京都は、世界屈指の観光地。そして女の憧れの地である。美味いもん食って、寺社を見て、お洒落して、勉強する。何でもかんでも「京都でする」のが女の憧れなのだ。女性誌はこぞって京都特集を組み、ガイド本や京都観光エッセイがボロボロ出版されている。確かに京都には歴史がある。名産品がある。美味がある……そして誰も取り上げないけれど「しょっぱい京都」もある。
しかし京都のほんとうの魅力は、こういうソルティーなところにあるのだ。上品ぶっている女性誌では取り上げないほんとうの京都の姿を、しっかり焼き付けて欲しい。そうだソルティー京都、行こう。
【第32回 御金神社】
無心の人や無欲の人は、俗世間から一歩引いている感じがしてツッコみにくい。例えば、
一方で、欲にまみれている人のことはツッコみやすい。欲を表に全開にしていると、どうしても滑稽になる。AVのタイトルも、なんかおかしいのが多いし。
というわけで、今回は最高にツッコみやすい神社を紹介しようと思う。
これまで紹介してきた、地主神社や安井金毘羅宮といった場所は、「縁」の望みを叶えてくれる場所だった。一方は良縁、もう一方は縁切りだ。
今回紹介するのも「えん」に関する名所だが、えんはえんでもお金の“円”。その名もずばり「御金神社(みかねじんじゃ)」である。
名前を見た瞬間に御利益の方向性がわかるレアな神社ではないだろうか。もともとは金属全般に御利益があるということだったが、いつしか民衆の欲にまみれて「金銭アップ」ばかりが注目されるようになったらしい。
“金銭アップ・ブランディング”が民衆主導だったのか神社主導だったのかはわからないけれど、とりあえず境内はその方向に乗っかりまくって、大変な金ぴか具合である。
境内のここそこに金の文字や色があふれ、お守りももちろん金なので、売り場はもはや後光が差す勢いである。

さてここには、「福財布」という代物が売っており、出向いた日には、ちょうど在庫がある日だったらしく、結構な人で賑わっていた。
取材で来たのなら、福財布を買わないわけにはいかないだろう。……だけど、なんか、どうしても食指が動かないんである。
自分の美的センスと合わないというか、「わあ、すごく欲しい!」と思えなかったのだ。ちょっと迷ったが、とりあえず「大大大吉入りのおみくじ」を買ってみた。勝手におみくじルールを追加するこのフリーダムな感じ。伝統とか文化とかくそ食らえな姿勢がすがすがしい。どうせだったら「大金吉」とか、ここにも金の字を入れたら統一感が出てブランディング的には正解じゃないだろうか。

おみくじには買い物運として、「第一印象で決定」とあり、「心の声に耳を傾けて」とある。……そうか。心の声に耳を傾けたところ、「福財布はいらないんじゃないか」と言われている気がするので、購入は見送ることにした。
購入前にサイトをいろいろ見たが、福財布にどうご利益があるのか全然わからないんである。「福財布に入れておいた宝くじが当たった」とか、ズバリな口コミでも見つかったら即買いだったかもしれないんだけど。
その代わり、3カ月ほど前だが、絵馬を書いたので、こちらの御利益を期待したい。果たして願いは叶うのか……!
御金神社に行くと、田舎の成金豪邸が思い浮かぶ。虎の毛皮に掛け軸と壺、畳にじゅうたん、みたいな豪華絢爛な居間。絵馬に書かれたお願い事もみんな直球だし、「奥ゆかしい」という言葉がこれほど似合わない神社も珍しいんじゃないだろうか。
和久井香菜子(わくい・かなこ)
少女漫画マイスター、文筆家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、語学テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。




























