サイゾーウーマンにて連載していた、自身の統合失調症の発症から社会復帰までを描いた闘病エッセイマンガ『統合失調症にかかりました』(著:さいこ)。今回、書籍化を記念し特別描き下ろし編をお送りいたします。
0-100思考が頑張りすぎないお話・後編
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1~8話/9~15話/16~22話/23~最終話
休職中に自身の統合失調症の闘病経験をマンガにした投稿がインスタグラムで、話題沸騰。フォロワーだけでなく、さまざまな方面からの反響により書籍化することとなった、さいこさん著のコミックエッセイ『統合失調症にかかりました』(朝日新聞出版)。
同書では、発症から精神科受診、治療といった闘病経験に加え、旦那さんとの恋愛や結婚、仕事についてまで……。“ふつうの女の子”が、ある日突然統合失調症を発症し、“ふつうの幸せ”を手に入れるまでの様子を、本人の素直な感情のままに描かれている。
なぜ、自身のセンシティブな経験をここまで赤裸々に、世の中に発信しようと思ったのか――? 今回、著者であるさいこさんにマンガを執筆することになったいきさつや、闘病にまつわるエピソードなどを伺った。
――まず、率直にご自身にとってかなり大変な経験だったと思うのですが、なぜ闘病体験を漫画にしようと考えたのでしょうか?
さいこさん(以下、さいこ) 「コミックエッセイ」というジャンルを知って、自分の今までしてきた体験の中で、印象に残ってるエピソードなどを発信するというのが面白いと思ったのがきっかけです。(闘病は)自分の経験してきたことの中で、一番怖かったというか衝撃的な体験ばかりだったので、これを題材にしようと。それと、“統合失調症“という「聞いたことはあるけどよくわからない病気」を知ってもらえるきっかけになればいいなと思いました。
――おっしゃる通り、統合失調症は日本でも患者数約80万人といわれていて、100人に1人弱が発症する非常に身近な病気にもかかわらず、多くの人が病気に対する知識や理解が不足している現状があります。SNSで実際に漫画を投稿し始め、数千人単位でフォロワーが急増していったと思いますが、その時はどのような心境だったのでしょうか?
さいこ 単純に、自分の描いた漫画をたくさんの人が読んでくれていることがうれしかったです。
――反響としてはどのようなものがありましたか?
さいこ 同じような症状に悩んでいる方や、身近に同様の症状を抱えている方からの反応が大きかったです。「誰に相談しても信じてもらえない、自分だけがおかしいんじゃないかと思ってたけど、漫画を読んでそうじゃないと知れて救われた」とか、「コミュニケーションや思考回路が読めずに、こういう症状の人とどう付き合うべきか悩んでたけど参考になった」など、メッセージを本当にたくさんの方からいただきました。また、実際の現場(精神科など)に勤務している現役の医療従事者の方や、そういう職を目指している学生さんなどからもメッセージもありました。
――作中では、「見えないもの」との闘いなど、さいこさんの経験した統合失調症の症状が、コミカルに描かれてる部分が多いですが、漫画にする上でどのような工夫をされていたのでしょうか。
さいこ つらくて苦しかったことを重々しく描くより、誰でもとっつきやすいような表現にしたほうが見やすいんじゃないかなと思って、最初の『統合失調症にかかりました』はそうしました。「そんなことする!? そんなふうに考える!?」と発症時の行動は今思い出してもツッコミどころが満載なので、それをそのまま漫画にしてみたらああいう感じになったというか……。コミカルに描いてるせいか、「ほんとに苦しんでない」「病気を軽視しているように見える」といった声もいただいたりしますが、実際本当にしんどかったですよ。「一生これが続くのか? どうやって生きていけばいいのか? 誰か助けて」って24時間365日思ってましたから。
また、サイゾーウーマンさんで連載していた、別視点から病気を描いた続編の『統合失調症にかかりました〜ニャンサイド〜』(全31話。現在は完結)はあえて少しシリアス調に描きました。本編と同じエピソードですが、表現方法を変えると全然違うような印象で伝わるかと思います。
――ただ体験を描くだけでなく、読者に見やすくかつおもしろく読んでもらえるような工夫をされていたのが、作中から伝わってきました。漫画に描き起こす中で、ご自身にとってつらかった作業や印象深いシーンがありましたら教えてください。
さいこ 今回、書籍になる際に描き下ろしした『死にたくなんか、ない。』(下記参照)ですね。この話は描くべきかかなり悩んだお話でした。少し省略した話をSNSには載せたんですが、全部を描けなかったんです。というのも直接的に「死」を意識して、実行に移そうとしたのが自分の中でいまだに傷になってるからだと思います。この時は、頭の中が一番ぐちゃぐちゃで限界でした。ぐちゃぐちゃで、整理しきれてないままでした。今回、描き下ろしという形で整理することができて、少し前に進めた気がします。あと、個人的に印象深いのは、陽性症状(※1)の妄想を描いた『米騒動』と急性期(※2)の外出時のトラブルを描いた『ギャル男に引かれる』エピソード。これは絶対漫画に描こうと思いました(笑)。
※1陽性症状:幻覚や妄想といった、本来あるはずのないものが現れる症状。統合失調症を特徴づける代表的な症状といえる。
※2急性期……前兆期から続いて現れる症状経過。幻覚や妄想などの陽性症状が目立つようになる。感情の起伏が激しくなったり、強い緊張感が認められる。周囲から見ておかしな言動が見られるが、自分自身が病気であるという認識をもてなくなってしまうことが多い。
――発症してからさまざまな葛藤を経て、旦那さんのひとことで病院にかかることになりましたが、自分の体に異変が起きる中、医療にかかることはハードルが高かったのでしょうか?
さいこ ハードルが高いというか、「実際に起こっていることだから病気のわけがない」と思い込んでたので、病院にいくという発想自体がありませんでした。そんなことよりも、どこで命を狙われるかとか、誰が犯人で何が原因でこんな変なことが起こってるのか突き止めないと……という考え方だったので。「君は病気だよ、それは全部病気のせいなんだよ」と言われても信じることはできませんでした。むしろ「なんでこんなに必死に伝えてるのに信じてもらえないんだ」と絶望するし、どんどん人間不信・疑心暗鬼になっていく一方でしたね。なので、「君の言う通り病気じゃないのかもしれないし、本当に病気のせいっていう可能性もあるから、その可能性をまずつぶすために病院に行こう」といわれてようやく医療にかかることになりました。
――見えないものから病名がついてもなお、自身の状況を受け止めきれない様子もリアルに描かれていましたが、病気と「向き合おう」という大きなきっかけになったのは何が理由だったのでしょうか?
さいこ ずっと半信半疑でした。病名を診断されるけど、そもそもこのお医者さんは真実を言ってるのか……? と。もしひとりで生活していたら、薬も飲むのをやめていたと思います。当時、薬をのんで、病院に通うこを「これだけはちゃんとするって約束して」と言われていたため、しぶしぶ続けていました。なので、自分でちゃんと「向き合おう」としたことは一度もありませんでした。しぶしぶ飲んでいた薬が効いてきて、回復期に入ってからくらいから「これは病気なんだな」と認識できるようになったような気もしますが、回復期の記憶は曖昧で、いつの間にか病気だったんだなと認識でるようになったという感じでした。
――旦那さんの存在が本当に大きかったんですね……。旦那さんだけでなく闘病中に支えてくれた幼馴染とのエピソードが収録されてますが、さいこさんにとって二人はどのような存在ですか?
さいこ 当時、私が統合失調症であることを話していたのはこの二人だけでした。特に毎日一緒に生活をしていた旦那さんにはたくさん迷惑を掛けました。ちなみに旦那さんと幼馴染は少しだけ似てるんです。病気の時の私も、そうでない時の私も両方知ってるのに、いつも通りそばにいてくれたり、話してくれたり、変わらないでいてくれるのが本当にうれしかったです。見えないところでサポートしてくれてたり、心配してくれたり。そういうのってどんな言葉をかけられるより、響くんです。ずっと特別な存在です。幼馴染は「近くにいたら毎日楽しいだろうな」とつぶやいたら、本当に引っ越しまでしてくれたんですよ!! そんな行動的なタイプじゃないのに(笑)。本当に愛を感じました。
――闘病から症状が落ち着き、復職(就職活動)をする際、いろいろな苦労があったと思いますが、社会生活に戻るにあたり気をつけたほうがいいことがあれば教えてください。
さいこ 実際に私が一番悩まされたのは、人とうまくしゃべることができなくなっていたことです。長い間の闘病生活で特定の人間としか会話しなかったせいで、コミュニケーション能力が底辺にまで下がっていました……。電話をする、電車に乗る、人の目を見る、会話のキャッチボールをする、どれひとつうまくできずパニックになりました。「普通に戻った!」と思って活動しているので、「あれ!? 全然普通に戻れてない!」と焦りました。
でもそんな急にできるわけなんかなくて、できないのが当たり前なんだっていう気の持ちようも大切なのかもしれません。中々、パニックの状態で実際にそんな自分を客観的に見ることはできないと思いますが……。
――“普通”に対する価値観を変える必要があるんですね。
さいこ 病気になる前はできていたことが、まったくできなくなったことから、「できてあたりまえ」のことはひとつもないんだなと思うようになりました。統合失調症を知らなかった時は、よくわからない行動をする人のことはまったく理解できなかったのですが、病気を経て、どんな変な行動もその人の中では意味があってやっていることなんだと知りました。
――現在はお仕事もバリバリされていますが、これからもし描きたい漫画があればお聞かせください。
さいこ 描きたい漫画はたくさんあります。うちの家族の面白話とか、会社の愉快な仲間たちとか。高校時代に少しだけ生活してた監獄のような寮生活の話とか(笑)。見ていて面白くて笑っちゃうようなのが描きたいです。
――面白そうなエピソードばかりですね……! マンガになる日が楽しみです。最後に、出版を迎えた今の気持ちを聞かせてください。
さいこ 病気の最中は、真っ暗闇でした。先がなくて光もなくて、ずっとこのままなのかという不安といつ殺されるかわからない恐怖と、なんで自分だけがこんな目に遭わなきゃいけないのかという怒りで、ぐちゃぐちゃの毎日でした。それでも、生きていてよかったと思います。完全に病気が治ることはなくて、今でも病院に通っています。調子のいい時、悪い時もちろんあります。落ち込む時もしんどいこともたくさんあります。
でも、楽しいことやうれしいこともたくさんあります。それらは逃げたりしないので、自分にできることをやりながらゆっくり前に進んでいきたいと思います。
サイゾーウーマンにて、病気と付き合いながら社会生活を送るさいこさんの現在を描いた描き下ろしをマンガを特別公開中です。【こちら】
サイゾーウーマンにて連載していた、自身の統合失調症の発症から社会復帰までを描いた闘病エッセイマンガ『統合失調症にかかりました』(著:さいこ)。今回、飼い猫の視点から病気を振り返る特別編。
猫から見た、人間の“生き辛さ”とは……。
今回は1〜8話をまとめ読みでお送りいたします。
続きはこちらから
【前作『統合失調症にかかりました』はこちらから】
自己紹介編
まとめ前編1~9話/まとめ後編10~18話
19話/20話/21話/22話/23話/24話/25話/26話/27話/28話/29話/30話/31話/32話/最終話
※本作品は個人の経験に基づいたものです。統合失調症の症状もあくまでもその一部であり、絶対ではありません。個人差がありますことをご理解ください。
サイゾーウーマンにて連載していた、自身の統合失調症の発症から社会復帰までを描いた闘病エッセイマンガ『統合失調症にかかりました』(著:さいこ)。今回、飼い猫の視点から病気を振り返る特別編。
猫から見た、人間の“生き辛さ”とは……。
今回は9〜15話をまとめ読みでお送りいたします。
(1〜8話はこちら)
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まとめ前編1~9話/まとめ後編10~18話
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※本作品は個人の経験に基づいたものです。統合失調症の症状もあくまでもその一部であり、絶対ではありません。個人差がありますことをご理解ください。
サイゾーウーマンにて連載していた、自身の統合失調症の発症から社会復帰までを描いた闘病エッセイマンガ『統合失調症にかかりました』(著:さいこ)。今回、飼い猫の視点から病気を振り返る特別編。
猫から見た、人間の“生き辛さ”とは……。
今回は16〜22話をまとめ読みでお送りいたします。
(1〜8話はこちら)(9〜15話はこちら)
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まとめ前編1~9話/まとめ後編10~18話
19話/20話/21話/22話/23話/24話/25話/26話/27話/28話/29話/30話/31話/32話/最終話
※本作品は個人の経験に基づいたものです。統合失調症の症状もあくまでもその一部であり、絶対ではありません。個人差がありますことをご理解ください。
サイゾーウーマンにて連載していた、自身の統合失調症の発症から社会復帰までを描いた闘病エッセイマンガ『統合失調症にかかりました』(著:さいこ)。今回、飼い猫の視点から病気を振り返る特別編。
猫から見た、人間の“生き辛さ”とは……。
今回は16〜22話をまとめ読みでお送りいたします。
(1〜8話はこちら)(9〜15話はこちら)(16〜22話はこちら)
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19話/20話/21話/22話/23話/24話/25話/26話/27話/28話/29話/30話/31話/32話/最終話
※本作品は個人の経験に基づいたものです。統合失調症の症状もあくまでもその一部であり、絶対ではありません。個人差がありますことをご理解ください。
サイゾーウーマンにて連載していた、自身の統合失調症の発症から社会復帰までを描いた闘病エッセイマンガ『統合失調症にかかりました』(著:さいこ)。今回、飼い猫の視点から病気を振り返る特別編の最終話となります。
猫から見た、人間の“生き辛さ”とは……。
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19話/20話/21話/22話/23話/24話/25話/26話/27話/28話/29話/30話/31話/32話/最終話
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サイゾーウーマンにて連載していた、自身の統合失調症の発症から社会復帰までを描いた闘病エッセイマンガ『統合失調症にかかりました』(著:さいこ)。今回、飼い猫の視点から病気を振り返る特別編の最終話となります。
猫から見た、人間の“生き辛さ”とは……。
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