6月2日に放送された『あなたの番です』(日本テレビ系)の第8話。
手塚菜奈(原田知世)は、久住譲(袴田吉彦)と細川朝男(野間口徹)が倉庫のエレベーターから転落した事故について警察から取り調べを受ける。ネットの掲示板に細川の殺害依頼の書き込みがあり、菜奈の仕業だと警察は疑ったが、これは久住が行ったものと判明して菜奈は釈放された。
菜奈がマンションに戻ってくると、引っ越し中の北川澄香(真飛聖)を石崎洋子(三倉佳奈)が止めていた。自分だけ逃げる気なのかと澄香を責める洋子。今度は自分が殺されるかもしれないとパニック状態の洋子は「私、殺されるの! この人のせいで!」と菜奈にもつかみかかった。
疲れ果てて帰宅した菜奈を、夫・翔太(田中圭)が抱きしめる。菜奈の苦悩を受け止めようとする翔太だが、菜奈は翔太に相談する元気すらなくなっていた。菜奈のために真相を突き止めようと、翔太は103号室の田宮淳一郎(生瀬勝久)を訪ねた。翔太は田宮に懇願し、彼が書いた名前と引いた紙に書かれていた名前を聞き出すことに成功。田宮が書いた名前は「こうのたかふみ」で、引いた紙には「ゴミの分別ができない人」と書かれていたとのこと。「こうのたかふみ(甲野貴文)」とは、田宮が以前勤めていた銀行の部下である。
翔太は菜奈を連れて、甲野が勤めていた銀行を訪ねる。甲野は、翔太たちが自分を襲いに来たのかと勘違いして嫌悪感を示す。翔太は去っていく甲野を追いかけ、肩に手をかける。振り返った甲野は、翔太の前で吐血。彼は、何者かに襲われていた。
ようやく、狂気の木村多江が来る
今回の一番のインパクトは、次回(9話)予告映像だった。榎本早苗(木村多江)が402号室(榎本宅)にいる翔太に向かって「ダメ~~~ッ!」と絶叫しているシーンだ。まさに、木村多江がいよいよ来たという感じ。この人がただの温厚な女性で終わるとは、誰も思っていなかったはずである。
8話で早苗がどんな行動を取っていたか、振り返りたい。まず、マンション内で転倒した北川そら(田中レイ)が、半開きになった402号室のドアを凝視。中から見えた何かを前にフリーズし、そらはおびえた。直後、早苗がそらを連れてマンションのエントランスに現れた。ここでも、そらはおびえ続けている。
このくだりで、早苗が子どもを抱っこし慣れているのが気になるのだ。やはり、榎本夫妻の間には子どもがいるのだろうか? 理由として、早苗が夫・正志(阪田マサノブ)のことを「パパ」と呼んでいること、榎本家に食器が3人分あること、生活を見ていると明らかに隠し部屋(子ども部屋?)があること、等が挙げられる。
早苗は、翔太から「引いた紙の名前についてウソをついているのでは?」と疑われた。それを正志に話した早苗。そこからの夫婦の会話は以下だ。
正志「そこまで言われて言い返さなかったの?」
早苗「何を言い返すの? ウソをついてるのは本当なんだから」
正志「ウソって言うなよ。ウソとは違うだろ。こっちはこっちで愛情だろ? このままいろいろバレたら、俺たち家族の愛情があっちの夫婦に負けたみたいで悔しいわ!」
早苗「そうだね!」
「あっちの夫婦」が手塚夫妻のことを指すのなら、自分たちのことを「家族」と呼んでいるのが不自然だ。夫婦以外に息子か娘がいるから「家族」という言葉を使ったのではないか?
ただ、「あっちの夫婦」が手塚夫妻のことを指していない可能性もある。とにかくこのドラマ、匂わせがすごい。
今回、拍子抜けしたのは久住についてである。4話でエレベーターに同乗した菜奈が降りる後ろ姿を見て、久住がニヤリとする場面があった。あれは、久住がエレベーターマニアで、到着音が鳴らないように細工をした彼が「アンジェリーナ(エレベーターに付けた愛称)がおしとやかになった」と、1人で自己満足していただけだったというのだ。もはや、「ミスリードでどこまでだませる?」と企む脚本家と視聴者の対決みたいな様相である。確かにこのドラマは続きが気になるが、それはおあずけを食って引っ張られる心理を視聴者が利用されているところがあると思う。
今回、ほかに気になった住人は尾野幹葉(奈緒)である。そもそも、前管理人の床島比呂志(竹中直人)からもらった表札は、なぜファーストネームの「MIKIHA」なのだろう? あと、翔太から床島との関係を聞かれても平然としていたのに、浮田啓輔(田中要次)との関係を聞かれたら一瞬固まっていたのも意味深だった。
尾野に付きまとわれ、迷惑していたはずの翔太も怪しげな行動を見せた。菜奈が帰宅した際、尾野の部屋から普通に出てきているのだ。何をしていたのか? 普通に脇が甘すぎる。
伏線がただの匂わせで終わる可能性大
菜奈が引いた紙に書いてあった甲野貴文(鈴木勝大)が、やはり死亡した。しかし、菜奈の元に脅迫状は届いていない。つまり、交換殺人ゲームはもう破綻している。
また、銀行から出てきた甲野に「襲うつもりですか?」と問われ、「何か、誤解が……」「襲ったりしないです。その逆です」と答えた菜奈が、また指を組みかけていたのだ。指を組む動作は、彼女がウソをつく時に出てしまう癖である。あと、手塚夫妻が銀行へ入る直前、ちゃっかり田宮が銀行から出てきているし……。
伏線は数え切れないが、久住のアンジェリーナのくだりのように、ただの匂わせで終わる可能性だってある。まだ、我々はおあずけを食っている。
(文=寺西ジャジューカ)