『後妻業』第7話 木村佳乃も篠田麻里子も陥落……やっぱり高橋克典のフェロモンが無敵説

『後妻業』第7話 木村佳乃も篠田麻里子も陥落……やっぱり高橋克典のフェロモンが無敵説の画像1

『後妻業』(フジテレビ系)第7話「資産家老人殺人の驚きの真相発覚!不倫妻の決意とすれ違いの夜」

(前回までのレビューはこちらから)

「死にたい」は老人たちのトーク術にすぎなかったのか!?

 前回のラスト、柏木亨(高橋克典)に対して、

「小夜子ではなく、私と手を組みませんか?」

 なんて、トンデモない提案をしていた中瀬朋美(木村多江)。

 ひとまず柏木からたしなめられ、提案はうやむやになっていたが、武内小夜子(木村佳乃)&柏木の後妻業チームと、朋美&本多芳則(伊原剛志)の不倫カップルチームのバトルは激化していく。

 小夜子が「後妻業」のターゲットとして狙っていた笹島雅樹(麿赤兒)が練炭自殺で亡くなったということで、「絶対に小夜子が殺ったはず」と確信した朋美たちは、笹島邸に出入りしていた証拠をマスコミにばらまくと小夜子を脅す。

 逆に後妻業チームも朋美を呼び出して、笹島からはまだ遺言公正証書にサインをもらっていないと明かし、潔白を主張。

「笹島のじいさんは、自殺やったんやないかな」

 長年医師として活動してきた笹島は、助けられなかった患者たちへの自責の念から「早う死んでしまいたいんですわ」と語っていたのだ。

 小夜子を疑う朋美、自殺を確信する小夜子。しかし実際はどちらもハズレ。通いの家政婦による怨恨殺人だったということが判明する。

 朋美の父親も含め、「死にたい」と言っているさびしい老人は殺してあげるのがその人のためだと考えてきた小夜子。

 しかし、老人たちの語る「死にたい」は、若い女の気を引くための話題のひとつにすぎず、自殺をするほど本気で言っているわけではなかったのでは……。そう思わされる事件だった。

 笹島の件では振り上げた拳のやり場がなくなってしまった朋美。弱り目にたたり目で、浮気していた事実婚の夫・司郎からも別れを切り出されてしまう。

 事実婚だったとしても浮気に対する慰謝料は発生するはずだし、いろいろともめる方法はあるはずだが、朋美はすんなり受け入れてしまった。

 自分の不妊が原因でふたりの関係がギクシャクし、挙げ句、夫は若い女に走ってしまったという精神的ダメージに耐えるので精一杯といったところだろうか。

 これだけつらいことがあったら仕方がないかな、とも思わなくもないが、それにしてもちょと朋美はユルイ。

 夫が去った直後、何だかんだでヤッてしまった本多のところにメール。

「お酒、飲まない?」

 しかし本多から「今は、二人で会うのはまずい」という返信が来ると(これはこれで、一発ヤッたら気が済んじゃった感があるが)仕方なくひとりでホテルのバーに飲みに行く。

「東京リッチホテルのバーに行って、ひとりで飲むね」

 み……未練がましいメール!

 ところが、そこで柏木と遭遇すると、「付き合おうか?」と言われてベロ酔い。そのままホテルの部屋にお持ち帰りされてしまったのだ。

 これから裁判などで争うことになるかもしれない相手にこうもカンタンに身体を預けてしまうとは、朋美、ちょっとユルイにもほどがないだろうか。

 小夜子に犯罪行為の責任を押しつけて私と組もうと言っていただけに、柏木に対する怨恨は薄いのか?

「後妻業」を行っている小夜子&柏木のバディが憎いというよりは、やはり小夜子単体への対抗意識の方が強いということだろう。

 その小夜子の方も、「後妻業」の新たなターゲットとしてアプローチをかけている舟山(中条きよし)と食事に。

 イケメンだし紳士だし金も持っているし……。しかし冷静に見ると結婚詐欺師感がハンパない。

 それでも小夜子はイケメン・オーラにやられてメロメロになってしまっているようだ。小夜子は小夜子で、騙される側になるとこうもチョロいのか。

 小夜子も朋美も、心に傷を抱えているさびしい女同士。心にポッカリ空いた穴を攻められると弱そうだ。

 本多も、家族に出て行かれてしまったという傷がある。こう考えると、なーんにもダメージを受けていないのは柏木だけだ。

 それでいながら、特にあくどい手を使うまでもなく、おのれのフェロモンのみで篠田麻里子は抱くわ、木村多江は抱くわ、さらに小夜子からも惚れられていそうだし……。

 うーん、やっぱり高橋克典が最強だ。

 ちなみにGYAO!で配信されているスピンオフ「チェインストーリー」では、繭美(篠田麻里子)以外のホステスともヤッている。おお……。

 金持ちのジジイを狙う「後妻業」じゃなくて、柏木自身が金持ちのババアを狙った「後夫業」の方が手っ取り早かったんじゃないだろうか!?
(文とイラスト=北村ヂン)

『トレース~科捜研の男~』最終回目前、錦戸亮が感情爆発! 主役の魅力が際立つ第9話!

(これまでのレビューはこちらから

 3月4日放映の第9話。『僕と彼女と彼女の生きる道』(フジテレビ・2004年)で凛ちゃんを演じていた美山加恋が冒頭から死体として登場する、その衝撃の内容から。

 仮出所した富樫康太(和田正人)は元恋人・胡桃沢綾乃(美山加恋)の自宅で彼女の遺体を発見する。慌てて逃げ出した富樫は、容疑者として警察から追われることに。7年前に富樫を逮捕した虎丸(船越英一郎)は、彼の犯行ではないと信じるも、それが仇となり捜査から外されてしまう。虎丸は礼二(関ジャニ∞・錦戸亮)に富樫の無実を証明してほしいと頼む。正規の捜査でない真相の解明に、礼二ら科捜研の面々は挑むのであった。

 以上が第9話のあらすじだ。次章より、その内容を振り返りつつ、感想を綴りたい。

■「そうそうこれが見たかった!」感情爆発させた錦戸演じる真野礼二の活躍!

 第9話は、バランスのとれた良質な回だった。

 事件の内容・キャラクターの心情・最終話への伏線。すべて過不足なく描かれており、見易いと同時に、主人公・礼二たちの目線で富樫が助かってほしいと願えた。

 シンプルな物ほど、作り手の頭はフル回転になる。特に第9話は、礼二が家族を失った25年前の事件の振り返りと、メインの富樫の事件の起承転結を描かなければならず、情報量が多かった。

 それでもスルッと見れたのは、脚本の段階から情報の圧縮と連結が見事だったからだろう。

 今までは俯瞰して事件と向き合っていた主人公・礼二が、感情移入して事件に寄り添い、真実を導き出す。それ故に25年前の事件の情報提示を最小限にとどめる事ができていた。

 礼二が正規の依頼でないにもかかわらず、富樫の無実の証明を引き受けたのは、25年前家族殺しのレッテルを貼られた兄を想っての事だろう。虎丸が富樫への「俺だけが(殺してないと)信じてやらなきゃいけない」といった想いを聞き、口には出さないが、「兄にもそう言ってくれる人がいてくれたら」と礼二は感じたに違いない。

 また、富樫が元恋人・綾乃を殺した疑いの強い人間に報復しようとした際、礼二が感情を露わにして食い止める場面は珠玉のシーンだった。

 前提として富樫という男は、父親が犯罪者だったせいで白い目で見られる人生を送ってきた。唯一自分を信頼してくれた元恋人まで失い、自分が加害者として疑われている。「恵まれて生きてきたお前(礼二)には俺の気持ちはわからない」と言う富樫に対し、「俺も同じだ」と家族を失った過去を語る礼二。虎丸とノンナ(新木優子)を前にし、他人に知られたくない過去を持ち出してでも富樫を止めようとする自己犠牲には、胸が熱くなった。

 しかも、主観でなく根拠に基づいて捜査する礼二のキャラを損ねなかったのが素晴らしい。富樫に対して、「根拠がないまま疑う相手を狙うのは、犯罪者の息子だから罪を犯すと言ってくる連中と同じ」という旨を語る。バックグラウンドから誘発される感情の昂りと、性格に由来する説得の仕方……見逃し配信でいうと23分目からの5分間だけでもいいので、多くの人に見てほしいと感じる。

 先の回で必要な要素を組み上げながら名場面にしてしまうメイン脚本の相沢友子氏の腕は一級品であった。

■作中で描かれない関係性まで伝わる演出

 第9話の監督である三橋利行氏の演出も冴えていた。

 昨年4月期の月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』(同)でも、三橋氏の演出は、台本の良さを引き立てていた。台詞は聞き取りやすく、見せるべき画は見せるという基本を大切にする。無駄なオカズは挟まないため、話についていけなくなることはない。

 本作第9話においては、足し引きの塩梅が絶妙だった。タイトル前、礼二と虎丸が別々の方向を歩き出すだけの場面を濃く見せる事で「今回はこの二人が主軸の物語」とわかった。逆に、科捜研メンバーがノンナの恋心をイジる場面は、シリアスさが崩壊しないようアッサリと終わらせていた。

 またクライマックスで、逃亡する富樫を捜索する際、礼二の同僚たちが協力する場面がある。最終回に向けて特に描かなければならないのは礼二と彼らとの関係値だ。

 市原浩(遠山俊也)は、富樫との通話中の音声を解析するプロフェッショナルな側面で協力的な姿勢を提示できる。ここまでは台本領域であるが、相良一臣(山崎樹範)は捜索開始の際、礼二の肩をポンと叩いたのは演出と演技の領域の可能性が高い。相楽の兄の死の真相を解き明かす4話以来、あまり描かれなかった礼二と相楽との関係の進展が垣間見えた。

 富樫捜索の場面で、いつもエンディングで流れる主題歌を使った編集も、最終回直前だからこそできるニクい演出だった。

 連ドラ後半は、撮影スケジュールがカツカツとなる事が多く、本作も例外ではないと思う。そんな中でも、可能な範囲で出来る限りの事をしようとする姿勢が作品と同様に好感が持てた。

■最終回のセットアップとしても良質な回

 今回は同僚たちだけでなく、虎丸・ノンナと礼二との関係が深まる回だった。虎丸は礼二を素直に頼れるようになっており、ノンナも礼二への恋心を素直に認め、彼を救いたいという想いが明確となった。

 そんな温かい気持ちで繋がる仲間たちであるが、礼二自身は25年前の真相の解明を「復讐」と捉えている節がある。今回、富樫の救出を通して感情を爆発させたからこそ、真犯人と向き合ったときの礼二の行動が楽しみとなった。

 次回は、袴田吉彦が演じる兄の元同級生が絡む事件。11日放送の第10話にも期待したい。

(海女デウス)

『トレース~科捜研の男~』最終回目前、錦戸亮が感情爆発! 主役の魅力が際立つ第9話!

(これまでのレビューはこちらから

 3月4日放映の第9話。『僕と彼女と彼女の生きる道』(フジテレビ・2004年)で凛ちゃんを演じていた美山加恋が冒頭から死体として登場する、その衝撃の内容から。

 仮出所した富樫康太(和田正人)は元恋人・胡桃沢綾乃(美山加恋)の自宅で彼女の遺体を発見する。慌てて逃げ出した富樫は、容疑者として警察から追われることに。7年前に富樫を逮捕した虎丸(船越英一郎)は、彼の犯行ではないと信じるも、それが仇となり捜査から外されてしまう。虎丸は礼二(関ジャニ∞・錦戸亮)に富樫の無実を証明してほしいと頼む。正規の捜査でない真相の解明に、礼二ら科捜研の面々は挑むのであった。

 以上が第9話のあらすじだ。次章より、その内容を振り返りつつ、感想を綴りたい。

■「そうそうこれが見たかった!」感情爆発させた錦戸演じる真野礼二の活躍!

 第9話は、バランスのとれた良質な回だった。

 事件の内容・キャラクターの心情・最終話への伏線。すべて過不足なく描かれており、見易いと同時に、主人公・礼二たちの目線で富樫が助かってほしいと願えた。

 シンプルな物ほど、作り手の頭はフル回転になる。特に第9話は、礼二が家族を失った25年前の事件の振り返りと、メインの富樫の事件の起承転結を描かなければならず、情報量が多かった。

 それでもスルッと見れたのは、脚本の段階から情報の圧縮と連結が見事だったからだろう。

 今までは俯瞰して事件と向き合っていた主人公・礼二が、感情移入して事件に寄り添い、真実を導き出す。それ故に25年前の事件の情報提示を最小限にとどめる事ができていた。

 礼二が正規の依頼でないにもかかわらず、富樫の無実の証明を引き受けたのは、25年前家族殺しのレッテルを貼られた兄を想っての事だろう。虎丸が富樫への「俺だけが(殺してないと)信じてやらなきゃいけない」といった想いを聞き、口には出さないが、「兄にもそう言ってくれる人がいてくれたら」と礼二は感じたに違いない。

 また、富樫が元恋人・綾乃を殺した疑いの強い人間に報復しようとした際、礼二が感情を露わにして食い止める場面は珠玉のシーンだった。

 前提として富樫という男は、父親が犯罪者だったせいで白い目で見られる人生を送ってきた。唯一自分を信頼してくれた元恋人まで失い、自分が加害者として疑われている。「恵まれて生きてきたお前(礼二)には俺の気持ちはわからない」と言う富樫に対し、「俺も同じだ」と家族を失った過去を語る礼二。虎丸とノンナ(新木優子)を前にし、他人に知られたくない過去を持ち出してでも富樫を止めようとする自己犠牲には、胸が熱くなった。

 しかも、主観でなく根拠に基づいて捜査する礼二のキャラを損ねなかったのが素晴らしい。富樫に対して、「根拠がないまま疑う相手を狙うのは、犯罪者の息子だから罪を犯すと言ってくる連中と同じ」という旨を語る。バックグラウンドから誘発される感情の昂りと、性格に由来する説得の仕方……見逃し配信でいうと23分目からの5分間だけでもいいので、多くの人に見てほしいと感じる。

 先の回で必要な要素を組み上げながら名場面にしてしまうメイン脚本の相沢友子氏の腕は一級品であった。

■作中で描かれない関係性まで伝わる演出

 第9話の監督である三橋利行氏の演出も冴えていた。

 昨年4月期の月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』(同)でも、三橋氏の演出は、台本の良さを引き立てていた。台詞は聞き取りやすく、見せるべき画は見せるという基本を大切にする。無駄なオカズは挟まないため、話についていけなくなることはない。

 本作第9話においては、足し引きの塩梅が絶妙だった。タイトル前、礼二と虎丸が別々の方向を歩き出すだけの場面を濃く見せる事で「今回はこの二人が主軸の物語」とわかった。逆に、科捜研メンバーがノンナの恋心をイジる場面は、シリアスさが崩壊しないようアッサリと終わらせていた。

 またクライマックスで、逃亡する富樫を捜索する際、礼二の同僚たちが協力する場面がある。最終回に向けて特に描かなければならないのは礼二と彼らとの関係値だ。

 市原浩(遠山俊也)は、富樫との通話中の音声を解析するプロフェッショナルな側面で協力的な姿勢を提示できる。ここまでは台本領域であるが、相良一臣(山崎樹範)は捜索開始の際、礼二の肩をポンと叩いたのは演出と演技の領域の可能性が高い。相楽の兄の死の真相を解き明かす4話以来、あまり描かれなかった礼二と相楽との関係の進展が垣間見えた。

 富樫捜索の場面で、いつもエンディングで流れる主題歌を使った編集も、最終回直前だからこそできるニクい演出だった。

 連ドラ後半は、撮影スケジュールがカツカツとなる事が多く、本作も例外ではないと思う。そんな中でも、可能な範囲で出来る限りの事をしようとする姿勢が作品と同様に好感が持てた。

■最終回のセットアップとしても良質な回

 今回は同僚たちだけでなく、虎丸・ノンナと礼二との関係が深まる回だった。虎丸は礼二を素直に頼れるようになっており、ノンナも礼二への恋心を素直に認め、彼を救いたいという想いが明確となった。

 そんな温かい気持ちで繋がる仲間たちであるが、礼二自身は25年前の真相の解明を「復讐」と捉えている節がある。今回、富樫の救出を通して感情を爆発させたからこそ、真犯人と向き合ったときの礼二の行動が楽しみとなった。

 次回は、袴田吉彦が演じる兄の元同級生が絡む事件。11日放送の第10話にも期待したい。

(海女デウス)

最終話は15.4%! 菅田将暉主演『3年A組』はなぜ支持されたのか?

 昨日(3月10日)、『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)の最終話が放送された。

 多くの視聴者の予想通り、柊一颯(菅田将暉)が起こした今回の騒動はSNSに警鐘を鳴らすことが目的だった。

澪奈のさくらへの別れが手紙だった理由

 景山澪奈(上白石萌歌)が自殺した日、茅野さくら(永野芽郁)はビルの屋上で澪奈と会っていた。さくらはクラスでいじめを受ける澪奈を見て見ぬふりし、皆と同じように無視したことを謝罪した。

 ちょうどそのとき携帯が鳴り、さくらは会話を中断。そして、スマホを手に取った。すると、澪奈の耳にだけ「ドーピングの景山澪奈だ」「悲劇のヒロイン気取ってんじゃねえよ」という声が届く。

「やめて……。なんでそんなこと言うの!? なんで私を責めるの!?」(澪奈)

 スマホに文字を打ち込むさくらを見て、様子がおかしくなる澪奈。さくらが味方だとはわかっている。なのに、さくらが敵に見えてしまう。SNSで誹謗中傷にさらされ、澪奈の身には幻覚や幻聴が起こるようになっていた。

「ダメなの。皆が敵に見えて、そんな風に思う自分が嫌で、たまらなく嫌で。だからもう、無理なんだ」(澪奈)

 澪奈は屋上から飛び降り、自らの命を絶った。

 第1話で「もう二度と話しかけないで。さくらとは友達になれない」と、澪奈から手紙をもらったことをさくらは明かした。それを聞いた柊は「なんで手紙だったんだろうな?」と質問した。もう、澪奈はメールも打てないくらいに追い詰められていたのだ。

 SNSで標的にされ、澪奈のように心の病気になった人は現実でも大勢いるはずだ。

 郡司(椎名桔平)を人質に取り、校舎の屋上に上がった柊は、「すべての真相をお話する」とSNSでライブ中継を行った。

 まず、澪奈が亡くなった当日にビルから柊が出てきた映像について。これは相良孝彦(矢島健一)協力のもとに柊が製作したフェイク動画だった。その事実を知り、「俺たちをコケにしたってことかぁぁぁ!」「ワレ、何がしたいんじゃボケッ!」と怒りの書き込みがSNSで相次いだ。

「ハハハッ! 混乱してるねぇ! なのに、けなすことは忘れない。これだよ、これ! これが、俺が立てこもった最大の理由だよ」(柊)

 フェイク動画を使い状況を二転三転させ、いかに不確かな情報に踊らされているかをネット民に自覚させる。これが柊の狙いだ。柊を凶悪犯扱いし、その後にヒーロー扱いし、武智大和(田辺誠一)に矛先を変え、再び柊を糾弾。確かに彼らは信憑性のない情報を元にたびたび態度を翻し、その都度、罵詈雑言を浴びせていた。

「これを娯楽としか思っていないあんたに言ってんだよ! おい! そこの!! 周りに流されて意見を合わせることしかできない、お前に言ってんだよ!」(柊)

 マインドボイスに向き合う柊の視線が、視聴者の視線と合っている。「お前らに言ってんだ!」と叫ぶ柊。彼は、ドラマを見る我々に直接伝えようとしている。明らかに、私たちに向けての言葉だった。

「お前ら、景山の何を知ってたんだよ? 何にも知らねえだろ! 会ったことねえだろ、話したこともねえだろ! 大して知りもしないのに、なんであんなに叩けるんだよ? 『ウザイ』『キモい』『死ね』、よくもまぁそんなゲスなワードがポンポン出てくるもんだわ、恥ずかしい……。それだよ、それ! そのお前の自覚のない悪意が、景山澪奈を殺したんだよ!」

「自分の親や、友だちに面と向かって言えない言葉を、見ず知らずの他人にぶつけんなよ。お前のストレスの発散で他人の心をえぐるなよ」

「右にならって吐いた何気ない一言が、相手を深く傷つけるかもしれない。独りよがりに、偏った正義感が束になることでいとも簡単に人の命を奪えるかもしれないってことを、そこにいる君に! これを見ているあなたに! 一人一人の胸に刻んでほしいんだよ。他人に同調するより、他人を貶すより、まずは自分を律して、磨いて作っていくことが大切なんじゃないのか?」

 こんなに熱弁を振るったとしても、ネット(私たち)はきっと変わらない。このメッセージを受け止め「感動した」と言っている人も、きっと数日後には忘れてしまう。いじめがなくならないのと同じようにゼロ。それが現実だ。3周忌の際、柊の遺影にさくらが語りかけた「あの事件で世の中が大きく変わったなんてことは全然ない」という言葉はリアルだった。

 ドラマはある1人のネットユーザーへフォーカスする。柊のライブ中継開始を待機し「叩く準備はできたぞ、ばっちこーい!」と書き込んだ青年である。数年後、彼は「お前なんか死ねばいいのに」と書き込む寸前に思いとどまり、打ち込んだ文字をdeleteした。

 きっと、ネットは変わらない。でも、誰か1人でも考える機会になればいい。この青年のように。それが制作陣の思いではないだろうか。

 はっきり言ってこのドラマ、細部が雑だった。ストーリーに整合性が取れていない箇所があるし、未回収の伏線も多い(元大臣・牧原の存在、朝の体操が派手な理由、教師時代の郡司の教え子のこと、澪奈の絵画について等)。恐らく、あまり先のことを考えず脚本を作り、熱さのみで突っ走った結果だろう。

 でも、「一時の感情で不用意な行動を起こすな」「自覚なき悪意を見ず知らずの他人にぶつけるな」という真芯だけは、全話通じてぶれていない。

 ネットでは「中高生など若者向けのドラマ」「大人には響かないけど子どもに響けばいい」という視聴者の声が散見された。果たしてそうだろうか? 柊のメッセージを理解していない大人は大勢いる。それどころか、SNSで汚い言葉を発するのはどちらかと言えば大人のほうだ。武智はネットを悪用する大人の象徴のような存在だった。「若者ばかりに向けたメッセージではない」という制作陣の意図を察することができるのだ。

 ライブ配信終了後に柊は屋上から飛び降り(死ぬつもりはなかったが)、寸前で生徒たちに助けられた。

「死ぬのは……怖いな」(柊)

 死を怖がるよりも、ネットの罵詈雑言に耐えられず命を絶った澪奈。彼女のような存在を生み出してはならない。だから、私たちはLet’s Think!しなければならない。

 正直、「ほかに黒幕がいる?」「最終話にどんでん返しがある?」等の予想もしていた。いや。ドラマが発するメッセージは、最後まで愚直なほどにどストレートだったのだ。

(文=寺西ジャジューカ)

『3年A組』菅田将暉の最終目標はやはりSNS? 永野芽郁の告白の真意とは? 伏線を徹底検証!

 3月3日放送『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)の第9話。正直、今回はほとんど進展がなかった。端的に言えば、まだ回収していない伏線をなぞった程度。

 そこで、本稿では残された未解決箇所で特に気になるものを振り返っていこうと思う。

武智の惨状が暗示する、澪奈の死の真相

 まず気になるのは、景山澪奈(上白石萌歌)の死の真相だ。あのとき、澪奈はどういう状態だったのか。

 柊一颯(菅田将暉)は、騒動を起こした目的の1つとして「武智大和(田辺誠一)に犯した過ちを気づかせ、澪奈が味わった苦痛を追体験させること」を挙げた。ビルから出てくるフェイク動画が拡散されて以降、武智の様子は明らかにおかしい。視界は歪み、幻覚と幻聴が彼を襲っている。ネットで袋叩きに遭ったせいで猜疑心にさいなまれ、世の中すべてが敵に見えてしまっている。

 追体験ということは、澪奈もこんな状況に陥っていたのかもしれない。生前の彼女が発した言葉「私はもう私じゃない」は、レッテルを貼られ、本来とは違う自分(ドーピング疑惑など)がネット上で作り上げられたことに対する嘆きだった気がする。

 そんな彼女が茅野さくら(永野芽郁)にビルへ呼び出され、そこで何かが起こった。武智の身に起こっている視界の歪みは、澪奈が死んだ原因の大きなヒントになっているはずだ。

さくらの告白は自責の念から?

 今回、さくらは意を決して「私が澪奈を殺した」とクラスメートに打ち明けた。 

 第9話のオープニングでは、舞台は数年後の3月9日へ移り、3年A組の生徒たちが亡き柊の三回忌に再び教室へと集まっていた。さくらも出席している。よって、さくらが真犯人ではないことは明らかだ。しかも、「俺の授業」で柊は“本当の犯人”の名を生徒たちに明かしている(放送上は伏せられた)。つまり、さくらの告白は自責の念にかられたフライング発言の可能性が高い。

 柊は逢沢博己(萩原利久)に協力を仰いだ際、「(計画の実行は)茅野のためでもある」と言っていた。この発言から、さくらの抱える“罪の意識”を払拭する狙いが柊にあったと考えられる。

 そもそも、初回でさくらが「私のせいで澪奈は命を絶った」と言った際、柊ははっきりと「お前のせいじゃない」と否定していた。さくらのせいじゃないのだ。

 なぜ、さくらは自責の念にかられたのか?

 澪奈は「強い」と言われることを極度に嫌がっていた。水泳のオリンピック代表を有望視されていた澪奈。プレッシャーの強い日々だ。そんな彼女がさくらと出会い、喜んだ。

「私、本当の友だちができたかもしれない」と。

 しかし、さくらも他の者と同じように澪奈を特別扱いし、崇めた。

「澪奈は、天上天下唯我独尊、『私は私、文句ある?』、タフネスの代名詞じゃん。澪奈は最強だもん」(さくら)

 この言葉を聞き、澪奈は表情を曇らせた。

「さくらが、私は強いって……。たぶん、さくらに一番言われたくなかった言葉。私は強くなんかないから」(澪奈)

 結局、初回でさくらが言った「私は澪奈を被写体としてしか見てなかった」という後悔に集約されるのだ。弱さを見せてもいい“本当の友だち”と思っていたのに、やっぱりさくらも澪奈を偶像崇拝した。澪奈の悲しみに気づいたさくらが「澪奈を追い詰めたのは私」と悔やみ、その感情から「私が澪奈を殺した」と口にしてしまった気がする。

■柊の最終目標はSNSか?

 この仮説に則ったとすると、柊の最終目標はやはりネット民、SNSではないだろうか。他者の投稿で“自分じゃない自分”が独り歩きし、拡散される場でもあるからだ。そうなると、武智をターゲットにしたことが一層腑に落ちる。ネットでの蛮行がブーメランとして襲ってきてからでは、気づいたとしてももう遅い。武智の惨状は、それをわかりやすく表している。

 つまり、このドラマが言っていることは毎回同じだ。不確かな情報に踊らされず、本質を見極めろ。浅はかで愚かな投稿は人を傷つけ、死に追いやることさえある。悪意にまみれたナイフは本人だけでなく家族や友人を巻き込み、食い尽くす。

 現在、『3年A組』が映画化されるというネットニュースが流布されている。最終話で謎が解き明かされず、真のエンディングは劇場に持ち越されるという内容だ。

 この情報そのものが、「ネットに踊らされるな」「本質を見極めろ」というドラマからのメッセージにさえ思えてきた。まさに、ドラマを見てきた視聴者に向けてのLet’s Think!というところか。

(文=寺西ジャジューカ)

坂口健太郎『イノセンス~冤罪弁護士~』川島海荷に人妻役はまだ早い? 演技に違和感ありすぎる!

(これまでのレビューはこちら

 坂口健太郎主演ドラマ『イノセンス~冤罪弁護士~』第7話が3月2日に放送され、平均視聴率9.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録しました。

 自己最高となる視聴率を記録した今回。未亡人となった容疑者の冤罪を証明するというストーリーで、現実社会で起こった「紀州のドンファン事件」を思い出させるような内容に注目が集まったのかもしれませんね。

 ではでは、今週もあらすじから振り返っていきましょう!

■偽装殺人を疑われた若妻は本当にシロなのか?

 自殺を装い夫で資産家の乗鞍権三郎(団時朗)を殺害した容疑で逮捕された妻の満里奈(川島海荷)。満里奈は夫が無理心中を図ったと主張するも、事件前の行動がおかしすぎると疑惑を掛けられ、拓(坂口)の上司である湯布院(志賀廣太郎)に依頼したという。拓は無罪の方向で裁判を進めようとするも、なぜ満里奈だけが生き残ったのかと疑問を持ってしまい、うまく弁護できず。

 そんな中、満里奈の家族が投資詐欺に遭い、家族一過心中を起していたことが判明し、その投資詐欺には乗鞍が関わっていた事実も発覚。さらに満里奈には、心中によって脳障害を負い、寝たきりの弟がいる事実も発覚。それを満里奈に突きつけるも、満里奈は無罪を主張し続ける。

 そんな満里奈に拓の疑問は、さらに深まる一方。満里奈が生き残ったワケを拓自ら被験者となって命がけの実験を行なう。そこでわかった事実を満里奈へ伝えると、満里奈は自分が乗鞍を殺害したことを自白し、拓を解任する。

 弁護士を変えて裁判に挑む満里奈。しかし、弟が亡くなったと知り、愕然。自分が乗鞍を殺したと供述を翻すのだった、というのが今回のストーリーでした。

■川島海荷に人妻役は無理? 演技が変すぎる

 今回未亡人という役柄を演じた川島。子役から見ているだけに「大人の役をこなすって、もうそんな大人になったか~」と思っちゃったんです。ですが、ドラマを見ていたら「ん? なんか違う!」と一瞬にして、演技に違和感を持ってしまったんですよね(苦笑)。

「私、無罪だよ~」と目を見開いたり、開き直って態度がすごく悪くなったり、本人としては、未亡人の若妻になりきろうと頑張っているのかもしれませんが、すごい無理して演技している感が……。ネットでも「あれ、変じゃない?」といった疑問の声が多く上がっており、筆者と同じく違和感を持った人がたくさんいました。

 放送前の予告ではね~、よかったんですよ。それに、ほら、川島といえば、不倫疑惑が上がっていただけに、「おお、地でいく感じかな!?」と期待が大きくなっていただけに、この結果は残念。

 最後に自白するところも、う~ん、あまり良くなかったし……。演技が激しすぎて、正直着いていけませんでした。

■真実を追っていく坂口健太郎の演技が「か、かわいい」!

 今回、実は冤罪ではなかったという内容のためか、いつも以上に暗い演技を見せていた坂口。その演技がとてもカワイイんですよ(キュン)!

 満里奈の家族に起こった過去の事件を調べていくうちに、「弟には会っていない」といった満里奈が実は弟に会っていたことを知り、ウソをつかれていたと拓はショックを受けるんですが、目を点にして「会ってないって言ってたのに……」と悲しそうな声を出すんですが、このときの小さく弱々しい声が本当にかわいい!

 また、全体的にシリアスなシーンが多い回だったんですが、弱っていく坂口にカメラも寄るわ寄るわ。何度も寄る! もう、演出家の方に「あざ~っす!」と礼を言いたい。

 1話のレビューで「坂口を愛でるドラマ」だと言いましたが、今回はそれがさらに強まったような……。ファンにはたまらない回となったのではないでしょうか?

■やっぱり今回も……警察・検察側が無能すぎる!

 どうして満里奈だけが生き残ったのか、という理由に二酸化マンガンを使って酸素を作り、吸って助かった、さらに使った二酸化マンガンは事件現場となった寝室の水槽の中にあったという事実を発見した拓たち。ですが、普通ならこういう証拠って警察や検事が捜査して見つけるはずではないのか、とふと思ったんですよ。

 警察は結構、隅々まで調べますからね。普通ならすぐに見つかるはず。

 なのに、今回は弁護士側が見つけるという……。なんとも、無能すぎはしませんか? 前に、検察側が無能すぎると何度も言ってきましたが、懲りずにまたもや。

 う~ん。弁護士側がメインで扱っているテーマが冤罪だから、敵の警察・検察側を無能に描かなければいけないのかもしれませんが……。あまりに無能すぎて、不快な気分に。

 この点はきっと、最後まで続くのでしょうね……。我慢するしかなさそうですね。

 以上、7話のレビューでした。

 次回は、やっと、拓が弁護士になるきっかけとなった事件が明らかになりそうな予感! まだまだ見逃せませんよ~。放送を楽しみに待ちましょう!

(どらまっ子KOROちゃん)

高畑充希『メゾン・ド・ポリス』まさかの展開も、「セリフで片付けすぎ!」 竜星涼の“変貌”には称賛の声も……

 3月1日放送の『メゾン・ド・ポリス』(TBS系)第8話の平均視聴率は9.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、前回より0.8ポイントアップ! 裏で『第42回日本アカデミー賞授賞式』(日本テレビ系)が放送されていたわりに、健闘をみせました。

 衝撃の展開が功を奏したのか……今週もまずはあらすじから振り返っていきます!

(前回までのレビューはこちらから)

藤堂さんを誘拐した犯人は……

 ある日、藤堂さん(野口五郎)が誘拐される事件が発生。犯人は、スマホ越しに外部との連絡手段を断つよう命じ、テレビ電話でメゾンのおじさんたちを監視しながら、30分以内に1億円の価値がある“情報”を提示するよう要求してきます。亡くなった父と同じ高遠建設の社員で、3年前に建設現場で転落死した池原の妻・美砂(萩野友里)を連れてメゾンにやってきたひより(高畑充希)は、オレオレ詐欺被害の相談をしにメゾンへやってきた少女・館林桃香(住田萌乃)が持っていたジュニアケータイで桃香の母・真琴(東風万智子)に警察に連絡するよう頼みますが、その真琴までもが犯人に捕まってしまい、もはや打つ手なし。

 タイムリミットまで5分を切る中、高遠建設の事件についての資料を求める犯人の望み通り、伊達さん(近藤正臣)は机の引き出しから事件についてまとめた資料を引っ張り出してきますが、そこに真新しい情報はありません。

「ここへ直接来てお調べになったらどうですか? 館林真琴さん」

 と、毅然とした態度の伊達さん。実は、電話の向こうの犯人は真琴で、高遠建設の事件を追っているフリージャーナリストの彼女は、美砂とともに、ひよりが計画した狂言誘拐に協力していたのです。ほかのおじさんたちも、ひよりが犯人であることに気づいていました。

 美砂に会いに行き、彼女から真琴を紹介されたひよりは、高遠建設が警察OBの天下り先になっていたこと、伊達さんが警視庁の副総監から退官後、高遠建設の社外取締役として天下りをしていたことを知り、伊達さんから真相を聞きだすために狂言誘拐を実行。藤堂さんには、エイプリルフールに向けてのサプライズ写真を撮ると言って、協力してもらいました。

 ひよりは伊達さんを怪しみますが、伊達さんが高遠建設に天下りをしたのは、事件の真相を調べるため。しかし、結局何の情報も掴めなかった伊達さんは、真相を見つけてくれるかもしれないと当時事件を追っていた夏目さん(西島秀俊)、そしてひよりのこともメゾンに呼んだそうです。

 何を信じていいのか疑心暗鬼に陥ったひよりは草介(竜星涼)に連れ出され、彼が警察官の不祥事を摘発する人事一課、通称「ヒトイチ」の人間で、高遠建設と警察の癒着を探るためメゾンに潜入しおじさんたちを監視していたことを知ります。さらには、監察官・鴨下警視正から、メゾンのおじさんたちには関わるなと釘を刺されてしまいます。

 それでも、なんやかんやおじさんたちを信じたいひよりは、草介に宣戦布告。翌日、もうメゾンに来ないんじゃないかとすっかり落ち込んでしまっているおじさんたちの元を訪れ、「このチームで高遠建設の事件を追うことにしました」と宣言します。

ひより「異論は!?」

おじさんたち「なし!!」

ひより「よし!」

 と、チーム「メゾン・ド・ポリス」が一つになったところで、今週はここまで。

 クライマックスに向けて、ドドっと物語が進行した第8話。これまでと比べて情報量が多かったので、いつものノリで観ていると、置いていかれてしまうような感覚が若干ありました。

 というのも、あまり切迫感のない茶番的な狂言誘拐のシーンに時間を割きすぎていて、物語の核となる、ひよりが事件の真相を知り、誘拐を計画するまでに至った経緯や伊達さんの告白シーンなど、大事な部分がすべてセリフで処理されていたからです。

 ネット上でも、「セリフで片付けすぎじゃない……?」「狂言誘拐の件は全く不要だったような……何を見せられたんだろ」「誘拐コントに呆れて寝ちゃったよ」という声がチラホラ……。

 まぁ、きちんと描かなくても、高畑充希ちゃんや近藤正臣さんの演技で十分伝わるものは伝わるんですが、セリフでの説明が長すぎた感は否めませんでした。

 

戦隊出身・竜星涼の華麗な“変身っぷり”

 前回、ひよりの部屋とメゾンに盗聴器をしかけ、会話を盗み聞きしていたことが明かされた買い物コーディネーターの草介は、一体何者なのかとネット上で話題になっていましたが、今話でその正体が明かされ、「え? うそじゃん草介かっこいいかよ」「いつものキャラは演技なの……好き……どっちも好き」と、視聴者たちは大興奮。

 中には、「癒やしの草介の笑顔がもう見られないのか」「本当は2年も見てきたおじさんたちのこと信じてる草介くんはいませんか!!」といった、三河屋としての草介を恋しがる人もいるようです。

 草介を演じる竜星くんは、これまでに、映画『22年目の告白-私が殺人犯です-』(2017年)や、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』、TBS系ドラマ『小さな巨人』でも警察官を演じており、昨年放送の『アンナチュラル』(同)では、謎の葬儀屋役を演じ、その演技が話題となりました。

 今回も、お調子者のヘラヘラした態度から一変、クールでキリっとした表情のエリート警察官を見事に演じていました。竜星くん、今回のようにちょっと裏があって二面性のある役を演じたら最高にハマる俳優さんだと思います。今後、草介はメゾン・ド・ポリスチームと敵対していく立場となるでしょうから、竜星くんの黒~い演技に期待したいですね。

 そういえば、ひよりが部屋に仕掛けられていたコンセント形の盗聴器を引っこ抜いて、盗聴しているであろう草介に向かって、「あの人たちと一緒に、必ず事件の真相をつきとめますから」と告げたシーンについて、「あのタイプってコンセントから電源取るんじゃないの?」「そのタイプは抜いたらきこえねぇだろ」と、盗聴器に詳しい視聴者からツッコミの声もありました。

 筆者は特に詳しくないのでよくわかりませんでしたが、ひよりの言葉に「宣戦布告かよ」と不敵な笑みを浮かべる草介がかっこよかったので、気にしないことにします。はい。

 

次週、事件の黒幕がついに現る!

 雨降って地固まる的なストーリーとなった今回。前回に引き続き、おじさんたちのワチャワチャシーンは少なめでしたが、棚の中に大事な資料が隠されているんじゃないかと疑うひよりとは裏腹に、高平さん(小日向文世)以外の娘を持たないおじさんたちがお金を出し合って買った雛人形を必死に隠していたのはグッときたし、そんなおじさんたちを疑って、迷って、その結果信じることを選択したひよりの心情を表情豊かに演じた高畑充希ちゃんのお芝居も、さすがでした。

 ここまで引っ張りまくった伏線がドドンと明かされ、8話にしてやっと本筋に突入した『メゾポリ』。今夜放送の第9話にはついに黒幕が登場するとか……。波乱のニオイがプンプンです。

(文=どらまっ子TAROちゃん)

毒親も脇キャラも、み~んな必要な存在だった!? 唐突な死亡フラグ『ハケン占い師アタル』第8話

 働く人々の悩みを、毎回無料ですっきりとカウンセリングしてくれる『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)。若手演技派・杉咲花とベテラン脚本家・遊川和彦との年の差タッグの活躍も残すところ僅かとなりました。実質的な最終回となった第8話を振り返ってみましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 かつて人気占い師だったアタル(杉咲花)ですが、今は派遣社員としてイベント会社で働いています。そんなアタルの前に、母親のキズナ(若村麻由美)が現われました。大崎課長(板谷由夏)に退職願を渡し、一方的にアタルを連れ戻そうとします。「あなたの金儲けに利用されたくない」と抵抗するアタルですが、派遣先に退職願を差し出す常識知らずのキズナは聞く耳を持ちません。「あなたに占い以外の何ができると言うの?」と娘の働く職場で言い放ちます。いわゆる“毒親”のようです。

 ここで、いつものごとく代々木部長(及川光博)が大崎課長らDチームのメンバーに難しい案件が届いていることを知らせます。大手ゼネコンのCSR(社会貢献)イベントのコンペがあるので、参加するようにとのことです。いつもは雑用を黙々と片付けているアタルですが、このコンペにオリジナルな企画を提案し、自分は会社に必要な存在であることを証明しようとします。

 普段は冷静沈着なアタルなのに、自分が中心となって企画を考えるというプレッシャーから自分を見失ってしまいます。得意にしていた伝票整理やコピー取りでもミスを連発。会議の席では「ゼネコンのアイデアは、全然出てコン」と意味不明なダジャレを口にしてしまい、上野(小澤征悦)から「キャラじゃないから、やめとけ」と諭される有り様です。占い以外にも自分には能力があることを証明しようとするアタルの空回りが続きます。

 

アタルに帰ってきたブーメラン

 コンペ案は防災講習を授業形式で開くという無難なものにまとまりかけますが、アタルは「何か違うかなって。クライアントは今までにないものと言っていたわけで……」と異議を唱えます。品川(志尊淳)は「派遣なのに企画案に反対するなんて」とディスります。アタルの占いのお陰で仕事の面白さに目覚めた品川ですが、恩はあっさりと忘れるタイプのようです。せっかく明るく働きやすいムードになっていた職場ですが、久々にギスギスした空気が戻ってきました。

 冴えないときは冴えないことが続くものです。アタルが占い師だったことが社内で評判となり、「私たちも占ってくださ~い」と女子社員たちがアタルのもとに押し寄せてくるのでした。大崎課長たちが「ここは職場ですよ」と何とか追い返しましたが、やはりアタルには占いの道しかないのでしょうか。どんどんダウナー状態に陥っていくアタルでした。

 ここまで1人で悩んでいたアタルですが、それは第1話から第7話までのDチームのメンバーの姿でもありました。神田(志田未来)のように自分に自信が持てず、目黒(間宮祥太朗)のように1人で空回りし、田端(野波麻帆)のように心を閉ざしてしまっていたのです。ここぞとばかりに、声の大きな上野が切り出します。「しようがないな。俺たちでアタルを占ってやるか!」。体育会系のパワハラ野郎だった上野ですが、すっかり頼りがいのある先輩になっていました。

 会議室にこれまでアタルの占いによって救われたDチームの7人が集まり、アタルをカウンセリングします。アタルからの質問は「みなさんは、この会社で私に何ができると思いますか?」というシンプルなものでした。Dチームのメンバーにはアタルのような霊能力はありませんが、世界中の人々を感動させる奇蹟のチームとしての自負と団結力があります。Dチームを代表した大崎課長のアタルへの言葉はこうでした。

「自分にしかできない仕事。それは見つけるものじゃない、創るものじゃないかな。毎日時間をかけてコツコツ続けていくしかないんじゃないかな」

 これまでアタルがDチームのみんなを励ましてきた言葉をぎゅっと凝縮し、悩んでいるアタルに優しく返す大崎課長でした。心温まる優しいブーメランに、アタルだけでなく視聴者も思わずウルッとしてしまいます。

 職場の仲間たちに背中を押され、アタルはこれまで避け続けてきたキズナと正面から向き合います。「まだ答えは見つからない。でも、私はもがきたい。この会社で自分は何ができるか、もがき続けたい」と訴えます。警備のおじさんも、食堂のおばちゃんも、清掃のおばさんも、居酒屋の店長も、それぞれ特種能力を持っているわけではありませんが、それでも懸命に働く彼らの明るさ、朗らかさに敬意を感じていることをキズナに伝えます。

 ここで、これまでスマホで撮ってきた記念写真の数々を見せるアタルでした。初めてのコピー、初めてのボード、初めての会議……。小さい頃から占いしかやらせてもらえず、高校にも進学させてもらえなかったアタルにとっては、何でもない雑用の数々も貴重な体験だったのです。働くということはお金を稼ぐだけではなく、社会と繋がるという行為でもあるわけです。これまでの伏線やエピソードがずんずん回収されていく第8話でした。

 ところがまぁ、アタルが頭を下げてお願いしても、毒親キズナは金の卵を産むアタルを手放そうとはしません。こうなったら最後の手段です。「わかりました、あなたを鑑(み)ます」と実の母親であるキズナに宣告するのでした。
 
「母親だから言いたくなかったけど、いちばん酷いものが見えているんだよね」とアタルは容赦ありません。アタルの霊能力によって、キズナはうさん臭い占い稼業にハマるようになった過去へとタイムスリップします。そこにいたのは小学生時代のキズナでした。その頃のキズナは親が離婚したことから、同級生たちのイジメに遭っていました。イジメ地獄から抜け出したいあまり、少女時代のキズナはイジメっ子たちを「このままだとあんたたち死ぬよ。悪霊が取り憑いているよ」と脅すことで難を逃れたのでした。それ以来、キズナは霊能力のあるふりをして、今日に至ったのでした。

「これ以上、ママのことを嫌いになりたくない。私はドキドキしたいの。私はママから卒業したい」と占い師に戻ることを拒むアタルでした。と、自分の口にした言葉によって、アタルはひとつのアイデアが閃きます。ゼネコンのCSRイベントですが、被災地で卒業式ができなかった被災者家族に向けて卒業式形式のイベントを開くことを思いついたのです。

 いつも会議中、居眠りしている代々木部長。これは現在公開中のミッチーが出演している映画『七つの会議』の主人公“居眠り八角”のパロディでしょうか。それはさておき、珍しく会議中も起きていた代々木部長は、アタルの企画案を「アタルちゃん、ナイスアイデア!」と称賛します。キズナもようやく諦めたようです。「もう二度と来ないわ。ただし、占いはやめなさい」「自由になりなさい。言っとくけど、自由ってしんどいわよ」と毒親なりの親身な言葉を残し、去っていくのでした。アタルの占いによって、霊能力がないことを明かされたキズナは、これから勉強し直して本物の占い師になるそうです。

占い師の未来と視聴率は占えない?

 今回で最終回と言っていいんじゃないかという濃い内容だった第8話。次週が最終回だそうです。そして不吉な死亡フラグが終わりに盛り込まれました。それまでアパートでカナリアを飼っていたアタルですが、キズナからの巣立ちと重ねるようにカナリアを籠から取り出して、空へと放ったのです。室内飼いしていたペットを野放しするという愚挙! いきなり自由の身になったカナリアは果たして生きていけるのでしょうか?

 気になる第8話の視聴率ですが、9.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。第6話の9.5%以来となる10%割れです。毒親を演じた若村麻由美の熱演もあり、内容的にはもっと数字が伸びてよさげでしたが、遊川脚本らしくないウェルメイドなストーリー運びが視聴者に飽きられてきたのでしょうか。

 第8話の最後、職場で意識を失いぶっ倒れてしまったアタル。自由にしたカナリアに続いての死亡フラグです。占い師は自分の未来は占えないという、占い師のジンクスを逆手にとったような最終回となるのでしょうか。このままウェルメイド路線で終わりを迎えるのか、それともNHK朝ドラ『純と愛』や『○○妻』(日本テレビ系)のような衝撃のエンディングとなるのか。遊川脚本が一体どんな結末を用意しているのか興味津々です。

(文=長野辰次)

『刑事ゼロ』南果歩が怪しげな役で登場も声に違和感 沢村一樹、最終回で松田優作のパロディ!?

 沢村一樹が刑事生活20年分の記憶を失ってしまった役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第9話が7日に放送され、平均視聴率11.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.3ポイントアップとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 前回、元妻で弁護士の奥畑記子(財前直見)に記憶喪失になったことがバレてしまい、1週間以内に辞職するよう勧告されてしまった時矢暦彦(沢村)。なんとか記憶を取り戻そうとするも、連続殺人犯・能見冬馬(高橋光臣)にビルから突き落とされる直前の記憶を思い出したところで、何らかの強いストレスがかかってしまい、記憶を取り戻せません。

 そんな中、その能見が過去に起こした3つの事件同様、タロットカードの図柄に見立てて死体を遺棄する殺人事件が発生。しかし能見は現在、勾留中の身です。以前の3件と今回の事件の被害者は、いずれも殺人事件で逮捕された後に起訴猶予や不起訴などで釈放された、という共通点があることを見出した時矢は、能見がライターとして勤めていたインターネットニュース配信社の司法担当記者・外山直澄(粟島瑞丸)などにあたり、模倣犯になりうる怪しい人物がいないか調査を開始します。

 その結果、“罪を逃れた”人々の名前が載ったリストを発見。そこには、それぞれが釈放された理由も明記されているのです。

 さらに時矢は、記憶を失ってから初めて能見と接見することになるのですが、その席で能見から、事件がこの先も続くことを示唆されます。また、殺人事件は「秩序の回復」のためであり、その理由を時矢も知っているハズだと言われたため、ビルから突き落とされる直前に能見から何か耳打ちされたことを薄っすら思い出すのですが、やはり強烈なストレスがかかってしまい、それ以上は思い出せません。

 その後、能見の弁護を担当するのが奥畑だと知った時矢は、そのツテで、能見の精神鑑定をしている犯罪心理学の権威・藤林経子教授(南果歩)に会いに行くことに。そこで藤林から、能見は快楽のためではなく、義務感や秩序を重んじることを動機として殺人を犯したことを知らされるのでした。

 そんな中、奥畑と接見した能見が、「もうすぐ人が降る」と、次の事件が起こることを予言。時矢は、連続殺人事件の被害者たちがいずれも違う理由で釈放されたこと、それが犯人のターゲット選びのこだわりなのだということに気が付き、リストの中から該当者を見つけ出します。

 ところがひと足遅く、フードをかぶった何者かが、その該当者をビルの屋上から落下させて殺害。時矢は謎の真犯人を追い詰め、その正体が外山であることを突き止めるのですが、そのまま逮捕か、と思われたところで外山が拳銃を取り出し自殺してしまうのです。

 そしてその映像にかぶせ、研究室で藤林が、「能見は心神喪失。刑事責任能力を問うことは不可能」と意味深に呟き笑う姿が映し出されたところで今回は終了となりました。

 次回で最終話ということで、今回から一気にクライマックスへ突入。時矢の記憶喪失のカギを握る能見がようやく絡んできて、ラストを盛り上げるための人物や要素が次々と投入される回となりました。

 その中でも特に怪しげな存在として登場したのが、南果歩が演じる藤林。『ハンニバル』(2001)のレクター博士のように精神科医が犯罪者になってしまったパターンなのでは? 能見らを裏で操っている首謀者? と思わせる役どころです。

 実際に犯罪に関わったのかはともかくとして、キーマンとして登場した南ですが、ヘリウムでも吸ったかのような高い声が気になってしまい、ラストで意味深に呟くセリフなども集中して聞けませんでした。こんな声の人だった!? と気になり過去作を調べましたが、どうやら役作りのために意図して変えているようですね。う~ん、余計な小芝居といった感が否めませんでした。

 一方、時矢がビルから落下する直前に能見から耳打ちされた話は何だったのか、記憶を取り戻す障害になっているストレスとは何なのか、という点は気になるところです。“秩序”に関することらしいので、時矢本人か同僚の誰かの汚職絡みですかね。

 または、時矢の妻・奥畑に関連したことかもしれません。元夫が逮捕した容疑者の弁護を担当するって何か違和感があったんですよね。無理やりストーリーに捻じ込んできたような感じがしました。連続殺人の被害者たちが逮捕された時に釈放されるよう尽力したのが奥畑だったのではないか。その時に法の秩序を乱すような、何らかの裏取り引きをしたのではないか、という気がしないでもありません。

 何はともあれ、次回ですべてが明らかになることでしょう。予告動画では、時矢が腹部をナイフで刺され両膝立ちする場面も。まるで、名作ドラマ『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)で松田優作が演じたジーパン刑事が、「なんじゃこりゃあ!」と殉職したシーンのパロディのような演出ですが、その運命はいかに。次週を楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

竹内結子『QUEEN』が剥き出しにする差別……今回も“女の味方”を自称しながら女を貶めました

 竹内結子主演のドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)も第8話。今回も例にもれず、雑に時事ネタを撫でまわしてドブに捨てるようなストーリーを展開しました。視聴率は6.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、下がり続けています。志の低い作品が数字を獲らない状況を見ると、それはそれで安心するものです。

 振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 

今回は小保方さんと東京医大の不正入試問題でした

 サクッとやりましょう。何しろ「女の味方ですよ」みたいな顔して、とことん女(特に美人)を貶めてばかりのこのドラマ。今回はリケジョを雑に撫でまわしてドブに捨てました。

「FINISIS」なる革新的な治療キットの研究で世の耳目を集める美人研究者の和久井さん(森矢カンナ)は、今日もおっぱい強調ニットで取材対応に励んでいます。

 そんな和久井さんとコンビを組んで研究に勤しんでいるのが、こちらも女性研究者の柏木さん(伊藤麻実子)。伊藤麻実子ですから、当然“地味なブス”として描かれます。役割としては、美人の和久井さんがメディアに出て資金を集め、天才肌の柏木さんが研究に没頭できる環境を整えているといった状況。役割分担として成立していますし、2人もその分担に納得した上で研究を続けています。

 ところがこの2人に対し、早くもドラマはルッキズムに基づく逆差別を披露。美人の和久井さんに対し、あっという間に「計算高い」「怪しい」「信用できない」「ニセモノ」といったイメージを刷り込み、さらに過去の論文に不正があったなどとして、負のレッテルを貼り付けます。

 そして、一方の柏木さんがコーヒーを淹れれば「おいしい」と絶賛し、リラックマグッズを愛用していることを好意的に取り上げて「素朴だけど信用できる」「真の研究者」「ホンモノ」と見立てます。

 このとき、柏木さんを評価する竹内結子と水川あさみは(つまりドラマの視点は)、とことん“上から”です。おっぱいニットの美人は信用できず、ブスでも美味いコーヒーを淹れる女は信用してやろうという、傲慢な価値観が提示されます。和久井さんと柏木さんの2人が揃わなければ「FINISIS」の研究は成り立たないのだという事実関係を説明した後にもかかわらず、2人の人物評価を対照的に描いている。美人を貶めなくては気が済まない制作側の性根が感じられます。

 その後、長谷川初範がまるでコントのような“女性差別理事長”として登場し、保守的な教条主義を滔々と述べるシーンを作って仮想敵に仕立て上げ、その敵と戦う美人ヒロイン・和久井を演出しますが、これもことごとく失敗しています。

 そもそも2人の研究の停滞は、和久井さんの論文盗用疑惑の発覚によるスポンサー離れが原因でしたが、いつの間にか大学側の女性差別による被害に差し替えられました。言うまでもなく、論文盗用は個人の問題であり、女性差別は組織と属性の問題であるわけですが、この2つをいっしょくたに語ったことで、ドラマそのものが「女は」「しょせん、女は」と言っているように見えてしまっている。

 これは制作側のメッセージ的なものというより、単なる手落ち、シナリオ上のミスでしかないと思いますが、差別を扱う上で最も注意深く切り分けなければならない被害者側の個人と属性の問題を雑に扱うから、意図しない部分で差別を生んでしまっている。それを人の善意と混ぜて語ってくるからタチが悪いんです。このドラマの思想を額面通り受け取って行動したら袋叩きに遭うよ。そういうところが害悪だと言っている。

『QUEEN』はホントに差別と悪意に満ちたひどいドラマに仕上がっていて、たぶん現場は気付いてるけど、上のほうの人は気付いてないだろうし、ここまできたらもう気付けないのでしょう。上記は、竹内結子のキメ台詞です。恐らく、ドラマがそういうメッセージを送りたいという気持ちは本当なのだと思う。ただ、あらゆる差別に対する考え方をアップデートする努力を怠り、対立構造を単純化することばかりに固執した結果が、この出来の悪さなのでしょう。

 ちなみに和久井さんの盗用問題については、元の論文の著者が「引用許可を出していた」ということで不問になっていました。

 いや、あのね、盗用とか引用とかに著者の許可がどうこうって、論文の評価とは関係ないから。許可がなくても引用の条件を満たしていれば正当な引用だし、許可があっても出典の記述をせず(疑われたってことは、なかったんでしょ)、それを「自分の論である」と書けば盗用だから。そんな基本的なことさえ勉強していないのか、知っていて誤魔化しているのか、一事が万事、そういうことです。
(文=どらまっ子AKIちゃん)