竹内結子『QUEEN』から感じる「若い男にホレるババアは惨めだ」という強烈なメッセージ

 さて、当代きっての不愉快ドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)も第6話。視聴率は6.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、低調が続いています。

 前回の第5話から、ようやくやりたいことが見えてきた感のある同作ですが、うーん、やっぱりおもしろくないです。いや、今回も大筋の大筋ではすごくいい話。悲しいし、希望もある。多少の粗があっても細かいところに目をつぶれば楽しめると思うんだけど、その粗がでかいのよ……。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■今回の時事ネタはパワハラでした

 ご老人の女流売れっ子作家が女性秘書3人に灰皿を投げつけるなど、パワハラ行動をしている場面からスタート。作家はどうやら、若く美しい男の秘書にメロメロなようです。

 何話か前にも国生さゆりが若く美しい男に骨抜きにされるシーンがありましたが、このドラマは「年老いた女が若い男にホレる」というシチュエーションを、とことん惨めな行動として描きます。制作側の上の方の女の人に、よっぽど何かあるんだろうけど、その歪んだ価値観がダダ漏れなんです。「若い男にホレるババアは惨めだ」というメッセージは、おそらく「私はババアだが若い男には翻弄されない」という決意表明なんだろうけど、そんなのは見る側には関係ないですからね。見苦しいだけです。

 ついでにアラサー女性がハワイに一人旅することも軽くバカにしておいて、さあ第6話も不快に始まりました。要するに「軽妙」をはき違えてるんです。このドラマ、「キャラクター監修」という見慣れない役職でバカリズムがクレジットされてるんですが、世の女性たちから大いに不評を買った彼の女装ネタ「女子と女子」を、達者な女優さんたちが地で演じてしまっている感じ。あのネタはバカリズムの美しくない顔芸も込みで面白いわけで、美しい竹内結子や斉藤由貴がやったら、どうにも受け入れ難い設定なんです。そのへんも、制作側の上の方の女の人が醸し出す雰囲気が見えるのよね。「私はバカリズムのウイットを理解できる女だわよ」みたいな主張を感じる。実に見苦しい。

 だいたいからして、全編から敵対心というか「成敗してやろう」みたいなマウント意識が竹内ら弁護士チームの行動原理になっているし、クライアントに世間の同情が集まることをもって「任務成功」とされても、知らんがなという話なんです。問題解決の手段のひとつとしてメディアを使った世論操作があってもいいと思うけど、それが目的になっちゃうと共感できないんです。「そんなくだらないことでカネもらってんの?」となってしまう。

 ほかにもあります。今回も明確にパワハラが行われるシーンがあったにもかかわらず、「被害者側に非がある」という理不尽な描写がありました。灰皿を投げつけられた3人の女性秘書は、長きにわたって作家に尽くしてきたはずなのに、いつの間にか「遺産狙いの薄汚い狸ババア」扱いされてドラマから叩き出されてしまう。代わりに、「遺産狙いのホスト上がりのクソ野郎」として扱ってきた若い男を「才能ある若手流行作家」に仕立て上げる。若い男の才能や未来といった美しさを描こうとしても、その内実を作るのが面倒だから、周囲の人物を必要以上に汚していく。そして、汚されていくのは、いつも女性ばかり。

 老若にかかわらず、竹内結子と水川あさみに成敗されるのは、いつも女性なんです。画面から「美人が気に食わない」「自立した女が気に食わない」「すぐ泣く女はもっと気に食わない」というメッセージがビンビンに伝わってくる。4話まででちょっとやりすぎたと思ったのか、5話からは女性を救うようなポーズを取ってみたけど、結局5話の遠野なぎこからは仕事を取り上げ、再起不能の状態に陥れることで大団円のような顔をしていたし、今回の6話では真野響子を、がんで殺してしまいました。どうしても女性に救済や平穏を与えたくないというドラマの強い意思を感じます。さらに気味が悪いのは、それでも表面上は「女性を救った」という顔をしていることです。

■時事ネタならまだしも

 前回まで、時事ネタを雑に扱っているのが嫌だという話もしていましたが、今回は時事ネタ要素薄めで、人の才能や故人の遺志、あるいは誇りや信頼といった普遍的なテーマが語られました。人の才能や故人の遺志、あるいは誇りや信頼といった普遍的なテーマが、これまで同様に雑に扱われたのです。これはもう時事ネタとは比較にならないくらい不快でした。

 今夜放送の第7話は「マタハラ」だって。もう見るのが怖いよ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

『さすらい温泉』故・佐々木すみ江の最期の仕事に……『花男』『ふぞろい』にも負けない仕事ぶりが光る

 遠藤憲一が役者を引退する決意で温泉宿の仲居になり、そこで出会った人々のために一肌脱ぐ。そんなパラレルワールドを見せてくれるドキュメンタリー風の人情温泉ドラマ『さすらい温泉 遠藤憲一』(テレビ東京系)。まさに、この記事の執筆中に、第5話のマドンナである佐々木すみ江さんの訃報が届いた。

 亡くなったから言うわけではなく、凛とした芯の通った演技でドラマ全体を引っ張っていただけにとても驚いた。佐々木すみ江の活躍を中心に、第5話を振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

■一人で銀行から金を下ろせない遠藤憲一

 今回も遠藤のリアルな人となりを同級生や事務所スタッフから聞き出すインタビューから番組はスタート。

 今回は遠藤は一人では銀行からお金を下ろせないことが暴露される。

 そうなってくると、バスの予約なども一人ではできなそうな気がするので、どうやって毎回各地の温泉に移動しているのか考えてしまう。

 そんな遠藤がやってきたのは、群馬と新潟の県境にある法師温泉。温泉界ではレジェンドと言ってもいいほどの温泉だ。

 ちなみに番組内でも軽く触れていたが、かの田中角栄は法師温泉のすぐ横の三国峠をダイナマイトで吹っ飛ばし、その土砂で日本海を埋め立て佐渡島まで歩いて行けるようにすると新人時代の選挙演説で語っていた。実現していたら法師温泉のお湯も途絶えていたかもしれないので、実行されなくて何より。

■死を覚悟した旅行者役を熱演した佐々木

 この温泉で出会った宿泊客が佐々木すみ江演じる笠木澄恵。

 戦争に行ったまま戻らない、かつての許嫁との想い出を振り返りに、一人で来ているという。

 健さん(遠藤は派遣仲居のときは中井田健一と名乗っている)がその許嫁に似ているらしく、健さんに出会った瞬間の驚き→喜び→恥じらいと変わる佐々木演じる笠木の表情の変化が素晴らしい。しばらく無言なのに、画がじつに持つ。ここから一気に笠木の存在感に引き込まれる。

 その許嫁と、かつて笠木が泊まった宿が今回の舞台である法師温泉・長寿館で、その滞在の直後、召集令状が届き、そのまま彼は戻ってこなかったという。

 今は結婚し、孫までいて幸せだと語る笠木だが、祝言すら挙げられぬまま引きちぎられるような形で想い出もろとも戦争に奪われてしまった、かつての許嫁の存在は今でも大きいようだ。

 笠木が死を目前に控えたステージ4の末期の膵臓がんであることを知った健さんは、悩みながらも笠木の願い通り、もう一泊、笠木のケアをすることに。

 そして今回も、あのなんでも出てくる四次元トランクを開く時が。

 出てきたのは想い出の写真に写る許嫁と同じ軍服。

 それを着て枕元に立つ健さんが笠木に語りかける。驚きながらも、それを許嫁の「加瀬清次(清さん)」として受け入れる笠木。

「久しぶり」

「お久しぶりです」

「よくまたここにきてくれたね」

「ずいぶん時間が経っちゃいましたけど……」

 夢だと思っていたのかもしれないが、逢えぬはずの人に逢える喜びは、ひとしおだろう。

■佐々木と遠藤の幻の混浴シーン

 彼が照れ屋のため名物の混浴風呂に一緒に入れなかったのが心残りだという笠木を、風呂に誘う、健さん演じる清さん。

 風呂に向かう途中で、笠木の姿はあの頃の若い姿(堀田真由)に変わっていた。

 健さんの錯覚なのか、笠木本人のイメージなのか、はたまた科学を超えたファンタジーなのかわからないが、笠木の心が軽くなって行くのがわかる。

 堀田は『わろてんか』(NHK総合)で葵わかなの妹役や、最近では『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)で、フェイク動画を作った犯人だと疑われる水泳部員役など活躍する若手。実在はしているものの、姿は観念であるという難しい入浴シーンを、雰囲気たっぷりに演じた。

 作中でも触れていたが、ここのお湯は風呂の底が砂利引きになっており、底から50年前の雨水が温泉となり滲み出ている。

 当時の許嫁との「再会」には、ぴったりの場所だ。

 作家の田中眞一のTwitterによると、佐々木はこの脚本をとても褒めてくれていたという。

 実際に享年90歳で亡くなってしまった佐々木も、17歳で終戦を迎えていたはずで、許嫁でなくとも大切な人を亡くしたり、亡くした人の悲しみに触れたりしてきたはずだ。

 佐々木が亡くなったのがどんな原因かは執筆してる今現在まだわからないし、なんなら知る必要も特にないが、何にせよ年齢的に人生の終幕を大なり小なり意識していたであろう中で今回の仕事に挑んでいたのは間違いないだろう。

 1コマずつまで丁寧に演じて、役柄から彼女(笠木)の持つであろう「想い出」を振り絞っているのがわかる。

 贅沢を言えば、ほんの一瞬でいいから、若き日を演じた堀田真由との混浴シーンのどこかで、今の佐々木と遠藤が笑顔で温泉に浸かってる画も差し込んでほしかった。

 佐々木が亡くなった今だから余計にそう感じるのかもしれないが、「今の笠木」を笑顔で「清さん」とお風呂に入れてあげたかった。

 こんなときに不謹慎なのかもしれないが、『スターウォーズ』のファーストシリーズのラストシーン(ジェダイの帰還)で改心したアナキン(ダースベーダー)が幽霊のように出てくるシーンがあるが、ずっと年老いたアナキンの姿だったのに、ジョージルーカスが途中で改訂してしまい、現行版では若き日のアナキンになってしまったことを思い出した。

 若き日のアナキンもよいのだが、いろいろあった上でそれはそれとして、いろいろなことを経た年老いたアナキンの笑顔の方を求めるファンも多かったので、後藤監督がディレクターズ・カットを作るとしたら、是非一瞬でも今の笠木の、佐々木の笑顔での混浴もお願いしたかった。

 こんなふざけた願いも、もはや絶対に叶わないのが、ただただ悲しい。

 

■飛鳥凛が深刻さを中和する

 今回は佐々木が圧巻の存在感を見せてくれたため、その影に回ってしまった感があるが、飛鳥凛のサバサバした仲居(久美)もいい味わいで、死別や戦争をテーマとした中で息抜きのような演技を挟みこみ、全体を中和してくれた。

 時間があれば、もっと健さんとの絡みも見たかった。

 病院へと戻る笠木を見送る健さんに、「泣いてるの……?」と久美が尋ねるラストは、訪ねておきながらいなくなる久美の気遣いが感じられて、いいシーンだった。

 今はエイベックスにいる飛鳥だが、元はスターダスト所属で、ももクロのデビューイベントの舞台も一緒に踏んでいる苦労人(メンバーではない)。きっぷの良さそうな役などハマりそうなのでもっと芝居を見てみたい。

 佐々木が亡くなったことで、かつての代表作(TBS『ふぞろいの林檎たち』『花より男子』、NHK『ゲゲゲの女房』『篤姫』など)がいろいろ流れる中で、この『さすらい温泉』も佐々木のギリギリまで灯された役者人生の最後を飾るのに見劣りしないものだったと思う。

 それはベテランながら深夜ドラマだろうと手を抜かない佐々木の姿勢も大きいし、ドラマを丁寧に作っている『さすらい温泉』制作側の姿勢も大きいだろう。

 paraviでも見られるが、ぜひもう一度、地上波で再放送して、佐々木の最期の仕事を、まだ見ていない人にも見せてあげてほしい。

 ご冥福をお祈りします。
(文=柿田太郎)

『さすらい温泉』故・佐々木すみ江の最期の仕事に……『花男』『ふぞろい』にも負けない仕事ぶりが光る

 遠藤憲一が役者を引退する決意で温泉宿の仲居になり、そこで出会った人々のために一肌脱ぐ。そんなパラレルワールドを見せてくれるドキュメンタリー風の人情温泉ドラマ『さすらい温泉 遠藤憲一』(テレビ東京系)。まさに、この記事の執筆中に、第5話のマドンナである佐々木すみ江さんの訃報が届いた。

 亡くなったから言うわけではなく、凛とした芯の通った演技でドラマ全体を引っ張っていただけにとても驚いた。佐々木すみ江の活躍を中心に、第5話を振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

■一人で銀行から金を下ろせない遠藤憲一

 今回も遠藤のリアルな人となりを同級生や事務所スタッフから聞き出すインタビューから番組はスタート。

 今回は遠藤は一人では銀行からお金を下ろせないことが暴露される。

 そうなってくると、バスの予約なども一人ではできなそうな気がするので、どうやって毎回各地の温泉に移動しているのか考えてしまう。

 そんな遠藤がやってきたのは、群馬と新潟の県境にある法師温泉。温泉界ではレジェンドと言ってもいいほどの温泉だ。

 ちなみに番組内でも軽く触れていたが、かの田中角栄は法師温泉のすぐ横の三国峠をダイナマイトで吹っ飛ばし、その土砂で日本海を埋め立て佐渡島まで歩いて行けるようにすると新人時代の選挙演説で語っていた。実現していたら法師温泉のお湯も途絶えていたかもしれないので、実行されなくて何より。

■死を覚悟した旅行者役を熱演した佐々木

 この温泉で出会った宿泊客が佐々木すみ江演じる笠木澄恵。

 戦争に行ったまま戻らない、かつての許嫁との想い出を振り返りに、一人で来ているという。

 健さん(遠藤は派遣仲居のときは中井田健一と名乗っている)がその許嫁に似ているらしく、健さんに出会った瞬間の驚き→喜び→恥じらいと変わる佐々木演じる笠木の表情の変化が素晴らしい。しばらく無言なのに、画がじつに持つ。ここから一気に笠木の存在感に引き込まれる。

 その許嫁と、かつて笠木が泊まった宿が今回の舞台である法師温泉・長寿館で、その滞在の直後、召集令状が届き、そのまま彼は戻ってこなかったという。

 今は結婚し、孫までいて幸せだと語る笠木だが、祝言すら挙げられぬまま引きちぎられるような形で想い出もろとも戦争に奪われてしまった、かつての許嫁の存在は今でも大きいようだ。

 笠木が死を目前に控えたステージ4の末期の膵臓がんであることを知った健さんは、悩みながらも笠木の願い通り、もう一泊、笠木のケアをすることに。

 そして今回も、あのなんでも出てくる四次元トランクを開く時が。

 出てきたのは想い出の写真に写る許嫁と同じ軍服。

 それを着て枕元に立つ健さんが笠木に語りかける。驚きながらも、それを許嫁の「加瀬清次(清さん)」として受け入れる笠木。

「久しぶり」

「お久しぶりです」

「よくまたここにきてくれたね」

「ずいぶん時間が経っちゃいましたけど……」

 夢だと思っていたのかもしれないが、逢えぬはずの人に逢える喜びは、ひとしおだろう。

■佐々木と遠藤の幻の混浴シーン

 彼が照れ屋のため名物の混浴風呂に一緒に入れなかったのが心残りだという笠木を、風呂に誘う、健さん演じる清さん。

 風呂に向かう途中で、笠木の姿はあの頃の若い姿(堀田真由)に変わっていた。

 健さんの錯覚なのか、笠木本人のイメージなのか、はたまた科学を超えたファンタジーなのかわからないが、笠木の心が軽くなって行くのがわかる。

 堀田は『わろてんか』(NHK総合)で葵わかなの妹役や、最近では『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)で、フェイク動画を作った犯人だと疑われる水泳部員役など活躍する若手。実在はしているものの、姿は観念であるという難しい入浴シーンを、雰囲気たっぷりに演じた。

 作中でも触れていたが、ここのお湯は風呂の底が砂利引きになっており、底から50年前の雨水が温泉となり滲み出ている。

 当時の許嫁との「再会」には、ぴったりの場所だ。

 作家の田中眞一のTwitterによると、佐々木はこの脚本をとても褒めてくれていたという。

 実際に享年90歳で亡くなってしまった佐々木も、17歳で終戦を迎えていたはずで、許嫁でなくとも大切な人を亡くしたり、亡くした人の悲しみに触れたりしてきたはずだ。

 佐々木が亡くなったのがどんな原因かは執筆してる今現在まだわからないし、なんなら知る必要も特にないが、何にせよ年齢的に人生の終幕を大なり小なり意識していたであろう中で今回の仕事に挑んでいたのは間違いないだろう。

 1コマずつまで丁寧に演じて、役柄から彼女(笠木)の持つであろう「想い出」を振り絞っているのがわかる。

 贅沢を言えば、ほんの一瞬でいいから、若き日を演じた堀田真由との混浴シーンのどこかで、今の佐々木と遠藤が笑顔で温泉に浸かってる画も差し込んでほしかった。

 佐々木が亡くなった今だから余計にそう感じるのかもしれないが、「今の笠木」を笑顔で「清さん」とお風呂に入れてあげたかった。

 こんなときに不謹慎なのかもしれないが、『スターウォーズ』のファーストシリーズのラストシーン(ジェダイの帰還)で改心したアナキン(ダースベーダー)が幽霊のように出てくるシーンがあるが、ずっと年老いたアナキンの姿だったのに、ジョージルーカスが途中で改訂してしまい、現行版では若き日のアナキンになってしまったことを思い出した。

 若き日のアナキンもよいのだが、いろいろあった上でそれはそれとして、いろいろなことを経た年老いたアナキンの笑顔の方を求めるファンも多かったので、後藤監督がディレクターズ・カットを作るとしたら、是非一瞬でも今の笠木の、佐々木の笑顔での混浴もお願いしたかった。

 こんなふざけた願いも、もはや絶対に叶わないのが、ただただ悲しい。

 

■飛鳥凛が深刻さを中和する

 今回は佐々木が圧巻の存在感を見せてくれたため、その影に回ってしまった感があるが、飛鳥凛のサバサバした仲居(久美)もいい味わいで、死別や戦争をテーマとした中で息抜きのような演技を挟みこみ、全体を中和してくれた。

 時間があれば、もっと健さんとの絡みも見たかった。

 病院へと戻る笠木を見送る健さんに、「泣いてるの……?」と久美が尋ねるラストは、訪ねておきながらいなくなる久美の気遣いが感じられて、いいシーンだった。

 今はエイベックスにいる飛鳥だが、元はスターダスト所属で、ももクロのデビューイベントの舞台も一緒に踏んでいる苦労人(メンバーではない)。きっぷの良さそうな役などハマりそうなのでもっと芝居を見てみたい。

 佐々木が亡くなったことで、かつての代表作(TBS『ふぞろいの林檎たち』『花より男子』、NHK『ゲゲゲの女房』『篤姫』など)がいろいろ流れる中で、この『さすらい温泉』も佐々木のギリギリまで灯された役者人生の最後を飾るのに見劣りしないものだったと思う。

 それはベテランながら深夜ドラマだろうと手を抜かない佐々木の姿勢も大きいし、ドラマを丁寧に作っている『さすらい温泉』制作側の姿勢も大きいだろう。

 paraviでも見られるが、ぜひもう一度、地上波で再放送して、佐々木の最期の仕事を、まだ見ていない人にも見せてあげてほしい。

 ご冥福をお祈りします。
(文=柿田太郎)

『さすらい温泉』故・佐々木すみ江の最期の仕事に……『花男』『ふぞろい』にも負けない仕事ぶりが光る

 遠藤憲一が役者を引退する決意で温泉宿の仲居になり、そこで出会った人々のために一肌脱ぐ。そんなパラレルワールドを見せてくれるドキュメンタリー風の人情温泉ドラマ『さすらい温泉 遠藤憲一』(テレビ東京系)。まさに、この記事の執筆中に、第5話のマドンナである佐々木すみ江さんの訃報が届いた。

 亡くなったから言うわけではなく、凛とした芯の通った演技でドラマ全体を引っ張っていただけにとても驚いた。佐々木すみ江の活躍を中心に、第5話を振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

■一人で銀行から金を下ろせない遠藤憲一

 今回も遠藤のリアルな人となりを同級生や事務所スタッフから聞き出すインタビューから番組はスタート。

 今回は遠藤は一人では銀行からお金を下ろせないことが暴露される。

 そうなってくると、バスの予約なども一人ではできなそうな気がするので、どうやって毎回各地の温泉に移動しているのか考えてしまう。

 そんな遠藤がやってきたのは、群馬と新潟の県境にある法師温泉。温泉界ではレジェンドと言ってもいいほどの温泉だ。

 ちなみに番組内でも軽く触れていたが、かの田中角栄は法師温泉のすぐ横の三国峠をダイナマイトで吹っ飛ばし、その土砂で日本海を埋め立て佐渡島まで歩いて行けるようにすると新人時代の選挙演説で語っていた。実現していたら法師温泉のお湯も途絶えていたかもしれないので、実行されなくて何より。

■死を覚悟した旅行者役を熱演した佐々木

 この温泉で出会った宿泊客が佐々木すみ江演じる笠木澄恵。

 戦争に行ったまま戻らない、かつての許嫁との想い出を振り返りに、一人で来ているという。

 健さん(遠藤は派遣仲居のときは中井田健一と名乗っている)がその許嫁に似ているらしく、健さんに出会った瞬間の驚き→喜び→恥じらいと変わる佐々木演じる笠木の表情の変化が素晴らしい。しばらく無言なのに、画がじつに持つ。ここから一気に笠木の存在感に引き込まれる。

 その許嫁と、かつて笠木が泊まった宿が今回の舞台である法師温泉・長寿館で、その滞在の直後、召集令状が届き、そのまま彼は戻ってこなかったという。

 今は結婚し、孫までいて幸せだと語る笠木だが、祝言すら挙げられぬまま引きちぎられるような形で想い出もろとも戦争に奪われてしまった、かつての許嫁の存在は今でも大きいようだ。

 笠木が死を目前に控えたステージ4の末期の膵臓がんであることを知った健さんは、悩みながらも笠木の願い通り、もう一泊、笠木のケアをすることに。

 そして今回も、あのなんでも出てくる四次元トランクを開く時が。

 出てきたのは想い出の写真に写る許嫁と同じ軍服。

 それを着て枕元に立つ健さんが笠木に語りかける。驚きながらも、それを許嫁の「加瀬清次(清さん)」として受け入れる笠木。

「久しぶり」

「お久しぶりです」

「よくまたここにきてくれたね」

「ずいぶん時間が経っちゃいましたけど……」

 夢だと思っていたのかもしれないが、逢えぬはずの人に逢える喜びは、ひとしおだろう。

■佐々木と遠藤の幻の混浴シーン

 彼が照れ屋のため名物の混浴風呂に一緒に入れなかったのが心残りだという笠木を、風呂に誘う、健さん演じる清さん。

 風呂に向かう途中で、笠木の姿はあの頃の若い姿(堀田真由)に変わっていた。

 健さんの錯覚なのか、笠木本人のイメージなのか、はたまた科学を超えたファンタジーなのかわからないが、笠木の心が軽くなって行くのがわかる。

 堀田は『わろてんか』(NHK総合)で葵わかなの妹役や、最近では『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)で、フェイク動画を作った犯人だと疑われる水泳部員役など活躍する若手。実在はしているものの、姿は観念であるという難しい入浴シーンを、雰囲気たっぷりに演じた。

 作中でも触れていたが、ここのお湯は風呂の底が砂利引きになっており、底から50年前の雨水が温泉となり滲み出ている。

 当時の許嫁との「再会」には、ぴったりの場所だ。

 作家の田中眞一のTwitterによると、佐々木はこの脚本をとても褒めてくれていたという。

 実際に享年90歳で亡くなってしまった佐々木も、17歳で終戦を迎えていたはずで、許嫁でなくとも大切な人を亡くしたり、亡くした人の悲しみに触れたりしてきたはずだ。

 佐々木が亡くなったのがどんな原因かは執筆してる今現在まだわからないし、なんなら知る必要も特にないが、何にせよ年齢的に人生の終幕を大なり小なり意識していたであろう中で今回の仕事に挑んでいたのは間違いないだろう。

 1コマずつまで丁寧に演じて、役柄から彼女(笠木)の持つであろう「想い出」を振り絞っているのがわかる。

 贅沢を言えば、ほんの一瞬でいいから、若き日を演じた堀田真由との混浴シーンのどこかで、今の佐々木と遠藤が笑顔で温泉に浸かってる画も差し込んでほしかった。

 佐々木が亡くなった今だから余計にそう感じるのかもしれないが、「今の笠木」を笑顔で「清さん」とお風呂に入れてあげたかった。

 こんなときに不謹慎なのかもしれないが、『スターウォーズ』のファーストシリーズのラストシーン(ジェダイの帰還)で改心したアナキン(ダースベーダー)が幽霊のように出てくるシーンがあるが、ずっと年老いたアナキンの姿だったのに、ジョージルーカスが途中で改訂してしまい、現行版では若き日のアナキンになってしまったことを思い出した。

 若き日のアナキンもよいのだが、いろいろあった上でそれはそれとして、いろいろなことを経た年老いたアナキンの笑顔の方を求めるファンも多かったので、後藤監督がディレクターズ・カットを作るとしたら、是非一瞬でも今の笠木の、佐々木の笑顔での混浴もお願いしたかった。

 こんなふざけた願いも、もはや絶対に叶わないのが、ただただ悲しい。

 

■飛鳥凛が深刻さを中和する

 今回は佐々木が圧巻の存在感を見せてくれたため、その影に回ってしまった感があるが、飛鳥凛のサバサバした仲居(久美)もいい味わいで、死別や戦争をテーマとした中で息抜きのような演技を挟みこみ、全体を中和してくれた。

 時間があれば、もっと健さんとの絡みも見たかった。

 病院へと戻る笠木を見送る健さんに、「泣いてるの……?」と久美が尋ねるラストは、訪ねておきながらいなくなる久美の気遣いが感じられて、いいシーンだった。

 今はエイベックスにいる飛鳥だが、元はスターダスト所属で、ももクロのデビューイベントの舞台も一緒に踏んでいる苦労人(メンバーではない)。きっぷの良さそうな役などハマりそうなのでもっと芝居を見てみたい。

 佐々木が亡くなったことで、かつての代表作(TBS『ふぞろいの林檎たち』『花より男子』、NHK『ゲゲゲの女房』『篤姫』など)がいろいろ流れる中で、この『さすらい温泉』も佐々木のギリギリまで灯された役者人生の最後を飾るのに見劣りしないものだったと思う。

 それはベテランながら深夜ドラマだろうと手を抜かない佐々木の姿勢も大きいし、ドラマを丁寧に作っている『さすらい温泉』制作側の姿勢も大きいだろう。

 paraviでも見られるが、ぜひもう一度、地上波で再放送して、佐々木の最期の仕事を、まだ見ていない人にも見せてあげてほしい。

 ご冥福をお祈りします。
(文=柿田太郎)

「肩書」を外した時、本当の気持ちが見えてくる――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第6話

(前回までのレビューはこちらから) 

 基本的に、占いや呪いのたぐいを信じてはいない。元々疑り深い性格もあって、論理的に説明できないものを信じることができないのだ。ただ、こういった“あるかどうかわからないもの”が、ドラマのスパイスとして有効に機能することはよくわかっている。

 ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)第6話では、そんな占いや呪いが、効果的なアイテムとして使われていた。

 酔っ払って山下(中村倫也)を家に泊めてしまった順子(深田恭子)。さらに、二人で家から出てきたところを、教え子の匡平(横浜流星)に見られてしまい、パニックに陥る。

 悩んだ順子は、友人の美和(安達祐実)に相談するが、「一番大事なのは、匡平を東大に合格させること」だと諭されるだけ。ようやく気づいた匡平の自分に対する気持ちについても、「勉強のしすぎでおかしくなったのでは?」と、無理やり自分自身を納得させるのだった。

 順子に思いを寄せる従兄弟の雅志(永山絢斗)は、出張に行く途中で匡平を見かけ、声をかける。そこで匡平は、順子への思いを話すのだ。

「好きで好きで、嫌いになりそうなくらい好き」

 順子の存在が、自分の中で大きくなりすぎて、重荷にすら感じてしまっているのかもしれない。情熱的で、どこか不器用な言葉を聞いて、雅志はどう思っただろう。匡平よりも、ずっと長い時間、順子のことを想い続けてきた。しかし、ここまで強く気持ちをぶつけることができただろうか。そんなことを感じたかもしれない。

 そんな頃、美和は、店のキャバ嬢・もんちゃん(真凛)から、占いによると、今年は運命の出会いがあること、ラッキーアイテムはエメラルドグリーンのスニーカーであることを知らされる。これを聞いて、出会いを求めた美和は、店の客でもある雅志に電話をし、同窓会を開くようにけしかける。その席で、順子に雅志の魅力を認識させるとともに、美和の婚活にも役立てようというのだ。

 まずは、「占い」が物語の鍵として登場。そして「呪い」についても話が進む。

 いつものお好み焼き屋で飲んでいる順子と美和は、同窓会の話になる。アラサーで、結婚や仕事で一番差がついている時期に同窓会を開くなんてと、順子は「新しい靴を履いた日に、必ず土砂降りになる呪い」「割り箸が必ず変に割れる呪い」「毎回注文間違えられる呪い」などと、幹事に地味にダメージのある呪いをかけまくる。後々、これが大きな伏線になる。

 塾では、匡平がメキメキと力をつけていた。元々文系であった順子は、数学で自分の力不足を感じ焦り始めていた。

「合格させたい」そう言う順子に、塾長(生瀬勝久)は言う。

「普通ですね」

 塾長はこれまで、「普通では受からない」と言い続けてきた。ここで考えが変わったのかもしれない。

 同窓会を前に、雅志は同僚の西大井(浜中文一)から、「学歴と、商社マンという肩書に釣られた女子がやってくるのはむしろ短所だ」と言われる。さらに西大井は、「学歴も肩書も無い、別の自分になったら、本当の出会いがあるかもしれないと思う」と言うのだ。

 同窓会当日、会場は久しぶりの再会を懐かしむ人たちで溢れていた。そして予想通り、ハイスペックな雅志は女性たちからモテモテだった。一方、順子は匡平との授業が延びてしまい、会場に行くことができない。連絡を受け、雅志は落ち込む。

 うまく同窓生になりすまして会場に紛れ込んだ美和は、二次会に向かう途中、雨宿りをしていたときに新しい靴に水をかけられる。ここで、順子の呪いがきいてくる。

 同じく雨宿りをしにやってきたのは、エメラルドグリーンのスニーカーを履いた西大井だった。本当の出会いを求めていた西大井は、自分を「売れないダンサー」と紹介する。肩書を外し、「別の自分」になって、美和にアプローチしようと考えたのだ。

 その頃、バーで二人になった雅志と山下。山下から、順子とのことを聞かされた雅志は思い余って、山下のことを殴ってしまう。

 その後、一人でラーメン屋に入った雅志だったが、ここで、割り箸がうまく割れない呪いと、注文が間違われてしまう呪いに襲われる。

 翌日、学校で匡平と向き合った山下は、「順子のことは遊びじゃない」と気持ちを宣言する。それに対し匡平は、「取られるつもりはない。ひっこんでろ。俺のだ」と言い切るのだ。

 雅志は、順子の職場を訪ね、山下とのことを問いただす。順子は否定しながら、「雅志にだけは知られたくなかった」と話す。それは、「よりによって身内に言うなんて」という意味だったのだが、雅志は、自分だけには知られたくなかった、自分に気があるのではないかと勘違いをしてしまう。順子がかけたいろいろな呪いにかかっているようであるが、雅志が本当にかかっているのは、「どんなに思いを伝えても、相手に全く伝わらない」という呪いなのかもしれない。

 その頃、順子は、匡平を東大に合格させるため、他の塾に行かせることを考えていた。「どんな手を使ってでも、確実に東大に合格させる」そう言う順子に、匡平は答える。

「先生とか、年とか、肩書とか関係なく、ただ普通に会いたかった」

 肩書は大事だ。その人が、才能を活かしたり、努力をしたりして手に入れたひとつの証しだから。ただ、それだけで、人を見定めたり、恋愛対象にするかどうかを決めたりするのは、少し残念な気がする。匡平が言うように、逆に肩書があるために、自由を奪われることもあるからだ。

 とかく大人になると、利害や損得だけでものごとを考えてしまいがちだ。しかし、「肩書なんかどうでもいい」と言う匡平の言葉を聞いていると、論理的に考えるよりも、気持ちが先走っていた頃のことを、思い出したりもする。

 物語も中盤となり、今まで、頼りなさや鈍感さばかりが目立っていた順子も、凛々しい表情を多く見せるようになった。雅志、山下、匡平、三人の男性と向き合い、それぞれの気持ちを受け止める。実際の深田恭子もさぞやと思わせる芯の強さが、そこにはある。

 ラストでは、新たな塾講師、百田(高梨臨)が登場した。これまで、男性三人の戦いを見てきた中、今度は新たな女の戦いが始まるのかもしれない。高校3年の秋、受験まではあと少しだ。

(文=プレヤード)

DV、セクハラ、風俗、隠し子……小夜子の過去が『ザ・ノンフィクション』級に壮絶すぎる『後妻業』第4話


(前回までのレビューはこちらから)

『後妻業』(フジテレビ系)第4話「火花散らす正面衝突!悪女の哀しい過去」

 前半は、武内小夜子(木村佳乃)たちによる「後妻業」の調査をしている探偵・本多芳則(伊原剛志)大活躍回。

 小夜子が新たな「後妻業」ターゲットに狙いを定めていることを突き止め、柏木亨(高橋克典)の事務所に押しかけ、「後妻業」の片棒をかついでいた司法書士にプレッシャーをかけ、小夜子の過去を調べ上げ……八面六臂の大活躍だ。

 ほんのりと好意を抱いているように見える中瀬朋美(木村多江)からの依頼だということはもちろん、元大阪府警のマル暴刑事だったというプライドや、女&子どもが出て行ってしまったストレスなどが相まって、仕事という枠を超え、偏執的なまでに調査にのめり込んでいる。

 ……というか一応、仕事として朋美から調査の依頼を受けているわけだが、調査費用はどうなっているのだろうか? こんだけ時間をかけていたら相当高額になりそうだけど。

 もはや「金とかいらないから、とにかく『後妻業』の実体を暴いてやる」的なモードに入っているのだろうか?

 

■木村佳乃、木村多江の乳を同時もみする佐藤蛾次郎が羨ましい

 ここまでガンガン動き回って小夜子の調査に没頭している本多なのに、朋美が小夜子の元に乗り込んでいくという時には、なぜか着いてきてくれない。

 顔を合わせればいつも感情的な言い合いに終始してしまう小夜子と朋美。その場に本多がいてくれれば、もうちょっと本質的な話し合いができそうなものだが。

 秘密裏に調査を進めるため、小夜子には顔を知られたくない、などの事情があるのか? そのわりには柏木の前には無防備に姿をさらしているが。

 今回も、小夜子の新たなターゲット・富樫幹夫(佐藤蛾次郎)に忠告をしようと、朋美が老人ホームに乗り込んでいったところ、小夜子と鉢合わせし、例のごとく美熟女ふたりによるバトルがスタート。

 その前に明かされていた小夜子の生い立ち――。

 実父からDVを受け、児童養護施設に預けられ、引き取られた先の叔母からはいじめ、叔父からはセクハラを受けており、18歳で家を出てからは、水商売で生計を立てていたものの、男に騙されて風俗に売られた。

 こんなヘヴィーな情報で暗い雰囲気になりそうになると開始されるW木村のプロレス。

 美熟女ビンタ合戦では「バシッ!」「ビシッ!」とベタな効果音まで入り、完全にコント状態だ。

 もう少し真剣に感情をぶつけ合うシーンも見たいところだが、ドラマ全体の雰囲気を暗くしすぎないよう、バランスを保つためのミニコーナーとして意図的に挿入されているのかも知れない。

 とりあえず、ドサクサに紛れてW木村のおっぱいをガッチリもんだ佐藤蛾次郎が羨ましいぞ!

■弟かと思ったら息子! 壮絶人生すぎるだろ

 あんな激しいバトルを繰り広げつつも、

「親の愛情を知らないで育つとあんな風になっちゃうのかなぁ……」

 なんて、小夜子への同情を語っていた朋美。

 1億円近い遺産を小夜子に奪われているというのにとんでもないお人好しだが、確かにそれでも同情しそうになる、『ザ・ノンフィクション』級の壮絶人生だ。

 しかし今回は、さらにヘヴィーな過去情報も明かされた。

 小夜子の弟・黒澤博司(葉山奨之)が5年の服役を終えてシャバに帰ってきた。シャブの運び屋をやっていて捕まったという、まあロクでもない雰囲気全開の男だ。

「何がかなしゅうてあんなヤツの面倒みなアカンのよ」

「(博司に)部屋を借りたって。できたら大阪じゃないとこ。遠いところがええ」

 と小夜子も言っていたので、単純に道を踏み外した弟を煙たがっているのだと思っていたら、なんと本当は弟ではなく、実の息子だということが判明する。

 博司の年齢設定が分からないので、いつ頃産んだ子なのかは不明。

 小夜子を風俗に売り飛ばした男の子どもというあたりが本命だろうが、可能性としては、セクハラをし続けていた叔父の子どもというエグいパターンもあり得るか。

「こんなワルが母親やったらガッカリするやろうから」

 ということで、博司には母子であることを隠しているようだが、他にも何か深い事情があるのかも知れない。

「後妻業」で莫大な収入を得ているはずの小夜子の銀行通帳に30万円チョイしか入っていないという謎も、この辺に理由がありそうだが……?

 さらに、朋美の方は朋美の方で、事実婚の夫・佐藤司郎(長谷川朝晴)が事務所で思いっきり浮気している現場に遭遇してしまう。

 妻(朋美)が大阪に行っていると思い込んでいたにしても、事務所の鍵なんて他のスタッフたちも持っているだろうに、超・無防備! ……というかラブホ代くらいケチるなよ!

 傷心の朋美は本多に電話を入れ、

「私、家には帰れない」

「家でよかったら、来るか?」

 と、こちらも大きく関係性が動きそうなのだ。

(文とイラスト=北村ヂン)

 

『トレース~科捜研の男~』面白さに欠ける中だるみ回も、演技派ジャニーズ“錦戸亮パワー”で視聴率上昇!?

(これまでのレビューはこちらから

 2月11日放映のトレース第6話。まずはあらすじから見てみよう。

 河川敷で発見されたホームレスの変死体の鑑定を依頼される科捜研の面々。死んだホームレスは真野礼二(関ジャニ∞・錦戸亮)の兄・義一をイジメていた同級生であった。25年前、義一はイジメが原因で引きこもり、礼二以外の家族を刺殺した後に自殺したとされている。兄の殺人も自殺も不審に思う礼二は、変死体の鑑定をしながら25年前の真相に迫る。

 礼二の過去が明確になる重要な回ではあったが、前回までに比べると面白さがトーンダウンした印象だった。今回はその原因に触れながら、6話で明かされた新情報を整理する。また、礼二にスポットの当たる回ということで、主演・錦戸亮の魅力にも迫っていきたい。

■風呂敷を広げるだけで終わった第6話

 第6話では以下のような情報が提示される。

・死んだホームレス新妻大介はイジメの主犯格の一人だった

・兄・義一はイジメで引きこもったが大検の合格を目指し前向きに生きていた

・警察は義一以外の犯行の線も調べていた模様

・新妻の遺体発見現場にあった手袋に付着した血痕が礼二の両親と姉のDNAと一致

・礼二の上司、海塚(小雪)は25年前の事件の鑑定を担当していた

・25年前、事件の鑑定資料を上層部に取り上げられ、改ざんされた資料が戻ってきた

・海塚は改ざん前の事件の記録を残したノートを持っていた

・ノートには殺害前、当時高校生の礼二の姉が妊娠3カ月だった記述がある

 警察による隠蔽の疑惑や、姉の妊娠など、新事実が明らかになるスリリングな回ではあった。

 しかし、「新妻は氷を喉に詰まらせて死んだの“かもしれない”」「警察が25年前の真相を隠したの“かもしれない”」と、ホームレス新妻の死の真相も、25年前の事件の真相も、わからぬまま物語が終わる。

 前後編仕立てで、次話に全ての真相が明らかになるなら納得する。だが1話完結型に戻り、25年前の事件の情報を小出しにしていくのであれば、今でさえ多い情報を視聴者が覚えていられるかの懸念がある。

 また第6話は、事件解決のカタルシスも、誰かが救われた場面も描けなかったため、本作の見どころでもある山場の秀逸さが発揮できなかった印象だ。

 亡くなった家族への想いの吐露や警察組織への憤慨など、礼二の感情が揺さぶられている場面を増やしてほしかった。『トレース』の制作チームであれば礼二のキャラにブレを感じさせることなく撮れていただろう。印象的なシーンがあることで新情報を強く記憶に残せていたとも思う。

■錦戸亮が真野礼二に与えたモノとは!?

 ストーリーには物足りなさを感じたが、視聴率は前回から0.4ポイントアップの10.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

 また、「(錦戸の演技が)目、声、表情で伝わる」「色気とカッコよさが堪能できた」など礼二を演じる錦戸亮に対する好意的な意見がネット上で見られた。

 ファンによる書き込みも多々あるだろうが、錦戸ファンでない私も賛同する。

 第6話まで過去が明らかにされていなかった真野礼二を主役として見られたのは錦戸亮の存在感に頼るところが大きい。「過去つらい経験をしたんだろうな」程度の情報しか提示されていない状況で、錦戸亮が醸し出す憂いや儚さが無ければ、礼二が虎丸刑事に突っかかるただの変人にしか見えなかっただろう。

 演技力以上に、錦戸が役者として持つ天武の才は滲み出る“愛嬌”だと思う。

『ごめんね青春!』(2014年・TBS系)や『サムライせんせい』(15年・テレビ朝日系)などのコミカルなドラマではチャーミングな男を演じられる。『ラスト・フレンズ』(08年・フジテレビ系)でDV男を演じた時は、女にとって離れがたい男という設定を、錦戸の愛嬌が説得力を持たせていた。

『トレース』においても、礼二から滲み出る“憂い”は、錦戸亮の持つ愛嬌と、原作と脚本が抽出した悲しい過去が合わさってこそ生まれる。

 キャスティングの段階で錦戸の魅力の立たせ方が分かるスタッフも優秀であるが、周囲に自身の長所を気づかせる錦戸亮も素晴らしい。

■今後の展開への期待

 錦戸亮の演技以外で、第6話の良かった部分を挙げるなら、各キャラクターと礼二との関係性の変化だろう。

 ノンナ(新木優子)と虎丸(船越英一郎)は、礼二と接する機会が多いからこそ、25年前の事件を前にした礼二の異変を察することができていた。虎丸に至っては、礼二の真実を追究する姿勢を呆れながらも理解を示すようになった。他の科捜研のメンバーも同様だろう。

 この先、礼二に救われた仲間達が、25年前の真相に立ち向かう彼のために何をするのか?

 各話、真相の解明と救われる人々の姿で泣かせてくれたドラマだけに、主人公・礼二が救われる立場になった時の感動は計り知れない。

 また、サスペンスとしての要素も楽しみだ。千原ジュニア演じる警察上層部の男はどう25年前の事件と関わっているのか? そして礼二の協力者として登場した兄・義一の元担任・早川(萩原聖人)もまだ秘密を握っている匂いがする。

 次回2月18日放送予定の第7話では、1話完結のメインの事件に主軸を置きながらも、未解決のままのホームレスの死因も含め25年前の事件の真相に少し近づくのだろう。

 残り4回ほどの放送を、最後まで見守りたい。

(海女デウス)

常盤貴子『グッドワイフ』夫の事件が急展開! 唐沢寿明出演シーン増で視聴率回復か

(これまでのレビューはこちらから

 常盤貴子主演ドラマ『グッドワイフ』(TBS系)の第6話が2月17日に放送され、平均視聴率9.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録しました。

 二桁回復とはなりませんでしたが、微増という結果に。集団訴訟も話以外にも壮一郎(唐沢寿明)と杏子(常盤)の話も進み、面白さがいつもの2倍となったようで、ネットでは大好評となった6話。ではではどこが面白かったのか振り返っていきましょう。

 その前に、あらすじをさらっと。

■最凶(?)車椅子弁護士の登場で事務所がピンチに!

 賠償金15億円を見込める健康被害の集団訴訟を、多田(小泉孝太郎)とともに担当することとなった杏子。3年無料相談に乗り、やっと訴訟になったということで、張り切る多田。しかし、車椅子に乗った弁護士・三栗谷(春風亭昇太)が現れ、代理人の座を戦うことに。

 そんな中、三栗谷は裏でこの訴訟を利用して大企業の顧問弁護士の座を狙っていることが発覚。さらに、その大企業と被告側である企業が繋がっており、和解金を安く済ませようとしていたことも発覚。それを知った杏子たちは三栗谷にその事実を突きつけ、一人2,000万円の賠償金を支払うという条件で大勝訴となった。

 その一方、夫・壮一郎の方は保釈され、杏子たち家族の住むマンションに住むも、着々と自分を引き摺り下ろした黒幕を探っていた。そんな中、壮一郎の不倫相手である遠山亜紀(相武紗季)がテレビで関係を告白。さらに壮一郎を担当していた林弁護士(博多華丸)が辞任することになり、夫の不貞への怒りを持ちながらも、杏子は壮一郎の弁護士となるのだった、というのが今回のストーリーでした。

■面白さ抜群の回! だけど、ひとつ気になる点が……

 今回、視聴者から「最高に面白かった!」と大好評の声が放送直後から殺到していました。特に面白かったというのが、保釈され自宅に戻ってきた壮一郎と杏子のギクシャク感(笑)。まあ、どちらも演技が上手で「場が引き締まる」と好評だった様子。また、壮一郎の不倫相手・相武紗季がやっと登場。テレビのインタビューで壮一郎との関係を「お互い本気だった」と告白し、壮一郎は「違う、違う。そうじゃない!」と弁明するも、杏子はもう激怒。その上、担当弁護士は激怒して辞任。杏子がついに担当弁護士になるという、ここまで焦らした分、ハイスピードで進む内容に、視聴者も見ていてスッキリしたよう。それに、唐沢の出演シーンが増えたことで、男女問わず楽しめた様子。

 まあ、このまま、次回以降も軽快に進めばいいのですが……。原作版みたいな展開になるのでしょうか?

 その一方で、メインとなるはずの、集団訴訟の話では、ちょっと日本離れしているかというか、「弁護士法に違反しているのでは?」と思う部分が。

 春風亭昇太が演じる三栗谷弁護士は、一度原告団の依頼を受けて多田とともに共同代理人になりました。しかし、三栗谷は裏である大企業の顧問弁護士を狙っていて、その大企業と今回の訴訟被告側の企業の重役が同じということが発覚。実は原告のためではなく、被告側に有利になるように進めていたという内容だったのです。

 ですが、 正体が杏子たちにバレたことで、今度は企業側の代理人として立ち、原告側の弁護士である杏子たちと交渉するのは日本の弁護士法に違反しているような気が……。この点は視聴者からも指摘があがっていたんです。アメリカだとありなのかもしれませんが……。

 うーん。まあ、ドラマだしいいのかと思いたいのですが、今まで日本らしく脚色していただけに、ちょっと残念でした。

■スパイ探しが激化! 視聴者予想一番人気は……

 壮一郎を陥れた黒幕が南原官房副長官(三遊亭円楽)だということがわかり、その南原にいろいろと吹き込んだスパイを探そうとしていた今回。結局今回だけではわからなかったのですが、ネットでは、滝藤賢一演じる検察官・佐々木だと見る視聴者が続出。なんでも、壮一郎はあまり佐々木のいうことを聞かず勝手に動いているため、その反撃では?、という声があがっているよう。

 それと、滝藤だと、味方も敵も演じられるため、「ありそう!」という声が。

 また、今回最後に博多華丸が演じる林弁護士が辞任したんですが、この時、壮一郎は淡々としていたため、「もしかしたら華丸さんが!?」とこちらにもスパイ説が浮上。

 ますます、スパイ探しが激化している様子。次回ぐらいには影くらいはわかるかなと思うのですが……。うーん! 早く知りたい! ここは次回放送を楽しみに待ちましょう!

■視聴率悪くても、女性ウケ獲得で万々歳なTBS!?

 視聴率があまり良くないのがネックな『グッドワイフ』。今までと違った女性ウケを狙った作品だったことで、サラリーマン層が見ないのかもしれません。

 ですが、TBSとしては視聴率ではなく、この作品で今までなかった女性ウケを獲得したいと思っているのかなと思うんですよ。というのも、次回作が福山雅治主演ドラマ。これこそ、女性層が見ないと絶望的な感じが。その上、今福山は結婚以降、女性ウケが悪くなってますからね。

 福山作品のために、この作品を機に女性層を獲得したいだけなのかも? と思っちゃったんですよね〜。

 そのための作品だとすると、正直、視聴率なんて関係ないのかも!?  まあ、でも、作品の内容自体は面白いので、満足なんですがね(笑)!

 以上6話のレビューでした。

 次回はカリスマIT社長の案件を担当することに。壮一郎の方も夫婦で敵と戦っていくようですし、まだまだ、目が離せないですよ! 放送を楽しみに待ちましょう!

(どらまっ子KOROちゃん)

常盤貴子『グッドワイフ』夫の事件が急展開! 唐沢寿明出演シーン増で視聴率回復か

(これまでのレビューはこちらから

 常盤貴子主演ドラマ『グッドワイフ』(TBS系)の第6話が2月17日に放送され、平均視聴率9.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録しました。

 二桁回復とはなりませんでしたが、微増という結果に。集団訴訟も話以外にも壮一郎(唐沢寿明)と杏子(常盤)の話も進み、面白さがいつもの2倍となったようで、ネットでは大好評となった6話。ではではどこが面白かったのか振り返っていきましょう。

 その前に、あらすじをさらっと。

■最凶(?)車椅子弁護士の登場で事務所がピンチに!

 賠償金15億円を見込める健康被害の集団訴訟を、多田(小泉孝太郎)とともに担当することとなった杏子。3年無料相談に乗り、やっと訴訟になったということで、張り切る多田。しかし、車椅子に乗った弁護士・三栗谷(春風亭昇太)が現れ、代理人の座を戦うことに。

 そんな中、三栗谷は裏でこの訴訟を利用して大企業の顧問弁護士の座を狙っていることが発覚。さらに、その大企業と被告側である企業が繋がっており、和解金を安く済ませようとしていたことも発覚。それを知った杏子たちは三栗谷にその事実を突きつけ、一人2,000万円の賠償金を支払うという条件で大勝訴となった。

 その一方、夫・壮一郎の方は保釈され、杏子たち家族の住むマンションに住むも、着々と自分を引き摺り下ろした黒幕を探っていた。そんな中、壮一郎の不倫相手である遠山亜紀(相武紗季)がテレビで関係を告白。さらに壮一郎を担当していた林弁護士(博多華丸)が辞任することになり、夫の不貞への怒りを持ちながらも、杏子は壮一郎の弁護士となるのだった、というのが今回のストーリーでした。

■面白さ抜群の回! だけど、ひとつ気になる点が……

 今回、視聴者から「最高に面白かった!」と大好評の声が放送直後から殺到していました。特に面白かったというのが、保釈され自宅に戻ってきた壮一郎と杏子のギクシャク感(笑)。まあ、どちらも演技が上手で「場が引き締まる」と好評だった様子。また、壮一郎の不倫相手・相武紗季がやっと登場。テレビのインタビューで壮一郎との関係を「お互い本気だった」と告白し、壮一郎は「違う、違う。そうじゃない!」と弁明するも、杏子はもう激怒。その上、担当弁護士は激怒して辞任。杏子がついに担当弁護士になるという、ここまで焦らした分、ハイスピードで進む内容に、視聴者も見ていてスッキリしたよう。それに、唐沢の出演シーンが増えたことで、男女問わず楽しめた様子。

 まあ、このまま、次回以降も軽快に進めばいいのですが……。原作版みたいな展開になるのでしょうか?

 その一方で、メインとなるはずの、集団訴訟の話では、ちょっと日本離れしているかというか、「弁護士法に違反しているのでは?」と思う部分が。

 春風亭昇太が演じる三栗谷弁護士は、一度原告団の依頼を受けて多田とともに共同代理人になりました。しかし、三栗谷は裏である大企業の顧問弁護士を狙っていて、その大企業と今回の訴訟被告側の企業の重役が同じということが発覚。実は原告のためではなく、被告側に有利になるように進めていたという内容だったのです。

 ですが、 正体が杏子たちにバレたことで、今度は企業側の代理人として立ち、原告側の弁護士である杏子たちと交渉するのは日本の弁護士法に違反しているような気が……。この点は視聴者からも指摘があがっていたんです。アメリカだとありなのかもしれませんが……。

 うーん。まあ、ドラマだしいいのかと思いたいのですが、今まで日本らしく脚色していただけに、ちょっと残念でした。

■スパイ探しが激化! 視聴者予想一番人気は……

 壮一郎を陥れた黒幕が南原官房副長官(三遊亭円楽)だということがわかり、その南原にいろいろと吹き込んだスパイを探そうとしていた今回。結局今回だけではわからなかったのですが、ネットでは、滝藤賢一演じる検察官・佐々木だと見る視聴者が続出。なんでも、壮一郎はあまり佐々木のいうことを聞かず勝手に動いているため、その反撃では?、という声があがっているよう。

 それと、滝藤だと、味方も敵も演じられるため、「ありそう!」という声が。

 また、今回最後に博多華丸が演じる林弁護士が辞任したんですが、この時、壮一郎は淡々としていたため、「もしかしたら華丸さんが!?」とこちらにもスパイ説が浮上。

 ますます、スパイ探しが激化している様子。次回ぐらいには影くらいはわかるかなと思うのですが……。うーん! 早く知りたい! ここは次回放送を楽しみに待ちましょう!

■視聴率悪くても、女性ウケ獲得で万々歳なTBS!?

 視聴率があまり良くないのがネックな『グッドワイフ』。今までと違った女性ウケを狙った作品だったことで、サラリーマン層が見ないのかもしれません。

 ですが、TBSとしては視聴率ではなく、この作品で今までなかった女性ウケを獲得したいと思っているのかなと思うんですよ。というのも、次回作が福山雅治主演ドラマ。これこそ、女性層が見ないと絶望的な感じが。その上、今福山は結婚以降、女性ウケが悪くなってますからね。

 福山作品のために、この作品を機に女性層を獲得したいだけなのかも? と思っちゃったんですよね〜。

 そのための作品だとすると、正直、視聴率なんて関係ないのかも!?  まあ、でも、作品の内容自体は面白いので、満足なんですがね(笑)!

 以上6話のレビューでした。

 次回はカリスマIT社長の案件を担当することに。壮一郎の方も夫婦で敵と戦っていくようですし、まだまだ、目が離せないですよ! 放送を楽しみに待ちましょう!

(どらまっ子KOROちゃん)

『3年A組』菅田将暉の剣幕に福原遥がガチ泣き! 真犯人は本当に田辺誠一!?

 2月10日放送の『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)の第6話。

 このドラマには、「犯人探し→説教→改心」という流れが毎回のフォーマットとしてある。今回の“犯人探し”の対象は生徒ではなく魁皇高校の教師だ。景山澪奈(上白石萌歌)を死に追いやった動画の作成を半グレ集団「ベルムズ」に依頼した悪の根源は誰なのか? 柊一颯(菅田将暉)は5人の教師に迫った。

「名乗り出なかった場合、教室を爆破します」(柊)

 教室に監禁されている生徒たちがザワついた。

「お前ら、先生を説得してみるか? 生徒が必死に命乞いをすれば、犯人の心が揺らぐかもしれない。Let’s Think!」(柊)

 こうして、3年A組内で教師を対象とした犯人予想が始まった。みんなの意見を募り、最終的に本命視されたのは水泳部顧問の坪井勝(神尾佑)だ。しかも、A組には個人的に坪井に恨みを持つ生徒がいる。

 水越涼音(福原遥)は、かつては人一倍練習する水泳部員だった。しかしある日、恋人の中尾連(三船海斗)と一緒にいるときの写真を坪井に差し出され、「男とイチャついてる奴が、練習来ても迷惑なんだよ!」と退部させられた過去がある。涼音はSNSを使って坪井を告発せんと動画を撮影した。

「元水泳部の水越涼音です。私は水泳部の顧問・坪井先生に執拗なセクハラとパワハラを受けました。私に付き合っている男性がいるとわかった途端、水泳の練習にすら参加させてもらえず、退部に追い込まれました。きっと、澪奈も同じ目に遭ったんだと思います。フェイク動画を作ったのは坪井先生に違いありません」

 ネットを使って坪井を追い詰める。涼音はそういう腹づもりだ。

 実は、坪井が涼音に退部を強制したのには理由があった。涼音は運動誘発性の致死性不整脈だった。過度な練習によって不整脈を起こし、そのまま運動を続けると命を落とす危険性がある。

「俺はお母さんからお前を説得するように頼まれた。『自分が言えばお前は無理してでも大会に出るだろうから』って。でも、俺が言っても同じだと思った。俺には ああいうやり方しか思いつかなかった。でも、結果的にそれがお前を苦しめていたんだな。本当に申し訳なかった」(坪井)

■5日間の“俺の授業”でも変わらなかった生徒たち

 涼音による告発動画アップは、すんでで柊がストップを掛けていた。坪井の真意を知り、動画の拡散を後悔していた涼音は、膝から崩れ落ちて安堵する。

「なんだ……よかったぁ……」(涼音)

 足元にいる涼音を柊は足蹴にし、引きずり回し、壁に叩きつけた。

「何がよかったんだ。おい、何がよかったんだ。お前が、この動画をネットに流そうとしたことに変わりはない、違うか? この動画が世間に広まったら、坪井先生がどんな目に遭ってたのか、よく考えたのか? なあ! 考えたのか!! お前の不用意な発言で、身に覚えのない汚名を着せられ。本人が! 家族が! 友人が! 傷つけられたかもしれないんだ。お前は取り返しのつかないことをやろうとしたんだ、なあ! わかってんのか!?」(柊)

 大前提として、坪井はやり方がよくない。写真をばらまくという形で部を辞めさせられた涼音は深く傷ついた。本人のためを思うなら、病気と向き合わせるべきである。今さら「実は……」と美談でまとめられても腑に落ちない。坪井は涼音を説得する努力を放棄した。不信感を抱かれるのも当然だ。

 それを踏まえても、柊は行く。今までのどの生徒よりも、涼音を厳しく指導する。あまりの剣幕に、クラスメートが制止に入った。

「もう、いいじゃん! しょうがないでしょ。結果、やってなかったんだからもう許してあげなよ!」

「そうだよ、涼音だって反省してんだ」

 まさに、そういうところだ。

「目を覚ませ! 何がしょうがないんだよ、おい。何を反省してるんだよ! お前ら、いいかげん目を覚ませよ。変わってくれよ! 何がいけなかったのか、上辺だけで物事を見ないで、よく考えるんだよ!」

「目の前の起こっているものをちゃんと目で受け止めて、頭に叩き込んで! 胸に刻むんだよ!! お前ら、それをしないから何回も何回も同じこと繰り返すんじゃねえのか?」

 今まで、3年A組は同じことを繰り返してきた。澪奈が自分を避けていると逆恨みし、感情に任せフェイク動画を拡散した宇佐美香帆(川栄李奈)。自分の不幸な境遇を誰も助けてくれないと決め付け、澪奈の盗撮動画をベルムズに渡した甲斐隼人(片寄涼太)。事実を確かめず、「自分は傷ついたから」と感情に身を任せ、取り返しのつかないことを起こしてしまう。それぞれの安易な思いで動画は投稿され、人生をムチャクチャにされた澪奈は自殺した。香帆も甲斐もそれを後悔している。その姿を目の前で見ていたはずの涼音が、また同じ過ちを繰り返そうとした。「変わろう!」と柊は繰り返し説いてきたのに、まだ感情に任せ後先考えず事を起こしてしまう生徒。今まで、何を見ていた!? まだ変わっていない、伝わっていない涼音だからこそ、他のどの生徒よりもキツく行ったのではないか。

「デジタルタトゥー」という言葉がある。ネット上に公開された書き込みは、一度拡散すると完全な削除は不可能という事実を示す表現だ。告発動画が投稿されたら、後で誤解とわかっても取り消せない。澪奈がフェイクの動画で自殺したように、不正確な情報でも坪井の人生は壊れてしまう。

「この動画が世間に広まったら、坪井先生がどんな目に遭ってたのか、よく考えたのか? なあ! 考えたのか!! お前の不用意な発言で、身に覚えのない汚名を着せられ。本人が! 家族が! 友人が! 傷つけられたかもしれないんだ。お前は取り返しのつかないことをやろうとしたんだ、なあ! わかってんのか!?」(柊)

「結果、やってなかったんだから」で許してしまうわけにはいかない。行動そのものを看過しない。よく考えろ。澪奈のような最期を生まないために。「傷ついた」を大義名分に、衝動的に事を起こしてはダメなのだ。

 第5話で、柊はこう言っていた。

「景山の事件は、誰が死んでいてもおかしくなかった。ターゲットになったのがたまたま景山だっただけで、お前たちの誰かが同じような目に遭う可能性も十分にあった」

 何かの拍子で、誰しもがSNSで標的にされる可能性がある。その意味も含んでの発言だったのではないか? だからこそ、よく考える。「Let’s Think!」なのだ。

 柊は、「不用意な発言で身に覚えのない汚名を着せられる人がいる。取り返しのつかないことだ」と強く説いた。そんな彼が、テレビカメラが入る公の場で「真犯人は武智大和(田辺誠一)」と名指しした。やはり、本当に武智が犯人なのだろうか?

 柊の呼びかけに対し、教師から名乗りは出なかった。予告どおり教室は爆破された。しかし、柊が爆破したのはA組ではなく、武智が受け持つB組だった。これは「もう授業しないでいいですよ」というメッセージであり、武智への挑発か?

 ただ、この教師が“黒幕”というのもひねりがない気もする。次回予告を見ると、郡司真人(椎名桔平)の「柊の狙いは本当にこいつなのか!?」という声も聞こえてくる。

 メッセージは存分に伝わってくる。でも、相変わらず先の読めないドラマである。

(文=寺西ジャジューカ)