爆速ヤフーが招いたやり手ロビイストとマイナンバー利権の正体

【サイゾーpremium】より 『マイナンバー』 すべての国民に番号を割り振り、納税情報や社会保障情報を一元管理しようという制度のこと。個人のプライバシーなどの問題から、導入に対して反対する意見も根強い。
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『マイナンバーがやってくる』(日経
BP社)
 さる3月1日に、「共通番号制度」関連法案、いわゆる「マイナンバー法案」が閣議決定された。民主党政権末期に棚上げされていたものが、あらためてスタートを切った形だ。このマイナンバー法案に関連して、IT業界の一部や霞が関において、まことしやかにささやかれている噂がある。「あのヤフーが、マイナンバー利権を狙っている」というのだ。  国のIT政策に詳しいジャーナリストは、「2012年の7月にヤフーが、マイクロソフトからマイナンバーのキーマンをヘッドハンティングしたのが噂の発端」だと語る。 「そのキーマンとは、楠正憲氏。マイクロソフトで彼は、ITやネットに関する規制緩和を求めたり新しい法律が自社に不利にならないように活動するロビイストとして働いていました。11年からは、内閣が設置したIT戦略本部においてマイナンバー制の検討を行う番号制度推進管理補佐官も務めており、まだ35歳ながら、民間人としては最もこの業界の中心にいる人物です」(ジャーナリスト)  楠氏は、「ネット上の表現の自由を侵害する」などとして08年に話題になった「青少年ネット規制法案」においてIT業界を挙げての反対活動を取りまとめるなど業界内でも顔が広く、国内でも有数のIT系ロビイスト。ヤフーに移籍直後の12年8月には政府CIO補佐官にも就任した彼のヤフーへの移籍はさまざまな憶測を呼んだが、どうやらヤフーがマイナンバー利権に食い込むため、楠氏のロビイングの手腕とマイナンバー法案への影響力を見込んでのことだというのだ。  ヤフーは日本最大のネット企業だが、現状ではコンシューマ向けネットサービスがビジネスのメイン。そのヤフーが国の制度に関わる利権を狙うというのは、いったいどういうことなのだろうか? 「実はヤフーが狙ってるのは、マイナンバー制そのものではなく、その後に控えている国民ID制度【1】と、それによるネット上の個人認証基盤に食い込むことです」と、ある政府関係者は語る。  そもそもマイナンバーとは、国民一人ひとりに固有の番号を振り、それによって税金や社会保障など、お金にかかわる行政手続きの透明性と効率化を高めるための制度。つまり「消えた年金問題」などの是正を目指したもので、あくまでも行政と、そこに税や社会保障に関して書類を提出する必要がある事業者だけが利用するためのもの。だが、マイナンバーと一緒に検討が進められてきた「国民ID」のほうは、民間利用までも想定している。 「国民IDは、マイナンバーとは別に国民一人ひとりに番号を発行し、それによって民間のサービスを利用する際に身分証明書として利用できるようにするもの。国民IDが実現したら、かなり大規模な公共事業になるはずで、ヤフーはその受注を狙っているらしい」(政府関係者) ■国民IDとヤフーIDが一致する日もすぐそこ!?  ヤフーと公共事業、一見すると両者は縁遠いようにも思われる。しかし、ヤフーと官僚側の双方に、一致する思惑があるのだ。  官公庁のIT関連システムの受注といえば、これまでは旧電電ファミリーやITゼネコンといわれるNTTグループやNEC、富士通などが多かったが、そうした旧来型の企業と官僚組織との癒着がさまざまな弊害を生んでおり、消えた年金問題の原因の一端はそこにもある。また、例えば日本年金機構が運営する「ねんきんねっと」などを見ればわかる通り、そうしたITゼネコンが構築したインターネット系行政サービスは、総じて「使いづらい」という評価が国民から下されている。 「ITゼネコンが作るシステムは、正直ダサい。だから、ネットに詳しい企業に、使いやすいシステムを作らせたいんですよね。中でもヤフーなら、技術もブランドも十分でしょう」(政府関係者)  一方のヤフー側が狙っているのは、ずばり利益そのもの。いまでもネット企業としては非常に大きな売り上げと高い利益率を誇っているが、その大半は広告関連で得たものだ。四大マスコミからネットへの広告シフトでまだ当面の成長は見込めそうだが、企業が拠出する広告費自体の伸びは頭打ち傾向。そのため、新たな事業機会として、公共分野への進出を狙っているというわけだ。  さらに、ヤフーが狙っているのはそれだけではない。 「単にシステムを受注するだけなら、ヤフーがやる意味はありません。ヤフーが本当に狙っているのは、国民IDとヤフーIDとの連携。いきなり国民IDを使えといわれても、多くのユーザーは怖がって使わないだろうと。そこで、代わりにヤフーIDを使えるようにすればいいというアイデアがあるんです。ヤフーIDならネットユーザーにとってのハードルは低いので、多くのユーザーが利用してくれるはず。そうすればヤフーにより多くの情報が集まり、ビッグデータとして広告事業に活用できるというわけ」(ITジャーナリスト)  ツタヤを擁するカルチュア・コンビニエンス・クラブが展開するTカードの例を見るまでもなく、企業によるネット上での個人情報の収集はこれまでも問題視されてきた経緯があり、ヤフーを含む多くの企業は慎重な姿勢を取ってきた。しかし、先に述べた「公共事業」への進出と、それによるユーザーとデータの獲得を狙っているのが本当ならば、明らかに従来のヤフーとは異なる動き。そしてその動きの裏には、ヤフーの親会社であるソフトバンク社長、孫正義氏の影響があるという。 「昨年の4月、ヤフーは井上雅博氏から宮坂学氏へと社長が交代、副社長には川邊健太郎氏が就きました。宮坂氏は孫社長の後継者育成学校『ソフトバンクアカデミア』の出身であり、またフジテレビの女子アナ・高橋真麻の恋人としても知られる川邊氏は、孫社長の懐刀としても有名な人物。つまりこの2人は、孫社長とは一定の距離を取っていた井上前社長とは正反対なんですよ」(同)  井上前社長の時代は「公共性」を重視していたヤフーは、宮坂・川邊体制へと転換後、「爆速」というネット受けするキーワードを隠れ蓑に、露骨なまでの利益追求体質【2】へと転換しつつある。さらにヤフーはヤフーIDとTポイントの一体化もすでに発表済みだ。ヤフーID、国民ID、Tポイントの3つが一体化するということは、個人のネットでの行動とリアル店舗での購買履歴が、住民票に紐付けられることを意味する。ヤフーIDによる管理社会は、すぐ目の前まで来ているのかもしれない。 (三森黒介) 【1】国民ID制度 国民IDは、マイナンバー制実施後の18年から制度検討の開始が予定されている。マイナンバーとはあくまでも別の番号だが、住民基本台帳に基づいて国が発行し、マイナンバーと共通の情報基盤上で運用されるため、マイナンバーと国民IDは表裏一体の関係にある。具体的なシステムなどはまだ検討中だが、インターネット上で本名が必要なサービスや、18歳以上を対象にしたサービスなどで、名前や年齢などを証明するといった用途が想定されている。 【2】利益追求体質 ヤフー新経営陣の利益追求姿勢は、社内外で見て取ることができる。例えばヤフーが持つ多くのサービスは、売り上げや集客数に応じてABCの3段階にランク付けされるようになっており、Cにランク付けられたサービスは、どれだけ社会的な意義があろうと終了することが決定している。また、ヤフーニュースで提携しているパートナー企業も、従来は「すべて公平に扱う」としていたが、現在ではヤフーにとっての重要度に応じて扱いが異なってきているという。 「サイゾーpremium」では他にもIT企業をぶった斬る記事が満載です!】TSUTAYAのCCCとのキケンな提携で爆速ヤフーがついに衰退する!?「楽天は意外とオススメ」「ヤフーはまるで公務員」 IT賢者が有名企業を採点!ITバブル終焉で、豪遊社長は絶滅寸前……ホープはグリー田中社長!? 夜もイケイケなIT社長名鑑
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秋元康氏に直撃も! サイゾーが報じたAKB48"醜聞史"

【サイゾーpremium】より  AKB48──。もはやここで多くを語る必要もないだろう。言わずと知れた、秋元康氏がプロデュースする国内最強のアイドルグループである。今や彼女たちの人気に便乗するメディアは枚挙にいとまがなく、メンバーや運営サイドのゴシップは黙殺されているのが現状だが、サイゾーでは事あるごとにツッコミを入れてきた。そんなAKBが結成されたのは05年12月、本誌は当時からAKBをウォッチしてきた稀有な(?)メディアである。ここでは200号突破特大号を記念し、サイゾーが報じてきた”AKBの記事”を振り返ってみたい──と、手前ミソな企画ですが(苦笑)、どうぞ最後までお付き合いください。
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サイゾー06年2月号 記念すべきAKB記事の第一弾。当時はペーペーだったアイドルオタクY(今や副編!)の肝いり企画。
 国内のヒットチャートを独占し、メディアを席巻する国民的アイドルグループ・AKB48(以下、AKB)。だが、ほかの多くのアイドルグループがそうだったように、AKBもまたスタート時は地味な存在でしかなかった。  そんなAKBが初めて本誌に登場したのは2005年12月8日に行われた初公演翌月のこと(06年2月号)。月刊誌のタイムラグを考えれば、そのデビュー時からしっかり注目していたともいえるだろう。ただしそのスペースはわずか半ページの小さなカルチャー枠。見出しにAKBの文字もなく、「アキバビジネスに秋元康が参入!!」という打ち出し方である。記事には「会いに行けるアイドル=会いドル」「プレアイドルユニット」といった、今ではすっかり忘れ去られてしまったキーワードもキッチリ紹介している。  早くもリピーターが増え始めていた劇場や、安定した楽曲やパフォーマンスにも言及しているのだが、現在の成功を予言するというよりは、おニャン子クラブを仕掛けた実績のある秋元の”お手並み拝見”といったトーンだ。事実AKBは、劇場公演の定着に力を注ぐ一方、06年2月に『桜の花びらたち』でインディーズデビュー。同年10月にはメジャーデビューシングル『会いたかった』を発売するのだが、世間にとってはまだまだ「アキバ」という流行のキーワードに乗ったごく一部の「現象」でしかなかった。  06年4月号では、秋元康が「かわいいAKBのためならば」と、本誌初インタビューを受けている。20人の初期メンバーが秋元氏を囲んで撮影されたグラビアなどは、 今見るとなかなかに面白い。高橋みなみ、篠田麻里子、小嶋陽菜、峯岸みなみといったメンバーがまだ幼い笑顔を見せており、前田敦子も4列に並んだ中の2列目左端という微妙なポジション取りだ。後にAV女優としてデビューすることになる中西里菜や、いち早くAKBを離れる大島麻衣の顔があるのも味わい深い。  インタビューもメンバー個々に触れた記述は皆無で、質問はもっぱら秋元氏のプロデュースに関するものばかり。それも当然で、まだグループ自体は世間に浸透したとはいえない状況だったにもかかわらず、ドコモのCMを筆頭に、写真集やメディア露出が次々に決定しており、本誌ならずとも「秋元康」「電通」「スポンサー企業」といった”仕掛け”のにおいを感じないわけにはいかないだろう。
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08年8月号 特典をつけて、関連グッズを売りさばく“ぼったくり”が問題化したAKBに本誌もツッコミを入れた。しかし、この手法は今でも総選挙や握手会に際し、用いられている。もはや誰もぼったくりって思わないことも問題か?
 ちなみに秋元氏は「アキバ系オタク文化のオイシイところだけを代理店的な発想でうまく商売に利用したのでは」という本誌”らしい”疑問に対しては、自分がプロデュースすることへの反感といったマイナス面を認めた上で、「何をやっても『狙ってる』って言われるのはわかってるから、『とにかく一度劇場に見にきてください』というしかない」と、うまくかわしている。  この”かわし”は企画段階からも見ることができる。実は同インタビュー、ライブドア事件で検察の手が同社に伸びた矢先、AKBサイドから頂いたご提案。秋元氏といえば、ライブドアの堀江貴文社長(当時)を持ち上げまくり、ストック・オプションまでガッツリ手に入れた張本人。「ライブドア事件の話も聞かせてくれるなら」というこちらの提案を快諾いただいた(つもり?)ことにより紙幅を割いた企画だったが、取材当日、「そんな話は聞いていないし、まったく言うつもりもない」という。結局AKBの宣伝に終始した記事となってしまった。  また、秋元氏はこの1年後にもインタビューを受けているのだが、『これでいいのか! AKB48?仕掛人・秋元康を直撃!!』(07年8月号)というタイトルからもわかるように、本誌の視線は相変わらず、ややナナメ気味。  この年のAKBはカラオケ、かくし芸、ゲーム大会といったファンクラブ・イベントや、「ハイキング」「水泳大会」「手料理大会」といった企画が開催され、ユニットも続々と結成。ユニット『Chocolove from AKB48』は1曲で4種類のバージョンのCDが発売され、特典として「50名様限定 浴衣で温泉宴会」なる企画も話題となった。だが、劇場チケットの争奪戦が加熱するなどコアなヲタ層は着実に増え続けていたものの、まだ世間を巻き込むほどの勢いは持ち得ておらず、その一方では、こうしたイベントの参加券や抽選券のために同じCDを大量に購入するファンが現れ始めていた。
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06年4月号 前田敦子(2列目左端)、篠田麻里子、小嶋陽菜(いずれも上列左から2番目とその右)らのあどけない笑顔が印象的。「やまぐちりこ」の名前でAVデビューした中西里菜(3列目右端)の姿も。
 同インタビューにおいて秋元氏は、本誌の「(AKB劇場の)劇団員の皆さんのギャラはいくらなんでしょう? 月5万円というウワサも聞いたのですが……」「ある意味でキャバクラ嬢にお金をつぎ込むのと似ていませんか?」といった、非常に失礼な質問にも「たぶん(ギャラは)それくらいじゃないでしょうか?」「応援してくださっているファンのみなさんとのコミュニケーションは大切にしていますけど、接客業とは違います」など、丁寧に答えており、財務にはタッチしていないとした上で、「劇場運営は興行収入や物販だけでは、採算は合いません。AKB48というコンテンツが全国区になった時、音楽や映像の権利、マーチャンダイジングのロイヤリティで回収ということになると思います」と、そのAKBビジネスを予見する発言も残している。  そんな07年の末、中川翔子、リア・ディゾンと共に”アキバ枠”なる人気便乗的くくりでNHK紅白歌合戦に初出場を果たしているが、この時期の本誌は、AKBの仕掛けとしての面白さを認めつつも、同時に危うさを孕んだ存在として注目していた……と、いえなくもないだろう。 ■AKB商法が蔓延 愛あるダメ出しを!
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(上)09年5月号(下)10年2月号 ファン目線の記事が目立ったのもこの頃。ちなみに下段にある“ピンチケ”とは高校生以下と女性客のみ2000円(通常は3000円)で閲覧可能なチケットの俗称だとか。(画像クリックで当時の記事に飛べます。
 前年末の紅白出場もあって、AKBは「アキバ枠」を飛び出し、着実に知名度を上げ始めていた。だが同時に噴出し始めたのが、「AKB商法」と呼ばれる一連のビジネスに対する批判だった。特に物議を醸したのが08年2月末に発売されたシングル『桜の花びらたち2008』の販売手法。CDには44種類の特典ポスターがランダムで封入されており、すべてを集めると限定イベントに参加できるというものだが、ファンに金銭的負担を強いるこの”ぼったくり商法”には各所から非難が集中。所属していたデフスターレコーズは独占禁止法に抵触する恐れがあるとして自らイベントの中止を決定した。そんな中、本誌記事『”大人たち”の事情でAKB48商法に陰りが!?』(08年7月号)では騒動にツッコミを入れつつ、これにより当時契約金数千万円ともいわれるドコモのCMが”飛ぶ”可能性がありつつも、秋元氏&電通パワーで抑え込むであろうという豪腕ぶりを報じている。  だが、この騒動の余波から、デフスターレコーズはAKBとの契約を打ち切ってしまう。次のシングルは同グループのメインスポンサーとして知られていたドコモのiモード限定配信となるのだが、ここでも「1ダウンロードで1ポイント、25ポイントで”握手会”」という手法が問題化。もちろん本誌もこれを見逃すわけがなく、『ぼったくり商法再び!? AKB48の着うたビジネス』(08年8月号)では、詳細が決まらないにもかかわらず運営側の暴走で始まった”握手会”の不透明さを浮き彫りにしている。
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10年5月号 本誌に頻繁に登場してくれたSKEだが、そのきっかけがこれらの記事。連載まで始まった二次元同好会の面々の企画は、玄人然としたアニメ批評が局地的な話題に。(画像クリックで当時の記事に飛べます。
 さりとて、編集部にアイドルオタクが多数在籍する本誌も、ただやみくもに批判をしていたわけではない。当時のアイドル業界は新興勢力のAKBを台風の目にした戦国時代の様相を呈しており、多くの他アイドルグループも「握手会」など、ファンサービスの名を借りた特典を設定、同一商品の複数購入を促すビジネスに走っていた。その過剰な商法には批判も出ており、本誌の記事には、もちろんヲタ目線より、ファンが楽しめるシステム作りを提言する意味が込められていたのだ。  このように混沌とした状況は、08年7月号で組んだ『モー娘×AKB×アイドリング アイドル三国志を制するのは誰だ?』という特集からも見て取れる。記事はタイトルを読めばおおよそ見当がつくだろうが、それぞれのグループの魅力を魏、呉、蜀の三国に(無理やり?)なぞらえ、その手法を分析しているが、やはり目立つのはAKBの勢いだ。また、同号では多くのメンバーが所属していた「オフィス48」と、一部メンバーが所属するプロダクション尾木やホリプロといった大手芸能事務所との間に「不協和音」が生じていることも報じているが、これもまたAKBビジネスが現在も抱える影の部分だろう。 そもそも結成当初、AKBはメンバー全員が「オフィス48」の所属となっていた。ところが、単体でのプロモーションには限界があり、運営側は既存の他芸能事務所にメンバーを移籍させることで露出やマネージメントの強化を図ったわけだが、その事務所サイドから、「いくらAKBで興行や広告が決まっても、運営側や秋元氏のマージンがあることから、所属事務所は儲からない」という声が上がり始めていた時期でもある。  後に、同グループのオーディションの合格者はまず運営を統括する「AKS」に所属し、そこから各事務所に移籍するシステムとなっており、かなりの数の芸能事務所がAKB48ビジネスのパートナーとなっている。この年は姉妹ユニット・SKE48も結成され、AKB48グループが拡大路線に舵を切った時期だが、他事務所との連携でメンバーが増えることによって、「ユニットの濫造」「グループ内格差」、さらにはプライベート管理を含めた「スキャンダル」といった問題の土壌が生まれた時期ともいえるだろう。  事実、その後の10年以降は、スキャンダルが次々と浮上した時期でもある。ここで一度筆をおき、メディア関係者らによる昨今のAKB事情、そして次々と報じられたメンバーの醜聞を取り上げた記事『ゴシップが出るのは「文春」のみ? AKB48がタブー化した本当の理由』『「サイゾー」AKB48トップライターが渾身の執筆! メンバーの熱愛は、ヲタにとって本当にタブーなのか?』(10年12月号特集『日本のタブー』より)を振り返りつつ、その後連発したAKB関連の記事を見ていこう。 (文/本誌特別取材班) 文中のAKB関連記事にはコチラ↓からも読むことができます! 『マジに恋してストーカーに!? AKB48"ピンチケ"座談会』 (10年2月号『新しい日本のタブー』より) 『SKE48──キスが、したいんです。』 (10年4月号連載『マルサの女』より) 『SKE48が×××を妄想!? 「二次元同好会」がマンガでから騒ぎ!』 『ゴシップが出るのは「文春」のみ? AKB48がタブー化した本当の理由』 (10年12月号特集『日本のタブー』より) 『「サイゾー」AKB48トップライターが渾身の執筆! メンバーの熱愛は、ヲタにとって本当にタブーなのか?』 (10年12月号特集『日本のタブー』より) 「サイゾーpremium」では他にもAKB特集記事が満載です!】スキャンダル潰しが本格化? 大ブレイク"AKB48のスネの傷"うまく駆け引きをしているのは講談社だけ? AKB48のメディアコントロールの脅威尾木プロ・峯岸みなみとナベプロ・柏木由紀 所属事務所の体制が分けた処分の明暗
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『紅白歌合戦』にザ・コレクターズが苦言を呈す!? 「口パクか生演奏かどっちかにしてくれ!」

【サイゾーpremium】より  今年1月23日、19枚目のアルバム『99匹目のサル』をリリースしたザ・コレクターズ。結成26周年を迎える大御所ながら、ここ1~2年は“ブレイク前夜”と言われ続ける彼らに、その心境と同作への意気込みを聞きに……行ったはずだったが!?
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ザ・コレクターズの2人
(写真/後藤秀二)
加藤ひさし(以下、加藤) うわー! 「サイゾー」、あぶねー雑誌だなー(サイゾー1月号を見ながら)。なんかさあ、この雑誌、俺のFacebookみたいになってるよ。 ――じゃあ、加藤さんのFacebookも十分あぶないじゃないですか(笑)。と、まあ、早速脱線しましたが、、ザ・コレクターズ19枚目となるアルバム、『99匹目のサル』の発売を記念してのインタビューということなんですが、デビュー26周年目にして「ブレイク前夜!」と言われていることについて、どのように捉えられていらっしゃいますか? 加藤 もうさあ、「ブレイク前夜」ってやめてよー。俺たち、ずっとそう言われてるんだよ。 古市コータロー(以下、古市) その長い夜をずっと越せない、みたいになってるよね(苦笑)。 ――とはいえ、お2人のポッドキャスト池袋交差点24時の影響で、ここ数年、その人気が広がっていることは確かですよね。そんな中で、今回のアルバムを制作するに当たって、これまでと意識が変わった部分などはありましたか? 加藤 ないっ! まったくないね。ただ単に、「19枚目のアルバムをしっかり作りました」っていうだけだよ。「もっと売れたい」とか「ブレイクしたい」とか、そういう思いは常に持ってるけど、だからって、今はやりそうな音楽を取り入れようとか、そういう変化はない。 ――確かに、どのアルバムを聞いても、一環した方向性を保っていらっしゃいますよね。 加藤 そりゃそうだよ。君が2歳の頃からやってるからね【編註:インタビュアーは28歳】。君が1歳の頃に、僕とコータローくんは出会ってるわけだから。歴史が違う。 ――おっしゃる通りです。ちなみに、ポットキャストのシーズン1の「P」【編註:「池袋交差点24時」のリスナーのこと】は昔からのファンの方が多かったんじゃないかな、と思いますが、シーズンを重ねるごとに、Pの皆さんの世代も広がりましたか? 加藤 メール読んでると、ほんと幅広いよね。年寄りもいるし、若いのもいる。 古市 そうそう、13歳の子とかいるよね。その子がまた、熱心にメールを書いてくれてるんだよ。 ――その影響で、ライブの客層にも変化はありましたか? 古市 まあ、ライブに関しては、長くやってるからっていうのが一番大きいだろうからね……。 加藤 うーん、ポットキャストを始めたことで劇的に変わった、っていうのはないね。ただ、やっぱり多少は影響してるんだろうなあ、とは思う。最近は、ライブ慣れしてないようなファンが来てくれてたりするから。 ――ポットキャストを聴いて面白かったから、ライブにも思い切って来てみたけど…… 加藤 どうしよー! みたいな人をたまに見かける(笑)。「ああ、なるほど、この人は初めてライブハウスっていうところに来たんだな」ってわかるんだよね。 ――コレクターズといえば、渋谷の「クラブ クアトロ」さんのマンスリーライブのイメージがありますが、あの場所でやり続けていることにも、何かこだわりはあるんですか? 加藤 そりゃあ……なんつったって、サイゾー的に言ったら儲けが一番いいからだよねえ。 古市 もっとサイゾー的に言えば、電通と芸能界のカンケイ(サイゾー1月号「電通と「芸能界の癒着」特集参照)みたいなもんだよねえ。 加藤 そうだねえ、サイゾー的に言えばそうなるよね。だからもう、電通と芸能界の癒着と一緒で、クアトロと我々の間にも、長い付き合いの中で癒着構造みたいなものが出来上がってるわけですよ。 古市 そう。だからスケジュールも取りやすい、パルコのチラシにも出やすい、っていろいろあるわけですよ。 ――(笑)。先ほど、ポッドキャストの影響はあまりないとおっしゃっていましたが、とはいえ、ここ数年は客数も増え続けているんじゃないですか? 加藤 増えてるっちゃあ増えてるけど……コレクターズは1987年にデビューするんだけどね、そのあと89年頃にバンドブームがあって、92年頃には渋谷系ブームがあって、当時はみんながCDを買って、ライブにじゃんじゃん足を運ぶ時代だったわけよ。ちょうどその渋谷系ブームの時に、俺たちの「世界を止めて」っていう曲もヒットして、客数で言ったら、その時のほうが断然多いんだよね。 古市 そりゃそうだよ、(当時のほうが)全然多かったよ。 加藤 ところがやっぱりさ、99年くらいから、だんだんだんだん「CDが売れない」って言われ始めてさ。CDの売り上げも実際に下がってきて、いろんなバンドがいなくなって……だから、もしその頃をスタートラインとして考えるなら、今また上り調子であることは確かだよね。ただ、「じゃあ、今がコレクターズのピークか?」って言われるとそうではなくて、もっとたくさん客を集めてた時代があったんだよ。 ■「おニャン子は皆殺し!」パンクロックで培ったスピリット
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加藤ひさし氏
(写真/後藤秀二)
――今年の1月8日に、怒髪天さんが1年後の武道館ライブを発表しました。「デビュー30周年でついに!」と話題になりましたが、そのニュースを見た時に、今また、みなさんの世代の方々が盛り上げているのかな、という印象を受けたんです。 古市 怒髪天は頑張ってるもんねえ。 加藤 うん、怒髪天は頑張ってるよね。 古市 頑張ってる奴が結果を残してさ……って、まだ武道館ライブは1年後だけど(笑)、でも、そうやって上り調子なのはいいよね。 加藤 嬉しいよね。 ――ちなみに、実は「サイゾー」は創刊して14年目なんですが…… 加藤 えー! そんなやってんの? よくやって来れたよねえ、この内容で。 ――はい、なんとか潰されずにここまで来ました(笑)。しかもこれが、広告が全然入らない媒体でして…… 古市 そりゃあ入んないだろうね、これじゃねぇ(苦笑)。 ――なので、財政的に言うと、正直苦しいんですけど…… 加藤 だってこんな内容じゃあ、霊感商法の広告とかしか打てないもんねぇ。 ――もしくは、アダルト関連のメーカーさんか。で、話を戻しますが…… 古市 あ、サイゾーって、雑誌はこれだけなんですか? ――え? いや、雑誌は「サイゾー」だけなんですが、ほかにも…… 古市 なになに? 不動産でもやってんの? ――いやいやいや(笑)。WEB媒体をいくつかやってます。 加藤 WEBが元気なんだ。じゃあ、もう雑誌のほうは紙の無駄遣いなんじゃないの? ――そんなことないですよ! とはいえ、そんな「サイゾー」も、昨年の4月にリニューアルをしまして、その際に行った読者層リサーチの結果、実は、40~50代の読者の方にかなり支えられてることがわかったんです。これは雑誌に限らずだと思うんですが、例えば、今の音楽業界や映画業界は、この世代の人たちにいろんな意味で支えられているのではないかと思うのですが、実感することはありませんか? 加藤 40~50代っていうのはさ、「パンクな感じ」っていうのを体現している世代なんだよね。俺が高校生の時に「パンクロック」っていうジャンルが日本に入ってきたんだけど、当時、ファッションからロックンロール、アートに映画作りと、とにかく「パンクロック」の“ぶっ壊す感じ”がいろんなカルチャーに影響を与えたと思うよ。だから、その変化を体感した俺ら世代っていうのが一番、サイゾーがやってるようなタブーに切り込むものに対して、刺激的に感じるんじゃないかな。それまでの既存のロックンロールが嫌になって、ぶっ壊すことを求めてきたわけだから。一番理解があるし、一番知りたいし、一番勉強したいんだよね。  若い頃はさ、それまでの既成概念をぶっ壊したくて仕方なかったんだよね。ちょうど、俺がロックンロールに一番熱かった頃におニャン子クラブが出てきてさ、「全員皆殺し」って思ってたもん。 ――おニャン子皆殺しですか(笑)。 加藤 そうだよ。「俺のギターの音色でこいつら全員ブッ潰してやる!」みたいなね。それがパンクだと思ってたよね。でも悲しいかな、今もAKB48がこれだけ盛り上がっていて、当時と結局なんにも変わってないっていう現状があるわけよ。だけど、やっぱりパンクロック世代の俺としては、「お前らモッズも知らないから、そんなヘラヘラしたものしか聴いてられないんだ!」って思うんだよね。 ――そういえば、昨年のレコード大賞の発表の前に、服部克久審査員長が「これが日本の音楽業界の現状です」という発言をして、注目を集めました。実際、AKB48しかCDが売れていないという状況に、嫌悪感など持っていらっしゃるのでしょうか? 加藤 いや、嫌悪感と言うよりは、俺はちょっとSF的に今の音楽業界を見てるんだよね。「あ、未来ってこういうもんなんだな」って思ってる。それはつまり、自分が思ってるほど、未来はよくなっていくものではないってこと。だから逆に、10代の頃は「既成概念をぶっ壊したい」っていう思いがすごく強かったんだけど、今は、自分が思い描いていたものが必ずしもいいものってわけではないんだなって思う。  例えば、キューブリックの『時計じかけのオレンジ』っていう映画。あれは近未来を描いた作品だったけど、そこに描かれた未来は、ぶっ壊れたエレベータに、チンチンの絵がスプレーで描かれている団地の図なわけよ。でも、俺たちにとって未来っていうのは、スターウォーズみたいなハイテクなことが起こる世界なわけじゃない。だけど、ハイテクになっていてほしいって願っていても、結局は、動かない団地のエレベータが未来だった、っていう……。  だからね、「これが日本の音楽業界の現状です」って服部さんが言ったのは、スターウォーズ的な未来を予想していたからじゃないかな。だけど結局は、なにも大きな革命は起きなかった。そういう失望と共に語ったんだと思うけど……俺はある意味、これはキューブリックの未来感であって、AKB48が売れることのほうがナチュラルなことなんじゃないかな、と今は思ってるよ。 ■ダメダメな音楽番組とNHKドラマの素晴らしさ ――これは、ポットキャストでもお話しされていたことですが、『紅白歌合戦』(NHK)って、基本的にカラオケじゃないですか…… 加藤 矢沢(永吉)さんは違ったじゃん。
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古市コータロー氏
(写真/後藤秀二)
――確かにそうなんですが、それ以前に、最近の楽曲って、アイドルブームの影響もあって、リップシンク、つまり口パクが増えていて、そういう曲がテレビでもライブでも普通になってきていると思うんです。そこで加藤さんが、「カラオケで歌わされるなんて死んじゃうよね」とおっしゃっていたのが印象的でした。 加藤 あー、それはちょっと意味が違ってね。カラオケで歌わせるくらいなら、口パクか生演奏かどっちかにしてくれってことなんだよ。ロックのヴォーカリストって、そんな簡単にカラオケで歌うわけにはいかないんだよ。たくさんの人に聴いてもらう場でやっつけのカラオケに適当なバランスで下手くそな歌を歌ったら、マイナスプロモーションでしょ? 「だったらリップシンクで、口パクでやらせてよ」「じゃなくて真剣に俺たちの音楽が聴きたいなら、生演奏でやらせてよ」って意味なの。下手くそなカラオケの番組なんて、紅白以外にもいっぱいあるでしょ? あれならリップシンクのほうがずっといいと思うよ。  イギリスで放送されていた60年代の音楽番組で『READY STEADY GO』っていうのがあったんだけど、あの番組は全部リップシンクだった。すごくいい番組だったと思う。だから俺は、リップシンク自体が悪いとは全然思ってないよ。ただ、中途半端なことはやめてほしいんだよね。音楽番組の人は必ず言うのよ、「生っぽく歌ってくれ」と。「ふざけんな!」って話だよ。生なら生演奏だろ、と。ちゃんと番組作りたいんだったらリップシンクだろ、と。予算がないんだかなんだか知らないけど、それで「うちは生でやってます」みたいな、そこの根性が嫌なんだよ。 ――なるほど。そう考えると、先日話題になった、ビヨンセの口パク騒動もプロだからこそ、ということですよね。そんな中で、最近、「わかってるな」「面白いことやってるな」と思った音楽番組とかってありました? 古市 いやー、テレビを観ないからなー。 加藤 そうなのよねー。やっぱ去年末の『紅白』の五木ひろしさんかなー。エレキギターを持って「夜明けのブルース」を歌うんだもんなー。 古市 そうそう、今回の五木ひろしさんの演出って、1年前から構想があったらしいよ。 加藤 え? あの“エリック・クラプトン化”の構想? 古市 「日刊ゲンダイ」(日刊現代)にそういう見出しで記事が出てたよ。 加藤 1年もかけてたんじゃあ、俺たちも軽々しく言えないな。あ、じゃあ、“あのギターストラップ”も1年前から考えてたわけでしょ? 「NUKE IS OVER」【編注:「原子力は終わったんだぜ」的な意味】。 ――斉藤和義さんの「NUKE IS OVER」は確かに気になりましたよね。お2人は毎年、『紅白』は観られてるんですか? 加藤 コータローくんは観てるよ。 古市 観てるっていうか、(テレビを)付けてるよね。関係ない時は観てないもん。 加藤 え? どういう時が関係ないの? 古市 えー、例えば最近の人は興味ないわけよ。ももいろクローバーZとか、きゃりーなんとかとかさ。対して、五木さんとかサブちゃん(北島三郎)とかが出てきたところで、椅子を移動させて前のめりに観るわけよ。 加藤 サブちゃん、今年風つえーなーみたいな?(笑) 古市 まあ、裏番組も観る気がしないしね。 加藤 そうだよね、裏がひどいよ、裏が。 古市 てゆーか、テレビがひどいよね。全部おもしろくない。 加藤 テレビは最悪だね。サイテーだ。バカになるよ。あんなもん観てたら。 ――と、言いつつ、コータローさんはNHKドラマはチェックされるんですよね? 古市 いや、NHKはいいですよ。NHKはいい番組作りますよ(笑)。 加藤 俺、『梅ちゃん先生』(NHK)見逃したんだよなー。だってさ、主人公の梅ちゃんが男だと思ってたんだもん。金八先生みたいなノリのタイトルだから、教師モノだと思ってたし。 古市 いやいや、先生にもいろんな先生がいるんだよ。あ、でも、BSでも観られるから、それで観たらいいじゃん。 加藤 えー、俺はさ、SNSとかで、みんなとリアルタイムで盛り上がりたかったわけよ。 古市 大丈夫、BS放送の時もしっかり盛り上がるから。 ――NHKドラマといえば、サイゾーの2月号では、大河ドラマ特集っていうのもやっておりまして…… 古市 僕は大河ドラマはダメなんだよね。興味ないの。 加藤 面白くないよねえ。 古市 昔の『天と地と』(NHK)とか観て育ってるとさ、今出てるタレントたちはどんだけギャラもらってんだよ、とか、そんなんばっかり気になっちゃうんだもん。 加藤 あとヅラとの境目とかね。ハイビジョンになったから、すげーよく見えちゃうんだよね。観てらんねーよ、ヅラとの境目がさ。 古市 確かに、見てほしいよね、70年代の勝海舟を。 加藤 ヅラどうにかしようよ、ヅラ! ――やはり小倉●昭さんのヅラとは、ちょっと意味が違いますもんね。 加藤 こらこら、その辺のヅラと一緒にするな。隠してるヅラと役者のヅラは違うでしょうが! ――すいません(笑)。 ザ・コレクターズのアツいインタビューはまだまだ続く! 【後編】はコチラから! コレクターズ『99匹目のサル』発売記念インタビュー(後編) 『音楽業界最大のタブー「印税のJASRAC一社独占管理体制」と“YAZAWA”の偉大さとは?』 ザ・コレクターズ 1986年にデビューした、ブリティッシュ・ロック系バンド。91年からは、現在のレーベル、日本コロムビアで活動を開始。その際、初期メンバーであったドラムのリンゴ田巻、ベースのチョーキーとしはるに代わり、ベースとして小里誠が、ドラムとして阿部耕作が参加した。現在は、全国ツアーも開催中!(下記参照) 加藤ひさし 1960年、埼玉県生まれ。ザ・コレクターズのリーダーであり、ボーカル担当。 矢沢永吉の作詞をはじめ、小泉今日子や沢田研二に楽曲を提供するなど、作詞・作曲家としても活躍している。著書に、『アメイジング・ストリート』(ソニーマガジンズ)、『池袋交差点24時』(P-Vine BOOKs)。 古市コータロー 1964年、東京都生まれ。ザ・コレクターズのギター担当。リッケンバッカーのコレクターとしても知られている。また、愛するビザールギターを聞かせるべく、古市を中心とした「Kotaro and The Bizarre Men」としても活動を行っており、12年には1stアルバム『エレキの若旦那』をリリース(加藤も参加)。 99匹目のサル 今年1月23日発売された、ザ・コレクターズ19枚目のアルバム。シングル曲「誰にも負けない愛の歌」「未来地図」を含む12曲入りで、初回限定盤には6本のPVを収めたDVDが付属されている。2月10日からスタートした全国ツアーも要チェック!
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【THE COLLECTORS「99匹目のサル」収録曲】 01. 喜びの惑星 02. 未来地図 03. プロポーズソング 04. 99匹目のサル 05. 誰にも負けない愛の歌 06. オスカーは誰だ! 07. ドーナツソング 08. ごめんよリサ 09. 残像恋人 10. 雨と虹 11. 電気を作ろう! 12. COME ON LET'S GO! <初回限定盤DVD> 01. プロポーズソング(MUSIC VIDEO) 02. 99匹目のサル(MUSIC VIDEO) 03. COME ON LET'S GO!(MUSIC VIDEO) 04. オスカーは誰だ!(MUSIC VIDEO) 05. 未来地図(MUSIC VIDEO) 06. 誰にも負けない愛の歌(MUSIC VIDEO) 【ライブ情報】 THE COLLECTORS TOUR 2013 「MOD TONE」 2013年3月30日(土)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2 2013年3月31日(日)埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1 2013年4月6日(土)沖縄県 桜坂セントラル 2013年4月13日(土)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO 2013年4月14日(日)大阪府 大阪BIG CAT 2013年4月20日(土)東京都 新木場STUDIO COAST 詳しくは、THE COLLECTORS OFFICIAL WEB SITEへ! 「サイゾーpremium」では他にも話題のミュージシャンへのインタビューが満載です!】【LIL KOHH】「大人になりたくないな」過酷な家庭で育った12歳のラッパーが思い描く夢【後藤まりこ】ダウナー系パンク娘が、恨みを綴った「恨み帳」を閉じて、イメチェン?【下山】「坂本●一は売名行為」大物先輩にも上等かます下山は本気で狂ってる?
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『紅白歌合戦』にザ・コレクターズが苦言を呈す!? 「口パクか生演奏かどっちかにしてくれ!」

【サイゾーpremium】より  今年1月23日、19枚目のアルバム『99匹目のサル』をリリースしたザ・コレクターズ。結成26周年を迎える大御所ながら、ここ1~2年は“ブレイク前夜”と言われ続ける彼らに、その心境と同作への意気込みを聞きに……行ったはずだったが!?
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ザ・コレクターズの2人
(写真/後藤秀二)
加藤ひさし(以下、加藤) うわー! 「サイゾー」、あぶねー雑誌だなー(サイゾー1月号を見ながら)。なんかさあ、この雑誌、俺のFacebookみたいになってるよ。 ――じゃあ、加藤さんのFacebookも十分あぶないじゃないですか(笑)。と、まあ、早速脱線しましたが、、ザ・コレクターズ19枚目となるアルバム、『99匹目のサル』の発売を記念してのインタビューということなんですが、デビュー26周年目にして「ブレイク前夜!」と言われていることについて、どのように捉えられていらっしゃいますか? 加藤 もうさあ、「ブレイク前夜」ってやめてよー。俺たち、ずっとそう言われてるんだよ。 古市コータロー(以下、古市) その長い夜をずっと越せない、みたいになってるよね(苦笑)。 ――とはいえ、お2人のポッドキャスト池袋交差点24時の影響で、ここ数年、その人気が広がっていることは確かですよね。そんな中で、今回のアルバムを制作するに当たって、これまでと意識が変わった部分などはありましたか? 加藤 ないっ! まったくないね。ただ単に、「19枚目のアルバムをしっかり作りました」っていうだけだよ。「もっと売れたい」とか「ブレイクしたい」とか、そういう思いは常に持ってるけど、だからって、今はやりそうな音楽を取り入れようとか、そういう変化はない。 ――確かに、どのアルバムを聞いても、一環した方向性を保っていらっしゃいますよね。 加藤 そりゃそうだよ。君が2歳の頃からやってるからね【編註:インタビュアーは28歳】。君が1歳の頃に、僕とコータローくんは出会ってるわけだから。歴史が違う。 ――おっしゃる通りです。ちなみに、ポットキャストのシーズン1の「P」【編註:「池袋交差点24時」のリスナーのこと】は昔からのファンの方が多かったんじゃないかな、と思いますが、シーズンを重ねるごとに、Pの皆さんの世代も広がりましたか? 加藤 メール読んでると、ほんと幅広いよね。年寄りもいるし、若いのもいる。 古市 そうそう、13歳の子とかいるよね。その子がまた、熱心にメールを書いてくれてるんだよ。 ――その影響で、ライブの客層にも変化はありましたか? 古市 まあ、ライブに関しては、長くやってるからっていうのが一番大きいだろうからね……。 加藤 うーん、ポットキャストを始めたことで劇的に変わった、っていうのはないね。ただ、やっぱり多少は影響してるんだろうなあ、とは思う。最近は、ライブ慣れしてないようなファンが来てくれてたりするから。 ――ポットキャストを聴いて面白かったから、ライブにも思い切って来てみたけど…… 加藤 どうしよー! みたいな人をたまに見かける(笑)。「ああ、なるほど、この人は初めてライブハウスっていうところに来たんだな」ってわかるんだよね。 ――コレクターズといえば、渋谷の「クラブ クアトロ」さんのマンスリーライブのイメージがありますが、あの場所でやり続けていることにも、何かこだわりはあるんですか? 加藤 そりゃあ……なんつったって、サイゾー的に言ったら儲けが一番いいからだよねえ。 古市 もっとサイゾー的に言えば、電通と芸能界のカンケイ(サイゾー1月号「電通と「芸能界の癒着」特集参照)みたいなもんだよねえ。 加藤 そうだねえ、サイゾー的に言えばそうなるよね。だからもう、電通と芸能界の癒着と一緒で、クアトロと我々の間にも、長い付き合いの中で癒着構造みたいなものが出来上がってるわけですよ。 古市 そう。だからスケジュールも取りやすい、パルコのチラシにも出やすい、っていろいろあるわけですよ。 ――(笑)。先ほど、ポッドキャストの影響はあまりないとおっしゃっていましたが、とはいえ、ここ数年は客数も増え続けているんじゃないですか? 加藤 増えてるっちゃあ増えてるけど……コレクターズは1987年にデビューするんだけどね、そのあと89年頃にバンドブームがあって、92年頃には渋谷系ブームがあって、当時はみんながCDを買って、ライブにじゃんじゃん足を運ぶ時代だったわけよ。ちょうどその渋谷系ブームの時に、俺たちの「世界を止めて」っていう曲もヒットして、客数で言ったら、その時のほうが断然多いんだよね。 古市 そりゃそうだよ、(当時のほうが)全然多かったよ。 加藤 ところがやっぱりさ、99年くらいから、だんだんだんだん「CDが売れない」って言われ始めてさ。CDの売り上げも実際に下がってきて、いろんなバンドがいなくなって……だから、もしその頃をスタートラインとして考えるなら、今また上り調子であることは確かだよね。ただ、「じゃあ、今がコレクターズのピークか?」って言われるとそうではなくて、もっとたくさん客を集めてた時代があったんだよ。 ■「おニャン子は皆殺し!」パンクロックで培ったスピリット
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加藤ひさし氏
(写真/後藤秀二)
――今年の1月8日に、怒髪天さんが1年後の武道館ライブを発表しました。「デビュー30周年でついに!」と話題になりましたが、そのニュースを見た時に、今また、みなさんの世代の方々が盛り上げているのかな、という印象を受けたんです。 古市 怒髪天は頑張ってるもんねえ。 加藤 うん、怒髪天は頑張ってるよね。 古市 頑張ってる奴が結果を残してさ……って、まだ武道館ライブは1年後だけど(笑)、でも、そうやって上り調子なのはいいよね。 加藤 嬉しいよね。 ――ちなみに、実は「サイゾー」は創刊して14年目なんですが…… 加藤 えー! そんなやってんの? よくやって来れたよねえ、この内容で。 ――はい、なんとか潰されずにここまで来ました(笑)。しかもこれが、広告が全然入らない媒体でして…… 古市 そりゃあ入んないだろうね、これじゃねぇ(苦笑)。 ――なので、財政的に言うと、正直苦しいんですけど…… 加藤 だってこんな内容じゃあ、霊感商法の広告とかしか打てないもんねぇ。 ――もしくは、アダルト関連のメーカーさんか。で、話を戻しますが…… 古市 あ、サイゾーって、雑誌はこれだけなんですか? ――え? いや、雑誌は「サイゾー」だけなんですが、ほかにも…… 古市 なになに? 不動産でもやってんの? ――いやいやいや(笑)。WEB媒体をいくつかやってます。 加藤 WEBが元気なんだ。じゃあ、もう雑誌のほうは紙の無駄遣いなんじゃないの? ――そんなことないですよ! とはいえ、そんな「サイゾー」も、昨年の4月にリニューアルをしまして、その際に行った読者層リサーチの結果、実は、40~50代の読者の方にかなり支えられてることがわかったんです。これは雑誌に限らずだと思うんですが、例えば、今の音楽業界や映画業界は、この世代の人たちにいろんな意味で支えられているのではないかと思うのですが、実感することはありませんか? 加藤 40~50代っていうのはさ、「パンクな感じ」っていうのを体現している世代なんだよね。俺が高校生の時に「パンクロック」っていうジャンルが日本に入ってきたんだけど、当時、ファッションからロックンロール、アートに映画作りと、とにかく「パンクロック」の“ぶっ壊す感じ”がいろんなカルチャーに影響を与えたと思うよ。だから、その変化を体感した俺ら世代っていうのが一番、サイゾーがやってるようなタブーに切り込むものに対して、刺激的に感じるんじゃないかな。それまでの既存のロックンロールが嫌になって、ぶっ壊すことを求めてきたわけだから。一番理解があるし、一番知りたいし、一番勉強したいんだよね。  若い頃はさ、それまでの既成概念をぶっ壊したくて仕方なかったんだよね。ちょうど、俺がロックンロールに一番熱かった頃におニャン子クラブが出てきてさ、「全員皆殺し」って思ってたもん。 ――おニャン子皆殺しですか(笑)。 加藤 そうだよ。「俺のギターの音色でこいつら全員ブッ潰してやる!」みたいなね。それがパンクだと思ってたよね。でも悲しいかな、今もAKB48がこれだけ盛り上がっていて、当時と結局なんにも変わってないっていう現状があるわけよ。だけど、やっぱりパンクロック世代の俺としては、「お前らモッズも知らないから、そんなヘラヘラしたものしか聴いてられないんだ!」って思うんだよね。 ――そういえば、昨年のレコード大賞の発表の前に、服部克久審査員長が「これが日本の音楽業界の現状です」という発言をして、注目を集めました。実際、AKB48しかCDが売れていないという状況に、嫌悪感など持っていらっしゃるのでしょうか? 加藤 いや、嫌悪感と言うよりは、俺はちょっとSF的に今の音楽業界を見てるんだよね。「あ、未来ってこういうもんなんだな」って思ってる。それはつまり、自分が思ってるほど、未来はよくなっていくものではないってこと。だから逆に、10代の頃は「既成概念をぶっ壊したい」っていう思いがすごく強かったんだけど、今は、自分が思い描いていたものが必ずしもいいものってわけではないんだなって思う。  例えば、キューブリックの『時計じかけのオレンジ』っていう映画。あれは近未来を描いた作品だったけど、そこに描かれた未来は、ぶっ壊れたエレベータに、チンチンの絵がスプレーで描かれている団地の図なわけよ。でも、俺たちにとって未来っていうのは、スターウォーズみたいなハイテクなことが起こる世界なわけじゃない。だけど、ハイテクになっていてほしいって願っていても、結局は、動かない団地のエレベータが未来だった、っていう……。  だからね、「これが日本の音楽業界の現状です」って服部さんが言ったのは、スターウォーズ的な未来を予想していたからじゃないかな。だけど結局は、なにも大きな革命は起きなかった。そういう失望と共に語ったんだと思うけど……俺はある意味、これはキューブリックの未来感であって、AKB48が売れることのほうがナチュラルなことなんじゃないかな、と今は思ってるよ。 ■ダメダメな音楽番組とNHKドラマの素晴らしさ ――これは、ポットキャストでもお話しされていたことですが、『紅白歌合戦』(NHK)って、基本的にカラオケじゃないですか…… 加藤 矢沢(永吉)さんは違ったじゃん。
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古市コータロー氏
(写真/後藤秀二)
――確かにそうなんですが、それ以前に、最近の楽曲って、アイドルブームの影響もあって、リップシンク、つまり口パクが増えていて、そういう曲がテレビでもライブでも普通になってきていると思うんです。そこで加藤さんが、「カラオケで歌わされるなんて死んじゃうよね」とおっしゃっていたのが印象的でした。 加藤 あー、それはちょっと意味が違ってね。カラオケで歌わせるくらいなら、口パクか生演奏かどっちかにしてくれってことなんだよ。ロックのヴォーカリストって、そんな簡単にカラオケで歌うわけにはいかないんだよ。たくさんの人に聴いてもらう場でやっつけのカラオケに適当なバランスで下手くそな歌を歌ったら、マイナスプロモーションでしょ? 「だったらリップシンクで、口パクでやらせてよ」「じゃなくて真剣に俺たちの音楽が聴きたいなら、生演奏でやらせてよ」って意味なの。下手くそなカラオケの番組なんて、紅白以外にもいっぱいあるでしょ? あれならリップシンクのほうがずっといいと思うよ。  イギリスで放送されていた60年代の音楽番組で『READY STEADY GO』っていうのがあったんだけど、あの番組は全部リップシンクだった。すごくいい番組だったと思う。だから俺は、リップシンク自体が悪いとは全然思ってないよ。ただ、中途半端なことはやめてほしいんだよね。音楽番組の人は必ず言うのよ、「生っぽく歌ってくれ」と。「ふざけんな!」って話だよ。生なら生演奏だろ、と。ちゃんと番組作りたいんだったらリップシンクだろ、と。予算がないんだかなんだか知らないけど、それで「うちは生でやってます」みたいな、そこの根性が嫌なんだよ。 ――なるほど。そう考えると、先日話題になった、ビヨンセの口パク騒動もプロだからこそ、ということですよね。そんな中で、最近、「わかってるな」「面白いことやってるな」と思った音楽番組とかってありました? 古市 いやー、テレビを観ないからなー。 加藤 そうなのよねー。やっぱ去年末の『紅白』の五木ひろしさんかなー。エレキギターを持って「夜明けのブルース」を歌うんだもんなー。 古市 そうそう、今回の五木ひろしさんの演出って、1年前から構想があったらしいよ。 加藤 え? あの“エリック・クラプトン化”の構想? 古市 「日刊ゲンダイ」(日刊現代)にそういう見出しで記事が出てたよ。 加藤 1年もかけてたんじゃあ、俺たちも軽々しく言えないな。あ、じゃあ、“あのギターストラップ”も1年前から考えてたわけでしょ? 「NUKE IS OVER」【編注:「原子力は終わったんだぜ」的な意味】。 ――斉藤和義さんの「NUKE IS OVER」は確かに気になりましたよね。お2人は毎年、『紅白』は観られてるんですか? 加藤 コータローくんは観てるよ。 古市 観てるっていうか、(テレビを)付けてるよね。関係ない時は観てないもん。 加藤 え? どういう時が関係ないの? 古市 えー、例えば最近の人は興味ないわけよ。ももいろクローバーZとか、きゃりーなんとかとかさ。対して、五木さんとかサブちゃん(北島三郎)とかが出てきたところで、椅子を移動させて前のめりに観るわけよ。 加藤 サブちゃん、今年風つえーなーみたいな?(笑) 古市 まあ、裏番組も観る気がしないしね。 加藤 そうだよね、裏がひどいよ、裏が。 古市 てゆーか、テレビがひどいよね。全部おもしろくない。 加藤 テレビは最悪だね。サイテーだ。バカになるよ。あんなもん観てたら。 ――と、言いつつ、コータローさんはNHKドラマはチェックされるんですよね? 古市 いや、NHKはいいですよ。NHKはいい番組作りますよ(笑)。 加藤 俺、『梅ちゃん先生』(NHK)見逃したんだよなー。だってさ、主人公の梅ちゃんが男だと思ってたんだもん。金八先生みたいなノリのタイトルだから、教師モノだと思ってたし。 古市 いやいや、先生にもいろんな先生がいるんだよ。あ、でも、BSでも観られるから、それで観たらいいじゃん。 加藤 えー、俺はさ、SNSとかで、みんなとリアルタイムで盛り上がりたかったわけよ。 古市 大丈夫、BS放送の時もしっかり盛り上がるから。 ――NHKドラマといえば、サイゾーの2月号では、大河ドラマ特集っていうのもやっておりまして…… 古市 僕は大河ドラマはダメなんだよね。興味ないの。 加藤 面白くないよねえ。 古市 昔の『天と地と』(NHK)とか観て育ってるとさ、今出てるタレントたちはどんだけギャラもらってんだよ、とか、そんなんばっかり気になっちゃうんだもん。 加藤 あとヅラとの境目とかね。ハイビジョンになったから、すげーよく見えちゃうんだよね。観てらんねーよ、ヅラとの境目がさ。 古市 確かに、見てほしいよね、70年代の勝海舟を。 加藤 ヅラどうにかしようよ、ヅラ! ――やはり小倉●昭さんのヅラとは、ちょっと意味が違いますもんね。 加藤 こらこら、その辺のヅラと一緒にするな。隠してるヅラと役者のヅラは違うでしょうが! ――すいません(笑)。 ザ・コレクターズのアツいインタビューはまだまだ続く! 【後編】はコチラから! コレクターズ『99匹目のサル』発売記念インタビュー(後編) 『音楽業界最大のタブー「印税のJASRAC一社独占管理体制」と“YAZAWA”の偉大さとは?』 ザ・コレクターズ 1986年にデビューした、ブリティッシュ・ロック系バンド。91年からは、現在のレーベル、日本コロムビアで活動を開始。その際、初期メンバーであったドラムのリンゴ田巻、ベースのチョーキーとしはるに代わり、ベースとして小里誠が、ドラムとして阿部耕作が参加した。現在は、全国ツアーも開催中!(下記参照) 加藤ひさし 1960年、埼玉県生まれ。ザ・コレクターズのリーダーであり、ボーカル担当。 矢沢永吉の作詞をはじめ、小泉今日子や沢田研二に楽曲を提供するなど、作詞・作曲家としても活躍している。著書に、『アメイジング・ストリート』(ソニーマガジンズ)、『池袋交差点24時』(P-Vine BOOKs)。 古市コータロー 1964年、東京都生まれ。ザ・コレクターズのギター担当。リッケンバッカーのコレクターとしても知られている。また、愛するビザールギターを聞かせるべく、古市を中心とした「Kotaro and The Bizarre Men」としても活動を行っており、12年には1stアルバム『エレキの若旦那』をリリース(加藤も参加)。 99匹目のサル 今年1月23日発売された、ザ・コレクターズ19枚目のアルバム。シングル曲「誰にも負けない愛の歌」「未来地図」を含む12曲入りで、初回限定盤には6本のPVを収めたDVDが付属されている。2月10日からスタートした全国ツアーも要チェック!
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【THE COLLECTORS「99匹目のサル」収録曲】 01. 喜びの惑星 02. 未来地図 03. プロポーズソング 04. 99匹目のサル 05. 誰にも負けない愛の歌 06. オスカーは誰だ! 07. ドーナツソング 08. ごめんよリサ 09. 残像恋人 10. 雨と虹 11. 電気を作ろう! 12. COME ON LET'S GO! <初回限定盤DVD> 01. プロポーズソング(MUSIC VIDEO) 02. 99匹目のサル(MUSIC VIDEO) 03. COME ON LET'S GO!(MUSIC VIDEO) 04. オスカーは誰だ!(MUSIC VIDEO) 05. 未来地図(MUSIC VIDEO) 06. 誰にも負けない愛の歌(MUSIC VIDEO) 【ライブ情報】 THE COLLECTORS TOUR 2013 「MOD TONE」 2013年3月30日(土)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2 2013年3月31日(日)埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1 2013年4月6日(土)沖縄県 桜坂セントラル 2013年4月13日(土)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO 2013年4月14日(日)大阪府 大阪BIG CAT 2013年4月20日(土)東京都 新木場STUDIO COAST 詳しくは、THE COLLECTORS OFFICIAL WEB SITEへ! 「サイゾーpremium」では他にも話題のミュージシャンへのインタビューが満載です!】【LIL KOHH】「大人になりたくないな」過酷な家庭で育った12歳のラッパーが思い描く夢【後藤まりこ】ダウナー系パンク娘が、恨みを綴った「恨み帳」を閉じて、イメチェン?【下山】「坂本●一は売名行為」大物先輩にも上等かます下山は本気で狂ってる?
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ラブストーリーってホント? 緘口令で情報管理!? 村上春樹新刊の"中身"

【サイゾーpremium】より
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こちらが話題の新作タイトル『色彩を持たない 多崎つくると、 彼の巡礼の年』。発売日も4月12日に決定してさらに期待が高まる。
 2月16日、あの村上春樹氏の新刊が発売されることが、文藝春秋より発表された。小説なのか? 初版はいきなり数十万部なのか? ノーベル賞級大作家の新刊とあって、色めき立つ出版業界に書店業界。そんな“ハルキ狂騒曲”の向こうに垣間見える、新刊の本当の“中身”とはいったい──?  この出版不況の中、ノーベル賞候補としても名前が挙がり、代表作『ノルウェイの森』(講談社)が単行本・文庫本を含めて累計1000万部超えを記録するなど、過去に類を見ないヒットを飛ばし続けている村上春樹。純文学、長編、上下巻(複数巻)という出版界のタブー(=売れない要素)を軽々と打ち破っている稀有な作家といえる。  その村上氏の新刊が文藝春秋から4月に出版されると告知されたのは、2月16日。その後、2月28日には、村上氏のメッセージが発表され、長編小説であることが明らかになった。だが、それ以外の情報については、3月4日現在まったく明らかになっていない。いったいどんな小説なのか?  文春社員数名に当たったが、かん口令が敷かれているのか、本当に社員にも詳細が明かされていないのか、みなノーコメント。  新刊情報の発信元である文春宣伝プロモーション局に問い合わせたところ、「貴誌発売の3月18日までには、あらためて具体的な情報を出せる予定です」とのみ回答があった。情報が厳しく制限されているようである。  それならばと書店関係者に取材を試みるも、公になっている情報以外、タイトルも価格も何も知らされていないという。 「第一報が出たときは、文春の営業さんすら何も知らなかったそうです。関係者から発売日は4月後半になるという噂は聞きましたが、それ以外は何も知りません。詳細を知っているのは、文春社長と担当編集者しかいないんじゃないでしょうか」(大手書店員)  このように、発売日まで情報を制限する売り出し方は、2009年5月29日に新潮社から発売された『1Q84』(BOOK1、BOOK2)の手法を踏襲しているともいえる。当時新潮社は、タイトル、価格、全2巻といった情報を告知したのみで、詳細は発売まで一切明かさなかった。 「情報を制限することで希少性を煽り、消費者に飢餓感を与えることで『欲しい』と思わせる”ハングリーマーケット”を生み出すつもりだったんでしょう」と、ある出版関係者は語る。  その手法が功を奏し、同書は注文が殺到。初版は『BOOK1』が20万部、『BOOK2』が18万部だったが、発売前に重版が決定。6月2日には『BOOK1』『BOOK2』で合計85万部を記録。想像を超える売り上げに、納品が間に合わず、品切れ店が続出するという事態に陥った。さらに発売から約1カ月後の7月1日には『BOOK1』が、7月23日には『BOOK2』が見事ミリオンを達成したのである。  10年4月16日に発売した『BOOK3』は、初版50万部で発売。初版を大幅に増やしたのは、機会ロスを防ぐためだという。『BOOK3』も発売前に重版が決定し、約10日後の4月27日には早くも100万部を達成した。  ハングリーマーケットを作るこうした手法について一部では「戦略的」などと揶揄されもしたが、村上氏は『考える人』(新潮社)に掲載されたロングインタビューでそれを否定。この手法を採ったのは、長編小説『海辺のカフカ』(02年、新潮社)の発売前は、出版後すぐに書評が出るようプルーフ(見本用の仮とじ本)をメディア関係者に配ったが、みなが足並みを揃えるためか、結局書評が出たのは他作品と同じように発売1カ月後だったことが理由だという。 「結局、プルーフを先につくってもなんの意味もないんだとわかった。だから、『1Q84』のときはとくに何もせず、ただシンプルにそのまますっと本を出しました。秘密主義もなにも、ほかの本と同じように普通に出しただけです」 「事前に内容を明かさなかったというのも、僕の決めたことではないけれど、そもそも考えてみれば、事前にそんなもの発表する必要なんかどこにもないわけで、それを戦略だとかなんだとか言われるのは腑に落ちないですよね。それくらいのことで本が売れるのなら、みんなとっくにそうやっています」(いずれも「考える人」10年夏号より)  また新潮社側は、読者から「事前に内容を知らせないでほしい」と要望があったためともしている。  しかし、似た手法をそのまま繰り返している文春の場合、”戦略”だといわれても致し方あるまい。事実、効果てきめん、各書店では早くも色めき立っているようだ。 「今度は、品切れとなった『BOOK1』の轍を踏まないようにします。当店では『BOOK3』だけで1000冊以上売れましたか ら、新刊は少なくとも初日に600~700冊は欲しいですね。いまどきこんなに仕入れるのは、村上氏の小説以外にありません。ほかの作家さんはみな、その10分の1以下ですよ。すでに予約受付中のポップも作りました。残念ながら、まだ予約は入っていませんが……でも絶対に売れるので大丈夫」(大手書店員)  有名な作家でも初版1万部に満たないことはザラの昨今。12年に最もヒットした文芸書は、三浦しをんの『舟を編む』(光文社、本屋大賞受賞作)で、約58万部。この数字もじゅうぶん素晴らしいが、それでも村上氏の作品に比べれば桁が違う。書店側がその新刊に多大な期待を寄せてしまうのも当然だろう。だが、あまりの過熱ぶりに一部では不安の声もある。 「4月9日に発表される本屋大賞と時期がかぶることが心配です。『1Q84』のときは"ハルキ一色"になってしまい、3日前に発売された桐野夏生さんの『IN』(集英社)がかすんでしまって関係者は怒っていたようです。今回も、本屋大賞受賞作が村上氏の新刊のせいで割を食わなければいいのですが……」(中規模書店員) 「中小の出版社は困りますね。数十万部の書籍を全国一斉に発売するため、流通が村上氏の新刊でパンクしてしまい、ほかの新刊の配本作業がストップする可能性が高いんです。『ハリー・ポッター』シリーズや『1Q84』発売時も、他社の新刊が後回しにされることがありました」(取次会社社員)  さらに書店には別の煩わしさも。 「大量の部数を刷りますから、なるべく返品率を下げるため、定価のうち書店の取り分をアップする代わりに返品の際に書店に相応の負担を求める”責任販売制”を文春が採る可能性もあります。この制度は、小学館の図鑑など大手出版社の高額商品では以前からよく採用されており、齋藤智裕(水嶋ヒロ)の『KAGEROU』(ポプラ社)でも採用され注目を集めました」(取次会社社員) “ハルキの新刊発売”というお祭り、ただ騒いでばかりはいられないのである。  11年のカタルーニャ国際賞でのスピーチでは原発問題に触れ、尖閣諸島、竹島紛争問題では「魂が行き来する道筋を塞いでしまってはならない」という文章を朝日新聞に寄稿するなど、要所要所で社会的な発言もある村上氏。「ノーベル賞狙い」などと皮肉を言う者もいるが、ミリオンを狙うなら、社会的かつ寓話的だった小説『海辺のカフカ』(新潮社/上下巻合わせて約73万部)よりも、『ノルウェイの森』や『1Q84』のようなラブストーリー系の作品のほうが間口が広くウケがいい気も。 「新刊に関する村上氏のコメントに、『短い小説を書こうと思って書き出したのだけど、書いているうちに自然に長いものになっていきました。僕の場合そういうことってあまりなくて、そういえば『ノルウェイの森』以来かな』とありましたから、ラブストーリーであることを願っています(笑)」(大手書店員)  狙うはノーベル賞か、ミリオンか。発売日が待たれる。 (文/安楽由紀子) 「サイゾーpremium」では他にも村上春樹特集記事が満載です!】嫌いだからこそわかる「村上春樹」の正しい読み方【1】有名編集者への憎悪、怒り、怨念......原稿流出騒動から垣間見える「春樹の暗部」文芸評論家、渡部直己と小谷野敦に直撃! 「私が村上春樹を嫌うワケ」
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ラブストーリーってホント? 緘口令で情報管理!? 村上春樹新刊の"中身"

【サイゾーpremium】より
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こちらが話題の新作タイトル『色彩を持たない 多崎つくると、 彼の巡礼の年』。発売日も4月12日に決定してさらに期待が高まる。
 2月16日、あの村上春樹氏の新刊が発売されることが、文藝春秋より発表された。小説なのか? 初版はいきなり数十万部なのか? ノーベル賞級大作家の新刊とあって、色めき立つ出版業界に書店業界。そんな“ハルキ狂騒曲”の向こうに垣間見える、新刊の本当の“中身”とはいったい──?  この出版不況の中、ノーベル賞候補としても名前が挙がり、代表作『ノルウェイの森』(講談社)が単行本・文庫本を含めて累計1000万部超えを記録するなど、過去に類を見ないヒットを飛ばし続けている村上春樹。純文学、長編、上下巻(複数巻)という出版界のタブー(=売れない要素)を軽々と打ち破っている稀有な作家といえる。  その村上氏の新刊が文藝春秋から4月に出版されると告知されたのは、2月16日。その後、2月28日には、村上氏のメッセージが発表され、長編小説であることが明らかになった。だが、それ以外の情報については、3月4日現在まったく明らかになっていない。いったいどんな小説なのか?  文春社員数名に当たったが、かん口令が敷かれているのか、本当に社員にも詳細が明かされていないのか、みなノーコメント。  新刊情報の発信元である文春宣伝プロモーション局に問い合わせたところ、「貴誌発売の3月18日までには、あらためて具体的な情報を出せる予定です」とのみ回答があった。情報が厳しく制限されているようである。  それならばと書店関係者に取材を試みるも、公になっている情報以外、タイトルも価格も何も知らされていないという。 「第一報が出たときは、文春の営業さんすら何も知らなかったそうです。関係者から発売日は4月後半になるという噂は聞きましたが、それ以外は何も知りません。詳細を知っているのは、文春社長と担当編集者しかいないんじゃないでしょうか」(大手書店員)  このように、発売日まで情報を制限する売り出し方は、2009年5月29日に新潮社から発売された『1Q84』(BOOK1、BOOK2)の手法を踏襲しているともいえる。当時新潮社は、タイトル、価格、全2巻といった情報を告知したのみで、詳細は発売まで一切明かさなかった。 「情報を制限することで希少性を煽り、消費者に飢餓感を与えることで『欲しい』と思わせる”ハングリーマーケット”を生み出すつもりだったんでしょう」と、ある出版関係者は語る。  その手法が功を奏し、同書は注文が殺到。初版は『BOOK1』が20万部、『BOOK2』が18万部だったが、発売前に重版が決定。6月2日には『BOOK1』『BOOK2』で合計85万部を記録。想像を超える売り上げに、納品が間に合わず、品切れ店が続出するという事態に陥った。さらに発売から約1カ月後の7月1日には『BOOK1』が、7月23日には『BOOK2』が見事ミリオンを達成したのである。  10年4月16日に発売した『BOOK3』は、初版50万部で発売。初版を大幅に増やしたのは、機会ロスを防ぐためだという。『BOOK3』も発売前に重版が決定し、約10日後の4月27日には早くも100万部を達成した。  ハングリーマーケットを作るこうした手法について一部では「戦略的」などと揶揄されもしたが、村上氏は『考える人』(新潮社)に掲載されたロングインタビューでそれを否定。この手法を採ったのは、長編小説『海辺のカフカ』(02年、新潮社)の発売前は、出版後すぐに書評が出るようプルーフ(見本用の仮とじ本)をメディア関係者に配ったが、みなが足並みを揃えるためか、結局書評が出たのは他作品と同じように発売1カ月後だったことが理由だという。 「結局、プルーフを先につくってもなんの意味もないんだとわかった。だから、『1Q84』のときはとくに何もせず、ただシンプルにそのまますっと本を出しました。秘密主義もなにも、ほかの本と同じように普通に出しただけです」 「事前に内容を明かさなかったというのも、僕の決めたことではないけれど、そもそも考えてみれば、事前にそんなもの発表する必要なんかどこにもないわけで、それを戦略だとかなんだとか言われるのは腑に落ちないですよね。それくらいのことで本が売れるのなら、みんなとっくにそうやっています」(いずれも「考える人」10年夏号より)  また新潮社側は、読者から「事前に内容を知らせないでほしい」と要望があったためともしている。  しかし、似た手法をそのまま繰り返している文春の場合、”戦略”だといわれても致し方あるまい。事実、効果てきめん、各書店では早くも色めき立っているようだ。 「今度は、品切れとなった『BOOK1』の轍を踏まないようにします。当店では『BOOK3』だけで1000冊以上売れましたか ら、新刊は少なくとも初日に600~700冊は欲しいですね。いまどきこんなに仕入れるのは、村上氏の小説以外にありません。ほかの作家さんはみな、その10分の1以下ですよ。すでに予約受付中のポップも作りました。残念ながら、まだ予約は入っていませんが……でも絶対に売れるので大丈夫」(大手書店員)  有名な作家でも初版1万部に満たないことはザラの昨今。12年に最もヒットした文芸書は、三浦しをんの『舟を編む』(光文社、本屋大賞受賞作)で、約58万部。この数字もじゅうぶん素晴らしいが、それでも村上氏の作品に比べれば桁が違う。書店側がその新刊に多大な期待を寄せてしまうのも当然だろう。だが、あまりの過熱ぶりに一部では不安の声もある。 「4月9日に発表される本屋大賞と時期がかぶることが心配です。『1Q84』のときは"ハルキ一色"になってしまい、3日前に発売された桐野夏生さんの『IN』(集英社)がかすんでしまって関係者は怒っていたようです。今回も、本屋大賞受賞作が村上氏の新刊のせいで割を食わなければいいのですが……」(中規模書店員) 「中小の出版社は困りますね。数十万部の書籍を全国一斉に発売するため、流通が村上氏の新刊でパンクしてしまい、ほかの新刊の配本作業がストップする可能性が高いんです。『ハリー・ポッター』シリーズや『1Q84』発売時も、他社の新刊が後回しにされることがありました」(取次会社社員)  さらに書店には別の煩わしさも。 「大量の部数を刷りますから、なるべく返品率を下げるため、定価のうち書店の取り分をアップする代わりに返品の際に書店に相応の負担を求める”責任販売制”を文春が採る可能性もあります。この制度は、小学館の図鑑など大手出版社の高額商品では以前からよく採用されており、齋藤智裕(水嶋ヒロ)の『KAGEROU』(ポプラ社)でも採用され注目を集めました」(取次会社社員) “ハルキの新刊発売”というお祭り、ただ騒いでばかりはいられないのである。  11年のカタルーニャ国際賞でのスピーチでは原発問題に触れ、尖閣諸島、竹島紛争問題では「魂が行き来する道筋を塞いでしまってはならない」という文章を朝日新聞に寄稿するなど、要所要所で社会的な発言もある村上氏。「ノーベル賞狙い」などと皮肉を言う者もいるが、ミリオンを狙うなら、社会的かつ寓話的だった小説『海辺のカフカ』(新潮社/上下巻合わせて約73万部)よりも、『ノルウェイの森』や『1Q84』のようなラブストーリー系の作品のほうが間口が広くウケがいい気も。 「新刊に関する村上氏のコメントに、『短い小説を書こうと思って書き出したのだけど、書いているうちに自然に長いものになっていきました。僕の場合そういうことってあまりなくて、そういえば『ノルウェイの森』以来かな』とありましたから、ラブストーリーであることを願っています(笑)」(大手書店員)  狙うはノーベル賞か、ミリオンか。発売日が待たれる。 (文/安楽由紀子) 「サイゾーpremium」では他にも村上春樹特集記事が満載です!】嫌いだからこそわかる「村上春樹」の正しい読み方【1】有名編集者への憎悪、怒り、怨念......原稿流出騒動から垣間見える「春樹の暗部」文芸評論家、渡部直己と小谷野敦に直撃! 「私が村上春樹を嫌うワケ」
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こちらが話題の新作タイトル『色彩を持たない 多崎つくると、 彼の巡礼の年』。発売日も4月12日に決定してさらに期待が高まる。
 2月16日、あの村上春樹氏の新刊が発売されることが、文藝春秋より発表された。小説なのか? 初版はいきなり数十万部なのか? ノーベル賞級大作家の新刊とあって、色めき立つ出版業界に書店業界。そんな“ハルキ狂騒曲”の向こうに垣間見える、新刊の本当の“中身”とはいったい──?  この出版不況の中、ノーベル賞候補としても名前が挙がり、代表作『ノルウェイの森』(講談社)が単行本・文庫本を含めて累計1000万部超えを記録するなど、過去に類を見ないヒットを飛ばし続けている村上春樹。純文学、長編、上下巻(複数巻)という出版界のタブー(=売れない要素)を軽々と打ち破っている稀有な作家といえる。  その村上氏の新刊が文藝春秋から4月に出版されると告知されたのは、2月16日。その後、2月28日には、村上氏のメッセージが発表され、長編小説であることが明らかになった。だが、それ以外の情報については、3月4日現在まったく明らかになっていない。いったいどんな小説なのか?  文春社員数名に当たったが、かん口令が敷かれているのか、本当に社員にも詳細が明かされていないのか、みなノーコメント。  新刊情報の発信元である文春宣伝プロモーション局に問い合わせたところ、「貴誌発売の3月18日までには、あらためて具体的な情報を出せる予定です」とのみ回答があった。情報が厳しく制限されているようである。  それならばと書店関係者に取材を試みるも、公になっている情報以外、タイトルも価格も何も知らされていないという。 「第一報が出たときは、文春の営業さんすら何も知らなかったそうです。関係者から発売日は4月後半になるという噂は聞きましたが、それ以外は何も知りません。詳細を知っているのは、文春社長と担当編集者しかいないんじゃないでしょうか」(大手書店員)  このように、発売日まで情報を制限する売り出し方は、2009年5月29日に新潮社から発売された『1Q84』(BOOK1、BOOK2)の手法を踏襲しているともいえる。当時新潮社は、タイトル、価格、全2巻といった情報を告知したのみで、詳細は発売まで一切明かさなかった。 「情報を制限することで希少性を煽り、消費者に飢餓感を与えることで『欲しい』と思わせる”ハングリーマーケット”を生み出すつもりだったんでしょう」と、ある出版関係者は語る。  その手法が功を奏し、同書は注文が殺到。初版は『BOOK1』が20万部、『BOOK2』が18万部だったが、発売前に重版が決定。6月2日には『BOOK1』『BOOK2』で合計85万部を記録。想像を超える売り上げに、納品が間に合わず、品切れ店が続出するという事態に陥った。さらに発売から約1カ月後の7月1日には『BOOK1』が、7月23日には『BOOK2』が見事ミリオンを達成したのである。  10年4月16日に発売した『BOOK3』は、初版50万部で発売。初版を大幅に増やしたのは、機会ロスを防ぐためだという。『BOOK3』も発売前に重版が決定し、約10日後の4月27日には早くも100万部を達成した。  ハングリーマーケットを作るこうした手法について一部では「戦略的」などと揶揄されもしたが、村上氏は『考える人』(新潮社)に掲載されたロングインタビューでそれを否定。この手法を採ったのは、長編小説『海辺のカフカ』(02年、新潮社)の発売前は、出版後すぐに書評が出るようプルーフ(見本用の仮とじ本)をメディア関係者に配ったが、みなが足並みを揃えるためか、結局書評が出たのは他作品と同じように発売1カ月後だったことが理由だという。 「結局、プルーフを先につくってもなんの意味もないんだとわかった。だから、『1Q84』のときはとくに何もせず、ただシンプルにそのまますっと本を出しました。秘密主義もなにも、ほかの本と同じように普通に出しただけです」 「事前に内容を明かさなかったというのも、僕の決めたことではないけれど、そもそも考えてみれば、事前にそんなもの発表する必要なんかどこにもないわけで、それを戦略だとかなんだとか言われるのは腑に落ちないですよね。それくらいのことで本が売れるのなら、みんなとっくにそうやっています」(いずれも「考える人」10年夏号より)  また新潮社側は、読者から「事前に内容を知らせないでほしい」と要望があったためともしている。  しかし、似た手法をそのまま繰り返している文春の場合、”戦略”だといわれても致し方あるまい。事実、効果てきめん、各書店では早くも色めき立っているようだ。 「今度は、品切れとなった『BOOK1』の轍を踏まないようにします。当店では『BOOK3』だけで1000冊以上売れましたか ら、新刊は少なくとも初日に600~700冊は欲しいですね。いまどきこんなに仕入れるのは、村上氏の小説以外にありません。ほかの作家さんはみな、その10分の1以下ですよ。すでに予約受付中のポップも作りました。残念ながら、まだ予約は入っていませんが……でも絶対に売れるので大丈夫」(大手書店員)  有名な作家でも初版1万部に満たないことはザラの昨今。12年に最もヒットした文芸書は、三浦しをんの『舟を編む』(光文社、本屋大賞受賞作)で、約58万部。この数字もじゅうぶん素晴らしいが、それでも村上氏の作品に比べれば桁が違う。書店側がその新刊に多大な期待を寄せてしまうのも当然だろう。だが、あまりの過熱ぶりに一部では不安の声もある。 「4月9日に発表される本屋大賞と時期がかぶることが心配です。『1Q84』のときは"ハルキ一色"になってしまい、3日前に発売された桐野夏生さんの『IN』(集英社)がかすんでしまって関係者は怒っていたようです。今回も、本屋大賞受賞作が村上氏の新刊のせいで割を食わなければいいのですが……」(中規模書店員) 「中小の出版社は困りますね。数十万部の書籍を全国一斉に発売するため、流通が村上氏の新刊でパンクしてしまい、ほかの新刊の配本作業がストップする可能性が高いんです。『ハリー・ポッター』シリーズや『1Q84』発売時も、他社の新刊が後回しにされることがありました」(取次会社社員)  さらに書店には別の煩わしさも。 「大量の部数を刷りますから、なるべく返品率を下げるため、定価のうち書店の取り分をアップする代わりに返品の際に書店に相応の負担を求める”責任販売制”を文春が採る可能性もあります。この制度は、小学館の図鑑など大手出版社の高額商品では以前からよく採用されており、齋藤智裕(水嶋ヒロ)の『KAGEROU』(ポプラ社)でも採用され注目を集めました」(取次会社社員) “ハルキの新刊発売”というお祭り、ただ騒いでばかりはいられないのである。  11年のカタルーニャ国際賞でのスピーチでは原発問題に触れ、尖閣諸島、竹島紛争問題では「魂が行き来する道筋を塞いでしまってはならない」という文章を朝日新聞に寄稿するなど、要所要所で社会的な発言もある村上氏。「ノーベル賞狙い」などと皮肉を言う者もいるが、ミリオンを狙うなら、社会的かつ寓話的だった小説『海辺のカフカ』(新潮社/上下巻合わせて約73万部)よりも、『ノルウェイの森』や『1Q84』のようなラブストーリー系の作品のほうが間口が広くウケがいい気も。 「新刊に関する村上氏のコメントに、『短い小説を書こうと思って書き出したのだけど、書いているうちに自然に長いものになっていきました。僕の場合そういうことってあまりなくて、そういえば『ノルウェイの森』以来かな』とありましたから、ラブストーリーであることを願っています(笑)」(大手書店員)  狙うはノーベル賞か、ミリオンか。発売日が待たれる。 (文/安楽由紀子) 「サイゾーpremium」では他にも村上春樹特集記事が満載です!】嫌いだからこそわかる「村上春樹」の正しい読み方【1】有名編集者への憎悪、怒り、怨念......原稿流出騒動から垣間見える「春樹の暗部」文芸評論家、渡部直己と小谷野敦に直撃! 「私が村上春樹を嫌うワケ」
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【ピクピクン】安野モヨコのアシスタントも経験した謎のキワモノエロマンガ家の正体とは?

【サイゾーpremium】より  コミケでの生理用品配布や田代まさしとのCDリリースなど、その奇矯な行動でネットを中心に注目を集めているエロマンガ家ピクピクン。そんな彼の波瀾万丈の半生を聞いてみた──。
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(写真/K-D)
 2012年末に行われたコミックマーケットで、自身のサイン入り生理用品を女性ファンに配りネットで話題となる一方、コメ農家として日光東照宮に献穀米を納め、地元栃木の消防団に所属するという元ホストのエロマンガ家・ピクピクン。その端正な顔立ちと奇矯な経歴から注目を集めている彼が、いかにして現在のスタイルに行きついたのか? これまで彼が歩んできた、けもの道の軌跡をたどってみよう。  幼い頃からマンガ家を志していた彼は、美術専門学校を卒業後、『静かなるドン』(実業之日本社)の新田たつお、『GO DA GUN』(集英社)の片倉・M・政憲といった有名マンガ家の下でアシスタントをして、まっとうなマンガ道を歩んでいたという。しかし、ここから彼の迷走が始まる。 「片倉先生もそのアシスタントも、リア充ばっかりだったんです。その雰囲気に耐えられなくて、ついカッとなり『歌舞伎町でホストになって男を試します!』って啖呵を切って飛び出しました。童貞をこじらせてたんでしょうね」  無謀と思われたホストへの転身。しかし、彼はその店で新人賞を獲得するほどの活躍を見せる。 「女性との接し方なんてわかんないんで、『「花の魔法使いマリーベル」【編注:90年代前半に放送された魔法少女アニメ】の話をしますぅ』なんて調子でやってたら、みんな面白がってくれて」  まさかの大躍進。マンガ道から売れっ子ホストの道を進むかと思いきや、こじらせグセが再発する。 「僕、本当はマンガ家になって妖精と結婚したいはずなのに……。この世界にいたら絶対にできない! そう思って辞めました」  水商売の世界で、自分の純粋さが失われてゆくことへの焦りから、ホストを辞めることを決心。彼は次の仕事として、おっぱいパブの店員を選ぶのだった。妖精と結婚したいとか言ってたのに……! 「いいじゃないですか! おっぱいを見たかったんですよ! それに、その経験が今ではエロマンガを描くのに役立ってますから!」  確かに、彼の作品に登場する女の子は皆、推定C~Dカップの”ちょうどよい”おっぱい。巨乳至上主義が幅を利かせている昨今のエロマンガに食傷気味のファン(筆者)からの支持も厚い。おっパブで磨かれた観察眼は、肉感のあるリアルな画風で描かれるおっぱいだけでなく、彼の作品に盛り込まれる格闘アクションにも資している(はず)。さらに、この経験が、作画だけでなく、意外な形でマンガ道復帰への布石となる。彼はおっパブを辞した後、当時『花とみつばち』(講談社)などの連載を抱え、人気の絶頂にあったマンガ家・安野モヨコの初の男性アシスタントとして採用されたのだ。 「『フロム・エー』に載っていた”安野先生のアシスタント”に応募したら、面接に呼ばれて。多分、先生は『元ホストのおっぱいパブ従業員』への興味だけで呼んだんだと思います。でも、僕はちゃんとアシスタント経験があったわけで。絵のサンプルを見せたら『なんだコイツ!?』って面白がってもらって、めでたく採用されました」  ようやくマンガ道へ舞い戻った彼は、その後、ウェブ上で作品を発表し始める。その作品やブログでの奇怪な言動を、とある芸能プロ社長に見いだされ、なぜか田代まさしと共作で同人CDをリリース、コミケへの進出を果たすなど、今のマルチ(まがい)なマンガ家としてのスタイルを確立していくのであった。念のため確認しますけど、本業はマンガ家ですよね? 「もちろん! マンガが本体で僕自身の活動はおまけ。例えばテレビに出たって、失うものがないから、なんでもできる。NHKの生放送で、ちんこ出して射精することだってできますよ!」  元ホストのマンガ家がテレビに出ていたら、画面から目を離さずにいるべきだ。テレビ史上に残る”性器の瞬間”が見られるかもしれないのだから──なんつって。 (文/高橋ダイスケ) ピクピクン 栃木県生まれ。マンガ家。消防団所属の準公務員。東京の美術系専門学校を卒業後、マンガ家アシスタントを経て、ホストに転職。その後、人気マンガ家・安野モヨコ氏のアシスタントなどを務めた後、現職。著書に『処女連続中出し120分』(松文館)など。 公式HP〈http://www2.plala.or.jp/piku2n/index.html〉 ツイッター〈https://twitter.com/PIKU2N「サイゾーpremium」では他にもレアなマンガ家インタビュー記事が満載です!】【岡本健太郎】収入なし、ボランティアでの害獣駆除、ナイーブな倫理……現代を生きる猟師の実像教祖じゃありません! 巨匠・美内すずえ『ガラスの仮面』に込めた宇宙メッセージを語る『DEATH NOTE』と『聖☆おにいさん』は宗教タブー!? さとうふみやが初めて語る幸福の科学と『金田一少年』【前編】
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【坂本浩一】『仮面ライダー』『ウルトラマン』『スーパー戦隊』に新たな息吹を吹き込む男

【サイゾーpremium】より ──たかが「ヒーローもの」と侮るなかれ。自らスタントもこなす、この監督が撮る作品は、我々が子どもの頃に観たヒーローものとは何かが違う。親子揃って、観る者をアツくさせる特撮界の寵児の素性とは?
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(写真/早船ケン)
 今、最も邦画界で熱い”アメリカ人監督”坂本浩一。我が国を代表する3大特撮ヒーロー『仮面ライダー』『ウルトラマン』『スーパー戦隊』のすべてのシリーズでメガホンを取った稀代の男である。  坂本は、これらに香港・ハリウッド映画並みのテンポとリズムのいいアクションを取り入れ、高い評価を得ている。例えば今冬公開の『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム』での主人公による追跡シーンは、香港アクションもかくやという大胆かつ緻密なカット割りと圧巻のスピード感で一気に魅せた。『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(09年)では、ミニチュア特撮を排し、グリーンバックによるCG合成に、ワイヤーアクションも交えて、縦横無尽なバトルを披露し、新たな方向性を提示した。そんな革新性が、子どもだけではなく、特撮ヒーローで育った大人にも支持されているのだ。 「僕の人生を変えた作品は、9歳の頃に観たジャッキー・チェンの『ドランクモンキー 酔拳』(78年)。それまでは、特撮ヒーローとかアニメが大好きだったんですけど、ジャッキーを知って、『自分で演じて、撮れる人間になりたい』と。そこから格闘技をやり始めて、まっすぐ来ちゃった感じです(笑)」  坂本少年は肉体を鍛えつつ、父親のビデオカメラで、親戚の子を起用しながら、映画を撮り始めた。 「高1の時、『君もジャッキー・チェンにならないか?』という文句で、倉田プロモーションが募集をかけていて。そこで、スタントマンとしての修行を始めたんです」  高校を卒業すると、アクションの仕事をしながら、映画制作を勉強したいと考えて渡米。ジェフ・ウィンコット主演の『アンダーカバー/炎の復讐』(91年)などにも出演する中、大きなチャンスがやってくる。『スーパー戦隊』をアメリカ放送用にリメイクし、人気を博していた『パワーレンジャー』シリーズにかかわることになったのだ。 「知人の紹介で『パワー~』のプロデューサーに会ったら、『日本風の戦隊の動きができる人がいないんだ』と言われ、僕自身がポーズを取ったり、立ち回りなどを披露したら、『それ! それが欲しいんだけど、アメリカにいないんだよ』と言われて」  それが縁で坂本は、同シリーズのスタント・コーディネイトに始まり、アクション監督、監督、プロデューサー、果ては製作総指揮まで務め、アメリカに骨を埋めるつもりで米国籍まで取った。  が、そんな坂本を、日 本の特撮界が放っておくはずがない。09年に『パワー~』シリーズが一時休止したことを機に、国内の要請に応えて、坂本は帰国、映画『大怪獣バトル~』を監督する。『仮面ライダーW』(10年)のテレビ版や劇場版の監督も務めた。 「まさか自分が子どもの頃に憧れていた『ウルトラマン』を撮ることができて、『次に、仮面ライダーを撮れちゃうの!?』という想いはありましたね」  さらに、『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年)、『仮面ライダーフォーゼ』(同)を監督。わずか3年で、3大ヒーローを制覇した。  香港アクション、そしてハリウッド映画技法を全身で吸収した坂本の体当たりともいうべき演出法は日本で開花した。現在、社会の第一線で活躍する、子育て世代と多感な時期の”共通体験”を持つことも、親子で楽しめる作品を生み出せる強みだ。そんな坂本の新たな挑戦が、現在OA中の『獣電戦隊キョウリュウジャー』である。 「今回は、僕らが子どもの頃に観て育った”戦隊のカッコ良さ”を再認識してもらう形で、決めポーズやセリフなどのお約束を省略せずにきちんと見せていこうと。昔のものを今風にアレンジして、どう子どもたちにアピールしていくか? というのがテーマです」  ヒーローたちと共に、坂本も進化を続けている。 (文/岩佐陽一) 坂本浩一(さかもと・こういち) 1970年、東京都生まれ。90年2月、『アンダーカバー』でアシスタント・アクション・コーディネイターとしてハリウッドデビュー。92年に倉田アクションクラブの同士と共に、スタントチーム「アルファスタント」を設立。監督としては、映画『大怪獣バトル~』ほか、『仮面ライダーW』のテレビ・映画・Vシネ、『仮面ライダー・フォーゼ』のテレビ・映画、テレビ『海賊戦隊ゴーカイジャー』などを手がける。4月13日からは、台・日合作の新作映画『トラベラーズ 次元警察』が公開される。
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(c)2013テレビ朝日・東映AG
・東映
『獣電戦隊キョウリュウジャー』 太古の時代、宇宙の暗黒種、デーボスが地球を襲った。対して当時の地球の覇者の恐竜たちは、賢神トリンに機械の体を与えられ獣電竜となり、敵を封印した。だが時を越え現代、デーボスが復活し再び人々を襲い始めた。そこに立ち上がったのがトリンに選ばれし5人の若者だ。彼らはキョウリュウジャーとなり、恐竜の魂が宿る”獣電池”を駆使して、獣電竜と共に戦う! スーパー戦隊シリーズ第37弾。テレビ朝日系列/毎週日曜7時30分。 「サイゾーpremium」では他にも特撮ヒーローの魅力に迫った記事が満載です!】『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』──夢の共演映画から考える、特撮モノの歴史と未来【ご当地ヒーローの特撮的真価】── "ご当地ヒーロー"は、イロモノか? ヒーローの新世代か?仮面ライダー出演中!【奥仲麻琴】女優開眼のPASSPO☆まこっちゃん、「朝ドラ目指します!」
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