ぜんじろうって「そもそも誰?」の声も……東京進出失敗の理由はなんだったのか

 爆笑問題の太田光とぜんじろうが芸歴をめぐって論争を繰り広げている。きっかけはピエール瀧のコカイン逮捕を受けて、ぜんじろうがツイッターに記した内容を『サンデー・ジャポン』(TBS系)で取り上げた際に、太田が「ぜんじろう」と呼び捨てにしたことである。これを受けぜんじろうはツイッターで「後輩の太田くん」と反論し、これに太田が激怒。「どちらが先輩か」で論争を繰り広げている。

 だがネット上では「そもそも、ぜんじろうって誰?」「太田は知ってるけど相手がわからないからつまらない」といった声が聞かれる。ぜんじろうは現在は主に海外を中心に活躍しており、全国区のテレビ出演の機会も少ないため、若い世代にとってはなじみがなさそうだ。

「ぜんじろうは1987年に上岡龍太郎に弟子入り。その後、コンビ結成と解散を経て90年代はじめに東京進出を果たします。この時の売り出し文句は、新世代のお笑い系MCといったもので、ポスト明石家さんま的な役割を期待されていたといえるでしょう。島田紳助や、やしきたかじんなど大物司会者からも気に入られていました」(業界関係者)

 事務所の後押しもあって全盛期のぜんじろうは若くして17本のレギュラーを持つ。だが、ブレークは長く続かなかった。

「ぜんじろうは『関西の大型新人』といった触れ込みで東京進出を果たすも、東京の番組スタッフがどう使えばいいのかわからなかったようですね。ぜんじろう自身が気難しい人物でもあり、スタッフとの軋轢もあったようです。さらに、ついたマネージャーは新人、吉本興業も本格的な東京進出直後とあって、バックアップ体制も整っていませんでした。やがてぜんじろうは人間不信、業界不信に陥り、結果、レギュラー番組を次々と失います。98年に一念発起、単身渡米し英語をイチからマスターし、スタンダップコメディアンとなりました」(同)

 ぜんじろうが東京でもがいていた90年代はじめは、爆笑問題は事務所からの独立騒動で仕事がなかった時期でもある。その後は、吉本からは後輩芸人のナインティナインやロンドンブーツ1号2号がブレークを果たす。『ボキャブラ天国』や『めちゃイケ』(共にフジテレビ系)が幼少期のお笑いの記憶にある世代にとっては、ぜんじろうをまったく知らなくても仕方ないだろう。
(文=平田宏利)

爆笑問題・太田光だけじゃない!? 上下関係に厳しい芸人って……

 爆笑問題の太田光とぜんじろうの間の「芸歴どっちが上か論争」はいまだ収束せず、直接対決が近く実現しそうだ。芸人の世界では「1日でも先に入った方が先輩」といわれる。だが、これは特に関西の吉本興業のしきたりともいわれ、事務所によって異なる。関東の人力舎は比較的上下関係がゆるいとされる。そうした温度差が、例えば『オールスター感謝祭』(TBS系)での東京03と島田紳助氏の“恫喝騒ぎ”を招いてしまったともいえ、やはり良し悪しはありそうだ。ただ、関東芸人であっても芸歴に厳しい者は存在する。

「アントニオ猪木のものまね芸で知られ14年に亡くなった春一番は芸歴に細かい人として知られたようです。芸能界デビューは88年で、これは松村邦洋や爆笑問題と同期になりますが、実際には85年に片岡鶴太郎に弟子入りしており、本人としてはそこから芸人であったと自覚しているようです。そのため87年結成の浅草キッドが、ゆるい態度で接すると怒りをあらわにしたようですね」(芸能関係者)

 さらに、TIMのゴルゴ松本も「芸歴厳しい芸人」として知られる。ゴルゴは野球の名門として知られる埼玉県立熊谷商業高校出身で、在学中には甲子園出場経験もある体育会系。現在は少年院でボランティア講演をして回るなど生真面目な性格で知られる。そんなゴルゴは、事務所の後輩芸人にマジギレしている。

「我が家の杉山裕之ですね。杉山といえば酒癖の悪さで知られ、一時は九州に実質左遷されていた時期もあります。杉山はゴルゴとの飲み会でも失礼をはたらき、『上下関係をわかっていない』ということでボコボコにされたそうです。ただ、それについては、事務所の大先輩にあたる中山秀征や恵俊彰にも目の前で『全然面白くない』と暴言を吐くなど、日ごろの失態が積み重なってゴルゴの怒りが爆発したともいえます」(同)

 どこまで厳格にすべきかは議論が分かれるところだろうが、芸人の世界にもある程度の上下関係は必要だろう。
(文=平田宏利)

爆笑問題・太田光だけじゃない!? 上下関係に厳しい芸人って……

 爆笑問題の太田光とぜんじろうの間の「芸歴どっちが上か論争」はいまだ収束せず、直接対決が近く実現しそうだ。芸人の世界では「1日でも先に入った方が先輩」といわれる。だが、これは特に関西の吉本興業のしきたりともいわれ、事務所によって異なる。関東の人力舎は比較的上下関係がゆるいとされる。そうした温度差が、例えば『オールスター感謝祭』(TBS系)での東京03と島田紳助氏の“恫喝騒ぎ”を招いてしまったともいえ、やはり良し悪しはありそうだ。ただ、関東芸人であっても芸歴に厳しい者は存在する。

「アントニオ猪木のものまね芸で知られ14年に亡くなった春一番は芸歴に細かい人として知られたようです。芸能界デビューは88年で、これは松村邦洋や爆笑問題と同期になりますが、実際には85年に片岡鶴太郎に弟子入りしており、本人としてはそこから芸人であったと自覚しているようです。そのため87年結成の浅草キッドが、ゆるい態度で接すると怒りをあらわにしたようですね」(芸能関係者)

 さらに、TIMのゴルゴ松本も「芸歴厳しい芸人」として知られる。ゴルゴは野球の名門として知られる埼玉県立熊谷商業高校出身で、在学中には甲子園出場経験もある体育会系。現在は少年院でボランティア講演をして回るなど生真面目な性格で知られる。そんなゴルゴは、事務所の後輩芸人にマジギレしている。

「我が家の杉山裕之ですね。杉山といえば酒癖の悪さで知られ、一時は九州に実質左遷されていた時期もあります。杉山はゴルゴとの飲み会でも失礼をはたらき、『上下関係をわかっていない』ということでボコボコにされたそうです。ただ、それについては、事務所の大先輩にあたる中山秀征や恵俊彰にも目の前で『全然面白くない』と暴言を吐くなど、日ごろの失態が積み重なってゴルゴの怒りが爆発したともいえます」(同)

 どこまで厳格にすべきかは議論が分かれるところだろうが、芸人の世界にもある程度の上下関係は必要だろう。
(文=平田宏利)

爆笑問題・太田光、ぜんじろうに対し真面目な表現者論を語る「プロならスケジュールは把握しておくべき」

 16日深夜放送の『爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ)において、ぜんじろうとの間で続いている芸歴論争について太田光が口を開いた。今週もハイテンションで攻めるのかと思いきや、太田は落ち着いたトーンで、ぜんじろうが台湾に仕事に行っているため、今週のラジオに来られなかったことに対し「最初からスケジュールを把握しておくべき」とくぎを刺した。

 さらに、ぜんじろうがツイッターで発信を続けていることについては「ツイッターはプロならやるな」と持論を展開した。太田は「俺たちの時代はツイッターなんてないし、子どものころにテレビを見て憧れて、高校時代は友達がおらず何の発言権もなかった時代に『俺はいずれ有名になって自分の表現する場所をつくろう』と思った」と語り、やがて「みんなに認められて自分が表現する場所を獲得した」と来歴を交えながら自らの信念を語った。

 さらに、ぜんじろうに呼びかける形で「俺たちって、それの取り合いをやっていたわけじゃん。お前はその発言の場所を外国に求めたわけだろう。俺だっていつテレビから消えるかわからない。その場所がないと黙っているしかないから、それを得るためにマスコミに認められようとした。だからこそ頑張ってきたといった話をぜんじろうとしたかった」とアツい語りとなった。太田は「来週が最後」と期限を区切り、『サンデー・ジャポン』(TBS系)および、同ラジオ番組に来られなかったら、今回の騒動は幕引きとなると示唆した。

 1990年代初頭、爆笑問題は前の事務所からの一方的な独立により約3年間まったく仕事がない“干された時期”がある。その分、太田はそこからはい上がり、表現者としての居場所を獲得したことに自負があるのだろう。同時期に表舞台からは消えてしまったぜんじろうとは対照的であるだけに、やはり2人の話は聞きたいところだ。
(文=平田宏利)

岡野陽一『R-1ぐらんぷり』で刻んだ爪跡「悲鳴──でも、それでいい」

 3月に行われた『R-1グランプリ』(関西テレビ系)決勝で、観覧客からひときわ大きな悲鳴を引き出したのが、人力舎所属の岡野陽一だ。「鶏肉に風船をつけて飛ばす」という衝撃的なネタで話題を呼んだ岡野は、1,000万円の借金を抱えながらギャンブル好きな“クズ芸人”でもある。その独特すぎる金銭感覚とは――。

――まずは今年の『R-1ぐらんぷり』決勝進出、おめでとうございます。敗者復活から勝ち上がって、見事「鶏肉を空に返す」ネタを披露されました。非常におもしろかったのですが、会場では悲鳴も、かなり上がっていましたね。

岡野 そうですね……あのー、本当に変な話なんですけど、うっかりチンコ出ちゃったのかと思いました。急に悲鳴が上がったので「あれ!?」って。でも、仕方ないですよね。冷静に考えたら、ちょっと気持ち悪いですもん。分析すると、ガチもんだと思われたんだと思います。お客さんは僕のことを当然知らないわけだから、ガチっぽい服を着たおじさんが敗者復活から来て、急に生の鶏肉を飛ばしたら、そりゃ悲鳴ですよ。いろいろ言われてますけど、それでいいと思いますし。

――あのネタは、『マイナビラフターナイト』(TBSラジオ)の昨年のチャンピオン大会でも披露されていました。ラジオで聞いたとき、「おもしろいけど、このネタは一体なんだ?」と思ったのを覚えています。

岡野 ラジオで聞くと、自分でも意味がわかんないですね。ただただ鶏肉飛ばしてるだけですから。2年くらい前にコンビを解散してピンになったときに作った、最初のネタのひとつなんですよ。1回だけライブでやったんですけど、そのときはセリフなしで音楽だけでやった気がします。『ラフターナイト』チャンピオン大会に出させてもらったのに、とにかくネタがなくて、「やばいやばい」って、そのネタを掘り起こしてきてセリフを入れて。大会当日の朝に完成しました。

――そんなギリギリに。

岡野 「鶏肉飛ばそう」と思って、とにかく風船と鶏肉を買って。飛ばす仕組みが自分でもいまいちわからなかったから、入り時間から本番までずっとその調整をしてました。とにかく飛びさえすれば時間がもつだろう、と。『ラフターナイト』では運良くウケましたけど、正直ネタにはなってなかったです。そこから『R-1』ではボケを足したり、いろいろ変更しています。

――そもそも、なぜ鶏肉を飛ばそうと思ったんですか?

岡野 飛ばすというか、「空に返してあげる」です。かわいそうだからですよ。そうに決まってるじゃないですか(笑)。

――でも、ニワトリって飛ばないですよね?

岡野 いや、もともとは屋根くらいの高さは飛べたんですよ。人間が家畜として飼ってから飛ぶ機能を失ったっていうのが、調べたら出てきたんです。最初はそれもネタに入れてたんですけど、「俺が言っても説得力ないし野暮だな」と思ってやめました。人間を敵に回しちゃいますし。

――なるほど、そのあたりは背景があるんですね。ちなみにいま、ネタの数はいくつくらいあるんですか?

岡野陽一『R-1ぐらんぷり』で刻んだ爪跡「悲鳴──でも、それでいい」の画像2

岡野 「鶏肉」入れて4つですかねぇ。パチンコのネタと、「大阪のおばちゃん」っていうネタがあります。あ、3つですね。あとは、ちょっとだけ面白くないネタが何本かあります。ピンのネタが難しいんですよね。なかなかつくれないんですよ。

岡野陽一『R-1ぐらんぷり』で刻んだ爪跡「悲鳴──でも、それでいい」の画像3

――去年はライブやネタ番組で「小学生にパチンコを教えるおじさん」のネタをよく観た覚えがあります。

岡野 よく知ってますね。もう自分でできるんじゃないですか?(笑)

――いえ、できないです(笑)。以前、『空気階段の踊り場』(TBSラジオ)に出演されたとき、「ネタを作ろうと思って3万のホテルにカンヅメしたのに、何もしないで寝た」という話をしていましたよね。あれはすごい衝撃でした。

岡野 やっぱり家はできないんですよ。寝ちゃうし、テレビもあるし。それでマンガ喫茶に行ってみたんですけど、マンガ読んじゃうんですよね。「じゃあ」ってことでファミレスに行っても、家の近くだと「家でやったほうが浮かぶんじゃないか」とか理由つけて帰っちゃうんです。それでたまに遠くの、八王子のファミレスとか行ってみるんですけど、でもねぇ、やっぱり帰っちゃんですよ、タクシーで。

――タクシーで!

岡野 それでいろいろ考えた結果、ホテルしかない、と。3万円の、東京タワーが見えて夜景が綺麗なホテルに泊まりました。

――ビジネスホテルじゃないんですね。

岡野 1万円以下だと、僕は絶対帰っちゃうんですよ。だって八王子からタクシーで帰っちゃうんですから。なので3万円も負荷をかけたら絶対つくるだろうと思ったんです。でもねぇ……ダメですね。3万円のホテルは、ベッドが違うんですよ。だから寝ちゃったな~。自分に甘いんでしょうね。

――以前にテレビ番組で話していた、「朝起きられないから、目覚ましがわりで起床時刻に寿司の出前が届くように頼んでおく」というのも印象に残っています。借金がある人とは思えないお金の使い方だな、と。

岡野 借金があるので、お金がすごく好きだと思われてるんですけど、逆なんです。お金は嫌いというか、どうでもいい。だからお金で済むことはお金で済ませたい。出前もそうですね。だって、どうしても起きられないんだから、仕方ない。それと出前はケータイ払いにしてるので、その日は一銭も払わないでいいし。

――月末の自分が払う、と。

岡野 エグいですよ。ケータイ代、4~5万円いきますもん。最悪ですよ。だからダメだとは思ってるんですけどねぇ、あとのことを考えられないんですよね。

――「お金で済むことは、お金で済ませたい」というのは合理的な考え方だと思います。でもそれって、お金持ってる人が言えることだと思いますが……。

岡野 そっか、たしかにそうですね(笑)。

岡野陽一『R-1ぐらんぷり』で刻んだ爪跡「悲鳴──でも、それでいい」の画像4

――結局いま借金は総額1,000万円なんですか?

岡野 うーん、人に聞かれたらそう答えてるんですけど、リアルに言うと1,500万円くらいあってもおかしくないです。私が管理している状態じゃないというか、総額を把握している人はこの世にいないので。お金の揉め事が嫌なので、向こうの言い値で返すと決めてるんです。でも1,000万円は確実にありますね。

――ツイッターを見ていると、最近“三重の大口”のご友人に一括返済されたそうですね。

岡野 そうなんです。「好きな人ができて結婚したい」ということだったので、返しました。返したときは、お互いちょっと悲しかったです。友人がちょうど三重から東京に来ていたので、品川で受け渡しをしたんですけど、「これで終わっちゃうんだね」って、恋人たちの別れみたいになりました。10年くらい借りてましたから、10年付き合った人と別れるときと同じ気持ちだったと思うんですよ。お互い、なぜか恥ずかしくて目を見られない、みたいな。でも返せてよかったです。これで返せなかったら本当にヤバい人になっていた。そこをギリギリ守っているっていう自負があるから、借りられる。

岡野陽一『R-1ぐらんぷり』で刻んだ爪跡「悲鳴──でも、それでいい」の画像5

――その返済費用はどうやって捻出したんですか?

岡野 新たに三鷹の大口の友人から借り換えをしました。そのおかげで、毎週木曜の人権が失われました。

――人権が……?

岡野 無利子・無担保で貸していただいた代償に、木曜日を差し出してるんです。おかげで私は1週間が6日になりました。

――あれ、でも今日は木曜日ですよね? 大丈夫なんですか?

岡野 仕事が入ったので、明日に振替になりました。今日は人権があります(笑)。

――人権って振替が効くんですね……。なんというか、お金との付き合い方が非常に独特ですよね。「クズ芸人」といわれることも多いですが、謎の清々しさを感じます。以前に『空気階段の踊り場』で言っていた「借金100万円くらいのヤツがいちばんたちが悪い」という理論もおもしろかったです。

岡野 あぁ、“ランカー”の話ですね。「俺は100万借金がある。30万なんて借金じゃないよ」みたいなヤツを見ると、許せないんですよ。借金があることを誇りに思ってる。僕もそう見えちゃうのかもしれないですけど、それはダメですよ。そもそも、100万くらいは余裕で回るんです。(小声で)300万くらいから、怖いですよ。単純に、返せなくなりますから。

――経験に裏打ちされた感覚ですね。もはや300万円どころではないですし。

岡野 僕は人に恵まれていて、友人からしか借りていないので1,000万円まで来ました。本当に良い債権者様に出会いましたね。最近、ツイッターで知らない人から「僕も借金があって苦しいです」みたいなDMが来たんです。少しやりとりをしていたら、「もしよろしかったら、岡野さんの債権者を紹介してくれないか」と言われて、それは怒りました。「お前の債権者様じゃないぞ」って。やっぱり信頼関係が大事ですから。債権者様も貸してうれしい……貸してうれしいってことはないですけど、何かのメリットを返せないと。「こいつに貸しててよかったな」と思われるのがベストです。

――世間では「借金があること自体が気を滅入らせる」とも聞くんですが、岡野さんはそんなことはなさそうですね。

岡野 そうですね。冷静に考えたら、マジでキツいんですよ、たぶん。ちゃんと向き合っちゃダメなことって、人生であると思います。変な話、僕は借金してるのが自分じゃないと思ってる感覚があるんですよね。「こいつ、めっちゃ借金あるな」って自分のことを思ってるというか。お堅い方からは怒られると思いますけど、いちばん優しくしないといけないのは自分じゃないですか。だから僕は自分へのケアを怠りません。家にいるときまで畳の上で膝抱えて「借金どうしよう」って思ってると、そういう人間になっちゃうんですよ。だから僕は家では“借金がない生活”をしてます。間接照明つけて、ソファでデカいテレビを観てますから。玄関のドアを一歩出たら借金がありますよ? でも家にいるときは、ない。そうすることでバランスをとってます。もちろん、お借りしてることは申し訳ないと思ってますけど。

――『R-1』で優勝していたら、賞金を返済に当てる予定はあったんですか?

岡野 タバコ1,000カートン買うと決めてました。500万円だと全額返せないんですよ。返済の優先順位を付けないといけなくなっちゃうから、それを避けたくて。タバコ1,000カートンなら、みんなが平等にちょっと嫌な思いをするだけですから(笑)。

――いつか完済できるといいですね。

岡野 返したらいろいろやりたいこともありますからね。まずは犬を飼いたいです。

――どんな犬を?

岡野 ゴールデンレトリバーとラブラドールレトリバーにしましょうかねぇ。

(構成=斎藤岬/写真=鈴木渉)

岡野陽一『R-1ぐらんぷり』で刻んだ爪跡「悲鳴──でも、それでいい」の画像6

■岡野陽一(おかの・よういち)
1981年、福井県生まれ。2008年から16年まで、コンビ「巨匠」で活動。『キングオブコント』2014・2015決勝進出。現在、Abema TV『矢口真里の火曜TheNIGHT』にレギュラー出演中。
https://twitter.com/kyoshouokano

ぜんじろうと爆笑問題・太田光の“芸歴問題”は泥沼化必至!「兄さん」呼びの行方は……?

 お騒がせ芸人として知られる爆笑問題の太田光が吠えている。きっかけは、太田が後輩芸人だと思っていたぜんじろうが『サンデー・ジャポン』(TBS系)で自分を呼び捨てにしたことに対し、ラジオで苦言を呈したことにはじまる。ツイート内では「太田くん」とも呼びかけており、ぜんじろうとしては爆笑が後輩芸人だと言いたいのだろう。

 太田は9日深夜放送の『爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ)で「俺のこと兄さんって呼んでいただろ」と大激怒。これを報じたネットニュースのリンクをぜんじろうがリツイートし、事態は泥沼化の様相を呈している。果たして爆笑問題とぜんじろうとはどちらが芸歴が上なのか。あらためて検証してみたい。

 両者の年齢は、爆笑問題は2人とも1965年生まれで今年54歳になる。田中裕二は早生まれなので64年の学年である。対してぜんじろうは1968年1月生まれの51歳なので、学年は67年になる。両者の年齢差は2歳である。

 芸歴はどうか。爆笑問題の初舞台は23歳で出場した、渡辺正行主催のお笑いライブ『ラママ新人コント大会』で大爆笑を取り、その場で最初の所属事務所である太田プロダクションからスカウトされている。同時に『笑いの殿堂』(フジテレビ系)の出演オファーも来た。この時点をプロデビューとカウントするならば88年となる。

 ぜんじろうは高校卒業後、86年に大阪芸術大学に進学。ただし大学は2日で退学するも、両親から仕送りを受けながら悠々自適な生活を送っていたところ、大阪の路上で上岡龍太郎を見かけ握手をしてもらう。その後も偶然上岡に再会し弟子入りを志願した。吉本興業のプロフィールでは1987年に上岡龍太郎に入門とある。

 芸歴のカウントは一般的に初舞台からとされる。吉本興業の芸人養成所であるNSCも入学時は芸人ではなく素人扱いであり、卒業ライブから芸歴カウントがはじまるため、87年に入門し、どこで初舞台を踏んだかが注目ポイントだろう。

 ぜんじろうは当初はラッキーぜんじろうを名乗り、やがて月亭かなめとコンビを結成し88年の『今宮子供えびすマンザイ新人コンクール』で福笑い賞を受賞しているため、コンビとしての芸歴は爆笑問題とぜんじろうはほぼ同期といえるだろう。

 ただ芸人の世界にある「1日でも先に入ったほうが先輩」論に厳密に従うならば、ぜんじろうの方が先輩ということになりそうだ。11日深夜放送の『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)でも岡村は「ぜんじろう兄さんの方が先輩だと思う」と発言している。ぜんじろうは大阪での活動を経て東京へ進出しているので、謙遜を込めて爆笑問題を「兄さん」と呼んでいたのかもしれない。
(文=平田宏利)

ぜんじろうと爆笑問題・太田光の“芸歴問題”は泥沼化必至!「兄さん」呼びの行方は……?

 お騒がせ芸人として知られる爆笑問題の太田光が吠えている。きっかけは、太田が後輩芸人だと思っていたぜんじろうが『サンデー・ジャポン』(TBS系)で自分を呼び捨てにしたことに対し、ラジオで苦言を呈したことにはじまる。ツイート内では「太田くん」とも呼びかけており、ぜんじろうとしては爆笑が後輩芸人だと言いたいのだろう。

 太田は9日深夜放送の『爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ)で「俺のこと兄さんって呼んでいただろ」と大激怒。これを報じたネットニュースのリンクをぜんじろうがリツイートし、事態は泥沼化の様相を呈している。果たして爆笑問題とぜんじろうとはどちらが芸歴が上なのか。あらためて検証してみたい。

 両者の年齢は、爆笑問題は2人とも1965年生まれで今年54歳になる。田中裕二は早生まれなので64年の学年である。対してぜんじろうは1968年1月生まれの51歳なので、学年は67年になる。両者の年齢差は2歳である。

 芸歴はどうか。爆笑問題の初舞台は23歳で出場した、渡辺正行主催のお笑いライブ『ラママ新人コント大会』で大爆笑を取り、その場で最初の所属事務所である太田プロダクションからスカウトされている。同時に『笑いの殿堂』(フジテレビ系)の出演オファーも来た。この時点をプロデビューとカウントするならば88年となる。

 ぜんじろうは高校卒業後、86年に大阪芸術大学に進学。ただし大学は2日で退学するも、両親から仕送りを受けながら悠々自適な生活を送っていたところ、大阪の路上で上岡龍太郎を見かけ握手をしてもらう。その後も偶然上岡に再会し弟子入りを志願した。吉本興業のプロフィールでは1987年に上岡龍太郎に入門とある。

 芸歴のカウントは一般的に初舞台からとされる。吉本興業の芸人養成所であるNSCも入学時は芸人ではなく素人扱いであり、卒業ライブから芸歴カウントがはじまるため、87年に入門し、どこで初舞台を踏んだかが注目ポイントだろう。

 ぜんじろうは当初はラッキーぜんじろうを名乗り、やがて月亭かなめとコンビを結成し88年の『今宮子供えびすマンザイ新人コンクール』で福笑い賞を受賞しているため、コンビとしての芸歴は爆笑問題とぜんじろうはほぼ同期といえるだろう。

 ただ芸人の世界にある「1日でも先に入ったほうが先輩」論に厳密に従うならば、ぜんじろうの方が先輩ということになりそうだ。11日深夜放送の『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)でも岡村は「ぜんじろう兄さんの方が先輩だと思う」と発言している。ぜんじろうは大阪での活動を経て東京へ進出しているので、謙遜を込めて爆笑問題を「兄さん」と呼んでいたのかもしれない。
(文=平田宏利)

“吉本No.1営業芸人”くまだまさしを直撃! 芸人の世界で起こりつつある「さよならテレビ」現象とは?

「くまだまさしは、テレビのオファーを断っている」

 その情報がわれわれの耳に飛び込んできたのは、千鳥MCの『相席食堂』(朝日放送)にて。くしくも『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、ベテランコンビ・リットン調査団が「大衆に迎合するような芸はやりたくない」と、テレビはおろかルミネへの出演も断っていると放送されたばかり。いま、芸人とテレビの関係に、どんな地殻変動が起きているのか?

「営業を優先させるため、テレビの仕事を断っているというのは本当なんですか?」――。出番を終え、ルミネの控え室でくつろぐ、くまだを直撃した。

***

くまだ あ、ああアレですね、話題の、千鳥先生の『相席食堂』。もちろんすべてを断ってるわけではないんですが、結構断ることが多いというだけで……。

――それはもう、テレビに魅力はないと?

くまだ いやいやいや。単純に、オファーいただく前に、劇場と営業のスケジュールが入っちゃってるだけですよ。もちろん、劇場や営業をなくしてテレビのほうに行くこともできますが、僕自身がいま、営業を大事にさせてもらっていると。そこは本当に申し訳ございません、ウソ抜きで言わせていただくと……。

――(ゴクリ)

くまだ 営業のほうが、お金がいいんです。

――えーーーーー!

くまだ サイゾー先生、誠に申し訳ございません。やはり、マネーのほうが……。でも、劇場・営業をとにかく大事に、と思い始めたのが、昨日今日とかではなくて、もう10年以上前から思っていたことなんです。

――そんな前から……。

くまだ 昔はやはり、まず劇場で人気者になって、そこから深夜番組に出て、MCの人に気に入られてひな壇に出て、やがて自分がMCをやるっていうのがスター街道といいますか……。それこそ、10人中9人がそこを目指してたので、勝てないと思ったんです。もしかして、違うほうへ行けば、逆に簡単に勝てるんではないのかなって。

――生存戦略ですね。

くまだ そうですね。もうとにかく、芸がどうのこうのというよりは、単純に僕は……キレイごとに聞こえるかもしれませんが、家族を大事にしなければいけないというのが第一条件だったので。芸よりも、とにかくお金だと。

――なんだか、すがすがしい気持ちです。お金が一番!!

くまだ 現実的に言えばごめんなさい、ちょっとわがままになってるくまちゃんもいるのかもしれません。

――ただお茶の間の目線で言うと、なんとなくテレビに出ないっていうだけで「ちょっと売れなくなってきたのかな」って見られてしまうのかもしれないですよね。実際には断ってる状態なのに。

くまだ もちろん「売れてない」「もう売れなくなったのかな」よりも「売れてる」っていうほうが、気分はいい。それは重々承知でございます。けれども、そんな僕の見栄だうんぬんは、もう関係ない。現実的にお金が、家族を食わせなければいけないというのがあったので、割り切れるんです。でもまぁ、本当に始まりはそうだったんですけど、だんだんそれが変わってきちゃって……。

――どのように変わったのですか?

くまだ いま吉本興業に6,000人ぐらいタレントがいる中、僕、営業回数が歴代第1位なんですよ。初めはお金のためだったんですけど、今度はそれを守りたいという気持ち。お笑いの総本山である吉本興業で、一番営業に行ってる男だという誇り、それを守らなければという。

――ナンバーワンの自負。

くまだ (照)。周りの芸人さんも「営業のくまだ」と言ってくれてる。だから、自分の中でも、ちょっと自負しているところがあるかもしれないです。営業では誰にも負けたくないって。

――スケジュール的には、営業はどれくらいの割合で行ってるんですか?

くまだ これは吉本興業のシステムなんですけど、営業、テレビ、劇場といろんな仕事がある中で、一番最初にスケジュールを押さえられるのが劇場なんですよ。そうなると、土日に多くあるショッピングモールの営業が、最近なかなか入れにくくて。本当にごめんなさい。これはお恥ずかしい……自分で言うのもあれなんですけど、みんなが僕を欲しがる。

――争奪戦!!

くまだ すみません。劇場がね、やっぱり一番お客さんが入る土日の劇場にくまだを押さえたいっていうのが、実際ありまして。そうなると、営業は平日が中心になる。一般的に土日の営業っていうのは家族連れで和気あいあい楽しい雰囲気のものが多いんですが、平日の営業というのは、大人たちの真面目な話の後に「さあ、どうぞ!」という、結構難しいものが多いんです。ヘタしたら、何億、何十億、動くかもしれない商談の後に「くまださん! お願いします!!」っていうのが、平日にドンッて入る。昔は土日が営業、平日劇場だったんですけど、今はもう逆転してしまいましたね。

――「くまだまさしがスベッているところを見たことがない」っていう都市伝説は、ご存じですか?

くまだ いやいや、22年やっていれば、そりゃスベる時はもちろんありますよ。ただ僕の記憶が確かだったら、スベッたのは5回だけ。

――22年で5回! 逆にその5回が気になります。

くまだ あら、そうでございますか。でもそれはたぶん、一般の方にはわからない。これは芸人さん特有の……これなんでスベッたんだ? っていう体験。ステージとお客さんの間に直径10メートルの池があるとか。あれはやりづらい

――すごいシチュエーション。

くまだ もう本当ちっちゃいことを言えば、マイクがちょっと悪かったりとか、その昔まだ実力がない頃に、お客さんが全員80歳以上だったとか、それだけですごい変わってしまう世界なので。

――今、くまださんのような選択をされている芸人さんは、ほかにもいらっしゃいますか?

くまだ 昔だったら、それこそ先ほど言ったようにテレビでスターになって売れる、お金を稼ぐっていうのがマストだったんですけど、そこだけじゃないよと、劇場、営業でも頑張れば食べられるんですよっていう、パイオニアになってしまいました。本当、自分で言うのもおこがましいですけども……。こんなに稼げるのかっていうが周りの芸人さんもわかっちゃったので、ならばこっちに……っていう人が増えてきましたね、正直。

――扉を開けてしまった。

くまだ もう家も2軒目も買い……でもね、僕は成功者ではないんです。

――えーー! 家2軒買ったのに!?

くまだ 成功者じゃない、大成功者です。もうはっきり言いましょう! まだここからどうなるかわからない、ここからまだまだ先の人生長いですけども、今の段階だけで言えば……勝ち組でございます、私。でもそれは逆に言えば、テレビで売れるっていうのがまだ難しいということです。上はさんまさんだ、ダウンタウンさんだって、詰まってるって、よく聞くじゃないですか。だから余計に、営業第一っていうふうになってるのかもしれません。

――私は世代的にはテレビがすべて、テレビが世界の中心だと思って生きてきて、でもだんだんだんだん変わってきてるなって思うんです。若い世代はそれこそ、YouTubeしか見ないとか。

くまだ 確かにそうでございますよね。ただ、テレビの人も、それは絶対感じてると思うんですよ。だから、これからテレビの逆襲が始まるんじゃないのかなって。もちろん芸人の間でも「でも、テレビだ」と。やっぱりまだテレビに出たいっていうのはあると思います。ただ、ごめんなさい。私は、そういうのがまったくなく……すみません。

――くまださんにとって、テレビはもう、魅力的なメディアではないということですか?

くまだ 志が低いのかもしれませんけれど「とにかく売れたい」「億が欲しい」よりも、目標は「食わせたい」だから。それが今のところクリアしてますってなったら、次はその維持ですよね、目指すのは。

――でも、それが可能なのも、やっぱりくまださんだからでは?

くまだ ちょ、ちょっと待ってください、くまださんじゃないです。

――え!?

くまだ 「くまだ大先生」です! 大先生でございますよ、私は!!

――し、失礼しました! くまだ大先生!!

くまだ (笑)。ちょっと話戻しますけれども、何もテレビを全部断るわけではないんです。この前ね、CSのボウリング番組に出たんですよ。最初はお断りしようと思ってたんですけど、その番組のプロデューサーさんが、お世話になった『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)をやられていた方で。仕事の内容より「この人だから出る」って、「人」で決めてしまっている部分もあるかもしれないです。『相席食堂』も、正直言うと、初めは断ったんです。ロケは拘束時間が長い、絶対に疲れる。次の日の営業や舞台に支障が出る……って。でも、千鳥先生の番組だと。前にノブくんのインスタに載っけてもらったことがあって、これはお礼をしなければいけないって、ずっと思ってました。

――テレビも「自分たちのところに一番出たいでしょ?」みたいなスタンスではいられなくなってるということですね、くまださん……間違いました。くまだ大先生タイプが増えている。

くまだ 頼みますよ、サイゾー先生!! もちろんおごることなく、お断りするのも誠心誠意の気持ちです。テレビに憧れて今があるのは本当ですし、初心忘るべからずです。

――その感覚は、やはり営業で培われたものですか?

くまだ やっぱりそうだと思います。すべて営業だと思います。そうだ、吉本に6,000人いるタレントさんの中で、僕だけが唯一やってることがあるんですよ。

――なんでしょうか?

くまだ 営業が終わったら、私を呼んでくださった社員さんにお礼のメールをすることです。

――ああ……デキるビジネスマン……。

くまだ これをもうこの十何年、ずっと続けてるんです。いやらしい言い方ですけど、お礼されたら「あ、また入れよう」ってなってくれるんじゃないかって。

――芸人さん自らがそれをするっていう。

くまだ 向こう様は「わざわざご本人様から、ご丁寧なメールありがとうございます」って感激してくれるんです。それって、逆に言えば、そういうことをやる芸人がいないからではないでしょうか。

――はぁぁ……そもそも面白い人にそれやられたら、もう勝ち目はない……。

くまだ 先生! 本当ごめんなさい、また格好いいこと言っていいですか? 120点の仕事をしていれば、絶対に仕事は減ることがないと僕は思ってます。僕の仕事としては、ウケるっていうのは、ある意味、当たり前。その合格ラインが80点。それ以外のことで、100点、120点にしていくんです。相手の人を先生と呼んだり。

――あ、サイゾー先生というのも!!

くまだ フフフ。

――自分の正しい場所を見つけるというのは、とても大切なことなんですね、大先生。

くまだ でも、それが正解かどうかっていうのは、そればっかりは自分では正直わからなかった。自分のやってきた道が正解か正解じゃないかの答え合わせは、ひとつは再三申し上げておりますが、やっぱりお金。もうひとつは、天才と呼ばれている人たちに認めてもらったっていうことです。松本人志さん、千原兄弟さん、日村勇紀さん……そうそうたるメンツに「おまえはすごいな、おまえこれだな」って言っていただいて「あ、これは間違いではなかったんだ」と。これちょっと話逸れますが、この前、千原ジュニア大統領に……。

――大統領!!

くまだ 打ち上げの席で、ジュニア大統領の前に、僕、フットボールアワーの岩尾望さん、あと芥川賞を取った本当の先生・又吉直樹先生、3人がいて。そこで大統領が「この中で誰が一生安泰か? 第1位はくまだだ」っておっしゃった。もう、このまんまで行くしかありませんよ。もちろん、23年前に吉本の養成所入った時は……まさか自分がこんな姿に、あんなブルマそうそうたるメンツくなんて思ってもおりませんでした。ですから、これから先5年後、10年後、またどうなってるかもわかんないですし。でもとりあえずごめんなさい、なんかウケちゃってるので(笑)。

――自分で居場所を作る時代になったのかもしれないですよね。セルフマネージメントというか。

くまだ 必要かもしれないですね。

――テレビでも営業でも、まずは自分の名前を知ってもらう必要があり、そんな中で『R-1』は認知という点でものすごく有効だと思うのですが、一方でキートンさんのあのSNS炎上騒動のような公平性の問題も根強くあります。

くまだ なるほど。これは大事なことです。やっぱり僕もピン芸人でございますから、気になってました。正直言えば、本当に皆さん言ってる通りだと思います。やっぱり大人の社会、世界であることは否めない。正直言えば、僕が『R-1』に出なくなった理由もそこでした。だいぶ昔ですけど、「これだけウケたらいっただろう」っていうのが何度か裏切られて、ああやっぱりそういう世界なんだろうなって。一言言いたくなるキートン君の気持ちもよくわかる……ただやっぱり、それは言わないほうがお利口だなっていうね。

――キートンさんを見て笑ったお客さんの記憶は、ずっとありますから。

くまだ そうですね。ただ、僕は何より『R-1』だけで言えば……もっと盛り上がってほしい。僕自身「あ、今日が『R-1』だ」って、当日に気づいたぐらいなので。なんでもっと宣伝をしてくれないの? っていうほうが強いですね。

――確かに。見る目が多くなれば、自浄作用が働くというのもありますよね。

くまだ いろいろ合わせて相乗効果で良くなっていけばいいなっていうのが、『R-1』への私の思いですね。

――ありがとうございます。なんかもう……世界が平和になりました。

くまだ いや、お金の話ばっかりですいません!!
(取材・文=西澤千央)

“吉本No.1営業芸人”くまだまさしを直撃! 芸人の世界で起こりつつある「さよならテレビ」現象とは?

「くまだまさしは、テレビのオファーを断っている」

 その情報がわれわれの耳に飛び込んできたのは、千鳥MCの『相席食堂』(朝日放送)にて。くしくも『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、ベテランコンビ・リットン調査団が「大衆に迎合するような芸はやりたくない」と、テレビはおろかルミネへの出演も断っていると放送されたばかり。いま、芸人とテレビの関係に、どんな地殻変動が起きているのか?

「営業を優先させるため、テレビの仕事を断っているというのは本当なんですか?」――。出番を終え、ルミネの控え室でくつろぐ、くまだを直撃した。

***

くまだ あ、ああアレですね、話題の、千鳥先生の『相席食堂』。もちろんすべてを断ってるわけではないんですが、結構断ることが多いというだけで……。

――それはもう、テレビに魅力はないと?

くまだ いやいやいや。単純に、オファーいただく前に、劇場と営業のスケジュールが入っちゃってるだけですよ。もちろん、劇場や営業をなくしてテレビのほうに行くこともできますが、僕自身がいま、営業を大事にさせてもらっていると。そこは本当に申し訳ございません、ウソ抜きで言わせていただくと……。

――(ゴクリ)

くまだ 営業のほうが、お金がいいんです。

――えーーーーー!

くまだ サイゾー先生、誠に申し訳ございません。やはり、マネーのほうが……。でも、劇場・営業をとにかく大事に、と思い始めたのが、昨日今日とかではなくて、もう10年以上前から思っていたことなんです。

――そんな前から……。

くまだ 昔はやはり、まず劇場で人気者になって、そこから深夜番組に出て、MCの人に気に入られてひな壇に出て、やがて自分がMCをやるっていうのがスター街道といいますか……。それこそ、10人中9人がそこを目指してたので、勝てないと思ったんです。もしかして、違うほうへ行けば、逆に簡単に勝てるんではないのかなって。

――生存戦略ですね。

くまだ そうですね。もうとにかく、芸がどうのこうのというよりは、単純に僕は……キレイごとに聞こえるかもしれませんが、家族を大事にしなければいけないというのが第一条件だったので。芸よりも、とにかくお金だと。

――なんだか、すがすがしい気持ちです。お金が一番!!

くまだ 現実的に言えばごめんなさい、ちょっとわがままになってるくまちゃんもいるのかもしれません。

――ただお茶の間の目線で言うと、なんとなくテレビに出ないっていうだけで「ちょっと売れなくなってきたのかな」って見られてしまうのかもしれないですよね。実際には断ってる状態なのに。

くまだ もちろん「売れてない」「もう売れなくなったのかな」よりも「売れてる」っていうほうが、気分はいい。それは重々承知でございます。けれども、そんな僕の見栄だうんぬんは、もう関係ない。現実的にお金が、家族を食わせなければいけないというのがあったので、割り切れるんです。でもまぁ、本当に始まりはそうだったんですけど、だんだんそれが変わってきちゃって……。

――どのように変わったのですか?

くまだ いま吉本興業に6,000人ぐらいタレントがいる中、僕、営業回数が歴代第1位なんですよ。初めはお金のためだったんですけど、今度はそれを守りたいという気持ち。お笑いの総本山である吉本興業で、一番営業に行ってる男だという誇り、それを守らなければという。

――ナンバーワンの自負。

くまだ (照)。周りの芸人さんも「営業のくまだ」と言ってくれてる。だから、自分の中でも、ちょっと自負しているところがあるかもしれないです。営業では誰にも負けたくないって。

――スケジュール的には、営業はどれくらいの割合で行ってるんですか?

くまだ これは吉本興業のシステムなんですけど、営業、テレビ、劇場といろんな仕事がある中で、一番最初にスケジュールを押さえられるのが劇場なんですよ。そうなると、土日に多くあるショッピングモールの営業が、最近なかなか入れにくくて。本当にごめんなさい。これはお恥ずかしい……自分で言うのもあれなんですけど、みんなが僕を欲しがる。

――争奪戦!!

くまだ すみません。劇場がね、やっぱり一番お客さんが入る土日の劇場にくまだを押さえたいっていうのが、実際ありまして。そうなると、営業は平日が中心になる。一般的に土日の営業っていうのは家族連れで和気あいあい楽しい雰囲気のものが多いんですが、平日の営業というのは、大人たちの真面目な話の後に「さあ、どうぞ!」という、結構難しいものが多いんです。ヘタしたら、何億、何十億、動くかもしれない商談の後に「くまださん! お願いします!!」っていうのが、平日にドンッて入る。昔は土日が営業、平日劇場だったんですけど、今はもう逆転してしまいましたね。

――「くまだまさしがスベッているところを見たことがない」っていう都市伝説は、ご存じですか?

くまだ いやいや、22年やっていれば、そりゃスベる時はもちろんありますよ。ただ僕の記憶が確かだったら、スベッたのは5回だけ。

――22年で5回! 逆にその5回が気になります。

くまだ あら、そうでございますか。でもそれはたぶん、一般の方にはわからない。これは芸人さん特有の……これなんでスベッたんだ? っていう体験。ステージとお客さんの間に直径10メートルの池があるとか。あれはやりづらい

――すごいシチュエーション。

くまだ もう本当ちっちゃいことを言えば、マイクがちょっと悪かったりとか、その昔まだ実力がない頃に、お客さんが全員80歳以上だったとか、それだけですごい変わってしまう世界なので。

――今、くまださんのような選択をされている芸人さんは、ほかにもいらっしゃいますか?

くまだ 昔だったら、それこそ先ほど言ったようにテレビでスターになって売れる、お金を稼ぐっていうのがマストだったんですけど、そこだけじゃないよと、劇場、営業でも頑張れば食べられるんですよっていう、パイオニアになってしまいました。本当、自分で言うのもおこがましいですけども……。こんなに稼げるのかっていうが周りの芸人さんもわかっちゃったので、ならばこっちに……っていう人が増えてきましたね、正直。

――扉を開けてしまった。

くまだ もう家も2軒目も買い……でもね、僕は成功者ではないんです。

――えーー! 家2軒買ったのに!?

くまだ 成功者じゃない、大成功者です。もうはっきり言いましょう! まだここからどうなるかわからない、ここからまだまだ先の人生長いですけども、今の段階だけで言えば……勝ち組でございます、私。でもそれは逆に言えば、テレビで売れるっていうのがまだ難しいということです。上はさんまさんだ、ダウンタウンさんだって、詰まってるって、よく聞くじゃないですか。だから余計に、営業第一っていうふうになってるのかもしれません。

――私は世代的にはテレビがすべて、テレビが世界の中心だと思って生きてきて、でもだんだんだんだん変わってきてるなって思うんです。若い世代はそれこそ、YouTubeしか見ないとか。

くまだ 確かにそうでございますよね。ただ、テレビの人も、それは絶対感じてると思うんですよ。だから、これからテレビの逆襲が始まるんじゃないのかなって。もちろん芸人の間でも「でも、テレビだ」と。やっぱりまだテレビに出たいっていうのはあると思います。ただ、ごめんなさい。私は、そういうのがまったくなく……すみません。

――くまださんにとって、テレビはもう、魅力的なメディアではないということですか?

くまだ 志が低いのかもしれませんけれど「とにかく売れたい」「億が欲しい」よりも、目標は「食わせたい」だから。それが今のところクリアしてますってなったら、次はその維持ですよね、目指すのは。

――でも、それが可能なのも、やっぱりくまださんだからでは?

くまだ ちょ、ちょっと待ってください、くまださんじゃないです。

――え!?

くまだ 「くまだ大先生」です! 大先生でございますよ、私は!!

――し、失礼しました! くまだ大先生!!

くまだ (笑)。ちょっと話戻しますけれども、何もテレビを全部断るわけではないんです。この前ね、CSのボウリング番組に出たんですよ。最初はお断りしようと思ってたんですけど、その番組のプロデューサーさんが、お世話になった『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)をやられていた方で。仕事の内容より「この人だから出る」って、「人」で決めてしまっている部分もあるかもしれないです。『相席食堂』も、正直言うと、初めは断ったんです。ロケは拘束時間が長い、絶対に疲れる。次の日の営業や舞台に支障が出る……って。でも、千鳥先生の番組だと。前にノブくんのインスタに載っけてもらったことがあって、これはお礼をしなければいけないって、ずっと思ってました。

――テレビも「自分たちのところに一番出たいでしょ?」みたいなスタンスではいられなくなってるということですね、くまださん……間違いました。くまだ大先生タイプが増えている。

くまだ 頼みますよ、サイゾー先生!! もちろんおごることなく、お断りするのも誠心誠意の気持ちです。テレビに憧れて今があるのは本当ですし、初心忘るべからずです。

――その感覚は、やはり営業で培われたものですか?

くまだ やっぱりそうだと思います。すべて営業だと思います。そうだ、吉本に6,000人いるタレントさんの中で、僕だけが唯一やってることがあるんですよ。

――なんでしょうか?

くまだ 営業が終わったら、私を呼んでくださった社員さんにお礼のメールをすることです。

――ああ……デキるビジネスマン……。

くまだ これをもうこの十何年、ずっと続けてるんです。いやらしい言い方ですけど、お礼されたら「あ、また入れよう」ってなってくれるんじゃないかって。

――芸人さん自らがそれをするっていう。

くまだ 向こう様は「わざわざご本人様から、ご丁寧なメールありがとうございます」って感激してくれるんです。それって、逆に言えば、そういうことをやる芸人がいないからではないでしょうか。

――はぁぁ……そもそも面白い人にそれやられたら、もう勝ち目はない……。

くまだ 先生! 本当ごめんなさい、また格好いいこと言っていいですか? 120点の仕事をしていれば、絶対に仕事は減ることがないと僕は思ってます。僕の仕事としては、ウケるっていうのは、ある意味、当たり前。その合格ラインが80点。それ以外のことで、100点、120点にしていくんです。相手の人を先生と呼んだり。

――あ、サイゾー先生というのも!!

くまだ フフフ。

――自分の正しい場所を見つけるというのは、とても大切なことなんですね、大先生。

くまだ でも、それが正解かどうかっていうのは、そればっかりは自分では正直わからなかった。自分のやってきた道が正解か正解じゃないかの答え合わせは、ひとつは再三申し上げておりますが、やっぱりお金。もうひとつは、天才と呼ばれている人たちに認めてもらったっていうことです。松本人志さん、千原兄弟さん、日村勇紀さん……そうそうたるメンツに「おまえはすごいな、おまえこれだな」って言っていただいて「あ、これは間違いではなかったんだ」と。これちょっと話逸れますが、この前、千原ジュニア大統領に……。

――大統領!!

くまだ 打ち上げの席で、ジュニア大統領の前に、僕、フットボールアワーの岩尾望さん、あと芥川賞を取った本当の先生・又吉直樹先生、3人がいて。そこで大統領が「この中で誰が一生安泰か? 第1位はくまだだ」っておっしゃった。もう、このまんまで行くしかありませんよ。もちろん、23年前に吉本の養成所入った時は……まさか自分がこんな姿に、あんなブルマそうそうたるメンツくなんて思ってもおりませんでした。ですから、これから先5年後、10年後、またどうなってるかもわかんないですし。でもとりあえずごめんなさい、なんかウケちゃってるので(笑)。

――自分で居場所を作る時代になったのかもしれないですよね。セルフマネージメントというか。

くまだ 必要かもしれないですね。

――テレビでも営業でも、まずは自分の名前を知ってもらう必要があり、そんな中で『R-1』は認知という点でものすごく有効だと思うのですが、一方でキートンさんのあのSNS炎上騒動のような公平性の問題も根強くあります。

くまだ なるほど。これは大事なことです。やっぱり僕もピン芸人でございますから、気になってました。正直言えば、本当に皆さん言ってる通りだと思います。やっぱり大人の社会、世界であることは否めない。正直言えば、僕が『R-1』に出なくなった理由もそこでした。だいぶ昔ですけど、「これだけウケたらいっただろう」っていうのが何度か裏切られて、ああやっぱりそういう世界なんだろうなって。一言言いたくなるキートン君の気持ちもよくわかる……ただやっぱり、それは言わないほうがお利口だなっていうね。

――キートンさんを見て笑ったお客さんの記憶は、ずっとありますから。

くまだ そうですね。ただ、僕は何より『R-1』だけで言えば……もっと盛り上がってほしい。僕自身「あ、今日が『R-1』だ」って、当日に気づいたぐらいなので。なんでもっと宣伝をしてくれないの? っていうほうが強いですね。

――確かに。見る目が多くなれば、自浄作用が働くというのもありますよね。

くまだ いろいろ合わせて相乗効果で良くなっていけばいいなっていうのが、『R-1』への私の思いですね。

――ありがとうございます。なんかもう……世界が平和になりました。

くまだ いや、お金の話ばっかりですいません!!
(取材・文=西澤千央)

千鳥、超売れっ子なのに冠番組が「まさかの深夜2時台」テレビ業界的にはありがたい事情って?

 お笑いコンビ・千鳥の冠番組『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)が4月2日にスタートした。超がつくほどの売れっ子芸人である千鳥だが、その冠番組の放送時間は深夜1時59分から30分間。まさかの“ド深夜”なのだ。

「千鳥は、視聴者からの人気も高いし、関係者の間での評価もすごく高い。ゴールデンタイムでの冠番組とは言わなくても、せめて夜11時台でもよかったのではないかという意見は多いです」(テレビ局関係者)

 待望の冠番組が深夜2時台になったことについて、ある放送作家はこんな話をする。

「千鳥は昨年に関西テレビ・フジテレビ系で月曜夜10時台に放送されていた『世界の村のどエライさん』という番組にレギュラーMCで出演していたんですが、視聴率が振るわず、8カ月で終わってしまったんです。千鳥の良さが出るタイプの番組ではなかったとはいえ、本人たちとしては、『まだプライムタイムは早い』と感じた部分もあったのかもしれません」

 テレビ東京では、2016年から断続的に『NEO決戦バラエティ キングちゃん』という千鳥MCのバラエティ番組が放送されている。こちらの放送時間も深夜帯だ。

「『キングちゃん』はいろいろな芸人ゲストを呼んで、大喜利的なロケをやるという番組。相当むちゃな形で体を張ることも多いので、深夜でないと難しい。『テレビ千鳥』についても、攻めた内容にするには、深い時間しかなかったのではないかと思います」(同)

 一方で、ほかのバラエティ番組にしてみれば、『テレビ千鳥』が深夜であることはありがたいのだという。前出のテレビ局関係者は言う。

「千鳥がゴールデンで冠を持ったら、どうしてもその番組中心のスケジュールになって、ほかの番組にゲスト出演する機会が減ってしまいます。今はまだまだ千鳥を出したいという番組はたくさんあるわけで、ほかの番組のスタッフは助かっていると思います」

 冠番組が深夜であるため、千鳥としてもフットワーク軽く、さまざまな番組で活躍できるということ。そのうえ『テレビ千鳥』では自分たちのやりたい笑いを追求できるというのだから、“深夜2時台の冠番組”という選択は大正解だったといえるのかもしれない。