町田啓太、『中学聖日記』は好評でも『PRINCE OF LEGEND』の先生役は期待外れ……?

“プリンスバトルプロジェクト”の一つとして、LDHの若手を筆頭にさまざまな王子たちが1人の女の子を奪い合っているドラマ『PRINCE OF LEGEND』(日本テレビ系)。7日放送の第6話には、このトンチキドラマらしからぬ、いい意味で“普通”な王子が男を見せたほか、町田啓太演じる先生王子が初登場し、ネット上の視聴者たちからさまざまな声が上がっていたようです。

 ということで、今夜放送の第7話の前に、まずはあらずじから振り返りたいと思います。

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■Episode6「過去は捨てた 俺の求愛の舞踏(ダンス)しかと見届けよ」

 想いを寄せる成瀬果音(白石聖)が、「京極兄弟」の兄・尊人(鈴木伸之/劇団EXILE)に唇を殴られるのを黙って見ているしかなかった、“粗削りだがフレッシュ、スタイリッシュだが素朴、クールに見えて努力家”なダンス王子レッド・天堂光輝(吉野北人/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)。

 彼は、世帯年収一億円以上のセレブを親に持つ生徒が大半の聖ブリリアント学園に設けられた、家柄や年収は不問で奨学金制度のあるエコノミークラスに通う2年生。美しさと伸び代だけを条件に選ばれた生徒が集まるクラスの中心的な存在です。

 果音に惚れたのは、2年前。中学生だった天堂は、泣きながら写真をクシャクシャに丸める果音を見かけ一目惚れ。そして今にも壊れてしまいそうな果音に何もしてあげられない自分を不甲斐なく思い、果音を守れる男になろうと、ランニングを始めたり、ボクシングジムに通ったりと、トレーニングを始めます。

 そうして聖ブリリアント学園に入学したものの、肝心の果音は天堂のことを覚えているどころか、すれ違っても目すら合いません。まさにアウトオブ眼中の天堂は、自分磨きを継続。そのうちに仲良くなったのが、“怖そうに見えて意外と気弱、周囲を和ませる天然キャラ”なダンス王子ゴールド・日浦海司(藤原樹/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)と、“チャラそうに見えて意外と真面目、優柔不断に見えて情に厚い、男気溢れる”ダンス王子ブラック・小田島陸(長谷川慎/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)の2人。3人は「Team ネクスト」を結成しました。

 天堂がなかなか果音とお近づきになれない中、ある日、生徒会長王子の綾小路葵(佐野玲於/GENERATIONS from EXILE TRIBE)が突然、果音のクラスにやってきて、「僕と結婚してください」と段階をすっ飛ばしてプロポーズ。しかし、そこは超絶クールな果音様、やすやす受け入れるわけもなく、バッサリ断ります。

 それを知ったネクストの3人。日浦と小田島は「他のヤツにとられるぞ!」とけしかけ、目すら合わせてもらえない天堂は、思い切って果音を呼び止め、

「俺、果音さんに憧れてこの学校に来たんです。果音さんを守れる男になるって決めたんです」

「果音さんは俺が守るから。今日から全力で果音さんに向かってく」

 と告白。案の定、全く相手にしてもらえない天堂ですが、彼のまっすぐな想いに、さすがの果音様もほんのちょっとだけ照れているようす。

 その頃、果音とハプニングキスをして以来、彼女のことが頭から離れない“セレブ王子”の奏(片寄涼太/GENERATIONS from EXILE TRIBE)が、転入の手続きのため、第一側近の“メガネ王子”誠一郎(塩野瑛久)と第二側近の“下克上王子”元(飯島寛騎)とともに、学園を訪れていました。次回、奏が再び果音にアプローチをかけるようです。

■普通の男子高校生・天堂は唯一の良心?

 これまで、奏と尊人は、映画研究部の撮影でスイッチが入った女優モードの果音に惚れて告白しました。

 何かと奏に固執する生徒会長の綾小路はというと、果音が見抜いていたように、「名前もちゃんと覚えていないけど、奏が好きな人だから手に入れたい」という不純な動機で彼女にプロポーズし、「男の妄想、押し付けるのやめてもらえますか?」とお決まりのセリフで断られました。

 今話の主役である天堂も、フラれたのは同じですが、演技ではない素の果音を好きになったのは彼が(今のところは)初めて。「また妄想押し付け系……」と果音に呆れられても、

「あの時俺が見たのは絶対、果音さんだった。だから、俺が好きなのは果音さんっす!」

「今の俺じゃまだ無理とか思ってたけど、それもうやめる」

「俺、まだまだ全然で……。けど、果音さんを思う気持ちは絶対負けない!」

 と、純粋な恋心をぶつけます。このシーンだけを見ていると、まるで青春ラブストーリーを見ているような気分になったし、今までの王子たちの告白がぶっとんでいたぶん、余計にグッときました。

 ネット上でも、「光輝くんと果音ちゃんの絡み激かわいい」「光輝が1番普通だし1番青春キラキラ物語だね」「光輝くん応援したくなるな」「光輝くんがんばれ~! ってなるけど少女漫画文脈だとまともな男の子って絶対負けてるイメージあるからなー」と、彼を支持する声が続出。

 殻を破った年下男子・天堂が、今後どう果音に迫っていくのか、冷やかし気分で見守っていきたいです。はい。

 

■「対比」に弱いオタクのツボを押さえた配役

 なお、年下キャラといえば「京極兄弟」の弟・竜(川村壱馬/THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)がいますが、天堂がピュアなイマドキ高校生なのに対し、竜は子犬系ヤンキー。しかも、中の人たちは同じ「THE RAMPAGE」メンバーという間柄。オタクって、ライバルとか兄弟とか、そういう対比に弱いし、「関係性萌え」という言葉の通り、キャラ同士の関係にロマンを感じる人も多いので、オタクのツボを押さえたそのあたりの配役のしかたも、さすがLDHさんといったところ。

 それでいうと、奏と綾小路の中の人である片寄くんと佐野くんも同じ「GENERATIONS」メンバーで、2人の間にある因縁が第7話で明かされるようなので、次回はジェネファン必見の内容となりそう。個人的には、2人と同じジェネメンバーの関口メンディーが演じる金髪SP王子・ガブリエル笹塚についても、何か明かされるとうれしいのですが……。

 

■期待外れだった“先生王子” 町田啓太

 また、今回、先生王子の結城理一(町田啓太/劇団EXILE)が登場。中の人である町田くんは、有村架純ちゃん主演の『中学聖日記』(フジテレビ系)に主人公・聖の婚約者役で出演しており、「中学生」に自分の婚約者を奪われるという不憫な役を演じているため、「こっちでは自分が生徒に恋する役を演じるのか!」と勝手にワクワクしていたのですが、これが期待外れ。

「I’m the prince who has been loved by every woman in the world.(私は世界中の女性から愛される王子です)」と独特の英文で授業をしたり、「こんな王子度の高い生徒が近くにいたのに、何も感じなかったなんて」と、京極兄弟の存在に気がつけなかったことを悔やんだりと(先生には「王子センサー」があるようです)、今のところ、果音というよりも王子たちに興味があるようす。

 公式サイトには、「美意識高めのナルシスト」とあったので、てっきり年上俺様系で攻めてくるのかと思いましたが、斜め上のキャラクターでした。視聴者からも「思ってたのと違った」という声がチラホラ。まぁ、何度も言っているように、このトンチキドラマに女性ウケの常識を期待してはいけないことは回を重ねるごとによくわかってきたし、こっちでは『中学聖日記』では見られないハジけた姿を見せてくれているので、今後の結城先生の活躍にも期待したいところです。

(文=どらまっ子TAROちゃん)

高橋一生主演『僕らは奇跡でできている』評価上々も、伸び悩みの原因は “まどろっこしさ”にアリ!?

「ゴールデン初主演がこのドラマで良かった」と、高橋一生の評価がジワジワ上がり始めている『僕らは奇跡でできている』(フジテレビ系)。6日放送の第5話の視聴率は6.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と前回から1.0ポイントダウンし、ここまでの最低視聴率を更新してしまいました。

 ネットを観ていると、「何の見せ場もないけど、また見たくなる」「心に残る良いドラマ 」という声も増え始めた印象ですが、残念ながら、数字には繋がっていないようです。

 ということで、第5話のあらすじから振り返ります。

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■榮倉奈々、森デートで本心に気づく

 前回(レビューはこちら)、通っている歯科クリニックの担当医で院長の水本先生(榮倉奈々)に、教え子の新庄(西畑大吾/関西ジャニーズJr.)の実家で作られたコンニャクを渡すものの、「料理はしない」とつき返されてしまった相河(高橋)。

 それを聞き、2人をくっつけようとおせっかいおばさんと化している家政婦の山田さん(戸田恵子)は、相河にナイショでクリニックに偵察に行き、水本先生にあれやこれやと詮索をします。小さい頃に両親を亡くした相河の母親代わりをしてきた山田さんは、人と水本や大学の生徒たちと深く関わるようになってきた相河をうれしく思っていたようです。

 当の相河は、大学のテラスでお友達の虹一くん(川口和空)くんに、リスの観察経過を報告。森へ行きたいという虹一くんのために、相河は水本先生が開く子ども向けの歯磨きイベントに自分も参加し、相河との交流をよく思っていない虹一の母親・涼子(松本若菜)を説得すると約束しました。

 歯磨きイベントに向けて、一人で準備を頑張る水本先生。彼氏の雅也(和田琢磨)と別れた寂しさをごまかすように、より一層モリモリと働きます。その姿はちょっと痛々しいくらいで、歯科衛生士のあかり(トリンドル玲奈)も心配するほど。手伝うと声をかけられますが、プライドが邪魔をし素直に甘えることができません。それどころか憎まれ口をたたいてしまい、あかりから、「何気に上から目線って気づいてますぅ? だからうまくいかないんですよぉ~!」「彼氏さんのこと、仕事で埋めようとしてますよねぇ?」と正論をぶつけられてしまいます。

 なんとか迎えたイベント当日、手作りの紙芝居を読んだり、正しい歯磨きの仕方を子どもたちに見せてあげるのですが、「知ってる~」「つまんな~い」と素直すぎる声が。ある男の子からの「どうして虫歯っていうんですか?」という質問にも答えられません。そんな水本先生を助けたのは、弟が熱を出したため1人でやってきた虹一くんとその様子を見守っていた相河でした。

 虫歯は「虫食いの歯」。数字で書くと、「64918(ムシクイノハ)」。これを足し算すると、6+4+9+1+8=28で虫が食べられるのは28本。そして人間の歯の数も28本で偶然同じ数に。これを聞いた子どもたちは「すご〜い!!」と目を輝かせて大喜び。イベントはなんとか無事に終えたのでした。翌日、「改めて何かお礼をする」と言う水本先生を、相河は「森に行きませんか?」「お礼をしてください」と誘います。

 後日、2人で森を訪れ、リスのための橋をかける作業をするのですが、水本先生が転んでしまい橋が壊れ、雨も降ってきそうということで山小屋へ。そこで水本は、実家のコンニャク家を継ごうかと悩んでいる新庄と自分を重ねながら、「親が積み上げてきたものを引き継ぎ、歯科医として多くの人たちに貢献することが一番の願い」だと話しますが、相河は「楽しそうじゃありません」と不満気。反対に、水本先生に願いを聞かれ、何かを思いつき、

「歯を抜いて空いた穴は、歯で埋めたいです。他のもので埋めたくありません」

 と答えます。そして、いつも大事に持っている古びた缶の入れ物の中から歯ブラシを取り出すと水本先生に渡し、橋の修復のため小屋の外へ。水本先生はその歯ブラシで転んだときについたニットの汚れを落としながら、「私は……愛されたい……」と涙をこぼし本心をつぶやきます。そこへ戻ってきた相河。どうしようかとオロオロしたところで今回は終了です。

■説教くさくはないけど、“まどろっこしい”

ラストの山小屋でのシーンはもちろんなんですが、その前に触れておきたいのが、相河とおじいちゃんのシーン。

おじいちゃん「一輝の中にあった小さな光は、十分大きく広がった。もっと広がったら、どうなる?」

相河「光の中に他の人が入る」

おじいちゃん「それもまたいいんじゃないか?」

 相河が生徒たちをリスの観察に誘ったのも、水本先生を森に連れ出したのも、おじいちゃんとのこのやりとりがあったからでした。相河が幼い頃から、「楽しい、おもしろいという気持ちは、“光”だからな」と言ってきたおじいちゃん。その言葉があったからこそ、これまで相河は自分の中の光、つまり大好きな生き物の研究に夢中になることができたんだと思います。そして、おじいちゃんがそうしてくれたように、相河は自分と少し似ている虹一くんに「光」を見つけるヒントを与えて、それを伸ばそうとしてあげているんじゃないかなと。

 他にも、好きなことを仕事にして、満足しているから願いもないんだと相河をうらやましく思っている新庄くんに、「満足しているから願いがないんじゃない。目の前のことを夢中でやっているうちに願いがかなっちゃうんじゃないかな。だから、いちいち考えないんだよ」と鮫島教授(小林薫)が言葉をかけたシーンにも言えるのですが、このドラマは悪く言えば、“まわりくどい”。

 でも、「周りの人ともっとうまくやれ」「もっと楽しむ気持ちを大事にしろ」「深く考えるな」とか、ストレートな表現ではなく、あえて遠まわしないい言い方をすることによって、説教くさくならないのが、この作品のいいところだなぁと思います。

 ただ、それには継続してドラマを視聴していなければ、気づくことは難しいかと思うので、制作陣はそもそもそこまでの数字を期待して作ってはいないのかもしれないし、なかなか視聴率が伸びないのは、そういった“まどろっこしさ”に原因があるのかもしれません。続けて観ていると、おもしろさがわかるんですけどね……。

 

■セラピスト相河が水本先生の本音を引き出す

 ラストの山小屋のシーンでは、おじいちゃんに言われた通り、どんなときも楽しむことを忘れず、気になることをとことん追求して、いつの間にか願いを叶えてしまっている相河と、親から継いだクリニックは自分が守らなければと常識やルールに縛られている育実の対比がわかりやすく描かれていました。

 親のクリニックを継ぐために必死に勉強したり、彼のために料理を作ったり、一生懸命努力してきたのにそれが報われない水本先生。トリンドルちゃんとのバトルシーンでは、「榮倉奈々いちいち悪意感じて切れるなよ」「トリンドル玲奈の言ってること結構図星なんだけど、余計なこと言うな」「院長を心配してるんだし、なんだかんだいい子」など、ネット上でも視聴者からさまざまな声が上がっていましたが、確かに、ちょっと不器用すぎるような……。でも、そんな育実が「愛されたい」という本心に気がつき、涙を流すことができたのは、大きな一歩でしょう。

 今回、毎日リュックに入れて持ち歩いているほど大事にしている缶の中身も初めて明らかになったわけですが、水本先生の前で中を開けたのは何か意味がありそうな予感。2人の関係に何か進展があるのかないのかにも注目していきたいところです。

 また、今回はバレませんでしたが、虹一くんの母・涼子(松本若菜)に、虹一くんと交流を続けていることがバレたとき、相河が涼子ママにどう説明してどう対応するのか、今夜もヒヤヒヤしながら見守りたいと思います(おじいちゃんが涼子ママの悩みを聞いてあげるのが一番手っ取り早い気もしますが……)。

(文=どらまっ子TAROちゃん)

 

フジテレビ月9『絶対零度』視聴率2ケタ復帰も肝心の“ミハン”が無能すぎ!?

 フジテレビ月9には、まるで似合わないハードな刑事サスペンスが繰り広げられているドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』も第3話。視聴率は10.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と2ケタ復帰、初回超えと好調のようです。

 さて、このドラマは国民のあらゆる個人情報を網羅する巨大AI「未然犯罪捜査システム(通称“ミハン”)」が主に殺人を犯す可能性が高い危険人物を割り出し、その情報をもとにミハンチームが捜査を行うことで犯罪を未然に防ぐ、という設定の物語でした。その設定が第3話にして早くも曖昧になってきたあたりから、振り返りましょう。

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■もっとがんばれミハン!

 今回、ミハンが提示した人物は、若槻真帆(柴田杏花)という二十歳の女子大生。なんでも1年前に自殺未遂をして、それ以来、昏睡状態だそうです。昏睡状態なので、主に殺人を犯す可能性はゼロです。ゼロですが、真帆ちゃんのスマホから大学のテニサーのSNSに「復讐してやる」という脅迫メッセが入ったことと、同じスマホから大量の医療用ニトログリセリンが注文されていたことからピックアップされたようです。どうやら今回ミハンが彼女を割り出した根拠は、スマホの通信記録だけ。AIじゃなくてauでも割り出せそうな感じです。

 ともあれ、井沢警部補(沢村一樹)を中心としたミハンチームは、AIが「殺人を犯す可能性がゼロ」な人物を割り出したことを「システムエラーの可能性も?」とか軽く訝しがりつつ、真帆ちゃん周辺を洗い始めます。

 すると、謎の解明につながる重大な映像が出てきました。真帆ちゃんのスマホから注文されたという大量のニトロを、コンビニで受け取っている男が映った防犯カメラの映像が存在したのです。これは決定的! ミハンは日本中の防犯カメラの映像を持っていますので、この受け取り時間前後の周辺地域のカメラ映像を洗い出しつつ、大量のニトロをスマホで注文したというくらいだから、それなりの金額がオンライン上で動いているはずですし、何しろ国民のあらゆる個人情報を網羅するミハンですから、こんなアシの付きやすい方法でブツを受け取った人物を特定するのは、超カンタンなはず!

 と思ったら、ミハンは何もしません。結果、「男がパーカーのフードをかぶっていたので誰だかわからない」という結論をもって、謎は先延ばしにされました。テレ朝「木8」あたりの刑事だったら、この映像だけあればミハンなしでも身元を割りそうなものですが、このあたりが月9クオリティということなのでしょうか。

 で、なんだかんだあって、犯人像を2~3人くらいに手際よくミスリードしつつ、井沢警部補や同僚の小田切ちゃん(本田翼)らのトラウマをエッセンスとしながら真実に至ります。最後は前回同様、“ミハン”によって未然に犯罪の実行が防がれたために裁かれることのなかった極悪人(今回は佐野岳)が何者かによって暗殺され、次回へ。

 ミハンチームは犯罪を未然に防ぐことを目的に結成されましたが、その構成メンバーには、犯罪者に強い憎しみを抱く者だけが集められたそうです。井沢警部補は過去に妻子を惨殺された経験があり、小田切ちゃんも強姦被害者、そしてボスである東堂さん(伊藤淳史)も、25年前に起きた無差別殺傷事件に深いトラウマがありそう。未然に犯罪を防ぐためのチームに、なぜ犯罪被害者や犯罪遺族ばかりが集められたのか、そのあたりも次回以降に残された謎になっています。

■このドラマ、怖いよ

 前回のレビューでも書きましたが、このドラマはほとんどプロットだけで進行します。事件関係者は実に効率的に配置され、適切な順序とテンポで情報が開示されます。1・2話と今回の第3話では脚本家さんが変わっていますが、印象は同じです。シナリオを作る上で、方向性や手法について強力なディレクションが効いていることが伝わってきます。無駄なお肉は削ぎ落すだけ削ぎ落とされ、すごくよくできた、飽きさせない作りになっています。

 その反面、画面に登場する彼らが「誰」なのか、という描写は省略され、人物像については視聴者側が持つステレオタイプなイメージに依存することになりました。

 ヨレヨレのTシャツを着て、しつこく電話してくる引きこもり大学生。カフェ経営もしてる私学テニサーのイケメンリーダー。めっちゃいい人そうな病院のリハビリ担当。それぞれに「実は○○だった」という真相が用意されているわけですが、もともと提示された表側が極めて記号的なので、その真相が明らかになっても、「記号の裏」にしかなり得ない。記号の裏はどうあれ記号なので、人物固有の事情が浮き上がってこないのです。

 そのわりに、このドラマで扱われる感情は極めてシリアスで、重く、痛いものです。家族を殺されたとか、レイプされたとか、娘が自殺未遂したとか、昏睡状態のケガレなき美少女と心中したくてたまらないとか、そういう激しい痛みが“記号的な人物”に乗っかって“計算されたタイミング”で提示されてくる。これが、なんだか、すごく怖いんです。作り手側が、彼らの痛みに共感してる感じがしない。痛みの感情が、剥き出しのまま投げつけられている感じというか。最初からずっと言い続けてますが、よくできてるけど、楽しくないんです、『絶対零度』。

 でも、こういうスピード重視の作劇じゃないと、視聴者はついてこないのかもしれないですねー。視聴率は上がってるしね。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

原作&アニメ版とは別人のすずだが、これはあり!? 戦艦大和の入港に歓喜『この世界の片隅に』第2話

 こうの史代のベストセラーコミックを原作にした実写ドラマ版『この世界の片隅に』(TBS系)。第1話の25分拡大に続き、第2話も15分拡大とTBSが若手女優・松本穂香を主演に大抜擢した今回の日曜劇場に相当の力を注いでいることが分かります。戦艦大和や巡洋艦青葉も登場し、ミリタリーマニアを歓喜させた第2話を振り返りましょう。

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 昭和19年(1944)3月。広島市江波から呉市の北條家へ嫁入りしたすず(松本穂香)は初夜を終え、北條家の嫁としての新しい生活が始まります。婿の周作(松坂桃李)の寝顔を眺めて、にやにやしている場合ではありません。丘の上にある北條家には水道が通っておらず、朝イチで井戸の水をご近所まで汲みに行かなくてはならないのです。義母のサン(伊藤蘭)は足が不自由なため、がんばってすずが働かなくてはいけません。かまどでのご飯炊き、洗濯、掃除縫い物、また水汲み……と励みます。かっぽう着姿のすずの日常風景に、ジブリ映画を思わせる久石譲の音楽が優しく流れます。

 片渕須直監督の劇場アニメ版が上映時間126分に凝縮されていたのに対し、実写ドラマ版は日常生活の中で周作をはじめとする北條家の人々や隣組の刈谷タキ(木野花)、幸子(伊藤沙莉)親子らと交流していく姿をじっくりと描いていきます。片渕監督のアニメ版も、企画当初は原作エピソードを余すことなく活かすため、テレビシリーズ化することも検討されていたそうです。戦時下を生きるすずの何気ない日常風景を映し出すことは、『この世界の片隅に』のいちばんのキモでもあります。すず役に選ばれた松本穂香が、実写版『この世界の片隅に』の実力派アンサンブルの中に次第に溶け込んでいく過程を、時間を掛けて描いていけるのは、連続ドラマならではのメリットでしょう。

 

■幼少期の記憶を甦らせたキャラメルの味

 北條家での生活にすずがようやく慣れ始めて1カ月。周作の姉・径子(尾野真千子)が娘の晴美(稲垣来泉)の手を引いて現れます。気が強い径子は、亡くなった夫の実家との折り合いが悪く、呉で一緒に暮らすと言い出します。小姑・径子はすずがそれまで任されていた家事をすべてやることで、すずの居場所を奪おうとします。でも、のんびりしたすずは径子の悪意には気づかず、径子の「実家に帰れば」という言葉を真に受けて、「ありがとう、義姉さん」と喜んで広島に里帰りするのでした。すずのこの鈍感力は、厳しい時代を生きていく上で重要なものです。

 日々の家事と周囲への気遣いのために疲れて眠り込んでしまったすず。ふと目を覚ますと、そこは実母・キセノ(仙道敦子)たちのいる懐かしい我が家でした。呉で過ごした1カ月がまるで夢の中の出来事のように、まだ子ども気分の抜けないすずには思えます。実家に帰ってきて寝てばかりいるすずをたしなめるキセノでしたが、すずの頭に十円ハゲができていることに気づいてしまいます。のほほんとしているようで、娘もそれなりに苦労しているようです。自分の嫁入り時代を思い出し、あまりうるさくは言わないキセノでした。

 ぼーとした性格のすずは、母親似ではなく、どうも父親の十郎(ドロンズ石本)似のようです。十郎からお小遣いを手渡されたすずは、久しぶりに広島市の繁華街へと向かいます。大好きなキャラメルの甘さに悶え喜びながら、すずは太田川沿いに建つ産業奨励館を眺めるのでした。昔もここでスケッチしたっけなぁ……と幼年期のことを思い出したすずは、人さらいに拉致された際に一緒にキャラメルを食べ、人さらいから救ってくれた男の子が周作だったことに気づきます。キャラメルはすずと周作を結びつけた運命の味だったのです。いつもはマイペースなすずですが、このときばかりは涙を浮かべながら猛ダッシュで周作のいる呉へと帰還するのでした。

 すずが呉へ走って帰るエピソードは、原作にはない岡田惠和脚本のオリジナルシーンですが、第2話でいちばんの盛り上がりを見せました。はっきり言って、松本穂香演じるすずは、原作のすずとは別人です。もちろん、のんが声優として演じた劇場アニメ版のすずともまったく異なります。でも、自分が置かれた状況の中で、自分を必要としてくれる人のために一途になれる実写版すずの姿を視聴者は嫌いにはなれません。原作&劇場アニメ版をリスペクトしながらも、岡田惠和脚本は連ドラ版としての独自の世界を目指していることが伺えます。

 呉へ戻ったすずですが、径子がいる北條家にはなかなか入ることができず、海が見渡せる丘の斜面で時間を潰すのでした。職場から帰ってきた周作がすずを見つけ、2人で海と空が広がる美しいパノラマを眺めます。そのとき、巨大な軍艦が呉港に姿を現わします。呉海軍工厰で建造された世界最大の戦艦大和です。周作は海に向かって大きな声で叫びます。「おかえり~、大和! おかえり~、すずさん!!」。周作の優しさに包まれ、きっとすずの十円ハゲもそのうち治ることでしょう。

■機会あれば観ておきたい片渕監督の『マイマイ新子』

 周作とすずのラブラブな様子に続いて、第2話のエンディングは賛否両論を呼んでいる現代編に。周作とすずが夫婦愛を確かめ合った丘で、榮倉奈々と古舘佑太郎が並んで同じ景観を眺めています。榮倉演じる佳代は、無人化してしまった北條家を最近流行の古民家カフェか民宿にしたいと言い出します。思い付きで行動するタイプの佳代は、都会では自分の居場所を見つけることができずに悩んでいるようです。『この世界の片隅に』は絵を描くこと以外に何の取り柄もない平凡な女の子だったすずさんが、厳しい時代を懸命に生き、ようやく自分の居場所を手に入れる物語です。連ドラ版は現代を生きる佳代の居場所さがしの物語を、すずの成長譚と重ね合わせながら同時進行していくことになりそうです。

 73~74年前の物語ではなく、現代とリンクするドラマにしたいというTBS側の思惑は分からないではありませんが、戦時中の北條家やそのご近所、広島の街並みが大規模なオープンセットによってリアルに再現されているのに比べると、現代パートは逆に薄っぺらい印象を与えてしまうのが心配です。でも、脚本家の岡田惠和は『いま、会いにゆきます』(04)といったファンタジーものも得意としているので、片渕監督の前作『マイマイ新子と千年の魔法』(09)のように過去と現代がイマジネーションの世界でシンクロするミラクルな展開が待っていることに期待しましょう。

 舞台となっている広島では初回の視聴率が20.4%だったそうですが、第2話の視聴率が気になるところです。関東地区の第2話の視聴率は10.5%(ビデオリサーチ調べ)。まだ実績のない新人女優の初主演ドラマとしては、前週の10.9%に続いての2ケタキープは及第点を上げていいでしょう。第1~2話は顔見せだけだった遊女・白木リン(二階堂ふみ)と周作の関係が次週では明かされ、また劇場アニメ版でもざわめきが起きた巡洋艦青葉に乗る水原哲(村上虹郎)が入湯上陸で北條家を訪ねるエピソードも描かれるようです。大人の色恋沙汰に赤面するすずさんを、しっかりと見守りたいと思います。
(文=長野辰次)

加藤シゲアキの“余裕”っぷりに違和感……『ゼロ 一獲千金ゲーム』はNEWSファンじゃないとしんどい!?

 

 ライターとしてこんな芸のないことは言いたくないのだが、正直、かなりしんどい初回だった。7月15日よりスタートした『ゼロ 一獲千金ゲーム』(日本テレビ系)。

 一つ言いたいのは、未読の方はそのまま原作に触れないほうがいいということ。

 本作は、賞金1000億円を懸け、知力・体力・時の運を試される特別なゲームに若者たちが挑む物語。とはいっても、運的要素はほとんど絡んでこない。それぞれのゲームには、明確な勝ち抜け方が必ずある。そして、主人公・宇海零は、イチかバチかの勝負は絶対にやらない。

 福本伸行原作の『賭博覇王伝 零』と実写版の今作に、ゲーム内容の差異は今のところほとんどない。漫画の実写化にはプラスアルファの肉付けが必要なはずだが、第1話にその要素はあまり見当たらなかった。

 それでいてドラマ版の最大の楽しみ方は、“謎解き”にありそう。ならば、原作を読んだ者にとってドラマ版は不毛ということになる。だって、謎を知ってしまっているから。だから、原作に触れないほうがいいと言っている。原作を読んだ上でドラマと付き合うには、「この先、ドラマならではのプラスアルファが出てくるのでは?」と淡い期待を持ち続けるしか道はない。それでしか、モチベーションを保てないのだ。

■ゲームの謎を解き明かす視聴者が続出

 正体を名乗らず人を救う義賊集団「ゼロ」の出現が、世間では話題になっていた。振り込め詐欺被害に遭った金を犯行グループから奪い、インターネット番組を通じ被害者へ返還する“現代の鼠小僧”のような集団である。

この義賊の首謀者は宇海零、通称“ゼロ”(加藤シゲアキ)。その他のメンバーには真鍋チカラ(加藤諒)、佐島ヒロシ(岡山天音)、早乙女スナオ(杉野遥亮)がいる。

 この3人が、どうにもダメなのだ。いきなり、犯行グループであるヤクザの末崎さくら(ケンドーコバヤシ)に拉致られてしまっている。無能なだけじゃない。特に、チカラは薄情だ。自分だけ助かりたくて「ゼロに利用されただけなんです!」とアピールする始末。

 ちなみに、ゼロの職業は学習塾講師。「神授業をする」と話題になるほど優秀だが、勉強が理解できない生徒がいると授業の進行をストップさせるのが玉にキズ。わかるまで付きっきりで解説するのが常である。

 この、面倒見がよく放っておけない性分が、チカラらとの関係にも影響する。窮地に陥る3人の居場所を突き止め、ゼロはわざわざ助けに行ったのだ。

 そこへ、資産100兆を超える実業家・在全無量(梅沢富美男)と幹部の後藤峰子(小池栄子)が現れた。そして、在全グループの後継者を決める選抜ゲームに参加しろとゼロたちに告げる。一同は、人生の一発逆転を狙う若者が集うゲーム会場「ドリームキングダム」を訪れた。

 彼らを待ち受けていたのは、振られたサイコロの目を当てるゲーム。参加者は予想する目のサークル内で待機し、もし間違えれば誤答のサークル上へ巨大な鉄球が落下する、その名も「鉄球サークル」である。

 答えを外したら、即死は免れそうにない。しかし、峰子は「ゲーム終了時にサークル内にいて、そして生きていられた者は、目を当てられなくてもクリア」とおかしなことを言う。

 漫画原作があるドラマのつらいところだ。Twitterでは「サークルの端に座れば鉄球に当たらないだろ?」とリアルタイムで予測する視聴者が続出した。この読み、正解なのだ。中にはガチで予想した視聴者もいるだろうが、原作を読んでいた視聴者も少なくなかったはず。だから、ドラマならではの設定の肉付けが急務だと言っている。

■『LIAR GAME』に似ていながら、決定的に不足しているもの

 もちろん、原作とドラマに差異がないわけではない。例えば、ゼロの年齢と職業が原作とは違う。それに、原作版の「鉄球サークル」で死者は出なかったのに、ドラマ版では出ている。映像化に際してより悲惨に仕上げるなんて、なかなか珍しいケースではないか。あと、在全の側近が原作版では男性だったのに、ドラマ版では女性の峰子になっている。

 ゲームの進行を取り仕切るのが女性。ここ、おそらく多くの視聴者は既視感を覚えたはずだ。峰子の役割が、『LIAR GAME』(フジテレビ系)のエリー(吉瀬美智子)とほぼ一緒に見える。事実、SNS上では「ライアーゲームみたい」というツイートが散見された。実写化に際し、わざと意識したか?

 しかし、比較対象としてはなかなか手ごわい作品である。『LIAR GAME』はゴールデンへ進出し、映画版まで制作された名作。残念ながら、『ゼロ 一獲千金ゲーム』はその域まで達していない。

 何が足りないか。本作は、とにかく見ていてハラハラドキドキしないのが歯がゆい。漫画を読んでいる時は、確かにドキドキしたのに!

 ドラマ版のゼロは、なぜか妙に余裕が見える。原作版の彼は、もっとギリギリだった。悩み、逡巡し、スレスレのところでゲームをクリアしていた。ゲームと対峙する彼の内面の揺れ動きに、感情移入しやすい人間臭さがあった。

 あと、ドラマ版で初登場となる新ゲームもやはり欲しい。どの視聴者にとっても初見となる、未知の障壁。それがあればこそ、ようやくハラハラできる。

 原作版は、頭のおかしいゲームが続出した。「あれを再現できるのか?」という楽しみもないではない。でも、既存のゲームばかりだと正直しんどい。原作版の中には再現困難なゲームもあったので、「いつかオリジナルのゲームも登場するはず」と淡い期待を抱いていたい。

 ちなみに、第2話ではNEWSの増田貴久がゼロの高校時代の同級生・カズヤ役で出演する模様。その情報が告知されるや、熱を帯びるファンの様子がTwitter上では垣間見られた。この反応が象徴的だった。正直、現時点ではNEWSのことを好きでないと見ていてつらいドラマである。福本伸行が好きで視聴したファンもいるはずなのに。

 元の原作は文句なしにいいのだから、ドラマ版にも挽回の目はあると信じたい。

(文=寺西ジャジューカ)

加藤シゲアキの“余裕”っぷりに違和感……『ゼロ 一獲千金ゲーム』はNEWSファンじゃないとしんどい!?

 

 ライターとしてこんな芸のないことは言いたくないのだが、正直、かなりしんどい初回だった。7月15日よりスタートした『ゼロ 一獲千金ゲーム』(日本テレビ系)。

 一つ言いたいのは、未読の方はそのまま原作に触れないほうがいいということ。

 本作は、賞金1000億円を懸け、知力・体力・時の運を試される特別なゲームに若者たちが挑む物語。とはいっても、運的要素はほとんど絡んでこない。それぞれのゲームには、明確な勝ち抜け方が必ずある。そして、主人公・宇海零は、イチかバチかの勝負は絶対にやらない。

 福本伸行原作の『賭博覇王伝 零』と実写版の今作に、ゲーム内容の差異は今のところほとんどない。漫画の実写化にはプラスアルファの肉付けが必要なはずだが、第1話にその要素はあまり見当たらなかった。

 それでいてドラマ版の最大の楽しみ方は、“謎解き”にありそう。ならば、原作を読んだ者にとってドラマ版は不毛ということになる。だって、謎を知ってしまっているから。だから、原作に触れないほうがいいと言っている。原作を読んだ上でドラマと付き合うには、「この先、ドラマならではのプラスアルファが出てくるのでは?」と淡い期待を持ち続けるしか道はない。それでしか、モチベーションを保てないのだ。

■ゲームの謎を解き明かす視聴者が続出

 正体を名乗らず人を救う義賊集団「ゼロ」の出現が、世間では話題になっていた。振り込め詐欺被害に遭った金を犯行グループから奪い、インターネット番組を通じ被害者へ返還する“現代の鼠小僧”のような集団である。

この義賊の首謀者は宇海零、通称“ゼロ”(加藤シゲアキ)。その他のメンバーには真鍋チカラ(加藤諒)、佐島ヒロシ(岡山天音)、早乙女スナオ(杉野遥亮)がいる。

 この3人が、どうにもダメなのだ。いきなり、犯行グループであるヤクザの末崎さくら(ケンドーコバヤシ)に拉致られてしまっている。無能なだけじゃない。特に、チカラは薄情だ。自分だけ助かりたくて「ゼロに利用されただけなんです!」とアピールする始末。

 ちなみに、ゼロの職業は学習塾講師。「神授業をする」と話題になるほど優秀だが、勉強が理解できない生徒がいると授業の進行をストップさせるのが玉にキズ。わかるまで付きっきりで解説するのが常である。

 この、面倒見がよく放っておけない性分が、チカラらとの関係にも影響する。窮地に陥る3人の居場所を突き止め、ゼロはわざわざ助けに行ったのだ。

 そこへ、資産100兆を超える実業家・在全無量(梅沢富美男)と幹部の後藤峰子(小池栄子)が現れた。そして、在全グループの後継者を決める選抜ゲームに参加しろとゼロたちに告げる。一同は、人生の一発逆転を狙う若者が集うゲーム会場「ドリームキングダム」を訪れた。

 彼らを待ち受けていたのは、振られたサイコロの目を当てるゲーム。参加者は予想する目のサークル内で待機し、もし間違えれば誤答のサークル上へ巨大な鉄球が落下する、その名も「鉄球サークル」である。

 答えを外したら、即死は免れそうにない。しかし、峰子は「ゲーム終了時にサークル内にいて、そして生きていられた者は、目を当てられなくてもクリア」とおかしなことを言う。

 漫画原作があるドラマのつらいところだ。Twitterでは「サークルの端に座れば鉄球に当たらないだろ?」とリアルタイムで予測する視聴者が続出した。この読み、正解なのだ。中にはガチで予想した視聴者もいるだろうが、原作を読んでいた視聴者も少なくなかったはず。だから、ドラマならではの設定の肉付けが急務だと言っている。

■『LIAR GAME』に似ていながら、決定的に不足しているもの

 もちろん、原作とドラマに差異がないわけではない。例えば、ゼロの年齢と職業が原作とは違う。それに、原作版の「鉄球サークル」で死者は出なかったのに、ドラマ版では出ている。映像化に際してより悲惨に仕上げるなんて、なかなか珍しいケースではないか。あと、在全の側近が原作版では男性だったのに、ドラマ版では女性の峰子になっている。

 ゲームの進行を取り仕切るのが女性。ここ、おそらく多くの視聴者は既視感を覚えたはずだ。峰子の役割が、『LIAR GAME』(フジテレビ系)のエリー(吉瀬美智子)とほぼ一緒に見える。事実、SNS上では「ライアーゲームみたい」というツイートが散見された。実写化に際し、わざと意識したか?

 しかし、比較対象としてはなかなか手ごわい作品である。『LIAR GAME』はゴールデンへ進出し、映画版まで制作された名作。残念ながら、『ゼロ 一獲千金ゲーム』はその域まで達していない。

 何が足りないか。本作は、とにかく見ていてハラハラドキドキしないのが歯がゆい。漫画を読んでいる時は、確かにドキドキしたのに!

 ドラマ版のゼロは、なぜか妙に余裕が見える。原作版の彼は、もっとギリギリだった。悩み、逡巡し、スレスレのところでゲームをクリアしていた。ゲームと対峙する彼の内面の揺れ動きに、感情移入しやすい人間臭さがあった。

 あと、ドラマ版で初登場となる新ゲームもやはり欲しい。どの視聴者にとっても初見となる、未知の障壁。それがあればこそ、ようやくハラハラできる。

 原作版は、頭のおかしいゲームが続出した。「あれを再現できるのか?」という楽しみもないではない。でも、既存のゲームばかりだと正直しんどい。原作版の中には再現困難なゲームもあったので、「いつかオリジナルのゲームも登場するはず」と淡い期待を抱いていたい。

 ちなみに、第2話ではNEWSの増田貴久がゼロの高校時代の同級生・カズヤ役で出演する模様。その情報が告知されるや、熱を帯びるファンの様子がTwitter上では垣間見られた。この反応が象徴的だった。正直、現時点ではNEWSのことを好きでないと見ていてつらいドラマである。福本伸行が好きで視聴したファンもいるはずなのに。

 元の原作は文句なしにいいのだから、ドラマ版にも挽回の目はあると信じたい。

(文=寺西ジャジューカ)

波瑠主演『サバイバル・ウエディング』パワハラ・セクハラ発言連発でコンプラ“ギリギリ”もドラマとして成立するワケ

 今、ノリに乗っている女優・波瑠が主演を務める土曜ドラマ『サバイバル・ウエディング』(日本テレビ系)が7月14日にスタートし、視聴率は10.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、好スタートを切りました。

 波瑠ちゃんといえば、NHK朝ドラ『あさが来た』でブレイク後、立て続けにドラマに出演しており、主演を務めた昨年4月期の『あなたのことはそれほど』(TBS系)、前クール放送の『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日系)が2作連続で視聴率2ケタ台を記録。「米倉涼子に続く“連ドラ女王”」との呼び声も高い売れっ子女優さんですが、意外にも日テレでの連ドラ主演は今作が初めてだそうです。

 果たして、日テレ的にも波瑠ちゃん的にも“代表作”にすることはできるのでしょうか……? さっそく第1話のあらすじから振り返っていきましょう。

■崖っぷちからのスタート

 30歳の誕生日に結婚式を挙げることになった主人公・黒木さやか(波瑠)は、7年間勤めた出版社を寿退社したその日の夜、婚約者・石橋和也(風間俊介)のベッドでピンクのパンツを発見。浮気がバレた和也は開き直ったかのように「俺、さやかと結婚できない」「結婚、結婚って重いんだよ」「一緒にいると辛い」と今更すぎる言葉を投げつけます。3カ月後に挙式を控えたまさかのタイミングで、さやかは婚約を破棄されてしまいました。

 まさに“ドン底”のさやかは、元上司の口利きによって人気ライフスタイル誌「riz」のカリスマ編集長でハイブランド好きの宇佐美博人(伊勢谷友介)に拾われることに。しかし、宇佐美は「半年以内に結婚する。できなければクビ」という無茶苦茶な条件をさやかにつきつけます。

 なんでも「riz」は婚活特集を組むとよく売れるそうです。体当たりで婚活をして、それを記事にしろという宇佐美に抵抗しつつも、ニートの身であるさやかは仕方なく条件を呑み、編集部の一員として働くことに。

  撮影で使う衣装を手配・返却したり、雑誌に掲載されるお店の電話番号をチェックしたり、クライアント先から印刷所まで駆けずり回ったりと、さやかは他のスタッフのいわゆる雑用係として、大忙しです。

 そうしている間、和也からは何度か連絡がありましたが、「日本で一番恋愛に詳しいのは俺だ」と豪語するナルシストなボス・宇佐美の「2週間電話もメールも無視しろ」という指令通り、泣く泣くシカト。

  そんなある日、和也から「会って話したいことがある」とメールが届きます。宇佐美は得意のブランドうんちくを語りながら“つり橋理論”を応用し、さやかに魅力的な男性の影をチラつかせることで、和也を不安にさせるという戦略を立てました。

 和也との約束の日、カフェで近況を報告したり思い出話をした後、初デートで行ったエスニック料理に誘われますが、“会うのは30分”という宇佐美の命令通り、さやかは「待ち合わせがあるから」と誘いを断ります。しかし、久々に顔を合わせたことで改めて自分の気持ちに気がつき思わず和也を引き止めてしまったさやか。「やっぱり、私たちさぁ……」と切り出した瞬間、爆音とともにポルシェがやってきます。

 運転するのは、宇佐美が手配したはずの人気モデル・ケイタではなく、絶妙にダサいポーズをキメる宇佐美本人でした。口をぱっくり開けてあぜんとする和也をよそに、エンジンを吹かせながら颯爽とその場を後にした2人は、さやかおススメのもつ鍋屋さんで次の戦略を立てます。宇佐美はお決まりのブランドうんちくを例に出しながら、「自分を安売りしないこと」「大切にされたかったら体を許すな」とアドバイスを送るのでした。

  翌日、仕事を終えたさやかが帰宅すると、マンションの前には和也の姿が。「あの男誰?」「付き合ってんの?」と冷たい口調で詰め寄り、さやかを抱き寄せそのままキス。宇佐美の予想通り、和也はさやかの体を求めてきたのです。案の定、さやかはすんなり受け入れてしまったのでした……というのが第一話のあらすじです。

■コンプラのギリギリを攻める

 このドラマの原作は、2015年に発売された大橋弘祐氏による小説『SURVIVAL・WEDDING(サバイバル・ウェディング)』(文響社)。

 雑誌業界を舞台にしたドラマというと、2007年に放送された菅野美穂主演の『働きマン』(同)や、最近でいえば沢尻エリカ主演の『ファーストクラス』シリーズ(フジテレビ系)、 高畑充希が朝ドラヒロインを演じた『とと姉ちゃん』(NHK)、黒木華の『重版出来!』(TBS系)、石原さとみの『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)など、これまでにもいくつものヒット作があります。

 しかし、出版業界で働くヒロインが、仕事に恋に奮闘しながら成長していく様子を描いたそれら“お仕事ドラマ”とはまた別で、この作品は仕事として恋愛(婚活)をする、“ポップなお仕事婚活ラブコメ”といった感じです。

 お仕事メインのストーリーだったら、二番煎じどころか◯番煎じ感が否めませんが、ただ単に業界のあれこれを描くのではなく、エルメスやイヴ・サンローランなど誰もが知っているオートクチュールブランドのマーケティング戦略を恋愛に応用するという設定は斬新でしたし、どこかで聞いたことがあるような恋愛テクニックも、ブランドうんちくを例に出されることで、妙に腑に落ちます。はじめはイヤイヤだったさやかが婚活コラムにやる気を出したのも、宇佐美のうんちくと戦略になんらかの魅力を感じたからでしょう。

 まぁ、コンプライアンスの厳しいこのご時世に、「結婚できなかったらクビ」なんてことが現実にあったら立派なパワハラ問題になりますので、そのあたりは深くは突っ込まないことにしまが、おそらく、さやかがパワハラ・セクハラ発言を躊躇なく発する宇佐美に「何くそ!」と立ち向かうことができるタイプの女性だからこそ成立する話なんだと思います。たぶん。

 

■伊勢谷友介の奇抜な見た目

 既存のドラマで描かれてきたように、雑誌の編集部ってどこかアクの強そうな人が多いイメージがありますが、「riz」の編集長・宇佐美も例外ではありません。イジリー岡田みたいな坊ちゃん刈りに、小ぶりの石がついたピアス、お高そうなスーツに革靴といったスタイルは、パッと見でヤバい奴だとわかります。顔はいいけど。

   でも、そんな宇佐美だからこそ、「お前みたいなB級女」「お前の価値が相対的に低い」と酷いことを言われても、そこまで深刻になりません。また、売り上げが低迷していた「riz」を斬新な企画で立て直した経験のある人物でもあるので、「マーケティングの基本は、顧客のニーズに耳を傾けること。男の意見をもっと聞け」という言葉には説得力があるし、婚活中の人はもちろん、そうでない人の心にもチクリと刺さります。ちなみに「riz」は、「an・an」(マガジンハウス)をイメージしていただければいいかと思います。

 また、波瑠ちゃんと伊勢谷さんのコミカルな掛け合いも見ていて楽しかったです。クールで静かなイメージのある2人だけに、まだ物足りなさは感じますが、この作品はさやかと宇佐美のやりとりが見どころの一つでもあるので、今後切れ味に磨きがかかっていくことを期待したいです。

 

■風間俊介の安定感

 浮気男・和也を演じるのは、ジャニーズ事務所きっての演技派・風間俊介。なんていうか、かざぽんの和也はとってもリアルで、“こういう男いそう感”がすごいです。普段は温厚そうだけど、どことなくお目目が死んでるし、スイッチが入ったらDVしそう(※そういうシーンはありません)。

 同性のため、筆者はどうしてもさやかの肩を持ってしまうのですが、原作だと、パンツを見つける以前にさやかは和也が浮気していると女のカンでなんとなく気がついていました。でも、「結婚するんだから」と見て見ぬフリをしてきたのです。でも、1話にはそういった描写が全くなかったため、浮気が発覚したときのさやかの衝撃は大きかったはず。

 それに、かざぽんの演技のうまさがプラスされて余計に和也が結婚式目前に婚約をドタキャンしたただのクズ男になっています。まぁ、浮気を見抜けず結婚に向けて突っ走ってしまったさやかもさやかですけどね……。今後、かざぽんがどんなクズ男ぶりを見せてくれるかワクワクです。

■物語の鍵はイケメン俳優・吉沢亮

 原作と違う点はもう一つあります。「riz」が出展したイベント会場で、お腹をすかせたくまの着ぐるみの中の人に入っていた爽やかイケメン・柏木祐一(吉沢亮)に、さやかは余ったお弁当を手渡しました。

 これ、ドラマオリジナルのシーンで、小説だと、2人が出会うのはまだ先のこと。わざわざこのシーンをつけ足すということは、祐一が重要な人物となることは明らかです。ちなみに、着ぐるみを着ている吉沢くんが超絶かわいかったです。

次回予告ではさやかと祐一が顔を合わせる場面がありましたし、2人がどう接近していくか、今夜放送の2話を楽しみにしたいと思います。

 (文=どらまっ子TAROちゃん)

全ての始まりは「出会う」こと――土屋太鳳主演ドラマ『チア☆ダン』第1話

 アイドルもののドラマや映画には、いくつかのフォーマットがある。幼馴染の男の子との恋、ひょんなことから同居することになった男女のドタバタ劇、目立たなかった女の子が、夢中になるものを見つけ変わっていくストーリー、などなど。

 今までになかったような斬新な設定やストーリーも楽しいが、これらのようなフォーマットの作品には、「安心して楽しめる」という利点がある。

 そんな中でも私が特に好きなのは、女の子がなにかの競技に出会い、それを通して成長していくというものだ。

 1998年に田中麗奈主演で映画化され、後にフジテレビ系でドラマ化もされた、『がんばっていきましっしょい』(ボート競技)や、昨年、乃木坂46のメンバーで映画化・舞台化された『あさひなぐ』(なぎなた)などが代表例で、スポーツ以外でも、成海璃子が主演した『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』(2010年/書道パフォーマンス)、広瀬すず主演で3部作が作られた『ちはやふる』(16、18年/競技かるた)などもこの系譜といえる。

 7月13日に始まったドラマ『チア☆ダン』(TBS系)は、まさにこのフォーマットによる作品だ。昨年、広瀬すず主演で公開された映画版のスピンオフとなる。

 主人公の藤谷わかば(土屋太鳳)は、幼い頃、地元である福井中央高校のチアダンス部「JETS」が全米制覇したのを見て、憧れを抱く。しかし、いくら努力しても夢を叶えていくのは姉であるあおい(新木優子)ばかり。結局は、野球部の応援ぐらいしか活動のない、福井西高校のチアリーダー部で漫然とした日々を送っていた。

 そんなある日、彼女の高校に二人の「異分子」がやってくる。

 一人は、東京の高校から転校してきた、桐生汐里(石井杏奈)、もう一人は、新たに赴任してきた男性教師、漆戸太郎(オダギリジョー)。この二人との出会いにより、わかばの日常に新たな変化が起こっていく。

 姉にコンプレックスを抱き、夢を持てずにいるわかばが、実はいじらしい。誰かにコンプレックスを持つというのは、決して悪いことではない。むしろ、何かを始める時の原動力ともなりうるだろう。そして、世の中の多くの人が共感するのは、夢を叶えた人の成功物語ではなく、日々葛藤しながら生きている彼女の方なのではないだろうか。

 異分子の一人、漆戸もまた夢への絶望を経験している。希望を抱いて教師になったであろう彼だか、前の学校でのトラブルで体調を崩し、休職していたのだ。

 そんな絶望を抱いた二人が出会う。「無理はするものではない」お互いにそう言いながらも、好きなことを続けることの大切さを感じる。

 わかばを奮起させたのは、もう一人の異分子、汐里だった。「チアダンス部を作って全米制覇したい」、そう意気込む汐里に巻き込まれるようにして、わかばは部活創設に奔走する。最初は誰も話を聞いてくれなかったが、二人の熱意に押されるようにして、少しずつ仲間が増えていく。

 姉・あおいが新たな夢に向かって、東京へと旅立つ日、わかばは彼女のためにチアダンスをして送り出す。技術的にはまだまだ未熟なメンバーたち。しかし、そこにはチアをやる上で一番大切なものがしっかりと宿っていた。そう、全ての基本となるチアの心、それは「誰かを励ましたい」という思いにほかならない。旅立っていく姉へのエールが、周りの人を巻き込み、仲間の心に灯をともしたのだ。

 わかばは、多くの仲間、そして「チアダンス」という競技に出会うことによって、新しい物語を始めることになる。

 今回は、舞台となった福井という土地の魅力もある。実は、最初に挙げた作品でも、『がんばっていきましっしょい』は愛媛県松山市、『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』は愛媛県四国中央市と、地方が舞台であることが多い。直接的な表現ではないにせよ、地元から見る東京への憧れと、打ち込んでいる競技で勝ち上がろうとする気持ちがリンクして見えるのだ。

 もともとこの作品は、福井商業高校のチアダンス部が全米制覇を成し遂げた実話がベースとなっている。実際のメンバーがどんな思いでいたかは想像するしかないが、福井という地方都市にして、東京、そしてアメリカという都会を目指す気持ちは、何かキラキラとした未来を見ているような思いであったのではないだろうか。今回のドラマからも、そのキラキラした思いは十分に感じられた。

 主演の土屋太鳳にとっても、うってつけの役柄であると思う。彼女自身、若い頃からダンスに取り組んでいることは有名だし、その中で多くの挫折も成功も経験してきたことであろう。まさに、この夏、土屋もまたこの作品に“出会った”のである。

 もちろん、他にも注目の若手女優がたくさん出ている。これから誰がどんなキャラクターを担っていくか楽しみだが、NHK朝ドラ『ひよっこ』でも活躍した佐久間由衣、メガネっ子キャラ(このキャラもアイドルものには欠かせない)の大友花恋、わかばの親友役の八木莉可子などは、要注目であろう。アイドルドラマの楽しみのひとつである、キャストがドラマを通して成長していく姿を見ることができるはずである。

 毎年、夏ドラマは多くの若手女優たちに出会わせてくれる。この作品を通して、どんなキャラクターとどんな出会いをすることになるのか。今年の夏も、爽やかな女の子たちとともに過ごせることが楽しみである。

(文=プレヤード)

全ての始まりは「出会う」こと――土屋太鳳主演ドラマ『チア☆ダン』第1話

 アイドルもののドラマや映画には、いくつかのフォーマットがある。幼馴染の男の子との恋、ひょんなことから同居することになった男女のドタバタ劇、目立たなかった女の子が、夢中になるものを見つけ変わっていくストーリー、などなど。

 今までになかったような斬新な設定やストーリーも楽しいが、これらのようなフォーマットの作品には、「安心して楽しめる」という利点がある。

 そんな中でも私が特に好きなのは、女の子がなにかの競技に出会い、それを通して成長していくというものだ。

 1998年に田中麗奈主演で映画化され、後にフジテレビ系でドラマ化もされた、『がんばっていきましっしょい』(ボート競技)や、昨年、乃木坂46のメンバーで映画化・舞台化された『あさひなぐ』(なぎなた)などが代表例で、スポーツ以外でも、成海璃子が主演した『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』(2010年/書道パフォーマンス)、広瀬すず主演で3部作が作られた『ちはやふる』(16、18年/競技かるた)などもこの系譜といえる。

 7月13日に始まったドラマ『チア☆ダン』(TBS系)は、まさにこのフォーマットによる作品だ。昨年、広瀬すず主演で公開された映画版のスピンオフとなる。

 主人公の藤谷わかば(土屋太鳳)は、幼い頃、地元である福井中央高校のチアダンス部「JETS」が全米制覇したのを見て、憧れを抱く。しかし、いくら努力しても夢を叶えていくのは姉であるあおい(新木優子)ばかり。結局は、野球部の応援ぐらいしか活動のない、福井西高校のチアリーダー部で漫然とした日々を送っていた。

 そんなある日、彼女の高校に二人の「異分子」がやってくる。

 一人は、東京の高校から転校してきた、桐生汐里(石井杏奈)、もう一人は、新たに赴任してきた男性教師、漆戸太郎(オダギリジョー)。この二人との出会いにより、わかばの日常に新たな変化が起こっていく。

 姉にコンプレックスを抱き、夢を持てずにいるわかばが、実はいじらしい。誰かにコンプレックスを持つというのは、決して悪いことではない。むしろ、何かを始める時の原動力ともなりうるだろう。そして、世の中の多くの人が共感するのは、夢を叶えた人の成功物語ではなく、日々葛藤しながら生きている彼女の方なのではないだろうか。

 異分子の一人、漆戸もまた夢への絶望を経験している。希望を抱いて教師になったであろう彼だか、前の学校でのトラブルで体調を崩し、休職していたのだ。

 そんな絶望を抱いた二人が出会う。「無理はするものではない」お互いにそう言いながらも、好きなことを続けることの大切さを感じる。

 わかばを奮起させたのは、もう一人の異分子、汐里だった。「チアダンス部を作って全米制覇したい」、そう意気込む汐里に巻き込まれるようにして、わかばは部活創設に奔走する。最初は誰も話を聞いてくれなかったが、二人の熱意に押されるようにして、少しずつ仲間が増えていく。

 姉・あおいが新たな夢に向かって、東京へと旅立つ日、わかばは彼女のためにチアダンスをして送り出す。技術的にはまだまだ未熟なメンバーたち。しかし、そこにはチアをやる上で一番大切なものがしっかりと宿っていた。そう、全ての基本となるチアの心、それは「誰かを励ましたい」という思いにほかならない。旅立っていく姉へのエールが、周りの人を巻き込み、仲間の心に灯をともしたのだ。

 わかばは、多くの仲間、そして「チアダンス」という競技に出会うことによって、新しい物語を始めることになる。

 今回は、舞台となった福井という土地の魅力もある。実は、最初に挙げた作品でも、『がんばっていきましっしょい』は愛媛県松山市、『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』は愛媛県四国中央市と、地方が舞台であることが多い。直接的な表現ではないにせよ、地元から見る東京への憧れと、打ち込んでいる競技で勝ち上がろうとする気持ちがリンクして見えるのだ。

 もともとこの作品は、福井商業高校のチアダンス部が全米制覇を成し遂げた実話がベースとなっている。実際のメンバーがどんな思いでいたかは想像するしかないが、福井という地方都市にして、東京、そしてアメリカという都会を目指す気持ちは、何かキラキラとした未来を見ているような思いであったのではないだろうか。今回のドラマからも、そのキラキラした思いは十分に感じられた。

 主演の土屋太鳳にとっても、うってつけの役柄であると思う。彼女自身、若い頃からダンスに取り組んでいることは有名だし、その中で多くの挫折も成功も経験してきたことであろう。まさに、この夏、土屋もまたこの作品に“出会った”のである。

 もちろん、他にも注目の若手女優がたくさん出ている。これから誰がどんなキャラクターを担っていくか楽しみだが、NHK朝ドラ『ひよっこ』でも活躍した佐久間由衣、メガネっ子キャラ(このキャラもアイドルものには欠かせない)の大友花恋、わかばの親友役の八木莉可子などは、要注目であろう。アイドルドラマの楽しみのひとつである、キャストがドラマを通して成長していく姿を見ることができるはずである。

 毎年、夏ドラマは多くの若手女優たちに出会わせてくれる。この作品を通して、どんなキャラクターとどんな出会いをすることになるのか。今年の夏も、爽やかな女の子たちとともに過ごせることが楽しみである。

(文=プレヤード)

『グッド・ドクター』キュートな顔でピュアな役を演じる山崎賢人、ファンの母性本能をくすぐりまくり?

 山崎賢人が主演を務めるドラマ『グッド・ドクター』(フジテレビ系)の第2話が19日に放送され、平均視聴率10.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.9ポイント下げたものの、2ケタ台をキープしました。

(前回までのレビューはこちらから)

 ある日、16歳の女子高生・菅原唯菜(山田杏奈)が学校で破水し、新堂湊(山崎)が勤務する東郷記念病院で緊急出産をするのですが、生まれてきた赤ん坊は腸のほとんどが壊死状態。術中死の可能性があるため、保存治療の措置がとられることとなります。

 死を待つばかりの治療に絶望を抱く唯奈ですが、小児外科医主任の高山誠司(藤木直人)ならば手術はできる、と湊に言われたため、希望を抱きます。

 しかし、術中死で訴訟を起こされるリスクを懸念し、病院側はガイドラインに則って、あくまでも保存治療を進めていく方針。勝手なことをしゃべってしまった湊は、きつく叱られてしまいます。

 それでもオペを諦めず、赤ん坊の診断を続けた湊は、腸が微かに蠕動していることに気づき、すぐにオペをしてほしいと高山を説得します。しかし、病院の理事長・東郷美智(中村ゆり)をはじめ、訴訟リスクを恐れた他の医師たちからは反対意見が殺到。そんな中、病院長・司賀明(柄本明)の「私が責任をとります」の一言で、手術決行が決まります。

 ところが、ここで問題が。唯菜は未成年のため、手術するには保護者の同意書が必要なのですが、母・真紀(黒沢あすか)とは折り合いが悪く、サインを拒否されてしまうのです。そこで、湊の指導医でもある瀬戸夏美(上野樹里)が説得を試みた結果、真紀はある交換条件を唯菜に約束させることで、同意書のサインを承諾します。

 そうして始まったオペですが、診断画像では見えなかった部位に新たな病巣が見つかり、術中死の危険度が一気に高まってしまいます。しかしそこで、湊が持ち前の天才的な記憶力を発揮し、過去の症例を導き出したことでオペは無事に成功するのでした。

 命を取り留めた赤ん坊を見て唯菜は号泣するのですが、その様子がどうもおかしいことに夏美は気づきます。話を聞いたところ、もし助かった場合は赤ん坊を里子に出す、という条件で真紀は同意書にサインをしてくれたというのです。

 唯菜は年上の彼氏に捨てられ、シングルマザーとして生きていかなければならないのですが、まだ学生の身。自らも貧乏のため唯菜に満足な生活をさせてあげられなかった真紀はそのような条件を提示したのでした。

 その親心は理解できるものの、唯菜に対して同情し、気分が落ち込む夏美。しかし、湊から、「どれだけ遠くに離れても赤ちゃんを産んだのは唯菜さんです。赤ちゃんにとってのお母さんは唯菜さんです」と言われ、唯菜が実の母親でいられ続ける方法を模索することに。その結果、養子縁組をせずに赤ん坊を一時的に育ててもらえる養育里親制度というものを見つけ、唯菜に紹介したところで今回は終了となりました。

 さて感想ですが、医療系ドラマで未成年の出産というのはありきたりなため、今回は特に見応えはありませんでした。強いていえば、前段に書いた湊のセリフですかね。前回の終盤でも、「目の前に苦しんでいる子どもがいたら、僕はすぐに助けたい」という発言がありましたが、自閉症の湊ならではのストレートに真理を突くセリフは、このドラマのひとつの魅力になっていると思います。

 そんな患者想いの湊や夏美たちがいる一方、あくまでも病院を経営上から考え、リスクオフを第一に掲げる医師たちもいる。さて、どちらが“グッド”なドクターなんでしょうかね。そんなテーマも少し垣間見えた回でもありました。

 気になるのは、湊に対する他の医師たちの態度。前回は、自閉症を患うことに対する差別的な言葉がチラホラと出ていましたが、今回は胸ぐらと頬っぺたをガッツリ掴む暴力沙汰も起きていました。この辺りの配慮のなさがフジテレビらしいといえばらしいのですが、せっかく山崎が好演しているだけに、批判の対象となるようなシーンは自重するよう細心の注意を払った方が良いのでは、と思ってしまいます。

 その山崎についてですが、前回よりもさらにナチュラルな演技を披露していました。完全に役をモノにしています。キュートな顔でピュアな役を演じているわけですから、ファンにとってはたまらないんじゃないですかね。母性本能くすぐられまくっているのではないでしょうか。

 夏美にしても、湊に対して母性を感じている様子がなんとなく伝わってきます。2人きりで食事をするラストシーンでの、焼きおにぎりを冷ますために息を吹きかけている湊を温かく見守る顔が印象的でした。その純粋な魅力が、夏美以外の医師たちにも通じる日がくるんですかね。今後の展開に注目です。
(文=大羽鴨乃)