まだ『けものフレンズ』騒動は忘れられていなかった……カドカワ株主総会で寄せられたユーザーの不信

 まだ、みんながみんな、忘れていたわけではなかった。6月20日に開催された、カドカワ株式会社の株主総会は、昨年来のカドカワに対するユーザーの不信を発露する場となった。

「出席者には、KADOKAWA直営電子書籍サイトBOOK☆WALKERのギフトカード1,000円分や、ニコニコ動画のテレビちゃんのトートバックが配布されたりしたほか、最新の作品を紹介するパネルも展示されていました。雰囲気は、さすがに株主総会だからなのか、落ち着いていましたね」

 そう話すのは、株主総会に参加した株主の一人だ。この日の株主総会に集まったのは100人ほど。決して、荒れることはなかったものの、質疑応答では、昨年来同社が抱える問題に次々と厳しい質問が寄せられたのである。

 それら厳しい質問の中でも痛烈だったのは、昨年大騒動になった『けものフレンズ』の、たつき監督解任をめぐる問題。今回の株主総会で質問した株主は、2017年末のニコ生でテレビ東京の細谷伸之氏プロデューサーが「たつき監督を継続した方が売上は良かっただろう」と指摘した件を持ち出し、解任理由を聞いた。

 これに答えたのは、カドカワの井上伸一郎氏。井上氏は、KADOKAWAは13社の出資会社の1つであり、各社の統一した意見として解任に至ったと説明。その上で、解任というよりも、制作会社が製作委員会の要望に必ずしもマッチしなかったこと。騒動を受けて話し合いを行ったものの、折り合わなかったことを説明した。

 さらに「けもフレ問題で、カドカワが悪人である」という流れに対して、釈明してはどうかという質問に対して、答えたのは同社代表取締役の川上量生氏。川上氏は、KADOKAWAやドワンゴが矢面に立つ形となってしまったことを「ドワンゴ側はある種、事故に巻き込まれた形」と発言。そもそも、騒動の矛先が向いたことに違和感を抱いていることを匂わせた。

 改めて『けものフレンズ』をめぐり、いまだユーザーの間にさまざまな思いが渦巻いていることを示したこの騒動。

 株主総会ゆえにか、井上氏や川上氏は簡潔だが丁寧な回答をしているように思える。とはいえ、結局はどういうことだったのか、いまだに事実関係もはっきりとはしていない。

『けものフレンズ』を通じてカドカワに不信感を持ち続けるユーザーは絶えないのか。
(文=是枝了以)

「今からでも遅くない、たつき監督を戻せ」カドカワの決算で見えた『けものフレンズ』ファンの怒り

 5月、カドカワ(旧KADOKAWA・DWANGO)の発表した2018年3月期(17年4月~18年3月)の連結決算のうち、営業利益が前期比62.6%減の31億円と大幅に減益した問題が注目を集めている。

 減益に至った理由は、かねてより問題になっているニコニコ動画の「オワコン」化である。月額540円を支払う有料のプレミアム会員は、16年のピーク時に256万人。その後、下降線をたどり、2017年12月末時点で214万人と落ち込んだが、18年に入り、この3月には207万人にまで減少。ここに、新バージョンのスマホ向け新サービスなどの開発と改善費用がのしかかったのが原因だ。

 そうした中、減益の大きな要因としてユーザーから指摘されている問題がある。昨年、世間を大いに騒がせた『けものフレンズ』の、たつき監督降板騒動が、それである。

 カドカワの決算が発表された途端に指摘されたのは、まず、この降板騒動。SNSや掲示板のあちこちでは「たつき監督の降板によって、そっぽを向いたファンたちが、プレミアム会員を切ったのが原因ではないか」という指摘がなされている。

 たつき監督の降板騒動が、どれほどのニコニコ動画離れを引き起こしたかはわからない。ただ確かなのは、作品のファンたちがこの事件を忘れることも許すこともないということ。

「あの騒動では、カドカワに対するファンの怒りが爆発したわけですが……熱心なファンはいまだに漢字でもアルファベットでも、カタカナでも、とにかく見るものに『かどかわ』という文字が入っているだけで怒りが込み上げてくるようです」(熱心な作品ファン)

 あの一連の騒動は、一時はオワコンになりかけていたコンテンツが一人の才能によって救われる奇跡。そして、それが組織の論理によって奪われる悲劇を目の当たりにしてくれた。

 それに対するファンの怒りは「ニコニコプレミアム解約祭り」へと発展した。それまでも、使い勝手の悪さから批判されていたニコニコ動画だが『けものフレンズ』の問題で、完全にそっぽを向かれることとなったわけだ。

 すでに事件からは半年以上。言及されることは少なくなったとはいえ、決算にまで影響を与えているという“事実”は、再びファンの怒りを再燃させようとしているかのように見える。

 今からでも遅くない。たつき監督を戻せ。
(文=是枝了以)