有吉弘行、カンニング竹山、ヒロシ……吉本興業を辞めても干されなかった芸人の事情

 会社に残るか出るか。極楽とんぼ・加藤浩次や雨上がり決死隊・宮迫博之など吉本芸人たちの去就が注目されるなか、7月30日発売の「サンデー毎日」(毎日新聞出版)が吉本興業の“圧力疑惑”について報じた。これまで吉本は事務所を辞めた芸人に対して圧力をかけて干してきたという。

「記事によると、そのうちの一人が島田洋七とのこと。彼は 2004年に自叙伝『佐賀のがばいばあちゃん』(徳間書店)の文庫本が大ヒットした際、当時副社長だった大崎洋氏から印税を吉本に入れるよう説得があったそう。それを島田は『自分の力で売った』と拒否。その結果、吉本をクビになった。以降、テレビから出演依頼が来ても、『企画は潰れました』と言われ、テレビ局が吉本に忖度してその話は消滅してしまう。オスカープロモーションに移籍した今でも、そんな状況が12年も続いているといいます」(芸能記者)

 一方、現在お笑い界で活躍する人気芸人の中には、吉本を辞めた後に花開いた者も多い。

 有吉弘行は番組企画を機にオール巨人に弟子入り。しかし兄弟弟子と喧嘩をしたことから、そのまま無断で巨人の元を離れている。その後、地元の同級生だった森脇和成と猿岩石を結成し、第一次ブレイクとなった。

 竹山隆範は福岡吉本出身で、博多華丸・大吉が同期。『福岡で売れても意味がない』と、わずか1年で辞めて上京し、小学校の同級生中島忠幸と再会したことで『カンニング』を結成している。

 ヒロシも同じく福岡吉本出身で、吉本時代は『ベイビーズ』というコンビで活動し、キレ芸を見せていた。ナインティナインが出演するイベントに呼ばれて喜ぶも、芸人としてではなくチケットのもぎり係だったのは有名な話だ。

 くわばたりえは、吉本時代は『テディベア』というコンビで活動。当時交際していたNSC同期の飛石連休・藤井ペイジを追いかけて上京するため解散、ピン芸人として活動。それと同時にホリプロに移籍し、小原正子と『クワバタオハラ』を結成している。

「吉本興業は売れる前の若手芸人が移籍する分には圧力もかけず、我関せずの構えです。吉本は今後は希望する芸人全員と契約を結ぶと発表しているが、若手芸人にとっては、これが移籍のチャンスになるかもしれませんね」(スポーツ紙記者)

 会社の綻びが見えてきた吉本興業。所属する芸人たちも身の振り方を考えたほうが良さそう?

大崎会長、「絶対許さない」加藤浩次を吉本追放へ? あの大物芸人の社長就任案も浮上

 雨降って地固まるとはいかない雲行きだ。

 雨上がり決死隊の宮迫博之、ロンドンブーツ1号2号の田村亮ら吉本興業の芸人たちの闇営業問題をきっかけに勃発したお家騒動。反旗を翻していた所属芸人たちも落ち着きを見せつつあるなか、8月1日発売の「週刊文春」(文藝春秋)が吉本興業ホールディングスの大崎洋会長の様子を報じている。

「加藤は7月22日に、自身がMCを務める『スッキリ』(日本テレビ系)で、大崎会長を含めた経営陣が辞めなければ、吉本を辞めると宣言し、その後、大崎会長と会談に臨みました。しかし、大崎会長に身を引くつもりは全くなく、岡本昭彦社長を辞めさせるつもりもない。そればかりか、退陣を迫った加藤に対し、『絶対に許さない』と激怒しており、“加藤追放”に向けて動いているといいます。確かに、言われてみれば会談後の加藤は『スッキリ』でも魂が抜けたような状態にも見え、当初の発言についてもしきりに『反省』と連呼するようになった」(週刊誌記者)

 ネット上では「懐深いとこ見せたら収まるのに」「あれ?吉本はみんなファミリーだったんじゃないの?」「子供が親に噛み付いたぐらいで干しちゃうの?」とうんざりした様子だ。

 そんななか、さる芸能関係者はもはや騒動を鎮めるための“ウルトラC”を提案する。

「こうなったら、明石家さんまを新社長に据えるしかないでしょう。今回の騒動でわかったことは、岡本社長が『さん付け』で呼んでいたことからも、さんまと松本人志が吉本芸人のツートップだということ。松本は火消しに走ったものの、現在の“松本興業”状態を快く思っていない芸人も多く、まとめることができなかった。一方、さんまはテレビ局に最も影響力のあるタレントで、吉本の専属芸人ではなく“業務提携”の関係上、会社との立場は対等。吉本芸人の派閥でも中立の立ち位置として、宮迫らを自身の個人事務所で引き取ろうとしたり、加藤の発言についても『正しい』と擁護して見せる器もある。大崎会長と近い距離にいる島田紳助も、賛同すると思われます」

「さんま新社長」、最近の流行り言葉で言えば、“ありよりのあり”ではなかろうか。

加藤浩次、「お詫びしたい」急速トーンダウンの裏に見え隠れする大手事務所幹部の影

 雨上がり決死隊・宮迫博之らによる反社会的勢力との闇営業騒動が波紋を広げる中、吉本興業上層部の大崎洋会長、岡本昭彦社長に対して辞任を要求した極楽とんぼ・加藤浩次のトーンダウンが話題となっている。

 加藤は自身がMCを務める情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)で2人の辞任を要求し、それが認められなければ自身が同社を辞めることを宣言。その後、都内にある吉本興業本社で大崎会長と面談し、当日同所には数多くのマスコミが集まった。

 だが、会談後、加藤は同番組で「僕がこういうことを発言したことで、事が大きくなっていることは、本当にお詫びしたい」と語るなど一気にトーンダウン。

 ナインティナインの岡本隆史からはラジオ番組で「吉本にいないといけない人間」とフォローされながらも、「ワイドショーハイになっていた」とイジられる始末だ。

 あっさり沈静化した観もある“加藤の乱”だが、舞台裏ではいったい何があったのか?

「加藤さんは非ダウンタウン閥で、現在の吉本の上層部の大崎会長、岡本社長とはもともと距離があり、文字通り全面抗争も辞さない構えだったのですが、予想外の“敵”が現れたんです。それは、ほかの大手芸能事務所の幹部連中ですよ」とは別の芸能事務所のマネジャー。

 芸能界はパイの取り合いであり、普通に考えれば今回の吉本のお家騒動は芸能界に大きな勢力を持つ同社のパワーが衰えるという意味で、他の大手芸能事務所からすると歓迎すべきシチュエーションにも思えるが……。

「確かに芸能界が元気な頃はその通りでしょう。ところが最近は、元SMAPの3人への圧力疑惑でジャニーズ事務所に公正取引委員会から注意が入ったり、芸能界に対する世間の風当たりが日に日に激しさを増している。今回の吉本の件も、社会の芸能界不信を大きく増幅させており、ライバル事務所としても『吉本の勢いが弱くなるのは有難いけど、正直これ以上大事になると芸能界全体のシステム自体が崩壊しかねない』と危機感を持っているんです。吉本がえげつないのは業界内でも広く知られていますが、かといって他の事務所の所属タレントとの契約が健全かというと、そうとも言い切れない部分がたぶんにありますからね」(同)

 そのうえで、こう続ける。

「加藤さんとしてみれば、今の弱っている吉本ならたとえ辞めても干されることなくなんとか芸能界で食べていける、ほかの事務所も応援してくれると思っていたんでしょうが、現実はそう甘くないということです。実際、一部の大手芸能事務所の幹部は、加藤さんに『これ以上騒ぎを大きくせず、元サヤに戻れ』と忠告したようです」(同芸能事務所マネジャー)

 加藤の乱鎮圧の裏には、吉本だけでなく、芸能界全体の見えざる力が作用したようである。

吉本興業、「死亡しても責任負わず」研修生に求めた”超ブラック”な誓約書の中身

 所属芸人の闇営業を通じた反社勢力との関わりに端を発した、吉本興業のお家騒動。その過程でギャラの配分の不透明さに加え、芸人と契約書を交わしてこなかったなど、そのブラックな企業体質が明らかになったが、朝日新聞の報道でさらなるブラックな一面が明らかになっている。

 吉本が自社の芸人養成所NSCの合宿に参加を希望する研修生に対して、「合宿中の負傷、これに基づいた後遺症、あるいは死亡した場合、その原因を問わず吉本興業に対する責任の一切は免除されるものとする」との規約を承諾する誓約書を提出するよう求めていたという。

 さらに誓約書には、「賠償請求、訴訟の提起などの支払い請求は行えないものとする」との記載もあった。朝日新聞の取材に対して、吉本は事実関係を認めながらも、「間違った内容が記載されているため修正する」と説明している。

「吉本によると、2014~16年は免責事項の記載は修正されていたが、17年以降は担当者が交代したために引き継ぎがうまくいかず、修正前の規約を研修生に渡してしまったそうです。しかし、それも怪しいところ。何しろ契約書はロクに交わさないくせに、自社の免責については誓約書を研修生にしっかり求めるわけですからね」(スポーツ紙記者)

 7月22日に行われた吉本の岡本昭彦社長による記者会見では、会社と所属芸人との関係を“ファミリー”に例えていたが、死亡しても一切責任を負わないし、賠償請求も認めないなどということは家族ならあり得ないだろう。

「“家族的経営”を盾に、経営側がそこで働く人たちに不都合を強いるのは典型的なブラック企業のやり口。吉本もその例に漏れなかったということでしょう。そもそも裁判所に訴えを提起するのは、憲法で保障された権利。吉本がいかに誓約書で免責を迫ろうとも、法的には無効なんです。もっとも、吉本側もそんなことは百も承知で、芸人は社会常識に疎いから、誓約書にサインしたら何かあっても泣き寝入りするだろうということを見越していたのかもしれません。だとすれば、憲法で認められている権利すら無視する超ブラック企業というしかありません」(同)

 吉本は一連の騒動による批判を受け、外部有識者からなる「経営アドバイザリー委員会」を設置し、所属タレントと契約書を交わす方針を決めているが、こうした新たな事実が発覚するにつけ、ブラックな体質が改善されるのは至難の業だといえそうだ。

【お笑い賞レース】キングオブコントはかが屋、空気階段が注目株 M-1大本命はアインシュタインか

 次なるスター芸人を発掘するために、一般社団法人日本音楽事業者協会とフジテレビが開催したお笑いコンテスト『ツギクル芸人グランプリ2019』で、プロダクション人力舎所属のコンビのザ・マミィが優勝を飾った。

「漫才、コント、ピン芸などのジャンルを問わない『ツギクル芸人グランプリ』は、民放各局のクリエイターが審査員を務めるのが大きな特徴。優勝したザ・マミィはコントのコンビですが、ネタの完成度も高く『キングオブコント』でも期待できそうです」(お笑い事務所関係者)

 有望な若手芸人が名を連ねた『ツギクル芸人グランプリ』の決勝戦。『キングオブコント』の決勝進出大本命と目されているマセキ芸能社のかが屋、すでにバラエティーでもブレイク中で『M-1グランプリ』での活躍も期待されている太田プロダクションの宮下草薙、昨年『ABCお笑いグランプリ』で優勝したナベプロのファイヤーサンダーなどが、しのぎを削った。

「今回、業界内に強くアピールできたのはかが屋。一気に『キングオブコント』の優勝候補に躍り出ました。そして、太田プロダクションの漫才コンビ・納言も良かったですね。ボケの薄幸が実際の街をディスるボケはかなり秀逸。テレビ的ではないものの、大きく跳ねる可能性はあります。今年のM-1にも期待です」(同)

 この『ツギクル芸人グランプリ』の決勝進出者を含め、今年のお笑い賞レースでの注目株はどんな顔ぶれの名前が挙がっているのだろうか。とある構成作家はこう話す。

「『キングオブコント』では、やはりかが屋が強い、そして、東京吉本の空気階段もかなりぶっ飛んだ設定のネタで評価を高めている。また、大阪吉本のヒガシ逢ウサカも注目ですね。こういったメンツに、チョコレートプラネットやアキナなどの決勝進出経験があるメンバーがどう絡んでいくかが見ものです」

『M-1グランプリ』でも、新星の活躍が期待される。

 「やはり、宮下草薙や納言あたりは、かなりの注目株。またEXITや金属バットといった、すでに話題になっているコンビも有力です。そして、一部で優勝の本命とまで言われているのがアインシュタインです。ボケの稲田の特徴的なルックスに注目が集まりがちですが、ネタのクオリティーはそれ以上。稲田はすでに『アメトーーク!』でも取り上げられていますし、近い将来、超売れっ子になると思いますよ」(同)

 吉本のお家騒動で揺れ動きつつも、勢いのある若手芸人が次から次へと登場しているお笑い界。今年も、お笑い賞レースから目が離せない。

【お笑い賞レース】キングオブコントはかが屋、空気階段が注目株 M-1大本命はアインシュタインか

 次なるスター芸人を発掘するために、一般社団法人日本音楽事業者協会とフジテレビが開催したお笑いコンテスト『ツギクル芸人グランプリ2019』で、プロダクション人力舎所属のコンビのザ・マミィが優勝を飾った。

「漫才、コント、ピン芸などのジャンルを問わない『ツギクル芸人グランプリ』は、民放各局のクリエイターが審査員を務めるのが大きな特徴。優勝したザ・マミィはコントのコンビですが、ネタの完成度も高く『キングオブコント』でも期待できそうです」(お笑い事務所関係者)

 有望な若手芸人が名を連ねた『ツギクル芸人グランプリ』の決勝戦。『キングオブコント』の決勝進出大本命と目されているマセキ芸能社のかが屋、すでにバラエティーでもブレイク中で『M-1グランプリ』での活躍も期待されている太田プロダクションの宮下草薙、昨年『ABCお笑いグランプリ』で優勝したナベプロのファイヤーサンダーなどが、しのぎを削った。

「今回、業界内に強くアピールできたのはかが屋。一気に『キングオブコント』の優勝候補に躍り出ました。そして、太田プロダクションの漫才コンビ・納言も良かったですね。ボケの薄幸が実際の街をディスるボケはかなり秀逸。テレビ的ではないものの、大きく跳ねる可能性はあります。今年のM-1にも期待です」(同)

 この『ツギクル芸人グランプリ』の決勝進出者を含め、今年のお笑い賞レースでの注目株はどんな顔ぶれの名前が挙がっているのだろうか。とある構成作家はこう話す。

「『キングオブコント』では、やはりかが屋が強い、そして、東京吉本の空気階段もかなりぶっ飛んだ設定のネタで評価を高めている。また、大阪吉本のヒガシ逢ウサカも注目ですね。こういったメンツに、チョコレートプラネットやアキナなどの決勝進出経験があるメンバーがどう絡んでいくかが見ものです」

『M-1グランプリ』でも、新星の活躍が期待される。

 「やはり、宮下草薙や納言あたりは、かなりの注目株。またEXITや金属バットといった、すでに話題になっているコンビも有力です。そして、一部で優勝の本命とまで言われているのがアインシュタインです。ボケの稲田の特徴的なルックスに注目が集まりがちですが、ネタのクオリティーはそれ以上。稲田はすでに『アメトーーク!』でも取り上げられていますし、近い将来、超売れっ子になると思いますよ」(同)

 吉本のお家騒動で揺れ動きつつも、勢いのある若手芸人が次から次へと登場しているお笑い界。今年も、お笑い賞レースから目が離せない。

「あなたと、 コンビに」が結びつけた“隅っこ”コント師、かが屋の真実

お笑い第7世代と呼ばれる芸人の中で、最も「新しい」と呼ばれる2人、マセキ芸能社所属・かが屋。黒いTシャツの加賀翔と白いTシャツの賀屋壮也が、身近にありながら今まで誰も目を向けなかった「日常の中の非日常」をコントであぶり出す。ガツガツでもギラギラでもないけど、見据える未来はかなりデカい。令和、それは“隅っこ”コント師、かが屋が真ん中を歩く時代である。

 

***

――「第7世代」といわれる芸人さんたちの注目度がいま、急上昇しております。

加賀 第7世代という言葉のおかげで仕事をいただけて。

賀屋 本当にそうなんですよ。

――多くの芸人さんが「かが屋が面白い」と引き合いに出される現状については、どう思われますか?

加賀 ち、ちなみに具体的に誰が言ってたんですか?

――私が聞いたのは、ハナコの3人です。

賀屋 チャンピオンに……あぁ、うれしい。

加賀 信じられないけど、うれしい。

――考えてみたらお2人は、そういう賞的なものって……

加賀 はい、まったくないです。

賀屋 無冠中の無冠でございます。

加賀 決勝にすら行ったことがない。だからまだ、(世間の評価に)まったく追いついてないというのが実際のところです。いや、追いついてないというのも生意気なくらいなんですけど。

――まだ、あまり自覚はないですか?

加賀 どうにかこうにか、周りに引っ張ってもらってるというような。

賀屋 そうですね、本当に。

――「いま舞台袖に一番人が集まる芸人」という表現については?

加賀 ひとつだけ心当たりがあるというか……。全然ウケてなかった時に「声が小さすぎる」って言われてたことがあったんです。じゃあ、いっそのこと舞台上からまったく声がしてなかったら「何が起こってるんだ?」と思って芸人さんが袖に来てくれるんじゃないかと。

賀屋 あいつら何をしてるんだ? って。

加賀 静かにしてたらみんなが集まって……心配して集まってきてくれたという出来事があって。それから静かにできるネタってなんかないかなって、そういうことを試したりしてた時期はありました。芸人さんとかスタッフさんの印象に残ろうとしてましたね。もちろん、お客さんが一番ですけど。

賀屋 僕らと付き合いが長い芸人さんたちは「前は本当に声小さかったよね」って、みんな言います。

加賀 マジでそれはめちゃくちゃ悩んで、ひたすら腹筋してた時期とかありました。声を大きくするために。面白いネタ書くとか以前の問題……。

――今は声の小ささを逆手に取って……という感じですか?

賀屋 今はただ開き直って。もうそっちに近いと思います。

――お2人が出会ったのは、コンビニのアルバイトですよね。

賀屋 そうです。6年前ぐらいかなぁ。

加賀 朝勤と夜勤だったのでまったく会わなかったんですけど、そこを店長がつないでくれたんです。店長が僕とシフトに入った時に話した話、賀屋と入った時に話した話をお互いに行き来させてて。バナナマンが好きって話を僕がしてたら「朝のあいつはバナナマンが好きらしいよ」って、夜の賀屋に伝えてくれて。

――キューピッドが店長……。

加賀 どうやらうちのコンビニに趣味の合うやつがいるらしいって知って、それが1年ぐらい続いたんですけど……そしたら店長が急に「忘年会をやろう」って言いだしたんですよ。しかも、みんなが忘年会に参加できるように、店長自身はずっとシフトに入って。そのためだけに派遣の人をわざわざ雇って。

――なんて素敵な店長……。

加賀 そこで初めて賀屋に話しかけられて。

賀屋 そうなんですよ。

――「バナナマンがお好きなんですよね?」みたいな感じ?

加賀 せっかく店長が企画してくれんですけど、その僕……コンビニの忘年会っていうカオスな状況がちょっと居心地悪くて、外でずっとタバコ吸ってたんですよ。そしたら急に耳元で「バナナマン好きな加賀くん?」って言われて。

賀屋 必死だったんですよ、その時。声かけようと思って。

加賀 鳥肌ゾワッて立って。強烈な印象を残されました。でも、そこから話聞いてったら趣味が合うっていうか、ネタも書いてるって聞いて。

賀屋 そこからコンビ組んだんですけど。ちなみに、そのコンビニはファミリーマートで。「あなたと、コンビに」

――おあとがよろしい……。

賀屋 さらにそのキューピッド店長さんの名字が、大きい矢って書いて「大矢さん」っていうんですよ。キューピッドの矢(ニヤリ)。

――腹立つ~(笑)。

賀屋 これ、絶対に載せてください(笑)。

――お2人は、いつ頃から芸人を目指していたんですか?

加賀 僕は幼なじみに大阪NSCに誘われて……それが高校2年生。僕中退してたんで、特にやることもないし、じゃあって。でもNSCに入る直前、急に向こうから「俺やっぱりやめたい」って言われて。僕、お金振り込んでて、引っ越し先も決めてたんです。結局、大阪には一人で行ったんですけど「あれ? なんで俺一人なんだ?」って。一生懸命ネタの授業も受けてるんですけど「なんでだ?」って。自分一人でここにいる意味わからなくて、授業にも行かなくなって。親に「もうやめたい」って電話したら、親は「帰ってくんな」って。やるって決めたんだからと。

――その後、どうしたんですか?

加賀 決定的だったのは「漫才劇場ができる」っていうウワサがNSCで流れて。若手は漫才しかやっちゃいけないみたいな、そういうウワサが流れて。僕一人だったし、もう大阪ではやれないな、じゃあ東京に行こう……と。

――NSCで、新しい相方を探すことはしなかったんですか?

加賀 人見知りなのと、あんまり友達もいなかったですし。「コントやろう」って言ってくれた子もいたんですが、その時にはもう東京行くって決めてたので断りました。そしたら「俺もお金ためていくから、東京で待っててくれ」って言われたんですよ。だから僕、東京に引っ越して、その子を待ちながらファミリーマートで働き始めました。でも1年たった時に電話かけたら、「芸人やめることにした」って。

賀屋 振られまくってる。

――すれ違いコントみたいだ……。

加賀 2年ネタばらしないアンジャッシュさん……。

賀屋 恋人に振られまくって傷ついてるところに、僕が付け入ったっていう感じでしょうか。タイミング的に。僕は普通に大学生だったんですけど。

――賀屋さんもその時、芸人を目指していたんですか?

賀屋 どちらかというと、放送作家希望でした。バナナマンさんがすごい好きで、オークラさん に憧れてたから。

――3人目のバナナマンですね。

賀屋 そうなんです。でも、就活も控えてて、どうしようかなと思ってたところに、新人で加賀が入ってきた。すごく運命めいたものを感じたのに、ちょっと思いが強すぎて、ファーストコンタクトで怖がらせちゃったっていう。

加賀 結構、熱い感じで「コント書いてるから見てよ」って言われて、5本ぐらい持ってきてくれたんですけど、全部人が死ぬコントだったんですよ。

賀屋 それが格好いいと思ってたんですねぇ(笑)。

加賀 僕はもう「ヤバイ」「この人は危険」って感じて。

賀屋 俺の部屋で見せたんだっけ?

加賀 部屋で……密室で……最後に人が死ぬコントを見た。

――ヤバイですね。

加賀 ヤバイとは思ったんですけど、僕としてはこれでミスったらもう終わりだと思ってたから……「ちょっと、俺中卒だからかなぁ、わからないのは」みたいな逃げ方した。

賀屋 そんなこと思ってたんだ、気使わせちゃった(笑)。

――今でもコントに、そのエッセンスは感じますか?

賀屋 でもまぁ、変な人が出てくるんです。

加賀 やっぱり、なんていうか、学生時代に「面白いね」って言われてたタイプではないので、どうしてもそういう感じになってしまう。

賀屋 だよね、そう。俺は、めちゃめちゃ隅っこにいましたね。

加賀 中学の時は、ものすごくいいポジションにいたんですよ。僕の幼なじみだった女の子が一番強い女ヤンキーで。

賀屋 女ヤンキー……。

加賀 生え抜き? なんていうんだろ? その、ヤンキーになる前の時代から仲良くしてたんで。

賀屋 生え抜きっていうの?(笑)

――野球選手みたいですね(笑)。

賀屋 進化前から知ってるってことだ。

加賀 そう、だからヤンキーの人たちとも仲良くできるし、自分の本来のポジションの人たちとも仲良くしてて。

賀屋 めちゃくちゃ格好いいじゃん。

加賀 無敵だったんですよ。それが高校に進学したら、僕は今まで女ヤンキーのおかげで友達ができてたっていうのをわかってなくて。友達の作り方がわからなくなっちゃったんですよ。そこから誰とも仲良くなれずに……。

――逆高校デビューですね

加賀 でも、学校行かなくなった一番の理由は別にあって。休みがちになっていた頃、一度“不登校児のプロ”みたいなスクールカウンセラーと面談したことがあったんです。その人が「何が好きなの?」って聞くから「お笑い好きです」。「へぇ、そうなんだ。誰が好きなの?」「ダウンタウンさんとか紳助さんとか好きですね」って言ったら急に顔色変わって「ダウンタウンなんか面白くないよ」「ああいう人を傷つけるような笑いをして」って、そのカウンセラーが。

――ああ……。

加賀 僕、むちゃくちゃケンカしちゃって、その人と。「見てますか?」「じゃあ、何見てますか?」「『ガキ使』とか『ダウンタウンDX』とか見てますか?」と。「見てない」って答えたカウンセラーに「見てないのに面白くないとか言うな!!」って、そこで飛び出しちゃって、完全に学校には行かなくなってしまいました。

――(ハードだ……)賀屋さんは、どんな感じだったんですか?

賀屋 僕は逆にもう中学時代は女の子から嫌われてて。

加賀 えぇぇぇ!

賀屋 「えぇぇぇ!」って、知ってんだろ!? 何回も言ってるはずだから! 女の子からいじめられてて。うちの実家ちょっと変わってて、お風呂が薪でたくタイプだったんですよ。薪 だから煙が出るじゃないですか。煙突から出た煙が全部子ども部屋のほうに入ってくるつくりだったんですよ。学生服がそこで長年いぶされて、ずっとスモーキーな香りがしてた。そういうのって、女の子は敏感じゃないですか。「キモイ」とか「臭い」とか「焼いたソーセージのにおいがするね」みたいな。

加賀 焼くの? ソーセージ。

賀屋 好きな子もいたんだよ。私立で中高一貫で2クラスしかなくて、その子は別のクラスで。時々ある合同授業の時にその子が自分のクラスに来るんですよ。それでどの席に座ろうか探してて、僕の席を指さして「これ誰の席?」って友達に聞いてて、友達が「あ、あいつのだよ」って言ったら「うわぁ、最悪なんですけど」って。「あぁ……俺の恋は終わった」と。

――うううう。

賀屋 俺はなぜこの話をしたんだ……。

加賀 そんなこと言う子を好きになったのが間違いだよ!!

賀屋 好きだったんだよ、かわいかったんだよ! 1軍の子が好きだったんですよ! いつも一番かわいい子が好きで、身分不相応なのにその子が好きで。で、そこからどんどん暗くなっちゃった。机に、いじめてくる、悪口言ってくる子の名前をもう彫れるんじゃないかっていうくらいシャーペンで重ね書きして。くっそう……って。

加賀 そんなインタビューじゃ……。

――……続けてください。

賀屋 いじめてたほうは……もう勝手に大人になっていくんですね。大人になってくると、いじめるのダサいとか、みんなで仲良くしたほうが格好いいみたいな方向にシフトチェンジして、僕と仲良くしだしたんですよ。「なんだよこいつら、俺は忘れてないぞ」って。それがずーっとあって。わかって……いただけます?

――わかります……。なんか楽しかったよね、学校。みたいな感じにされて、はぁ?

加賀 まさかの共感。

賀屋 でも、めっちゃかわいかったんでね、何事もなかったかのように仲良くしちゃいました。

――そこ戦ってくださいよ!!

加賀 そういうことですよ。

賀屋 そういうことですね。

――そこからお笑いにつながっていくエネルギーは見つかりましたか?

賀屋 1回……すっごい鮮明にその光景を覚えてるんですけど、高1の夕方……教室のドアのところに僕が立たされて、窓際に12人ぐらい男子がいて、一斉にイジられるっていう。で、僕もそれに返さないわけにはいかないから、「なんでだよ?」「だれがだよ!」「パッと燃えてなくならないわ!」みたいなことを返して。夕方なんで、同級生の背中に日が差して、全部シルエットなんですよ。その光景が時々夢に出てくる。あの12人は、なんだったんだろう……。もしかしたら夢かもしれない。お笑いは好きでしたね。

――急に「お笑いは好きでしたね」って……。

賀屋 ああいう時に一番ダメなのは、イジってこないやつですね。イジるならイジれと思いました。

――賀屋さんの記憶の奥底にあるシルエットが、かが屋のコントになんらかの影響を与えていることはわかった気がします。

加賀 そうなのか……。

――小道具とかもあまり使わないし、衣装もシンプルですし。

賀屋 確かに、あんまり使ってはないですね。

加賀 しかも、コントに入る時の状況説明をしないので、だからこそシチュエーションが偏るというか。電車のネタが異常に多くて。つり革を持つ、リュックを前に背負う――これだけで電車になるから。本当に「『トレイン』っていう単独ライブやったら?」ってイジられるくらい。

賀屋 かが屋単独ライブ「トレイン」。

加賀 本当は昔、衣装や小道具にお金使いすぎて、しかもそれがどんズベりして。結局、自前の白Tシャツ、黒Tシャツ、下ジーンズってなっただけなんですけど。

賀屋 見た目地味だし……衣装も地味なほうがいいかっていう。

加賀 「声が小さい」みたいなことも、人に言われるまで「あ、僕たちは声が小さいんだ」って気づいてなかったんですよ。そういうレベルの人間だったので。

――お笑いスクールでは、一番怒られそうなところですよね。

加賀 ただ、「新しい」と思われたいとか「あいつらすごいな」って思われたいところはめちゃくちゃあって。学歴コンプレックスでしょうか、高学歴の人もいっぱいいる、上手な人、面白い人もたくさんいる中で、「なんでそんなことするの?」って思われるようなことをやらないと生き残ってはいけないとは思ってました。

賀屋 なんか違うことしないと。

加賀 なるべく誰の邪魔もしたくないっていうのもあって。たくさん芸人さんがいるライブだと、設定やキャラがかぶることがあるじゃないですか。できるだけ人の邪魔……嫌われたくないんで「コンビニのネタやりやがって」「面接のネタやりやがって」とか、なるべく言われないように。本当に「すみません」って端っこ、端っこを歩くという。

賀屋 メチャクチャ気にしいだから。

――2人の、これからの夢は?

加賀 自分たちの……いつか冠番組持ちたいっていうのはもちろんあるんですけど、何ができるかっていうのもまだわかってなくて。ネタのことは一生懸命考えてきたんですけど、それ以外のことって正直あんまり考えられてなかったっていうか。でも今、急にトーク番組に行かされたり、ギャップがすごくて。今後のことを本気で考えなきゃいけない時期だなぁとは思ってますけど。

賀屋 観るのはすっごい好きなので、自然と溶け込めたらめっちゃいいなぁとは思うんですけど。

加賀 食レポとかもやりたいよね。

賀屋 一番いいですよね。

加賀 母親やおばあちゃんは、テレビに出てる息子や孫がお笑いやってる姿より飯食ってる姿見れたほうが、絶対に安心すると思うんです。僕ら2人ともシングルマザー家庭なんで。

賀屋 そうなんですよ。だからね、お母さんには、ちゃんと食べてるんだって安心してほしい。あと、大河ドラマ出たいです!
(取材・文=西澤千央)

 

【出演情報】

●8/17(土)27:00~29:00/ニッポン放送『かが屋のオールナイトニッポン0(ZERO)』

●8/23(金)22:00~24:00/RCCラジオ『かが屋の鶴の間』(毎月第4金曜日) 

「あなたと、 コンビに」が結びつけた“隅っこ”コント師、かが屋の真実

お笑い第7世代と呼ばれる芸人の中で、最も「新しい」と呼ばれる2人、マセキ芸能社所属・かが屋。黒いTシャツの加賀翔と白いTシャツの賀屋壮也が、身近にありながら今まで誰も目を向けなかった「日常の中の非日常」をコントであぶり出す。ガツガツでもギラギラでもないけど、見据える未来はかなりデカい。令和、それは“隅っこ”コント師、かが屋が真ん中を歩く時代である。

 

***

――「第7世代」といわれる芸人さんたちの注目度がいま、急上昇しております。

加賀 第7世代という言葉のおかげで仕事をいただけて。

賀屋 本当にそうなんですよ。

――多くの芸人さんが「かが屋が面白い」と引き合いに出される現状については、どう思われますか?

加賀 ち、ちなみに具体的に誰が言ってたんですか?

――私が聞いたのは、ハナコの3人です。

賀屋 チャンピオンに……あぁ、うれしい。

加賀 信じられないけど、うれしい。

――考えてみたらお2人は、そういう賞的なものって……

加賀 はい、まったくないです。

賀屋 無冠中の無冠でございます。

加賀 決勝にすら行ったことがない。だからまだ、(世間の評価に)まったく追いついてないというのが実際のところです。いや、追いついてないというのも生意気なくらいなんですけど。

――まだ、あまり自覚はないですか?

加賀 どうにかこうにか、周りに引っ張ってもらってるというような。

賀屋 そうですね、本当に。

――「いま舞台袖に一番人が集まる芸人」という表現については?

加賀 ひとつだけ心当たりがあるというか……。全然ウケてなかった時に「声が小さすぎる」って言われてたことがあったんです。じゃあ、いっそのこと舞台上からまったく声がしてなかったら「何が起こってるんだ?」と思って芸人さんが袖に来てくれるんじゃないかと。

賀屋 あいつら何をしてるんだ? って。

加賀 静かにしてたらみんなが集まって……心配して集まってきてくれたという出来事があって。それから静かにできるネタってなんかないかなって、そういうことを試したりしてた時期はありました。芸人さんとかスタッフさんの印象に残ろうとしてましたね。もちろん、お客さんが一番ですけど。

賀屋 僕らと付き合いが長い芸人さんたちは「前は本当に声小さかったよね」って、みんな言います。

加賀 マジでそれはめちゃくちゃ悩んで、ひたすら腹筋してた時期とかありました。声を大きくするために。面白いネタ書くとか以前の問題……。

――今は声の小ささを逆手に取って……という感じですか?

賀屋 今はただ開き直って。もうそっちに近いと思います。

――お2人が出会ったのは、コンビニのアルバイトですよね。

賀屋 そうです。6年前ぐらいかなぁ。

加賀 朝勤と夜勤だったのでまったく会わなかったんですけど、そこを店長がつないでくれたんです。店長が僕とシフトに入った時に話した話、賀屋と入った時に話した話をお互いに行き来させてて。バナナマンが好きって話を僕がしてたら「朝のあいつはバナナマンが好きらしいよ」って、夜の賀屋に伝えてくれて。

――キューピッドが店長……。

加賀 どうやらうちのコンビニに趣味の合うやつがいるらしいって知って、それが1年ぐらい続いたんですけど……そしたら店長が急に「忘年会をやろう」って言いだしたんですよ。しかも、みんなが忘年会に参加できるように、店長自身はずっとシフトに入って。そのためだけに派遣の人をわざわざ雇って。

――なんて素敵な店長……。

加賀 そこで初めて賀屋に話しかけられて。

賀屋 そうなんですよ。

――「バナナマンがお好きなんですよね?」みたいな感じ?

加賀 せっかく店長が企画してくれんですけど、その僕……コンビニの忘年会っていうカオスな状況がちょっと居心地悪くて、外でずっとタバコ吸ってたんですよ。そしたら急に耳元で「バナナマン好きな加賀くん?」って言われて。

賀屋 必死だったんですよ、その時。声かけようと思って。

加賀 鳥肌ゾワッて立って。強烈な印象を残されました。でも、そこから話聞いてったら趣味が合うっていうか、ネタも書いてるって聞いて。

賀屋 そこからコンビ組んだんですけど。ちなみに、そのコンビニはファミリーマートで。「あなたと、コンビに」

――おあとがよろしい……。

賀屋 さらにそのキューピッド店長さんの名字が、大きい矢って書いて「大矢さん」っていうんですよ。キューピッドの矢(ニヤリ)。

――腹立つ~(笑)。

賀屋 これ、絶対に載せてください(笑)。

――お2人は、いつ頃から芸人を目指していたんですか?

加賀 僕は幼なじみに大阪NSCに誘われて……それが高校2年生。僕中退してたんで、特にやることもないし、じゃあって。でもNSCに入る直前、急に向こうから「俺やっぱりやめたい」って言われて。僕、お金振り込んでて、引っ越し先も決めてたんです。結局、大阪には一人で行ったんですけど「あれ? なんで俺一人なんだ?」って。一生懸命ネタの授業も受けてるんですけど「なんでだ?」って。自分一人でここにいる意味わからなくて、授業にも行かなくなって。親に「もうやめたい」って電話したら、親は「帰ってくんな」って。やるって決めたんだからと。

――その後、どうしたんですか?

加賀 決定的だったのは「漫才劇場ができる」っていうウワサがNSCで流れて。若手は漫才しかやっちゃいけないみたいな、そういうウワサが流れて。僕一人だったし、もう大阪ではやれないな、じゃあ東京に行こう……と。

――NSCで、新しい相方を探すことはしなかったんですか?

加賀 人見知りなのと、あんまり友達もいなかったですし。「コントやろう」って言ってくれた子もいたんですが、その時にはもう東京行くって決めてたので断りました。そしたら「俺もお金ためていくから、東京で待っててくれ」って言われたんですよ。だから僕、東京に引っ越して、その子を待ちながらファミリーマートで働き始めました。でも1年たった時に電話かけたら、「芸人やめることにした」って。

賀屋 振られまくってる。

――すれ違いコントみたいだ……。

加賀 2年ネタばらしないアンジャッシュさん……。

賀屋 恋人に振られまくって傷ついてるところに、僕が付け入ったっていう感じでしょうか。タイミング的に。僕は普通に大学生だったんですけど。

――賀屋さんもその時、芸人を目指していたんですか?

賀屋 どちらかというと、放送作家希望でした。バナナマンさんがすごい好きで、オークラさん に憧れてたから。

――3人目のバナナマンですね。

賀屋 そうなんです。でも、就活も控えてて、どうしようかなと思ってたところに、新人で加賀が入ってきた。すごく運命めいたものを感じたのに、ちょっと思いが強すぎて、ファーストコンタクトで怖がらせちゃったっていう。

加賀 結構、熱い感じで「コント書いてるから見てよ」って言われて、5本ぐらい持ってきてくれたんですけど、全部人が死ぬコントだったんですよ。

賀屋 それが格好いいと思ってたんですねぇ(笑)。

加賀 僕はもう「ヤバイ」「この人は危険」って感じて。

賀屋 俺の部屋で見せたんだっけ?

加賀 部屋で……密室で……最後に人が死ぬコントを見た。

――ヤバイですね。

加賀 ヤバイとは思ったんですけど、僕としてはこれでミスったらもう終わりだと思ってたから……「ちょっと、俺中卒だからかなぁ、わからないのは」みたいな逃げ方した。

賀屋 そんなこと思ってたんだ、気使わせちゃった(笑)。

――今でもコントに、そのエッセンスは感じますか?

賀屋 でもまぁ、変な人が出てくるんです。

加賀 やっぱり、なんていうか、学生時代に「面白いね」って言われてたタイプではないので、どうしてもそういう感じになってしまう。

賀屋 だよね、そう。俺は、めちゃめちゃ隅っこにいましたね。

加賀 中学の時は、ものすごくいいポジションにいたんですよ。僕の幼なじみだった女の子が一番強い女ヤンキーで。

賀屋 女ヤンキー……。

加賀 生え抜き? なんていうんだろ? その、ヤンキーになる前の時代から仲良くしてたんで。

賀屋 生え抜きっていうの?(笑)

――野球選手みたいですね(笑)。

賀屋 進化前から知ってるってことだ。

加賀 そう、だからヤンキーの人たちとも仲良くできるし、自分の本来のポジションの人たちとも仲良くしてて。

賀屋 めちゃくちゃ格好いいじゃん。

加賀 無敵だったんですよ。それが高校に進学したら、僕は今まで女ヤンキーのおかげで友達ができてたっていうのをわかってなくて。友達の作り方がわからなくなっちゃったんですよ。そこから誰とも仲良くなれずに……。

――逆高校デビューですね

加賀 でも、学校行かなくなった一番の理由は別にあって。休みがちになっていた頃、一度“不登校児のプロ”みたいなスクールカウンセラーと面談したことがあったんです。その人が「何が好きなの?」って聞くから「お笑い好きです」。「へぇ、そうなんだ。誰が好きなの?」「ダウンタウンさんとか紳助さんとか好きですね」って言ったら急に顔色変わって「ダウンタウンなんか面白くないよ」「ああいう人を傷つけるような笑いをして」って、そのカウンセラーが。

――ああ……。

加賀 僕、むちゃくちゃケンカしちゃって、その人と。「見てますか?」「じゃあ、何見てますか?」「『ガキ使』とか『ダウンタウンDX』とか見てますか?」と。「見てない」って答えたカウンセラーに「見てないのに面白くないとか言うな!!」って、そこで飛び出しちゃって、完全に学校には行かなくなってしまいました。

――(ハードだ……)賀屋さんは、どんな感じだったんですか?

賀屋 僕は逆にもう中学時代は女の子から嫌われてて。

加賀 えぇぇぇ!

賀屋 「えぇぇぇ!」って、知ってんだろ!? 何回も言ってるはずだから! 女の子からいじめられてて。うちの実家ちょっと変わってて、お風呂が薪でたくタイプだったんですよ。薪 だから煙が出るじゃないですか。煙突から出た煙が全部子ども部屋のほうに入ってくるつくりだったんですよ。学生服がそこで長年いぶされて、ずっとスモーキーな香りがしてた。そういうのって、女の子は敏感じゃないですか。「キモイ」とか「臭い」とか「焼いたソーセージのにおいがするね」みたいな。

加賀 焼くの? ソーセージ。

賀屋 好きな子もいたんだよ。私立で中高一貫で2クラスしかなくて、その子は別のクラスで。時々ある合同授業の時にその子が自分のクラスに来るんですよ。それでどの席に座ろうか探してて、僕の席を指さして「これ誰の席?」って友達に聞いてて、友達が「あ、あいつのだよ」って言ったら「うわぁ、最悪なんですけど」って。「あぁ……俺の恋は終わった」と。

――うううう。

賀屋 俺はなぜこの話をしたんだ……。

加賀 そんなこと言う子を好きになったのが間違いだよ!!

賀屋 好きだったんだよ、かわいかったんだよ! 1軍の子が好きだったんですよ! いつも一番かわいい子が好きで、身分不相応なのにその子が好きで。で、そこからどんどん暗くなっちゃった。机に、いじめてくる、悪口言ってくる子の名前をもう彫れるんじゃないかっていうくらいシャーペンで重ね書きして。くっそう……って。

加賀 そんなインタビューじゃ……。

――……続けてください。

賀屋 いじめてたほうは……もう勝手に大人になっていくんですね。大人になってくると、いじめるのダサいとか、みんなで仲良くしたほうが格好いいみたいな方向にシフトチェンジして、僕と仲良くしだしたんですよ。「なんだよこいつら、俺は忘れてないぞ」って。それがずーっとあって。わかって……いただけます?

――わかります……。なんか楽しかったよね、学校。みたいな感じにされて、はぁ?

加賀 まさかの共感。

賀屋 でも、めっちゃかわいかったんでね、何事もなかったかのように仲良くしちゃいました。

――そこ戦ってくださいよ!!

加賀 そういうことですよ。

賀屋 そういうことですね。

――そこからお笑いにつながっていくエネルギーは見つかりましたか?

賀屋 1回……すっごい鮮明にその光景を覚えてるんですけど、高1の夕方……教室のドアのところに僕が立たされて、窓際に12人ぐらい男子がいて、一斉にイジられるっていう。で、僕もそれに返さないわけにはいかないから、「なんでだよ?」「だれがだよ!」「パッと燃えてなくならないわ!」みたいなことを返して。夕方なんで、同級生の背中に日が差して、全部シルエットなんですよ。その光景が時々夢に出てくる。あの12人は、なんだったんだろう……。もしかしたら夢かもしれない。お笑いは好きでしたね。

――急に「お笑いは好きでしたね」って……。

賀屋 ああいう時に一番ダメなのは、イジってこないやつですね。イジるならイジれと思いました。

――賀屋さんの記憶の奥底にあるシルエットが、かが屋のコントになんらかの影響を与えていることはわかった気がします。

加賀 そうなのか……。

――小道具とかもあまり使わないし、衣装もシンプルですし。

賀屋 確かに、あんまり使ってはないですね。

加賀 しかも、コントに入る時の状況説明をしないので、だからこそシチュエーションが偏るというか。電車のネタが異常に多くて。つり革を持つ、リュックを前に背負う――これだけで電車になるから。本当に「『トレイン』っていう単独ライブやったら?」ってイジられるくらい。

賀屋 かが屋単独ライブ「トレイン」。

加賀 本当は昔、衣装や小道具にお金使いすぎて、しかもそれがどんズベりして。結局、自前の白Tシャツ、黒Tシャツ、下ジーンズってなっただけなんですけど。

賀屋 見た目地味だし……衣装も地味なほうがいいかっていう。

加賀 「声が小さい」みたいなことも、人に言われるまで「あ、僕たちは声が小さいんだ」って気づいてなかったんですよ。そういうレベルの人間だったので。

――お笑いスクールでは、一番怒られそうなところですよね。

加賀 ただ、「新しい」と思われたいとか「あいつらすごいな」って思われたいところはめちゃくちゃあって。学歴コンプレックスでしょうか、高学歴の人もいっぱいいる、上手な人、面白い人もたくさんいる中で、「なんでそんなことするの?」って思われるようなことをやらないと生き残ってはいけないとは思ってました。

賀屋 なんか違うことしないと。

加賀 なるべく誰の邪魔もしたくないっていうのもあって。たくさん芸人さんがいるライブだと、設定やキャラがかぶることがあるじゃないですか。できるだけ人の邪魔……嫌われたくないんで「コンビニのネタやりやがって」「面接のネタやりやがって」とか、なるべく言われないように。本当に「すみません」って端っこ、端っこを歩くという。

賀屋 メチャクチャ気にしいだから。

――2人の、これからの夢は?

加賀 自分たちの……いつか冠番組持ちたいっていうのはもちろんあるんですけど、何ができるかっていうのもまだわかってなくて。ネタのことは一生懸命考えてきたんですけど、それ以外のことって正直あんまり考えられてなかったっていうか。でも今、急にトーク番組に行かされたり、ギャップがすごくて。今後のことを本気で考えなきゃいけない時期だなぁとは思ってますけど。

賀屋 観るのはすっごい好きなので、自然と溶け込めたらめっちゃいいなぁとは思うんですけど。

加賀 食レポとかもやりたいよね。

賀屋 一番いいですよね。

加賀 母親やおばあちゃんは、テレビに出てる息子や孫がお笑いやってる姿より飯食ってる姿見れたほうが、絶対に安心すると思うんです。僕ら2人ともシングルマザー家庭なんで。

賀屋 そうなんですよ。だからね、お母さんには、ちゃんと食べてるんだって安心してほしい。あと、大河ドラマ出たいです!
(取材・文=西澤千央)

 

【出演情報】

●8/17(土)27:00~29:00/ニッポン放送『かが屋のオールナイトニッポン0(ZERO)』

●8/23(金)22:00~24:00/RCCラジオ『かが屋の鶴の間』(毎月第4金曜日) 

サンドウィッチマンも「いい人イメージはめんどくさい」好感度タレントは叩かれやすい現実

 好感度No.1芸人の名をほしいままにしているサンドウィッチマンの2人。しかし、本人たちはそんな称号を少々窮屈に思っているようだ。

 7月23日発売の「週刊女性」(主婦と生活社)に掲載されたインタビューでサンドウィッチマンは、「今の状況は好感度のイメージがひとり歩きしちゃってる感じがして……」(伊達みきお)、「“いい人”イメージがつきまとうのは、ちょっとめんどくさいです」(富澤たけし)とコメント。もともとコワモテの風貌で、好感度とはかけ離れた芸風だったということもあり、現在の状況に戸惑いを感じているという。

「たしかに、ブレイク前のサンドウィッチマンは、チンピラ風ルックスのイメージが強すぎて、テレビでは使いづらいと言われていたくらい。“見た目が良ければ、売れるのに……”なんて言われていた時期もあったので、同じルックスのまま好感度が上がっている今の状態が信じられないような部分もあるのでしょう」(お笑い事務所関係者)

 実際に好感度が高いことで“デメリット”となるケースも少なくないという。

「街なかで声をかけた時、好感度が高いタレントがちょっとでも冷たい態度を取ったら、“イメージと違った”なんてSNSに投稿されて、叩かれてしまう可能性も高くなる。逆に好感度が低いタレントであれば、ちょっと優しい態度を取っただけで、絶賛されることもある。サンドウィッチマンなんて、黙っていれば怖い風体なわけで、何もしないでいると“イメージと違う”となってしまいがち。プライベートでも常にいい人を演じていなければならないのは結構たいへんだと思います」(エンタメライター)

 また、好感度が高かったがゆえに、スキャンダルが出たときのダメージが大きいというパターンもある。

「博多大吉さんが、赤江珠緒アナと“寝そべりデート”が報じられた時、実際には不倫関係ではなかったけど、世間からの風当たりは強くなりました。実は女癖が悪いとか、後輩にパワハラまがいの行為を働いているとか、バッシングに近い情報も多く出るようになった。好感度が高いと何かあった時に、“裏切られた”という捉え方をされてしまうことが多く、悪い方向に余波が広がりがちなんです」(同)

 さらに、元々の好感度の高さが致命傷となったのが、ベッキーだ。

「ゲス不倫報道でのダメージがかなり大きく、数年経った今でもかつてのような活躍はできていない状態。元々熱愛スキャンダルが多いタレントだったら、ここまで後を引くことはなかったでしょうね。また、好感度が高いことに対するやっかみもあったのか、一度スキャンダルが出ると、“本当はそんな人ではなかった”といった声が堰を切ったように業界内から溢れ出てくるということも多い。好感度が高すぎると、足を引っ張られやすくなるという側面もある」(同)

 今後サンドウィッチマンは、好感度イメージをどう変えていくのだろうか。

「2人とも根本が普通にいい人なので、なかなかイメージが変わることはないでしょう。ただ、番組に対して“好感度の高さをイジるのはやめてくれ”などと要請するようになれば、“注文が多くて面倒くさい”というイメージがついて、結果的に業界内好感度が下がるかもしれませんが(笑)」(同)

 好感度は低いより高いに越したことはないが、高すぎるのも困りもののよう。サンドウィッチマンの“苦悩”はまだまだ続きそう?

吉本興業の騒動で地方のタレントPR大使に深刻な実害 リスク発覚で起用を控える動きも

 振り込め詐欺グループのパーティーに出席したお笑い芸人たちの「闇営業」問題が、全国各地で思わぬ波紋を広げている。 

 問題発覚当初から所属事務所が芸人の謹慎処分を次々と行い、吉本サイドは「反社」との関係根絶を宣言する姿勢を鮮明にした。これに各地の自治体が敏感に反応したのだ。

「自治体では、起用したタレントのPR大使を解任する手続きに追われ、イベントの出演調整に手間取っていますが、それはもう大変です。多額の税金をPR費用に投じたのに、かえって街のイメージは悪くなり、大損害だと憤っています。タレント起用の功罪は紙一重。評判が悪くなって市長を事実上クビになったケースもある。最近、吉本興業の社長パワハラ問題に話がすり替わっていますが、とんでもない。コンプラ違反で自治体は大損害を被っているのに『内輪の話にすり替えるな!』と、自治体からしてみれば言いたいでしょうね」(自治体問題に詳しいジャーナリスト)

 今回の「闇営業」の影響を受け、トラブルに見舞われた自治体をここでザッと見てみよう。

 三重県四日市市は、お笑いコンビ「ザブングル」の加藤歩が務めていた「四日市市観光大使」を当面見合わせることにした。加藤は、相方の松尾陽介とともに「闇営業」のパーティーに参加したと報じられ、所属するワタナベエンターテインメントが2人を謹慎処分とすると発表した直後の対応だった。

 吉本興業に所属するピン芸人・ムーディ勝山を地元出身の縁からPRメンバーに任命していた滋賀県草津市は、PR活動そのものを取りやめ、近くムーディーを解任する方針を固めている。

 そして神奈川県。お笑い芸人・くまだまさしが出演していた県インターネット放送局「かなチャンTV」で配信していたアニメ番組「かなかなかぞく」の配信を停止する措置に出た。くまだは、声優としてこの番組のパパ役を務めていた。家族団らんの番組に「反社」はそぐわなかったわけだ。

 このほかにも、

「大阪府和泉市はPR大使を委嘱していたお笑いコンビ『2700』の常道裕史を解任」

「東京都小平市は観光大使に起用した地元出身の『ザ・パンチ』パンチ浜崎と相方を市はホームページから削除」

「沖縄県宜野座村はふるさと大使に起用した『ストロベビー』のディエゴの扱いを検討中」

 といった具合に次々と解任手続きが進んでいる。前出のジャーナリストが言う。

「ほかにも、吉本興業の劇場がある千葉市は、お笑い芸人たちの出演を見込んで夏の花火大会そのものを吉本興業に委託していますが、集客を見込める夏のイベントが中止に追い込まれないかと恐れた千葉市は、吉本側とかなり深刻な話し合いを行っているそうです。吉本興業のお膝元である大阪市も、吉本側と包括的な連携協定を結んでおり、松井一郎市長も『かばい切れんわ』と吉本の体たらくにピリピリしているようです」

 実は、全国各地の自治体ではPR大使にタレントを起用する一種のブームが数年前から起きていたという。いつスキャンダルにまみれるか分からないタレント起用のリスクは、かねてから叫ばれていたのだ。

 残念な典型例といわれているのが、熊本市だ。アイドルグループ、KAT-TUNの元メンバー・田口淳之介に、熊本地震の復興に一躍買ってもらおうと「ふるさと大使」に任命していた。ところが、今年5月の大麻事件発覚後、速やかに田口を解任。同時に、大々的なPRイベントと期待されていた都内の「食のイベント」を開催目前にして急きょ取りやめる憂き目に遭っている。

 熊本市の大西一史市長は、田口の事件で”天国と地獄”の経験談を告白している。まず昨年9月のTwitterで、田口のことをこう絶賛していたのだ。

<田口淳之介さんと対談。とても爽やかで優しく心のある好青年。そりゃ会場は大変なものでして。彼がにっこりする度に「キャー😍」彼がおにぎりを一口頬張ると「キャー😍」と。私がおにぎり食べても「しーん😑」。最後に撮影会。よく見ると僕を外して彼だけを写す人。世の中はシビア。残念です😭」>

 ところが、5月23日の朝、大西市長は痛恨のツイートを発信した。

<皆さんおはようございます。今朝の目覚めの一曲はありません。昨日「熊本ふれんず応援大使」に任命していた方が逮捕されるというショッキングな報道がありました。今日は午前中に定例記者会見がありますので詳細についてはそこでお話しさせて頂きます。今日も一日全力で頑張ります。(`_´)ゞ> 

 大西市長のツイートは毎朝、「今朝の目覚めの一曲」で始まる。そのツイートを取りやめるとは、よほどこの事件がこたえたに違いない。

 田口のケースと同じように、タレント起用のリスクを広く知らしめたもうひとつの実例がある。心ないファンによる暴行事件からグループ内のトラブルに発展したアイドルグループ、NGT48だ。新潟市関係者が証言する。

「AKB48グループの中でも、最も地域に密着したグループといわれ、実際、地元自治体から猛烈な誘致活動が行われました。そのひとりが、前の新潟市長です。文化・芸術事業に力を入れた市長で、アイドルを誘致する事業にも『PR活動をしてもらえる』と積極的でした。しかし、この市長、”金食い虫”の文化芸術事業にカネをつぎ込みすぎて、自治体の貯金300億円をカラにしてしまった。その結果、責任を追及され、先の新潟市長選に出馬できず、引退に追い込まれています。事実上のクビですから、今回のNGTトラブルを受けて新潟ではPR大使の起用見合わせなどが相次いでいて、事業を刷新する方向で動いています」

 自治体によるタレントの起用は、うまく当たれば格好の広告塔になってくれるものの、今回の「闇営業」問題であらためてそのリスクを鮮明にしたといえる。

 タレントの不祥事といえば、テレビコマーシャルの損害賠償問題がすぐにニュースになりがちだが、これほど全国各地の自治体でタレントのPR大使化が進むと、スキャンダルが出るたびに、その町への悪影響が問われかねない。

「その根っこを探ってみると、自治体の税金を狙った芸能事務所のあこぎなタレント売り込み戦略にはまってしまった悲劇と言えるのかもしれません。まさにこれは、新たな社会問題と言ってもおかしくない現象なんです」(前出・自治体ジャーナリスト)

 芸能人のネームバリューに頼り切った、地方自治体の落ち度……とまでは言わないが、今後の自治体PR事業はさまざまなリスクを考えるべきなのだろう。