常盤貴子『グッドワイフ』最後は大団円も、視聴者は賛否両論……日本的な結末に原作ファンからは批判も!

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 常盤貴子主演ドラマ『グッドワイフ』(TBS系)の最終回が3月17日に放送され、平均視聴率11.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録しました。

 最終回で自己最高タイを記録し、2ケタ回復で終わりました。やたら、夫の事件の件で引き伸ばしし、前回の最後で今度は多田に賄賂の容疑が浮上し……と、残り1話で終わるのかと思われていましたが、無事最終回を迎え、胸をなでおろしました(笑)。

 ではでは、最終回のあらすじから振り返っていきましょう!

■多田が賄賂容疑で逮捕され、動揺する杏子

 容疑が晴れ、検察へ復帰した壮一郎(唐沢寿明)の指揮で、多田(小泉孝太郎)は裁判官・小宮(野間口徹)へ賄賂を渡した容疑で逮捕された。多田は否認するも、小宮へ金銭を渡していた証拠となる写真が見つかり、弁護する杏子(常盤)たちは不利に。そんな中、杏子は金銭を渡していたワケを知り「裁判で告白して」と多田に言うも、多田は裁判では金銭授受はなかったと言い続けると、聞く耳を持たなかった。

 裁判では脇坂(吉田鋼太郎)が、多田が小宮へ金銭を渡していた証拠となる写真を提出し、さらに不利な立場に。杏子に説得された多田は真実を告白することを約束。渡していた金銭は「冤罪被害者の会へ会を支援する小宮を通し、毎月10万円を寄付していた」と告白する。

 さらに同じ頃、壮一郎の方にも動きが。なんと、多田の事件の裏で、検事正の御手洗(中村育二)が裁判官と癒着していた証拠を掴み、逮捕。壮一郎は御手洗と仲の良かった脇坂を多田の事件に専念させ、その間にこの事件の捜査を進めるために、多田を利用しただけだった。

 無事、多田も不起訴となり、弁護士に復帰。そして杏子は壮一郎と円満離婚したのだった、というのが今回のストーリーでした。

■詰め込みすぎ? 猛スピードで進む最終回!

 多田が起訴されて終わりましたが、今回は多田の事件の調査と裁判がメイン。最終回直前でこの展開ということで、放送前から「本当に1話で終わるの?」「終わるつもりないだろ」とツッコミの嵐でしたが……。

 結論から言うと、無事に終わりました。が、テンポが猛スピード(笑)。まるで高速ジェットコースターに乗ってるような感じで……(汗)。それも、意外と簡単に無実だということも発覚(笑)。その上、多田の事件のストーリーばかりが進み、壮一郎が裏で捜査していた検事正と裁判官の癒着に関しては、最後の“大ドンデン返し”風に描いていたものの、その前は詳しく描いておらず……。そのため、視聴者もこのドンデン返しには、あ然となった様子で、放送直後のネットには「あの最後の壮一郎の展開はもう少し詳しく描いて欲しかったわ」「突然すぎて笑った」「なんだろうこのモヤモヤ感(笑)」と、正直あまりいい反応はなく、ブーイングに近いものが(苦笑)。

 だ~か~ら~、壮一郎の事件の方をもう少しまとめればよかったのに! なんで、「本当の黒幕は誰だ!」というネタで引っ張ったのでしょうか!? まとめたら2話ぐらいは残るし、そこで今回の件を詳しく、面白く描けたような気がするんですけどね~。

 ドラマ全体的には面白かったですが、展開の時間配分だけはちょっと許せませんでした。

■大団円も、都合よく描きすぎ?

 結局、多田の疑惑も晴れ、杏子と壮一郎は円満離婚。さらに、杏子と戦った朝飛(北村匠海)は神山(賀来千賀子)の父親(橋爪功)の弁護士事務所に就職し、円香と杏子の仲も元通りと、すべてがハッピーエンドの大団円になりました。

 ですが、この終わり方にネットは賛否両論。細かく言うと、原作ファンVS日本版ファンといったもの。明るいハッピーエンドの日本版に対し、原作の最終回は、主人公が浮気を繰り返していた夫を捨て、新しい男(イタリア料理が似合うジゴロ風なおじさん)と一緒に再出発するというもので、原作の毒気や皮肉を抜いて無難にまとめた感じがいただけないといった感想が。

 まあ、ハチャメチャでアメリカンな展開が目立つ原作をまるっとそのまま日本で放送したら苦情や批判が来るに決まってますからね。(原作は主人公が多田に当たる人物と不倫し、さらに多田に当たる人物が裁判中に撃たれて死亡。また円香にあたる人物は、撮影中に主人公の役を演じている女優と仲が悪くなり、最後は電話で謝罪し仲直りという出演だけに……。それぐらい展開がヤバイです(笑))。

 苦肉の策だったのでしょうかね(笑)。ですが、個人的にはこの展開はすごく良かったし、最後の身内でワイワイする裁判シーンも最初は「え? このシーン必要?」と思いましたが、まあ、日本的な終わり方にするならあったほうがいいかもなと。

 明るく登場人物たちの未来が垣間見られる終わり方で満足しました。

■視聴率悪かったが、ファンは獲得! 次回作を希望する声も

 初回から段々と下がり、8~9%台をふらふら~っとする視聴率(それでもほかのドラマよりは良いほうかと)でしたが、ファンを多く獲得した様子で、視聴者からは「満足」「おもしろかった」との声が聞こえていました。元々、原作はシーズン6ぐらいまである大作ドラマですから、1シーズンにまとめるのは大変だったと思います。それだけに、次回作を希望する声も多く聞こえていました。

 終わりが明るく前向きなものだっただけに、このまま終わりにしてもいいですが、できれば、離婚して一流弁護士として活躍する杏子が見てみたいなという気持ちも。(原作では、独立する展開もありますから、その展開を日本版でも見たいかも!)

 日曜劇場はあまりシーズン2という展開をしないので、希望は薄いですが、ぜひ放送して欲しいです。

 以上最終回のレビューでした。

 グッドワイフが最終回を迎え、4月からは福山雅治主演の『集団左遷』が放送されるようですが、こちらはどうでしょうかね? オワコンと呼ばれている福山さんの演技に期待したいです。

(どらまっ子KOROちゃん)

坂口健太郎『イノセンス』再審請求の難しさを忠実に再現! 片岡鶴太郎と星野真里の演技に涙する第8話

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 坂口健太郎主演ドラマ『イノセンス~冤罪弁護士~』(日本テレビ系)の第8話が3月9日に放送され、平均視聴率9.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録しました。

 前回と同じ視聴率を記録し、じわじわと人気となっている様子。当初は『坂口健太郎を愛でるだけのドラマ』『川口春奈要らない説』など、いろいろと言いましたが、回を重ねるごとに最近めっきりダメだった日テレドラマとは違い、結構いいドラマでは?』と思い始めました。作り手の皆さんには、本当に申し訳ありません、と謝りたいです。

 ではでは、今週も、あらすじから振り返りましょう。

■再審請求の壁にぶち当たる拓と楓

 社宅パーティーで振る舞われた酒にシアン化カリウムを混入させ、6人を殺害したという罪で死刑判決を受けた式根大充(片岡鶴太郎)の冤罪を晴らして欲しいというテレビ局社員・聡子(市川実日子)の依頼を受けた拓(坂口健太郎)と楓(川口春奈)。

 24年前に事件は起こり、死刑判決が下ってから、ずっと式根の弁護を担当していた前弁護士は過去に4度再審請求を行ったが、すべて棄却されているため、厳しい中で卓たちは再審請求を行わなくてはいけない状況に。

 引き受けた拓と楓は式根に会いに刑務所へ。だが、式根は再審を望んでおらず、また、健康状態が悪化していることが判明。拓はなんとか式根を説得して、早急に再審請求の準備に取り掛かる。

 そんな中、楓は前弁護士が残したメモを発見。そこには式根の娘・玲子(星野真里)が泣きじゃくる友人の由美をなだめていたこと。由美は「もうすぐ死ぬ」と不穏な言葉を口にしていたことが書かれていた。それを元に拓と楓は事件を再調査。すると、由美の父親は当時会社をリストラされ、家族に暴力を振るっていた事実、また、由美が母親に頼まれて、毒物が入っていたとされる瓶を捨てに行ったことが判明。さらに、科学実験で冤罪である証拠も用意できた。それらを元に拓は再審請求を行い、証言台には大人になった由美(酒井美紀)もたった。

 しかし、届いた結果は棄却通知。それにみなショックを受ける中、式根と長らくあっていなかった玲子が接見したいと式根のいる拘置所へ赴き、再会を果たした、という内容でした。

■キレイごとで終わらせず、社会へ問題提起

 今回のストーリーの元ネタは昭和36年に起こった「名張毒ぶどう酒事件」です。これは、小さな集落の懇親会酒席で振る舞われたぶどう酒に農薬が混入され、これを飲んだ女性17人が中毒症状を起し、うち5人が死亡したという事件。犯人とされた奥西勝は死刑判決を受けるも、冤罪を訴え、生前9回も再審請求を起こすも、いずれも棄却。2016年に獄死しました。

 結局、再審請求が認められないまま、奥西は亡くなってしまったという事件だけあって、描き方がどうなるのか(ハッピーエンドになるのか、それとも事実のままなのか)、放送前から気にしていたんですが……。放送を見て結論を先にいうと、結構満足しました。

 というのも、事実に結構忠実だったのです。事件の内容に脚色はあるものの、再審が受理されない理由や式根と娘の関係などに、実際の事件を取り入れており、これがとてもいい作りでした。

 実際に起こった事件を題材にしている作品は多くあるんですが、中でも東海テレビ制作の『約束 〜名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯〜』『眠る村 〜名張毒ぶどう酒事件 57年目の真実〜』『ふたりの死刑囚』という作品ではなぜ再審請求が認められないのか、奥西と子どもたちのその後を伝えていたりするので、多分、脚本を書くにあたり、このあたりの作品を参考にしたのかもしれません。

 実際のところ、再審請求は本当に難しい。いくら新証拠を用意しても、認められることはほぼありません。8話でも、それについて冒頭で丁寧に説明しているほか、新証拠を2つも容易して、再審請求に臨み、「おお、これは認められるでしょ!」と希望の光が見えてきたところで、やっぱり棄却という、ドラマらしいハッピーエンドで終わらせず。逆にバッドエンドにしたことで、視聴者にモヤモヤを与え、日本の司法へ危機感を持たせることに成功。司法への関心を高めることができたかと思います。

 こういう、再審請求を行う事件の場合、風化して世間が無関心になることが一番危険ですから、現実社会で起こった事件を元にして世間に訴えた今回の内容は個人的に好評価です。

■片岡鶴太郎と星野真里の親子演技に涙

 忠実な一方で、大いに脚色された部分も。それは最後の式根と娘の拘置所での再会シーンです。

 実際の事件で死刑囚となった奥西には男女の子どもたちがいましたが、事件後、氏名を変えて別々に生活し、一家離散状態に。さらに、刑務所で服役していた奥西に一度も会っておらず、奥西は医療刑務所で一人ぼっちで亡くなったということを以前、ドキュメンタリーで見ました。

 それから比較すると、この点は結構な脚色がされており、少しだけ明るい終わり方に。しかし、考えてみれば、現実は悲しすぎる。ドラマだし、少しは明るくしておかないと視聴者もつらいはずですしね。

 それに、奥西だって、死ぬ前に子どもたちに会いたかったはず。今回の終わり方は、そんな彼へ向けたハッピーエンドだったのかもしれません。

 また、親子役を演じた片岡鶴太郎と星野真里の演技も非常によかった。

 特に、星野が、再審請求しようと動きだしたせいでまた世間の注目があつまってしまったと聡子に殴りこんでくるシーン。「中途半端な正義感だけで人の人生振り回すな!」と激怒するんですが、迫真の演技でセリフがジーンと来る!

 で、片岡のほうだと、長年、刑務所にいたことで、拘禁反応が現れ、事件以前の記憶しかなくなってしまったシーン。冒頭で暗い印象が強かった分、嬉しそうに娘の誕生日のプレゼントの話をするんですが、このときの顔に涙しちゃいました。

 やっぱり、演技力がある俳優・女優だと、いいですね~。前回の川島海荷と比較したら、今回は見やすかったです。

 以上、8話のレビューでした。

 見ごたえがあり、とても良かった回。今回をきっかけに世間が再審請求や冤罪事件にもっと注目して欲しいと願うばかりです。

 次回はついに最終章です。拓の幼馴染みの事件と同様の事件が発生し、幼馴染みの事件にも切り込んでいく様子。まだまだ見逃せません! 放送を楽しみに待ちましょう!

(どらまっ子KOROちゃん)

坂口健太郎『イノセンス』再審請求の難しさを忠実に再現! 片岡鶴太郎と星野真里の演技に涙する第8話

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 坂口健太郎主演ドラマ『イノセンス~冤罪弁護士~』(日本テレビ系)の第8話が3月9日に放送され、平均視聴率9.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録しました。

 前回と同じ視聴率を記録し、じわじわと人気となっている様子。当初は『坂口健太郎を愛でるだけのドラマ』『川口春奈要らない説』など、いろいろと言いましたが、回を重ねるごとに最近めっきりダメだった日テレドラマとは違い、結構いいドラマでは?』と思い始めました。作り手の皆さんには、本当に申し訳ありません、と謝りたいです。

 ではでは、今週も、あらすじから振り返りましょう。

■再審請求の壁にぶち当たる拓と楓

 社宅パーティーで振る舞われた酒にシアン化カリウムを混入させ、6人を殺害したという罪で死刑判決を受けた式根大充(片岡鶴太郎)の冤罪を晴らして欲しいというテレビ局社員・聡子(市川実日子)の依頼を受けた拓(坂口健太郎)と楓(川口春奈)。

 24年前に事件は起こり、死刑判決が下ってから、ずっと式根の弁護を担当していた前弁護士は過去に4度再審請求を行ったが、すべて棄却されているため、厳しい中で卓たちは再審請求を行わなくてはいけない状況に。

 引き受けた拓と楓は式根に会いに刑務所へ。だが、式根は再審を望んでおらず、また、健康状態が悪化していることが判明。拓はなんとか式根を説得して、早急に再審請求の準備に取り掛かる。

 そんな中、楓は前弁護士が残したメモを発見。そこには式根の娘・玲子(星野真里)が泣きじゃくる友人の由美をなだめていたこと。由美は「もうすぐ死ぬ」と不穏な言葉を口にしていたことが書かれていた。それを元に拓と楓は事件を再調査。すると、由美の父親は当時会社をリストラされ、家族に暴力を振るっていた事実、また、由美が母親に頼まれて、毒物が入っていたとされる瓶を捨てに行ったことが判明。さらに、科学実験で冤罪である証拠も用意できた。それらを元に拓は再審請求を行い、証言台には大人になった由美(酒井美紀)もたった。

 しかし、届いた結果は棄却通知。それにみなショックを受ける中、式根と長らくあっていなかった玲子が接見したいと式根のいる拘置所へ赴き、再会を果たした、という内容でした。

■キレイごとで終わらせず、社会へ問題提起

 今回のストーリーの元ネタは昭和36年に起こった「名張毒ぶどう酒事件」です。これは、小さな集落の懇親会酒席で振る舞われたぶどう酒に農薬が混入され、これを飲んだ女性17人が中毒症状を起し、うち5人が死亡したという事件。犯人とされた奥西勝は死刑判決を受けるも、冤罪を訴え、生前9回も再審請求を起こすも、いずれも棄却。2016年に獄死しました。

 結局、再審請求が認められないまま、奥西は亡くなってしまったという事件だけあって、描き方がどうなるのか(ハッピーエンドになるのか、それとも事実のままなのか)、放送前から気にしていたんですが……。放送を見て結論を先にいうと、結構満足しました。

 というのも、事実に結構忠実だったのです。事件の内容に脚色はあるものの、再審が受理されない理由や式根と娘の関係などに、実際の事件を取り入れており、これがとてもいい作りでした。

 実際に起こった事件を題材にしている作品は多くあるんですが、中でも東海テレビ制作の『約束 〜名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯〜』『眠る村 〜名張毒ぶどう酒事件 57年目の真実〜』『ふたりの死刑囚』という作品ではなぜ再審請求が認められないのか、奥西と子どもたちのその後を伝えていたりするので、多分、脚本を書くにあたり、このあたりの作品を参考にしたのかもしれません。

 実際のところ、再審請求は本当に難しい。いくら新証拠を用意しても、認められることはほぼありません。8話でも、それについて冒頭で丁寧に説明しているほか、新証拠を2つも容易して、再審請求に臨み、「おお、これは認められるでしょ!」と希望の光が見えてきたところで、やっぱり棄却という、ドラマらしいハッピーエンドで終わらせず。逆にバッドエンドにしたことで、視聴者にモヤモヤを与え、日本の司法へ危機感を持たせることに成功。司法への関心を高めることができたかと思います。

 こういう、再審請求を行う事件の場合、風化して世間が無関心になることが一番危険ですから、現実社会で起こった事件を元にして世間に訴えた今回の内容は個人的に好評価です。

■片岡鶴太郎と星野真里の親子演技に涙

 忠実な一方で、大いに脚色された部分も。それは最後の式根と娘の拘置所での再会シーンです。

 実際の事件で死刑囚となった奥西には男女の子どもたちがいましたが、事件後、氏名を変えて別々に生活し、一家離散状態に。さらに、刑務所で服役していた奥西に一度も会っておらず、奥西は医療刑務所で一人ぼっちで亡くなったということを以前、ドキュメンタリーで見ました。

 それから比較すると、この点は結構な脚色がされており、少しだけ明るい終わり方に。しかし、考えてみれば、現実は悲しすぎる。ドラマだし、少しは明るくしておかないと視聴者もつらいはずですしね。

 それに、奥西だって、死ぬ前に子どもたちに会いたかったはず。今回の終わり方は、そんな彼へ向けたハッピーエンドだったのかもしれません。

 また、親子役を演じた片岡鶴太郎と星野真里の演技も非常によかった。

 特に、星野が、再審請求しようと動きだしたせいでまた世間の注目があつまってしまったと聡子に殴りこんでくるシーン。「中途半端な正義感だけで人の人生振り回すな!」と激怒するんですが、迫真の演技でセリフがジーンと来る!

 で、片岡のほうだと、長年、刑務所にいたことで、拘禁反応が現れ、事件以前の記憶しかなくなってしまったシーン。冒頭で暗い印象が強かった分、嬉しそうに娘の誕生日のプレゼントの話をするんですが、このときの顔に涙しちゃいました。

 やっぱり、演技力がある俳優・女優だと、いいですね~。前回の川島海荷と比較したら、今回は見やすかったです。

 以上、8話のレビューでした。

 見ごたえがあり、とても良かった回。今回をきっかけに世間が再審請求や冤罪事件にもっと注目して欲しいと願うばかりです。

 次回はついに最終章です。拓の幼馴染みの事件と同様の事件が発生し、幼馴染みの事件にも切り込んでいく様子。まだまだ見逃せません! 放送を楽しみに待ちましょう!

(どらまっ子KOROちゃん)

占いに依存して腐っていく姿が見たかった。第2シーズンを匂わせる『ハケン占い師アタル』最終話

  情報が溢れる現代社会において、どうすれば天職と呼べる仕事に就くことができるのでしょうか。悩める現代人の背中を温かくプッシュしてきた杉咲花主演ドラマ『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)。ベテラン脚本家・遊川和彦の筆も暴走することなくクライマックスを迎えました。最終回となった第9話を振り返りたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

 前回の終わり、派遣先のイベント会社で倒れてしまったアタル(杉咲花)。目を覚ますとそこは病室で、大崎課長(板谷由夏)が「大きな病気じゃないから安心して。医者は過労だろうって」と説明します。イベント会社Dチームのメンバーを毎週のように鑑定していたアタルは、相手の苦しみや痛みにも触れるため、かなりの体力を消耗していたのです。アタルの毒親・キズナ(若村麻由美)が「もう占いはやめなさい」と言っていたのは、アタルの体を心配しての言葉でもあったことが分かります。

 とりあえず、1日ぐっすり眠ったアタルは、元気に職場復帰。前回、アタルが籠で飼っていたカナリアを空に放つという不吉なシーンがありましたが、どうやらこれは最終回を盛り上げるためのミスリードで、本気の死亡フラグではなかったようです。ホッとするような、余計な思わせぶりにカチンとするような……。

 最終話の案件は、前回に続いてゼネコンのCSR(社会貢献)事業としての卒業式イベントです。これはアタルが発案したもので、自然災害で卒業式が開けなかった被災地の小学生たちのために、きちんと卒業証書を渡してあげようという趣旨のものでした。

 被災地を励ます復興支援イベントのはずが、クラアント企業の宣伝色が強く、イベントに参加した小学生の親たちからはブーイングが飛び交います。卒業ソングを歌うはずだった地元出身の人気歌手は熱愛が発覚し、出演をドタキャン。代々木部長(及川光博)が「私が代わりに歌とダンスを披露してもよいのですが……」とマイクでアナウンスするシーンでは、多くの視聴者が「ミッチー、最終回なんだし、歌って踊れよ」と心の中で叫んだはずです。

 ミッチーが歌とダンスを披露することもなく、卒業イベントは最悪の雰囲気に。そんな中、アタルは子どもたちの心の声に気づきます。子どもたちはゼネコンだとかクライアントだとかCSRだとかは関係なく、単純に小学生時代にお世話になった先生や家族、地域の人たちに「ありがとう」という気持ちを伝えたかったのです。アタルにそっと促される形で、子どもたちは事前に練習していた感謝の言葉をそれぞれ口にするのでした。子どもたちの純粋さのお陰で、卒業イベントは無事に終わることができました。

アタル、最後の占いは……?

 卒業イベントを終えたアタルは、やはり自分は占いの能力を活かした道を進むべきだと痛感します。せっかく、Dチームのメンバーと仲良くなったアタルですが、お別れの時間のようです。Dチームのメンバーもアタルの決断に納得し、アタルの背中をみんなで押すことになります。

 アタルの最後の占いが始まりました。お腹の大きくなった神田(志田未来)には、目黒(間宮祥太朗)ときちんと話し合うべきだと伝えます。その結果、神田はお腹の赤ちゃんの父親である元彼と復縁することを目黒に打ち明けます。「がってんです!」とは言えずに落ち込む目黒には、「近いうちに運命の出逢いが待っています。だから、そのままの目黒さんでいてください」と励ますのでした。

 コミュニケーション能力に難のある上野(小澤征悦)には、相手にストレートに気持ちをぶつけるようアドバイスします。いつもクールな田端(野波麻帆)には「物事を悲観的に考えすぎないで」と助言。その結果、上野はその場で田端にプロポーズ。田端も快諾し、結婚へと大きく前進します。

 新しい企画書を書けずに悩む品川(志尊淳)には「将来は上野さんに負けない伝説のイベントをやることになります」と予言。そして義母の介護をするため退職することを考えている大崎課長には、「家族で話し合って、会社は辞めないでください。あなたは将来、この会社の社長になる人です」と目の前のトラブルを解消できれば、明るい未来が待っていると占うのでした。もうひとり、代々木部長には「この会社では出世の見込みはありません」と独立することを勧めます。

脚本家・遊川和彦を占います!

 前回で伏線は全部回収を終えていたので、最終回はエピローグというか、はっきり言うと蛇足感は否めません。それでも脚本家の遊川和彦は、卒業式シーズンに合わせて、各キャラクターたちが占いに頼ることなく生きていく姿を最後に描きたかったようです。ちなみに第1話&第2話に続いて、最終回の演出も遊川自身が担当しています。

 ここでアタルに代わって、脚本家・遊川和彦を占ってみましょう。広島県出身の彼は「映画監督になる」という大志を胸に上京しました。夢を叶える第一歩として製作会社のADとして働き始めますが、連続ドラマのチーフディレクターになることはできず、脚本家に転職することになります。AD時代の苦労や悩みを描いた加勢大周主演ドラマ『ADブギ』(TBS系)が好評となり、人気脚本家に。やがて『女王の教室』『家政婦のミタ』(日本テレビ系)で記録的高視聴率を残し、ヒットメーカーとしての地位を不動のものにしました。

 阿部寛と天海祐希が共演した『恋妻家宮本』(13年)で映画監督デビューを果たし、長年の夢を現実のものに変えています。そして『ハケン占い師アタル』では脚本だけでなく、チーフディレクターも兼任することで、AD時代の果たせなかった願いをきちんと形にしてみせたわけです。映画監督やチーフディレクターには真っすぐな道程では辿り着けなかったものの、脚本家という別のルートを切り開いたことで、夢を手に入れることに成功したのです。

「失敗しても、いろんなことにチャレンジできる人が、いつか才能があると呼ばれるんです」と品川に贈ったアタルの格言は、脚本家・遊川和彦が自分自身に言い聞かせてきた言葉だったようです。

ハケン占い師は実在する!?

 気になる15分拡大最終回の視聴率は11.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。第8話は9.8%と二ケタを割りましたが、無事に二ケタに復活、第1話の12.1%に次ぐ好数字を残しました。初主演ドラマ『花のち晴れ』(TBS系)がコケた杉咲花に加え、共演陣も地味だったことからオンエア前は期待されていなかった本作ですが、杉咲や志田未来らの演技は安定しており、遊川和彦の台詞の数々も人生経験抱負なベテラン脚本家ならではの含蓄を感じさせるものとして視聴者に好意的に受け入れられました。

 個人的には、もっと遊川脚本の毒々しさに期待していました。Dチームのメンバーが、アタルの占いに依存して、どんどん腐ってダメ人間化していく危ういエピソードがあったら、かなりの話題になっていたのではないでしょうか。芸能界は霊能者とズブズブの関係にあることに言及できなかったことも残念です。ちなみにオセロの中島知子が依存していた自称霊能者はマンションを締め出された後、派遣社員として働くことで生計を立てているそうです。ネット記事で見かけました。ハケン占い師が実在することにびっくりです。

 最終回は、イベント会社を去ったアタルが濃厚な負のオーラ漂わせる職場を見つけ、「ハケン占い師アタルです」と押し掛けるところで終わりました。新しい職場で、第2シリーズが続く可能性があることを匂わせるエンディングです。テレビ朝日は放送20周年を迎えた『科捜研の女』の沢口靖子のように、杉咲花にも占い師を延々と続けさせるつもりでしょうか。それはさすがにしんどいでしょう。沢口靖子道を歩めるのは、沢口靖子だけですから。

 エンディングで印象に残ったのは、上野と田端の両家が初顔合わせした食事会のシーンでした。緊張しがちな食事会を盛り上げようと、普段はマジメな田端は「この結婚で、みんなが幸せになるかどうかを占います!」と唐突に言い出します。シュウマイをみんなで一個ずつ食べることで、ロシアンルーレットふうに「幸せになる、ならない」を判定しようというものです。その結果は、見事に「幸せに……ならない」でした。オー・マイ・ガーッ! でも、即座に上野がシュウマイを追加オーダーすることで「幸せになる」に変えてしまいます。要は占いや運勢といったものをどう受け止めて前向きに生かすかは、本人たちの工夫と努力次第ということをこのドラマは伝えたかったようです。

 それにしても、第8話でアタルが放ったカナリアはその後どうなったのでしょうか。そのことが唯一の気がかりです。
(文=長野辰次)

高畑充希『メゾン・ド・ポリス』急に無能になったおじさんたち “出オチ”回避なるか!?

 8日放送の第9話の視聴率は、9.4%と、前回から0.3ポイントアップ!(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。裏番組の日本テレビでは昨年社会的ヒットとなった映画『カメラを止めるな!』が放送されていただけに、数字の低下が心配されていましたが、8話に続き健闘をみせました。

 ホームコメディ要素が薄くなり、終盤でようやく刑事ドラマっぽい雰囲気になってきた本作。最終話に向けて今回もまた衝撃展開となった物語のあらすじから振り返っていきたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

ラスボス・佐野史郎登場!

 前回ラストで、父の死の真相と、その裏に隠された警察と高遠建設の癒着について本格的に捜査をすることになったひより(高畑充希)ら「チームメゾン・ド・ポリス」の面々(レビューはこちらから)。

 夏目さん(西島秀俊)と迫田さん(角野卓造)が高遠建設に清掃員として潜入し、伊達さん(近藤正臣)が昔の人脈を使って調べを進めた結果、元警視庁公安部課長で、現在は高遠建設の渉外部部長で常務取締役の野間仁(佐野史郎)という男が事件の黒幕として浮上します。

 警察上層部と強いパイプを持ち便宜を図ってもらっている野間は、次期社長候補ともいわれるほど社内での発言力も大きく、建設作業の孫請け企業として、暴力団・青戸組のフロント企業である青幸興業を頻繁に選定していました。

 ひよりたちの協力者であるフリーライター・館林真琴(東風万智子)は、野間とその青幸興業社長・大黒毅(中野英雄)の密会現場を写真に収めることに成功。

 野間は大黒と癒着し、その不正会計の処理に加担させられていた経理部の市野沢譲(税所伊久磨)や池原慎吾(関幸治)は、口封じとして殺され、警察にも事故死や自殺として処理されてしまったのではないか。

 そう考えたひよりたちは、市野沢の妻・和子(宮地雅子)に会いに行き、彼女が市野沢から不正会計に手を染めていたことを打ち明けられていたことや、それを口外しないよう野間から脅されていたことを聞き出します。

 しかし、和子との会話を録音したボイスレコーダーは鍵をかけて署のデスクにしまっていたのに何者かによって消されてしまい、肝心の和子もひよりの元を尋ねる途中で車にはねられ命を落としてしまいました。さらに、おじさんたちも野間の“罠”にかかり、ピンチに……。

 野間はバロンと散歩中だった伊達さんを強引にチェスに誘い、「黒と白すべての駒を手に入れたら、もう敵がいなくなってしまうんです」「あなたは仲間をすべて失い、負ける」とメゾン・ド・ポリスチームを追い詰めます。

 その頃ひよりも、和子の自宅からひよりの強引な捜査を苦に自殺したと書かれた遺書が見つかったと、捜査一課の間宮管理官(今井朋彦)から追及されてしまい、チームはバラバラ状態。次週、絶体絶命のこの状況を、チームひよこはどう切り抜けるでしょうか……。

“元警察官”の経験を生かし、常に先を読んだ行動で協力し合いながら、事件を解決してきたメゾンのおじさんたち。その実力は現役警察官も敵わないほどでした。しかし、今回ばかりは違いました。

 いつもなら頭の切れるおじさんたちですが、夏目さんと迫田さんは「高遠建設の裏帳簿を持っている」という人物から呼び出され港の倉庫に向かい、青戸組の下っ端の男の死体を発見。まんまと罠にハマって彼を殺した犯人に仕立てられるし(夏目さんをかばって自ら警察に身を差し出した迫田さんはかっこよかったけど)、藤堂さん(野口五郎)は青戸組の人間が部屋にしかけた何らかの薬品に気がつかず、爆発物で負傷したり……。

 娘の小梅ちゃん(水谷果穂)をエサにされてしまった高平さん(小日向文世)は仕方ないと思いますが、全体的にポンコツ感が滲み出ていました。

 視聴者からも、「メゾンの人たちが普通すぎて拍子抜け 」「あまりのフルボッコっぷりに笑ってしまった」「なんか残念」といった声が。野間がいかに切れ者であるかを示すためだとは思いますが、これで「まんまとやられたのは、野間を出し抜くための作戦でした〜」とならないと、盛大な“出オチ”ドラマとなってしまいそう。最終回ではかっこいい姿が見たいものですが、果たして。

 

なぜ、ひよりは和子さんを守れなかったのか

 隙があったのはおじさんたちだけではなく、ひよりも同じです。メゾンに仕掛けられた盗聴器で草介(竜星涼)ら“警察の警察”である人事一課にチームの動きがバレているにもかかわらず捜査状況をベラベラ喋るし、警察に内通者がいることをわかっていながら、大事なICレコーダーを署のデスクにしまってデータを消されてしまったり、危機管理能力の低さは相変わらず。

 また、捜査中自分も青戸組の連中に襲われていただけに、野間に脅されていた和子さんにも危険が及ぶことは察知できそうですが、特に護衛をつけなかったのは、警察としていかがなものでしょう。そもそも、警察組織が腐りすぎているし、ネット上では「荒唐無稽すぎるストーリーであきれた」なんて声もあるようですが……。

 加藤実秋による原作シリーズとは少々ストーリーが異なるようなので、映像化するにあたって設定やストーリーにもろもろの無理が生じてしまった結果なのでしょう。何度も言っていますが、そのあたりは“おじさんワチャワチャエンターテインメント”として、割り切って見るのがいいのかもしれませんね。

 

佐野史郎の“悪人”ぶり

 それにしても、野間役の佐野史郎さん、悪役がとってもお似合いでした。部下にひよりやおじさんたちを暴行させたり、和子さんを事故に遭わせたかと思えば、こき使った部下を簡単に殺して(殺させて)しまう極悪非道っぷりが、なんだかしっくりきてしまうほど。さすが、名俳優です。

 ちなみに、そんな佐野さん、作中でひよりが刑事を志すきっかけとなったのが、佐野さんもメインキャストとして出演していたドラマ『沙粧妙子 最後の事件』(フジテレビ系)ということで、当時使用していたメガネを引っ張り出してきて撮影に臨んだんだとか。相当気合が入っているようです。

 一体どんな結末を迎えるのか、本作に鬱エンドは誰も期待していないと思うので、スッキリ事件を解決して、メゾンでのおじさんたちの平和なワチャワチャシーンを見せてほしいところですが……。

 いよいよ今夜最終回。チームひよこの大どんでん返しに期待しましょう。

(文=どまらっ子TAROちゃん)

『刑事ゼロ』最終話 どんでん返しを狙い過ぎて雑な展開に 沢村一樹の記憶が戻らないのはシリーズ化へのフラグ?

 沢村一樹が刑事生活20年分の記憶を失ってしまった役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)も今回で最終回。14日に放送され、平均視聴率10.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録しました。

(前回までのレビューはこちらから)

 前回、タロットカードの図柄に見立てた2件の殺人容疑で逮捕される直前、ネットニュース記者の外山直澄(粟島瑞丸)が拳銃自殺してしまう事件が発生。その自宅を時矢暦彦(沢村一樹)らが捜索したところ、外山が模倣したとされる、能見冬馬(高橋光臣)が3年前に起こした殺人事件も自身が犯行に及んだという遺書が見つかります。

 また、犯人しか持っていないであろう犯行現場で撮影した遺体写真も見つかったため、能見は釈放されることに。しかしその後、能見を勾留していた留置場の看守・草場友喜(今野浩喜)が、部屋の壁にローマ数字が彫り込まれていることを発見。その連絡を受けた時矢は、6件目の殺人事件を示唆しているのだと直感し、すぐさま能見の元へと向かいます。

 しかし、能見はすでに何者かに殺された後でした。捜査に行き詰まってしまった時矢は、元妻で能見の弁護人でもある奥畑記子(財前直見)に頭を下げ、犯罪心理学の権威・藤林経子教授(南果歩)による能見の精神鑑定書を見せてもらうことに。すると意外なことが発覚します。

 前回、時矢が面会した時には、藤林は能見の心神喪失の可能性は低いと語っていたものの、鑑定書には「高い」と記されていたのです。さらに、これまでの殺人事件のターゲットになった人物らが全員、藤林から精神鑑定を受けたことや、彼女自身と能見、外山がいずれも過去に事件や事故で家族を失い、その加害者が後に死亡したという共通点も判明するのでした。

 それらの事実から時矢は、“復讐を果たせなかった加害者の人数分、殺人事件で不起訴になったターゲットを身代わりに裁きを下す”ことができるという論理のもと、藤林らが犯行を重ねていたのではないかと推測します。

 さらに、能見から突き落とされ、記憶を失った事件の現場であるビルの屋上へ足を運んだ時矢は、落下する直前に能見から、殺人事件の容疑者らに罪を下せなかったのは「刑事の罪」だと言われたことを思い出し、罪悪感にとらわれるのでした。

 そんな時矢の様子が気がかりな相棒刑事・佐相智佳(瀧本美織)は、ふとした瞬間に時矢を見失ってしまい、連絡が繋がらず途方に暮れてしまいます。するとその夜中、藤林が教授として在籍する大学へ来るよう時矢から連絡があり、嫌な予感を抱きつつ構内へ向かったところ、腹部を刺された藤林の遺体と、血が付着したナイフを握りしめる時矢の姿を発見。犯行時のことが記憶にないという時矢ですが、状況的に犯人とみなされて留置場へ送られてしまいます。

 智佳たちはショックで落ち込むのですが、そこへ時矢から封筒が送られてきます。その中には、タクシーに乗って大学まで向かう様子を撮影したペン型のカメラが入っていて、時矢が構内に到着した時にはすでに藤林が殺されていたことや、何者かに後頭部を殴打されたために昏倒し、目が覚めた時には血の付着したナイフを握りしめさせられていたことが映されているのでした。

 アリバイが証明されたことで釈放された時矢は、マスコミに囲まれ揉みくちゃに。その混乱の中、何者かにナイフで腹部を刺されるものの、犯人の手を掴んで放しません。そこへ駆けつけた智佳たちが取り押さえた犯人は、留置場の看守・草場。時矢は以前、能見から、「郵便配達に気をつけろ」という謎の忠告をされたことがあるのですが、それが“犯人には思えない普通の人物にこそ注意しろ”という意味だと気づき、署から出る前に防刃ベストを着用していたため致命傷を免れたのです。

 その後、取調室にて、容疑者たちがまったく反省の色を見せない姿を目の当たりにして我慢できず犯行に及んだ、という草場の供述を引き出した時には、記憶を失う前の状態に戻ったかと思われた時矢ですが、結局記憶は戻らないまま。シリーズ化をニオわせたところで終了となりました。

 さて感想ですが、前回のラストから怪しげな存在として登場し、今回の序盤も黒幕だと思わせる演出がてんこ盛りだった藤林があっさり殺害され、草場が真犯人というのは、視聴者の裏をつくことだけが目的の薄っぺらく雑な脚本だと感じました。

 反省の色が見えない容疑者たちに腹が立つ気持ちはわかりますが、それが連続殺人を起こすほどの動機になりますかね。また、“復讐を果たせなかった人数分、殺しをする”という論理も理解に苦しみます。タロットカードの意味を持ちだしてもっともらしくこじつけていましたけど、無理やり感が半端なかったです。

 それと、「郵便配達に気をつけろ」というメッセージは、ミステリーの古典小説からの引用とのことですが、能見がなぜ時矢にそんなことを言ったのかもよくわかりません。時矢に回りくどいヒントを与えておちょくっていたということなんですかね?

 また、“目立たない人間”に気をつけろというのであれば、もう少しキャスティングに気を遣った方が良かったのではないかとも思いました。草場役の今野は個性的な顔ですし、他の作品で犯人やミスリード役として登場することが多いですから、何の意味も持たずに出演することはないとすぐに予想がつきます。

 藤林に会いに行く時、時矢がなぜ隠しカメラで撮影していたのかもよくわからなかったのですが、このドラマは今回に限らず全体的にご都合主義な演出が目立ちました。記憶を失う前は誰からも一目置かれる存在だった時矢が、新人の智佳に尻に敷かれる、という関係性はシリーズ化向きの面白さがあるだけに、次作があるならばもう少し謎解き部分にも注力してもらえたらと思います。
(文=大場鴨乃)

『家売るオンナの逆襲』最終話 北川景子、社長就任&ママになり、次シーズンが楽しみな結末に

 北川景子が不動産業界を舞台にスーパー営業ウーマンを演じるドラマ『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)も今回が最終回。13日に放送され、平均視聴率は12.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と有終の美を飾りました。

(前回までのレビューはこちらから)

 フリーランスの不動産屋・留守堂謙治(松田翔太)が三軒家万智(北川)にフラれ、姿を消してから1年。テーコー不動産新宿営業所は平穏な日々が続いていたのですが、外資系の競合会社・リッチブラスト不動産の急成長によって市場を奪われ、このままでは渋谷営業所に吸収されてしまうというピンチを迎えます。

 ライバル社に対抗すべく営業を強化するものの、AI(人工知能)を駆使したリッチブラストに歯が立たず。しかも、そのAIの戦略が万智にソックリだと気づき、庭野聖司(工藤阿須加)と足立聡(千葉雄大)が潜入捜査をすることになります。

 すると、同社の最高執行責任者に上りつめた留守堂が姿を現し、AIに万智の営業ノウハウを組み込んだと告白。さらに、住人の高齢化が進む集合住宅群・新宿ガーデンハイツから住人を追い払い、都市型リゾートタウンに再開発するつもりだと語るのでした。

 その新宿ガーデンハイツに足を運んだ万智は、リッチブラストからの立ち退き要求に抵抗する最後の住人となった藤見明(笹野高史)と譲(本田博太郎)の老兄弟に相対したところ、なぜか緊張でしゃっくりが止まらなくなります。

 実は藤見兄弟は30年前、7人組のマジシャングループ・マジック7の一員として一世を風靡し、当時ファンだったため、万智は緊張したのでした。

 そして、憧れだった彼らの生活を守るため、新宿ガーデンハイツの敷地内にある廃園になった保育園を復活させ、保育時間外はリタイア後のシニア世代の住人が子育てに協力する全世代参加型の施設にリニューアルするプランを打ち立てるのです。

 しかし、そのプラン実行に要する資金はザっと見積もって100億円あまり。しかも利益が出るかは不明ということで、暗礁に乗りかかってしまいます。そんな中、リッチブラストから高額の立ち退き金を提示された譲が折れ、住人は明のみとなってしまうのでした。

 一刻を争う事態となったことで、万智はテーコー不動産の社長(舘ひろし)に直談判し、ある交換条件で100億円の予算を確保。さらに全国へ散らばったマジック7の元メンバーに会いに行き、新宿ガーデンハイツで開催するイベントへの出演を依頼するのでした。

 そんな万智の行動を察知した上層部から、ネット上でテーコー不動産の風説流布をするよう命じられた留守堂は、その命令に従いはするものの汚いやり口に嫌気がさしてしまいます。

 一方、万智たちは風評被害を逆手にとり、マジック7のイベントをPR。マジシャン7人も無事に集まり、あとはショー本番を迎えるばかり、となったところで譲がケガをしてしまうアクシデントに見舞われてしまいます。

 急遽、明が中に入る箱にサーベルを刺す、という役を譲の代わりに務めることになった万智ですが、緊張でしゃっくりが止まらなくなってしまいます。しかし、そこへ留守堂が登場し、代役を華麗に務めてイベントは大成功に終わるのでした。

 無事に存続が決定した新宿営業所ですが、万智はというと、100億円の予算を出してもらうのと引き換えに社長職を受け継ぎ、今までのチーフ業と兼務することに。おまけに妊娠も発覚し、おめでた続きで終了となりました。

 前シーズンは全話平均視聴率11.6%を記録したものの、放送からすでに2年以上の歳月が経過。おまけに、前クールに放送された『獣になれない私たち』が、新垣結衣を主演に迎えての全話平均視聴率8.8%と振るわなかったため、今回は苦戦するのではないか、との前予想がありましたが、今回も全話で11.5%と人気ぶりを証明しました。

 続編で懸念されたマンネリ化を防いだのは、留守堂役の松田の存在でしょう。小学生の時に恋した万智を追って不動産業界へ飛び込み、フラれた腹いせにライバル社の上層部にまで上りつめて邪魔をする、というメチャクチャな奴ですが、足立の乙女心を掻き乱す天然な言動や、仕事は抜群にできるものの日常生活ではおとぼけ感が満載というギャップは、ドラマの良きアクセントになっていました。

 松田に対しては今までイケメン俳優という認識しかなかったので、パッと見はスマートながらも世間ズレしたユニークな役を演じられるというのは新鮮な驚きでした。細かい指摘をするならば、ピアスの穴がキャラの邪魔をしてたかなぁと。また、今シーズンのテーマである、“仕事と家庭の両立に奮闘する万智”の邪魔をする役回りを印象深く演じただけに、そのイメージが足かせとなり、続編があるならばレギュラー出演はちょっと難しいのではないかとも感じました。

 一方、社長に就任したことで万智の行動範囲や裁量は格段に広がりますから、続編ではさらにスケールの大きな家売る姿が見られることでしょう。年齢的に北川が実生活においても妊娠・出産する可能性はありますから、数年のブランクが空いてしまうかもしれませんが、それはそれで“ママ・万智”とリンクしてリアリティーが生まれることでしょう。テーコー不動産の他の面々の成長も楽しみですし、次作を期待したいと思います。
(文=大羽鴨乃)

竹内結子の大爆死ドラマ『QUEEN』不快感減退も、相変わらず「語る価値なし」

 竹内結子主演のドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』も大詰めとなった7日放送の第9話。視聴率は6.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と低空飛行が続きますが、これまでとはずいぶん旗色の違う仕上がりになっていました。

 イヤな部分、悪い部分は前回までのレビューでさんざん書き散らかしてきましたので、今回はちょっといい部分の話をしたいと思います。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

まず、あいかわらず撮影○

 撮影は終始、よいです。初回、2回目あたりは物語がひどすぎたので、浅めの被写界深度やシャレオツなレイアウトすら「うぜえ」という感じでしたが、今回はひどくなかったので素直に「シャレオツやん!」と思いました。

 センター低めに人物を置いて都会のビル群をボカす感じとかね、よかったですね。

あと、竹内結子○

 美人。

やっぱり、あんまりいい部分がない。

 見ていて不快感こそ大幅に減退したものの、やっぱりそんなに評価する部分はないなぁというのが正直な感想です。

 今回は竹内演じる氷見弁護士の過去を明らかにしつつ、仲良しこよしだった同僚の与田ちゃん(水川あさみ)との決裂があったり、それなりに迫力のある回だったのですが、どうにも乗れませんでした。

 ここまで、ほとんど語られてこなかった氷見の過去の情報を一気に出す、という「説明」の作業と、最終回に謎を残すための「伏線張り」の作業が同時に行われるので、忙しくて謎に興味を持つところまで至りません。また、そもそも氷見という人物に魅力を感じられるような作品でもなかったので、彼女が職場を辞めようが、過去に何か影があろうが、別にどうでもよくなってしまっている。それでも竹内結子は存在感を放っていましたが、今回はその竹内の出番も少ないので、なんだか1時間ドラマを見た気がしないのです。

 制作側としては、氷見をあえて出さないことで渇望感と謎感を煽る狙いでしょうし、その分、物語の推進力で乗り切れると思ったのでしょうが、ちょっとそれは無理があるなぁと感じました。何しろ1~8話と今回の9話はほとんどつながってないので、急に竹内結子があんまり出ないドラマが始まって、何も解決されないまま終わった感じ。もしかしたら9話と次回の最終回を合わせて2時間にして、それで映画だったら満足感があったのかもしれません。

 あいかわらず世論世論、どいつもこいつも人の評判ばかり気にして、「何をすべきか」「何をしたいか」で動いている人間がおらず、共感したいと思えるキャラクターはひとりもいません。登場人物全員が、ネットで叩かれてるかどうかを行動原理にしている。

 つまりこの作品世界は、国民全員が週刊誌とワイドショーとTwitterをくまなくチェックしているという前提で構築されているのです。そうして構築した世界を見下す視点を主人公たちに与えて、それをもって“爽快であろう”と訴えてくる。

 ネットを鵜呑みにするな、と言いたいのはよくわかります。フジテレビだし。だけど、それをメッセージとしてドラマを作るなら「我々は何を信じている」という宣言がなければ意味がないと思うんですよね。単なる愚痴でしかない。

 そう、このドラマはずっと、単なるフジテレビの愚痴に見えてた。そして、そんなのは別に見たくなかった。真剣に向き合って語るだけの価値もないし、回を追うごとにレビューに書くこともなくなっていく。というわけで、今夜最終回。お楽しみに。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

今、決戦の時が始まる――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第9話

(前回までのレビューはこちらから) 

 多くのドラマは、登場人物の誰に感情移入するかで、見え方が違ってくる。

 例えば、恋愛ドラマで、出てくる男優の仕草に心を奪われたとすれば、それは相手役の女性に感情移入していることになる。

 ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)は、そのあたりの計算がちゃんとできている。匡平(横浜流星)を見てキュンキュンしている女性は、知らず知らずのうちに、順子(深田恭子)の気持ちを体感しているのだ。

 一方、男性視点で考えると、その感覚は3つに分かれる。順子の可愛らしさやセクシーさに心惑わされる点では共通していても、匡平、雅志(永山絢斗)、山下(中村倫也)、それぞれの立場で違った世界が見えてくるからだ。第9話では、特に、従兄弟である雅志の気持ちが強く伝わってきた。

 父親のスキャンダルから、一時は東大受験を諦めようとしていた匡平。担任の山下の働きで問題は収まったが、勉強の予定は遅れてしまっていた。順子はその遅れを取り戻すため、匡平、美香(吉川愛)、牧瀬(高梨臨)を自宅に連れていき、追い込みをかけていた。そこへ、意を決した表情で雅志がやってくる。

 匡平らが帰った後、ベランダで2人きりになる順子と雅志。そこで、雅志は順子にキスをする。実は雅志は、会社からロシアへの転勤を打診されており、結婚に向けて思い切った行動に出たのだ。キスをされて、パニックになる順子。雅志のことは、どうしても「従兄弟」としてしか見ることができずにいたのだ。

 思えばこのドラマ、男性たちが、“今までの関係をどう打ち破っていくか”を競っているような視点でも見ることができる。従兄弟同士、教師と生徒、昔振った相手と振られた男。それぞれの関係性から、一歩足を踏み出し、「恋愛関係」に持っていくまでの競争のようでもある。

 実は、この「最初に出会った関係から一歩踏み出す」というのは意外に難しいものだ。お見合いや合コンで出会ったのならば、初めから恋愛・結婚という関係が見えているが、幼馴染や友達としての関係が長かった場合などは、そこから関係を深めていくためには、何かしらのきっかけが必要である。そこには、常に、「うまくいかなかったら、それまでの関係まで崩れてしまう」というリスクがつきまとう。

 雅志が20年も気持ちを伝えられずにいたのは、順子との良好な関係が壊れてしまうことへの恐怖心もあったことだろう。

 12月になり、順子と雅志は、親戚の結婚式に出席する。その後の集まりの席で、「付き合っている人はいないのか?」「誰かいい人を紹介して」などと、親戚中から集中攻撃をされてしまう。

 私も経験があるが、この“いい年をした独身者が、親戚の集まりに行く”というのは、本当につらいものだ。特に、同世代の親戚が、皆家庭を持ち、幸せそうにしていたりすると、実にいたたまれない気持ちになる。「結婚しない生き方」も認められる社会になってはいるが、やはり、結婚して子どもを作ってという幸せに憧れたりもするのだ。

 集まりの後、部屋で2人になった順子に、雅志は改めて自分の気持ちを告白し、プロポーズをする。何かを答えようとする順子に、雅志は言う。

「すぐ答えなくていい。少しは俺で悩め」

 この言葉の本意はどこにあるだろう? 自分のことで悩んで欲しいともとれるし、簡単に断りの返事をされることを恐れたとも思える。

 雅志に告白されたことを知った、友人の美和(安達祐実)は、順子の家に駆けつけ、悩む彼女に言う。「相手は捨て身で向かってきた。ちゃんと気持ちに答えるべき」。

 年が明け、順子と匡平は初詣に行く。その神社は、初めて順子が匡平に勉強を教えた場所でもあった。その頃を思い、そして今の自分の状況も考えて、順子は「何を選ぶかで人生は変わる」としみじみ思うのだった。

 ここで、匡平と山下が、順子について話すシーンがある。「好きな女と毎日一緒にして、よく押し倒さずにいられるな」そう言う山下に、匡平は答える。「めちゃくちゃそういう目で見てる。けど、我慢してる」。この気持が見る側に共感されるのは、深田恭子がただキレイなだけではなく、どこかセクシーで、女性的な魅力を放っているからだ。つくづく、この役柄は彼女でなければ成立しなかったと感じさせる。

 センター試験前の最後の授業も終わり、いよいよ決戦の日がやってくる。体調も、気持ちも、万全のままその時を迎えようとしていた匡平であったが、ふとしたことから、順子と雅志が結婚するという話を聞き、動揺する。

 その頃、順子は雅志と一緒にいた。プロポーズの返事をするためだ。「雅志を結婚相手として見たことは一度もない。でも、ちゃんと考えてみるのでもう少し時間がほしい」そう言う順子に対し、雅志は、「順子が俺のこと考えてくれる時間が一番嬉しい」と答えるのだった。これこそが、雅志の気持ちだろう。好きな女性の心の中に長くいる。それはとても幸せなことなのだ。

 順子の結婚の話を聞き、精神的にも弱った匡平は、風邪をひいてしまう。迎えた1月19日、センター試験1日目。体調が万全ではない中、匡平は試験に臨む。自己採点の結果は、足切りにあうかどうか微妙なところ。それでも、二次試験に向け勉強を続けなければならない。

 そんな中、2月3日を迎える。この日は匡平の18歳の誕生日。順子たちは、匡平の家に行き、サプライズでお祝いをする。そして2人きりになった時、匡平は、誕生日を覚えていてくれたことに感謝をする。そして順子を抱きしめ、「好きだ」という気持を伝える。順子は自然に匡平の背中を抱きしめるのだった。

 一次試験の結果発表で、匡平は無事通過。そしていよいよ二次試験の日、待ち合わせの場所に順子は現れなかった。実は、順子はバイクにはねられ、病院に運ばれていたのだ。知らせを受けた匡平は、病院に行くか、試験を受けるか、迷う。

 しかし、匡平の姿は試験会場にあった。順子の思いも背負って、一緒に合格する。その気持を優先した。最後の戦いが始まったのだ。

 ラスト目前で主要キャストが事故に遭ったり、病気で倒れたりするのは、ドラマでよくある展開ではある。しかし、その試練を乗り越えてなお、強い結びつきを感じてしまうようなラストに、期待もしてしまう。

 今までの展開を見ると、順子の気持ちは匡平に傾いているように見える。しかし、私が一番感情移入できるのは雅志なのである。雅志のようにいい大学を出ているわけでもないし、エリート社員でもないが、順子に対する愚直なまでの思いと、それをうまく伝えられない不器用さにシンパシーを感じてしまうのだ。

 順子の人生は一つしかない。雅志と匡平、どちらかを選ばなければいけないのだ。それはわかっていても、できることなら、主要キャストみんなに幸せになってもらいたい。そんな祈りを持って、最終回を待ちたいと思う。

(文=プレヤード)

遠藤憲一の“大人げなさ”を堪能『さすらい温泉』卓球シーンのクオリティにニヤける

 遠藤憲一が俳優を引退して温泉で派遣の仲居をやっている。そんな設定のフェイクドキュメンタリー風人情ドラマ『さすらい温泉 遠藤憲一』(テレビ東京系)。仲居の時は「中井田健一」と名乗り、なぜか遠藤だと気づかれることのない「健さん」が今回(第8話)も、見事に恋に落ちつつもシリーズ随一の大人げなさを見せる。振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

「芦花公園」の徳富蘆花の常宿

 今回健さんが派遣されたのは、群馬は伊香保温泉の老舗旅館・千明仁泉亭。「明治の文豪・徳富蘆花が定宿にしていたことで知られている」と紹介されていたが、亡くなったのもこの宿の離れで、その木造の建物は、同じく伊香保の徳富蘆花記念文学館に移築されている。

 ちなみに京王線の芦花公園駅はもともと上高井戸駅で、近くに徳富蘆花が住んでいた蘆花恒春園があるので「芦花公園駅」に改名された。京王線ユーザーは特に気になる宿のはず。

珍しく若女将から逃げまくる健さん

 若女将(岩本和子)に挨拶するなり「健さんのような人を探していたのよ(ハート)」とモロに好意を寄せられる健さん。

 婚活中だということで積極的なのだが、グイグイくる女性が苦手なのか健さんは、珍しく逃げの一手。

 女将役の岩本和子は、第3回国民的美魔女コンテストファイナリストだったり、「週刊ポスト」(徳間書店)にグラビアが乗るたびに問い合わせが殺到(編集部談)したりするくらいらしいのだが、健さんの琴線には響かないようで、その「押し」の強さが面白くもあり、その報われなさぶりがどこか物悲しかったりもする。

 まあ、9割9分面白いのだが。

デリカシーの無い健さん

 今回健さんが恋に落ちたのは、宿泊客の増本若奈(松本若菜)。子連れなのに、お構いなしに恋に落ちるのは第1話(ともさかりえの回)から変わりない。

 むしろ子ども(達也=中野龍)の心をつかむことで母親につけ入ろうとして、子どもを有効に利用する節がある。

 温泉に浸かりながら若菜の入浴シーンを想像し、「やっぱり父親が必要だよな」とニヤけるたくましさも相変わらず。

「お父さんてのは家で留守番してるの?」

「今はいない、離婚した」

「その辺の話もう少し詳しく聞かせてくれないかな?」

 思春期で反抗期っぽい少年とのファーストコンタクトから、自分の目的のために引くくらいデリカシーのないアプローチを見せる健さん。

 さらに温泉に一緒に入ろうと誘うも強烈に拒否される。母親に言われても温泉には絶対に入らないようで、しかしながら、それには意外な理由があった。

 失踪しかけるも見つかり、慰める健さんを邪険にする達也。

「そんなでかい口を叩くのは俺を倒してからにしろ」

 まるで同い年の子どものように真正面からぶつかっていく、ただ母親のことが好きなだけの部外者・健さん。

 なぜ倒さないといけないのかはわかないが、口車に乗せられ、健さんに向かっていく相当年下の達也。

 何度か大人げなく子どもを投げ飛ばしたカットから、いきなり2人で並んで神社の階段上に腰掛け、ジュース(湯上り堂のサイダー?)を飲んでいるシーンに。

 無駄な説明をせず、見事に打ち解けた空気を表現した気持ちのいいシーン。

 汚れた身体を洗うため温泉に入りかけた達也の脚の痣を見て、温泉に入りたがらない理由も、卓球を辞めようしてる理由も健さんは理解する。

 恒例のなんでも出てくる四次元トランクから出てきたのは、卓球のユニフォーム。

 前回(第7話)、板前に扮した時も包丁でそうしていたが、今回も2人の前にユニフォームを着用して登場したとき、ずっとラケットを斜めに構えたまましばらく会話していた。

 しかも宴会場の畳の上で卓球のシューズを履いたまま。この猪突猛進ぶりがいい。

 ちなみに、四次元トランクにはビニール製のおもちゃの蛇も入ってました。

それでもデリカシーのない健さん

 達也は卓球のユニフォームを着ていると、どうしても脚の痣を見られてしまい、それを同級生がやんや言ったらしい。子どもは純粋なほど逆に残酷だ。

「なんできれいな身体に産んでくれなかったんだよ!」

 切実な達也の叫びが、今度は若菜を傷つける。

 母親にこの言葉はきつい。しかし、狭い世界で八方塞がりの達也は、それほど追い込まれていたのだろう。

「いいか、勝負ってのはな、痣があるとかないとか関係ないんだよ! 勝つか負けるかだ!」

 いまいちピンと来ない名言らしき迷言を、もっともっぽく叫ぶ健さん。怒っていることは間違いない。

 そして2人の卓球勝負が始まるのだが、スマッシュを決めるなり大声で「チョレーーーイ!」と叫び、拳を突き上げる健さん。

 どこまでも大人げない。最高。今時、なかなか恥ずかしくて言えないワードなのに。

 しかしここまでくるともはや気持ちいい。

 試合は結局、僅差で達也が勝利。

 息を切らしながら、「強いなお前。その才能をお母さんからもらったんだ。感謝しろ?」と言い残し、2人の前から消える健さん。

 親子は会話するかのように卓球をする。

「母と子の静かなラリーはお互いの心を確かめ合っているようだ……」と心の声で良いことを言いつつ、「俺も覚悟ができた……達也くんの父親になる覚悟が……!」と、支離滅裂でサイコな独り言で笑わせてくれる健さん。

 その後に、若菜が来月再婚するとの報告を聞き、絶妙な顔でフリーズしてしまうのもお馴染みだがきれいなオチだ。本当にいい顔をしていた。

 軽く「バイバーイ」と吐き捨てるような挨拶をしていなくなる達也もいいが、フリーズが治らない健さんに素早く寄り添い「いいわね再婚……私たちも……(ハート)」と持ちかけるたくましき若女将も見事。

 今回お色気要因として配置されたはずの岩本と黒川だが、健さんを狙う女将のめげない獣ぶりや、それを面白がって健さんに知らせる仲居・なお(黒川サリナ)のお節介ぶりが大変よかった。どちらも芸達者だ。

 今回さらに笑ったのは、幼い頃から卓球に勤しんできたはずの達也が思いっきり卓球が下手くそだったこと。

 健さんのことが言えないくらい大人げなくて申し訳ないが、あからさまにピンポンレベルのラケットさばきで、逆に笑ってしまった。

 次回は修善寺温泉。

 予告では全裸の女体に「金色夜叉」と書いてある謎のシーンが。これだけで俄然楽しみになりました。
(文=柿田太郎)