美人女優・若村麻由美が宗教団体を主宰!? 女装もイケる志尊淳『ハケン占い師アタル』第3話

 仕事は人間関係が9割、なんて言葉をよく耳にします。職場の人間関係が順調なら、どんなにしんどい仕事でもけっこう出来ちゃうものです。遊川和彦のエグみ走った脚本で話題の、杉咲花主演のお仕事ドラマ『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)。面倒くさい職場の人間関係を、杉咲演じる派遣社員・アタルはどう解きほぐすのでしょうか。志尊淳がメインとなった第3話を振り返ってみましょう。

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 大学時代に演劇サークルに入っていた品川(志尊淳)は特にやりたい仕事が見つからず、何となくイベント会社に就職しました。採用してくれた会社で、何となく仕事を続けています。入社1年目の割にはソツなく仕事をこなしていますが、先輩の上野(小澤征悦)からは「覇気がない」と小言を言われる毎日です。しかも上野は会社が終わった後も品川を呑みに誘い、「俺が若い頃はなぁ……」と同じ説教を繰り返します。品川は上野がウザくて仕方ありません。呑み代は割り勘なのか上野の奢りなのか、そこも気になるところです。

 そんなとき、大崎課長(板谷由夏)からキャリアシートを提出するように言われます。10年後、この会社でどのようなポジションにいるのか、キャリアプランを書いてこいというのです。10年間もこの仕事を続ける気がない品川は「無理です」といつものようにバリアを張るのでした。まぁでも、彼に限らず、同じ職場に10年後もいることを考えている人は少ないのではないでしょうか。よくいる、いまどきの若い会社員、それが品川くんです。

 

■パワハラ野郎vsコピペ人間

 例によって調子のいい上司の代々木部長(及川光博)が面倒な仕事を振ってきます。大手化粧品会社の新商品の試供品をサンプリングするというものです。この寒い時期に街頭に立って試供品を配り、しかもアンケートも回収しろとのこと。地味な割に体力を費やす仕事です。

 品川がこの企画の提案書を作成することになりました。品川はサクサクと提案書をまとめますが、この提案書に上野は不満顔です。パソコン上で見つけた文面をコピペして作ったものだったからです。コネ入社の目黒(間宮祥太朗)に対し「お前はAV男優みたいなもの」という大暴言を吐いた上野ですが、今回は品川が作成した提案書を本人の前でビリビリに破いてしまうのでした。絵に描いたような、とても分かりやすいパワハラ野郎ですね。

 品川の暗い情熱がほとばしります。上野から受けたパワハラ行為の数々をファイルにまとめ、代々木部長に提出するのでした。グラフまで入っており、かなりの力作です。普段はやる気を感じさせない品川ですが、イヤな会社の先輩をディスることに関しては、並々ならぬ能力を発揮してみせます。この情熱、仕事に活かせないものでしょうか。品川がパワハラを訴えたことから、職場の雰囲気は悪化する一方です。

 出世作『烈車戦隊トッキュウジャー』(テレビ朝日系)の超ポジティブだったトッキュウ1号から一転、自分のことしか考えないネガティブ人間を演じる志尊淳。かわいい系男子が大好きな人たちには、彼のいじけた表情もグッとくることでしょう。スピッツのように「キャンキャン」とよく鳴く目黒くんもいるし、ちょっと残念なイケメンを愛でたいという女性にはおすすめの職場です。

■無口なイケメンが頭の中で考えていることは……

 嫌なことがあると品川はついスマホでSNSを覗いてしまいます。声優を目指している恋人が頑張ってオーディションを受けてる様子をSNSにアップしているのを見て、逆にヘコんでしまう品川です。まぁ、同窓会と一緒でSNSは成功者たちのリア充自慢の場ですから。タイミング悪く、上野から「勤務中に何してんだ。現実逃避してんじゃねぇよ」と注意され、品川はブチ切れてしまいます。大学時代の同期たちが楽しそうにしているのに、つまらない職場にいる自分に我慢ならなかったのです。品川は黙って退社し、「一身上の都合で退職させていただきます」と職場へ一斉メールするのでした。

 ここで、ようやくアタル(杉咲花)の出番です。職場に退職願を提出するために改めて姿を見せた品川に、神田(志田未来)と目黒はアタルに占ってもらうよう勧めます。大学時代から交際していた恋人からも去られて、落ち込んでいた品川はあまり気乗りしないまま、アタルに鑑(み)てもらうことになります。

 品川の3つの質問はこんな感じです。

1)嫌な上司がいるけど、どーすればいい?
2)ここは俺のいるべき場所?
3)他の奴らは、今の仕事が正解だって分かっているの?

 普段、口数の少ない人は頭の中ですごいことを考えているように思われがちですが、品川の場合は大したことは考えていなかったようですね。

 アタルの回答はこうです。

1)の上司の問題ですが、嫌な上司はどこの職場にもいるから、どうしようもない。品川のことを心配してくれる同僚たちのいる職場は他にはないよという助言でした。

2)の質問に答えるために、アタルは品川のトラウマとなっている過去の記憶を探ります。品川にとっての大きなトラウマは、大学時代の演劇サークルでした。演劇の世界に夢を託していた品川ですが、稽古中に仲間と意見が衝突してしまいます。自分の考えが通らなかった品川は「どうせ演劇じゃ、一生食べていけねぇし」という捨て台詞を吐いて、公演に参加することなくサークルを去ったのでした。

「逃げてばかりだと、自分の居場所なんか見つからないよ」

 自分自身が気にしていたことを、アタルにズバリと言い当てられた品川でした。3)の答えも秀逸です。将来のことなんて分かっている人は誰もいません。分からない人生の答えを、スマホ検索でちゃちゃっと見つけようとしたり、困ったことがあったら他人に責任転嫁している限りは、永遠に人生の答えは見つからないよというアタルの金言でした。童顔のアタルですが、彼女はいったい何歳なんでしょうか?

 

■若村麻由美に宗教団体の代表を演じさせるエグさ

 雪が降るサンプリング会場。大崎課長や田端(野波麻帆)たちが声を掛けても、通行人たちは寒さもあって足を止めてくれません。そこへ、ひとりの美女が現われ、「え~、これ凄くいい! 試してみたい!!」と手にした試供品を絶賛します。女装した品川が、自主的にサクラ役を買って出たのです。演劇サークルは途中で辞めた品川ですが、サークルでの経験はまったくの無駄ではありませんでした。上野たちも泥くさく試供品を配り続け、ようやくサンプリングを無事に配布し終わります。

 現場に立ち会っていたクライアントの若手社員たちは「ありがとうございます」と頭を下げて感謝しています。彼女たちが本当に喜んでくれている様子を見て、ほろりと涙を流す品川でした。自分の居場所は探しまわるものではなく、自分で創り出すものなんだなと気づく品川でした。

 すっかり定番化したストーリー展開だった第3話でしたが、いつも冒頭に登場する謎の女性・キズナ(若村麻由美)がラストシーンにも再び現われます。真っ白い衣装を纏ったキズナは、スピリチュアル系の宗教団体をどうやら主宰しているようです。悩みを抱える人たちにありがたい言葉を授けることで、けっこうなお金をふんだくっているようです。

 無名塾出身、朝ドラ『はっさい先生』でブレイクした若村麻由美ですが、2003年に宗教団体の代表と結婚したことで大変な話題となりました。一時期はマスメディアから姿を消しましたが、2007年に宗教団体の代表が亡くなり、芸能活動を再開しています。数奇な人生を歩む美人女優のプロフィールを当て書きしたような、かなりエグい遊川和彦の脚本です。アタルはキズナが主宰する宗教団体が嫌で、飛び出したと思われます。品川に「逃げてばかりいると、自分の居場所は見つからないよ」とアドバイスしていたアタルですが、彼女自身が実は逃亡者だったのです。

 第3話の視聴率は10.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。第1話12.1%、第2話10.9%と3週連続での二ケタをキープしました。視聴率を味方につけた遊川脚本は、ますますエグみを増していくことでしょう。杉咲演じるアタルのミステリアスな過去が気になり、来週もまたアタリ前のように『ハケン占い師アタル』を視聴することになりそうです。
(文=長野辰次)

“おじ専戦隊ドラマ”な高畑充希主演『メゾポリ』、批判殺到の“エロ要員”橋本マナミの出演が功を奏す!?

 新米刑事の高畑充希が元刑事のおじさんたちに絶賛振り回され中のドラマ『メゾン・ド・ポリス』。25日に放送された第3話の視聴率は10.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、前回から1.7ポイントダウン。なんとか2ケタをキープしている状態です。

 しかし、そのわりに視聴者からは好評だった様子……。いったいどんなストーリーが展開されたのか、まずはあらすじから振り返っていきたいと思います。

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■猫の殺害事件から人間の殺害事件へ発展

 今回、ひより(高畑)と「メゾン・ド・ポリス」のおじさんたちに任せられたのは、都民住宅の建設予定地で青いペンキをかけられた猫の死体が相次いで見つかったという通称「青猫事件」。おじさんたちは「もっとでかいヤマを持って来い」と全く乗り気じゃありません。

 しかし、この事件を区の広報誌に掲載したところ、新たな殺害予告が届くも警察には取り合ってもらえなかったと相談にやってきた美人編集者・大槻仁美(橋本マナミ)の登場により、態度が豹変。女好きの藤堂さん(野口五郎)や鼻の下を伸ばす迫田さん(角野卓造)を筆頭に、伊達さん(近藤正臣)までもが、デレデレ状態。俄然やる気を出し、捜査を開始します。

 ひよりと夏目さん(西島秀俊)、藤堂さん、迫田さんが事件現場に張り込みに向かったところ、そこには青猫事件と同じように青いペンキをかけられた工事現場責任者・歌田(誠一郎)の死体が。メゾンの先輩刑事たちを「老人ホーム」と揶揄して煩わしがる上司の新木(戸田昌宏)は、捜査に介入しないようひよりにおじさんたちの監視を言い渡します。

 しかし、結局何の情報もつかめなかった無能な現役刑事たちに代わり、元鑑識の藤堂さんが、遺体にかかっていたペンキは死亡推定時刻の19時前後ではなく、遺体が発見された30分前に何者かによってかけられたものだとわりだし、青猫事件の犯人とは別の人間が歌田を殺したことが明らかになりました。

 さらに、青いペンキが塗られた看板を発見したお掃除大好きな夏目さん、スポンジでゴシゴシ擦ってペンキを落とすと、現れたのは「建設反対」の文字。結果、歌田を殺害したのは、夫が好きだった富士山の景色が見えなくなるため、都民住宅の建設に反対していた山崎(川俣しのぶ)で、看板の落書きをめぐり揉み合った末、足元をすべらせた歌田はブロックに頭を打ちつけて死亡。彼女に殺意はありませんでした。

 その後、大槻を交え恒例の打ち上げで盛り上がるおじさんたちを横目にメゾンをひとり抜け出し、「青猫事件」の犯人である自称エッセイストのビル警備員・瀬戸俊樹(矢野聖人)を追い詰めたひより。「猫しか殺せない臆病者」とネットでバカにされていた瀬戸は、歌田の死体を発見すると青猫事件の犯人が人を殺したように見せかけるためにペンキをかけ、看板の落書きも消しました。しかし、看板の左側からペンキがかけられているのに気づいたひよりは、左利きである彼が犯人だと確信し、彼が再び現場に現れるのを待ち構えていたのです。

「絶対 罰を受けさせてやるから」と手錠をかけようとするも、抵抗する瀬戸。そこへ“スナック完落ち”でお楽しみの真っ最中のはずだったおじさんたち+大槻が駆けつけ、連携プレーによって瀬戸を取り押さえ、事件は無事解決となりました。

■戦隊ヒーローばりの登場だったおじさんたち

 瀬戸につきとばされ、絶体絶命のピンチを迎えたひより。すると、すると、バッと照明が点き、現れた5人のおじさん(と、美女・大槻)。

瀬戸「何だお前ら」

伊達さん「近所に住んでる隠居老人ですよ」

『水戸黄門』(TBS系)の黄門様みたいなキメゼリフを放った伊達さんを筆頭に、ズラリと横並びになるおじさんたち、現代でいう、戦隊ヒーローのような登場の仕方です。ド派手なアクションはさすがにありませんでしたが、ピンチの時に現れるザ・王道な展開に、視聴者たちも大興奮。

 主人公のひよりをレッドと勝手に仮定すると、

・ムードメーカーでお調子者の高平さん(小日向文世)はイエロー兼ピンク
・ナルシストっぽい藤堂さんはブルー
・下っ端だけど一番冷静な夏目さんはグリーン
・頑固な迫田さんはブラック
・年長者で元副総監の伊達さんはゴールド

 といったところでしょうか。

 今回も、事件の内容はショボかったし、猫殺害の現場に人間の死体があり、動物虐待事件から人間の殺害事件に発展していく流れはあまりにも無理があったようにも思うし、相変わらず刑事ドラマとしてはツッコミどころ満載でしたが、現代版『水戸黄門』だったり、“おじ専戦隊モノ”として作品を捉えると、まだまだ楽しむ余地は残されているかなぁという印象を受けました。

 

■“エロ要員”橋本マナミは必要だったのか問題

 ゲストの橋本マナミによって「メゾン・ド・エロス」化した今話。

 1話の小久保寿人さん、2話の白羽ゆりさんなど犯人役を演じた演者を筆頭に、これまでゲスト陣は芝居の上手さで物語を盛り上げでいたし、その演技力で単純な事件に説得力を持たせていると前回のレビューで書きました。

 でも、今回の橋本さんはセリフに抑揚がなく一本調子なので言ってることも嘘くさいし、演技が達者な俳優たちに比べるとどうしても“ただの橋本マナミ”に見えてしまって、浮いた存在でした。

 そのため、ネット上でも「色気要員でしかドラマに出てないよね」「棒演技なんとかしてくれ」などと批判の声が。

 ただ、その違和感のある彼女の演技がミスリードを誘い、「そこそこ名のあるタレントがゲスト=犯人」という視聴者の固定観念や先入観を崩したとも言えるので、結果オーライといったところでしょうか。そこまでを見越しての起用だったのかは知りませんけど。

 

■デレ度がアップした西島秀俊

 そんな橋本マナミがチヤホヤされてくれたおかげ(?)で、ひよりとおじさんたちの距離が縮まりました。

 中でも、ツンデレ代表の夏目さん。捜査中、自分だけ缶コーヒーを飲み、ひよりは「また、自分の分だけですか」とむくれていましたが、瀬戸を無事逮捕した後、1人で現場に乗り込んだ彼女に対し「勝手に1人で行動するな」「ほら」と、ビニール袋を手渡します。中に入っていたのは、もちろん缶コーヒー。ひよりを認めようとしてこなかった夏目さんが、ひよっこ刑事に一歩歩み寄った瞬間でした。

「メゾン・ド・エロスの色ボケジジイどもが!」「夏目さんも間違いないですよ。ひとみちゃんに私には見せたことない柔和な笑みを浮かべていましたから!」

 と居酒屋で愚痴っていたひよりも、おじさんたちが助けに来てくれた上、「お疲れさん」と声をかけられ嬉しそうだったし、照れながらコーヒーを飲む姿がとっても微笑ましかったです。うん、平和!

 

■ひよりが抱えている“闇”って?

 さてさて、今回、ひよりの父は、建設会社の社員で、20年前に現場で転落死をしていたことがわかりました。ラストでは、

藤堂さん「あのときの娘さんだということを。だから呼んだんですか」

伊達さん「気づいたとき、あの子がどうするか。それを見てから決めます」

 なんて会話もあっただけに、おそらく、メゾンの全員がひよりの父の死の真相について何らかの関係があるのでしょう。徐々にひよりが抱えている“心の闇”が明らかになってきただけに、シリアス展開も見てみたいろところ。まあ、基本はコメディドラマなので、あまり期待はしないでおきます。はい。

(文=どらまっ子TAROちゃん)

『刑事ゼロ』開始早々に“透明人間の怪”解決で落胆……一番の盛り上がりは、草なぎ剛の小ネタ?

 沢村一樹が20年分の記憶を失ってしまった刑事役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第4話が先月31日に放送され、平均視聴率12.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.2ポイントアップとなりました。

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 京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)はある夜、飲み会の帰りに通りかかった中古品買取店の前で怪しい男を発見。声をかけるものの逃げられてしまいます。

 すると翌日、その店で時価500万円の純金の延べ棒が盗まれる事件が発生。現場へ駆けつけた時矢と相棒の佐相智佳(瀧本美織)は、店長の高沢真浩(弓削智久)から防犯カメラの映像を見せられ愕然とします。そこには、透明人間が店内を荒らす様子が映っていたのです。

 この事件の指揮を執ることになったサイバー犯罪対策室の主任・但馬正樹(野間口徹)によれば、同店の防犯カメラには性別や年齢などを指定することで客の姿を画面上から消せる映像解析ソフトが備わっているとのこと。つまり、透明人間の謎はハッキングによるものであることがここであっさり判明するのです。

 その但馬とは別に捜査を始めた時矢は、映像解析ソフトの開発者でもある警備会社社員の北浦菜月(西原亜希)から、自身が勤める会社のセキュリティーが緩すぎるとのぶっちゃけ話を聞きつけます。

 そんな中、中古品買取店内で店長の高沢が“透明人間”に殺害される事件が発生。しかも凶器は、窃盗された金の延べ棒だったのです。なぜ犯人は再び現場を訪れ、高沢を殺害したのか? 店内をくまなく調査していた時矢は、以前はあったハズのトレーディングカードのレア物がなくなっていることに気がつきます。

 そのレアカードを、事件発生直後に誇らしげにSNS上にアップしている人物を但馬が特定。犯人は仲間に勝手にレアカードを売られてしまい、高沢に返却を求めるも拒否されたことで腹を立てた、林田悠斗(田中偉登)という中学生だったのです。

 悠斗の家を捜索したところ、庭先で血液が付着した金の延べ棒を発見。しかし、悠斗は殺人に関しては否定し、時矢もそれを信じます。殺害の証拠である延べ棒があっさり見つかったのは、何者かが悠斗に罪をなすりつけようと企んだものだと直感したのです。

 そして悠斗を立ち会わせ、高沢・殺害の現場検証を行った際、別室で但馬と北浦とともにモニタリングをした時矢は、高沢役を務める先輩刑事・福知市郎(寺島進)以外の性別と年齢層が画面から消えるよう解析ソフトを操作。その結果、犯行時と同じく被害者側だけが画面に映る映像ができ上がります。

 しかし実は、悠斗役を演じていたのは智佳。解析ソフトを操作することで、レアカードを盗み出した悠斗に高沢殺しの罪をなすりつけることは可能だったのです。ただし、天才的なハッキング能力かソフトのプログラムに詳しい者でなくてはその犯行は不可能。というわけで、真犯人は北浦であることが発覚します。

 事件はもともと、悠斗がレアカードを盗んだ際、いち早く事件を察知し現場に駆け付けた北浦が、床に落ちていた金の延べ棒をこっそり盗み事件化することによって、会社のセキュリティーの甘さを世間に弾劾させようと企んだことにあります。ところが、延べ棒をこっそり返そうとした際、高沢に見つかったことで殺害に至ったというわけだったのです。

 さて感想。前回は“逆回転誘拐”というキャッチ―な事件を扱い、終盤まで謎解きの緊張感を保っていましたが、今回はあっさり“透明人間の怪”が解けて拍子抜けしてしまいました。そこが肝なのでは!? とツッコミ、この先盛り上がる要素があるのかと見守っていたのですが、見事に何もありませんでした。

 北浦が最初から怪しかったんですよね。時矢が事情聴取をした際、自社のセキュリティーが甘々だということを力説するシーンがあったのですが、こんな社員います? いくら警察が相手とはいえ、内部の極秘情報を漏らす(しかも上司の前で)のは違和感でしかありませんでした。

 というよりも今回、ゲスト出演したのは4人で、そのうち1人は殺され、1人は刑事役。残った2人のうち悠斗が犯人でないならば、おのずと北浦が真犯人だということになり、そういった意味でも盛り上がりに欠けました。

 ネット上でも今回は本編以外の小ネタに視聴者の注目は集まっていたようですね。悠斗を特定する際に登場したレアカードが、ドラマ『スペシャリスト』(同)において草なぎ剛演じる宅間善人が、京都府警の広報課に在籍していた時代に作製したカードであることがわかり、同ドラマの復活論が盛り上がったようです。

 そんなわけでちょっと微妙な回となってしまいましたが、次回は山奥にある“神様が棲む”といわれる村で起こる殺人事件を追うとのことで、横溝正史の小説ばりの古めかしい凝ったミステリーを期待したいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『家売るオンナの逆襲』“昭和VS平成生まれ”がテーマも、ゆとり世代をアホに描きすぎ?

 1月30日、北川景子が不動産業界のスーパー営業ウーマンを演じるドラマ『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)の第4話が放送され、平均視聴率10.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.7ポイントダウンとなってしまいました。

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 今年4月から施行予定の『働き方改革関連法』への対応策として、テーコー不動産では1カ月の総労働時間を190時間に抑えるプレ期間を設定。売り上げアップ&労働時間の削減を達成するため、屋代大(仲村トオル)は営業成績の悪い新人社員・鍵村洋一(超特急・草川拓弥)の教育係として庭野聖司(工藤阿須加)を任命します。

 ところが鍵村から、“なんのために仕事をするのか?”と問い詰められた庭野は答えに窮し、落ち込んでしまいます。それを見かねた屋代は、鍵村を三軒家万智(北川)に託すのでした。

 その万智が今回担当することになったのは、定年を間近に控えた山路功夫(佐野史郎)と朱美夫婦。娘の花(北原里英)と娘婿の健太郎(田村健太郎)の家購入のために資金を援助するとのことで、万智はすぐさま3つの物件を用意します。

 ところが、花はそれらの物件を「ダサい」と一蹴し、若者向けのオシャレな物件を探してくれと要望するのです。

 そしてその夜、同僚の床嶋ゆかり(長井短)とバーで飲んでいた鍵村は、花と健太郎に遭遇。「もっとオシャレな物件を」という花からのリクエストに対して、その場で適当にスマホ検索したマンションを提案し、翌朝の内見の約束を取り付けるのでした。

 この物件を花が大いに気に入ったため、その場で購入が決定。鍵村は鼻高々となり営業所へ戻るのですが、勝手にマンション購入を決めたことに怒り心頭となった功夫が怒鳴り込んできた結果、契約はご破算となってしまうのです。

 一方、万智が新たに見つけ出した家には、朱美の長年の夢だったという喫茶店を経営するためのスペースがあり、娘夫婦のためではなく自分たちのために資金を使うべきだと提案するのでした。

 これに不満を漏らす花に対して、万智はオシャレにリノベーションした団地を紹介。花は大感激し、商談成立……と思いきや、そこへフリーランスの不動産屋・留守堂謙治(松田翔太)が現れ、その部屋が354号室で、以前、健太郎が浮気した“ミヨコ”という女性の名前と語呂合わせで一緒だと指摘したことで、花の気持が萎えてしまうのです。

 その花に対して留守堂は、夫婦が揃って好きな歌手・矢沢永吉にちなんだ、同じ団地の“830(ヤザワ)号室”を提供。矢沢グッズだらけの室内を見た花たちは購入を即決し、顧客を横取りされた万智が「負けた……」と呟き、敗北宣言したところで今回は終了となりました。

 不動産売買を通じて世間の問題を炙り出す、というのがこのドラマの真骨頂ですが、今回は『昭和のがむしゃら企業戦士VS経済成長を知らない平成世代』という構図が描かれました。

 一方は、“24時間戦えますか?”的な流行語のもと、会社のため身を粉にして働くことを善しとして生きてきた世代。一方は、それまでのシステマティックな教育ではなく、自由な発想や多様な価値観を奨励され育った世代です。

 今回でいえば、前者が山路夫妻と屋代、後者は鍵村&ゆかりと花&健太郎でした。生まれ育った時代に合ったそれぞれの考え方や価値観があって当然なのですから、本来であればドラマ上であえて甲乙をつける必要はないハズです。

 しかし、脚本家の大石静氏が60代ということもあるのでしょうか、なんとなくゆとり世代が悪しざまに描かれていたように思えてなりません。矢沢グッズで占められた部屋の購入を花が即決したのなんて、アホそのもの。エレベーターのない団地で、しかもそれまでワガママ三昧だった花が、4階ではなく8階の部屋を喜々として購入というのは不自然でした。

 また、ゆとり世代の権化のように描かれた鍵村とゆかり、特に鍵村のやる気のなさ、己の特性を把握せず、また知ろうとする努力もしないくせに、“俺らしく生きる”と豪語する口ばっかりのキャラ設定は、フェアじゃないように感じました。

 いうまでもありませんが、どの世代の人も性格や生き方は千差万別。このドラマに限らず、“ゆとり”という語感だけでやる気のないキャラ付けをするのは、そろそろやめにした方がいいのではないでしょうか。

 そんな世代間の対立とは無縁とばかり、今回もひたすら家売ることに奔走した万智ですが、前回に引き続き留守堂に顧客を横取りされてしまい、相当にショックを受けた様子でした。しかも何やら過去に因縁があるらしきこともニオわせていましたから、また次回の展開が気になるところです。
(文=大羽鴨乃)

竹内結子『QUEEN』の大失敗……ネット炎上参加者に迎合する“的外れ企画”の正体

 前回の第2話までは「言いたいことはわかるけど、イヤなドラマだなぁ」という印象だった竹内結子主演の『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)でしたが、“フィギュアスケート界の闇”らしきアレを描いた24日放送の第3話は「話の意味はわからんが、とにかくすごい嫌いだ!」といった感じ。ちなみに視聴率は6.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、低空飛行。うん、見ないほうがいいよ。気分悪くなる。振り返りましょう。

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■時事ネタを適当に継ぎはぎしました

 第1話はアイドルとLGBT(トランスジェンダー)について、第2話は電通・はあちゅう・伊藤詩織さんあたりをトレースしてセクハラ問題と、時事ネタを積極的に取り入れているこのドラマ。この取り入れ方がものすごく雑で、モチーフにする対象をド正面から愚弄するような場面をちょいちょい挟み込みつつ、最終的にはなんか「いい感じでしょ?」みたいな雰囲気だけで納得させようとしています。

 第3話は安藤美姫とモロゾフコーチをベースに、毒親問題、枕営業、さらに今回もLGBT(ゲイ)要素を混ぜ込んでいます。

 ストーリーについては、ちょっとマジでよくわからないので詳しく書けません。まあなんか五輪金メダリストのフィギュア選手の婚約者が殺されて、真犯人がコーチでしたという話だったんですが、なんか「いい感じでしょ?」みたいな雰囲気だけで納得させようとして、盛大にスベっていました。

 

■竹内結子がすごく嫌なヤツに見える

 私は竹内結子大好きで、本当に美しくてお芝居の達者な女優さんだと思うんですが、今作で演じている氷見という弁護士役に限っては、ずーっとムカついております。基本的に人をバカにしているし、人が死んでいるのにニヤニヤしているし、人を傷つけることを平気で言うし、そのくせ最後には上から目線で説教をしてくるし、すごく嫌いです。お芝居が達者な分だけ、本当に嫌なヤツに見える。

 性格だけでなく、そもそもの設定も嫌です。

 今回でいえば、その金メダリストの女の子・相馬さん(白石聖)が“スキャンダル専門弁護士”のクライアントでした。

 婚約者が殺されて、警察から事情聴取を受けている相馬さん。アメリカにいる母親が末期がんなので、今すぐにでも渡米したいという。

 氷見弁護士はそんな相馬さんのために、「ほかの容疑者を探す」「世論を誘導して警察の捜査をけん制する」などを行います。その方法が、まあ陰湿なんです。ライバル選手のLINE画面を盗撮してネットに流して炎上させるとか、クライアントが子どものころ毒親にしごかれていたときのムービーをテレビ局に売って視聴者の同情を誘うとか、いちいちやることが汚い。なんでこんなに汚い卑劣な役柄を、竹内結子というスーパー好感度女優にやらせるんだろう、と頭を抱えてしまうほどに、氷見弁護士という人物には魅力がない。見ていて不快になる。ほんとに、なんでこんな役を。

■ネット世論に迎合しているつもりなんでしょう

 第1話から一貫して描かれるのは、Twitterなどに書き込まれるネット世論がクライアントに与える影響や、そのネット世論をコントロールしようとする氷見弁護士たちの策略です。

 ドラマは、ちょっとしたことで炎上したり右往左往したりするネット世論を小馬鹿にした感じで描きつつも、その影響力を「巨大である」と認識しているようです。

 そう考えると、この妙ちくりんなドラマの正体が見えてきます。竹内結子や斉藤由貴の立ち位置や考え方が、SNSで過激な発言をしている人たちと同じなんです。勇気を振り絞ってセクハラ被害を告発したら「売名行為だ」と誹り、テレビのワイドショーで女の子が泣いてたら「計算だろ」「あざとい女だ」と嘲笑します。モチーフも“ネット炎上ネタ”ばかり。今夜放送の第4話は「子連れで議会に参加する議員さん」。またまた炎上ネタです。

 つまりこのドラマが獲得しようとしているのは、ネットを炎上させている人たちの共感なんです。実に驚くべきことに、テレビドラマの主たるターゲットが、炎上参加者なんです。

 なぜ驚くべきかといえば、炎上参加者なんて、人口比でいえばごく少数だからです。デジタルリスク総研に掲載された記事(https://www.eltes-orm.com/feature/id1658/)によれば、ネットユーザーの1.1%に過ぎないといいます。

 その1.1%が喜びそうなことを必死でやった結果、私たちがネットの炎上事件を見て「嫌だなぁ」と思うのと同じ感情が、このドラマを見ているときに浮かんできます。竹内結子の一挙手一投足が、とにかく「嫌だなぁ」と感じる。「別に関係ないけど、すごく嫌だなぁ」と、目を逸らしたくなる。こんなの、稀に見る大失敗企画だと思いますよ。

 だいたい炎上ネタなんて鮮度がすべてなわけで、参加者だってタイムリーに騒ぐから楽しいんじゃないんですかね。ドラマで過去の炎上ネタを持ってきても、もう炎上させた本人たちだって忘れてるんじゃないですかね。結果、古い炎上ネタで騒ぎながら、最後には「炎上」や「炎上に振り回されること」について正論で説教するわけですから、そんなの誰が喜ぶんですかね。

 それに、日常的にネットを炎上させてる1.1%の人たちって、そもそもフジテレビを見ないんじゃないですかね。どんな番組でも「フジテレビだから見ない」っていう人たちですよね。そんな人たちに向けてドラマを作って、いったい何がしたかったんでしょう。何と戦っているんでしょう。

 フジテレビは、ネット炎上参加者に例の炎上デモをやられて、それが原因で視聴率が下がったと思ってるんでしょう。それは誤解だと思いますよ。ネットの炎上に、そんなバリューはありません。単にデモの時期と番組がつまらなくなり始めた時期が重なっただけでしょうし、なんでつまらなくなったかといえば、こんな時流を読めない的外れな企画を通してしまう責任者が存在しているからに違いありません。

 残り何話か知りませんが、今夜の第4話以降は、今ここに書いた“『QUEEN』の正体”についての分析が合っているかどうかの答え合わせになります。そして願わくば、この分析こそが的外れであってほしい。竹内結子の魅力が爆発するような、それでいて誰もが楽しめるドラマに変わっていってほしい。このままじゃちょっと、仕事だから見なきゃいけないんだけど、もう見てられないよ。うう……。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

大人らしい大人とはなんだろう?――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第3話

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 学校の先生が主役のドラマには、定番の展開がある。

 不良であったり、心を閉ざしていたりする生徒が、初めは反抗するものの、先生の熱意に触れ、信頼を寄せていくというパターンだ。『3年B組金八先生』(TBS系)や、『ごくせん』(日本テレビ系)、『GTO』(フジテレビ系)などもこの流れをふんでいた。

 そんな中でキーになるのは、「大人らしくない行動」である。周囲の先生が見放した生徒を、あきらめずに信頼し、立ち直らせようとしたり、自分の思いにまかせて無茶な行動をしてみたりといった姿が、生徒たちの気持ちを変えていくのである。

 一般的に言われる“大人”は、自分の感情を抑え、周囲に気を使って生きている。それは仕方のないことだ。無駄な労力を使わず、楽に生きるための知恵だから。ただ、周囲との軋轢を恐れず、後先のことを考えずに、思いのままに行動する、そんな“子どもじみた”部分も、時には必要なのだ。

 GTOの鬼塚も、ごくせんのヤンクミも、金八先生だって、子供じみたところがあった。でも、それでいいのである。ドラマの中とはいえ、結果的に彼らは生徒たちの心を掴んだのだから。

 ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)第3話。今回は、大人と子ども、それぞれの思いが交錯する展開となった。

 東大合格を目指す匡平(横浜流星)の指導法に悩む順子(深田恭子)は、同僚のカリスマ講師・勅使河原(髙橋洋)に相談する。しかし、現実的に合格は無理だということ、そして、万が一合格の可能性があるとしても、そのためには国語と英語を強化しなければならないことを論理的に説明されただけだった。

 国語と英語の重要性を知った順子は、古文の授業に力を入れる。そこには、匡平にアプローチをする女子高生・美香(吉川愛)も同席していた。

 順子に思いを寄せる従兄弟・雅志(永山絢斗)は、社内で「東大出のおぼっちゃん」と揶揄されたことで意地になり、新たなプロジェクトを引き受けてしまう。順子とデートする約束を取りつけていた彼は、時間を作るため、毎日無理をして仕事をこなすことになる。

 順子に比べれば、十分大人のように見える雅志も、どこか子どもじみたことをしてしまうのだ。ムキになって仕事を増やしてしまったり、照れてしまって順子にうまく想いを伝えられなかったり。でも、そんなところが人間的で、魅力があるようにも思える。

 匡平に対し、「普通のやり方では合格は難しい」と感じた順子は、友人・美和(安達祐実)の意見も聞こうと、相談をもちかける。しかし、そこでは「仕事もいいが、婚活も同時にした方がいい。昔からの知り合い男子はどうか」とアドバイスされるのだった。

 その時、店の前を美香が通りかかり合流、自身の過去の恋愛について語り始める。中学の時、家庭教師の男性と付き合ったが、相手に裏切られたことがあったという。そんな思いを吐露した後、彼女は言う。

「大人って、全然大人じゃないんだな」

 彼女の考える“大人”。それは、自分の行動に責任を持ち、逃げずに正面からぶつかっていく人のようなことだろう。でもそれは、“理想の大人”であって、現実の大人は、えてして要領よく問題からすり抜けていってしまうものだ。“大人”という概念は、捉え方次第で、良くも悪くもなってしまう。

 帰り道、順子は偶然、高校の同級生で匡平の担任でもある山下(中村倫也)と出会い、二人で飲みに行くことになる。美和の言った「昔からの知り合い男子」という言葉を思い出した順子は、山下を恋愛の対象と意識し、緊張してしまう。しかし、そこで山下が結婚していたことを知り、激しく落ち込むのだった。一方の山下は順子と会っていたことを、学校で匡平に話す。匡平は二人の関係に嫉妬を感じる。

 勉強に興味を持ってもらえるよう、順子は匡平と美香に、古典や歴史について学べる漫画を渡す。匡平は素直に受け取ったものの、美香はそんな順子に反抗する。

「いい先生ぶって、自分が気持ちいいだけでしょ」

 このセリフからは、美香の順子に対する嫉妬心が見え隠れする。匡平が順子に思いを寄せていることを知って、悔しさを感じているのだろう。匡平にたしなめられた美香は、やけになり、知り合いの男に連絡するが、優しく答えてくれる人はいない。唯一、過去に付き合っていた家庭教師の水野(森田甘路)だけが、下心を持って、明日会ってもいいと言ってきたのだった。

 そんな自分の状況に迷った美香は、塾の教員室を訪ね、思いをぶつける。

「どうやったら自分を好きでいてもらえるのか分からない……」

 自暴自棄になった美香は、そのまま水野と会い、ホテルに入ろうとする。そこに順子が現れ、美香を助けるのだった。「好きになった自分に、もっと責任を持ちなさい」そう言う順子に、美香は少しずつ心を開いていく。

 一方、プロジェクトが佳境に入った雅志は、仕事で荷物を運ばなければならない日、過労により街中で倒れてしまう。偶然通りかかった匡平らに助けられ、順子も駆けつける。なんとしてもやり遂げようとする雅志を見て、順子は、自分が運転して荷物を運ぶことを決意する。

 順子と匡平の助けもあり、無事に荷物を届けることができた。帰り道、休憩している時、雅志はそっと順子を抱きしめ、「好きだ」と告げる。そして、それを匡平に目撃されてしまうのだった……。

 今回は、恋愛のシーンが少なかったが、最後に波乱含みの展開を持ってきた。この時点で、匡平は雅志と山下に嫉妬心を抱いており、雅志もまた匡平に同じような感情を持っている。山下だけが、今のところ冷静に順子と接しているように見える。果たして、彼の“結婚”は、今も続いているのか? そのあたりが今後のカギになるだろう。

 さて、作中で問いかけられた、“本当の大人”とはどういうものなのだろうか。

 配慮しなければならない常識や周囲の目、それでも何かをしたいという自分の思い、それらをバランスよく考え、前に進んでいく人。ある意味、大人的な配慮と子どもじみた感情を両立させている人こそ、本当の意味で大人なのかもしれない。

 今週は、字幕を使うなど、面白い演出も見られた。笑って楽しめる部分と、真剣に人生を考える部分、そして恋愛の要素がバランスよく混ざりあったこのドラマ。大人になってしまった人が見ても、これから大人になる人が見ても、役立つことがふんだんに詰まっている。

(文=プレヤード)

『さすらい温泉 遠藤憲一』つげ義春も通った北温泉旅館 天狗の鼻に弄ばれる山口紗弥加がエロすぎた!

 役者を引退し、さまざまな名湯に派遣され仲居として働く遠藤憲一。そんな「脱・今の生活」を成し得た役者の遠藤憲一改め仲居の中井田健一が、時間が止まったような温泉地を舞台に儚い夢のような物語と、その温泉宿の情報や押し付けがましくなく見せてくれる、ちょっと変な番組『さすらい温泉 遠藤憲一』(テレビ東京系)。

 主に冒頭と終わり部分をフェイクドキュメンタリーとして見せつつも、基本はしっかりと「ドラマ」。第2話はその筋では有名な奥那須・北温泉(栃木県)を「さすらい」ます。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■遠藤憲一の同級生が暴露

 今回は冒頭のドキュメンタリーチックなパートに、遠藤の中学の同級生(現在は社会科教師)が登場。遠藤が歴史や漢字にかなり疎いことなどプライベート情報を暴露する。

 遠藤が大河ドラマに出るたびに、その都度、歴史についてレクチャーしてあげてるのだという。

 この後、奥那須を行く遠藤が、その地の歴史や由来を渋い声で語るのだが、直前の「暴露」のおかげで「知ったかぶり」に見えてしまい、なんだか微笑ましい。基本このドラマでの遠藤は三枚目だ。

 ちなみに遠藤が最初に立ち寄った奥那須の名所・殺生石は「京の都を荒らした九尾の狐がこの地で退治され石になったと言われている」場所だが、この「九尾の狐」は漫画『うしおととら』(小学館)のあのラスボス・白面の者のモチーフ。

 石の周りからは絶えず火山ガスが出ており、いやが上にも温泉気分が盛り上がる。

 

■1,200年前からある温泉

 そして到着したのは奥那須・北温泉旅館。1,200年前に天狗が発見したとされる温泉と、江戸、明治、昭和と増築を重ね、迷路のように伸びた木造建築が得も言われぬ雰囲気を醸し出す秘湯。

 中井田(遠藤)が到着すると、若い女性の仲居・森本千秋(鮎川桃果)が出迎える。第1話と同じく中井田は「健さんと呼んでください」とアピール。

 さらに同じく第1話でも披露された「極上のおもてなしを……(提供します)」という健さん渾身の決めセリフに「こちらです」と、ぶった切るように言葉を被せ、奥へ消えてゆく森本が可愛くもどこか不気味でいい。

 決めセリフの腰を折られ、不安げな健さんの表情もいい。建物の作りだけでなく、精神的にも迷路に入りこんだかのよう。

 巨大な天狗のお面がいくつも壁に飾られた独特すぎる内湯(天狗の湯)に浸かる健さん。

「源泉の湯量が豊富」「鉄分を含んだ単純泉」「子宝の湯」であることなどをさりげなく心の声で教えてくれる。気持ちよさそうな温泉シーンは、やはりこのドラマの主役だ。

 

■官能小説家が似合う山口紗弥加

 そんな浮世離れした宿で今回出会ったのは官能小説家・艶口さやか(山口紗弥加)。部屋にこもって執筆に励むも、筆が進まず編集者にせっつかれている。今回も出会ってすぐ、このマドンナに惹かれる健さん。恋多き仲居。

 妖艶な魅力溢れる艶口だが、実は男性恐怖症で、過去のトラウマから男性の体に触れることができず、それがプレッシャーとなり作品が書けなくなっているという。

 これは旅館の敷地内にある鬼子母神に祀られてる男根を模した彫刻に、艶口が触れないことから発覚したのだが、雑誌(週刊プロレス別冊)の表紙になってる本間朋晃(新日本プロレス)すら触れないくらいだから、かなり重症だ。

 艶口は悩みを打ち明ける前に健さんを混浴に誘い、自身を「荒治療」をしようとしていたのだが、結局健さんに触れることもできず失敗に終わった。映画『座頭市』(1989)での勝新と樋口可南子くらい濃厚な温泉での濡れ場を期待したのだが残念。

 だが「私もう無理だあ」「元から無理だったんだよね。才能ないの気付いてたし」と、はにかむように告白する艶口の姿もとても可愛らしかった。

■天狗姿で夜這いする健さん

 ここで我らが健さんが一肌脱ぐ。毎度恒例、唯一持参した古ぼけた小さなトランクから、なぜか出てくる、その時に必要な「こんなものまで持ってきてたの?」的な衣装が今回も登場。

 深夜、艶口が目を覚ますと布団の上に覆いかぶさっていたのは、いかつい真っ赤な天狗。

 しかもよく見ると天狗の顔はお面でなく、艶口を射抜くように伸びた鼻とぼうぼうの眉毛以外は、健さんの地肌。肌を真っ赤に塗っているのだ。普通にとても怖い。黒光りならぬ赤光りする肌の男が暗い部屋で自分にまたがり、無言で見つめてくるのだ。『水曜日のダウンタウン』(TBS系)でやりそうなドッキリだが、実際は死ぬほど怖いはず。

 ここで、男根のごとく伸びた鼻で艶口の輪郭を焦らすように撫で始めるエロ天狗。さらにその鼻は艶口の桃のごとき2つの膨らみをなぞり、そしてその下の秘境へと這い降りる。

 顎を突き上げ、身悶えしながら吐息を漏らす艶口。そして、散々喘いだあとに「……健さん?」と、ようやく気づく。得体の知れないUMA相手に、あんなに感じていたのが逆に凄い。この時、健さんの本当の「鼻」は固くなっていたのだろうか?

 さらに健さん天狗は「鼻を触って」と真顔で指示。ウイスパーボイスで、とんちんかんなことを言う面白さ。

 しかも隠語ではなく、まんま鼻(作り物)を触ってという意味。上の鼻だが、それでもエロい。だが、それすら触れない艶口を天狗が説き伏せる。

「恐れずに」

「……これでいいの?」

「それでいい!!」

 ど、どれ??

 私の声はもちろん二人には届かない。

 ここで健さん天狗は、官能小説の一節のように今の状況を語れと艶口に指示。

「私はその屹立した天狗の鼻にそっと触れた。逞しく猛々しい天狗に鼻に指を這わせる。今までの恐れは消え、愛おしさすら覚え始めていた……」

 この時「素晴らしい」と喜ぶ天狗の口元が緩み、中から白い歯がずらりと現れるのだが、ものすごく怖かった。

 薄暗い部屋の中で、そこにある何よりも明るく光る歯。艶口の肌より白い生々しい輝き。長く伸びた鼻なんかよりよっぽど怖い。

 絶頂に達したように深い呼吸をした艶口がゆっくり目を開けると、もはや天狗の姿はどこにもなかった。翌日、憑き物が取れたようにすっきりした顔で旅館を後にする艶口。

「今度はゆっくりサービスしてあげるから」と、いたずらに笑う姿は、今までと違っていた。

 

■第2話に感じた、つげ義春的世界

 今回は、前回のお人好しな「寅さん」的雰囲気ではなく、不安定な場所に迷い込んだ「つげ義春」的空気を強く感じた。

 そもそもこの北温泉旅館は、つげのお気に入りで、何度も足を運んだり作品にも登場させたりしている「ゆかりの地」。

 しかも映画『無能の人』(1991)にも登場していた「かんべちゃん」こと神戸浩が、今回謎のキャラで物語内を徘徊しており、これが余計に「つげ」感を増幅していた。

 最近では映画の『テルマエ・ロマエ』(2012)で上戸彩の実家として登場したりして観光客が増えたためか、脱衣所や通路が綺麗になったりして、一部の人からやや残念がられているが、それでも世間から取り残されたような存在感は健在。

 同じテレ東の深夜ドラマ『日本ボロ宿紀行』では味のあるB級宿泊施設を愛情を込めて「ボロ宿」と呼んでいるが、それに通じる愛され方をしている。

 このドラマを見ると温泉に入りたくなるのはもちろんなのだが、入ったかのようなリフレッシュ感も味わえる。

 平日深夜の30分で気軽に味わえる極小旅行として、これからの回も期待したい。
(文=柿田太郎)

『後妻業』第1話。木村佳乃が大竹しのぶと演技で張り合うのは厳しいのでエロスで対抗して欲しい

 木村佳乃主演のドラマ『後妻業』(フジテレビ系)がスタートした。

 原作は直木賞作家である黒川博行の小説『後妻業』。2016年には大竹しのぶ主演の『後妻業の女』というタイトルで映画化もされている。

 多額の資産を持つ高齢者に狙いを定めて「後妻」となり、夫の死後に多額の遺産をゲットすることを目的にした「後妻業」がテーマの本作。

 実際問題、いくら年寄りと結婚したからって、そうそう都合よく死ぬわけじゃないだろうし、「稼業」として成立するのかどうかは分からないが、最近でいうと紀州のドン・ファン事件だったり、平尾昌晃、やしきたかじん、加藤茶などなど、芸能界で栄光&ビッグマネーを手にした大御所が、晩年になって若い姉ちゃんに入れ込んじゃっている例は多数。

 遺産を巡って後妻と子どもたちが大モメというのはワイドショーネタの定番だけに、ドラマとしても注目度の高いテーマだろう。

 

■大竹しのぶの演技とどうしても比べてしまうが……

 ジジイ転がし&殺しの天才・武内小夜子(木村佳乃)は、結婚相談所「ブライダル微祥」を経営する柏木亨(高橋克典)と組んでビッグな資産を持つ高齢者たちをたぶらかし、遺産をゲットしてきた。

 そんな小夜子の新たなターゲットは元・教師の中瀬耕造(泉谷しげる)。

 まんまと後妻の座をゲットした小夜子は、高カロリー&高塩分の食事、無茶な運動で、さっそく不整脈持ちの耕造を殺そうとする。

 計画通り、耕造は発作を起こして倒れてしまうが、報せを受けて駆けつけた娘たち・中瀬朋美(木村多江)、西木尚子(濱田マリ)と大モメに。

 小夜子と再婚したことすら聞かされていなかったことで強い不信感を抱いた朋美は、大学時代の先輩で、元刑事の探偵・本多芳則(伊原剛志)に小夜子の調査を依頼する。

 原作や映画との大きな違いは、木村佳乃演じる武内小夜子がメチャクチャ若いこと。

 原作では69歳設定のところ、ドラマでは45歳。それだけに、財産狙いの結婚だということがより露骨に見える。

 演技面で大竹しのぶと比較するのは酷ではあるが、業の深い女を演じさせた時の、あの迫力と存在感にはなかなか太刀打ちできないところ。

 木村佳乃は映画版の大竹しのぶとはまた別の、かなり誇張した演技で、財産狙いであることを隠そうともしないコント的なキャラクターを作りあげている。

 しかしこんなタイプのキャラ、どこかで見たことあるなと思ったのだが、同じくフジテレビ系のドラマ『コンフィデンスマンJP』における長澤まさみだ。露悪的&軽いノリで犯罪行為を行うあの女詐欺師!

 フジテレビ的に、『コンフィデンスマンJP』が好評だっただけに、似たようなキャラクターを求められたのかもしれないが、逆に長澤との年齢差を考えると……40代の木村佳乃が浮かれたキャラクターを演じているのは見ていて少々キツイものがある。

 大竹しのぶと長澤まさみにはさまれ(?)、なかなか厳しい戦いだが、木村佳乃演じる武内小夜子は、浮かれたハイテンションな詐欺師であるだけではなく、深い闇を抱えていそうな伏線も張られている。

 今後、コント的なだけではない、深みのある演技も見せて欲しい!

■高橋克典のフェロモンでエロ展開を期待

 木村佳乃のキャラクターは賛否両論ありそうだが、周囲を固めるキャスト陣はなかなかいいラインナップだ。

 財産を狙われる泉谷しげるはナイスなもうろくジジイっぷりを発揮しているし、木村佳乃とバディを組む高橋克典は早くもフェロモン全開。

 メインストーリーにどう絡んでくるのかはまだ分からないが、高橋克典のセフレ・三好繭美役として登場した篠田麻里子もエロ~い女を好演していた。

 AKB48卒業後、いまいちパッとしていない篠田麻里子だが、こういう下品な役をやらせるとハマる!

 このドラマ版が映画版と張り合える要素として、やはり「エロス」は重要なポイントだろう。

 木村佳乃と高橋克典のバディは、仕事上のパートナーだけではない、エロ~いいわくがありそうな関係。

 一方、父親の遺産を守る側の木村多江も、事実婚の夫がいるにもかかわらず、学校の先輩である探偵・伊原剛志と過去にいろいろあったっぽい雰囲気をプンプン漂わせている。

 木村多江の事実婚の夫・佐藤司郎(長谷川朝晴)も、建築設計事務所に雇い入れた若い娘(田中道子)と不倫しそうなフラグがビンビンだ。

 初回は、ひとまず各キャラクターと関係性のお披露目といった感じで、ストーリーが転がってくるのはこれから。

 フェロモン・高橋克典を中心としたお色気展開、そして何より木村佳乃・木村多江のW木村の、遺産を巡る昼ドラばりのドロドロなバトルにも期待したいところ。

 ちなみに本作では、地上波での放送とは別に、「GYAO!」独占で『後妻業チェインストーリー』というスピンオフも配信している。「1.5話」「2.5話」といった感じで、地上波での各話の間を埋めるようなストーリーが展開されるようだ。

「後妻業」がテーマだけに、若干上の年代がターゲットになっていそうな本作で、ネットのみの配信なんてやらなくても、とも思うのだが……。

 地上波で普通にドラマを放送しているだけではなかなか厳しい時代、フジテレビ的にもいろいろチャレンジしている最中といったところか。
(文とイラスト=北村ヂン)

『後妻業』第1話。木村佳乃が大竹しのぶと演技で張り合うのは厳しいのでエロスで対抗して欲しい

 木村佳乃主演のドラマ『後妻業』(フジテレビ系)がスタートした。

 原作は直木賞作家である黒川博行の小説『後妻業』。2016年には大竹しのぶ主演の『後妻業の女』というタイトルで映画化もされている。

 多額の資産を持つ高齢者に狙いを定めて「後妻」となり、夫の死後に多額の遺産をゲットすることを目的にした「後妻業」がテーマの本作。

 実際問題、いくら年寄りと結婚したからって、そうそう都合よく死ぬわけじゃないだろうし、「稼業」として成立するのかどうかは分からないが、最近でいうと紀州のドン・ファン事件だったり、平尾昌晃、やしきたかじん、加藤茶などなど、芸能界で栄光&ビッグマネーを手にした大御所が、晩年になって若い姉ちゃんに入れ込んじゃっている例は多数。

 遺産を巡って後妻と子どもたちが大モメというのはワイドショーネタの定番だけに、ドラマとしても注目度の高いテーマだろう。

 

■大竹しのぶの演技とどうしても比べてしまうが……

 ジジイ転がし&殺しの天才・武内小夜子(木村佳乃)は、結婚相談所「ブライダル微祥」を経営する柏木亨(高橋克典)と組んでビッグな資産を持つ高齢者たちをたぶらかし、遺産をゲットしてきた。

 そんな小夜子の新たなターゲットは元・教師の中瀬耕造(泉谷しげる)。

 まんまと後妻の座をゲットした小夜子は、高カロリー&高塩分の食事、無茶な運動で、さっそく不整脈持ちの耕造を殺そうとする。

 計画通り、耕造は発作を起こして倒れてしまうが、報せを受けて駆けつけた娘たち・中瀬朋美(木村多江)、西木尚子(濱田マリ)と大モメに。

 小夜子と再婚したことすら聞かされていなかったことで強い不信感を抱いた朋美は、大学時代の先輩で、元刑事の探偵・本多芳則(伊原剛志)に小夜子の調査を依頼する。

 原作や映画との大きな違いは、木村佳乃演じる武内小夜子がメチャクチャ若いこと。

 原作では69歳設定のところ、ドラマでは45歳。それだけに、財産狙いの結婚だということがより露骨に見える。

 演技面で大竹しのぶと比較するのは酷ではあるが、業の深い女を演じさせた時の、あの迫力と存在感にはなかなか太刀打ちできないところ。

 木村佳乃は映画版の大竹しのぶとはまた別の、かなり誇張した演技で、財産狙いであることを隠そうともしないコント的なキャラクターを作りあげている。

 しかしこんなタイプのキャラ、どこかで見たことあるなと思ったのだが、同じくフジテレビ系のドラマ『コンフィデンスマンJP』における長澤まさみだ。露悪的&軽いノリで犯罪行為を行うあの女詐欺師!

 フジテレビ的に、『コンフィデンスマンJP』が好評だっただけに、似たようなキャラクターを求められたのかもしれないが、逆に長澤との年齢差を考えると……40代の木村佳乃が浮かれたキャラクターを演じているのは見ていて少々キツイものがある。

 大竹しのぶと長澤まさみにはさまれ(?)、なかなか厳しい戦いだが、木村佳乃演じる武内小夜子は、浮かれたハイテンションな詐欺師であるだけではなく、深い闇を抱えていそうな伏線も張られている。

 今後、コント的なだけではない、深みのある演技も見せて欲しい!

■高橋克典のフェロモンでエロ展開を期待

 木村佳乃のキャラクターは賛否両論ありそうだが、周囲を固めるキャスト陣はなかなかいいラインナップだ。

 財産を狙われる泉谷しげるはナイスなもうろくジジイっぷりを発揮しているし、木村佳乃とバディを組む高橋克典は早くもフェロモン全開。

 メインストーリーにどう絡んでくるのかはまだ分からないが、高橋克典のセフレ・三好繭美役として登場した篠田麻里子もエロ~い女を好演していた。

 AKB48卒業後、いまいちパッとしていない篠田麻里子だが、こういう下品な役をやらせるとハマる!

 このドラマ版が映画版と張り合える要素として、やはり「エロス」は重要なポイントだろう。

 木村佳乃と高橋克典のバディは、仕事上のパートナーだけではない、エロ~いいわくがありそうな関係。

 一方、父親の遺産を守る側の木村多江も、事実婚の夫がいるにもかかわらず、学校の先輩である探偵・伊原剛志と過去にいろいろあったっぽい雰囲気をプンプン漂わせている。

 木村多江の事実婚の夫・佐藤司郎(長谷川朝晴)も、建築設計事務所に雇い入れた若い娘(田中道子)と不倫しそうなフラグがビンビンだ。

 初回は、ひとまず各キャラクターと関係性のお披露目といった感じで、ストーリーが転がってくるのはこれから。

 フェロモン・高橋克典を中心としたお色気展開、そして何より木村佳乃・木村多江のW木村の、遺産を巡る昼ドラばりのドロドロなバトルにも期待したいところ。

 ちなみに本作では、地上波での放送とは別に、「GYAO!」独占で『後妻業チェインストーリー』というスピンオフも配信している。「1.5話」「2.5話」といった感じで、地上波での各話の間を埋めるようなストーリーが展開されるようだ。

「後妻業」がテーマだけに、若干上の年代がターゲットになっていそうな本作で、ネットのみの配信なんてやらなくても、とも思うのだが……。

 地上波で普通にドラマを放送しているだけではなかなか厳しい時代、フジテレビ的にもいろいろチャレンジしている最中といったところか。
(文とイラスト=北村ヂン)

錦戸亮主演『トレース』視聴率1ケタに急落も、ドラマ版の“原作愛”が2ケタ復活を可能に!?

(これまでのレビューはこちら

『トレース~科捜研の男~』(フジテレビ系)の第3話が1月21日に放映された。

 まずはそのあらすじから紹介。

 女子児童の遺体が発見され、礼二(錦戸亮)とノンナ(新木優子)は着衣から性的暴行の形跡が無いかを鑑定する。一方、虎丸(船越英一郎)ら刑事達は今回の事件が、過去2件の女子児童殺害と酷似している点から、当時容疑者に浮上した西内智幸(池内万作)をマークする。着衣から性的暴行の形跡は見られなかったものの、礼二とノンナは現場に落ちていた吸い殻についた唾液から容疑者・西内のDNAを検出。犯人断定かと思われたが、礼二は吸い殻に不審な点を見つける。それを皮切りに西内を犯人に仕立てようとする人物の存在が明らかになる。

 ここまでが第3話前半のあらすじ。虎丸の過去や刑事という仕事の痛みを描いた見応えのあるヒューマンドラマ回だった。

 今までの記事ではストーリーを中心に掘り下げたが、今回はまだ触れていない役者陣の演技、そしてこのドラマの原作について迫りたい。

■物語に厚みを加える役者陣の名演技!!

 第3話の見どころと言えば、虎丸が先輩刑事・鶴見(大地康雄)の悲しい過去を語るシーンだろう。

 ネタバレになってしまうが、西内を犯人に仕立てようとしたのは鶴見刑事。過去に女子児童を殺害した疑いが強いものの確証が出ないため平然と暮らす西内を、鶴見は何としても逮捕したかった。その理由は交番勤務時代のミスのせいで女子児童が殺される悲劇を招いたことを悔いていたから。虎丸は鶴見のしたことが許されないとわかりながらも、礼二に「ただ(鶴見の後悔を)知っていてほしかった」と、最後にポツリと言う。

 礼二に泣き言もお願いも言えない不器用な虎丸のその一言に「鶴見を許してあげてほしい」「西内が殺した確証を得るため協力してほしい」という気持ちが込もっていた。そのように感じ取れるほど虎丸役の船越英一郎の芝居は快演だった。第1話の、殺された女性を不憫に思い虎丸が涙を流すシーンもホロっと来る名場面である。

 船越英一郎だけでなく、礼二を演じる錦戸亮も素晴らしい。第2話で、落ち込むノンナに対して「お前はよくやった」と励ます際には、同僚を思いやる優しさと家族を亡くした人間としての憂いが込められていた。また、女優としては若手の新木優子だからこそ、新人研究員・ノンナの戸惑いを過不足なく抽出できている。

 各話の名場面に共通するのは、セリフがシンプルであること。これはメイン3人の役者への信頼があるからなのかもしれない。役者陣もその期待に応え、端的な一言の裏に秘められた登場人物たちの想いを、見事に表現している。

■ドラマ版『トレース』に原作愛はあるのか?

 このドラマの原作は古賀慶氏が「月刊コミックゼノン」(徳間書店)で連載中の『トレース~科捜研法医研究員の追想~』。サブタイトルの違いはさておき、内容に関して言えば共通する点も違う点も見受けられる。

 例えば、ドラマ版の第1話と第3話は原作にある小編を基に膨らませている。一方、第2話はキメラという特異体質が事件の鍵を握る骨子だけ抜き取り、肉付けを大きく変えていた。

 ストーリーラインに関して言えば、今後の展開も含めて原作に沿っている印象だ。しかし、原作とドラマ版の大きな違いがあるとすれば、先ほど絶賛した船越英一郎演じる虎丸刑事のキャラクターだろう。

 ドラマ版では科捜研にパワハラ気味な対応をする定年間際の刑事。仕事で家庭を犠牲にし、妻と息子とは絶縁状態の昭和堅気な男だ。一方、原作の虎丸は、生まれたばかりの子どもを愛し、科捜研に対して割と協力的なスタンス。肩の力も抜けたナイスミドルである。

 虎丸が好きな原作ファンからするとドラマ版の虎丸には納得いかない部分もあるだろう。しかしながら、虎丸を原作とは真逆なキャラにしたことでのメリットは多分にある。

 まず、虎丸を科捜研とって厄介な人間にした事で主人公・礼二に葛藤のラインができる。「刑事の勘だ」と主観で事件を見る虎丸に対して、原作でも頻出する「キモチワルイ」という口癖で反発するとともに、礼二の客観性を大切にする姿勢を色濃く出せている。

 また、前章で名シーンとして挙げた第1話の虎丸が涙を流す場面や、第3話の肝となった家庭を犠牲にした虎丸の後めたさも、ドラマ版の虎丸だからこそ生み出すことができた。

 ここまではドラマ版の改変を擁護する形になったが、原作ファンとしての私が嬉しかったポイントがある。それはメイン3人の被害者をいたわる誠実な姿勢がドラマ版の3人にも受け継がれていることだ。

 原作者である古賀慶氏は科捜研に居たことを明かしている。原作のディテールや登場人物が受ける痛みや悲しみは、研究員としての経験があるからこそ描けるのだろう。

 主人公・礼二が忌み嫌う主観で述べてしまうが、古賀氏は過去の仕事にも今の仕事にも真摯に向き合う誠実な人柄なのではないだろうか? そして古賀氏が生み出したキャラクターの誠実さを抽出できている時点で、映像化サイドの原作へのリスペクトを感じる。

 事件を解決しても喜んで終われない苦さ、そして原作から受け継いだ登場人物のDNAが最終回まで大切にされる事を願っている。

■3話の視聴率は9.6%……2ケタ台復活なるか!?

 今まで内容・役者・原作を賞賛してきたが、ここにきて懸念点が一つ出た。それは、第3話の視聴率が9.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という1ケタ台に落ちてしまったことだ。

 裏で瞬間最高視聴率20%超のサッカー・アジアカップが放映されていたことが大きい。ただ、原作にもあるとはいえ冒頭から女子児童の着衣で性的暴行の有無を調べたのはあまりにも痛ましかった(私ごとながら、2話のノンナみたく晩ご飯を食べられなくなりました)。これは素人意見かもしれないが、前話のおさらい的なシーンを冒頭に入れて各登場人物の想いに触れてからスタートした方が、主人公の目線に乗って見られて、凄惨さが気にならかったかもしれない。

 あともう一つ気になったのが急にメイン3人以外の研究員メンバーの描写が増えたこと。

 視聴時は余計なオカズに思えたが、4話で研究員の一人が容疑者とされるため必要な描写であった。前回の記事と重複してしまうが、無駄のない機能美に優れたドラマに思える。

 1月28日放映予定の第4話が、より多くの人に見られることを、原作ファンとしてもドラマ版のファンとしても期待したい。

(海女デウス)