーな仕事を押し付けているのです。宮本は自分の思いどおりに仕事ができて満足かもしれませんが、相手は目先の仕事だけでなく職場全体と家族を守らなくてはいけないのです。

 でもですよ。常識ある人間は、常識の範囲内でしか物事を考えることができません。常識の中だけで生きていればリスクを生じる可能性は低いわけですが、新しいものは何も生まれてはきません。縮小再生産を繰り返し、ゆっくりとパワーダウンしていくのを待つだけです。宮本の強引なお願いは、非常識ですが、何か訴えかけるものがあるのです。クリアファイルのサンプルを印刷するだけですから、大した儲けにはなりません。しかし、宮本のギラギラした目を見ていると、「こいつと一緒にいると、何か面白いことが起きるかも」という気にさせてくれるのです。親戚や学生時代にはいなかったような、途方もなく面白そうなヤツに出会える。それが仕事の醍醐味であり、そんな人間関係のネットワークを名刺一枚で築くことが、営業マンの面白さなのかもしれません。

 宮本の面白い人間を呼び寄せ、巻き込んでいく特殊能力は、原作後半ではとんでもない事件を招くことにもなりますが、それはまだしばらく先の出来事です。次回・第11話はサラリーマン・宮本浩としての最大の見せ場が待っています。宮本の熱さに感染した人は、もう見逃すことができません。
(文=長野辰次)

『あなたには帰る家がある』ユースケ・サンタマリアの家族愛に号泣も、“泣き”を引き出す演出がダサすぎ! 

 中谷美紀主演ドラマ『あなたには帰る家がある』(TBS系)の第10話が6月15日に放送され、平均視聴率は9.7%(ビデオリサーチ調べ、関東平均)を記録。前回から1.5ポイントアップしました。

 10話が最終回と思っていたのですが、まさかのもう1話あるという……。やはりネットでの賑わいが功を奏したのでしょうか。その上、ここにきて同ドラマ最高視聴率を記録! この調子でいけば、次回の最終回で2ケタも夢ではない予感が!? 最終回で有終の美を飾るのか、期待したいですね。 

 それでは、今回もあらすじから振り返って行きましょう!

(これまでのレビューはこちらから)

■茄子田の信じられない秘密が明らかに!

 真弓(中谷美紀)が太郎(ユースケ・サンタマリア)と仲良くなっていることに不安を覚える秀明(玉木宏)。行きつけのカレーショップでマスターの圭介(駿河太郎)に相談するも、圭介は「あるわけがない」と否定。その言葉に安心したのもつかの間、なんと真弓と太郎がそろって来店し、いい感じの雰囲気に秀明は動揺する。

 その翌日、朝元気に学校へ向かったはずの麗奈(桜田ひより)が「登校していない」と教師から真弓へ連絡が来る。すぐさま秀明に連絡し、また綾子の仕業かと勘ぐった真弓は、綾子を問い詰めるも「知らない」と言い返されてしまう。すると、そこに、麗奈から連絡が。太郎と綾子の息子・慎吾(萩原利久)と一緒に栃木にある綾子の実家へ向かっていることを知った2人は、気まずい雰囲気を醸し出しながら綾子の実家へと向かう。一方その頃、秀明も太郎の車で栃木へと向かっていた。

 綾子の母親の葬式会場に着いた真弓と綾子だったが、そこに慎吾と麗奈の姿はなく、秀明と太郎と合流し再び探すことに。子どもたちをやっと見つけた4人だったが、そこで茄子田家のある秘密が明かされる。

 夜になり、葬式に参加した茄子田家。参列を済ませ旅館へ戻ると、太郎は綾子に離婚届を手渡し、「飲んでくる」と言ってその場を去っていった。

 そんな太郎を見て、いてもたってもいられなくなった真弓は太郎を追いかける。ベンチに腰掛け、太郎の綾子への一途な思いを聞かされ、涙を流す真弓。するとそこへ綾子が現れ、真弓は見せつけるように太郎へキスをし、「この人を幸せにする」と宣言するのだった、というのが今回の内容でした。

■“笑い”からの“ヒューマン”演出がダサ過ぎる!

 今回は後半全体が見せ場に。慎吾が太郎の子どもではなく綾子の姉の夫の子どもであると綾子が慎吾に伝えるシーンや、太郎が綾子の姉夫婦に慎吾を「うちの1人息子です」と紹介するシーン、太郎が離婚届を綾子に渡し慎吾が太郎と暮らすことを選ぶシーンなど、見せ場が多くて、感動するシーンばかりで、不倫ドラマが急にヒューマンドラマに(笑)。舵きり過ぎだろと思ってしまいましたが、「これはこれで良し」との反応が多く、視聴者は楽しめたようです。

 ただ、前半がコメディードラマ演出なのがすごく残念。確かに、突然映画『タイタニック』の主題歌が流れたり、綾子との珍道中のケンカなど、笑わせてはくれるんですが、後半をヒューマンドラマ演出で泣かそうと思っているのが見え見えで、正直ダサい。そんなことをしなくても、後半の内容だけでも泣けるはず。

 また、同ドラマ全体を考えると、不倫ドラマから始まり、綾子の頭がおかしい行動でサスペンスホラーになり、怖くならないようにところどころでコメディーを入れて、今度はヒューマンに。正直、要素が多すぎてワケがわかんないドラマになっています。なんだか、金曜ドラマの名作を全部ぶっこんで見ました感がハンパない。

 プロデューサーはドラマ放送前に「大人向けの名作を生んできた『金曜ドラマ』を復活させたい」といった旨のコメントを残していましたが、その結果がこれ……。もう、残念でならない。『あなたのことはそれほど』(TBS系)のヒットを考えると、同ドラマも不倫ドラマとして悪くはなく、もう少し視聴率があってもいいはず。しかし、実際2ケタに届かないのは、この点に原因があるかもしれません。

■太郎の家族観が「素晴らしい」と大評判

 “第二の高橋ジョージ”と視聴者から認識されてしまったモラハラ夫の太郎ですが、今回、綾子への一途な思いと、家族愛を吐露する場面が視聴者にすごく響いたみたいです。

 太郎にとって綾子は初めて付き合った女性で、許し難い今までのモラハラ行動もその女性を幸せにしたい一心でやっていたよう。さらに、実の子どもではない慎吾も自分が育てたなら自分の子だと、真弓に泣きながら語る姿が、今まで父親の威厳を保とうと威張っていた太郎と別人すぎて、なんだか小さく見えてくるんですよ。そのギャップが女性の心を掴んだようで、「めっちゃいい人! 太郎かわいい!」「太郎頑張れ〜!」といった声が。一瞬でファンが急増したようです(笑)。また、この場面に関しては、ユースケの演技も良く、本当は常識があり、むしろ聖人だった太郎を演じきっていたように思えます。

 ただ、それまでは所々に素のユースケが出ていて、『「ぷっ」すま』(テレビ朝日系)を見ている気分になっちゃうんですが(笑)。真弓とご飯を食べるシーンや葬式のシーンを見ていると「あれ、こんなシーン『「ぷっ」すま』にあったような……」と思ってしまう。1話からそういう風に見ないようにしようと思っていたんですが、前回声高らかに「ハッピバースデートューユー~」と歌いだしたシーンで、もろユースケ感が溢れだしていたため、今回無意識にユースケ感を探すように……。できれば、前回ではなく最終回で出してくれたほうが、そういう邪道な考えを持たずに済んでよかったのに……。ちょっとこの部分が残念な点と感じました。

■真弓がついに仕返しに乗り出す!

 今まで、綾子にやられっ放しだった真弓ですが、今回は最後の最後で、綾子に復讐を開始します。

 その復讐というのが、太郎と一緒になって幸せになると綾子のいる前で宣言するというもの。今まで、いろいろ嫌味を言ってきた男を好きになるって「おい真弓、あんたチョロすぎるだろ!」とツッコミたくなる上、「え!? 両親入れ替えって……。『ママレード・ボーイ』(集英社)みたいな展開になるの?(笑)」と、昼メロから今度は少女マンガみたいな非現実的な展開になるのかと、ちょっと驚きました。

 でもこれは“真弓の計算”とのことで、そんな展開にならないとわかりひと安心(笑)。

 綾子が姉の夫を寝取ったという前科があることを知った真弓は、「綾子には人のものを欲しがる癖がある」と考えてこの行動に出たようです。まあ、優しい真弓のことだから、太郎の気持ちを聞いて、「太郎と綾子を元サヤに戻してしてあげたい」という考えもあるのかもしれませんが。

 最終回はこの真弓の行動がポイントとなるようです。はたして、これが吉と出るのか凶と出るのか、そしてどんな結末で終わるのか。今回の最後の展開で、先がまったく読めなくなったため、原作で結末を知っている人も楽しめそう。期待して放送を待ちましょう!

(どらまっ子KOROちゃん)

岩田剛典主演『崖っぷちホテル!』最終回は7.9%!“続編”への期待も?

 日曜ドラマ『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)も17日放送の第10話で最終回。視聴率は7.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)に終わりました。初回10.6%から第2話で6.1%と急落。その後、第4話で7.0%に戻してからは、ずっと7%台をキープ。特に気に入った人も少なかったけど、離脱した人もあんまりいなかったようです。

 岩田剛典くんのアイドルスマイルが存分に振りまかれた同作。最終回を中心に振り返ってみます。

(前回までのレビューはこちらから)

■「なんか素敵」だけでいいのか。別にいいか。

 3カ月前、どいつもこいつも、まったくやる気のない老舗ホテル「グランデ・インヴルサ」に突然やってきた“ホテル界の革命児”宇海くん(岩田)。従業員たちに無理難題を押し付けつつ、その思慮の深さと、徹底した「お客様ファースト」によって意識改革をもたらし、ホテルは大逆転に成功。そしていよいよ、インヴルサと宇海との、お別れのときが訪れました。

 宇海はこの日、とある地方のホテル「スイーブル」の従業員たちを、インヴルサに招待していました。その数、11人。インヴルサの従業員数と同じです。

 彼らは、まるで3カ月前、宇海がインヴルサを訪れる以前の従業員たちと瓜二つです。料理よりギャンブルにしか興味がないシェフ、無関心な客室係、備品をくすねる清掃係……その姿を見て、インヴルサの清掃係・裕子ちゃん(川栄李奈)は、宇海がインヴルサを辞めてスイーブルに行くつもりなのではないかと予感します。ちなみにこのドラマの裕子ちゃんは「いつも予感が当たる」という設定なので、この時点で宇海がインヴルサを辞めることは確定です。

 宇海は、慰留しようとする支配人の佐那ちゃん(戸田恵梨香)に、辞める理由を述べます。

「怖くなってしまったんです、この場所にいるのが」

 いわく、宇海は子どものころに一度ここを訪れてからというもの、インヴルサで働くのが夢だったそうです。そして夢を叶えた今、「どんなことにワクワクしていけばいいのかわからない」「夢が現実になってしまった怖さ」「だから私は、この場所を夢のままにしたい」のだそうです。

 正直、ちょっと何言ってるのかわからないんですが、基本ニコニコだった岩ちゃんが真剣な表情で語る姿は、いかにも最終回っぽいです。

 その後、送別会が開かれますが、宇海はなかなか顔を出しません。これに、宇海がもう次の職場に旅立ってしまったと勘違いした従業員たちが、順繰りに宇海への感謝のスピーチを行います。みんな泣いてます。宇海もドア越しに泣いてます。そのスピーチの内容は特に展開があるわけではなく、単なるセリフによるダイジェストでしかないので、まったく面白くありませんし感動もしませんが、とにかく基本ニコニコだった岩ちゃんがポロポロと涙を流す姿は、いかにも最終回っぽいです。

 そして、ひとしきりスピーチを味わってから顔を出した宇海は、なぜここでワクワクできないと思ったかを、全員に告げます。

「私はホテルマンです。お客様が第一です。なのに私、みなさんのことが、お客様より、大好きになっちゃったんです」

 えーと、マジで何言ってるかわからない。ここで言うセリフが宇海という人物の総決算なのに、雰囲気しかない。要するに、面白くない。「なんか素敵」という印象しか残らない。

 でも、このドラマの「なんか素敵」なだけの感じは、そんなに嫌じゃなかったんですよねえ。

■良心的であろうとした姿勢がよかった

『崖っぷちホテル!』は、最初から最後まで上品で楽しく、良心的なドラマであろうとしていたと感じます。

 特に、第1話で明確に物語の目標を提示してから、インヴルサの従業員たちの意識改革が完遂する第6話までは、やりたいことができている感じがしました。岩ちゃんのためのアイドルドラマであるにもかかわらず、脇役たちに丁寧にエピソードを振りながら、少しずつホテルがよくなっていく。それにしたがって、従業員たちの宇海に対する評価も変化し、結果、宇海の好感度も上がっていく。とりわけディテールが優れているわけでも、展開にダイナミズムがあるわけでもないけど、安定して楽しめる作品になっていました。

 その反面、全員が一人前のホテルマンに成長してからの7~9話は蛇足感がありました。このドラマは「誰かが成長する」ことを感動の主軸に置いてきたので、立派な人しかいなくなったインヴルサにドラマは起こり得なくなっていたのです。最終回でみんなが語ったダイジェストが、すべて6話までに起こった出来事だったことからも、7~9話の空っぽさがよくわかります。

 最終回となった第10話は「岩ちゃんが泣く」というシーンを撮るためだけの作業みたいな脚本になっていましたが、そもそもの「アイドル岩ちゃん初主演ドラマ」という企画主旨を考えれば、許容範囲かなと感じました。

 好みを言ってしまえば、7~9話はそれまでのユルさから一歩進んで、大切な思い出の客室が不始末で燃えちゃったりとか、従業員の中でも信頼の厚かった人がやむにやまれぬ理由から悪事に手を染めていて悲しい別れが訪れたりとか、「みんなが一つになったと思ったのに!」みたいな、もうちょいシビアで刺激的なお話があってもよかったかなと思いますが、それはまあ、また別の話で。ニコニコだけど正装したら吐いちゃうという宇海くんが「ついにタキシードを着る」「マジでガチなお話をする」「泣いちゃう」というそれぞれの山場についても、もうちょい独自のエピソードを練って盛り上げられたんじゃないの? と思うけど、それもまあ、別の話ですね。

 ちなみに、宇海の転職先であるホテル・スイーブル、フランス語の「suivre」は、英語なら「To be continued」的な意味でしょうか。「宇海の夢は続いていく」と「続編に期待してね」のダブルミーニングで、なんか素敵なエンディングでした。続編があるならホラーがいいなあ。数年後、朽ち果てたインヴルサを訪れた宇海の目の前に、佐那ちゃんの○○が……! それを目の当たりにした宇海、なぜかニコニコ……! みたいな。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

脚本の“粗さ”を“胸キュン”でねじ伏せた『花のち晴れ』、キンプリ・平野紫耀の魅力が爆発中!?

 King & Prince・平野紫耀くんと杉咲花ちゃんのビミョ~な距離感がとってももどかしい火曜ドラマ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系)。第9話の視聴率は、8.6%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)となりました。8話で2.1ポイントもアップしましたが、今回は1.0ポイントダウン。そんなにうまくはいきませんね……。

 ただ、今夜放送の10話では、松田翔太演じる「F4」の西門総二郎が登場するそうなので、これまた盛り上がりを見せること間違いなしでしょう。と、その前に、平野くん演じる晴の魅力が爆発した9話のあらすじを振り返っていきたいと思います。

*前回までのレビューはこちらから

■桃乃園はヤンデレ養成所なのか?

 前回ラスト(参照記事)で死んだ魚のような目で音(杉咲花)を抱きしめた天馬(中川大志)。大事な食事会に遅れた音に激怒し、6話ぶり(詳しくはレビューへ)にヤンデレ化か!?︎ と視聴者をゾワゾワさせましたが、ただ音がやってくるのか不安でいっぱいなだけだったようです。ブラック天馬が現れなくて、ひとまず安心です。

 ある夜、音は帰り道で何者かに顔にスプレーをかけられ目が開けられなくなったところを、天馬同様目に光のない近衛(嘉島陸)ら桃乃園の生徒会メンバーに助けられました。犯人は英徳の校門に落書きされたときと同じ、「英徳に未来はない」という言葉を残して去っていっただけに、病院に駆けつけた天馬は、メグリン(飯豊まりえ)の誕生パーティーで起きた爆発事件とも何か関係があるはずだと、晴(平野)に報告するように言いますが、晴はメグリンと付き合いたてホヤホヤ、おまけに、晴の彼女になってルンルンのメグリンに余計な心配をかけまいと、なかなか言い出せません……。

 目の調子も良くなった音は、晴が「ミシュランの三ツ星も霞む」と言い切った音の野菜炒めを食べたいという天馬のリクエストに応えて、剣道の練習をしている天馬に差し入れをしに桃乃園へとやってきました。すると、学園内でガラの悪そうな男と何やら話している近衛を発見。会話の内容と、近衛が男にお金を渡した様子から、メグリンの誕生パーティーでケーキを爆発させたのも、音を襲ったのも、すべて近衛の指示だったことが判明しました。

 しかし、いくら音が問い詰めても天馬くんを崇拝する近衛は「馳さんを悲しませるな」と、ひるむ様子はなく、天馬本人に近衛が犯人だと告げても、「桃乃園への転入を急かしたために音さんに嫌われ、こんな嘘をつかれた」と、天馬をたらし込みます。案の上、「僕の大切な仲間がそんなことするとは思えない」と音を疑う天馬にショックを受けた音は、「天馬君は信じてくれないんだね」と、その場を立ち去るのでした。

 

■いい子すぎるメグリン

 その頃、カリスマモデルである彼女の撮影現場をサプライズ訪問した晴に、メグリンは大喜び。カメラマン(喜矢武豊)に2ショットを撮影してもらったり、カフェでお茶したり、2人はデートを楽しみますが、偶然にもそこに音が通りかかります。いつもと様子が違う音を晴が気にかけていることに気付いたメグリンは、「行って!」と晴の背中を押し、紺野さん(木南晴夏)の家へ。「賭けに負けました」と、紺野さんと一緒にたこ焼きを焼いていた愛莉(今田美桜)に事情を説明するのでした。

メグリン、なんていじらしいんでしょうか(涙)。落ち込む彼女に、「愛莉のず〜っと欲しかったものパッと手に入れといて、グジグジすんじゃないわよ」と、叱咤がとびます。あまのじゃくな愛莉なりの励ましと、それに涙するメグリンめちゃくちゃエモい。「けなげすぎて泣けてくる~」と若者たちにシビれる紺野パイセンの姿は、まるで私たち視聴者のようです。そしてなんやかんやいいながら、メグリンと愛莉もいい友達になれそうな予感……。

 

■5000万円を貢ぐ男vs男らしい言葉をかける男

 さてさて、メグリンを残して音を探しに飛び出した晴は、公園のベンチに佇む音の姿を発見。音を家まで送ってくれるそうです。その途中、音に謝りに行こうとしていた天馬と近衛にバッタリ(音が晴と2人でいるところに近衛が引き会わせたのですが……)。音が泣いている理由を知った晴は、

「バカかてめぇは!」

「合ってようが外れてようが、好きな女の言ってること信じなくてどうすんだよ!」

 と、天馬につかみかかってブチ切れ。音は思わず「どうして神楽木がわたしの欲しい言葉全部くれるの?」とジーンときちゃいます。天馬くんは英徳に在学できるようにと、5,000万円もの大金をサラッと払ってくれましたが、音が欲しかったのは、お金ではなく、そういう男らしい言葉だったのかもしれません。そう思わないと、あまりに天馬くんがあまりにも不憫です。

 しかも晴はそれだけでなく、「一人にして」と言われあっさり引き返した天馬とは対照的に、「泣いてる女を一人になんてできるかよ」と、これまた無自覚で男前発言をしながら音のそばを離れませんでした。そんな晴は別れ際、音にお礼を言われてたまらず「1分だけ」と、後ろからギュッと音を抱きしめます。そして、そんなところにタイミング悪く戻ってきた天馬くん。完全なる修羅場です。焦る音が抵抗しても、「やめない」と、晴は離れようとはせず、音を抱きしめたまま、

「とられるぞ。お前がちゃんと江戸川をつかまえとかないとな」

「余裕ぶっこいてスカしてないで、こいつを一番に考えろよ」

 と宣戦布告。「じゃあな」と去っていきます。天馬くんは、「近衛も僕にとって大切な仲間だから」と、犯人は必ず見つけ出すと音に約束し、手をつなぎながら2人は晴と別の方向へ歩き出すのでした。

 いやあ~ズルいです、晴。ちょっぴりおバカでアホなところは変わりませんが、この9話において、ヘタレ要素は1ミリも感じないくらい男らしかったし、音と2人のシーンは胸キュンの連続でした。ネットの評判なんかを見ても、晴の株がグングン上がっているようですよ。天馬くん派の方には申し訳ないですが、今回ばっかりは仕方ないです。はい。

■巌パパの目的は?

 その日の夜、晴の部屋を訪ねてきた天馬。音をめぐって、男同士のバトル勃発です。

天馬「あんなふざけたまねは許さない。もう音に近づくな。お前には西留さんがいるだろ」

晴「俺は俺のしたことに責任を持つ。ちゃんとけじめをつける。俺は江戸川を諦めない」

 ド正論をぶつける天馬に対して、堂々と開き直ってみせる晴。取っ組み合いのケンカを始める2人を止めたのは、意外にも晴の父・巌(滝藤賢一)でした。それだけでなく、「10点満点でいえば5点、いや2点程度の存在だと息子に分からせてやってほしい」と、柔道・剣道・弓道の3種目で晴と勝負することを提案するんです。天馬が勝てば二度と音には近づかせないよう英徳を辞めさせ留学をさせる、晴が勝てば自由にさせるという条件付きで。3種目すべてで全国チャンピオンの天馬にとっては楽勝すぎる戦いですが、晴はその条件をのみ、ハンデなしで天馬との勝負を受けることに決めます。

「完璧な息子しかいらない」と、晴に散々口酸っぱく言い聞かせてきた巌パパ。「また子どもにひどいこと言って負け戦をさせて!」とか、「子ども同士のケンカに口を挟むな!」とか今までなら思いもしますが、今回はそうじゃなかったんですよね。思い返すと、晴が寝込んだとき執事の小林さん(志賀廣太郎)に任せればいいのに、必ず様子を見に部屋に現れたし、わざと厳しい試練を与えながらも、心のどこかで晴のことを心配していたのではないでしょうか? わざわざ我が子の惨めな姿を晒したいわけはないだろうし、巌パパの父性を信じたいところです。

 

■視聴者のモヤモヤを“胸キュン”でねじ伏せる

 正直、いきなり自分の仲間を犯人と疑われて戸惑う天馬くんに、考えたり話し合う時間も与えず、「なんで信じてくれないの」と喚く音はちょっとヒステリックに感じたし、近衛が「馳さんからの愛情を過信している」と言いたくなるのもわかります(やり方は間違えているけど)。 

 もちろん、彼女がいながら、やっぱり音が好きだと言い放った晴にも「メグリンはどうした?」とツッこまずにはいられなかったし、他にもモヤッとするところはたくさんありますが、まぁ、原作はマンガだし、ファンタジーに近い青春ラブストーリーなわけで、設定や脚本にマジレスするのも野暮な気がします。

 それに、今回は“晴がヘタレの仮面を脱ぎ捨て男を見せる”という大事な見せ場もあったし、7・8話でのオリジナル展開で溜まった視聴者の不満を、今波にノッている人気アイドル・平野くんが晴というフィルターを通し世の女子たちをときめかせることで吹き飛ばしてくれたので、それでいいんだと思います。脚本家の力技にまんまとねじ伏せられた感はありますが。グチグチ言いましたが、私も今話の晴にはグッときたので、もう細かいことは気にしないことにします。イケメンっていいな!

 さてさて、冒頭にも書いたように、10話にはアノ西門さんが登場し、打倒天馬を目指す晴の稽古をしてくれるそうです。晴と天馬、いったいどっちが勝利を、そして音を手に入れるのか、メグリンの幸せも願いつつ、テレビの前で見守りたいと思います。

(文=どらまっ子TAROちゃん)

嵐・二宮和也『ブラックペアン』ラスト3話だけ見とけば大丈夫だったんじゃないか疑惑が……

 最終回直前の第9話を迎え、視聴率16.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、今回も好調だった日曜劇場『ブラックペアン』(TBS系)。“天才外科医”渡海征司郎(二宮和也)は、今日も元気に他人が失敗した手術に横入りし、見事に患者の命を救いました。

 単話ごとで見れば、いつもテンションが高くて見応えのある同ドラマ。その反面、連ドラとしてのお話のつながりやキャラクターの整合性は無茶苦茶で、追いかけるのがかなりしんどいわけですが、もうあと2話なのでね、一旦リセットして楽しみましょう。振り返ります。

前回までのレビューはこちらから

■うーん、面白かった!

 毎度、ストーリーの進行に必要な誰かが心臓病で倒れるのが“お約束”ですが、今回は東城大の医局の重鎮・佐伯教授(内野聖陽)がそのお役目を引き受けることに。なんでも、今までになく難しい症例だそうで、こんな難しい手術ができるのは、“神の手”佐伯教授本人を除けば、渡海しかいないそうです。

 しかし、これも“お約束”なんですが、渡海はいつだって最初から手術に参加させてはもらえません。なんやかんや理由を付けてチームから外される渡海ですが、こちらもいつものように不測の事態に備えて予習に余念がありません。今回はどうやら、最新医療ロボ「カエサル」を使った手術になりそうなので、取扱説明書を熟読するなど持ち前の生真面目さで手術に備えます。態度は悪いけど、ホントに真面目な子です。

 当初、カエサルでの手術を執刀するのは佐伯教授の直属の部下・黒崎准教授(橋本さとし)の予定でしたが、こちらは準備段階であっさり挫折。カエサルでの手術経験は豊富だけど、東城大にとって裏切り者である高階講師(小泉孝太郎)に頭を下げて、協力を求めます。高階は高階でいろいろあって、古巣の名門・帝華大に絶望していたので、執刀を快諾。準備を進めます。さぁ、あと1週間かけて準備をするぞ! と思っていたら、佐伯教授の容態が急変。緊急オペになりますが、“お約束”で結局、手術中に「助けて、渡海くん!」状態に。

 さあヒーロー見参。ですが、今回の渡海は一味違います。オペ室にジャジャーン! と乗り込むのではなく、医局に鎮座していたカエサルのシミュレーターに陣取り、オペ室内の本体を遠隔操作。さらに、オペ室のカエサルの前に座って手持ち無沙汰の高階も遠隔操作しながら、見事に手術を成功させます。高階とカエサルが「鉄人28号」で、渡海が金田正太郎という配置ですね。見どころは、渡海の声をイヤホンで聞きながら、そのままの言葉でオペ台の周辺にいる助手に指示を伝える高階の「言葉の乱暴さ」です。ふだんは上品な高階が乱暴な言葉で指示を出し続け、上司である黒崎たちが素直に従うという構図。「目の前の命を守る」が何よりも優先されている様子が、緊迫感を持って描かれます。まあ第1話からそうですが、こういうシーンの演出は、ホントに強いです。引き込まれちゃう。

 次回の最終回は、渡海自ら命を救った佐伯教授とブラックペアンをめぐる因縁がすべて明らかにされるのでしょう。ここまで、この本筋については説明不足の感が否めませんが、ここまできたらどうやって収めるのか見届けたいと思います。

■顔面ドアップ演出の真骨頂

 福澤克夫監督と福澤組による日曜劇場の名物となっているのが、テンションマックスな人物がドアップで力の入ったセリフを滔々と述べるシーンです。今回は、そんな顔面ドアップ演出が目白押しでした。

 まずは小泉孝太郎。本来の上司である帝華大・西崎教授(市川猿之助)に「苦悶からの正論ぶちかまし」をドアップで繰り広げます。受ける猿之助も、さすがの顔面力でカウンターアタック。必要以上の性格の悪さで、視聴者の不快感を煽ります。この不快すぎる猿之助が、高階のキャラ立てに効力を発揮。ここまでフラフラしていた高階権太という人物の輪郭が、はっきりと浮き上がりました。それにしても小泉孝太郎って、同じ福澤組の『下町ロケット』(同)あたりから、見事に化けましたねー。この第9話のMVPは間違いなく孝太郎だと思います。

 加えて、ナース2人の顔面芸も光りました。こちらは2人とも恐怖の象徴として顔面ドアップメンバーに加わりましたが、もともと影のある怖い人として登場した猫田(趣里)はまだしも、ほんわかおばさんだった藤原師長(神野三鈴)の鉄仮面ぶりには目を見張りました。顔が怖いのもそうなんですが、でかいんですよね、この人。Wikipediaによると168センチだそうです。そら迫力出るわ。

■竹内涼真、渾身の泣きとオリジナル要素の回収

 今、もっとも性格がよさそうに泣く俳優(当社調べ)の竹内涼真。このドラマで演じた研修医・世良は前半に無駄泣きが多く「もっと! もっと竹内渾身の泣きを!」と思っていましたが、ようやく出ました。どちらかといえば悪い方の役回りだった「日本外科ジャーナル」の池永編集長(加藤浩次)を相手に見せてくれました。

「僕なんて、なんの役にも立たない!」

「でも、目の前にある命をあきらめられない!」

「僕も医者でありたいんです!」

 その純真な土下座で、見事池永編集長の心を動かし、佐伯教授の命をつないで見せました。

 ところでこの池永編集長と専門誌「日本外科ジャーナル」の周辺は、ドラマの完全なオリジナル要素となっています。この雑誌に論文を載せて「インパクトファクター」なるインパクトのファクター数値を積み重ねることで、外科医は学会の理事長になれるのだそうです。

 このドラマでは、いかに池永編集長を懐柔し、自分の論文を雑誌に載せることで理事長選を有利に戦うか、というのが、物語の縦糸として設置されていました。それを争うことで佐伯教授と西崎教授、ひいては東城大と帝華大の対立構造を浮き彫りにしてきたわけです。

 この原作への追加要素には、対立がはっきりして見やすくなるメリットがあった反面、特に佐伯教授が「論文も大切、患者も、まあ大切」というどっちつかずな性格になってしまうデメリットがありました。しかし、今回の世良と池永の対話によって論文の存在が佐伯教授の命を救うファクターになったことで、これまでの対立軸が実に美しく消化されました。原作をはみ出して広げた風呂敷は、ちゃんと自分たちで畳むという、ドラマ側の物語に対するマナー意識みたいなものが感じられて気持ちよかったです。

■いわずもがな、ニノはキュートなんだけど

 今回は孝太郎と竹内涼真に大きな見せ場が振られていたので言いそびれていましたが、ニノはあいかわらずキュートでした。懸命に悪態をつきつつ、オペ室への入室を禁じられるとおとなしく「遠隔操作」という代替策を考え、必死に勉強して患者を救う様子など、健気すぎて涙が出ます。

 次回、いよいよ最終回ですが、気になるのが、このニノ演じる渡海征司郎の完璧超人かつ善良人間っぷりです。手術手技はもちろん、状況判断や人心掌握についても完全にノーミスを貫いていますし、何もかもが渡海の思うままに進んでいます。

 これ、全部ネタ振りというか、渡海をドン底に落とすためにあえてスーパーマンとして描いてきたのだとしたら、そして原作にあったようなニュアンスで、物語そのものが渡海をその物語世界の外側へ突き放すのだとしたら、なかなかダイナミックな作劇だなぁと思うし、そういう方向に期待しているというのが今の正直な感触です。

 ダークヒーローの美学みたいなものを、ドラマがどう解釈するのか。この渡海も、半分はテレビ局が勝手に作ったイメージですから、マナーを持って落とし込んでほしいと思います。なんか原作のネタバレするのもアレなので曖昧なことしか書けなくなってしまいましたが、要するに今回は面白かったし、全体的に見てもまあ面白かったし、序盤から中盤にかけて整合性を無視しながら強引にリピートし続けたシナリオも、最終回へのネタ振りとして強烈に作用するならオールオッケーになっちゃうけど、どうなるんだろ! ってことです。逆に言えば、これお話を理解するだけならラスト3話だけ見とけば大丈夫だったんじゃない? という気もしますが、それを言ってしまっては身もふたもないわな。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

嵐・二宮和也『ブラックペアン』ラスト3話だけ見とけば大丈夫だったんじゃないか疑惑が……

 最終回直前の第9話を迎え、視聴率16.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、今回も好調だった日曜劇場『ブラックペアン』(TBS系)。“天才外科医”渡海征司郎(二宮和也)は、今日も元気に他人が失敗した手術に横入りし、見事に患者の命を救いました。

 単話ごとで見れば、いつもテンションが高くて見応えのある同ドラマ。その反面、連ドラとしてのお話のつながりやキャラクターの整合性は無茶苦茶で、追いかけるのがかなりしんどいわけですが、もうあと2話なのでね、一旦リセットして楽しみましょう。振り返ります。

前回までのレビューはこちらから

■うーん、面白かった!

 毎度、ストーリーの進行に必要な誰かが心臓病で倒れるのが“お約束”ですが、今回は東城大の医局の重鎮・佐伯教授(内野聖陽)がそのお役目を引き受けることに。なんでも、今までになく難しい症例だそうで、こんな難しい手術ができるのは、“神の手”佐伯教授本人を除けば、渡海しかいないそうです。

 しかし、これも“お約束”なんですが、渡海はいつだって最初から手術に参加させてはもらえません。なんやかんや理由を付けてチームから外される渡海ですが、こちらもいつものように不測の事態に備えて予習に余念がありません。今回はどうやら、最新医療ロボ「カエサル」を使った手術になりそうなので、取扱説明書を熟読するなど持ち前の生真面目さで手術に備えます。態度は悪いけど、ホントに真面目な子です。

 当初、カエサルでの手術を執刀するのは佐伯教授の直属の部下・黒崎准教授(橋本さとし)の予定でしたが、こちらは準備段階であっさり挫折。カエサルでの手術経験は豊富だけど、東城大にとって裏切り者である高階講師(小泉孝太郎)に頭を下げて、協力を求めます。高階は高階でいろいろあって、古巣の名門・帝華大に絶望していたので、執刀を快諾。準備を進めます。さぁ、あと1週間かけて準備をするぞ! と思っていたら、佐伯教授の容態が急変。緊急オペになりますが、“お約束”で結局、手術中に「助けて、渡海くん!」状態に。

 さあヒーロー見参。ですが、今回の渡海は一味違います。オペ室にジャジャーン! と乗り込むのではなく、医局に鎮座していたカエサルのシミュレーターに陣取り、オペ室内の本体を遠隔操作。さらに、オペ室のカエサルの前に座って手持ち無沙汰の高階も遠隔操作しながら、見事に手術を成功させます。高階とカエサルが「鉄人28号」で、渡海が金田正太郎という配置ですね。見どころは、渡海の声をイヤホンで聞きながら、そのままの言葉でオペ台の周辺にいる助手に指示を伝える高階の「言葉の乱暴さ」です。ふだんは上品な高階が乱暴な言葉で指示を出し続け、上司である黒崎たちが素直に従うという構図。「目の前の命を守る」が何よりも優先されている様子が、緊迫感を持って描かれます。まあ第1話からそうですが、こういうシーンの演出は、ホントに強いです。引き込まれちゃう。

 次回の最終回は、渡海自ら命を救った佐伯教授とブラックペアンをめぐる因縁がすべて明らかにされるのでしょう。ここまで、この本筋については説明不足の感が否めませんが、ここまできたらどうやって収めるのか見届けたいと思います。

■顔面ドアップ演出の真骨頂

 福澤克夫監督と福澤組による日曜劇場の名物となっているのが、テンションマックスな人物がドアップで力の入ったセリフを滔々と述べるシーンです。今回は、そんな顔面ドアップ演出が目白押しでした。

 まずは小泉孝太郎。本来の上司である帝華大・西崎教授(市川猿之助)に「苦悶からの正論ぶちかまし」をドアップで繰り広げます。受ける猿之助も、さすがの顔面力でカウンターアタック。必要以上の性格の悪さで、視聴者の不快感を煽ります。この不快すぎる猿之助が、高階のキャラ立てに効力を発揮。ここまでフラフラしていた高階権太という人物の輪郭が、はっきりと浮き上がりました。それにしても小泉孝太郎って、同じ福澤組の『下町ロケット』(同)あたりから、見事に化けましたねー。この第9話のMVPは間違いなく孝太郎だと思います。

 加えて、ナース2人の顔面芸も光りました。こちらは2人とも恐怖の象徴として顔面ドアップメンバーに加わりましたが、もともと影のある怖い人として登場した猫田(趣里)はまだしも、ほんわかおばさんだった藤原師長(神野三鈴)の鉄仮面ぶりには目を見張りました。顔が怖いのもそうなんですが、でかいんですよね、この人。Wikipediaによると168センチだそうです。そら迫力出るわ。

■竹内涼真、渾身の泣きとオリジナル要素の回収

 今、もっとも性格がよさそうに泣く俳優(当社調べ)の竹内涼真。このドラマで演じた研修医・世良は前半に無駄泣きが多く「もっと! もっと竹内渾身の泣きを!」と思っていましたが、ようやく出ました。どちらかといえば悪い方の役回りだった「日本外科ジャーナル」の池永編集長(加藤浩次)を相手に見せてくれました。

「僕なんて、なんの役にも立たない!」

「でも、目の前にある命をあきらめられない!」

「僕も医者でありたいんです!」

 その純真な土下座で、見事池永編集長の心を動かし、佐伯教授の命をつないで見せました。

 ところでこの池永編集長と専門誌「日本外科ジャーナル」の周辺は、ドラマの完全なオリジナル要素となっています。この雑誌に論文を載せて「インパクトファクター」なるインパクトのファクター数値を積み重ねることで、外科医は学会の理事長になれるのだそうです。

 このドラマでは、いかに池永編集長を懐柔し、自分の論文を雑誌に載せることで理事長選を有利に戦うか、というのが、物語の縦糸として設置されていました。それを争うことで佐伯教授と西崎教授、ひいては東城大と帝華大の対立構造を浮き彫りにしてきたわけです。

 この原作への追加要素には、対立がはっきりして見やすくなるメリットがあった反面、特に佐伯教授が「論文も大切、患者も、まあ大切」というどっちつかずな性格になってしまうデメリットがありました。しかし、今回の世良と池永の対話によって論文の存在が佐伯教授の命を救うファクターになったことで、これまでの対立軸が実に美しく消化されました。原作をはみ出して広げた風呂敷は、ちゃんと自分たちで畳むという、ドラマ側の物語に対するマナー意識みたいなものが感じられて気持ちよかったです。

■いわずもがな、ニノはキュートなんだけど

 今回は孝太郎と竹内涼真に大きな見せ場が振られていたので言いそびれていましたが、ニノはあいかわらずキュートでした。懸命に悪態をつきつつ、オペ室への入室を禁じられるとおとなしく「遠隔操作」という代替策を考え、必死に勉強して患者を救う様子など、健気すぎて涙が出ます。

 次回、いよいよ最終回ですが、気になるのが、このニノ演じる渡海征司郎の完璧超人かつ善良人間っぷりです。手術手技はもちろん、状況判断や人心掌握についても完全にノーミスを貫いていますし、何もかもが渡海の思うままに進んでいます。

 これ、全部ネタ振りというか、渡海をドン底に落とすためにあえてスーパーマンとして描いてきたのだとしたら、そして原作にあったようなニュアンスで、物語そのものが渡海をその物語世界の外側へ突き放すのだとしたら、なかなかダイナミックな作劇だなぁと思うし、そういう方向に期待しているというのが今の正直な感触です。

 ダークヒーローの美学みたいなものを、ドラマがどう解釈するのか。この渡海も、半分はテレビ局が勝手に作ったイメージですから、マナーを持って落とし込んでほしいと思います。なんか原作のネタバレするのもアレなので曖昧なことしか書けなくなってしまいましたが、要するに今回は面白かったし、全体的に見てもまあ面白かったし、序盤から中盤にかけて整合性を無視しながら強引にリピートし続けたシナリオも、最終回へのネタ振りとして強烈に作用するならオールオッケーになっちゃうけど、どうなるんだろ! ってことです。逆に言えば、これお話を理解するだけならラスト3話だけ見とけば大丈夫だったんじゃない? という気もしますが、それを言ってしまっては身もふたもないわな。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

『コンフィデンスマンJP』見飽きたフジの“内輪盛り上がり”……ファン以外は楽しめない最終回!?

 『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)、6月11日放送の最終話「コンフィデンスマン編」。

 詐欺に嫌気がさしたボクちゃん(東出昌大)は、ダー子(長澤まさみ)とリチャード(小日向文世)の元から去る。引っ越し屋の仕事を始めたボクちゃんは、新入りの従業員・鉢巻秀男(佐藤隆太)と出会う。半年前、鉢巻は結婚詐欺に遭っており、金をだまし取ったのがダー子とリチャードという疑惑が浮上。憤ったボクちゃんはダー子たちが隠れ住むホテルの一室に鉢巻を連れて行く。そこで鉢巻は本性をあらわし、引き連れてきたマフィアとともにダー子たち3人を監禁。鉢巻の真の目的は、中国系マフィアであった父親・孫秀波(麿赤兒)が騙し取られた15億円をダー子たちから取り戻すことだった。

 以上が最終話のつかみ。ラストには大どんでん返しが待っており、SNSでもネットニュースでも「すごい!」「騙された!」などの絶賛の声が相次いだ。

 しかし、本当に賞賛に値する最終回と言えるのだろうか? 喜んでいるのは作品のファンだけではないのか? 最終回で初めて見た視聴者でもついていける内容だったのか?

「目に見えるものが真実とは限らない」という本作のコンセプトになぞらえ、最終話「コンフィデンスマン編」を批判的な目線で振り返りたい。

(これまでのレビューはこちらから)

■出た出た! 出ました! フジお得意の内輪盛り上がり

 賞賛されたラストのどんでん返しをネタバレすると、「最終話は第1話よりも前の物語でした」という時系列のトリック。【毎話ダー子たちの食事を配膳する外国人男性がマフィアの中にいた】や、【ボクちゃんの脱退の回数が1話の時より少ない(1話が400回目の脱退・最終話が398回目の脱退)】などの伏線が張り巡らされていた。

 1話から本作を見て来た私は、素敵なファンサービスだと感じた。しかし、冷静に考えれば、最終話で初めて見た人にとっても面白い内容なのか疑問に思った。

 そこで「コンフィデンスマン 初めて見た」で検索し、好意的なツイートを数えてみると15件前後。「コンフィデンスマン」だけで検索すればこの一週間で1万件近いツイートがあるのに比べ、初めて見た人のリアクションは薄いように思える。また、継続視聴していたファンのツイートの中にも、「中だるみを感じた」などの批判的な意見もある。

 原因は、絶賛されたどんでん返しのために伏線を配置する故に、無理にストーリーを押し進めてしまったせいだと考えられる。

 ラストでダー子たちは鉢巻からも15億円を騙し取るのであるが、「鉢巻秀男がファザコンだから銀行口座のパスワードは父親の言いつけ通りのものにしているだろう」と臆測だけで詐欺に及ぶのは、雑な計画と言える。また、最初から鉢巻を騙すつもりだったという後明かしも唐突過ぎる。一応、前フリとしてあったホテルの部屋番号が各話と違うという映像的伏線も、最終話だけを見た人にとっては「何のこっちゃ」という話である。

 ストーリーの面白さというより、ウォーリーを探せ的な面白さに寄せ過ぎたように思う。同じウォーリー的な楽しみで言えば、映画『サスペリア PART2』(1975年)の方が巧妙なので是非見てほしい。室内に隠れた殺人犯が意外な場所で一瞬映るという映像的伏線は見事だ。犯人捜しの物語で、犯人がチラッと映るのはストーリー上、意味を成している。

 本作に話を戻すと、初めて見た人にとっては鉢巻を騙す物語なのに、「実は最終話は第1話の直前の物語でした」と言われても、「だから何?」という感想しか湧かないだろう。

 内輪盛り上がり的なノリが一因で嫌われたテレビ局が、内輪盛り上がりで物語を終結させた。その結果、視聴率は、9話から0.3%ダウンの9.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。最終話まで2ケタに届くことはなかった。映画化の決定で再度注目されたのだから、初めて本作を見る人までファンにするガッツキがほしかった。作品の良さを語り合う相手を増やすこともまた、継続視聴した人に対するファンサービスだと私は思う。

■それでも各話名作ぞろい! 勝手に“ベスト3”

 最終話を酷評してしまったが、本作が名作であることに変わりはない。

 Blu-ray&DVD-BOXが9月19日に発売されるだけでなく、「FODプレミアム」で全話見逃し配信されている。しかし全話見るのは時間と根気が必要。そこで、個人的にお薦めできる三つの回を紹介したい。

【3位】第9話「スポーツ編」

 小池徹平扮するIT社長にニセのバスケチームを売りつけるまでの一話。

 巧妙な伏線が見所の回ではあるが、スポーツアクションが多く、『SLAM DUNK』(集英社)などの名作のパロディも楽しめて、疲れていても見易い一作となっている。

【2位】第3話「美術商編」

 石黒賢演じる美術商の毒舌ぶりが痛快で、『リーガル・ハイ』(同)の古美門弁護士が好きな人には必見の回。美術商のバックグラウンドとキャラクター造詣がしっかりしていたため、美術商の転落後を描いた1シーンはグッとくる。脚本家・古沢良太の作るキャラとセリフの面白さを堪能できる一話。

【1位】第7話「家族編」

 コンゲームが本来持つべき、騙し合いや裏切りをコミカルに楽しむことができる。スリルあり、笑いありなのに、ラストは家族愛に泣かされる。そしてベタなストーリーというわけでもない。エンターテインメントのあるべき姿を提示した珠玉の一作。基本設定さえ押さえておけば、この一話だけ見ても十分楽しむことができる。

 他にも第1話は登場人物とストーリーの設定をおさらいできるし、批判はしたものの最終話も全話見た人にとって楽しめる作りにはなっている。

 映画の公開前におさらいするも良し。リアルタイムで見れなかったから見るも良し。酷評しておいて言うのも掌クルクル過ぎるが、実に楽しい3カ月間を『コンフィデンスマンJP』に与えてもらった。

■これからの“月9”は? フジテレビは……?

 『コンフィデンスマンJP』の後作品として控えるのは、7月期『絶対零度』、10月期は海外ドラマ『SUITS』のリバイバルとウワサされている。共に刑事ドラマと弁護士ドラマで、あらすじやコンセプトを見る限り海外ドラマの事件モノにテイストを寄せるようだ。

 過去には『ガリレオ』や『コード・ブルー』などのシリーズも放映された枠ではあるが、恋愛ドラマのイメージが強い月9の路線変更に勝算はあるのだろうか?

 個人的には海外ドラマの亜流には勝算がないと踏んでいる。

 路線変更には、低視聴率を恐れぬ“チャレンジ精神”。もしくは見向きもされない期間を我慢する“忍耐力”が必要だからだ。

 TBSの『半沢直樹』と『逃げるは恥だが役に立つ』にはチャレンジ精神があった。当時ヒットになりにくいとされた業界モノと恋愛モノ。しかし、それぞれ時代劇要素や社会派要素をエッセンスとして足して、面白いと思わせようとする気概を感じた。

 一方、忍耐力が垣間見えるのはテレビ朝日。「見飽きた」「ダサい」などと言われてきた事件モノを、手を替え品を替え放映し続け、ノウハウを蓄積して『相棒』などのヒットシリーズを生み出した。また忍耐力が若手育成にも作用しているのか、若手スタッフが手掛けた『おっさんずラブ』がブームに至っている。

 近年の視聴者の目は肥えていると言われるが、一番の所以は、画面越しでも作り手の思惑を見抜く感受性にあると思う。制作者の熱意も感じ取れれば、方針の迷走や不安すら見抜いてしまう。小手先のテクニックだけで、現代の視聴者を「面白いよ」と騙すことはできない。

 最後に、私個人の話になるが、幼少期は『北の国から』を見て友達のいない期間を乗り越え、苦学生時代はトレンディドラマを見て、実感できないバブルを感じとった。フジテレビの番組が温かかったから、暗い青春時代を明るく生きることができた。

 かつて視聴者の気持ちに寄り添っていたフジテレビのこれからを見守りつつ、何気ない一日でも「楽しかった」と言わせてくれるテレビの未来に期待をしたい。

(文=許婚亭ちん宝)