坂口健太郎『イノセンス』、人気ドラマ『ガリレオ』ばりの“実験”が連続も、解説が難しすぎてつらい!

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 坂口健太郎主演ドラマ『イノセンス~冤罪弁護士~』(日本テレビ系)の第4話が2月9日に放送され、平均視聴率8.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区。以下同)を記録しました。

 前回の9.4%から1.1ポイントの大幅減となってしまった同ドラマ。一体、何がダメだったのか……。

 さあ、今回もあらすじから振り返ってみましょう!

■本当のことを語らない容疑者に疑問を抱く拓

 旅行先の海で後輩の同僚・姫島理沙(入山法子)を殺害した容疑で逮捕されてしまった小笠原奈美(ともさかりえ)を弁護することになった拓(坂口)。遺体には大量の砂が入っていたことで殺人容疑をかけられてしまったが、奈美は全面否認。拓と楓(川口春奈)は冤罪だと主張して弁護することになった。

 奈美と理沙の職場へ聞き込みをすると、奈美を悪く言う人はおらず、2人の仲もよかったとの声ばかり。さらに事件現場に赴くも、証拠となるようなものは出てこず。「動機はない」という事実しか見つけられないまま、裁判に望むこととなってしまった。

 裁判では検事側から「三角関係のもつれから、殺害した」との話が飛び出し、証人として、奈美の上司が出廷。裁判後、拓は奈美から「事件当日、会社を辞めることを理沙に伝え、本音を言うつもりだった。2人の友情の証だったペンダントを海に捨て、理沙もその場に置いてきた」という事件当時の状況を聞きだす。

 なかなか逆転できる証拠を見つけられない中、拓の大学の先輩で科学者の秋保(藤木直人)が事件現場の地形図を見て、ある指摘をするのだが……といった内容でした。

■“実験ばっかり”は「頭を使いすぎて疲れる」

 弁護シーンや調査シーン、トリックなど、そういった部分は別にいうことはなく、毎回よくできているな~と感心するばかり。そういう点は、とてもいい脚本だと思います。(実際にあった事件を参考に作っているためか、リアル感もありますし)

 ですが、毎回実験ばっかりで、見ていて疲れるんですよね(苦笑)。まあ、冤罪にするにはどうしても実験結果が一番なのはわかります。ですが、解説が難しい用語満載のセリフばかりで、ちんぷんかんぷん。子どもや文系、老人は理解するのは難しいかと。これでは、理系を専門としている人だけしかわからないのではないでしょうか。同じ実験で解決するドラマといえば『ガリレオ』(フジテレビ系)がありますが、こちらはもう少し簡単なトリックを使っていたり、湯川先生がいろいろ難しいことを言いますが、ちゃんと相棒の刑事や研究室の助手などが簡単な例えを使って説明をしてくれるから、誰でもわかるといったところで……。

 推測ですが、そういった難しすぎるセリフが視聴率低下に繋がっているのかもしれません。

■ここまで冤罪事件だけだけど……

 冤罪弁護士とのサブタイトルがついているだけあって、このドラマでは冤罪と思われる事件だけを主人公は弁護しています。ですが、「そんなに冤罪になる事件って多いのか?」と正直思ってしまう。要するに、こんなに冤罪事件が多いと警察や検察は冤罪製造所と思われてしまうような……。

 まあ、弁護士がメインですから、警察側や検察側がライバルという描き方になってしまうのは仕方ない。ですが、本格推理ドラマを作ろうとしているならば、冤罪ではないのに冤罪にしてしまったなんて事件を扱う回があってもいいかと思うんです。で、それによって主人公が公平って何なのか悩む、とかね。『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)も、いつも勝つけど、最後に実は……なんてオチがあるから、コメディーとしてもシリアスものとしても楽しめたような気が。

 そういう回があれば、より一層、本格推理ドラマ、弁護士ドラマっぽくなるかと思います。

■川口春菜の一方的なセリフが減った?

 今回一番よかったなと思ったのが、川口春奈演じる楓のギャーギャー感がなくなった部分です!

 というのも、見ていてちゃんと拓のフォローに回るようになり、さらに、セリフも小姑感溢れるおせっかい小言が少なくなっていたんです。これは結構良かった。ネットでも「今回うるさくなくなった」「ちゃんとバディ感があった!」と絶賛コメントが上がっており、好評となった様子で。

 ネットの声が、スタッフに届いたんでしょうか? だとしたら、本当によかった。今後もこの調子で、“相棒の和泉楓”として描いていってほしいですね。

 以上、4話のレビューでした。

 次回は、部活の練習中に生徒が亡くなり、業務上過失致死に問われた教師を弁護するといった内容。実際にこういう部活中の事故は社会問題となっているだけに、注目してみてもらってもいいかも!? 放送を楽しみに待ちましょう!

(どらまっ子KOROちゃん)

高畑充希『メゾン・ド・ポリス』「Lemon」的結末に視聴者涙も、不要な笑いがストーリーの邪魔に!?

 これまで視聴率2ケタを維持していた高畑充希主演『メゾン・ド・ポリス』(TBS系)ですが、8日放送の第5話は、前回から0.6ポイントダウンして9.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、1ケタ台に転落してしまいました。視聴者からは「泣けた」という声もあったようですが、いったい何が原因だったのか……。

 今週もあらすじから振り返っていきたいと思います!

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■『メゾポリ』始まって以来の最も悲しい事件です

 ひより(高畑)と伊達さん(近藤正臣)が元警察犬の飼い犬・バロンの散歩中に出会ったおばあちゃん・金森春子(島かおり)。「人を殺しました」とうつろな顔の春子さんは、認知症を患っていました。連絡を受け迎えにやってきた金森金属工業の社長・丸山(大谷亮介)ら3人の従業員とともに、春子さんは無事家に帰っていくのですが、春子さんの「男の人を階段から……落としました」という発言と、何かを隠しているっぽい丸山らのようすが気になったひよりは、2週間前に起きた金森金属工業と取引のある会社の営業マン・三崎聡(亀田佳明)の死亡事故と何か関係があるのではと、メゾンのおじさんたちに捜査協力を依頼。「チームひよこ」が始動します。

 捜査の結果、丸山ら金森金属工業の従業員たちは元前科者で、更生活動に力を入れていた春子さんの夫でもある先代の社長に雇われてから家族同然に共同生活を送っていることや、春子さんの娘・翔子が、30年前に起きた連続幼女誘拐事件の犠牲者だったことが判明。

 ひよりたちは誘拐事件の犯人である三崎を春子さんが階段から突き落としたのではないかと捜査を進めますが、実際は、納期をめぐって言い合いになった拍子に丸山が三崎を突き落とし、それを隠すために丸山たちは三崎の遺体を歩道橋まで運び、事故死に偽装したというのです。

 今回の事件が“悲しかった”ワケは、はここから。実は、金森金属工業にはもう1人、安達高史(奥田洋平)という従業員がいました。この安達こそが、連続幼女誘拐事件の犯人だったのです。3年前、相変わらず小さい女の子に悪さをはたらく安達を偶然街で見つけた春子さんは、安達を階段から突き落とします。一命を取り留めたものの記憶喪失となった安達を、春子さんは従業員として雇い、記憶が戻ることを待ちながら、復讐するタイミングをずっとうかがっていました。

 しかし、安達の記憶喪失は全くの嘘。同級生だった三崎に金をゆすられていた安達は、三崎を殺害。三崎を階段から突き落とし、事故死に見せかけたのも安達です。

 その一部始終を見ていた春子さんは、娘の復讐のため、娘がされたように、安達を生き埋めにして殺害。春子さんの自白通り、山の中からは安達の遺体が見つかります。丸山たちは春子のしたことに気づき、春子さんをかばうために嘘の証言をしていた——というのが、今回の事件のあらましです。

■「Lemon」的結末

 娘を失ったショックで夫も早くに亡くなり、地獄のような日々を過ごしていた春子さん。でも、安達と暮らすようになってから、「復讐」という希望が見えたそうです。でも、認知症を患ったことで記憶が曖昧になってきてしまった。

「安達が思い出すより先に、私が忘れてしまうかもしれない」

 なんて切ないんでしょう。これまでこのドラマに登場した犯人は、サイコパスだったり、不倫がバレたとか、金をゆすられたからとかなんとかで簡単に人を殺しすぎている感があったのですが、春子さんの境遇からみるに、今回ばかりは思わず同情してしまう犯行動機でした。

 また、ラストで釈放された丸山たちが、警察に捕まったであろう春子さんが震える手で書いた「いっぱいおかわりしてね」という手紙と、鍋いっぱいの作り置きのカレーに、「母さん……」と涙をにじませるシーンは、最低限の説明とセリフの中に、血の繋がらない親子の愛情を感じられるまさに“泣きどころ”だったように思います。

 視聴者たちの中には、「今日のメゾポリLemon案件やろ」「見ていてとてもつらい回でした……最後にLemon流して欲しかった」「WANIMAじゃなくLemonなら泣いてる」と、同局ドラマ『アンナチュラル』の主題歌で大ヒットした米津玄師の「Lemon」が脳内再生される人もいたようす。

 まさに、「夢ならば~ど~れほど~良かったでしょう……」という悲しい事件でした。

 

■春子さんの“体力”に視聴者から総ツッコミ

 そんな“お涙頂戴”的なストーリーに思わず目頭が熱くはなったものの、疑問なのが、「春子さんがたった1人で安達を生き埋めにできたのか?」ということです。視聴者からも、「ちょっと無理あるやろ」「おばあさん1人でできるもんなのかな?」とツッコミが殺到。

 元科捜研の藤堂さん(野口五郎)は前半で、春子さんが歩道橋の上から三崎をつき落としたと推理するひよりに、「春子さんの力じゃ無理」「男性の力が必要」と断言していましたし、調子が悪いときは一人で歩くのもやっとだった春子さんが、安達を襲い、車に乗せ、穴を掘り……と考えると、どうしても無理やり感があるように思えてきます。

 まぁ、春子さんは安達に復讐することだけを楽しみに生きてこられたので、ここぞとばかりの馬鹿力が出たのかもしれませんが、それにしてもお粗末すぎる気が……。 

 コメディ要素が強い本作ですが、一応は刑事ドラマなのに、事件に関する諸々が雑すぎるのってはアリなんでしょうかねぇ。

 

■“コメディ”と“シリアス”のどっちつかずが弊害を生む

 今話には、三崎の遺体発見現場にひよりが寝転んだシーンで、

夏目さん「被害者の気持ちになれるだろ」

ひより「雪平かよ」

 というセリフがありました。この「雪平」とは、『アンフェア』シリーズ(フジテレビ系)で篠原涼子が演じた女刑事のこと。捜査を行う際、死体のあった位置に横たわり、「きらきら星」の鼻歌を歌いながら、被害者が最後に見た風景を見ることが、雪平のルーティーンでした。

 これまでにも、「『ストロベリーナイト』? 竹内結子?」「『沙粧妙子 -最後の事件-』。(浅野)温子のほうです」というセリフが出てきたり、『花より男子』シリーズの小栗旬を思わせる杉岡さん(西田尚美)の「まーっきの!」などなど、さまざまな作品に関するネタが散りばめられてきました。制作側のこだわりが感じられ、見ていて楽しいシーンではあるのですが、“ネタ感”があからさますぎて、今回のような重いストーリーには少々邪魔になっているようにも感じました。

 メタネタ以外にも、悲しい結末を迎えた事件の後に、「スナック完落ち」でひよりが楽しそうに餃子パーティーに参加していたことにはちょっと違和感があったし、手紙とカレーの感動的な余韻をもう少し残してもいいんじゃないかなというのが個人的な感想です。

 シリアスになりすぎない……というのがこの作品の良さだとは思います。でも、悪く言えば、“コメディ”と“シリアス”のどっちつかず。中途半端な構成が、視聴者をモヤモヤっとさせてしまって、それが視聴率ダウンにつながっているような気がしました。

 とはいえ、メゾンのおじさんたちのワチャワチャ感はもっと見ていたいんですけど!

 

■次回は高平回!

 今夜放送の第6話は、みんな大好き(?)小日向文世さん演じる高平さん回! メゾンの中でも一際明るくてムードメーカー的存在なキャラクターだけに、100%コメディに振り切れば、5話とのギャップも生まれるし、楽しいお話になると思うんですが、そんな単純にはいかないんでしょうね……。

(文=どらまっ子TAROちゃん)

もはや新興宗教アタル教の世界!!  野波麻帆が女の悩みを爆発させた『ハケン占い師アタル』第5話

 若手演技派・杉咲花が、占いパワーでサラリーマンたちの悩みをいっきに解決する『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)。高視聴率ドラマ『女王の教室』『家政婦のミタ』(日本テレビ系)などで知られるベテラン脚本家・遊川和彦の筆さばきも快調で、初回から視聴率二ケタを連続キープしています。野波麻帆がメインとなった第5話を振り返ってみましょう。

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 深夜ドラマ版『モテキ』(テレビ東京系)では大根仁監督のアテ書き脚本のお陰で土井亜紀役を好演した野波麻帆ですが、それ以外ではパッと代表作が思い浮かびません。美人だし、演技力もあるのですが、潜在能力を存分に発揮できていない印象があります。そんな野波が演じる田端も、仕事はできるけれど、社内での評価は高くありません。田端たちの勤めるイベント会社に派遣社員として現われたアタル(杉咲花)の占いによって、社内評価の低い女・田端はどう変わるのでしょうか?

 2月14日のオンエアということで、第5話は“バレンタイン”をモチーフに、働く女性たちの悩みが描かれます。いつも残業することなく、定時できっちり退社する田端にとって、仕事に直接関係のない社内の煩わしい人間関係は面倒で仕方ありません。そんなとき、職場の後輩である神田(志田未来)から「どうします、バレンタイン? 男性は喜びますし……」と尋ねられます。「そういうのは止めようと、去年話したよね」と職場の男性社員たちに義理チョコを用意することをきっぱりと拒否する田端でした。

 義理チョコの件に加え、社内の広報誌の取材も受けるよう上司の代々木部長(及川光博)から頼まれ、田端はついつい不満顔になってしまいます。田端がいつもプリプリしているのには理由がありました。田端が高校生のときに母親が病気で亡くなり、それ以来ままならない人生を彼女は歩んできました。父親は勤めていた会社を早期退職し、弟は就活に失敗してニート状態。田端が家計を支え、家事までしなくてはならなかったのです。余計な仕事はやりたくないという気持ちはすごく分かります。

 

■福士蒼汰似のさわやかなイケメン登場!

 そんな田端にとっての唯一の安らぎタイムは、会社帰りに立ち寄るカフェでした。ここのカフェの男性店員(五十嵐健人)は福士蒼汰似のさわやかなイケメンくんです。年下の彼から「お疲れさまです」とカフェラテを渡される瞬間に、癒やしを感じる田端でした。職場や家族の前ではクールな田端にも、乙女チックな一面があったのです。

 イケメンのカフェ店員を心の支えにしていた田端ですが、同じ大学出身の代々木部長から強引に誘われた大学のOB会で溜め込んでいた怒りが爆発します。クライアントの製菓会社の社長もOB会に出席していたのですが、「スタイルがいいんだから、もっと色っぽい服を着たら」など無神経なセクハラ発言を浴びせられたのです。

「いい加減にしろ、どいつもこいつも! いい年齢して、同じ大学出身だからって集まって。仕事に必要なのは学歴じゃなくて、スキルだろ!?」

 田端の主張はもっともなのですが、学閥やら普段の付き合いが幅を利かせる日本のサラリーマン社会では、ヒステリックな女性に見られてしまう不憫な田端でした。

 

■バレンタインなんて反吐が出る

 大学OB会で恥をかかされたと代々木部長はプンプンです。田端本人ではなく、大崎課長(板谷由夏)に文句を言い、バレンタインイベントから田端は外されてしまいます。「バレンタインイベントなんて、反吐が出る」と憎まれ口を叩く田端ですが、残念なことが続きます。イケメンのカフェ店員がこの日限りでバイトを辞めるとのこと。その場に居合わせたアタルから「告白したら、どうですか?」と囁かれる田端ですが、自分の心に正直になれない田端でした。ますますストレスを溜め込んでしまいます。

 あまりに田端がギスギスしていることから、普段は周囲に気を遣うタイプではない体育会系の先輩・上野(小澤征悦)から「なぁ、田端。アタルに占ってもらったらどうだ? お前の悩みを解決してくれるぞ」と声を掛けられます。上野からの意外な言葉でしたが、やはり田端は素直になれません。実は田端がいつも鍵を掛けていたデスクの引き出しの中は、占いや改名などスピリチュアル系の本でいっぱいでした。おかしなセミナーに通ったり、パワースポットも巡ったそうですが、まったくご利益はなかったようです。

「もう疲れた、幸せを探すの……」

 田端が漏らした言葉を聞いたアタルが、やはり鑑定することになります。田端からの質問はひとつだけ。「なんで、私は幸せになれないの?」という切実な悩みでした。

■「世の中は不公平」と思う人を救うアタルの金言

 今回のアタルの回答は、多くの人に当てはまるものでした。アタルは田端の記憶を遡っていきます。田端の人生のターニングポイントは、母親を病気で失った高校時代でした。病弱だった母親を支えるために、田端はしっかりした性格になり、また医者を目指して医学部受験を考えていました。ですが、母親が亡くなったショックで父親は働かなくなり、医学部受験は諦めてしまったのです。以来、田端は恋をする暇もなく、家事と家計をひとりで背負ってきたのでした。

 過去の記憶の世界で、田端は入院中の母親と再会を果たします。母親は高校時代の田端の手を握って「ママは充分幸せよ。自分で選んだ人生だし、好きなものにいっぱい出逢えたもの」と笑顔で語ります。母親は病気になった我が身を嘆くことなく、夫や子どもたちに出逢えたことに感謝していたのでした。自分は恵まれない不幸な人生を歩んでいるとずっと思い込んでいた田端ですが、母親の手の温かさを思い出し、急に背中が軽くなったような感覚を覚えます。

「全部、お母さんが教えてくれてたじゃない。幸せは周りと比べてもしようがない。世の中は不公平なのが当たり前。みんな、平等に不公平なんだよ。自分の運命を呪っても意味がない。幸せは待っているものじゃない、自分で創るものなんだよ」

 アタルはそんな言葉を投げ掛けることで、田端が自分自身に向けていた長年の呪いを解消してみせるのでした。アタルに鑑定してもらった田端がバレンタインのイベント会場に駆け付けると、告白タイムの真っ最中でした。イケメンのカフェ店員に想いを伝えることはできなかった田端ですが、意外なサプライズが会場で待っていました。田端にチョコを渡したいという人物が現われたのです。

 チョコを持って現われたのは、後輩の神田でした。「いつも残業することなく、自分の姿勢を貫く先輩の姿に励まされています」とチョコと共に感謝の気持ちを伝える神田でした。神田からのチョコを受け取らずに走り去った田端ですが、それはきっと号泣してしまいそうで、恥ずかしかったからに違いありません。

 神田たちがイベントを終えて職場に戻ってくると、いつもは定時で退社する田端がホットチョコの差し入れを持って待っていました。「こんな素敵な仕事をしていることに初めて気づいた。私に悪い点があったら言って」という田端。目黒(間宮祥太朗)から「たまには笑ってください」と言われ、半笑い顔を不器用そうに浮かべます。このときの野波麻帆は、サイコーにチャーミングでした。

 

■みんな瞳をキラキラさせ始めたことが逆に不気味……

 アタルの「自分の人生を呪っても意味がない」という言葉をきっかけに、田端はぐんと変わります。またアタルの言葉は、田端だけでなく、田端の父親と弟も救うことになります。田端は母親代わりになることを止めたので、田端に依存しきっていた父親と弟は否応なく自立せざるを得なくなったのです。共依存で共倒れしてしまう前に解決の糸口を見つけることができて、本当によかったなと思います。言葉を操ることを生業としている脚本家・遊川和彦にとっても、会心の回だったのではないでしょうか。

 もはや新興宗教アタル教と呼びたくなる世界です。大崎課長を除く社員全員が、アタルの鑑定を受けてからすっかり別人のようになってしまいました。以前はバラバラだった職場が、みんなお節介好きで、仕事も大好きなポジティブ人間ばかりに変わってしまいました。覇気のなかった品川(志尊淳)も、今では瞳をキラキラと輝かせています。パッと見は明るくなった職場ですが、みんなアタルに心の中を見抜かれ、アタルには頭が上がらない状況とも言えます。

 アタル自身がこの占いパワーが怖くなって、キズナ(若村麻由美)のもとから逃げ出したようです。アタルの派遣先は小さなイベント会社ですが、これがもしテレビ局や政治団体といった社会に影響を与える組織だったらとんでもない事態になってしまうのではないでしょうか。アタルの力を悪用しようとする人物が現われるに違いありません。神田はあまりペラペラとアタルの秘密をしゃべらないほうがいいと思います。

 野波麻帆が働く女性たちの気持ちをすっきりと代弁した第5話の視聴率は、前週と同じく10.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。これで初回の12.1%を皮切りに、5週連続で視聴率二ケタを記録しました。次週の第6話は、いつも会社の上層部と現場との板挟みになっている大崎課長がメインになるようです。またシリーズ後半戦からは、キズナも物語に絡み始めると思われます。みんなの悩みを無償で解決してきたアタルですが、アタルの悩みはいったい誰が解いてくれるのでしょうか。気になるところです。
(文=長野辰次)

『刑事ゼロ』こじつけの嵐で失笑の結末! 『科捜研の女』の箸休め的な作品に?

 沢村一樹が記憶喪失になってしまった刑事役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第6話が14日に放送され、平均視聴率11.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.6ポイントアップとなりました。

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 今回、京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)が捜査することになったのは、進学校として有名な私立中学の校長・須藤公彦(阪田マサノブ)が、雑居ビルの屋上で刺殺された事件。犯人と思われる女(森口瑤子)は、屋上から飛び降り自殺を図り、一命を取り留めたものの事件時の記憶がすっぽり抜け落ちてしまったのです。

 DNAや指紋のデータベースはなく、女の素性はまったく不明。ただ、遺体に突き刺さったナイフには、彼女の指紋がべったり付着していたため、時矢の同僚の福知市郎(寺島進)らはさっさと送検してしまおうと言い出します。

 しかし、自らも記憶喪失になり、その苦しみを知る時矢は、徹底的に捜査したいと直訴。バディを組む新人刑事の佐相智佳(瀧本美織)とともに、本格的な捜査に乗り出します。

 そして、容疑者の女が地理にやたら詳しいことから、タクシードライバーだったのでは? と推測して調査を開始した結果、ケータリングカーの販売員として働いていたことが判明します。そこから住所を調べ向かったところ、部屋の中には須藤の身辺を事細かに調査した資料や、それぞれ名前の違う弁護士や記者名義での名刺が見つかるのでした。

 また、須藤が1年前まで勤めていた全寮制の私立中学校において、母子家庭で育った生徒が投身自殺したことも判明。医師をしているという、『真崎薫』という名前の母親が容疑者の女なのでは? と智佳がタブレットで調べたところ、まったく別人の画像が検索されます。

 しかし、容疑者の女と同じく、その画像の女性の首にも大きなホクロがあることから、時矢は薫が整形したのではないかと推測します。そしてその線で捜査を進めた結果、薫は息子がイジメによって自殺したのではないかと疑い、顔を変えて生徒たちに調査をしたことや、須藤が箝口令を敷いたことによってイジメが隠蔽されたという情報を掴み、強い憎しみを抱いていたことが判明します。

 ところが、街中の防犯カメラの映像などから、須藤と同じ学校に勤務する女教師・関口成美(舞羽美海)が、須藤に脅されて交際を迫られた挙句、刺殺したことが発覚。その情報を聞いた薫の脳裏に、成美が須藤を殺す現場に居合わせたことや、息子の復讐を果たしたい一心で、須藤の腹に突き刺さったナイフの柄を持ち遺体を傷つけた記憶が蘇ったところで、今回は終了となりました。

 今回のケースは、記憶喪失で苦しむ時矢と容疑者とをシンクロさせた展開となったのですが、記憶を失う設定ありきだったためか、終盤はこじつけのオンパレードといった感じがしました。

 何より、薫の行動に疑問点が多かったです。成美が須藤を刺した姿を見て、“先を越された”とばかりにナイフの柄を握りしめるぐらい憎しみが強いのであれば、とっくに刺殺していたんじゃないですかね。それと、この時点で須藤がすでに死んでいたことはどうやって証明できるのでしょうか。もしかしたら、まだ息をしていたかもしれませんよね。それにもかかわらず、すぐさま釈放というのは腑に落ちませんでした。

 また、成美の犯行だったという記憶が蘇った瞬間、「わたしがやりました!」と、薫は時矢に向かって泣き叫んだのですが、このシーンもいまいちピントがずれた感じがして失笑してしまいました。須藤を刺殺した、という行為ではなく、その罪を背負うことが息子の復讐になる、との捻じ曲がった論理に何とも違和感を覚えました。

 そんな短絡的な思考回路の持ち主が、整形して身分を偽り、多くの時間を割いてまで須藤の悪事を徹底的に調査するとは思えません。飛び降り自殺を図ったことについても同じことがいえます。人生を捨てる覚悟をもってまで証拠集めをする執念深い人間が、息子の死の真相を世に示さないまま死のうとしてしまうというのは、行動心理的にちょっと納得がいきませんでした。

 おまけに、成美が須藤からどんな弱みを握られていたのかも明かされず、ただ単に“記憶喪失”というテーマを描きたいがため、リアリティーの無い情報をペタペタとくっつけた結果、いびつな作品になってしまったという感が否めませんでした。

 初回は、登場人物の繋がりが複雑ではあったものの、新たな人気シリーズになるのではないかと期待させる雰囲気があったのですが、回を追うごとにクオリティーが落ちてしまっているような気がしてなりません。

 このドラマは、沢口靖子・主演の人気作『科捜研の女』シリーズに狭まれるカタチで放送されているのですが、このままでは単なる箸休め的な作品として終わってしまいそうです。次回からの巻き返しを期待したいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『家売るオンナの逆襲』北川景子が不倫を推奨!? “ホームとエロス”論に疑問

 北川景子が不動産業界のスーパー営業ウーマンを演じるドラマ『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)の第6話が13日に放送され、平均視聴率11.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.3ポイントダウンとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 前回のラスト、フリーランスの不動産屋・留守堂謙治(松田翔太)が、小学校時代の同級生の“ドジスケ”こと三瓶良雄だと知った三軒家万智(北川)。整形してまで自分のことを想い続けていることを知るのですが、屋代大(仲村トオル)と結婚しているため、愛の告白を退けます。

 しかし、この密会をこっそり覗き見していた屋代は、万智が断ったシーンを見逃してしまったため、「隠れて交際を始めるのでは?」と疑心暗鬼に陥ってしまいます。

 そんな中、万智は、カリスマ美容師の八十多湊人(武田航平)と、その妻で美容院の経営者でもあるつぐみ(内山理名)の新居購入を担当することに。2人は良きビジネスパートナーであり仲も良好なのですが、お互いを束縛したくないと自由恋愛を認め合い、実際に湊人はアパレル店員の尾田まり(筧美和子)と不倫中ということが判明し、万智の部下・庭野聖司(工藤阿須加)は衝撃を受けます。

 その庭野は、万智と留守堂の不倫疑惑を屋代から聞かされると、自身が万智に対して淡い気持ちを抱いていることもあり憤慨。留守堂をバーへ誘い、万智との関係を問いただすのですが、不倫関係を否定された上で、“密かに思う心の自由”を共有する仲だと言われたために意気投合するのでした。

 そして実は、まりの夫・尾田順平(橋爪淳)から、夫婦仲を温めるために密かに新居購入の相談を受けていた留守堂は、まりの不倫や八十多夫妻の特異な関係性を庭野から聞かされたことで、思案顔を浮かべます。

 一方、不倫デートを重ねる湊人とまりは、偶然にもその姿を順平に目撃されてしまい、マンション契約のため湊人が1人でテーコー不動産を訪れた際、順平に怒鳴り込まれる事件が発生してしまうのでした。

 湊人は、まりも自由恋愛を許された身であると思い込んでいたためにショックを受け、つぐみとの関係性も見直そうと、マンション購入を中止に。これをあっさり聞き入れた万智ですが、当然そのまま引き下がるわけもなく、留守堂とタッグを組み、ある秘策を打ち出します。

 その作戦とは、偶然を演出して、つぐみと順平を結び付けてしまおうというもの。紙袋に入ったオレンジをつぐみが坂の上から落としてしまうように仕向け、順平が拾うことで接近させるなどのギャグかと思えるような作戦によって、見事にW不倫の関係を築くことに成功するのでした。

 そして、四角関係となった両夫妻をテーコー不動産に招いた万智は、同じマンションの別室をそれぞれが購入することで、夫婦と恋愛、“ホームとエロス”の関係をほぼタイムラグなしで切り替えることができると提案。「他人の目など屁のカッパ」と不倫関係を推奨することで、留守堂とともに家を売ることに成功します。

 これで一件落着かと思いきや、万智に構ってもらえず寂しさを抱える屋代が、元部下の白洲美加(イモトアヤコ)がパート勤めをするスーパーの店長・三郷楓(真飛聖)と何やら怪しい関係になるのでは……と予感させる展開になったところで今回は終了となりました。

 今回、何より驚いたのは、不倫をほぼ全肯定したストーリーを、スポンサーがよく承諾したな、ということでした。“夫婦は見つめ合って生きていくべき”と主張していた順平も、万智たちが演出したショボい出会いであっさり陥落。坂道でオレンジ転がしたり、絡んできたチンピラから守ることで惚れさせたりって、ホント失笑レベルでした。

 そんなチャレンジングな展開だったものの、視聴者に対して何を訴えたかったのか、テーマがイマイチわかりませんでした。結末から考えれば、新しい夫婦の在り方を提案したかったのかもしれませんが、お互いに不倫を認め合い、同じマンションに住みましょう、という終わり方は、ものすごく安直に思えました。

 もともと、お互いの恋愛を許容していた八十多夫妻側からすればそれもアリなのかもしれませんが、織田夫婦側、特にまりの場合は忍んで会う背徳感を楽しんでいたのではないかと。それを夫公認でとなったら、一気に熱が冷めてしまうのではないかと思うのですが、そのあたりを都合よくスルーしてしまうあたり、登場人物たちをただのコマとしか考えていないのだと感じてしまいました。

 それと、“ホームとエロス”論ですが、同じマンションに住んでいれば結局は不倫もホームの感覚になってしまうのではないでしょうかね。4人のうちの誰かが新たなエロスの関係を他で築いた時、ものすごい修羅場が訪れるような気がしてなりません。離婚することになった時、財産分与で揉めに揉めそうですよね。

 不倫を題材にしたのは恐らく、万智と屋代の夫婦関係の危機を描くためだと思うのですが、屋代の気弱な性格からして危うい展開になる気がしないんですよね。なんとかして視聴者のハラハラ感を煽ろうとしているようですが、屋代は明らかに据え膳食わぬタイプ。「こいつは不倫しないだろ」という安心感しかありません。

 それでもまあ、万智が“仕事と家庭の両立に悩む”姿を描くのが今シリーズの大テーマだと思いますので、次回からどう展開していくのか注目です。
(文=大羽鴨乃)

『家売るオンナの逆襲』北川景子が不倫を推奨!? “ホームとエロス”論に疑問

 北川景子が不動産業界のスーパー営業ウーマンを演じるドラマ『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)の第6話が13日に放送され、平均視聴率11.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.3ポイントダウンとなりました。

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 前回のラスト、フリーランスの不動産屋・留守堂謙治(松田翔太)が、小学校時代の同級生の“ドジスケ”こと三瓶良雄だと知った三軒家万智(北川)。整形してまで自分のことを想い続けていることを知るのですが、屋代大(仲村トオル)と結婚しているため、愛の告白を退けます。

 しかし、この密会をこっそり覗き見していた屋代は、万智が断ったシーンを見逃してしまったため、「隠れて交際を始めるのでは?」と疑心暗鬼に陥ってしまいます。

 そんな中、万智は、カリスマ美容師の八十多湊人(武田航平)と、その妻で美容院の経営者でもあるつぐみ(内山理名)の新居購入を担当することに。2人は良きビジネスパートナーであり仲も良好なのですが、お互いを束縛したくないと自由恋愛を認め合い、実際に湊人はアパレル店員の尾田まり(筧美和子)と不倫中ということが判明し、万智の部下・庭野聖司(工藤阿須加)は衝撃を受けます。

 その庭野は、万智と留守堂の不倫疑惑を屋代から聞かされると、自身が万智に対して淡い気持ちを抱いていることもあり憤慨。留守堂をバーへ誘い、万智との関係を問いただすのですが、不倫関係を否定された上で、“密かに思う心の自由”を共有する仲だと言われたために意気投合するのでした。

 そして実は、まりの夫・尾田順平(橋爪淳)から、夫婦仲を温めるために密かに新居購入の相談を受けていた留守堂は、まりの不倫や八十多夫妻の特異な関係性を庭野から聞かされたことで、思案顔を浮かべます。

 一方、不倫デートを重ねる湊人とまりは、偶然にもその姿を順平に目撃されてしまい、マンション契約のため湊人が1人でテーコー不動産を訪れた際、順平に怒鳴り込まれる事件が発生してしまうのでした。

 湊人は、まりも自由恋愛を許された身であると思い込んでいたためにショックを受け、つぐみとの関係性も見直そうと、マンション購入を中止に。これをあっさり聞き入れた万智ですが、当然そのまま引き下がるわけもなく、留守堂とタッグを組み、ある秘策を打ち出します。

 その作戦とは、偶然を演出して、つぐみと順平を結び付けてしまおうというもの。紙袋に入ったオレンジをつぐみが坂の上から落としてしまうように仕向け、順平が拾うことで接近させるなどのギャグかと思えるような作戦によって、見事にW不倫の関係を築くことに成功するのでした。

 そして、四角関係となった両夫妻をテーコー不動産に招いた万智は、同じマンションの別室をそれぞれが購入することで、夫婦と恋愛、“ホームとエロス”の関係をほぼタイムラグなしで切り替えることができると提案。「他人の目など屁のカッパ」と不倫関係を推奨することで、留守堂とともに家を売ることに成功します。

 これで一件落着かと思いきや、万智に構ってもらえず寂しさを抱える屋代が、元部下の白洲美加(イモトアヤコ)がパート勤めをするスーパーの店長・三郷楓(真飛聖)と何やら怪しい関係になるのでは……と予感させる展開になったところで今回は終了となりました。

 今回、何より驚いたのは、不倫をほぼ全肯定したストーリーを、スポンサーがよく承諾したな、ということでした。“夫婦は見つめ合って生きていくべき”と主張していた順平も、万智たちが演出したショボい出会いであっさり陥落。坂道でオレンジ転がしたり、絡んできたチンピラから守ることで惚れさせたりって、ホント失笑レベルでした。

 そんなチャレンジングな展開だったものの、視聴者に対して何を訴えたかったのか、テーマがイマイチわかりませんでした。結末から考えれば、新しい夫婦の在り方を提案したかったのかもしれませんが、お互いに不倫を認め合い、同じマンションに住みましょう、という終わり方は、ものすごく安直に思えました。

 もともと、お互いの恋愛を許容していた八十多夫妻側からすればそれもアリなのかもしれませんが、織田夫婦側、特にまりの場合は忍んで会う背徳感を楽しんでいたのではないかと。それを夫公認でとなったら、一気に熱が冷めてしまうのではないかと思うのですが、そのあたりを都合よくスルーしてしまうあたり、登場人物たちをただのコマとしか考えていないのだと感じてしまいました。

 それと、“ホームとエロス”論ですが、同じマンションに住んでいれば結局は不倫もホームの感覚になってしまうのではないでしょうかね。4人のうちの誰かが新たなエロスの関係を他で築いた時、ものすごい修羅場が訪れるような気がしてなりません。離婚することになった時、財産分与で揉めに揉めそうですよね。

 不倫を題材にしたのは恐らく、万智と屋代の夫婦関係の危機を描くためだと思うのですが、屋代の気弱な性格からして危うい展開になる気がしないんですよね。なんとかして視聴者のハラハラ感を煽ろうとしているようですが、屋代は明らかに据え膳食わぬタイプ。「こいつは不倫しないだろ」という安心感しかありません。

 それでもまあ、万智が“仕事と家庭の両立に悩む”姿を描くのが今シリーズの大テーマだと思いますので、次回からどう展開していくのか注目です。
(文=大羽鴨乃)

竹内結子『QUEEN』第5話が、あんまり不快じゃなかった件……それでも全然面白くないけど

 過去4回にわたって「とにかく不快である」と酷評を書き並べてきた竹内結子主演の『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)も第5話を迎えました。まだ見てます。視聴率は7.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、相変わらず低空飛行です。

 さて、5話目にしてこのドラマは、だいぶ趣を変えてきました。前回までは、とにかくネット世論に迎合して悪態をつきまくることだけにご執心だったようですが、ようやく「作劇しよう」という意思を感じられたのが今回。あんまり不快じゃなかったので、まあよかったんじゃないでしょうか。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■突然の叙述トリック投入

 危機管理のスペシャリストである氷見弁護士(竹内)のところに仕事を持ち込んだのは、“主婦のオピニオンリーダー”としてテレビに出まくっている木村さん(遠野なぎこ)。夫の経済評論家・中山さん(デビット伊東)はかつてお茶の間の支持を集める人気者でしたが、最近は夫婦の仕事量が逆転し、すっかり落ち目だそうです。

 そんな妻・木村さんが夫・中山さんからDVを受けているので、離婚したいとのこと。その後、なんやかんやあってDV被害がウソで、木村さんの不倫がスッパ抜かれて離婚が成立。一見落着と思いきや、離婚スクープはすべて氷見さんによって仕組まれた、夫婦の関係修復のための策略だったというあたりが叙述トリック的に種明かしされました。

 相変わらずネットの炎上書き込みを「世論のすべて」として扱っていたり、その世論を思うままにコントロールすることに快感を覚えているように見える竹内結子の姿は不快ではあるんですが、これまでのような特定のマイノリティに対する攻撃性・暴力性はだいぶ弱まっています。

 もしかしたら、最初からこれがやりたかったのかな、と感じるんです。時事ネタをトレースした舞台設定の中で、頭の切れる弁護士・竹内結子が、誰にも思い浮かばないような大胆な作戦を立案し、誰も傷つかない結末を導く。その爽快感と、コンゲーム的な知略の妙を楽しむ作品を目指していたのかもしれない。

 そう考えると、ああ、だとすればこれは上手くやれば面白くなるかもしれない。そう思えた回でした。

■面白くはなかったけど

 ドラマが本来やりたかったことが見えてくると、がぜん安心します。4話までは、本当に人を傷つけることだけが目的で作っているんじゃないかと思えて超ムカついていましたが、シナリオを詰める時間がなかったのかもしれないし、単にヘタだっただけかもしれない。ヘタであることは視聴者にとって害にはなりませんから、今回も面白くはなかったけど、責める気にはなりません。このエピソードで遠野なぎことデビット伊東というキャスティングにも皮肉を通り越した悪意を見ますが、まあシャレの調整度合いがヘタなんだろうと思えば腹も立たないもので。それでも、妻が夫のために仕事を棄て、人格破綻者というレッテルを貼られながら生涯尽くすことがハッピーなエンドとして演出されるあたりは辟易としますが。

 脚本のクレジットは今回も倉光泰子さんと三浦駿斗さんの連名でしたが、おそらく2人より上の立場からの強烈なディレクションが入っていることが想像されます。ネットで炎上した時事ネタをモチーフにして、こういう人物でお話を作りなさい。そうしてキャラと基本設定だけ渡されて強引に辻褄を合わせる作業を強いられた脚本家が、1~4話は「どうにもならなかった」けど、5話は「なんとかなった」のかもしれない。そんな風に見えるのです。

 それが偶然の産物なのか、あるいは脚本家の意地なのか。今夜放送の第6話以降を待ちたいと思います。見続けるのが本当につらかったドラマですが、とりあえず見どころができてホッとしているというのが私の本音でございます。はい。おつかれさまでした。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

竹内結子『QUEEN』第5話が、あんまり不快じゃなかった件……それでも全然面白くないけど

 過去4回にわたって「とにかく不快である」と酷評を書き並べてきた竹内結子主演の『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)も第5話を迎えました。まだ見てます。視聴率は7.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、相変わらず低空飛行です。

 さて、5話目にしてこのドラマは、だいぶ趣を変えてきました。前回までは、とにかくネット世論に迎合して悪態をつきまくることだけにご執心だったようですが、ようやく「作劇しよう」という意思を感じられたのが今回。あんまり不快じゃなかったので、まあよかったんじゃないでしょうか。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■突然の叙述トリック投入

 危機管理のスペシャリストである氷見弁護士(竹内)のところに仕事を持ち込んだのは、“主婦のオピニオンリーダー”としてテレビに出まくっている木村さん(遠野なぎこ)。夫の経済評論家・中山さん(デビット伊東)はかつてお茶の間の支持を集める人気者でしたが、最近は夫婦の仕事量が逆転し、すっかり落ち目だそうです。

 そんな妻・木村さんが夫・中山さんからDVを受けているので、離婚したいとのこと。その後、なんやかんやあってDV被害がウソで、木村さんの不倫がスッパ抜かれて離婚が成立。一見落着と思いきや、離婚スクープはすべて氷見さんによって仕組まれた、夫婦の関係修復のための策略だったというあたりが叙述トリック的に種明かしされました。

 相変わらずネットの炎上書き込みを「世論のすべて」として扱っていたり、その世論を思うままにコントロールすることに快感を覚えているように見える竹内結子の姿は不快ではあるんですが、これまでのような特定のマイノリティに対する攻撃性・暴力性はだいぶ弱まっています。

 もしかしたら、最初からこれがやりたかったのかな、と感じるんです。時事ネタをトレースした舞台設定の中で、頭の切れる弁護士・竹内結子が、誰にも思い浮かばないような大胆な作戦を立案し、誰も傷つかない結末を導く。その爽快感と、コンゲーム的な知略の妙を楽しむ作品を目指していたのかもしれない。

 そう考えると、ああ、だとすればこれは上手くやれば面白くなるかもしれない。そう思えた回でした。

■面白くはなかったけど

 ドラマが本来やりたかったことが見えてくると、がぜん安心します。4話までは、本当に人を傷つけることだけが目的で作っているんじゃないかと思えて超ムカついていましたが、シナリオを詰める時間がなかったのかもしれないし、単にヘタだっただけかもしれない。ヘタであることは視聴者にとって害にはなりませんから、今回も面白くはなかったけど、責める気にはなりません。このエピソードで遠野なぎことデビット伊東というキャスティングにも皮肉を通り越した悪意を見ますが、まあシャレの調整度合いがヘタなんだろうと思えば腹も立たないもので。それでも、妻が夫のために仕事を棄て、人格破綻者というレッテルを貼られながら生涯尽くすことがハッピーなエンドとして演出されるあたりは辟易としますが。

 脚本のクレジットは今回も倉光泰子さんと三浦駿斗さんの連名でしたが、おそらく2人より上の立場からの強烈なディレクションが入っていることが想像されます。ネットで炎上した時事ネタをモチーフにして、こういう人物でお話を作りなさい。そうしてキャラと基本設定だけ渡されて強引に辻褄を合わせる作業を強いられた脚本家が、1~4話は「どうにもならなかった」けど、5話は「なんとかなった」のかもしれない。そんな風に見えるのです。

 それが偶然の産物なのか、あるいは脚本家の意地なのか。今夜放送の第6話以降を待ちたいと思います。見続けるのが本当につらかったドラマですが、とりあえず見どころができてホッとしているというのが私の本音でございます。はい。おつかれさまでした。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

元気の連鎖が生み出す幸せな関係――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第5話

(前回までのレビューはこちらから) 

 愛にはいろいろな種類がある。

 男女の情愛、親子愛、師弟愛など、「相手を思い、慈しむ」という点では共通しているが、それぞれに微妙な感情の違いが出てくる。

 ただし、それが、どの愛なのか明確にするのは難しい。なぜなら、多くの場合、一つの感情だけではなく、複数の思いが複雑に絡まっているからだ。

 時として人は、その愛がどのような種類のものなのか、理解しきれずに悩んでしまったりする。ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)第5話。登場する人たちはみな、そんな思いに振り回されているようだった。

 塾の強化合宿中、インフルエンザになってしまった順子(深田恭子)と匡平(横浜流星)。隔離された部屋で寝ていた二人だったが、それを知った従兄弟の雅志(永山絢斗)は、その部屋で一緒に寝て、インフルエンザを移されてしまう。

 もちろん、雅志の行動は、順子と匡平の仲を心配してのことだが、相変わらず無自覚な順子は、そんな雅志を「父性本能によるもの」と思い込む。そして、合宿中に見られた、匡平からのアクションも、全て「師弟愛」によるものだと考えているのだ。

 ここで、「いやいや、匡平の思いは完全に恋愛感情だろ!」とツッコミを入れることは簡単である。ただ、ちょっと考えてみてほしい。彼の中には、本当に恋愛感情しかないのだろうか?

 女性としての順子に魅力を感じていることは確かだろう、しかし、いざとなった時に自分を守り、悠然と意見を言う姿に、「人間愛」のようなものも感じてはいないだろうか。そして、順子の思っている「師弟愛」だって感じているはずである。それは、自分に生き方を教えてくれた人に感じる、自然な感情だから。

 つまり、匡平の順子への思いは、それらの複雑な感情が絡み合ってできている。そして多分、匡平自身も、その気持の整理ができていないのだ。

 今回、もう一つキーになっているのは「元気が出る」という言葉だ。

 学校の図書室で勉強中、スマホで順子の写真を見る匡平。その姿を見た担任の山下(中村倫也)に問われると、「元気が出るんです」と答える。

「好きなんです」でも「ずっと見ていたいんです」でもない。しかし、それは、どんな言葉よりも強く、彼の気持ちを表しているように思える。

 塾では、現代文の教習が行われていた。文章を読んで、作者の意図を答えるという問題。順子は、「自分の主観はなくし、相手の気持を先入観なく理解しなければならない」と教える。このシーンは非常に面白いところだ。なぜなら、周りの人の自分に対する思いを一番理解できていないのは、他ならぬ順子なのだから。

 模試に向けて、数学の強化が必須だと考えた順子は、雅志に指導を仰ぐことにした。雅志がアドバイスしたこと、それは、「徹夜はしない」「テスト時間に合わせ、朝方生活をする」「数学はスケッチブックを使う」ということだった。

 雅志の家からの帰り、匡平とともに自宅に寄った順子は、母親(檀ふみ)と遭遇する。匡平を見た母は、「あんな子が簡単に東大に受かるわけない」と言う。それに対し、順子は「私の生徒を否定することは許さない!」と強く言い返したのだった。自分が責められたときよりも、はっきりと感情をぶつける順子。そんな姿に母親も戸惑う。

 母親との関係がこじれた順子を心配し、匡平は電話をかける。そして言うのだ。「元気?」

 順子は答える。「今元気になった」

 匡平の言葉によって、順子が励まされ、順子の言葉によって匡平はまた励まされる。相手を思いやった上で、励ましが連鎖となり、元気もまた連鎖する。実に美しい姿だ。愛の作用というのは、実はこういうことではないかと思う。

 一方、山下は妻との離婚を決断し、バツイチとなった。離婚届を提出したことを伝え、相手を案じる山下に、妻から届いた返信は「ここ数年で一番元気なくらいです」というもの。ここでもまた、「元気」という言葉が使われる。彼と別れて自由になり、そして元気になる。愛情がなくなっていることを示すものだろう。

 順子と飲みに行った山下は、そこで離婚したことを告げる。順子は「無理して笑わなくていいよ」と言って、杯を重ねるのだった。酔いつぶれて、帰途についた二人は、順子の部屋までたどり着き、そこで寝入ってしまう。

 翌朝、目覚めた順子は、驚いて、一緒に寝ていた山下のことを布団とテープでぐるぐる巻きにしてしまうのだ。

 落ち着いた二人は、家を出て向かい合う。その様子を、訪ねてきた匡平に見られてしまう。匡平は、自分に合わせて早起きをしているという順子を思い、毎朝彼女の家の前に来ていたのだ。山下に、匡平の気持ちについて諭された順子は、今までの出来事を振り返り、自分がこれまで匡平の思いを弄んでいたような行動をとっていたことに気づき、頭を抱えるのだった。

 今回は、山下が順子にぐるぐる巻きにされているというシーンから始まり、その「タネ明かし」をするような構成で物語が進んでいった。毎回、何かしらのギミックを入れてくるところに、制作側の工夫が感じられる。

 そして、その工夫は、深田恭子の魅力をどう引き出すか、という点にも置かれている。今回で言えば、順子が林修のキャラを真似て「今でしょ!」というシーンや、ラストの、今まで匡平にしてきたことを思い出し、「私、全部0点じゃーん!」と叫ぶシーンなど。彼女のコメディエンヌとしてのキャラを存分に引き立てている。

 来週以降、三人のバトルは激しさを増し、順子も身の振り方を考えざるをえなくなるだろう。巧みな構成によって、深田恭子自身の魅力をどう引き出してくれるかも含め、期待していきたい。

(文=プレヤード)

『さすらい温泉 遠藤憲一』しずちゃんの代打で漫才披露! 天津・木村が相方役を好演

 遠藤憲一が俳優を引退する決意で、派遣の仲居として各地の温泉で働いている。そんな設定のちょっとだけドキュメンタリー風味なドラマ『さすらい温泉 遠藤憲一』(テレビ東京系)。

 第4話となる今回は、南海キャンディーズ・しずちゃんと天津・木村の「新コンビ」が登場、我らが遠藤「健さん」も漫才を披露してくれました。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■愛犬家・遠藤憲一

 今回も遠藤の30年来の友人(伊藤さん)のインタビューからスタート。「彼(遠藤)の本性に迫るべく」敢行してるインタビューらしいのだが、今回はずっと遠藤の飼っていたマルチーズの話。「引退」や「俳優」からどんどん遠ざかってゆく話題。

 後ほど温泉宿で卓球に興じる遠藤に、この亡くなった犬の話題を振ると明らかに動揺し始め、何かを振り切るように力み過ぎのスマッシュを鬼の形相で連発。

 引退の真相はいまだ謎だが、とりあえず彼がかなりの愛犬家だということだけはわかった。

 

■『千と千尋』のモデルとウワサの旅館

 今回、遠藤改め中井田健一(派遣中居業の時の名前)、通称・健さんが訪れたのは、長野県の渋温泉。

「厄除巡浴九湯めぐり」という9つの外湯巡りが人気の歴史ある温泉。奈良時代に発見され、戦国の世には、前回の山梨・下部温泉と同じく武田信玄の隠し湯になっていたという。

 健さんが今回働く宿・金具屋は、あの『千と千尋の神隠し』の舞台の参考になっているとの説もある見事な木造4階建て。

 変わった名前だと思ったらどうやら元が鍛冶屋で、温泉が出たため鞍替えしたということらしい。

 3つの名物風呂と並んでこの宿の売りは、登録有形文化財に指定されている130畳の大広間・飛天の間。昔は芝居小屋としても使われていたというこの舞台に地方営業として出演するため、ある芸人がやってくる。

 いまいち芽の出ない漫才コンビ・ワンワンパニックだ。

 遠藤のペットのインタビューからの流れから考えると、実に悪意のあるネーミングである。

 ちなみにファミコンカセット『オバケのQ太郎 ワンワンパニック』から取ったのかは、明らかにされなかった。

 

■ギスギスするお笑いコンビ

 しずちゃん演じる石原聡美は、舞台以外でも芸人らしく笑いを取ろうといじってくる相方のヒロト(天津・木村卓寛)に嫌気が差しており、支配人や健さんらの前でも、その不快感を隠そうとしない。

「こいつね、こんなブサイクな顔してますけど石原聡美って名前なんですよ? 聡明で美しいって書く……って、どこがやねん!」

「……(無視)」

 売れる気満々のヒロトに対し、役割を放棄し、無言を貫く聡美のギクシャクぶりが見るに耐えない。周囲が気を使うパターン。

 ヒロトは隙あらば売れようと「種」を巻き続けるタイプ。

 そしておそらく聡美は少なくとも舞台以外では割り切って「芸」を見せようとしないタイプ。

 どちらも間違いではないのだろうが、現時点では聡美の不満が燻って着火しかけてるのがわかる。

 さらに聡美には溺愛する男がおり、芸人を辞めて男と一緒になるつもりだという。

 結論から言うと、この彼氏は聡美を金ヅルとして利用していただけなのだが、電話で男に金を無心されてる姿を見てしまった健さんは、いきなり聡美に金を握らせる(おそらく1~2万円)。介入するスピードが光のように速い。

 営業のステージをすっぽかし、こっそり帰ろうとする聡美を待ち伏せし、バカを装って外湯めぐりに連れ出す健さん。聞き上手の健さんに心を開く聡美。

 いつも思うのだが、健さんはこういうとき、仲居の仕事を完全に放棄している。

 この日も夕方まで8つもの外湯を一緒に巡っており、やりたい放題。うらやましい。

 しかし、結局男の元へと去った聡美の代わりにヒロトと営業の舞台に立つ健さん。

■今回、四次元トランクから出てきたものは?

 なんでも出てくる健さんの「四次元トランク」から、今回は聡美と全く同じ舞台衣装(髪留めや蝶ネクタイまで)が。

 あらかじめ用意していたわけがあるはずないのだが、それでも出てくる。この番組唯一のファンタジー要素。

 今回は目的の服を探しているとき、トランクの中からテディベアらしきものや草鞋らしきものが飛び出しており、この「関係ない余計なもの」を見つけるのも楽しい。

 

■健さんの初漫才

 女装して漫才を行う健さん。

 関係ない枕からの「あーー結婚したい!」「突然やな!」。ネタへの入り方がよくある導入で笑ってしまった。

 細かくは省くが、この漫才シーンはしっかりネタ合わせして、舞台さながらに「ネタ」として披露したのだろう。

 荒いながらも新鮮なグルーブ感が出ていた。

 そして、イマイチ受けなくなってきた後半、帰ったはずの聡美が戻ってくる。

 男を振って吹っ切れたからなのか、健さんとの話で初心を思い出したからなのか、前のめりで大爆笑をとる聡美。

 だが、舞台を降りると恩人の健さんの姿はどこにもない。

「貴女の夢の足かせになっちゃいけない」と、聡美の「想い」が膨らむ前に身を引いたのだ。

 惚れさすだけ惚れさせて、置いていなくなる、西部劇のような美学。

 宿から出てきた聡美が大声で叫んだ「健さーーーん!」の声が「シェーーーン、カムバーーク!」みたいに聞こえた。

 仕事の途中で挨拶もなく派遣先からいなくなることになるが、そんなことはどうでもいいのだ。渡り鳥のように健さんは次の温泉に向かう。社会人失格なその気まぐれっぷりは、まさに「さすらい」。

 

■天津・木村の巧さ

 2006年に公開された映画『フラガール』以降、役者としても評価されているしずちゃんももちろんよかったが、天津・木村の「いかにもいそうな関西の若手漫才師のツッコミ」役もとてもよかった。

 相方との開きかけた距離を感じながらも、マネジャーもついてこない現場でマネジャー的な仕事もこなしつつ、割り切ったかのように相方の分まで腐らず周りに媚を売る。

 出番は決して多くないのだが、メインの邪魔をしない存在感で、的確に芝居を締めた。

 終わった後、爆笑だったことを支配人に褒められているときの、喜びながらも心の底からは喜んでいない、どこか醒めているような半・作り笑顔は、おそらく普段からしているのだろう、なんとも言えない味わいがあった。

 境目が薄れつつあるこのご時世、こんな分類に意味はないのかもしれないが、それでもコント師以上に漫才師は普段から素の部分まで微妙に「演じて」いるのだろう。そんな風に知ったかぶりたくなるくらい、自然な芝居だった。

 そして、ドラマ『火花』のときの井下好井・好井、とろサーモン・村田もそうだったが、ネタ中、片方が「本職」だと急造のコンビでもネタが締まる。

 面白い面白くない以前の、漫才として成り立ってる空気を作り出せるのが、プロならではの技術だ。

 今回の木村も、同じプロであるしずちゃん相手のときはともかく、「素人」である遠藤を、さりげなくフォロー、誘導しながら漫才として成り立たせていた。

 ただ台本のネタをやるだけでなく、観客へ見やすく橋渡しをし、呼吸をするように見所を整えながら、自然に話してるように話を運ぶのは、場数や経験がものをいうはずだ。

 木村が隙間を埋めたり諸々を担ってくれたので、急造のコンビの割に遠藤もやりやすかったのではないだろうか。

 途中から(演出的に)、意味なくエロ詩吟をやらされてしまうのでは? と、勝手にハラハラしながら見ていたが、そんな野暮なこともさせられることなく、無事役目を全うしていたのでよかったです。

 やってても、それはそれで見たかったけど。

 さて次回は法師温泉。オープニングでも使われてるあの名湯が登場。見ましょう。
(文=柿田太郎)