坂口健太郎『イノセンス』真犯人・武田真治が急に登場! 視聴者「いきなりすぎ」とブーイングの嵐!

(これまでのレビューはこちらから

 坂口健太郎主演ドラマ『イノセンス~冤罪弁護士~』の第9話が3月16日に放送され、平均視聴率8.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録しました。

 やっと、最終章を迎えた同ドラマ。拓に弁護士となるきっかけを与えた幼馴染が起こしたとされる殺人事件がメインということで、波乱の展開を迎えそうな予感ですが……

 ではでは、今週もあらすじから振り返ってきましょう!

■連続殺人事件が11年前の事件と類似し、動揺する拓!

 美大生が殺される事件が起こり、彼女に付きまとっていた富士田(坂本真)が逮捕され、弁護を担当することとなった拓(坂口)と楓(川口春奈)。この事件は拓の幼馴染が起こしたとされている事件と類似する点がいくつもあり、疑いを持つ拓は、真犯人は別にいると考え始め、調べ始める。

 そんな中、新たな遺体が発見され、富士田が再逮捕されたとの連絡が入る。連続殺人事件ということで、世間の脚光を浴び、拓と過去の事件の関係も掘り起こされ、拓は窮地に。

 裁判後、落ち込む拓は楓に「一人にしてくれ」と言い、夜道を一人歩いていた。そんな時、楓は新情報を手に入れる。それを早く拓に伝えようと後を追いかけるも、ある人物に刺されてしまうのだった、というのが今回のストーリーでした。

■最後の章はお約束「権力の圧力」

 今週やっと最終章を迎えましたが、リーガルドラマだけに、最後はやっぱり権力の圧力がテーマ。別にこれに関しては、弁護士がメインなので、検察・検事側を悪く描くのは仕方ないと思います(検事ドラマだと弁護士が悪く描かれますしね)。

 ですが、これまで、ちゃんと現実に起こった事件を元にストーリーを作ってきており、日本テレビには珍しい本格派ドラマだと思っていたんですが、急にここで「権力の圧力」をテーマに持ってくるとは……正直、別のドラマでもよくやるじゃないですか。このテーマって。なんだか、「あ~結局これですか~」ってガッカリしたんですよね。

 もっと現実社会で起こった冤罪事件にスポットを当てられるような最終章を期待してたんですが……。ちょっと残念です。

■急に恋愛要素をぶっこんできて萎える……

 今週、急に拓と楓の関係が急展開するようなシーンがいくつか放送されたんです。ですが、急な展開に、「え? この恋愛になりそうな展開は期待していないんだけど」と思わず、ツッコミ。だって、今までそんな兆候はなく、いきなりぶっこんできたんですから。

 で、最後は楓が拓の代わりに刺されてしまう……って、この展開もどうかと。だって普通に考えて、相当好きじゃないと代わりに刺されるなんてことしないでしょ(笑)。

 なんでしょうか、この展開は……。真面目に見ていて騙された気分になりました。

■あら、真犯人から会いに来てくれるなんて……

 楓を刺したのは、拓の幼馴染が疑われた事件と今回の連続殺人事件の真犯人である人物で、演じるのは武田真治。自分が起した事件が注目を浴びる中、怖くなって拓を刺しにきたんでしょうか、それとも拓に恨みがあるのか、動機は次回にならないとわかりません。

 ですが、ひとついえるのは、武田真治の登場が急すぎるんです(笑)。これまで、幼馴染の事件に関しては毎回さらっと冒頭や終わりで広げてきていたんです。で、「冤罪っぽいな、誰だ真犯人は?」なんていわれていたんですが、突如今回の9話でシンディーが登場。まったく脈絡がありませんでしたからね、案の定ネットは騒然。「え? 急に出てきた武田真治が犯人だったの?」「推理とかさせてくれないんだね(笑)」「あれだけ、冤罪かもなんてストーリー広げて、じゃあ誰が犯人? ってなったら、急に出てきた武田真治って、視聴者なめてる展開(笑)」とブーイングの嵐でしたよ(苦笑)。で、ここまでこの事件を引っ張っておいて、次回予告では武田真治が自白する展開になる様子。

 もうね、急に出てきた登場人物が決定的なぼろ出して、全部かぶせて終わりって……これで本当に終わるのでしょうか? もっと考えて欲しんですけど(笑)。こんな展開は視聴者も期待していないですからね。ちょっと次回の放送を待たずにガッカリしてしまったのは否めないですね。

■楓が前の事務所で受けたセクハラ事件の件は?

 拓の事件ばかりが目立ちますが、過去に楓が前の事務所でセクハラ事件を受けたというシーンがあったんです。そのセクハラした上司が別のセクハラ事件で注目を浴びたときに、どうしようと悩んでいた姿が放送されていたんですが、この件が一向に解決していないんですよ。もしかして、それで終わりなんでしょうか? だったら、別に拾う必要なかったんじゃ……?

 最終回にちゃんとこのセクハラの件が回収されるのか、そこにも注目して欲しいです。

 以上9話のレビューでした。

 次回ついに最終回を迎えますが、一体どんな最後を迎えるのか、気になる! 最終回も見逃せません。

(どらまっ子KOROちゃん)

視聴率2ケタ回復で有終の美! 高畑充希『メゾン・ド・ポリス』役得だったのは、野口五郎と竜星涼か

 15日についに最終回を迎えた高畑充希主演『メゾン・ド・ポリス』(TBS系)。視聴率は10.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、前回から0.8ポイントアップ! 初回で12.7%の高視聴率を記録したものの、その後は徐々に下がり続け、第7話では8.3%まで転落してしまいましたが、最後の最後で2桁台に返り咲き、全話平均視聴率は10.3%と、有終の美を飾りました。

 前回、元警察OBで高遠建設渉外部部長兼常務取締役の野間仁(佐野史郎)の策略により、バラバラになってしまったおじさんたち。絶体絶命のこのピンチをどう乗り越えるのか、まずはあらすじから振り返っていきましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

いよいよラスボス戦!

 上層部から自宅謹慎を命じられ、誰もいないメゾンにやってきたひより(高畑)は責任を感じて落ち込みますが、野間とのチェスから帰ってきた伊達さん(近藤正臣)は、「年をとると諦めが悪くなる」「みんな 久しぶりに燃えている」とひよりを慰めつつ、闘争心を燃やします。

 すると、娘・小梅ちゃん(水谷果穂)の無事を確認した高平さん(小日向文世)が両手に買い物袋を抱えてメゾンに帰ってきます。「こういうのはしっかり腹ごしらえをしないと勝負にならないの!」と、野間と戦う気マンマン。

 それは他のおじさんたちも同じでした。夏目さんは警察から逃げながら、野間と繋がっている青戸組の大黒(中野英雄)が部下の若林(笠松将)を殺した証拠となる血が付着した靴を押収したり、野間が出入りしていたバーの店長を力ずくで押さえ込んで情報を収集。

 若林殺しの罪を着せられ、警察に捕まった迫田さんは、かつての部下である新木(戸田昌宏)に警察内部の裏切り者探しを頼み、爆発に巻き込まれ怪我を負った藤堂さんは病院を抜け出し、夏目さんがコッソリ届けてくれた大黒の靴底を調べます。

 ひよりも、夏目さんが集めた情報と、野間によって殺されてしまった市野沢和子(宮地雅子)が最後に残した言葉をヒントに、死んだ父の遺品の中から、野間と大黒の癒着の証拠となる不正会計の裏帳簿を発見。ジャーナリストの館林真琴(東風万智子)に頼んで、世間に公表しようと試みます。

 しかし、真琴を裏で脅していた野間は、メゾンに集まったおじさんたちやひよりを捕らえ、証拠隠滅のために真琴から預かった裏帳簿ごとこの世から消し去ろうとします。揚げ句、「ちっぽけな正義で私の邪魔をしたんだ」と、不正会計の口封じのためにひよりの父を殺したことをペラペラと自白。

 すると、メゾンに仕掛けられていた盗聴器で全てを聞いていたメゾンの三河屋兼人事一課の草介(竜星涼)が、ひよりの合図に合わせてSITともに現れ、野間や大黒を確保。SITの隙をつき、野間が銃を構えたところを、「一度ぶっ放してみたかったんですよ」と、意外にも銃撃が得意だった高平さんが野間の腕を撃ち抜き、何事もなく、事件も無事幕引きに。

 後日、強引な独自捜査を進めていた夏目さんには、傷害罪や器物損壊罪で逮捕状が下り、

「最強の刑事になるんだろ。頑張れよ」

 と両手を突き出す夏目さんに、ひよりが涙ぐみながら手錠をかけます。

 その後、捜査一課に異動を命じられたひよりが事件現場に向かうと、保釈中の夏目さんを含めた、見覚えのあるおじさんたち5人の姿が。チームメゾン・ド・ポリスの捜査は、まだまだ続きそうな予感です――。

 全ての黒幕は野間であることはすでにわかっているし、この手のドラマの性質上、だいたいは主人公側が勝つことが大前提にありますから、最終回は絶体絶命のピンチからどうやって野間を追い詰めるかが鍵となりました。

 間宮警視正が警察内部の裏切り者だったことはなんとなく予想がついたし、草介が後々味方につくことは、9話でのひよりの「信じてます」発言からわかりきっていた展開だと言えるでしょう。

 でもだからこそ、助けに駆けつけたときは、“待ってたよ〜!”という気持ちになれたし、「ちわ~っス! 極上SIT一個小隊お持ちしました〜」と、いつもの口調でやってきたことも、警察としてではなく、三河屋としてメゾンのおじさんたちを助けに来たことがわかって、戦隊モノでいう、追加戦士が現れたときのようなワクワク感がありました。おじさんたちが草介の正体に気がついていなかったことは意外でしたが……。

 意外といえば、最後に夏目さんがひよりに逮捕されたこと。視聴者たちも「えぇ‼ この展開は想像してなかったぞ……」などと驚きの声を上げていました。

 ただ、あのシーンがあったおかげで、ハッピーエンドだけの、ただの予定調和にならず、ドラマ全体を通しても、緩急のメリハリが効いたドラマになったんだと思います。

 そういえば、作中、エプロン姿で家事をする西島さんが「PanasonicのCMに見える」との声が上がっていたことを受けてなのか、今回、ひよりが堂々とPanasonic製品のアイロンを使うシーンが。同社のお偉いさんに、このドラマのファンがいたんですかね。シャレが効いた楽しいシーンでした。

 

続編の可能性は……?

 今回のツッコミどころとしては、

・メゾンで爆発が起きた時、草介が仕掛けていた盗聴器はなぜ壊れずに無事だったのか

・真琴の娘・桃香役の子役がシーンごとに替わっていたのはなぜか(スケジュールの問題なのか、季節柄インフルエンザにでも罹ってしまったのかもしれませんが)

 この2点が気になりましたが、全体的に視聴者の評価は高め。「オチに捻りがあって良かった 」「最近のドラマの中では久々にスッキリしたラストだったなぁ」「みんなかっこよくてスッキリ終わる最終回とか最高」「またメゾンドポリスのみなさんに会いたい」などなど、好意的な声が寄せられています。

 加藤実秋さんの原作小説はシリーズ化されていますから、今後コンテンツに困ったら続編製作の可能性もあるかも!? その際は、ぜひともキャストはそのままでお願いしたいところです。

 

役得だったのは、野口五郎と竜星涼

 ありきたりな脚本&設定に粗さはあったものの、このドラマが視聴者に支持されたのは、誰一人として役に合わない、無理している感のない見事な配役と、役者陣の演技力あったからこそだと思います。

 主人公でヒロインの高畑充希ちゃんは、初回のレビューで、「『過保護のカホコ』(日本テレビ系)の箱入り娘や『忘却のサチコ』(テレビ東京系)の鉄の女編集者に比べると印象が薄い」と書きましたが、ラストで涙ぐみながら夏目さんを逮捕するシーンや、捜査一課に配属されたシーンでは、初回のオドオドした雰囲気とは比べ物にならないくらい、自信に満ちた凛々しい顔つきになっていましたし、おじさんたちにもまれて一人前の刑事へと成長する過程を、全10話の中でよく表現されていたなぁと思います。最初は不気味に見えた彼女の黒目がちの瞳も、すっかり気にならなくなりました。あの大御所の中で堂々とヒロインを演じきれる女優さんは、なかなかいないんじゃないでしょうか。

 しかし、そんな高畑充希ちゃん以上に絶賛の声が上がっていたのが、最終回でいいところをかっさらっていった草介役の竜星涼と、今回、久々の民放連ドラ出演となった藤堂さん役の野口五郎。

 8話のレビュー(記事はこちらから)で書いた通り、二面性ある役を好演した竜星くんについては、草介の登場シーンで、「あの登場の仕方はズルい」「三河屋とヒトイチの時のギャップ…SITを従えてきたのかっこよすぎて全てをもってかれた……」「こんなスタイルのいいSIT極上にも程があるのでは?」「メゾンドポリス観てから、竜星涼くん好きになった」と女性視聴者から黄色い声が。

 女好きのチャラ男・藤堂さんを演じた野口五郎には、「西島秀俊より野口五郎の方に魅せられてしまった 」「コメディもシリアスもいけるのね!ってびっくり」「藤堂さんでスピンオフ作って欲しい(笑)」「もっとドラマ出た方が良いわ」「あんなに芝居が上手いの知らなかった」と、今後を期待する声が多数上がっています。

 野口さん、昨年12月に食道がんの手術を受けられたそうで、病気のことで迷惑をかけないか不安を抱えながらの撮影だったそうですが、そんなことを一切感じさせない明るくお茶目なキャラクターを魅力たっぷりに演じていらっしゃいました。若い世代には、俳優としてのイメージはあまりなかったかもしれませんが、今作でマルチプレヤーぶりを如何なく発揮し、名俳優たちの中でも存在感を放っていたように思います。

 2人にとって、この作品は間違いなく、代表作の一つになったんじゃないでしょうか?

 最後に、一つ欲を言うなれば、メゾンに草介や藤堂さんの元妻である杉岡さん(西田尚美)とかを呼んで、お決まりのカラオケ大会でどんちゃん騒ぎするシーンも見たかったような……。まぁ、そちらは続編とともに期待したいと思います。

(文=どらまっ子TAROちゃん)

竹内結子『QUEEN』6.0%憤死フィニッシュ……視聴者をなめくさった脚本の“最大の欠点”

 なんだかホントにひどいドラマだったなぁと感じます。竹内結子主演の『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)、14日に放送された最終回の視聴率は6.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、全話を通じて2番目に低い数字でした。実に6年ぶりの連ドラ主演となった竹内結子にとっては損しかない作品でしたし、放送中の再婚発表もたいして話題にならなかったね。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

■最終回も視聴者をなめくさっとる

 

 スピンドクターという情報操作の専門家を描いた珍しいドラマで、挑戦的な作品だったとは思います。で、スピンを扱うからには最終的に政治をやりたかったのもよく理解できる。主人公の氷見さん(竹内)と同僚の与田ちゃん(水川あさみ)が決裂したように見せて、実は共闘していたという展開も、形そのものは悪くない。これまでクライアントのために、その周辺に対して愚弄の限りを尽くしてきた氷見さんが最後に正義を貫くことでカタルシスを与えようとした意図だって、ドラマの最終回にふさわしいものだったと思う。

 だけど、これはもう全話にわたっていえることなんですけど、要するにスピンが効いてないんです。卓越した情報操作技術の、その「卓越っぷり」が見どころになるべき作品であるはずなのに、段取りが粗末すぎる。

 例えば5年前、氷見さんは人をクルマで轢き殺して逮捕されたことになっていました。でも実は、そのとき死んだ人は歩道橋からの飛び降り自殺で、氷見さんは事故を起こしてなかったという。では、なぜ氷見さんが轢いたことになっていて、新聞報道もされて、逮捕もされたのか。どういうスピンを使って、マスコミや警察をコントロールしたのか。

 それをこのドラマは竹内結子の「そう仕向けたの」の一言で片づけてしまう。どう仕向けたかを考える作業を放棄してる。「主人公がそう言ってるから、そうなんだ」で押し通す。

 終始、視聴者をなめくさっとるんです。ドラマ序盤は倫理的にヤバすぎる描写が多くて目立っていませんでしたが、スピンドクターを描きたいのにスピンを描いてないのが、このドラマの最大の欠点だったと思います。

■「やったー!」じゃねえよ

 それと、これも最初のころからあった違和感なんですが、クライアントや関係者は、基本的に不幸を抱えて登場しています。それをなんとかかんとか解決するわけですが、氷見さんたちは事後、必ず大喜びするんです。今回だって、人がひとり自殺してるのに、自分たちの目的が達成されたらハイタッチして、満面の笑みを浮かべている。

 権力が隠蔽してきた人の死の真相を暴いたのは、暴かないよりいいですよ。だけどそれは、そんなに喜ばしいことなの? 何を喜んでいるの? 悲しいことがあって、許せないことがあって、それを正す仕事を完遂したのはわかるけど、それはママさんバレーの試合でスパイクを決めたときみたいに、ハイタッチして喜び合うようなことなの? ご遺族はどう思うの?

 そういう倫理観の欠如、人の気持ちのわからなさ、思いやりのなさ、第1話からずっと感じていた不快感の正体は、そういうところだったと、最終回を見て改めて思いました。

■また倉光さんが消えた

 フジテレビが、どれだけ結果を出せなくても積極的に起用し続けている脚本家・倉光泰子さん。今回も放送当初はメーンとしてアナウンスされていましたが、6話以降は三浦駿斗さんになっていました。第8話では三浦さんと倉光さんの連名でしたが、実質途中降板の形です。

 フジは、倉光さんをどうしたいんだろうと思うんです。『ラヴソング』の1~3話や、『刑事ゆがみ』を見るに、とっても有能な人だと思うんだけど、ものすごく雑に扱われている感じがする。また何か書くなら見たいという気持ちはあるんですが、なんかもう、なんかもうね。見てらんないですよ。

 というわけで、この原稿限りで『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』についてもう一生涯、二度と考えなくていいという解放感とともに筆を置きたいと思います。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

竹内結子『QUEEN』6.0%憤死フィニッシュ……視聴者をなめくさった脚本の“最大の欠点”

 なんだかホントにひどいドラマだったなぁと感じます。竹内結子主演の『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)、14日に放送された最終回の視聴率は6.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、全話を通じて2番目に低い数字でした。実に6年ぶりの連ドラ主演となった竹内結子にとっては損しかない作品でしたし、放送中の再婚発表もたいして話題にならなかったね。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

■最終回も視聴者をなめくさっとる

 

 スピンドクターという情報操作の専門家を描いた珍しいドラマで、挑戦的な作品だったとは思います。で、スピンを扱うからには最終的に政治をやりたかったのもよく理解できる。主人公の氷見さん(竹内)と同僚の与田ちゃん(水川あさみ)が決裂したように見せて、実は共闘していたという展開も、形そのものは悪くない。これまでクライアントのために、その周辺に対して愚弄の限りを尽くしてきた氷見さんが最後に正義を貫くことでカタルシスを与えようとした意図だって、ドラマの最終回にふさわしいものだったと思う。

 だけど、これはもう全話にわたっていえることなんですけど、要するにスピンが効いてないんです。卓越した情報操作技術の、その「卓越っぷり」が見どころになるべき作品であるはずなのに、段取りが粗末すぎる。

 例えば5年前、氷見さんは人をクルマで轢き殺して逮捕されたことになっていました。でも実は、そのとき死んだ人は歩道橋からの飛び降り自殺で、氷見さんは事故を起こしてなかったという。では、なぜ氷見さんが轢いたことになっていて、新聞報道もされて、逮捕もされたのか。どういうスピンを使って、マスコミや警察をコントロールしたのか。

 それをこのドラマは竹内結子の「そう仕向けたの」の一言で片づけてしまう。どう仕向けたかを考える作業を放棄してる。「主人公がそう言ってるから、そうなんだ」で押し通す。

 終始、視聴者をなめくさっとるんです。ドラマ序盤は倫理的にヤバすぎる描写が多くて目立っていませんでしたが、スピンドクターを描きたいのにスピンを描いてないのが、このドラマの最大の欠点だったと思います。

■「やったー!」じゃねえよ

 それと、これも最初のころからあった違和感なんですが、クライアントや関係者は、基本的に不幸を抱えて登場しています。それをなんとかかんとか解決するわけですが、氷見さんたちは事後、必ず大喜びするんです。今回だって、人がひとり自殺してるのに、自分たちの目的が達成されたらハイタッチして、満面の笑みを浮かべている。

 権力が隠蔽してきた人の死の真相を暴いたのは、暴かないよりいいですよ。だけどそれは、そんなに喜ばしいことなの? 何を喜んでいるの? 悲しいことがあって、許せないことがあって、それを正す仕事を完遂したのはわかるけど、それはママさんバレーの試合でスパイクを決めたときみたいに、ハイタッチして喜び合うようなことなの? ご遺族はどう思うの?

 そういう倫理観の欠如、人の気持ちのわからなさ、思いやりのなさ、第1話からずっと感じていた不快感の正体は、そういうところだったと、最終回を見て改めて思いました。

■また倉光さんが消えた

 フジテレビが、どれだけ結果を出せなくても積極的に起用し続けている脚本家・倉光泰子さん。今回も放送当初はメーンとしてアナウンスされていましたが、6話以降は三浦駿斗さんになっていました。第8話では三浦さんと倉光さんの連名でしたが、実質途中降板の形です。

 フジは、倉光さんをどうしたいんだろうと思うんです。『ラヴソング』の1~3話や、『刑事ゆがみ』を見るに、とっても有能な人だと思うんだけど、ものすごく雑に扱われている感じがする。また何か書くなら見たいという気持ちはあるんですが、なんかもう、なんかもうね。見てらんないですよ。

 というわけで、この原稿限りで『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』についてもう一生涯、二度と考えなくていいという解放感とともに筆を置きたいと思います。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

本当の気持ちに気づいて、人はまた少し幸せになる――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』最終話

(前回までのレビューはこちらから) 

 物事の本質を見極めることは大切だ。

「自分が本当はどうしたいのか?」「自分にとっていちばん大切なものは何か?」それに気づくのは案外難しい。一時の感情に流されて、短絡的な判断をしがちだからだ。

 ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)も最終話。匡平(横浜流星)にとって、そして順子(深田恭子)にとっていちばん大切なものは、何だったのだろうか。

 匡平の東大二次試験の日、順子がバイクにはねられ病院に運ばれる。命に別状はないということだが、手術後は意識が戻らず、周囲の人達も経過を見守るしかなかった。

 従兄弟の雅志(永山絢斗)は、会社で重要な仕事があったにもかかわらず、それを投げ出して病院に駆けつけた。一方、匡平は、迷った末、東大の受験を続けた。

 この時の2人の判断は、それぞれ大きく分かれたことになる。雅志は、「自分の出世のチャンスを投げ捨ててでも、今順子のそばにいたい」という気持ちを優先した。そして匡平は、「今まで順子と一緒に積み重ねてきたものを、結果として残したい。そして順子をも幸せにしてあげたい」そんな思いを優先させたのだ。

 お互いの事情は異なるものの、より先を見て、本当に順子が喜ぶ決断をしたのは、匡平の方ではないかと思う。匡平は、戦っていたのだ。もちろん自分のためでもあるが、父親のためにも、そして順子のためにも。

 順子と出会って一年半、匡平は大きく成長した。それは、勉強で増えた知識ばかりではない。人の気持ちを思い、「本当に大切なことは何か」を見極める力をつけた。それこそが、彼が順子から学んだ、最大の知恵ではなかったろうか。

 事故の翌日、順子は目を覚ました。しかし、入院中、匡平が彼女に会いに来ることはなかった。匡平は、順子が事故に遭った時、受験を選んだことに後ろめたさを感じていたのだ。「選択するということは、他を捨てるということ」「高みを目指せば、必ず厳しい選択をしなければならない時が来る」そんな言葉が、彼の頭にうず巻いていた。

 とかく世の中が複雑になると、目的を見失うことがある。繰り返すが、匡平が受験をしたのは、順子のためでもあるのだ。その気持ちの整理を、自分でもできていなかったのかもしれない。

 その頃、順子もまた匡平のことを考えていた。匡平のことが好きだという気持ちに気づきながらも、「彼の気持ちは、受験期のつり橋効果のようなもの」「彼の未来を邪魔するような足手まといにはなりたくない」と考え、会わない選択をしていたのだ。

 ドラマの後半、最終回ということで、いろんなエピソードが収束していく。

 美和(安達祐実)と西大井(浜中文一)はお互いの嘘がバレてしまうが、結局交際はうまくいき、婚約までこぎつける。

 順子は雅志のプロポーズを断る。どうしても、恋人とか結婚というような関係にはなれなかったのだ。

 そして、順子と母親(檀ふみ)との確執も溶けていく。「子育てに失敗した」と言う母に、順子は答える。「子育ては成功している。だって今、私はすごく幸せだから」。

 塾では、牧瀬(高梨臨)が順子の代理で働き始め、順子も正規の講師となることが決まる。そして……。

 匡平は東大に合格していた。

 合格の報告をし、改めて順子に告白する匡平。順子は、匡平をあきらめさせるため、「雅志と結婚する」と嘘をつく。お互いがお互いへの思いを抱えたまま、2人は別れるのだった。

 4月になって、大学が始まった。匡平は入学のガイダンスを受け始めていた。順子との別れを覚悟していた匡平の背中を押したのは、高校の元担任である山下(中村倫也)だった。山下から、順子と雅志の結婚が嘘だと聞いた匡平は、順子に会いに行く。

 思いを伝える匡平に、それでも順子は交際を断る。年齢差や、将来のことなど、“理性的に”考えて問題が多いと判断したのだ。

 ここで登場するのが、小ネタとして使われていた「スプーン曲げ」である。入院時の暇つぶしで興味を持った順子は、スプーン曲げに挑戦する。しかし、もちろん簡単には曲がらない。

 美和と西大井の婚約祝いの席で、集まった人たちに匡平とのことを全てを話し、「まっとうな大人として誠実にさよならできたと思う」と語る順子に、塾長(生瀬勝久)は言う。「普通ですね。春見先生は普通の大人じゃないと思っていた」。

 その言葉を聞いて、自分のあり方を思い出した時、順子の持っていたスプーンが曲がる。そう、自分は“変わった大人”だったのだ。そして、そんな大人にしかなれない自分を好きになってくれたのは、他ならぬ匡平だ。それに気づいた順子は、匡平に会いに行く。

 東大の教室で、思いを伝える順子。ようやく気持ちが通じ合った順子と匡平は、しっかりと抱き合い、キスをするのだった――。

 雅志や山下の気持ちを考えると、少し切ない展開だったが、幸せなラストといえるだろう。

 最終回は、目に涙を浮かべた順子の姿がたくさん見られたが、深田恭子に潤んだ瞳で見つめられたら、それはもうたまらない。全話を通して視聴率は1ケタどまりと苦戦を強いられたが、せめてその涙が、順子を演じきることができた喜びによるものであってくれるよう、祈るばかりである。

 全体としては、「東大受験」というテーマに収束しがちだが、このドラマが伝えたかったのは、“自分の正直な思いを見つめ、それに従って生きることの大切さ”なのかもしれない。最終回で雅志の言った、「失敗したっていい。実らなくても幸せな恋もある。成功も失敗も全部自分のせい。大人は自由なんだから!」という言葉に集約されている。

「自分はまっとうな大人になりきれていないな」と思っている大人も、「つまらない大人にはなりたくはない」と思っている若者も、自分の心の声に耳を澄まし、それに従っていけばいいのだ。正解なんかない、失敗してもいい。本当に、大人は自由なんだからさ。

(文=プレヤード)

『さすらい温泉 遠藤憲一』に尾崎紅葉もびっくり!?『金色夜叉』執筆した宿で、女体にボディ書道

「遠藤憲一が俳優を引退して温泉で派遣の仲居をやっている」という設定のフェイクドキュメンタリー風人情ドラマ『さすらい温泉 遠藤憲一』(テレビ東京系)第9話。他人の恋路におせっかいなほど首をねじ込む健さんこと遠藤憲一。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

俳優を引退するのも想定内?

 毎度恒例の遠藤のリアル知人へのインタビュー。

 今回はいよいよ「遠藤が俳優を辞めようとしている」という核心にせまる質問をぶつける。

「え? それは本当の話ですか?」

「はい」

 驚く30年来の友人・伊藤さんに、いけしゃあしゃあと答えるディレクター。

 伊藤さんの反応から見るに、この時点では番組がフェイクドキュメンタリーであるとは伝えていない感じだ。

 驚く伊藤さんの反応よりも、堂々と素人に嘘をつくディレクターのトーンにニヤついてしまう。

 しかし、もっと驚くかと思われた伊藤さんだが、「あんまり驚かないかも、もしそうだったとしても。ていうのは……」。

 気になるところでインタビューシーンは終了、次回へ持ち越し。気になります。

 

『金色夜叉』執筆の地でボディ書道

 今回、健さんが訪れたのは静岡・修善寺。

(遠藤は仲居の時は中井田健一と名乗り、かつ健さんと呼ばれたがる。)

 ここが夏目漱石や芥川龍之介ら、文人墨客に愛された地であるというのが今回のキモ。

 目の前を流れる桂川で、井伏鱒二もよく釣りをしていたらしいし、今回働く新井旅館にも川端龍子や横山大観の書が飾られている。あちこちに作家や書家らの息吹を感じられるので、文学好きには二度美味しい温泉地だ。

 そんな中あらわれた客人はギャル丸出しのなちょす(なちゅ)。

「てか鯉ってバカじゃね? ガンガン(餌)食うしヤベー」と、撮影のためとはいえ心配になるくらい錦鯉に餌をあげて喜んでる。ヨーロッパなら虐待になるレベル。

「けんけん」と呼ばれタジタジの健さんがだが、実は彼女は若き書道界のカリスマ。

 夜中に女将(並木塔子)の肉体に筆で文字を書き「いや~ん先生、感じちゃううう」と、あえがせてしまうほどの大物。

 なんだこれ? と思ったが、演じるなちゅは本物の書道7段。

 以前レギュラー出演していた『恋のから騒ぎ』(日本テレビ系)では明石家さんまに「蕎麦屋の前」と呼ばれるほど信楽焼(たぬきのアレ)然とした風貌なのに、腕前は師範代クラス(事実、師範代である)だというから驚きだ。

「パラパラの角度で~」と鯉に餌を投げて騒いでいた姿からは、想像がつかない。

 しかも今回披露したのは、ただの書道ではなく、なちゅが近年押してる「ボディ書道」。

 女将の地肌(胸)に『金色夜叉』と書き殴ってある先週の予告でも異彩を放っていたシーンなのだが、なんと作者の尾崎紅葉が『金色夜叉』を執筆したのが、この宿。館主とも親交が深いとホームページにも記されている。

 まさか120年後に同じ場所で「ボディ書道」の題材にされるとは、尾崎も夢にも思わなかっただろう。しかも、なちゅに。

 というか撮影を許可した新井旅館がまず凄い。

 今回のメインのマドンナはなちゅでも女将でもなく、宿泊客として一人でやって来た矢部グループの令嬢・矢部順子(阿部純子)。

 特別室しか空いてないので若い女性1人で泊まるのは大変では……と断られかけるも「お金ならあります!」の痺れる一声で逗留決定。死ぬまでに一度は言ってみたい言葉。

 実は財閥の会長である父親の決めた結婚から逃げて来た順子。

 父親の部下に捕まり、連れ去られそうになるも、健さんの必殺「警察に電話をするフリ」でことなきを得る。さすが現役役者・遠藤憲一。

 実際に警察を呼んだのか? という順子の問いに「呼んだフリです。ケータイ持ってないんで」と答えたのは哀愁があってよかった。

 助けてくれた人の最初の個人情報が「今時ケータイ持ってない奴」という哀愁。

 

人力車もトランクから出て来たのか?

 修善寺で、束の間の自由を満喫する順子と、そのお供する健さん。足湯やスマートボールを楽しむ伊豆版ローマの休日。先のことを忘れるように刹那的に今を楽しむ順子の姿が物悲しい。

 小説家を目指すフリーターの彼氏との結婚を諦め、親の決めた相手と結婚するレールに乗りかかかろうとする順子。

 しかし順子の本心を感じ取った健さんは、今回も例のごとく、なんでも出てくるトランクバッグを開ける。

 今回、健さんが扮したのは車夫。人力車を引っ張り、街を駆ける、あの『はいからさんが通る』とかに出てくるやつ。

 おそらくあのレトロな人力車もトランクから出てきたのだろう。物理的に無理とかそういう話は置いておこう。これはそういうドラマだからいいのだ。必要ならオスプレイでもトマホークでも、あのトランクから出てくるのだろう。そういうドラマだから。

 なちゅや女将の協力もあり、父親の手下たちから順子を奪還した健さんは、彼氏の待つ教会へと順子を乗せて駆ける。

 地下足袋履いた車夫姿が異様に似合う健さん。

 今までの扮装の中でも傑出した似合い方。

 車夫としてさまざまなお客と関わる人情ドラマもいいかもしれない。

 実は順子は父親の巨大な力で、彼氏の小説家デビューを邪魔されるのを恐れて身を引こうとしていたのだが、健さんは文壇にパイプのある新井旅館に頼み、この彼氏の今後を守ってくれるよう根回ししておいた。

 持つべきものはコネと縁故だ。

 ボディ書道の下地にされて喘いでいたあの変態っぽい女将に、そんな力があるのか謎だが、現実世界では文壇に影響力があるのかも知れない。

 今回は、なちゅが少ない出番ながらいいスパイスとして働き、地味になりがちなストーリーを引き締めていた。

 バカだけど、ここ一番は頼れるムードメーカー的存在としてたまに出てきてほしい。

 次回は山形・銀山温泉。

 またなちゅが来て、開高健になぞらえ女体に「フィッシュ・オン」と書くのを楽しみにしています。
(文=柿田太郎)

『さすらい温泉 遠藤憲一』に尾崎紅葉もびっくり!?『金色夜叉』執筆した宿で、女体にボディ書道

「遠藤憲一が俳優を引退して温泉で派遣の仲居をやっている」という設定のフェイクドキュメンタリー風人情ドラマ『さすらい温泉 遠藤憲一』(テレビ東京系)第9話。他人の恋路におせっかいなほど首をねじ込む健さんこと遠藤憲一。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

俳優を引退するのも想定内?

 毎度恒例の遠藤のリアル知人へのインタビュー。

 今回はいよいよ「遠藤が俳優を辞めようとしている」という核心にせまる質問をぶつける。

「え? それは本当の話ですか?」

「はい」

 驚く30年来の友人・伊藤さんに、いけしゃあしゃあと答えるディレクター。

 伊藤さんの反応から見るに、この時点では番組がフェイクドキュメンタリーであるとは伝えていない感じだ。

 驚く伊藤さんの反応よりも、堂々と素人に嘘をつくディレクターのトーンにニヤついてしまう。

 しかし、もっと驚くかと思われた伊藤さんだが、「あんまり驚かないかも、もしそうだったとしても。ていうのは……」。

 気になるところでインタビューシーンは終了、次回へ持ち越し。気になります。

 

『金色夜叉』執筆の地でボディ書道

 今回、健さんが訪れたのは静岡・修善寺。

(遠藤は仲居の時は中井田健一と名乗り、かつ健さんと呼ばれたがる。)

 ここが夏目漱石や芥川龍之介ら、文人墨客に愛された地であるというのが今回のキモ。

 目の前を流れる桂川で、井伏鱒二もよく釣りをしていたらしいし、今回働く新井旅館にも川端龍子や横山大観の書が飾られている。あちこちに作家や書家らの息吹を感じられるので、文学好きには二度美味しい温泉地だ。

 そんな中あらわれた客人はギャル丸出しのなちょす(なちゅ)。

「てか鯉ってバカじゃね? ガンガン(餌)食うしヤベー」と、撮影のためとはいえ心配になるくらい錦鯉に餌をあげて喜んでる。ヨーロッパなら虐待になるレベル。

「けんけん」と呼ばれタジタジの健さんがだが、実は彼女は若き書道界のカリスマ。

 夜中に女将(並木塔子)の肉体に筆で文字を書き「いや~ん先生、感じちゃううう」と、あえがせてしまうほどの大物。

 なんだこれ? と思ったが、演じるなちゅは本物の書道7段。

 以前レギュラー出演していた『恋のから騒ぎ』(日本テレビ系)では明石家さんまに「蕎麦屋の前」と呼ばれるほど信楽焼(たぬきのアレ)然とした風貌なのに、腕前は師範代クラス(事実、師範代である)だというから驚きだ。

「パラパラの角度で~」と鯉に餌を投げて騒いでいた姿からは、想像がつかない。

 しかも今回披露したのは、ただの書道ではなく、なちゅが近年押してる「ボディ書道」。

 女将の地肌(胸)に『金色夜叉』と書き殴ってある先週の予告でも異彩を放っていたシーンなのだが、なんと作者の尾崎紅葉が『金色夜叉』を執筆したのが、この宿。館主とも親交が深いとホームページにも記されている。

 まさか120年後に同じ場所で「ボディ書道」の題材にされるとは、尾崎も夢にも思わなかっただろう。しかも、なちゅに。

 というか撮影を許可した新井旅館がまず凄い。

 今回のメインのマドンナはなちゅでも女将でもなく、宿泊客として一人でやって来た矢部グループの令嬢・矢部順子(阿部純子)。

 特別室しか空いてないので若い女性1人で泊まるのは大変では……と断られかけるも「お金ならあります!」の痺れる一声で逗留決定。死ぬまでに一度は言ってみたい言葉。

 実は財閥の会長である父親の決めた結婚から逃げて来た順子。

 父親の部下に捕まり、連れ去られそうになるも、健さんの必殺「警察に電話をするフリ」でことなきを得る。さすが現役役者・遠藤憲一。

 実際に警察を呼んだのか? という順子の問いに「呼んだフリです。ケータイ持ってないんで」と答えたのは哀愁があってよかった。

 助けてくれた人の最初の個人情報が「今時ケータイ持ってない奴」という哀愁。

 

人力車もトランクから出て来たのか?

 修善寺で、束の間の自由を満喫する順子と、そのお供する健さん。足湯やスマートボールを楽しむ伊豆版ローマの休日。先のことを忘れるように刹那的に今を楽しむ順子の姿が物悲しい。

 小説家を目指すフリーターの彼氏との結婚を諦め、親の決めた相手と結婚するレールに乗りかかかろうとする順子。

 しかし順子の本心を感じ取った健さんは、今回も例のごとく、なんでも出てくるトランクバッグを開ける。

 今回、健さんが扮したのは車夫。人力車を引っ張り、街を駆ける、あの『はいからさんが通る』とかに出てくるやつ。

 おそらくあのレトロな人力車もトランクから出てきたのだろう。物理的に無理とかそういう話は置いておこう。これはそういうドラマだからいいのだ。必要ならオスプレイでもトマホークでも、あのトランクから出てくるのだろう。そういうドラマだから。

 なちゅや女将の協力もあり、父親の手下たちから順子を奪還した健さんは、彼氏の待つ教会へと順子を乗せて駆ける。

 地下足袋履いた車夫姿が異様に似合う健さん。

 今までの扮装の中でも傑出した似合い方。

 車夫としてさまざまなお客と関わる人情ドラマもいいかもしれない。

 実は順子は父親の巨大な力で、彼氏の小説家デビューを邪魔されるのを恐れて身を引こうとしていたのだが、健さんは文壇にパイプのある新井旅館に頼み、この彼氏の今後を守ってくれるよう根回ししておいた。

 持つべきものはコネと縁故だ。

 ボディ書道の下地にされて喘いでいたあの変態っぽい女将に、そんな力があるのか謎だが、現実世界では文壇に影響力があるのかも知れない。

 今回は、なちゅが少ない出番ながらいいスパイスとして働き、地味になりがちなストーリーを引き締めていた。

 バカだけど、ここ一番は頼れるムードメーカー的存在としてたまに出てきてほしい。

 次回は山形・銀山温泉。

 またなちゅが来て、開高健になぞらえ女体に「フィッシュ・オン」と書くのを楽しみにしています。
(文=柿田太郎)

『後妻業』最終回 原作を読んでいると逆に予想がつかない衝撃展開! やはり高橋克典が最強だった

『後妻業』(フジテレビ系)最終回「衝撃の最終回!黒い取引!勝つのは誰か!悪女の運命はいかに」

 視聴者の気を少しでも引こうという作戦なのか何なのか分からないが、最近のドラマはやたらと「衝撃の~」という煽り文句が使われている。

 その多くは、大して衝撃的でもないフツーの内容なのだが、『後妻業』の最終回は、確かに衝撃的で予想不可能な展開だった。

(前回までのレビューはこちらから)

やはり高橋克典が最強だった

 中瀬朋美(木村多江)から依頼を受けて「後妻業」の裏を調査していた探偵・本多芳則(伊原剛志)から殺人の証拠と引き替えに3,000万円を要求された柏木亨(高橋克典)。

 ヤクザ・舟山善宣(松尾諭)からも父親の慰謝料として5,000万円を要求されているし、もう絶体絶命!

 何だかんだで武内小夜子(木村佳乃)と柏木の「後妻業」コンビが最後に懲らしめられて終わるのかな……と思いきや、ここから気持ちよくどんでん返ししまくった。

 前回、小夜子の息子・黒澤博司(葉山奨之)は、柏木からもらった小遣いを持って、さっそくシャブを買っていた。しかし実は、舟山組がシャブを扱っている証拠写真を入手するためのおとりだったのだ。

 柏木はこの写真と引き替えに、逆に舟山へ1億円を要求する。

 本多と、本多の刑事時代の部下にも協力を仰ぎ、1億円を持ってきた舟山組の連中を一斉に逮捕し、1億円だけをゲット。

 最後は小夜子、柏木、朋美、本多、みんなで仲良くワッハッハという、急展開にもほどがある結末だった。

 確かに衝撃的だが、かなりムリヤリ感のある強引などんでん返し! ただ、振り返ってみると確かに(うっすらと)伏線は張られていたのだ。

 朋美&本多チームは、当初の「朋美の父親を殺した小夜子への復讐」という目的から、「金が手に入ればオッケー」という方向にシフトしていた。

 ほぼ忘れていたけど、本多がかつてマル暴の刑事だったというのも重要な伏線だった。

 刑事時代、舟山組を何度も検挙しようとしていたが、そのたびに逃げられて悔しい思いをしていたという。その悔しい思いが、敵対関係にあった柏木からの、かなりムチャめな計画に乗る理由付けとなったのだ。

 この計画を実行するのに絶対に必要な、現役警察官の協力者・橋口(平山祐介)も、確かに以前、チョロッと出てましたわ。……ホントにチョロッとだったので存在を完全に忘れていたけど。

 強烈に反発しあっていた小夜子と朋美も、お互いの心の闇を知ることで共感しあい、徐々に「仲良くけんかしな」状態になっていた。

 その上、後妻業で手に入れた金はほとんど寄附していたということ。「死にたい」と言っていた老人たちはみんな、小夜子が手をくだすまでもなく、自ら死んでいったのだということを明かされ、小夜子と朋美も和解ムードに。

 結局、ヤクザを騙し、本多をたきつけ、小夜子&朋美を手玉に取って計画を成功させた柏木。

 やはり高橋克典最強ドラマだった。

 ドドドーッとこれまでの種明かしが繰り広げられた最終回において、よく分からなかった……というより、必要なかったんじゃないかというエピソードは、小夜子の死んだふり。

 息子(弟)である博司と言い争ったイキオイで首を絞められた結果、原作小説ではホントに死亡していたし、映画版では死んだと思ったらギリギリ生きていた。

 そして、ドラマ版では「死んだふりをしていた」というよく分からない展開。

 ヤクザを騙して金を奪っただけに、息子を巻き込みたくなく、死んだと思わせたかった……ということらしいが、結局すぐに「死んだふりや」と博司にネタばらししていたし、このエピソード、丸ごと必要なかったんじゃないかと。

 原作小説&映画版では重要なポイントとなる印象的なエピソードだったので、ドラマ版にも一応入れてみたというところだろうが、オチが「死んだふり」というのはワケが分からなかった。

 今回のドラマ版。原作や映画から大きく改変されているため、原作と同じエピソードが起こっても、結末はまったく違うところに着地するというケースが多い。

「ここからあの展開に……ならないんかーい!」

 原作小説や映画版を知っていると、逆にミスリードさせられて混乱するという、珍しいドラマ版だ。

 原作ファンを驚かせるため、わざとこういう構成にしているのかもしれないが。

 

コンフィデンスマンの世界へようこそ!?

 最終回を見終え、このドラマ全体を振り返ってみると、やはり同じフジテレビ系列のドラマ『コンフィデンスマンJP』からの影響を強く感じた。

 コメディノリではじまり、物語が進展していくにつれ、ウェットなエピソードやシリアスな駆け引きが繰り広げられ、緊張感が高まりきったところで、ハチャメチャな種明かしが披露されるという展開。

『コンフィデンスマンJP』は1話完結で、『後妻業』は1クール通してという違いはあるものの、ドラマの構造が非常に似ている。

 やたらとハイテンションで露悪的な詐欺師という設定からして、意識しているのは間違いないだろう。

 最終回で小夜子は、後妻業で手に入れたお金はほとんど寄附しているし、老人たちの殺人にも手を染めていないと語っていた。

 しかしラストシーンでは、注射器や寄附の証明書が捨てられたごみ箱が。……やっぱり小夜子は老人を殺していたし、金もガッツリ貯め込んでいるのでは!?

「目に見えるものが真実とは限らない。何が本当で、何が嘘か。コンフィデンスマンの世界へようこそ!」(『コンフィデンスマンJP』の決めゼリフ)

 みたいなエンディングだ。

 原作小説の後味が悪い結末や、映画版のボンヤリとした終わり方に比べると、スカッと痛快なハッピーエンドで楽しく見ることのできたドラマ版。

 脚本の粗も目立ったが、お茶の間で見るテレビドラマとしては正しいアレンジだったんじゃないだろうか。

(文とイラスト=北村ヂン)

遺産や殺人の件を忘れて色恋沙汰に夢中。ホントにあと1話で終わるの?『後妻業』第8話

遺産や殺人の件を忘れて色恋沙汰に夢中。ホントにあと1話で終わるの?『後妻業』第8話の画像1

『後妻業』(フジテレビ系)第8話「逆詐欺師からの襲撃!悪女の涙と大ピンチ」

(前回までのレビューはこちらから)

みんな遺産や殺人の件、忘れてません?

 武内小夜子(木村佳乃)×イケメンじいさん・舟山喜春(中条きよし)、柏木亨(高橋克典)×中瀬朋美(木村多江)がアツーイ夜を過ごした(?)前回。

「後妻業」のことを忘れ、舟山に入れあげている小夜子に、ほんのり嫉妬心をのぞかせる柏木は、舟山の持つ不動産がインチキだと気付き忠告するが、完全に恋愛モードに入っている小夜子は聞く耳を持たず。

 かと思えば、柏木のデスクに朋美のイヤリングが置かれているのを発見して、ふたりの間に何かがあったと察知した小夜子も嫉妬する。

 さらに朋美も朋美で、自分のために一生懸命調査を進めている本多芳則(伊原剛志)よりも、柏木の方に心を奪われている様子なのだ。……本多の立場。

 みんな、遺産や殺人の件をすっかり忘れ、色恋にうつつを抜かしすぎじゃないかい? 小夜子や柏木はともかく、朋美はそれでいいのか!? 真面目に「後妻業」のことを考えているのは本多だけだよ!

ダンディなおっさんがラクダシャツ&腹巻きに

 さて、前回からのポッと出キャラながら、なかなかいい味を出していたのがイケメンじいさん・舟山だ。

 舟山に惚れている様子ではあるものの、それ以上に柏木との関係性を重要視している小夜子は、柏木からの指令に従い、舟山に「遺言公正証書を書いてください」と切り出す。

 しかし舟山は逆に、結婚する前に投資用に不動産を購入したいということで、小夜子から金を借りようとする。

「アンタ、ホンマは詐欺師やろ!?」

「なんやとコラ。誰にものぬかしてんねん、ワレ! おのれこそ詐欺師と違うんかい!」

 さっきまで標準語でダンディにしゃべっていたのに、一気にガラの悪い大阪のオッサンに。

 しかし小夜子も舟山も、プロの詐欺師だったら、お互いもうちょっと上手く騙し合おうよ……。

 公正証書だ借金だと、詐欺バレバレのド直球なワードをぶん投げて、バレたらブチ切れるという大ざっぱな計画。よくこれまで詐欺師としてやって来れたもんだ。

 しかも舟山にいたっては、ブチ切れるだけでなく、女をボッコボコにして財布を奪っていくという、アポ電強盗もビックリな強引すぎるスタイル。

 舟山は息子がヤクザだから、安心してこんなことを繰り返しているようだが、いくら息子がヤクザでも、普通に警察へ通報されたら一発アウトだと思うが……。

 小夜子から連絡を受けた柏木が押しかけた、自宅での舟山のくつろぎっぷりも笑った。

 いつものダンディズムあふれる舟山はどこへやら。ラクダシャツに腹巻き、老眼鏡というザ・ジジイスタイルで、手酌でポン酒をやりながら詐欺電話をかけていた。

 部屋には電熱ストーブ、コタツの上にはチラシを折って作ったくず入れと、ディテール
へのこだわりもよかったぞ。

 小夜子の復讐として、舟山の金玉を潰した柏木は、再び小夜子のマンションへ。長い付き合いながら、初めて小夜子の部屋に入ったということで感慨深そうだ。

「ウチ、アンタに借りが出来てもうたな。ウチの身体で返そか?」

 ということで、何だかんだでキス!

 ちょいちょい、お互いに思い合っているのをにおわせてきたふたりだが、ついに! ……しかし、要はヤリチン&ヤリマンのキスなので、『タッチ』でタッちゃん&南がキスした時ほどはときめかなかったが。

 それでも、これまでになく女の顔になっている小夜子にグッとさせられた。

 そして、ここまでやっておきながら、「今日はゆっくり休めや」と去って行く柏木の格好良さよ。

 さらに、完全にヤッたと思われていた朋美も、「カタギには手ェは出さん」ということが判明。

 それでいて、小夜子からも朋美からも思いを寄せられている柏木……最強フェロモン男や!

 一方、朋美とヤッたわりに、話の蚊帳の外に置かれている感がハンパない本多は、ひとりだけ真面目に「後妻業」の調査を続けていた。

 依頼主である朋美は遺産とかどうでもよくなっている風だし、女としても、どっちかというと柏木の方に心奪われている様子。

 こうなったら何としても「後妻業」のウラを取って柏木をギャフンと言わせるしかないという状態だろう。

 柏木の浮気が原因で別れたという三好繭美(篠田麻里子)から、朋美の父・中瀬耕造が死んだ日に「スポンサーが死んだんや」ということで「ピンドンでも白ドンでも両方でも!」と気前よくなっていたという情報を。

 さらに、もうすぐ柏木の会社を辞めるという経理担当者からは、小夜子の最初の夫が練炭自殺で死んだ前日に練炭を買った領収書&中瀬耕造が死んだ前日に注射器を買った領収書をゲット。

 人殺し道具の領収書を切るなよ……。

 フェロモンビンビンで、過去のトラウマとかもなさそうな無敵キャラの柏木だが、浮気とセコイ領収書という、わりとなさけない原因でメッキがはげてきた。

 さらに、事務所に舟山の息子(ヤクザ)が乗り込んできて3,000万円を要求してくるし、そのヤクザを調べさせようとした黒澤博司(葉山奨之)はシャブを買ってるし。最終回前にして、色々とややこしいことになってきた。

 他にも、

・小夜子が殺しの後、教会で懺悔していた件
・あれだけ稼いでいるのに、小夜子の貯金がほとんどない件
・朋美の姉ちゃん(濱田マリ)の件
・ボケているうどんチェーン店の元・社長はどうなったかという件

 などなど、張りっぱなしになっている伏線らしきものがいっぱい残っているのだが、あと1話でキレイに回収してくれるのか!?

(文とイラスト=北村ヂン)

 

『トレース~科捜研の男~』主演・錦戸亮が本気(?)の男泣き! 礼二の涙に“うるキュン”する第10話

(これまでのレビューはこちらから

 3月11日放映の『トレース~科捜研の男』(フジテレビ系)第10話。まずはあらすじから綴る。

 礼二(錦戸亮)は、家族を失った25年前の事件の真相を追い続けていた。亡くなった兄の元教師・早川(萩原聖人)から、兄をイジメた主犯格の一人・倉本を見つけたと言われる。

 現在、倉本は佐保優作(袴田吉彦)と名前を変え、テニスの実業団チームのオーナーをしている。そのチームで起きた選手の不審死の謎を追求しながら、佐保について調べる礼二。ノンナ(新木優子)と虎丸(船越英一郎)の協力で、事故とされていた選手の死因が他殺と判明。さらに佐保が実行犯に指示していた事まで分かる。だが、証言があるにも関わらず警察は佐保の逮捕に踏み切らない。礼二は佐保に直接会おうとするも、佐保は爆発事故に巻き込まれてしまう。

 以上が第10話のザックリとした流れである。今回は内容もさることながら、役者陣の演技が光る回であった。今回は物語の詳細に触れつつ、役者陣の演技にスポットを当てたい。

■“ゲスキャラ”の演技がスパイスの第10話

 今回はラスト10分で最終話に繋がるストーリーを展開するため、メインで扱う事件は普段よりも短縮されて描かれていた。それでも見応えがあったのはゲストキャラの演技の力が大きい。佐保にドーピングした事を隠すよう言われたテニス選手・春日部を演じた征木玲弥の翻弄される様子。春日部のドーピングの罪を被った上に殺害された選手・原田に、孤高のオーラを付け足した上杉柊平。2人の若手俳優の熱演がドラマを盛り上げていた。特に上杉演じる原田は、ドーピングでの引退後に道楽を貪る軽薄なゲス男と、選手としての復帰を目指し続けるストイックな男、二つの側面を見せねばならなかった。上杉が演じ分けできていたからこそ、事件のターニングポイントが明確に提示できていた。

 また、金目当てで原田を毒殺しようとした新田清美(奥田恵梨華)が、殺害現場にイヤリングを落とした事に気づいた場面も芸が細かい。左耳についてない事に気づき、最初からつけていたのか、右耳に触れて確認をする。そこは演出家か脚本家のアイデアかもしれないが、殺し達成の喜びから証拠を残した焦りへの心情変化は、奥田恵梨香の表情の切り替えが見事だったため痛快だった。

 そして今回のゲストキャラとして外せないのが、清美に原田の殺害を依頼した佐保を演じた袴田吉彦。最近ではアパ不倫の報道を逆手にとったゲス男を演じる機会が増えた。『ブラック・スキャンダル』(2018年・日本テレビ系)では女優に枕営業を迫るプロデューサー役が話題を呼んだ。本作の佐保もそうなのだが、袴田吉彦が演じるゲス男は、保身や怯えを帯びながら冷酷な事をするため、どこか人間味を感じられる。また、自分の身を切りながらゲス男に挑戦しているためか、悪役を演じる際の凄みが増してるようにも思える。

 ゲスな男女たちを演じた俳優たちの役者魂やテクニックが、面白さの根幹を担っていた回であった。

■主演・錦戸亮の涙に好評の声が続出!!

 役者の熱演という意味で外せないのが、礼二を演じる錦戸亮が涙を流す場面だ。

 涙を流すのは、姉のお腹に居た胎児の父親に当たる人物が、家族を殺害した可能性が高いと明らかになるシーン。「涙を溜めてから流す演技が素晴らしい」「声を震わせて泣くから、見てるこっちも切なくなる」など、ネット上の投降でも好評の声が多かった。

 もちろん錦戸亮の演技も素晴らしいのだけれど、礼二が感情を露わにする“トリガー”が共感値を高めている。9話では濡れ衣を着せられた逃亡犯を救うために怒りを剥き出しにするし、今回も姉を不憫に思って涙を流していた。また、ノンナに対して「(25年前の事件は)お前には関係ない」と冷たく言い放つのも、彼女を巻き添えにしないため。偏屈でありながら、『誰かのために』が行動原理の礼二は、愛されるキャラクターだと思う。各話の事件関係者の悲しみにスポットが当たる作品だったが、連続ドラマとして毎週ついていけたのは、錦戸亮演じる真野礼二が主役の作品だったからだと素直に思う。

■90分SPでの最終回。25年前の武蔵野一家殺人事件とは?

 来週は最終回。25年前の事件の真相と犯人が明らかになる回であるため、今まで提示されている情報を一覧にしてみた。

・表向きには、礼二の兄が家族を殺害して自殺したとされている

・兄はイジメを受けて不登校ではあったが、人生に絶望はしていなかった

 (つまり、家族を殺す動機が見当たらない)

・姉は殺害された時、妊娠3カ月であった

・姉のお腹の子の父親が真犯人である可能性が高い

・海塚(小雪)が事件後の鑑定に関わっていた

・兄のイジメに加担した人物が関わる事件の真相隠しの際には、警察上層部・壇(千原ジュニア)の姿が見え隠れする

・兄の教師だった早川(萩原聖人)は礼二に協力。事あるごとに「警察に相談しよう」と言う。

 事件の真相も楽しみではあるが、礼二が何を感じ、犯人や自身の葛藤とどうケリをつけるのかにも注目したい。本日放送の『トレース~科捜研の男~』最終回も心待ちにしている。

(海女デウス)