『家売るオンナの逆襲』ネカフェ難民はクズばかり? 北川景子、孤独死や住居の多様性に鋭いメスを切り込む

 北川景子・主演ドラマ『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)の第2話が放送され、平均視聴率12.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。前回から0.2ポイントアップとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 テーコー不動産の営業社員・庭野聖司(工藤阿須加)はこのところ、神子巴(泉ピン子)という独身の高齢客に振り回されっぱなし。契約が決まりかけてもドタキャンの繰り返しなのです。

 そんなある日、残業で終電を逃してしまい、インターネットカフェ「シーラカンス」に泊まることにした庭野は、狭苦しい個室に驚き、そこで暮らす“ネカフェ難民”のことを「哀れ」と感じます。

 ところが後日、再び終電を逃してしまい、「シーラカンス」に泊まることに。そこへ、神子がネカフェ難民であることを事前に察知していた三軒家万智(北川)が現れ、強引にカップルシートを選択させられてしまいます。そんな状況の中で廊下へ出た庭野は、シャワー室から出てきた神子とばったり遭遇。慌てて自分の個室へ逃げ込む神子に対して庭野はドア越しに、こんなところで寝泊まりするのは「哀れ」だと話し、預金があるのになぜ? と質問します。

 この話に聞き耳を立てていたフリーランスの不動産屋・留守堂謙治(松田翔太)が顔を覗かせ、庭野を自室へ招いて「持ち家がなければ哀れ」という考えを否定。多様性が求められる現代にあっては、ネカフェは“簡易な我が家”だと説くのです。

 この話に感動し、姿を現した神子は、以前住んでいたアパートが取り壊され、孤独死を嫌がられて次の住処が見つからなかったことや、家を購入しても結局は孤独死の可能性があることに気づき、さまざまな人が住む「シーラカンス」に定着するようになったことを告白します。

 神子の話に胸を打たれた庭野は、介護付きの老人ホームを紹介することに。しかし、まるで赤ん坊のような扱いをする介護士や、年寄りばかりが暮らすことに神子は不満を漏らし、「シーラカンス」へと戻ってしまうのです。

 ところが、「シーラカンス」はあと3日で閉店することになり、神子はショックを受けます。他のネカフェではなく、“ここ”がいいのだと店員に向かって駄々をこねるのですが、そこへ登場したのが、店を買い取ったという新オーナー・万智だったのです。

 万智は、ネカフェは社会の吹き溜まりで、そこで暮らす人々はクズばかり、今日を踏ん張ることができない甘ったればかりだと暴言を吐きまくり、さらに独身だろうが家族に囲まれていようが、人はみな1人で死んでいくものだと、孤独死を恐れる神子をなじります。

 しかし、神子はこれに対して、容姿や仕事に恵まれている勝ち組の万智にはわからない悩みがあるのだと怒り、世の中には吹き溜まりが必要なのだと反論します。

 それならば「シーラカンス」のオーナーになれと、まんまと万智の術中にはまった神子はその店を買い取ることに。実は以前から、家を持たない人々が集まる“宝の山”としてネカフェ巡りをしていたという万智は、家を購入しそうな客を神子から紹介してもらうというパイプまでゲットして一件落着となったのでした。

 このところよく耳にするようになった“ダイバーシティー”という言葉。ダイバーが集まるリゾート地ではなく「多様性」という意味なのですが、今回は不動産業界におけるニーズの変化がテーマとなりました。

 終身雇用が当たり前だった前世代の日本においては、「哀れ」とまではいかなくとも、庭野が言うように一戸を構えるのが一般的だったことでしょう。しかし、非正規社員の急増やインターネットの普及による働き方の変化などを踏まえれば、たしかに留守堂が説いたように、住居に関してもさまざまな価値観が求められる時代になってきたのかもしれません。

 とはいえ留守堂もまた、ネカフェを“宝の山”とみなして営業するために利用していただけなんですけどね。万智と留守堂を見ていますと、不動産業界に導入されたAIロボットなのではないかと疑ってしまいます。

 とりあえずゴリ押しで家を売ることをプログラミングされたプロトタイプが万智だとするならば、留守堂は顧客の気持ちに寄り添う能力を付与された改良版。万智が留守堂に対抗心を燃やす様子は、旧式が新式の登場に焦りを抱いているかのようでもあります。

 その万智は今回、ネカフェ難民をクズ呼ばわりしましたが、実は高校生の時に父親の借金のせいでホームレスをしていた過去があるんですね。そんな背景があるからこそ、そこで暮らす人々の心を鋭いメスで切り刻むような暴言を吐いてしまったのでしょう。

 ネカフェ難民に対しては辛辣な態度をとった万智ですが、性の多様性については進歩的な様子。留守堂への淡い想いに戸惑う足立聡(千葉雄大)に対して、異性だろうが同性だろうが愛し合うメカニズムは同じ、というニュアンスの言葉をかけていました。次回はLGBTがテーマとのことで、繊細さが求められるこの題材をどのような切り口で描くのか、万智の歯に衣着せぬ発言も含めて楽しみです。
(文=大羽鴨乃)

竹内結子『QUEEN』1ケタ発進! 「すごくつまんなかった」理由を真面目に考えてみた

 10日にスタートしたドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)。第1話の視聴率は9.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、まあまあそれなりでした。

 物語の主人公は、危機管理を専門にしているという法律事務所で働く弁護士・氷見さん(竹内結子)。彼女と、その仲間たちがクライアントからの依頼を受けて危機管理に奔走するようです。

 脚本は、かつて福山雅治主演の月9『ラヴソング』(同=最終回レビュー)で当時の月9史上最低視聴率を記録し、その後、西内まりやの『突然ですが、明日結婚します』(同=最終回レビュー)で最低記録を更新。『刑事ゆがみ』(同=最終回レビュー)でも大コケをかましたものの、フジテレビの期待を一身に背負う「フジテレビヤングシナリオ大賞」出身の倉光泰子さん。それに、こちらも若手の三浦駿斗さんが名を連ねます。

 さらに演出にはPerfumeのMVで名を馳せた関和亮さんがクレジットされるなど、フジテレビ制作の「新しいことをやろう」「若い人を育てよう」という意向がうかがえるスタッフィング。特に倉光さんはね、先にリンクした各ドラマの最終回レビューを読んでいただければわかると思うんですけど、個人的にすごく期待しているライターさんなので、ワクワクで放送開始を待っておりました。

 で、いきなり結論ですが、第1話に限ってという希望的観測も含めて書きますけど、まあ驚くほどに、ここまでかと思うほどに、すごくつまんなかったです。何これ。ホントに2019年のドラマなのかしら。では、振り返りましょう!

 

■浅いのは、被写界深度だけじゃない

 基本的に1話完結のようですが、今回のクライアントはテレビ局のアイドル番組でした。フォレストという4人組アイドルに不仲が報じられていて、番組中にモメだしたりでファン激怒。殺害予告のメールが送られてきたので、「万が一に備えて」ほしいという依頼です。で、なんやかんやあってハッピーエンドでした。

 アイドルグループのメンバー間の不仲とか、それでメンバーが危害を加えられてどうとか、最近日本海側で似たような事案が発生してしまったために、ドラマが現実に追い越されたという不運はあったと思います。それにせよ、この作品で描かれる「アイドルの虚像と自我がドウシタコウシタ」という話は、もう何度コスられたかわからないテーマです。「虚像にハメ込まれるのは、誰だって嫌だよね」なんてセリフまで出てくるわけですが、まったく目新しさがないどころか、ファンの声や殺害予告的なパートにSNSが活用されているにもかかわらず「メンバーがSNSで発信して云々」がないので、逆に古い物語にすら見えてしまう。

 別に、現代ドラマだからSNSを使えよという話でもないのですが、人気YouTuber・ラファエルの意匠(衣装も)を丸パクリして“殺人予告したネットのヤベーやつ”という造形を作る周到さというか、浅ましさというか、「イマ媚び」をしてるんだから、だったら「アイドルとSNS」についても少しは考えればいいのに、と思うんです。断片だけパクってくるから、手抜き感がひどくなってしまっている。あー、ちゃんと考えて作ろうとしてないな、というのがバレてしまっている。

 映像はいかにもボケ強め、被写界深度浅めでアップショット切り返し、くるくる気持ちよくオシャレですが、F値だけじゃなく考えも浅いよなーと思いました。考えが浅いというより、考えて伝えようという意思の浅さを感じます。すごく残念。

■価値観がオッサン

 MeTooっぽい設定があったり、メンバーの一人がトランスジェンダーだったり、今風のモチーフを取り入れようとしてもいるわけですが、これもすべからくスベっています。本稿の最初の方で「若い人を育てようという座組み」なんて書きましたけど、登場するすべての価値観が古い、オッサンくさい、ステレオタイプばかりなんです。全然、若い物語を作ろうという決意が見えてこない。もういいかげん、会議で脚本決めるのやめたほうがいいと思う。これにGO出した人、才能ないですよ。

 特に危なっかしいと感じたのが、そのトランスジェンダーの女の子・桃子のくだりです。

 まず、桃子の性同一性についての説明が「男装が好き」という一点のみで描かれます。その後、男装してほかのメンバー(もちろん女子)と一緒に歩いているときに「彼氏に間違えられるかも」「いや、タイプじゃないし」という会話がある。

 つまり、ドラマは画一的に「男装好きの女性」=「レズビアン」と決めつけているわけです。その「=」の間には、複雑な感情や個性は何もないと思っている。男の服を着ている女はレズに決まってるだろ、え? 違う場合もあるの? まさか! と思ってるんです。

 本来、ドラマという媒体が描くべきはその「=」の間にあるもののはずなんです。確かに男装好きでレズの人もいるだろうけど、そうじゃない人もいる。その可能性を切り捨てたら、もう人間を描くつもりがないと受け取られても仕方ないと思う。

 で、その桃子がアイドルを辞めたがっているわけですが、その理由も「トランスジェンダーだから」の一点張りです。ほかに何も言わなくても「トランスジェンダーだからアイドルを辞めたい」で、視聴者を説得できると思ってる。

 ここにはドラマの考える「アイドル像」に関しての問題があります。

 まず、トランスジェンダーの女の子は「絶対にアイドルを辞めたがっている」と主張している点。彼女は幼いころからその自覚があったと言っているわけで、だとしたらアイドルになった動機がない。で、なったらなったで、そういう女の子がアイドルでいられるわけがないとされる。

 アイドルなんて所詮、性としてのメスを売り物にして、男社会に媚と色気を売ることでしか生き残れない、それができない女は辞めるしかないんだと、そう言っているんです。

「この桃子というメンバーは男装が好きです。だから当然レズです。レズだからアイドルできなくて当然です。そうでしょ、視聴者のみなさん!」

 それが『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』という物語が伝えたアイドル像です。つまりこのドラマは、レズの子がアイドルとして歌や踊りでファンを魅了する可能性を「ゼロだ」と言い切ってる。アイドルは全員男好きで、個性的な性的志向や嗜好を持っている人間はひとりもいなくて、いても全員辞めるべきだと、そう言い切っている。しかもそう言い切ってることに完全に無自覚で、あたかもアイドル側の自我に寄り添ったような顔をしている。なんと思慮が浅く、卑しい創作行為だと思いますよ。

 はー。なぜこんな論調になるかというと、『刑事ゆがみ』のときや『ラヴソング』の序盤のころの倉光脚本は、そこらへんの個々人の機微を慎重にすくい取って、生き生きと人間を描いて、それを物語に落とし込んでいたからです。確かに個人に寄り添っていたからです。やればできる子なのに! と思うんですよ。

 まあ、まだ始まったばかりですし、進んでいくうちに変わっていくこともあるでしょう。『ラヴソング』では4話以降、よろしくない方向に転換してしまいましたが、今回はよい方向に転換していくことを期待しつつ、第2話は今夜放送です。あと、弁護士っぽい仕事をまったくしてなかったみたいだけど、大丈夫かな!
(文=どらまっ子AKIちゃん)

竹内結子『QUEEN』1ケタ発進! 「すごくつまんなかった」理由を真面目に考えてみた

 10日にスタートしたドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)。第1話の視聴率は9.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、まあまあそれなりでした。

 物語の主人公は、危機管理を専門にしているという法律事務所で働く弁護士・氷見さん(竹内結子)。彼女と、その仲間たちがクライアントからの依頼を受けて危機管理に奔走するようです。

 脚本は、かつて福山雅治主演の月9『ラヴソング』(同=最終回レビュー)で当時の月9史上最低視聴率を記録し、その後、西内まりやの『突然ですが、明日結婚します』(同=最終回レビュー)で最低記録を更新。『刑事ゆがみ』(同=最終回レビュー)でも大コケをかましたものの、フジテレビの期待を一身に背負う「フジテレビヤングシナリオ大賞」出身の倉光泰子さん。それに、こちらも若手の三浦駿斗さんが名を連ねます。

 さらに演出にはPerfumeのMVで名を馳せた関和亮さんがクレジットされるなど、フジテレビ制作の「新しいことをやろう」「若い人を育てよう」という意向がうかがえるスタッフィング。特に倉光さんはね、先にリンクした各ドラマの最終回レビューを読んでいただければわかると思うんですけど、個人的にすごく期待しているライターさんなので、ワクワクで放送開始を待っておりました。

 で、いきなり結論ですが、第1話に限ってという希望的観測も含めて書きますけど、まあ驚くほどに、ここまでかと思うほどに、すごくつまんなかったです。何これ。ホントに2019年のドラマなのかしら。では、振り返りましょう!

 

■浅いのは、被写界深度だけじゃない

 基本的に1話完結のようですが、今回のクライアントはテレビ局のアイドル番組でした。フォレストという4人組アイドルに不仲が報じられていて、番組中にモメだしたりでファン激怒。殺害予告のメールが送られてきたので、「万が一に備えて」ほしいという依頼です。で、なんやかんやあってハッピーエンドでした。

 アイドルグループのメンバー間の不仲とか、それでメンバーが危害を加えられてどうとか、最近日本海側で似たような事案が発生してしまったために、ドラマが現実に追い越されたという不運はあったと思います。それにせよ、この作品で描かれる「アイドルの虚像と自我がドウシタコウシタ」という話は、もう何度コスられたかわからないテーマです。「虚像にハメ込まれるのは、誰だって嫌だよね」なんてセリフまで出てくるわけですが、まったく目新しさがないどころか、ファンの声や殺害予告的なパートにSNSが活用されているにもかかわらず「メンバーがSNSで発信して云々」がないので、逆に古い物語にすら見えてしまう。

 別に、現代ドラマだからSNSを使えよという話でもないのですが、人気YouTuber・ラファエルの意匠(衣装も)を丸パクリして“殺人予告したネットのヤベーやつ”という造形を作る周到さというか、浅ましさというか、「イマ媚び」をしてるんだから、だったら「アイドルとSNS」についても少しは考えればいいのに、と思うんです。断片だけパクってくるから、手抜き感がひどくなってしまっている。あー、ちゃんと考えて作ろうとしてないな、というのがバレてしまっている。

 映像はいかにもボケ強め、被写界深度浅めでアップショット切り返し、くるくる気持ちよくオシャレですが、F値だけじゃなく考えも浅いよなーと思いました。考えが浅いというより、考えて伝えようという意思の浅さを感じます。すごく残念。

■価値観がオッサン

 MeTooっぽい設定があったり、メンバーの一人がトランスジェンダーだったり、今風のモチーフを取り入れようとしてもいるわけですが、これもすべからくスベっています。本稿の最初の方で「若い人を育てようという座組み」なんて書きましたけど、登場するすべての価値観が古い、オッサンくさい、ステレオタイプばかりなんです。全然、若い物語を作ろうという決意が見えてこない。もういいかげん、会議で脚本決めるのやめたほうがいいと思う。これにGO出した人、才能ないですよ。

 特に危なっかしいと感じたのが、そのトランスジェンダーの女の子・桃子のくだりです。

 まず、桃子の性同一性についての説明が「男装が好き」という一点のみで描かれます。その後、男装してほかのメンバー(もちろん女子)と一緒に歩いているときに「彼氏に間違えられるかも」「いや、タイプじゃないし」という会話がある。

 つまり、ドラマは画一的に「男装好きの女性」=「レズビアン」と決めつけているわけです。その「=」の間には、複雑な感情や個性は何もないと思っている。男の服を着ている女はレズに決まってるだろ、え? 違う場合もあるの? まさか! と思ってるんです。

 本来、ドラマという媒体が描くべきはその「=」の間にあるもののはずなんです。確かに男装好きでレズの人もいるだろうけど、そうじゃない人もいる。その可能性を切り捨てたら、もう人間を描くつもりがないと受け取られても仕方ないと思う。

 で、その桃子がアイドルを辞めたがっているわけですが、その理由も「トランスジェンダーだから」の一点張りです。ほかに何も言わなくても「トランスジェンダーだからアイドルを辞めたい」で、視聴者を説得できると思ってる。

 ここにはドラマの考える「アイドル像」に関しての問題があります。

 まず、トランスジェンダーの女の子は「絶対にアイドルを辞めたがっている」と主張している点。彼女は幼いころからその自覚があったと言っているわけで、だとしたらアイドルになった動機がない。で、なったらなったで、そういう女の子がアイドルでいられるわけがないとされる。

 アイドルなんて所詮、性としてのメスを売り物にして、男社会に媚と色気を売ることでしか生き残れない、それができない女は辞めるしかないんだと、そう言っているんです。

「この桃子というメンバーは男装が好きです。だから当然レズです。レズだからアイドルできなくて当然です。そうでしょ、視聴者のみなさん!」

 それが『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』という物語が伝えたアイドル像です。つまりこのドラマは、レズの子がアイドルとして歌や踊りでファンを魅了する可能性を「ゼロだ」と言い切ってる。アイドルは全員男好きで、個性的な性的志向や嗜好を持っている人間はひとりもいなくて、いても全員辞めるべきだと、そう言い切っている。しかもそう言い切ってることに完全に無自覚で、あたかもアイドル側の自我に寄り添ったような顔をしている。なんと思慮が浅く、卑しい創作行為だと思いますよ。

 はー。なぜこんな論調になるかというと、『刑事ゆがみ』のときや『ラヴソング』の序盤のころの倉光脚本は、そこらへんの個々人の機微を慎重にすくい取って、生き生きと人間を描いて、それを物語に落とし込んでいたからです。確かに個人に寄り添っていたからです。やればできる子なのに! と思うんですよ。

 まあ、まだ始まったばかりですし、進んでいくうちに変わっていくこともあるでしょう。『ラヴソング』では4話以降、よろしくない方向に転換してしまいましたが、今回はよい方向に転換していくことを期待しつつ、第2話は今夜放送です。あと、弁護士っぽい仕事をまったくしてなかったみたいだけど、大丈夫かな!
(文=どらまっ子AKIちゃん)

リアルと役柄がリンクする深田恭子のモテっぷり――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第1話

 いつの頃からか、深田恭子は、「恋多き女優」と言われるようになった。

   真偽のほどは別にしても、これまで多くの熱愛が報じられてきたし、今年に入ってからも、ドラマの開始に合わせるかのように、カリスマ経営者との熱愛が報じられた。

 1月15日にスタートした、ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)。そんな彼女が演じたのは、「30歳を過ぎて初恋もまだ」という恋に不器用な女性だった。

 現実のモテっぷりとはまるで対極にあるような思われる役だが、これが不思議とハマっている。それは一体なぜなのか。

 彼女の魅力はたくさんあるが、「美しさ」と「親近感」の絶妙なバランスというのも大きな要素だと思う。親近感というのは、ちょっときつい言葉を使えば、「ダサさ」や「カッコ悪さ」でもある。長身で細身の美女というよりは、ちょっとふっくらとした愛らしさ。それが、今回の役柄でもある、「どこか人生がうまくいかない女性」にうまくシンクロしているのだ。

 そもそも、彼女がグランプリを受賞した、「ホリプロタレントスカウトキャラバン」は、オスカープロモーションが実施している「国民的美少女コンテスト」などに比べ、庶民性の高い人が選ばれる傾向にある。

 佐藤仁美や綾瀬はるかといった女優として活躍する人も、井森美幸、小島瑠璃子などのバラエティで活躍する人も、みんな美しいだけではない魅力を持っている。それは、言い換えれば、見ている人に“共感”される力であるだろう。今回のドラマのように、「成績優秀で人生勝ち組に見えても、実は自分に劣等感を抱いている」主人公に、共感を抱かせるのが、女優としての彼女の力量なのだ。

 幼い頃から東大合格を目指し、勉強一筋で過ごしてきた春見順子(深田)は、受験に失敗。教育熱心な母親との関係もぎくしゃくしたものになる。名門お嬢様大学に進学するものの、その後の人生の目標を見失い、漫然とした日常を送ってきた。

 32歳になり、塾の講師として働くものの、そこでもやりがいは感じられず、婚活サイトで出会った東大卒のエリート、安田(麒麟・川島明)からもふられてしまう。

 そんなある日、順子は、ひょんなことから、不良高校生のグループと知り合う。その中の一人、髪をピンクに染めていたのが、由利匡平(横浜流星)だった。

 匡平は、父親の菖次郎(鶴見辰吾)に連れられて、順子の働く塾にやってくる。そこで、息子を「ゴミ」「恥ずかしい」と言う菖次郎に対し、順子はつい言い返してしまう。

「人のことをゴミという人間の言うことなんて聞かなくていい!」

 結局、それが原因で退職することになった順子。幼馴染みで、キャバクラのオーナー松岡美和(安達祐実)、そのキャバクラで働くもんちゃん(真凛)などに悩みを打ち明けるが、なかなか打開策は見つからない。

 そんな時、順子にアプローチしてくるのが、いとこの八雲雅志(永山絢斗)だった。しかし、順子はその思いに気づくことなく、新しい恋を求めて、奔走する。

 一方、匡平は、父親を見返したい一心で、東大に入りたいと言って、再度塾を訪ねてくる。その熱意に押されて、順子も自分の中に眠っていた気持ちを思い出すのだった。

「青春は貯金できない」「勉強して覚えた知識は君のもの」「自由になったら迷子になった」など、ラブコメの要素の中に、「はっ!」とさせられる言葉やシーンが配されている。見ていて納得したり、考えさせられたりするのは、良いドラマの条件だ。

 ドラマの中でちりばめられた小ネタを探してみるのも楽しい。今回だと、直前に放送された『マツコの知らない世界』の「観覧車の世界」が終わってすぐに、ドラマのオープニングで観覧車が映ったところは驚いた。どちらの番組が合わせたのかわからないが、続けて見ていた人はニヤリとしたのではないだろうか。

 また、順子が不良グループに夕飯をごちそうするシーンで、グループの一人が「ハンバーグ!」と叫んだところも面白い。その後に、安達祐実演じる美和が入ってくる。これは、安達の元夫である、スピードワゴン・井戸田潤の持ちネタと絡めたものと思われる(ちなみに美和もバツイチという設定)。

 これはどこまで意識していたかわからないが、前クールの火曜ドラマ『中学聖日記』とも共通する部分がある。学校と塾という違いこそあれ、男子生徒が女性の先生に恋をするという展開(年齢差はこちらのほうが大きい)。

   加えて、どちらも過去の出来事を回想しているという設定で語られている点も、同じである。ドラマのテイストが違うと、ここまで雰囲気が変わってしまうというのも注目したい点だ。

 今後は、匡平と雅志、そして、匡平の担任である山下一真(中村倫也)からも好かれていくという展開になる。これこそ、モテ女深田の本領発揮であろう。

   どのシーンの順子も魅力的であったが、ラストの髪を束ねて気合を入れる姿は、抜群に凛々しくて可愛かった。

 深田恭子にしても春見順子にしても、人間としてかっこいい。そりゃみんな惚れちゃうよな!

(文=プレヤード)

錦戸亮主演月9『トレース』視聴率12.3%の好スタート! “科捜研の男”はまさかの胸キュンドラマ!?

 2019年1発目の月9ドラマ、『トレース~科捜研の男~』(フジテレビ系)が1月7日に放映スタート。前クール『SUITS』(同)の初回14.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)には及ばないものの、2桁視聴率の好発進だった。

 本題に入る前に、本作の内容を紹介。

 科捜研の法医研究員・真野礼二(錦戸亮)と沢口ノンナ(新木優子)のコンビが、捜査一課の虎丸良平(船越英一郎)らの反発の中、指示されていない捜査や鑑定で、事件の真相へとたどり着く1話完結型の物語。

 本記事ではトレースの見どころを登場人物や制作陣にスポットを当て、紹介したい。

 キーワードは“胸キュン”と“程よい距離感”。1シーン目から切断された左手がゴロッと転がる事件モノなのになぜ胸キュン?……。その理由は、次章より第1話の内容に触れながら、解説していく。

■シリアスなストーリーに散りばめられたキャラ萌え要素

 切断された左手を元に、礼二とノンナがバラバラ遺体を山中で発見。それを機に、被害者女性の家庭内暴力を受けた過去、そして被害者女性が誰を守ろうとし、誰に殺されたのかまでを科学鑑定を元に解き明かす1話だった。

 ルールに抗い刑事の指示なく真相の解明をする科捜研の男。指示を聞かない男を怒鳴り圧力をかけるベテラン刑事。2人の板挟みで振り回される新米研究員のヒロイン……と、事件モノではベタな構図と言える。しかしその分、1シーン1シーンに無駄が少なく、難しい専門知識は分かりやすく説明され、ハイスピードな展開ながらついていくことができる洗練された1作であった。

 引き込まれる要因は、前述した3人の男女それぞれの魅力だろう。

 まずは主人公・礼二。「他の人と視点が違う」というのが彼の魅力なのだが、捜査や鑑定以外の場面でも、視点の違いは生かされていた。バラバラ遺体を発見して食欲を無くした新人・ノンナに対し、「彼女(被害者)は君に見つけてもらって感謝してると思う」と励ます。ただのバラバラ遺体が、殺されるまで普通に生活していた一人の女性だったとノンナだけでなく視聴者の認識まで変えてしまう名シーンだった。

 ノンナ自身も守られるばかりの受け身な女性のままでなく、事件の鍵を握る関係者に感情でぶつかり解決の糸口を掴む活躍を見せた。

 また、礼二を怒鳴ったり担当から外したりする虎丸刑事のキャラは特に秀逸。傍若無人なパワハラ刑事に見せながら、裏では上司からは嫌味を言われ、家に帰りを待つ家族は無く、人生を刑事の仕事に捧げてきたという不器用な男だ。ラストは報われない被害者女性を哀れみポロっと涙を見せてしまう人情家ぶりまで垣間見える。

 淡々と3人の人物像を書き連ねたが、正直思う。何たるや胸キュン要素のつまった人たちだろうか……!!

 錦戸扮する礼二の最大の武器は天才的な頭脳でなく、同僚や被害者にふと垣間見せる優しさ。新木優子も媚びる女でなく仕事に正面から立ち向かう強い女子。船越英一郎は中年の悲哀と孤独を背負った涙もろいオッサン(しかもツンデレで負けず嫌い)。

 濃い面々とはいえ、キャラを強調するための無駄なお笑いシーンやお涙頂戴シーンをわざわざ作らず、ストーリーを捜査や鑑定から脱線させずにキャラの魅力を出せていた。

 役者陣の力量もさることながら、演出家や脚本家の手腕も素晴らしい。

 次章では本作の演出家と脚本家について迫りたい。

■脚本家と演出家はフジヒットドラマを支えた名コンビ

 まずは脚本家の相沢友子氏。『やまとなでしこ』(2000年、フジテレビ系 ※中園ミホ氏と共作)『恋ノチカラ』(02年、フジテレビ系)などを手掛けて来たベテラン作家である。演出家の松山博昭氏も『信長協奏曲』(14年、フジテレビ系)などのヒット作のメガホンを取った実力者だ。

 そして、その二人がタッグを組んでいたのが本作と同じ月9の事件モノ『鍵のかかった部屋』(12年、フジテレビ系)。本作と同様に、程よい距離感の3人の男女が事件を解決するスタイリッシュなドラマであった。

 この、“程よい距離感”というのは、相沢友子氏のなせる技なのかもしれない。前述した『恋ノチカラ』も堤真一と深津絵里が、上司部下の程よい距離感だったからこそいじらしくなり応援してしまう、見ていて幸せな気持ちになれるラブストーリーだった。

 本作『トレース』にはラブの要素はなさそうだが、メイン3人のキャラ萌えに加え、3人の距離感にも着目すれば、事件モノ+αの楽しみ方ができるかもしれない。

■『トレース』が再認識させてくれた月9の在り方

 月9はトレンディ時代の恋愛ドラマ全盛期を経て、最近では事件モノが多くなった。ジャンルの違いはあっても、キャラの魅力を楽しめる枠が月9だったなぁと本作を見て再認識させられた。『東京ラブストーリー』の赤名リカ(鈴木保奈美)、『ひとつ屋根の下』の“あんちゃん”こと柏木達也(江口洋介)、『やまとなでしこ』の桜子さん(松嶋菜々子)、『ガリレオ』の湯川教授(福山雅治)など、ジャンル問わずヒット作品には忘れられない人物がいた。対して、ヒットしなかった作品は登場人物がどんなキャラだったかハッキリと思い出せない。

 本作『トレース』も、キャラの個性や、やりとりにスポットを当てれば今の高視聴率を持続できるような気がする。

 今後も、黒幕的な存在感を出している千原ジュニア扮する刑事部長などキャラクターで楽しめそうな要素が満載だ。第2話以降も、楽しみに見続けていきたい。

(海女デウス)

常盤貴子主演『グッドワイフ』ベテラン俳優陣大好評の裏で、「映るだけで不快」と水原希子に非難集中!

 常盤貴子主演ドラマ『グッドワイフ』(TBS系)の第1話が1月13日に放送され、初回平均視聴率10.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。2ケタスタートの好発進となりました。

『SUITS』(フジテレビ系)に続き、今度はTBSがアメリカのドラマ『The Good Wife』をリメイク。ちなみに、アメリカ版は映画『エイリアン』『ブレードランナー』などの作品が有名なリドリー・スコット監督が製作総指揮を務め、超人気ドラマとなった作品ですが、一体日本版はどのような作品になったのでしょうか。 

 それでは、あらすじから振り返っていきたいと思います。 

■夫が失職・逮捕……家族を養うために弁護士復帰する杏子

 結婚を機に弁護士を引退し、専業主婦となっていた蓮見杏子(常盤)。

 しかし、東京地検特捜部長だった夫・壮一郎(唐沢寿明)が汚職容疑で逮捕され、失職。同時に女性スキャンダルも明るみになり、家族を養うべく、杏子は弁護士復帰を決意。司法修習生時代の友人である多田征大(小泉孝太郎)が代表を務める神山多田法律事務所に仮採用されることになる。

 復帰早々、杏子は人気キャスター日下部直也(武田鉄矢)を名誉毀損で訴えるという案件の担当に。半年後、本採用となるべく杏子は与えられた仕事に奮闘するも、なんと、日下部が逆に原告を名誉毀損で提訴。裁判はドロ沼となってしまい……という展開でした。

■「期待以上の出来」と話題!

 夫が汚職で逮捕され、女性スキャンダルも明るみになり弁護士復帰するというところまでは原作であるアメリカ版と同じだったのですが、杏子が復帰後初担当となった今回の事件内容は日本版オリジナル。スーパーで幼児行方不明事件が起こり、幼児の母親が殺したと日下部が自身の出演するニュース番組で発言したことで、母親は自殺。名誉毀損で訴えたら日下部が逆に名誉毀損で訴えるという内容だったんですが……。

 まあ、このままだと、どのリーガルドラマでもありそうなもので、アメリカ産リーガルドラマっぽさは皆無。視聴者も「この内容なら別にこのドラマじゃなくてもいいよね~」といった声が上がっていたんですが、放送中盤に杏子は「この裁判に勝たないと事務所をクビになる」という自身のおかれた状況をわざと流し、日下部の情報提供者を見つけるという、アメリカ産リーガルドラマらしい内容が。このシーンには視聴者からも「意外とよかった」という反応が多く上がっており、他のリーガルドラマと差をつけたようです。

 また、アメリカ版の主人公は子どもたちのためにと浮気した夫を許し、その上、裁判で弁護するという、まさにグッドワイフ(良妻)を発揮。しかし、日本版ではしょっぱなから夫に罵声を浴びせる妻の姿を見せており、まだまだグッドワイフとは行かない様子。杏子がどう変わっていくのかという部分にも注目してほしいです。

■豪華俳優陣に混じる水原希子に非難轟々

 なんといっても、同ドラマの見どころは、豪華俳優陣による安定した芝居。常盤のほか唐澤、さらに、吉田鋼太郎や滝籐賢一、賀来千賀子といった、ベテラン俳優たちが素晴らしい演技を見せており、「常盤貴子もだけど、周りも演技が安定していて、安心して見られる!」と好評。また、今回のゲストである武田鉄矢も『金八先生』みたいな演技ではなく、『ストロベリーナイト』での演技を見せており、こちらも好評。さらに、杏子と本採用を巡って戦う新人弁護士役の北村匠海に関しても、「生意気な感じがいい」と賞賛されており、視聴者はキャストに満足している様子でした。

 しかし、ひとりだけ、不評な人物が……。そう、水原希子です。

 水原が演じる役は、原作では知的な役柄なのですが、やはり水原には「知的さを感じない」という声が殺到。また、「画面に映るだけで気分が悪い」といった声も上がっており、「何で起用したんだ!」とネットは苦情だらけに……。

 ですが、筆者はそこまで水原の演技が酷いとは思わなかったんです。原作のカリンダは、クールで表情は常に硬く、シーズン1の方では一切笑顔を見せない人物。水原も同じように、1話で一切笑顔を見せず、黙々と杏子のためにパラリーガルの仕事をこなす、といった演技を見せ、原作の役を忠実に演じようという姿勢を感じたんですが……。

 やはり最近、いろいろと問題発言や全裸表紙を飾ったりなど、世間が嫌がりそうな行動を見せていた影響から、このような声が上がったのでしょう。

 これまで、「演技がヘタだ」といわれてきた水原。ですが、最近では努力しているのか、少しずつ演技力も上がっているとも一部から聞こえてしますし、自身だけではなく同ドラマの評判のためにも、放送中はそういう問題行動や発言を謹んで欲しいですね。

 以上、1話のレビューでした。

 次回は代表弁護士の飲酒運転事件を担当することになりますが、この代表弁護士がクセ者の様子。また夫の事件も進展があるよう。ますます目が離せないだけに、2話も期待して放送を待ちましょう!

(どらまっ子KOROちゃん)

菅田将暉主演『3年A組』初回は謎だらけ……エンドロールがあぶり出すクラスの闇

 1月6日、『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)がスタートした。タイトル自体は金八先生を意識したものと容易に察することができるが、内容はあまりにも違った。

 菅田将暉扮する3年A組の担任教師・柊一颯(ひいらぎいぶき)が生徒たちへ宣言した「今から皆さんには人質になってもらいます」というセリフから映画『バトル・ロワイアル』をイメージしがちだが、それも違う。映画『悪の教典』に近いものを感じるが、まだ結論付けたくない。ショッキングなシーンが連続した初回だったが、実のところ、まだ伏線が提示されるばかりの段階である。

■初日でクラス全員を敵に回してしまったさくら

 半年前、A組の生徒である景山澪奈(上白石萌歌)が自殺した。

「なぜ、景山澪奈は死んでしまったか。その理由を夜の8時までに導き出せたら、みんなをここから解放してあげよう。不正解の場合、誰か1人死んでもらう」(柊)

 ちなみに、この宣言が行われたのは朝の9時だ。『3年A組』は、サスペンスや残酷ショーといった類いのドラマではない。ちゃんと、柊は11時間ものシンキングタイムを与えている。彼の狙いは、生徒に考えさせること。やはり、授業を行おうとしているのだ。

 本作は各話ごとに「Day-1」「Day-2」とナンバリングされており、どうやら1話ごとに1日ずつ進んでいくようだ。1日目でフォーカスされたのは、茅野さくら(永野芽郁)と宇佐美香帆(川栄李奈)の2人だった。

 水泳の全国大会で優勝した経験を持つ澪奈に憧れを抱いていたさくら。澪奈とさくらは友達になった。それ以前、澪奈は香帆と仲が良かったが、澪奈はさくらを優先するようになる。香帆から声を掛けられても「先約あるから」とその誘いを振り、見せつけるようにさくらと一緒に下校する澪奈。2人の後ろ姿を見る香帆が嫉妬に燃えている。かわいさ余って憎さ百倍。のちにA組で澪奈へのいじめが勃発するが、その中心人物は香帆だった。

 香帆の澪奈への執着は、1日目の様子のそこかしこに表れていた。クラスメイトから「よく(澪奈と)一緒に帰ってたじゃん」と聞かれると、いじめの首謀者にもかかわらず「この中じゃ一番仲良かったかな」と返し、他の生徒が「景山さんと友達だったのは茅野ちゃんでしょ?」と発言すると、なぜか香帆が「別にさくらだってそこまで仲良かったわけじゃないよ」とシャットアウト。さくらがいじめに遭っていた澪奈への態度を悔やむと「自分が一番の親友みたいに語っちゃってさあ! そういうの、マジでむかつくんだけど」と激高する香帆。

 香帆とさくらは危うい関係性だ。「私のほうが澪奈と仲良かった!」という嫉妬の感情を香帆はさくらに抱いている。

 生前の澪奈にはドーピングのうわさが立てられていた。自殺を選んだ彼女に対し、「卑怯な真似してまで1位になろうとしたあいつにムカついたから、しゃべりたくなかっただけ」「薬使うような奴と仲良くなれねえよな」とクラス中が罵詈雑言をやめない。「あんな奴、死んで当然だったんだよ」と暴言を吐く甲斐隼人(片寄涼太)に、とうとう我慢ならなくなったさくらは、「ふざけんじゃねえ!」と膝蹴りを入れた。

 香帆も甲斐もスクールカーストのトップで、さくらは下位だ。さくらは2人を敵に回し、初日からいきなり「さくらvs他のクラスメイト」という状況に陥った。これから10日間、教室に閉じ込められて共同生活を強いられる3年A組。明日からのさくらを思うと、地獄の日々が容易に想像できてしまい、つらいのだが。

■エンドロールがあぶり出すA組の闇

 A組の面々が、とにかくクズすぎる。誰か1人が死ぬというのに、澪奈の自殺の原因について真面目に考えない。「水泳絡みが自殺の原因」と浅い答えで結論付け、答えに窮す回答者のさくらに「さっきの言えばいいんじゃない」「あれでいいと思うけど」と圧をかける無責任さ。「あれでいい」レベルの答えじゃダメなのに、当事者意識がまるでない。

 さらに、「死んで当然だった」と吐き捨てる冷たさ。澪奈の自殺原因を言い当てられなかったさくらを指さし「茅野を殺れよ。答えを外したのはこいつなんだから!」と主張する身勝手さ。

 柊は、涙を流して生徒たちを怒鳴った。

「自分が助かれば、他人がどうなっても構わない。イカれてるね~。どうしてそんな、貧しい考えが生まれるのか。モラルの欠如、アイデンティティの拡散。要は、中身が空っぽなんだよ!」

「お前たちは、さっきの茅野を見ても何も思わなかったのか? 景山の死から目を背けていた自分を奮い立たせて、向き合おうとした茅野を見ても……何も思わなかったのか!? 過去の自分が、今の自分を作る! だから、過去から逃げてるお前も、お前も、お前も、極めて幼稚なガキのまま成長が止まってるってわけだ。そんな奴らが、一体何から卒業するって言うんだよ!」

「なぜ、景山澪奈は死ななければならなかったのか? これから、彼女の生きざまを通して、お前らの考えがいかに脆く、弱いものなのか、思い知らせてやる」

「変わるんだ。悪にまみれたナイフで、汚れなき弱者を傷付けないように、変わるんだよ! ……変わってくれ」

 先がまったく読めないこのドラマだが、人質にとってまで柊が生徒に教えたいことは、間違いなくこの熱弁に凝縮されている。

 柊は宣言通りに1人の生徒を刺殺したが、これだって怪しい。自殺の原因を考えさせ、生まれ変わるよう説く彼が人を殺めるとは思えない。柊は美術教師だ。殺したように見せかけるのはお手の物。血糊メイクだって簡単に施せるだろう。じゃないと、彼の理念に反するではないか。

 初回、筆者の印象に最も強く残ったのは、エンディングのスタッフロールだった。クロマニヨンズのアップテンポな曲をバックに映し出されるのは、仲良さげな学校生活を送るA組の写真。「澪奈は死んで当然」「茅野を殺れよ」と平気で口にするほどの薄っぺらい関係性なのに、外ヅラはこんなにも楽しそう。闇を隠し、表面上は明るく振る舞う日常を見事に切り取っている。

 でも、本当のA組はこんなんじゃない。だから、現実とのギャップにゾッとするのだ。この闇をあぶり出し、変わるよう促すのが柊の目的であり願いである。

(文=寺西ジャジューカ)

『刑事ゼロ』は、まるで逆『名探偵コナン』? 沢村一樹&瀧本美織の“新人刑事”コンビが魅力的

 沢村一樹が20年分の記憶を失ってしまう刑事役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第1話が10日、2時間の拡大版で放送され、平均視聴率14.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好発進しました。

 京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)は、“京都府警に時矢あり”といわれるほどの逸材。しかし、連続殺人犯の能見冬馬(高橋光臣)を追跡中、ビルの屋上から貯水プールに落下し、刑事生活20年分の記憶をごっそり失ってしまいます。

 そんな折、見舞いにやって来た元相棒の福知市郎(寺島進)から、新人刑事・佐相智佳(瀧本美織)の教育係を託されることに。刑事職を解かれることを恐れた時矢は、記憶喪失になったことを隠し、佐相と共に女性府議会議員・椎名蒼が刺殺された事件を追うことになります。

 その蒼が殺された現場では、あみだくじの一部分を切り取ったような奇妙な記号が書かれた紙が見つかるのですが、その直後に発生したフリーライター・今宮賢の殺害事件では、遺体そのものが同じような記号に見えるように、公園の鉄棒に粘着テープで吊るされた状態で発見。時矢は、そのテープと蒼の殺害現場に落ちていた紙から同じニオイがすることに気づきます。

 その後、今宮の父親・隆二(大澄賢也)と継母のもとを訪れた時矢は、応接室に置いてある香炉(香木を入れる器)が妙に気になり、直感を信じて香木の販売店へ足を運ぶことに。するとその店の主人から、殺人現場に残されていた奇妙な記号が、源氏香(5種の香を各5包ずつ計25包作り、任意に取り出した5包のニオイを嗅ぎ分ける組香の一種)で用いる香の図であることを指摘されます。この香の図には、源氏物語54帖のうち最初と最後の帖以外の巻名ひとつひとつが附されているというのです。

 さらに以前、蒼と今泉夫妻、小説家の鳴島恭三(小林稔侍)とその妻・桜子(富田靖子)が、同じお香のサークルに通っていたことが発覚。また、桜子のもとを訪れた時矢は、息子・芳孝(百瀬朔)が初めて書いた小説を恭三に焼かれてしまたっため、逆上して家出してしまったことを知るのでした。

 捜査を進めていくと、芳孝は隆二が桜子を襲った際にできた子であることや、その背景には、『郭公の庭』という小説を書くためだけに、恭三が自分の妻を隆二に襲うよう命じたこと、議員になる前に産婦人科医をしていた蒼が芳孝の出産を担当したことや、それらの事実をネタに賢が金を脅し取ろうとしていたことなどが判明します。

 蒼と賢の殺害現場に残された香の図がそれぞれ、源氏物語中で“不義の子”をテーマにした話であることから、時矢は一連の事件を芳孝の犯行による見立て殺人だと推測。そんな中、隆二がワイヤーで首を吊られ殺される第3の事件が発生してしまいます。

 芳孝を逮捕するべく、時矢は捜査に夢中になるのですが、ふとしたきっかけで記憶喪失したことが佐相にバレてしまいます。しかし、今回が刑事生活最後の事件ということで見逃してもらい、捜査を続行することに。そんな中、桜子が神社の階段で何者かに突き落とされる事件が発生します。

 ところがこれは桜子の狂言だったのです。桜子は、隆二を殺害した際に傷を負って死んでしまった芳孝の遺志を継ぎ、第5の事件を計画。かつて家族3人で暮らした家もろとも焼死すべく、恭三をスタンガンで気絶させて部屋中にガソリンを撒き散らすという凶行に及んだのです。

 そこへ駆けつけた時矢は、「人間は2度死ぬ」として、1度目は肉体が滅びる時、2度目は生きている人たちの記憶から忘却される時だと話し、息子の記憶をこの世に留めるためにも生き続けるべきだと説得。桜子がこれを聞き入れたことで事件解決となりました。

 その後、約束通り退職届を用意した時矢。しかし佐相は、今回の活躍から“新・時矢”も刑事として必要な素養を備えていることを認め、記憶喪失したことは誰にも漏らさないと約束。“旧・時矢”の捜査データを網羅していることから、彼の「取扱説明書」として支えていくことを表明したところで終了となりました。

 ベテラン刑事が20年間の記憶を失くすというトリッキーな設定や、沢口靖子・主演の人気シリーズ『科捜研の女』の“谷間”に差し込まれるカタチでの放送ということで、箸休め的な作品かと侮っていましたが、開始早々からかなり惹きこまれるものがありました。

 正直、源氏物語を見立てに用いた設定は複雑すぎるため映像作品には不向きで、被害者たちの関係性もごちゃごちゃしていてミステリー的には少し難ありかなぁ、という部分はありました。

 しかしそれを補って余りあるぐらい時矢が魅力的でした。記憶を失ったことで内面が20年前、つまり31歳の時に戻ってしまったという設定なのですが、今宮夫妻のもとを訪れた際には、妻と顧問弁護士との関係が怪しいと見て、「おふたり、デキてます?」と直球で訊いてしまうなど、その言動はまるで子どものよう。アニメ『名探偵コナン』(日本テレビ系)のオープニングでの名セリフ「見た目は子ども、頭脳は大人」の真逆のようなキャラクターなのです。

 それでいて、捜査に必要な観察力や記憶力、優れた五感、調査力、信念みたいなものは残っているんですね。証拠品が見つかれば夢中になって調べ、直感が働けば即座に行動する姿は、大人少年探偵とでもいうようなコミカルな雰囲気が漂っていました。

 そしてその時矢を支える佐相役を滝本が好演。佐相は庶務係に在籍時、たまたま目にした時矢の姿に憧れ、彼が関わった事件データすべてを記憶したという熱烈な信奉者なんですね。

 だからこそ、時矢とのバディが決まり張り切るわけですが、その活き活きとした様子を滝本が実直に演じていました。また、傍目からはベテラン刑事と新人なのですが、視聴者からすれば新人同士のコンビ、という設定も観ていてユニークでした。佐相は、他の先輩刑事と組んでいれば恐らく、「お前は引っ込んでろ」と言われかねないほど積極的すぎる面があるのですが、実はぺーぺーの時矢と組むからこそ持ち味を活かせているのだろうな、と思います。

 その佐相いわく、時矢は以前は理論派、記憶を失ってからは直感派になったということですが、次回は7年前に関わった事件に再び挑むということで、どんな展開が待ち受けているのか楽しみです。敏腕刑事時代の粗を自ら掘り起こしていくことになってしまうのですかね。
(文=大羽鴨乃)

『刑事ゼロ』は、まるで逆『名探偵コナン』? 沢村一樹&瀧本美織の“新人刑事”コンビが魅力的

 沢村一樹が20年分の記憶を失ってしまう刑事役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第1話が10日、2時間の拡大版で放送され、平均視聴率14.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好発進しました。

 京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)は、“京都府警に時矢あり”といわれるほどの逸材。しかし、連続殺人犯の能見冬馬(高橋光臣)を追跡中、ビルの屋上から貯水プールに落下し、刑事生活20年分の記憶をごっそり失ってしまいます。

 そんな折、見舞いにやって来た元相棒の福知市郎(寺島進)から、新人刑事・佐相智佳(瀧本美織)の教育係を託されることに。刑事職を解かれることを恐れた時矢は、記憶喪失になったことを隠し、佐相と共に女性府議会議員・椎名蒼が刺殺された事件を追うことになります。

 その蒼が殺された現場では、あみだくじの一部分を切り取ったような奇妙な記号が書かれた紙が見つかるのですが、その直後に発生したフリーライター・今宮賢の殺害事件では、遺体そのものが同じような記号に見えるように、公園の鉄棒に粘着テープで吊るされた状態で発見。時矢は、そのテープと蒼の殺害現場に落ちていた紙から同じニオイがすることに気づきます。

 その後、今宮の父親・隆二(大澄賢也)と継母のもとを訪れた時矢は、応接室に置いてある香炉(香木を入れる器)が妙に気になり、直感を信じて香木の販売店へ足を運ぶことに。するとその店の主人から、殺人現場に残されていた奇妙な記号が、源氏香(5種の香を各5包ずつ計25包作り、任意に取り出した5包のニオイを嗅ぎ分ける組香の一種)で用いる香の図であることを指摘されます。この香の図には、源氏物語54帖のうち最初と最後の帖以外の巻名ひとつひとつが附されているというのです。

 さらに以前、蒼と今泉夫妻、小説家の鳴島恭三(小林稔侍)とその妻・桜子(富田靖子)が、同じお香のサークルに通っていたことが発覚。また、桜子のもとを訪れた時矢は、息子・芳孝(百瀬朔)が初めて書いた小説を恭三に焼かれてしまたっため、逆上して家出してしまったことを知るのでした。

 捜査を進めていくと、芳孝は隆二が桜子を襲った際にできた子であることや、その背景には、『郭公の庭』という小説を書くためだけに、恭三が自分の妻を隆二に襲うよう命じたこと、議員になる前に産婦人科医をしていた蒼が芳孝の出産を担当したことや、それらの事実をネタに賢が金を脅し取ろうとしていたことなどが判明します。

 蒼と賢の殺害現場に残された香の図がそれぞれ、源氏物語中で“不義の子”をテーマにした話であることから、時矢は一連の事件を芳孝の犯行による見立て殺人だと推測。そんな中、隆二がワイヤーで首を吊られ殺される第3の事件が発生してしまいます。

 芳孝を逮捕するべく、時矢は捜査に夢中になるのですが、ふとしたきっかけで記憶喪失したことが佐相にバレてしまいます。しかし、今回が刑事生活最後の事件ということで見逃してもらい、捜査を続行することに。そんな中、桜子が神社の階段で何者かに突き落とされる事件が発生します。

 ところがこれは桜子の狂言だったのです。桜子は、隆二を殺害した際に傷を負って死んでしまった芳孝の遺志を継ぎ、第5の事件を計画。かつて家族3人で暮らした家もろとも焼死すべく、恭三をスタンガンで気絶させて部屋中にガソリンを撒き散らすという凶行に及んだのです。

 そこへ駆けつけた時矢は、「人間は2度死ぬ」として、1度目は肉体が滅びる時、2度目は生きている人たちの記憶から忘却される時だと話し、息子の記憶をこの世に留めるためにも生き続けるべきだと説得。桜子がこれを聞き入れたことで事件解決となりました。

 その後、約束通り退職届を用意した時矢。しかし佐相は、今回の活躍から“新・時矢”も刑事として必要な素養を備えていることを認め、記憶喪失したことは誰にも漏らさないと約束。“旧・時矢”の捜査データを網羅していることから、彼の「取扱説明書」として支えていくことを表明したところで終了となりました。

 ベテラン刑事が20年間の記憶を失くすというトリッキーな設定や、沢口靖子・主演の人気シリーズ『科捜研の女』の“谷間”に差し込まれるカタチでの放送ということで、箸休め的な作品かと侮っていましたが、開始早々からかなり惹きこまれるものがありました。

 正直、源氏物語を見立てに用いた設定は複雑すぎるため映像作品には不向きで、被害者たちの関係性もごちゃごちゃしていてミステリー的には少し難ありかなぁ、という部分はありました。

 しかしそれを補って余りあるぐらい時矢が魅力的でした。記憶を失ったことで内面が20年前、つまり31歳の時に戻ってしまったという設定なのですが、今宮夫妻のもとを訪れた際には、妻と顧問弁護士との関係が怪しいと見て、「おふたり、デキてます?」と直球で訊いてしまうなど、その言動はまるで子どものよう。アニメ『名探偵コナン』(日本テレビ系)のオープニングでの名セリフ「見た目は子ども、頭脳は大人」の真逆のようなキャラクターなのです。

 それでいて、捜査に必要な観察力や記憶力、優れた五感、調査力、信念みたいなものは残っているんですね。証拠品が見つかれば夢中になって調べ、直感が働けば即座に行動する姿は、大人少年探偵とでもいうようなコミカルな雰囲気が漂っていました。

 そしてその時矢を支える佐相役を滝本が好演。佐相は庶務係に在籍時、たまたま目にした時矢の姿に憧れ、彼が関わった事件データすべてを記憶したという熱烈な信奉者なんですね。

 だからこそ、時矢とのバディが決まり張り切るわけですが、その活き活きとした様子を滝本が実直に演じていました。また、傍目からはベテラン刑事と新人なのですが、視聴者からすれば新人同士のコンビ、という設定も観ていてユニークでした。佐相は、他の先輩刑事と組んでいれば恐らく、「お前は引っ込んでろ」と言われかねないほど積極的すぎる面があるのですが、実はぺーぺーの時矢と組むからこそ持ち味を活かせているのだろうな、と思います。

 その佐相いわく、時矢は以前は理論派、記憶を失ってからは直感派になったということですが、次回は7年前に関わった事件に再び挑むということで、どんな展開が待ち受けているのか楽しみです。敏腕刑事時代の粗を自ら掘り起こしていくことになってしまうのですかね。
(文=大羽鴨乃)

『家売るオンナの逆襲』松田翔太と千葉雄大が“おっさんずラブ”状態? 時代錯誤のパワハラ演出も

 北川景子が不動産屋の天才的な営業ウーマン役で主演するドラマ『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)の第1話が放送され、平均視聴率12.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。好スタートを切りました。

 2016年に放送された前シーズンで結婚し、田舎で「サンチー不動産」を営んでいた三軒家万智(北川)とその夫・屋代大(仲村トオル)は、古巣・テーコー不動産からの要請を受け、新宿営業所へ戻ってくることに。東京での久しぶりの仕事に意気込む万智は、熟年離婚の危機にある夫婦に対し、寝室に間仕切りのある家を紹介。経済的なことを考慮すれば結婚していた方が得策だと妻・えり子(岡江久美子)を諭し、売却に成功します。

 万智が復帰早々に成果を出す一方、同じチーフとして働く足立聡(千葉雄大)は、炎上系YouTuber・にくまる(加藤諒)から“プライバシーを守れる家”探しの依頼をされたものの失敗。最新セキュリティーを備えた高級マンションに案内した際、住人にSNS上で目撃情報を拡散されてしまったのです。

 にくまるの担当は万智が引き継ぐことに。落ち込む足立は、趣味のフェンシングクラブで知り合った謎の男・留守堂謙治(松田翔太)に相談するのですが、実は留守堂はフリーランスの不動産屋だったのです。

 後日、万智がにくまるを案内したのは、国道に面したボロ屋。見るからに価値のない物件に、にくまるは激昂してしまうのですが、そこへ現れた留守堂が田舎の一軒家を紹介します。動画のアップや炎上に疲れ、静かに暮らすことを望んでいたにくまるは、幼少期を過ごした祖母の家に似たその家を気に入り、購入を即決するのでした。

 顧客を横取りされてしまった万智は、テーコー不動産の元アルバイト事務員の白洲美加(イモトアヤコ)を半ば脅すようにして緊急招集し、ボロ屋の塀を全壊。家の窓を開け放した状態で美加にゲテモノ料理を食べさせるという、公開収録式のYouTubeチャンネルを開設し、ネット上で話題をかっさらいます。

 実はこれは、にくまるを誘いだすための行動で、その狙い通り、静かな田舎生活に耐えきれなくなったにくまるはボロ屋へ駆けつけ、万智のセールストークとやじ馬たちに乗せられるカタチで購入を即決。万智が1億円の高値をふっかけることに成功したところで今回は終了となりました。

 前シーズンの全話平均視聴率11.6%、その翌年放送のSP版は13.0%と、安定した数字を稼いできた『家売るオンナ』シリーズ。その人気の秘訣は、不動産を売るためなら手段を選ばず、部下を顎でこき使う万智の強烈なキャラにあるのですが、今シーズンもそれは健在でした。

 テーコー不動産の社員たちは、営業成績が悪いくせに屁理屈だけはいっちょ前にこねる新人社員2人をもてあまし気味だったのですが、万智は復帰して早々、前作でも話題になった「GO!」の決め台詞を発して下働きを命令。その迫力にビビった後輩たちがあっさり命令を聞き入れ従う構図は、時代錯誤なパワハラそのものなのですが、万智の無表情なロボット・キャラのためにどこかコミカルに思えてしまうのです。日頃、部下の扱いに頭を悩ませている視聴者にとっては痛快なシーンだったかもしれませんね。

 そんな万智のライバルとして今期から登場した留守堂もまたキャラが立っていました。仕事はできるものの日常生活は隙だらけという、一歩間違えれば変人になりかねない天才タイプ。時に計算、時に天然な言動で人を魅了し、奥の見えないミステリアスなキャラクターを松田が好演しています。

 本人は恐らくそのつもりはないのでしょうが、まるで口説き文句のような言葉を発してしまうため、足立がポッとなってしまうシーンも。不動産屋という設定が共通することから、田中圭・主演ドラマ『おっさんずラブ』のエッセンスを取り入れたのかもしれませんね。同ドラマは、少女漫画のようなピュアな世界観とコミカルな演出で同性愛を描き女性からの支持を集めましたが、留守堂&足立のロマンスが前シーズンとは違った層の視聴者を獲得することになるかもしれません。

 前期との違いといえば、万智と屋代が夫婦になった点も挙げられますが、その関係性は仕事もプライベートもほとんど変わらず。東京へ戻ってからは万智が水を得た魚のように働き、家に帰ってこないことに対して屋代が、馴染みのバーで寂しい気持ちを吐露するシーンがありました。

 夫婦の営みの際にも「ベッドへGO!」と発してしまう艶っ気のない万智は果たして、仕事と家庭を両立させることができるのでしょうか。“家売るオトコ”留守堂との対決も含めて、この先の展開が楽しみです。
(文=大羽鴨乃)